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特許7550719モータ駆動制御装置、モータユニット、およびモータ駆動制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】モータ駆動制御装置、モータユニット、およびモータ駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/14 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H02P8/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021089435
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022182101
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】和田 直之
(72)【発明者】
【氏名】菊池 敦
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027746(JP,A)
【文献】特開平10-174496(JP,A)
【文献】特開2015-091215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2相ステッピングモータにおける2相のコイルのうち1相分の前記コイルを励磁する1相励磁と前記2相のコイルのうち2相分の前記コイルを励磁する2相励磁とを交互に繰り返すように、前記2相ステッピングモータの駆動を制御するための制御信号を生成する制御部と、
前記制御信号に基づいて、前記2相のコイルを駆動する駆動部と、を有し、
前記制御部には、一つの相の前記コイルを一方向に連続して通電する電気角の大きさを示す通電角が設定可能にされ、
前記制御部は、前記1相励磁中に非励磁の前記コイルに発生した逆起電圧に基づいて、前記1相励磁を行う期間を決定するとともに、前記2相ステッピングモータが励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と前記通電角とに基づいて、前記2相励磁を行う期間を決定する
モータ駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ駆動制御装置において、
前記制御部は、前記1相励磁の期間において非励磁の前記コイルに発生した逆起電圧のゼロクロス点の検出結果に応じて、前記2相ステッピングモータの励磁状態を前記1相励磁から前記2相励磁に切り替えるように前記制御信号を生成し、
前記制御部は、前記単位角度当たりの経過時間と前記通電角とに基づいて目標通電時間を決定するとともに、前記2相励磁の開始後、前記目標通電時間が経過した場合に、前記2相ステッピングモータの励磁状態を前記2相励磁から前記1相励磁に切り替えるように前記制御信号を生成する
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ駆動制御装置において、
前記制御部は、前記1相励磁の期間を計測し、
前記単位角度当たりの経過時間は、前記1相励磁の期間の計測値を当該1相励磁の期間に対応する電気角の大きさで除算した値である
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のモータ駆動制御装置において、
前記1相励磁の期間の計測値をT1n、前記通電角をθ、前記目標通電時間をT2nとしたとき、前記目標通電時間は、下記式(A)に基づいて算出される
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【数1】
【請求項5】
請求項3または4に記載のモータ駆動制御装置において、
前記制御部は、前記2相励磁の直前に行われた前記1相励磁の期間を計測し、その期間を前記1相励磁の期間の計測値とする
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載のモータ駆動制御装置において、
前記制御部は、前記2相励磁の前に行われた複数の前記1相励磁の期間を夫々計測し、計測した複数の期間の平均値を、前記1相励磁の期間の計測値とする
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載のモータ駆動制御装置において、
前記制御部は、前記逆起電圧のゼロクロス点間の時間を計測し、
前記単位角度当たりの経過時間は、前記ゼロクロス点間の時間の計測値を前記ゼロクロス点間の電気角の大きさで除算した値である
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載のモータ駆動制御装置において、
前記逆起電圧のゼロクロス点間の時間の計測値をTz、計測した前記ゼロクロス点間の電気角の大きさをα、前記通電角をθ、前記目標通電時間をT2nとしたとき、前記制御部は、下記式(B)に基づいて前記目標通電時間を算出する
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【数2】
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のモータ駆動制御装置において、
前記通電角は、90°以上、且つ135°以下の値である
ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のモータ駆動制御装置と、
前記2相ステッピングモータと、を備える
ことを特徴とするモータユニット。
【請求項11】
モータ駆動制御装置によって2相ステッピングモータの駆動を制御するためのモータ駆動制御方法であって、
前記モータ駆動制御装置が、前記2相ステッピングモータにおける2相のコイルのうち1相分の前記コイルを励磁する1相励磁と前記2相のコイルのうち2相分の前記コイルを励磁する2相励磁とを交互に繰り返すように、前記2相ステッピングモータの駆動を制御するための制御信号を生成する第1ステップと、
前記モータ駆動制御装置が、前記制御信号に基づいて、前記2相のコイルを駆動する第2ステップと、を含み、
前記モータ駆動制御装置には、一つの相の前記コイルを一方向に連続して通電する電気角の大きさを示す通電角が設定され、
前記第1ステップは、
前記1相励磁中に非励磁の前記コイルに発生した逆起電圧に基づいて、前記1相励磁を行う期間を決定する第3ステップと、
前記2相ステッピングモータが励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と前記通電角とに基づいて、前記2相励磁を行う期間を決定する第4ステップと、を含む
モータ駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動制御装置、モータユニット、およびモータ駆動制御方法に関し、例えば、ステッピングモータを駆動するためのモータ駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータとして、2つの相を有する2相ステッピングモータが知られている。
2相ステッピングモータの駆動方式としては、1相励磁方式、2相励磁方式、1-2相励磁方式が知られている。
【0003】
1相励磁方式は、一つの相毎に励磁する相を切り替える方式である。1相励磁方式では、一つの相のコイルを一つの方向に連続して通電する電気角の大きさを表す通電角は90度であり、90度毎に2相ステッピングモータが転流する。
【0004】
2相励磁方式は、二つの相毎に励磁する相を切り替える方式である。2相励磁方式では、通電角は180度であり、90度毎に2相ステッピングモータが転流する。
【0005】
1-2相励磁方式は、1相励磁と2相励磁を交互に切り替えて励磁する相を切り替える方式である。1-2相励磁方式では、一般に、通電角は135度であり、45度毎に2相ステッピングモータが転流する。
【0006】
例えば、特許文献1には、2相ステッピングモータを1-2相励磁方式で駆動したときのステッピングモータの回転速度のばらつきを抑えるために、1相励磁期間中に、次の2相励磁期間と同じ相で2相励磁する期間を設けるモータ駆動制御技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-93914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、所定のアプリケーションに採用する2相ステッピングモータの駆動を制御する方法として、1相励磁よりも発生するトルクが大きい1-2相励磁方式により、負荷に応じて2相ステッピングモータの回転速度を変動させる制御方法を検討した。具体的には、この制御方法は、1相励磁の期間に非励磁のコイルの逆起電圧がゼロになる点(ゼロクロス点)を検出して2相ステッピングモータのロータの位置を特定し、特定したロータの位置に基づいて転流タイミングを決定することで、負荷に対して適切なトルクを発生させる閉ループの制御方法である。
【0009】
本発明者らが検討した上記制御方法は、非励磁のコイルに発生する逆起電圧のゼロクロス点を検出する必要があり、逆起電圧のゼロクロス点を検出することができる期間は、1相励磁の期間のみである。しかしながら、一般的な通電角135度の1-2相励磁方式の場合、45度毎に2相ステッピングモータが転流するため、1相励磁方式に比べて1相励磁の期間が短く、逆起電圧のゼロクロス点を検出するために十分な時間を確保できない虞がある。以下、この課題について、図を用いて詳細に説明する。
【0010】
図8は、従来の通電角が135°に固定された1-2相励磁方式による2相ステッピングモータの通電切替制御を説明するための図である。
【0011】
同図において、参照符号801は、A相のコイルの電圧を表し、参照符号802は、A相のコイルの逆起電圧を表している。
【0012】
図8に示すように、1-2相励磁方式では、1相励磁と2相励磁を交互に繰り返して2相ステッピングモータの通電状態を切り替える。例えば、図8において、電気角180°から225°までの期間では、A相のコイルに負の駆動電圧(-V)を印加してA相のコイルを負に励磁させるとともに、B相のコイルに負の駆動電圧(-V)を印加してB相のコイルを負に励磁させる。次の225°から270°までの期間では、引き続きB相のコイルに負の駆動電圧(-V)を印加してB相のコイルを負に励磁させる一方で、A相のコイルの駆動電圧を“0”として、A相のコイルを励磁させない。そして、270°から315°までの期間では、A相のコイルの正の駆動電圧を印加してA相のコイルを正に励磁させ、引き続き、B相のコイルに負の駆動電圧を印加してB相のコイルを負に励磁させる。
【0013】
このように、一般的な従来の1-2相励磁方式では、一つの相のコイルを一つの方向に連続して通電する期間を表す通電角が135°であり、45°毎に1相励磁と2相励磁とが交互に切り替わる。
【0014】
上述したように、1-2相励磁方式において、A相またはB相のコイルの逆起電圧は、コイルに駆動電圧が印加されていない期間でなければ、検出することができない。例えば、図8に示すように、電気角180°から225°までの期間では、A相のコイルに負の駆動電圧が印加されているため、A相の逆起電圧を検出できない。一方、電気角225°から270°までの期間では、A相のコイルに駆動電圧が印加されていないため、A相の逆起電圧を検出することができる。このように、1-2相励磁方式では、1相励磁の期間内のみ、逆起電圧のゼロクロス点を検出することが可能となる。
【0015】
しかしながら、本願発明者らが検討している駆動制御方法に従来の通電角135°で固定された1-2相励磁方式を採用した場合、1相励磁の期間内に逆起電圧のゼロクロス点を検出することはできない虞がある。
【0016】
例えば、図8に示すように、1相励磁が行われる電気角225°から270°までの1相励磁の期間において、2相励磁から1相励磁に切り替わった直後に非励磁のA相のコイルにスパイク状の電圧が発生する。このスパイク状の電圧が安定するまでの時間は、コイルのインダクタンスや負荷の大きさ等に依存する。
【0017】
そのため、コイルのインダクタンスや負荷の大きさ等の条件によっては、図8に示すように、2相励磁から1相励磁に切り替わった後、非励磁のコイルに発生する逆起電圧が安定するまでに時間を要し、1相励磁の期間内に逆起電圧のゼロクロス点を検出できず、安定した通電切替を行うことができない虞がある。
【0018】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、2相ステッピングモータの1-2相励磁方式による安定した通電切替を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御装置は、2相ステッピングモータにおける2相のコイルのうち1相分の前記コイルを励磁する1相励磁と前記2相のコイルのうち2相分の前記コイルを励磁する2相励磁とを交互に繰り返すように、前記2相ステッピングモータの駆動を制御するための制御信号を生成する制御部と、前記制御信号に基づいて、前記2相のコイルを駆動する駆動部と、を有し、前記制御部には、一つの相の前記コイルを一方向に連続して通電する電気角の大きさを示す通電角が設定可能にされ、前記制御部は、前記1相励磁中に非励磁の前記コイルに発生した逆起電圧に基づいて、前記1相励磁を行う期間を決定するとともに、前記2相ステッピングモータが励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と前記通電角とに基づいて、前記2相励磁を行う期間を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るモータ駆動制御装置によれば、2相ステッピングモータの1-2相励磁方式による安定した通電切替を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係るモータユニットの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係るモータの構成を模式的に示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る1-2相励磁方式による2相ステッピングモータの通電切替制御の概要を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態に係るモータ駆動制御装置による2相ステッピングモータの通電切替制御を説明するための図である。
図5】本実施の形態に係る第1の手法による2相励磁の目標通電時間の決定方法を説明するための図である。
図6】本発明の実施の形態に係るモータ駆動制御装置における制御部の機能ブロック構成を示す図である。
図7】本実施の形態に係るモータ駆動制御装置による2相ステッピングモータの通電切替制御の流れの具体例を示すフローチャートである。
図8】従来の通電角が135°に固定された1-2相励磁方式による2相ステッピングモータの通電切替制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0023】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御装置(10)は、2相ステッピングモータ(20)における2相のコイル(21A,21B)のうち1相分の前記コイルを励磁する1相励磁と前記2相のコイルのうち2相分の前記コイルを励磁する2相励磁とを交互に繰り返すように、前記2相ステッピングモータの駆動を制御するための制御信号(Sd)を生成する制御部(11)と、前記制御信号に基づいて、前記2相のコイルを駆動する駆動部(12)とを有し、前記制御部には、一つの相の前記コイルを一方向に連続して通電する電気角の大きさを示す通電角(θ)が設定可能にされ、前記制御部は、前記1相励磁中に非励磁の前記コイルに発生した逆起電圧に基づいて、前記1相励磁を行う期間(T1n)を決定するとともに、前記2相ステッピングモータが励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と前記通電角とに基づいて、前記2相励磁を行う期間(T2n)を決定することを特徴とする。
【0024】
〔2〕上記〔1〕のモータ駆動制御装置において、前記制御部は、前記1相励磁の期間において非励磁の前記コイルに発生した逆起電圧のゼロクロス点の検出結果に応じて、前記2相ステッピングモータの励磁状態を前記1相励磁から前記2相励磁に切り替えるように前記制御信号を生成し、前記制御部は、前記単位角度当たりの経過時間と前記通電角とに基づいて目標通電時間(T2n)を決定するとともに、前記2相励磁の開始後、前記目標通電時間が経過した場合に、前記2相ステッピングモータの励磁状態を前記2相励磁から前記1相励磁に切り替えるように前記制御信号を生成してもよい。
【0025】
〔3〕上記〔2〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記制御部は、前記1相励磁の期間(T1n)を計測し、前記単位角度当たりの経過時間は、前記1相励磁の期間の計測値を当該1相励磁の期間に対応する電気角の大きさで除算した値であってもよい。
【0026】
〔4〕上記〔3〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記1相励磁の期間の計測値をT1n、前記通電角をθ、前記目標通電時間をT2nとしたとき、前記目標通電時間は、後述する式(1)に基づいて算出されてもよい。
【0027】
〔5〕上記〔3〕または〔4〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記制御部は、前記2相励磁の直前に行われた前記1相励磁の期間を計測し、その期間を前記1相励磁の期間の計測値としてもよい。
【0028】
〔6〕上記〔3〕または〔4〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記制御部は、前記2相励磁の前に行われた複数の前記1相励磁の期間を夫々計測し、計測した複数の期間の平均値を、前記1相励磁の期間の計測値としてもよい。
【0029】
〔7〕上記〔2〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記制御部は、前記逆起電圧のゼロクロス点間の時間を計測し、前記単位角度当たりの経過時間は、前記ゼロクロス点間の時間の計測値を前記ゼロクロス点間の電気角の大きさで除算した値であってもよい。
【0030】
〔8〕上記〔7〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記逆起電圧のゼロクロス点間の時間の計測値をTz、計測した前記ゼロクロス点間の電気角の大きさをα、前記通電角θ、前記目標通電時間をT2nとしたとき、前記制御部は、後述する式(3)に基づいて前記目標通電時間を算出してもよい。
【0031】
〔9〕上記〔1〕乃至〔8〕の何れかに記載のモータ駆動制御装置において、前記通電角は、90°以上、且つ135°以下の値であってもよい。
【0032】
〔10〕本発明の代表的な実施の形態に係るモータユニット(1)は、上記〔1〕乃至〔9〕の何れかに記載のモータ駆動制御装置(10)と、前記2相ステッピングモータ(20)と、を備えることを特徴とする。
【0033】
〔11〕本発明の代表的な実施の形態に係る方法は、モータ駆動制御装置(10)によって2相ステッピングモータ(20)の駆動を制御するためのモータ駆動制御方法である。本方法は、前記モータ駆動制御装置が、前記2相ステッピングモータにおける2相のコイル(21A,21B)のうち1相分の前記コイルを励磁する1相励磁と前記2相のコイルのうち2相分の前記コイルを励磁する2相励磁とを交互に繰り返すように、前記2相ステッピングモータの駆動を制御するための制御信号を生成する第1ステップ(S2,S4~S7,S9~S12)と、前記モータ駆動制御装置が、前記制御信号に基づいて、前記2相のコイルを駆動する第2ステップ(S3,S8)と、を含み、前記モータ駆動制御装置には、一つの相の前記コイルを一方向に連続して通電する電気角の大きさを示す通電角(θ)が設定され、前記第1ステップは、前記1相励磁中に非励磁の前記コイルに発生した逆起電圧に基づいて、前記1相励磁を行う期間を決定する第3ステップ(S4~S7)と、前記2相ステッピングモータが励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と前記通電角とに基づいて、前記2相励磁を行う期間を決定する第4ステップ(S9~S12)と、を含むことを特徴とする。
【0034】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0035】
図1は、本発明の実施の形態に係るモータユニットの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、モータユニット1は、2相ステッピングモータ20と、2相ステッピングモータ20を駆動するモータ駆動制御装置10とを備えている。モータユニット1は、例えば、車載用途の空調ユニットとしてのHVAC(Heating Ventilation and Air-Conditioning)で使用可能なアクチュエータ等のモータを動力源として用いる各種装置に適用可能である。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態に係る2相ステッピングモータ20の構成を模式的に示す図である。
【0037】
2相ステッピングモータ20は、例えば、2相のコイルを有するステッピングモータである。図2に示されるように、2相ステッピングモータ20は、A相のコイル21Aと、B相のコイル21Bと、ロータ22と、2相のステータヨーク(図示せず)とを有している。
【0038】
コイル21A,21Bは、それぞれ、ステータヨーク(不図示)を励磁するコイルである。コイル21A,21Bは、それぞれ、後述する駆動部12に接続されている。コイル21A,21Bには、それぞれ異なる位相の電流(コイル電流)が流される。
【0039】
なお、本実施の形態において、コイル21A,21Bをそれぞれ区別しない場合には、単に、「コイル21」と表記する場合がある。
【0040】
ロータ22は、円周方向に沿って、S極22SとN極22Nとが交互に反転するように、多極着磁された永久磁石を備えている。なお、図2では、ロータ22が2極である場合が一例として示されている。
【0041】
ステータヨークは、ロータ22の周囲に、ロータ22の外周部に近接して配置されている。ロータ22は、コイル21A,21Bのそれぞれに流れるコイル電流の位相が周期的に切り替えられることにより、回転する。ロータ22には、出力軸(図示せず)が接続されており、ロータ22の回転力により、出力軸が駆動される。
【0042】
モータ駆動制御装置10は、2相ステッピングモータ20を駆動させるための装置である。モータ駆動制御装置10は、例えば上位装置(図示せず)からの駆動指令に基づいて、2相ステッピングモータ20の各相のコイル21A,21Bの通電状態を制御することにより、2相ステッピングモータ20の回転および停止を制御する。
【0043】
図1に示すように、モータ駆動制御装置10は、制御部11と駆動部12を有している。
駆動部12は、2相ステッピングモータ20のコイル21A,21Bに通電して、2相ステッピングモータ20を駆動する機能部である。駆動部12は、モータ駆動部121を有している。
【0044】
モータ駆動部121は、制御部11によって生成された制御信号Sdに基づいて、2相ステッピングモータ20に駆動電力を供給する。図2に示すように、モータ駆動部121は、コイル21Aの正極側の端子AP、コイル21Aの負極側の端子AN、コイル21Bの正極側の端子BP、およびコイル21Bの負極側の端子BNにそれぞれ接続されており、各端子AP,AN,BP,BNに電圧を印加することにより、コイル21A,21Bを通電させる。
【0045】
モータ駆動部121は、例えば、4つのスイッチング素子(例えばトランジスタ)から構成されたHブリッジ回路等によって構成されている。モータ駆動部121は、例えば、Hブリッジ回路を構成する各スイッチング素子を選択的にオン・オフさせることにより、コイル21A,21Bの通電を切り替える。
【0046】
図2に示すように、A相のコイル21Aに電流+Iaを流す場合には、モータ駆動部121は、例えば、コイル21Aの端子ANに対して端子APに“+Va”の電圧を印加する。一方、A相のコイル21Aに電流-Iaを流す場合には、モータ駆動部121は、コイル21Aの端子ANに対して端子APに“-Va”の電圧を印加する。B相のコイル21Bについても同様に、電流+Ibを流す場合には、モータ駆動部121は、例えば、コイル21Bの端子BNに対して端子BPに“+Vb”の電圧を印加し、B相のコイル21Bに電流-Ibを流す場合には、モータ駆動部121は、コイル21Bの端子BNに対して端子BPに“-Vb”の電圧を印加する。
【0047】
モータ駆動部121は、制御部11からの制御信号Sdに基づいて、上述したように各コイル21A,21Bの端子間に印加する電圧を切り替えることにより、各コイル21A,21Bの通電状態を切り替える。
【0048】
制御部11は、モータ駆動制御装置10の統括的な制御を行う機能部である。制御部11は、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM,ROM等の各種記憶装置と、タイマ(カウンタ)、A/D変換回路、D/A変換回路、および入出力I/F回路等の周辺回路とがバスを介して互いに接続された構成を有するプログラム処理装置(例えば、マイクロコントローラ)である。本実施の形態において、制御部11は、IC(集積回路)としてパッケージ化されているが、これに限られるものではない。
【0049】
制御部11は、2相ステッピングモータ20の駆動を制御するための制御信号Sdを生成して、駆動部12を介して2相ステッピングモータ20の駆動を制御する。具体的には、制御部11は、2相ステッピングモータ20における2相のコイル21A,21Bのうち1相分のコイル21を励磁する1相励磁と、2相分のコイル21を励磁する2相励磁とを交互に繰り返すように、2相ステッピングモータ20の駆動を制御するための制御信号Sdを生成する。すなわち、制御部11は、1-2相励磁方式によって2相ステッピングモータ20のコイル21A,21Bの通電切替制御を行う。
【0050】
本実施の形態に係る1-2相励磁方式による通電切替制御では、一つの相のコイルを一つの方向に連続して通電する電気角の大きさを示す通電角θが固定ではなく、所望の値に設定することが可能となっている。以下、詳細に説明する。
【0051】
図3は、本発明の実施の形態に係る1-2相励磁方式による2相ステッピングモータの通電切替制御の概要を説明するための図である。
【0052】
図3において、横軸は電気角を表している。同図の上段には通電角θ=120°としたときのA相のコイル21AおよびB相のコイル21Bの励磁状態がそれぞれ示され、同図の下段には通電角θ=135°としたときのA相のコイル21AおよびB相のコイル21Bの励磁状態がそれぞれ示されている。なお、図中の符号AP,AN,BP,BNで示された期間は、それらの符号に該当する各端子(例えば、A相のコイル21Aの正極側の端子AP)に電圧が印加された状態であることを示している。
【0053】
図3の下段に示すように、従来の1-2相励磁方式と同様に通電角θを135°に設定した場合、1相励磁の期間および2相励磁の期間の電気角はそれぞれ45°となり、電気角45°の1相励磁の期間内に逆起電圧のゼロクロス点を検出する必要がある。
【0054】
一方、図3の上段に示すように、通電角θを120°に設定した場合、1相励磁の期間の電気角は60°、2相励磁の期間の電気角は30°となる。すなわち、通電角θを120°に設定した場合、通電角θを135°に設定した場合に比べて1相励磁の期間が電気角15°分だけ長くなり、逆起電圧のゼロクロス点を検出し易くなる。
【0055】
そこで、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10は、1相励磁の期間内に逆起電圧のゼロクロス点を検出できるように、通電角θを90°から135°の範囲(90°≦θ≦135°)における任意の値に設定することが可能に構成されている。モータ駆動制御装置10は、設定された通電角θの値に基づいて、1-2相励磁方式による2相ステッピングモータ20の通電切替制御を行う。
【0056】
図4は、本発明の実施の形態に係るモータ駆動制御装置10による、2相ステッピングモータの通電切替制御を説明するための図である。
【0057】
同図において、参照符号401は、A相のコイル21Aの端子ANに対する端子APの電圧(以下、「A相電圧」とも称する。)を表し、参照符号402は、A相のコイル21Aの逆起電圧を表している。同図には、通電角θ=120°に設定して1-2相励磁方式で2相ステッピングモータ20の通電切替制御を行ったときのA相のコイル21Aの電圧波形が示されている。
【0058】
図4に示すように、制御部11は、1相励磁と2相励磁とを交互に繰り返すように、2相ステッピングモータ20の通電状態を切り替える。例えば、図4において、180°から210°までの2相励磁の期間(電気角30°)では、A相電圧を“-Va”としてA相のコイル21Aを負(-)に励磁させるとともに、B相電圧を“-Vb”としてB相のコイル21Bを負に励磁させる。次の210°から270°までの2相励磁の期間(電気角60°)では、A相電圧を“0”としてA相のコイル21Aを励磁させない一方で、引き続き、B相電圧を“-Vb”としてB相のコイル21Bを負に励磁させる。次の270°から300°までの2相励磁の期間(電気角30°)では、A相電圧を“+Va”としてA相のコイル21Aを正(+)に励磁させるとともに、引き続き、B相電圧を“-Vb”としてB相のコイル21Bを負に励磁させる。
【0059】
ここで、2相ステッピングモータ20の1相励磁が行われる期間と2相励磁が行われる期間は、A相のコイル21AまたはB相のコイル21Bに発生した逆起電圧と設定された通電角θの値に基づいて決定される。すなわち、モータユニット1において、2相ステッピングモータ20の1相励磁の期間と2相励磁の期間は、固定期間ではなく、可変期間となる。
【0060】
先ず、2相ステッピングモータ20の1相励磁の期間は、以下のように決定される。
2相ステッピングモータ20の1相励磁の期間は、一方のコイル21が励磁されているときに他方の非励磁のコイル21に発生した逆起電圧に基づいて、決定される。
【0061】
具体的には、制御部11は、1相励磁の期間おいて、非励磁のコイル21に発生した逆起電圧のゼロクロス点の検出結果に応じて、2相ステッピングモータ20の励磁状態を1相励磁から2相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。
【0062】
例えば、図4に示すように、1相励磁の電気角210°から270°までの期間において、非励磁のA相のコイル21Aには、正方向のスパイク状の電圧が発生した後、2相ステッピングモータ20のロータの回転に同期した逆起電圧が発生する。その後、制御部11は、時刻taにおいてA相のコイル21Aの逆起電圧が0Vになる点(ゼロクロス点)を検出したとき、1相励磁から2相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。
【0063】
次に、2相ステッピングモータ20の2相励磁の期間は、以下のように決定される。
上述したように、2相ステッピングモータ20の1相励磁が行われる期間では、非励磁のコイル21に逆起電圧が発生する。一方、2相ステッピングモータ20の2相励磁が行われる期間(例えば、図3の電気角180°~210°および270°~300°の期間等)では、A相のコイル21AとB相のコイル21Bがともに励磁されているので、A相のコイル21A,B相のコイル21Bのいずれの逆起電圧も測定することはできない。そのため、2相励磁から1相励磁に切り替えるタイミングは、1相励磁から2相励磁への切り替えの時のように、コイル21の逆起電圧に基づいて決定することはできない。
【0064】
そこで、制御部11は、2相ステッピングモータ20が励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と予め設定された通電角θとに基づいて、2相励磁を行う期間を決定する。
【0065】
具体的には、制御部11は、2相ステッピングモータ20が励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と通電角θとに基づいて、2相励磁を行う期間、すなわち2相励磁の目標通電時間T2nを決定する。2相励磁の目標通電時間T2nは、例えば、以下に示す第1の手法または第2の手法によって決定することができる。
【0066】
第1の手法は、1相励磁の期間を計測し、計測した期間を用いて目標通電時間T2nを算出する手法である。
【0067】
図5は、本実施の形態に係る第1の手法による2相励磁の目標通電時間の決定方法を説明するための図である。
【0068】
図5において、横軸は時間および電気角を表している。また、同図の上段にはA相の通電状態が示され、同図の下段にはB相の通電状態が示されている。図5において、T1nはn(nは1以上の整数)番目の1相励磁の期間を表し、T1n-1は(n-1)番目の1相励磁の期間を表し、T2nはn番目の2相励磁の期間を表し、T2n-1は(n-1)番目の2相励磁の期間を表している。
【0069】
図5において、通電角をθとしたとき、1相励磁の期間T1n-1,T1nに対応する電気角の大きさは、それぞれ、(180°-θ)と表せる。また、2相励磁の期間T2n-1,T2nに対応する電気角の大きさは、それぞれ、(θ-90°)と表せる。
【0070】
図5に示すように、制御部11は、先ず、1相励磁の期間T1nを計測する。次に、制御部11は、1相励磁の期間T1nの計測値と当該1相励磁の期間T1nに対応する電気角の大きさ(180°-θ)とに基づいて単位角度当たりの経過時間を算出し、算出した経過時間と設定された通電角θに基づいて、次の2相励磁の目標通電時間T2nを算出する。
【0071】
例えば、制御部11は、下記式(1)に基づいて目標通電時間T2nを算出する。
【0072】
【数1】
【0073】
上記式(1)において、“T1n/(180°-θ)”は、2相ステッピングモータ20が1相励磁されているときの単位角度当たりの経過時間、すなわち、1相励磁の期間T1nにおいて電気角が単位角度(1°)だけ進むために必要な時間を表している。また、(θ-90°)は、2相励磁の期間に対応する電気角である。
【0074】
例えば、通電角θが120°であるとき、式(1)は下記式(2)で書き表すことができる。
【0075】
【数2】
【0076】
式(2)から理解されるように、目標通電時間(2相励磁の期間)T2nは、電気角30°分だけ通電させるために必要な時間である。
【0077】
なお、制御部11は、上記式(1)に基づいて2相励磁の目標通電時間T2nを算出する際に、当該2相励磁の直前に行われた1相励磁の期間を計測し、その期間を1相励磁の期間T1nの計測値として用いても良い。あるいは、当該2相励磁の前に行われた複数の1相励磁の期間を夫々計測し、計測した複数の期間の平均値を、1相励磁の期間T1nの計測値として用いてもよい。
【0078】
ここで、複数の1相励磁の期間の平均値は、単純平均値であってもよいし、2相励磁の前に行われた複数の1相励磁の期間に重み付けをして平均値を算出し、その平均値に基づいて目標通電時間T2nを設定してもよい。例えば、目標通電時間T2nの算出目的の2相励磁に時間的に近いものほど比重が大きくなるように、各1相励磁の期間に重み付けをして平均値を算出してもよい。
【0079】
第2の手法は、逆起電圧のゼロクロス点間の時間を計測し、計測した時間を用いて2相励磁の目標通電時間T2nを算出する手法である。
【0080】
制御部11は、先ず、コイル21の逆起電圧のゼロクロス点間の時間を計測する。制御部11は、逆起電圧のゼロクロス点間の時間の計測値と当該ゼロクロス点間に対応する電気角の大きさとに基づいて、単位角度当たりの経過時間を算出し、算出した経過時間と設定された通電角θに基づいて、2相励磁の目標通電時間T2nを算出する。
【0081】
例えば、逆起電圧のゼロクロス点間の時間の計測値をT0n、計測したゼロクロス点間に対応する電気角をα、通電角をθ、2相励磁の目標通電時間をT2nとしたとき、制御部11は、下記式(3)に基づいて、2相励磁の目標通電時間T2nを算出する。
【0082】
【数3】
【0083】
上記式(3)において、T0n/αは、2相ステッピングモータ20が励磁されているときの単位角度当たりの経過時間を表している。また、(θ-90°)は、2相励磁の期間に対応する電気角を表している。
【0084】
例えば、2極の2相ステッピングモータ20の場合、A相のコイル21Aの逆起電圧のゼロクロス点とB相のコイル21Bの逆起電圧のゼロクロス点との間の電気角αは90°である。ここで、通電角θを120°としたとき、式(3)は下記式(4)で書き表すことができる。
【0085】
【数4】
【0086】
式(4)から理解されるように、目標通電時間(2相励磁の期間)T2nは、電気角30°分だけ通電させるために必要な時間である。
【0087】
制御部11は、上述した第1の手法または第2の手法に基づいて、2相励磁の目標通電時間T2nを決定する。そして、制御部11は、2相励磁の開始後、目標通電時間T2nが経過した場合に、2相ステッピングモータ20の励磁状態を2相励磁から1相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。
【0088】
例えば、図4に示すように、2相励磁が行われる電気角270°から300°までの期間では、A相のコイル21AとB相のコイル21Bはともに励磁されているので、逆起電圧の測定はできない。そこで、制御部11は、時刻ta(電気角270°)において2相励磁を開始してから、電気角30°分の目標通電時間T2nが経過した時刻tb(電気角300°)において、2相励磁から1相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。
【0089】
以下の説明では、一例として、制御部11が、第1の手法によって2相励磁の目標通電時間T2nを決定する場合について説明する。
【0090】
図6は、本発明の実施の形態に係るモータ駆動制御装置における制御部11の機能ブロック構成を示す図である。
【0091】
図6に示すように、制御部11は、上述した2相ステッピングモータ20のコイル21A,21Bの通電切替制御を実現するための機能部として、逆起電圧監視部111、ゼロクロス点検出部112、1相励磁期間計時部113、2相励磁期間算出部114、2相励磁期間計時部115、記憶部116、および制御信号生成部117を有している。
【0092】
これらの機能部は、例えば、上述した制御部11としてのプログラム処理装置(マイクロコントローラ)において、プロセッサが記憶装置に記憶されたプログラムに従って各種演算を実行し、A/D変換回路やタイマ等の周辺回路を制御することによって、実現される。
【0093】
逆起電圧監視部111は、各相のコイル21A,21Bに発生する逆起電圧を監視する機能部である。
【0094】
ゼロクロス点検出部112は、逆起電圧監視部111の監視結果に基づいて、2相ステッピングモータ20のコイル21A,21Bに発生する逆起電圧のゼロクロス点を検出するための機能部である。ゼロクロス点検出部112は、非励磁のコイル21の逆起電圧のゼロクロス点を検出した場合に、ゼロクロス点が検出されたことを示す検出信号Szを出力する。
【0095】
1相励磁期間計時部113は、2相ステッピングモータ20の1相励磁の期間を計測するための機能部である。1相励磁期間計時部113は、例えば、上述したマイクロコントローラを構成するタイマ(カウンタ)等によって実現することができる。
【0096】
1相励磁期間計時部113は、2相ステッピングモータ20の励磁状態が2相励磁から1相励磁へ切り替わったことに応じて、計時を開始する。例えば、1相励磁期間計時部113は、後述する2相励磁期間計時部115から出力される2相励磁の期間の終了を通知する信号に応じて、1相励磁の期間T1nの計測を開始する。
【0097】
1相励磁期間計時部113は、逆起電圧のゼロクロス点が検出された場合に、計時を停止する。例えば、1相励磁期間計時部113は、ゼロクロス点検出部112から出力されるゼロクロス点が検出されたことを示す検出信号Szに応じて、1相励磁の期間T1nの計測を停止し、1相励磁の期間T1nの計測値を記憶部116に記憶するとともに、2相励磁期間算出部114に対して1相励磁の期間の終了を示す通知信号を出力する。
【0098】
ここで、記憶部116には、1相励磁期間計時部113によって計測された、複数の1相励磁の期間の情報が記憶されてもよいし、最新の1相励磁の期間の情報のみが記憶されてもよい。
【0099】
記憶部116は、2相励磁の通電切替制御を行うために必要な各種データを記憶するための機能部である。記憶部116には、2相励磁の目標通電時間T2nを算出するためのデータが記憶される。例えば、上述した1相励磁期間計時部113によって計測された1相励磁の期間T1nの計測値と、通電角θと、上記式(1)の情報とが記憶部116に記憶される。
【0100】
2相励磁期間算出部114は、2相ステッピングモータ20の2相励磁の目標通電時間T2nを算出するための機能部である。2相励磁期間算出部114は、2相ステッピングモータ20の励磁状態が1相励磁から2相励磁へ切り替わったことに応じて、2相励磁の目標通電時間T2nを算出する。
【0101】
2相励磁期間算出部114は、1相励磁期間計時部113から出力された1相励磁の期間の終了を示す信号に応じて、記憶部116から2相励磁の目標通電時間T2nを算出するために必要なデータを読み出し、目標通電時間T2nを算出する。例えば、2相励磁期間算出部114は、記憶部116から、通電角θの値と、1相励磁の期間の計測値(T1n)と、上記式(1)の情報とを読み出し、上記式(1)に基づく計算を行って目標通電時間T2nを算出して記憶部116に記憶する。
【0102】
2相励磁期間算出部114は、目標通電時間T2nの算出後、2相励磁期間計時部115に対して2相励磁の期間の計測の開始を指示する。
【0103】
2相励磁期間計時部115は、2相ステッピングモータ20の2相励磁の期間を計測するための機能部である。2相励磁期間計時部115は、例えば、上述したマイクロコントローラを構成するタイマ(カウンタ)等によって実現することができる。
【0104】
2相励磁期間計時部115は、2相励磁期間算出部114からの計測開始を指示に応じて、2相励磁の期間の計測を開始する。例えば、2相励磁期間計時部115は、2相励磁期間算出部114からの計測開始を指示に応じて、記憶部116から目標通電時間T2nを読み出して自らのタイマにセットして計測を開始し、計測時間が目標通電時間T2nに到達した場合に2相励磁の終了を示す信号を出力する。
【0105】
なお、2相励磁の目標通電時間T2nの決定手法として前述した第1の手法を用いる場合、1相励磁期間計時部113が備えるタイマと2相励磁期間計時部115が備えるタイマが同時に用いられることはない。したがって、この場合には、タイマを一つだけ設け、1相励磁期間計時部113と2相励磁期間計時部115とがその一つのタイマを共用するようにしてもよい。
【0106】
一方、2相励磁の目標通電時間T2nの決定手法として前述した第2の手法を用いる場合、1相励磁期間計時部113が備えるタイマが逆起電圧のゼロクロス点間の時間の計測を行い、2相励磁期間計時部115が備えるタイマが2相励磁の期間の計測を行う。そのため、1相励磁期間計時部113と2相励磁期間計時部115のそれぞれのタイマが同時に用いられる期間が発生する。したがって、この場合には、1相励磁期間計時部113と2相励磁期間計時部115が一つのタイマを共用することができないため、1相励磁期間計時部113と2相励磁期間計時部115は、それぞれタイマを備えている必要がある。
【0107】
制御信号生成部117は、2相ステッピングモータ20の駆動を制御するための制御信号Sdを生成する機能部である。制御信号生成部117は、例えば、上述したマイクロコントローラを構成するプロセッサによるプログラム処理と入出力I/F回路等の周辺回路によって実現することができる。
【0108】
制御信号生成部117は、制御信号Sdにより、2相ステッピングモータ20の1相励磁と2相励磁の切り替えを指示する。
【0109】
制御信号生成部117は、1相励磁中に、ゼロクロス点検出部112による逆起電圧のゼロクロス点の検出結果に応じて、2相ステッピングモータ20の励磁状態を1相励磁から2相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。例えば、制御信号生成部117は、ゼロクロス点検出部112の検出信号Szに応じて、2相ステッピングモータ20の励磁状態を1相励磁から2相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。
【0110】
なお、制御信号生成部117は、ゼロクロス点検出部112の検出信号Szではなく、1相励磁期間計時部113から出力された1相励磁の終了を示す信号に応じて、2相ステッピングモータ20の励磁状態を1相励磁から2相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成してもよい。
【0111】
また、制御信号生成部117は、2相励磁中に、2相励磁期間計時部115による計測時間が目標通電時間T2nに到達した場合に、2相ステッピングモータ20の励磁状態を2相励磁から1相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。例えば、制御信号生成部117は、2相励磁期間計時部115から出力された2相励磁の終了を示す信号に応じて、2相ステッピングモータ20の励磁状態を2相励磁から1相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。
【0112】
駆動部12(モータ駆動部121)は、制御信号生成部117から出力された制御信号Sdに基づいて、上述した手法により、2相ステッピングモータ20の通電切替を行う。
【0113】
図7は、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10による2相ステッピングモータ20の通電切替制御の流れの具体例を示すフローチャートである。
【0114】
モータ駆動制御装置10は、例えば、電源投入後、外部の上位装置から2相ステッピングモータ20の駆動指令が入力されているか否かを判定する(ステップS1)。駆動指令が入力されていない場合(ステップS1:NO)には、駆動指令が入力されるまで、モータ駆動制御装置10は待機する。
【0115】
一方、駆動指令が入力されている場合(ステップS1:YES)には、モータ駆動制御装置10は、2相ステッピングモータ20の駆動を開始する。先ず、モータ駆動制御装置10は、2相ステッピングモータ20の次に移行すべき励磁状態が1相励磁であるか否かを判定する(ステップS2)。ここでは、一例として、電源投入後、最初にA相の1相励磁を行う場合について説明する。
【0116】
ステップS2において、次に移行すべき励磁状態がA相の1相励磁である(ステップS2:YES)ので、モータ駆動制御装置10は、2相ステッピングモータ20を1相励磁によって駆動する(ステップS3)。例えば、制御信号生成部117が、2相ステッピングモータ20のA相のコイル21AにA相電圧“+Va”を印加し、B相のコイル21BのB相電圧は“0”となるように制御信号Sdを生成し、駆動部12に与える。
【0117】
また、モータ駆動制御装置10は、1相励磁が行われている期間の計時を開始する(ステップS4)。具体的には、1相励磁期間計時部113が、1相励磁の期間T1nの計測を開始する。
【0118】
次に、モータ駆動制御装置10は、2相ステッピングモータ20の非励磁のコイル21の逆起電圧を監視する(ステップS5)。
【0119】
次に、モータ駆動制御装置10は、非励磁のコイル21の逆起電圧のゼロクロス点が検出されたか否かを判定する(ステップS6)。例えば、ゼロクロス点検出部112が、逆起電圧監視部111の監視結果に基づいて、非励磁のコイル21の逆起電圧のゼロクロス点の発生の有無を判定する。
【0120】
なお、ステップS3~S5の各処理は、上述した順序で行われる場合に限られず、同時に行われてもよい。
【0121】
逆起電圧のゼロクロス点が検出されていない場合(ステップS6:NO)、ゼロクロス点検出部112は、引き続き、逆起電圧のゼロクロス点の発生を監視する。逆起電圧のゼロクロス点が検出された場合(ステップS6:YES)、モータ駆動制御装置10は、1相励磁の期間T1nの計測を停止する(ステップS7)。具体的には、ゼロクロス点検出部112が、逆起電圧のゼロクロス点が検出されたことを示す検出信号Szを出力し、1相励磁期間計時部113が、検出信号Szに応じて1相励磁の期間T1nの計時を停止するとともに、1相励磁の期間T1nの計測値を記憶部116に記憶し、1相励磁が終了したことを示す信号を出力する。
【0122】
次に、モータ駆動制御装置10は、再びステップS2に戻り、次に移行すべき励磁状態が1相励磁であるか否かを判定する(ステップS2)。
ここでは、直前の励磁状態が1相励磁であったため、モータ駆動制御装置10は、次に移行すべき励磁状態が2相励磁であると判定し(ステップS2:NO)、2相ステッピングモータ20の励磁状態を1相励磁から2相励磁に切り替える(ステップS8)。例えば、制御信号生成部117が、ゼロクロス点検出部112から出力された検出信号Szに応じて、A相のコイル21AにA相電圧“+Va”を、B相のコイル21BにB相電圧“+Vb”を印加するように制御信号Sdを生成し、駆動部12に与える。
【0123】
次に、モータ駆動制御装置10は、2相励磁の目標通電時間T2nを算出する(ステップS9)。具体的には、上述したように、2相励磁期間計時部115が、1相励磁期間計時部113から出力された1相励磁の期間T1nの終了を示す通知信号に応じて、記憶部116から、通電角θの値と、1相励磁の期間の計測値(T1n)と、上記式(1)の情報とを読み出し、上記式(1)に基づいて目標通電時間T2nを算出して記憶部116に記憶する。
【0124】
次に、モータ駆動制御装置10は、ステップS9で算出した目標通電時間T2nに基づいて、2相励磁の期間の計測を行う(ステップS10)。例えば、2相励磁期間計時部115が、2相励磁期間算出部114からの計測開始の指示に応じて、記憶部116から目標通電時間T2nを読み出して自らのタイマにセットし、計時を開始する。
【0125】
なお、ステップS8~S10の各処理は、上述した順序で行われる場合に限られず、同時に行われてもよい。
【0126】
次に、モータ駆動制御装置10は、2相励磁を開始してから目標通電時間T2nが経過したか否かを判定する(ステップS11)。目標通電時間T2nが経過していない場合(ステップS11:NO)には、モータ駆動制御装置10は、2相励磁の期間の計測を継続する。
【0127】
一方、目標通電時間T2nが経過した場合(ステップS11:YES)には、モータ駆動制御装置10は、2相励磁の期間の計測を停止する(ステップS12)。具体的には、2相励磁期間計時部115が、計測時間が目標通電時間T2nに到達したことを検出した場合に、2相励磁の期間の計時を停止するとともに2相励磁が終了したことを示す信号を出力する。
【0128】
その後、モータ駆動制御装置10は、ステップS2に戻り、上記装置等から2相ステッピングモータ20の停止指令が入力されるまで、上述したステップS2~S12の処理を繰り返し実行することにより、1相励磁と2相励磁を交互に切り替えて、2相ステッピングモータ20を駆動する。
【0129】
以上、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10は、2相ステッピングモータ20の一つの相のコイル21を一方向に連続して通電する電気角の大きさを示す通電角θが設定可能にされている。モータ駆動制御装置10は、2相ステッピングモータ20を1-2相励磁方式で通電制御するとき、1相励磁中に非励磁のコイル21に発生した逆起電圧に基づいて、1相励磁を行う期間を決定し、2相ステッピングモータ20が励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と、設定された通電角θとに基づいて、2相励磁を行う期間を決定する。
【0130】
従来の1-2相励磁方式の場合、通電角θは135°に固定され、1相励磁および2相励磁の夫々の期間に相当する電気角の大きさは45°である。これに対し、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10は、通電角θを例えば、90°≦θ135°の範囲における所望の値に設定することが可能となっている。
【0131】
これによれば、1相励磁の期間内に逆起電圧のゼロクロス点を検出できるように、2相ステッピングモータ20のコイル21のインダクタンスや負荷の大きさ等に応じて適切な通電角θを選択することが可能となる。例えば、上述したように通電角θ=120°に設定することにより、1相励磁の期間に相当する電気角が60°になるので、従来のように通電角θを135°に固定した場合に比べて、1相励磁の期間を電気角15°(=60°―45°)分だけ長くすることができ、逆起電圧のゼロクロス点の検出がより容易となる。
【0132】
したがって、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10によれば、2相ステッピングモータ20の1-2相励磁方式による安定した通電切替を実現することが可能となる。
【0133】
また、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置10において、制御部11は、1相励磁の期間において非励磁のコイル21に発生した逆起電圧のゼロクロス点の検出結果に応じて、2相ステッピングモータ20の励磁状態を1相励磁から2相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成し、単位角度当たりの経過時間と通電角θとに基づいて目標通電時間T2nを決定するとともに、2相励磁の開始後、目標通電時間T2nが経過した場合に、2相ステッピングモータ20の励磁状態を2相励磁から1相励磁に切り替えるように制御信号Sdを生成する。
【0134】
これによれば、1相励磁の期間において、2相ステッピングモータ20の負荷の変動に対して追従するように2相ステッピングモータ20を駆動することができる。また、2相励磁の期間は、2相ステッピングモータ20が励磁されているときの単位角度当たりの経過時間と通電角θに基づいて決定されるので、2相励磁の期間においても、負荷の変動に対して追従するように2相ステッピングモータ20を駆動することができる。すなわち、モータ駆動制御装置10によれば、2相ステッピングモータ20の負荷に応じた適切なトルクが発生するように2相ステッピングモータ20の回転速度を変動させる制御を実現することができる。
【0135】
また、モータ駆動制御装置10において、制御部11は、1相励磁の期間T1nを計測し、単位角度当たりの経過時間は、1相励磁の期間T1nの計測値を当該1相励磁の期間T1nに対応する電気角の大きさで除算した値である。より具体的には、制御部11は、上記式(1)に基づいて、2相励磁の目標通電時間T2nを算出する。
【0136】
これによれば、実際の1相励磁の期間における2相ステッピングモータ20のロータの回転速度に応じて単位角度当たりの経過時間を算出することができるので、2相ステッピングモータ20の負荷の状態(回転速度)に応じた適切な2相励磁の期間を設定することが可能となり、より安定した通電切替を実現することが可能となる。
【0137】
また、モータ駆動制御装置10において、制御部11が、1相励磁の期間T1nを計測する代わりに、逆起電圧のゼロクロス点間の時間を計測し、単位角度当たりの経過時間は、ゼロクロス点間の時間の計測値をゼロクロス点間の電気角の大きさで除算した値であってもよい。すなわち、制御部11は、上記式(3)に基づいて、2相励磁の目標通電時間T2nを算出してもよい。
【0138】
これによれば、1相励磁の期間T1nを測定して単位角度当たりの経過時間を算出する場合と同様に、実際の2相ステッピングモータ20の負荷の状態に応じた適切な2相励磁の期間を設定することが可能となり、より安定した通電切替を実現することが可能となる。
【0139】
また、モータ駆動制御装置10において、制御部11は、2相励磁の直前に行われた1相励磁の期間を計測し、その期間を1相励磁の期間の計測値として用いて、2相励磁の目標通電時間T2nを算出してもよい。これによれば、2相励磁の期間を、2相ステッピングモータ20の負荷の変動に対して速やかに追従させることができる。
【0140】
また、モータ駆動制御装置10において、制御部11は、2相励磁の前に行われた複数の1相励磁の期間を夫々計測し、計測した複数の期間の平均値を、1相励磁の期間の計測値として用いて2相励磁の目標通電時間T2nを算出してもよい。これによれば、2相励磁の期間を、2相ステッピングモータ20の負荷の変動に対して緩やかに追従させることができる。
【0141】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0142】
例えば、上記実施の形態において、2相ステッピングモータ20が2極のロータを有している場合を例示したが、ロータの極数は特に限定されない。
【0143】
上記実施の形態に係るモータユニット1は、図1に開示した構成に限定されない。例えば、駆動部12は、上述したモータ駆動部121の他に、コイル21A,21Bのコイル電流を検出するための電流検出回路等の他の回路を有していてもよい。
【0144】
また、上述のフローチャートは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。すなわち、フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではない。例えば、一部の処理の順番が変更されてもよいし、各処理間に他の処理が挿入されてもよいし、一部の処理が並列に行われてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1…モータユニット、10…モータ駆動制御装置、11…制御部、12…駆動部、20…2相ステッピングモータ、21…コイル、21A…A相のコイル、21B…B相のコイル、22…ロータ、22N…N極、22S…S極、111…逆起電圧監視部、112…ゼロクロス点検出部、113…1相励磁期間計時部、114…2相励磁期間算出部、115…2相励磁期間計時部、116…記憶部、117…制御信号生成部、121…モータ駆動部、Sd…制御信号、Sz…検出信号、T1n…1相励磁の期間、T2n…目標通電時間(2相励磁の期間)、AP…A相のコイルの正極側の端子、AN…A相のコイルの負極側の端子、BP…B相のコイルの正極側の端子、BN…B相のコイルの負極側の端子。
図1
図2
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図8