(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】抗体-薬物コンジュゲート用のグリコシド含有ペプチドリンカー
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240906BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240906BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240906BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K16/00
A61K39/395 M
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021542159
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 US2020014658
(87)【国際公開番号】W WO2020154437
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-20
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518369833
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラブカ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジュンジエ
(72)【発明者】
【氏名】オグンコヤ,アヨデレ
(72)【発明者】
【氏名】クディルカ,アルヴィダス・ローマス
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/234636(WO,A1)
【文献】特表2017-501128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/00-16/46
C07K 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体、
薬物、ならびに
前記抗体を前記薬物に連結し、かつ第1の切断可能な部分および前記第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分を含む切断可能なリンカー
を含む、コンジュゲートであって、
第1の切断可能な部分はペプチドを含み、第2の切断可能な部分はグリコシドを含み、
前記コンジュゲートが、式(I):
【化1】
のコンジュゲートであり、式中、
ZはCR
4またはNであり、
R
1は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
R
2およびR
3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、またはR
2およびR
3は環状連結されて5もしくは6員のヘテロシクリルを形成していてもよく、
各R
4は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R
5は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、および置換されたアルキニルから独立して選択され、
各R
6は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
kは2~10の整数であり、
R
7は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
L
1は第1のリンカーであり、
L
2は第2のリンカーであり、
W
1は前記薬物であり、かつ
W
2は前記抗体であり、
R
7は前記第2の切断可能な部分を含む、
コンジュゲート。
【請求項2】
(i)kが2であり、かつ
前記コンジュゲートが、式(Id):
【化5】
[式中、
R
6’およびR
6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R
7は前記第2の切断可能な部分を含み、
前記第2の切断可能な部分が、グリコシドを含む酵素的に切断可能な部分である。]
のコンジュゲートであるか;
(ii)前記コンジュゲートが、式(Ie):
【化6】
のコンジュゲートである、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
抗体を薬物に連結するための切断可能なリンカーを含む、化合物であって、前記切断可能なリンカーが、第1の切断可能な部分および前記第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分
を含む、化合物であって、
第1の切断可能な部分はペプチドを含み、第2の切断可能な部分はグリコシドを含み、
前記化合物が、式(II):
【化12】
の化合物であり、式中、
ZはCR
4またはNであり、
R
2およびR
3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、またはR
2およびR
3は環状連結されて5もしくは6員のヘテロシクリルを形成していてもよく、
各R
4は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R
5は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R
6は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
kは2~10の整数であり、
R
7は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
L
1は第1のリンカーであり、
L
2は第2のリンカーであり、かつ
W
1は薬物であり、
R
7は前記第2の切断可能な部分を含む、
化合物。
【請求項4】
(i)kが2であり、かつ
前記化合物が、式(IId):
【化16】
[式中、
R
6’およびR
6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R
7は前記第2の切断可能な部分を含み、
前記第2の切断可能な部分が、グリコシドを含む酵素的に切断可能な部分である。]
の化合物であるか;
(ii) 前記化合物が、式(IIe):
【化17】
の化合物である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
L
1が、
-(T
1-V
1)
a-(T
2-V
2)
b-(T
3-V
3)
c-(T
4-V
4)
d-
を含み、式中、
a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、
T
1、T
2、T
3およびT
4は、共有結合、(C
1~C
12)アルキル、置換された(
C
1~C
12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)
w、(PEG)
n、(AA)
p、-(CR
13OH)
m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフィド、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、EDAはエチレンジアミン部分であり、PEGはポリエチレングリコールであり、かつAAはアミノ酸残基であり、各wは1~20の整数であり、各nは1~30の整数であり、各pは1~20の整数であり、かつ各mは1~12の整数であり、
V
1、V
2、V
3およびV
4は、共有結合、-CO-、-NR
15-、-NR
15(C
H
2)
q-、-NR
15(C
6H
4)-、-CONR
15-、-NR
15CO-、-C(
O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-SO
2NR
15-、-NR
15SO
2-および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、各qは1~6の整数であり、
各R
13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから独立して選択され、かつ
各R
15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される、
請求項1または2に記載のコンジュゲートまたは請求項3または4に記載の化合物。
【請求項6】
L
2が、
-(T
5-V
5)
e-(T
6-V
6)
f-(T
7-V
7)
g-(T
8-V
8)
h-
を含み、式中、
e、f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり、
T
5、T
6、T
7およびT
8は、共有結合、(C
1~C
12)アルキル、置換された(C
1~C
12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)
w、(PEG)
n、(AA)
p、-(CR
13OH)
m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフィド、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、EDAはエチレンジアミン部分であり、PEGはポリエチレングリコールであり、かつAAはアミノ酸残基であり、各wは1~20の整数であり、各nは1~30の整数であり、各pは1~20の整数であり、かつ各mは1~12の整数であり、
V
5、V
6、V
7およびV
8は、共有結合、-CO-、-NR
15-、-NR
15(C
H
2)
q-、-NR
15(C
6H
4)-、-CONR
15-、-NR
15CO-、-C(
O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-SO
2NR
5-、-NR
15SO
2-および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、各qは1~6の整数であり、
各R
13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから独立して選択され、かつ
各R
15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される、
請求項1、2または5に記載のコンジュゲートまたは請求項3~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
T
1が、(C
1~C
12)アルキルおよび置換された(C
1~C
12)アルキルから選
択され、
T
2、T
3、およびT
4が、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)
w、(PEG)
n、(C
1~C
12)アルキル、置換された(C
1~C
12)アルキル、(AA)
p、-(CR
13OH)
m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、かつ
V
1、V
2、V
3およびV
4が、共有結合、-CO-、-NR
15-、-NR
15(CH
2)
q-、-NR
15(C
6H
4)-、-CONR
15-、-NR
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-SO
2NR
15-、-NR
15SO
2-、および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
(PEG)
nが
【化20】
であり、nが1~30の整数であり、
EDAが、以下の構造:
【化21】
を有するエチレンジアミン部分であり、yが1~6の整数であり、かつrが0または1であり、
4-アミノ-ピペリジン(4AP)が
【化22】
であり、
各R
12およびR
15が、水素、アルキル、置換されたアルキル、ポリエチレングリコール部分、アリールおよび置換されたアリールから独立して選択され、任意の2個の隣接するR
12基が環状連結されてピペラジニル環を形成していてもよく、かつ
R
13が、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから選択される、
請求項6に記載のコンジュゲートまたは請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
(i)T
1が(C
1~C
12)アルキルであり、かつV
1が-CO-であり、
T
2が4APであり、かつV
2が共有結合であり、
T
3が(PEG)
nであり、かつV
3が-CO-であり、かつ
dが0であるか;
(ii)T
1が(C
1~C
12)アルキルであり、かつV
1が-CO-であり、
T
2が4APであり、かつV
2が共有結合であり、
T
3が(PEG)
nであり、かつV
3が-CONH-であり、かつ
T
4がアリールまたは置換されたアリールであり、かつV
4が-CO-であるか;または
(iii)T
5が共有結合であり、かつV
5が-CO-であり、かつ
f、gおよびhが0である、
請求項5から7のいずれか1項に記載のコンジュゲートまたは請求項5から7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記薬物が、アウリスタチン、メイタンシン、およびデュオカルマイシンから選択される、請求項1、2および5~8のいずれか1項に記載のコンジュゲートまたは請求項3~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1、2および5~8のいずれか1項に記載のコンジュゲート、および
薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項11】
治療において使用するための請求項1、2および5~8のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
請求項1、2および5~8のいずれか1項に記載のコンジュゲートを含む、対象においてがんを治療する方法に使用するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月23日に出願された米国仮出願第62/795,875号の利益を主張し、該仮出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
序論
タンパク質-小分子治療用コンジュゲートの分野は大きく進歩しており、将来的により多くを提供するという見込みと共に多数の臨床的に有益な薬物を提供している。タンパク質コンジュゲート治療学は、例えば、特異性、機能の多重性、およびより小さい副作用を結果としてもたらす相対的に低いオフターゲット活性に起因して、いくつかの利点を提供することができる。タンパク質の化学修飾は、それらをより強力、安定、または多手法的とすることによりこれらの利点を拡張し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、抗体を薬物に連結し、かつ第1の切断可能な部分および第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分を有する切断可能なリンカーを含む、抗体-薬物コンジュゲート構造物を提供する。本開示はまた、そのようなコンジュゲートの製造方法の他に、その使用方法を包含する。
【0004】
本開示の態様は、抗体、薬物、ならびに抗体を薬物に連結し、かつ第1の切断可能な部分および第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分を有する切断可能なリンカーを含む、コンジュゲートを含む。
【0005】
一部の実施形態では、第1の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分であり、かつ第2の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分である。
【0006】
一部の実施形態では、第1の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分であり、かつ第2の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分である。
【0007】
一部の実施形態では、第1の切断可能な部分は第1の酵素的に切断可能な部分であり、かつ第2の切断可能な部分は第2の酵素的に切断可能な部分である。例えば、第1の酵素的に切断可能な部分は第1のペプチドを含むことができ、かつ第2の酵素的に切断可能な部分は第2のペプチドを含むことができる。一部の場合には、第1の酵素的に切断可能な部分はペプチドを含み、かつ第2の酵素的に切断可能な部分はグリコシドを含む。
【0008】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、式(I):
【化1】
【0009】
のコンジュゲートであり、式中、
ZはCR4またはNであり、
R1は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
R2およびR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、またはR2およびR3は環状連結されて5もしくは6員のヘテロシクリルを形成していてもよく、
各R4は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R5は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、および置換されたアルキニルから独立して選択され、
各R6は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
kは1~10の整数であり、
R7は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
L1は第1のリンカーであり、
L2は第2のリンカーであり、
W1は薬物であり、かつ
W2は抗体であり、
L1、R6またはR7のうちの1つは第2の切断可能な部分を含む。
【0010】
一部の実施形態では、kは2であり、かつコンジュゲートは、式(Ia):
【化2】
【0011】
のコンジュゲートであり、式中、
R6’またはR6’’のうちの1つは第2の切断可能な部分を含み、かつR6’およびR6’’のうちの他方は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0012】
一部の実施形態では、第2の切断可能な部分は、グリコシドを含む酵素的に切断可能な部分である。
【0013】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、式(Ib):
【化3】
【0014】
のコンジュゲートである。
【0015】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、式(Ic):
【化4】
【0016】
のコンジュゲートである。 一部の実施形態では、kは2であり、かつコンジュゲートは、式(Id):
【化5】
【0017】
のコンジュゲートであり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R7は第2の切断可能な部分を含む。
【0018】
一部の実施形態では、第2の切断可能な部分は、グリコシドを含む酵素的に切断可能な部分である。
【0019】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、式(Ie):
【化6】
【0020】
のコンジュゲートである。
【0021】
一部の実施形態では、kは2であり、かつコンジュゲートは、式(If):
【化7】
【0022】
のコンジュゲートであり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R8は第2の切断可能な部分を含む。
【0023】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、式(Ig):
【化8】
【0024】
のコンジュゲートである。
【0025】
一部の実施形態では、L1は、
-(T1-V1)a-(T2-V2)b-(T3-V3)c-(T4-V4)d-
を含み、式中、
a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、
T1、T2、T3およびT4は、共有結合、(C1~C12)アルキル、置換された(C1~C12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)w、(PEG)n、(AA)p、-(CR13OH)m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフィド、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、EDAはエチレンジアミン部分であり、PEGはポリエチレングリコールであり、かつAAはアミノ酸残基であり、各wは1~20の整数であり、各nは1~30の整数であり、各pは1~20の整数であり、かつ各mは1~12の整数であり、
V1、V2、V3およびV4は、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH2)q-、-NR15(C6H4)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-SO2NR15-、-NR15SO2-および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、各qは1~6の整数であり、
各R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから独立して選択され、かつ
各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0026】
一部の実施形態では、L2は、
-(T5-V5)e-(T6-V6)f-(T7-V7)g-(T8-V8)h-
を含み、式中、
e、f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり、
T5、T6、T7およびT8は、共有結合、(C1~C12)アルキル、置換された(C1~C12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)w、(PEG)n、(AA)p、-(CR13OH)m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフィド、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、EDAはエチレンジアミン部分であり、PEGはポリエチレングリコールであり、かつAAはアミノ酸残基であり、各wは1~20の整数であり、各nは1~30の整数であり、各pは1~20の整数であり、かつ各mは1~12の整数であり、
V5、V6、V7およびV8は、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH2)q-、-NR15(C6H4)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-SO2NR15-、-NR15SO2-および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、各qは1~6の整数であり、
各R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから独立して選択され、かつ
各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0027】
一部の実施形態では、
T
1は、(C
1~C
12)アルキルおよび置換された(C
1~C
12)アルキルから選択され、
T
2、T
3、およびT
4は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)
w、(PEG)
n、(C
1~C
12)アルキル、置換された(C
1~C
12)アルキル、(AA)
p、-(CR
13OH)
m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、かつ
V
1、V
2、V
3およびV
4は、共有結合、-CO-、-NR
15-、-NR
15(CH
2)
q-、-NR
15(C
6H
4)-、-CONR
15-、-NR
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-SO
2NR
15-、-NR
15SO
2-、および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
(PEG)
nは
【化9】
【0028】
であり、nは1~30の整数であり、
EDAは、以下の構造:
【化10】
【0029】
を有するエチレンジアミン部分であり、yは1~6の整数であり、かつrは0または1であり、
4-アミノ-ピペリジン(4AP)は
【化11】
【0030】
であり、
各R12およびR15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、ポリエチレングリコール部分、アリールおよび置換されたアリールから独立して選択され、任意の2個の隣接するR12基は環状連結されてピペラジニル環を形成していてもよく、かつ
R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから選択される。
【0031】
一部の実施形態では、
T1は(C1~C12)アルキルであり、かつV1は-CO-であり、
T2は4APであり、かつV2は共有結合であり、
T3は(PEG)nであり、かつV3は-CO-であり、かつ
dは0である。
【0032】
一部の実施形態では、
T1は(C1~C12)アルキルであり、かつV1は-CO-であり、
T2は4APであり、かつV2は共有結合であり、
T3は(PEG)nであり、かつV3は-CONH-であり、かつ
T4はアリールまたは置換されたアリールであり、かつV4は-CO-である。
【0033】
一部の実施形態では、
T5は共有結合であり、かつV5は-CO-であり、かつ
f、gおよびhは0である。
【0034】
一部の実施形態では、薬物は、アウリスタチン、メイタンシン、およびデュオカルマイシンから選択される。
【0035】
本開示の態様は、抗体を薬物に連結するための切断可能なリンカーを含む化合物であって、切断可能なリンカーが、第1の切断可能な部分および第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分を含む、化合物を含む。
【0036】
一部の実施形態では、第1の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分であり、かつ第2の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分である。
【0037】
一部の実施形態では、第1の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分であり、かつ第2の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分である。
【0038】
一部の実施形態では、第1の切断可能な部分は第1の酵素的に切断可能な部分であり、かつ第2の切断可能な部分は第2の酵素的に切断可能な部分である。例えば、第1の酵素的に切断可能な部分は第1のペプチドであることができ、かつ第2の酵素的に切断可能な部分は第2のペプチドであることができる。一部の場合には、第1の酵素的に切断可能な部分はペプチドを含み、かつ第2の酵素的に切断可能な部分はグリコシドを含む。
【0039】
一部の実施形態では、化合物は、式(II):
【化12】
【0040】
の化合物であり、式中、
ZはCR4またはNであり、
R2およびR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、またはR2およびR3は環状連結されて5もしくは6員のヘテロシクリルを形成していてもよく、
各R4は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R5は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R6は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
kは1~10の整数であり、
R7は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
L1は第1のリンカーであり、
L2は第2のリンカーであり、かつ
W1は薬物であり、
L1、R6またはR7のうちの1つは第2の切断可能な部分を含む。
【0041】
一部の実施形態では、kは2であり、かつ化合物は、式(IIa):
【化13】
【0042】
の化合物であり、式中、
R6’またはR6’’のうちの1つは第2の切断可能な部分を含み、かつR6’およびR6’’のうちの他方は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0043】
一部の実施形態では、第2の切断可能な部分は、グリコシドを含む酵素的に切断可能な部分である。
【0044】
一部の実施形態では、化合物は、式(IIb):
【化14】
【0045】
の化合物である。
【0046】
一部の実施形態では、化合物は、式(IIc):
【化15】
【0047】
の化合物である。
【0048】
一部の実施形態では、kは2であり、かつ化合物は、式(IId):
【化16】
【0049】
の化合物であり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R7は第2の切断可能な部分を含む。
【0050】
一部の実施形態では、第2の切断可能な部分は、グリコシドを含む酵素的に切断可能な部分である。
【0051】
一部の実施形態では、化合物は、式(IIe):
【化17】
【0052】
の化合物である。
【0053】
一部の実施形態では、kは2であり、かつ化合物は、式(IIf):
【化18】
【0054】
の化合物であり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R8は第2の切断可能な部分を含む。
【0055】
一部の実施形態では、化合物は、式(IIg):
【化19】
【0056】
の化合物である。
【0057】
一部の実施形態では、L1は、
-(T1-V1)a-(T2-V2)b-(T3-V3)c-(T4-V4)d-
を含み、式中、
a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、
T1、T2、T3およびT4は、共有結合、(C1~C12)アルキル、置換された(C1~C12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)w、(PEG)n、(AA)p、-(CR13OH)m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフィド、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、EDAはエチレンジアミン部分であり、PEGはポリエチレングリコールであり、かつAAはアミノ酸残基であり、各wは1~20の整数であり、各nは1~30の整数であり、各pは1~20の整数であり、かつ各mは1~12の整数であり、
V1、V2、V3およびV4は、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH2)q-、-NR15(C6H4)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-SO2NR15-、-NR15SO2-および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、各qは1~6の整数であり、
各R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから独立して選択され、かつ
各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0058】
一部の実施形態では、L2は、
-(T5-V5)e-(T6-V6)f-(T7-V7)g-(T8-V8)h-
を含み、式中、
e、f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり、
T5、T6、T7およびT8は、共有結合、(C1~C12)アルキル、置換された(C1~C12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)w、(PEG)n、(AA)p、-(CR13OH)m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフィド、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、EDAはエチレンジアミン部分であり、PEGはポリエチレングリコールであり、かつAAはアミノ酸残基であり、各wは1~20の整数であり、各nは1~30の整数であり、各pは1~20の整数であり、かつ各mは1~12の整数であり、
V5、V6、V7およびV8は、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH2)q-、-NR15(C6H4)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-SO2NR15-、-NR15SO2-および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、各qは1~6の整数であり、
各R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから独立して選択され、かつ
各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0059】
一部の実施形態では、
T
1は、(C
1~C
12)アルキルおよび置換された(C
1~C
12)アルキルから選択され、
T
2、T
3、およびT
4は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)
w、(PEG)
n、(C
1~C
12)アルキル、置換された(C
1~C
12)アルキル、(AA)
p、-(CR
13OH)
m-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ヒドラジン、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、かつ
V
1、V
2、V
3およびV
4は、共有結合、-CO-、-NR
15-、-NR
15(CH
2)
q-、-NR
15(C
6H
4)-、-CONR
15-、-NR
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-SO
2NR
15-、-NR
15SO
2-、および-P(O)OH-からなる群からそれぞれ独立して選択され、
(PEG)
nは
【化20】
【0060】
であり、nは1~30の整数であり、
EDAは、以下の構造:
【化21】
【0061】
を有するエチレンジアミン部分であり、yは1~6の整数であり、かつrは0または1であり、
4-アミノ-ピペリジン(4AP)は
【化22】
【0062】
であり、
各R12およびR15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、ポリエチレングリコール部分、アリールおよび置換されたアリールから独立して選択され、任意の2個の隣接するR12基は環状連結されてピペラジニル環を形成していてもよく、かつ
R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから選択される。
【0063】
一部の実施形態では、
T1は(C1~C12)アルキルであり、かつV1は-CO-であり、
T2は4APであり、かつV2は共有結合であり、
T3は(PEG)nであり、かつV3は-CO-であり、かつ
dは0である。
【0064】
一部の実施形態では、
T1は(C1~C12)アルキルであり、かつV1は-CO-であり、
T2は4APであり、かつV2は共有結合であり、
T3は(PEG)nであり、かつV3は-CONH-であり、かつ
T4はアリールまたは置換されたアリールであり、かつV4は-CO-である。
【0065】
一部の実施形態では、
T5は共有結合であり、かつV5は-CO-であり、かつ
f、gおよびhは0である。
【0066】
一部の実施形態では、薬物は、アウリスタチン、メイタンシン、およびデュオカルマイシンから選択される。
【0067】
本開示の態様は、本開示のコンジュゲート、および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を含む。
【0068】
本開示の態様は、対象に有効量の本開示のコンジュゲートを投与することを含む、方法を含む。
【0069】
本開示の態様は、対象においてがんを治療する方法であって、対象に治療有効量の本開示のコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含み、投与することが対象においてがんを治療するために有効である、方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1A】
図1Aは、本開示の実施形態による、MMAE構築物を含有する抗体-薬物コンジュゲートの経時的な血清安定性のグラフを示す。
【
図1B】
図1Bは、本開示の実施形態による、デュオカルマイシン構築物66を含有する抗体-薬物コンジュゲートの経時的な血清安定性のグラフを示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示の実施形態による、NCI-N87細胞系に対するMMAE構築物を含有する抗体-薬物コンジュゲートのin vitro有効性のグラフを示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の実施形態による、JeKo-1細胞系に対するデュオカルマイシン構築物66を含有する抗体-薬物コンジュゲートのin vitro有効性のグラフを示す。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、マウスにおけるJeKo-1異種移植片に対する抗CD79b 13抗体-薬物コンジュゲートおよび抗CD79b 48抗体-薬物コンジュゲートのin vivo有効性のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
定義
以下の用語は、他に指し示されなければ以下の意味を有する。任意の定義されない用語は、当該技術分野において認識されるそれらの意味を有する。
【0072】
「アルキル」は、1~10個の炭素原子、例えば、1~6個の炭素原子、または1~5、または1~4、もしくは1~3個の炭素原子を有する一価飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は、例として、直鎖状および分岐鎖状ヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH3-)、エチル(CH3CH2-)、n-プロピル(CH3CH2CH2-)、イソプロピル((CH3)2CH-)、n-ブチル(CH3CH2CH2CH2-)、イソブチル((CH3)2CHCH2-)、sec-ブチル((CH3)(CH3CH2)CH-)、t-ブチル((CH3)3C-)、n-ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2-)、およびネオペンチル((CH3)3CCH2-)を含む。
【0073】
「置換されたアルキル」という用語は、本明細書において定義されるようなアルキル基であって、アルキル鎖(C1炭素原子を除く)中の1または複数の炭素原子が、ヘテロ原子、例えば、-O-、-N-、-S-、-S(O)n-(nは0~2である)、-NR-(Rは水素またはアルキルである)で置き換えられていてもよく、かつアルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、および-NRaRbからなる群から選択される1~5個の置換基を有し、R’およびR’’が、同じまたは異なってよく、かつ水素、置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環から選択されるものを指す。
【0074】
「アルキレン」は、直鎖状または分岐鎖状のいずれかである好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有し、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、および-C(O)NR10-などから選択される1または複数の基を差し挟まれていてもよい、二価脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は、例として、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、n-プロピレン(-CH2CH2CH2-)、iso-プロピレン(-CH2CH(CH3)-)、(-C(CH3)2CH2CH2-)、(-C(CH3)2CH2C(O)-)、(-C(CH3)2CH2C(O)NH-)、および(-CH(CH3)CH2-)などを含む。
【0075】
「置換されたアルキレン」は、以下の「置換された」の定義において炭素について記載されるような置換基で置き換えられた1~3個の水素を有するアルキレン基を指す。
【0076】
「アルカン」という用語は、本明細書において定義されるようなアルキル基およびアルキレン基を指す。
【0077】
「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」および「アルキルアミノアルキニル」という用語は、基R’NHR’’-(式中、R’は、本明細書において定義されるようなアルキル基であり、R’’は、本明細書において定義されるようなアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基である)を指す。
【0078】
「アルカリル」または「アラルキル」という用語は、基-アルキレン-アリールおよび-置換されたアルキレン-アリールであって、アルキレン、置換されたアルキレンおよびアリールが本明細書において定義されるものを指す。
【0079】
「アルコキシ」は、基-O-アルキルであって、アルキルが本明細書において定義される通りであるものを指す。アルコキシとしては、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびn-ペントキシなどが挙げられる。「アルコキシ」という用語はまた、基アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケニル-O-、およびアルキニル-O-であって、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルが本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0080】
「置換されたアルコキシ」という用語は、基:置換されたアルキル-O-、置換されたアルケニル-O-、置換されたシクロアルキル-O-、置換されたシクロアルケニル-O-、および置換されたアルキニル-O-であって、置換されたアルキル、置換されたアルケニル、置換されたシクロアルキル、置換されたシクロアルケニルおよび置換されたアルキニルが本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0081】
「アルコキシアミノ」という用語は、基-NH-アルコキシであって、アルコキシが本明細書において定義されるものを指す。
【0082】
「ハロアルコキシ」という用語は、基アルキル-O-であって、アルキル基上の1または複数の水素原子がハロ基で置換されたものを指し、例として、トリフルオロメトキシなどの基が挙げられる。
【0083】
「ハロアルキル」という用語は、上記のような置換されたアルキル基であって、アルキル基上の1または複数の水素原子がハロ基で置換されたものを指す。そのような基の例としては、非限定的に、フルオロアルキル基、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、およびトリフルオロエチルなどが挙げられる。
【0084】
「アルキルアルコキシ」という用語は、基-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置換されたアルキル、置換されたアルキレン-O-アルキル、および置換されたアルキレン-O-置換されたアルキルであって、アルキル、置換されたアルキル、アルキレンおよび置換されたアルキレンが本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0085】
「アルキルチオアルコキシ」という用語は、基-アルキレン-S-アルキル、アルキレン-S-置換されたアルキル、置換されたアルキレン-S-アルキルおよび置換されたアルキレン-S-置換されたアルキルであって、アルキル、置換されたアルキル、アルキレンおよび置換されたアルキレンが本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0086】
「アルケニル」は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、好ましくは1~2個の二重結合不飽和部位を有する、直鎖または分岐状ヒドロカルビル基を指す。この用語は、例として、ビ-ビニル、アリル、およびブタ-3-エン-1-イルを含む。シスおよびトランス異性体またはこれらの異性体の混合物はこの用語に含まれる。
【0087】
「置換されたアルケニル」という用語は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換されたアルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有する本明細書において定義されるようなアルケニル基を指す。
【0088】
「アルキニル」は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、好ましくは1~2個の三重結合不飽和部位を有する、直鎖状または分岐鎖状一価ヒドロカルビル基を指す。そのようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(-C≡CH)、およびプロパルギル(-CH2C≡CH)が挙げられる。
【0089】
「置換されたアルキニル」という用語は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換されたアルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アリール、および-SO2-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有する本明細書において定義されるようなアルキニル基を指す。
【0090】
「アルキニルオキシ」は、基-O-アルキニルであって、アルキニルが本明細書において定義される通りであるものを指す。アルキニルオキシとしては、例として、エチニルオキシ、およびプロピニルオキシなどが挙げられる。
【0091】
「アシル」は、基H-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換されたアルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換されたアルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換されたアルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換されたシクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換されたシクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換されたアリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換されたヘテロアリール-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-、および置換されたヘテロシクリル-C(O)-であって、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。例えば、アシルとしては、「アセチル」基CH3C(O)-が挙げられる。
【0092】
「アシルアミノ」は、基-NR20C(O)アルキル、-NR20C(O)置換されたアルキル、NR20C(O)シクロアルキル、-NR20C(O)置換されたシクロアルキル、-NR20C(O)シクロアルケニル、-NR20C(O)置換されたシクロアルケニル、-NR20C(O)アルケニル、-NR20C(O)置換されたアルケニル、-NR20C(O)アルキニル、-NR20C(O)置換されたアルキニル、-NR20C(O)アリール、-NR20C(O)置換されたアリール、-NR20C(O)ヘテロアリール、-NR20C(O)置換されたヘテロアリール、-NR20C(O)複素環、および-NR20C(O)置換された複素環であって、R20が水素またはアルキルであり、かつアルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0093】
「アミノカルボニル」または「アミノアシル」という用語は、基-C(O)NR21R22であって、R21およびR22が、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環からなる群から独立して選択され、かつR21およびR22が、それらに結合した窒素と共に連結して複素環式または置換された複素環式基を形成していてもよく、かつアルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0094】
「アミノカルボニルアミノ」は、基-NR21C(O)NR22R23であって、R21、R22、およびR23が、水素、アルキル、アリールもしくはシクロアルキルから独立して選択され、または2つのR基が連結されてヘテロシクリル基を形成しているものを指す。
【0095】
「アルコキシカルボニルアミノ」という用語は、基-NRC(O)ORであって、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、アルキル、置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルが本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0096】
「アシルオキシ」という用語は、基アルキル-C(O)O-、置換されたアルキル-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換されたシクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、およびヘテロシクリル-C(O)O-であって、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルが本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0097】
「アミノスルホニル」は、基-SO2NR21R22であって、R21およびR22が、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、置換された複素環からなる群から独立して選択され、R21およびR22が、それらに結合した窒素と共に連結して複素環式または置換された複素環式基を形成していてもよく、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環のおよび置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0098】
「スルホニルアミノ」は、基-NR21SO2R22であって、R21およびR22が、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環からなる群から独立して選択され、かつR21およびR22が、それらに結合した原子と共に連結して複素環式または置換された複素環式基を形成していてもよく、かつアルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0099】
「アリール」または「Ar」は、単一の環(例えば、フェニル基中に存在する場合)または複数の縮合環を有する環系(そのような芳香環系の例としては、ナフチル、アントリルおよびインダニルが挙げられる)を有する6~18個の炭素原子の一価芳香族炭素環基であって、該縮合環が芳香族であってもよいし、またはそうでなくてもよく、但し、結合点が芳香環の原子を通じたものを指す。この用語は、例として、フェニルおよびナフチルを含む。アリール置換基の定義により他に制約されなければ、そのようなアリール基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、置換されたシクロアルキル、置換されたシクロアルケニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換されたアルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基で置換されていてもよい。
【0100】
「アリールオキシ」は、基-O-アリールであって、アリールが、例として、フェノキシ、およびナフトキシなど、そしてまた本明細書において定義されるような置換されていてもよいアリール基を含む、本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0101】
「アミノ」は基-NH2を指す。
【0102】
「置換されたアミノ」という用語は、基-NRRであって、各Rが、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、但し、少なくとも1個のRが水素ではないものを指す。
【0103】
「アジド」という用語は基-N3を指す。
【0104】
「カルボキシル」、「カルボキシ」または「カルボキシレート」は-CO2Hまたはその塩を指す。
【0105】
「カルボキシルエステル」もしくは「カルボキシエステル」または「カルボキシアルキル」もしくは「カルボキシルアルキル」という用語は、基-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換されたアルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)O-置換されたアルケニル、-C(O)O-アルキニル、-C(O)O-置換されたアルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換されたアリール、-C(O)O-シクロアルキル、-C(O)O-置換されたシクロアルキル、-C(O)O-シクロアルケニル、-C(O)O-置換されたシクロアルケニル、-C(O)O-ヘテロアリール、-C(O)O-置換されたヘテロアリール、-C(O)O-複素環、および-C(O)O-置換された複素環であって、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0106】
「(カルボキシルエステル)オキシ」または「カルボネート」は、基-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換されたアルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換されたアルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)O-置換されたアルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換されたアリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換されたシクロアルキル、-O-C(O)O-シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換されたシクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換されたヘテロアリール、-O-C(O)O-複素環、および-O-C(O)O-置換された複素環であって、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0107】
「シアノ」または「ニトリル」は基-CNを指す。
【0108】
「シクロアルキル」は、単一または縮合、架橋、およびスピロ環系を含む複数の環式環を有する3~10個の炭素原子の環式アルキル基を指す。好適なシクロアルキル基の例としては、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルなどが挙げられる。そのようなシクロアルキル基としては、例として、単一環構造、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルなど、または複数環構造、例えば、アダマンタニルなどが挙げられる。
【0109】
「置換されたシクロアルキル」という用語は、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換されたアルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有するシクロアルキル基を指す。
【0110】
「シクロアルケニル」は、単一または複数の環を有し、かつ少なくとも1個の二重結合、好ましくは1~2個の二重結合を有する、3~10個の炭素原子の非芳香族環式アルキル基を指す。
【0111】
「置換されたシクロアルケニル」という用語は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換されたアルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリールから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基を有するシクロアルケニル基を指す。
【0112】
「シクロアルキニル」は、単一または複数の環を有し、かつ少なくとも1個の三重結合を有する、5~10個の炭素原子の非芳香族シクロアルキル基を指す。
【0113】
「シクロアルコキシ」は-O-シクロアルキルを指す。
【0114】
「シクロアルケニルオキシ」は-O-シクロアルケニルを指す。
【0115】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0116】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は基-OHを指す。
【0117】
「ヘテロアリール」は、環内の1~15個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、ならびに酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1~10個のヘテロ原子の芳香族基を指す。そのようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジニル、イミダゾリルもしくはフリル)または環系中の複数の縮合環(例えば、インドリジニル、キノリニル、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾリルもしくはベンゾチエニルなどの基における場合)を有することができ、環系内の少なくとも1つの環は芳香族である。原子価の要求を満たすために、そのようなヘテロアリール環中の任意のヘテロ原子は、Hまたは置換基、例えば、本明細書に記載されるようなアルキル基もしくは他の置換基に結合していてもよく、またはそうでなくてもよい。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基の(1または複数の)窒素および/または硫黄環原子は、酸化されてN-オキシド(N→O)、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供してもよい。この用語は、例として、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルを含む。ヘテロアリール置換基の定義により他に制約されなければ、そのようなヘテロアリール基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、置換されたシクロアルキル、置換されたシクロアルケニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換されたアルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アリールおよび-SO2-ヘテロアリール、およびトリハロメチルから選択される1~5個の置換基、または1~3個の置換基で置換されていてもよい。
【0118】
「ヘテロアラルキル」という用語は、基-アルキレン-ヘテロアリールであって、アルキレンおよびヘテロアリールが本明細書において定義されるものを指す。この用語は、例として、ピリジルメチル、ピリジルエチル、およびインドリルメチルなどを含む。
【0119】
「ヘテロアリールオキシ」は-O-ヘテロアリールを指す。
【0120】
「複素環」(heterocycle)、「複素環」(heterocyclic)、「ヘテロシクロアルキル」、および「ヘテロシクリル」は、単一の環、または縮合架橋およびスピロ環系を含む、複数の縮合環を有し、かつ1~10個のヘテロ原子を含む、3~20個の環原子を有する、飽和または不飽和基を指す。これらの環原子は、窒素、硫黄、または酸素から選択され、縮合環系中の場合、環の1または複数は、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであることができ、但し、結合点は非芳香環を通じたものである。ある特定の実施形態では、複素環式基の(1または複数の)窒素および/または硫黄原子は、酸化されてN-オキシド、-S(O)-、または-SO2-部分を提供してもよい。原子価の要求を満たすために、そのようなヘテロ環式環中の任意のヘテロ原子は、1または複数のH、または1もしくは複数の置換基、例えば、本明細書に記載されるようなアルキル基もしくは他の置換基に結合していてもよく、またはそうでなくてもよい。
【0121】
複素環およびヘテロアリールの例としては、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、およびテトラヒドロフラニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0122】
複素環式置換基の定義により他に制約されなければ、そのような複素環式基は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換されたアルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、および縮合複素環から選択される1~5、または1~3個の置換基で置換されていてもよい。
【0123】
「ヘテロシクリルオキシ」は基-O-ヘテロシクリルを指す。
【0124】
「ヘテロシクリルチオ」という用語は基:複素環-S-を指す。
【0125】
「ヘテロシクレン」という用語は、本明細書において定義されるような複素環から形成されるジラジカル基を指す。
【0126】
「ヒドロキシアミノ」という用語は基-NHOHを指す。
【0127】
「ニトロ」は基-NO2を指す。
【0128】
「オキソ」は原子(=O)を指す。
【0129】
「スルホニル」は、基-SO2-アルキル、-SO2-置換されたアルキル、-SO2-アルケニル、-SO2-置換されたアルケニル、-SO2-シクロアルキル、-SO2-置換されたシクロアルキル、-SO2-シクロアルケニル、-SO2-置換されたシクロアルケニル、-SO2-アリール、-SO2-置換されたアリール、-SO2-ヘテロアリール、-SO2-置換されたヘテロアリール、-SO2-複素環、および-SO2-置換された複素環であって、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。スルホニルとしては、例として、メチル-SO2-、フェニル-SO2-、および4-メチルフェニル-SO2-が挙げられる。
【0130】
「スルホニルオキシ」は、基-OSO2-アルキル、-OSO2-置換されたアルキル、-OSO2-アルケニル、-OSO2-置換されたアルケニル、-OSO2-シクロアルキル、-OSO2-置換されたシクロアルキル、-OSO2-シクロアルケニル、-OSO2-置換されたシクロアルケニル、-OSO2-アリール、-OSO2-置換されたアリール、-OSO2-ヘテロアリール、-OSO2-置換されたヘテロアリール、-OSO2-複素環、および-OSO2-置換された複素環であって、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0131】
「スルフェート」または「硫酸エステル」は、基-O-SO2-OH、-O-SO2-O-アルキル、-O-SO2-O-置換されたアルキル、-O-SO2-O-アルケニル、-O-SO2-O-置換されたアルケニル、-O-SO2-O-シクロアルキル、-O-SO2-O-置換されたシクロアルキル、-O-SO2-O-シクロアルケニル、-O-SO2-O-置換されたシクロアルケニル、-O-SO2-O-アリール、-O-SO2-O-置換されたアリール、-O-SO2-O-ヘテロアリール、-O-SO2-O-置換されたヘテロアリール、-O-SO2-O-複素環、および-O-SO2-O-置換された複素環であって、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0132】
「アミノカルボニルオキシ」という用語は、基-OC(O)NRRであって、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり、アルキル、置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環が本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0133】
「チオール」は基-SHを指す。
【0134】
「チオキソ」または「チオケト」という用語は原子(=S)を指す。
【0135】
「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」という用語は、基-S-アルキルであって、アルキルが本明細書において定義される通りであるものを指す。ある特定の実施形態では、硫黄は-S(O)-に酸化されていてもよい。スルホキシドは1または複数の立体異性体として存在してもよい。
【0136】
「置換されたチオアルコキシ」という用語は基-S-置換されたアルキルを指す。
【0137】
「チオアリールオキシ」という用語は、基アリール-S-であって、アリール基が、本明細書において定義される置換されていてもよいアリール基も含む、本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0138】
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は、基ヘテロアリール-S-であって、ヘテロアリール基が、本明細書において定義される置換されていてもよいアリール基も含む、本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0139】
「チオヘテロシクロオキシ」という用語は、基ヘテロシクリル-S-であって、ヘテロシクリル基が、本明細書において定義される置換されていてもよいヘテロシクリル基も含む、本明細書において定義される通りであるものを指す。
【0140】
本明細書における開示に加えて、「置換された」という用語は、指定された基またはラジカルを修飾するために使用される場合、指定された基またはラジカルの1または複数の水素原子が、互いに独立してそれぞれ、以下において定義されるような同じまたは異なる置換基で置き換えられていることも意味することができる。
【0141】
本明細書における個々の用語に関して開示される基に加えて、指定された基またはラジカル中の飽和炭素原子上の1または複数の水素(単一の炭素上の任意の2個の水素は、=O、=NR70、=N-OR70、=N2または=Sで置き換えることができる)を置換する置換基は、他に指定されなければ、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-NR80R80、トリハロメチル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-SO2R70、-SO2O-M+、-SO2OR70、-OSO2R70、-OSO2O-M+、-OSO2OR70、-P(O)(O-)2(M+)2、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)2、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)O-M+、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)NR80R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)O-M+、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2
-M+、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR80R80、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR80R80であり、R60は、置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、各R70は独立して水素またはR60であり、各R80は独立してR70であり、または代替的に、2個のR80’は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、O、NおよびSからなる群から選択される1~4個の同じまたは異なる追加のヘテロ原子を含んでもよい5、6または7員のヘテロシクロアルキルを形成し、上記ヘテロ原子のうちのNは-HまたはC1-C3アルキル置換を有してもよく、かつ各M+は、正味の単一の正電荷を有する対イオンである。各M+は、独立して、例えば、アルカリイオン、例えば、K+、Na+、Li+;アンモニウムイオン、例えば、+N(R60)4;またはアルカリ土類イオン、例えば、[Ca2+]0.5、[Mg2+]0.5、または[Ba2+]0.5であってもよい(下付きの0.5は、そのような二価アルカリ土類イオンの対イオンの1つが、本発明の化合物のイオン化形態および他の典型的な対イオン、例えば、塩化物であることができ、または本明細書に開示される2個のイオン化した化合物がそのような二価アルカリ土類イオンの対イオンとして役立つことができ、または二重にイオン化した本発明の化合物がそのような二価アルカリ土類イオンの対イオンとして役立つことができることを意味する)。特有の例として、-NR80R80は、-NH2、-NH-アルキル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピペラジン-1-イルおよびN-モルホリニルを含むことが意味される。
【0142】
本明細書における開示に加えて、「置換された」アルケン、アルキン、アリールおよびヘテロアリール基中の不飽和炭素原子上の水素の置換基は、他に指定されなければ、-R60、ハロ、-O-M+、-OR70、-SR70、-S--M+、-NR80R80、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-SO2R70、-SO3
-M+、-SO3R70、-OSO2R70、-OSO3
-M+、-OSO3R70、-PO3
-2(M+)2、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)2、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO2
-M+、-CO2R70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)NR80R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO2
-M+、-OCO2R70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO2
-M+、-NR70CO2R70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR80R80、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR80R80であり、R60、R70、R80およびM+は以前に定義された通りであり、但し、置換されたアルケンまたはアルキンの場合、置換基は、-O-M+、-OR70、-SR70、および-S-M+のいずれでもない。
【0143】
本明細書における個々の用語に関して開示される基に加えて、「置換された」ヘテロアルキルおよびシクロヘテロアルキル基中の窒素原子上の水素の置換基は、他に指定されなければ、-R60、-O-M+、-OR70、-SR70、-S-M+、-NR80R80、トリハロメチル、-CF3、-CN、-NO、-NO2、-S(O)2R70、-S(O)2O-M+、-S(O)2OR70、-OS(O)2R70、-OS(O)2O-M+、-OS(O)2OR70、-P(O)(O-)2(M+)2、-P(O)(OR70)O-M+、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR80R80、-C(NR70)NR80R80、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70C(O)OR70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR80R80、-NR70C(NR70)R70および-NR70C(NR70)NR80R80であり、R60、R70、R80およびM+は以前に定義された通りである。
【0144】
本明細書における開示に加えて、ある特定の実施形態では、置換された基は、1、2、3、もしくは4個の置換基、1、2、もしくは3個の置換基、1もしくは2個の置換基、または1個の置換基を有する。
【0145】
上記に定義される全ての置換された基において、それら自身へのさらなる置換基を用いて置換基を定義することにより到達されるポリマー(例えば、置換されたアリール基によりさらに置換された置換されたアリール基でそれ自体が置換された置換基として置換されたアリール基を有する置換されたアリールなど)を本明細書に含めることは意図されないことが理解される。そのような場合、そのような置換の最大数は3である。例えば、本明細書において特に想定される置換されたアリール基の連続的な置換は、置換されたアリール-(置換されたアリール)-置換されたアリールに限定される。
【0146】
他に指し示されなければ、本明細書において明示的に定義されない置換基の名称は、官能基の末端部分、続いて結合点に対して隣接する官能基を命名することにより到達される。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は基(アリール)-(アルキル)-O-C(O)-を指す。
【0147】
1または複数の置換基を含有する本明細書に開示される任意の基に関して、当然、そのような基は、立体的に実際的でないかつ/または合成的に実現可能でないいかなる置換または置換パターンも含有しないことが理解される。追加的に、主題化合物は、これらの化合物の置換から生じる全ての立体化学的な異性体を含む。
【0148】
「薬学的に許容される塩」という用語は、患者、例えば哺乳動物への投与が許容される塩(所与の投薬レジームについて許容される哺乳動物安全性を有する対イオンを有する塩)を意味する。そのような塩は、薬学的に許容される無機または有機塩基および薬学的に許容される無機または有機酸に由来することができる。「薬学的に許容される塩」は、化合物の薬学的に許容される塩を指し、塩は、当該技術分野において周知の様々な有機および無機対イオンに由来し、単に例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびテトラアルキルアンモニウムなどが挙げられ、分子が塩基性官能基を含有する場合、有機または無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、およびシュウ酸塩などである。
【0149】
「その塩」という用語は、酸のプロトンが陽イオン、例えば、金属陽イオンまたは有機陽イオンなどにより置き換えられた場合に形成される化合物を意味する。適用可能な場合、塩は薬学的に許容される塩であるが、これは、患者への投与が意図されない中間体化合物の塩には要求されない。例として、本化合物の塩としては、化合物が無機または有機酸によりプロトン化されて陽イオンを形成し、塩の陰イオン性成分として無機または有機酸の共役塩基を有するものが挙げられる。
【0150】
「溶媒和物」は、溶質の分子またはイオンとの溶媒分子の組合せにより形成される複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物、または両方の混合物であることができる。溶媒の一部の例としては、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、および水が挙げられるがこれらに限定されない。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物である。
【0151】
「立体異性体」および「立体異性体」は、同じ原子接続性を有するが空間における異なる原子配置を有する化合物を指す。立体異性体としては、シス-トランス異性体、EおよびZ異性体、エナンチオマー、ならびにジアステレオマーが挙げられる。
【0152】
「互変異性体」は、原子の電子的結合および/またはプロトンの位置においてのみ異なる分子の代替的な形態、例えば、エノール-ケトおよびイミン-エナミン互変異性体、または-N=C(H)-NH-環原子配置を含有するヘテロアリール基、例えば、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、およびテトラゾールの互変異性体形態を指す。当業者は、他の互変異性体環原子配置が可能であることを認識する。
【0153】
「またはその塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体」という用語は、塩、溶媒和物および立体異性体の全ての順列組合せ、例えば、主題化合物の立体異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物を含むことが意図されると認められる。
【0154】
「薬学的有効量」および「治療有効量」は、指定される障害もしくは疾患もしくはその症状の1もしくは複数を治療するためおよび/または疾患もしくは障害の出現を予防するために十分な化合物の量を指す。腫瘍形成性増殖性障害に関して、薬学的または治療有効量は、とりわけ、腫瘍の縮小を引き起こすためまたは腫瘍の成長速度を減少させるために十分な量を含む。
【0155】
「患者」は、ヒトおよび非ヒト対象、特に哺乳動物対象を指す。
【0156】
「治療する」または「治療」という用語は、本明細書において使用される場合、患者、例えば、哺乳動物(特にヒト)において疾患または医学的状態を治療することまたはその治療を意味し、これは、(a)疾患もしくは医学的状態の発生を予防すること、例えば、対象の予防的処置、(b)疾患もしくは医学的状態を寛解させること、例えば、患者において疾患もしくは医学的状態を排除することもしくはその退縮を引き起こすこと、(c)例えば、患者において疾患もしくは医学的状態の発生を緩慢化もしくは停止させることにより、疾患もしくは医学的状態を抑制すること、または(d)患者において疾患もしくは医学的状態の症状を和らげることを含む。
【0157】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は本明細書において交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指す。他に特に指し示されなければ、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、遺伝学的にコードされたおよびコードされないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことができる。該用語は融合タンパク質を含み、これには、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、異種および同種リーダー配列を有する融合物、少なくとも1つのN末端メチオニン残基(例えば、組換え宿主細胞における製造を促すため)を含有するタンパク質、ならびに免疫学的にタグ付加されたタンパク質などが含まれるがこれらに限定されない。
【0158】
「ネイティブなアミノ酸配列」または「親アミノ酸配列」は本明細書において交換可能に使用され、改変されたアミノ酸残基を含めるための改変前のポリペプチドのアミノ酸配列を指す。
【0159】
「アミノ酸アナログ」および「非天然アミノ酸」などの用語は交換可能に使用されることがあり、天然に存在するタンパク質(例えば、AlaまたはA、CysまたはC、AspまたはD、GluまたはE、PheまたはF、GlyまたはG、HisまたはH、IleまたはI、LysまたはK、LeuまたはL、MetまたはM、AsnまたはN、ProまたはP、GlnまたはQ、ArgまたはR、SerまたはS、ThrまたはT、ValまたはV、TrpまたはW、TyrまたはY)中に一般的に見出される1または複数のアミノ酸と構造および/または全体的な形状が類似したアミノ酸様化合物を含む。アミノ酸アナログとしてはまた、修飾された側鎖または骨格を有する天然アミノ酸が挙げられる。アミノ酸アナログとしてはまた、天然に存在するD型と同じ立体化学を有するアミノ酸アナログの他に、L型のアミノ酸アナログが挙げられる。一部の事例では、アミノ酸アナログは、1または複数の天然アミノ酸の骨格構造、および/または側鎖構造を共有し、(1または複数の)差異は、分子中の1または複数の修飾された基である。そのような修飾は、原子(Nなど)による関連する原子(Sなど)の置換、基(メチル、もしくはヒドロキシルなど)もしくは原子(ClもしくはBrなど)の付加、基の欠失、共有結合の置換(単結合による二重結合の置換など)、またはこれらの組合せを含んでもよいがこれらに限定されない。例えば、アミノ酸アナログは、α-ヒドロキシ酸、およびα-アミノ酸などを含んでもよい。
【0160】
「アミノ酸側鎖」または「アミノ酸の側鎖」などの用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびアミノ酸アナログを含む、アミノ酸残基のα-炭素に取り付けられた置換基を指すために使用されることがある。アミノ酸側鎖はまた、本明細書に記載の修飾アミノ酸および/またはコンジュゲートの文脈に記載されるようなアミノ酸側鎖を含むことができる。
【0161】
「炭水化物」などの用語は、単糖、二糖、オリゴ糖、および多糖のモノマー単位および/またはポリマーを指すために使用されることがある。糖という用語は、より小さい炭水化物、例えば、単糖、二糖を指すために使用されることがある。「炭水化物誘導体」という用語は、関心対象の炭水化物の1または複数の官能基が、置換された(任意の好都合な置換基により置き換えられた)、修飾された(任意の好都合な化学を使用して別の基に変換された)または存在しない(例えば、排除されたもしくはHにより置き換えられた)化合物を含む。様々な炭水化物および炭水化物誘導体が利用可能であり、主題化合物およびコンジュゲートにおける使用のために適合されてもよい。
【0162】
「グリコシド」または「グリコシル」という用語は、グリコシド結合を介して部分に結合した糖分子または基を指す。例えば、グリコシドが結合した部分は、本明細書に記載されるような切断可能なリンカーであることができる。グリコシド結合は、様々な種類の結合、以下に限定されないが例えば、O-グリコシド結合(O-グリコシド)、N-グリコシド結合(グリコシルアミン)、S-グリコシド結合(チオグリコシド)、またはC-グリコシド結合(C-グリコシドもしくはC-グリコシル)を通じて、グリコシドを他の部分に連結することができる。一部の場合には、グリコシドは、例えば、化学的に媒介される加水分解または酵素的に媒介される加水分解により、それらが取り付けられた部分から切断されることができる。
【0163】
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、および多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト化抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、および抗体断片(例えば、Fab断片)などを含む。抗体は標的抗原に結合することができる。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、抗体の1または複数の可変領域により形成される相補性決定領域(CDR)により認識される、エピトープとも呼ばれる1または複数の結合部位を有することができる。
【0164】
「天然抗体」という用語は、抗体の重鎖および軽鎖が多細胞生物の免疫系により作られ、対合された抗体を指す。脾臓、リンパ節、骨髄および血清は、天然抗体を産生する組織の例である。例えば、抗原を用いて免疫化された第1の動物から単離された抗体産生細胞により産生された抗体は天然抗体である。
【0165】
「ヒト化抗体」または「ヒト化免疫グロブリン」という用語は、ヒト抗体からの対応する位置のアミノ酸で置換された(例えば、フレームワーク領域、定常領域またはCDR中の)1または複数のアミノ酸を含有する非ヒト(例えば、マウスまたはウサギ)抗体を指す。一般に、ヒト化抗体は、同じ抗体の非ヒト化バージョンと比較して、ヒト宿主において低減した免疫応答を生じさせる。抗体は、当該技術分野において公知の様々な技術を使用してヒト化することができ、該技術としては、例えば、CDRグラフティング(EP 239,400;PCT国際公開第91/09967号;米国特許第5,225,539号明細書;同第5,530,101号明細書、および同第5,585,089号明細書)、ベニアリング(veneering)またはリサーフェシング(resurfacing)(EP 592,106;EP 519,596;Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489-498(1991);Studnicka et al.,Protein Engineering 7(6):805-814(1994);Roguska.et al.,PNAS 91:969-973(1994))、ならびに鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号明細書)が挙げられる。ある特定の実施形態では、フレームワーク置換は、抗原結合のために重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリング、ならびに特定の位置における普通でないフレームワーク残基を同定するための配列比較により同定される(例えば、米国特許第5,585,089号明細書;Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)を参照)。本発明における使用のために想定される抗体をヒト化する追加の方法は、米国特許第5,750,078号明細書;同第5,502,167号明細書;同第5,705,154号明細書;同第5,770,403号明細書;同第5,698,417号明細書;同第5,693,493号明細書;同第5,558,864号明細書;同第4,935,496号明細書、および同第4,816,567号明細書、ならびにPCT国際公開第98/45331号および同第98/45332号に記載されている。特定の実施形態では、対象ウサギ抗体は、米国特許出願公開第20040086979号明細書および米国特許出願公開第20050033031号明細書に示される方法にしたがってヒト化されてもよい。よって、上記の抗体は、当該技術分野において周知の方法を使用してヒト化されてもよい。
【0166】
「キメラ抗体」という用語は、その軽鎖および重鎖遺伝子が、異なる種に属する抗体可変および定常領域遺伝子から、典型的には遺伝子操作により、構築された抗体を指す。例えば、マウスモノクローナル抗体からの遺伝子の可変セグメントは、ヒト定常セグメント、例えば、ガンマ1およびガンマ3に連結されてもよい。治療用キメラ抗体の例は、マウス抗体からの可変または抗原結合ドメインおよびヒト抗体からの定常またはエフェクタードメインから構成されるハイブリッドタンパク質であるが、他の哺乳動物種からのドメインが使用されてもよい。
【0167】
免疫グロブリンポリペプチド免疫グロブリン軽鎖または重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域が差し挟まれたフレームワーク領域(FR)から構成される。フレームワーク領域およびCDRの範囲が定義されている(’’Sequences of Proteins of Immunological Interest,’’E.Kabat et al.,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照)。構成要素となる軽鎖および重鎖のフレームワーク領域の組合せである抗体のフレームワーク領域は、CDRを配置および整列させるために役立つ。CDRは、抗原のエピトープへの結合の主な原因となる。
【0168】
「親Igポリペプチド」は、本明細書に記載されるようなアルデヒドタグ付加定常領域を欠いたアミノ酸配列を含むポリペプチドである。親ポリペプチドは、ネイティブ配列定常領域を含んでもよく、または既存のアミノ酸配列改変(付加、欠失および/または置換など)を有する定常領域を含んでもよい。
【0169】
本明細書において使用される場合、「単離された」という用語は、関心対象の化合物が天然に存在する環境とは異なる環境にある該化合物を記載することが意味される。「単離された」は、関心対象の化合物が実質的に富化されたかつ/または関心対象の化合物が部分的もしくは実質的に精製された試料内にある化合物を含むことが意味される。
【0170】
本明細書において使用される場合、「実質的に精製された」という用語は、その天然の環境から取り除かれ、それが天然において一緒にある他の成分の少なくとも60%を非含有である、少なくとも75%を非含有である、少なくとも80%を非含有である、少なくとも85%を非含有である、少なくとも90%を非含有である、少なくとも95%を非含有である、少なくとも98%を非含有である、または98%より多くを非含有である、化合物を指す。
【0171】
「生理学的条件」という用語は、生細胞と適合性の条件、例えば、生細胞と適合性の温度、pH、塩分などの主に水性の条件を包含することが意味される。
【0172】
「反応性パートナー」により、別の反応性パートナーと特異的に反応して反応生成物を生成する分子または分子部分が意味される。例示的な反応性パートナーとしては、スルファターゼモチーフのシステインまたはセリンおよびホルミルグリシン生成酵素(FGE)が挙げられ、これらは、反応して、モチーフ中のシステインまたはセリンの代わりにホルミルグリシン(FGly)を含有する変換されたアルデヒドタグの反応生成物を形成する。他の例示的な反応性パートナーとしては、変換されたアルデヒドタグのfGly残基のアルデヒド(例えば、反応性アルデヒド基)、ならびにアルデヒド反応性基および関心対象の部分を含み、かつ反応して、修飾されたfGly残基を通じて修飾されたポリペプチドに共役した関心対象の部分を有する修飾されたアルデヒドタグ付加ポリペプチドの反応生成物を形成する、「アルデヒド反応性の反応性パートナー」が挙げられる。
【0173】
「N末端」は、遊離アミン基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基であって、非N末端アミノ酸残基中のアミン基がポリペプチドの共有結合性骨格の部分を通常形成するものを指す。
【0174】
「C末端」は、遊離カルボキシル基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基であって、非C末端アミノ酸残基中のカルボキシル基がポリペプチドの共有結合性骨格の部分を通常形成するものを指す。
【0175】
ポリペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列に関して使用された場合の「内部部位」は、N末端でもC末端でもないポリペプチドの領域を意味する。
【0176】
本発明をさらに記載する前に、本発明は記載される特定の実施形態に限定されず、当然ながら変更され得ることが理解されるべきである。本明細書において使用される学術用語は、特定の実施形態を記載する目的のものに過ぎず、限定的であることは意図されないことも理解されるべきであり、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定される。
【0177】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限および下限の間の、文脈が他に明確に規定しなければ下限の単位の10分の1までの、各介在する値、ならびにその記載される範囲内の任意の他の記載されるまたは介在する値が本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、記載される範囲内の任意の特に除外される限度を条件として、このより小さい範囲内に独立して含まれることができ、そしてまた本発明に包含される。記載される範囲が限度の1または両方を含む場合、それらの含まれる限度のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた本発明に含まれる。
【0178】
明確性のために別々の実施形態の文脈において記載される本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組合せで提供されてもよいことが認められる。反対に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴はまた、別々にまたは任意の好適な部分的組合せで提供されてもよい。本発明に関する実施形態の全ての組合せは、それぞれおよびあらゆる組合せが、例えば、安定な化合物(すなわち、作り、単離し、特徴付け、および生物学的活性のために試験することができる化合物)である化合物である主題を包含する程度まで、そのような組合せが個々に明示的に開示されたかのように、本発明により特に包含され、本明細書に開示される。追加的に、様々な実施形態およびその要素(例えば、そのような可変要素を記載する実施形態において列記される化学基の要素)の全ての部分的組合せもまた、それぞれおよびあらゆるそのような部分的組合せが個々に明示的に本明細書に開示されたかのように、本発明により特に包含され、本明細書に開示される。
【0179】
他に定義されなければ、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料がこれより記載される。本明細書において言及される全ての刊行物は、刊行物が参照される繋がりで方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書に組み込まれる。
【0180】
本明細書および添付の請求項において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明確に規定しなければ複数の指示対象を含むことが留意されなければならない。請求項は、任意の任意選択的な要素を除外するように起草されていることがあるとさらに留意される。そのため、この言明は、請求項の要素の記載との繋がりで「単独で」(solely)および「のみ」(only)などの排他的な学術用語の使用、または「消極的」(negative)限定のための先行的な基礎として役立つことが意図される。
【0181】
明確性のために別々の実施形態の文脈において記載される本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組合せで提供されてもよいことが認められる。反対に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴はまた、別々にまたは任意の好適な部分的組合せで提供されてもよい。
【0182】
本明細書において議論される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書におけるいかなる記載も、本発明は、先行発明を理由としてそのような刊行物に先行する権利がないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行日は、実際の刊行日とは異なることがあり、実際の刊行日は独立して確認される必要がある場合がある。
【0183】
詳細な説明
本開示は、抗体を薬物に連結する切断可能なリンカーを含む抗体-薬物コンジュゲート構造物を提供する。切断可能なリンカーは、第1の切断可能な部分および第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分を含む。本開示はまた、そのようなコンジュゲートの製造方法の他に、その使用方法を包含する。
【0184】
抗体-薬物コンジュゲート
本開示は、コンジュゲート、例えば、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。「コンジュゲート」により、第1の部分(例えば、抗体)が第2の部分(例えば、薬物または活性剤)と安定的に会合していることが意味される。例えば、抗体-薬物コンジュゲートは、別の部分(例えば、抗体)と安定的に会合した薬物(例えば、メイタンシン、アウリスタチンまたはデュオカルマイシン活性剤部分)を含む。「安定的に会合した」により、部分が標準的な条件下で別の部分または構造に結合していることが意味される。ある特定の実施形態では、第1および第2の部分は、1または複数の官能基および共有結合を通じて互いに結合している。例えば、1または複数の官能基および共有結合は、本明細書に記載されるような切断可能なリンカーを含むことができる。
【0185】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、第2の部分に共役したポリペプチド(例えば、抗体)を含むポリペプチドコンジュゲートである。ある特定の実施形態では、ポリペプチドに共役した部分は、関心対象の任意の様々な部分、以下に限定されないが例えば、検出可能な標識、薬物、水溶性ポリマー、または膜もしくは表面へのポリペプチドの固定化のための部分であることができる。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、ポリペプチドが抗体である薬物コンジュゲートであり、そのため抗体-薬物コンジュゲートを提供する。例えば、コンジュゲートは、ポリペプチドが薬物または活性剤部分に共役した薬物コンジュゲートであることができる。例えば、薬物または活性剤はメイタンシンであることができる。「メイタンシン」、「メイタンシン部分」、「メイタンシン活性剤部分」および「メイタンシノイド」は、メイタンシンおよびそのアナログおよび誘導体、ならびに薬学的に活性のメイタンシン部分および/またはその部分を指す。ポリペプチドに共役したメイタンシンは、様々なメイタンシノイド部分のいずれか、以下に限定されないが例えば、メイタンシンならびに本明細書に記載されるようなそのアナログおよび誘導体(例えば、デアシルメイタンシン(deacylmaytansine))であることができる。他の事例では、薬物または活性剤は、アウリスタチン、もしくはそのアナログもしくは誘導体、または薬学的に活性のアウリスタチン部分および/もしくはその部分であることができる。ポリペプチドに共役したアウリスタチンは、様々なアウリスタチン部分のいずれか、以下に限定されないが例えば、アウリスタチンならびに本明細書に記載されるようなそのアナログおよび誘導体であることができる。他の場合には、薬物または活性剤は、デュオカルマイシン、もしくはそのアナログもしくは誘導体、または薬学的に活性のデュオカルマイシン部分および/もしくはその部分であることができる。ポリペプチドに共役したデュオカルマイシンは、様々なデュオカルマイシン部分のいずれか、以下に限定されないが例えば、デュオカルマイシンならびに本明細書に記載されるようなそのアナログおよび誘導体であることができる。
【0186】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、抗体および薬物がリンカーにより連結された抗体-薬物コンジュゲートである。一部の事例では、リンカーは切断可能なリンカーである。切断可能なリンカーは、1または複数の切断可能な部分を含むリンカーであり、切断可能な部分は、ある特定の条件下で解離して、切断可能なリンカーを2またはそれより多くの分離可能な部分に分離させることができる1または複数の結合を含む。例えば、切断可能な部分は、ある特定の条件下で解離または分解して、切断可能なリンカーを2またはそれより多くの部分に分離させることができる1または複数の共有結合を含んでもよい。そのため、切断可能なリンカーは、適切な条件下で切断されて、薬物の所望の標的作用部位において抗体から薬物を分離または放出させるように抗体-薬物コンジュゲート中に含まれることができる。
【0187】
一部の事例では、切断可能なリンカーは、2つの切断可能な部分、例えば、第1の切断可能な部分および第2の切断可能な部分を含む。両方の切断可能な部分の切断が薬物の所望の標的作用部位において抗体から薬物を分離または放出させるために必要とされるように切断可能な部分は構成されることができる。例えば、切断可能なリンカーの切断は、最初に2つの切断可能な部分の1つを切断し、次に2つの切断可能な部分の他方を切断することにより達成することができる。ある特定の実施形態では、切断可能なリンカーは、第1の切断可能な部分および第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分を含む。「切断を妨害する」により、切断されていない第2の切断可能な部分の存在が第1の切断可能な部分の可能性を低減させまたはその切断を実質的に阻害し、そのため切断可能なリンカーの量を実質的に低減させまたはその切断を予防することが意味される。例えば、切断されていない第2の切断可能な部分の存在は、第1の切断可能な部分の酵素的および/または化学的切断を妨害することができる。第2の切断可能な部分の存在による第1の切断可能な部分の切断の妨害は次いで、抗体からの薬物の量を実質的に低減させまたはその放出を予防する。例えば、抗体からの薬物の未熟な放出は、抗体-薬物コンジュゲートが薬物の所望の標的作用部位またはその近くにあるまで実質的に低減または予防されることができる。
【0188】
一部の場合には、第2の切断可能な部分は第1の切断可能な部分の切断を妨害するので、切断可能なリンカーの切断は、最初に第2の切断可能な部分を切断し、次に第1の切断可能な部分を切断することにより達成することができる。第2の切断可能な部分の切断は、第1の切断可能な部分の切断に対する妨害を低減させまたは排除して、第1の切断可能な部分が切断されることを可能とすることができる。第1の切断可能な部分の切断は、上記のように切断可能なリンカーが2またはそれより多くの部分に解離または分離して抗体-薬物コンジュゲートから薬物が放出されることを結果としてもたらすことができる。一部の事例では、第1の切断可能な部分の切断は、切断されていない第2の切断可能な部分の存在下で実質的に起こらない。実質的により、第1の切断可能な部分の約10%またはそれ未満の切断が、切断されていない第2の切断可能な部分の存在下で起こること、例えば、第1の切断可能な部分の約9%もしくはそれ未満、または約8%もしくはそれ未満、または約7%もしくはそれ未満、または約6%もしくはそれ未満、または約5%もしくはそれ未満、または約4%もしくはそれ未満、または約3%もしくはそれ未満、または約2%もしくはそれ未満、または約1%もしくはそれ未満、または約0.5%もしくはそれ未満、または約0.1%もしくはそれ未満の切断が、切断されていない第2の切断可能な部分の存在下で起こることが意味される。
【0189】
換言すれば、第2の切断可能な部分は、第1の切断可能な部分を切断から保護することができる。例えば、切断されていない第2の切断可能な部分の存在は、第1の切断可能な部分を切断から保護して、抗体-薬物コンジュゲートが薬物の所望の標的作用部位またはその近くにあるまで抗体からの薬物の未熟な放出を実質的に低減させまたは予防することができる。そのため、第2の切断可能な部分の切断は、第1の切断可能な部分を露出させて(例えば、第1の切断可能な部分を脱保護して)、第1の切断可能な部分が切断されることを可能とし、これは切断可能なリンカーの切断を結果としてもたらし、これは次いで、上記のように薬物の所望の標的作用部位において抗体から薬物を分離または放出させる。ある特定の事例では、第2の切断可能な部分の切断は、第1の切断可能な部分をその後の切断に向けて露出させるが、第2の切断可能な部分の切断はそれ自体では、切断可能なリンカーの切断を結果としてもたらさない(すなわち、切断可能なリンカーを切断するために第1の切断可能な部分の切断が依然として必要とされる)。
【0190】
切断可能なリンカー中に含まれる切断可能な部分のそれぞれは、化学的に切断可能な部分または酵素的に切断可能な部分であってもよい。例えば、第1の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分であることができ、かつ第2の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分であることができる。他の事例では、第1の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分であることができ、かつ第2の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分であることができ、または第1の切断可能な部分は化学的に切断可能な部分であることができ、かつ第2の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分であることができる。一部の実施形態では、第1の切断可能な部分は第1の酵素的に切断可能な部分であり、かつ第2の切断可能な部分は第2の酵素的に切断可能な部分である。
【0191】
例えば、切断可能な部分は化学的に切断可能な部分であることができる。化学的に切断可能な部分としては、ある特定の化学的条件の存在下で切断されることができる切断可能な部分が挙げられる。一部の場合には、化学的に切断可能な部分は、ある特定の化学的条件の存在下で解離して、切断可能な部分を2またはそれより多くの分離可能な部分に分離させることができる1または複数の結合を含む。例えば、化学的に切断可能な部分は、化学的に切断可能な部分の加水分解に繋がり得る化学的条件、例えば、酸性条件またはアルカリ条件の存在下で切断されることができる。一部の事例では、化学的に切断可能な部分が切断される化学的条件は、所望の標的作用部位、例えば、抗体-薬物コンジュゲートから放出されるべき薬物の所望の標的作用部位において存在することができる。一部の場合には、化学的に切断可能な部分の所望の切断部位において見出される化学的条件は、他の区画中、例えば、全血、血漿または血清中に有意な量で存在しない。そのため、化学的に切断可能な部分の切断は、実質的な切断が所望の作用部位において起こる一方で、切断は他の区画において有意に起こらず、抗体-薬物コンジュゲートが所望の作用部位に達する前にも有意に起こらないように制御されることができる。
【0192】
一部の事例では、切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分であってもよい。酵素的に切断可能な部分は、酵素の酵素作用を通じて上記のように2またはそれより多くの部分に分離されることができる切断可能な部分である。酵素的に切断可能な部分は、酵素の酵素作用を通じて切断されることができる任意の切断可能な部分、以下に限定されないが例えば、ペプチドおよびグリコシドなどであることができる。一部の事例では、酵素的に切断可能な部分を切断する酵素は、所望の標的作用部位、例えば、抗体-薬物コンジュゲートから放出されるべき薬物の所望の標的作用部位において存在する。一部の場合には、酵素的に切断可能な部分を切断する酵素は、他の区画中、例えば、全血、血漿または血清中に有意な量で存在しない。そのため、酵素的に切断可能な部分の切断は、実質的な切断が所望の作用部位において起こる一方で、切断は他の区画において有意に起こらず、抗体-薬物コンジュゲートが所望の作用部位に達する前にも有意に起こらないように制御されることができる。
【0193】
例えば、本明細書に記載されるように、本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、がんの治療のため、例えば、がん細胞が存在する所望の作用部位へのがん治療薬の送達のために使用されることができる。一部の場合には、酵素、例えば、プロテアーゼ酵素カテプシンBは、がん細胞において過剰発現されるがんのバイオマーカーであることができる。がんにおけるある特定の酵素の過剰発現、およびそのため局在性は、所望の作用部位(すなわち、がん(および過剰発現される酵素)の部位)において薬物を特異的に放出するために本開示の抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカー中に含まれる酵素的に切断可能な部分の文脈において使用されることができる。そのため、一部の実施形態では、酵素的に切断可能な部分は、がん細胞において過剰発現される酵素により切断されることができる切断可能な部分(例えば、ペプチド)である。例えば、酵素はプロテアーゼ酵素カテプシンBであることができる。そのため、一部の事例では、酵素的に切断可能な部分は、プロテアーゼ酵素、例えば、カテプシンBにより切断されることができる切断可能な部分(例えば、ペプチド)である。
【0194】
ある特定の実施形態では、酵素的に切断可能な部分はペプチドである。ペプチドは、切断可能なリンカーにおける使用のために好適であり、かつ酵素の酵素作用を通じて切断されることができる任意のペプチドであることができる。酵素的に切断可能な部分として使用されることができるペプチドの非限定的な例としては、例えば、Val-AlaおよびPhe-Lysなどが挙げられる。例えば、上記の第1の切断可能な部分(すなわち、第2の切断可能な部分により未熟な切断から保護される切断可能な部分)はペプチドを含むことができる。切断されていない第2の切断可能な部分の存在は、第1の切断可能な部分(ペプチド)をプロテアーゼ酵素(例えば、カテプシンB)による切断から保護して、抗体-薬物コンジュゲートが薬物の所望の標的作用部位またはその近くにあるまで抗体からの薬物の未熟な放出を実質的に低減させまたは予防することができる。一部の事例では、第1の切断可能な部分を構成するペプチドのアミノ酸残基の1つは置換基を含み、置換基は第2の切断可能な部分を含む。一部の事例では、第2の切断可能な部分はグリコシドを含む。他の実施形態では、第2の切断可能な部分はペプチドを含むことができる。他の実施形態では、第1の切断可能な部分はペプチドを含み、かつ第2の切断可能な部分はペプチドを含む。
【0195】
一部の実施形態では、酵素的に切断可能な部分は糖部分、例えば、グリコシド(またはグリコシル)である。一部の場合には、グリコシドは、グリコシドを含まない切断可能なリンカーと比較して切断可能なリンカーの親水性における増加を促すことができる。グリコシドは、切断可能なリンカーにおける使用のために好適であり、かつ酵素の酵素作用を通じて切断されることができる任意のグリコシドであることができる。例えば、第2の切断可能な部分(すなわち、未熟な切断から第1の切断可能な部分を保護する切断可能な部分)はグリコシドであることができる。他の実施形態では、第1の切断可能な部分はグリコシドを含むことができる。他の実施形態では、第1の切断可能な部分はグリコシドを含み、かつ第2の切断可能な部分はグリコシドを含む。他の実施形態では、第1の切断可能な部分はペプチドを含み、かつ第2の切断可能な部分はグリコシドを含む。他の実施形態では、第1の切断可能な部分はグリコシドを含み、かつ第2の切断可能な部分はペプチドを含む。
【0196】
グリコシドは、グリコシド結合を通じて切断可能なリンカーに取り付けられる(共有結合する)ことができる。グリコシド結合は、様々な種類の結合、以下に限定されないが例えば、O-グリコシド結合(O-グリコシド)、N-グリコシド結合(グリコシルアミン)、S-グリコシド結合(チオグリコシド)、またはC-グリコシド結合(C-グリコシドもしくはC-グリコシル)を通じて、グリコシドを切断可能なリンカーに連結することができる。一部の事例では、グリコシド結合はO-グリコシド結合(O-グリコシド)である。一部の場合には、グリコシドは、酵素により(例えば、グリコシド結合の酵素的に媒介された加水分解を通じて)それが取り付けられた切断可能なリンカーから切断されることができる。グリコシドは、グリコシドを切断可能なリンカーに取り付けるグリコシド結合の切断(加水分解)を実行することができる任意の好都合な酵素により切断可能なリンカーから除去または切断されることができる。グリコシドを切断可能なリンカーに取り付けるグリコシド結合の切断(加水分解)を媒介するために使用することができる酵素の例はβ-グルクロニダーゼである。グリコシドを切断可能なリンカーに取り付けるグリコシド結合の切断(加水分解)を媒介するために他の好適な酵素もまた使用することができる。一部の場合には、グリコシドを切断可能なリンカーに取り付けるグリコシド結合の切断(加水分解)を媒介するために使用される酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物の所望の作用部位またはその近くに見出される。例えば、酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物の所望の作用部位またはその近くにある細胞中に見出されるリソソーム酵素であることができる。一部の場合には、酵素は、第1の切断可能な部分の切断を媒介する酵素が見出される標的部位またはその近くに見出される酵素である。
【0197】
ある特定の実施形態では、第1の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分である。
【0198】
関心対象の部分(例えば、薬物または活性剤)は、ポリペプチド(例えば、抗体)の任意の所望の部位においてポリペプチドに共役されることができる。そのため、本開示は、例えば、ポリペプチドのC末端またはその近くの部位において共役した部分を有する修飾されたポリペプチドを提供する。他の例としては、ポリペプチドのN末端またはその近くの位置において共役した部分を有する修飾されたポリペプチドが挙げられる。例としてはまた、ポリペプチドのC末端およびN末端の間の位置(例えば、ポリペプチドの内部部位)において共役した部分を有する修飾されたポリペプチドが挙げられる。修飾されたポリペプチドが2またはそれより多くの部分に共役した、上記のものの組合せもまた可能である。
【0199】
ある特定の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、アミノ酸残基のα炭素においてポリペプチドのアミノ酸残基に共役した薬物または活性剤を含む。換言すれば、コンジュゲートは、ポリペプチド中の1または複数のアミノ酸残基の側鎖が、薬物または活性剤に取り付けられる(例えば、本明細書に記載されるようなリンカーを通じて薬物または活性剤に取り付けられる)ように修飾されたポリペプチドを含む。例えば、コンジュゲートは、ポリペプチド中の1または複数のアミノ酸残基のα炭素が、メイタンシンに取り付けられる(例えば、本明細書に記載されるようなリンカーを通じてメイタンシンに取り付けられる)ように修飾されたポリペプチドを含む。他の事例では、コンジュゲートは、ポリペプチド中の1または複数のアミノ酸残基のα炭素が、アウリスタチンに取り付けられる(例えば、本明細書に記載されるようなリンカーを通じてアウリスタチンに取り付けられる)ように修飾されたポリペプチドを含む。他の事例では、コンジュゲートは、ポリペプチド中の1または複数のアミノ酸残基のα炭素が、デュオカルマイシンに取り付けられる(例えば、本明細書に記載されるようなリンカーを通じてデュオカルマイシンに取り付けられる)ように修飾されたポリペプチドを含む。
【0200】
本開示の実施形態は、ポリペプチドが1または複数の部分、例えば、2個の部分、3個の部分、4個の部分、5個の部分、6個の部分、7個の部分、8個の部分、9個の部分、または10個またはそれより多くの部分に共役したコンジュゲートを含む。部分は、ポリペプチド中の1または複数の部位においてポリペプチドに共役していてもよい。例えば、1または複数の部分は、ポリペプチドの単一のアミノ酸残基に共役していてもよい。一部の場合には、1個の部分がポリペプチドのアミノ酸残基に共役している。他の実施形態では、2個の部分がポリペプチドの同じアミノ酸残基に共役していてもよい。他の実施形態では、第1の部分はポリペプチドの第1のアミノ酸残基に共役しており、かつ第2の部分はポリペプチドの第2のアミノ酸残基に共役している。例えば、ポリペプチドが第1のアミノ酸残基において第1の部分に共役しており、かつ第2のアミノ酸残基において2個の他の部分に共役している上記のものの組合せもまた可能である。他の組合せ、以下に限定されないが例えば、第1のアミノ酸残基において第1および第2の部分に共役しており、かつ第2のアミノ酸残基において第3および第4の部分に共役しているポリペプチドなどもまた可能である。
【0201】
1または複数の部分に共役したポリペプチドの1または複数のアミノ酸残基は、天然に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸、またはこれらの組合せであってもよい。例えば、コンジュゲートは、ポリペプチドの天然に存在するアミノ酸残基に共役した部分を含んでもよい。他の事例では、コンジュゲートは、ポリペプチドの非天然アミノ酸残基に共役した部分を含んでもよい。1または複数の部分は、上記のような単一の天然または非天然アミノ酸残基においてポリペプチドに共役していてもよい。ポリペプチド中の1または複数の天然または非天然アミノ酸残基は、本明細書に記載されるように1または複数の部分に共役していてもよい。例えば、ポリペプチド中の2個(またはそれより多く)のアミノ酸残基(例えば、天然または非天然アミノ酸残基)のそれぞれは、ポリペプチド中の複数の部位が修飾されるように、1または2個の部分に共役していてもよい。
【0202】
本明細書に記載されるように、ポリペプチドは1または複数の部分に共役していてもよい。ある特定の実施形態では、関心対象の部分は化学的実体、例えば、薬物または検出可能な標識である。例えば、薬物(例えば、メイタンシン、アウリスタチンもしくはデュオカルマイシン)がポリペプチドに共役していてもよく、または他の実施形態では、検出可能な標識がポリペプチドに共役していてもよい。そのため、例えば、本開示の実施形態としては、以下:ポリペプチドおよび薬物のコンジュゲート;ポリペプチドおよび検出可能な標識のコンジュゲート;2またはそれより多くの薬物およびポリペプチドのコンジュゲート;ならびに2またはそれより多くの検出可能な標識およびポリペプチドのコンジュゲートなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0203】
ある特定の実施形態では、ポリペプチドおよび関心対象の部分は、カップリング部分を通じて共役している。例えば、ポリペプチドおよび関心対象の部分のそれぞれはカップリング部分に結合(例えば、共有結合)していてもよく、そのためポリペプチドおよび関心対象の部分(例えば、薬物、例えば、メイタンシン)をカップリング部分を通じて間接的に結合していてもよい。一部の場合には、カップリング部分は、ヒドラジニル-インドリルもしくはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物、またはヒドラジニル-インドリルもしくはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物の誘導体を含む。例えば、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を通じて関心対象の部分(例えば、メイタンシン)をポリペプチドにカップリングするための一般スキームは以下の一般反応スキームに示される。ヒドラジニル-インドリルおよびヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分は、本明細書においてヒドラジノ-イソ-ピクテ-スプレングラー(HIPS)カップリング部分およびアザ-ヒドラジノ-イソ-ピクテ-スプレングラー(azaHIPS)カップリング部分とそれぞれ称されることもある。
【化23】
【0204】
上記の反応スキームにおいて、Rは、ポリペプチドに共役した(例えば、本明細書に記載されるような切断可能なリンカーを通じてポリペプチドに共役した)関心対象の部分(例えば、薬物または活性剤)を含む。上記の反応スキームに示されるように、2-ホルミルグリシン残基(fGly)を含むポリペプチドを、カップリング部分(例えば、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分)を含むように修飾された薬物または活性剤と反応させて、カップリング部分に取り付けられたポリペプチドコンジュゲートが生成され、そのためカップリング部分を通じて薬物または活性剤はポリペプチドに取り付けられる。
【0205】
本明細書に記載されるように、部分は、様々な部分のいずれか、以下に限定されないが例えば、化学的実体、例えば、検出可能な標識、または薬物であることができる。R’およびR’’は、それぞれ独立して、任意の所望の置換基、以下に限定されないが例えば、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルであってもよい。Zは、CR21、NR22、N、OまたはSであってもよく、R21およびR22は、上記のR’およびR’’について記載される任意の置換基からそれぞれ独立して選択される。
【0206】
本明細書に記載のコンジュゲートおよび化合物に示されるように、他のヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分もまた可能である。例えば、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分は、リンカーに取り付けられる(例えば、共有結合的に取り付けられる)ように修飾されてもよい。そのため、本開示の実施形態は、リンカーを通じて薬物または活性剤に取り付けられたヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含む。ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を薬物または活性剤にカップリングし得るリンカーの様々な実施形態は本明細書において詳細に記載される。例えば、一部の事例では、リンカーは切断可能なリンカー、例えば、本明細書に記載されるような切断可能なリンカーである。
【0207】
ある特定の実施形態では、関心対象の部分への共役前に修飾されたポリペプチドが関心対象の部分に共役していてもよい。ポリペプチドの修飾は、関心対象の部分への共役のために好適な1または複数の反応性基を含有する修飾されたポリペプチドを生成し得る。一部の場合には、ポリペプチドは、関心対象の部分(例えば、カップリング部分、例えば、上記のようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含む部分)への共役のために好適な1または複数の反応性基を提供するために1または複数のアミノ酸残基において修飾されてもよい。例えば、ポリペプチドは、反応性アルデヒド基(例えば、反応性アルデヒド)を含むように修飾されてもよい。反応性アルデヒドは、「アルデヒドタグ」または「ald-タグ」中に含まれてもよく、「アルデヒドタグ」または「ald-タグ」は、本明細書において使用される場合、2-ホルミルグリシン残基(本明細書において「FGly」と称される)を含有するようにホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用により変換されたスルファターゼモチーフ(例えば、L(C/S)TPSR)に由来するアミノ酸配列を指す。FGEにより生成されたFGly残基は、「ホルミルグリシン」とも称されることがある。換言すれば、「アルデヒドタグ」という用語は、「変換された」スルファターゼモチーフ(すなわち、システインまたはセリン残基がFGEの作用によりFGlyに変換されたスルファターゼモチーフ、例えば、L(FGly)TPSR)を含むアミノ酸配列を指すために本明細書において使用される。変換されたスルファターゼモチーフは、「変換されていない」スルファターゼモチーフ(すなわち、システインまたはセリン残基がFGEによりFGlyに変換されていないが、変換されることができるスルファターゼモチーフ、例えば、配列:L(C/S)TPSRを有する変換されていないスルファターゼモチーフ)を含むアミノ酸配列に由来してもよい。スルファターゼモチーフに対するホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用の文脈において使用される「変換」は、ホルミルグリシン(FGly)残基へのスルファターゼモチーフ中のシステインまたはセリン残基の生化学的修飾(例えば、CysをFGlyへ、またはSerをFGlyへ)を指す。アルデヒドタグおよび部位特異的なタンパク質修飾におけるその使用の追加の態様は、米国特許第7,985,783号明細書および米国特許第8,729,232号明細書に記載されており、これらのそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0208】
一部の場合には、FGly残基を含有する修飾されたポリペプチドは、化合物(例えば、上記のような、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含有する化合物)とのFGlyの反応により関心対象の部分に共役していてもよい。例えば、FGly含有ポリペプチドを反応性パートナー含有薬物と、ポリペプチドへの薬物の共役を提供するために好適な条件下で接触させてもよい。一部の事例では、反応性パートナー含有薬物は、上記のようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含んでもよい。例えば、薬物または活性剤は、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含むように修飾されてもよい。一部の場合には、薬物または活性剤は、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルに取り付けられる、例えば、リンカー、例えば、本明細書に詳細に記載されるような切断可能なリンカーを通じてヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルに共有結合的に取り付けられる。
【0209】
ある特定の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、少なくとも1つの修飾されたアミノ酸残基を有するポリペプチド(例えば、抗体)を含む。ポリペプチドの修飾されたアミノ酸残基は、上記のようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含有する薬物または活性剤にカップリングされてもよい。ある特定の実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体)の修飾されたアミノ酸残基は、上記のようにFGly残基に変換されたシステインまたはセリン残基に由来してもよい。ある特定の実施形態では、FGly残基は、上記のようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含有する薬物または活性剤に共役して、薬物または活性剤がヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を通じてポリペプチドに共役した本開示のコンジュゲートを提供する。本明細書において使用される場合、FGly’という用語は、関心対象の部分(例えば、薬物または活性剤)にカップリングされるポリペプチド(例えば、抗体)の修飾されたアミノ酸残基を指す。
【0210】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、本明細書に記載されるような少なくとも1つの修飾されたアミノ酸残基を含み、修飾されたアミノ酸残基は、本明細書に記載されるようなリンカー(切断可能なリンカー)に取り付けられており、リンカーは次いで、薬物または活性剤に取り付けられている。例えば、コンジュゲートは、上記のような少なくとも1つの修飾されたアミノ酸残基(FGly’)を含んでもよい。一部の実施形態では、コンジュゲートは、式(I):
【化24】
【0211】
のコンジュゲートであり、式中、
ZはCR4またはNであり、
R1は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
R2およびR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、またはR2およびR3は環状連結されて5もしくは6員のヘテロシクリルを形成していてもよく、
各R4は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R5は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、および置換されたアルキニルから独立して選択され、
各R6は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
kは1~10の整数であり、
R7は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
L1は第1のリンカーであり、
L2は第2のリンカーであり、
W1は薬物であり、かつ
W2は抗体であり、
L1、R6またはR7のうちの1つは第2の切断可能な部分を含む。
【0212】
式(I)のある特定の実施形態では、nは2であり、かつコンジュゲートは、式(Ia):
【化25】
【0213】
のコンジュゲートであり、式中、
R6’またはR6’’のうちの1つは第2の切断可能な部分を含み、かつR6’およびR6’’のうちの他方は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0214】
例えば、コンジュゲートは、式(Ib):
【化26】
【0215】
のコンジュゲートであることができる。
【0216】
他の事例では、コンジュゲートは、式(Ic):
【化27】
【0217】
のコンジュゲートであることができる。
【0218】
式(I)のある特定の実施形態では、kは2であり、かつコンジュゲートは、式(Id):
【化28】
【0219】
のコンジュゲートであり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R7は第2の切断可能な部分を含む。
【0220】
例えば、コンジュゲートは、式(Ie):
【化29】
【0221】
のコンジュゲートであることができる。
【0222】
式(I)のある特定の実施形態では、kは2であり、かつコンジュゲートは、式(If):
【化30】
【0223】
のコンジュゲートであり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R8は第2の切断可能な部分を含む。
【0224】
例えば、コンジュゲートは、式(Ig):
【化31】
【0225】
のコンジュゲートであることができる。
【0226】
式(I)のコンジュゲートに関する置換基は、以下においてより詳細に記載される。式(I)に対する参照は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)および(Ig)も包含することが意図される。
【0227】
ある特定の実施形態では、ZはCR4またはNである。ある特定の実施形態では、ZはCR4である。ある特定の実施形態では、ZはNである。
【0228】
ある特定の実施形態では、R1は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R1は水素である。ある特定の実施形態では、R1はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R1はメチルである。ある特定の実施形態では、R1はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R1はアルキニルまたは置換されたアルキニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R1はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリールである。ある特定の実施形態では、R1はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R1はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R1はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0229】
ある特定の実施形態では、R2およびR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、またはR2およびR3は環状連結されて5もしくは6員のヘテロシクリルを形成していてもよい。
【0230】
ある特定の実施形態では、R2は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R2は水素である。ある特定の実施形態では、R2はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R2はメチルである。ある特定の実施形態では、R2はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R2はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。ある特定の実施形態では、R2はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R2はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R2はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R2はアシルまたはアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R2はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R2はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。ある特定の実施形態では、R2はスルホニルである。ある特定の実施形態では、R2はチオアルコキシまたは置換されたチオアルコキシである。ある特定の実施形態では、R2はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリールである。ある特定の実施形態では、R2はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R2はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R2はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0231】
ある特定の実施形態では、R3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R3は水素である。ある特定の実施形態では、R3はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R3はメチルである。ある特定の実施形態では、R3はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R3はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。ある特定の実施形態では、R3はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R3はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R3はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R3はアシルまたはアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R3はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R3はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。ある特定の実施形態では、R3はスルホニルである。ある特定の実施形態では、R3はチオアルコキシまたは置換されたチオアルコキシである。ある特定の実施形態では、R3はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリールである。ある特定の実施形態では、R3はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R3はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R3はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0232】
ある特定の実施形態では、R2およびR3は環状連結して5または6員のヘテロシクリルを形成していてもよい。ある特定の実施形態では、R2およびR3は環状連結して5または6員のヘテロシクリルを形成している。ある特定の実施形態では、R2およびR3は環状連結して5員のヘテロシクリルを形成している。ある特定の実施形態では、R2およびR3は環状連結して6員のヘテロシクリルを形成している。
【0233】
ある特定の実施形態では、各R4は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0234】
各R4についての様々な可能性は以下のようにより詳細に記載される。ある特定の実施形態では、R4は水素である。ある特定の実施形態では、各R4は水素である。ある特定の実施形態では、R4はハロゲン、例えば、F、Cl、BrまたはIである。ある特定の実施形態では、R4はFである。ある特定の実施形態では、R4はClである。ある特定の実施形態では、R4はBrである。ある特定の実施形態では、R4はIである。ある特定の実施形態では、R4はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R4はメチルである。ある特定の実施形態では、R4はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R4はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。ある特定の実施形態では、R4はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R4はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R4はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R4はアシルまたはアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R4はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R4はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。ある特定の実施形態では、R4はスルホニルである。ある特定の実施形態では、R4はチオアルコキシまたは置換されたチオアルコキシである。ある特定の実施形態では、R4はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリール(例えば、フェニルもしくは置換されたフェニル)である。ある特定の実施形態では、R4はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R4はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R4はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0235】
ある特定の実施形態では、各R5は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、および置換されたアルキニルから独立して選択される。ある特定の実施形態では、R5は水素である。ある特定の実施形態では、R5はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R5はメチルである。ある特定の実施形態では、R5はエチルである。ある特定の実施形態では、R5はプロピル(例えば、n-プロピルまたはイソプロピル)である。ある特定の実施形態では、R5はブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはt-ブチル)である。ある特定の実施形態では、R5はペンチル(例えば、n-ペンチルまたはネオペンチルなど)である。ある特定の実施形態では、R5はネオペンチルである。ある特定の実施形態では、R5はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R5はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。
【0236】
ある特定の実施形態では、各R6は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。ある特定の実施形態では、R6は水素である。ある特定の実施形態では、R6はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R6はメチルである。ある特定の実施形態では、R6はエチルである。ある特定の実施形態では、R6はプロピル(例えば、n-プロピルまたはイソプロピル)である。ある特定の実施形態では、R6はブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはt-ブチル)である。ある特定の実施形態では、R6はペンチル(例えば、n-ペンチルまたはネオペンチルなど)である。ある特定の実施形態では、R6はネオペンチルである。ある特定の実施形態では、R6はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R6はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。
【0237】
ある特定の実施形態では、R6はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリール(例えば、フェニルもしくは置換されたフェニル)である。ある特定の実施形態では、R6はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R6はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R6はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0238】
ある特定の実施形態では、R6はアミノ酸の側鎖を表す。例えば、R6 amyは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびアミノ酸アナログを含む、アミノ酸残基のα炭素に取り付けられた置換基を表す。一部の場合には、R6は、天然に存在するタンパク質中に見出されるアミノ酸の側鎖(例えば、AlaまたはA、CysまたはC、AspまたはD、GluまたはE、PheまたはF、GlyまたはG、HisまたはH、IleまたはI、LysまたはK、LeuまたはL、MetまたはM、AsnまたはN、ProまたはP、GlnまたはQ、ArgまたはR、SerまたはS、ThrまたはT、ValまたはV、TrpまたはW、TyrまたはYの側鎖)を表す。ある特定の実施形態では、R6はバリン(Val)の側鎖を表し、すなわち、R6はイソプロピルである。ある特定の実施形態では、R6はアラニン(Ala)の側鎖を表し、すなわち、R6はメチルである。ある特定の実施形態では、R6はフェニルアラニン(Phe)の側鎖を表し、すなわち、R6はベンジルである。ある特定の実施形態では、R6はリジン(Lys)の側鎖を表し、すなわち、R6は4-アミノ-ブチルである。
【0239】
ある特定の実施形態では、kは1~10の整数である。ある特定の実施形態では、kは1である。ある特定の実施形態では、kは2である。ある特定の実施形態では、kは3である。ある特定の実施形態では、kは4である。ある特定の実施形態では、kは5である。ある特定の実施形態では、kは6である。ある特定の実施形態では、kは7である。ある特定の実施形態では、kは8である。ある特定の実施形態では、kは9である。ある特定の実施形態では、kは10である。
【0240】
ある特定の実施形態では、R7は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0241】
ある特定の実施形態では、R7は水素である。ある特定の実施形態では、R7はハロゲン、例えば、F、Cl、BrまたはIである。ある特定の実施形態では、R7はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R7はメチルである。ある特定の実施形態では、R7はエチルである。ある特定の実施形態では、R7はプロピル(例えば、n-プロピルまたはイソプロピル)である。ある特定の実施形態では、R7はブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはt-ブチル)である。ある特定の実施形態では、R7はペンチル(例えば、n-ペンチルまたはネオペンチルなど)である。ある特定の実施形態では、R7はネオペンチルである。ある特定の実施形態では、R7はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R7はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。
【0242】
ある特定の実施形態では、R7はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R7はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R7はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R7はアシルである。ある特定の実施形態では、R7はアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R7はアシルアミノである。ある特定の実施形態では、R7はアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R7はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。
【0243】
ある特定の実施形態では、R7はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリール(例えば、フェニルもしくは置換されたフェニル)である。ある特定の実施形態では、R7はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R7はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R7はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0244】
ある特定の実施形態では、L1は第1のリンカーである。L1のために好適なリンカーは以下においてより詳細に記載される。
【0245】
ある特定の実施形態では、L2は第2のリンカーである。L2のために好適なリンカーは以下においてより詳細に記載される。
【0246】
ある特定の実施形態では、W1は薬物である。例えば、W1はメイタンシノイドであることができる。メイタンシノイドのさらなる記載は本明細書の開示において見出される。一部の事例では、W1はアウリスタチンである。アウリスタチンのさらなる記載は本明細書の開示において見出される。一部の事例では、W1はデュオカルマイシンである。デュオカルマイシンのさらなる記載は本明細書の開示において見出される。
【0247】
ある特定の実施形態では、W2は抗体である。主題コンジュゲートにおいて用途を有する抗体のさらなる記載は本明細書の開示において見出される。
【0248】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は1または複数のリンカーを含む。リンカーは、カップリング部分を関心対象の1もしくは複数の部分および/または1もしくは複数のポリペプチドに結合するために利用されてもよい。一部の実施形態では、リンカーは、カップリング部分をポリペプチドまたは化学的実体、例えば、薬物のいずれかに結合する。リンカーは、任意の好都合な位置において(例えば、本明細書に記載されるような)カップリング部分に結合(例えば、共有結合)していてもよい。例えば、リンカーは、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を薬物(例えば、メイタンシンまたはアウリスタチン)に取り付けてもよい。ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分は、リンカー(およびそのため薬物)をポリペプチド、例えば、抗体に共役させるために使用されてもよい。例えば、カップリング部分は、リンカー(およびそのため薬物)をポリペプチドの修飾されたアミノ酸残基、例えば、抗体のFGly残基に共役させるために使用されてもよい。
【0249】
ある特定の実施形態では、リンカーは、1または複数のリンカー、例えば、第1のリンカー、L1、および第2のリンカーL2を含む。追加的に、リンカーは、本明細書に記載されるような1または複数の切断可能な部分(例えば、第1の切断可能な部分および第2の切断可能な部分)を含んでもよい。一部の場合には、リンカーは、1または複数のリンカー、例えば、第1のリンカー、L1、および第2のリンカーL2を含む。例えば、リンカーは、第1の切断可能な部分をカップリング部分(例えば、本明細書に記載されるようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分)に連結する第1のリンカー(L1)、および第1の切断可能な部分を化学的実体、例えば、本明細書に記載されるような薬物に連結する第2のリンカー(L2)を含んでもよい。そのため、リンカーは、(例えば、本明細書に記載されるようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を通じて)第1の切断可能な部分を抗体に連結する第1のリンカー(L1)、および第1の切断可能な部分を化学的実体、例えば、本明細書に記載されるような薬物に連結する第2のリンカー(L2)を含んでもよい。
【0250】
例えば、上記の式(I)に示されるように、L1は、カップリング部分を通じてW2に取り付けられており、そのため、W2は、カップリング部分を通じて第1のリンカーL1に間接的に結合している。上記のように、W2は抗体であり、そのため、L1はカップリング部分を通じて抗体に取り付けられており、例えば、第1のリンカーL1はカップリング部分を通じて(例えば、本明細書に記載されるようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を通じて)抗体に間接的に結合している。追加的に、上記の式(I)に示されるように、L1はL2に(間接的に)取り付けられており、かつL2はW1に取り付けられている。上記のように、W1は薬物であり、そのため、第2のリンカーL2は、第1のリンカーL1およびカップリング部分(例えば、本明細書に記載されるようなヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分)を通じて薬物を抗体W2に取り付ける。
【0251】
主題コンジュゲートおよび化合物における第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)のために任意の好都合なリンカーが利用されてもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アルキルまたは置換されたアルキル基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アルケニルまたは置換されたアルケニル基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アルキニルまたは置換されたアルキニル基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アルコキシまたは置換されたアルコキシ基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アミノまたは置換されたアミノ基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、カルボキシルまたはカルボキシルエステル基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アシルアミノ基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アルキルアミドまたは置換されたアルキルアミド基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、アリールまたは置換されたアリール基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、ヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、シクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、ヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル基を含んでもよい。
【0252】
ある特定の実施形態では、第1のリンカー(L1)および第2のリンカー(L2)は、それぞれ独立して、ポリマーを含んでもよい。例えば、ポリマーは、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体を含んでもよく、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体としては、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールホモポリマー、ポリプロピレングリコールホモポリマー、プロピレングリコールとのエチレングリコールのコポリマー(例えば、ホモポリマーおよびコポリマーは非置換であり、または1端においてアルキル基で置換されている)、ポリビニルアルコール、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルピロリドン、およびこれらの組合せなどが挙げられる。ある特定の実施形態では、ポリマーはポリアルキレングリコールである。ある特定の実施形態では、ポリマーはポリエチレングリコールである。以下においてより詳細に記載されるコンジュゲートおよび化合物に示されるように、他のリンカーもまた可能である。
【0253】
一部の実施形態では、L1は、式-(L11)a-(L12)b-(L13)c-(L14)d-により記載される第1のリンカーであり、式中、L11、L12、L13およびL14はそれぞれ独立して第1のリンカーサブユニットであり、かつa、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、a、b、cおよびdの和は1~4である。
【0254】
ある特定の実施形態では、a、b、cおよびdの和は1である。ある特定の実施形態では、a、b、cおよびdの和は2である。ある特定の実施形態では、a、b、cおよびdの和は3である。ある特定の実施形態では、a、b、cおよびdの和は4である。ある特定の実施形態では、a、b、cおよびdはそれぞれ1である。ある特定の実施形態では、a、bおよびcはそれぞれ1であり、かつdは0である。ある特定の実施形態では、aおよびbはそれぞれ1であり、かつcおよびdはそれぞれ0である。ある特定の実施形態では、aは1であり、かつb、cおよびdはそれぞれ0である。
【0255】
ある特定の実施形態では、L11は、(例えば、上記の式(I)に示されるような)ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L12が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L13が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L14が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。
【0256】
任意の好都合なリンカーサブユニットが第1のリンカーL1において利用されてもよい。関心対象のリンカーサブユニットとしては、ポリマーの単位、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンおよびポリアクリレート、(1または複数の)アミノ酸残基、炭水化物ベースのポリマーまたは炭水化物残基およびこれらの誘導体、ポリヌクレオチド、アルキル基、アリール基、複素環式基、これらの組合せ、ならびにこれらの置換されたバージョンが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、L11、L12、L13およびL14(存在する場合)のそれぞれは、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、およびジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)から独立して選択される1または複数の基を含む。
【0257】
一部の実施形態では、L11(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L11はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L11は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L11はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L11はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L11はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L11はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0258】
一部の実施形態では、L12(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L12はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L12は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L12はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L12はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L12はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L12はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0259】
一部の実施形態では、L13(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L13はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L13は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L13はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L13はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L13はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L13はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0260】
一部の実施形態では、L14(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L14はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L14は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L14はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L14はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L14はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L14はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0261】
一部の実施形態では、L1は、(L11)a-(L12)b-(L13)c-(L14)d-を含む第1のリンカーであり、式中、
-(L11)a-は-(T1-V1)a-であり、
-(L12)b-は-(T2-V2)b-であり、
-(L13)c-は-(T3-V3)c-であり、かつ
-(L14)d-は-(T4-V4)d-であり、
T1、T2、T3およびT4が存在する場合、それらはテザー基であり、
V1、V2、V3およびV4が存在する場合、それらは共有結合または連結性官能基であり、かつ
a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、a、b、cおよびdの和は1~4である。
【0262】
上記のように、ある特定の実施形態では、L11は、(例えば、上記の式(I)に示されるような)ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T1は、(例えば、上記の式(I)に示されるような)ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、V1は第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L12が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T2が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられており、またはV2が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L13が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T3が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられており、またはV3が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L14が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T4が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられており、またはV4が存在する場合、それは第1の切断可能な部分に取り付けられている。
【0263】
テザー基、T1、T2、T3およびT4に関して、任意の好都合なテザー基が主題リンカーにおいて利用されてもよい。一部の実施形態では、T1、T2、T3およびT4のそれぞれは、(C1~C12)アルキル、置換された(C1~C12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)w、(PEG)n、(AA)p、-(CR13OH)h-、ピペリジン-4-アミノ(4AP)、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、およびエステルから独立して選択される1または複数の基を含み、wは1~20の整数であり、nは1~30の整数であり、pは1~20の整数であり、かつhは1~12の整数である。
【0264】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)は(C1~C12)アルキルまたは置換された(C1~C12)アルキルを含む。ある特定の実施形態では、(C1~C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、または1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子、または1~5個の炭素原子、または1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状アルキル基である。一部の事例では、(C1~C12)アルキルは、アルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~C12アルキル、またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C3アルキルであってもよい。一部の事例では、(C1~C12)アルキルはC2-アルキルである。例えば、(C1~C12)アルキルは、アルキレンまたは置換されたアルキレン、例えば、C1~C12アルキレン、またはC1~C10アルキレン、またはC1~C6アルキレン、またはC1~C3アルキレンであってもよい。一部の事例では、(C1~C12)アルキルはC2-アルキレン(例えば、CH2CH2)である。
【0265】
ある特定の実施形態では、置換された(C1~C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、または1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子、または1~5個の炭素原子、または1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の置換されたアルキル基である。一部の事例では、置換された(C1~C12)アルキルは、置換されたアルキル、例えば、置換されたC1~C12アルキル、または置換されたC1~C10アルキル、または置換されたC1~C6アルキル、または置換されたC1~C3アルキルであってもよい。一部の事例では、置換された(C1~C12)アルキルは置換されたC2-アルキルである。例えば、置換された(C1~C12)アルキルは、置換されたアルキレン、例えば、置換されたC1~C12アルキレン、または置換されたC1~C10アルキレン、または置換されたC1~C6アルキレン、または置換されたC1~C3アルキレンであってもよい。一部の事例では、置換された(C1~C12)アルキルは置換されたC2-アルキレンである。
【0266】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換されたヘテロシクリルを含む。一部の事例では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)はアリールまたは置換されたアリールを含む。例えば、アリールはフェニルであることができる。一部の場合には、置換されたアリールは置換されたフェニルである。置換されたフェニルは、(C1~C12)アルキル、置換された(C1~C12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される1または複数の置換基で置換されることができる。一部の事例では、置換されたアリールは置換されたフェニルであり、置換基は、本明細書に記載されるような第2の切断可能な部分(例えば、酵素的に切断可能な部分、例えば、グリコシド)を含む。
【0267】
一部の事例では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリールを含む。一部の事例では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキルを含む。一部の事例では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリルを含む。一部の事例では、置換されたヘテロアリール、置換されたシクロアルキルまたは置換されたヘテロシクリル上の置換基は、本明細書に記載されるような第2の切断可能な部分(例えば、酵素的に切断可能な部分、例えば、グリコシド)を含む。
【0268】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T
1、T
2、T
3および/またはT
4)は、エチレンジアミン(EDA)部分、例えば、EDA含有テザーを含む。ある特定の実施形態では、(EDA)
wは1または複数のEDA部分を含み、例えば、wは1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12または1~6、例えば、1、2、3、4、5または6)の整数である。連結されたエチレンジアミン(EDA)部分は、1または複数の好都合な位置において任意の好都合な置換基、例えば、アルキル、置換されたアルキル、アシル、置換されたアシル、アリールまたは置換されたアリールで置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、EDA部分は、構造:
【化32】
【0269】
により記載され、yは1~6の整数であり、または0もしくは1であり、かつ各R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。ある特定の実施形態では、yは、1、2、3、4、5または6である。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつrは0である。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつrは1である。ある特定の実施形態では、yは2であり、かつrは0である。ある特定の実施形態では、yは2であり、かつrは1である。ある特定の実施形態では、各R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリールおよび置換されたアリールから独立して選択される。ある特定の実施形態では、EDAの任意の2個の隣接するR12基は、環状連結されて、例えば、ピペラジニル環を形成していてもよい。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつ2個の隣接するR12基はアルキル基であり、環状連結されてピペラジニル環を形成している。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつ隣接するR12基は、水素、アルキル(例えば、メチル)および置換されたアルキル(例えば、低級アルキル-OH、例えば、エチル-OHまたはプロピル-OH)から選択される。
【0270】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T
1、T
2、T
3および/またはT
4)は4-アミノ-ピペリジン(4AP)部分(本明細書においてピペリジン-4-アミノ、P4Aと称されることもある)を含む。4AP部分は、1または複数の好都合な位置において任意の好都合な置換基、例えば、アルキル、置換されたアルキル、ポリエチレングリコール部分、アシル、置換されたアシル、アリールまたは置換されたアリールで置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、4AP部分は、構造:
【化33】
【0271】
により記載され、R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、ポリエチレングリコール部分(例えば、ポリエチレングリコールまたは修飾されたポリエチレングリコール)、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R12はポリエチレングリコール部分である。ある特定の実施形態では、R12は、カルボキシ修飾されたポリエチレングリコールである。
【0272】
ある特定の実施形態では、R
12は、構造:
【化34】
【0273】
により表され得る式:(PEG)kにより記載されるポリエチレングリコール部分を含み、kは1~20、例えば、1~18、または1~16、または1~14、または1~12、または1~10、または1~8、または1~6、または1~4、または1または2、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の整数である。一部の事例では、kは2である。ある特定の実施形態では、R17は、OH、COOH、またはCOORから選択され、Rは、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R17はCOOHである。
【0274】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T
1、T
2、T
3および/またはT
4)は(PEG)
nを含み、(PEG)
nは、ポリエチレングリコールまたは修飾されたポリエチレングリコール連結単位である。ある特定の実施形態では、(PEG)
nは、構造:
【化35】
【0275】
により記載され、nは1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12または1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の整数である。一部の事例では、nは2である。一部の事例では、nは3である。一部の事例では、nは6である。一部の事例では、nは12である。
【0276】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)は(AA)pを含み、AAはアミノ酸残基である。任意の好都合なアミノ酸が利用されてもよい。関心対象のアミノ酸としては、L-およびD-アミノ酸、天然に存在するアミノ酸、例えば、20個の主要なアルファ-アミノ酸およびベータ-アラニンのいずれか、天然に存在しないアミノ酸(例えば、アミノ酸アナログ)、例えば、天然に存在しないアルファ-アミノ酸または天然に存在しないベータ-アミノ酸などが挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、pは1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12または1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の整数である。ある特定の実施形態では、pは1である。ある特定の実施形態では、pは2である。
【0277】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T1、T2、T3および/またはT4)は、式-(CR13OH)h-により記載される部分を含み、hは0であり、またはnは1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12または1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の整数である。ある特定の実施形態では、hは1である。ある特定の実施形態では、hは2である。ある特定の実施形態では、R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R13は水素である。ある特定の実施形態では、R13はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R13はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R13はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。ある特定の実施形態では、R13はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R13はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R13はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R13はアシルまたはアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R13はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R13はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。ある特定の実施形態では、R13はスルホニルである。ある特定の実施形態では、R13はチオアルコキシまたは置換されたチオアルコキシである。ある特定の実施形態では、R13はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリールである。ある特定の実施形態では、R13はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R13はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R13はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0278】
ある特定の実施形態では、R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリールおよび置換されたアリールから選択される。これらの実施形態では、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールは、R13について上記される通りである。
【0279】
連結性官能基、V1、V2、V3およびV4に関して、任意の好都合な連結性官能基が第1のリンカーL1において利用されてもよい。関心対象の連結性官能基としては、アミノ、カルボニル、アミド、オキシカルボニル、カルボキシ、スルホニル、スルホキシド、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、チオ、オキシ、ホスホ、ホスホロアミデート、およびチオホスホロアミデートなどが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、V1、V2、V3およびV4は、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH2)q-、-NR15(C6H4)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-SO2NR15-、-NR15SO2-および-P(O)OH-からそれぞれ独立して選択され、qは1~6の整数である。ある特定の実施形態では、qは1~6の整数(例えば、1、2、3、4、5または6)である。ある特定の実施形態では、qは1である。ある特定の実施形態では、qは2である。
【0280】
一部の実施形態では、各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0281】
各R15についての様々な可能性は以下のようにより詳細に記載される。ある特定の実施形態では、R15は水素である。ある特定の実施形態では、各R15は水素である。ある特定の実施形態では、R15はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R15はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R15はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。ある特定の実施形態では、R15はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R15はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R15はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R15はアシルまたはアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R15はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R15はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。ある特定の実施形態では、R15はスルホニルである。ある特定の実施形態では、R15はチオアルコキシまたは置換されたチオアルコキシである。ある特定の実施形態では、R15はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリールである。ある特定の実施形態では、R15はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R15はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R15はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0282】
ある特定の実施形態では、各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。これらの実施形態では、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルの置換基は、R15について上記される通りである。
【0283】
ある特定の実施形態では、テザー基は、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、またはエステルを含む。一部の実施形態では、テザー基はアセタール基を含む。一部の実施形態では、テザー基はジスルフィドを含む。一部の実施形態では、テザー基はヒドラジンを含む。一部の実施形態では、テザー基はエステルを含む。
【0284】
上記のように、一部の実施形態では、L1は、-(T1-V1)a-(T2-V2)b-(T3-V3)c-(T4-V4)d-を含む第1のリンカーであり、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0または1であり、a、b、cおよびdの和は1~4である。
【0285】
一部の実施形態では、第1のリンカーL
1において、
T
1は、(C
1~C
12)アルキルおよび置換された(C
1~C
12)アルキルから選択され、
T
2、T
3およびT
4は、(C
1~C
12)アルキル、置換された(C
1~C
12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)
w、(PEG)
n、(AA)
p、-(CR
13OH)
h-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、かつ
V
1、V
2、V
3およびV
4は、共有結合、-CO-、-NR
15-、-NR
15(CH
2)
q-、-NR
15(C
6H
4)-、-CONR
15-、-NR
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-SO
2NR
15-、-NR
15SO
2-および-P(O)OH-からそれぞれ独立して選択され、qは1~6の整数であり、
(PEG)
nは、
【化36】
【0286】
であり、nは1~30の整数であり、
EDAは、以下の構造:
【化37】
【0287】
を有するエチレンジアミン部分であり、yは1~6の整数であり、かつrは0または1であり、
4-アミノ-ピペリジン(4AP)は、
【化38】
【0288】
であり、AAはアミノ酸残基であり、pは1~20の整数であり、かつ
各R15およびR12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリールおよび置換されたアリールから独立して選択され、任意の2個の隣接するR12基は環状連結されてピペラジニル環を形成していてもよく、かつ
R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから選択される。
【0289】
ある特定の実施形態では、T1、T2、T3およびT4ならびにV1、V2、V3およびV4は、以下:
T1は(C1~C12)アルキルであり、かつV1は-CO-である;
T2は4APであり、かつV2は共有結合である;
T3は(PEG)nであり、かつV3は-CO-である;ならびに
T4およびV4は存在しない
から選択される。
【0290】
例えば、T1、T2、T3およびT4ならびにV1、V2、V3およびV4は、以下:
T1はCH2CH2であり、かつV1は-CO-である;
T2は4APであり、かつV2は共有結合である;
T3は(PEG)2であり、かつV3は-CO-である;ならびに
T4およびV4は存在しない
から選択されることができる。
【0291】
ある特定の実施形態では、T1、T2、T3およびT4ならびにV1、V2、V3およびV4は、以下:
T1は(C1~C12)アルキルであり、かつV1は-CO-である;
T2は4APであり、かつV2は共有結合である;
T3は(PEG)nであり、かつV3は-CONH-である;および
T4はアリールまたは置換されたアリールであり、かつV4は-CO-である
から選択される。
【0292】
例えば、T1、T2、T3およびT4ならびにV1、V2、V3およびV4は、以下:
T1はCH2CH2であり、かつV1は-CO-である;
T2は4APであり、かつV2は共有結合である;
T3は(PEG)2であり、かつV3は-CONH-である;および
T4はフェニルまたは置換されたフェニルであり、かつV4は-CO-である
から選択されることができる。
【0293】
ある特定の実施形態では、第1のリンカーL
1は、以下の構造:
【化39】
【0294】
により記載される。
【0295】
ある特定の実施形態では、第1のリンカーL
1は、以下の構造:
【化40】
【0296】
により記載される。
【0297】
ある特定の実施形態では、第1のリンカーL
1は、以下の構造:
【化41】
【0298】
により記載される。
【0299】
ある特定の実施形態では、上記のリンカー構造の左手側はヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分に取り付けられており、かつ上記のリンカー構造の右手側は第1の切断可能な部分に取り付けられている。例えば、第1の切断可能な部分がペプチドを含む場合、上記のリンカー構造の右手側は、第1の切断可能な部分を含むペプチドのアミノ酸に取り付けられることができる。一部の事例では、上記のリンカー構造の右手側のカルボニル基は、第1の切断可能な部分を含むペプチドのアミノ酸とアミド結合を形成することができる。
【0300】
一部の実施形態では、L2は、式-(L21)e-(L22)f-(L23)g-(L24)h-により記載される第2のリンカーであり、L21、L22、L23およびL24はそれぞれ独立して第2のリンカーサブユニットであり、かつe、f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり、e、f、gおよびhの和は0~4である。
【0301】
ある特定の実施形態では、e、f、gおよびhの和は0である。これらの事例において、第2のリンカーL2は存在しない。換言すれば、e、f、gおよびhの和が0である場合、第2のリンカーL2は共有結合である。ある特定の実施形態では、e、f、gおよびhの和は1である。ある特定の実施形態では、e、f、gおよびhの和は2である。ある特定の実施形態では、e、f、gおよびhの和は3である。ある特定の実施形態では、e、f、gおよびhの和は4である。ある特定の実施形態では、e、f、gおよびhはそれぞれ1である。ある特定の実施形態では、e、fおよびgはそれぞれ1であり、かつhは0である。ある特定の実施形態では、eおよびfはそれぞれ1であり、かつgおよびhはそれぞれ0である。ある特定の実施形態では、eは1であり、かつf、gおよびhはそれぞれ0である。
【0302】
ある特定の実施形態では、L21は薬物(例えば、上記の式(I)に示されるようなW1)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L22が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L23が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L24が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。
【0303】
任意の好都合なリンカーサブユニットが第2のリンカーL2において利用されてもよい。関心対象のリンカーサブユニットとしては、ポリマーの単位、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンおよびポリアクリレート、(1または複数の)アミノ酸残基、炭水化物ベースのポリマーまたは炭水化物残基およびこれらの誘導体、ポリヌクレオチド、アルキル基、アリール基、複素環式基、これらの組合せ、ならびにこれらの置換されたバージョンが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、L21、L22、L23およびL24(存在する場合)のそれぞれは、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、およびジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)から独立して選択される1または複数の基を含む。
【0304】
一部の実施形態では、L21(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L21はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L21は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L21はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L21はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L21はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L21はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0305】
一部の実施形態では、L22(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L22はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L22は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L22はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L22はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L22はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L22はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0306】
一部の実施形態では、L23(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L23はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L23は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L23はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L23はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L23はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L23はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0307】
一部の実施形態では、L24(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾されたポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換されたアルキル、アリール基、置換されたアリール基、またはジアミンを含む。一部の実施形態では、L24はポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L24は修飾されたポリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、L24はアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、L24はアルキル基または置換されたアルキルを含む。一部の実施形態では、L24はアリール基または置換されたアリール基を含む。一部の実施形態では、L24はジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0308】
一部の実施形態では、L2は、-(L21)e-(L22)f-(L23)g-(L24)h-を含む第2のリンカーであり、
-(L21)e-は-(T5-V5)e-であり、
-(L22)f-は-(T6-V6)f-であり、
-(L23)g-は-(T7-V7)g-であり、かつ
-(L24)h-は-(T8-V8)h-であり、
T5、T6、T7およびT8が存在する場合、それらはテザー基であり、
V5、V6、V7およびV8が存在する場合、それらは共有結合または連結性官能基であり、かつ
e、f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり、e、f、gおよびhの和は0~4である。
【0309】
ある特定の実施形態では、L21は第1の切断可能な部分に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T5は第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、V5は薬物(例えば、上記の式(I)に示されるようなW1)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L22が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T6が存在する場合、それは薬物に取り付けられており、またはV6が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L23が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T7が存在する場合、それは薬物に取り付けられており、またはV7が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L24が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T8が存在する場合、それは薬物に取り付けられており、またはV8が存在する場合、それは薬物に取り付けられている。
【0310】
テザー基、T5、T6、T7およびT8に関して、任意の好都合なテザー基が主題リンカーにおいて利用されてもよい。一部の実施形態では、T5、T6、T7およびT8のそれぞれは、(C1~C12)アルキル、置換された(C1~C12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリル、(EDA)w、(PEG)n、(AA)p、-(CR13OH)h-、ピペリジン-4-アミノ(4AP)、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、およびエステルから独立して選択される1または複数の基を含み、wは1~20の整数であり、nは1~30の整数であり、pは1~20の整数であり、かつhは1~12の整数である。
【0311】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T5、T6、T7および/またはT8)は(C1~C12)アルキルまたは置換された(C1~C12)アルキルを含む。ある特定の実施形態では、(C1~C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、または1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子、または1~5個の炭素原子、または1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状アルキル基である。一部の事例では、(C1~C12)アルキルは、アルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~C12アルキル、またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C3アルキルであってもよい。一部の事例では、(C1~C12)アルキルはC2-アルキルである。例えば、(C1~C12)アルキルは、アルキレンまたは置換されたアルキレン、例えば、C1~C12アルキレン、またはC1~C10アルキレン、またはC1~C6アルキレン、またはC1~C3アルキレンであってもよい。一部の事例では、(C1~C12)アルキルはC2-アルキレン(例えば、CH2CH2)である。一部の事例では、(C1~C12)アルキルはC1-アルキレン(例えば、CH2)である。
【0312】
ある特定の実施形態では、置換された(C1~C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、または1~8個の炭素原子、または1~6個の炭素原子、または1~5個の炭素原子、または1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖状の置換されたアルキル基である。一部の事例では、置換された(C1~C12)アルキルは、置換されたアルキル、例えば、置換されたC1~C12アルキル、または置換されたC1~C10アルキル、または置換されたC1~C6アルキル、または置換されたC1~C3アルキルであってもよい。一部の事例では、置換された(C1~C12)アルキルは置換されたC2-アルキルである。例えば、置換された(C1~C12)アルキルは、置換されたアルキレン、例えば、置換されたC1~C12アルキレン、または置換されたC1~C10アルキレン、または置換されたC1~C6アルキレン、または置換されたC1~C3アルキレンであってもよい。一部の事例では、置換された(C1~C12)アルキルは置換されたC2-アルキレンである。一部の事例では、置換された(C1~C12)アルキルは置換されたC1-アルキレンである。
【0313】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T5、T6、T7および/またはT8)は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換されたヘテロシクリルを含む。一部の事例では、テザー基はアリールまたは置換されたアリールを含む。例えば、アリールはフェニルまたは置換されたフェニルであることができる。一部の事例では、テザー基(例えば、T5、T6、T7および/またはT8)はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリールを含む。一部の事例では、テザー基(例えば、T5、T6、T7および/またはT8)はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキルを含む。一部の事例では、テザー基(例えば、T5、T6、T7および/またはT8)はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリルを含む。
【0314】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T
5、T
6、T
7および/またはT
8)は、エチレンジアミン(EDA)部分、例えば、上記のようなEDA部分、例えば、構造:
【化42】
【0315】
により記載されるEDA部分を含み、
yは1~6の整数であり、または0もしくは1であり、かつ各R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。ある特定の実施形態では、yは、1、2、3、4、5または6である。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつrは0である。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつrは1である。ある特定の実施形態では、yは2であり、かつrは0である。ある特定の実施形態では、yは2であり、かつrは1である。ある特定の実施形態では、各R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリールおよび置換されたアリールから独立して選択される。ある特定の実施形態では、EDAの任意の2個の隣接するR12基は、環状連結されて、例えば、ピペラジニル環を形成していてもよい。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつ2個の隣接するR12基はアルキル基であり、環状連結されてピペラジニル環を形成している。ある特定の実施形態では、yは1であり、かつ隣接するR12基は、水素、アルキル(例えば、メチル)および置換されたアルキル(例えば、低級アルキル-OH、例えば、エチル-OHまたはプロピル-OH)から選択される。
【0316】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T
5、T
6、T
7および/またはT
8)は、上記のような4-アミノ-ピペリジン(4AP)部分、例えば、構造:
【化43】
【0317】
により記載される4AP部分を含み、
R12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、ポリエチレングリコール部分(例えば、ポリエチレングリコールまたは修飾されたポリエチレングリコール)、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R12はポリエチレングリコール部分である。ある特定の実施形態では、R12は、カルボキシ修飾されたポリエチレングリコールである。
【0318】
ある特定の実施形態では、R
12は、構造:
【化44】
【0319】
により表され得る式:(PEG)kにより記載されるポリエチレングリコール部分を含み、kは1~20、例えば、1~18、または1~16、または1~14、または1~12、または1~10、または1~8、または1~6、または1~4、または1または2、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の整数である。一部の事例では、kは2である。ある特定の実施形態では、R17は、OH、COOH、またはCOORから選択され、Rは、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R17はCOOHである。
【0320】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T
5、T
6、T
7および/またはT
8)は、上記のようなポリエチレングリコール部分(PEG)
n、例えば、構造:
【化45】
【0321】
により記載される(PEG)n部分を含み、
nは1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12または1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の整数である。一部の事例では、nは2である。一部の事例では、nは3である。一部の事例では、nは6である。一部の事例では、nは12である。
【0322】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T5、T6、T7および/またはT8)は(AA)pを含み、AAはアミノ酸残基である。任意の好都合なアミノ酸が利用されてもよい。関心対象のアミノ酸としては、L-およびD-アミノ酸、天然に存在するアミノ酸、例えば、20個の主要なアルファ-アミノ酸およびベータ-アラニンのいずれか、天然に存在しないアミノ酸(例えば、アミノ酸アナログ)、例えば、天然に存在しないアルファ-アミノ酸または天然に存在しないベータ-アミノ酸などが挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、pは1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12または1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の整数である。ある特定の実施形態では、pは1である。ある特定の実施形態では、pは2である。
【0323】
ある特定の実施形態では、テザー基(例えば、T5、T6、T7および/またはT8)は、式-(CR13OH)h-により記載される部分を含み、hは0であり、またはnは1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12または1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の整数である。ある特定の実施形態では、hは1である。ある特定の実施形態では、hは2である。ある特定の実施形態では、R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。ある特定の実施形態では、R13は水素である。ある特定の実施形態では、R13はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R13はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R13はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。ある特定の実施形態では、R13はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R13はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R13はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R13はアシルまたはアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R13はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R13はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。ある特定の実施形態では、R13はスルホニルである。ある特定の実施形態では、R13はチオアルコキシまたは置換されたチオアルコキシである。ある特定の実施形態では、R13はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリールである。ある特定の実施形態では、R13はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R13はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R13はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0324】
ある特定の実施形態では、R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリールおよび置換されたアリールから選択される。これらの実施形態では、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールは、R13について上記される通りである。
【0325】
連結性官能基、V5、V6、V7およびV8に関して、任意の好都合な連結性官能基が第2のリンカーL2において利用されてもよい。関心対象の連結性官能基としては、アミノ、カルボニル、アミド、オキシカルボニル、カルボキシ、スルホニル、スルホキシド、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、チオ、オキシ、ホスホ、ホスホロアミデート、およびチオホスホロアミデートなどが挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、V5、V6、V7およびV8は、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH2)q-、-NR15(C6H4)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-SO2NR15-、-NR15SO2-および-P(O)OH-からそれぞれ独立して選択され、qは1~6の整数である。ある特定の実施形態では、qは1~6の整数(例えば、1、2、3、4、5または6)である。ある特定の実施形態では、qは1である。ある特定の実施形態では、qは2である。
【0326】
一部の実施形態では、各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0327】
各R15についての様々な可能性は以下のようにより詳細に記載される。ある特定の実施形態では、R15は水素である。ある特定の実施形態では、各R15は水素である。ある特定の実施形態では、R15はアルキルまたは置換されたアルキル、例えば、C1~6アルキルもしくはC1~6の置換されたアルキル、またはC1~4アルキルもしくはC1~4の置換されたアルキル、またはC1~3アルキルもしくはC1~3の置換されたアルキルである。ある特定の実施形態では、R15はアルケニルまたは置換されたアルケニル、例えば、C2~6アルケニルもしくはC2~6の置換されたアルケニル、またはC2~4アルケニルもしくはC2~4の置換されたアルケニル、またはC2~3アルケニルもしくはC2~3の置換されたアルケニルである。ある特定の実施形態では、R15はアルキニルまたは置換されたアルキニルである。ある特定の実施形態では、R15はアルコキシまたは置換されたアルコキシである。ある特定の実施形態では、R15はアミノまたは置換されたアミノである。ある特定の実施形態では、R15はカルボキシルまたはカルボキシルエステルである。ある特定の実施形態では、R15はアシルまたはアシルオキシである。ある特定の実施形態では、R15はアシルアミノまたはアミノアシルである。ある特定の実施形態では、R15はアルキルアミドまたは置換されたアルキルアミドである。ある特定の実施形態では、R15はスルホニルである。ある特定の実施形態では、R15はチオアルコキシまたは置換されたチオアルコキシである。ある特定の実施形態では、R15はアリールまたは置換されたアリール、例えば、C5~8アリールまたはC5~8の置換されたアリール、例えば、C5アリールもしくはC5の置換されたアリール、またはC6アリールもしくはC6の置換されたアリールである。ある特定の実施形態では、R15はヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリールまたはC5~8の置換されたヘテロアリール、例えば、C5ヘテロアリールもしくはC5の置換されたヘテロアリール、またはC6ヘテロアリールもしくはC6の置換されたヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、R15はシクロアルキルまたは置換されたシクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキルまたはC3~8の置換されたシクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキルもしくはC3~6の置換されたシクロアルキル、またはC3~5シクロアルキルもしくはC3~5の置換されたシクロアルキルである。ある特定の実施形態では、R15はヘテロシクリルまたは置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリルまたはC3~8の置換されたヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリルもしくはC3~6の置換されたヘテロシクリル、またはC3~5ヘテロシクリルもしくはC3~5の置換されたヘテロシクリルである。
【0328】
ある特定の実施形態では、各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。これらの実施形態では、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルの置換基は、R15について上記される通りである。
【0329】
ある特定の実施形態では、テザー基は、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、またはエステルを含む。一部の実施形態では、テザー基はアセタール基を含む。一部の実施形態では、テザー基はジスルフィドを含む。一部の実施形態では、テザー基はヒドラジンを含む。一部の実施形態では、テザー基はエステルを含む。
【0330】
上記のように、一部の実施形態では、L2は、-(T5-V5)e-(T6-V6)f-(T7-V7)g-(T8-V8)h-を含む第2のリンカーであり、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり、e、f、gおよびhの和は0~4である。
【0331】
一部の実施形態では、第2のリンカーL
2において、
T
5、T
6、T
7およびT
8は、(C
1~C
12)アルキル、置換された(C
1~C
12)アルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換されたヘテロシクリル、(EDA)
w、(PEG)
n、(AA)
p、-(CR
13OH)
h-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、およびエステルからそれぞれ独立して選択され、かつ
V
5、V
6、V
7およびV
8は、共有結合、-CO-、-NR
15-、-NR
15(CH
2)
q-、-NR
15(C
6H
4)-、-CONR
15-、-NR
15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO
2-、-SO
2NR
15-、-NR
15SO
2-および-P(O)OH-からそれぞれ独立して選択され、qは1~6の整数であり、
(PEG)
nは、
【化46】
【0332】
であり、nは1~30の整数であり、
EDAは、以下の構造:
【化47】
【0333】
を有するエチレンジアミン部分であり、yは1~6の整数であり、かつrは0または1であり、
4-アミノ-ピペリジン(4AP)は、
【化48】
【0334】
であり、AAはアミノ酸残基であり、pは1~20の整数であり、
各R13は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリールから独立して選択され、かつ
各R15は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択される。
【0335】
ある特定の実施形態では、T5、T6、T7およびT8ならびにV5、V6、V7およびV8は、以下:
T5は共有結合であり、かつV5は-OC(O)-である;
T6およびV6は存在しない;
T7およびV7は存在しない;ならびに
T8およびV8は存在しない
から選択される。
【0336】
ある特定の実施形態では、T5、T6、T7およびT8ならびにV5、V6、V7およびV8は存在しない(すなわち、e、f、g、およびhの和は0である)。
【0337】
ある特定の実施形態では、上記のリンカー構造の左手側は第1の切断可能な部分に取り付けられており、かつ上記のリンカー構造の右手側は薬物に取り付けられている。
【0338】
上記の構造に示される任意の化学的実体、リンカーおよびカップリング部分は、主題化合物およびコンジュゲートにおける使用のために適合されてもよい。
【0339】
ヒドラジニル-インドリルおよびヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物ならびにコンジュゲートを製造する方法に関する追加の開示は、米国特許第9,310,374号明細書および米国特許第9,493,413号明細書に見出され、これらのそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0340】
コンジュゲートを製造するために有用な化合物
本開示は、本明細書に記載のコンジュゲートを製造するために有用なヒドラジニル-インドリルおよびヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物を提供する。ある特定の実施形態では、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物は、抗体および薬物の共役のために有用なカップリング部分であってもよい。例えば、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物は、抗体に結合し、かつ薬物にも結合して、抗体および薬物を間接的に結合させていてもよい。
【0341】
ある特定の実施形態では、化合物は、式(II):
【化49】
【0342】
の化合物であり、式中、
ZはCR4またはNであり、
R2およびR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、またはR2およびR3は環状連結されて5もしくは6員のヘテロシクリルを形成していてもよく、
各R4は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R5は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
各R6は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、
kは1~10の整数であり、
R7は、水素、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換されたアルキルアミド、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択され、
L1は第1のリンカーであり、
L2は第2のリンカーであり、かつ
W1は薬物であり、
L1、R6またはR7のうちの1つは第2の切断可能な部分を含む。
【0343】
一部の事例では、kは2であり、かつ化合物は、式(IIa):
【化50】
【0344】
の化合物であり、式中、
R6’またはR6’’のうちの1つは第2の切断可能な部分を含み、かつR6’およびR6’’のうちの他方は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0345】
【0346】
の化合物であってもよい。
【0347】
一部の事例では、化合物は、式(IIc):
【化52】
【0348】
の化合物であってもよい。
【0349】
ある特定の実施形態では、kは2であり、かつ化合物は、式(IId):
【化53】
【0350】
の化合物であり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R7は第2の切断可能な部分を含む。
【0351】
【0352】
の化合物であってもよい。
【0353】
ある特定の実施形態では、kは2であり、かつ化合物は、式(IIf):
【化55】
【0354】
の化合物であり、式中、
R6’およびR6’’は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、かつ
R8は第2の切断可能な部分を含む。
【0355】
【0356】
の化合物であってもよい。
【0357】
式(II)のコンジュゲートに関する置換基は、本明細書に記載される。式(II)に対する参照は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)および(IIg)も包含することが意図される。
【0358】
式(II)の化合物に関して、置換基Z、R2、R3、R4、R5、L1、L2、およびW1は、式(I)のコンジュゲートに関して上記される通りである。同様に、式(II)の第1のリンカーL1および第2のリンカーL2に関して、T1、T2、T3、T4、V1、V2、V3、およびV4、およびT5、T6、T7、T8、V5、V6、V7およびV8の置換基は、式(I)のコンジュゲートに関して上記される通りである。
【0359】
ある特定の実施形態では、化合物は、以下の構造:
【化57】
【0360】
の化合物である。
【0361】
【0362】
を有することができる。
【0363】
ある特定の実施形態では、化合物は、以下の構造:
【化59】
【0364】
の化合物である。
【0365】
【0366】
を有することができる。
【0367】
ある特定の実施形態では、化合物は、以下の構造:
【化61】
【0368】
の化合物である。
【0369】
【0370】
を有することができる。
【0371】
ある特定の実施形態では、化合物は、以下の構造:
【化63】
【0372】
の化合物である。
【0373】
【0374】
を有することができる。
【0375】
ある特定の実施形態では、化合物は、以下の構造:
【化65】
【0376】
の化合物である。
【0377】
【0378】
を有することができる。
【0379】
抗体
上述したように、主題コンジュゲートは、置換基としてW2抗体を含むことができ、抗体は、2-ホルミルグリシン(FGly)残基を含むように修飾されている。本明細書において使用される場合、アミノ酸は、それらの標準的な名称、それらの標準的な3文字略語および/またはそれらの標準的な1文字略語、例えば、アラニンまたはAlaまたはA;システインまたはCysまたはC;アスパラギン酸またはAspまたはD;グルタミン酸またはGluまたはE;フェニルアラニンまたはPheまたはF;グリシンまたはGlyまたはG;ヒスチジンまたはHisまたはH;イソロイシンまたはIleまたはI;リジンまたはLysまたはK;ロイシンまたはLeuまたはL;メチオニンまたはMetまたはM;アスパラギンまたはAsnまたはN;プロリンまたはProまたはP;グルタミンまたはGlnまたはQ;アルギニンまたはArgまたはR;セリンまたはSerまたはS;スレオニンまたはThrまたはT;バリンまたはValまたはV;トリプトファンまたはTrpまたはW、およびチロシンまたはTyrまたはYにより参照されることがある。
【0380】
ある特定の実施形態では、抗体のアミノ酸配列は、in vivo(例えば、細胞中のアルデヒドタグ含有タンパク質の翻訳の時点で)またはin vitro(例えば、無細胞系においてアルデヒドタグ含有タンパク質をホルミルグリシン生成酵素(FGE)と接触させることによる)のいずれかでFGEの作用により2-ホルミルグリシン(FGly)残基に変換(酸化)されることができるセリンまたはシステイン残基を含有するスルファターゼモチーフを含むように改変される。そのようなスルファターゼモチーフはまた、本明細書においてFGE修飾部位と称されることがある。
【0381】
スルファターゼモチーフ
アルデヒドタグの最小のスルファターゼモチーフは通常5または6アミノ酸残基の長さ、通常6アミノ酸残基以下の長さである。Igポリペプチド中に提供されるスルファターゼモチーフは少なくとも5または6アミノ酸残基であり、例えば、5~16、6~16、5~15、6~15、5~14、6~14、5~13、6~13、5~12、6~12、5~11、6~11、5~10、6~10、5~9、6~9、5~8、または6~8アミノ酸残基の長さであることができ、それにより、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7または6未満のアミノ酸残基の長さのスルファターゼモチーフが定義される。
【0382】
ある特定の実施形態では、関心対象のポリペプチドとしては、ネイティブなアミノ酸配列と比べて1または複数のアミノ酸残基、例えば、2もしくはそれより多くの、または3もしくはそれより多くの、または4もしくはそれより多くの、または5もしくはそれより多くの、または6もしくはそれより多くの、または7もしくはそれより多くの、または8もしくはそれより多くの、または9もしくはそれより多くの、または10もしくはそれより多くの、または11もしくはそれより多くの、または12もしくはそれより多くの、または13もしくはそれより多くの、または14もしくはそれより多くの、または15もしくはそれより多くの、または16もしくはそれより多くの、または17もしくはそれより多くの、または18もしくはそれより多くの、または19もしくはそれより多くの、または20またはそれより多くのアミノ酸残基が挿入、欠失、置換(置き換え)されて、ポリペプチド中にスルファターゼモチーフの配列を提供しているものが挙げられる。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチドのネイティブなアミノ酸配列と比べてアミノ酸配列の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3または2未満のアミノ酸残基の改変(挿入、付加、欠失、および/または置換/置換え)を含む。ポリペプチド(例えば、抗体)のネイティブなアミノ酸配列が所望のスルファターゼモチーフの1または複数の残基を含有する場合、残基の改変の総数は、例えば、所望のスルファターゼモチーフの配列を提供するためのネイティブなアミノ酸残基に隣接するアミノ酸残基の部位特異的改変(挿入、付加、欠失、置換/置換え)により低減させることができる。ある特定の実施形態では、標的抗体のネイティブなアミノ酸配列の改変の程度は、挿入、欠失、置換(置き換え)、または付加(例えば、NもしくはC末端へ)されるアミノ酸残基の数を最小化するように最小化される。標的抗体のアミノ酸配列改変の程度の最小化は、そのような改変が抗体機能および/または構造に対して有し得る影響力を最小化することがある。
【0383】
特定の関心対象のアルデヒドタグは、少なくとも最小のスルファターゼモチーフ(「コンセンサススルファターゼモチーフ」とも称される)を含むものであるが、より長いアルデヒドタグが本開示により想定および包含され、本開示の組成物および方法において用途を有し得ることが容易に認められることに留意されるべきである。アルデヒドタグはそのため、5もしくは6残基の最小のスルファターゼモチーフを含むことができ、またはより長く、追加のアミノ酸残基によりモチーフのNおよび/もしくはC末端側において隣接されることができる最小のスルファターゼモチーフを含むことができる。例えば5または6アミノ酸残基の他に、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20より多くまたはそれより多くのアミノ酸残基のより長いアミノ酸配列のアルデヒドタグが想定される。
【0384】
アルデヒドタグは、Ig重鎖のC末端またはその近くに存在することができ、例えば、アルデヒドタグは、ネイティブな野生型Ig重鎖のC末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸以内に存在することができる。アルデヒドタグは、Ig重鎖のCH1ドメイン内に存在することができる。アルデヒドタグは、Ig重鎖のCH2ドメイン内に存在することができる。アルデヒドタグは、Ig重鎖のCH3ドメイン内に存在することができる。アルデヒドタグは、Ig軽鎖定常領域中、例えば、カッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域中に存在することができる。
【0385】
ある特定の実施形態では、使用されるスルファターゼモチーフは、式:
X1Z10X2Z20X3Z30(I’)
により記載されてもよく、式中、
Z10はシステインまたはセリンであり((C/S)によっても表すことができる)、
Z20はプロリンまたはアラニンのいずれかの残基であり((P/A)によっても表すことができる)、
Z30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)もしくはヒスチジン(H)、例えば、リジンであってもよい)、または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、もしくはプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、もしくはIであり、
X1は存在し、または存在せず、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電性アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、L、M、V、SまたはT、例えば、L、M、SまたはVであることができ、但し、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端にある場合、X1は存在し、かつ
X2およびX3は独立して任意のアミノ酸であることができるが、通常、脂肪族アミノ酸、極性非荷電性アミノ酸、または硫黄含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、S、T、A、V、GまたはC、例えば、S、T、A、VまたはGである。
【0386】
抗体重鎖および/または軽鎖のアミノ酸配列は、式X1Z10X2Z20X3Z30の少なくとも5アミノ酸の配列を提供するように改変されることができ、式中、
Z10はシステインまたはセリンであり、
Z20はプロリンまたはアラニン残基であり、
Z30は脂肪族アミノ酸または塩基性アミノ酸であり、
X1は存在し、または存在せず、存在する場合、任意のアミノ酸であり、但し、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端にある場合、X1は存在し、
X2およびX3はそれぞれ独立して任意のアミノ酸である。
【0387】
スルファターゼモチーフは、一般に、選択されたFGE、例えば、アルデヒドタグ付加ポリペプチドが発現される宿主細胞中に存在するFGEまたは無細胞in vitro法においてアルデヒドタグ付加ポリペプチドと接触させられるFGEにより変換が可能であるように選択される。
【0388】
例えば、FGEが真核性FGE(例えば、ヒトFGEを含む、哺乳動物FGE)である場合、スルファターゼモチーフは、式:
X1CX2PX3Z30(I’’)
のものであることができ、式中、
X1は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電性アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、L、M、SまたはVであることができ、但し、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端にある場合、X1は存在し、
X2およびX3は独立して任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電性アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、S、T、A、V、G、またはC、例えば、S、T、A、VまたはGであることができ、かつ
Z30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)もしくはヒスチジン(H)、例えば、リジンであってもよい)、または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、もしくはプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、もしくはIである。
【0389】
スルファターゼモチーフの特有の例としては、LCTPSR(SEQ ID NO://)、MCTPSR(SEQ ID NO://)、VCTPSR(SEQ ID NO://)、LCSPSR(SEQ ID NO://)、LCAPSR(SEQ ID NO://)、LCVPSR(SEQ ID NO://)、LCGPSR(SEQ ID NO://)、ICTPAR(SEQ ID NO://)、LCTPSK(SEQ ID NO://)、MCTPSK(SEQ ID NO://)、VCTPSK(SEQ ID NO://)、LCSPSK(SEQ ID NO://)、LCAPSK(SEQ ID NO://)、LCVPSK(SEQ ID NO://)、LCGPSK(SEQ ID NO://)、LCTPSA(SEQ ID NO://)、ICTPAA(SEQ ID NO://)、MCTPSA(SEQ ID NO://)、VCTPSA(SEQ ID NO://)、LCSPSA(SEQ ID NO://)、LCAPSA(SEQ ID NO://)、LCVPSA(SEQ ID NO://)、およびLCGPSA(SEQ ID NO://)が挙げられる。
【0390】
FGly含有配列
改変された抗体重鎖および/または軽鎖へのFGEの作用で、スルファターゼモチーフ中のセリンまたはシステインはFGlyに修飾される。そのため、FGly含有スルファターゼモチーフは、式:
X1(FGly)X2Z20X3Z30(I’’’)
のものであることができ、式中、
FGlyはホルミルグリシン残基であり、
Z20はプロリンまたはアラニンのいずれかの残基であり((P/A)によっても表すことができる)、
Z30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)もしくはヒスチジン(H)、通常リジンであってもよい)、または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、もしくはプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、もしくはIであり、
X1は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電性アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、L、M、V、SまたはT、例えば、L、MまたはVであることができ、但し、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端にある場合、X1は存在し、かつ
X2およびX3は独立して任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電性アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、S、T、A、V、GまたはC、例えば、S、T、A、VまたはGであることができる。
【0391】
上記のように、FGly残基を含有する修飾されたポリペプチドは、FGly’含有スルファターゼモチーフを生成するための薬物(例えば、上記のような、ヒドラジニル-インドリルまたはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルカップリング部分を含有する薬物)とのFGlyの反応により薬物(例えば、メイタンシノイド)に共役していてもよい。本明細書において使用される場合、FGly’という用語は、薬物、例えば、メイタンシンまたはアウリスタチンにカップリングされるスルファターゼモチーフの修飾されたアミノ酸残基を指す。そのため、FGly’含有スルファターゼモチーフは、式:
X1(FGly’)X2Z20X3Z30(II)
のものであることができ、式中、
FGly’は式(I)の修飾されたアミノ酸残基であり、
Z20はプロリンまたはアラニンのいずれかの残基であり((P/A)によっても表すことができる)、
Z30は塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)もしくはヒスチジン(H)、通常リジンであってもよい)、または脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、もしくはプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、もしくはIであり、
X1は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電性アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、L、M、V、SまたはT、例えば、L、MまたはVであることができ、但し、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端にある場合、X1は存在し、かつ
X2およびX3は独立して任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電性アミノ酸、(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電性アミノ酸以外)、例えば、S、T、A、V、GまたはC、例えば、S、T、A、VまたはGであることができる。
【0392】
修飾の部位
上述したように、抗体のアミノ酸配列は、in vivo(例えば、細胞中のアルデヒドタグ含有タンパク質の翻訳の時点で)またはin vitro(例えば、無細胞系においてアルデヒドタグ含有タンパク質をFGEと接触させることによる)のいずれかでFGEの作用によりFGly残基に変換(酸化)されることができるセリンまたはシステイン残基を含有するスルファターゼモチーフを含むように改変される。本開示のコンジュゲートを生成するために使用される抗体は、少なくともIg定常領域、例えば、Ig重鎖定常領域(例えば、少なくともCH1ドメイン;少なくともCH1およびCH2ドメイン;CH1、CH2、およびCH3ドメイン;もしくはCH1、CH2、CH3、およびCH4ドメイン)、またはIg軽鎖定常領域を含む。そのようなIgポリペプチドは、本明細書において「標的Igポリペプチド」または「標的抗体」と称される。
【0393】
スルファターゼモチーフが導入される抗体中の部位は、任意の好都合な部位であることができる。上述したように、一部の事例では、標的ポリペプチドのネイティブなアミノ酸配列の改変の程度は、挿入、欠失、置換(置き換え)、および/または付加(例えば、NもしくはC末端へ)されるアミノ酸残基の数を最小化するように最小化される。標的抗体のアミノ酸配列改変の程度の最小化は、そのような改変が抗体機能および/または構造に対して有し得る影響力を最小化することがある。
【0394】
抗体重鎖定常領域は、任意の重鎖アイソタイプのIg定常領域、天然に存在しないIg重鎖定常領域(コンセンサスIg重鎖定常領域を含む)を含むことができる。Ig定常領域は、アルデヒドタグを含むように改変されることができ、アルデヒドタグは、Ig定常領域の溶媒が接近可能なループ領域中またはそれに隣接して存在する。Ig定常領域は、上記のようなスルファターゼモチーフのアミノ酸配列を提供するために、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16アミノ酸、または16アミノ酸より多くの挿入および/または置換により改変されることができる。
【0395】
一部の場合には、アルデヒドタグ付加抗体は、アルデヒドタグ付加Ig重鎖定常領域(例えば、少なくともCH1ドメイン;少なくともCH1およびCH2ドメイン;CH1、CH2、およびCH3ドメイン;またはCH1、CH2、CH3、およびCH4ドメイン)を含む。アルデヒドタグ付加Ig重鎖定常領域は、FGEにより修飾されてFGly修飾Igポリペプチドを生成することができる少なくとも1つのスルファターゼモチーフを含むように改変された、IgA、IgM、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4アイソタイプ重鎖の重鎖定常領域配列またはその任意のアロタイプバリアント、例えば、ヒト重鎖定常領域配列もしくはマウス重鎖定常領域配列、ハイブリッド重鎖定常領域、合成重鎖定常領域、またはコンセンサス重鎖定常領域配列などを含むことができる。Ig重鎖のアロタイプバリアントは当該技術分野において公知である。例えば、Jefferis and Lefranc(2009)MAbs 1:4を参照。
【0396】
一部の場合には、アルデヒドタグ付加抗体はアルデヒドタグ付加Ig軽鎖定常領域を含む。アルデヒドタグ付加Ig軽鎖定常領域は、FGEにより修飾されてFGly修飾抗体を生成することができる少なくとも1つのスルファターゼモチーフを含むように改変された、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖の定常領域配列、例えば、ヒトカッパもしくはラムダ軽鎖定常領域、ハイブリッド軽鎖定常領域、合成軽鎖定常領域、またはコンセンサス軽鎖定常領域配列などを含むことができる。例示的な定常領域としては、ヒトガンマ1およびガンマ3領域が挙げられる。スルファターゼモチーフの例外と共に、修飾される定常領域は野生型アミノ酸配列を有してもよく、または野生型アミノ酸配列に対して少なくとも70%同一(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一)のアミノ酸配列を有してもよい。
【0397】
一部の実施形態では、スルファターゼモチーフは、Igポリペプチド重鎖のC末端以外の、またはそれに追加的な位置にある。上述したように、単離されたアルデヒドタグ付加抗体は、上記のようなスルファターゼモチーフを含むように改変された重鎖定常領域を含むことができ、スルファターゼモチーフは、抗体重鎖定常領域の表面に接近可能なループ領域中またはそれに隣接して存在する。
【0398】
スルファターゼモチーフは、Ig重鎖のそのような改変部位のこれらのアミノ酸配列の1または複数内またはそれに隣接して提供されることができる。例えば、Ig重鎖ポリペプチドは、これらの改変部位に隣接しておよびN末端にならびに/または隣接しておよびC末端にスルファターゼモチーフを提供するために、これらのアミノ酸配列の1または複数において改変(例えば、改変は、1または複数のアミノ酸残基の挿入、欠失、および/または置換を含む)されることができる。代替的または追加的に、Ig重鎖ポリペプチドは、Ig重鎖改変部位の任意の2残基の間にスルファターゼモチーフを提供するために、これらのアミノ酸配列の1または複数において改変(例えば、改変は、1または複数のアミノ酸残基の挿入、欠失、および/または置換を含む)されることができる。一部の実施形態では、Ig重鎖ポリペプチドは、2個のモチーフを含むように改変されてもよく、2個のモチーフは互いに隣接していてもよく、または1、2、3、4個もしくはそれより多く(例えば、約1~約25個、約25~約50個、もしくは約50~約100個、もしくはより多くのアミノ酸により分離されていてもよい。代替的または追加的に、ネイティブなアミノ酸配列がスルファターゼモチーフ配列の1または複数のアミノ酸残基を提供する場合、Ig重鎖ポリペプチドアミノ酸配列の改変部位の選択されたアミノ酸残基は、改変部位においてスルファターゼモチーフを提供するように改変(例えば、改変は、1または複数のアミノ酸残基の挿入、欠失、および/または置換を含む)されることができる。
【0399】
本開示の抗体-薬物コンジュゲートにおいて使用される抗体は様々な抗原結合特異性のいずれかを有することができ、これには、例えば、がん細胞上に存在する抗原、自己免疫細胞上に存在する抗原、病原性微生物上に存在する抗原、ウイルス感染細胞(例えば、ヒト免疫不全ウイルス感染細胞)上に存在する抗原、および疾患細胞上に存在する抗原などが含まれるがこれらに限定されない。例えば、抗体コンジュゲートは、細胞の表面上に存在する抗原に結合することができる。本開示の抗体コンジュゲートは、好適な結合親和性、例えば、5×10-6M~10-7M、10-7M~5×10-7M、5×10-7M~10-8M、10-8M~5×10-8M、5×10-8M~10-9M、または10-9Mより高い結合親和性で抗原に結合することができる。
【0400】
非限定的な例として、主題抗体コンジュゲートは、がん細胞上に存在する抗原(例えば、腫瘍特異的抗原、がん細胞上に過剰発現される抗原など)に結合することができ、かつ共役した部分は、薬物、例えば、細胞傷害性化合物(例えば、細胞傷害性小分子、細胞傷害性合成ペプチドなど)であることができる。例えば、主題抗体コンジュゲートは、がん細胞上の抗原に特異的であることができ、共役した部分は薬物、例えば、細胞傷害性化合物(例えば、細胞傷害性小分子、細胞傷害性合成ペプチドなど)である。
【0401】
さらなる非限定的な例として、主題抗体コンジュゲートは、ウイルスに感染した細胞上に存在する抗原(例えば、抗原がウイルスによりコードされる場合;抗原が、ウイルスにより感染された細胞種上に発現される場合など)に結合することができ、かつ共役した部分は薬物、例えば、ウイルス融合阻害剤であることができる。例えば、主題抗体コンジュゲートは、ウイルスに感染した細胞上に存在する抗原に結合することができ、かつ共役した部分は薬物、例えば、ウイルス融合阻害剤であることができる。
【0402】
ポリペプチドへの共役用の薬物
本開示は薬物-ポリペプチドコンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)を提供する。抗体に共役するための反応性パートナーとして、多数の薬物が使用のために好適であり、または使用のために好適となるように改変されることができる。薬物の例としては小分子薬物およびペプチド薬物が挙げられる。
【0403】
「小分子薬物」は、本明細書において使用される場合、関心対象の薬学的活性を呈し、かつ一般に800Daもしくはそれ未満、または2000Daもしくはそれ未満の分子量の化合物、例えば、有機化合物を指すが、5kDaまでの分子を包含することができ、10kDa程度の大きさであることができる。小無機分子は、炭素原子を含有しない分子を指し、小有機分子は、少なくとも1つの炭素原子を含有する化合物を指す。
【0404】
「ペプチド薬物」は、本明細書において使用される場合、アミノ酸含有ポリマー化合物を指し、天然に存在するおよび天然に存在しないペプチド、オリゴペプチド、環状ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質の他に、ペプチド模倣体を包含することが意味される。ペプチド薬物は、化学合成により得られてもよく、または遺伝学的にコードされる供給源(例えば、組換え供給源)から製造されてもよい。ペプチド薬物は、様々な分子量であることができ、200Da~10kDaまたはより大きい分子量であることができる。好適なペプチドとしては、細胞傷害性ペプチド、血管新生ペプチド、抗血管新生ペプチド、B細胞を活性化させるペプチド、T細胞を活性化させるペプチド、抗ウイルスペプチド、ウイルス融合を阻害するペプチド、1または複数のリンパ球集団の産生を増加させるペプチド、抗微小生物ペプチド、増殖因子、成長ホルモン放出因子、血管作動性ペプチド、抗炎症性ペプチド、グルコース代謝を調節するペプチド、抗血栓性ペプチド、抗侵害受容性ペプチド、血管拡張性ペプチド、血小板凝集阻害剤、および鎮痛剤などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0405】
薬物の例としては小分子薬物、例えば、がん化学療法剤が挙げられる。例えば、ポリペプチドが、腫瘍細胞に対する特異性を有する抗体(またはその断片)である場合、抗体は、がん化学療法剤にその後に共役させることができる修飾されたアミノ酸を含むように本明細書に記載されるように改変されることができる。がん化学療法剤としては、がん細胞の増殖を低減させる非ペプチド性(すなわち、非タンパク質性)化合物が挙げられ、細胞傷害剤および細胞分裂抑制剤を包含する。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗物質、抗腫瘍性抗生物質、植物(ビンカ)アルカロイド、およびステロイドホルモンが挙げられる。ペプチド性化合物もまた使用することができる。
【0406】
好適ながん化学療法剤としては、ドラスタチンおよびその活性アナログおよび誘導体、ならびにアウリスタチンおよびその活性アナログおよび誘導体(例えば、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF)など)が挙げられる。例えば、国際公開第96/33212号、国際公開第96/14856号、および米国特許第6,323,315号明細書を参照。例えば、ドラスタチン10またはアウリスタチンPEは本開示の抗体-薬物コンジュゲートに含まれることができる。好適ながん化学療法剤としてはまた、メイタンシノイドおよびその活性アナログおよび誘導体(例えば、EP 1391213、およびLiu et al(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618-8623を参照)、デュオカルマイシンおよびその活性アナログおよび誘導体(例えば、合成アナログ、KW-2189およびCB 1-TM1を含む)、ならびにベンゾジアゼピンおよびその活性アナログおよび誘導体(例えば、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)が挙げられる。
【0407】
細胞増殖を低減させるように作用する剤は当該技術分野において公知であり、広く使用されている。そのような剤としては、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、およびトリアゼン、以下に限定されないが例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、メルファラン(L-サルコリシン)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホロアミン(triethylenethiophosphoramine)、ブスルファン、ダカルバジン、およびテモゾロミドが挙げられる。
【0408】
代謝拮抗剤としては、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤、以下に限定されないが例えば、シタラビン(CYTOSAR-U)、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン(FudR)、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン(6-MP)、ペントスタチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキサート、10-プロパルギル-5,8-ジデアザ葉酸(PDDF、CB3717)、5,8-ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ロイコボリン、フルダラビンリン酸塩、ペントスタチン(pentostatine)、およびゲムシタビンが挙げられる。
【0409】
好適な天然産物およびそれらの誘導体、(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍性抗生物質、酵素、リンホカイン、およびエピポドフィロトキシン)としては、Ara-C、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、デオキシコホルマイシン、ミトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、アザチオプリン;ブレキナル;アルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシンなど;ポドフィロトキシン、例えば、エトポシド、テニポシドなど;抗生物質、例えば、アントラサイクリン、ダウノルビシン塩酸塩(ダウノマイシン、ルビドマイシン、セルビジン)、イダルビシン、ドキソルビシン、エピルビシンおよびモルホリノ誘導体など;フェノキシゾンビスシクロペプチド(phenoxizone biscyclopeptides)、例えば、ダクチノマイシン;塩基性糖ペプチド、例えば、ブレオマイシン;アントラキノングリコシド、例えば、プリカマイシン(ミトラマイシン);アントラセンジオン、例えば、ミトキサントロン;アジリノピロロインドールジオン(azirinopyrrolo indolediones)、例えば、ミトマイシン;ならびに大環状免疫抑制剤、例えば、サイクロスポリン、FK-506(タクロリムス、プログラフ)、ラパマイシンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0410】
他の抗増殖性細胞傷害剤は、ナベルベン(navelbene)、CPT-11、アナストラゾール(anastrazole)、レトロゾール、カペシタビン、レロキサフィン(reloxafine)、シクロホスファミド、イホスアミド(ifosamide)、およびドロロキサフィン(droloxafine)である。
【0411】
抗増殖活性を有する微小管作用剤もまた使用のために好適であり、アロコルヒチン(NSC 406042)、ハリコンドリンB(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)、ドルスタチン10(dolstatin 10)(NSC 376128)、メイタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、Taxol(登録商標)誘導体、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、チオコルヒチン(NSC 361792)、トリチルシステリン(trityl cysterin)、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、天然および合成エポチロン、以下に限定されないが例えば、エオプチロンA(eopthilone A)、エポチロンB、ディスコデルモライド;ならびにエストラムスチン、ノコダゾールなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0412】
使用のために好適なホルモンモジュレーターおよびステロイド(合成アナログを含む)としては、副腎皮質ステロイド、例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンなど;エストロゲンおよびプレゲスチン(pregestins)、例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、エストラジオール、クロミフェン、タモキシフェンなど、および副腎皮質抑制剤、例えば、アミノグルテチミド;17α-エチニルエストラジオール;ジエチルスチルベストロール、テストステロン、フルオキシメステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、テストラクトン、メチルプレドニゾロン、メチル-テストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド(ドロゲニル)、トレミフェン(フェアストン)、およびZoladex(登録商標)が挙げられるがこれらに限定されない。エストロゲンは増殖および分化を刺激し、したがって、エストロゲン受容体に結合する化合物は、この活性を遮断するために使用される。コルチコステロイドはT細胞増殖を阻害し得る。
【0413】
他の好適な化学療法剤としては、金属錯体、例えば、シスプラチン(シス-DDP)、カルボプラチンなど;尿素、例えば、ヒドロキシ尿素、およびヒドラジン、例えば、N-メチルヒドラジン;エピドフィロトキシン(epidophyllotoxin);トポイソメラーゼ阻害剤;プロカルバジン;ミトキサントロン;ロイコボリン;テガフールなどが挙げられる。他の関心対象の抗増殖剤としては、免疫抑制剤、例えば、ミコフェノール酸、サリドマイド、デスオキシスペルグアリン(desoxyspergualin)、アザスポリン(azasporine)、レフルノミド、ミゾリビン、アザスピラン(SKF 105685);Iressa(登録商標)(ZD 1839、4-(3-クロロ-4-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシ-6-(3-(4-モルホリニル)プロポキシ)キナゾリン)などが挙げられる。
【0414】
タキサンは使用のために好適である。「タキサン」は、パクリタキセルの他に、任意の活性のタキサン誘導体またはプロドラッグを含む。「パクリタキセル」(本明細書において、アナログ、製剤、および誘導体、例えば、ドセタキセル、TAXOL(商標)、TAXOTERE(商標)(ドセタキセルの製剤)、パクリタキセルの10-デスアセチルアナログおよびパクリタキセルの3’N-デスベンゾイル-3’N-t-ブトキシカルボニルアナログなどを含むことが理解されるべきである)は、当業者に公知の技術を利用して容易に調製することができ(国際公開第94/07882号、国際公開第94/07881号、国際公開第94/07880号、国際公開第94/07876号、国際公開第93/23555号、国際公開第93/10076号;米国特許第5,294,637号明細書、同第5,283,253号明細書、同第5,279,949号明細書、同第5,274,137号明細書、同第5,202,448号明細書、同第5,200,534号明細書、同第5,229,529号明細書;ならびにEP 590,267も参照)、または様々な商業的供給元、例えば、Sigma Chemical Co.、St.Louis、Mo.(Taxus brevifoliaからのT7402;もしくはTaxus yannanensisからのT-1912)から得ることができる。
【0415】
パクリタキセルは、パクリタキセルの一般的な化学的に利用可能な形態だけではなく、アナログおよび誘導体(例えば、上述したようなTaxotere(商標)ドセタキセル)ならびにパクリタキセルコンジュゲート(例えば、パクリタキセル-PEG、パクリタキセル-デキストラン、またはパクリタキセル-キシロース)も指すことが理解されるべきである。
【0416】
親水性誘導体、および疎水性誘導体の両方を含む、様々な既知の誘導体もまた「タキサン」という用語に含まれる。タキサン誘導体としては、国際特許出願国際公開第99/18113号に記載のガラクトースおよびマンノース誘導体、国際公開第99/14209号に記載のピペラジノ(piperazino)および他の誘導体、国際公開第99/09021号、国際公開第98/22451号、および米国特許第5,869,680号明細書に記載のタキサン誘導体、国際公開第98/28288号に記載の6-チオ誘導体、米国特許第5,821,263号明細書に記載のスルフェンアミド誘導体、ならびに米国特許第5,415,869号明細書に記載のタキソール誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。それは、パクリタキセルのプロドラッグ、以下に限定されないが例えば、国際公開第98/58927号、国際公開第98/13059号、および米国特許第5,824,701号明細書に記載されるものをさらに含む。
【0417】
使用のために好適な生物学的応答修飾剤としては、(1)チロシンキナーゼ(RTK)活性の阻害剤、(2)セリン/スレオニンキナーゼ活性の阻害剤、(3)腫瘍関連抗原アンタゴニスト、例えば、腫瘍抗原に特異的に結合する抗体、(4)アポトーシス受容体アゴニスト、(5)インターロイキン-2、(6)IFN-α、(7)IFN-γ、(8)コロニー刺激因子、および(9)血管新生の阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0418】
薬物の例としては小分子薬物、例えば、がん化学療法剤が挙げられる。例えば、ポリペプチドが、腫瘍細胞に対する特異性を有する抗体(またはその断片)である場合、抗体は、がん化学療法剤、例えば、微小管作用剤にその後に共役させることができる修飾されたアミノ酸を含むように本明細書に記載されるように改変されることができる。ある特定の実施形態では、薬物は、抗増殖活性を有する微小管作用剤、例えば、メイタンシノイドである。ある特定の実施形態では、薬物はメイタンシノイドであり、メイタンシノイドは、以下の構造:
【化67】
【0419】
【0420】
は、本明細書に記載のコンジュゲートおよび化合物中のメイタンシノイドおよび第2のリンカー、L
2の間の結合点を指し示す。「結合点」により、
【化69】
【0421】
記号は、本明細書に記載のコンジュゲートおよび化合物中のメイタンシノイドのNおよび第2のリンカー、L
2の間の結合を指し示すことが意味される。例えば、式(I)において、W
1は、メイタンシノイド、例えば、上記の構造のメイタンシノイドであってもよく、
【化70】
【0422】
は、メイタンシノイドおよび第2のリンカー、L2の間の結合点を指し示す。一部の場合には、上記の構造のメイタンシノイドはデアシルメイタンシンと称されることがある。
【0423】
ある特定の実施形態では、薬物は抗有糸分裂剤、例えば、アウリスタチンまたはその活性アウリスタチンアナログもしくは誘導体(例えば、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF)など)である。ある特定の実施形態では、薬物は、以下の構造:
【化71】
【0424】
を有するMMAEである。
【0425】
【0426】
のように抗体-薬物コンジュゲート中に含まれることができ、
【化73】
【0427】
は、本明細書に記載のコンジュゲートおよび化合物中のアウリスタチンおよび第2のリンカー、L
2の間の結合点を指し示す。例えば、
【化74】
【0428】
記号は、例えば、式(I)に示されるように、アウリスタチンのNおよび第2のリンカー、L
2の間の結合を指し示す。例えば、式(I)において、W
1はアウリスタチン、例えば、MMAEであることができ、上記の構造中の
【化75】
【0429】
は、MMAEおよび第2のリンカー、L2の間の結合点を指し示す。
【0430】
ある特定の実施形態では、薬物はDNAアルキル化剤、例えば、デュオカルマイシンである。デュカルマイシン(ducarmycin)の例としては、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンB1、デュオカルマイシンB2、デュオカルマイシンC1、デュオカルマイシンC2、デュオカルマイシンD、デュオカルマイシンSA、およびCC-1065が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、デュオカルマイシンはデュオカルマイシンアナログ、以下に限定されないが例えば、アドゼレシン、ビゼレシン、またはカルゼレシンである。
【0431】
一部の事例では、デュオカルマイシンは、以下の構造:
【化76】
【0432】
を有する化合物である。
【0433】
例えば、デュオカルマイシン活性剤は、以下:
【化77】
【0434】
【0435】
のように抗体-薬物コンジュゲート中に含まれることができ、
【化79】
【0436】
は、本明細書に記載のコンジュゲートおよび化合物中のデュカルマイシンおよび第2のリンカー、L
2の間の結合点を指し示す。例えば、
【化80】
【0437】
記号は、例えば、式(I)に示されるように、デュオカルマイシンおよび第2のリンカー、L
2の間の結合を指し示す。例えば、式(I)において、W
1はデュオカルマイシン、例えば、上記に示されるデュカルマイシンであることができ、
【化81】
【0438】
は、デュオカルマイシンおよび第2のリンカー、L2の間の結合点を指し示す。
【0439】
上記のように、ある特定の実施形態では、L2は、式-(L21)e-(L22)f-(L23)g-(L24)h-により記載される第2のリンカーであり、L21、L22、L23およびL24はそれぞれ独立して第2のリンカーサブユニットである。ある特定の実施形態では、L21は第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L21が存在する場合、それはまたW1(薬物)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L22が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L23が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、L24が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。
【0440】
上記のように、ある特定の実施形態では、第2のリンカー-(L21)e-(L22)f-(L23)g-(L24)h-は、式-(T5-V5)e-(T6-V6)f-(T7-V7)g-(T8-V8)h-により記載され、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり、e、f、gおよびhの和は0~4である。ある特定の実施形態では、上記のように、L21は第1の切断可能な部分に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T5は第1の切断可能な部分に取り付けられている。ある特定の実施形態では、V5はW1(薬物)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、上記のように、L22が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T6が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられており、またはV6が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、上記のように、L23が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T7が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられており、またはV7が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。ある特定の実施形態では、上記のように、L24が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。そのため、ある特定の実施形態では、T8が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられており、またはV8が存在する場合、それはW1(薬物)に取り付けられている。
【0441】
本開示の実施形態は、抗体が1または複数の薬物部分、例えば、2個の薬物部分、3個の薬物部分、4個の薬物部分、5個の薬物部分、6個の薬物部分、7個の薬物部分、8個の薬物部分、9個の薬物部分、または10個またはそれより多くの薬物部分に共役したコンジュゲートを含む。薬物部分は、本明細書に記載されるように、抗体中の1または複数の部位において抗体に共役していてもよい。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、0.1~10、または0.5~10、または1~10、例えば、1~9、または1~8、または1~7、または1~6、または1~5、または1~4、または1~3、または1~2の範囲内の平均薬物対抗体比(DAR)(モル比)を有する。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、1~2、例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2の平均DARを有する。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは1~1.5の平均DARを有する。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは1.5~2の平均DARを有する。平均により算術平均が意味される。
【0442】
ポリペプチドに共役される薬物は、ポリペプチドとの反応のための反応性パートナーを組み込むように修飾されてもよい。薬物がペプチド薬物である場合、反応性部分(例えば、アミノオキシまたはヒドラジドは、ペプチドのN末端領域、N末端、C末端領域、C末端、または内部の位置に位置することができる。例えば、方法の例は、アミノオキシ基を有するペプチド薬物を合成することを伴う。この例において、ペプチドはBoc保護された前駆体から合成される。ペプチドのアミノ基をカルボン酸基およびオキシ-N-Boc基を含む化合物と反応させることができる。例として、ペプチドのアミノ基を3-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)プロパン酸と反応させる。カルボン酸基およびオキシ-N保護基を含む化合物の他のバリエーションは、異なる数のアルキレンリンカー中の炭素およびアルキレンリンカー上の置換基を含むことができる。ペプチドのアミノ基ならびにカルボン酸基およびオキシ-N保護基を含む化合物の間の反応は、標準的なペプチドカップリング化学を通じて起こる。使用することができるペプチドカップリング試薬の例としては、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、ジ-p-トルオイルカルボジイミド(di-p-toluoylcarbodiimide)、BDP(1-ベンゾトリアゾールジエチルホスフェート-1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニルエチル)カルボジイミド)、EDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリド)、フッ化シアヌル、塩化シアヌル、TFFH(テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスホスフェート(tetramethyl fluoroformamidinium hexafluorophosphosphate))、DPPA(ジフェニルホスホロアジデート(diphenylphosphorazidate))、BOP(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、TBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、TSTU(O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、HATU(N-[(ジメチルアミノ)-1-H-1,2,3-トリアゾロ[4,5,6]-ピリジン-1-イルメチレン]--N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド)、BOP-Cl(ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド)、PyBOP((1-H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-トリス(ピロリジノ)ホスホニウムテトラフルオロホスフェート)、BrOP(ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、DEPBT(3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン)PyBrOP(ブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)が挙げられるがこれらに限定されない。非限定的な例として、HOBtおよびDICをペプチドカップリング試薬として使用することができる。
【0443】
アミノ-オキシ官能基を露出させるための脱保護が、N保護基を含むペプチドに対して行われる。例えば、N-オキシスクシンイミド基の脱保護は、環式アミド基のための標準的な脱保護条件にしたがって起こる。脱保護条件は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,3rd Ed.,1999,John Wiley&Sons,NYおよびHarrison et al.に見出すことができる。ある特定の脱保護条件は、ヒドラジン試薬、アミノ試薬、または水素化ホウ素ナトリウムを含む。Boc保護基の脱保護はTFAを用いて起こることができる。脱保護のための他の試薬としては、ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、およびメチルアミンが挙げられるがこれらに限定されない。生成物および中間体は、従来の手段、例えば、HPLC精製により精製することができる。
【0444】
pHおよび立体障害(すなわち、関心対象の反応性パートナーとの反応に対するアミノ酸残基のアクセス可能性)などの因子は重要であり、最適な共役条件を提供するための反応条件の改変は十分に当業者の技術的範囲内であり、当該技術分野においてルーチンであることを当業者は認める。共役が、生細胞中または上に存在するポリペプチドを用いて実行される場合、生理学的に適合性であるように条件は選択される。例えば、反応が起こるために十分であるが、細胞により許容される期間内の時間(例えば、約30分~1時間)にわたりpHを一時的に低下させることができる。細胞表面上のポリペプチドの修飾を実行するための生理学的条件は、細胞表面アジドを有する細胞の修飾におけるケトン-アジド反応において使用されるものに類似したものであり得る(例えば、米国特許第6,570,040号明細書を参照)。
【0445】
本明細書に開示される化合物またはコンジュゲートとの反応性パートナーとして役立つα求核基を含有する、またはそれを含有するように修飾された小分子化合物もまた、本開示のポリペプチド-薬物コンジュゲートにおいて薬物として使用するために想定される。関心対象の化合物を合成するために有用な化学合成スキームおよび条件のための一般的方法は当該技術分野において公知である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001;またはVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照)。
【0446】
製剤
本開示のコンジュゲートは、様々な異なるやり方で製剤化することができる。一般に、コンジュゲートが抗体-薬物コンジュゲートである場合、コンジュゲートは、薬物、抗体、治療されるべき状態、および使用される投与の経路と適合性の方式において製剤化される。
【0447】
一部の実施形態では、本開示の任意のコンジュゲートおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0448】
コンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)は、任意の好適な形態、例えば、薬学的に許容される塩の形態で提供することができ、任意の好適な投与の経路、例えば、経口、外用または非経口投与のために製剤化することができる。コンジュゲートが液体注射剤(それらが静脈内にまたは直接的に組織中に投与される実施形態におけるものなど)として提供される場合、コンジュゲートは、使用準備済みの投薬形態として、または再構成可能な貯蔵安定的な粉末もしくは薬学的に許容される担体および賦形剤から構成される液体として提供されることができる。
【0449】
コンジュゲートを製剤化する方法は、容易に利用可能なものから適合させることができる。例えば、コンジュゲートは、治療有効量のコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体(例えば、生理食塩水)を含む医薬組成物中に提供されることができる。医薬組成物は、他の添加剤(例えば、緩衝剤、安定化剤、および防腐剤など)を含んでもよい。一部の実施形態では、製剤は、哺乳動物への投与のために好適であり、例えば、ヒトへの投与のために好適なものである。
【0450】
治療方法
本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、親薬物(すなわち、抗体への共役前の薬物)の投与による治療に適する対象における状態または疾患の治療において用途を有する。
【0451】
一部の実施形態では、対象に有効量(例えば、治療有効量)の本開示の任意のコンジュゲートを投与することを含む方法が提供される。
【0452】
ある特定の態様では、対象における標的部位に薬物を送達する方法であって、対象に本開示の任意のコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含み、投与することが、対象における標的部位においてコンジュゲートから治療有効量の薬物を放出させるために有効である、方法が提供される。例えば、本明細書に記載されるように、本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、切断可能なリンカー、例えば、第1の切断可能な部分および第2の切断可能なを含む酵素的に切断可能なリンカーまたは化学的に切断可能なリンカーを含むことができ、第2の切断可能な部分は第1の切断可能な部分の切断を妨害する。一部の事例では、切断可能なリンカーは、適切な条件下で切断されて、薬物の所望の標的作用部位において抗体から薬物を分離または放出させることができる。例えば、第1の切断可能なリンカーを切断から保護する第2の切断可能なリンカーは、第1の切断可能な部分が切断されることを可能とするために切断されてもよく、これは2またはそれより多くの部分への切断可能なリンカーの切断を結果としてもたらして、所望の作用部位において抗体-薬物コンジュゲートから薬物を放出させる。
【0453】
ある特定の実施形態では、第1の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分であることができる。一部の事例では、第1の切断可能な部分の切断を促す酵素は、治療されるべき対象に投与される(すなわち、治療されるべき対象にとって外因性の)酵素である。例えば、第1の酵素は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの投与の前、同時、または後に投与されることができる。
【0454】
ある特定の実施形態では、第2の切断可能な部分は酵素的に切断可能な部分であることができる。一部の事例では、第2の切断可能な部分の切断を促す酵素は、治療されるべき対象に投与される(すなわち、治療されるべき対象にとって外因性の)酵素である。例えば、第2の酵素は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの投与の前、同時、または後に投与されることができる。ある特定の実施形態では、第1の酵素および第2の酵素は異なる酵素である。
【0455】
他の事例では、第1の切断可能な部分の切断を促す第1の酵素は、治療されるべき対象において存在する(すなわち、治療されるべき対象にとって内因性の)酵素である。例えば、第1の酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物の所望の作用部位において存在してもよい。抗体-薬物コンジュゲートの抗体は、所望の作用部位に特異的に標的化されてもよく(例えば、所望の作用部位において存在する抗原に特異的に結合してもよい)、所望の作用部位はまた第1の酵素の存在を含む。一部の事例では、第1の酵素は、治療されるべき対象の身体中の他の区画と比較して所望の作用部位において過剰量で存在する。例えば、第1の酵素は、治療されるべき対象の身体中の他の区画と比較して所望の作用部位において過剰発現されていてもよい。一部の事例では、第1の酵素は、特定の区画または位置における第1の酵素の局在性に起因して所望の作用部位において過剰量で存在する。例えば、第1の酵素は、所望の作用部位内の特定の構造、例えば、リソソームと関連付けられてもよい。一部の場合には、第1の酵素は、対象の身体中の他の区画と比較してリソソーム中に過剰量で存在する。一部の実施形態では、第1の酵素を含むリソソームは、抗体-薬物コンジュゲートの薬物の所望の作用部位、例えば、薬物を用いて治療されるべきがんまたは腫瘍の部位において見出される。ある特定の実施形態では、第1の酵素はプロテアーゼ、例えば、ヒトプロテアーゼ酵素(例えば、カテプシンB)である。
【0456】
ある特定の実施形態では、第2の切断可能な部分の切断を促す第2の酵素は、治療されるべき対象において存在する(すなわち、治療されるべき対象にとって内因性の)酵素である。例えば、第2の酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物の所望の作用部位において存在してもよい。抗体-薬物コンジュゲートの抗体は、所望の作用部位に特異的に標的化されてもよく(例えば、所望の作用部位において存在する抗原に特異的に結合してもよい)、所望の作用部位はまた第2の酵素の存在を含む。一部の事例では、第2の酵素は、治療されるべき対象の身体中の他の区画と比較して所望の作用部位において過剰量で存在する。例えば、第2の酵素は、治療されるべき対象の身体中の他の区画と比較して所望の作用部位において過剰発現されていてもよい。一部の事例では、第2の酵素は、特定の区画または位置における第2の酵素の局在性に起因して所望の作用部位において過剰量で存在する。例えば、第2の酵素は、所望の作用部位内の特定の構造、例えば、リソソームと関連付けられてもよい。一部の場合には、第2の酵素は、対象の身体中の他の区画と比較してリソソーム中に過剰量で存在する。一部の実施形態では、第2の酵素を含むリソソームは、抗体-薬物コンジュゲートの薬物の所望の作用部位、例えば、薬物を用いて治療されるべきがんまたは腫瘍の部位において見出される。ある特定の実施形態では、第2の酵素はグルクロニダーゼ、例えば、ヒトグルクロニダーゼ酵素(例えば、リソソームβ-グルクロニダーゼ)である。
【0457】
本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの第1の切断可能な部分および第2の切断可能な部分の切断のために任意の好適な酵素を使用することができる。本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの第1の切断可能な部分および第2の切断可能な部分の切断における使用のために他の酵素、以下に限定されないが例えば、他の脊椎動物(例えば、霊長動物、マウス、ラット、ネコ、ブタ、ウズラ、ヤギ、イヌなど)からの酵素もまた好適なことがある。
【0458】
ある特定の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、標準的な条件下で実質的に安定である。実質的に安定により、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーは、上記のような第1の酵素および第2の酵素の非存在下で有意な量の切断を起こさないことが意味される。例えば、上記のように、第2の切断可能な部分は、第1の切断可能な部分を切断から保護することができるため、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーは、上記のような第2の酵素の非存在下で有意な量の切断を起こさない。例えば、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーは、抗体-薬物コンジュゲートの25%またはそれ未満、例えば、20%もしくはそれ未満、または15%もしくはそれ未満、または10%もしくはそれ未満、または5%もしくはそれ未満、または4%もしくはそれ未満、または3%もしくはそれ未満、または2%もしくはそれ未満、または1%もしくはそれ未満が第1の酵素および/または第2の酵素の非存在下で切断されるように実質的に安定であってもよい。一部の場合には、抗体-薬物コンジュゲートは、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーが第1の酵素および/または第2の酵素の非存在下で有意な量の切断を起こさないが、第1の酵素および第2の酵素が存在する場合に切断されることができるように実質的に安定である。例えば、抗体-薬物コンジュゲートは、対象への投与後に実質的に安定であることができる。一部の場合には、抗体-薬物コンジュゲートは、対象への投与後に実質的に安定であり、次に、抗体-薬物コンジュゲートが所望の作用部位において第2の酵素の存在下にある場合に、第2の切断可能な部分は切断可能なリンカーから切断されて、第1の酵素によるその後の切断に向けて第1の切断可能な部分を露出させることができ、次いでこれは所望の作用部位において薬物を放出させる。ある特定の実施形態では、対象への投与後に抗体-薬物コンジュゲートは第1の酵素および/または第2の酵素の非存在下で延長された期間、例えば、1時間もしくはそれより長く、または2時間もしくはそれより長く、または3時間もしくはそれより長く、または4時間もしくはそれより長く、または5時間もしくはそれより長く、または6時間もしくはそれより長く、または7時間もしくはそれより長く、または8時間もしくはそれより長く、または9時間もしくはそれより長く、または10時間もしくはそれより長く、または15時間もしくはそれより長く、または20時間もしくはそれより長く、または24時間(1日)もしくはそれより長く、または2日もしくはそれより長く、または3日もしくはそれより長く、または4日もしくはそれより長く、または5日もしくはそれより長く、または6日もしくはそれより長く、または7日(1週)もしくはそれより長くにわたり安定である。ある特定の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、第1の酵素および/または第2の酵素の非存在下で延長された時間的期間にわたりある範囲のpH値、例えば、2~10、または3~9、または4~8、または5~7、または6~7の範囲のpHにおいて安定である。
【0459】
上記のように、本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、親薬物の投与による治療に適する対象における状態または疾患の治療において用途を有する。「治療」により、宿主が罹患した状態と関連付けられる症状の少なくとも寛解が達成されることが意味され、寛解は、パラメーター、例えば、治療されている状態と関連付けられる症状の規模における少なくとも低減を指すために広い意味において使用される。そのため、治療はまた、病理学的状態、またはそれと関連付けられる少なくとも症状が完全に阻害され、例えば、発生を予防され、または止められ、例えば、終了され、それにより、宿主は該状態、または該状態を特徴付ける少なくとも症状をもはや患っていない状況を含む。そのため、治療は、(i)予防、すなわち、臨床症状の発症のリスクの低減、例えば、臨床症状が発症しないようにすること、例えば、有害な状態への疾患進行の予防、(ii)阻害、すなわち、臨床症状の発症もしくはさらなる発症の停止、例えば、活動性疾患の軽減もしくは完全な阻害、および/または(iii)緩和、すなわち、臨床症状の退縮を引き起こすことを含む。
【0460】
治療されるべき対象は、療法を必要とする対象であることができ、治療されるべき対象は、親薬物を使用する治療に適した対象である。よって、様々な対象が、本明細書に開示される抗体-薬物コンジュゲートを使用する治療に適し得る。一般に、そのような対象は「哺乳動物」であり、人間は関心対象である。他の対象としては、家庭内愛玩動物(例えば、イヌおよびネコ)、家畜動物(例えば、ウシ、ブタ、ヤギ、およびウマなど)、齧歯動物(例えば、マウス、モルモット、およびラット、例えば、疾患の動物モデルにおけるもの)の他に、非ヒト霊長動物(例えば、チンパンジーおよびサル)を挙げることができる。
【0461】
投与される抗体-薬物コンジュゲートの量は、親薬物の用量および/または投薬レジメンのガイダンスに基づいて最初に決定することができる。一般に、抗体-薬物コンジュゲートは、結合した薬物の標的化された送達および/または増強した血清半減期を提供することができるため、投薬レジメンにおける用量の低減または投与の低減の少なくとも1つを提供することができる。そのため、抗体-薬物コンジュゲートは、本開示の抗体-薬物コンジュゲートへの共役前の親薬物と比べて投薬レジメンにおける用量の低減および/または投与の低減を提供することができる。
【0462】
さらには、上述したように、抗体-薬物コンジュゲートは薬物送達の化学量論の制御を提供できるので、抗体-薬物コンジュゲートの投薬量は、抗体-薬物コンジュゲート当たりを基準として提供される薬物分子の数に基づいて算出することができる。
【0463】
一部の実施形態では、複数の用量の抗体-薬物コンジュゲートが投与される。抗体-薬物コンジュゲートの投与の頻度は、様々な因子のいずれか、例えば、症状の重症度、対象の状態などに依存して変動することができる。例えば、一部の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、月1回、月2回、月3回、隔週、週1回(qwk)、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、一日おき、1日毎(qd/od)、1日2回(bds/bid)、または1日3回(tds/tid)などで投与される。
【0464】
がんの治療方法
本開示は、本開示のコンジュゲートをがんを有する個体に送達することを含む方法を提供する。方法は、癌腫、肉腫、白血病、およびリンパ腫を含む、多様ながんを治療するために有用である。がんの文脈において、「治療」という用語は、固形腫瘍の成長の低減、がん細胞の複製の阻害、全体的な腫瘍負荷の低減、およびがんと関連付けられる1または複数の症状の寛解のうちの1または複数(例えば、それぞれ)を含む。
【0465】
主題方法を使用して治療することができる癌腫としては、食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌(皮膚がんの形態)、扁平細胞癌(様々な組織)、膀胱癌、例えば、移行細胞癌(膀胱の悪性新生物)、気管支原性癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、肺癌、例えば、肺の小細胞癌および非小細胞癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、腎細胞癌、腺管内癌または胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、骨原性癌腫、上皮癌、ならびに鼻咽頭癌などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0466】
主題方法を使用して治療することができる肉腫としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、骨原性肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、および他の軟組織肉腫が挙げられるがこれらに限定されない。
【0467】
主題方法を使用して治療することができる他の固形腫瘍としては、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫が挙げられるがこれらに限定されない。
【0468】
主題方法を使用して治療することができる白血病としては、a)慢性骨髄増殖性症候群(複能性(multipotential)造血幹細胞の新生物性障害)、b)急性骨髄性白血病(複能性造血幹細胞または制限された系列潜在能力の造血細胞の新生物性変換、c)慢性リンパ球性白血病(CLL;免疫学的に未熟かつ機能的に無能な小リンパ球のクローン増殖)、例えば、B細胞CLL、T細胞CLL 前リンパ球性白血病、および有毛細胞白血病、ならびにd)急性リンパ芽球性白血病(リンパ芽球の蓄積により特徴付けられる)が挙げられるがこれらに限定されない。主題方法を使用して治療することができるリンパ腫としては、B細胞リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫)、ホジキンリンパ腫、ならびに非ホジキンB細胞リンパ腫などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0469】
ある特定の態様では、対象においてがんを治療する方法であって、対象に治療有効量の本開示の任意のコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含み、投与することが対象においてがんを治療するために有効である、方法が提供される。
【0470】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の製造および使用の方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために記載され、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することは意図されず、また以下の実験は行われた全てまたは唯一の実験であることを表すことも意図されない。使用される数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確実にするための努力を行ったが、何らかの実験誤差および逸脱が考慮されるべきである。他に指し示されなければ、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度はセルシウス度であり、圧力は大気圧またはその近くである。「平均」により算術平均が意味される。標準的な略語、例えば、bp、(1または複数の)塩基対;kb、(1または複数の)キロ塩基;pl、(1または複数の)ピコリットル;sまたはsec、(1または複数の)秒;min、(1または複数の)分;hまたはhr、(1または複数の)時間;aa、(1または複数の)アミノ酸;kb、(1または複数の)キロ塩基;bp、(1または複数の)塩基対;nt、(1または複数の)ヌクレオチド;i.m.、筋肉内の(筋肉内に);i.p.、腹腔内の(腹腔内に);およびs.c.、皮下の(皮下に)などが使用されることがある。
【0471】
一般合成手順
開示される化合物を合成するために有用な一般的に公知の化学合成スキームおよび条件を提供する多くの一般的参考文献が利用可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001;またはVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照)。
【0472】
本明細書に記載されるような化合物は、当該技術分野において公知の任意の精製プロトコール、例えば、クロマトグラフィー、例えば、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーにより精製することができる。順相および逆相の他に、イオン性樹脂を含む、任意の好適な固定相を使用することができる。ある特定の実施形態では、開示される化合物は、シリカゲルおよび/またはアルミナクロマトグラフィーを介して精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979;およびThin Layer Chromatography,ed E.Stahl,Springer-Verlag,New York,1969を参照。
【0473】
主題化合物の任意の調製方法の間に、関係する任意の分子上の感受性または反応性基を保護することが必要かつ/または望ましいことがある。これは、標準的な文献、例えば、J.F.W.McOmie,’’Protective Groups in Organic Chemistry’’,Plenum Press,London and New York 1973、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,’’Protective Groups in Organic Synthesis’’,Third edition,Wiley,New York 1999、’’The Peptides’’;Volume 3(editors:E.Gross and J.Meienhofer),Academic Press,London and New York 1981、’’Methoden der organischen Chemie’’,Houben-Weyl,4th edition,Vol.15/l,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974、H.-D.Jakubke and H.Jescheit,’’Aminosauren,Peptide,Proteine’’,Verlag Chemie,Weinheim,Deerfield Beach,and Basel 1982、および/またはJochen Lehmann,’’Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccharide and Derivate’’,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974に記載されるような従来の保護基を手段として達成することができる。保護基は、当該技術分野の公知の方法を使用して好都合なその後のステージにおいて除去されてもよい。
【0474】
主題化合物は、商業的に入手可能な出発材料および/または従来の合成方法により調製される出発材料を使用して様々な異なる合成経路を介して合成することができる。本明細書に開示される化合物を合成するために使用することができる合成経路の様々な例が以下のスキームにおいて記載される。
【0475】
合成試薬は、Sigma-Aldrich、Acros、または他の商業的供給元から購入し、精製なしで使用した。無水溶媒は、商業的供給元から密封ボトル中で得た。アセトブロモ-α-D-グルクロン酸メチルエステル1、MMAE 8、17、46、57、および62は商業的供給元から購入した。全ての反応は、他に記載されなければN2下で炎乾燥されたガラス製品中で実行された。全ての場合に、溶媒は、Buchi V-700真空ポンプを備えたBuchi Rotovapor R-114を用いて減圧により除去した。カラムクロマトグラフィーは、Biotage Isolera Primeクロマトグラフを用いて行った。分取HPLC精製は、Phenomenex Kinetex 5μm EVO C18 150 x 21.2mmカラムを備えたWaters 分取HPLCユニットを使用して行った。HPLC分析は、水および0.1%のギ酸を含有するアセトニトリルの10~100%の勾配を使用して室温でModel G1322A Degasser、Model G1311A Quarternary Pump、Model G1329A Autosampler、Model G1314 Variable Wavelength Detector、Agilent Poroshell 120 SB C18、4.6mm×50mmカラムを備えたAgilent 1100 Series Analytical HPLC上で実行した。HPLCは254nmにおいてモニターした。
【0476】
[実施例1]
MMAE構築物13の合成
モノメチルアウリスタチンE(MMAE)構築物を以下に示されるスキーム1にしたがって合成した。
【0477】
【0478】
【0479】
【0480】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-ホルミル-2-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(2)の調製
アセトニトリル(100mL)中のアセトブロモ-α-D-グルコピラヌロン酸メチルエステル1(6.3g、15.9mmol)および3-ヒドロキシ-4-ニトロベンズアルデヒド(0.9g、5.4mmol)の溶液にAg2O(10.0g、43.1mmol)を加えた。反応混合物を暗所中室温で60h撹拌した。反応混合物を次に真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、9:1~1:9v/v)を使用して残留物を精製して化合物2(2.1g、81%)をオフホワイト固体として得た。
【0481】
計算値:[M+Na]+(C20H21NNaO13)m/z=506.1;ESIの実測値:[M+Na]+(C20H21NNaO13)m/z=505.7。
【0482】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-アミノ-5-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(3)の調製
EtOAc(15mL)中の化合物2(460mg、0.95mmol)の溶液にPd/C(10重量%、20mg)およびトリエチルアミン(20μL、0.14mmol)を加えた。3回の繰返しサイクルにおいて、フラスコを次に排気し、バルーンからの水素ガスで満たした。取り付けたH2バルーンを用いて反応物を室温で24h激しく撹拌した。セライトパッドを通じた濾過により触媒を除去した後、濾液を真空下で濃縮した。残留物を高真空で1h乾燥させて白色固体(425mg、99%)を得た。それをさらなる精製なしで次のステップのために直接的に使用した。
【0483】
計算値:[M+H]+(C20H26NO11)m/z=456.2;ESIの実測値:[M+H]+(C20H26NO11)m/z=455.6
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)-5-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(4)の調製
DCM(0.9mL)およびMeOH(0.1mL)中のFmoc-Ala-OH(400mg、1.29mmol)および粗中間体3(425mg、0.93mmol)の混合物にN-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ、390mg、1.58mmol)を加えた。反応物を室温で1h撹拌した。真空下で溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、9:1~1:9v/v)を使用して残留物を精製して化合物4(0.64g、2ステップで90%)を白色固体として得た。
【0484】
計算値:[M+H]+(C38H41N2O14)m/z=749.3;ESIの実測値:[M+H]+(C38H41N2O14)m/z=748.7。
【0485】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-アミノプロパンアミド)-5-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(5)の調製
MeOH(15mL)中の化合物4(640mg、0.86mmol)の混合物にPd/C(10重量%、40mg)を加えた。3回の繰返しサイクルにおいて、フラスコを次に排気し、バルーンからのH2ガスで満たした。取り付けたH2バルーンを用いて反応物を室温で3d激しく撹拌した。セライトパッドを通じた濾過により触媒を除去した後、濾液を真空下で濃縮した。溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~70%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより残留物を精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物5(341mg、76%)を白色固体として得た。
【0486】
計算値:[M+H]+(C23H31N2O12)m/z=527.2;ESIの実測値:[M+H]+(C23H31N2O12)m/z=526.8。
【0487】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(6)の調製
DMF(2mL)中のアミン5(255mg、0.49mmol)およびFmoc-バリン-OH(170mg、0.50mmol)の溶液にDIPEA(0.15mL、0.86mmol)およびPyAOP(260mg、0.50mmol)を加えた。反応混合物を室温で1h撹拌した。混合物をDCM(70mL)を用いて希釈し、飽和水性NH4Cl(50mL)、水(50mL)、および飽和水性NaCl(10mL)を用いて洗浄した。有機層をMgSO4を用いて乾燥させ、濾過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)により残留物を精製して化合物6(334mg、81%)を白色固体として得た。
【0488】
計算値:[M+H]+(C43H50N3O15)m/z=848.3;ESIの実測値:[M+H]+(C43H50N3O15)m/z=848.3。
【0489】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(7)の調製
THF(3mL)中のベンジルアルコール6(334mg、0.39mmol)およびビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(240mg、0.79mmol)の溶液にDIPEA(0.1mL、0.57mmol)を加えた。混合物を室温で24h撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)により残留物を精製して化合物7(328mg、82%)を白色固体として得た。
【0490】
計算値:[M+H]+(C50H53N4O19)m/z=1013.3;ESIの実測値:[M+H]+(C50H53N4O19)m/z=1013.3。
【0491】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(9)の調製
DMF(1.5mL)中のPNPカーボネート7(112mg、0.11mmol)およびMMAE 8(130mg、0.16mmol)の溶液にDIPEA(50uL、0.29mmol)およびHOAt(15mg、0.11mmol)を加えた。反応物を室温で20h撹拌した。混合物にEtOAc(100mL)を加えた。有機層を飽和水性NH4Cl、水、および飽和水性NaClを用いて洗浄した。この溶液を次にMgSO4を用いて乾燥させ、濾過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~10:0v/v)により残留物を精製して化合物9(81mg、46%)を白色固体として得た。
【0492】
計算値:[M+H]+(C83H115N8O23)m/z=1591.8;ESIの実測値:[M+H]+(C83H115N8O23)m/z=1591.7。
【0493】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(10)の調製
DMF(3mL)中のMMAE構築物9(81mg、51μmol)の溶液にピペリジン(0.1mL、1.0mmol)を緩徐に加えた。反応物を室温で30分間撹拌した。溶出液としてアセトニトリル-水(0.1%のギ酸、5~100%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより残留物を精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物10(62mg、89%)を白色固体として得た。
【0494】
計算値:[M+H]+(C68H105N8O21)m/z=1369.7;ESIの実測値:[M+H]+(C68H105N8O21)m/z=1369.6。
【0495】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((15S,18S)-4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-15-イソプロピル-18-メチル-3,13,16-トリオキソ-2,7,10-トリオキサ-4,14,17-トリアザノナデカンアミド)-5-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(12)の調製
DMF(1mL)中のMMAE-アミン10(32mg、24μmol)およびFmoc-AzaHIPS-PNH酸11(27mg、29μmol)の溶液にDIPEA(10μL、57μmol)およびHATU(11mg、29μmol)を加えた。反応混合物を室温で1h撹拌した。混合物をDCM(70mL)を用いて希釈し、飽和水性NH4Cl(50mL)、水(50mL)、および飽和水性NaCl(10mL)を用いて洗浄した。有機層をMgSO4を用いて乾燥させ、濾過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)により残留物を精製して化合物12(33mg、61%)を白色固体として得た。
【0496】
計算値:[M+2H]2+(C123H164N14O29)m/z=1150.6;ESIの実測値:[M+2H]2+(C123H164N14O29)m/z=1151.0。
【0497】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)-2-((2S,5S)-15-((1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-5-イソプロピル-2-メチル-4,7-ジオキソ-10,13-ジオキサ-3,6-ジアザペンタデカンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(13)の調製
0℃のTHF(1mL)中のMMAE化合物12(33mg、14μmol)の溶液に水(0.25mL)中のLiOH(3mg)の溶液を加えた。混合物を室温で1h撹拌した。酢酸(3μL、53μmol)の添加により反応物をクエンチした。有機溶媒を除去した後、溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~80%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより残留物を精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物13(13mg、52%)を白色固体として得た。
【0498】
計算値:[M+H]+(C86H135N14O22)m/z=1716.0;ESIの実測値:[M+H]+(C86H135N14O22)m/z=1715.9。
【0499】
PNP中間体16の合成
PNP中間体を以下に示されるスキーム2にしたがって合成した。
【0500】
【0501】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-ホルミルフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(14)の調製
アセトニトリル(20mL)中のアセトブロモ-α-D-グルコピラヌロン酸メチルエステル1(1.0g、2.5mmol)および4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.15g、1.2mmol)の混合物にAg2O(1.4g、6.1mmol)を加えた。反応混合物を暗所中室温で20h撹拌した。反応混合物を次に真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)を使用して残留物を精製して化合物14(0.52g、97%)を白色固体として得た。
【0502】
計算値:[M+Na]+(C20H22NaO11)m/z=461.1;ESIの実測値:[M+Na]+(C20H22NaO11)m/z=460.8。
【0503】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(15)の調製
0℃のクロロホルム(1.45mL)およびiPr-OH(0.36mL)中のアルデヒド14(0.175g、0.40mmol)の溶液にシリカゲル(0.041g)およびNaBH4(0.032g、0.85mmol)を加えた。結果としてもたらされた混合物を室温に温め、2h撹拌した。酢酸(0.05mL、0.87mmol)を加えて反応物をクエンチした。反応混合物を次に真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、0.1:9~1:9v/v)を使用して残留物を精製して化合物15(0.113g、70%)を白色固体として得た。
【0504】
計算値:[M+Na]+(C20H24NaO11)m/z=463.1;ESIの実測値:[M+Na]+(C20H24NaO11)m/z=462.8。
【0505】
(2S,3S,4S,5R,6S)-2-(メトキシカルボニル)-6-(4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(16)の調製
アルゴン下の無水THF(2.6mL)中のアルコール15(0.05g、0.11mmol)の溶液にビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(0.076g、0.25mmol)、続いてDIPEA(0.06mL、0.35mmol)を加えた。反応物を室温で18h撹拌した。反応混合物はLCMSにより完了を示さなかった。追加のビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(0.02g、0.07mmol)およびDIPEA(0.005mL、0.03mmol)を加え、反応物をさらに2時間撹拌した。反応混合物を次に真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~1:1v/v)を使用して残留物を精製して化合物16(0.064g、93%)を白色固体として得た。
【0506】
計算値:[M+Na]+(C27H27NNaO15)m/z=628.1;ESIの実測値:[M+Na]+(C27H27NNaO15)m/z=627.7。
【0507】
MMAE構築物23の合成
MMAE構築物を以下に示されるスキーム3にしたがって合成した。
【0508】
【0509】
【0510】
【0511】
4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-フェニルプロパンアミド)-6-(トリチルアミノ)ヘキサンアミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(18)の調製
アルゴン下のDMF(1.5mL)中のPNP 17(0.048g、0.047mmol)およびMMAE 8(0.05g、0.070mmol)の混合物にDIPEA(0.032mL、0.18mmol)およびHOAt(0.11mmol)を加えた。反応混合物を室温で16h撹拌した。反応混合物を次に逆相カラムクロマトグラフィー(MeCN/H2O、1:9~10:0v/v)を使用する精製のために直接的に用いて化合物18(0.061g、82%)を白色固体として得た。
【0512】
計算値:[M+H]+(C96H120N9O13)m/z=1606.9;ESIの実測値:[M+H]+(C96H120N9O13)m/z=1606.7。
【0513】
4-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-フェニルプロパンアミド)-6-アミノヘキサンアミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(19)の調製
DCM(3.0mL)中のMMAE誘導体18(0.061g、0.038mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(0.30mL、3.9mmol)を加えた。反応物を室温で6h撹拌した。反応混合物を次に真空下で濃縮し、逆相カラムクロマトグラフィー(溶出液中に0.1%のギ酸を含むMeCN/H2O、1:9~10:0v/v)を使用して残留物を精製して化合物19(0.028g、54%)を白色固体として得た。
【0514】
計算値:[M+H]+(C77H106N9O13)m/z=1364.8;ESIの実測値:[M+H]+(C77H106N9O13)m/z=1363.8。
【0515】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-((5S,8S)-5-ベンジル-8-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)カルバモイル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,6,14-トリオキソ-2,15-ジオキサ-4,7,13-トリアザヘキサデカン-16-イル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(20)の調製
アルゴン下のDMF(1mL)中のアミン19(0.028g、0.020mmol)およびPNP糖16(0.018g、0.030mmol)の溶液にHOAt(8.3mg、0.061mmol)およびDIPEA(0.014mL、0.080mmol)を加えた。反応混合物を室温で16h撹拌し、さらなる精製なしで次のステップのために直接的に使用した。
【0516】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(((((S)-5-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパンアミド)-6-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-6-オキソヘキシル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(21)の調製
DMF中の20の溶液にピペリジン(0.014mL、0.14mmol)を加えた。反応混合物を室温で1.5h撹拌した。反応混合物を次に逆相カラムクロマトグラフィー(溶出液中に0.1%のトリフルオロ酢酸を含むMeCN/H2O、1:9~10:0v/v)を使用する精製のために直接的に用いて化合物21(0.021g、65%)を白色固体として得た。
【0517】
計算値:[M+H]+(C83H118N9O23)m/z=1608.8;ESIの実測値:[M+H]+(C83H118N9O23)m/z=1607.6。
【0518】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-((15S,18S)-4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-15-ベンジル-18-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)カルバモイル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,13,16,24-テトラオキソ-2,7,10,25-テトラオキサ-4,14,17,23-テトラアザヘキサコサン-26-イル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(22)の調製
アルゴン下のDMF(1mL)中のアミン21(0.020g、0.012mmol)および酸11(0.014g、0.015mmol)の溶液にHATU(0.007g、0.018mmol)およびDIPEA(0.009mL、0.052mmol)を加えた。反応混合物を室温で16h撹拌した。反応混合物を次に分取HPLC(溶出液中に0.05%のトリフルオロ酢酸を含むMeCN/H2O、1:9~9.5:0.5v/v)を使用する精製のために直接的に用いて化合物22(0.011g、35%)を白色固体として得た。
【0519】
計算値:[M+2H]2+(C138H177N15O31)m/z=1270.1;ESIの実測値:[M+2H]2+(C138H177N15O31)m/z=1269.7。
【0520】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((9S,12S)-12-ベンジル-9-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)カルバモイル)-22-((1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-3,11,14-トリオキソ-2,17,20-トリオキサ-4,10,13-トリアザドコシル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(23)の調製
氷上のTHF(0.5mL)中の化合物22(0.011g、0.004mmol)の溶液に1M LiOH(0.035mL、0.035mmol)を加えた。反応混合物を氷上で2h撹拌した。追加の1M LiOH(0.035mL、0.035mmol)を加え、氷上での撹拌を2h続けた。反応混合物を次に真空下で濃縮し、分取HPLC(溶出液中に0.05%のトリフルオロ酢酸を含むMeCN/H2O、0:10~7.5:2.5v/v)を使用して残留物を精製して化合物23(0.005g、58%)を白色固体として得た。
【0521】
計算値:[M+2H]2+(C101H149N15O24)m/z=978.1;ESIの実測値:[M+2H]2+(C101H149N15O24)m/z=977.8。
【0522】
中間体28の合成
中間体を以下に示されるスキーム4にしたがって合成した。
【0523】
【0524】
tert-ブチル4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(25)の調製
CH3CN(12mL)中のピペリドン24(400mg、2.6mmol、1.0当量)、DIPEA(540μL、3.1mmol、1.2当量)、およびBoc2O(850mg、3.9mmol、1.5当量)の溶液にDMAP(32mg、0.26mmol、0.10当量)を加えた。2hの撹拌後、溶液を濃縮し、DCM中に再構成させた。溶液を0.1M HClを用いて洗浄し、有機物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物25を淡黄色固体として得、さらなる精製なしで使用した(515mg、99%)。
【0525】
計算値:[M+H]+(C10H17NNaO3)m/z=222.1;ESIの実測値:[M+H]+C10H17NNaO3)m/z=223.0。
【0526】
tert-ブチル4-((2-(2-(3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート(26)の調製
DCE(12mL)中の化合物25(515mg、2.7mmol、1.0当量)およびアミノ-PEG2-t-ブチルエステル(740mg、3.2mmol、1.2当量)の溶液にSTAB(1.1g、5.4mmol、2.0当量)を加えた。混合物を終夜撹拌した。溶液を濃縮した後、残留物をさらなる精製なしで使用した。
【0527】
計算値:[M+H]+(C21H41N2O6)m/z=417.3;ESIの実測値:[M+H]+(C21H41N2O6)m/z=417.0。
【0528】
tert-ブチル4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)(2-(2-(3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート(27)の調製
0℃のDCM(10mL)中の化合物26(1.1g、2.7mmol、1.0当量)およびDIPEA(920μL、5.4mmol、2.0当量)の粗混合物にFmocCl(1.4g、2.0当量)を加えた。混合物を室温に温め、2h撹拌した。その後、混合物を飽和NaHCO3を用いて洗浄した。有機物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~1:1v/v)により粗生成物を精製して透明油(1.6g、3ステップで98%)として化合物27を得た。
【0529】
計算値:[M+Na]+(C36H50N2NaO8)m/z=661.3;ESIの実測値:[M+Na]+((C36H50N2NaO8)m/z=660.9。
【0530】
tert-ブチル1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-4-(ピペリジン-4-イル)-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカン-13-オエート(28)の調製
DCM(6mL)中の化合物27(1.6g、2.7mmol)およびTIPS(600uL)の溶液にTFA(6mL)を加えた。1hの撹拌後、溶液を濃縮し、溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、10~70%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。生成物28を白色固体(800mg、68%)として得た。
【0531】
計算値:[M+H]+(C27H35N2O6)m/z=483.2;ESIの実測値:[M+H]+(C27H35N2O6)m/z=482.9。
【0532】
中間体30の合成
中間体を以下に示されるスキーム5にしたがって合成した。
【0533】
【0534】
3-{[(2S)-1-{[(1S,2R,5R,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-21-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-オキソプロパン-2-イル](メチル)カルバモイル}プロパン酸(29)の調製
DCM(8mL)中のメイタンシン(180mg、0.28mmol、1.0当量)およびコハク酸無水物(33mg、0.33mmol、1.2当量)の溶液にDIPEA(96μL、0.55mmol、2.0当量)を加えた。終夜の撹拌後、溶液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH、100:0~10:1v/v)により精製した。生成物29を白色固体(191mg、92%)として得た。
【0535】
計算値:[M+H]+(C36H49ClN3O12)m/z=750.3;ESIの実測値:[M+H]+(C36H49ClN3O12)m/z=749.8。
【0536】
2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル3-{[(2S)-1-{[(1S,2R,5R,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-2-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-オキソプロパン-2-イル](メチル)カルバモイル}プロパノエート(30)の調製
DCM(3mL)中の化合物29(160mg、0.21mmol、1.5当量)およびペルフルオロフェノール(60mg、0.33mmol、1.3当量)の溶液にDIC(35mg、0.28mmol、1.3当量)を加えた。終夜の撹拌後、溶液を濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH、100:0~24:1v/v)により精製した。生成物30を白色固体(190mg、97%)として得た。
【0537】
計算値:[M+H]+(C42H48ClF5N3O12)m/z=916.3;ESIの実測値:[M+H]+(C42H48ClF5N3O12)m/z=915.7。
【0538】
メイタンシン構築物39の合成
メイタンシン構築物を以下に示されるスキーム6にしたがって合成した。
【0539】
【0540】
【0541】
【0542】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(31)の調製
DMF(2.0mL)中のアミン5(341mg、0.65mmol)およびBoc-バリン-OH(169mg、0.78mmol)の溶液にDIPEA(0.35mL、2.0mmol)およびHATU(380mg、1.0mmol)を加えた。溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~90%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより残留物を精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物31(386mg、82%)を白色固体として得た。
【0543】
計算値:[M+H]+(C33H48N3O15)m/z=726.3;ESIの実測値:[M+H]+(C33H48N3O15)m/z=726.1。
【0544】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(32)の調製
THF(1.5mL)中の化合物31(81mg、0.11mmol、1.0当量)およびビス-p-ニトロフェノールカーボネート(140mg、0.67mmol、6.0当量)の溶液にDIPEA(120μL、0.67mmol、6.0当量)を加えた。終夜の撹拌後、溶液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH、100:0~93:7v/v)により精製した。生成物32を白色固体(101mg、定量的)として得た。
【0545】
計算値:[M+Na]+(C40H50N4NaO19)m/z=913.3;ESIの実測値:[M+Na]+(C40H50N4NaO19)m/z=912.7。
【0546】
4-(1-(((4-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-3-(((2S,3R,4S,5S,6S)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ベンジル)オキシ)カルボニル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカン-13-酸(33)の調製
DCM(5mL)中の化合物32(140mg、0.16mmol、1.0当量)および28(110mg、0.17mmol、1.5当量)の溶液にDIPEA(100μL、0.59mmol、3.8当量)を加えた。終夜の撹拌後、溶液を濃縮し、溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、50~80%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。生成物33を白色固体(110mg、53%)として得た。
【0547】
計算値:[M+Na]+(C61H79N5NaO22)m/z=1256.5;ESIの実測値:[M+Na]+(C61H79N5NaO22)m/z=1256.7。
【0548】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(2-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-(((4-((2-(2-(2-カルボキシエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-カルボニル)オキシ)メチル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(34)の調製
0℃のTHF(2mL)中の化合物33(110mg、0.089mmol)の溶液に1M LiOH(1.4mL)を加えた。混合物を室温に温め、2h撹拌した。その後、混合物を濃縮してTHFを除去し、溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、0~45%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより精製して化合物34を白色固体(68mg、87%)として得た。
【0549】
計算値:[M+H]+(C39H62N5O17)m/z=872.4;ESIの実測値:[M+H]+(C39H62N5O17)m/z=871.8。
【0550】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-{2-[(2S)-2-[(2S)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-3-メチルブタンアミド]プロパンアミド]-5-{[4-(N-{2-[2-(2-カルボキシエトキシ)エトキシ]エチル}-3-{[(2S)-1-{[(1S,2R,5R,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-21-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-オキソプロパン-2-イル](メチル)カルバモイル}プロパンアミド)ピペリジン-1-カルボニルオキシ]メチル}フェノキシ}-3,4,5-トリヒドロキシオキサン-2-カルボン酸(35)の調製
DMF(0.6mL)中の化合物34(18mg、0.021mmol、1.0当量)および30(29mg、0.033mmol、1.5当量)の溶液にDIPEA(30μL、0.18mmol、8.6当量)を加えた。終夜の撹拌後、溶液を濃縮し、溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、10~95%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。白色固体生成物35を化合物29との混合物として得た(3:2の化合物29対化合物35、20mg、36%の収率)。
【0551】
計算値:[M+Na]+(C75H107ClN5NaO28)m/z=1625.7;ESIの実測値:[M+Na]+(C75H107ClN5NaO28)m/z=1624.6。
【0552】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-{2-[(2S)-2-[(2S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド]プロパンアミド]-5-{[4-(N-{2-[2-(2-カルボキシエトキシ)エトキシ]エチル}-3-{[(2S)-1-{[(1S,2R,5R,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-21-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-オキソプロパン-2-イル](メチル)カルバモイル}プロパンアミド)ピペリジン-1-カルボニルオキシ]メチル}フェノキシ}-3,4,5-トリヒドロキシオキサン-2-カルボン酸(36)の調製
DCM(2mL)中の化合物35(12mg、7.5μmol、1.0当量)の溶液にDCM中の1M SnCl4(100μL、13当量)を加えた。20分間の撹拌後、溶液をCH3CNおよびH2Oを用いてクエンチし、濃縮してDCMを除去し、溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、2~60%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。生成物36を白色固体(5mg、44%の収率)として得た。
【0553】
計算値:[M+2H]2+(C70H101ClN8O26)m/z=752.3;ESIの実測値:[M+2H]2+C70H101ClN8O26)m/z=752.0。
【0554】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-{[4-(N-{2-[2-(2-カルボキシエトキシ)エトキシ]エチル}-3-{[(2S)-1-{[(1S,2R,5R,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-21-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-オキソプロパン-2-イル](メチル)カルバモイル}プロパンアミド)ピペリジン-1-カルボニルオキシ]メチル}-2-[(2S)-2-[(2S)-2-(3-{2-[2-({[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}({1-[3-(2-{[({[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}(メチル)アミノ)(メチル)アミノ]メチル}-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル]ピペリジン-4-イル})アミノ)エトキシ]エトキシ}プロパンアミド)-3-メチルブタンアミド]プロパンアミド]フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシオキサン-2-カルボン酸(38)の調製
DMF(0.15mL)中の化合物36(5mg、3.3μmol、1.0当量)および37(10mg、9.0μmol、2.7当量)の溶液にDIPEA(1.5μL、8.7μmol、2.6当量)を加えた。終夜の撹拌後、溶液を溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、10~90%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。白色固体生成物38は、加水分解された化合物37と共に半純粋であった(6mg、81%の収率)。
【0555】
計算値:[M+2H]2+(C125H159ClN14O34)m/z=1217.5;ESIの実測値:[M+2H]2+(C125H159ClN14O34)m/z=1217.3。
【0556】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-{[4-(N-{2-[2-(2-カルボキシエトキシ)エトキシ]エチル}-3-{[(2S)-1-{[(1S,2R,5R,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-21-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-オキソプロパン-2-イル](メチル)カルバモイル}プロパンアミド)ピペリジン-1-カルボニルオキシ]メチル}-2-[(2S)-2-[(2S)-2-{3-[2-(2-{[1-(3-{2-[(1,2-ジメチルヒドラジン-1-イル)メチル]-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル}プロパノイル)ピペリジン-4-イル]アミノ}エトキシ)エトキシ]プロパンアミド}-3-メチルブタンアミド]プロパンアミド]フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシオキサン-2-カルボン酸(39)の調製
DMA(600μL)中の化合物38(6mg、2.7μmol)の溶液にDBU(6μL、40μmol)を加えた。15分の撹拌後、溶液を溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、10~90%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。生成物39を白色固体(3mg、61%の収率)として得た。
【0557】
計算値:[M+2H]2+(C95H159ClN14O30)m/z=995.5;ESIの実測値:[M+2H]2+(C95H159ClN14O30)m/z=995.0。
【0558】
MMAE構築物48の合成
MMAE構築物を以下に示されるスキーム7にしたがって合成した。
【0559】
【0560】
【0561】
tert-ブチル2-ヒドロキシ-4-ニトロベンゾエート(41)の調製
THF(10mL)中の安息香酸40(2.07g、11.3mmol)の溶液にtert-ブタノール(10mL、105.4mmol)、DMAP(1.2g、9.8mmol)、およびDCC(2.5g、12.1mmol)を加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で20h撹拌した。混合物をEtOAc(200mL)を用いて希釈し、飽和水性NH4Cl(100mL)、水(100mL)、飽和水性NaHCO3(100mL)、水(100mL)、および飽和水性NaCl(20mL)を用いて洗浄した。有機層をMgSO4を用いて乾燥させ、濾過し、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)により残留物を精製して化合物41(2.35g、87%)を黄色油として得た。
【0562】
計算値:[M+H]+(C11H14NO5)m/z=240.1;ESIの実測値:[M+H]+(C11H14NO5)m/z=240.5。
【0563】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-(tert-ブトキシカルボニル)-5-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(42)の調製
アセトニトリル(10mL)中のアセトブロモ-α-D-グルコピラヌロン酸メチルエステル1(1.32g、3.3mmol)およびフェニルアルコール41(434mg、1.8mmol)の混合物にAg2O(1.0g、4.3mmol)を加えた。反応混合物を暗所中室温で2d撹拌した。反応混合物を次に真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)を使用して残留物を精製して化合物42(495mg、49%)をオフホワイト固体として得た。
【0564】
計算値:[M+H]+(C24H30NO14)m/z=556.2;ESIの実測値:[M+H]+(C24H30NO14)m/z=556.2。
【0565】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-アミノ-2-(tert-ブトキシカルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(43)の調製
MeOH(5mL)中のニトロ化合物42(495mg、0.89mmol)の溶液にPd/C(10重量%、200mg)を加えた。2回の繰返しサイクルにおいて、フラスコを次に排気し、バルーンからのH2ガスで満たした。取り付けたH2バルーンを用いて反応物を室温で3d激しく撹拌した。セライトパッドを通じた濾過により触媒を除去した後、濾液を真空下で濃縮して化合物43(420mg、96%)を油として得た。粗生成物をさらなる精製なしで次のステップのために直接的に使用した。
【0566】
計算値:[M+H]+(C24H32NO12)m/z=526.2;ESIの実測値:[M+H]+(C24H32NO12)m/z=526.7。
【0567】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-(4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカンアミド)-2-(tert-ブトキシカルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(44)の調製
DMF(1mL)中のフェニルアミン43(35mg、66.7μmol)の溶液に化合物11(57mg、60.2μmol)、DIPEA(32μL、0.18mmol)、およびHATU(23mg、60.5μmol)を加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で1h撹拌した。溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~85%)を用いて粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物44(49mg、56%)を白色固体として得た。
【0568】
計算値:[M+H]+(C79H90N7O20)m/z=1456.6;ESIの実測値:[M+H]+(C79H90N7O20)m/z=1457.3。
【0569】
4-(4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカンアミド)-2-(((2S,3R,4S,5S,6S)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)安息香酸(45)の調製
0℃のDCM(0.5mL)中の化合物44(49mg、33.7μmol)の溶液にDCM(1M、0.34mL、0.34mmol)中のSnCl4を加えた。30分間の撹拌後、H2O(0.1mL)およびCH3CN(0.2mL)の添加により反応物をクエンチした。混合物を次に真空下で濃縮し、溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~75%)を用いて逆相クロマトグラフィーにより残留物を精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物45(40mg、85%)を油として得た。
【0570】
計算値:[M+H]+(C75H82N7O20)m/z=1400.6;ESIの実測値:[M+H]+(C75H82N7O20)m/z=1400.4。
【0571】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-(4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカンアミド)-2-(((S)-1-(((S)-1-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(47)の調製
DMF(75μL)中のカルボン酸45(15mg、10.7μmol)の溶液にDMA(50μL)中のMMAE化合物46(12mg、10.7μmol)、DIPEA(6μL、34.4μmol)およびHATU(5mg、13.2μmol)を加えた。反応混合物を室温で1h撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~90%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物47(5.2mg、19%)を白色固体として得た。
【0572】
計算値:[M+2H]2+(C133H175N17O31)m/z=1253.1;ESIの実測値:[M+2H]2+(C133H175N17O31)m/z=1253.6。
【0573】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(((S)-1-(((S)-1-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)-5-(3-(2-(2-((1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)プロパンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(48)の調製
0℃のTHF(0.2mL)中の化合物47(5.2mg、2.1μmol)の溶液にLiOH溶液(0.1mLのH2O中1.0mg)を緩徐に加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で2h撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~75%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥してMMAE構築物48(2.5mg、63%)を白色固体として得た。
【0574】
計算値:[M+2H]2+(C96H147N17O24)m/z=961.1;ESIの実測値:[M+H]+(C96H147N17O24)m/z=961.1。
【0575】
MMAE構築物53の合成
MMAE構築物を以下に示されるスキーム8にしたがって合成した。
【0576】
【0577】
【0578】
tert-ブチル4-アミノ-2-ヒドロキシベンゾエート(49)の調製
EtOAc(4mL)およびEtOH(4mL)中のニトロ化合物41(485mg、2.03mol)の溶液にPd/C(10重量%、200mg)を加えた。2回の繰返しサイクルにおいて、フラスコを次に排気し、バルーンからのH2ガスで満たした。取り付けたH2バルーンを用いて反応物を室温で2d激しく撹拌した。セライトパッドを通じた濾過により触媒を除去した後、濾液を真空下で濃縮して化合物49(418mg、98%)を油として得た。粗生成物をさらなる精製なしで次のステップのために直接的に使用した。
【0579】
計算値:[M+H]+(C11H16NO3)m/z=210.1;ESIの実測値:[M+H]+(C11H16NO3)m/z=210.1。
【0580】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル2-((1-(3-(4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)(2-(2-(3-((4-(tert-ブトキシカルボニル)-3-ヒドロキシフェニル)アミノ)-3-オキソプロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-イル)-3-オキソプロピル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メチル)-1,2-ジメチルヒドラジンカルボキシレート(50)の調製
THF(0.5mL)中のフェニルアミン49(15.7mg、75.1μmol)および11(47mg、49.6μmol)の溶液にN-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ、25mg、101.2μmol)を加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で1h撹拌した。溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~85%)を用いて粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物50(17.4mg、31%)を白色固体として得た。
【0581】
計算値:[M+H]+(C66H74N7O11)m/z=1140.5;ESIの実測値:[M+H]+(C66H74N7O11)m/z=1140.4。
【0582】
4-(4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカンアミド)-2-ヒドロキシ安息香酸(51)の調製
0℃のジオキサン(0.1mL)中の化合物50(17.4mg、15.3μmol)の溶液にジオキサン中のHCl(4M、0.1mL、0.4mmol)を加えた。反応混合物を室温で1h撹拌した。溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~85%)を用いて粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物51(8.5mg、51%)を黄色油として得た。
【0583】
計算値:[M+H]+(C62H66N7O11)m/z=1084.5;ESIの実測値:[M+H]+(C62H66N7O11)m/z=1084.4。
【0584】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル2-((1-(3-(4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)(2-(2-(3-((4-(((S)-1-(((S)-1-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)-3-ヒドロキシフェニル)アミノ)-3-オキソプロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-イル)-3-オキソプロピル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メチル)-1,2-ジメチルヒドラジンカルボキシレート(52)の調製
DMF(50μL)中のカルボン酸51(11.6mg、10.7μmol)の溶液にMMAE化合物46(12mg、10.7μmol)、DIPEA(6μL、34.4μmol)およびHATU(5mg、13.2μmol)を加えた。反応混合物を室温で1h撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~90%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物52(2.8mg、12%)を白色固体として得た。
【0585】
計算値:[M+2H]2+(C120H159N17O22)m/z=1095.1;ESIの実測値:[M+2H]2+(C120H159N17O22)m/z=1095.6。
【0586】
4-((S)-2-((S)-2-(4-(3-(2-(2-((1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)プロパンアミド)-2-ヒドロキシベンズアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(53)の調製
0℃のDMA(0.2mL)中の化合物52(2.8mg、1.3μmol)の溶液にピペリジン(1.0μL、10.1μmol)を緩徐に加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で30分間撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~70%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物53(1.0mg、45%)を白色固体として得た。
【0587】
計算値:[M+H]+(C90H138N17O18)m/z=1745.0;ESIの実測値:[M+H]+(C90H138N17O18)m/z=1745.6。
【0588】
デュオカルマイシン構築物66の合成
デュオカルマイシン構築物を以下に示されるスキーム9にしたがって合成した。
【0589】
【0590】
【0591】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパンアミド)-5-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(55)の調製
DCM(2.0mL)およびMeOH(0.2mL)中のBoc-Ala-OH 54(44mg、0.23mmol)およびフェニルアミン3(53mg、0.12mmol)の混合物にN-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ、1.25g、0.23mmol)を加えた。反応物を室温で1h撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)を使用して残留物を精製して化合物55(41mg、55%)を白色固体として得た。
【0592】
計算値:[M+H]+(C28H39N2O14)m/z=627.2;ESIの実測値:[M+H]+(C28H39N2O14)m/z=627.1。
【0593】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパンアミド)-5-(クロロメチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(56)の調製
0℃のTHF(1.5mL)中のベンジルアルコール55(108mg、0.17mmol)の溶液にSOCl2(25μL、0.34mmol)を加えた。混合物を室温で5h撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)を使用して残留物を精製して化合物56(107.7mg、97%)を油として得た。
【0594】
計算値:[M+H]+(C28H38ClN2O13)m/z=645.2;ESIの実測値:[M+H]+(C28H38ClN2O13)m/z=645.2。
【0595】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-((((S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-1-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル)オキシ)メチル)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパンアミド)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(58)の調製
DMF(3mL)中のフェニル57(242mg、0.77mmol)の溶液にCs2CO3(235mg、0.72mmol)を加えた。混合物を室温で20分間撹拌した後、DMF(2mL)中の塩化物56(521mg、0.81mmol)を加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で20h撹拌した。溶出液としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~100%)を用いて粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物58(326mg、46%)を淡黄色油として得た。
【0596】
計算値:[M+H]+(C46H58N3O17)m/z=924.4;ESIの実測値:[M+H]+(C46H58N3O17)m/z=924.3。
【0597】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-アミノプロパンアミド)-5-((((S)-3-(tert-ブトキシカルボニル)-1-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(59)の調製
0℃のTHF(1mL)中の化合物58(163mg、0.18mmol)の溶液にジオキサン中のHCl(4M、1mL、1mmol)を加えた。反応混合物を室温で1h撹拌した。溶媒を真空下で濃縮した後、残留ジオキサンを共沸蒸留により除去した。残留物をさらなる精製なしで次のステップのために直接的に使用した。
【0598】
計算値:[M+H]+(C36H42N3O13)m/z=724.3;ESIの実測値:[M+H]+(C36H42N3O13)m/z=724.3。
【0599】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-((((S)-1-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(61)の調製
DMF(0.1mL)中の化合物59(5.8mg、8.0μmol)の溶液にFmoc-バリンペンタフルオロフェニルエステル(4.1mg、8.1μmol)およびDIPEA(4.5μL、25.8μmol)を加えた。混合物を室温で24h撹拌した後、溶出液としてアセトニトリル-水(0.1%のギ酸、5~100%)を用いて粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物61(5.3mg、63%)を淡黄色油として得た。
【0600】
計算値:[M+H]+(C56H61N4O16)m/z=1045.4;ESIの実測値:[M+H]+(C56H61N4O16)m/z=1045.3。
【0601】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-((((S)-1-(クロロメチル)-3-(5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-1H-インドール-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(63)の調製
DMA(0.1mL)中の化合物61(5.3mg、5.1μmol)および62(2.6mg、10.5μmol)の溶液にEDC(5mg、32.3μmol)を加えた。1dの撹拌後、移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~80%)を使用して分取HPLCにより残留物を精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物63(2.9mg、42%)を油として得た。
【0602】
計算値:[M+H]+(C69H74ClN6O17)m/z=1293.5;ESIの実測値:[M+H]+(C69H74ClN6O17)m/z=1293.4。
【0603】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-5-((((S)-1-(クロロメチル)-3-(5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-1H-インドール-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(64)の調製
THF(0.4mL)中の化合物63(12mg、9.2μmol)の溶液にEt2NH(14.4μL、0.14mmol)を加えた。混合物を室温で2h撹拌した。反応混合物を次に真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、1:9~9:1v/v)を使用して残留物を精製して化合物64(7.5mg、76%)を淡黄色油として得た。
【0604】
計算値:[M+H]+(C54H64ClN6O15)m/z=1071.4;ESIの実測値:[M+H]+(C54H64ClN6O15)m/z=1071.3。
【0605】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((15S,18S)-4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-15-イソプロピル-18-メチル-3,13,16-トリオキソ-2,7,10-トリオキサ-4,14,17-トリアザノナデカンアミド)-5-((((S)-1-(クロロメチル)-3-(5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-1H-インドール-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル)オキシ)メチル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(65)の調製
DMF(0.1mL)中の化合物64(7.5mg、7.0μmol)の溶液に化合物11(6.6mg、7.0μmol)、2,4,6-トリメチルピリジン(3μL、22.5μmol)およびHATU(2.6mg、6.8μmol)を加えた。混合物を室温で1h撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~90%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物65(2.1mg、15%)を白色固体として得た。
【0606】
計算値:[M+2H]2+(C109H123ClN12O23)m/z=1001.4;ESIの実測値:[M+2H]2+(C109H123ClN12O23)m/z=1001.8。
【0607】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-((((S)-1-(クロロメチル)-3-(5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-1H-インドール-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e]インドール-5-イル)オキシ)メチル)-2-((2S,5S)-15-((1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-5-イソプロピル-2-メチル-4,7-ジオキソ-10,13-ジオキサ-3,6-ジアザペンタデカンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(66)の調製
0℃のTHF(0.3mL)中の化合物65(9.8mg、4.9mmol)の溶液にLiOH溶液(0.25mLのH2O中2.5mg)を緩徐に加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で2h撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~90%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物66(3.5mg、50%)を白色固体として得た。
【0608】
計算値:[M+H]+(C72H94ClN12O16)m/z=1417.7;ESIの実測値:[M+H]+(C72H94ClN12O16)m/z=1416.7。
【0609】
デュオカルマイシン構築物69の合成
デュオカルマイシン構築物を以下に示されるスキーム10にしたがって合成した。
【0610】
【0611】
【0612】
4-(4-(1-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10-トリオキサ-4-アザトリデカンアミド)安息香酸(67)の調製
DMF(0.2mL)中のPfpエステル37(23mg、20.6μmol)および4-アミノ安息香酸(7.7mg、56.2μmol)の混合物にHOAt(2mg、14.7μmol)および2,4,6-トリメチルピリジン(20μL、0.15mmol)を加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で30分間撹拌した。溶出液としてアセトニトリル-水(0.1%のギ酸、5~100%)を用いて粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して化合物67(15.6mg、71%)を淡黄色油として得た。
【0613】
計算値:[M+H]+(C62H66N7O10)m/z=1068.5;ESIの実測値:[M+H]+(C62H66N7O10)m/z=1068.5。
【0614】
(9H-フルオレン-9-イル)メチル2-((1-(3-(4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)(2-(2-(3-((4-(((S)-1-(((S)-1-((4-((5S,8S,11S,12R)-11-((S)-sec-ブチル)-12-(2-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-2-オキソエチル)-5,8-ジイソプロピル-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデシル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)フェニル)アミノ)-3-オキソプロポキシ)エトキシ)エチル)アミノ)ピペリジン-1-イル)-3-オキソプロピル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-2-イル)メチル)-1,2-ジメチルヒドラジンカルボキシレート(68)の調製
DMF(0.05mL)中の化合物67(11.4mg、10.7μmol)の溶液に46(12mg、10.7μmol)、DIPEA(5.7μL、32.7μmol)およびHATU(5.0mg、13.2μmol)を加えた。混合物を室温で1h撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~90%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物68(3.6mg、15%)を白色固体として得た。
【0615】
計算値:[M+2H]2+(C120H159N17O21)m/z=1087.1;ESIの実測値:[M+2H]2+(C120H159N17O21)m/z=1087.6。
【0616】
4-((S)-2-((S)-2-(4-(3-(2-(2-((1-(3-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)エトキシ)エトキシ)プロパンアミド)ベンズアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(69)の調製
0℃のDMA(0.2mL)中の化合物68(3.6mg、1.6μmol)の溶液にピペリジン(2.0μL、20.2μmol)を緩徐に加えた。結果としてもたらされた混合物を室温で20分間撹拌した。粗生成物を移動相としてアセトニトリル-水(0.05%のTFA、5~70%)を使用して分取HPLCにより精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥して化合物69(1.2mg、42%)を白色固体として得た。
【0617】
計算値:[M+2H]2+(C90H139N17O17)m/z=865.0;ESIの実測値:[M+2H]2+(C90H139N17O18)m/z=865.3。
【0618】
[実施例2]
バイオコンジュゲーション
C末端にアルデヒドタグを含有する抗体を、0.85%のDMAの存在下で50mMのクエン酸ナトリウム、pH5.5、50mMのNaCl中37℃で72h、15mg/mLの構築物13、23、39、48、53、66、69および8個の薬物:抗体同等物に共役させた(スキーム11)。ADCを20mMのクエン酸Na、pH5.5、50mMのNaClに交換しながらタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して遊離薬物を除去した。最終生成物のDARを決定するために、ADCを疎水性相互作用クロマトグラフィー(Tosoh#14947 TSK gel Butyl-NPR 4.6mm×35mm;移動相A:25mMのNaPO4、1.5Mの(NH4)2SO4、pH7.0および移動相B:18.75mMのNaPO4、pH7.0、25%のイソプロパノール)により調べた。凝集をモニターするために、300mMのNaCl、25mMのリン酸ナトリウム、pH6.8、5%のイソプロパノールの移動相と共にサイズ排除クロマトグラフィー(SEC;Tosoh#08541)を使用して試料を分析した。最終生成物は5%未満の凝集物を含有した。
【0619】
薬物対抗体比(DAR)を表1に要約した。これらのADCをさらなる濃縮なしで以下の研究のために使用した。
【0620】
スキーム11.ADCの合成のためのHIPSライゲーション。アルデヒド部分を有する抗体をヒドラジノ-イソ-ピクテ-スプレングラー(HIPS)リンカーおよびペイロードと反応させて、安定なアザカルボリン連結を有する部位特異的に共役したADCを生成させた。
【化96】
【0621】
表1.コンジュゲートの薬物対抗体比(DAR)
【表1】
【0622】
[実施例3]
血清安定性アッセイ
ADCを40μg/mLにおいてラット血清にスパイクした。試料のアリコートを取り、使用まで-80℃で貯蔵した。アリコートを指し示される時間にわたり5%のCO2下37℃に置き、次にELISAにより分析して抗MMAE(13、48、53、69)または抗デュオカルマイシン(66)(全ADC)および抗Fab(全抗体)シグナルを評価した。新たに解凍したアリコートを共役の参照開始値として使用した。時点にわたる比較を可能にするために全てのアナライトを1つのプレート上で一緒に測定した。カゼインブロッキング緩衝液中に1:1000で希釈したアナライトを、抗ヒトFab特異的抗体をコーティングしたプレート上に捕捉した。次に、抗ペイロード抗体、続いてHRP共役ヤギ抗マウスFcγ特異的抗体を用いてペイロードを検出し、HRP共役ヤギ抗ヒトFcγ特異的抗体を用いて全抗体を検出した。結合したHRP共役抗体をTMB基質を用いて可視化した。比色反応をH2SO4を用いて停止させ、Molecular Devices SpectraMax M5プレートリーダーを使用して450nmにおける吸光度を決定した。データ解析をExcelで行った。各試料を4連で分析し、平均値を使用した。抗ペイロードシグナル対抗Fabシグナルの比を抗体共役の度合として使用した。
【0623】
抗HER2 13および抗CD79b 13の両方のADCはラット血清中で非常に安定であり、37℃で7日後にペイロードの損失を示さない(
図1A)。MMAE構築物48 ADCは非糖構築物53および69 ADCより安定である(
図1A)。抗HER2 66および抗CD79b 66 ADCは非常に安定である(
図1B)。
【0624】
[実施例4]
in vitro細胞傷害性
5%のCO2の37℃のインキュベーター中、10%のウシ胎仔血清(Seradigm)およびGlutamax(Invitrogen)を補足したRPMI-1640培地(Invitrogen)中でNCI-N87およびJeKo-1細胞系を維持した。細胞を定期的に継代して対数期増殖を確実にした。プレーティングの日に、ウェル当たり5000個の細胞を96ウェルプレート中の100μLの通常増殖培地に加え、インキュベーターに24h戻してプレーティング条件まで平衡化させた。細胞を次に、6倍の最終の所望の濃度において段階希釈した20μLのADCを用いて処理した。5dのインキュベーション後、生産者の推奨にしたがってCellTiter-Glo試薬(Promega)を使用して細胞生存を測定した。発光をSpectraMax M5プレートリーダー上で読み取った。GraphPad Prismソフトウェアをデータ解析のために使用し、データ解析は、各プレート上に存在する対照に対して正規化された発光値からのIC50の算出を含んだ。
【0625】
C末端においてMMAE構築物13、48、53、69により修飾された抗HER2のin vitro細胞傷害性をHER2陽性細胞系、NCI-N87を使用して評価した。
図2Aに示されるように、全てのADCは、サブナノモルのIC
50値を有する強力な用量依存的な毒性を呈した。対照的に、アイソタイプADC(抗CD79b)は、20nMまでの濃度において最小の活性を示した。
【0626】
別の研究において、C末端においてデュオカルマイシン構築物66により修飾された抗CD79b抗体のin vitro細胞傷害性をCD79b陽性細胞系、JeKo-1を使用して評価した。ADCは、0.7nMのIC
50値を有する強力な用量依存的な毒性を呈した(
図2B)。
【0627】
[実施例5]
in vivo有効性研究
全ての動物研究は動物実験委員会ガイドラインにしたがって実行され、Sundia(Shanghai、China)において行われた。マウス抗MMAE抗体はProMabにより作られ、自社で検証した。ウサギ抗AF488抗体はLife Technologiesから購入した。ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)共役二次抗体はJackson ImmunoResearch(West Grove、PA)からのものであった。細胞系はATCCおよびDSMZ細胞バンクから得、そこでそれらは形態、核型分析、およびPCRベースのアプローチにより立証された。
【0628】
雄CB17 SCIDマウスの皮下に50%のMatrigel中の1.0×10
6個のJeKo-1細胞を接種した。投薬は、腫瘍が167mm
3の平均に達した時に開始した。動物(5マウス/群)に静脈内単回用量(3mg/kgのADCまたはビヒクル単独)を与えた。動物を体重および腫瘍サイズについて週に2回モニターした。腫瘍体積は、式:
【数1】
【0629】
を使用して算出した。
【0630】
重篤な毒性は観察されなかった。ADCの単回用量は、腫瘍成長を有意に遅延させるために十分であった(
図3)。
【0631】
本発明をその特有の実施形態を参照して記載してきたが、様々な変更が為されてもよく、本発明の真の精神および範囲から離れることなく均等物が置換され得ることが当業者により理解されるべきである。追加的に、目的とする本発明の精神および範囲に対して特定の状況、材料、組成物、方法、方法ステップまたはステップを適合させるために多くの改変が為されてもよい。全てのそのような改変は、本明細書に添付される請求項の範囲内であることが意図される。