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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】保守点検用ウエアラブル端末
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240906BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240906BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240906BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/0481
G06T19/00 600
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021118584
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014571
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】松里 真之介
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/119127(WO,A1)
【文献】特開2019-187146(JP,A)
【文献】特開2017-167991(JP,A)
【文献】特開2002-287846(JP,A)
【文献】谷 正之,“現場作業を支援するマンマシン技術”,計測と制御,社団法人計測自動制御学会,1995年11月10日,第34巻,第11号,p.865-868,ISSN:0453-4662
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/0489
G05B 19/04-19/05
G09G 5/00- 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守点検対象機器を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された画像の中で、前記保守点検対象機器における電圧が印加されている部分である電圧印加部分の位置を特定する特定装置と、
前記電圧印加部分に印加されている前記電圧の値に対応する印加電圧情報を前記画像における前記電圧印加部分の前記位置に対応して表示する表示装置と、
を備え
前記特定装置は、前記画像の中で、前記電圧印加部分であり前記保守点検対象機器における前記電圧が測定される部分であって電圧が印加される部分とグラウンド端子に接続されている部分とを含む電圧測定対象部分の位置を特定し、
前記表示装置は、前記電圧が測定される前記部分であることを示す電圧測定対象部分情報を前記画像における前記電圧測定対象部分の前記位置に対応して表示する保守点検用ウエアラブル端末。
【請求項2】
前記印加電圧情報には、前記電圧印加部分に印加されている前記電圧の前記値を示す記号が含まれている請求項1に記載の保守点検用ウエアラブル端末。
【請求項3】
前記特定装置は、前記画像の中で、前記電圧印加部分であって前記保守点検対象機器における接触が禁止されている部分である接触禁止部分の位置を特定し、
前記表示装置は、接触が禁止されていることを示す接触禁止部分情報を前記画像における前記接触禁止部分の前記位置に対応して表示する請求項1または請求項2に記載の保守点検用ウエアラブル端末。
【請求項4】
前記画像の中で、前記接触禁止部分から予め設定された範囲に作業者がいることを検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記作業者に対して警報する警報装置と、
を備えている請求項に記載の保守点検用ウエアラブル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラを備えた保守点検用ウエアラブル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作対象機器を撮影するカメラと、カメラによって撮影された画像を用いて、操作対象機器を特定する特定装置と、カメラによって撮影された画像を表示する表示装置とを備えている保守点検用ウエアラブル端末が知られている。表示装置は、特定装置によって特定された操作対象機器の操作方法を示す情報を、カメラによって撮影された画像に重ねて表示する。保守点検用ウエアラブル端末を装着した作業者は、表示装置に表示された操作対象機器の操作方法を示す情報を見ながら、操作対象機器を操作する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/169909号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保守点検対象機器の保守点検を作業者が行う場合には、保守点検対象機器における電圧が印加されている部分の電圧を作業者が測定する。保守点検対象機器における電圧が印加されている部分の中には、高電圧が印加されていることによって電圧の測定が行われない部分が含まれている場合がある。しかしながら、保守点検対象機器における電圧の測定が行われない部分の電圧を作業者が誤って測定してしまう恐れがあるという問題点があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、保守点検対象機器における電圧の測定が行われない部分を作業者が誤って測定してしまうことを抑制することができる保守点検用ウエアラブル端末を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る保守点検用ウエアラブル端末は、保守点検対象機器を撮影するカメラと、カメラによって撮影された画像の中で、保守点検対象機器における電圧が印加されている部分である電圧印加部分の位置を特定する特定装置と、電圧印加部分に印加されている電圧の値に対応する印加電圧情報を画像における電圧印加部分の位置に対応して表示する表示装置と、を備え、特定装置は、画像の中で、電圧印加部分であり保守点検対象機器における電圧が測定される部分であって電圧が印加される部分とグラウンド端子に接続されている部分とを含む電圧測定対象部分の位置を特定し、表示装置は、電圧が測定される部分であることを示す電圧測定対象部分情報を画像における電圧測定対象部分の位置に対応して表示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る保守点検用ウエアラブル端末によれば、保守点検対象機器における電圧の測定が行われない部分を作業者が誤って測定してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末を用いて保守点検が行われる保守点検対象機器を示す正面図である。
図2】実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末を示すブロック図である。
図3図2の保守点検用ウエアラブル端末を示す斜視図である。
図4図3の保守点検用ウエアラブル端末を作業者が装着して保守点検対象機器を正面から見た場合の作業者の視界を示す図である。
図5】実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末を用いて保守点検が行われる保守点検対象機器を示す正面図である。実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末を用いて保守点検が行われる保守点検対象機器1としては、例えば、入退室管理装置、遠隔監視装置、発報装置が挙げられる。
【0010】
保守点検対象機器1は、電源部101と、複数の電圧測定部102と、制御部103と、電源部101、複数の電圧測定部102および制御部103が収納された筐体104とを有している。図1には、筐体104の開口部を開閉する蓋部分が示されていないが、保守点検対象機器1の保守点検が行われない場合には、筐体104の開口部は蓋部分によって塞がれる。筐体104の開口部が蓋部分によって塞がれることによって、電源部101、複数の電圧測定部102および制御部103のそれぞれが露出することが防止される。
【0011】
電源部101には、図示しない外部から電流が供給されている。電源部101には、200(V)の電圧が印加されている。この例では、電源部101は、保守点検対象機器1における接触が禁止されている部分である。保守点検対象機器1における接触が禁止されている部分を接触禁止部分とする。したがって、電源部101は、保守点検対象機器1における接触禁止部分である。なお、保守点検対象機器1における接触禁止部分は、電源部101に限らず、保守点検対象機器1におけるその他の部分であってもよい。
【0012】
複数の電圧測定部102それぞれには、電源部101から電流が供給されている。したがって、それぞれの電圧測定部102は、保守点検対象機器1おける電圧が印加されている部分である。保守点検対象機器1における電圧が印加されている部分を電圧印加部分とする。したがって、それぞれの電圧測定部102は、保守点検対象機器1における電圧印加部分である。
【0013】
それぞれの電圧測定部102には、電圧が印加されている部分と、図示しないグラウンド端子に接続されている部分とが含まれている。電圧が印加されている部分およびグラウンド端子に接続されている部分の両方に図示しない電圧測定装置を接触させることによって、電圧測定部102の電圧が測定される。
【0014】
この例では、それぞれの電圧測定部102は、保守点検の際に作業者によって電圧が測定される保守点検対象機器1の部分である。保守点検対象機器1における電圧が測定される部分を電圧測定対象部分とする。したがって、それぞれの電圧測定部102は、保守点検対象機器1における電圧測定対象部分である。
【0015】
保守点検対象機器1における接触禁止部分および保守点検対象機器1における電圧測定対象部分のそれぞれは、保守点検対象機器1における電圧印加部分に含まれている。
【0016】
制御部103は、保守点検対象機器1における制御を行う部分である。この例では、制御部103は、保守点検対象機器1の保守点検の際に作業者によって電圧が測定される保守点検対象機器1の部分ではない。なお、制御部103は、保守点検対象機器1の保守点検の際に作業者によって電圧が測定される保守点検対象機器1の部分であってもよい。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末を示すブロック図である。図3は、図2の保守点検用ウエアラブル端末を示す斜視図である。実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末は、カメラ2と、表示装置3と、警報装置4と、特定装置5と、記憶装置6と、検出装置7と、眼鏡8とを備えている。
【0018】
眼鏡8は、保守点検対象機器1の保守点検を行う作業者に装着される。カメラ2、表示装置3、警報装置4、特定装置5、記憶装置6および検出装置7のそれぞれは、眼鏡8に設けられている。
【0019】
カメラ2は、作業者が眼鏡8を装着している場合に、作業者の視界を撮影するように配置されている。したがって、カメラ2によって撮影された画像は、眼鏡8を装着している作業者の視界を示す画像となる。
【0020】
作業者が保守点検対象機器1の保守点検を行う場合には、作業者は、保守点検対象機器1の全体を正面から見る。したがって、作業者が保守点検対象機器1の保守点検を行う場合には、カメラ2は、保守点検対象機器1の全体を正面から撮影する。
【0021】
表示装置3は、眼鏡8のレンズ部分に設けられている。したがって、眼鏡8を装着している作業者は、表示装置3によって表示された画像を見ることができる。
【0022】
表示装置3が画像を表示する場合には、表示装置3は、眼鏡8のレンズ部分の一部に画像を表示する。眼鏡8のレンズ部分における表示装置3によって画像が表示されていない部分は、透明となっている。したがって、眼鏡8を装着している作業者の視界は、表示装置3によって遮られないようになっている。
【0023】
警報装置4は、アラーム音を発するようになっている。警報装置4がアラーム音を発することによって、眼鏡8を装着している作業者に対して注意を促すことができる。
【0024】
特定装置5は、カメラ2に電気的に接続されている。特定装置5には、カメラ2によって撮影された画像が入力される。
【0025】
記憶装置6には、複数の種類の保守点検対象機器1のそれぞれの画像が予め記憶されている。記憶装置6に記憶されているそれぞれの保守点検対象機器1の画像は、保守点検対象機器1を正面から見た場合の保守点検対象機器1の全体の画像である。
【0026】
また、記憶装置6には、それぞれの保守点検対象機器1におけるそれぞれの電圧印加部分の情報が予め記憶されている。それぞれの電圧印加部分の情報には、保守点検対象機器1を正面から見た場合に、保守点検対象機器1の全体における電圧印加部分の位置の情報が含まれている。
【0027】
また、記憶装置6には、それぞれの電圧印加部分に印加されている電圧の値に対応するそれぞれの印加電圧情報が予め記憶されている。それぞれの印加電圧情報には、電圧印加部分に印加されている電圧の値を示す記号が含まれている。電圧の値を示す記号には、電圧の値を示す数字、電圧の値に対応した色などが含まれている。
【0028】
また、記憶装置6には、それぞれの保守点検対象機器1におけるそれぞれの電圧測定対象部分の情報が予め記憶されている。それぞれの電圧測定対象部分の情報には、保守点検対象機器1を正面から見た場合に、保守点検対象機器1の全体における電圧測定対象部分の位置の情報が含まれている。
【0029】
また、記憶装置6には、それぞれの保守点検対象機器1におけるそれぞれの接触禁止部分の情報が予め記憶されている。それぞれの接触禁止部分の情報には、保守点検対象機器1を正面から見た場合に、保守点検対象機器1の全体における接触禁止部分の位置の情報が含まれている。
【0030】
カメラ2によって撮影された画像が特定装置5に入力された場合に、特定装置5は、カメラ2によって撮影された保守点検対象機器1の画像と、記憶装置6に記憶されている複数の種類の保守点検対象機器1の画像とを比較する。特定装置5は、カメラ2によって撮影された保守点検対象機器1の画像と、記憶装置6に記憶されている複数の種類の保守点検対象機器1の画像とを比較することによって、カメラ2によって撮影された保守点検対象機器1の種類を特定する。
【0031】
複数の種類の保守点検対象機器1のそれぞれの構成部品の配置は、互いに異なっている。したがって、特定装置5は、保守点検対象機器1の画像を用いて、保守点検対象機器1の種類を特定することができる。
【0032】
なお、保守点検対象機器1の種類の特定方法は、保守点検対象機器1の構成部品の配置を用いる方法に限らず、例えば、それぞれの保守点検対象機器1に対応して設けられたそれぞれのコードを読み取ることによって、それぞれの保守点検対象機器1の種類が特定されてもよい。コードには、一次元コード、二次元コードなどが含まれる。また、作業者が所持する図示しない携帯端末装置を作業者が操作することによって、保守点検が行われる保守点検対象機器1の種類が特定されてもよい。この場合には、特定装置5は、携帯端末装置に含まれる。
【0033】
また、特定装置5は、種類が特定された保守点検対象機器1における電圧印加部分の情報を記憶装置6から取得する。これにより、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1における電圧印加部分の位置を特定する。カメラ2によって撮影された画像の中で特定装置5によって特定された電圧印加部分の位置の情報は、表示装置3に入力される。
【0034】
また、特定装置5は、特定された電圧印加部分における印加電圧情報を記憶装置6から取得する。特定装置5が記憶装置6から取得した印加電圧情報は、表示装置3に入力される。
【0035】
また、特定装置5は、特定された保守点検対象機器1における電圧測定対象部分の情報を記憶装置6から取得する。これにより、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、電圧印加部分であって保守点検対象機器1における電圧測定対象部分の位置を特定する。カメラ2によって撮影された画像の中で特定装置5によって特定された電圧測定対象部分の位置の情報は、表示装置3に入力される。
【0036】
また、特定装置5は、特定された保守点検対象機器1における接触禁止部分の情報を記憶装置6から取得する。これにより、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、電圧印加部分であって保守点検対象機器1における接触禁止部分の位置を特定する。カメラ2によって撮影された画像の中で特定装置5によって特定された接触禁止部分の位置の情報は、表示装置3および検出装置7に入力される。
【0037】
図4は、図3の保守点検用ウエアラブル端末を作業者が装着して保守点検対象機器1を正面から見た場合の作業者の視界を示す図である。
【0038】
表示装置3は、特定装置5によって特定された電圧印加部分の位置の情報、および、電圧印加部分における印加電圧情報を用いて、眼鏡8のレンズ部分における電圧印加部分の位置に対応する部分に印加電圧情報901を表示する。
【0039】
眼鏡8のレンズ部分における電圧印加部分の位置に対応する部分は、カメラ2によって撮影された画像における電圧印加部分の位置に対応する部分である。したがって、眼鏡8のレンズ部分における電圧印加部分の位置に対応する部分は、眼鏡8を装着している作業者が保守点検対象機器1を正面から見ている場合に保守点検対象機器1における電圧印加部分に重ねられる眼鏡8のレンズ部分の部分である。これにより、眼鏡8を装着している作業者が保守点検対象機器1を正面から見る場合に、作業者に対して、保守点検対象機器1における電圧印加部分を知らせることができる。
【0040】
表示装置3に表示される印加電圧情報901の色は、電圧の値によって、変化するようになっている。この例では、高電圧である200(V)の電圧の値を示す印加電圧情報901の色は、赤色となっている。中電圧である100(V)の電圧の値を示す印加電圧情報901の色は、だいだい色となっている。低電圧である24(V)および12(V)の電圧の値を示す印加電圧情報901の色は、青色となっている。印加電圧情報901の色が電圧の色によって変化することによって、作業者は、印加電圧情報901の電圧の値の高低を容易に把握することができる。
【0041】
また、表示装置3は、特定装置5によって特定された電圧測定対象部分の位置の情報を用いて、眼鏡8のレンズ部分における電圧測定対象部分の位置に対応する部分に電圧測定対象部分情報902を表示する。
【0042】
電圧測定対象部分情報902は、保守点検対象機器1の保守点検において、電圧が測定される部分であることを示す情報である。眼鏡8のレンズ部分における電圧測定対象部分の位置に対応する部分は、カメラ2によって撮影された画像における電圧測定対象部分の位置に対応する部分である。したがって、眼鏡8のレンズ部分における電圧測定対象部分の位置に対応する部分は、眼鏡8を装着している作業者が保守点検対象機器1を正面から見ている場合に保守点検対象機器1における電圧測定対象部分に重ねられる眼鏡8のレンズの部分である。これにより、眼鏡8を装着している作業者が保守点検対象機器1を正面から見る場合に、作業者に対して、保守点検対象機器1における電圧測定対象部分を知らせることができる。
【0043】
また、表示装置3は、特定装置5によって特定された接触禁止部分の位置の情報を用いて、眼鏡8のレンズ部分における接触禁止部分の位置に対応する部分に接触禁止部分情報903を表示する。
【0044】
接触禁止部分情報903は、保守点検対象機器1の保守点検において、接触が禁止されている部分を示す情報である。眼鏡8のレンズ部分における接触禁止部分の位置に対応する部分は、カメラ2によって撮影された画像における接触禁止部分の位置に対応する部分である。したがって、眼鏡8のレンズ部分における接触禁止部分の位置に対応する部分は、眼鏡8を装着している作業者が保守点検対象機器1を正面から見ている場合に保守点検対象機器1における接触禁止部分に重ねられる眼鏡8のレンズの部分である。これにより、眼鏡8を装着している作業者が保守点検対象機器1を見る場合に、作業者に対して、保守点検対象機器1における接触禁止部分を知らせることができる。
【0045】
図2に示すように、検出装置7には、カメラ2によって撮影された画像が入力される。検出装置7は、カメラ2によって撮影された画像と、カメラ2によって撮影された画像の中で特定装置5によって特定された接触禁止部分の位置の情報とを用いて、作業者が接触禁止部分から予め設定された範囲にいることを検出する。保守点検対象機器1の接触禁止部分から予め設定された範囲を禁止領域とする。したがって、検出装置7は、作業者が禁止領域にいることを検出する。
【0046】
検出装置7に予め設定される範囲は、自由に設定可能となっている。検出装置7が検出する作業者には、作業者本人だけでなく、作業者に所持された電圧測定装置も含まれる。したがって、作業者が禁止領域にある保守点検対象機器1の部分に電圧測定装置を誤って近づけることを検出装置7が検出する。
【0047】
検出装置7の検出結果は、警報装置4に入力される。警報装置4は、検出装置7の検出結果に基づいて、アラーム音を発する。具体的には、接触禁止部分から予め設定された範囲に作業者がいることを検出装置7が検出した場合に、警報装置4は、アラーム音を発する。これにより、接触禁止部分から予め設定された範囲にいる作業者に対して、注意を促すことができる。
【0048】
次に、実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末の動作について説明する。図5は、実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS101において、画像取得工程が行われる。画像取得工程では、作業者が保守点検用ウエアラブル端末を装着し、作業者が保守点検対象機器1を正面から見る。これにより、カメラ2が保守点検対象機器1を正面から撮影する。これにより、保守点検対象機器1の画像がカメラ2に取得される。
【0049】
その後、ステップS102において、特定工程が行われる。特定工程では、特定装置5は、カメラ2によって撮影された保守点検対象機器1の種類を特定する。また、特定工程では、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1における電圧印加部分の位置を特定する。また、特定工程では、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1における電圧測定対象部分の位置を特定する。また、特定工程では、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1における接触禁止部分の位置を特定する。
【0050】
その後、ステップS103において、表示工程が行われる。表示工程では、表示装置3は、眼鏡8のレンズ部分における電圧印加部分の位置に対応する部分に印加電圧情報901を表示する。
【0051】
また、表示工程では、表示装置3は、眼鏡8のレンズ部分における電圧測定対象部分の位置に対応する部分に電圧測定対象部分情報902を表示する。
【0052】
また、表示工程では、表示装置3は、眼鏡8のレンズ部分における接触禁止部分の位置に対応する部分に接触禁止部分情報903を表示する。
【0053】
その後、ステップS104において、禁止領域判定工程が行われる。禁止領域判定工程では、検出装置7は、保守点検対象機器1の接触禁止部分から予め設定された範囲に作業者がいるか否かを判定する。言い換えれば、検出装置7は、作業者が禁止領域にいるか否かを判定する。
【0054】
ステップS104において、保守点検対象機器1の接触禁止部分から予め設定された範囲に作業者がいると検出装置7が判定した場合に、ステップS105において、警報工程が行われる。警報工程では、警報装置4がブザー音を発し、その後、保守点検用ウエアラブル端末の動作が終了する。
【0055】
一方、ステップS104において、保守点検対象機器1の接触禁止部分から予め設定された範囲に作業者がいないと検出装置7が判定した場合に、そのまま、保守点検用ウエアラブル端末の動作が終了する。
【0056】
以上説明したように、実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末は、カメラ2と、特定装置5と、表示装置3とを備えている。カメラ2は、保守点検対象機器1を撮影する。特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1における電圧印加部分の位置を特定する。表示装置3は、特定された電圧印加部分に印加されている電圧の値に対応する印加電圧情報901を、カメラ2によって撮影された画像における電圧印加部分の位置に対応して表示する。この構成によれば、保守点検用ウエアラブル端末を作業者が装着し、作業者が保守点検対象機器1を正面から見ることによって、保守点検対象機器1における電圧印加部分に印加されている電圧の値を作業者に知らせることができる。これにより、保守点検対象機器1における電圧の測定が行われない部分を作業者が誤って測定してしまうことを抑制することができる。
【0057】
また、印加電圧情報には、電圧印加部分に印加されている電圧の値を示す記号が含まれている。この構成によれば、保守点検対象機器1における電圧印加部分に印加されている電圧の値を作業者に知らせることができる。
【0058】
また、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、電圧印加部分であって保守点検対象機器1における電圧測定対象部分の位置を特定する。表示装置3は、電圧測定対象部分情報902を、カメラ2によって撮影された画像における電圧測定対象部分の位置に対応して表示する。この構成によれば、保守点検対象機器1における電圧の測定が行われる部分を作業者に知らせることができる。
【0059】
また、特定装置5は、カメラ2によって撮影された画像の中で、電圧印加部分であって保守点検対象機器1における接触禁止部分の位置を特定する。表示装置3は、接触禁止部分情報903を、カメラ2によって撮影された画像における接触禁止部分の位置に対応して表示する。この構成によれば、保守点検対象機器1における接触が禁止されている部分を作業者に知らせることができる。
【0060】
また、実施の形態1に係る保守点検用ウエアラブル端末は、保守点検対象機器1における接触禁止部分から予め設定された範囲に作業者がいることを検出する検出装置7と、検出装置7の検出結果に基づいて、作業者に対して警報する警報装置4と、を備えている。この構成によれば、保守点検対象機器1における接触禁止部分から予め設定された範囲に作業者が近づいた場合に警報装置4が作業者に対して警報する。これにより、作業者が保守点検対象機器1における接触禁止部分に接触することを抑制することができる。
【0061】
なお、実施の形態1では、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1における複数の電圧印加部分のそれぞれの位置を特定し、特定されたそれぞれの電圧印加部分の位置に対応して複数の印加電圧情報901を表示する構成について説明した。しかしながら、作業者が見ている保守点検対象機器1の部分にレーザー光を当てるレーザー装置を備えている構成であってもよい。この場合に、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1におけるレーザー光が当てられている電圧印加部分の位置を特定し、特定された電圧印加部分の位置に対応して印加電圧情報901を表示装置3が表示する。これにより、複数の電圧印加部分が密集して配置されている場合に、それぞれの電圧印加部分の位置に対応して複数の印加電圧情報901が同時に表示装置3に表示されることが防止される。その結果、複数の電圧印加部分が密集して配置されている場合に、作業者が見ている電圧印加部分の位置に対応して印加電圧情報901を表示装置3が表示することができる。
【0062】
また、実施の形態1では、カメラ2によって撮影された画像が表示装置3に表示されない構成について説明した。しかしながら、カメラ2によって撮影された画像が表示装置3に表示されてもよい。この場合に、印加電圧情報901、電圧測定対象部分情報902および接触禁止部分情報903のそれぞれは、カメラ2によって撮影された画像に重ねて表示装置3に表示される。
【0063】
また、実施の形態1では、カメラ2が保守点検対象機器1を撮影する構成について説明した。しかしながら、保守点検対象機器1に加えて、作業者が所持する電圧測定装置の電圧値表示部分もカメラ2が撮影する構成であってもよい。この場合に、保守点検用ウエアラブル端末は、カメラ2によって撮影された画像における電圧測定装置の電圧値表示部分に表示されている電圧の値を読み取る読み取り装置を備え、読み取られた電圧の値の情報を記憶装置6が記憶する構成であってもよい。これにより、作業者による保守点検の作業の効率を向上させることができる。また、この場合に、記憶装置6は、電圧の値に加えて、測定された日時の情報、および、測定された場所の情報を互いに対応して記憶してもよい。
【0064】
また、実施の形態1では、表示装置3が電圧測定対象部分情報902を表示する構成について説明した。しかしながら、複数の電圧測定対象部分のそれぞれを測定する順序を示す情報である電圧測定順序情報を表示装置3が表示する構成であってもよい。これにより、作業者は、測定順序にしたがって複数の電圧測定対象部分のそれぞれの電圧を測定することができる。その結果、複数の電圧測定対象部分の電圧を測定する場合における測定の漏れの発生を抑制することができる。
【0065】
また、実施の形態1では、カメラ2が保守点検対象機器1を撮影する構成について説明した。しかしながら、赤外線を用いて、保守点検対象機器1の温度を測定する赤外線温度センサをさらに備えた構成であってもよい。保守点検対象機器1における過電流が発生している部分の温度は、保守点検対象機器1における過電流が発生していない部分の温度と比較して高くなる。赤外線温度センサの検出結果を用いて、保守点検対象機器1における過電流の発生の有無を判定し、さらに、カメラ2によって撮影された画像の中で、保守点検対象機器1における過電流が発生している部分の位置を特定する構成であってもよい。この場合に、表示装置3は、過電流が発生している部分の位置に対応して、過電流が発生していることを示す過電流発生情報を表示する。
【符号の説明】
【0066】
1 保守点検対象機器、2 カメラ、3 表示装置、4 警報装置、5 特定装置、6 記憶装置、7 検出装置、8 眼鏡、101 電源部、102 電圧測定部、103 制御部、104 筐体、901 印加電圧情報、902 電圧測定対象部分情報、903 接触禁止部分情報。
図1
図2
図3
図4
図5