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特許7550814検出装置、リソグラフィ装置、物品製造方法および検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】検出装置、リソグラフィ装置、物品製造方法および検出システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20240906BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G03F9/00 H
H01L21/30 502D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022081722
(22)【出願日】2022-05-18
(65)【公開番号】P2023170174
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 諒
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】宮春 隆文
(72)【発明者】
【氏名】藤嶋 浩史
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄一
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-217174(JP,A)
【文献】特開2005-142563(JP,A)
【文献】特表2008-532320(JP,A)
【文献】特開2017-041608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周期構造を含む撮像面を有する撮像素子と、前記第1周期構造とは異なる第2周期構造を含む検出対象物を照明し前記検出対象物からの光を前記撮像面に結像させる光学系、を備える検出装置であって、
前記撮像面に入射した光は、前記第1周期構造に従って互いに次数が異なる複数の回折光を生じさせ、
前記撮像面の法線は、前記複数の回折光のうち互いに隣り合う1次以上の次数の回折光の間に前記光学系の光軸が位置するように、前記光軸に対して傾いてい
前記光学系は、前記検出対象物からの光を前記撮像面に結像させる結像光学系を含み、
前記撮像面の法線は、前記互いに隣り合う1次以上の次数の回折光が前記結像光学系のNAの外側に向かって進むように、前記光軸に対して傾いている、
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記検出対象物を照明する照明光学系を含み、
前記照明光学系は、2つの極を含む照明光によって前記検出対象物を照明する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記照明光学系は、
2つの開口を含む絞りと、
光源からの光を前記2つの開口のそれぞれに向けて回折させる回折光学素子と、を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の検出装置。
【請求項4】
前記照明光学系は、前記2つの開口にそれぞれに対応するように設けられた2つの偏光素子を更に含む、
ことを特徴とする請求項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記2つの偏光素子は、それぞれの偏光素子からの光の偏光方向が互いに直交するように配置される、
ことを特徴とする請求項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1周期構造は、前記法線に直交する第1方向に周期性を有する第1構造、および、前記法線および前記第1方向に直交する第2方向に周期性を有する第2構造を含み、
前記撮像面に入射した光は、前記第1構造に従って互いに次数が異なる複数の第1回折光を生じさせ、かつ、前記第2構造に従って互いに次数が異なる複数の第2回折光を生じさせ、
前記撮像面の法線は、前記複数の第1回折光のうち互いに隣り合う次数の第1回折光の間、かつ、前記複数の第2回折光のうち互いに隣り合う次数の第2回折光の間に、前記光学系の前記光軸が位置するように、前記光軸に対して傾いている、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
前記撮像面の法線は、前記互いに隣り合う次数の回折光のそれぞれの光路の二等分線が前記光学系の光軸に重なるように、前記光軸に対して傾いている、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項8】
前記互いに隣り合う次数の回折光は1次回折光と2次回折光である、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
原版のパターンを基板に転写するリソグラフィ装置であって、
前記原版と前記基板とのアライメントのために設けられた請求項1乃至のいずれか1項に記載の検出装置と、
前記検出装置の出力に基づいて前記原版と前記基板とのアライメントを制御する制御部と、
を備えることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項10】
請求項に記載のリソグラフィ装置を使って原版のパターンを基板に転写する工程と、
前記パターンが転写された基板から物品を得る工程と、
を含むことを特徴とする物品製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の検出装置と、第2周期構造を含む検出対象物と、を有し、
前記検出対象物の前記第2周期構造は、第1物体に設けられた第1パターンと、前記第1物体に重なるように配置される第2物体に設けられた第2パターンとによって構成されることを特徴とする検出システム。
【請求項12】
前記第1パターンおよび前記第2パターンは、前記第1パターンおよび前記第2パターンの相互の相対位置に応じたモアレ縞を発生させる、
ことを特徴とする請求項11に記載の検出システム。
【請求項13】
前記検出対象物の前記第2周期構造は、物体に設けられたアライメントマークである、ことを特徴とする請求項11に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、リソグラフィ装置物品製造方法および検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、型に設けられた型マークと基板に設けられた基板マークとによって生成されるモアレ縞を撮像素子で撮像し、その画像に基づいて型マークと基板マークとの相対位置を求めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-004940公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像素子は、複数の画素の周期的な配列によって構成される画素アレイを有し、そのため、撮像素子の撮像面は、周期構造を有する。このような周期構造は、回折光を発生させ、これが撮像素子によって撮像される画像にノイズ成分を生じさせ、これが検出装置による検出の精度を低下させうる。
【0005】
本発明は、撮像素子が有する周期構造に起因する検出精度の低下を抑制するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、検出装置に係り、前記検出装置は、第1周期構造を含む撮像面を有する撮像素子と、前記第1周期構造とは異なる第2周期構造を含む検出対象物を照明し前記検出対象物からの光を前記撮像面に結像させる光学系、を備える検出装置であって、前記撮像面に入射した光は、前記第1周期構造に従って互いに次数が異なる複数の回折光を生じさせ、前記撮像面の法線は、前記複数の回折光のうち互いに隣り合う1次以上の次数の回折光の間に前記光学系の光軸が位置するように、前記光軸に対して傾いていて、前記光学系は、前記検出対象物からの光を前記撮像面に結像させる結像光学系を含み、前記撮像面の法線は、前記互いに隣り合う1次以上の次数の回折光が前記結像光学系のNAの外側に向かって進むように、前記光軸に対して傾いている
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像素子が有する周期構造に起因する検出精度の低下を抑制するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のインプリント装置の構成を例示的に示す図。
図2】第1実施形態の検出装置の構成を例示的に示す図。
図3】周期構造を含む撮像面を有する撮像素子からの反射回折光を説明する図。
図4】撮像素子を傾けた時の撮像素子からの反射回折光を説明する図。
図5】検出光学系のNAを考慮した傾き角の決定方法を説明する図。
図6】第2実施形態の検出装置の構成を例示的に示す図。
図7】物品製造方法を例示的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わされてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
本発明の一側面は、第1周期構造を含む撮像面を有する撮像素子と、該第1周期構造とは異なる第2周期構造を含む検出対象物を照明し該検出対象物からの光を該撮像面に結像させる光学系と、を備える検出装置に関する。該検出対象物の該第2周期構造は、例えば、第1物体に設けられた第1パターンと、該第1物体に重なるように配置される第2物体に設けられた第2パターンとによって構成されうる。該第1パターンおよび該第2パターンは、該第1パターンおよび該第2パターンの相互の相対位置に応じたモアレ縞を発生させうる。あるいは、該検出対象物の該第2周期構造は、物体に設けられたアライメントマークによって構成されてもよい。
【0011】
本発明の他の側面は、原版のパターンを基板に転写するリソグラフィ装置に関する。該リソグラフィ装置は、原版と基板とのアライメントのために設けられた上記の検出装置と、該検出装置の出力に基づいて原版と基板とのアライメントを制御する制御部と、を備えうる。該リソグラフィ装置は、例えば、インプリント装置でもよいし、露光装置でもよいし、電子ビーム描画装置等の描画装置でもよい。以下では、本発明の1つの適用例としてインプリント装置およびそれに組み込まれうる検出装置について例示的に説明する。
【0012】
インプリント装置は、基板上に配置されたインプリント材と型(原版)とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることによりインプリント材を硬化させ、インプリント材の硬化物からなるパターンを基板の上に形成するように構成されうる。
【0013】
インプリント材としては、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱等が用いられうる。電磁波は、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される光、例えば、赤外線、可視光線、紫外線などでありうる。硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物でありうる。これらのうち、光の照射により硬化する光硬化性組成物は、少なくとも重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を更に含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。インプリント材は、インプリント材供給装置(不図示)により、液滴状、あるいは複数の液滴が繋がってできた島状または膜状となって基板上に配置されうる。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下でありうる。基板の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられうる。必要に応じて、基板の表面に、基板とは別の材料からなる部材が設けられてもよい。基板は、例えば、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスである。
【0014】
図1には、一実施形態のインプリント装置100の構成が例示的に示されている。本明細書および図面では、水平面をxy平面とするxyz座標系において方向が示される。一般的には、ウエハ等の基板Wは、その表面が水平面(xy平面)と平行になるように基板ステージ162の上に置かれる。よって、本明細書および図面では、基板Wの表面に沿う平面内で互いに直交する方向をx軸およびy軸とし、x軸およびy軸に垂直な方向をz軸とする。また、xyz座標系におけるx軸、y軸、z軸にそれぞれ平行な方向をx方向、y方向、z方向といい、x軸周りの回転方向、y軸周りの回転方向、z軸周りの回転方向をそれぞれθx方向、θy方向、θz方向という。
【0015】
一例において、インプリント装置100は、UV光(紫外光)の照射によってインプリント材を硬化させるUV光硬化型インプリント装置である。ただし、インプリント装置100は、他の波長域の光の照射によってインプリント材を硬化させるインプリント装置であってもよいし、他のエネルギー(例えば、熱)によってインプリント材を硬化させるインプリント装置であってもよい。
【0016】
インプリント装置100は、インプリント処理を繰り返すことによって基板W上の複数のショット領域にパターンを形成するように構成されうる。インプリント処理は、型Mのパターン領域を基板Wの上に配置されたインプリント材Rに接触させた状態でインプリント材Rを硬化させることによって基板W上の1つのショット領域にパターンを形成する処理でありうる。
【0017】
インプリント装置100は、例えば、硬化ユニット120と、型操作機構130と、型形状補正機構140と、基板駆動部160と、検出装置170と、供給部190と、観察スコープ193と、制御部180とを含みうる。また、図示は省略されているが、インプリント装置100は、型操作機構130を支持するブリッジ定盤、基板駆動部160を支持するベース定盤などを備えうる。
【0018】
硬化ユニット120は、型Mを介して基板W上のインプリント材Rに紫外光を照射することによってインプリント材Rを硬化させうる。この場合、インプリント材Rは、紫外光硬化性樹脂でありうる。硬化ユニット120は、例えば、光源部121と、光学系122と、ハーフミラー123とを含みうる。光源部121と、光学系122と、ハーフミラー123とを含みうる。光源部121は、例えば、紫外光(例えば、i線、g線)を発生する水銀ランプなどの光源と、該光源が発生した光を集光する楕円鏡とを含みうる。
【0019】
光学系122は、例えば、インプリント材Rを硬化させるための光をショット領域上のインプリント材Rに照射するためのレンズおよびアパーチャなどを含みうる。光学系122を経た光は、ハーフミラー123によって反射されてインプリント材Rに照射されうる。アパーチャは、画角制御および外周遮光制御のために使用される。画角制御によって、目標とするショット領域のみを照明することができる。外周遮光制御によって、紫外光が目標とするショット領域を超えて照射されることを制限することができる。光学系122は、型Mを均一に照明するためにオプティカルインテグレータを含んでもよい。アパーチャによって範囲が規定された光は、光学系122と型Mを介して基板W上のインプリント材Rに入射する。型Mのパターン領域には、例えば、デバイスの回路パターン等のパターンが形成されている。型Mの材質は、例えば、紫外線を透過させることが可能な石英などである。
【0020】
型操作機構130は、例えば、型Mを保持する型チャック131と、型チャック131を駆動することによって型Mを駆動する型駆動機構132と、型駆動機構132を支持する型ベース133とを含みうる。型駆動機構132は、型Mの位置を6軸に関して制御する位置決め機構と、型Mを基板Wの上のインプリント材Rに接触させたり、硬化したインプリント材Rから型Mを分離したりする機構とを含みうる。6軸は、x、y、z、θx、θy、θz方向である。
【0021】
型形状補正機構140は、型チャック131に搭載されうる。型形状補正機構140は、例えば、空気または油のような流体で作動するシリンダ、あるいはピエゾ素子等のアクチュエータを用いて型Mを外周側面に加圧することによって型M(のパターン領域)の形状を補正することができる。あるいは、型形状補正機構140は、型Mの温度を制御する温度制御部を含み、型Mの温度を制御することによって型M(のパターン領域)の形状を補正することができる。基板Wは、熱処理などのプロセスを経ることによって変形(典型的には、膨張または収縮)しうる。型形状補正機構140は、このような基板Wの変形に応じて、型Mのパターンと基板W上の既存パターンとのオーバーレイ誤差が許容範囲に収まるように型Mの形状を補正しうる。
【0022】
基板駆動部160は、例えば、基板チャック161と、基板ステージ162と、基準マーク台191と、不図示のステージ駆動機構とを含みうる。基板チャック161は、基板Wを吸引によって保持しうる。基板ステージ162は、基板チャック161を支持し、基板チャック161を駆動することによって基板Wを移動させる。基準マーク台191の上には、基準マーク192が配置されている。不図示のステージ駆動機構は、基板ステージ162の位置を前述の6軸に関して制御することによって基板Wの位置を制御する位置決め機構を含みうる。
【0023】
検出装置170は、型Mと基板Wのショット領域との相対位置(位置ずれ)を検出するための装置として構成されうる。他の観点において、検出装置170は、型Mに設けられたアライメントマークと基板Wのショット領域に設けられたアライメントマークとの相対位置(位置ずれ)を検出するための装置として構成されうる。検出装置170は、例えば、型Mに設けられたアライメントマーク182と基板Wに設けられたアライメントマーク183を照明し、2つのアライメントマークで回折された光により形成される干渉縞(モアレ縞)を撮像(検出)するように構成されうる。制御部180は、検出装置170によって撮像された画像に基づいて2つのアライメントマークの相対位置を検出しうる。制御部180のこのような機能は、検出装置170に組み込まれてもよい。検出装置170は、型Mに設けられたマークの位置、および、基板Wのショット領域に設けられたマークの位置の少なくとも一方を検出すために使用されてもよい。
【0024】
供給部190は、基板Wの上にインプリント材Rを供給するディスペンサとして構成されうる。供給部190は、例えば、インプリント材Rを収容するタンクと、該タンクから供給路を通して供給されるインプリント材Rを基板Wに対して吐出するノズルと、該供給路に設けられたバルブと、供給量制御部とを含みうる。
【0025】
観察スコープ193は、ショット領域を観察するためのスコープであり、ショット領域を撮像する撮像素子を有する。観察スコープ193は、例えば、型Mとインプリント材Rとの接触の状態、および、型Mのパターン領域に設けられたパターンの凹部へのインプリント材Rの充填の進み具合の確認のために使用されうる。
【0026】
インプリント装置100によるインプリント処理について説明する。まず、制御部180による制御の下で、不図示の基板搬送装置によって基板Wを基板チャック161上に搬送し、基板Wを基板チャック161に固定する。続いて、制御部180による制御の下で、ショット領域が型Mの直下に位置するように、ステージ駆動機構によって基板ステージ162を移動させる。次に、制御部180による制御の下で、型駆動機構132によって型Mを下降させ、基板W上のインプリント材Rに型Mを接触させる(接触工程)。型Mがインプリント材Rに接触すると、インプリント材Rは、型Mのパターン領域の表面に沿って流動しパターン領域と基板Wとの間の空間およびパターン領域に設けられたパターンの凹部に充填される。また、型Mとインプリント材Rとが接触した状態で、検出装置170は、型Mのアライメントマーク182および基板Wのアライメントマーク183からの反射回折光によって形成される像を検出(撮像)しうる。制御部180は、検出装置170の出力(画像)に基づいて、基板ステージ162の駆動による型Mと基板Wとの位置合わせ、および、型形状補正機構140による型Mのパターン領域の形状補正などを実施しうる。その後、制御部180による制御の下で、硬化ユニット120は、型Mの背面(上面)から紫外線を照射し、型Mを透過した紫外線によりインプリント材Rを硬化させる(硬化工程)。続いて、制御部180による制御の下で、型駆動機構132によって型Mを上方に駆動し、硬化したインプリント材Rから型Mを引き離す(離型工程)。これにより、基板W上のインプリント材Rに型Mのパターンが転写される。
【0027】
図2(a)は、第1実施形態の検出装置170の構成を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)の検出装置170のyz断面図である。光学系の説明を容易にするため、図2(a)には単一方向(例えばx方向)の計測を行う光学系のみが示されている。また、図1では検出装置170を出た光は、ミラー179で方向を変えられた後にアライメントマーク182、183を照明しているが、図2(a)および図2(b)では、説明を簡略化するために、ミラー179が省略されている。
【0028】
検出装置170は、光源200と、照明光学系ILと、検出光学系DLとを含みうる。照明光学系ILは、例えば、型Mに配置されたアライメントマーク182および基板Wに配置されたアライメントマーク183を照明するように構成されうる。この例では、アライメントマーク182、183は、検出対象物である。検出対象物は、撮像の対象物である他、相対位置検出あるいは位置検出の対象物でもある。照明光学系ILは、その瞳面において2つの極を含む照明光によって検出対象物を照明する二重極照明を行うように構成されうる。例えば、照明光学系ILは、回折光学素子171と、レンズ173と、二重極照明を実現するための2つの開口を含む絞り174と、2つの偏光素子185と、ビームスプリッター175とを含みうる。回折光学素子171は、光源200からの光を絞り174の2つの開口のそれぞれに向けて回折させうる。2つの偏光素子185は、絞り174の2つの開口のそれぞれに対応するように設けられ、それぞれの偏光素子からの光の偏光方向が互いに直交するように配置されうる。例えば、偏光素子として偏光子を用いた場合はそれぞれの偏光子の透過軸が互いに垂直な方向に配置されうる。検出光学系DLは、例えば、レンズ176と、ビームスプリッター175と、レンズ177と、撮像素子178とを含みうる。
【0029】
撮像素子178は、図3(b)に模式的に示されるように、第1周期構造を含む撮像面ISを有する。第1周期構造は、例えば、マイクロレンズアレイまたは遮光膜等によって不可避的に形成されうる。図3(b)の例では、第1周期構造は、x方向、y方向のそれぞれに関して、周期(ピッチ)pを有する。照明光学系ILおよび結像光学系DLは、検出対象物を照明し該検出対象物からの光を撮像素子178の撮像面ISに結像させる光学系を構成する。検出対象物は、第1周期構造とは異なる第2周期構造を含みうる。この例では、検出対象物の第2周期構造は、基板Wに設けられたアライメントマーク183(第1パターン)と、アライメントマーク183に重なるように配置される型Mに設けられたアライメントマーク182(第2パターン)とによって構成されている。基板Wは第1物体の例であり、型Mは第2物体の例である。アライメントマーク183は、第1周期構造と異なる周期構造を有し、アライメントマーク182も、第1周期構造と異なる周期構造を有しうる。
【0030】
撮像素子178の撮像面ISに入射した光は、撮像面ISの第1周期構造に従って互いに次数が異なる複数の回折光を生じさせる。撮像面ISの法線Nは、該複数の回折光のうち互いに隣り合う次数の回折光の間に光学系(ここでは、検出光学系DLに注目すればよい)の光軸AXが位置するように、光軸AXに対して傾き角θで傾いている。一例において、光軸AXに対する撮像面ISの法線Nの傾き角θは、xz平面における光軸AXと撮像面ISの法線Nとの角度である。
【0031】
以下、傾き角θの決定方法について詳述する。図3(a)は、傾き角θが0である場合の検出光学系DLのうちレンズ177と撮像素子178の部分を拡大した模式図である。撮像素子178の撮像面ISは、図3(b)に模式的に示されるように第1周期構造を含む。レンズ177を経て撮像素子178の撮像面ISに入射した光は、図3(a)に模式的に示されるように、第1周期構造に従って互いに次数が異なる複数の回折光を生じさせる。これらの回折光の一部は、検出光学系DLに戻り、干渉縞および/またはフレアを生じさせうる。n次回折光の回折角θdifnは、光源200が発生する照明光の波長をλ、第1周期構造の周期(ピッチ)をpとすると、式(1)のように表される。
【0032】
【数1】
…式(1)
【0033】
ここで、nは整数であり、負の値も含みうる。図3(a)では、反時計回りの方向を正としているが、時計回りの方向を正としても一般性は失われない。このような回折光が撮像素子178による撮像対象としての像(モアレ縞)に加わる影響で、アライメントマーク183、182の相対位置の検出精度、即ちアライメント計測の精度が低下しうる。そこで、撮像面ISから検出光学系DLに回折光が戻らないように、傾き角θが決定される。傾き角θが0より大きい時の0次回折光が示されている。図4(b)には、複数の次数の回折光が示されている。-n次回折光が進む方向は、式(2)のように表される。
【0034】
【数2】
…式(2)
【0035】
撮像面ISで回折された回折光が検出光学系DLに戻らないようにするには、複数の回折光のうち互いに隣り合う次数の回折光(ここでは、-n次回折光と-(n+1)次回折光)の間に検出光学系DLの光軸AXが位置するように傾き角θが決定されればよい。ここで、互いに隣り合う次数の回折光(ここでは、-n次回折光と-(n+1)次回折光)のそれぞれの光路の二等分線が前記光学系の光軸AXに重なるように傾き角θが決定されることが好ましいい。換言すると、-n次回折光と-(n+1)次回折光の回折角の平均角度が傾き角θと一致することが好ましい。これは、式(3)で表すことができる。
【0036】
【数3】
…式(3)
【0037】
式(3)を変形すると、傾き角θは、式(4)のように表される。
【0038】
【数4】
…式(4)
【0039】
ここで、一般的に、撮像素子178は、図3(b)に例示されるように、直交する2方向に周期性を有する。これを考慮すると、図3(b)における対角方向(例えば、y軸およびz軸に対して45度の方向)に平行な軸周りで撮像素子178を回動させるように撮像面ISの法線Nを光軸AXに対して傾けてもよい。この場合、式(1)~(3)におけるpを(√2)pで置き換えて考えればよい。
【0040】
更に、撮像素子178の撮像面ISの第1周期構造が二次元的であることを考慮すると、傾き角θは、次のように決定されうる。まず、第1周期構造は、法線Nに直交する第1方向(例えば、y方向)に周期性を有する第1構造、および、法線Nおよび第1方向に直交する第2方向(例えば、z方向)に周期性を有する第2構造を含むものと定義する。この場合、撮像面ISに入射した光は、第1構造に従って互いに次数が異なる複数の第1回折光を生じさせ、かつ、第2構造に従って互いに次数が異なる複数の第2回折光を生じさせうる。よって、撮像面ISの法線Nは、複数の第1回折光のうち互いに隣り合う次数の第1回折光の間、かつ、複数の第2回折光のうち互いに隣り合う次数の第2回折光の間に、検出光学系DLの光軸AXが位置するように傾き角θが決定されうる。
【0041】
更に、撮像素子178の撮像面ISからの回折光は、検出光学系DLのNA(換言すると、検出光学系NAの瞳領域)に戻らないことが好ましい。換言すると、検出光学系DLの光軸AXに対する撮像面ISの法線Nの傾き角θは、撮像面ISで発生する複数の次数の回折光のうち互いに隣り合う次数の回折光が結像光学系DLのNAの外側に向かって進むように決定されうる。検出光学系DLのNAは、例えば、検出光学系DLに設けられる不図示の絞りによって規定されうる。そのような絞りは、ビームスプリッター175に設けられてもよいし、ビームスプリッター175とレンズ177との間に配置されてもよい。
【0042】
以下、図5を参照しながら、撮像面ISで発生する回折光が結像光学系DLのNA内に戻らない条件を説明する。図5(a)には、-n次回折光と-(n+1)次回折光との二等分線が光軸AX上に位置する状態、即ち式(4)が成り立つ状態が示されている。検出光学系DLのNAをNAdetとすると、これに対応する角度θdetは、式(5)のように表せる。
【0043】
【数5】
…式(5)
【0044】
図5(b)には、-n次回折光と-(n+1)次回折光との間に光軸AXが位置し、検出光学系DLのNAに回折光が戻らない傾き角θの最小値が示されていて、この時の傾き角θは、式(6)のように表される。
【0045】
【数6】
…式(6)
【0046】
図5(c)には、-n次回折光と-(n+1)次回折光との間に光軸AXが位置し、検出光学系DLのNAに回折光が戻らない傾き角θの最大値が示されていて、このときの傾き角θは、式(7)のように表される。
【0047】
【数7】
…式(7)
【0048】
式(6)および式(7)より、撮像面ISで発生する回折光が結像光学系DLのNA内に戻らない条件を示す式(8)が得られる。
【0049】
【数8】
…式(8)
【0050】
光源200からの光は、回折光学素子171を照明する。回折光学素子171で発生した回折光は、レンズ173、絞り174、2つの偏光素子185、ビームスプリッター175、レンズ176を経て、型M上のアライメントマーク182と基板W上のアライメントマーク183とを二重極照明する。2つの偏光素子185は、基板に入射する2つの極のそれぞれからの光の偏光方向が直交性を有するように配置される。絞り174は、照明光学系ILの瞳面またはその近傍に配置され、2つの偏光素子185は、瞳面に対して光源側に配置することが望ましい。
【0051】
アライメントマーク182および183は、互いに計測方向のピッチが異なる回折格子により構成される。基板Wに設けられたアライメントマーク183は、y方向の格子ピッチとx方向の格子ピッチとを有するチェッカーボード状の格子パターンによって構成されうる。2つのアライメントマーク182および183からの回折光により、計測方向であるx方向に周期性を有する干渉縞(モアレ縞)が発生する。ここで、型Mと基板Wとの相対位置がx方向に変動すると、その変動に応じて干渉縞の位相が変化する。干渉縞は、レンズ176、ビームスプリッター175、およびレンズ177で構成される結像光学系DLにより、撮像素子178の撮像面ISに結像され撮像素子178によって検出(撮像)される。撮像素子178によって撮像された画像は、制御部180に送られる。制御部180は、干渉縞の画像における位相情報に基づいて、型Mのアライメントマーク182と基板Wのアライメントマーク183との相対位置(ずれ量)を算出する。制御部180は、その相対位置に基づいて、型駆動機構132、および基板ステージ162を駆動するステージ駆動機構を制御することにより、型Mと基板Wとのアライメントを行う。
【0052】
本実施形態では、検出装置170における照明光学系ILは、その瞳面において2つの極を有する光による二重極照明を行うように構成され、基板に入射する2つの極のそれぞれからの光の偏光方向が直交性を有する。2つの偏光素子、185によってそれぞれ形成される2つの光束の偏光方向は検出対象物において直交する。本実施形態では、2つの偏光素子185は、瞳面に対して光源側に配置されているが、検出対象物において直交するのであれば、このような配置には限定されない。例えば、二重極照明を実現するための絞り174よりも像面側に2つの偏光素子185が配置されてもよい。また、本実施形態では、回折光学素子を照明する光学系となっているが、2光束干渉が起きる光学系であれば、必ずしも回折光学素子を使用する必要はない。また、本実施形態では、二重極照明を用いているが、必ずしも二重極照明を用いる必要はなく、単極照明を使用することも考えられる。ただし、この場合は、気圧の変化等の装置環境の変化で、デフォーカス状態が変わりうる。デフォーカス状態が変わると照明の非対称性によって、像がシフトしてしまうことで性能が低下する場合がある。
【0053】
以下、傾き角の具体例を説明する。ここでは、撮像素子178のマイクロレンズアレイの周期構造のピッチPが4.8umであり、光源200が発生する照明光の波長λが760nmであある場合を考える。式(4)にピッチP、波長λの数値を入れて計算すると、表1のような結果が得られる。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に例示されるように、傾き角θとして複数の選択肢がある。高次となる程、回折光の影響が小さくなる。一方で、傾き角θを大きくし過ぎると、ケラレが発生する。これらを考慮して、光軸AXに対する撮像面ISの法線Nの傾き角θを6.9度とすることが好ましい。
【0056】
また、検出光学系DLのNAが0.009である場合は、式(5)よりθdet=0.5度である。よって、式(8)から、検出光学系DLのNA分を考慮した傾き角θは、4.8度より大きく、9.0度より小さい角度とされうる。これにより、撮像面ISからの1次回折光と2次回折光との間に光軸AXが配置された構成において、1次回折光および2次回折光が検出光学系NAの中に戻ることを防ぐことができる。
【0057】
図6には、第2実施形態の検出装置170の構成が例示的に示されている。第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。第2実施形態では、x方向とy方向の双方に関する検出を同時に行うことができる。図6では、照明光学系ILの構成が簡略して示されている。図2(a)のレンズ173、絞り174、レンズ176、偏光素子185に相当する構成要素は示されていない。
【0058】
回折光学素子171は、検出対象物184の第1部分Aを照明する照明光を形成する第1領域A’と、検出対象物184の第1部分Aとは異なる第2部分Bを照明する照明光を形成する第2領域B’とを含む。回折光学素子171の第1領域A’は、回折光学素子171の面でX方向に光を回折する。X方向に回折された光は、瞳面187にある偏光素子185を通る。X方向に並んだ2つの極には、XおよびY方向の偏光方向の光が通り、検出対象物184の第1部分Aが照明される。検出対象物184の第1部分Aの干渉縞を評価することで、Y方向に関して型Mのアライメントマークと基板Wのアライメントマークとの相対位置ずれ量を検出することができる。同様に、回折光学素子171の第2領域B’は、回折光学素子171の面でY方向に光を回折する。Y方向に回折された光は、瞳面187にある偏光素子186を通る。Y方向に並んだ2つの極には、XおよびY方向の偏光方向の光が通り、検出対象物184の第2部分Bが照明される。検出対象物184の第2部分Bの干渉縞を評価することで、X方向に関して型Mのアライメントマークと基板Wのアライメントマークとの相対位置ずれ量を検出することができる。
【0059】
以上のようにして、第2実施形態によれば、X方向(第1方向)の位置ずれの計測と、Y方向(第1方向と交差する第2方向)の位置ずれの計測とを同時に行うことが可能である。
【0060】
第1および第2実施形態では、検出対象物の第2周期構造は、第1物体に設けられた第1パターンと、前記第1物体に重なるように配置される第2物体に設けられた第2パターンとによって構成される。しかし、検出対象物の第2周期構造は、物体(例えば、基板または型)に設けられたアライメントマークであってもよく、この場合には、アライメントマークの位置が検出されうる。
【0061】
以下、一実施形態の物品製造方法について説明する。一実施形態の物品製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品製造方法は、上記のリソグラフィ装置(例えば、インプリント装置、露光装置、または描画装置など)を用いて基板に原版のパターンを転写する工程と、かかる工程でパターンが転写された基板を加工等して物品を得る工程とを含む。更に、物品製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0062】
インプリント装置を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
【0063】
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
【0064】
次に、インプリント装置によって基板にパターンを形成し、該パターンが形成された基板を処理し、該処理が行われた基板から物品を製造する物品製造方法について説明する。図7(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウエハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
【0065】
図7(b)に示すように、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図7(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを介して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
【0066】
図7(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
【0067】
図7(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図7(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
【0068】
本明細書の開示は、以下の検出装置、リソフラグラフィー装置および物品製造方法を含む。
(項目1)
第1周期構造を含む撮像面を有する撮像素子と、前記第1周期構造とは異なる第2周期構造を含む検出対象物を照明し前記検出対象物からの光を前記撮像面に結像させる光学系と、を備える検出装置であって、
前記撮像面に入射した光は、前記第1周期構造に従って互いに次数が異なる複数の回折光を生じさせ、
前記撮像面の法線は、前記複数の回折光のうち互いに隣り合う次数の回折光の間に前記光学系の光軸が位置するように、前記光軸に対して傾いている、
ことを特徴とする検出装置。
(項目2)
前記光学系は、前記検出対象物からの光を前記撮像面に結像させる結像光学系を含み、
前記撮像面の法線は、前記互いに隣り合う次数の回折光が前記結像光学系のNAの外側に向かって進むように、前記光軸に対して傾いている、
ことを特徴とする項目1に記載の検出装置。
(項目3)
前記光学系は、前記検出対象物を照明する照明光学系を含み、
前記照明光学系は、2つの極を含む照明光によって前記検出対象物を照明する、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の検出装置。
(項目4)
前記照明光学系は、
2つの開口を含む絞りと、
光源からの光を前記2つの開口のそれぞれに向けて回折させる回折光学素子と、を含む、
ことを特徴とする項目3に記載の検出装置。
(項目5)
前記照明光学系は、前記2つの開口にそれぞれに対応するように設けられた2つの偏光素子を更に含む、
ことを特徴とする項目4に記載の検出装置。
(項目6)
前記2つの偏光素子は、それぞれの偏光素子からの光の偏光方向が互いに直交するように配置される、
ことを特徴とする項目5に記載の検出装置。
(項目7)
前記検出対象物の前記第2周期構造は、第1物体に設けられた第1パターンと、前記第1物体に重なるように配置される第2物体に設けられた第2パターンとによって構成される、
ことを特徴とする項目1乃至6のいずれか1項に記載の検出装置。
(項目8)
前記第1パターンおよび前記第2パターンは、前記第1パターンおよび前記第2パターンの相互の相対位置に応じたモアレ縞を発生させる、
ことを特徴とする項目7に記載の検出装置。
(項目9)
前記検出対象物の前記第2周期構造は、物体に設けられたアライメントマークである、
ことを特徴とする項目1乃至6のいずれか1項に記載の検出装置。
(項目10)
前記第1周期構造は、前記法線に直交する第1方向に周期性を有する第1構造、および、前記法線および前記第1方向に直交する第2方向に周期性を有する第2構造を含み、
前記撮像面に入射した光は、前記第1構造に従って互いに次数が異なる複数の第1回折光を生じさせ、かつ、前記第2構造に従って互いに次数が異なる複数の第2回折光を生じさせ、
前記撮像面の法線は、前記複数の第1回折光のうち互いに隣り合う次数の第1回折光の間、かつ、前記複数の第2回折光のうち互いに隣り合う次数の第2回折光の間に、前記光学系の前記光軸が位置するように、前記光軸に対して傾いている、
ことを特徴とする項目1乃至9のいずれか1項に記載の検出装置。
(項目11)
前記撮像面の法線は、前記互いに隣り合う次数の回折光のそれぞれの光路の二等分線が前記光学系の光軸に重なるように、前記光軸に対して傾いている、
ことを特徴とする項目1乃至9のいずれか1項に記載の検出装置。
(項目12)
前記互いに隣り合う次数の回折光は1次以上の回折光である、
ことを特徴とする項目1乃至11のいずれか1項に記載の検出装置。
(項目13)
前記互いに隣り合う次数の回折光は1次回折光と2次回折光である、
ことを特徴とする項目12に記載の検出装置。
(項目14)
原版のパターンを基板に転写するリソグラフィ装置であって、
前記原版と前記基板とのアライメントのために設けられた項目1乃至13のいずれか1項に記載の検出装置と、
前記検出装置の出力に基づいて前記原版と前記基板とのアライメントを制御する制御部と、
を備えることを特徴とするリソグラフィ装置。
(項目15)
項目14に記載のリソグラフィ装置を使って原版のパターンを基板に転写する工程と、
前記パターンが転写された基板から物品を得る工程と、
を含むことを特徴とする物品製造方法。
【0069】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0070】
100:インプリント装置、170:検出装置、178:撮像素子、IS:撮像面、AX:光軸、N:法線、θ:傾き角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7