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特許7550715振動判定システム、振動判定方法、および振動判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】振動判定システム、振動判定方法、および振動判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20240906BHJP
   B61K 9/08 20060101ALI20240906BHJP
   G01M 17/10 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
B61K9/08
G01M17/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021082476
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175785
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】堀内 謙二
(72)【発明者】
【氏名】永野 隆文
(72)【発明者】
【氏名】和田 敏裕
(72)【発明者】
【氏名】武輪 知明
(72)【発明者】
【氏名】辻田 亘
(72)【発明者】
【氏名】西田 博幸
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-294324(JP,A)
【文献】特開平07-333054(JP,A)
【文献】特開2015-034452(JP,A)
【文献】特開2005-331263(JP,A)
【文献】特開昭61-007410(JP,A)
【文献】特開2021-135131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0267266(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
B61C 1/00-17/12
B61D 1/00-15/12
B61G 1/00-11/18
B61J 1/00-99/00
B61K 1/00-13/04
B61L 1/00-99/00
G01M 17/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位レールのうち互いに異なる単位レールに配置された複数の振動センサによって検出される振動の情報を取得する振動情報取得部と、
前記振動情報取得部によって取得された前記複数の振動センサによって検出される振動の情報を比較した結果である比較結果に基づいて、前記単位レール間の継ぎ目に起因する振動である特定振動を判定する特定振動判定部と、を備える
ことを特徴とする振動判定システム。
【請求項2】
前記複数の単位レールは、
鉄道車両の走行方向と直交する方向で互いに対向する一対の単位レールを含み、
前記複数の振動センサは、
前記一対の単位レールのうち互いに異なる単位レールに配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の振動判定システム。
【請求項3】
前記複数の単位レールは、
前記継ぎ目を挟んで対向する前後一対の単位レールを含み、
前記複数の振動センサは、
前記前後一対の単位レールのうち互いに異なる単位レールに配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の振動判定システム。
【請求項4】
前記複数の振動センサの各々は、
互いに前記継ぎ目から同じ距離離れた位置に配置され、
前記特定振動判定部は、
前記複数の振動センサで同時期に検出される振動を前記特定振動と判定する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の振動判定システム。
【請求項5】
前記複数の振動センサの各々は、
互いに前記継ぎ目から異なる距離離れた位置に配置され、
前記特定振動判定部は、
前記複数の振動センサ間の前記継ぎ目からの前記距離の差に応じた時間差で前記複数の振動センサで検出される振動を前記特定振動と判定する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の振動判定システム。
【請求項6】
前記特定振動判定部は、
前記複数の振動センサによって検出される振動の情報を比較して、前記特定振動の候補である特定振動候補を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記特定振動候補の出現パターンと前記単位レールのレール長と前記複数の単位レールを走行する鉄道車両の車輪の間隔とに基づく特定パターンとを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記特定振動を判定する判定部と、を備える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の振動判定システム。
【請求項7】
前記複数の振動センサによって検出された振動から前記特定振動を除去するノイズキャンセル部と、
前記ノイズキャンセル部の出力に基づいて、前記複数の単位レールを走行する鉄道車両の車輪の踏面にフラットが生じているか否かを判定するフラット判定部と、を備える
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の振動判定システム。
【請求項8】
複数の単位レールのうち互いに異なる単位レールに配置された複数の振動センサによって検出される振動の情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップによって取得された前記複数の振動センサによって検出される振動の情報を比較した結果である比較結果に基づいて、前記単位レール間の継ぎ目に起因する振動である特定振動を判定する第2のステップと、を含む
ことを特徴とする振動判定方法。
【請求項9】
複数の単位レールのうち互いに異なる単位レールに配置された複数の振動センサによって検出される振動の情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップによって取得された前記複数の振動センサによって検出される振動の情報を比較した結果である比較結果に基づいて、前記単位レール間の継ぎ目に起因する振動である特定振動を判定する第2のステップと、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする振動判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レールの継ぎ目に起因する振動を判定する振動判定システム、振動判定方法、および振動判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の鉄道車両がブレーキをかけて停止する際に、鉄道車両の車輪に作用するブレーキが過大になると、車輪の回転が停止されたまま滑走し、車輪のうちレールに接触する面である踏面が摩耗して平面状に削られ、車輪の踏面にフラットと呼ばれる偏摩耗が生じる。車輪の踏面にフラットが生じると、鉄道車両に振動または騒音などが発生して乗り心地が悪くなったり、鉄道沿線の環境が悪化したりするなどの問題が生じる。
【0003】
フラットが生じた車輪の特定は、車両工場において作業員の目視または触手による点検で行われることが多く、そのため、保安コストがかかっている。また、停車中の鉄道車両において、車輪の一部分は目視できない位置にあり、停車中の鉄道車両を点検することでは、フラットを発見できない場合がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、レールに振動センサを取り付け、振動センサによって検出される振動が予め定められた基準値を超える場合に、車輪にフラットが存在すると判定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭58-112873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、振動センサによって検出される振動には、フラットに起因する振動に加えて、車輪がレールの継ぎ目を通過する際に生じる振動が含まれる。レールの継ぎ目に起因する振動は、フラットに起因する振動よりも大きい場合が多いことから、上記特許文献1に記載の技術では、レールの継ぎ目に起因する振動を誤ってフラットに起因する振動として誤判定する可能性がある。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、レールの継ぎ目に起因する振動を判定することができる振動判定システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の振動判定システムは、振動情報取得部と、特定振動判定部とを備える。振動情報取得部は、複数の単位レールのうち互いに異なる単位レールに配置された複数の振動センサによって検出される振動の情報を取得する。特定振動判定部は、振動情報取得部によって取得された複数の振動センサによって検出される振動の情報を比較した結果である比較結果に基づいて、単位レール間の継ぎ目に起因する振動である特定振動を判定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、レールの継ぎ目に起因する振動を判定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる振動判定方法の一例を説明するための図
図2】実施の形態1にかかる振動判定方法の他の例を説明するための図
図3】実施の形態1にかかる振動判定システムの構成の一例を示す図
図4】実施の形態1にかかる特定振動判定部の構成の一例を示す図
図5】実施の形態1にかかる特定振動判定部によって特定振動候補の出現パターンと比較される特定パターンを説明するための図
図6】実施の形態1にかかる振動判定システムの構成の他の例を示す図
図7】実施の形態1にかかる振動判定システムの構成のさらに他の例を示す図
図8】実施の形態1にかかる振動判定システムの処理部による処理の一例を示すフローチャート
図9】実施の形態1にかかる振動判定システムの処理部のハードウェア構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態にかかる振動判定システム、振動判定方法、および振動判定プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる振動判定方法の一例を説明するための図である。図1では、レールを走行する不図示の鉄道車両の車輪と、レールの振動を検出する複数の振動センサとが示されている。レールは、複数の単位レールで構成されており、鉄道車両の走行方向で隣接する単位レール間には継ぎ目が形成される。なお、レールを走行する鉄道車両の車輪の踏面には、フラットが生じている箇所が含まれているとする。また、以下において、単位レール間の継ぎ目をレール継ぎ目と記載する場合がある。
【0013】
鉄道車両の車輪の踏面にフラットが生じている場合、フラットが生じている箇所がレールに接触すると衝撃波がレールに生じる。また、レール継ぎ目を鉄道車両の車輪が通過する際にも、衝撃波がレールに生じる。そのため、鉄道車両の車輪にフラットが生じている場合、各振動センサによって検出される振動には、フラットに起因する振動とレール継ぎ目に起因する振動とが含まれる。鉄道車両の車輪にフラットが生じているかどうかを判定するためには、フラットに起因する振動とレール継ぎ目に起因する振動とを区別する必要がある。
【0014】
そこで、実施の形態1にかかる振動判定方法では、複数の振動センサを異なる単位レールに配置し、これら複数の振動センサによって検出される振動の情報を比較し、比較した結果に基づいて、レール継ぎ目に起因する振動を判定する。レール継ぎ目による振動はレール継ぎ目を介して対向する2つの単位レールの各々に生じ、例えば、2つの振動センサがレール継ぎ目から同じ距離に配置されていれば、2つの振動センサにおいてレール継ぎ目に起因する振動が同時期に検出される。
【0015】
そのため、実施の形態1にかかる振動判定方法では、2つの振動センサによって検出される振動の情報を比較し、同時期に検出された振動があれば、かかる振動をレール継ぎ目に起因する振動として判定する。これにより、例えば、振動センサによって検出される振動の情報からレール継ぎ目に起因する振動の情報を除外することで、フラットに起因する振動を容易に判定することができる。
【0016】
図2は、実施の形態1にかかる振動判定方法の他の例を説明するための図である。図2では、鉄道車両の走行方向と直交する方向で互いに対向する一対の単位レールのうち互いに異なる単位レールに2つの振動センサが配置されている。レール継ぎ目による振動は一対の単位レールの各々に生じ、例えば、2つの振動センサがレール継ぎ目から同じ距離に配置されていれば、2つの振動センサにおいてレール継ぎ目に起因する振動が同時期に検出される。これは、鉄道車両における左右の車輪が、鉄道車両の走行方向に対して線対称の位置に配置されるためである。
【0017】
したがって、図2において、2つの振動センサによって検出される振動の情報を比較し、同時期に検出された振動があれば、かかる振動をレール継ぎ目に起因する振動として判定することができる。これにより、例えば、振動センサによって検出される振動からレール継ぎ目に起因する振動の情報を除外することで、フラットに起因する振動を容易に判定することができる。
【0018】
以下、本振動判定方法を適用した振動判定システムの構成および処理について具体的に説明する。図3は、実施の形態1にかかる振動判定システムの構成の一例を示す図である。図3に示すように、振動判定システム1は、振動センサ2,2,2,2と、車輪センサ3,3と、処理部5とを備える。
【0019】
振動センサ2,2,2,2は、不図示の鉄道車両が走行するレール7に取り付けられ、レール7に生じる振動を検出する。レール7は、単位レール6,6,6,6を含む複数の単位レールによって形成される。以下において、単位レール6,6,6,6の各々を個別に区別せずに示す場合、単位レール6と記載する場合がある。
【0020】
単位レール6と単位レール6とは、不図示の鉄道車両の走行方向で継ぎ合わされており、単位レール6と単位レール6との間には、継ぎ目8が形成されている。また、単位レール6と単位レール6とは、不図示の鉄道車両の走行方向で継ぎ合わされており、単位レール6と単位レール6との間には、継ぎ目8が形成されている。以下において、継ぎ目8,8の各々を個別に区別せずに示す場合、継ぎ目8と記載する場合がある。
【0021】
また、単位レール6,6は、不図示の鉄道車両の走行方向と直交する方向で対向し、単位レール6,6は、不図示の鉄道車両の走行方向と直交する方向で対向している。
【0022】
振動センサ2は、単位レール6に取り付けられ、単位レール6に生じる振動を検出し、検出した振動の情報を示す出力信号を出力する。振動センサ2は、単位レール6に取り付けられ、単位レール6に生じる振動を検出し、検出した振動の情報を示す出力信号を出力する。
【0023】
振動センサ2は、単位レール6に取り付けられ、単位レール6に生じる振動を検出し、検出した振動の情報を示す出力信号を出力する。振動センサ2は、単位レール6に取り付けられ、単位レール6に生じる振動を検出し、検出した振動の情報を示す出力信号を出力する。
【0024】
継ぎ目8から振動センサ2までの距離と継ぎ目8から振動センサ2までの距離とは同じ距離D2である。また、継ぎ目8から振動センサ2までの距離と継ぎ目8から振動センサ2までの距離とは同じ距離D3である。そして、距離D2と距離D3とは等しい。
【0025】
レール7は、例えば、車両工場入区線のレールであり、振動判定システム1は、鉄道車両が車両工場に入場する際にフラットの検出を行うことができる。なお、レール7は、車両工場入区線のレール以外のレールであってもよい。また、レール7を構成する単位レール6の長さは、例えば、24.5メートルであり、この場合、継ぎ目8は、24.5メートル間隔で配置される。
【0026】
振動センサ2,2,2,2は、加速度ピックアップであるが、例えば、レーザドップラ式の振動センサなどであってもよい。以下、振動センサ2,2,2,2の各々を個別に区別せずに示す場合、振動センサ2と記載する場合がある。振動センサ2の出力信号には、レール7に生じた振動の大きさの時間変化を示す情報が含まれる。
【0027】
図3において、鉄道車両の走行方向における振動センサ2,2と振動センサ2,2との間の距離D1は、振動センサ2による振動の計測範囲が1.5mである場合、例えば、3m以下である。例えば、鉄道車両の車輪における踏面の周長が2.8mの場合、距離D1は1.5mに設定される。なお、距離D1は、振動センサ2,2,2,2によって継ぎ目8に起因するレール7の振動およびフラットに起因するレール7の振動を精度よく検出することができる距離に設定されていればよく、1.5mに限定されない。
【0028】
車輪センサ3,3の各々は、鉄道車両の走行方向と直交する方向を検出範囲とし、かかる検出範囲に鉄道車両の車輪が進入している場合に、鉄道車両の車輪を検出したことを示すオン信号を出力する。また、車輪センサ3,3の各々は、検出範囲に車輪が進入していない場合に、オン信号を出力しない。図3において、鉄道車両の走行方向における車輪センサ3と車輪センサ3との間の距離D4は、例えば、5mに設定される。以下、車輪センサ3,3の各々を個別に区別せずに示す場合、車輪センサ3と記載する場合がある。
【0029】
処理部5は、振動センサ2,2,2,2の出力信号と、車輪センサ3,3の出力信号とに基づいて、鉄道車両における複数の車輪の各々のフラットの有無を判定する処理であるフラット判定処理を行う。
【0030】
処理部5は、振動情報取得部10と、特定振動判定部11と、ノイズキャンセル部12と、フラット判定部13と、車輪情報取得部14と、車輪特定部15と、判定結果出力部16とを備える。
【0031】
振動情報取得部10は、振動センサ2の出力信号を単位レール6の振動の情報として取得し、振動センサ2の出力信号を単位レール6の振動の情報として取得し、振動センサ2の出力信号を単位レール6の振動の情報として取得し、振動センサ2の出力信号を単位レール6の振動の情報として取得する。
【0032】
特定振動判定部11は、振動センサ2によって検出された単位レール6の振動の情報と振動センサ2によって検出された単位レール6の振動の情報とを比較し、かかる比較結果に基づいて、継ぎ目8に起因する振動である特定振動を判定する。
【0033】
例えば、特定振動判定部11は、振動センサ2の出力信号と振動センサ2の出力信号とを比較し、振動センサ2の出力信号の大きさと振動センサ2の出力信号の大きさが同時期に閾値以上になった場合、継ぎ目8に起因する振動である特定振動が発生したと判定する。特定振動判定部11は、大きさが同時期に閾値以上になった期間を含む特定期間の振動センサ2の出力信号と振動センサ2の出力信号とを継ぎ目8に起因する振動の信号であると判定する。特定期間は、例えば、大きさが同時期に閾値以上になった期間の前後の予め定められた期間を含む。
【0034】
また、特定振動判定部11は、振動センサ2によって検出された単位レール6の振動の情報と振動センサ2によって検出された単位レール6の振動の情報とを比較し、かかる比較結果に基づいて、継ぎ目8に起因する振動である特定振動と判定する。
【0035】
例えば、特定振動判定部11は、振動センサ2の出力信号と振動センサ2の出力信号とを比較し、振動センサ2の出力信号の大きさと振動センサ2の出力信号の大きさが同時期に閾値以上になった場合、継ぎ目8に起因する振動である特定振動が発生したと判定する。特定振動判定部11は、大きさが同時期に閾値以上になった期間を含む特定期間の振動センサ2の出力信号と振動センサ2の出力信号とを継ぎ目8に起因する振動の信号であると判定する。
【0036】
また、特定振動判定部11は、2つの振動センサ2の出力信号の比較処理に基づいて、特定振動の候補である特定振動候補を判定し、判定した特定振動候補の出現パターンが特定パターンである場合に、判定した特定振動候補を特定振動として判定することもできる。この場合、特定振動判定部11による特定振動候補の判定方法は、上述した特定振動の判定方法と同様であり、特定振動判定部11は、大きさが同時期に閾値以上になった期間を含む特定期間の2つの振動センサ2の出力信号を特定振動の信号であると判定する。
【0037】
図4は、実施の形態1にかかる特定振動判定部の構成の一例を示す図である。図4に示すように、特定振動判定部11は、検出部41と、比較部42と、判定部43とを備える。検出部41は、複数の振動センサ2によって検出される振動の情報を比較して、特定振動の候補である特定振動候補を検出する。例えば、検出部41は、2つの振動センサ2の出力信号の大きさが同時期に閾値以上になった期間の信号を特定振動候補として判定する。
【0038】
比較部42は、検出部41によって検出された特定振動候補の出現パターンと単位レール6のレール長と複数の単位レール6を走行する鉄道車両の車輪の間隔とに基づく特定パターンとを比較する。判定部43は、比較部42による比較結果に基づいて、特定振動を判定する。判定部43は、特定振動候補の出現パターンと特定パターンとが一致する場合に、特定振動候補を特定振動として判定する。
【0039】
図5は、実施の形態1にかかる特定振動判定部によって特定振動候補の出現パターンと比較される特定パターンを説明するための図である。図5に示す例では、単位レール6のレール長L4が24.5mであり、列車を構成する各鉄道車両の台車50間の距離L1が13.8mであり、鉄道車両間の台車50の距離L2が6.2mであり、各台車における車輪51の間隔L3が2.1mである。
【0040】
この場合、図5に示すように、鉄道車両の車輪51のいずれかが、単位レール6の一端からの距離が24.1m,22.1m,20.0m,17.9m,15.9m,13.8m,11.7m,8.3m,6.2m,4.1m,2.1mに各々位置する場合に、鉄道車両の車輪51のいずれかが、単位レール6の一端側の継ぎ目8に位置する。
【0041】
また、鉄道車両の車輪51のいずれかが、単位レール6の他端からの距離が24.1m,22.1m,20.0m,17.9m,15.9m,13.8m,11.7m,8.3m,6.2m,4.1m,2.1mに各々に位置する場合に、鉄道車両の車輪51のいずれかが、単位レール6の他端側の継ぎ目8に位置する。
【0042】
したがって、前の鉄道車両における最後部の車輪51が単位レール6の一端側の継ぎ目8に位置してから次に鉄道車両の走行距離が0.4m,2.1m,2.4m,4.1m,4.5m,6.2m,6.6m,8.3m,8.6m,10.7m,11.7m,12.8m,13.8m,15.9m,16.2m,17.9m,18.2m,20.0m,20.4m,22.1m,22.4m,24.1mのところで、次に鉄道車両のいずれかの車輪51が継ぎ目8に位置する。
【0043】
そのため、継ぎ目8に起因する振動の出現パターンは、鉄道車両単位で規則性を持っており、かかる鉄道車両単位の規則性を特定振動候補の出現パターンとすることで、特定振動判定部11は、特定振動を精度よく検出することができる。この出現パターンの各特定振動候補が発生する期間それぞれは、鉄道車両の構成、台車50間の距離、車輪51の間隔、単位レール長、および鉄道車両の速度から、一意に算出することができる。
【0044】
ノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって検出された継ぎ目8に起因する振動を振動センサ2,2の出力信号から除去し、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号を出力する。また、ノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって検出された継ぎ目8に起因する振動を振動センサ2,2の出力信号から除去し、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号を出力する。
【0045】
ノイズキャンセル部12による継ぎ目8に起因する振動の除去は、特定振動判定部11によって継ぎ目8に起因する振動が発生したと判定した期間の信号を振動センサ2の出力信号から除去することによって行われるが、かかる例に限定されない。
【0046】
フラット判定部13は、ノイズキャンセル部12の出力に基づいて、レール7を走行する鉄道車両の車輪51の踏面にフラットが生じているか否かを判定する。例えば、フラット判定部13は、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号のうちの少なくとも一方の大きさが閾値以上である場合に、単位レール6,6上を回転する車輪51にフラットが生じていると判定する。
【0047】
また、フラット判定部13は、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号のうちの少なくとも一方の大きさが閾値以上である場合に、単位レール6,6上を回転する車輪51にフラットが生じていると判定する。
【0048】
フラット判定部13は、車輪51にフラットが生じていると判定した場合、フラットに起因する振動が検出された時刻であるフラット検出時刻の情報を判定結果出力部16へ出力する。
【0049】
車輪情報取得部14は、車輪センサ3,3の各々の出力信号を受信し、受信した車輪センサ3,3の各々の出力信号の情報を車輪特定部15へ出力する。車輪特定部15は、車輪センサ3,3の各々の出力信号に基づいて、車輪検出情報を生成し、生成した車輪検出情報を判定結果出力部16へ出力する車輪検出機能を有する。
【0050】
車輪検出情報には、車輪検出期間とカウント値とを対応付けた情報が車輪51毎に含まれる。車輪検出期間は、例えば、各車輪センサ3,3がオン信号を出力した期間である。カウント値は、各車輪51が車輪センサ3の検出範囲を通過する順番を示す。
【0051】
判定結果出力部16は、フラット検出時刻の情報と車輪検出情報とに基づいて、フラット検出時刻が含まれる車輪検出期間に対応付けられたカウント値を判定結果として出力する。これにより、振動判定システム1では、フラットの発生を車輪51毎に検出することができる。
【0052】
図6は、実施の形態1にかかる振動判定システムの構成の他の例を示す図である。図6に示す振動判定システム1は、振動センサ2,2,2,2の配置が図3に示す振動判定システム1と異なる。
【0053】
図3に示す例では、振動センサ2,2,2,2は、互いに異なる単位レール6,6,6,6に取り付けられるが、図6に示す例では、振動センサ2,2は、互いに同じ単位レール6に取り付けられ、振動センサ2,2は、互いに同じ単位レール6に取り付けられている。継ぎ目8から振動センサ2までの距離は距離D2であり、継ぎ目8から振動センサ2までの距離は距離D3である。そして、距離D2と距離D3は等しい。
【0054】
図6に示す例では、特定振動判定部11は、振動センサ2によって検出された単位レール6の振動の情報と振動センサ2によって検出された単位レール6の振動の情報とを比較する。特定振動判定部11は、単位レール6の振動の情報と単位レール6の振動の情報とを比較した結果に基づいて、継ぎ目8に起因する振動である特定振動を判定する。
【0055】
例えば、特定振動判定部11は、振動センサ2の出力信号と振動センサ2の出力信号とを比較し、振動センサ2の出力信号の大きさと振動センサ2の出力信号の大きさとが同時期に閾値以上になった場合、継ぎ目8に起因する振動である特定振動が発生したと判定する。特定振動判定部11は、大きさが同時期に閾値以上になった期間を含む特定期間の振動センサ2の出力信号と振動センサ2の出力信号とを特定振動の信号であると判定する。
【0056】
また、特定振動判定部11は、振動センサ2,2の出力信号と振動センサ2,2の出力信号とに基づいて、継ぎ目8に起因する振動であるのか、単位レール6,6図6における右側の不図示の継ぎ目に起因する振動であるのかを判定することができる。以下において、単位レール6,6図6における右側の不図示の継ぎ目を反対側の継ぎ目と記載する。
【0057】
例えば、特定振動判定部11は、振動センサ2,2の出力信号の大きさが閾値以上になった後、距離D1を振動が伝搬する時間だけ遅れて振動センサ2,2の出力信号の大きさが閾値以上になった場合、継ぎ目8に起因する振動であると判定する。また、特定振動判定部11は、振動センサ2,2の出力信号の大きさが閾値以上になった後、距離D1を振動が伝搬する時間だけ遅れて振動センサ2,2の出力信号の大きさが閾値以上になった場合、反対側の継ぎ目に起因する振動であると判定する。
【0058】
また、図6に示す例では、ノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって判定された継ぎ目8に起因する振動を振動センサ2,2の出力信号から除去し、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号を出力する。また、ノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって継ぎ目8に起因する振動が発生したと判定された期間から距離D1を振動が伝搬する時間だけ遅い期間の信号を振動センサ2,2の出力信号から除去して出力する。
【0059】
また、ノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって判定された反対側の継ぎ目に起因する振動を振動センサ2,2の出力信号から除去し、反対側の継ぎ目に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号を出力する。また、ノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって反対側の継ぎ目に起因する振動が発生したと判定された期間から距離D1を振動が伝搬する時間だけ早い期間の信号を振動センサ2,2の出力信号から除去して出力する。
【0060】
図7は、実施の形態1にかかる振動判定システムの構成のさらに他の例を示す図である。図7に示す振動判定システム1は、さらに振動センサ2,2が配置される点で、図3に示す振動判定システム1と異なる。
【0061】
図7に示す振動情報取得部10は、振動センサ2,2,2,2の出力信号の情報を特定振動判定部11へ出力し、振動センサ2,2,2,2の出力信号の情報をノイズキャンセル部12へ出力する。図7に示す特定振動判定部11は、図3に示す特定振動判定部11と同様の処理によって、継ぎ目8に起因する振動と継ぎ目8に起因する振動とを判定する。
【0062】
図7に示すノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって検出された継ぎ目8に起因する振動を振動センサ2の出力信号から除去し、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2の出力信号を出力する。また、図7に示すノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって検出された継ぎ目8に起因する振動を振動センサ2の出力信号から除去し、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2の出力信号を出力する。
【0063】
また、図7に示すノイズキャンセル部12は、特定振動判定部11によって継ぎ目8に起因する振動が発生したと判定された期間から距離D1を振動が伝搬する時間だけ遅い期間の信号を振動センサ2の出力信号から除去して出力し、特定振動判定部11によって継ぎ目8に起因する振動が発生したと判定された期間から距離D1を振動が伝搬する時間だけ遅い期間の信号を振動センサ2の出力信号から除去して出力する。
【0064】
図7に示すフラット判定部13は、例えば、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号のうちの少なくとも一方の大きさが閾値以上である場合に、単位レール6,6上を回転する車輪51にフラットが生じていると判定する。
【0065】
また、図7に示すフラット判定部13は、例えば、継ぎ目8に起因する振動が除去された振動センサ2,2の出力信号のうちの少なくとも一方の大きさが閾値以上である場合に、単位レール6,6上を回転する車輪51にフラットが生じていると判定する。
【0066】
上述した例では、距離D2と距離D3とが等しい例を説明したが、距離D2と距離D3とは異なっていてもよい。この場合、2つの振動センサ2において継ぎ目8に起因する振動が継ぎ目8からの位置のずれに応じた時間だけずれて検出される。
【0067】
例えば、距離D2と距離D3とが異なる場合、図3に示す2つの振動センサ2,2において継ぎ目8に起因する振動が継ぎ目8からの位置のずれに応じた時間だけずれて互いに検出される。この場合、特定振動判定部11は、2つの振動センサ2,2によって検出される振動の情報を継ぎ目8からの位置のずれに応じた時間だけずらして比較することで、特定振動を判定することができる。
【0068】
特定振動判定部11は、例えば、振動センサ2,2の配置が図3に示す配置であり、D2>D3であり、Δd=D2-D3である場合、距離差Δdを振動が伝搬する時間だけ振動センサ2の出力信号をシフトして振動センサ2の出力信号と比較することで、特定振動を判定することができる。また、特定振動判定部11は、振動センサ2,2の配置が図3に示す配置であり、D3>D2であり、Δd=D3-D2である場合、距離差Δdを振動が伝搬する時間だけ振動センサ2の出力信号をシフトして振動センサ2の出力信号と比較することで、特定振動を判定することができる。
【0069】
同様に、距離D2と距離D3とが異なる場合、図3に示す2つの振動センサ2,2において継ぎ目8に起因する振動が継ぎ目8からの位置のずれに応じた時間だけずれて互いに検出される。この場合、特定振動判定部11は、2つの振動センサ2,2によって検出される振動の情報を継ぎ目8からの位置のずれに応じた時間だけずらして比較することで、特定振動を判定することができる。
【0070】
また、振動センサ2,2の配置が図6に示す配置である場合に、距離D2と距離D3とが異なる場合、図6に示す2つの振動センサ2,2において継ぎ目8に起因する振動が継ぎ目8からの位置のずれに応じた時間だけずれて互いに検出される。この場合、特定振動判定部11は、2つの振動センサ2,2によって検出される振動の情報を継ぎ目8からの位置のずれに応じた時間だけずらして比較することで、特定振動を判定することができる。
【0071】
上述した車輪特定部15は、車輪検出機能に加え、車輪センサ3,3間の距離D4を、車輪センサ3がオン信号を出力した時刻と車輪センサ3がオン信号を出力した時刻との時間差TBで除算することによって、各車輪51の速度を検出する速度検出機能を有していてもよい。
【0072】
なお、振動センサ2の数および配置は上述した例に限定されない。例えば、図3に示す振動判定システム1において、フラットが生じている車輪51を特定する必要がない場合、振動センサ2、車輪センサ3,3、車輪情報取得部14、車輪特定部15、および判定結果出力部16を設けなくてもよい。
【0073】
また、図6に示す振動判定システム1において、フラットが生じている車輪51を特定する必要がない場合、振動センサ2、車輪センサ3,3、車輪情報取得部14、車輪特定部15、および判定結果出力部16を設けなくてもよい。
【0074】
つづいて、フローチャートを用いて振動判定システム1の処理部5による処理を説明する。図8は、実施の形態1にかかる振動判定システムの処理部による処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
図8に示すように、振動判定システム1の処理部5は、複数の振動センサ2の出力信号を取得し(ステップS10)、取得した複数の振動センサ2の出力信号を比較する(ステップS11)。処理部5は、ステップS11の比較結果に基づいて、特定振動があるか否かを判定する(ステップS12)。
【0076】
処理部5は、特定振動があると判定した場合(ステップS12:Yes)、複数の振動センサ2の出力信号から特定振動を除去する(ステップS13)。そして、処理部5は、特定振動を除去した複数の振動センサ2の出力信号に基づいて、フラットの有無を判定する(ステップS14)。また、処理部5は、特定振動がないと判定した場合(ステップS12:No)、複数の振動センサ2の出力信号からフラットの有無を判定する(ステップS15)。
【0077】
処理部5は、ステップS14の判定結果またはステップS15の判定結果がフラットありを示すか否かを判定する(ステップS16)。処理部5は、判定結果がフラットありを示すと判定した場合(ステップS16:Yes)、フラットがある車輪51の情報を検出結果として出力する(ステップS17)。
【0078】
処理部5は、ステップS17の処理が終了した場合、または判定結果がフラットありを示さないと判定した場合(ステップS16:No)、動作終了のタイミングになったか否かを判定する(ステップS18)。処理部5は、例えば、振動判定システム1の不図示の電源がオフされたと判定した場合または振動判定システム1における不図示の入力部への動作終了の操作が行われたと判定した場合に、動作終了のタイミングになったと判定する。
【0079】
処理部5は、動作終了のタイミングになっていないと判定した場合(ステップS18:No)、処理をステップS10へ移行し、動作終了のタイミングになったと判定した場合(ステップS18:Yes)、図8に示す処理を終了する。
【0080】
図9は、実施の形態1にかかる振動判定システムの処理部のハードウェア構成の一例を示す図である。図9に示すように、処理部5は、プロセッサ101と、メモリ102と、インタフェース回路103とを備えるコンピュータを含む。
【0081】
プロセッサ101、メモリ102、およびインタフェース回路103は、例えば、バス104によって互いに情報の送受信が可能である。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、処理部5の機能を実行する。プロセッサ101は、例えば、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
【0082】
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、処理部5は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
【0083】
振動判定システム1は、一体化された1つの装置で構成されてもよく、2つ以上の装置で構成されてもよい。振動判定システム1が2つ以上の装置で構成される場合、2つ以上の装置の各々は、例えば、図9に示すハードウェア構成を有する。なお、2つ以上の装置間の通信は、例えば、不図示のネットワークまたは不図示の専用線を介して行われる。
【0084】
以上のように、実施の形態1にかかる振動判定システム1は、複数の振動センサ2と、振動情報取得部10と、特定振動判定部11とを備える。複数の振動センサ2は、複数の単位レール6のうち互いに異なる単位レール6に配置される。振動情報取得部10は、複数の振動センサ2によって検出される振動の情報を取得する。特定振動判定部11は、振動情報取得部10によって取得された複数の振動センサ2によって検出される振動の情報を比較した結果である比較結果に基づいて、単位レール6間の継ぎ目である継ぎ目8に起因する振動である特定振動を判定する。これにより、振動判定システム1は、継ぎ目8に起因する振動を判定することができる。特に、振動判定システム1は、単位レール6の長さが短い場合であっても、継ぎ目8に起因する振動を判定することができ、振動判定システム1の導入場所の制約条件が緩和されることから、振動判定システム1を容易に導入することができる。
【0085】
また、複数の単位レール6は、鉄道車両の走行方向と直交する方向で互いに対向する一対の単位レール6を含み、複数の振動センサ2は、一対の単位レール6のうち互いに異なる単位レール6に配置される。これにより、振動判定システム1では、例えば、継ぎ目8に起因する振動を判定することができる。
【0086】
また、複数の単位レール6は、継ぎ目8を挟んで対向する前後一対の単位レール6を含み、複数の振動センサ2は、前後一対の単位レール6のうち互いに異なる単位レール6に配置される。これにより、振動判定システム1では、同一の継ぎ目8に起因する振動を複数の振動センサ2で検出できることから、継ぎ目8に起因する振動を精度よく検出することができる。
【0087】
また、複数の振動センサ2の各々は、互いに継ぎ目8から同じ距離離れた位置に配置される。特定振動判定部11は、複数の振動センサ2で同時期に検出される振動を特定振動と判定する。これにより、振動判定システム1は、継ぎ目8に起因する振動の検出を容易に行うことができる。
【0088】
また、複数の振動センサ2の各々は、互いに継ぎ目8から異なる距離離れた位置に配置される。特定振動判定部11は、複数の振動センサ2間の継ぎ目8からの距離D2,D3の差に応じた時間差で複数の振動センサ2で検出される振動を特定振動と判定する。これにより、振動判定システム1は、例えば、複数の振動センサ2を互いに継ぎ目8から異なる距離離れた位置にしか配置できない場合であっても、継ぎ目8に起因する振動を精度よく検出することができる。
【0089】
また、特定振動判定部11は、検出部41と、比較部42と、判定部43とを備える。検出部41は、複数の振動センサ2によって検出される振動の情報を比較して、特定振動の候補である特定振動候補を検出する。比較部42は、検出部41によって検出された特定振動候補の出現パターンと単位レール6のレール長L4と複数の単位レール6を走行する鉄道車両の車輪51の間隔とに基づく特定パターンとを比較する。判定部43は、比較部42による比較結果に基づいて、特定振動を判定する。これにより、振動判定システム1は、継ぎ目8に起因する振動の検出を精度よく行うことができる。
【0090】
また、振動判定システム1は、ノイズキャンセル部12と、フラット判定部13とを備える。ノイズキャンセル部12は、複数の振動センサ2によって検出された振動から特定振動を除去する。フラット判定部13は、ノイズキャンセル部12の出力に基づいて、複数の単位レール6を走行する鉄道車両の車輪51の踏面にフラットが生じているか否かを判定する。これにより、振動センサ2で検出された振動の情報からフラットの発生の検出を精度よく行うことができる。
【0091】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 振動判定システム、2,2,2,2,2,2,2 振動センサ、3,3,3 車輪センサ、5 処理部、6,6,6,6,6 単位レール、7 レール、8,8,8 継ぎ目、10 振動情報取得部、11 特定振動判定部、12 ノイズキャンセル部、13 フラット判定部、14 車輪情報取得部、15 車輪特定部、16 判定結果出力部、41 検出部、42 比較部、43 判定部、50 台車、51 車輪。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9