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特許7550782物質移動カラム用蒸気分配器及びそれを伴う方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】物質移動カラム用蒸気分配器及びそれを伴う方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/00 20060101AFI20240906BHJP
   B01D 3/22 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B01D3/00 Z
B01D3/22 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021553103
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 IB2020052468
(87)【国際公開番号】W WO2020194132
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】62/822,397
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/903,942
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195045
【氏名又は名称】コーク-グリッシュ,リミティド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニーウァウト アイザック
(72)【発明者】
【氏名】タルボット マルコルム
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503854(JP,A)
【文献】特表2013-525097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0080105(US,A1)
【文献】特公昭44-001409(JP,B1)
【文献】特開2000-254403(JP,A)
【文献】特公昭48-020696(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 1/00 - 8/00
B01J 8/00 - 8/46
B01J 10/00 - 12/02
B01J 14/00 - 19/32
B01D 53/14 - 53/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気流が物質移動カラムのシェル内の半径方向入口を通って内部領域に取り込まれるときに、前記蒸気流を受け取って上方向に再分配するために、前記物質移動カラムの前記内部領域に配置するための蒸気分配器であって、該蒸気分配器は、
アレイ状に配置され、各々が非円形断面を有する複数の細長い偏向器と、
前記偏向器のアレイを横切って長手方向に延在し、前記偏向器を互いに離間して並んだ関係で保持する少なくとも2つのブレースと、
を備え、
前記偏向器の各々は偏向面を備え、前記蒸気分配器が前記物質移動カラムの前記内部領域内に配置されるとき、前記偏向面は、前記半径方向入口に向かう共通の方向を向き、
前記ブレースの各々は、前記偏向器のアレイの上方に、上方向に延在する支柱を含み、
前記支柱は、互いに平行であり、前記偏向器の長手方向に垂直な方向に上方向に延在する、蒸気分配器。
【請求項2】
蒸気流が物質移動カラムのシェル内の半径方向入口を通って内部領域に取り込まれるときに、前記蒸気流を受け取って上方向に再分配するために、前記物質移動カラムの前記内部領域に配置するための蒸気分配器であって、該蒸気分配器は、
アレイ状に配置され、各々が非円形断面を有する複数の細長い偏向器と、
前記偏向器のアレイを横切って長手方向に延在し、前記偏向器を互いに離間して並んだ関係で保持する少なくとも2つのブレースと、
を備え、
前記偏向器の各々は偏向面を備え、前記蒸気分配器が前記物質移動カラムの前記内部領域内に配置されるとき、前記偏向面は、前記半径方向入口に向かう共通の方向を向き、
前記ブレースの各々は、前記偏向器のアレイの上方に、上方向に延在する支柱を含み、
前記支柱のうちの少なくとも1つが、前記支柱のうちの別の支柱から分岐する方向に上方向に延在する、蒸気分配器。
【請求項3】
前記偏向器は、前記偏向面が幾何学的構成において凹状であるベーン、又は多面断面を有するパイプである、請求項2に記載の蒸気分配器。
【請求項4】
前記偏向器のアレイ内の前記偏向器は、それらの両端が仮想円に沿って位置するように配置される、請求項3に記載の蒸気分配器。
【請求項5】
物質移動カラムであって、
開放内部領域を画定する直立のシェルと、
蒸気流を前記開放内部領域に取り込むための、前記シェル内の高さに配置された半径方向入口と、
前記半径方向入口の前記高さと少なくとも部分的に重なる高さで前記開放内部領域に配置された蒸気分配器であって、
前記半径方向入口に最も近くに配置された偏向器が前記半径方向入口から最も遠くに配置された偏向器よりも高い高さにある下降アレイに配置された複数の細長い偏向器であって、
前記偏向器の各々は、非円形断面を有する、複数の細長い偏向器と、
前記偏向器のアレイを横切って長手方向に延在し、それらを互いに離間して並んだ関係で保持する少なくとも1つのブレースであって、
前記偏向器の各々は偏向面を有し、前記偏向器の前記偏向面は、前記半径方向入口に面し、異なる高さに配置されている、少なくとも1つのブレースと、
を備える、蒸気分配器と、
を備える、物質移動カラム。
【請求項6】
前記細長い偏向器のアレイを横切って延在し、前記半径方向入口の概念的中心線から共通の距離だけ互いに離間して配置された一対の前記ブレースを含む、請求項5に記載の物質移動カラム。
【請求項7】
前記ブレースの各々は、前記細長い偏向器の長手方向に垂直な方向に長手方向に延在する、請求項6に記載の物質移動カラム。
【請求項8】
前記ブレースの各々は、前記細長い偏向器のアレイの上方に、上方向に延在する支柱を含む、請求項7に記載の物質移動カラム。
【請求項9】
前記支柱は、互いに平行であり、前記細長い偏向器の長手方向に垂直な方向に上方向に延在する、請求項8に記載の物質移動カラム。
【請求項10】
前記支柱は、互いに分岐する方向に上方向に延在する、請求項8に記載の物質移動カラム。
【請求項11】
前記偏向器は、前記偏向面が凹状であるベーンである、請求項10に記載の物質移動カラム。
【請求項12】
前記偏向器は、三角形断面を有する管である、請求項10に記載の物質移動カラム。
【請求項13】
前記細長い偏向器のアレイ内の前記細長い偏向器は、それらの両端が前記シェルの内面に沿って位置するように配置される、請求項10に記載の物質移動カラム。
【請求項14】
前記ブレースの別の対を含む、請求項6に記載の物質移動カラム。
【請求項15】
請求項6に記載の物質移動カラム内に蒸気流を分配する方法であって、
半径方向速度で前記半径方向入口を通って半径方向に、前記シェルの前記開放内部領域に蒸気流を取り込むステップと、
前記偏向器のアレイ内の前記偏向器の前記偏向面によって、前記蒸気流の連続部分を前記半径方向から上方向に向け直させることによって、前記半径方向速度を減少させ、前記蒸気流を上方向に再分配するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記蒸気流の、前記連続部分以外の部分を、前記ブレースから上方向に延在する支柱によって向け直させることによって、前記蒸気流の、前記連続部分以外の前記部分を再分配する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、物質移動カラムに関し、より詳細には、半径方向入口から物質移動カラムに取り込まれた蒸気流を受け取り再分配するための蒸気分配器と、蒸気分配器を使用して蒸気流を再分配する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2019年3月22日に出願された米国仮特許出願第62/822,397号、及び2019年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/903,942号に基づいている。前述の出願の優先権は、本明細書によって主張され、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
物質移動カラムは、特定の組成及び/又は温度の生成物流を提供するために、少なくとも2つの流体流に接触するように構成される。本明細書で使用される「物質移動カラム」という用語は、質量及び/又は熱の移動が主な目的であるカラムを包含することを意図している。多成分蒸留及び吸収用途で利用されるものなど、気相流を液相流に接触させるいくつかの物質移動カラムがあるが、抽出カラムなど、異なる密度の2つの液相間の接触を促進するように設計され得る他の物質移動カラムもある。しばしば、物質移動カラムは、通常は2つの液相間の密な接触を促進するためにカラムの内部領域に配置されている物質移動構造の表面に沿って、又はその上側で、上昇蒸気流又は液体流を下降液体流と接触させるように構成される。2つの相の間を移動する質量及び熱の速度及び/又は程度は、様々な種類のトレイ、構造化パッキング、ランダムパッキング、又はグリッドパッキングの形態であり得る物質移動構造によって高められる。
【0004】
蒸気流は、典型的には、物質移動構造を含む領域の下方の物質移動カラムのシェル内に位置する半径方向又は接線方向の入口を通って物質移動カラムに取り込まれ、液体流は、物質移動構造の上方の入口を通って物質移動カラムに取り込まれる。次いで、蒸気流及び液体流は、領域を通って向流関係で流れ、トレイ又はパッキングは、対向して流れる蒸気流及び液体流をより大きな表面領域に分配してそれらの相互作用を高める役割を果たす。
【0005】
蒸気流と液体流との間で行われる物質移動又は熱交換の効率を高めるために、蒸気流が入口を通って物質移動カラムに取り込まれた後、物質移動構造を含む領域に入る前に、物質移動カラムの水平断面にわたって蒸気流が均一に分配されることが重要である。蒸気流の速度は、特にそれが物質移動カラム内に半径方向に取り込まれる場合、その所望の水平方向の分配を妨げることができるため、速度を低下させ、入ってくる蒸気流を再分配するために、様々なタイプの蒸気分配器が利用されてきた。
【0006】
これらのタイプの蒸気分配器は、多くの用途で満足に機能することができるが、ファウリング、コーキング、浸食、及び腐食などの厳しい条件が問題となる精製分離、石油化学、化学、及び他のプロセス用途には適さないことがある。これらのタイプの厳しい条件における半径方向入口用に設計された1つのタイプの蒸気分配器は、はしご型構造に配置された細長い偏向器のアレイを使用する。偏向器は、円形断面を有し、蒸気流の半径方向流入に対して横方向に延在するパイプである。偏向器は、半径方向入口から離れる方向に連続的に低い高さに配置され、各偏向器は、蒸気流の半径方向の流れを上下方向に向け直す半径方向入口に面する凸状の偏向面を呈する。偏向器の円形断面は、蒸気流から偏向器への材料の堆積を抑制するという点で有利であるが、蒸気流のかなりの部分を所望の上方向ではなく下方向に偏向させる傾向があるため、不利でもある。偏向器の円形断面の更なる欠点は、蒸気流の影響を受ける凸状偏向面が同じままであり、蒸気分配器の構築中に個々の偏向器の一部又は全部の回転位置を変更することによって蒸気再分配を改善するために変更することができないことである。したがって、厳しい使用条件での使用に適しており、蒸気流をより効果的に上方向に再分配することができる蒸気分配器が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、蒸気流が物質移動カラムのシェル内の半径方向入口を通って内部領域に取り込まれるときに、蒸気流を受け取って再分配するために、物質移動カラムの内部領域に配置するための蒸気分配器に関する。蒸気分配器は、アレイ状に配置され、各々が非円形断面を有する複数の細長い偏向器と、偏向器のアレイを横切って長手方向に延在し、偏向器を互いに離間して並んだ関係で保持する少なくとも1つのブレースとを備える。偏向器の各々は偏向面を備え、蒸気分配器が物質移動カラムの内部領域内に配置されるとき、偏向面は、半径方向入口に向かう共通の方向を向く。
【0008】
別の態様では、本発明は、開放内部領域を画定する直立のシェルと、蒸気流を開放内部領域に取り込むためにシェルの高さに配置された半径方向入口と、半径方向入口の高さと少なくとも部分的に重なる高さで開放内部領域に配置された蒸気分配器とを備える物質移動カラムに関する。蒸気分配器は、半径方向入口に最も近くに配置された偏向器が半径方向入口から最も遠くに配置された偏向器よりも高い高さにある下降アレイに配置された複数の細長い偏向器と、偏向器のアレイを横切って長手方向に延在し、それらを互いに離間して並んだ関係で保持する少なくとも1つのブレースとを備える。偏向器の各々は、非円形断面及び偏向面を有する。偏向器の偏向面は、半径方向入口に面し、異なる高さに配置される。
【0009】
更なる態様では、本発明は、細長い偏向器のアレイを横切って延在し、半径方向入口の概念的中心線から共通の距離だけ互いに離間した関係で配置された一対のブレースを含むことを更に含む、上述の物質移動カラム内に蒸気流を分配する方法に関する。方法は、半径方向速度で半径方向入口を通って半径方向に、シェルの開放内部領域に蒸気流を取り込むステップと、偏向器のアレイ内の偏向器の偏向面によって、蒸気流の連続部分を半径方向から上方向に向け直させることによって、半径方向速度を減少させ、蒸気流を上方向に再分配するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書の一部を形成し、様々な図において同様の構成要素を示すために同様の参照番号が使用されている添付の図面では:
【0011】
図1】半径方向入口からカラム内に取り込まれたときに蒸気流を受け取り再分配するように配置された蒸気分配器を示すために、そのシェルの一部が破断されている物質移動カラムの側面斜視図である。
図2図1に示す物質移動カラムの拡大された部分側面図であり、半径方向入口から物質移動カラムに取り込まれた蒸気流を受け取り再分配する蒸気分配器を概略的に示す。
図3】物質移動カラムの断片部分内の蒸気分配器の背面図である。
図4】物質移動カラムの断片部分内の蒸気分配器の背面斜視図であり、半径方向入口を示すために矢印の方向に図2の線4-4に沿って得られた。
図5】半径方向入口からカラム内に取り込まれたときに蒸気流を受け取り再分配するように配置された蒸気分配器の別の実施形態を示すために、そのシェルの一部が破断されている物質移動カラムの側面斜視図である。
図6】蒸気分配器の更なる実施形態の上面斜視図である。
図7図6に示す蒸気分配器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここでより詳細に図面を参照し、最初に図1を参照すると、物質移動カラムは、概して数字10で示され、開放内部領域14を画定する直立の円筒状シェル12を含む。シェル12は、任意の適切な直径及び高さのものであり、好ましくは物質移動カラム10内に存在する流体及び条件と不活性であるであることが望ましいが、又はそうでなければそれらと適合性がある適切な剛性材料から構成される。物質移動カラム10のシェル12は円筒形状で示されているが、多角形を含む他の形状が使用されてもよい。
【0013】
物質移動カラム10は、ファウリング、コーキング、浸食、及び腐食などの厳しい条件が問題となる精製分離、石油化学、化学、及び他のプロセス用途を含む、流体流を処理するために使用されるタイプのものである。流体流は、1つ以上の上昇蒸気流及び1つ以上の下降液体流を含む。蒸気流の1つは、物質移動カラム10の高さに沿った適切な位置でシェル12を通って延在する半径方向入口16を通って物質移動カラム10の開放内部領域14に導かれる。半径方向入口16を通って物質移動カラム10に取り込まれる蒸気流に加えて、物質移動カラム10内で1つ以上の蒸気流が生成され得る。液体流は、蒸気流を開放内部領域14に取り込む半径方向入口16の上方に配置された別の半径方向入口18を通って開放内部領域14に導かれてもよい。物質移動カラム10はまた、典型的には、蒸気生成物又は副生成物を取り出すための塔頂ライン20と、液体生成物又は副生成物を物質移動カラム10から取り出すための底部流テイクオフライン22とを含む。フィード点、サイドドロー、還流流ライン、再沸騰器、凝縮器、液体分配器などの典型的に存在する他のカラム構成要素は、これらの構成要素の例示が本発明の理解のために必要であるとは考えられないので、図面には示されていない。
【0014】
本発明の蒸気分配器24は、蒸気流が物質移動カラム10のシェル12内の半径方向入口16を通って内部領域14に半径方向に取り込まれるときに蒸気流を受け取って再分配する位置で、物質移動カラム10の内部領域14内に配置される。蒸気分配器24は、アレイ状に配置された複数の細長い偏向器26と、偏向器26のアレイを横切って長手方向に延在し、個々の偏向器26を互いに離間して並んだ関係で保持する少なくとも1つのブレース28とを備える。偏向器26及びブレース28は、蒸気流から堆積される材料の容易な蓄積を可能にする表面を存在させないように構成されるべきである。偏向器26は下降アレイ状に配置され、半径方向入口16に最も近く配置された偏向器26が、残りの偏向器26よりも高い高さにある。偏向器26は、隣接する偏向器26が部分的に重なり合う高さにあるようにアレイ内に配置されてもよく、又は重なり合わないように配置されてもよい。偏向器26は、互いに垂直及び/又は水平に等間隔に配置されてもよく、又は垂直及び/又は水平の間隔は、特定の用途のために変更されてもよい。
【0015】
偏向器26の各々は、非円形断面を有し、半径方向入口26に面する偏向面30を含む。偏向器26及び偏向面30は、半径方向入口26を通って内部領域14に取り込まれる蒸気流の別々の部分が、個々の偏向面30によって主に上方向に向け直されるように配置される。偏向面30は、半径方向入口26に面する方向に幾何学的形状を有し、その結果、偏向器26の回転位置を変化させると、偏向面30が蒸気流の一部を向け直す方法が変化する。
【0016】
偏向器26は、多面断面を有するパイプ26aの形態であってもよく、これは、図1図5に示す実施形態では、偏向面30と、偏向面30の両端からそれぞれ鋭角に延びる2つの隣接する面32とを含む三角形断面である。図6及び図7に示す別の実施形態では、偏向器26は、偏向面30が半径方向入口16に面する方向に凹状の幾何学的形状を有するベーン26bの形態であってもよい。偏向器26の各々は、同じ幾何学的構成であってもよいし、又は異なる幾何学的構成であってもよい。例えば、偏向器26のいくつかは、図1図5に示すように三角形の断面を有してもよく、他の偏向器26は、図6及び図7に示すように凹状の断面を有してもよい。偏向器の形状の他の組み合わせも可能である。
【0017】
偏向面30は、平面又は曲線であってもよく、単一の表面又は複数の表面セグメントを含んでもよい。蒸気分配器24の一実施形態では、偏向器26の偏向面30は互いに平行であり、半径方向入口16に向かう共通の方向を向いている。他の実施形態では、偏向面30は、半径方向入口16に面する限り、互いに平行である必要はない。下降アレイ内の偏向器26の偏向面30は、半径方向入口16から物質移動カラム10の開放内部領域14に流れる蒸気流の連続部分を主に上方向に向け直すように動作するように配置される。したがって、偏向面30は、蒸気流の半径方向速度を低下させ、それを上方向に向け直し、物質移動カラム10の開放内部領域14の断面にわたってより均一に再分配する。偏向器26の非円形断面は、蒸気流の一部が偏向面30によって方向転換される所望の入射角を得るために、偏向器26を所定の回転位置に固定することによって、蒸気分配器24を特定の用途で使用するために構築中に最適化することを可能にするという点で有利である。入射角は、偏向面30の各々について同じであっても異なっていてもよい。例えば、連続する偏向面30の入射角は、半径方向入口16から離れる方向に増加又は減少してもよい。
【0018】
偏向器26のアレイにおける偏向器26は、長手方向の長さを有し、それらの両端は概念的な円に沿って位置するように配置されてもよく、この円は、シェル12の内面と一致し得るか、又は内面から半径方向内側に間隔が空けられ得る。偏向器26は各々、直線状に、曲線状に延びてもよく、又は偏向器26の各々の長さを形成するように互いに接合された複数の直線又は曲線セグメントを有してもよい。
【0019】
各ブレース28は、溶接、ボルト締め、又は他の適切な手段によって偏向器26に接合される。ブレース28の偏向器26への接合を容易にするために、ブレース28は、偏向器26の側面に適合するように成形されたタブ34を含むことができる。図1図4に示す実施形態では、一対のブレース28を使用して、アレイ内に偏向器26を保持する。一対のブレース28は、偏向器26のアレイを横切って延在し、半径方向入口16の概念的中心線から共通の距離だけ互いに離間して配置される。図5ならびに図6及び図7に示す実施形態では、別の対のブレース28も使用される。他の実施形態では、ブレース28の追加の対が使用されてもよく、又はブレース28は対で配置される必要はない。例えば、ブレース28の一方は、半径方向入口16の概念的中心線に沿って配置されてもよい。ブレース28は、互いに平行な方向に長手方向に延在してもよく、又は半径方向入口16に向かう方向又は半径方向入口から離れる方向に互いに向かって収束することなどによって、互いに非平行な関係で延在してもよい。ブレース28の長手方向は、偏向器26の長手方向に対して垂直であってもよく、偏向器26に対して他の角度で延在してもよい。
【0020】
ブレース28の各々は、偏向器26のアレイの上方に、上方向に延在する支柱36を含む。別の実施形態では、支柱36の一部又は全部は、偏向器26のアレイの下方に、下方向に延在してもよい。支柱36は、蒸気流の一部を開放内部領域14の断面にわたって再分配させるために、半径方向入口16を通って開放内部領域14に入った蒸気流の一部を向け直すために使用し得る。支柱36は、互いに平行であるか、又は互いに向かって分岐又は収束する方向に上方向に延在してもよい。一例では、半径方向入口16の概念的中心線の両側に2つ以上のブレース28が配置され、それらの支柱36は、蒸気分配器24を更に強化し、蒸気流の所望の再分配を容易にするために、半径方向入口16の概念的中心線から外側に傾斜するように曲げられる。支柱36は、偏向器26の長手方向に垂直な方向に長手方向に延在してもよく、又は所望の蒸気再分配を容易にするために半径方向入口16に最も近い端部で互いに向かって収束又は離れる方向に延在してもよい。別の実施形態では、支柱36は、互いに分岐する方向に上方向に延在してもよい。支柱36は、図3図4及び図6に最もよく見られるように、補強フランジ38又はジョグルを形成するために1つ以上の曲げ線に沿って支柱36を曲げることを含む、様々な他の方法で補強されてもよい。
【0021】
蒸気分配器24は、偏向器26及び/又はブレース28の端部をシェル12の内面に、又はシェル12の内面に溶接又は他の方法で固定される取り付けブラケット(図示せず)に溶接、ボルト締め又は他の方法で固定するなど、様々な方法で物質移動カラム10のシェル12に固定されてもよい。
【0022】
蒸気分配器24は、蒸気流を半径方向入口16を通って半径方向に半径方向速度でシェル12の開放内部領域14に取り込み、次いで半径方向速度を低下させ、蒸気流の連続部分を偏向器26の偏向面30によって偏向器26の下降アレイ内で半径方向から上方向に方向転換させることによって蒸気流を上方向に再分配することによって、物質移動カラム10内に蒸気流を分配する方法で使用される。本方法はまた、蒸気流の他の部分をブレース28から上方向に延在する支柱36によって横方向に方向転換させることによって蒸気流の他の部分を再分配するステップを含む。蒸気分配器24は、蒸気流が半径方向入口16の上方の物質移動ゾーンに上昇するときに、蒸気流のより均一な水平方向の分配を促進するのに有効である一方で、離間された偏向器26は、精製分離、石油化学、化学及び他のプロセス用途に存在し得るファウリング、コーキング、浸食及び腐食などの厳しい条件に耐性がある。
【0023】
上記から、本発明は、構造に固有の他の利点と共に上記のすべての目的及び目的を達成するようによく適合されていることが分かる。
【0024】
特定の特徴及び部分的組み合わせは有用であり、他の特徴及び部分的組み合わせを参照せずに採用され得ることが理解されよう。これは、本発明によって企図され、本発明の範囲内である。
【0025】
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの可能な実施形態が本発明から作成され得るので、添付の図面に記載又は図示されたすべての事項は、限定的な意味ではなく例示として解釈されるべきであることを理解されたい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7