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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】照明装置及び電源
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/16 20200101AFI20240906BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240906BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240906BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B47/105
H05B47/19
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021094895
(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公開番号】P2022187082
(43)【公開日】2022-12-19
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】朴 謨贊
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-249124(JP,A)
【文献】特開2013-218918(JP,A)
【文献】特開2012-227155(JP,A)
【文献】特開2012-155861(JP,A)
【文献】特開2010-049523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0025215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、前記LED光源へ電力を印加する電源を備え、前記LED光源の設定電流値を設定可能な照明装置であって、
前記電源は、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部の出力側に設けられたコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、
前記LED光源を起動したとき、前記電源出力部は、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、前記設定電流値を超える最大電流値の電流を前記コンデンサに出力する、
照明装置。
【請求項2】
複数色のLED光源と、前記LED光源へ電力を印加する電源を備え、前記複数色の各色毎に前記LED光源の設定電流値を設定可能な照明装置であって、
前記電源は、前記各色毎に、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部の出力側に設けられたコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、
前記LED光源を起動したとき、前記電源は、前記各色毎に、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、前記設定電流値を超える電流値の電流を前記コンデンサに出力する、
照明装置。
【請求項3】
複数色の光源と、前記光源へ電力を印加する電源を備え、前記複数色の各色毎に前記光源の設定電流値を設定可能な照明装置であって、
前記光源を起動したとき、前記電源は、前記各色の光源の前記設定電流値が大きいほど、当該光源に対して電力を印加する起動時刻を遅らせる
照明装置。
【請求項4】
前記所定の電圧値は、前記LED光源の発光開始電圧である、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記所定の電流値は、前記LED光源の前記設定電流値である、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項6】
LED光源を備えた照明装置用の電源であって、
前記電源は、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部から出力された電力を蓄えるコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、
前記LED光源を起動したとき、前記電源出力部は、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、設定電流値を超える最大電流値の電流を前記コンデンサに出力する、
電源。
【請求項7】
複数色のLED光源を備えた照明装置用の電源であって、
前記電源は、前記複数色の各色毎に、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部の出力側に設けられたコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、
前記LED光源を起動したとき、前記電源出力部は、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、設定電流値を超える電流値の電流を前記コンデンサに出力する、
電源。
【請求項8】
複数色の光源を備えた照明装置用の電源であって、
前記電源は、前記複数色の光源へそれぞれ電力を出力する複数の電源出力部を備え、
前記複数色の光源を起動したとき、前記複数の電源出力部において、設定電流値が大きい前記光源を駆動する前記電出力部ほど、当該光源に対して電力を印加する起動時刻を遅らせる、
電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光調色等の照明制御機能を備えた照明装置及びその照明装置用電源に関する。
【背景技術】
【0002】
照明のLED化に伴い、昼白色・電球色といった異なる発光色のLEDを用い、色温度など色合いを変化させる調色を容易にできるようになった。異なる発光色のLEDを用いることに伴う新たな課題に対し、以下のような提案が見られる。
【0003】
特許文献1は、赤色LED素子と非赤色LED素子とを含む照明装置と、照明制御部とを備え、照明光の照射開始時に、非赤色LED素子の発光後に赤色LED素子が発光するように、電流を供給するタイミングを制御している。これにより、照明光の照射開始時に赤色光が視認されてしまうことがない、とされている。
【0004】
特許文献2は、昼光色発光素子D、電球色発光素子L、赤色発光素子R、および青色発光素子Bの4色のLEDを用いた照明装置において、青色発光素子Bが点灯する第1の点灯状態から、まず電球色発光素子Lが点灯し、続いて、青色発光素子Bが消灯する(第2の点灯状態)。このように、第1の点灯状態から第2の点灯状態に変化させるときに、発光素子の種類に応じて各発光素子を時間差をもって調光する制御を実行する。これにより、任意の混光比の点灯状態から他の混光比の点灯状態に変化させる制御が実行される過程において、不自然な色の光が放射されることを抑えることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-196796号公報
【文献】特開2018-78113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の課題は、複数の色の発光素子を用いた照明装置において、調色をするための個別調光率(各色ごとの設定光束値の最大光束値に対する比率(%))の初期設定によっては、起動時に発光の立ち上がりのタイミングがそろわず、そのために意図しない合成色を発生させる、というものである。調色の初期設定において、最終的な発光色を構成する第1の発光素子からの光(第1発光色)の個別調光率が高く、第2の発光素子からの光(第2発光色)の個別調光率が低い場合、起動時に第1発光色が早く立ち上がり、第2発光色が遅く立ち上がる。そのため起動時において、意図しない合成色が発生しうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、LED光源と、前記LED光源へ電力を印加する電源を備え、前記LED光源の設定電流値を設定可能な照明装置であって、前記電源は、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部の出力側に設けられたコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、前記LED光源を起動したとき、前記電源出力部は、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、前記設定電流値を超える最大電流値の電流を前記コンデンサに出力する。
【0008】
また、本発明は、複数色のLED光源と、前記LED光源へ電力を印加する電源を備え、前記複数色の各色毎に前記LED光源の設定電流値を設定可能な照明装置であって、前記電源は、前記各色毎に、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部の出力側に設けられたコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、前記LED光源を起動したとき、前記電源出力部は、前記各色毎に、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、前記設定電流値を超える電流値の電流を前記コンデンサ出力する。
【0009】
また、本発明は、複数色の光源と、前記光源へ電力を印加する電源を備え、前記複数色の各色毎に前記光源の設定電流値を設定可能な照明装置であって、前記光源を起動したとき、前記電源は、前記各色の光源の前記設定電流値が大きいほど、当該光源に対して電力を印加する起動時刻を遅らせる。
【0010】
前記所定の電圧値は、前記LED光源の発光開始電圧であってもよい。
【0011】
前記所定の電流値は、前記LED光源の前記設定電流値であってもよい。
【0012】
前記設定電流値は、各光源に対する個別調光率に最大電流値を掛けた値であってもよい。
【0013】
また、本発明は、LED光源を備えた照明装置用の電源であって、前記電源は、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部から出力された電力を蓄えるコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、前記LED光源を起動したとき、前記電源出力部は、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、前記設定電流値を超える最大電流値の電流を前記コンデンサに出力する。
【0014】
また、本発明は、複数色のLED光源を備えた照明装置用の電源であって、前記電源は、前記複数色の各色毎に、電力を出力する電源出力部と、前記電源出力部の出力側に設けられたコンデンサと、前記LED光源へ実際に印加される印加電圧値又は印加電流値を検出する検出部を備え、前記LED光源を起動したとき、前記電源出力部は、前記印加電圧値が所定の電圧値に達するまで、又は前記印加電流値が所定の電流値に達するまでは、設定電流値を超える電流値の電流を前記コンデンサに出力する。
また、本発明は、複数色の光源を備えた照明装置用の電源であって、前記電源は、前記複数色の光源へそれぞれ電力を出力する電源出力部を備え、前記複数色の光源を起動したとき、前記複数の電源出力部において、設定電流値が大きい前記光源を駆動する前記電出力部ほど、当該光源に対して電力を印加する起動時刻を遅らせる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、複数の色の発光素子を用いた照明装置において、個別調光率の初期設定によらず、起動時に発光の立ち上がりのタイミングをそろえることができる。そのため起動時においても意図する色に近い合成色となる。単数の色の発光素子を用いた照明装置においても、調光率によらず起動が早くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1における照明システムの構成図
図2】実施形態1に用いる照明装置の正面断面図
図3】実施形態1に用いる電源の回路構成図
図4】実施形態1における起動時の電流・電圧の説明図
図5】実施形態2に用いる電源の回路構成図
図6】実施形態3に用いる電源の回路構成図
図7】実施形態4における照明システムの構成図
図8】実施形態4に用いる電源の回路構成図
図9】実施形態4における起動時の電流・電圧の説明図
図10】実施形態4に用いるLEDの色度座標図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
図1は、天井に設置する照明装置100及び制御端末であるタブレット160を備えた照明システムの模式図である。
【0018】
<制御端末>
タブレット160には照明制御ソフトウエア161(図示せず)がインストールされており、画面162に全光束調整(調光)及び色度調整(調色)のインターフェースが表示されるので、ユーザーはタブレット160を用いて照明制御を行うことができる。なお、このようにマニュアルで制御する場合の他に、照明制御ソフトウエア161においてあらかじめプログラムされたスケジュールに沿って、制御端末が自動的に照明装置の調光・調色制御を行う場合もある。
【0019】
この調光・調色制御の設定値を搬送する無線信号168が照明装置100に送られる。
【0020】
<調光・調色制御>
調光・調色制御として、最初から個別調光率(例:昼光色100%、電球色20%)を設定する場合と、全調光率(例:80%)と色温度(例:4500K)を設定する場合があるが、全調光率・色温度は個別調光率に変換されて各色の光源が駆動される。この時、光源に対する「設定電流値=最大電流値×個別調光率」と近似できる(注:「設定光束値=最大光束値×個別調光率」だが、LEDの電流電圧特性より、光束値は電流値に比例すると近似できる)。つまり、制御端末において、間接的に電流値を設定していることになる。
【0021】
<照明装置>
図2は、照明装置100の正面断面図である。照明装置100は器具本体110と光源ユニット120に分離可能であり、図2は分離状態を示しているが、設置状態では図1に示す通り一体となる。
器具本体110は、下面が開口した箱状の金属からなる筐体111、電源配線116、給電コネクタ117及びバネ受け118を備える。
【0022】
光源ユニット120は、取付部材121の下側に、プリント基板122、光源である高色温度白色LED123C及び低色温度白色LED123W、カバー部材124を備え、取付部材121の上側に電源130、無線受信器であるワイヤレスモジュール140、受電コネクタ127、取付バネ128を備える。電源130の配線については後述する。高色温度白色LED123C(LED123Cと略記することがある)は例えば色温度6500Kの昼光色LED、低色温度白色LED123W(LED123Wと略記することがある)は例えば色温度2700Kの電球色LEDである。本実施形態において、LED123CとLED123Wは交互に配置されている。
【0023】
取付バネ128が器具本体110のバネ受け118に取り付けられることにより、光源ユニット120が器具本体110に取り付けられ一体化される。
【0024】
光源ユニット120の受電コネクタ127が器具本体110の給電コネクタ117に接続されることにより、商用交流電力が電源130に供給される。
【0025】
<電源及び無線制御>
電源130は、受電コネクタ127から供給された商用交流電力をもとに駆動出力を生成し、LED123C及びLED123Wへ電流を印加する。
【0026】
調光調色制御のため、電源130と配線接続された入力スロット131にワイヤレスモジュール140が接続されているが、ワイヤレスモジュール140は着脱可能である。
【0027】
<電源回路構成と起動制御動作>
電源130の内部回路ブロック構成を図3に示す。電源130は、電源出力部134、コンデンサ135C、検出部136C、照明制御部137を備え、電源出力部134から出力された電力がLED123Cを駆動する。また、LED123Wに対しても同様の構成(コンデンサ135W、検出部136W)を備えている。ここで、コンデンサ135C・135Wは主にフリッカ(ちらつき)を防止するために挿入されている。
【0028】
主電源がONになった状態で、ワイヤレスモジュール140に電源が入り、制御信号を受信可能になっており、その制御信号に応じて電源130が起動動作に入る。
【0029】
タブレット160より、例えば「LED123Cの個別調光率=20%、LED123Wの個別調光率=100%」の信号がワイヤレスモジュール140に入力すると、照明制御部137に送られ、起動動作後の定常状態では照明制御部137が調光率20%の定電流出力あるいはPWM(デューティー20%)のパルス出力を複数のLED123Cの列に対して印加する。PWM(デューティー20%)のパルス出力の場合であっても、コンデンサ135Cにより直流に変換され、LEDへの印加電流(Iac)は直流となる。以下では電源出力部134の出力電流(図3のIoc)が直流の場合について説明する。
【0030】
従来、特に多色(例えば2色)の光源を駆動する場合に、個別調光率に基づく設定電流値が低い光源は起動時間が長く、個別調光率に基づく設定電流値が高い光源は起動時間が短いため、起動の初期においては、個別調光率の高い光源の発光が主体となり、本来の個別調光率の比率での発光となるのに時間がかかる。そのため、起動時に意図しない色の照明となるという問題があった。この理由としては、所定の出力電流(I)でコンデンサ(容量C)に充電する際、コンデンサの電圧(V)は、時間(t)に対して、Q=CV、Q=Itの式より、V=It/Cの式で表される。LEDは、ダイオードとしての電圧・電流特性を有しており、ある程度の電圧(発光開始電圧Vfminとする)が印加されないと発光しない。従って、上記式で出力電流Iが小さい場合(個別調光率が小さい場合)、発光開始電圧(Vfmin)に達するまでに時間(t)を要することになる。
【0031】
本発明では、上記の課題を解決するため、図4に示す起動方法を用いる。図4(a)は調光率大(例100%)のLED(H)及び調光率小(例20%)のLED(L)に対する出力電流(Ioc)、図4(b)は出力電圧を示している。図4(b)では原理を説明するため「LED1個当たり電圧(電圧/直列LED個数)」で示している。
【0032】
図4(a)において調光率20%の場合の出力電流値(L)に着目すると、起動時には100%の電流値を出力し(図4(a)のCV(定電圧モードを含むがそれに限らない))、LEDに印加する電圧が所定の値、例えば発光開始電圧Vfminを超えたときに、個別調光率によって定まる設定電流値を出力する定電流モード(図4(a)のCC)に移行する。具体的には、検出部136CにおいてLEDに実際に印加される印加電圧Vacを検出して発光開始電圧Vfminと比較し、その大小関係に応じた信号を照明制御部137に送る。出力電圧値を示す図4(b)において、照明制御部137は、LEDの印加電圧が所定の値(図4(b)に示す例ではLED1個当たり3.0V)に達するまではワイヤレスモジュール140から受信した個別調光率によって定まる設定電流値によらず、最大電流値を出力するように電源出力部134に制御信号を送り、図4(b)に示すように電圧が所定の値を超えた時点で、個別調光率に基づく設定電流値を出力する制御を行う。
【0033】
これにより、起動時においてコンデンサ135Cが早く充電されるため、調光率小の場合(L)においても、設定条件に達するまでの起動時間が短くなるとともに、起動時において、調光率小(L)と調光率大(H)が同様の振る舞いをするため、一方の色による発光が相対的に強くなり発光バランスが崩れる現象が抑制される。
【0034】
<実施形態2>
実施形態1で検出部136Cと表現した部分の具体的構成例について、実施形態2において詳述する。その他の部分は実施形態1と同じである。また検出部136Wに相当する部分の説明は省略する。
【0035】
実施形態2における電源130は、図5に示すように、電圧検出部136CV、電流検出抵抗136CR、電流検出部136CAを有する。
【0036】
図4(b)において、LEDに実際に印加される印加電圧Vacが発光開始電圧Vfminになるまでは、電圧検出部136CVからの信号を受けた照明制御部137は、電源出力部134がVfminを目標電圧とする電圧を出力するよう制御する。これが図4(b)における「CVモード」に相当する。
【0037】
印加電圧Vacが発光開始電圧Vfminに達すると、電流検出抵抗136CRの両端電圧を電流と置き換えて検出する電流検出部136CAが、目標電流値に達するように信号を照明制御部137に送る。それにより、電源出力部134から出力される電力が、設定電流値となるように出力が調整される。
なお、電流検出抵抗136CRの値は、そこでの電圧降下が印加電圧Vacに比べて十分低く、無視できる値となるように設定している。
【0038】
<実施形態3>
実施形態3も、検出部136Cと表現した部分の具体的構成例である。その他の部分は実施形態1と同じである。また検出部136Wに相当する部分の説明は省略する。
【0039】
図6は、検出部の一部である電流検出抵抗136CRと電流検出部136CAを備え、電圧検出部136CVを備えない例である。電流検出抵抗136CRに印加電流Iacが流れると、印加電流値に比例した電圧を電流検出部136CAが検出し、それにより印加電流値が設定値以下の場合は、電源出力部134がフルパワーで動作し、印加電流Iacが設定値に近づいた場合に、照明制御部137に印加電流Iacと設定値の差分に比例する信号を送り、電源出力部134はその差分信号に応じた電流出力Iocを出力することにより、定電流であるCCモードに移行することができる。
【0040】
<実施形態4>
実施形態4は、天井290を切断して図示した図7に示す通り、天井に埋め込まれる照明装置200と、それを無線制御する制御端末であるタブレット260の例である。
【0041】
照明装置200は、ダウンライト220、電源230、ワイヤレスモジュール240を備える。電源230は、商用交流電力が端子台232より供給され、LED駆動出力を出力線239によりダウンライト220に印加する。
【0042】
ダウンライト220は、原色の赤色LED223R(R)、非原色の青白色LED223Bw(Bw)、非原色の黄白色LED223Yw(Yw)という3色のLEDを例えば9個づつ混合して配置した光源を内蔵している。
【0043】
本実施形態の電源230の回路構成図を図8、起動時の各色のLEDの電圧の時間変化の模式図を図9に示す。本実施形態においては、発光開始をそろえるために、各色のLEDに対して電力を印加する起動時刻を個別調光率に応じた遅延時間だけ遅らせ、発光開始電圧Vfminになる時刻がほぼ同じになるようにしている。図9に示すように、例えば3色のうちの第1の色(Hとする)が個別調光率100%、第2の色(Mとする)が個別調光率50%、第3の色(Lとする)が個別調光率10%とすると、Lを最初に起動し、時間をおいてMを起動し、さらに時間をおいてLを起動することにより、最終的に発光開始電圧Vfminとなるタイミングがそろうようにする。このようなタイミング調整を行うため、図8に示す電源230において、個別調光率ごとに遅延時間をあらかじめ記憶部238で記憶しておき、個別調光率をワイヤレスモジュール240より読み込んだ照明制御部237がその遅延時間を呼び出して電源出力部234を動作させる。各色のLED223Bw、223Yw、223Rには、コンデンサ235Bw、235Yw、235Rを介して電圧が印加される。
【0044】
なお、図9では時間経過に伴い電圧が比例しているように描いているが、実際にはLEDの電流電圧特性が非線形であるなどの理由で、電圧の時間変化は必ずしも時間に比例しない。図9は、個別調光率が違う光源において電力を印加する起動時刻が異なることを模式的に説明する説明図である。
【0045】
本実施形態に用いる3色のLEDのうち、赤色(R)としては、図10に示すCIE1931色度座標において、(0.66,0.23)、(0.423,0.355)、(0.5,0.5)と色度境界線Eで囲まれる範囲の色度の色、青白色(Bw)としては、CIE1931色度座標において、(0.336,0.24)、(0.352,0.44)、(0.15,0.2)、(0.2,0.1)で囲まれる範囲の色度の色、黄白色(Yw)としては、CIE1931色度座標において、(0.5,0.5)、(0.423,0.355)、(0.342,0.312)、(0.352,0.44)、(0.37,0.63)及び色度境界線Eで囲まれる範囲の色度の色であることが好ましい。色再現領域を広げるためには、色度境界線上に近い原色である赤(R)、青(B)、緑(G)の3色であってもよい。これにより、黒体軌跡を含むとともに青空や夕日の色といった実用範囲の色を幅広く再現することができる。なお、上記R、Bw、Ywの、2色の非原色LEDを含む3色を用いることにより、RGBの三原色を用いる場合に比べて、Bwの方がBより視感度の高い領域のスペクトルを多く含むこと、GはInGaN系LEDにおいて発光効率が悪い波長領域なのに対してYwは効率が良い青色LEDの光を蛍光体で変換した色であることにより、電力光束変換効率(lm/W)を比較的良好にできるという利点を有する。
【0046】
3色のLEDを制御するタブレット260は、黒体軌跡上の色温度(T)に加え黒体軌跡からの偏差(Δuv)を制御できるインターフェース、あるいは3色のLEDで再現可能な代表的な色を選択できるインターフェースなどを備えている。
【0047】
この3色のLEDからなる照明装置は、黒体軌跡上から離れた色を表現できるという利点を有する反面、黒体軌跡上から離れた見慣れない色を発光する場合があるため違和感を生じる場合がある。例えば起動時にYwの成分が支配的になると、緑味を帯びた色と感じられ、不自然になる。本発明によれば、発光開始のタイミングがそろうため、そのような問題を抑制することができる。
【0048】
<変形例その他>
以上、本発明に係る照明装置の実施形態を説明したが、例示した照明装置を例えば以下のようにすることも可能であり、本発明が上述の実施形態で示したものに限られないことは勿論であり、例えば以下のようなものであってもよい。
【0049】
(1)実施形態1では2色の光源を備える線状光源、実施形態4では3色の光源を備えるダウンライトの組み合わせを示したが、照明装置が備える光源の組み合わせは任意であり、例えば3色の光源を備えるスクエア型照明器具、2色の光源を備えるLED電球などであってもよい。
【0050】
(2)3色の組み合わせとして、色度座標の外周に近い3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)としてもよい。3原色を用いる照明装置においては、原色に近い違和感のある光を発生する場合があるが、本発明により起動時にそのような違和感のある光の発生を防ぐことができる。
【0051】
(3)本発明の回路は、多色のLEDを用いる場合だけでなく、1色のLEDの場合にも適用できる。その場合には起動時の色が目的とする色と異なるという課題はないものの、調光率が小さい場合であっても起動を早くできるという利点がある。
【0052】
(4)同じ色のLEDの接続方法として、図4では模式的に4個のLEDの直列接続としたが、同数の直列接続をさらに並列接続(直並列接続)してもよく、1個のLEDを並列接続してもよく、LED1個だけでもよい。
【0053】
(5)LEDとしては、例えば動作電圧が3V~3.5V程度のInGaN系材料と蛍光体を用いたLEDを用いることができるが、そのほかに、動作電圧が2V程度のAlInGaP系赤色LED・橙色LEDなど、他の半導体材料を用いたLEDあるいは有機EL(有機LED)を用いることもできる。
【0054】
(6)図4(a)において起動初期は「個別調光率100%」の電流で駆動するものとしているが、設定調光率より大きい値であれば電流値は特に限定されず、例えば電源として100%以上の個別調光率で駆動する能力がある場合には、100%を超える動作であってもよい。また、例えば個別調光率80%相当の電流といった、個別調光率100%を下回る電流値であってもよい。
【0055】
(7)実施形態においては個別調光率の無線制御をする例を示したが、有線で制御信号を伝達する有線制御をしてもよい。
【0056】
(8)各実施形態において、主電源がONになった状態で、ワイヤレスモジュール140において制御信号を受信できない場合には、以前に受信した設定値を用いて起動することができる。
【0057】
(9)発光開始電圧は非発光との明確な境界を有する値ではないが、例えば「定格電圧での全光束の1%の全光束となる電圧」などと定義すればよい。
【0058】
(10)実施形態において、CV(定電圧)モード、CC(定電流)モードという言葉を用いているが、起動時においては過渡的な動作をするため、定電圧制御が始まる前にCVモードの期間が終わったり、CCモードの初期において定電流にならなかったりする。そのため、実際にCVモードやCCモードの制御が行えているとは限らない。
【0059】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0060】
100、200 照明装置
110 器具本体
111 筐体
116 電源配線
117 給電コネクタ
120 光源ユニット
121 取付部材
122 プリント基板
123C 高色温度白色LED
123W 低色温度白色LED
124 カバー部材
127 受電コネクタ
128 取付バネ
130、230 電源
131 入力スロット
134 電源出力部
135C、135W、235R、235Bw、235Yw コンデンサ
136C、136W 検出部
136CA 電流検出部
136CV 電圧検出部
136CR 電流検出抵抗
137 照明制御部
140、240 ワイヤレスモジュール
160、260 タブレット
161 照明制御ソフトウエア
162 画面
168 無線信号
220 ダウンライト
223R 赤色LED
223Yw 黄白色LED
223Bw 青白色LED
232 端子台
238 記憶部
239 出力線
290 天井
図1
図2
図3
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図10