(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンを含んでなる医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/498 20060101AFI20240906BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240906BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240906BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61K31/498
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/12
A61K9/20
A61P35/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022172666
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2020189778の分割
【原出願日】2016-02-09
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2015-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2015-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504162110
【氏名又は名称】アステックス、セラピューティックス、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASTEX THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ、フェルナンド、ドメニコ、ブロッジーニ
【審査官】鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-528580(JP,A)
【文献】国際公開第2015/144803(WO,A1)
【文献】CHEMICAL AND PHARMACEUTICAL BULLETIN,2009年07月28日,VOL:57, NR:10,PAGE(S):1096 - 1099,http://dx.doi.org/10.1248/CPB.57.1096
【文献】International Journal of Pharmaceutics,2010年,Vol.386,p.195-200
【文献】Annals of Oncology,2014年,Vol.25,p.552-563
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/498
A61K 47/26
A61K 47/38
A61K 47/12
A61K 9/20
A61P 35/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン:3mg、
メグルミン:1.5mg、
マンニトール:20%~95%w/w、
微晶質セルロース:20%~95%w/w、
クロスカルメロースナトリウム:2.5~5%w/w、および
ステアリン酸マグネシウム:0.5~1.5%w/w
を有する、総重量が150mgの錠剤、
(ii)N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン:4mg、
メグルミン:2mg、
マンニトール:20%~95%w/w、
微晶質セルロース:20%~95%w/w、
クロスカルメロースナトリウム:2.5~5%w/w、および
ステアリン酸マグネシウム:0.5~1.5%w/w
を有する、総重量が200mgの錠剤、または
(iii)N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン:5mg、
メグルミン:2.5mg、
マンニトール:20%~95%w/w、
微晶質セルロース:20%~95%w/w、
クロスカルメロースナトリウム:2.5~5%w/w、および
ステアリン酸マグネシウム:0.5~1.5%w/w
を有する、総重量が250mgの錠剤
である医薬組成物。
【請求項2】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン:3mg、
メグルミン:1.5mg、
マンニトール:20%~95%w/w、
微晶質セルロース:20%~95%w/w、
クロスカルメロースナトリウム:2.5~5%w/w、および
ステアリン酸マグネシウム:0.5~1.5%w/w
を有する、総重量が150mgの錠剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン:4mg、
メグルミン:2mg、
マンニトール:20%~95%w/w、
微晶質セルロース:20%~95%w/w、
クロスカルメロースナトリウム:2.5~5%w/w、および
ステアリン酸マグネシウム:0.5~1.5%w/w
を有する、総重量が200mgの錠剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン:5mg、
メグルミン:2.5mg、
マンニトール:20%~95%w/w、
微晶質セルロース:20%~95%w/w、
クロスカルメロースナトリウム:2.5~5%w/w、および
ステアリン酸マグネシウム:0.5~1.5%w/w
を有する、総重量が250mgの錠剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
癌治療用の薬剤の製造のための請求項
1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用であって、前記薬剤が3週間毎日投与(3週間投薬)された後、組成物が投与されない1週間が続き(1週間休薬)、この3週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される、方法。
【請求項6】
癌治療用の薬剤の製造のための請求項
1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用であって、前記薬剤が1週間毎日投与(1週間投薬)された後、組成物が投与されない1週間が続き(1週間休薬)、この1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される、方法。
【請求項7】
癌の治療用の薬剤の製造のための、請求項
1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用であって、前記薬剤が毎日投与されるべきである、使用。
【請求項8】
癌の治療用の薬剤の製造のための、請求項
1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用であって、前記薬剤が1日1回毎日投与されるべきである、使用。
【請求項9】
(i)一日用量が6mg塩基当量である、癌の治療用の薬剤の製造のための;
(ii)一日用量が7mg塩基当量である、癌の治療用の薬剤の製造のための;
(iii)一日用量が8mg塩基当量である、癌の治療用の薬剤の製造のための;または
(iv)一日用量が9mg塩基当量である、癌の治療用の薬剤の製造のための、
請求項
5~8のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
(i)膀胱癌の治療用の薬剤の製造のための;
(ii)尿路上皮癌の治療用の薬剤の製造のための;
(iii)転移性尿路上皮癌の治療用の薬剤の製造のための;
(iv)外科的に切除不能な尿路上皮癌の治療用の薬剤の製造のための;
(v)胆管癌の治療用の薬剤の製造のための;または
(vi)非筋層浸潤性膀胱癌の治療用の薬剤の製造のための、
請求項
5~9のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
前記癌がFGFRゲノム変化を伴う癌である、請求項
10に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
前記FGFRゲノム変化が、転座、融合および/または突然変異である、請求項
11に記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
前記変化がFGFR3-TACC3転座である、請求項
12に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
前記変化が突然変異である、請求項
12に記載の医薬組成物の使用。
【請求項15】
前記突然変異がR248Cである、請求項
14に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
前記突然変異がS249Cである、請求項
14に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
(i)進行性および不応性非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌の治療用の薬剤の製造のための;
(ii)多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害(myeloproliferatoive disorders)、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、および口腔扁平上皮癌の治療用の薬剤の製造のための;または
(iii)子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、肝細胞癌、子宮癌、子宮頸癌および結腸直腸癌の治療用の薬剤の製造のための、
請求項
5~9のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
FGFRキナーゼにより媒介される病状または病態の治療において使用するための、請求項
1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、またはその薬学上許容可能な塩もしくはその溶媒和物を含んでなる医薬組成物;前記組成物の製造方法および疾患、例えば癌の予防または治療、特に治療のための薬剤の製造のための前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンは、引用することにより本明細書の一部とされるWO2011/135376に記載されている。
【0003】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン(本明細書では、化合物A)の化学構造は以下である。
【化1】
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの態様によれば、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、ホルムアルデヒドスカベンジャーおよび薬学上許容可能な担体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0005】
本発明の1つの態様によれば、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、特に、カプセル剤または錠剤における、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基の安定性、特に、化学安定性を高めるための、ホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンの使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】固体状(N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン=化合物A)におけるホルムアルデヒドストレス試験の実験設定
【
図2】ホルムアルデヒドストレス試験における、種々の濃度のメグルミンを含んでなる粉末混合物中のN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン(化合物A)の分解:◆は、2%w/wの化合物A、マンニトール、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムの出発粉末混合物を表し;■は、2%w/wの化合物A、1%w/wのメグルミン、マンニトール、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムの出発粉末混合物を表し;▲は、2%w/wの化合物A、9%w/wのメグルミン、マンニトール、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムの出発粉末混合物を表す。化合物Bは、6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンである。
【発明の具体的説明】
【0007】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンは、特に固体医薬組成物に配合される場合には、分解されやすいことが判明した。特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンは、特に固体医薬組成物に配合される場合には、環化生成物6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンに変換されやすい。
【0008】
6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン(本明細書では、化合物B)の化学構造は以下の通りである。
【0009】
【0010】
いずれの理論に縛られるものでもないが、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの安定性、特に、化学安定性はホルムアルデヒドの作用により損なわれ、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンとホルムアルデヒドの反応により6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンが生成すると思われる。
【0011】
ホルムアルデヒドは、例えば、環境から、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンを含んでなる医薬組成物中に存在する他の成分または賦形剤から、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンを含んでなる医薬組成物、特に、固体医薬組成物を含んでなる容器または包装からなどの様々な供給源からN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンと接触する可能性がある。
【0012】
6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンがFGFR阻害活性を示すことが判明したという事実にもかかわらず、生成物の形成が防止される、遅延する、緩慢になるまたは減少する医薬組成物がなお望まれる。
【0013】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの安定性、特に、化学安定性は、特に、固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤に配合された場合、1以上のホルムアルデヒドスカベンジャーを加えることによって高められ得ることが判明した。いずれの理論に縛られるものでもないが、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤に配合される場合、賦形剤と有効成分は互いに緊密に接触し、これがN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの、6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンへの変換程度および/または速度に影響を及ぼし得る。
【0014】
よって、本発明は、有効医薬成分としてN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物を含んでなる、改善された安定性またはより長い保存寿命を有する医薬組成物を提供する。本発明の組成物の保存寿命は少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月である。
【0015】
ホルムアルデヒドスカベンジャーは、ホルムアルデヒドを吸収し得る化合物である。ホルムアルデヒドスカベンジャーには、ホルムアルデヒドスカベンジャーとホルムアルデヒドの間に1以上の可逆的または不可逆的結合を形成させるなどのために、ホルムアルデヒドと反応性のある窒素中心を含んでなる化合物が含まれる。例えば、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、後にホルムアルデヒドと結合し得るシッフ塩基イミンを形成するために、ホルムアルデヒドと反応性のある1以上の窒素原子/中心を含んでなる。例えば、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、1以上の5~8員環式環を形成するために、ホルムアルデヒドと反応性のある1以上の窒素中心を含んでなる。ホルムアルデヒドスカベンジャーは好ましくは、1以上のアミンまたはアミド基を含んでなる。例えば、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、アミノ酸、アミノ糖、αアミン化合物、またはそのコンジュゲートもしくは誘導体、またはそれらの混合物であり得る。ホルムアルデヒドスカベンジャーは、2以上のアミンおよび/またはアミドを含んでなってよい。
【0016】
ホルムアルデヒドスカベンジャーには、例えば、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、システイン、バリン、ロイシン(lecuine)、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、タウリンピロリジン、メグルミン、ヒスチジン、アスパルテーム、プロリン、トリプトファン、シトルリン、ピロリジン、アスパラギン、グルタミン、またはそのコンジュゲートもしくは混合物;あるいは、可能ならば、それらの薬学上許容可能な塩が含まれる。
【0017】
本発明の1つの態様において、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、メグルミンまたはその薬学上許容可能な塩、特に、メグルミン塩基である。
【0018】
本発明の1つの態様は、医薬組成物中に含まれるN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基の安定性、特に、化学安定性を高めるための、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、特に、カプセル剤または錠剤におけるホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンの使用である。その安定性、特に、化学安定性は、ホルムアルデヒドスカベンジャー不含の医薬組成物に比べて高まる。
【0019】
本発明の1つの態様は、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤中のN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を安定化させる方法であって、前記組成物にホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンを加えることを含んでなる方法である。
【0020】
本発明の1つの態様は、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、医薬組成物中に含まれるN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの、6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物への変換を防止する、遅延させる、緩慢にする、または減少させるための、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤におけるホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンの使用である。
【0021】
本発明の1つの態様は、組成物中に含まれるN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの、6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンへの変換を防止する、遅延させる、緩慢にする、または減少させるための、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤におけるホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンの使用である。
【0022】
本発明の1つの態様は、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤中に含まれるN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の、6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物への変換を防止する、遅延させる、緩慢にする、または減少させる方法であって、前記組成物にホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンを加えることを含んでなる方法である。
【0023】
本発明の1つの態様は、医薬組成物、特に、固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤中に含まれるN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの、6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンへの変換を防止する、遅延させる、緩慢にする、または減少させる方法であって、前記組成物にホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンを加えることを含んでなる方法である。
【0024】
本発明の1つの態様は、医薬組成物において6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の形成を防止する、遅延させる、緩慢にする、または減少させるための、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物を含んでなる医薬組成物、特に、固体医薬組成物、特に、カプセル剤または錠剤におけるホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンの使用である。
【0025】
本発明の1つの態様は、医薬組成物中での6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンの形成を防止する、遅延させる、緩慢にする、または減少させるための、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンを含んでなる医薬組成物、特に、固体医薬組成物、特に、カプセル剤または錠剤におけるホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンの使用である。
【0026】
本発明の1つの態様は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物;ホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミン;および薬学上許容可能な担体を含んでなる医薬組成物;特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン;ホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミン;および薬学上許容可能な担体を含んでなる医薬組成物である。
【0027】
本発明の1つの態様は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物;ホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミン;および薬学上許容可能な担体を含んでなる固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤;特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン;ホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミン;および薬学上許容可能な担体を含んでなる固体医薬組成物、例えば、カプセル剤または錠剤である。
【0028】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、0~4%w/w、または0~3%w/w、または0~2%w/w、または0~1.5%w/w、または0~1%w/w、または0~0.5%w/w、または0~0.1%w/w、または0~0.05%w/wの6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、0~4%w/w、または0~3%w/w、または0~2%w/w、または0~1.5%w/w、または0~1%w/w、または0~0.5%w/w、または0~0.1%w/w、または0~0.05%w/wの6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンを含んでなる。
【0029】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、カプセル剤または錠剤などの経口投与に好適なものであり、特に経口投与のための錠剤の形態の医薬組成物が好ましい。本発明の1つの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は直腸投与に好適である。本発明の錠剤は、従来の打錠機を用いて薬学上許容可能な賦形剤(薬学上許容可能な担体)とともに従来の打錠技術によって生産することができる。当技術分野で公知のように、打錠前に錠剤混合物が乾式造粒または湿式造粒されてよい。本発明の組成物を製造するのに最も適当な方法を認識できると考えられる。
【0030】
このような経口投与用医薬組成物の哺乳動物、特に、ヒトによる嚥下を容易にするためには、組成物、特に、錠剤を適当な形状とすることが有利である。
【0031】
本発明の錠剤またはカプセル剤は、例えば、矯味のため、嚥下の容易さと美観を与えるためにさらにフィルムコーティングしてもよい。ポリマー系フィルムコーティング材は当技術分野で公知である。好ましいフィルムコーティングは、溶媒ベースのフィルムコーティングではなく水ベースのフィルムコーティングであり、これは後者がアルデヒドの痕跡をより多く含有し得るためである。好ましいフィルムコーティング材はOpadry(登録商標)II水性フィルムコーティング系、例えば、Opadry(登録商標)II 85F、例えば、Opadry(登録商標)II 85F92209である。さらに好ましいフィルムコーティングは、環境中の水分から保護する水ベースのフィルムコーティング、例えば、Readilycoat(登録商標)(例えば、Readilycoat(登録商標)D)、AquaPolish(登録商標)MS、Opadry(登録商標)amb、Opadry(登録商標)amb IIであり、これらは水性防湿フィルムコーティング系である。好ましいフィルムコーティングは、ポリエチレングリコール不含のPVAベースの即放系である高性能防湿フィルムコーティングOpadry(登録商標)amb IIである。
【0032】
本発明による錠剤において、フィルムコートは、重量に関して、好ましくは、総錠剤重の約4%(w/w)以下を占める。
【0033】
本発明によるカプセル剤では、ヒプロメロース(HPMC)カプセルが、ゼラチンカプセルよりも好ましい。
【0034】
本発明の1つの態様において、特にカプセル剤また錠剤の形態の本明細書に記載の医薬組成物は、治療上有効な量のN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物を含んでなる。
【0035】
本発明の1つの態様において、特に、カプセル剤または錠剤の形態の本明細書に記載の医薬組成物は、0.5mg~20mg塩基当量、または2mg~20mg塩基当量、または0.5mg~12mg塩基当量、または2mg~12mg塩基当量、または2mg~10mg塩基当量、または2mg~6mg塩基当量、または2mg塩基当量、3mg塩基当量、4mg塩基当量、5mg塩基当量、6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量(base equivalen)、10mg塩基当量、11mg塩基当量または12mg塩基当量のN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物を含んでなる。特に、本明細書に記載の医薬組成物は、3mg塩基当量、4mg塩基当量または5mg塩基当量のN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物を含んでなる。
【0036】
本発明の1つの態様において、特にカプセル剤または錠剤の形態の本明細書に記載の医薬組成物は、0.5mg~20mg、または2mg~20mg、または0.5mg~12mg、または2mg~12mg、または2mg~10mg、または2mg~6mg、または2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mgまたは12mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、本明細書に記載の医薬組成物は、3mg、4mgまたは5mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、本明細書に記載の医薬組成物は、3mg、4mgまたは5mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基と約0.5~約5%w/w、約0.5~約3%w/w、約0.5~約2%w/w、約0.5~約1.5%w/w、または約0.5~約1%w/wのホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンとを含んでなる。特に、本明細書に記載の医薬組成物は、3mg、4mgまたは5mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基と約0.5~約1.5%w/wまたは約0.5~約1%w/wのホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンとを含んでなる。
【0037】
本発明の1つの態様において、2種類以上、例えば2種類の本明細書に記載の医薬組成物が、所望の用量、例えば、一日用量を得るために投与できる。
【0038】
本発明の1つの態様は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の粒子を含んでなり、前記粒子が約1500μm、約1000μm、約500μm、約400μm、約250μm、約200μm、約150μm、約125μm、約100μm、約95μm、約90μm、約85μm、約80μm、約75μm、約70μm、約65μm、約60μm、約55μm、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約15μm、約10μm、約5μmのd50を有する、本明細書に記載の医薬組成物である。好ましくは、前記粒子は、約125μm、約100μm、約95μm、約90μm、約85μm、約80μm、約75μm、約70μm、約65μm、約60μm、約55μm、約50μmのd50を有する。本発明の1つの態様は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の粒子を含んでなり、前記粒子が5μm~1500μm、もしくは5μm~1000μm、もしくは5μm~500μm、もしくは5μm~400μm、もしくは5μm~250μm、もしくは5μm~200μm、もしくは5μm~150μm、もしくは5μm~125μm、もしくは5μm~100μm、もしくは5μm~80μm、もしくは5μm~75μm、もしくは5μm~70μm、もしくは5μm~65μm、もしくは5μm~60μm、もしくは5μm~55μm、もしくは5μm~50μm、もしくは5μm~45μm、もしくは5μm~40μm、もしくは5μm~35μm、もしくは5μm~30μm、もしくは5μm~25μm、もしくは5μm~20μm、5μm~15μm、もしくは5μm~10μmの範囲にあるd50を有し、または前記粒子は50μm~125μm、または50μm~100μmまたは50μm~75μmの範囲にあるd50を有する本明細書に記載の医薬組成物である。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語d50は、当業者に知られているようなその従来の意味を有し、例えば沈降フィールドフロー分画、光子相関分光法、レーザー回折またはディスク型遠心分離などの技術分野で公知の粒径測定技術によって測定することができる。本明細書で述べられるd50は、粒子の体積荷重分布に関連し得る。その場合、「50μmのd50」は、粒子の少なくとも50%が50μm未満の粒径(等価球の体積または直径による)を有することを意味する。同様に、d50粒径は、粒子の数加重分布にも関連し得る。その場合、「50μmのd50」は、数加重粒子の少なくとも50%が50μm未満の粒径(数による)を有することを意味する。特に、本明細書で述べられるd50は、特にMalvern Mastersizer 2000で測定された、粒子の体積荷重分布を表す。
【0040】
粒径は、打錠速度、排出力、流動性、および従って特定の組成物の大規模での製造性、ならびに最終製品の品質を決定する重要な因子であり得る。
【0041】
本発明による医薬組成物中のホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンの量は、約0.1~約10%w/w、約0.1~約5%w/w、約0.1~約3%w/w、約0.1~約2%w/w、約0.1~約1.5%w/w、約0.1~約1%w/w、約0.5~約5%w/w、約0.5~約3%w/w、約0.5~約2%w/w、約0.5~約1.5%w/w、約0.5~約1%w/wの範囲であり得る。
【0042】
本発明の医薬組成物、特に、カプセル剤および/または錠剤は、崩壊剤、希釈剤、増量剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、流動促進剤、増粘剤、甘味剤、香味剤、着色剤、保存剤などの1種類以上の薬学上許容可能な賦形剤(薬学上許容可能な担体)を含み得る。いくつかの賦形剤は複数の目的を担い得る。
【0043】
好適な崩壊剤は、大きな膨張係数を有するものである。その例は、親水性、不溶性または水に難溶性の架橋ポリマー、例えば、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)およびクロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)である。本発明による錠剤中の崩壊剤の量は、好都合には、約2.5~約15%w/wの範囲、好ましくは約2.5~7%w/wの範囲、特に約2.5~5%w/wの範囲であり得る。崩壊剤はそれらの性質により、原体で使用した際に持続放出製剤を生じるので、希釈剤または増量剤と呼ばれる不活性物質で希釈するのが有利である。
【0044】
多様な材料が希釈剤または増量剤として使用可能である。例として、ラクトース一水和物、無水ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(例えば、微晶質セルロース(アビセル(商標))、ケイ化微晶質セルロース)、二水和または無水第二リン酸カルシウム、および当技術分野で公知のその他のもの、ならびにそれらの混合物(例えば、マイクロセラック(商標)として市販されている、ラクトース一水和物(75%)と微晶質セルロース(25%)の噴霧乾燥混合物)がある。微晶質セルロースおよびマンニトールが好ましい。本発明の医薬組成物中の希釈剤または増量剤の総量は好都合には、約20%~約95%w/wの範囲、好ましくは約55%~約95%w/w、または約70%~約95%w/w、または約80%~約95%w/w、または約85%~約95%の範囲であり得る。
【0045】
滑沢剤および流動促進剤は特定の投与形の製造において使用可能であり、錠剤を生産する際に通常使用される。滑沢剤および流動促進剤の例としては、水添植物油、例えば、水添綿実油、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、コロイドシリカ、コロイド無水シリカ タルク、それらの混合物、および当技術分野で公知のその他のものがある。着目される滑沢剤はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムとコロイドシリカの混合物であり、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。好ましい流動促進剤は、コロイド無水シリカである。
【0046】
存在する場合、流動促進剤は一般に、総組成物重の0.2~7.0%w/w、特に、0.5~1.5%w/w、より詳しくは、1~1.5%w/wを含んでなる。
【0047】
存在する場合、滑沢剤は一般に、総組成物重の0.2~7.0%w/w、特に、0.2~2%w/w、または0.5~2%w/w、または0.5~1.75%w/w、または0.5~1.5%w/wを含んでなる。
【0048】
結合剤は、場合により本発明の医薬組成物において使用可能である。好適な結合剤は、水溶性ポリマー、例えば、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロース、例えば、カルボキシメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム;カルボキシアルキルアルキルセルロース、例えば、カルボキシメチルエチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;デンプン;ペクチン、例えば、ナトリウムカルボキシメチルアミロペクチン;キチン誘導体、例えば、キトサン;二糖、オリゴ糖および多糖、例えば、トレハロース、シクロデキストリンおよびそれらの誘導体、アルギン酸、そのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカントガム、寒天、アラビアガム、グアーガムおよびキサンタンガム;ポリアクリル酸およびその塩;ポリメタクリル酸、その塩およびエステル、メタクリル酸コポリマー;ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびそのコポリマー、例えば、PVP-VA。好ましくは、水溶性ポリマーは、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース15cpsである。
【0049】
着色剤および色素などの他の賦形剤も本発明の組成物に加えてよい。着色剤および色素には、二酸化チタンおよび食品に好適な染料が含まれる。着色剤または色素は、本発明の処方物において任意選択の成分であるが、使用する場合には、着色剤は総組成物重に対して3.5%w/wまでの量で存在してよい。
【0050】
香味剤は本組成物において任意選択であり、合成香味油および香味芳香族または天然油、植物の葉、花、果実などからの抽出物およびそれらの組合せから選択され得る。これらは桂皮油、冬緑油、ペパーミント油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油が含まれ得る。香味剤として、バニラ、柑橘油(レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む)、ならびに果実エッセンス(リンゴ、バナナ、ナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アンズなどを含む)も有用である。香味剤の量は、所望の感覚刺激効果を含むいくつかの因子によって異なり得る。一般に、香味剤は約0%~約3%(w/w)の量で存在する。
【0051】
ホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミン、およびN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を薬学上許容可能な担体と混合し、前記混合物を打錠するか、または前記混合物をカプセルに充填することを特徴とする、本明細書に記載の医薬組成物を、特に、錠剤またはカプセル剤の形態で調製するプロセスを提供することが本発明のもう1つの目的である。
【0052】
本発明の医薬組成物を調製するために、有効医薬成分としてのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基、ホルムアルデヒドスカベンジャー、特に、メグルミンが、薬学上許容可能な担体と緊密に合わされ、この担体は本明細書に記載の多様な形態を採り得る。
【0053】
投与の容易さおよび用量の均一性のために上述の医薬組成物を単位投与形で処方することが特に有利である。本明細書で使用される単位投与形は、各単位が所望の治療効果を生じるように計算された所定量の有効成分を必要な医薬担体と組み合わせて含有する単位用量として好適な物理的に離散した単位を意味する。このような単位投与形の例は、錠剤(割線入りまたはコーティング錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット、ウエハー、注射溶液または懸濁液、ティースプーン1杯、テーブルスプーン1杯など、およびそれらの分離された複数である。好ましい形態は錠剤およびカプセル剤である。
【0054】
本発明の1つの態様において、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基は、本発明の医薬組成物を介して抗腫瘍活性を発揮するのに十分な量で投与される、または投与されるべきである。
【0055】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。
【0056】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの薬学上許容可能な塩、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩酸塩を含んでなる。
【0057】
本発明はまた、容器、本明細書に記載の医薬組成物、および前記包装印刷物の添付を含んでなる、商業的販売に好適な医薬包装物に関する。
【0058】
本発明の医薬組成物を含有する容器、例えば、瓶は、場合により、乾燥剤を含有する。本発明の1つの態様において、本発明の医薬組成物を含有する容器、例えば、瓶は、乾燥剤を含有する。本発明の一態様において、容器はHDPE瓶である。
【0059】
本発明の医薬組成物を含有する容器は、好ましくは、ホルムアルデヒド不含材料、例えば、ホルムアルデヒド不含アルミホイル、例えば、ブリスターの場合には、例えば、アルデヒド不含アルミホイルブリスターを伴うPVCまたはアルデヒド不含アルミホイルブリスターを伴うAclar(登録商標)を含んでなるまたはからなる。
【0060】
本発明の1つの態様において、容器は、チャイルドレジスタンス容器、例えば、チャイルドレジスタンスキャップまたはチャイルドレジスタンスワレットを伴うブリスターである。
【0061】
用語「約」は、数値に関して本明細書で使用する場合、その数値に関するその通常の意味を意味する。必要であれば、用語「約」は、数値±10%、または±5%、または±2%、または±1%で置き換えられる。
【0062】
本明細書に引用される総ての文献は、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。
【0063】
薬学上許容可能な塩または溶媒和物
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンのまたは6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンの塩形態は一般に薬学上許容可能な塩であり、薬学上許容可能な塩の例は、Berge et al. (1977) "Pharmaceutically Acceptable Salts," J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19に記載されている。
【0064】
本発明の塩は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Heinrich Stahl (Editor), Camille G. Wermuth (編者), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388頁, 2002年8月に記載されている方法などの従来の化学法により、塩基性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、遊離塩基形態の化合物を水もしくは有機溶媒、または両者の混合物中、適当な酸と反応させることにより製造することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される。これらの塩は、塩が形成される酸のpKaによって一塩または二塩として存在し得る。
【0065】
酸付加塩は、無機および有機両方の多様な酸を伴って形成され得る。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、酪酸、(+)樟脳酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン-2-スルホン酸)、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン性、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸および吉草酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂からなる群から選択される酸から形成される塩が含まれる。
【0066】
塩の1つの特定の群は、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、マロン酸、グルクロン酸およびラクトビオン酸から形成される塩からなる。酸付加塩の別の群は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL-乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL-リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸および酒石酸から形成される塩を含む。
【0067】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンまたはその塩、および6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンまたはその塩は、例えば、水(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒とともに溶媒和物を形成し得る。本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」は、1以上の溶媒分子と本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合には、様々な程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)が含まれる。特定の場合では、溶媒和物は、例えば、1以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合には単離することができる。用語「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含するものとする。好適な溶媒和物の限定されない例には、本発明の化合物を水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミンなどの組合せを含む。本発明の化合物は、それらが溶液中にある間にそれらの生物学的効果を発揮し得る。
【0068】
溶媒和物は製薬化学において周知である。溶媒和物は物質の製造方法(例えば、それらの精製に関する)、物質の保存(例えば、その安定性)および物質の取り扱いの容易さに重要であり得、多くの場合、化学合成の単離または精製工程の一部として形成される。当業者は、標準的かつ長く使用されている技術の手段によって、水和物または他の溶媒和物が所与の化合物を製造するために使用される単離条件によって形成されか精製条件によって形成されたかを決定することができる。このような技術の例には、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線結晶学(例えば、単結晶X線結晶学またはX線粉末回折)および固体状NMR(SS-NMR、Magic Angle Spinning NMRまたはMAS-NMRとしても知られる)が含まれる。このような技術は、NMR、IR、HPLCおよびMSとしての、熟練の化学者の標準的分析ツールキットの十分一部である。あるいは、当業者は、結晶化条件を用いて特定の溶媒和物に必要な溶媒の量を含む溶媒和物を計画的に形成することができる。その後、上記の標準的方法を用いて、溶媒和物が形成されたかどうかを確認することができる。また、本化合物のいずれの複合体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との複合体もしくは包接体、または金属との複合体)も包含される。
【0069】
さらに、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩もしくはその溶媒和物、または6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン、その薬学上許容可能な塩もしくはその溶媒和物は、1以上の多形(結晶性)または非晶質形態を持ち得、従って、本発明の範囲内含まれるものとする。
【0070】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩もしくはその溶媒和物、または6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン、その薬学上許容可能な塩もしくはその溶媒和物には、1以上の同位体置換を有する化合物が含まれ、特定の元素に対する言及には、その範囲内にその元素の総ての同位体を含む。例えば、水素という場合には、その範囲内に1H、2H(D)、および3H(T)を含む。同様に、炭素および酸素という場合には、それらの範囲内にそれぞれ12C、13Cおよび14C、ならびに16Oおよび18Oを含む。同位体は放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の1つの実施態様では、化合物は放射性同位体を含有する。このような化合物は、治療的使用に好ましい。しかしながら、別の実施態様では、本化合物は1以上の放射性同位体を含有し得る。このような放射性同位体を含有する化合物は、診断関連で有用であり得る。
【0071】
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物は、特定のチロシンキナーゼの活性を阻害または調節し、従って、本発明の医薬組成物は、ロシンキナーゼ、特に、FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)により媒介される病状または病態の治療または予防、特に、治療に有用である。
【0072】
FGFR
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)受容体の線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、有糸分裂誘発、創傷治癒、細胞分化および血管新生、ならびに発生を含む、他系列の生理機能を調節する。正常および悪性両方の細胞成長ならびに増殖は、自己分泌ならびにパラ分泌因子として働く細胞外シグナル伝達分子であるFGFの局部濃度の変化によって影響を受ける。自己分泌FGFシグナル伝達は、ステロイドホルモン依存性の癌のホルモン非依存状態への進行に特に重要であり得る。FGFおよびそれらの受容体は、いくつかの組織および細胞系統において高いレベルで発現され、過剰発現は悪性表現型に寄与すると考えられている。さらに、いくつかの癌遺伝子は、増殖因子受容体をコードする遺伝子のホモログであり、ヒト膵臓癌においてFGF依存性シグナル伝達の異常な活性化の可能性がある(Knights et al., Pharmacology and Therapeutics 2010 125:1 (105-117); Korc M. et al Current Cancer Drug Targets 2009 9:5 (639-651))。
【0073】
2つのプロトタイプメンバーは、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGFまたはFGF1)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF2)であり、これまでに少なくとも20の異なるFGFファミリーメンバーが同定されている。FGFに対する細胞応答は、4つのタイプの高親和性膜貫通タンパク質チロシンキナーゼ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1~4番(FGFR1~FGFR4)を介して伝達される。
【0074】
このキナーゼは増殖中の内皮細胞に加えて多くの腫瘍種で活性化されることから、FGFR1経路の破綻は、腫瘍細胞増殖に影響を及ぼし得る。腫瘍関連血管系におけるFGFR1の過剰発現および活性化は、腫瘍血管新生におけるこれらの分子の役割を示唆した。
【0075】
最近の研究は、古典型小葉癌(CLC)におけるFGFR1発現と腫瘍形成性の間の関連を示している。CLCは、全乳癌の10~15%を占め、一般に、エストロゲン受容体の発現を保持しつつp53およびHer2の発現を欠く。CLC症例の約50%で8p12-p11.2の遺伝子増幅が示され、これは、FGFR1の発現の増強と関連があることが示された。FGFR1に向けられたsiRNA、または受容体の小分子阻害剤を用いた予備的研究は、この増幅を保有する細胞系統がこのシグナル伝達経路の阻害に特に感受性があることを示した。横紋筋肉腫(RMS)は、おそらく、骨格筋形成中の異常な増殖および分化を原因とする最も多い小児軟組織肉腫である。FGFR1は原発横紋筋肉腫で過剰発現され、5’CpGアイランドの低メチル化ならびにAKT1、NOG、およびBMP4遺伝子の異常発現に関連する。FGFR1はまた、扁平上皮肺癌、結腸直腸癌、膠芽腫、星状細胞腫、前立腺癌、小細胞肺癌、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、子宮癌にも関連付けられている。
【0076】
線維芽細胞増殖因子受容体2は、酸性および/または塩基性線維芽細胞増殖因子、ならびにケラチノサイト増殖因子リガンドに対して高い親和性を有する。線維芽細胞増殖因子受容体2はまた、骨芽細胞成長および分化の際のFGFの強い骨形成効果を伝達する。複雑な機能変化をもたらす線維芽細胞増殖因子受容体2の突然変異は、脳回転状頭皮の異常な骨化(頭蓋骨癒合症)を誘発することが示されており、膜内骨形成におけるFGFRシグナル伝達の主要な役割を暗示する。例えば、早期頭蓋縫合骨化を特徴とするアペール(AP)症候群では、ほとんどの症例が線維芽細胞増殖因子受容体2において機能獲得を生じる点突然変異に関連している。加えて、症候性頭蓋骨癒合症患者における突然変異スクリーニングは、いくつかの反復FGFR2突然変異が重症型のプファイファー症候群を説明することを示している。FGFR2の特定の突然変異として、FGFR2におけるW290C、D321A、Y340C、C342R、C342S、C342W、N549H、K641Rが挙げられる。
【0077】
アペール、クルーゾン、ジャクソン-ワイス、ベーレ-スチーブンソン脳回転状頭皮、およびプファイファー症候群を含むヒト骨格発達におけるいくつかの重篤な異常は、線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異の発生に関連している。プファイファー症候群(PS)の、総てではないとしてもほとんどの原因は、線維芽細胞増殖因子受容体2遺伝子のde novo突然変異によっても起こり、最近、線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異がリガンド特異性を支配する基本則の1つを打破することが示された。すなわち、線維芽細胞増殖因子受容体の2つの変異型スプライス形態FGFR2cおよびFGFR2bは、非定型FGFリガンドとの結合能を即得し、前記リガンドにより活性化された。このリガンド特異性の欠如は異常なシグナル伝達をもたらし、これらの症候群の重症表現型が線維芽細胞増殖因子受容体2の異所性リガンド依存的活性化から生じることを示唆する。
【0078】
染色体転座または点突然変異などのFGFR3受容体チロシンキナーゼの遺伝子異常は、構成的に活性なFGFR3受容体の異所発現または脱調節をもたらす。このような異常は、多発性骨髄腫のサブセット、膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌および子宮頸癌に関連する。よって、FGFR3阻害剤は、多発性骨髄腫、膀胱および子宮頸癌の治療に有用である。FGFR3はまた、膀胱癌、特に、浸潤性膀胱癌で過剰発現される。FGFR3は、多くの場合、尿路上皮癌(UC)において突然変異により活性化されている。発現の増強は突然変異に関連するが(突然変異腫瘍の85%が高レベル発現を示した)、多くの筋層浸潤性腫瘍を含む、検出可能な突然変異を持たない腫瘍の42%も過剰発現を示した。FGFR3はまた、子宮内膜癌および甲状腺癌にも関連している。
【0079】
FGFR4の過剰発現は、前立腺癌および甲状腺癌の両方において不良な予後に関連付けられている。加えて、生殖細胞系多形(Gly388Arg)は、肺癌、乳癌、結腸癌、肝臓癌(HCC)および前立腺癌の頻度上昇に関連している。さらに、FGFR4の末端切断型(キナーゼドメインを含む)もまた、下垂体腫瘍の40%に存在するが正常組織には存在しないことが見出されている。FGFR4過剰発現は、肝臓腫瘍、結腸腫瘍および肺腫瘍で見られている。FGFR4は結腸直腸癌および肝臓癌に関連付けられており、そこではそのリガンドFGF19の発現がよく上昇している。FGFR4はまた星状細胞腫、横紋筋肉腫にも関連している。
【0080】
線維症は、異常なまたは過剰な線維組織の沈着を原因とする大きな医学的問題である。これは、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチ、ならびに自然な創傷治癒の進行を含む多くの疾患に見られる。病的線維症の機序は十分に理解されていないが、種々のサイトカインの作用から生じると思われる(線維芽細胞の増殖および細胞外基質タンパク質(コラーゲンおよびフィブロネクチンを含む)の沈着に関与する腫瘍壊死因子(TNF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)およびトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)を含む)。これは組織構造および機能の変化、続いて病状をもたらす。
【0081】
いくつかの前臨床試験が肺線維症の前臨床モデルにおける線維芽細胞増殖因子のアップレギュレーションを実証している。TGFβ1およびPDGFは、線維形成プロセスに関与することが報告されており、さらに公開された研究は、FGFの上昇および結果としての線維芽細胞増殖の増加はTGFβ1の上昇に応答したものであり得ることを示唆している。特発性肺線維症(IPF)などの病態において線維機構を標的とすることの潜在的治療利益が、報告されている抗線維化薬ピルフェニドンの臨床効果によって示唆される。特発性肺線維症(潜原性線維性肺胞炎とも呼ばれる)は、肺の瘢痕化を含む進行性の病態である。徐々に、肺の気胞が線維組織に取って代わられ、これが厚くなり、組織の血流中への酸素の運搬力の不可逆的喪失が起こる。この病態の症状には、息切れ、慢性の乾性咳、疲労、胸痛および急速な体重減少を生じる食欲の減退が含まれる。この病態は5年後におよそ50%の死亡率という極めて重篤なものである。
【0082】
従って、本発明の医薬組成物は、腫瘍において、特に血管新生を阻害することにより、成長を防ぐまたはアポトーシスを誘導する手段を提供する上で有用である。よって、本発明の医薬組成物は癌などの増殖性障害を治療または防止する上で有であることが証明されることが予想される。特に、受容体チロシンキナーゼの活性化突然変異または受容体チロシンキナーゼのアップレギュレーションを有する腫瘍は、本阻害剤に特に感受性があり得る。本明細書で述べられる特定のRTKのアイソフォームのいずれかの活性化突然変異を有する患者、例えば、FGFR3-TACC3転座を有する腫瘍、例えば、膀胱または脳腫瘍を有する患者もまた、特に有益な本発明の医薬組成物による治療を見出せる。
【0083】
生物活性および治療的使用
本発明の医薬組成物は、キナーゼにより媒介される疾患または病態を防止または治療する上で有用である。癌などの病状または病態の防止または予防または治療という場合には、それらの範囲内に癌の緩和またはその罹患率の低減を含む。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「調節」は、キナーゼの活性に適用される場合、タンパク質キナーゼの生物活性のレベルの変化を定義することが意図される。よって、調節は、関連のタンパク質キナーゼ活性の増強または低減を果たす生理学的変化を包含する。後者の場合、調節は「阻害」と言える。調節は直接的に生じても間接的に生じてもよく、いずれの機構によって、また、例えば、遺伝子発現(例えば、転写、翻訳および/または翻訳後修飾を含む)のレベル、キナーゼ活性のレベルに直接的または間接的に作用する調節要素をコードする遺伝子の発現のレベルを含むいずれの生理学的レベルで媒介されてもよい。よって、調節は遺伝子増幅(すなわち、複数の遺伝子コピー)および/または転写効果による発現の増強もしくは低減、ならびに1または複数のタンパク質キナーゼの活性の亢進(または低下)および(不)活性化(1または複数の突然変異による(不)活性化を含む)を含む、キナーゼの発現の上昇/抑制または過剰発現もしくは低発現を含意し得る。用語「調節された」、「調節すること」および「調節する」も相応に解釈されるべきである。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「媒介される」は、例えば、本明細書に記載のキナーゼとともに使用される(および例えば種々の生理学的プロセス、疾患、状態、病態、療法、治療または介入に適用される)場合、この用語が適用される種々の生理学的プロセス、疾患、状態、病態、療法、治療または介入が、キナーゼが生物学的役割を果たすものであるように限定的に機能することが意図される。この用語が疾患、状態、病態に適用される場合、キナーゼが果たす生物学的役割は直接的であっても間接的であってもよく、疾患、状態、病態の症状の発現(またはその病因論または進行)に必要かつ/または十分であり得る。よって、キナーゼ活性(特に、異常なレベルのキナーゼ活性、例えば、キナーゼの過剰発現)は、疾患、状態、病態の近接した原因である必要は必ずしもなく、キナーゼにより媒介される疾患、状態、病態は、問題のキナーゼが部分的に関与するに過ぎない多因子性の病因および複雑な進行を有するものを含むことが企図される。この用語が治療、予防または介入に適用される場合、キナーゼが果たす役割は直接的であっても間接的であってもよく、治療、予防の作用または介入の転帰に必要かつ/または十分であり得る。よって、キナーゼにより媒介される病状または病態には、任意の特定の癌の薬物または処置対する耐性の発生が含まれる。
【0086】
よって、例えば、本発明の医薬組成物は、癌の緩和または罹患率の低減に有用であり得る。
【0087】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物は、特定のタンパク質チロシンキナーゼ、特に、FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)の活性を阻害または調節する。それは選択的、pan-FGFR阻害剤(FGFR1、2、3および4の阻害剤)である。
【0088】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物によるFGFRを調節または阻害する活性の結果として、本発明の医薬組成物は、特に血管新生を阻害することによる新生物の成長の防止またはそのアポトーシスを誘導する手段を提供する上で有用である。よって、本発明の医薬組成物は癌などの増殖性障害を治療または防止する上で有用であることが証明されることが予想される。加えて、本発明の医薬組成物は、増殖、アポトーシスまたは分化の障害が存在する疾患の治療において有用であり得る。
【0089】
FGFR1、FGFR2またはFGFR3またはFGFR4などのFGFRのアイソフォームのいずれかの活性化突然変異またはアップレギュレーションまたは過剰発現を有する特定の腫瘍は、本発明の医薬組成物に特に感受性があり得、よって、このような特定の腫瘍を有する、本明細書で述べられる患者もまた、特に有益な本発明の医薬組成物による治療を見出せる。治療は本明細書で述べられるような受容体チロシンキナーゼの1つの突然変異形態に関する、またはそれに向けられることが好ましい可能性がる。このような突然変異を有する腫瘍の診断は、当業者に公知であり、本明細書に記載の、RTPCRおよびFISHなどの技術を用いて実施できる。
【0090】
治療(または阻害)可能な癌の例としては、限定されるものではないが、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、尿路上皮癌、子宮癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌)、食道癌、頭頸部癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、膵外分泌癌)、胃癌、消化管癌(胃癌としても知られる)(例えば、消化管間質腫瘍)、子宮頸癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、前立腺癌、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌または隆起性皮膚線維肉腫);下垂体癌、リンパ系譜の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫;骨髄系譜の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性および慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄増殖性障害、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、または前骨髄球性白血病;多発性骨髄腫;甲状腺濾胞性癌;肝細胞癌、間葉起源の腫瘍(例えば、ユーイング肉腫)、例えば、線維肉腫または横紋筋肉腫;中枢神経系または末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫(例えば、多形性膠芽腫)または神経鞘腫;黒色腫;精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞腫;甲状腺濾胞性癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。特に、扁平上皮肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膠芽腫、星状細胞腫、前立腺癌、小細胞肺癌、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、子宮癌、胃癌、肝細胞癌、子宮頸癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮内癌、尿路上皮癌、結腸癌、横紋筋肉腫、下垂体癌。
【0091】
非小細胞肺癌(NSCLC)は、進行性および不応性NSCLCを包含する。
【0092】
特定の癌は、特定の薬物による治療に耐性がある。これは腫瘍のタイプによるものであり得るか、または化合物により治療によって生じ得る。これに関して、多発性骨髄腫という場合には、ボルテゾミブ感受性多発性骨髄腫または不応性多発性骨髄腫を含む。同様に、慢性骨髄性白血病という場合には、イミタニブ(imitanib)感受性慢性骨髄性白血病および不応性慢性骨髄性白血病を含む。慢性骨髄性白血病はまた慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病またはCMLとしても知られる。同様に、急性骨髄性白血病は、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒球性白血病、急性非リンパ性白血病またはAMLとも呼ばれる。
【0093】
本発明の医薬組成物はまた、前悪性であれ安定型であれ、骨髄増殖性疾患などの異常な細胞増殖の造血系疾患の治療においても使用可能である。骨髄増殖性疾患(「MPD」)は、過剰な細胞が生産される骨髄疾患の一群である。それらは骨髄異形成症候群に関連し、それに進展し得る。骨髄増殖性疾患には、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発骨髄線維症が含まれる。さらなる造血系障害として好酸球増加症候群がある。T細胞リンパ増殖性疾患は、ナチュラルキラー細胞に由来するものを含む。
【0094】
加えて、本発明の医薬組成物は、消化管癌(胃癌としても知られる)、例えば、消化管間質腫瘍を治療するために使用できる。消化管癌は、食道、胃、肝臓、胆管系、膵臓、腸、および肛門を含む消化管の悪性病態を意味する。
【0095】
よって、異常な細胞成長を含んでなる疾患または病態を治療するための本発明の医薬組成物、使用または方法において、異常な細胞成長を含んでなる疾患または病態は、1つの実施態様において癌である。
【0096】
癌の特定のサブセットには、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮頸癌、前立腺癌および甲状腺 癌、肺癌、乳癌、および結腸癌が含まれる。
【0097】
癌のさらなるサブセットには、多発性骨髄腫、膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌および子宮頸癌が含まれる。
【0098】
癌のさらなるサブセットには、FGF19増幅または過剰発現を保有する肝細胞癌が含まれる。本発明の1つの態様は、FGF19増幅または過剰発現を保有する患者において肝細胞癌を治療する方法であって、前記患者に本発明による医薬組成物を投与することを含んでなる方法である。
【0099】
癌のサブセットには、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う胆管癌が含まれる。
【0100】
癌のセブセットには、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌およびFGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う胆管癌が含まれる。
【0101】
癌のセブセットには、転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌が含まれる。
【0102】
癌のセブセットには、尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う尿路上皮癌が含まれる。
【0103】
癌のセブセットには、非筋層浸潤性膀胱癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う非筋層浸潤性膀胱癌が含まれる。
【0104】
癌のセブセットには、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌が含まれる。
【0105】
癌のセブセットには、肉腫、例えば、横紋筋肉腫、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う肉腫、例えば、横紋筋肉腫が含まれる。
【0106】
本発明の医薬組成物は、乳癌、特に、古典型小葉癌(CLC)の治療または防止において特に有用であり得る。
【0107】
本発明の医薬組成物中の化合物はFGFR4活性を有するので、本発明の医薬組成物は、前立腺または下垂体癌の治療にも有用であり、または本発明の医薬組成物は、乳癌、肺癌、前立腺癌、肝臓癌(HCC;肝細胞癌)または肺癌の治療に有用である。
【0108】
特に、本発明の医薬組成物は、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害(myeloproliferatoive disorders)、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、および口腔扁平上皮癌の治療に有用である。
【0109】
さらなる癌のサブセットは、多発性骨髄腫、子宮内膜癌、膀胱癌、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌および甲状腺癌である。
【0110】
特に、本発明の医薬組成物は、多発性骨髄腫(特に、t(4;14)転座を有するかまたはFGFR3を過剰発現する多発性骨髄腫)、前立腺癌(ホルモン不応性前立腺癌(prostrate carcinomas))、子宮内膜癌(特に、FGFR2に活性化突然変異を有する子宮内膜腫瘍)および乳癌(特に、小葉乳癌)の治療において有用である。
【0111】
特に、本発明の医薬組成物は、CLC(古典型小葉癌)などの小葉癌の治療において有用である。
【0112】
本発明の医薬組成物中の化合物はFGFR3に対して活性を有するので、本発明の医薬組成物は、多発性骨髄腫および膀胱癌の治療において有用である。
【0113】
特に、本発明の医薬組成物は、FGFR3-TACC3転座を有する腫瘍、特に、FGFR3-TACC3転座を有する膀胱または脳または尿路上皮腫瘍に対して活性を有する。
【0114】
特に、本発明の医薬組成物は、(4;14)転座陽性多発性骨髄腫の治療に有用である。
【0115】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、肉腫の治療に有用であり得る。1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、肺癌、例えば、扁平上皮癌の治療に有用であり得る。
【0116】
本発明の医薬組成物中の化合物はFGFR2に対して活性を有するので、本発明の医薬組成物は、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、肝細胞癌、子宮癌、子宮頸癌および結腸直腸癌の治療において有用である。FGFR2はまた上皮性卵巣癌でも過剰発現されるので、本発明の組成物は、上皮性卵巣癌などの卵巣癌を治療する上でも特に有用であり得る。
【0117】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、肺癌、特に、NSCLC、扁平上皮癌、肝臓癌、腎臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、前立腺癌の治療に有用であり得る。
【0118】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う転移性または外科的に切除不能な尿路上皮の治療に有用であり得る。
【0119】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う尿路上皮癌の治療に有用であり得る。
【0120】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、非筋層浸潤性膀胱癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う非筋層浸潤性膀胱癌の治療に有用であり得る。
【0121】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌の治療に有用であり得る。
【0122】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、肉腫、例えば、横紋筋肉腫、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う肉腫、例えば、横紋筋肉腫の治療に有用であり得る。
【0123】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌の治療に有用であり得る。
【0124】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴う胆管癌の治療に有用であり得る。
【0125】
癌は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4から選択されるいずれか1以上のFGFR、例えば、FGFR1、FGFR2またはFGFR3から選択される1以上のFGFRの阻害に感受性のある癌であり得る。
【0126】
特定の癌がFGFRシグナル伝達の阻害に感受性があるものかどうかは、以下に示される細胞増殖アッセイの手段によって、または「診断の方法」の見出しの節で示される方法によって決定できる。
【0127】
本発明の医薬組成物は、高レベルのFGFRの存在に関連するまたは高レベルのFGFRの存在を特徴とするタイプの癌の治療または防止において特に有用であり得る。
【0128】
本発明の医薬組成物は、成人集団の治療に有用であり得る。本発明の医薬組成物は、小児集団の治療に有用であり得る。本発明の医薬組成物は、高齢者集団の治療に有用であり得る。
【0129】
本発明の1つの態様において、本医薬組成物は、連続して毎日を基本に、好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は、好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。1つの態様において、連続して毎日を基本に投与される一日用量は、6mgまたは8mg塩基である。
【0130】
よって、本発明の1つの態様は、対象、特に、ヒトにおいて癌を予防するための方法、または患者、特に、ヒトにおいて癌を治療するための方法であって、前記対象または患者に本明細書に記載の医薬組成物を毎日、好ましくは、1日1回毎日投与することを含んでなる方法である。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。1つの態様において、連続して毎日を基本に投与される一日用量は、6mgまたは8mg塩基である。
【0131】
本発明の1つの態様は、癌の予防または治療用、特に、癌の治療用の薬剤の製造のための本明細書に記載の医薬組成物の使用であり、ここで、前記薬剤は毎日投与される、または投与されるべきである。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは1にち1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。1つの態様において、連続して毎日を基本に投与される一日用量は6mgまたは8mg塩基である。
【0132】
本発明の1つの態様は、癌の予防または治療、特に、癌の治療において使用するための本明細書に記載の医薬組成物であり、前記組成物は毎日投与される、または投与されるべきである。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。1つの態様において、連続して毎日を基本に投与される一日用量は6mgまたは8mg塩基である。
【0133】
本発明の1つの態様において、本医薬組成物は、間欠的投与計画で投与され、好ましくは、複数の連続日に本発明の医薬組成物を毎日投与した後、このような組成物が投与されない複数の日(無薬物期間)が続く。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。
【0134】
本発明の間欠的投与計画は、3週間、毎日の本発明の医薬組成物の投与(3週間投薬; 連続21日の薬物投与)に、このような組成物が投与されない1週間(1週間休薬;連続7日の無薬物期間)が続く。その後、このサイクルが繰り返される。一日用量は好ましくは1日1回投与される。
【0135】
よって、本発明の1つの態様は、対象、特に、ヒトにおいて癌を予防するための方法、または患者、特に、ヒトにおいて癌を治療するための方法であって、前記対象または患者に本明細書に記載の医薬組成物を間欠的投与計画で投与することを含んでなる方法である。
【0136】
本発明の1つの態様は、対象、特に、ヒトにおいて癌を予防するための方法、または患者、特に、ヒトにおいて癌を治療するための方法であって、前記対象または患者に本発明の組成物を3週間毎日投与(3週間投薬)した後に、1週間休薬が続き、この3週間投薬、1週間休薬サイクルを繰り返すことを含んでなる方法である。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6mg塩基当量、より詳しくは、3週間、1日1回、6mg塩基当量であり、その後、1週間休薬(N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の投与無し)が続く。
【0137】
本発明の間欠的投与計画は、1週間本発明の医薬組成物の投与(1週間投薬;連続7日の薬物投与)とその後のこのような組成物が投与されない1週間(1週間休薬;連続7日の無薬物期間)である。その後、このサイクルが繰り返される。
【0138】
本発明の1つの態様は、対象において癌を予防するための方法、または癌患者において癌を治療するための方法であって、前記対象または患者に本発明の組成物を1週間毎日投与(1週間投薬)した後に、1週間休薬が続き、この1週間投薬、1週間休薬のサイクルを繰り返すことを含んでなる方法である。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、10mgまたは12mg塩基当量、より詳しくは、1週間、1日1回、10mg塩基当量であり、その後、1週間休薬(N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の投与無し)が続く。
【0139】
本発明の1つの態様は、癌の予防または治療用、特に、癌の治療用の薬剤の製造のための本明細書に記載の医薬組成物の使用であり、前記薬剤は、3週間毎日投与される、または投与されるべきであり(3週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、3週間投薬、1週間休薬の前記サイクルが繰り返される。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくはは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6mg塩基当量、より詳しくは、3週間、1日1回、6mg塩基当量であり、その後、1週間休薬(N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の投与無し)が続く。
【0140】
本発明の1つの態様は、癌の予防または治療、特に、癌の治療において使用するための本明細書に記載の医薬組成物であり、前記組成物は、3週間毎日投与される、または投与されるべきであり(3週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記3週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6mg塩基当量、より詳しくは、3週間、1日1回、6mg塩基当量であり、その後、1週間休薬(N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の投与無し)が続く。
【0141】
本発明の1つの態様は、癌の予防または治療用、特に、癌の治療用の薬剤の製造のための本明細書に記載の医薬組成物の使用であり、前記薬剤は、1週間毎日投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、10mgまたは12mg塩基当量、より詳しくは、1週間、1日1回、10mg塩基当量であり、その後、1週間休薬(N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の投与無し)が続く。
【0142】
本発明の1つの態様は、癌の予防または治療用、特に、癌の治療用の本明細書に記載の医薬組成物であり、前記組成物は、1週間毎日投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。好ましくは、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、6~12mg塩基当量の範囲、または6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量もしくは12mg塩基当量である。一日用量は好ましくは、1日1回投与される。好ましくは、前記組成物は、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基を含んでなる。特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、10mgまたは12mg塩基当量、より詳しくは、1週間、1日1回、10mg塩基当量であり、その後、1週間休薬(N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の投与無し)が続く。
【0143】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物の一日用量は、1種類の本発明によるの医薬組成物によって投与しても2種類以上の本発明による医薬組成物によって投与してもよい。これら2種類以上の本発明による医薬組成物は、個別に、同時にまたは逐次に投与してよい。
【0144】
本発明の1つの態様は、転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0145】
本発明の1つの態様は、転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、8mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0146】
本発明の1つの態様は、尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0147】
本発明の1つの態様は、尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、8mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0148】
本発明の1つの態様は、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0149】
本発明の1つの態様は、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、8mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0150】
本発明の1つの態様は、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、9mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0151】
本発明の1つの態様は、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0152】
本発明の1つの態様は、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、8mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0153】
本発明の1つの態様は、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、9mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0154】
本発明の1つの態様は、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0155】
本発明の1つの態様は、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、8mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきである。
【0156】
本発明の1つの態様は、転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、10mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬 (薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0157】
本発明の1つの態様は、転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、12mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0158】
本発明の1つの態様は、転移性または外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、3週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(3週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記3週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0159】
本発明の1つの態様は、尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、10mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0160】
本発明の1つの態様は、尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、12mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0161】
本発明の1つの態様は、尿路上皮癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、3週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(3週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記3週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0162】
本発明の1つの態様は、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、10mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0163】
本発明の1つの態様は、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、12mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0164】
本発明の1つの態様は、非小細胞肺癌(NSCLC)、扁平上皮肺癌および非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、3週間、毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(3週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記3週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0165】
本発明の1つの態様は、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、10mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0166】
本発明の1つの態様は、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、12mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0167】
本発明の1つの態様は、進行性または不応性NSCLC、乳癌、多形性膠芽腫、尿路上皮癌、卵巣癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌および胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、3週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(3週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記3週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0168】
本発明の1つの態様は、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、10mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0169】
本発明の1つの態様は、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、12mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、1週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(1週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記1週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0170】
本発明の1つの態様は、胆管癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの予防または治療、特に、治療であり、6mgのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物、特に、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基が、1種類以上の、特に、2種類以上の本発明に記載の医薬組成物として、3週間毎日、特に、1日1回、投与される、または投与されるべきであり(3週間投薬)、その後、1週間休薬(薬剤の投与無し)が続き、前記3週間投薬、1週間休薬のサイクルが繰り返される。
【0171】
本発明の医薬組成物は、他の抗癌薬と併用してもよい。例えば、本発明の医薬組成物を、異なる機構を介して細胞増殖を調節する働きをする、従って、癌発生の異なる特徴を処置する別の薬剤と組み合わせることが有益であり得る。このような組合せの例を以下に示す。
【0172】
本発明の医薬組成物は、II型または非インスリン依存性真性糖尿病などの増殖障害から起こる他の病態、自己免疫疾患、頭部外傷、脳卒中、癲癇、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症およびピック病、例えば、自己免疫疾患および神経変性疾患の治療に有用であり得る。
【0173】
本発明の医薬組成物が有用であり得る病状および病態の1つのサブグループは、炎症性疾患、心血管疾患および創傷治癒からなる。
【0174】
FGFRはまた、アポトーシス、血管新生、増殖、分化および転写においても役割を果たすことが知られており、従って、本発明の医薬組成物は、癌以外の以下の疾患;慢性炎症性疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡、自己免疫介在性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、自己免疫性真性糖尿病、湿疹性過敏反応、喘息、COPD、鼻炎、および上気道疾患;心血管疾患、例えば、心肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、AIDS関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(amyotropic lateral sclerosis)、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮症および小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血傷害関連心筋梗塞、脳卒中および再潅流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発性またはアルコール関連肝疾患、血液疾患、例えば、慢性貧血および再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症および関節炎、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎疾患および癌性疼痛の治療において有用であり得る。
【0175】
加えて、FGFR2の突然変異は、ヒト骨格発達にいくつかの重篤な異常に関連し、よって、本発明の医薬組成物は、脳回転状頭皮の異常な骨化(頭蓋骨癒合症)、アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン-ワイス症候群、ベーレ-スチーブンソン脳回転状頭皮症候群、およびプファイファー症候群を含む、ヒト骨格発達の異常の治療において有用であり得る。
【0176】
本発明の医薬組成物は、骨格疾患の治療または防止において特に有用であり得る。特定の骨格疾患は、軟骨形成不全または致死性小人症(致死性骨異形成症としても知られる)である。
【0177】
本発明の医薬組成物は、進行性の線維症が症状である病態の治療または防止において特に有用であり得る。本発明の医薬組成物が治療において有用であり得る線維性病態には、線維組織の異常または過剰な沈着を呈する疾患、例えば、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチ、ならびに自然な創傷治癒の過程が含まれる。特に、本発明の医薬組成物は、肺線維症、特に、特発性肺線維症の治療においても有用であり得る。
【0178】
腫瘍関連血管系におけるFGFRの過剰発現および活性化もまた、腫瘍血管新生の防止および破壊における本発明の医薬組成物の役割を示唆している。特に、本発明の医薬組成物は、癌、転移、CLLなどの白血病、加齢黄斑変性、特に、滲出型の加齢黄斑変性などの眼疾患、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症などの虚血性増殖性網膜症、関節リウマチならびに血管腫の治療において有用であり得る。
【0179】
本発明は、FGFRキナーゼにより媒介される病状または病態の防止または治療、特に、治療において有用であり得る医薬組成物を提供する。
【0180】
1つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される病状または病態の予防または治療、特に、治療において使用するための医薬組成物が提供される。
【0181】
よって、例えば、本発明の医薬組成物は、癌の緩和または罹患率の低減において有用であり得る。従って、さらなる実施態様では、癌の予防または治療、特に、治療において使用するための本明細書に記載の医薬組成物が提供される。1つの実施態様では、本明細書に定義される医薬組成物は、FGFR依存性癌の予防または治療において使用するためのものである。1つの実施態様では、本明細書で定義される医薬組成物は、FGFRキナーゼにより媒介される癌の予防または治療において使用するためのものである。
【0182】
よって、本発明は、とりわけ、以下を提供する。
・FGFRキナーゼにより媒介される病状または病態の予防または治療のための方法であって、それを必要とする対象に本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0183】
・本明細書に記載の病状または病態の予防または治療のための方法であって、それを必要とする対象に本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0184】
・癌の予防または治療のための方法であって、それを必要とする対象に本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0185】
・FGFRキナーゼにより媒介される病状または病態の緩和または罹患率の低減のための方法であって、それを必要とする対象に本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0186】
・FGFRキナーゼを阻害する方法であって、前記キナーゼを本明細書で定義されるキナーゼ阻害医薬組成物と接触させることを含んでなる、方法。
【0187】
・本明細書で定義される医薬組成物を用いてFGFRキナーゼの活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節する方法。
【0188】
・FGFRキナーゼの活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節するために使用するための本明細書で定義される医薬組成物。
【0189】
・癌の予防または治療、特に、癌の治療において使用するための本明細書で定義される医薬組成物。
【0190】
・FGFRを調節する(例えば、阻害する)ために使用するための本明細書で定義される医薬組成物。
【0191】
・FGFRキナーゼにより媒介される病状または病態の予防または治療用の薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0192】
・本明細書に記載の病状または病態の予防または治療用の薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0193】
・癌の予防または治療、特に、治療用の薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0194】
・FGFRの活性を調節する(例えば、阻害する)ための薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0195】
・FGFRキナーゼの活性を阻害することにより細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節するための薬剤の製造における、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0196】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態の予防または治療用の薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0197】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とするものである癌の予防または治療用の薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0198】
・FGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する亜集団から選択される患者における癌の予防または治療用の薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0199】
・FGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する亜集団の一部を形成するとして診断された患者における癌の予防または治療用の薬剤の製造のための、本明細書で定義される医薬組成物の使用。
【0200】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態の予防または治療のための方法であって、本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0201】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態の罹患率を緩和または低減するための方法であって、本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0202】
・癌に罹患しているまたは癌に罹患している疑いのある患者における癌の予防もしくは治療(またはその緩和もしくは罹患率の低減)のための方法であって、(i)患者に、その患者がFGFR3遺伝子の遺伝子異常を有するかどうかを決定するための診断検査を行うこと;および(ii)患者が前記変異体を有する場合、その後、前記患者にFGFR3キナーゼ阻害活性を有する本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0203】
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする病状または病態の予防もしくは治療(またはその緩和もしくは罹患率の低減)のための方法であって、(i)患者に、FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出するための診断検査を行うこと、および(ii)前記診断検査がFGFRキナーゼのアップレギュレーションを示す場合、その後、前記患者にFGFRキナーゼ阻害活性を有する本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0204】
・FGFR突然変異、転座、融合、特に、FGFR2またはFGFR3突然変異、転座、融合を特徴とする病状または病態の予防もしくは治療(またはその緩和もしくは罹患率の低減)のための方法であって、(i)患者に、FGFR突然変異、転座、融合、特に、FGFR2またはFGFR3突然変異、転座、融合に特徴的なマーカーを検出するための診断検査を行うこと、および(ii)前記診断検査がFGFR突然変異、転座、融合、特に、FGFR2またはFGFR3突然変異、転座、融合を示す場合、その後、前記患者にFGFRキナーゼ阻害活性を有する本明細書で定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【0205】
1つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は腫瘍関連疾患(例えば、癌)である。1つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、非腫瘍関連疾患(例えば、癌を除く本明細書に開示される任意の疾患)である。1つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書に記載の病態である。1つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書に記載の骨格病態である。ヒト骨格発達における特定の異常には、脳回転状頭皮の異常な骨化(頭蓋骨癒合症)、アペール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン-ワイス症候群、ベーレ-スチーブンソン脳回転状頭皮症候群、プファイファー症候群、軟骨形成不全および致死性小人症(致死性骨異形成症としても知られる)が含まれる。
【0206】
変異型キナーゼ
薬剤耐性キナーゼ突然変異は、キナーゼ阻害剤で処置した患者集団に生じ得る。これらは、一部は、療法で使用される特定の阻害剤と結合または相互作用するタンパク質の領域に生じる。このような突然変異は、問題のキナーゼと結合しそれを阻害する阻害剤の能力を低下させるか、または増強する。これは記阻害剤と相互作用するかまたは前記阻害剤の標的との結合を補助するのに重要なアミノ酸残基のいずれの場所にも生じ得る。突然変異したアミノ酸残基との相互作用を必要としない標的キナーゼと結合する阻害剤は、おそらくその突然変異によって影響を受けず、なおその酵素の有効な阻害剤であるであろう。
【0207】
胃癌患者サンプルにおける研究は、FGFR2に2つの突然変異、すなわち、エキソンIIIaにおけるSer167ProとエキソンIIIcにおけるスプライス部位突然変異940-2A-Gの存在を示した。これらの突然変異は、頭蓋骨癒合(craniosynotosis)症候群を生じる生殖細胞系活性化突然変異と同一であり、試験した原発胃癌組織の13%に見られた。加えて、FGFR3活性化突然変異は、試験した患者サンプルの5%に見られ、FGFRの過剰発現はこの患者群における不良な予後との相関が見出されている。
【0208】
加えて、FGFRに、機能獲得型、過剰発現型、または構成的活性化型の生物学的状態を生じる染色体転座または点突然変異が見出されている。
【0209】
従って、本発明の医薬組成物は、突然変異したFGFRなどのなどの分子標的を発現する癌に関して特定の適用が見出される。このような突然変異を有する腫瘍の診断は、RTPCRおよびFISHなどの当業者に公知で本明細書に記載される技術を用いて行うことができる。
【0210】
FGFRのATP結合部位において保存されているトレオニン残基の突然変異は阻害剤耐性をもたらすことが示唆された。FGFR1では、アミノ酸バリン561はメチオニンに突然変異しており、これは、選択的阻害剤に耐性を付与することが示されている、Abl(T315)およびEGFR(T766)に見られる、従前に報告された突然変異に相当する。FGFR1 V561Mに関するアッセイデータは、この突然変異が野生型に比べてチロシンキナーゼ阻害剤に耐性を付与したことを示した。
【0211】
診断方法
本発明の医薬組成物の投与の前に、患者は、患者が罹患しているまたは罹患している可能性のある疾患または病態がFGFRに対して活性を有する化合物のよる治療に感受性があるものかどうかを決定するためにスクリーニングを受けてもよい。
【0212】
例えば、患者から取得された生体サンプルは、患者が罹患しているまたは罹患している可能性のある癌などの病態または疾患が、FGFRのレベルもしくは活性のアップレギュレーションまたは正常なFGFR活性に至る経路の増感、または増殖因子リガンドレベルもしくは増殖因子リガンド活性などのこれらの増殖因子シグナル伝達経路のアップレギュレーション、またはFGFR活性化の下流の生化学経路のアップレギュレーションをもたらす遺伝子異常または異常なタンパク質発現を特徴とするものかどうか決定するために分析されてもよい。
【0213】
FGFRシグナルの活性化または増感をもたらすこのような異常の例としては、アポトーシス経路の欠如もしくは阻害、受容体もしくはリガンドのアップレギュレーション、または受容体またはリガンドの突然変異変異体、例えば、PTK変異体の存在が挙げられる。FGFR1、FGFR2もしくはFGFR3もしくはFGFR4の突然変異またはアップレギュレーション、特に、FGFR1の過剰発現、またはFGFR2もしくはFGFR3の機能獲得型突然変異を有する腫瘍は、FGFR阻害剤に対して特に感受性があり得る。
【0214】
例えば、FGFR2において機能獲得を生じる点突然変異がいくつかの病態で確認されている。特に、FGFR2における活性化突然変異は、子宮内膜腫瘍の10%で確認されている。
【0215】
加えて、構成的に活性なFGFR3受容体の異所発現または脱調節もたらす染色体転座または点突然変異などのFGFR3受容体チロシンキナーゼの遺伝子異常が確認され、多発性骨髄腫、膀胱癌および子宮頸癌のセブセットに関連付けられている。PDGF受容体の特定の突然変異T674Iが、イマチニブ処置患者において確認されている。加えて、8p12-p11.2の遺伝子増幅が小葉乳癌(CLC)症例の約50%に示され、これはFGFR1の発現の増強に関連することが示された。FGFR1に向けられたsiRNA、または受容体の小分子阻害剤を用いた予備研究では、この増幅を有する細胞系統がこのシグナル伝達経路の阻害に特に感受性があることが示された。
【0216】
あるいは、患者から採取された生体サンプルを、FGFRの負のレギュレーターまたはサプレッサーの欠如に関して分析してもよい。本文脈において、用語「欠如」は、レギュレーターまたはサプレッサーをコードする遺伝子の欠失、遺伝子の末端切断(例えば、突然変異による)、遺伝子の転写産物の末端切断、または転写産物の不活性化(例えば、点突然変異による)または別の遺伝子産物による隔離を包含する。
【0217】
アップレギュレーションという用語は、遺伝子増幅(すなわち、複数の遺伝子コピー)および転写効果による発現の増強を含む発現の増強または過剰発現、ならびに突然変異による活性化を含む活性亢進および活性化を含む。よって、患者は、FGFRのアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出するための診断検査を受けてもよい。診断という用語は、スクリーニングを含む。マーカーにより、本発明者らは、例えば、FGFRの突然変異を同定するためのDNA組成物の測定を含む、遺伝子マーカーを含む。マーカーという用語はまた、酵素活性、酵素レベル、酵素の状態(例えば、リン酸化されているかいないか)および上述のタンパク質のmRNAレベルを含む、FGFRのアップレギュレーションに特徴的なマーカーも含む。
【0218】
診断検査およびスクリーニングは一般に、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(遊離腫瘍細胞の単離および濃縮)、検便、痰、染色体分析、胸膜液、腹腔液、口内粘膜塗抹(buccal spear)、生検または尿から選択される生体サンプルに対して行う。
【0219】
タンパク質の突然変異およびアップレギュレーションの同定および分析方法は当業者に公知である。スクリーニング法には、限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などのin-situハイブリダイゼーションといった標準法が含まれる。
【0220】
FGFRに突然変異を有する個体の同定は、その患者がFGFR阻害剤、ゆえに本明細書で定義される医薬組成物、による処置に特に好適であることを意味し得る。選好的には、腫瘍は処置前にFGFR変異体の存在に関してスクリーニングされ得る。スクリーニングプロセスは一般に、直接配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、または突然変異体特異的抗体を含む。加えて、このような突然変異を有する腫瘍の診断は、当業者に公知で本明細書に記載される、RT-PCRおよびFISHなどの技術を用いて行うことができる。
【0221】
加えて、例えばFGFRの突然変異形態は、例えば腫瘍生検の、PCRおよび下記のようにPCR産物を直接配列決定するための方法を用いた直接配列決定によって同定することができる。当業者ならば、上述のタンパク質の過剰発現、活性化または突然変異の検出のためのこのような周知の技術は総て本場合に適用可能であることを認識するであろう。
【0222】
RT-PCRによるスクリーニングでは、腫瘍中のmRNAのレベルは、mRNAのcDNAコピーの作製とその後のPCRによるcDNAの増幅によって評価される。PCR増幅の方法、プライマーの選択、および増幅の条件は当業者に公知である。核酸の操作およびPCRは、例えば、Ausubel, F.M. et al., eds. (2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc., or Innis, M.A. et al., eds. (1990) PCR Protocols: a guide to methods and applications, Academic Press, San Diegoに記載されているような標準法により実施される。核酸技術を含む反応および操作はまた、Sambrook et al., (2001), 第3版, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressにも記載されている。あるいは、RT-PCR用の市販のキット(例えば、Roche Mplecular Biochemicals)、または米国特許第4,666,828号;第4,683,202号;第4,801,531号;第5,192,659号、第5,272,057号、第5,882,864号、および第6,218,529号に示され、引用することにより本明細書の一部とされる方法論も使用可能である。mRNA発現を評価するためのin-situハイブリダイゼーション技術の一例は、蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)であろう(Angerer (1987) Meth. Enzymol., 152: 649)。
【0223】
一般に、in situハイブリダイゼーションは、以下の主要工程:(1)被分析組織の固定;(2)標的核酸の接近性を高めるため、および非特異的結合を低減するためのサンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)核酸混合物と、生体構造または組織中の核酸とのハイブリダイゼーション;(4)そのハイブリダイゼーションにおいて結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後洗浄、および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出を含んでなる。このような適用に使用されるプローブは一般に、例えば、放射性同位体または蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下で1または複数の標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能とするに十分長く、例えば、約50、100、または200ヌクレオチド~約1000以上のヌクレオチドである。FISHを行うための標準法は、Ausubel, F.M. et al.,編 (2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc and Fluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview by John M. S. Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer, Methods and Protocols, 第2版; ISBN: 1-59259-760-2; March 2004, pps. 077-088; Series: Methods in Molecular Medicineに記載されている。
【0224】
遺伝子発現プロフィールの方法は、(DePrimo et al. (2003), BMC Cancer, 3:3)に記載されている。簡単に述べれば、このプロトコールは次の通りである:第1鎖cDNA合成をプライムするための(dT)24オリゴマーを用い、全RNAから二本鎖cDNAを合成した後、ランダムヘキサマープライマーを用いて第2鎖cDNA合成を行う。二本鎖cDNAは、ビオチン化リボヌクレオチドを用いたcRNAのin vitro転写のための鋳型として使用される。Affymetrix(サンタクララ、CA、USA)が記載しているプロトコールに従ってcRNAを化学的に断片化した後、ヒトゲノムアレイ上で一晩ハイブリダイズさせる。
【0225】
あるいは、mRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いた固相イムノアッセイ、ウエスタンブロット法、2次元SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質の検出のための当技術分野で公知の他の方法によってアッセイしてもよい。検出方法には、部位特異的抗体の使用も含む。当業者ならば、FGFRのアップレギュレーションの検出、またはFGFR変異体または突然変異体の検出のためのこのよような周知の技術は総て本場合に適用可能であることを認識するであろう。
【0226】
FGFRなどのタンパク質の異常なレベルは、標準的な酵素アッセイ、例えば、本明細書に記載のアッセイを用いて測定することができる。活性化または過剰発現も、組織サンプル、例えば、腫瘍組織で検出することができる。Chemicon Internationalからのもののようなアッセイを用いてチロシンキナーゼ活性を測定することによる。対象とするチロシンキナーゼはサンプル溶解液から免疫沈降させ、その活性を測定する。
【0227】
そのアイソフォームを含むFGFRの過剰発現または活性化の測定のための別法は、微細血管密度の測定を含む。これは例えば、Orre and Rogers (Int J Cancer (1999), 84(2) 101-8)が記載している方法を用いて測定することができる。アッセイ方法はまた、マーカーの使用も含む。
【0228】
よって、これらの技術は総て、本発明の医薬組成物による処置に特に好適な腫瘍を特定するために使用することもできる。
【0229】
本発明の医薬組成物は、変異型のFGFRを有する患者の処置に特に有用である。FGFR3におけるG697C突然変異は、経口扁平上皮細胞癌(oral squamous cell carcmonas)の62%に見られ、キナーゼ活性の構成的活性化を生じる。FGFR3の活性化突然変異は、膀胱癌症例でも同定されている。これらの突然変異は、様々な程度の有病率を伴う6種類があった:R248C、S249C、G372C、S373C、Y375C、K652Q。加えて、FGFR4におけるGly388Arg多形が、前立腺、結腸、肺、肝臓(HCC)および乳癌の頻度上昇および急速進行性に関連していることが見出された。本発明の医薬組成物は、FGFR3-TACC3転座を有する患者の処置に特に有用である。
【0230】
よって、さらなる態様において、本発明は、スクリーニングを受け、FGFRに対して活性を有する化合物による処置に感受性があると考えられる疾患または病態に罹患しているまたは罹患するリスクがあると判定された患者において、その病状または病態の治療または予防のための薬剤の製造のための本発明の医薬組成物の使用を含む。
【0231】
患者がスクリーニングされる特定の突然変異としては、FGFR3におけるG697C、R248C、S249C、G372C、S373C、Y375C、K652Q突然変異およびFGFR4におけるGly388Arg多形が含まれる。
【0232】
別の態様において、本発明は、FGFR遺伝子の変異体(例えば、FGFR3におけるG697C突然変異およびFGFR4におけるGly388Arg多形)を有する亜集団から選択される患者における癌の予防または治療において使用するための本発明の医薬組成物を含む。
【0233】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、癌、特に、膀胱癌、尿路上皮癌、転移性尿路上皮癌、外科的に切除不能な尿路上皮癌、乳癌、膠芽腫、肺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌、肺腺癌の治療に有用である。
【0234】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、癌、特に、胃癌、胆管癌、食道癌、肝細胞癌、非扁平上皮肺癌、特に、FGFRゲノム変化(転座、融合および/または突然変異)を伴うものの治療に有用である。
【0235】
本発明の別の態様として、特に医薬としての使用のために、より具体的には、癌または本明細書に記載の関連疾患の治療において使用するために本発明の医薬組成物と別の抗癌薬の組合せが想定される。
【0236】
上記病態の治療のために、本発明の医薬組成物は、有利には、1以上の他の医薬と、より詳しくは、他の抗癌薬または癌療法におけるアジュバントと組み合わせて使用できる。抗癌薬またはアジュバント(療法における補助剤)の例としては、限定されるものではないが、以下のものが含まれる:
・白金配位化合物、例えば、シスプラチン、場合により、アミフォスチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンとの組合せ;
・タキサン化合物、例えば、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(アブラキサン(商標))またはドセタキセル;
・トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、カンプトテシン化合物、例えば、イリノテカン、SN-38、トポテカン、トポテカンhcl;
・トポイソメラーゼII阻害剤、例えば、抗腫瘍エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、例えば、エトポシド、リン酸エトポシドまたはテニポシド;
・抗腫瘍ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビン;
・抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、ゲムシタビン、ゲムシタビンhcl、カペシタビン、クラドリビン、フルダラビン、ネララビン;・アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素、例えば、シクロホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン、チオテパ、メファラン(メルファラン)、ロムスチン、アルトレタミン、ブスルファン、ダカルバジン、エストラムスチン、イフォスファミド、場合により、メスナ、ピポブロマン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テロゾロミド、ウラシルとの組合せ;
・抗腫瘍アントラサイクリン誘導体、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、場合により、デクスラゾキサン、ドキシル、イダルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、エピルビシンhcl、バルルビシン(バルルビシン)との組合せ;
・IGF-1受容体を標的とする分子、例えば、ピクロポドフィリン;
・テトラカルシン誘導体、例えば、テトロカルシンA;
・グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン;
・抗体、例えば、トラスツズマブ(HER2抗体)、リツキシマブ(CD20抗体)、ゲムツズマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、セツキシマブ、ペルツズマブ、ベバシズマブ、アレムツズマブ、エクリズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、ノフェツモマブ(nofetumomab)、パニツムマブ、トシツモマブ、CNTO328;
・エストロゲン受容体拮抗薬、または選択的エストロゲン受容体調節薬またはエストロゲン合成阻害剤、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ドロロキシフェン、ファスロデックス、ラロキシフェンまたはレトロゾール;
・アロマターゼ阻害剤、例えば、エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール、テストラクトンおよびボロゾール;
・分化薬、例えば、レチノイド、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝遮断薬(RAMBA)、例えば、アキュテイン;
・DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アザシチジンまたはデシタビン;
・葉酸拮抗薬、例えば、プレメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム;
・抗生物質、例えば、アンチノマイシン(antinomycin)D、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン、レバミゾール、プリカマイシン、ミトラマイシン;
・代謝拮抗物質、例えば、クロファラビン、アミノプテリン、シトシンアラビノシドまたはメトトレキサート、アザシチジン、シタラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、チオグアニン;
・アポトーシス誘導薬および抗血管新生薬、例えば、Bcl-2阻害剤、例えば、YC 137、BH 312、ABT 737、ゴシポール、HA 14-1、TW 37またはデカン酸;
・チューブリン結合剤、例えば、コンブレスタチン、コルヒチンまたはノコダゾール;
・キナーゼ阻害剤(例えば、EGFR(上皮増殖因子受容体)阻害剤、MTKI(多標的キナーゼ阻害剤)、mTOR阻害剤、cmet阻害剤)、例えば、フラボペリドール(flavoperidol)、メシル酸イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、二トシル酸ラパチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、テムシロリムス、6-{ジフルオロ[6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル]メチル}キノリンまたはその薬学上許容可能な塩、6-[ジフルオロ(6-ピリジン-4-イル[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル)メチル]キノリンまたはその薬学上許容可能な塩;
・ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、チピファルニブ;
・ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、例えば、酪酸ナトリウム、サブエロイルアニリドヒドロキサミド酸(hydroxamide acid)(SAHA)、デプシペプチド(FR901228)、NVP-LAQ824、R306465、JNJ-26481585、トリコスタチンA、ボリノスタット;
・ユビキチン-プロテアソーム経路阻害剤、例えば、PS-341、MLN.41またはボルテゾミブ;
・ヨンデリス-トラベクテジン;
・抗癌活性に関連する免疫系に影響を及ぼす薬剤、例えば、限定されるものではないが、抗CTLA4、抗PD-1、抗PDL-1、OX40、抗癌ワクチン;
・外部照射療法の形態の放射線療法または移植可能な線源もしくは一時的に適用される線源としての放射性同位体または他の分子とコンジュゲートされた放射性同位体コンジュゲート;
・テロメラーゼ阻害剤、例えば、テロメスタチン;
・マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えば、バチマスタット、マリマスタット、プリノスタットまたはメタスタット;
・組換えインターロイキン、例えば、アルデスロイキン、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、ペグインターフェロンα2b;
・MAPK阻害剤;
・レチノイド、例えば、アリトレチノイン、ベキサロテン、トレチノイン;
・三酸化ヒ素;
・アスパラギナーゼ
・ステロイド、例えば、プロピオン酸ドロモスタノロン、酢酸メゲストロール、ナドドロン(デカン酸塩、フェンプロピオン酸塩)、デキサメタゾン;
・ゴナドトロピン放出ホルモン作用薬または拮抗薬、例えば、アバレリクス、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、酢酸ロイプロリド;
・サリドマイド、レナリドマイド;
・メルカプトプリン、ミトタン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ダルベポエチン;
・BH3模倣薬、例えば、ABT-737;
・MEK阻害剤、例えば、PD98059、AZD6244、CI-1040;
・コロニー刺激因子類似体、例えば、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム;エリスロポエチンまたはその類似体(例えば、ダルベポエチンアルファ);インターロイキン11;オプレルベキン;ゾレドロネート、ゾレンドロン酸;フェンタニル; ビスホスホネート;パリフェルミン;
・ステロイドシトクロムP450 17α-ヒドロキシラーゼ-17,20-リアーゼ阻害剤(CYP17)、例えば、アビラテロン、酢酸アビラテロン;
・PD-1(プログラム細胞死1)とPD-L1(プログラム細胞死-リガンド1)の間の相互作用を遮断する抗体。
【0237】
1つの実施態様では、本発明は、本発明による医薬組成物と6-{ジフルオロ[6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル]メチル}キノリンまたはその薬学上許容可能な塩の組合せに関する。
【0238】
1つの実施態様では、本発明は、本発明による医薬組成物と6-[ジフルオロ(6-ピリジン-4-イル[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル)メチル]キノリンまたはその薬学上許容可能な塩の組合せに関する。
【0239】
1つの実施態様では、本発明は、6-{ジフルオロ[6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル]メチル}キノリンまたはその薬学上許容可能な塩をさらに含んでなる本明細書に記載の医薬組成物に関する。
【0240】
1つの実施態様では、本発明は、6-[ジフルオロ(6-ピリジン-4-イル[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-3-イル)メチル]キノリンまたはその薬学上許容可能な塩をさらに含んでなる本明細書に記載の医薬組成物に関する。
【0241】
本発明の医薬組成物はまた、腫瘍細胞を放射線療法および化学療法に増感させる際にも治療適用を有する。
【0242】
ゆえに、本発明の医薬組成物は、「放射線増感剤」および/または「化学療法増感剤」として使用することができ、または別の「放射線増感剤」および/または「化学療法増感剤」と組み合わせて投与することができる。
【0243】
用語「放射線増感剤」は、本明細書で使用する場合、電磁放射線に対する細胞の感受性を増強するため、かつ/または電磁放射線で処置可能な疾患の治療を促進するために治療上有効な量で動物に投与される分子、好ましくは、低分子量分子と定義される。
【0244】
用語「化学療法増感剤」は、本明細書にで使用する場合、化学療法に対する細胞の感受性を増強するため、かつ/または化学療法薬で処置可能な疾患の治療を促進するために治療上有効な量で動物に投与される分子、好ましくは、低分子量分子と定義される。
【0245】
酸素を模倣するか、あるいはまた低酸素症下で生体還元剤のように挙動する低酸素細胞放射線増感剤(例えば、2-ニトロイミダゾール化合物、および二酸化ベンゾトリアジン化合物);非低酸素細胞放射線増感剤(例えば、ハロゲン化ピリミジン)はDNA塩基の類似体であり得、癌細胞のDNAに優先的に組み込まれ、それにより、放射線により誘発されるDNA分子の破断を促進し、かつ/または正常なDNA修復機構を妨げること;および疾患の治療において放射線増感剤に関して他の種々の潜在的作用機序の仮説が立てられていることなど、放射線増感剤の作用様式に関するいくつかの機序が文献で示唆されている。
【0246】
多くの癌治療プロトコールでは、現在、X線の照射とともに放射線増感剤を使用する。X線により活性化される放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが、以下ののもの:メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、マイトマイシンC、RSU 1069、SR 4233、EO9、RB 6145、ニコチンアミド、5-ブロモデオキシウリジン(BUdR)、5-ヨードデオキシウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、ならびにそれらの治療上有効な類似体および誘導体が挙げられる。
【0247】
癌の光線力学療法(PDT)では、増感剤の放射線活性化剤として可視光を使用する。光力学的放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが、以下のもの:ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、スズエチオポルフィリン、フェオボルビド-a、バクテリオクロロフィル-a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、ならびにそれらの治療上有効な類似体および誘導体が挙げられる。
【0248】
放射線増感剤は、定されるものではないが、標的細胞への放射線増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素、および/もしくは酸素の流れを制御する化合物;付加的放射線を伴ってもしくは伴わずに腫瘍に作用する化学療法薬;または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む、治療上有効な量の1以上の他の化合物とともに投与してよい。
【0249】
化学療法増感剤は、限定されるものではないが、標的細胞への化学療法増感剤の組み込みを促進する化合物;治療薬、栄養素、および/もしくは酸素の流れを制御する化合物;腫瘍に作用する化学療法薬または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む、治療上有効な量の1以上の他の化合物とともに投与してよい。受容された化学療法薬に対して耐性のある腫瘍細胞において化学感受性を確立するため、および薬剤感受性悪性腫瘍におけるこのような化合物の有効性を増強するために、カルシウム拮抗薬、例えば、ベラパミルと抗悪性腫瘍薬の組合せが有用であることが分かっている。
【0250】
それらの有用な薬理特性を考慮して、本発明による組合せの成分、すなわち、1以上の他の医薬剤と本発明による化合物は、投与目的の様々な医薬形態に処方することができる。これらの成分は、個々の医薬組成物で個別にまたは全成分を含有する単位医薬組成物として処方してもよい。
【0251】
従って、本発明はまた、1以上の他の医薬剤と医薬担体とともにさらに含んでなる、本明細書に記載の医薬組成物に関する。
【0252】
本発明はさらに、腫瘍細胞の増殖を阻害するための医薬組成物の製造における本発明による組合せの使用に関する。
【0253】
本発明はさらに、本明細書に記載の医薬組成物およびさらなる有効成分としての1以上の抗癌薬を含有する、癌に罹患している患者の治療において同時、個別または逐次使用のための組合せ製剤としての製品に関する。
【0254】
1以上の他の医薬剤および本発明による医薬組成物は、(例えば、個別の組成物または単位組成物として)同時に投与してもよいし、またはいずれかの順序で逐次に投与してもよい。後者の場合、2る以上の成分が、有利な作用または相乗作用が達成されることを保証するのに十分な期間内、量および様式で投与される。投与の好ましい方法および順序、ならびにその組合せの各成分の各投与量および投与計画は、投与される特定の他の医薬剤および本発明の組成物、それらの投与経路、処置される特定の腫瘍および処置される特定の宿主によって異なることが認識されるであろう。投与の最適な方法および順序ならびに投与量および投与計画は、当業者ならば、常法を用い、本明細書に示される情報を考慮して容易に決定できる。
【0255】
組合せとして与えられる場合、本発明による医薬組成物中に含有される化合物と1以上の他の抗癌薬の重量比は、当業者により決定され得る。前記比および正確な用量および投与頻度は、使用する他の抗癌薬、処置される特定の病態、処置される病態の重篤度、特定の患者の齢、体重、性別、食餌、投与時間および健康状態、投与様式ならびに他の投薬によって異なり、それぞれが当業者に周知のように考慮され得る。さらに、有効一日量は処置される対象の応答に応じて、かつ/または本発明の組成物を指示する医師の評価によって増減可能であるのは明らかである。N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、その薬学上許容可能な塩またはその溶媒和物と別の抗癌薬の特定の重量比は、1/10~10/1、より詳しくは1/5~5/1、いっそうより詳しくは1/3~3/1の範囲であり得る。
【0256】
白金配位化合物は有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり1~500mg(mg/m2)、例えば、50~400mg/m2の用量で、特にシスプラチンでは約75mg/m2、またカルボプラチンでは約300mg/m2の用量で投与される。
【0257】
タキサン化合物は有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり50~400mg(mg/m2)、例えば、75~250mg/m2の用量で、特にパクリタキセルでは約175~250mg/m2、またドセタキセルでは約75~150mg/m2の用量で投与される。
【0258】
カンプトテシン化合物は有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり0.1~400mg(mg/m2)、例えば、1~300mg/m2の用量で、特に、イリノテカンでは約100~350mg/m2、またトポテカンでは約1~2mg/m2の用量で投与される。
【0259】
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり30~300mg(mg/m2)、例えば、50~250mg/m2の用量で、特に、エトポシドでは約35~100mg/m2、またテニポシドでは約50~250mg/m2の用量で投与される。
【0260】
抗腫瘍ビンカアルカロイドは有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり2~30mg(mg/m2)の用量で、特に、ビンブラスチンでは約3~12mg/m2の用量で、ビンクリスチンでは約1~2mg/m2の用量で、またビノレルビンでは約10~30mg/m2の用量で投与される。
【0261】
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり200~2500mg(mg/m2)、例えば、700~1500mg/m2の用量で、特に、5-FUでは200~500mg/m2の用量で、ゲムシタビでは約800~1200mg/m2の用量で、またカペシタビンでは約1000~2500mg/m2で投与される。
【0262】
ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素などのアルキル化剤は有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり100~500mg(mg/m2)、例えば、120~200mg/m2の用量で、特に、シクロホスファミドでは約100~500mg/m2の用量で、クロラムブシルでは約0.1~0.2mg/kgの用量で、カルムスチンでは約150~200mg/m2の用量で、またロムスチンでは約100~150mg/m2の用量で投与される。
【0263】
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり10~75mg(mg/m2)、例えば、15~60mg/m2の用量で、特に、ドキソルビシンでは約40~75mg/m2の用量で、ダウノルビシンでは約25~45mg/m2の用量で、またイダルビシンでは約10~15mg/m2の用量で投与される。
【0264】
抗エストロゲン作用薬は有利には、特定の薬剤および処置される病態によって毎日約1~100mgの用量で投与される。タモキシフェンは有利には、1日2回5~50mg、好ましくは、10~20mgの用量で経口投与され、この療法を、治療効果を達成および維持するのに十分な時間継続する。トレミフェンは有利には、1日1回、約60mgの用量で経口投与され、この療法を、治療効果を達成および維持するのに十分な時間継続する。アナストロゾールは有利には、1日1回、約1mgの用量で経口投与される。ドロロキシフェンは有利には、1日1回、約20~100mgの用量で経口投与される。ラロキシフェンは有利には、1日1回、約60mgの用量で経口投与される。エキセメスタンは有利には、1日1回、約25mgの用量で経口投与される。
【0265】
抗体は有利には、体表面積1平方メートル当たり約1~5mg(mg/m2)の用量で投与され、異なる場合には当技術分野で公知の通りである。トラスツズマブは有利には、1クールの処置につき、体表面積1平方メートル当たり1~5mg(mg/m2)、特に、2~4mg/m2の用量で投与される。
【0266】
これらの用量は1クールの処置につき例えば、1回、2回またはそれを超える回数で投与してよく、これを例えば、7、14、21または28日繰り返してよい。
【実施例】
【0267】
実施例1
組成物錠剤1
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン 3mg
メグルミン 1,5mg
マンニトール 20%~95%w/w
微晶質セルロース 20%~95%w/w
クロスカルメロースナトリウム 2.5~5%w/w
ステアリン酸マグネシウム 0.5~1.5%w/w
錠剤の総重量:150mg
【0268】
組成物錠剤2
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン 4mg
メグルミン 2mg
マンニトール 20%~95%w/w
微晶質セルロース 20%~95%w/w
クロスカルメロースナトリウム 2.5~5%w/w
ステアリン酸マグネシウム 0.5~1.5%w/w
錠剤の総重量:200mg
【0269】
組成物錠剤3
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン 5mg
メグルミン 2.5mg
マンニトール 20%~95%w/w
微晶質セルロース 20%~95%w/w
クロスカルメロースナトリウム 2.5~5%w/w
ステアリン酸マグネシウム 0.5~1.5%w/w
錠剤の総重量:250mg
【0270】
錠剤の製造
適当量のN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン、マンニトール、メグルミンおよびクロスカルメロースナトリウムを一緒に篩った。適当量の微晶質セルロースを篩った。両画分を混合し、粉砕し、再び混合した。適当量のステアリン酸マグネシウムを篩い、前記混合物に加えた。前記混合物を打錠した。得られた錠剤をOpadry(登録商標)II 85F92209でフィルムコーティングした。
【0271】
時間の関数としてのメグルミンの消耗
本発明の錠剤中のメグルミンの安定化効果を評価するために、錠剤中のメグルミンの消耗を時間の関数として決定した。
【0272】
本発明によるフィルムコーティング錠を異なる温度および相対湿度条件下、乾燥剤を含まない瓶で保存した。錠剤中になお存在するメグルミンの含量を導電率検出、NMRまたはNIRによる無勾配イオンクロマトグラフィー法により、時間の関数として決定した。
【0273】
ホルムアルデヒドストレス試験
ホルムアルデヒドの存在下、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンへの変換に対するメグルミンの効果を検討するために、固体状ホルムアルデヒドストレス試験を開発した。この試験では、固体サンプル(例えば、錠剤または粉末混合物)を30℃の温度で5%ホルムアルデヒド水溶液に曝した(
図1参照)。このストレス試験では、外部供給源に起源するホルムアルデヒドの拡散およびそのN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンとの反応を制御された信頼性かつ再現性のある方法でシミュレーションする。
【0274】
以下の粉末混合物を試験した:2%w/wの化合物A、マンニトール、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムの粉末混合物;2%w/wの化合物A、1%w/wのメグルミン、マンニトール、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムの粉末混合物;2%w/wの化合物A、9%w/wのメグルミン、マンニトール、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムの粉末混合物。
【0275】
これらの混合物のアリコート(100mg±5mg)を0時間、3時間、8時間、24時間、32時間、および48時間後に採取し、アセトニトリル/水(1/1、4mL)に懸濁させた。この懸濁液を20分間振盪し、この混合物を10分間沈降させた。残留する不溶性粒子を、シリンジフィルターを用いて濾去し、濾液をUPLC(PDA検出器を用い、256nmでUV検出)により分析した。
【0276】
カラム Acquity UPLC HSS T3
カラム長 150mm
カラム径 2.1mm
カラム温度 30℃
粒径 1.8μm
流速 0.35mL/分
注入容量 2μL
溶媒A 10mM NH4OAc+0.05%AcOH
溶媒B アセトニトリル
【0277】
【0278】
6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン(化合物B)形成を、時間の関数として面積%で決定した。面積%は、6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンピークの面積を、0.05%の報告閾値を超える総てのピークの面積の合計で割った商として計算した。
【0279】
種々の量のメグルミンを用い、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン混合物に対してこのホルムアルデヒドストレス試験を行う場合、メグルミンの保護効果を明らかに示し得る(
図2参照)。すでに1%w/wのメグルミンの添加は分解を著しく干満にしたが、9%w/wのメグルミンの存在下ではそれは完全に阻害された。
【0280】
実施例2
以下のカプセル剤を製造した(手で充填)。
【0281】
組成物A
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン 1mg
マンニトール 94.36mg
アルファ化トウモロコシデンプン 40.44mg
メグルミン 1.40mg
コロイド無水シリカ 1.40mg
ステアリン酸マグネシウム 1.40mg
総重量140mg;ゼラチンカプセルサイズ4に充填
【0282】
比較組成物B
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン 1mg
マンニトール 95.34mg
アルファ化トウモロコシデンプン 40.86mg
コロイド無水シリカ 1.40mg
ステアリン酸マグネシウム 1.40mg
増重量140mg;ゼラチンカプセルサイズ4に充填
【0283】
種々の条件での時間の関数としての6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンの検出
カプセル(開放;バイアル中、カプセル剤皮)をそのままガラスバイアルに入れた(60℃/50%RH、閉鎖カプセルでも試験した)。各条件につき1個のカプセルを試験した。バイアル(開放)を、飽和塩溶液を用いて湿度を一定にしたデシケーターに入れ、その後、温度を一定にするために炉に入れた。
【0284】
適当な時点で、開放カプセルをメスフラスコに取った。N,N-ジメチルホルムアミドを加えた(7ml)。この混合物を60分間振盪した。水/アセトニトリル 1/1(2ml)を加え、混合物を振盪し、室温に調整した。この混合物を水/アセトニトリル 1/1で容量(10ml)となるように希釈し、十分に振盪した。混合物を10分間沈降させた。
【0285】
標準保存液および参照溶液をN-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基から調整した。
【0286】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン塩基(化合物A)および6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン塩基(化合物B)の量を以下の操作条件で測定した。
【0287】
【0288】
N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン(化合物A)に対する6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン(化合物B)の相対的保持時間は0.97である。N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミンの保持時間は±7.5分である。
【0289】
以下の条件を試験した:
組成物Aについて:T0;50℃/75%3日;50℃/75%7日;50℃/75%14日*;60℃/50%3日;60℃/50%7日;60℃/50%14日*;70℃/10%3日;70℃/10%7日;70℃/10%14日*;70℃/75%1日;70℃/75%3日;70℃/75%7日;70℃/75%14日*;80℃/50%1日;80℃/50%3日;80℃/50%7日。
組成物Bについて:T0;50℃/75%3日;50℃/75%7日;60℃/50%3日;60℃/50%7日;70℃/10%3日;70℃/10%7日;70℃/75%1日;70℃/75%3日;70℃/75%7日;80℃/50%1日;80℃/50%3日;80℃/50%7日。
*7日保存条件で得られた結果を考慮して、14日保存したサンプルは分析しなかった。
【0290】
化合物Aと化合物Bの重量/重量%は下式に従って決定した。
濃度unknown=(面積unknown/面積known)濃度known式中、未知(unknown)は、化合物Aまたは化合物Bのいずれかであり、既知(known)は、既知濃度の化合物Aの参照標準を表す。
【0291】
【0292】
【0293】
6,8-ジメトキシ-4-(1-メチルエチル)-1-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピンの形成は、比較組成物Bに比べて組成物Aでは緩慢になった。
【0294】
薬物分解により生成される大部分の生成物では、反応速度はアレニウス速度論に従う。アレニウス速度論は絶対温度Tの逆数に対する反応速度kの自然対数の一次従属性である(Rは気体定数であり、Aはこのプロセスの活性化のエントロピーの指標である)。
【0295】
それ自体水を含まない反応であっても、湿度は固体原体または医薬品に有意な影響を及ぼし得る。湿度補正アレニウス式[1]は、分解物形成の速度に対する温度の影響と湿度の影響の両方を反映する。
【0296】
ln k=ln A -Ea/RT + B(RH) [1]
(k=反応速度;A=このプロセスの活性化のエントロピーの指標;lnA=衝突頻度;Ea=活性化エネルギー(kcal/mol);R=気体定数;T=温度;B=湿度感度計数;RH=%相対湿度)
【0297】
各個の分解物の湿度補正アレニウス式[1]の決定は(ASAPprime(登録商標)による)は、種々の保存条件に置いた場合の医薬品の経時的挙動の予測を可能とする。各分解物に関して、1/TおよびRHに対するln kのプランは、極端な条件(40~最大70℃の温度および10~75%の間のRH)での加速化安定性評価プログラム(ASAP)を用いて決定する。
【0298】
以下のアレニウスパラメーターを使用した:ln A=24.8;Ea=18.8;B=0.05。
【0299】
上記のアプローチに基づけば、比較組成物Bの保存寿命の予測は、25℃/60%RH条件の場合1か月未満であった。この結果を考慮して、さらなる予測は計算しなかった。
【0300】
上記のアプローチに基づけば、組成物Aの保存寿命の予測は、下表で示す通りとなった。
【0301】
【0302】