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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A01D27/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021082713
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175931
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】森園 吉一
(72)【発明者】
【氏名】秋元 賢佑
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉村 達也
(72)【発明者】
【氏名】崎山 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】丸山 義貴
(72)【発明者】
【氏名】岩切 雅也
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-046550(JP,A)
【文献】特開2016-154470(JP,A)
【文献】特開2020-000170(JP,A)
【文献】特開平11-113350(JP,A)
【文献】特開2020-106978(JP,A)
【文献】杉浦 綾,100メートル上空から作物個体の生育を観察,JSTnews,2019年06月,p.5-7,https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstnews/2019/6/2019_5/_pdf/-char/ja
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00-33/14
A01B 69/00-69/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が地中に埋まった本体部と、前記本体部から上側へ延びる葉茎とを有する作物の少なくとも前記本体部の収穫のための作業を行う収穫作業部と、
圃場における収穫前の前記本体部の地面より上側の部分の大きさ及び形状の少なくとも一方を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づいて機体上下方向での前記収穫作業部の位置を制御する高さ制御部と、
前記検知部による検知結果に基づいて前記本体部の地面より下側の部分の大きさ及び形状の少なくとも一方を推定する推定部とを備え
前記収穫作業部は機体の進行に伴って土中を進行するとともに土を崩す土崩し体を有し、
前記高さ制御部は、前記推定部による推定結果に基づいて機体上下方向での前記土崩し体の位置を制御する収穫機。
【請求項2】
前記検知部は、前記形状として前記本体部のうち、地面より上側の部分の曲率半径を検知する請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記圃場において、前進しながら前記作物を収穫する工程である前進収穫工程と、方向転換を行う工程である方向転換工程と、を交互に繰り返すことによって作物収穫作業を行うように構成されており、
前記高さ制御部は、前記作物収穫作業において複数回実行される前記前進収穫工程のうちの1回である検知収穫工程中に得られた前記検知部による検知結果に基づいて、前記検知収穫工程よりも後に実行される前記前進収穫工程において、機体上下方向での前記収穫作業部の位置を制御する請求項1または2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記検知部は、カメラであり、且つ、平面視で左方または右方に向けられている請求項1からの何れか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の収穫のための作業を行う収穫作業部を備える収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような収穫機として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この収穫機(特許文献1では「玉ねぎ収穫機」)は、収穫作業部(特許文献1では「土崩し体」や「引き上げ装置」等)によって、作物(特許文献1では「玉ねぎ」)の収穫のための作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-47024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者が特許文献1に記載の収穫機を使用する際、作業者は、機体上下方向での収穫作業部の位置を調節する必要がある。これにより、収穫機を用いた収穫作業に、比較的多くの労力が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、収穫作業の省力化が可能な収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、一部が地中に埋まった本体部と、前記本体部から上側へ延びる葉茎とを有する作物の少なくとも前記本体部の収穫のための作業を行う収穫作業部と、圃場における収穫前の前記本体部の地面より上側の部分の大きさ及び形状の少なくとも一方を検知する検知部と、前記検知部による検知結果に基づいて機体上下方向での前記収穫作業部の位置を制御する高さ制御部と、前記検知部による検知結果に基づいて前記本体部の地面より下側の部分の大きさ及び形状の少なくとも一方を推定する推定部とを備え、前記収穫作業部は機体の進行に伴って土中を進行するとともに土を崩す土崩し体を有し、前記高さ制御部は、前記推定部による推定結果に基づいて機体上下方向での前記土崩し体の位置を制御することにある。
【0007】
本構成によれば、圃場における収穫前の作物の状態に応じて、機体上下方向での収穫作業部の位置が自動的に制御される。これにより、収穫作業の省力化が可能となる。
【0008】
即ち、本構成によれば、収穫作業の省力化が可能な収穫機を実現できる。
また、本構成によれば、作物のうちの一部の状態を検知部によって検知できない場合であっても、推定部により、その部分の大きさ及び形状の少なくとも一方を推定することができる。そのため、推定部を備えない構成に比べて、機体上下方向での収穫作業部の位置が精度良く制御されやすい。
さらに、本構成によれば、作物のうちの一部が地中に埋まっている場合であっても、推定部により、その部分の大きさ及び形状の少なくとも一方を推定することができる。そのため、本構成によれば、作物のうちの一部が地中に埋まっている場合であっても機体上下方向での収穫作業部の位置が精度良く制御されやすい収穫機を実現できる。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
さらに、本発明において、前記検知部は、前記形状として前記本体部のうち、地面より上側の部分の曲率半径を検知すると好適である。
【0014】
本構成によれば、作物が例えば玉ねぎ等の球体に近いものである場合に、作物のうちの一部の状態を検知部によって検知できなくても、曲率半径に基づいて作物の全体の大きさや形状を精度良く算出することができる。その結果、機体上下方向での収穫作業部の位置が精度良く制御されやすい。
【0015】
さらに、本発明において、前記圃場において、前進しながら前記作物を収穫する工程である前進収穫工程と、方向転換を行う工程である方向転換工程と、を交互に繰り返すことによって作物収穫作業を行うように構成されており、前記高さ制御部は、前記作物収穫作業において複数回実行される前記前進収穫工程のうちの1回である検知収穫工程中に得られた前記検知部による検知結果に基づいて、前記検知収穫工程よりも後に実行される前記前進収穫工程において、機体上下方向での前記収穫作業部の位置を制御すると好適である。
【0016】
検知部が作物の状態を検知する度に機体上下方向での収穫作業部の位置が制御される構成では、収穫作業部が頻繁に上下移動することにより、収穫機の挙動が不安定になる事態が想定される。
【0017】
ここで、本構成によれば、複数回実行される前進収穫工程のうちの1回において得られた検知部による検知結果に基づいて、それよりも後に実行される前進収穫工程における機体上下方向での収穫作業部の位置が制御される。従って、上述のように収穫作業部が頻繁に上下移動する事態が生じにくい。そのため、収穫機の挙動が安定的になりやすい。
【0018】
さらに、本発明において、前記検知部は、カメラであり、且つ、平面視で左方または右方に向けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、カメラにより、作物を横から撮像できる。そのため、作物を真上から撮像する構成に比べて、上下方向での作物の位置を精度良く検知しやすい。これにより、機体上下方向での収穫作業部の位置が精度良く制御されやすい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】玉ねぎ収穫機の全体側面図である。
図2】玉ねぎ収穫機の全体平面図である。
図3】圃場における作物収穫作業を示す説明図である。
図4】玉ねぎと検知部との位置関係を示す図である。
図5】高さ制御部に関する構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1及び図2に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図2及び図4に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図1及び図4に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0022】
〔全体構成〕
図1及び図2に、歩行型の玉ねぎ収穫機(本発明に係る「収穫機」に相当)が示されている。以下ではまず、玉ねぎ収穫機の全体構成について説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、玉ねぎ収穫機は、ミッションケース1及びエンジン2を備えている。エンジン2は、ミッションケース1に支持されている。
【0024】
ミッションケース1から左右それぞれに延出された車軸ケース3及び伝動ケース4に、左右の後輪5が支持されている。ミッションケース1から前方に延出された左右の支持フレーム6のうち、右の支持フレーム6に、前輪7が支持されている。
【0025】
前輪7の車軸は、U字形の軸支部20に回転可能な状態で軸支される。軸支部20に、前輪シャフト21が連結されている。前輪シャフト21は、前輪支持筒22に内嵌され、前輪支持筒22から突出する長さが可変な状態で設けられている。前輪支持筒22は支持フレーム6に支持される。
【0026】
また、図1及び図2に示すように、後方に延出される状態で、操縦ハンドル8が設けられている。作業者は、操縦ハンドル8を把持しながら玉ねぎ収穫機を進行させることにより、圃場における玉ねぎW(本発明に係る「作物」に相当)の掘り取りを行う。
【0027】
図1及び図2に示すように、玉ねぎ収穫機は、玉ねぎWの掘り取りを行う掘り取り部Hを備えている。掘り取り部Hは、葉茎引き上げ装置10(本発明に係る「収穫作業部」に相当)、掻き上げ装置11(本発明に係る「収穫作業部」に相当)、引き上げ装置12(本発明に係る「収穫作業部」に相当)、左右の土崩し体13(本発明に係る「収穫作業部」に相当)を有している。また、玉ねぎ収穫機は、搬送装置14、切断装置15、放出装置16を備えている。
【0028】
エンジン2の動力により、左右の後輪5、葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13、搬送装置14、切断装置15及び放出装置16が駆動される。
【0029】
図2に示すように、圃場に、畝間A1を挟んで複数の畝Aが形成されている。図2及び図3に示すように、一つの畝Aに4条の玉ねぎWが作付けされる。
【0030】
図2に示すように、玉ねぎ収穫機は、前輪7及び後輪5を畝間A1に接地させて畝Aを跨ぐ状態で、進行する。玉ねぎ収穫機は、畝Aの4条の玉ねぎWのうち、機体の進行方向に向かって右の2条の玉ねぎWを収穫する。
【0031】
図2に示すように、玉ねぎ収穫機には、三つの葉茎引き上げ装置10が備えられている。これらの葉茎引き上げ装置10は、互いに隣接する二つの葉茎引き上げ装置10の間に1条の玉ねぎWが位置するように、構成されている。葉茎引き上げ装置10は、機体の進行に伴って、玉ねぎWの葉茎Waを引き上げる。
【0032】
掻き上げ装置11は、葉茎引き上げ装置10によって引き上げられた2条の玉ねぎWの葉茎Waを、中央に集めながら、後方上方に掻き上げる。
【0033】
図1及び図2に示すように、引き上げ装置12は、幅広の一対の引き上げベルト12aを有している。一対の引き上げベルト12aは、互いに対向して接するように配置されている。また、一対の引き上げベルト12aは、後上がりに傾斜した状態で設けられており、回転駆動される。これにより、引き上げ装置12は、畝Aに作付けされた玉ねぎWの葉茎Waを、一対の引き上げベルト12aにより挟持して、玉ねぎWを畝Aから上方に引き上げることができる。
【0034】
図1及び図2に示すように、機体の進行に伴って、左右の土崩し体13は畝Aの土中を進行する。このとき、左右の土崩し体13は、畝Aに作付けされた玉ねぎWの下側を通過しながら土を崩し、玉ねぎWが畝Aから引き上げられ易くなる状態を作り出す。引き上げ装置12は、畝Aに作付けされた玉ねぎWの葉茎Waを挟持して玉ねぎWを畝Aから上方に引き上げる。
【0035】
図1及び図2に示すように、搬送装置14は、幅広の一対の搬送ベルト14aを有している。一対の搬送ベルト14aは、互いに対向して接するように配置されている。また、一対の搬送ベルト14aは、略水平姿勢で設けられており、回転駆動される。これにより、搬送装置14は、玉ねぎWの葉茎Waを一対の搬送ベルト14aにより挟持した状態で、玉ねぎWを後側へ搬送することができる。
【0036】
切断装置15は、回転駆動される円板状のカッターにより構成されている。切断装置15は、搬送装置14の中央部の上方に備えられている。放出装置16は、搬送装置14の後端に備えられている。
【0037】
引き上げ装置12は、畝Aから引き上げた玉ねぎWを搬送し、搬送装置14に受け渡すように構成されている。搬送装置14が玉ねぎWを後側へ搬送することによって、玉ねぎWの葉茎Waが切断装置15の位置に達すると、切断装置15により葉茎Waが切断される。葉茎Waが切断された玉ねぎWが搬送装置14の後端に達すると、放出装置16により玉ねぎWが上下向き姿勢から横向き姿勢に姿勢変更されながら放出されて畝Aに落下する。
【0038】
以上で説明した構成により、畝Aに作付けされた玉ねぎWは、玉ねぎ収穫機によって掘り取られて、畝Aに落とされていく。その後、作業者は、作物回収車によって畝Aの玉ねぎWを回収したり、手作業で畝Aの玉ねぎWを回収したりする。
【0039】
このように、玉ねぎ収穫機は、玉ねぎWの収穫のための作業を行う葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13を備えている。
【0040】
尚、玉ねぎWを掘り取ることは、本発明に係る「収穫」の具体例である。また、畝Aに落とされた玉ねぎWを回収することは、本発明に係る「収穫」の具体例である。尚、本発明はこれに限定されず、玉ねぎWの掘り取りを開始してから回収が完了するまでの一連の作業も、本発明に係る「収穫」の具体例である。
【0041】
ここで、図1に示すように、玉ねぎ収穫機は、調整ハンドル9を備えている。調整ハンドル9の操作により、前輪支持筒22から突出する前輪シャフト21の長さが調整される。これにより、支持フレーム6に対する前輪7の高さが調節される。支持フレーム6に対する前輪7の高さが変化すると、機体の前後方向の姿勢(傾斜)が変化する。
【0042】
そして、機体の前後方向の姿勢(傾斜)が変化すると、図1に矢印で示すように、機体上下方向での掘り取り部Hの位置が変化する。即ち、玉ねぎ収穫機は、調整ハンドル9により、機体上下方向での掘り取り部Hの位置を調節することができるように構成されている。
【0043】
また、玉ねぎ収穫機は、図3に示すように、圃場において、前進収穫工程FWと、方向転換工程Tと、を交互に繰り返すことによって作物収穫作業を行うように構成されている。前進収穫工程FWとは、前進しながら玉ねぎWを収穫する工程である。また、方向転換工程Tとは、方向転換を行う工程である。
【0044】
本実施形態においては、作業者は、玉ねぎWの条方向に沿って、畝Aの一端から他端まで、前進収穫工程FWを行う。その後、作業者は、方向転換工程Tにおいて、玉ねぎ収穫機をUターンさせる。これを繰り返すことにより、作物収穫作業が行われる。
【0045】
このように、玉ねぎ収穫機は、圃場において、前進しながら玉ねぎWを収穫する工程である前進収穫工程FWと、方向転換を行う工程である方向転換工程Tと、を交互に繰り返すことによって作物収穫作業を行うように構成されている。
【0046】
〔検知部について〕
図2に示すように、玉ねぎ収穫機は、検知部40を備えている。検知部40は、三つの葉茎引き上げ装置10のうち最も左に位置する葉茎引き上げ装置10の右側面に取り付けられている。
【0047】
図2及び図4に示すように、検知部40は、カメラである。また、検知部40は、平面視で右方に向けられている。ただし、本発明はこれに限定されず、検知部40は、平面視で左方に向けられていても良い。
【0048】
このように、検知部40は、カメラであり、且つ、平面視で左方または右方に向けられている。
【0049】
検知部40は、畝Aに植え付けられた玉ねぎWを撮像するように構成されている。これにより、検知部40は、圃場における収穫前の玉ねぎWの状態を検知する。
【0050】
即ち、玉ねぎ収穫機は、圃場における収穫前の玉ねぎWの状態を検知する検知部40を備えている。
【0051】
具体的には、検知部40は、玉ねぎWのうち、地面より上側の部分の状態を検知する。より具体的には、検知部40は、玉ねぎWのうち、地面より上側の部分の曲率半径を検知する。
【0052】
詳述すると、図4に示すように、玉ねぎWは、本体部Wmと、本体部Wmから上側へ延びる葉茎Waと、を有している。本体部Wmの一部は、地中に埋まっている。検知部40は、本体部Wmを、左上方から撮像する。これにより、検知部40は、本体部Wmのうち、地面より上側の部分の撮像画像を取得する。
【0053】
そして、検知部40は、取得した撮像画像に基づいて、本体部Wmのうち、地面より上側の部分の曲率半径を算出する。
【0054】
尚、玉ねぎWを撮像することは、玉ねぎWの状態を検知することに相当する。また、玉ねぎWの大きさ、形状、曲率半径は、何れも、玉ねぎWの状態の具体例である。また、検知部40は、玉ねぎWの状態として、玉ねぎWの位置を検知しても良い。
【0055】
〔推定部及び高さ制御部について〕
図5に示すように、玉ねぎ収穫機は、制御部30を備えている。制御部30は、推定部31を有している。
【0056】
推定部31は、検知部40から、検知部40による検知結果を受け取る。尚、検知部40による検知結果は、具体的には、撮像画像であっても良いし、玉ねぎWのうち地面より上側の部分の曲率半径であっても良い。
【0057】
そして、推定部31は、検知部40による検知結果に基づいて、玉ねぎWの大きさ及び形状の少なくとも一方を推定する。より具体的には、推定部31は、玉ねぎWのうち、地面より下側の部分の大きさ及び形状の少なくとも一方を推定する。
【0058】
即ち、玉ねぎ収穫機は、検知部40による検知結果に基づいて玉ねぎWの大きさ及び形状の少なくとも一方を推定する推定部31を備えている。
【0059】
図5に示すように、制御部30は、高さ制御部32を有している。また、玉ねぎ収穫機は、昇降アクチュエータ34を備えている。
【0060】
昇降アクチュエータ34は、前輪支持筒22から突出する前輪シャフト21の長さを変更可能に構成されている。即ち、昇降アクチュエータ34は、機体上下方向での掘り取り部Hの位置を変更可能である。
【0061】
本実施形態において、昇降アクチュエータ34は、電動モータにより構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、昇降アクチュエータ34は、機体上下方向での掘り取り部Hの位置を変更可能であれば、いかなる部材により構成されていても良い。
【0062】
高さ制御部32は、昇降アクチュエータ34を制御可能に構成されている。これにより、高さ制御部32は、機体上下方向での掘り取り部Hの位置を制御可能である。即ち、高さ制御部32は、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13の位置を制御可能である。
【0063】
図5に示すように、推定部31は、推定部31による推定結果を高さ制御部32へ送る。高さ制御部32は、推定部31による推定結果に基づいて機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13の位置を制御する。
【0064】
例えば、高さ制御部32は、推定部31による推定結果に基づいて、左右の土崩し体13の機体上下方向での位置を、本体部Wmの下端よりも所定深さだけ深い位置に制御する。
【0065】
ここで、上述の通り、推定部31は、検知部40による検知結果に基づいて、玉ねぎWの大きさ及び形状の少なくとも一方を推定する。つまり、推定部31による推定結果は、検知部40による検知結果に基づいている。従って、高さ制御部32は、検知部40による検知結果に基づいて、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13の位置を制御する。
【0066】
このように、玉ねぎ収穫機は、検知部40による検知結果に基づいて機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13の位置を制御する高さ制御部32を備えている。
【0067】
本実施形態においては、高さ制御部32は、検知部40が玉ねぎWの状態を検知する度に、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10等の位置を制御する。即ち、検知部40が複数の玉ねぎWの状態を、玉ねぎ収穫機の進行に伴って一つずつ検知していく場合、検知部40が一つの玉ねぎWを検知する度に(言い換えれば、検知範囲に捉えられる玉ねぎWが変わる度に)、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10等の位置が制御されることとなる。
【0068】
尚、制御部30、及び、制御部30に含まれる推定部31等の各要素は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
【0069】
以上で説明した構成であれば、圃場における収穫前の玉ねぎWの状態に応じて、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13の位置が自動的に制御される。これにより、収穫作業の省力化が可能となる。
【0070】
即ち、以上で説明した構成によれば、収穫作業の省力化が可能な玉ねぎ収穫機を実現できる。
【0071】
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施形態では、高さ制御部32は、検知部40が玉ねぎWの状態を検知する度に、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10等の位置を制御する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。高さ制御部32は、作物収穫作業において複数回実行される前進収穫工程FWのうちの1回である検知収穫工程中に得られた検知部40による検知結果に基づいて、検知収穫工程よりも後に実行される前進収穫工程FWにおいて、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13の位置を制御するように構成されていても良い。
【0072】
例えば、図3には、第1工程FW1、第2工程FW2、第3工程FW3、第4工程FW4が示されている。第1工程FW1、第2工程FW2、第3工程FW3、第4工程FW4は、何れも、前進収穫工程FWである。そして、第1工程FW1、第2工程FW2、第3工程FW3、第4工程FW4は、それぞれ、作物収穫作業における1回目、2回目、3回目、4回目の前進収穫工程FWである。
【0073】
このとき、高さ制御部32は、例えば、第1工程FW1中に得られた検知部40による検知結果に基づいて、第2工程FW2、第3工程FW3、第4工程FW4において、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10等の位置を制御するように構成されていても良い。この場合、第1工程FW1が、上述の「検知収穫工程」に相当する。
【0074】
(2)上記実施形態では、葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13のそれぞれが、本発明に係る「収穫作業部」に相当する部材であるとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、掘り取り部H全体が、本発明に係る「収穫作業部」に相当する部材として設けられていても良い。
【0075】
(3)検知部40は、カメラでなくても良い。例えば、検知部40は、レーザー等でも良い。
【0076】
(4)玉ねぎ収穫機は、乗用型であっても良い。
【0077】
(5)検知部40の設けられる位置は、適宜変更可能である。ただし、検知部40は、畝Aに植え付けられた玉ねぎWのうち、畝Aの横幅方向での中央側に位置する玉ねぎWの状態を検知するように設けられていると好適である。これは、畝Aの横幅方向での中央側の部分は、畝Aの外側の部分に比べて崩れにくいためである。
【0078】
(6)上記実施形態において、高さ制御部32は、機体上下方向での掘り取り部Hの位置を制御する。即ち、高さ制御部32による制御によって、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13の位置が一体的に変化する。
【0079】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。高さ制御部32は、葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12、左右の土崩し体13のそれぞれの位置を個別に制御可能に構成されていても良い。例えば、高さ制御部32は、機体上下方向での葉茎引き上げ装置10、掻き上げ装置11、引き上げ装置12の位置を維持したまま、機体上下方向での左右の土崩し体13の位置を変更可能であっても良い。
【0080】
(7)推定部31が設けられていなくても良い。その場合、例えば、高さ制御部32が、検知部40による検知結果を受け取ると共に、当該検知結果に基づいて機体上下方向での葉茎引き上げ装置10等の位置を制御するように構成されていても良い。
【0081】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、玉ねぎ収穫機ばかりではなく、玉ねぎピッカーや、人参や大根等の根菜類の作物を収穫する根菜類収穫機、さらに種々の収穫機に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
10 葉茎引き上げ装置(収穫作業部)
11 掻き上げ装置(収穫作業部)
12 引き上げ装置(収穫作業部)
13 土崩し体(収穫作業部)
31 推定部
32 高さ制御部
40 検知部
FW 前進収穫工程
T 方向転換工程
W 玉ねぎ(作物)
Wa 葉茎
Wm 本体部
図1
図2
図3
図4
図5