(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】車両用操作ユニット
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20240101AFI20240906BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240906BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20240906BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B60K37/00 D
B60R16/02 640J
B60H1/00 103Z
G09F9/00 351
(21)【出願番号】P 2021568900
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020064442
(87)【国際公開番号】W WO2020239695
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】102019114002.1
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】トロイグート,ウド
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-088988(JP,A)
【文献】特開2006-213098(JP,A)
【文献】特開2000-038057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0342753(US,A1)
【文献】実公昭51-006322(JP,Y1)
【文献】独国特許出願公開第19853214(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
B60H 1/00- 3/06
G09F 9/00
B60R 16/00-17/02
E05D 1/00- 9/00
F16C 11/00-11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用操作ユニッ
トであって、
凹部(16)を有するフロントパネル(14)を備える筐体(12)と、
上記筐体(12)内に配置され、かつ上記凹部(16)の内部又は後方に配置されている表示面(26)を備えるディスプレイ(24)と、
上記ディスプレイ(24)を上記筐体(12)に固定するための固定装置(36)とを備え、
上記固定装置(36)が、上記ディスプレイ(24)を保持する保持部品(28)を有し、
上記保持部品(28)が、上記筐体(12)において、アセンブリ前位置と、上記ディスプレイ(24)が上記フロントパネル(14)の上記凹部(16)の内部又は後方に存在する組込位置との間で旋回可能に配置されており、
上記筐体(12)又は上記保持部品(28)が、上記筐体(12)内又は上記保持部品(28)内に配置された少なくとも1つの棒状の部品(38,38’,38”)により構成されている軸受中心軸(40)を有し、
上記棒状の部品(38,38’,38”)に取り付けるため、上記保持部品(28)又は上記筐体(12)が、少なくとも2つの把持突起(48,50)を備える少なくとも1つの軸受胴アセンブリ(32)を有し、上記把持突起(48,50)が、少なくとも1つの上記棒状の部品(38,38’,38”)に当接するため、円柱状の軸受胴領域(52)を構成し、上記軸受胴領域(52)が、180°を超えて270°未満にわたって延伸し、その間で上記軸受胴アセンブリ(32)を上記棒状の部品(38,38’,38”)に取り付けるための取付開口(53)を構成し、
上記棒状の部品(38,38’,38”)が、その長手延伸に沿って、少なくとも1つの取付部(57)において周辺領域を有し、この周辺領域が、少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32)の上記把持突起(48,50)の上記軸受胴領域(52)を補完する形状から外れた外形を有し、
少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32)が上記保持部品(28)の上記アセンブリ前位置において上記棒状の部品(38,38’,38”)の上記取付部(57)に取り付け可能、かつ上記アセンブリ前位置から、少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32)が上記取付部(57)内で上記棒状の部品(38,38’,38”)を分離不能な状態で把持する上記組込位置へ旋回可能になるように、上記棒状の部品(38,38’,38”)が上記筐体(12)内
に、又
は上記保持部品(28)の少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32
)に配置されており、
上記保持部品(28)の上記組込位置が、上記筐体(12)及び上記保持部品(28)の互いに当接する当接素子(34,60)により規定されており、
上記固定装置(36)が、上記保持部品(28)を上記筐体(12)内及び/又は上記筐体(12)上における上記組込位置に固定するための少なくとも1つの固定素子(58)を有する操作ユニット。
【請求項2】
少なくとも1つの上記棒状の部品(38,38’,38”)が、上記取付部(57)において、少なくとも1つの平坦部(54,54’,54”,56,56’,56”)に起因して円柱状の周辺形状から外れた外形を有することを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項3】
少なくとも1つの上記棒状の部品(38,38’,38”)が、上記取付部(57)において、少なくとも2つの平坦部(54,54’,54”,56,56’,56”)に起因して円柱状の周辺形状から外れた外形を有することを特徴とする請求項2に記載の操作ユニット。
【請求項4】
2つの上記平坦部(54,54’,54”,56,56’,56”)が、直径方向に対向して配置されていることを特徴とする請求項3に記載の操作ユニット。
【請求項5】
少なくとも1つの上記棒状の部品(38,38’,38”)が、上記取付部(57)において、多角形の周辺領域を有し、上記棒状の部品(38,38’,38”)の中心軸を通る多角形の周辺領域の2つの対角の間の最大距離線が、少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32)の上記把持突起(48,50)の円柱状の上記軸受胴領域(52)により規定される直径に等しい又は略等しいことを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項6】
少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32)の上記把持突起(48,50)が、上記軸受中心軸(40)の延伸方向からみて、略C字型の構成を有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項7】
少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32)の上記把持突起(48,50)が、互いに対向しており、そのような上記把持突起(48,50)が少なくとも1組存在することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項8】
上記把持突起(48,50)が、上記軸受中心軸(40)の延伸方向からみて、互いに軸方向にずれて配置されており、隣接する第1の把持突起(48)の間の間隔領域において、これらに対向する少なくとも1つの第2の把持突起(50)が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項9】
上記保持部品(28)が上記組込位置をとる際の上記棒状の部品(38,38’,38”)の長手延伸における上記保持部品(28)及び上記筐体(12)の相対的な位置決めのための位置決め素子アセンブリ(42)をさらに備え、上記位置決め素子アセンブリ(42)が、上記筐体(12)上又は上記保持部品(28)上に、2つの隣接する位置決め当接素子(46)を有し、上記保持部品(28)の上記組込位置において、上記位置決め当接素子(46)の間に、上記保持部品(28)上又は上記筐体(12)上に配置された軸位置決め突起(44)を差し込み可能であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項10】
上記軸受中心軸(40)が、一直線に並んだ2つの棒により構成されており、上記棒状の部品(38,38’,38”)の各々に、1つの軸受胴アセンブリ(32)の上記把持突起(48,50)が対応している、及び/又は上記保持部品(28)の上記組込位置が、上記保持部品(28)及び上記筐体(12)上の2組の協働する当接素子(34,60)により規定されていることを特徴とす
る請求項
9に記載の操作ユニット。
【請求項11】
上記位置決め素子アセンブリ(42)が、上記2つの棒の間又は上記2組の当接素子(34,60)の間に配置されていることを特徴とす
る請求項10に記載の操作ユニット。
【請求項12】
上記保持部品(28)及び上記筐体(12)上の協働する誘導領域をさらに有し、上記保持部品(28)が上記アセンブリ前位置をとるために、少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリ(32)の上記把持突起(48,50)を少なくとも1つの上記棒状の部品(38,38’,38”)に取り付ける際、上記誘導領域が、上記保持部品(28)の向きを支持することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項13】
上記車両用操作ユニットが、車両部品用のヒューマンマシンインターフェースである請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項14】
上記車両部品が、暖房、換気及び/又は空調システム、インフォテインメントシステム又はナビゲーション機器である請求項13に記載の操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願出願は、2019年5月24日の独国特許出願第1020191140021号の優先権を主張し、その内容を本願出願の対象を構成するものとして援用する。
【0002】
本発明は、車両用操作ユニットに関し、特に車両用ヒューマンマシンインターフェース、詳細には暖房、換気及び/又は空調システム、インフォテインメントシステム又はナビゲーション機器等の車両部品用のヒューマンマシンインターフェースに関する。
【背景技術】
【0003】
車両用の空調制御機器等の車両用操作ユニットは、複数の個々の部品から部分的に自動的に組み立てられる。表示装置として、また、命令の入力用にも設計されているディスプレイが、このような操作ユニットの構成要素として、ますます重要になっている。後者の場合、ディスプレイはタッチ画面として構成されている。タッチ画面の他に、操作ユニットは、様々な形態の回転コントローラ、回転/プッシュコントローラ又は操作キー等、手動で作動可能な他の操作素子をさらに有することができる。
【0004】
ディスプレイを車両固定具に組み込むための様々な組立方法が、独国特許出願公開第102012219286号明細書、独国特許出願公開第102015111269号明細書及び独国特許出願公開第102017109022号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102012219286号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015111269号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017109022号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に操作ユニットへのディスプレイの固定に関して、操作ユニットの組み立てを容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明により提案されるのは、車両用操作ユニット、特に暖房、換気及び/又は空調システム、インフォテインメントシステム又はナビゲーション機器等の車両部品用のヒューマンマシンインターフェースであって、上記操作ユニットが、
凹部を有するフロントパネルを備える筐体と、
上記筐体内に収納され、かつ上記凹部の内部又は後方に配置されている表示面を備えるディスプレイと、
上記ディスプレイを上記筐体に固定するための固定装置とを備え、
上記固定装置が、上記ディスプレイを保持する保持部品を有し、
上記保持部品が、上記筐体において、アセンブリ前位置と、上記ディスプレイが上記フロントパネルの上記凹部の内部又は後方に存在する組込位置との間で旋回可能に配置されており、
上記筐体又は上記保持部品が、上記筐体内に配置された少なくとも1つの棒により構成されている軸受中心軸を有し、
上記棒に取り付けるため、上記保持部品又は上記筐体が、少なくとも2つの把持突起を備える少なくとも1つの軸受胴アセンブリを有し、上記把持突起が、少なくとも1つの棒に当接するため、円柱状の軸受胴領域を構成し、上記軸受胴領域が、180°を超えて270°未満にわたって延伸し、その間で上記軸受胴アセンブリを上記棒に取り付けるための取付開口を構成し、
上記棒が、その長手延伸に沿って、少なくとも1つの取付部において周辺領域を有し、この周辺領域が、少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリの上記把持突起の上記軸受胴領域を補完する形状から外れた外形を有し、
少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリが上記保持部品の上記アセンブリ前位置において上記棒の上記取付部に取り付け可能、かつ上記アセンブリ前位置から、少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリが上記取付部内で上記棒を分離不能な状態で把持する上記組込位置へ旋回可能になるように、上記棒が上記筐体内に配置されている、又は少なくとも1つの上記軸受胴アセンブリが上記保持部品上に配置されており、
上記保持部品の上記組込位置が、上記筐体及び上記保持部品の互いに当接する当接素子により規定されており、
上記固定装置が、上記保持部品を上記筐体内及び/又は上記筐体上における上記組込位置に固定するための少なくとも1つの固定素子を有する操作ユニットである。
【0008】
したがって、本発明により、操作ユニットのディスプレイを保持又は収容する固定装置の保持部品を、軸受中心軸に取り付け可能に構成し、保持部品が軸受中心軸に取り付けられているアセンブリ前位置から、ディスプレイが所望の位置、例えば操作ユニットの筐体のフロントパネルの凹部の後方に存在する組込位置に、保持部品を旋回させることが提案される。
【0009】
詳細には、本発明に係る操作ユニットは、ディスプレイ用の凹部が設けられているフロントパネルを備える筐体を有する。ディスプレイは表示面を有し、表示面は、ディスプレイが組み込まれた状態において、フロントパネルの凹部の内部又は後方に配置されている。固定装置が、ディスプレイを筐体に固定する役割を担う。固定装置は、ディスプレイ用の保持部品と、筐体上又は筐体内もしくは保持部品上に配置された軸受中心軸とを有する。この軸受中心軸は、筐体内もしくは保持部品上に固定配置された少なくとも1つの棒状の部品から構成され、棒状の部品としては、丸棒状の部品が好ましい。以下、棒状の部品を棒と呼ぶ。
【0010】
既に上で述べたように、保持部品は、アセンブリ位置から組込位置に旋回することができる。固定装置には、保持部品、軸受中心軸もしくは少なくとも1つの棒状素子(以下、便宜上、「棒」と呼ぶ)の他、さらに軸受中心軸と協働し分離可能なヒンジを構成する軸受胴アセンブリが含まれる。このため、少なくとも1つの棒が、その延伸に沿って取付部を有し、保持部品がアセンブリ前位置にあるとき、軸受胴アセンブリを棒の取付部に取り付け可能である。軸受胴アセンブリは、棒を把持するための把持突起を少なくとも2つ有し、少なくとも2つの把持突起が、棒に当接するための円柱状の軸受胴領域を構成する。2つの把持突起の間に取付開口があることにより、2つの把持突起が、好ましくは180°を超えて270°未満にわたって周辺方向に延伸する円柱状の軸受胴領域を構成する。把持突起は、この軸受胴領域を連続的に構成する必要はないが、把持突起は、部分的に、円柱状の軸受胴領域の輪郭に沿って伸び軸受胴領域を分割又は区切る表面領域を有する。
【0011】
別言すると、軸受胴アセンブリが、側面視においてC字型の構成を有する。このC字型の構成の取付開口を介して、軸受胴アセンブリを棒の取付部に取り付け、保持部品のアセンブリ前位置に相当するこの位置から、棒と相対的に、保持部品の組込位置まで旋回させることができる。保持部品の組込位置において、軸受胴アセンブリもしくは軸受胴アセンブリの把持突起が、分離不能な状態で棒に固定されている。また、組込位置自体が、筐体及び保持部品の当接素子により規定されている。そして、この当接素子において、例えば固定素子により保持部品を筐体に固定することができる。
【0012】
従って、本発明に係る操作ユニットの大きな利点は、ディスプレイの組み立ての容易さにある。つまり、棒に沿って延びるX軸と、それに直交しフロントパネルに平行に延びるY軸と、双方に直交して(例えば筐体へ)延びるZ軸とからなる三次元の座標系について、Y軸方向のディスプレイの位置は、棒及び軸受胴アセンブリにより規定され、Z方向の位置は、当接素子により決まり、比較的容易に実現される上述の組立工程(保持素子をアセンブリ前位置から組込位置に旋回させることで、軸受中心軸を構成する棒に軸受胴アセンブリを取り付けた後、保持素子を筐体に固定すること)により決定される。
【0013】
上述の構成要素の他、本発明に係る操作ユニットは、キー、回転コントローラ、プッシュボタン及び回転ボタン等のさらに別の操作素子を有していてもよい。
【0014】
既に上で説明したように、棒は、その収容部において、円柱状の周辺領域から外れた外形を有する。このとき、取付部における棒の外形は、円柱状の周辺領域まで延伸する又は円柱状の周辺領域に対して後退している。保持部品がアセンブリ前位置をとるとき、少なくとも1つの軸受胴アセンブリの把持突起を、棒の取付部に取り付けることができるように、棒の向きが設定される。例えば、棒は、その取付部において、1つ又は複数の平坦部を有し、好適には、2つの平坦部を形成する際に、これらが直径方向に互いに対向するようにする。または、棒が、周辺領域の個々の部位が円柱状にならない多角形の外形を有することも可能である。よって、棒が、その取付部において、例えば、対角線が軸受胴アセンブリの円柱状の軸受胴領域を規定する直径に略等しい四角形又は方形に構成されていることも可能である。別言すると、棒の上記構成例において、多角形の周辺領域の2つの対角の間において、棒の中心軸を通る最大距離線が、軸受胴アセンブリの円柱状の軸受胴領域により規定される直径に等しい又は略等しい。
【0015】
各棒状の部品は、連続的に形成されていてもよいが、軸受中心軸の延伸に沿って一直線に並んだ個々の互いに離隔した部位を有していてもよく、個々の部位が、それぞれ1つ又は複数の平坦部を有する。
【0016】
既に上で示したように、少なくとも1つの軸受胴アセンブリの把持突起は、軸受中心軸の延伸方向からみて、略C字型の軸受胴アセンブリとして構成されている。ここで、把持突起は、その自由端において取付開口を構成し、保持部品がそのアセンブリ前位置で軸受中心軸に取り付けられる際、棒を保持部品の取付方向側からみたとき、取付開口は、取付部における棒の厚み以上の幅を有する。
【0017】
本発明の別の有用な態様において、少なくとも1つの軸受胴アセンブリの把持突起が、互いに対向しており、そのような把持突起が少なくとも1組存在する。
【0018】
2つの対向する把持突起を備える軸受胴アセンブリに代替又は追加して、軸受胴アセンブリが、例えば3つの把持突起を有していてもよく、このうち2つの第1の把持突起が、軸受中心軸の同じ側に横並びで互いに軸方向にずれて配置されており、残りの1つの第2の把持突起が、2つの第1の把持突起の間の隙間において、2つの第1の把持突起に直径方向に対向していてもよい。
【0019】
本発明の別の有用な態様において、操作ユニットが、保持部品が組込位置をとる際の棒の長手延伸における保持素子及び筐体の相対的な位置決めのための位置決め素子アセンブリを備えていてもよく、位置決め素子アセンブリが、筐体上又は保持部品上に、2つの向かい合う軸受胴領域を有し、保持部品の組込位置において、軸受胴領域の間に、保持部品上又は筐体上に配置された軸位置決め突起が差し込み可能であってもよい。このとき、位置決め素子アセンブリにより、保持部品を軸受中心軸の長手延伸、すなわち上述の座標軸においてX軸の延伸方向にも固定し、組込位置に据え付けることができる。これにより、保持部品と、保持部品により保持されたディスプレイとが、3つの互いに直角の空間方向のすべてで規定されて、組込位置に配置されている。
【0020】
また、好適には、本発明に係る装置において、軸受中心軸が、一直線に並んだ2つの棒により構成されており、各棒に1つの軸受胴アセンブリの把持突起が対応しており、及び/又は保持部品の組込位置が、保持部品及び筐体上の2組の協働する当接素子により規定されていてもよい。
【0021】
操作ユニットは、協働する誘導領域をさらに有し、保持部品がアセンブリ前位置をとるために、軸受胴アセンブリの把持突起を少なくとも1つの棒に取り付ける際、誘導領域が、筐体に対する保持部品の向きを支持してもよい。
【0022】
以下、図面を参照して、複数の実施形態により本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る操作ユニットの前面の斜視図である。
【
図2】
図2は、主として本発明に関わる操作ユニットの構成要素を説明するための分解図である。
【
図3-10】
図3から
図10は、アセンブリ前位置、アセンブリ位置及び旋回後の組込位置におけるディスプレイを保持する保持部品及び筐体の様々な状態及び相対的な配置を示す図である。
【
図11-12】
図11及び
図12は、
図2から
図10に係る操作ユニットの保持部品と筐体との間における、保持部品のアセンブリ前位置において連結可能かつ組込位置において分離不能なヒンジを模式的に示す図である。
【
図13-16】
図13から
図16は、保持部品と筐体との間における、アセンブリ前位置において連結可能かつ組込位置において分離不能なヒンジの2つの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び
図2の斜視前面図及び分解図に、本発明の実施形態に係る操作ユニット10の主要な構成要素を示す。操作ユニット10は、凹部16を有するフロントパネル14が前面に設けられている筐体12を有する。フロントパネル14上に、操作キー18、ボタン20及び回転/プッシュコントローラ22等の様々な手動で作動可能な操作素子が設けられている。本発明の重要な特徴は、表示面26がフロントパネル14の後方の組込位置にあるディスプレイ24の組み立てであるため、以下、これらの操作素子についてさらなる説明は行わない。
【0025】
図2は、ディスプレイ24が保持部品28に保持されている様子を示しており、保持部品28は、2つの軸受胴アセンブリ32と、当接素子34として2つの固定ラグとを備える保持シェル又は保持フレーム30を有する。軸受胴アセンブリ32及び当接素子34は、保持部品28と同様に固定装置36に含まれ、固定装置36は、筐体12内に固定配置された2つの棒状の部品38(以下、便宜上、「棒」と呼ぶ)をさらに有し、棒状の部品38は、長手延伸に沿って一直線に並んで配置され、後述するように、軸受胴アセンブリ32と協働する軸受中心軸40を規定する。棒状の部品38及び軸受胴アセンブリ32は、上記とは逆に筐体12と保持部品28とに振り分けて配置されていてもよい。操作ユニット10は、保持部品28上の軸位置決め突起44と、筐体12上の2つの位置決め当接素子46(又は逆の配置)とを含む位置決め素子アセンブリ42をさらに有するが、その機能については後述する。
【0026】
各棒状の部品38は、連続的に形成されていてもよいが、軸受中心軸40の延伸に沿って一直線に並んだ個々の互いに離隔した部位を有していてもよく、個々の部位が、それぞれ1つ又は複数の平坦部54,56を有していてもよい。
【0027】
例えば
図3からわかるように、2つの軸受胴アセンブリ32は、それぞれ保持部品28から突出する把持突起群を有し、2つの第1の把持突起48が、間隔をあけて並んでおり、1つの第2の把持突起50が、この2つの第1の把持突起48の隙間に、軸受中心軸40について直径方向にこれらに対向して位置している。各把持突起48は、軸受胴領域52の円柱状の部位を有し、軸受胴アセンブリ32を
図3の矢印の方向からみたとき、各軸受胴アセンブリ32の把持突起48,50が、180°を超えて特に270°未満にわたって延伸し取付開口53を構成するC字型の構成を有していることがわかる。
【0028】
図面において、2つの棒38が、各軸受胴アセンブリ32の3つの把持突起48,50の位置に対して、対応する平坦部54,56を有し、平坦部54,56が、全体として棒38の取付部57を構成することが示唆される。これにより、
図3から
図8に示すように、各軸受胴アセンブリを横向きに棒38の1つに取り付けることができる。
図3から
図6は、保持部品28が、そのアセンブリ前位置において軸受中心軸40に取り付けられる様々な状態を示す。このため、保持部品28が、筐体12の前面に対して斜めに傾いて、横向きに2つの棒38に取り付けられ、各軸受胴アセンブリ32の把持突起48,50が、対応する棒38を両側から把持する。棒38への取り付け後は、
図7及び
図8の状態になる。続いて、
図7及び
図8において矢印により示唆されるように、保持部品が、このアセンブリ前位置から組込位置に旋回される。組込位置において、保持部品28は、
図9及び
図10の状態をとる。
【0029】
ここで、特に
図9及び
図10からわかるように、保持部品28は、
図9に記された座標系のY及びZ方向に位置している。このとき、保持部品28の筐体12への固定は、固定素子58(
図10に示唆)により行われ、固定素子58は、保持部品28の当接素子34を筐体12内/上の当接素子60に据え付ける。この際、
図9からわかるように、位置決め素子アセンブリ42の軸位置決め突起44は、2つの位置決め当接素子46の間に差し込まれている。
【0030】
図11及び
図12において、本発明に係る保持部品28の筐体12への組み立てに適用されるような連結可能なヒンジの原理を、さらに模式的に説明する。棒38’が、互いに対向する第1の及び第2の平坦部54’,56’を有し、このうち2つの第1の平坦部54’が、片側で対になって並んでおり、第2の平坦部56’が、反対側でこれらの第1の平坦部54’の間のいわば「隙間」に配置されている。対応する把持突起48,50は、保持部品28のアセンブリ前位置において、この平坦部54’,56’上にスライドすることができ、その後ピボット軸受として保持部品28の組込位置への旋回に寄与し、保持部品28が組込位置にあるとき棒38’を把持する(
図12参照)。
【0031】
棒の2つの別の態様について、
図13及び
図14並びに
図15及び
図16に、上述の2つの状態(アセンブリ前位置及び組込位置)を示す。
【0032】
図13及び
図14において、棒38’も、平坦部54”,56”を有しているが、
図11及び
図12の実施形態と異なり、平坦部は平行ではなく、互いに角度がついている。
【0033】
図15及び
図16に、方形の断面を有する棒38”’の実施形態を示す。ここでは、平坦部54”’及び56”’が、
図11及び
図12の実施形態と同様に、互いに平行かつ直径方向に対向している。このとき、方形の断面の対角線は、円柱状の軸受胴領域52の直径に等しい。
【符号の説明】
【0034】
10 操作ユニット
12 筐体
14 フロントパネル
16 凹部
18 操作キー
20 操作ボタン
22 回転/プッシュコントローラ
24 ディスプレイ
26 表示面
28 保持部品
30 保持フレーム
32 軸受胴アセンブリ
34 保持部品上の当接素子
36 固定装置
38 棒
38’ 棒
38” 棒
38”’ 棒
40 軸受中心軸
42 位置決め素子アセンブリ
44 軸位置決め突起
46 位置決め当接素子
48 把持突起
50 把持突起
52 軸受胴領域
53 取付開口
54 平坦部
54’ 平坦部
54”’ 平坦部
54”’ 平坦部
56 平坦部
56’ 平坦部
56” 平坦部
56”’ 平坦部
57 取付部
58 固定素子
60 筐体上の当接素子