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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】固体化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240906BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240906BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240906BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240906BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/00
A61Q1/04
A61K8/891
A61K8/73
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021577620
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 FR2020051177
(87)【国際公開番号】W WO2021001637
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】1907389
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521440585
【氏名又は名称】シャネル・パルファム・ボーテ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リナ・デュピュイ
(72)【発明者】
【氏名】シリル・ジベール
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-302415(JP,A)
【文献】特表2010-503725(JP,A)
【文献】特表2016-507482(JP,A)
【文献】特開2000-169339(JP,A)
【文献】特開2005-213249(JP,A)
【文献】特表2013-544830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 12~50質量%の少なくとも1種の不揮発性油を含む脂肪相と、
- 金属石鹸で表面処理された球状充填剤を含む40~85質量%の粉末相と
を含む固体化粧用組成物であって、
前記の百分率(%)は組成物の総質量に対して質量で表される、固体化粧用組成物。
【請求項2】
粉末相が、さらに、金属石鹸で表面処理された薄板状充填剤を含む、請求項1に記載の固体化粧用組成物。
【請求項3】
- 13~35質量%の少なくとも1種の不揮発性油を含む脂肪相と、
- 50~80質量%の粉末相と
を含む、請求項1又は2に記載の固体化粧用組成物。
【請求項4】
粉末相が、金属石鹸で表面処理されているか又は金属石鹸で表面処理されていない真珠光沢粉末及び/又は顔料を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項5】
金属石鹸が、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸の石鹸である、請求項1から4のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項6】
金属石鹸の金属が亜鉛又はマグネシウムである、請求項1から5のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項7】
金属石鹸が、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項8】
粉末相が、薄板充填剤及び球状充填剤を、1/10~10/1の範囲の薄板状/球状比で含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項9】
0.1~15質量%の固体脂肪相を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項10】
前記の少なくとも1種の不揮発性油が、炭化水素化油、フェニル化されていないシリコーン化油、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項11】
不揮発性油が炭化水素化油から選択され、かつ、組成物の総質量に対して30質量%~50質量%の、金属石鹸によって表面処理された真珠光沢粉末を含む、請求項10に記載の固体化粧用組成物。
【請求項12】
不揮発性油が、フェニル化されていないシリコーン化油から選択される、請求項10に記載の固体化粧用組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の揮発性油を含む脂肪相を含まない、請求項1から12のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項14】
水を含まない、請求項1から13のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項15】
フィルム形成ポリマーを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項16】
シリコーンエラストマーを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項17】
30g~250gの間の硬度を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物の製造方法であって、
- 粉末相を構成するパウダーを予め混合する工程と、
- 少なくとも1種の不揮発性油を含む脂肪相を含む脂肪性結合剤を調製する工程と、
- 押出によって、パウダーを脂肪性結合剤と共につぶし混ぜる工程と、
- 組成物をプレスによって成形する工程と
を含む、方法。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載の固体化粧用組成物を皮膚又は唇に適用する工程からなる、皮膚又は唇をメイクアップするための方法。
【請求項20】
金属石鹸がステアリン酸マグネシウムである、請求項7に記載の固体化粧用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、12~50質量%の不揮発性液体脂肪相と、金属石鹸で表面処理された球状充填剤を含む40~85質量%の粉末相とを含む、固体化粧用組成物に関する。本発明はまた、そのような固体化粧用組成物を調製するための方法、及びそれを使用する、皮膚又は唇をメイクアップするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体組成物のために従来から使用される配合物は、一般に、ルース又はコンパクトパウダーである。実例として、化粧品の分野においてとりわけ考慮される固体配合物に限定することなく、特に、顔色、頬紅、又はアイシャドウのためのパウダーを挙げることができる。
【0003】
前述のパウダーは、主に色を足す、光沢を除去する、又は被覆する機能を有する。一般に、パウダーは、大部分を占める粉末相と、結合剤を構成し、コンパクトパウダーの文脈において粉末相の良好な密着を確実にすることを可能にする、少なくとも部分的に液体の脂肪相とを併せ持つ。
【0004】
粉末相は、本質的に充填剤及び着色剤から形成され、それらの量は望ましいメイクアップ効果、つまり色、被覆、又は光沢除去をもたらすように調節される。製品の粉末相の百分率が高すぎる場合、品質及び生産性要件を考慮すると、その製造及びその圧縮は産業規模で行うことが複雑になるか、又は不可能にさえなる。加えて、粉末相を高い含有量で有するそのような固体組成物は、使い心地が悪い、乾燥し過ぎている、及び粉っぽ過ぎるという不利な点、並びに場合によっては、脆い、砕けやすい、及び耐衝撃性が不良であるという不利な点を有するおそれがある。最後に、コンパクトパウダー中の粉末相が大量であると、満足のいく知覚特性を与えず、パウダーをそのパッケージから集め取る場合に取り出すこと(「取り出し」(pick-up))、及び/又はメイクアップするために皮膚の表面に適用する場合に延ばすこと(「ペイオフ(pay-off)」)が困難になる。
【0005】
固体形態の組成物を得るために、粉末相及び脂肪相を混合すること、並びに得られた組成物を容器中で、高圧下で圧縮することからなる圧縮プロセス(「乾燥プロセス」)を実施することが公知である。それに代えて、「湿式プロセス」(又は「スラリー」)と呼ばれるプロセスを実施してそのような組成物を製造することができる。このタイプのプロセスにおいて、前記組成物の粉末相及び脂肪相は、懸濁液を形成するように揮発性溶媒にさらされ、次いでプレスされ、揮発性溶媒は除去される。
【0006】
検討したプロセスに関わらず、機械的手段を介したパウダーの良好な圧縮を得るように、また、容器から組成物があふれ出ることを回避するように、脂肪相の、特に油の量は一般に、組成物の10%を超えない。これらの理由から配合者は、これらの配合物のために、パウダーの適切な圧縮を確実にするように、脂肪相の、特に油の量を減らす必要があることが多い。
【0007】
脂肪性結合剤(fatty binder)の量を多くする場合には、したがって、圧縮によって固体組成物を成形することは不可能と言わないまでも複雑になる。この産業上の制約に応えて、例えば押出によって得られる、よりペースト状の固体製品が提案されている。しかしながら、過度に高い含有量の結合剤相が存在すると、組成物はワックス状になる、即ち、使用中に堅くなる傾向があり、過度に緻密になって製品を集め取ることを妨げ、適用した場合にその延び特性を変えるまでになる。
【0008】
良好な密着及び良好な耐衝撃性を示す固体化粧用組成物、特に、崩壊させること又は亀裂を入れることなく使用者が自由に保管し輸送することができ、そのテクスチャーにより、取り出しやすく適用しやすくなる、固体化粧用組成物のための探索が続いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】US2004-175338
【文献】EP-A-847752
【文献】WO2007/1068371
【文献】WO2008/155059
【文献】WO2008/15505
【文献】FR-A-2792190
【文献】WO98/38981
【文献】米国特許第6,309,629号
【文献】FR2,679,771
【文献】EP1184426
【文献】FR-A-2232303
【文献】米国特許第5,162,410号
【文献】WO2004/073626
【文献】US-A-5,874,069
【文献】US-A-5,919,441
【文献】US-A-6,051,216
【文献】US-A-5,981,680
【文献】US5236986
【文献】US5412004
【文献】US5837793
【文献】US5811487
【文献】WO2006134282
【文献】WO2009010356
【発明の概要】
【0010】
出願人が期せずして発見したのは、原理上は相容れないように思われるそのような特性を示す組成物が、固体組成物において、特定の液体脂肪相のある決まった含有量、及び金属石鹸で少なくとも部分的に表面処理された粉末相を使用することによって得ることができることである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、第1の態様によれば、
- 12~50質量%の不揮発性液体脂肪相と、
- 金属石鹸で表面処理された球状充填剤を含む40~85質量%の粉末相と
を含む固体化粧用組成物であって、
上記百分率(%)が組成物の総質量に対して質量で表される、
固体化粧用組成物である。
【0012】
詳細には、本発明は、
- 金属石鹸で表面処理された球状充填剤を含み、かつ金属石鹸で表面処理された薄板状充填剤(lamellar filler)を更に含む、12~50質量%の粉末相
を含む固体化粧用組成物であって、
上記百分率(%)が組成物の総質量に対して質量で表される、
固体化粧用組成物に関する。
【0013】
詳細には、本発明は、
- 13~35質量%の不揮発性液体脂肪相と、
- 金属石鹸で表面処理された球状充填剤及び/又は薄板状充填剤(lamellar filler)を含む50~80質量%の、好ましくは60~75質量%の粉末相と
を含む、固体化粧用組成物であって
上記百分率(%)が組成物の総質量に対して質量で表される、
固体化粧用組成物に関する。
【0014】
本発明の別の目的は、第2の態様によれば、そのような組成物を調製するための方法であって、
- 粉末相を構成するパウダーを予め混合する工程と、
- 不揮発性液体脂肪相を含む脂肪性結合剤を調製する工程と、
- 押出によって、パウダーを脂肪性結合剤と共につぶし混ぜる工程と、
- 組成物をプレスによって成形する工程と
を含む、方法である。
【0015】
本発明の別の目的は、第3の態様によれば、皮膚又は唇をメイクアップするための方法であって、そのような固体化粧用組成物を皮膚又は唇に適用する工程からなる、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
配合物
本発明による組成物は、自重によって流れないという意味で、固体である。それは、粉末相と脂肪相との混合物を、任意選択で場合によっては、蒸発することになる揮発性溶媒の存在下で(「スラリー」プロセス)、押出しすることによって得られるペースト状製品の形態であることが好ましい。
【0017】
特に、本発明による組成物は、30g~250gの間の、好ましくは50g~230gの間の、より好ましくは80g~200gの間の硬度を有する。
【0018】
組成物の硬度は、グラム(g)で表され、Swantech社によって「TA.XT Plus Microstable System」の名称で販売されているテクスチャーアナライザーを使用して20℃で測定される圧縮力を測定することによって決定される。テクスチャーアナライザーは、直径2mmの、ステンレス鋼製のStable Micro System社シリンダープローブref P/2を備えており、当該シリンダープローブは、1mm/sの測定速度で動き、3mmの力で3mmの深さまで組成物を貫入する。硬度値は、測定された圧縮力を、組成物に接触しているテクスチャーアナライザーのシリンダープローブの表面積で割ったものである。測定は、室温にて、高さ40mm及び直径38mmの15mlの香水瓶中で、組成物を頸状部まで、即ち高さ20mmまで満たして行われる。このようにして調製された試料は、測定が行われる前に20℃で24時間保管される。
【0019】
脂肪相
本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性液体脂肪相を含み、それは少なくとも1種の不揮発性油を含む脂肪相を意味する。
【0020】
「不揮発性油」は、室温及び大気圧で少なくとも数時間ケラチン繊維上に残る、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味することが理解される。
【0021】
不揮発性油は、特に、炭化水素化油及びフッ素化油、並びに/又は不揮発性シリコーン化油から選択されてもよい。
【0022】
不揮発性炭化水素化油に関して、特に、
- 動物由来の炭化水素化油;
- 植物由来の炭化水素化油、例えばC4~C36直鎖状アルカン、好ましくはC11~C21、例えばフィトスクアラン又はSEPPIC社からのEmogreen L15(C15~19アルカン)、又は更に例えばフィトステリルエステル、例えばオレイン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、及びラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(AJINOMOTO社、ELDEW PS203)、脂肪酸及びグリセロールのエステルから構成される、特に当該脂肪酸がC4~C36、特にC18~C36の範囲の鎖長を有し得る、トリグリセリド;これらの油は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、これらの油は特に、ヘプタン酸トリグリセリド又はオクタン酸トリグリセリド、シア油、アルファルファ油、ポピー油、赤皮栗カボチャ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライ油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、シアバター、アロエベラ油、スイートアーモンド油、モモ核油、ピーナッツ油、アルガン油、アボカド油、バオバブ油、ルリヂサ油、ブロッコリー油、カレンデュラ油、カメリナ油、ニンジン油、サフラワー油、ヘンプ油、菜種油、綿実油、ココナッツ油、カボチャ種子油、小麦胚芽油、ホホバ油、ユリ油、マカダミア油、コーン油、メドウフォーム種子油、セントジョンズワート油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ核油、クルミ油、オリーブ油、イブニングプリムローズ油、パーム油、クロスグリ種子油、キウイ種子油、ブドウ種子油、ピスタチオ油、赤皮栗カボチャ油、カボチャ油、キノア油、ジャコウバラ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油(ヘリアンサス・アナス(Helianthus Annuus)種子油)、ヒマシ油、及びスイカ油、エチルオリベート、例えばInnovation Companay社からのVegeflow D10、並びにそれらの混合物、又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばSTEARINERIE DUBOIS社によって販売されているもの、若しくはDYNAMIT NOBEL社によってMIGLYOL 810(登録商標)、812(登録商標)、及び818(登録商標)の名称で販売されているものであってもよい;
- 10~40個の炭素原子を有する合成エーテル;
- 合成エステル、例えば、式R1-COOR2(式中、R1+R2は≧10という条件で、R1は、1~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状脂肪酸の残基を表し、R2は炭化水素鎖、特に1~40個の炭素原子を含む分岐鎖を表す)の油。エステルは特に、アルコールと脂肪酸とのエステル、例えばセトステアリルオクタノエート等、イソプロピルアルコールのエステル、例えばイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルステアレート、若しくはイソプロピルイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、オクチルステアレート、ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、ジイソプロピルアジペート、ヘプタノエート、特にイソステアリルヘプタノエート、アルコール又はポリアルコールのオクタノエート、デカノエート、又はリシノレエート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、セチルオクタノエート、トリデシルオクタノエート、4-ジヘプタノエート、及びヘキシル2-エチルパルミテート、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、プロピレングリコールジエチル2-ヘキサノエート、及びそれらの混合物、C12~C15アルコールのベンゾエート、ヘキシルラウレート、ネオペンタン酸エステル、例えばイソデシルネオペンタノエート、イソトリデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、オクチルドデシルネオペンタノエート、イソノナン酸エステル、例えばイソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、オクチルイソノナノエート、ヒドロキシルエステル、例えばイソステアリルラクテート、ジイソステアリルマレートから選択され得る;
- ポリオールのエステル及びペンタエリトリトールのエステル、例えばジペンタエリトリトールテトラヒドロキシステアレート/ジペンタエリトリトールテトライソステアレート;
- ジオールダイマー及び二酸ダイマーのエステル、例えばNIPPON FINE CHEMICAL社によって販売され、特許出願US2004-175338に記載のLusplan DD-DA5(登録商標)及びLusplan DD-DA7(登録商標)、
- ジオールダイマー及び二酸(diacid)ダイマーのコポリマー、並びにこれらのエステル、例えばコポリマーダイマージリノレイル/ダイマージリノレエート、及びそれらのエステル、例えばPlandool-G等;
- ポリオール及び二酸ダイマーのコポリマー、並びにそれらのエステル、例えばHailuscent ISDA;
- 12~26個の炭素原子を有する、分岐鎖及び/又は不飽和炭素鎖を有する、室温で液体である脂肪アルコール、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイン酸アルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、及び2-ウンデシルペンタデカン-1-オール;
- C12~C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、及びそれらの混合物;
- 2つのアルキル鎖が同一であるか異なっている炭酸ジアルキル、例えば、COGNIS社によってCETIOL CC(登録商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリル;
- 特に約400~約10,000g/mol、特に約650~約10,000g/mol、特に約750~約7500g/molの範囲の、より特定すると約1000~約5000g/molの範囲のモル質量を有する高いモル質量の油;
- シリコーン化油(silionated oil)、例えばフェニルシリコーン、例えばWACIER社からのBELSIL PDM1000(MM=9000g/mol)、又はフェニル化されていないシリコーン油、例えば不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、PDMSは、アルキル又はアルコキシペンダント基及び/又はシリコーン鎖の端にある基を含み、基はそれぞれ2~24個の炭素原子を有する、フェニル化シリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェノールトリメチルシロキシジフェルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘度を有するジメチコン又はフェニルトリメチコン、並びにそれらの混合物;
- 本発明において使用することができるフッ素化油は、特に、文献EP-A-847752に記載のされているようなフルオロシリコーン化油、フッ素化ポリエーテル、フッ素化シリコーン、
を挙げることができる。
【0023】
1つの特定の実施形態によれば、不揮発性液体脂肪相は、炭化水素化油、フェニル化されていないシリコーン化油、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0024】
別の更に特定の実施形態によれば、不揮発性油は、炭化水素化油から選択され、組成物は、組成物の総質量に対して30質量%~50質量%の、金属石鹸によって表面処理された真珠光沢粉末(nacre)を含む。あるいは、不揮発性油は、フェニル化されていないシリコーン化油から選択される。
【0025】
本発明による組成物はまた、揮発性液体脂肪相、即ち少なくとも1種の揮発性油を含む脂肪相を含んでもよい。
【0026】
本発明の目的のために、「揮発性油」という用語は、室温及び大気圧でケラチン繊維と接触して1時間未満で蒸発することが可能な油を意味することが理解される。本発明の揮発性有機溶媒及び揮発性油は、特に0.13Pa~40,000Pa(10-3~300mmHg)の範囲の、特に1.3Pa~13,000Pa(0.01~100mmHg)の範囲の、より特定すると1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の、室温及び大気圧で0でない蒸気圧を有する、室温で液体である揮発性化粧用油及び有機溶媒である。
【0027】
特に、揮発性液体脂肪相は、炭化水素化油、シリコーン化油、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の揮発性油を含む。
【0028】
揮発性油は炭化水素化され得る。炭化水素化揮発性油は、7~16個の炭素原子を有する炭化水素化油から選択することができる。7~16個の炭素原子を有する炭化水素化揮発性油に関して、特に、分岐状C8~C16アルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンともいわれる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えば、Isopar又はPermylの商品名で販売されている油、分岐状C8~C16エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエート、及びそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、8~16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素化油は、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及びそれらの混合物から選択され、特にイソドデカンである。
【0029】
揮発性油は揮発性直鎖状アルカンであり得る。一実施形態によれば、本発明に好適なアルカンは、7~14個の炭素原子を含む揮発性直鎖状アルカンであり得る。そのような揮発性直鎖状アルカンは、有利には植物由来であり得る。本発明に好適なアルカンの例として、Cognis社の特許出願WO2007/1068371又はWO2008/155059に記載のアルカンを挙げることができる(少なくとも1炭素だけ異なる別個のアルカンの混合物)。これらのアルカンは脂肪アルコールから得られ、脂肪アルコール自体はココナッツ油又はパーム油から得られる。本発明に好適な直鎖状アルカンの例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)n-テトラデカン(C14)、及びそれらの混合物を挙げることができる。1つの特定の実施形態によれば、揮発性直鎖状アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、及びそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態によれば、Cognis社の出願WO2008/15505の実施例1及び2において得られるn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物を挙げることができる。BASF社によってCETIOL ULTIMATEの名称で販売されているn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物も挙げることができる。それぞれPARAFOL 12-97及びPARAFOL 14-97の名称でSasol社によって販売されているn-ドデカン(C12)とn-テトラデカン(C14)、並びにそれらの混合物を挙げることができる。Biosynthis社によってVEGELIGHT SILKの名称で販売されているC9~C12アルカンを挙げることができる。揮発性直鎖状アルカンを単独で、又は好ましくは、少なくとも1の炭素数nだけ互いと異なる、特に1又は2の炭素数だけ互いと異なる、少なくとも2種の別個の揮発性直鎖状アルカンの混合物を使用することが可能である。
【0030】
揮発性油は、揮発性シリコーン化油、例えば環状ポリシロキサン、直鎖状ポリシロキサン、及びそれらの混合物であり得る。直鎖状揮発性ポリシロキサンとして、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、及びヘキサデカメチルヘプタシロキサンを挙げることができる。揮発性環状ポリシロキサンとして、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンを挙げることができる。
【0031】
追加的に又は代替的に、製造される組成物は少なくとも1種のフッ素化揮発性油を含んでもよい。
【0032】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、いかなる揮発性液体脂肪相も有さず、即ちいかなる揮発性油も有しない。「揮発性油」という用語は、3質量%未満の、好ましくは1質量%未満の揮発性油を含む、より好ましくは揮発性油を全く含まない組成物を意味することが理解される。
【0033】
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のワックス及び/又はペースト状脂肪物質及び/又は親油性ゲル化剤を含む固体脂肪相を含んでもよい。
【0034】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、0.1~15質量%の、好ましくは0.5~10質量%の固体脂肪相を含む。
【0035】
ワックス
本発明による組成物は、少なくとも1種のワックスを含んでもよい。
【0036】
本発明との関連において考慮されるワックスは一般に、室温(25℃)で固体であり、固体/液体状態変化が可逆的であり、30℃以上であって、120℃の高さであってもよい融点を有する親油性化合物である。
【0037】
特に、本発明に好適なワックスは、約45℃より高い、特に55℃より高い融点を有し得る。ワックスの融点は、示差走査熱量計(D.S.C.)、例えば、METLER社によってDSC30の名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。
【0038】
本発明の組成物において使用することができるワックスは、動物、植物、鉱物、又は合成由来の、及びそれらの混合物の、室温で変形可能である固体ワックス、又は室温で変形可能ではない固体ワックスから選択される。
【0039】
ワックスはまた、0.05MPa~30MPaの範囲の、好ましくは6MPa~15MPaの範囲の硬度を有してもよい。硬度は、RHEO社によってTA-TX2iの名称で販売されているテクスチャーアナライザーを使用して20℃で測定される圧縮力を測定することによって決定され、当該テクスチャーアナライザーはステンレス鋼シリンダーを備え、当該ステンレス鋼シリンダーは、2mmの直径を有し、0.1mm/sの測定速度で動き、0.3mmの貫入深さでワックスに貫入する。
【0040】
特に、炭化水素ワックス、例えば、ラノリンワックス、虫白ワックス(Chinese insectwax);ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリクリーワックス、エスパルトワックス、コルクファイバーワックス、サトウキビワックス、木ワックス、及びはぜワックス;モンタンワックス、微結晶ワックス、パラフィン、及びオゾケライト;ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュ合成で得られるワックス、及びワックス状コポリマー、並びにそれらのエステルを使用することが可能である。ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックスの混合物は、例えば、GATTEFOSSE社によってACTICIRE MPの名称で販売されている。特に、炭化水素ワックスは、カルナウバワックス、ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0041】
~C32直鎖状又は分岐状脂肪鎖を有する動物油又は植物油の接触水素化によって得られるワックスも挙げることができる。
【0042】
これらの中でも、特に水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添ココナッツ油、及び水添ラノリン油、HETERENE社によって「HEST 2T-4S」の名称で販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、HETERENE社によってHEST 2T-4Bの名称で販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラベヘネートを挙げることができる。
【0043】
植物油、例えばヒマシ油又はオリーブ油のエステル交換及び水素化によって得られるワックス、例えばSOPHIM社によって、Phytowax ricin 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)、並びにPhytowax Olive 18L57の名称で販売されているワックスを使用することも可能である。そのようなワックスは出願FR-A-2792190に記載されている。
【0044】
有利には置換ポリシロキサン、好ましくは低融点を有する置換ポリシロキサンであり得るシリコーンワックスを使用することも可能である。これらのシリコーンワックスは、公知のものであるか、又は公知の方法に従って調製することができる。このタイプの市販のシリコーンワックスの中から、特に、Abilwax 9800、9801、又は9810(GOLDSCHMIDT社)、KF910及びKF7002(SHIN ETSU社)、又は176-1118-3及び176-11481(GENERAL ELECTRIC社)の名称で販売されているもの、アルキルジメチコン又はアルコキシジメチコン、例えば以下の市販製品:Abilwax 2428、2434、及び2440(GOLDSCHMIDT社)、又はVP 1622及びVP 1621(WACKER社)、並びに(C20~C60)アルキルジメチコン、特に(C30~C45)アルキルジメチコン、例えばGE-Bayer Silicones社によってSF-1642の名称で販売されているシリコーンワックスを挙げることができる。
【0045】
シリコーン化又はフッ素化官能基で改質された炭化水素ワックス、例えば、シリコニルキャンデリラワックス、シリコニルビーズワックス、Koster Keunen社からのFluorobeeswaxを使用することも可能である。
【0046】
ワックスはまた、フッ素ワックスから選択されてもよい。
【0047】
1つの特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、粘着性ワックスとよばれる少なくとも1種のワックスを含んでもよい。粘着性ワックスに関して、C20~C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20~40個の炭素原子を含むアルキル基)、特にC20~C40アルキル12-(12’-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートを、単独又は混合物中で使用することができる。そのようなワックスは、特に、KOSTER KEUNEN社によって「Kester Wax K 82 P(登録商標)」及び「Kester Wax K 80 P(登録商標)」の名称で販売されている。
【0048】
好ましい実施形態によれば、ワックスは、炭化水素ワックスから選択される、好ましくはカルナウバワックス、ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0049】
ペースト状脂肪物質
固体脂肪相はまた、ペースト状の、炭化水素化脂肪物質、シリコーン化脂肪物質、及び/又はフッ素化脂肪物質、又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0050】
本発明の目的のためには、「ペースト状脂肪物質」という用語は、固体/液体状態変化が可逆的であり、固体状態において異方性結晶構造を示し、23℃の温度で液体画分及び固体画分を含む親油性脂肪化合物を意味することが理解される。
【0051】
換言すれば、ペースト状脂肪物質の融解開始温度は、23℃未満であってもよい。23℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分は、ペースト状脂肪物質の9~97質量%になり得る。23℃で液体であるこの画分は、好ましくは15~85質量%の間、より好ましくは40~85質量%の間である。
【0052】
本発明の目的のために、融解温度は、規格であるISO11357-3;1999に記載されているように、熱分析(DSC)で観察される最も吸熱性のピークの温度に対応する。ペースト状脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社によって「MDSC 2920」の名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。
【0053】
測定プロトコルは以下のとおりである:
るつぼに入れた5mgのペースト状脂肪物質の試料を、10℃/分の加熱速度で-20℃から100℃への第1の温度上昇に供し、次いで10℃/分の冷却速度で100℃から-20℃に冷却し、最後に5℃/分の加熱速度で-20℃から100℃への第2の温度上昇に供する。第2の温度上昇の間、空のるつぼにより吸収された熱量とペースト状脂肪物質の試料を入れたるつぼにより吸収された熱量との差の変動を、温度の関数として測定する。ペースト状脂肪物質の融点は、吸収された熱量の差の変動を温度の関数として表す曲線のピークの頂上部に対応する温度の値である。
【0054】
23℃におけるペースト状脂肪物質の質量による液体画分は、23℃において費やされる融解のエンタルピーの、ペースト状脂肪物質の融解のエンタルピーに対する比に等しい。ペースト状脂肪物質の融解のエンタルピーは、固体状態から液体状態に移行するために前記物質によって費やされるエンタルピーである。ペースト状脂肪物質は、その質量のすべてが結晶性固体形態であるときに、固体状態であると言われる。ペースト状脂肪物質は、その質量のすべてが液体形態であるときに、液体状態であると言われる。
【0055】
ペースト状脂肪物質の融解のエンタルピーは、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instrument社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を使用して、ISO 11357-3:1999に準拠して、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇をさせて得られるサーモグラムの曲線下面積に等しい。
【0056】
ペースト状脂肪物質の融解のエンタルピーは、ペースト状脂肪物質を固体状態から液体状態に移行させるために必要とされるエネルギーの量である。これはJ/gで表される。
【0057】
23℃で費やされる融解のエンタルピーは、固体状態から23℃においてそれが存在する状態(液体画分及び固体画分からなる)へと変わるために、試料によって吸収されるエネルギーの量である。
【0058】
32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分は、好ましくは30~100質量%のペースト状脂肪物質に相当し、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~100質量%のペースト状脂肪物質に相当する。32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分が100%に等しいとき、ペースト状脂肪物質の融解範囲の終点での温度は、32℃以下である。
【0059】
32℃において測定されるペースト状脂肪物質の液体画分は、32℃で費やされる融解のエンタルピーの、ペースト状脂肪物質の融解のエンタルピーに対する比に等しい。32℃で費やされる融解のエンタルピーは、23℃において費やされる融解のエンタルピーと同じ方法で算出される。
【0060】
ペースト状脂肪物質は、好ましくは合成脂肪物質及び植物由来の脂肪物質から選択される。ペースト状脂肪物質は、植物由来の生成物から出発する合成によって得ることができる。
【0061】
ペースト状脂肪物質は有利には、
- ラノリン及びその誘導体、
- ペンタエリトリトールエーテル、及びポリアルキレングリコールエーテルから選択されるポリオールエーテル、
- 脂肪アルコール及び糖エーテル、及びそれらの混合物、ペンタエリトリトールエーテル、及び5個のオキシエチレン単位(5OE)を含むポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリトリチルエーテル)、ペンタエリトリトールエーテル、及び5個のオキシプロピレン単位(5OP)を含むポリプロピレングリコールエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリトリチルエーテル)、及びそれらの混合物、並びにより特定すると、VEVY社によって「Lanolide」の名称で販売されている、構成要素が46/46/8質量比で存在する:46%のPEG-5ペンタエリトリチルエーテル、46%のPPG-5ペンタエリトリチルエーテル、及び8%の大豆油の混合物である、PEG-5ペンタエリトリチルエーテル、PPG-5ペンタエリトリチルエーテル、及び大豆油の混合物、
- ポリマー若しくは非ポリマーシリコーン化合物、
- ポリマー若しくは非ポリマーフッ素化化合物、
- ビニルポリマー、特に、オレフィンホモポリマー及びコポリマー、水添ジエンホモポリマー及びコポリマー、
- 1つ又は複数のC2~C100ジオール、好ましくはC2~C50ジオール間のポリエーテル化によって生じる脂溶性ポリエーテル、
- エステル、
並びに/又はそれらの混合物
から選択される。
【0062】
ペースト状脂肪物質は、好ましくはポリマー、特に炭化水素ポリマーである。
【0063】
脂溶性ポリエーテルの中で、好ましいものは特に、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと長鎖C6~C30アルキレンオキシドとのコポリマーであり、より好ましくは、コポリマーにおける、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの、アルキレンオキシドに対する質量比が5:95~70:30であるようなものである。このファミリーにおいて、特に、コポリマー、例えば、平均分子量1,000~10,000を有するブロック状に配列された長鎖アルキレンオキシド、例えば、ポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールのブロックコポリマー、例えば、AKZO NOBEL社によってELFACOS ST9の商標で販売されているドデカンジオール(22mol)及びポリエチレングリコール(45EO)のエーテルが挙げられる。
【0064】
エステルの中では、以下のものが好ましい:
- オリゴマー性グリセロールのエステル、特にジグリセロールのエステル、特にアジピン酸及びグリセロールの縮合物、それに関して、グリセロールのヒドロキシル基の一部が、脂肪酸、例えば、ステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、及び12-ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応しており、特に、例えば、SASOL社によってSoftisan649の商標で販売されているもの、
- ALZO社によりWaxenol 801の商標で販売されているプロピオン酸アラキジル、
- フィトステロールエステル、
- 脂肪酸トリグリセリド及びその誘導体、
- ペンタエリトリトールエステル、
- アルコール基又は遊離の酸基が酸基又はアルコール基で必要に応じてエステル化された、ダイマージオールとダイマー二酸とのエステル、特に、ダイマージリノール酸エステル;そのようなエステルは、特に以下のINCI名:ビス-ベヘニル/イソステアリル/フィトステリルダイマージリノレイルダイマージリノレエート(Plandool G)、フィトステリルイソステアリルダイマージリノレエート(Lusplan PI-DA、Lusplan PHY/IS-DA)、フィトステリル/イソステリル/セチル/ステアリル/ベヘニルダイマージリノレエート(Plandool H又はPlandool S)を有するエステル、及びそれらの混合物の中から選択することができる、
- マンゴーバター、例えば、AARHUSKARLSHAMN社によってLipex 203の名称で販売されているもの、
- 水添大豆油、水添ココナッツ油、水添菜種油、水添植物油の混合物、例えば、大豆、ココナッツ、パーム、及び菜種由来の水添植物油の混合物、例えばAARHUSKARLSHAMN社によってAkogel(登録商標)の名称で販売されている混合物(INCI名:水添野菜油)、
- シアバター、特にそのINCI名がシアバター(Butyrospermum Parkii Butter)であるもの、例えばAARHUSKARLSHAMN社によってSheasoft(登録商標)の名称で販売されているもの、
- ココアバター、特にDUTCH COCOA BV社によってCT COCOA BUTTER DEODORIZEDの名称で販売されているもの、又はBARRY CALLEBAUT社によってBURRE DE CACAO NCB HD703 758の名称で販売されているもの、
- ショレアバター、特にSTEARINERIE DUBOIS社によってDUB SHOREA Tの名称で販売されているもの、
並びにそれらの混合物。
【0065】
親油性ゲル化剤
ワックスに加えて、本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性ゲル化剤を含んでもよく、当該親油性ゲル化剤は、例えば、任意選択で、特に出願WO98/38981及び米国特許第6,309,629号に記載のようなシリコーン系溶媒若しくは炭化水素系溶媒と組み合わされた、スチレンとオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、及び/若しくはブチレンとのコポリマーから構成されているか、又はスチレンとブタジエンとのコポリマー、例えば、Applechem社によってOleoFLEX EG 200の名称で販売されているものから構成されている。これらは、特に、PENRECO社からVERSAGEL(登録商標)という商品名で入手可能な、ブロックターポリマーに基づくゲル化剤を含む。別のタイプの親油性ゲル化剤は、ポリアミド、例えばINCI名ポリアミド-3によって識別されるもの、及び特にARIZONA CHEMICAL社から入手可能なポリマーSYLVACLEAR(登録商標)AF 1900V及びPA 1200V、並びにINCI名「エチレンジアミン/水素化ダイマージリノレエートコポリマービス-Di-C14-18アルキルアミド」によって識別され、例えばARIZONA CHEMICAL社からSYLVACLEAR(登録商標)A200V又はSYLVACLEAR(登録商標)A2614Vの商品名で入手可能なものからなる。親油性ゲル化剤は、代替的に、疎水性に改質されたヘクトライト又はベントン(bentone)であってもよい。油のためのゲル化剤はまた、ポリウレタンゲル化剤、好ましくは天然由来のポリウレタンゲル化剤、例えば、Polymerexpert社によってEstoGel(登録商標)Mの商品名で入手可能なヒマシ油誘導体であってもよい。
【0066】
粉末相
本発明による組成物はまた、金属石鹸で表面処理された球状充填剤を含む少なくとも1種の粉末相を含んでもよい。粉末相はまた、金属石鹸で表面処理された薄板状充填剤(lamellar filler)を含んでもよい。粉末相はまた、好ましくは、任意選択により金属石鹸で表面処理されていてもよい真珠光沢粉末及び/又は顔料を、好ましくは、任意選択により金属石鹸で表面処理されていてもよい真珠光沢粉末を少なくとも含んでもよい。
【0067】
表面処理
本発明による組成物において使用される粉末相は、少なくとも部分的に金属石鹸で表面処理されている。
【0068】
特に、粉末相は、少なくとも、金属石鹸で表面処理された球状充填剤を含む。
【0069】
特に、粉末相は、金属石鹸で表面処理された少なくとも球状充填剤を含み、かつ、金属石鹸で表面処理された薄板状充填剤を更に含む。
【0070】
好ましい実施形態によれば、真珠光沢粉末(nacre)の少なくとも30質量%、好ましくは30~50質量%は、金属石鹸で表面処理されている。この好ましい実施形態において、使用される不揮発性油は、炭化水素化油である。
【0071】
特に、金属石鹸は、12~22個の炭素原子、特に12~18個の炭素原子を有する脂肪酸の石鹸である。
【0072】
金属石鹸の金属は、好ましくは亜鉛及びマグネシウムから選択される。
【0073】
したがって、好ましい実施形態によれば、金属石鹸は、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、金属石鹸はステアリン酸マグネシウムである。
【0074】
充填剤
充填剤(フィラー)は無機物であっても有機物であってもよい。
【0075】
粉末相は、金属石鹸で表面処理された少なくとも1種の球状充填剤を含む。
【0076】
球状充填剤は有利には以下のものから選択される:
- シリカ粉末;
- アクリル(コ)ポリマーの粉末、及びそれらの誘導体、特に、ポリ(メチルメタクリレート)の粉末、ポリ(メチルメタクリレート)/エチレングリコールジメタクリレートの粉末、ポリ(アリルメタクリレート)/エチレングリコールジメタクリレートの粉末、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーの粉末、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマーの粉末、任意選択で架橋されていてもよい膨張させたアクリロニトリル(コ)ポリマーの中空粒子、及びそれらの混合物から有利に選択される、アクリレート(コ)ポリマーの粉末、及びそれらの誘導体;
- ポリウレタン粉末;
- ポリメチルシルセスキオキサンの粉末、シリコーン樹脂でコーティングされたオルガノポリシロキサンエラストマーの粉末、有機ケイ素粒子の粉末から有利に選択されるシリコーン粉末;
- ポリアミド粉末、例えばナイロン(登録商標)、特にナイロン12;
- セルロース粉末、例えば、Daito社によって販売されているCellulobeads D5、D10、D50、及びD100、
並びに、それらの混合物。
【0077】
組成物は、金属石鹸で表面処理された薄板状充填剤(lamellar filler)を更に含んでもよい。層状充填剤の中でも、タルク、天然又は合成マイカ、ある特定のシリカ、クレイ、例えばケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム、トリメチルシロキシシリケート、カオリン、ベントン、炭酸カルシウム、及び重炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フッ素金雲母、パーライト粉末、N-ラウロイル-L-リジン粉末、セリサイト、ホウケイ酸(Ca/Na)、ホウケイ酸(Ca/Al)、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0078】
薄板状充填剤の中でも、好ましいのは、タルク、天然又は合成マイカ、ある特定のシリカ、クレイ、例えばケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム、トリメチルシロキシリケート、カオリン、ベントン、炭酸カルシウム、及び重炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、フッ素金雲母、パーライト粉末、N-ラウロイル-L-リジン粉末、セリサイト、ホウケイ酸(Ca/Na)、ホウケイ酸(Ca/Al)、及びそれらの混合物である。
【0079】
組成物は、追加の充填剤を更に含んでもよい。追加の充填剤は、結晶学的形態(例えば、層状、立方晶系、六方晶系、斜方晶系等)に関わらず、任意の形態の無機又は有機充填剤、層状、球状(又は半球状)から選択することができる。
【0080】
好ましい実施形態によれば、粉末相は、層状及び球状充填剤を、1/10~10/1の、好ましくは1/5~9/1の範囲の層状/球状比で含む。この比は質量比である。
【0081】
「顔料」という用語は、無機又は有機の、水性媒体に不溶性である、組成物を着色及び/又は不透明化することを意図した、白色であるか又は有色である粒子を意味することが理解される。
【0082】
顔料は、白色であるか又は有色であり、無機及び/又は有機物であることができる。
【0083】
顔料は有機顔料であってもよい。有機顔料は、ウルマン百科事典の有機顔料の章における定義を満たす任意の顔料を意味することが理解される。有機顔料は、特に、金属錯体型の、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン化合物、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、キノフタロンから選択されてもよい。
【0084】
有機顔料は、例えば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照番号CI 42090、69800、69825、73000、74100、74160で色指数において分類されている青色顔料、参照番号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005で色指数において分類されている黄色顔料、参照番号CI 61565、61570、74260で色指数において分類されている緑色顔料、参照番号CI 11725、15510、45370、71105で色指数においてコード化されている橙色顔料、参照番号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470で色指数において分類されている赤色顔料、特許FR2,679,771に記載されているようなインドール誘導体及びフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料の中から選択されてもよい。
【0085】
これらの顔料は、特許EP1184426に記載されているような複合顔料の形態であってもよい。これらの複合顔料は、特に、少なくとも部分的に有機顔料で被覆された無機コアを含む粒子、及びコアへの有機顔料の結合を確実にする少なくとも1種の結合剤から構成されていてもよい。
【0086】
顔料はまた、レーキであってもよい。レーキは、不溶性粒子に吸着された、不溶化色素を意味することが理解され、このように得られる集合体は使用の間、不溶性のままである。レーキの例として、以下の名称D&C Red 7(CI 15850:1)で公知の製品を挙げることができる。
【0087】
顔料は無機顔料であってもよい。無機顔料は、ウルマン百科事典の無機顔料の章における定義を満たす任意の顔料を意味すると理解される。本発明において有用な無機顔料の中から、ジルコニウム又はセリウムの酸化物、及び亜鉛の酸化物、鉄の酸化物(黒、黄、赤)、又はクロムの酸化物、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及び第二鉄青、二酸化チタン、金属粉末、例えばアルミニウム粉末及び銅粉末を挙げることができる。以下の無機顔料もまた使用することができる:TiCO、ZrO、Nb、CeO、ZnSとの混合物中のTi、Ti、Ti、TiO、ZrO
【0088】
本発明との関連において有用な顔料のサイズは一般に、10nm~10μmの間、好ましくは20nm~5μmの間、より好ましくは30nm~1μmの間である。
【0089】
着色剤はまた、可溶性色素、好ましくは水溶性色素であってもよい。
【0090】
水溶性色素の中では、カーマイン、又は以下の名称:D&C Red 21(CI 45380)、D&C Orange 5(CI 45370)、D&C Red 27(CI 45410)、D&C Orange 10(CI 45425)、D&C Red 3(CI 45430)、D&C Red 4(CI 15510)、D&C Red 33(CI 17200)、D&C Yellow 5(CI 19140)、D&C Yellow 6(CI 15985)、D&C Green(CI 61570)、D&C Yellow 1 O(CI 77002)、D&C Green 3(CI 42053)、D&C Blue 1(CI 42090)で公知の製品を挙げることができる。
【0091】
真珠光沢粉末(nacre)は、化粧料製品中に従来から存在するもの、例えばマイカ/二酸化チタンから選択することができる。あるいは、これは、マイカ/シリカ/二酸化チタンに基づく真珠光沢粉末、合成フッ素金雲母/二酸化チタンに基づく真珠光沢粉末(MAPRECOS社からのSUNSHINE(登録商標))、ホウケイ酸(Ca/Na)/二酸化チタンに基づく真珠光沢粉末(ENGELHARD社からのREFLECKS(登録商標))、又はホウケイ酸(Ca/Al)/シリカ/二酸化チタンに基づく真珠光沢粉末(MERCK社からのRONASTAR(登録商標))であり得る。
【0092】
本発明による組成物は、本発明による組成物の総質量に対して、40~85質量%の粉末相、好ましくは50~80質量%の粉末相を含む。
【0093】
ポリオール
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のポリオールを含んでもよい。
【0094】
「ポリオール」という用語は、その構造中に少なくとも2個の遊離ヒドロキシ基(-OH)を有する任意の有機分子を意味することが理解される。これらのポリオールは、好ましくは室温(25℃)で液体である。
【0095】
例として、組成物における使用に好適なポリオールは、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ペンタンジオール、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、特に4~8個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール(PEG)、及び/又はソルビトールから選択されてもよい。
【0096】
好ましくは、ポリオールはグリセロールである。
【0097】
1つの特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、2~30質量%のポリオール、好ましくは5~25質量%のポリオールを含む。
【0098】
乳化剤
本発明による組成物はまた、乳化剤を含んでもよい。
【0099】
これらの乳化剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又は高分子界面活性剤から選択されてもよい。
【0100】
一実施形態によれば、本発明との関連において使用することができる界面活性剤は、25℃において8~20の間のHLB値を有する非イオン性界面活性剤から選択される。特に、以下のものを挙げることができる:
- 単糖のエステル及びエーテル、例えば、セテアリルグルコシドとセテアリルアルコールとの混合物、例えばSeppic社からのMontanov 68;
- グリセロールのオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンエーテル(1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含有していてもよい);
- 脂肪アルコール(特にC8~C24アルコール、好ましくはC12~C18)のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンエーテル(1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含有していてもよい)、例えば、30個のオキシエチレン基を有する、セテアリルアルコールのポリオキシエチレンエーテル(CTFA名「Ceteareth-30」)、20個のオキシエチレン基を有する、ステアリルアルコールのポリオキシエチレンエーテルCTFA名「Steareth-20」)、特に、SHELL CHEMICALS社によってNEODOL 25-7(登録商標)の名称で販売されている、7個のオキシエチレン基を含む、C12~C15脂肪アルコールの混合物のポリオキシエチレンエーテル(CTFA名「C12-15 Pareth-7」);
- 脂肪酸エステル(特にC8~C24、好ましくはC16~C22の酸、及びポリエチレングリコール(1~150個のエチレングリコール単位を含んでもよい)のエステル)、例えば、PEG-50ステアレート、及びPEG-40モノステアレート、特にICI UNIQUEMA社によってMYRJ 52P(登録商標)の名称で販売されているもの、又はPEG-30グリセリルステアレート、特にEvonik GOLDSCHMIDT社によってTAGAT S(登録商標)の名称で販売されているもの;
- 脂肪酸エステル(特にC8~C24、好ましくはC16~C22の酸、並びにオキシエチレン及び/又はオキシプロピレングリセロールエーテル(これは1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含有していてもよい)の脂肪酸エステル)、例えば、PEG-200グリセリルステアレート、特にSEPPIC社によってSimulsol 220 TM(登録商標)の名称で販売されているもの;30個のエチレンオキシド基を有するPEG化グリセリルステアレート、例えばEvonik GOLDSCHMIDT社によって販売されている製品TAGAT S(登録商標)、30個のエチレンオキシド基を有するPEG化グリセリルオレエート、例えばEvonik GOLDSCHMIDT社によって販売されている製品TAGAT O(登録商標)、30個のエチレンオキシド基を含むPEG化グリセリルココエート、例えばSHEREX社によって販売されている製品VARIONIC LI 13(登録商標)、30個のエチレンオキシドを含むPEG化グリセリルイソステアレート、例えばEvonik GOLDSCHMIDT社によって販売されている製品TAGAT L(登録商標)、並びに30個のエチレンオキシド基を有するPEG化グリセリルラウレート、例えばEvonik GOLDSCHMIDT社からの製品TAGAT I(登録商標);
- 脂肪酸エステル(特にC8~C24の酸、好ましくはC16~C22の酸、並びにオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンソルビトールエーテル(1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含有していてもよい)の脂肪酸エステル)、例えば、ポリソルベート20、特にCRODA社によってTween 20(登録商標)の名称で販売されているもの、ポリソルベート60、特にCRODA社によってTween 60(登録商標)の名称で販売されているもの;
- ジメチコンコポリオール、例えば、DOW CORNING社によってQ2-5220(登録商標)の名称で販売されているもの;
- ジメチコンコポリオールベンゾエート(FINTEX社からのFINSOLV SLB 101(登録商標)及び201(登録商標));
- EO/PO重縮合体ともいわれる、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのコポリマー;
- リゾリン脂質、特に、以下の[化学式1]のリゾホスファチジルコリン:
【0101】
【化1】
【0102】
[式中、Rは、脂肪酸鎖、特に10~25個の炭素原子を、好ましくは15~20個の炭素原子を含む脂肪酸鎖である]。
好ましくは、本発明の組成物において使用されるリゾリン脂質は、大豆から得られる。より好ましくは、そのINCI名はグリシン・ソヤ(glycine soja)(大豆)種子抽出物である。例えば、Kemin社によってLysofix Liquid(登録商標)の名称で販売されている、80質量%のグリセリン及び20質量%のグリシン・ソヤ(大豆)種子抽出物の混合物が使用される。;
- 乳化性ワックス、例えば、Croda社によってPolawax NFの名称で販売されている自己乳化性ワックス、又はGattefosse社によってApifilの名称で販売されているPEG-8ビーズワックス;
並びにそれらの混合物
を挙げることができる。
【0103】
好ましい実施形態によれば、8~20の間のHLB値を有する乳化剤は、脂肪酸エステル並びにオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンソルビトールエーテル、並びにそれらの混合物から選択される。
【0104】
リゾリン脂質、例えばLysofix Liquid(登録商標)は、組成物の粘度を増大させることを可能にする。
【0105】
一実施形態によれば、本発明による組成物において使用することができる界面活性剤は、25℃において8以下のHLBを有する非イオン性界面活性剤から選択される。特に、以下のものを挙げることができる:
- 単糖のエステル及びエーテル、例えば、スクロースステアレート、スクロースココエート、ソルビタンステアレート、及びそれらの混合物、例えば、ICI社によって販売されているArlatone 2121(登録商標);
- 脂肪アルコール(特にC8~C24、好ましくはC12~C18アルコール)のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンエーテル(これは1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含有していてもよい)、例えば、2個のオキシエチレン基を有する、ステアリルアルコールのオキシエチレンエーテル(CTFA名「Steareth-2」);
- 脂肪酸(特にC8~C24、好ましくはC16~C22の酸)とポリオール、特にグリセロール又はソルビトールとのエステル、例えばグリセリルステアレート、例えば、Evonik GOLDSCHMIDT社によってTEGIN M(登録商標)の名称で販売されている製品、グリセリルラウレート、例えば、HULS社によってIMWITOR 312(登録商標)の名称で販売されている製品、ポリグリセリル-2ステアレート、ポリグリセリル-2トリイソステアレート、ソルビタントリステアレート、グリセリルリシノレエート;
- レシチン、例えば大豆レシチン(例えば、Cargill社からのEmulmetik 100 J、又はLucas Meyer社からのBiophilic H);
- シリコーン乳化剤。
【0106】
本発明による組成物において使用することができるシリコーン乳化剤は、
- 脂肪側鎖、
- オキシエチレン又はオキシプロピレン側鎖、及び/又はポリエトキシ化側鎖(=グリセリル)、並びに任意選択で場合によっては
- シリコーン側鎖
を含むシロキサンポリマーである。
【0107】
シリコーン乳化剤の脂肪側鎖により、油中水型エマルションの脂肪相との良好な相溶性が可能になる。本発明の化粧用エマルションの不揮発性油がシリコーン化油である場合、シリコーン側鎖により、不揮発性シリコーン化油との良好な相溶性を有することが可能になる。本発明の一実施形態によれば、シリコーン乳化剤は、脂肪側鎖及びシリコーン側鎖を含む。
【0108】
より特定すると、本発明によれば、シリコーン乳化剤は、
- 以下の[化学式2]の化合物:
【化2】
[式中、wは1~1000の範囲の整数であり、x’は1~50の範囲の整数であり、x、y、及びzは、互いに独立に、1~100の範囲の整数を表す];
【0109】
- 以下の[化学式3]の化合物:
【化3】
[式中、x1は1~1000の範囲の整数であり、w1は1~50の範囲の整数であり、y1及びz1は、互いに独立に、1~100の範囲の整数を表す];
【0110】
- 以下の[化学式4]の化合物:
【化4】
[式中、w2は1~1000の範囲の整数であり、v2は1~50の範囲の整数であり、x2、y2、及びz2は、互いに独立に、1~100の範囲の整数を表す];
【0111】
- DOW CORNING社によってQ2-3225C(登録商標)の名称で販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物、
並びにそれらの混合物
を含む群から選択される。
【0112】
1つの特定の実施形態によれば、シリコーン乳化剤は、SHIN-ETSU社によって参照番号KF6038、KF6104、KF6105、KF6106で販売されているシロキサンポリマー、及びそれらの混合物を含む群から選択される。
【0113】
「ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」のINCI名を有する化合物KF6038は、一般式(I)に対応する。このシロキサンポリマーは、シリコーン側鎖、オキシエチレン側鎖、及び脂肪側鎖(ラウリル)を含む。
【0114】
「ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」のINCI名を有する化合物KF6104及び「ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」のINCI名を有する化合物KF6106は、一般式(II)に対応する。このシロキサンポリマーは、シリコーン側鎖及びグリセリル側鎖を含む。
【0115】
「ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」のINCI名を有する化合物KF6105は、一般式(III)に対応する。このシロキサンポリマーは、シリコーン側鎖、グリセリル側鎖、及び脂肪側鎖(ラウリル)を含む。
【0116】
好ましい実施形態において、特に、組成物がシリコーン化油を含む場合、界面活性剤は、シリコーン界面活性剤、例えば、化合物KF6028又は化合物KF6038又はそれらの混合物から選択される。
【0117】
シリコーン乳化剤は、0.1%~5%の、好ましくは1%~3%の範囲の含有量で本発明の化粧用組成物中に存在し、その百分率(%)は組成物の総質量に対する質量百分率である。
【0118】
好ましい実施形態において、特に、組成物が炭化水素化油を含む場合、界面活性剤は、非シリコーン界面活性剤、好ましくはポリソルベート20から選択される。
【0119】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.1~5質量%の乳化剤、好ましくは1~3質量%の乳化剤を含有してもよい。
【0120】
フィルム形成ポリマー
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のフィルム形成ポリマーを含んでもよい。
【0121】
本発明の組成物において使用することができるフィルム形成ポリマーの中では、フリーラジカル型又は重縮合体型の合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0122】
「フリーラジカルフィルム形成ポリマー」という用語は、不飽和モノマーの、特にエチレン性不飽和モノマー(それぞれのモノマーは単独重合が可能である)の重合によって得られるポリマー(重縮合体とは異なる)を意味する。
【0123】
フリーラジカル型のフィルム形成ポリマーは、特にビニルポリマー又はコポリマー、特にアクリルポリマーであることができる。
【0124】
ビニルフィルム形成ポリマーは、少なくとも1つの酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、及び/又はこれらの酸性モノマーのエステル、及び/又はこれらの酸性モノマーのアミドの重合から生じ得る。
【0125】
酸基を有するモノマーについては、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸を用いることができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、及びクロトン酸、より好ましくは、イタコン酸が用いられる(例えば、ポリ(イタコン酸)の金属塩、例えばItaconix社によってREVCARE NE 100Sの商品参照番号で販売されているもの)。
【0126】
酸性モノマーのエステルは、有利には、(メタ)アクリル酸((メタ)アクリレート類ともいわれる)、特に、アルキル(メタ)アクリレート、特にC1~C30アルキル、好ましくはC1~C20のアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、特に、C6~C10アリール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にC2~C6ヒドロキシアルキルのエステルから選択される。
【0127】
アルキル(メタ)アクリレートの中で、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルへキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレートを挙げることができる。
【0128】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中で、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0129】
アリール(メタ)アクリレートの中で、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートを挙げることができる。
【0130】
(メタ)アクリル酸の特に好ましいエステルは、アルキル(メタ)アクリレートである。
【0131】
本発明によれば、エステルのアルキル基はフッ素化又はペルフルオロ化されることができ、これは、アルキル基の水素原子のいくつか又はすべてがフッ素原子で置き換えられていることを意味する。
【0132】
酸性モノマーのアミドに関して、例えば、(メタ)アクリルアミド、特に、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、特にC2~C12アルキルのものを挙げることができる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドの中で、N-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、及びN-ウンデシルアクリルアミドを挙げることができる。
【0133】
ビニルフィルム形成ポリマーはまた、ビニルエステル及びスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合又は共重合から生じるものでもよい。特に、これらのモノマーは、酸性モノマー及び/又はそれらのエステル及び/又はそれらのアミド、例えば上述したものと重合されることができる。
【0134】
ビニルエステルの例として、ビニルアセテート、ビニルネオデカノエート、ビニルピバレート、ビニルベンゾエート、及びビニルtert-ブチルベンゾエートを挙げることができる。
【0135】
また、スチレンモノマーに関して、スチレン及びアルファ-メチルスチレンを挙げることができる。
【0136】
また、スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、例えばKraton社からの製品、又はAPPLECHEM社からのOLEOFLEX EG 200を挙げることができる。
【0137】
フィルム形成重縮合体の中で、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、及びエポキシエステル樹脂、ポリ尿素を挙げることができる。
【0138】
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性ポリウレタン、アクリルポリウレタン、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素-ポリウレタン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0139】
ポリエステルは、ジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの重縮合によって公知のやり方で得ることができる。
【0140】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、又は芳香族であることができる。そのような酸の例として、以下のものを挙げることができる:シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルネンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で、又は少なくとも2種のジカルボン酸モノマーを組合せて用いることができる。これらのモノマーの中で、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が好ましくは選択される。
【0141】
ジオールは、脂肪族、脂環式、及び芳香族ジオールから選択することができる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及び4-ブタンジオールから選択されるジオールが好ましくは用いられる。他のポリオールについては、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンを用いることができる。
【0142】
ポリエステルアミドは、ポリエステルと同様のやり方で、二酸とジアミン又はアミンアルコールとの重縮合によって得ることができる。ジアミンについては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタ-又はパラ-フェニレンジアミンを用いることができる。アミンアルコールについては、モノエタノールアミンを用いることができる。また、ポリアミド樹脂については、Kokyu Alcohol Kogyo社によってHaimalate PAMの名称で販売されている、ジイソステアリルマレート&ビス-ジオクタデシルアミドダイマージリノール酸/エチレンジアミンコポリマーのINCI名に対応するものを挙げることができる。
【0143】
ポリエステルは、少なくとも1個の-SOM基を有する少なくとも1種のモノマーをさらに含んでいてもよく、式中、Mは、水素原子、アンモニウムイオンNH4+、又は金属イオン、例えば、Na、Li、K、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+を表す。特に、そのような-SOM基を含む二官能芳香族モノマーを用いることができる。
【0144】
上述したように-SOM基を更に有する二官能芳香族モノマーの芳香核は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル、メチレンジフェニル環から選択することができる。-SOM基も有する二官能芳香族モノマーの例として、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸、4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸を挙げることができる。
【0145】
イソフタレート/スルホイソフタレートに基づくコポリマー、より特に、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、スルホイソフタル酸の縮合によって得られるコポリマーを用いることができる。
【0146】
任意選択によって改質されていてもよい天然由来のポリマーは、シェラック樹脂、サンダラックゴム、アラビアゴム(ACACIA SENEGAL GUM)、ダンマル、エレミ、コーパル、セルロースポリマー、カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)の果実及び/又は藻類カッパフィカス・アルバレジ(Kappaphycus alvarezii)からのポリマー抽出物(例えば、Silab社によって販売されている製品Filmexel(登録商標))、及びそれらの混合物から選択することができる。天然のポリマー、例えばFilmexel(登録商標)は、特に、本発明による組成物から得られるフィルムの寿命を向上させることを可能にする。サラソウジュ(Shorea robusta)樹脂+ビーズワックス、サラソウジュ樹脂+ヒマワリ油、アラウカリア(Araucaria)樹脂+ヒマワリ油、アラウカリア樹脂+ヒマシ油、サラソウジュ樹脂+オクチルドデカノールのINCI名に対応するフィルム形成ポリマーも挙げることができる。
【0147】
一実施形態によれば、フィルム形成ポリマーは、有機溶媒又は油を含む液体脂肪相中に溶解したポリマーであることができる(その場合、フィルム形成ポリマーは脂溶性ポリマーであると言われる)。
【0148】
脂溶性ポリマーの例として、ビニルエステルコポリマー(ビニル基はエステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合した、1~19個の炭素原子の直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基を有する)、及びビニルエステル(すでに存在するビニルエステルとは異なる)、α-オレフィン(8~28個の炭素原子を有する)、アルキルビニルエーテル(そのアルキル基が2~18個の炭素原子を含む)、又はアリル若しくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合した、1~19個の炭素原子の直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基を有する)であり得る少なくとも1つの他のモノマーを挙げることができる。
【0149】
これらのコポリマーは、ビニル型又はアリル若しくはメタリル型のいずれかであり得る架橋剤、例えば、テトラ(アリルオキシ)エタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート、及びジビニルオクタデカンジオエートを使用して架橋することができる。
【0150】
これらのコポリマーの例として、以下のコポリマーを挙げることができる:ビニルアセテート/アリルステアレート、ビニルアセテート/ビニルラウレート、ビニルアセテート/ビニルステアレート、ビニルアセテート/オクタデセン、ビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/アリルラウレート、ビニルプロピオネート/ビニルラウレート、ビニルステアレート/1-オクタデセン、ビニルアセテート/1-ドデセン、ビニルステアレート/エチルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/セチルビニルエーテル、ビニルステアレート/アリルアセテート、ビニル2,2-ジメチルオクタノエート/ビニルラウレート、アリル2,2-ジメチルペンタノエート/ビニルラウレート、ビニルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、アリルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたビニルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたビニルジメチルプロピオネート/ビニルラウレート、0.2%テトラ(アリルオキシ)エタンで架橋されたビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/アリルステアレート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/1-オクタデセン、及び0.2%ジビニルベンゼンで架橋されたアリルプロピオネート/アリルステアレート。
【0151】
脂溶性フィルム形成ポリマーに関して、脂溶性コポリマー、特に、9~22個の炭素原子を有するビニルエステルの、又はアルキルアクリレート若しくはメタクリレートの共重合から生じるものであって、アリル基が10~20個の炭素原子を有するものも挙げることができる。
【0152】
そのような脂溶性コポリマーは、ビニルポリステアレートのコポリマー、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、又はジアリルフタレートを用いて架橋されたビニルポリステアレートのコポリマー、ステアリルポリ(メタ)アクリレートの、ポリビニルラウレートの、ラウリルポリ(メタ)アクリレートのコポリマー、メチレングリコールジメタクリレート又はテトラエチレングリコールジメタクリレートを使用して架橋可能なこれらのポリ(メタ)アクリレートから選択することができる。
【0153】
上で定義される脂溶性コポリマーは公知であり、特に出願FR-A-2232303に記載されており、当該脂溶性コポリマーは、2,000~500,000の、好ましくは4,000~200,000の範囲の平均分子量を有し得る。
【0154】
脂溶性ホモポリマー、特に、9~22個の炭素原子を有するビニルエステルの、又はアルキルアクリレート若しくはメタクリレートの単独重合から生じるものであって、アルキル基が2~24個の炭素原子を有するものも挙げることができる。
【0155】
脂溶性ホモポリマーの例として、特に、ポリビニルラウレート及びラウリルポリ(メタ)アクリレートを挙げることができ、これらのポリ(メタ)アクリレートは場合により、エチレングリコールジメタクリレート又はテトラエチレングリコールジメタクリレートを使用して架橋されていることができる。
【0156】
本発明において使用することができる脂溶性フィルム形成ポリマーに関して、ポリアルキレン類、特に、C2~C20アルケンのコポリマー、例えば、ポリブテン、C1~C8で飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状アルキル基を有するアルキルセルロース、例えば、エチルセルロース及びプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特に、ビニルピロリドンとC2~C40アルケンと更に良好にはC3~C20アルケンとのコポリマーも挙げることができる。本発明において使用することができるVPのコポリマーの例として、VP/ビニルアセテート、VP/エチルメタクリレート、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/エチルメタクリレート/メタクリル酸、VP/エイコセン(Ashland社によって販売されているANTARON V220)、VP/ヘキサデセン(Ashland社によって販売されているANTARON V216)、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、VP/アクリル酸/ラウリルメタクリレートのコポリマーを挙げることができる。
【0157】
デキストリンエステル、特に、
- Chiba Flour Milling社によってUNIFILMA HVYの名称で販売されているデキストリンイソステアレート&イソステアリン酸、
- Chiba Flour Milling社によってRHEOPEARL TTの名称で販売されているデキストリンパルミテート/エチルヘキサノエート、
- Chiba Flour Milling社によってRHEOPEARL MKL2の名称で販売されているデキストリンミリステート
も挙げることができる。
【0158】
糖エステル、特に、EASTMAN社によってEASTMAN SUSTANE SAIBの名称で販売されているスクロースアセテートイソブチレートも挙げることができる。
【0159】
一般にシリコーン油に可溶性又は膨潤性であるシリコーンレジンも挙げることができ、当該シリコーンレジンは、架橋されたポリオルガノシロキサンポリマーである。シリコーンレジンの用語は「MDTQ」の名称で公知であり、そのレジンは、それが含む様々なシロキサンモノマー単位に従って記述されており、「MDTQ」のそれぞれの文字は単位のタイプを特徴付けている。
【0160】
市販されているポリメチルシルセスキオキサンレジンの例として、Wacker社によってResin MKの参照番号で販売されているもの、例えばBelsil PMS MK、及びSHIN-ETSU社によってKR-220Lの参照番号で販売されているもの、又はSilform可撓性樹脂を挙げることができる。
【0161】
シロキシシリケートレジンに関して、トリメチルシロキシシリケート(TMS)レジン、例えばGeneral Electric社によってSR1000の参照番号で、又はWacker社によってTMS 803の参照番号で販売されているものを挙げることができる。シクロメチコンのような溶媒に入れて市販されている、Shin-Etsu社によって「KF-7312J」の名称で販売されている、Dow Corning社によって「DOWSIL(商標)RSN-0749」、「DOWSIL(商標)593 Fluid」で販売されている、トリメチルシロキシシリケートレジンも挙げることができる。
【0162】
シリコーンレジンのコポリマー、例えば上述したものとポリジメチルシロキサン、例えば、Dow Corning社によってBIO-PSAの参照番号で販売されており、文献米国特許第5,162,410号に記載の感圧接着コポリマー、又は文献WO2004/073626に記載のような、シリコーン樹脂、例えば上述のものと、ジオルガノシロキサンとの反応から生じるシリコーンコポリマーも挙げることができる。
【0163】
ポリシロキサン単位を含有するモノマーでグラフトされた非シリコーン有機骨格を有するコポリマー、例えば、GRANT社によってGRANACRYSIL BASの名称で販売されているブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー等を使用することも可能である。
【0164】
最後に、DOW CORNING FA 4002 ID又はDOW CORNING FA 4001 CMの参照番号で市販されている、ビニル骨格にグラフトされたカルボシロキサンデンドリマー構造を含むアクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマーを挙げることができる。
【0165】
ポリオルガノシロキサン型のシリコーンポリアミド、例えば、文献US-A-5,874,069、US-A-5,919,441、US-A-6,051,216、及びUS-A-5,981,680に記載のものを使用することも可能である。
【0166】
シリコーンエラストマー
本発明による組成物はまた、シリコーンエラストマーを含んでもよい。
【0167】
これらの中でも、鎖の末端又は鎖の中間に、好ましくはケイ素原子上に配置された不飽和基、例えばビニル基又はアリル基を有するオルガノポリシロキサンと、別の反応性シリコーン化合物、例えばオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの反応から生じる、少なくとも部分的に架橋されたポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは通常、揮発性若しくは不揮発性シリコーン溶媒、又は炭化水素溶媒中のゲルの形態で入手可能である。そのようなエラストマーの例は、特にSHIN ETSU社によってKSG-6、KSG-16、KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、及びKSG-44の商品名で、DOW CORNING社によってDOWSIL(商標)9040及びDOWSIL(商標)9041の商品名で販売されている。別の油性ゲル化剤は、触媒の存在下で、エポキシ基及びヒドロシリル基で官能化されたオルガノポリシロキサンの自己重合によって得られるシリコーンポリマーからなり、当該シリコーンポリマーは、GENERAL ELECTRIC社からVELVESIL(登録商標)125の商品名で市販されている。別の親油性ゲル化剤は、環状ジメチコン/ビニルジメチコンコポリマー、例えば、JEEN社からJEESILC(登録商標)PS(PS-VH、PS-VHLV、PS-CM、PS-CMLV、及びPS-DMを含む)の商品名で販売されているものからなる。
【0168】
好ましい実施形態によれば、シリコーンエラストマーは乳化剤、好ましくは、ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマー及びポリグリセロール化シリコーンエラストマーから選択される乳化剤であり得る。
【0169】
ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーに関して、特許US5236986、US5412004、US5837793、US5811487に記載のものを挙げることができる。
【0170】
ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーに関して、以下ものを使用することができる:PEG-10ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーのINCI名を有するもの、例えば、Shin Etsu社によって「KSG-21」、「KSG-20」の名称で販売されているもの、PEG-15ラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーのINCI名を有するもの、例えば、Shin Etsu社によって「KSG-30」及び「KSG-31」、「KSG-32」(イソドデカン中)、「KSG-33」(トリオクタノイン中)、「KSG-210」、「KSG-310」(鉱油中)、「KSG-320」(イソドデカン中)、「KSG-330」、「KSG-340」の名称で販売されているもの。
【0171】
ポリグリセロール化シリコーンエラストマーに関して、以下のものを使用することができる:ジメチコン(及び)ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーのINCI名を有するもの、例えば、Shin Etsu社によって「KSG-710」の名称で販売されているもの、ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーのINCI名を有するもの、例えば、Shin Etsu社によって「KSG-840」(スクアレン中)の名称で販売されている。
【0172】
水性相
本発明による組成物はまた、水、及び任意選択で場合によっては、上述のポリオール以外の少なくとも1種の水溶性溶媒を含む水性相を含んでもよい。
【0173】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり、且つ水混和性である(25℃及び大気圧において50質量%より大きい水混和性)化合物を意味する。
【0174】
本発明による組成物において使用することができる水溶性溶媒は、揮発性であり得る。
【0175】
本発明による組成物において使用することができる水溶性溶媒の中では、特に、1~5個の炭素原子を有するモノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、並びにC~Cケトン及びC~Cアルデヒドを挙げることができる。
【0176】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、水を含まない。
【0177】
化粧用有効成分
本発明による組成物はまた、ビタミン類、酸化防止剤、保湿剤、汚染防止剤、角質溶解剤、収斂剤、抗炎症剤、美白剤、サンレスタンニング剤(sunless tanner)、及び微小循環を促進する助剤からなる群より選択することができる少なくとも1種の化粧用有効成分を含んでもよい。
【0178】
ビタミン類の例としては、ビタミンA、B1、B2、B6、C、及びE、並びにそれらの誘導体、パントテン酸及びその誘導体、及びビオチンが挙げられる。
【0179】
酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸及びその誘導体、例えばアスコルビルパルミテート、アスコルビルテトライソパルミテート、アスコルビルグルコシド、マグネシウムアスコルビルホスフェート、アスコルビルリン酸ナトリウム、及びアスコルビルソルベート;トコフェロール及びその誘導体、例えばトコフェロールアセテート、トコフェロールソルベート、及び他のトコフェロールエステル;BHT及びBHA;没食子酸、リン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、セファリン、ヘキサメタホスフェート、フィチン酸、及び植物抽出物、例えば、ジンギバー・オフィシナーレ/(Zingiber Officinale)(生姜)の根、例えばBIOLANDES社によって販売されているBlue Malagasy Ginger、コンドルス・クリスプス(Chondrus crispus)、イワベンケイ属(Rhodiola)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、イエルバマテの葉、オーク材、カユラペ樹皮(Kayu Rapet bark)、サクラの葉、及びイランイランの葉のエステルが挙げられる。
【0180】
保湿剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ムコ多糖類、例えばコンドロイチン硫酸、高分子量若しくは低分子量のヒアルロン酸、又は代替的にシラノール誘導体、例えば有効成分エピデルモシルによって増強されたヒアルロン酸、例えばExymol社によって販売されている有効成分Epidermosil(登録商標)、及びムコイチン硫酸;カロン酸;アテロコラーゲン;クロレステリル-12-ヒドロキシステアレート;胆汁酸塩、NMF(天然保湿因子)の主成分、例えばピロリドンカルボン酸の塩及び乳酸の塩、アミノ酸類似体、例えば尿素、システイン、及びセリン;短鎖可溶性コラーゲン、PPGジグリセリン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及びコポリマー、例えばNOF社からのLipidure HM及びLipidure PMB;アラントイン;グリセリン誘導体、例えば、NOF社からWilbride(登録商標)S753の商品名で販売されているPEG/PPG/Polybutylene Glycol-8/5/3 Glycerin、又は代替的に、Sederma社からLubrajel(登録商標)MSの商品名で販売されているグリセリル-ポリメタクリレート;Ashahi Kasei Chemicals社によってAminocoatの商品名で販売されているトリメチルグリシン、並びに様々な植物抽出物、例えば、ヨーロッパグリ(Castanea sativa)抽出物、加水分解ヘーゼルナッツタンパク質、チューベローズ(Polyanthes Tuberosa)多糖、アルガンノキ(Argania spinosa)核油、及び特にはMaruzen社(日本)によってPearl Extract(登録商標)の商品名で販売されている、コンキオリンを含有する真珠層抽出物が挙げられる。
【0181】
保湿剤の他の例としては、マリトリプターゼMT-SP1の発現を刺激する化合物、例えばイナゴマメパルプ抽出物、及びCERT、rNAT2の、又はFN3K若しくはFN3K-RPの発現を刺激する助剤;例えばβ-エンドルフィンの生成を刺激することによって、ケラチノサイトの増殖又は分化を直接的又は間接的に増加させる助剤、例えば、サーマス・サーモフィルスの抽出物、又はテオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)の外皮の抽出物、トウモロコシの水溶性抽出物、ボアンドゼイア・スブテラネア(Voandzeia subterranea)のペプチド抽出物及びナイアシンアミド;表皮脂質、及び直接的に、又は脂質前駆体、例えばグルコシルセラミドのセラミドへの脱グリコシル化を調節する特定のβ-グルコシダーゼを刺激することによって、表皮脂質の合成を増加させる助剤、例えば、リン脂質、セラミド、ルピナスタンパク質加水分解物、及びジヒドロジャスモン酸の誘導体が挙げられる。
【0182】
汚染防止剤の例としては、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)種子抽出物(例えばLSN社からのPurisoft(登録商標));シアバター抽出物(例えばSilab社からのDetoxyl(登録商標))、ツタ抽出物の混合物、フィチン酸の混合物、ヒマワリ種子抽出物の混合物(例えばSederma社からのOsmopur(登録商標))が挙げられる。
【0183】
角質溶解剤の例としては、α-ヒドロキシ酸(例えばグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、又は酒石酸)、及びβ-ヒドロキシ酸(例えばサリチル酸)及びそれらのエステル、例えばC12~13アルキルラクテート、及びこれらのヒドロキシ酸を含有する植物抽出物、例えばヒビスクス・サブダリファ(Hibiscus sabdariffa)抽出物が挙げられる。
【0184】
収斂剤の例としては、マンサク抽出物が挙げられる。
【0185】
抗炎症剤の例としては、ビサボロール、アラントイン、トラネキサム酸、酸化亜鉛、酸化硫黄、及びその誘導体、コンドロイチンスルフェート、グリチルリチン酸、及びその誘導体、例えばグリチルリチネート等が挙げられる。
【0186】
美白剤の例としては、アルブチン及びその誘導体、フェルラ酸(例えば、BASF社によって販売されているCytovector(登録商標):水、グリコール、レシチン、フェルラ酸、ヒドロキシエチルセルロース)及びその誘導体、コウジ酸、レゾルシノール、リポ酸及びその誘導体、例えば、特許出願WO2006134282に記載されているようなレスベラトロールジアセテートモノリポエート、エラグ酸、ロイコドパクロム及びその誘導体、ビタミンB3、リノール酸及びその誘導体、セラミド及びそれらの同族体、特許出願WO2009010356に記載されるようなペプチド、特許出願WO2006134282に記載されるような生体前駆体、又はトラネキサム酸塩、例えばトラネキサム酸セチルの塩酸塩、特に、Maruzen社によってLicorice extract(登録商標)の商品名で販売されている甘草抽出物(グリチルリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)抽出物)、が挙げられ、美白剤はまた、抗酸化作用、例えば、アスコルビン酸塩、脂肪酸又はソルビン酸のアスコルビルエステル、及び他のアスコルビン酸誘導体、例えばアスコルビルホスフェート、例えばマグネシウムアスコルビルホスフェート及びアスコルビルリン酸ナトリウム、又は例えば、アスコルビル-2-グルコシド、2-O-アルファ-D-グルコピラノシル-L-アスコルベート、又は6-O-ベータ-D-ガラクトピラノシル-L-アスコルベートを含むアスコルビン酸サッカリドのエステルを含む、ビタミンC化合物を有する。このタイプの有効成分は、特にDKSH社によってAscorbyl glucoside(登録商標)の商品名で販売されている。
【0187】
サンレスタンニング剤の例は、DHAである。
【0188】
微小循環を促進する助剤の例としては、ルピナスの抽出物(例えば、Silab社からのEclaline(登録商標))、ナギイカダ属の抽出物、セイヨウトチノキの抽出物、ツタの抽出物、チョウセンニンジンの抽出物、又はスイートクローバーの抽出物、カフェイン、ニコチネート及びその誘導体、コラリナ・オフィシナリス(Corallina officinalis)の藻類抽出物、例えばCODIF社によって販売されているもの、及びそれらの混合物が挙げられる。皮膚の微小循環に作用するこれらの助剤は、顔色のくすみを予防し、且つ/又は顔色の均一性及び明るさを向上するために使用することができる。
【0189】
添加剤
本発明による組成物は、組成物の望ましい特性を妨げない限り、他の成分を含んでもよい。これらの他の成分は、例えば防腐剤、pH調整剤、例えばクエン酸又はアルギニン、抗菌剤、香料、日焼け防止剤、及びそれらの混合物であってもよい。
【0190】
調製方法
本発明の目的はまた、本発明による固体化粧用組成物を調製するための方法であって、
- 粉末相を構成するパウダーを予め混合する工程と、
- 不揮発性液体脂肪相を含む脂肪性結合剤を調製する工程と、
- 押出によって、パウダーを脂肪性結合剤と共につぶし混ぜる工程と、
- 組成物をプレスによって成形する工程と
を含む、方法である。
【0191】
ケラチン性要素をメイクアップするための方法
本発明はまた、本発明による固体化粧用組成物を皮膚又は唇に適用する工程からなる、皮膚又は唇をメイクアップするための方法に関する。
【実施例
【0192】
実施例1:アイシャドウ
以下の表1に示す組成を有する固体アイシャドウを調製した。
【0193】
【表1A】
【0194】
【表1B】
【0195】
粉末相を構成するパウダーを予め混合した。
次いで、脂肪相(液体及び固体)を含む脂肪性結合剤を調製した。
押出によって、パウダーを脂肪性結合剤と共につぶし混ぜた。
次いで、組成物をプレスによって成形した。
【0196】
得られたアイシャドウは、良好な密着及び良好な耐衝撃性を示す。特に、それらは、崩壊させること又は亀裂を入れることなく、保管し、輸送することができる。それらのテクスチャーは、容易な採取と容易な適用(塗布)を可能にする。
【0197】
実施例2:頬紅-顔色ハイライター-ブロンザー-口紅
以下の表2に示す組成を有する固体組成物を調製した。
【0198】
【表2】
【0199】
粉末相を構成するパウダーを予め混合する。
次いで、脂肪相(液体及び固体)を含む脂肪性結合剤を調製する。
押出によって、パウダーを脂肪性結合剤と共につぶし混ぜる。
次いで、組成物をプレスによって成形する。
【0200】
得られる組成物は、良好な密着及び良好な耐衝撃性を示す。特に、それらは、崩壊させること又は亀裂を入れることなく、保管し、輸送することができる。それらのテクスチャーは、容易な採取と容易な適用(塗布)を可能にする。