(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】診断撮像における画像特徴のアノテーション
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240906BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240906BHJP
G06V 10/77 20220101ALI20240906BHJP
G06V 20/64 20220101ALI20240906BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20240906BHJP
【FI】
A61B6/03 560B
A61B6/03 560T
A61B6/03 573
G06T7/00 612
G06T7/00 300F
G06V10/77
G06V20/64
A61B6/46 536Q
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176372
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2020519416の分割
【原出願日】2018-10-02
【審査請求日】2022-11-14
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゴシェン リラン
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-535924(JP,A)
【文献】特許第7216722(JP,B2)
【文献】特開2014-050708(JP,A)
【文献】特開2012-143369(JP,A)
【文献】特開2006-255065(JP,A)
【文献】特開2007-252763(JP,A)
【文献】特開昭62-284249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0303358(US,A1)
【文献】国際公開第2011/132468(WO,A1)
【文献】特開2004-174232(JP,A)
【文献】特開2011-103095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0118132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
G06T 7/00-7/90
G06V10/00-20/90、30/418、40/16、40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボクセルに編成された3次元のボリューメトリック画像データを受け取るためのデータ入力であって、前記ボリューメトリック画像データは、撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を含む、データ入力と、
前記複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々における3次元のノイズの空間分布を示すノイズモデルを生成するためのノイズモデラーと、
前記ボリューメトリック画像データから複数の画像特徴を検出するための特徴検出器と、
複数の検出された前記画像特徴のサブセットの特徴位置を示す複数の参照を生成するためのマーカ生成器であって、前記サブセットは、視認性基準に基づいて、前記複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される検出された前記画像特徴に対応し、前記視認性基準は前記ノイズモデルに基づく、マーカ生成器と、
を備え、
前記データ入力は、単一のスペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスから取得及び/又は導出された前記複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の形態で、前記ボリューメトリック画像データを受け取り、
前記参照ボリューメトリック画像は、スペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスから取得又は導出される画像である、画像処理装置。
【請求項2】
前記特徴検出器は、各検出された画像特徴のロケーション及びスケールを特定し、前記マーカ生成器は、各検出された画像特徴の特定された前記ロケーション及び特定された前記スケールに基づいて、各検出された特徴のための複数の視認性基準を決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記マーカ生成器は、前記視認性基準のうち予め決められた数が満たされる場合に、検出された画像特徴を、前記参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記マーカ生成器は、各画像特徴のコントラスト対ノイズ比を、少なくとも前記画像特徴が検出された画像内で推定し、及び/又は、前記参照
ボリューメトリック画像内で各画像特徴のコントラスト対ノイズ比を推定することにより、前記視認性基準を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記マーカ生成器は、各画像特徴について、前記画像特徴が検出された画像における前記画像特徴の前記ロケーションの周囲の領域内のボクセル値の標準偏差を計算する、請求項
2又は請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記マーカ生成器は、各画像特徴について、前記参照
ボリューメトリック画像と、少なくとも前記画像特徴が検出された画像とのそれぞれにおける前記画像特徴の前記ロケーションの周囲の領域間で、正規化された相互相関及び/又は相互情報量を計算する、請求項
2、請求項3又は請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像特徴が検出された画像内で、検出された前記画像特徴に対応する構造のセグメント化を行うためのセグメント化ユニットを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記特徴検出器は、前記複数のボリューメトリック画像の各々、又はそのサブセットの各々について、スケール正規化されたガウスのラプラシアンを計算することにより、前記画像特徴を検出する、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記ノイズモデラーは、モンテカルロ推定方法を使用して前記ノイズモデルを推定する、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置を備える、コンピュータ断層撮影ワークステーション。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置を備える、スペクトルコンピュータ断層撮影システム。
【請求項12】
参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される画像特徴を示す複数の参照を生成する方法であって、前記方法が、
ボクセルに編成された3次元のボリューメトリック画像データを受け取るステップであって、前記ボリューメトリック画像データは、撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を含む、受け取るステップと、
前記複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々におけるノイズの空間分布を示すノイズモデルを生成するステップと、
前記ボリューメトリック画像データから複数の画像特徴を検出するステップと、
複数の検出された前記画像特徴のサブセットの特徴位置を示す前記複数の参照を生成するステップであって、前記サブセットは、視認性基準に基づいて、前記複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される検出された前記画像特徴に対応し、前記視認性基準は前記ノイズモデルに基づく、生成するステップと、
を有し、
前記
ボリューメトリック画像データの受け取りは、単一のスペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスから取得及び/又は導出された前記複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の形態で、前記ボリューメトリック画像データを受け取り、
前記参照ボリューメトリック画像は、スペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスから取得又は導出される画像である、方法。
【請求項13】
コンピューティングシステムのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングシステムに請求項12に記載の方法を行わせる1つ又は複数のコンピュータ実行可能命令が符号化された、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断画像のデジタル画像処理の分野に関する。より具体的には、本発明は、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像、例えば、物体の複数のスペクトルコンピュータ断層撮影画像などの、1回の撮像獲得又は単一の撮像プロトコルで取得された物体の複数の対応するボリューメトリック画像、における画像処理及び画像特徴検出と、診断画像のアノテーションとに関する。
【背景技術】
【0002】
診断放射線医学は、撮像検査におけるすべての異常の完全な検出と、その正確な診断とを目的とする。しかし、放射線医学検査における遡及的な誤り率はかなり高いことがある。概して、異常のあるX線撮影調査のおよそ30%が未検出のままであり、日常の診療で放射線科医によってなされる放射線医学解釈のおよそ4%が誤りを含んでいる傾向がある。したがって、放射線科医に対するすべての医療過誤主張の大部分は、診断の誤りに関連するものである。医療報酬が減るのに伴い、放射線科医は、生産性を高めるために追加的な責務を引き受けることによって埋め合わせを試みることがある。増大した作業負荷、高まる品質期待、認識バイアス、及び不良のシステム要因はすべて、放射線医学における診断の誤りと、所見が見落とされる確率の増大とに寄与する。その結果、診断読み取り環境及びツールを改善することに対する増大した需要が存在する。
【0003】
利用可能な撮像モダリティの範囲と、撮像技術及びプロトコルの高まりつつある高度化は、並行して評価すべき、有用であり得る大量の画像を放射線科医にもたらす傾向があり、それらの画像は、一般に、位置合わせされた複数のボリューメトリック画像の形態であり、例えば、それらの画像の対応するボクセルは、撮像された物体の中の同じロケーションに関係しているが、なおもボクセルロケーションについての補足的情報を提供することができる。そのような画像は、当技術分野で知られるように位置合わせ技術を適用することによって位置合わせされるか、又は、関与する撮像技術及び/若しくはプロトコルの性質そのものによって自動的に位置合わせされる。例えば、画像は、並行して及び/又は同時に獲得され、そのため、画像中の各ボクセルは、ほぼ同じ時間点における撮像された物体中のほぼ同じ位置に関係する。位置合わせされた画像を本質的に提供することが可能なそのような撮像モダリティの例は、スペクトルコンピュータ断層撮影(スペクトルCT)である。異なる視点を使用して、そのような複数の位置合わせされた、又は並行して獲得された画像は、各ボクセルロケーションがそれに関連付けられたベクトル値の、すなわち非スカラーのボクセル値を有している画像と等価に見なすことができる。複数の位置合わせされた画像及びボクセル値の画像は、実践において、異なる形でデジタル記憶メモリに記憶される場合もそうでない場合もあるが、本記載のコンテキストでは、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像と、ボリューメトリックボクセル値の画像とは、等価と見なされる。
【0004】
スペクトルCTは、従来のCTの能力を拡張する撮像モダリティである。例えば、スペクトルCTの特定の構成である二重エネルギー(DE)CTでは、例えば、画像ボクセル、2つの減衰値が、2つの光子エネルギーで同時に獲得され、そのため、物質の質量減衰特性に対する光電及びコンプトンの寄与を決定することができる。これは、これらの光電及びコンプトンの寄与により、各ボクセルの中に存在する1つ又は複数の物質を特定することを可能にする。二重エネルギーCT獲得を、デュアルソース撮像、高速ピーク管電圧(kVp)切り替え、及び/又は二層検出器構成を使用した撮像などの様々な手段及び方法で行うことが、当技術分野で知られている。
【0005】
また、スペクトルCTは、診断撮像エネルギー範囲の平均値に近いkエッジエネルギーを有する、ヨウ素のような物質の中で特によく機能することも当技術分野で知られている。2つの基底関数の任意の2つの線形独立和は減衰係数空間全体に及ぶため、どのような物質も、例えば水とヨウ素などの、いわゆる主成分材料である2つの他の物質の線形結合によって表すことができる。主成分材料画像を操作して、単色画像、物質打ち消し画像、実効原子番号画像及び/又は電子密度画像などの、新しい表現及び/又は視覚化をもたらすことができる。よって、スペクトルCTによって得ることができる追加的なスペクトル情報は、被スキャン物体及びその物質組成に関して測定できる、分析に利用可能な量的情報を補強することができる。
【0006】
米国特許出願第2010/303358号は、構造の画像データを自動分析するための方法を開示している。3次元ボクセル配列の形態の画像をセグメント化してボクセルサブセットを決定し、ボクセルサブセットからボクセルについての特徴を抽出して特徴マップを生成し、その特徴マップに基づいてスカラー差分マップが生成される。差分マップを利用して分類が行われ、分類に基づいて画像データ中の構造的異常が特定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態の目的は、ユーザ、例えば放射線科医が、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像、例えば、位置合わせアルゴリズムの適用によって互いに位置合わせされた、並びに/又は、関与する撮像技術及び/若しくはプロトコルの性質によって自然に位置合わせされた、ボリューメトリック画像を評価することを可能にする、好適で効率的な手段及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、本発明に係る方法及び装置によって達成される。
【0009】
本発明の実施形態の利点は、参照画像、例えば従来のCT画像には所見が見られないか、ほとんど見ることができないのに対し、別の画像、例えば対応するスペクトルCT画像の中では所見がより容易に見られる状況で、ユーザが警告されることである。
【0010】
本発明の実施形態の利点は、医療診断、例えば放射線医学及び/又は核医学において使用するための効果的及び/又は効率的な読み取りツールが提供されることである。
【0011】
本発明の実施形態の利点は、診断画像又は画像セットの従来の読み取りと比べて、所見が見落とされる可能性を低減できることである。
【0012】
本発明の実施形態の利点は、これらの結果として、ユーザ、例えば放射線科医にとって読み取り時間及び労力が有利に少なくなり得ることである。例えば、読み取り時間及び労力は、診断画像セットの従来の読み取りと比べて低減される。
【0013】
本発明の実施形態の利点は、時間、労力、及び/又は所見を見逃す確率に関する前記利点が、かなり多くのスペクトル結果がユーザ、例えば放射線科医にとって利用可能になり得るスペクトルCTに特に該当し得ることである。例えば、典型的なシナリオでは、9個又はそれ以上のスペクトル結果、例えばスペクトル画像の組が、一般に利用可能である。これらの追加的な結果を読み取ることは、読み取り時間及び労力を著しく増大させ得る。
【0014】
第1の態様において、本発明は、ボクセルに編成されたボリューメトリック画像データを受け取るためのデータ入力を備える画像処理装置に関する。ボリューメトリック画像データは、撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を備える。装置は、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々におけるノイズの空間分布を示す少なくとも1つのノイズモデルを生成する、例えば、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々にノイズモデルを生成するためのノイズモデラーを備える。装置は、ボリューメトリック画像データを考慮に入れて複数の画像特徴を検出するための特徴検出器を備える。装置はまた、複数の検出された画像特徴のサブセットの特徴位置、又は位置及びそれに対応するスケール、を示す複数の参照を生成するためのマーカ生成器を備える。このサブセットは、分類及び/又は数値視認性基準、例えば数値分類及び/又は数値視認性基準に基づいて、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される、検出された画像特徴に対応する。分類及び/又は視認性基準は、上記の又は各ノイズモデルを考慮に入れる。
【0015】
本発明の実施形態に係る装置において、データ入力は、単一のスペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスから取得及び/又は導出された複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の形態で、ボリューメトリック画像データを受け取るために適合される。
【0016】
本発明の実施形態に係る装置において、参照ボリューメトリック画像は、スペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスによって取得された、又はそれから導出された、従来のコンピュータ断層撮影画像を表す。
【0017】
本発明の実施形態に係る装置において、特徴検出器は、各検出された画像特徴のロケーション及びスケールを特定するために適合され、マーカ生成器は、各検出された画像特徴の特定されたロケーション及び特定されたスケールを考慮に入れて、各検出された特徴のための複数の視認性基準を決定するために適合される。
【0018】
本発明の実施形態に係る装置において、マーカ生成器は、前記視認性基準のうち予め決められた数が満たされる場合に、検出された特徴を、参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類するために適合される。
【0019】
本発明の実施形態に係る装置において、マーカ生成器は、各画像特徴のコントラスト対ノイズ比を、少なくとも画像特徴が検出された画像内で推定するため、及び/又は、参照画像内で各画像特徴のコントラスト対ノイズ比を推定するために適合される。
【0020】
本発明の実施形態に係る装置において、マーカ生成器は、各画像特徴について、画像特徴が検出された画像における画像特徴のロケーションの周囲の領域内のボクセル値の標準偏差を計算するために適合される。
【0021】
本発明の実施形態に係る装置において、マーカ生成器は、各画像特徴について、参照画像と、少なくとも画像特徴が検出された画像とのそれぞれにおける画像特徴のロケーションの周囲の領域間で、正規化された相互相関及び/又は相互情報量を計算するために適合される。
【0022】
本発明の実施形態に係る装置は、少なくとも特徴が検出された画像内で、検出された特徴に対応する構造のセグメント化を行うためのセグメント化ユニットを備える。
【0023】
本発明の実施形態に係る装置において、特徴検出器は、複数のボリューメトリック画像の各々、又はそのサブセットの各々について、スケール正規化されたガウスのラプラシアンを計算するために適合される。
【0024】
本発明の実施形態に係る装置において、ノイズモデラーは、モンテカルロ推定方法、分析方法、及び/又は直接抽出技術を使用してノイズモデルを推定するために適合される。
【0025】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の実施形態に係る画像処理装置を備えたコンピュータ断層撮影ワークステーションにも関する。
【0026】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の実施形態に係る画像処理装置を備えたスペクトルコンピュータ断層撮影システムにも関する。
【0027】
第4の態様において、本発明は、参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される画像特徴を示す複数の参照を生成する方法にも関する。方法は、ボクセルに編成されたボリューメトリック画像データを受け取るステップであって、前記ボリューメトリック画像データは、撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を含む、ステップを有する。方法は、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々におけるノイズの空間分布を示すノイズモデルを生成するステップを有する。方法は、ボリューメトリック画像データを考慮に入れて複数の画像特徴を検出するステップを有する。方法は、複数の検出された画像特徴のサブセットの特徴位置を示す複数の参照を生成するステップを有し、このサブセットは、(例えば数値)分類及び/又は(例えば数値)視認性基準に基づいて、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される検出された画像特徴に対応する。分類及び/又は視認性基準は、上記の又は各ノイズモデルを考慮に入れる。
【0028】
第5の態様において、本発明は、コンピューティングシステムのプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに本発明の第4の態様の実施形態に係る方法を行わせる1つ又は複数のコンピュータ実行可能命令が符号化された、コンピュータ可読記憶媒体にも関する。
【0029】
本発明の特定の及び好ましい態様が、添付の独立請求項及び従属請求項に述べられる。従属請求項にある特徴が、独立請求項にある特徴及び他の従属請求項の特徴と、適宜、請求項に明示的に述べられる通りのみならず、組み合わせられてよい。
【0030】
本発明のこれらの及び他の態様は、本明細書の以後に記載される実施形態から明らかになり、またそれを参照して解説される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態に係る装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、コンピュータ断層撮影(CT)画像及び前記コンピュータ断層撮影画像から生成されたノイズ画像を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、複数の参照がその上に示された、40keVにおける対応する単一エネルギーのスペクトル画像を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る、複数の参照がその上に示された、40keVにおける対応する単一エネルギーのスペクトル画像を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る、40keVにおける対応する単一エネルギーのスペクトル画像を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るコンピュータ断層撮影システムを示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る例示的方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面は概略的なものに過ぎず、非制限的なものである。図面において、要素の一部の大きさは、説明のために強調され、実際の縮尺で描かれないことがある。
【0033】
特許請求の範囲内に参照符号がある場合、範囲を制限するものとは解釈すべきでない。
【0034】
異なる図面において、同じ参照符号は同じ又は同様の要素を参照する。
【0035】
本発明は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照しながら説明されるが、本発明はそれに制限されず、特許請求の範囲によってのみ制限される。記載される図面は概略的なものに過ぎず、非制限的なものである。図面において、要素の一部の大きさは、説明のために強調され、実際の縮尺で描かれないことがある。寸法及び相対的寸法は、本発明を実施するための実際の縮小には対応していない。
【0036】
さらに、説明及び特許請求の範囲における第1、第2等の用語は、同様の要素同士を区別するために使用され、必ずしも、時間的、空間的、順位付け、又は他の方式での順序を説明するためではない。そのように使用される用語は、該当する状況下では交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例示される順序以外の順序で動作可能であることが理解されるべきである。
【0037】
さらに、説明及び特許請求の範囲における、上方、下方等の用語は、説明のために使用され、必ずしも相対位置を説明するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、該当する状況下では交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例示される方向付け以外の方向付けで動作可能であることが理解されるべきである。
【0038】
特許請求の範囲において使用される用語「~を備える」は、その後に列挙される手段に制約されると解釈すべきではなく、他の要素又はステップを排除しないことに留意すべきである。それは、よって、述べられる特徴、整数、ステップ、又は構成要素の参照される通りの存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、又は構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではないと解釈すべきである。よって、「手段A及びBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなる装置に制限されるべきではない。本発明に関しては、装置の唯一の関連する構成要素がA及びBであることを意味する。
【0039】
本出願を通じた「1つの実施形態」又は「一実施形態」への参照は、その実施形態との関係で記載される特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本出願を通じた様々な箇所における「1つの実施形態において」又は「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、本開示から当業者に明らかになるように、特定の特徴、構造、又は特性が1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方式で組み合わせられてよい。
【0040】
同様に、本発明の例示的実施形態の説明において、本開示を効率化し、様々な発明態様の1つ又は複数の理解を助けるために、本発明の様々な特徴が単一の実施形態、図、又はその説明において共にグループ化されることがあることを認識すべきである。しかし、この開示方法は、特許請求される本発明が、各請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきでない。そうではなく、下記の特許請求の範囲が反映しているように、発明態様は、単一の先行する開示実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴に存在する。よって、詳細な説明の後に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明確に組み込まれ、各請求項は、本発明の別々の実施形態としてそれ自体で成立する。
【0041】
さらに、本明細書に記載される一部の実施形態は、いくつかの特徴を含むものの他の実施形態に含まれる他の特徴を含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者には理解されるように、本発明の範囲内にあることが意図され、異なる実施形態を形成する。例えば、下記の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態は任意の組み合わせで使用され得る。
【0042】
本明細書において提供される説明では、多数の具体的な詳細が述べられる。しかし、本発明の実施形態はそれらの具体的な詳細なしで実施され得ることが理解される。他の事例では、よく知られる方法、構造、及び技術は、本説明の理解を分かりにくくしないように詳細に示されていない。
【0043】
第1の態様において、本発明は、ボクセルに編成されたボリューメトリック画像データを受け取るためのデータ入力を備える画像処理装置に関し、ボリューメトリック画像データは、撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を備える。装置は、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像におけるノイズの空間分布を示すノイズモデルを生成するためのノイズモデラーと、ボリューメトリック画像データを考慮に入れて複数の画像特徴を検出するための特徴検出器とを備える。装置はまた、複数の検出された画像特徴のサブセットの特徴位置を示す複数の参照を生成するためのマーカ生成器を備え、サブセットは、(例えば数値)分類又は(例えば数値)視認性基準に基づいて、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される、検出された画像特徴に対応する。分類及び/又は基準は、ノイズモデルを考慮に入れる。
【0044】
本発明の実施形態において「位置合わせされたボリューメトリック画像」が言及される場合、対応するボクセルロケーションが、撮像された物体内の共通の位置に関する補足的情報を提供する画像が言及される。位置合わせされたボリューメトリック画像は、画像位置合わせアルゴリズムの適用によって取得されるか、及び/又は、撮像された各ボクセルロケーションについての非スカラーデータを同時に若しくは並行して取得する撮像技術によって本質的に取得される。
【0045】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る画像処理装置10が概略的に示される。画像処理装置は、本明細書の下記に記載される機能を提供するようにプログラムされたコンピュータなどのコンピューティング装置を備える。コンピューティング装置は、意図される機能を提供するために構成された構成可能ハードウェア装置、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイを備えるか、又は意図される機能を提供するように特別に設計された特定用途向け回路を備える。コンピューティング装置は、設計されたハードウェア、構成されたハードウェア及び/又は汎用ハードウェア上で実行されるソフトウェアの任意の組み合わせを備える。
【0046】
よって、下記に記載されるような本発明の実施形態に係る画像処理装置10の構成要素は、必ずしもそのような装置の物理的に別個のエンティティ、例えば物理的に分離可能な構成要素、に対応するとは限らず、汎用コンピュータで実行されるコンピュータコード内に実施されたソフトウェア構築物を指すこともある。
【0047】
装置は、ボクセルに編成されたボリューメトリック画像データを受け取るためのデータ入力11を備える。詳細には、データ入力は、スペクトルCTスキャナや、スペクトルCTスキャナによって提供されたCT画像を再構成するための再構成器などの外部ソースからデータを受け取るための、コンピュータネットワークインターフェース、ワイヤレス送信インターフェース、又はデジタルデータバスインターフェースなどのデジタル通信回路を備える。データ入力は、共有ハードウェアプラットフォーム上に実施される別のソフトウェア構成要素から、例えば、スペクトルCT画像データを再構成するソフトウェア構成要素など、同じコンピュータ上で実行される別のソフトウェア構成要素から、データを受け取るための仮想インターフェースを備える。そのような仮想インターフェースは、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース、共有メモリリソース、又はデータキャリア上にファイルシステム規格を使用して記憶されたファイルを備える。データ入力は、光ディスクリーダ、ユニバーサルシリアルバス(USB)データ記憶媒体にアクセスするためのUSB接続、磁気ディスクリーダ又は携帯型フラッシュドライブリーダなどの、データキャリアにアクセスするためのインターフェースを備える。データ入力は、上記で挙げられた手段及び/又はデジタルボリューメトリック画像データを受け取るのに適した当技術分野で知られる他の装置の任意の組み合わせを備える。
【0048】
ボリューメトリック画像データは、ボクセルに編成されており、例えば、被スキャン物体、例えばスキャンされた対象者内の対応するボクセルロケーションに関係づけられた複数のデータ値を備える。ボリューメトリック画像データは、よって、ボクセルに編成された再構成された画像データを備え、例えば、3次元座標系に対する被スキャン物体内の異なる位置を表す。ボリューメトリック画像データは、そのようなボクセルに編成された再構成された画像データから導出される、例えば計算される、ボリューメトリック画像データも備える。
【0049】
ボリューメトリック画像データは、例えば対象者の身体の一部などの撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を備える。詳細には、ボリューメトリック画像データは、診断ボリューメトリック画像、例えば、放射線医学及び/又は核医学における医療分析で取得されたボリューメトリック画像を備える。
【0050】
データ入力11は、単一のスペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスから取得及び/又は導出された複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の形態でボリューメトリック画像データを受け取るために適合される。言い換えると、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像は、複数の3DスペクトルCT画像、例えば、単一のスペクトルCT検査から取得された再構成された3DスペクトルCT画像である。3DスペクトルCT画像は、従来のCT画像、例えば、従来の非スペクトルCTスキャンを表すスペクトルデータから取得される画像を備える。3DスペクトルCT画像は、単色画像、ヨウ素マップなどの物質画像、仮想の非コントラスト画像、実効原子番号画像、物質打ち消し画像、電子密度画像及び/又はスペクトルCTスキャンから導出可能な他の同様の画像を備える。例えば、複数の画像は、例えば、高速kVp切り替えスキャンを行うために適合された、及び/又は二層検出器構成を有する、デュアルソース構成を有するCTスキャナにより、当技術分野で知られる二重エネルギースキャン手法によって取得されるか又はそれから導出される。
【0051】
各ボクセルは、当該ボクセルに対応する位置における被スキャン物体の減衰特性を示す、例えば放射線濃度、例えば相対放射線濃度を示す、関連付けられた値、例えば、ハウンスフィールド単位で表された値などのグレースケール値を有する。ボリューメトリック画像データは、例えばボクセルロケーションごとに、同じボクセルロケーションに関連付けられた少なくとも2つの異なるグレースケール値を備える。少なくとも2つの異なるグレースケール値の各々は、よって、例えば、貫通する電離放射線の異なる品質について、対応するボクセルロケーションにおける異なる減衰特性を示す。貫通する電離放射線の異なる品質は、平均及び/又はピーク光子エネルギーにおいて十分に異なっており、そのため、異なる減衰特性は、対象者体内の異なる組織及び/又は組織特性を示す、判別可能に異なった光電効果及びコンプトン効果の寄与を受ける。しかし、異なるグレースケール値は、画像データを獲得するために対象者が曝露された貫通する電離放射線の品質に直接関係する減衰特性に対応する必要はない、又はそれに制限される必要はない。例えば、(例えば各ボクセルについての)異なるグレースケール値の少なくとも1つは、直接観察されたのではなく、直接獲得された又は再構成された画像を組み合わせる、及び/又は操作することによって推論された、抽象化された物質特性を表す。例えばボクセルごとの異なるスカラー値は、一部の実施形態では、物体のスキャンで使用される電離放射線及び/又は検出器特性の物理的エネルギースペクトルに対応するのとは対照的に、任意の主成分分解に対応する。例えば、そのようなスカラー値は、80kVp及び/又は120kVp成分画像、水-物質、骨-物質、及び/又はヨウ素画像及び/又は単色仮想画像を形成する。
【0052】
実施形態において、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像は、ボリューメトリック磁気共鳴画像、ボリューメトリックコンピュータ断層撮影画像、ボリューメトリック核医学画像、ボリューメトリック超音波検査画像、及び/又は他のボリューメトリック診断画像、例えば医療画像を備える。複数の位置合わせされたボリューメトリック画像は、マルチモダリティ画像、又は単一の撮像モダリティによって取得された異なるボリューメトリック画像を備える。
【0053】
装置10は、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々におけるノイズの空間分布を示すノイズモデル、例えばデータセットノイズパターンn、例えばノイズ推定マップ又は画像、を生成するためのノイズモデラー12を備える。
図2を参照すると、ボリューメトリックCT画像21の例示的スライス及びそれに対応するノイズ推定マップ22のスライスが示される。ノイズモデラー12は、当技術分野で知られるように、モンテカルロ推定方法、分析方法、及び/又は直接抽出技術を使用してノイズモデルを推定するために適合される。例えば、ノイズモデラー12は、Wunderlich及びNoo、「Image Covariance and Lesion Detectability in Direct Fan-Beam X-Ray Computed Tomography」、 Phys.Med.Biol.53(2008)、2472-2493に開示される、及び/又は米国特許出願公開第2017/0039685号に開示される、及び/又は米国特許第8,938,110号に開示されるような、ノイズ推定を実施するために適合される。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。しかし、他の手法も本発明において企図される。
【0054】
装置10はまた、ボリューメトリック画像データを考慮に入れて複数の画像特徴を検出するための特徴検出器13を備える。複数の画像特徴は、例えば、病変、嚢胞、腫瘍、疾患組織、及び/又は構造又はテクスチャの局所的偏差に、少なくとも潜在的に対応する。よって、特徴は、関心構造の潜在的なロケーションである画像中の主要点を特定し、例えばそれに対応する。
【0055】
特徴は、複数のボリューメトリック画像、若しくは複数のボリューメトリック画像のサブセットの合同分析、又は複数のボリューメトリック画像の各々若しくは一部の別々の分析によって、検出される。
【0056】
複数の画像特徴を検出することは、各検出された画像特徴のロケーション、又はロケーション及びスケールを特定することを含む。
【0057】
例えば、特徴検出器13は、例えば複数のボリューメトリック画像の各々について、又はそのサブセットの各々について、Lindeberg、Tony、「Feature detection with automatic scale selection」、 International journal of computer vision 30.2(1998):79-116、Lowe、David G.、「Distinctive image features from scale-invariant keypoints」、 International journal of computer vision 60.2(2004): 91-110、及び/又はMatas、Jiriら、「Robust wide-baseline stereo from maximally stable extremal regions」、 Image and vision computing 22.10(2004):761-767に開示されるように、領域又はブロブ検出方法を実施するために適合される。これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。しかし、他の手法も本発明において企図される。
【0058】
例えば、特徴検出器13は、複数のボリューメトリック画像の各々、又はそのサブセットの各々について、ブロブ検出空間フィルタを計算する、及び/又はブロブ検出方法を適用するために適合され、それらは、ガウスフィルタのラプラシアン、ガウスフィルタの差分、Harrisフィルタ、Harris-Laplaceフィルタ、Mongo-Ampere法、Hessian-Laplaceフィルタ、アフィン適合された差分ブロブ検出フィルタ、watershedに基づくブロブ検出、最大安定極値領域(MSER)検出、及び/又はローカルSIFT若しくはSURFのような方法などである。
【0059】
例えば、ガウスのラプラシアン(LoG)は、複数のボリューメトリック画像の各々、又はそのサブセットの各々について、例えば以下を適用することによって計算され、
∇2L=Lxx+Lyy+Lzz
ここで、L(x,y,z;σ)=g(x,y,z,σ)*f(x,y,z)であり、
ここで、fは作用を受けるボリューメトリック画像を示し、gはガウスカーネル関数を示し、*は畳み込み演算子を示す。
【0060】
結果は、例えばスケール正規化されたLoG、例えばσ2∇2L、を計算することによってスケール不変分析を可能にするように正規化され、ここで、σは構造スケール係数を指す。
【0061】
特徴は、例えば、
【数1】
により、各自のロケーション
【数2】
、例えば、各自のロケーション及び構造スケール係数σによって検出及び特定される。
【0062】
装置はまた、少なくとも特徴が検出された画像内で、検出された特徴に対応する構造のセグメント化、例えば複数の画像内での合同セグメント化、を行うためのセグメント化ユニット15を備える。例えば、セグメント化は、当技術分野で知られるセグメント化手法に従って行われる。セグメント化は、検出されたロケーションの周囲の領域に固有である。セグメント化は、検出されたロケーションの周囲の領域に制限され、すなわち、例えば検出されたスケールによって決定される。
【0063】
特徴検出器13が作用する複数のボリューメトリック画像のサブセットが言及される場合、このサブセットは、特に、下記で参照される参照ボリューメトリック画像を除外する。
【0064】
装置はまた、複数の検出された画像特徴のサブセットの特徴位置を示す複数の参照を生成するためのマーカ生成器14を備え、前記サブセットは、(例えば数値)分類及び/又は(例えば数値)視認性基準に基づいて、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される検出された画像特徴に対応し、分類及び/又は基準はノイズモデルを考慮に入れる。
【0065】
例えば、参照ボリューメトリック画像は、スペクトルコンピュータ断層撮影獲得シーケンスから取得又は導出される従来のコンピュータ断層撮影画像、例えば仮想の非コントラスト画像、を表す。同じように、上記で参照されたボリューメトリック画像のサブセットは、他のスペクトル画像であってもよい。
【0066】
よって、このステップにおいて、特徴、例えば関心対象である可能性のある主要点、が分析され、警告が特定され、これは例えば、参照画像、例えば従来の又は仮想の非コントラスト画像には所見が見られないか、ほとんど見ることができないのに対し、残りの画像、例えばスペクトル結果、の1つの中では所見がより容易に見られる状況でそうである。
【0067】
マーカ生成器14は、各検出された画像特徴の特定されたロケーション及び特定されたスケールを考慮に入れて、各検出された特徴のための視認性基準を決定するために適合される。
【0068】
マーカ生成器14は、当技術分野で知られる機械学習、例えば、深層学習手法、ランダムフォレスト手法及び/又はサポートベクターマシン手法、を適用することによって(例えば数値)分類を行うために適合されるが、実施形態はこれらに制限されない。例えば、例えばアノテーションされた事例のコホートに基づいて、教師あり学習技術を使用して訓練されることにより、分類器又は分類アルゴリズムが得られる。
【0069】
マーカ生成器14は、各画像特徴のコントラスト対ノイズ比(CNR)を、少なくともその特徴が検出された画像i内で、推定するために適合される。例えば、
【数3】
が計算され、ここで、|...|は絶対値を表し、
【数4】
は、例えば画像iの検出された特徴に対応する、点
【数5】
において例えばノイズモデルによって取得されたノイズであり、C
Aは、画像iにおける点
【数6】
の周囲の球体の中央値ボクセル値であり、C
Bは、画像iにおける点
【数7】
の周囲の球形シェルの中央値ボクセル値であり、例えば、球体の半径は、球形シェルの内側半径以下である。例えば、球体は、
【数8】
の半径を有し、球形シェルは、
【数9】
の内側半径及び
【数10】
の外側半径を有するものとする。代替として、前記球体の代わりに、セグメント化ユニットによって決定された領域が使用されてもよく、球形シェルの代わりに、セグメント化ユニットによって決定された領域の周囲の領域が使用されてもよい。
【0070】
マーカ生成器14は、画像iにおける点
【数11】
の周囲の球体内のボクセル値の標準偏差STD
sを計算するために適合される。例えば、この球体は、CNRを計算するために使用される球体に対応する半径、例えば
【数12】
を有する。代替として、前記球体の代わりに、セグメント化ユニットによって決定された領域が使用されてもよい。
【0071】
さらに、マーカ生成器14は、参照画像V内で特徴のコントラスト対ノイズ比を推定するために適合される。このCNRは、他の画像iの中のその特徴についてCNRが計算されたのとほぼ同じ方式で、参照画像Vに対して計算される。例えば、
【数13】
が計算され、ここで、|...|は絶対値を表し、
【数14】
は、参照画像Vの、例えば検出された特徴に対応する点
【数15】
において例えばノイズモデルによって取得されたノイズであり、C
Aは、画像Vにおける点
【数16】
の周囲の球体の中央値ボクセル値であり、C
Bは、画像Vにおける点
【数17】
の周囲の球形シェルの中央値ボクセル値であり、例えば、球体の半径は、球形シェルの内側半径以下である。例えば、球体は、
【数18】
の半径を有し、球形シェルは、
【数19】
の内側半径及び
【数20】
の外側半径を有する。
【0072】
代替として、前記球体の代わりに、セグメント化ユニットによって決定された領域が使用されてもよく、球形シェルの代わりに、セグメント化ユニットによって決定された領域の周囲の領域が使用されてもよい。
【0073】
マーカ生成器14は、参照画像Vと、少なくとも特徴が検出された画像iとのそれぞれにおける、点
【数21】
の周囲の球体間の正規化された相互相関NCCを計算するために適合される。例えば、これらの球体は、半径
【数22】
を有し、例えば、ここでαは制御可能パラメータ、例えば構成可能パラメータである。代替として、前記球体の代わりに、セグメント化ユニットによって決定された領域が使用されてもよい。
【0074】
マーカ生成器14は、参照画像Vと、少なくとも特徴が検出された画像iとのそれぞれにおける、点
【数23】
の周囲の球体間の相互情報量MIを計算するために適合される。例えば、これらの球体は、半径
【数24】
を有し、例えば、ここでβは制御可能パラメータ、例えば構成可能パラメータである。代替として、前記球体の代わりに、セグメント化ユニットによって決定された領域が使用されてもよい。
【0075】
マーカ生成器14は、各検出された画像特徴の特定されたロケーション及び特定されたスケールを考慮に入れて、各検出された特徴のための複数の視認性基準を決定するために適合される。
【0076】
マーカ生成器14は、例えば、視認性基準のうち予め決められた数、例えば1つが満たされる場合に、検出された特徴を、参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類するために適合される。
【0077】
複数の視認性基準は、以下を含む。
【数25】
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
【数31】
【数32】
NCC<t
9、及び/又は
MI<t
10、
ここで、t
1~t
10は、予め決められた又は制御可能な、例えば構成可能な、閾値を指す。
【0078】
マーカ生成器は、参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類された、重複する検出特徴を除外するために適合され、例えば検出された領域を表す1つを除いてすべてを除外する。
【0079】
マーカ生成器は、画像iに対して決定されたCNRと、参照画像Vに対して決定されたCNRとの比
【数33】
に基づいて、例えばこれらの比のランク付けに基づいて、検出された特徴を除外するために適合される。例えば、最も高いランク付けのCNR比のうち、予め決められた又は構成可能な数kのみが報告される。
【0080】
装置は、複数の参照のロケーションがその上に指示された参照画像を出力する、例えば表示する、ための出力ユニット16を備える。さらに、任意選択で、参照画像上の複数の参照の指示は、検出された特徴スケールも示してよい。
図3及び
図4を参照すると、それぞれ従来のCT画像、例えば仮想の非コントラスト画像と、40keVにおける単一エネルギーのスペクトル画像とが示され、ここで、後者にある円は、生成された複数の参照を示している。例えば、各円の中心は対応するロケーションを示し、各円の半径は特徴スケールを示し、例えば所見の半径に比例する。
図5及び
図6は同じように、別の例を示し、すなわちそれぞれ、従来のCT画像と、生成された複数の参照がその上にマークされた40keVにおける単一エネルギーのスペクトル画像とを示す。これらの例では、従来のCT画像が参照画像として選択され、関心特徴が単一エネルギーのスペクトル画像内で検出される。本発明に係る実施形態では、複数の参照は従来のCT画像上に示されてよいことに留意すべきである。しかし、強調及び解釈の容易さのために、参照は、これらの例では単一エネルギーのスペクトル画像上に示されている。
図7及び
図8に示される別の同様の例では、
図8に示される40keV単一エネルギーのスペクトル画像に特徴が見出されるにも関わらず、参照が生成されておらず、例えば、特徴の視認性は従来のCT画像の中で十分であると見なすことができる。このことは、特徴検出アルゴリズムが通例、本例のような複雑な画像において偽陽性を生成し得る場合に、このことは、有利に、ユーザの注意を引くために不必要に多い参照が生成されることを示唆する必要はない。
【0081】
第2の態様において、本発明の実施形態は、本発明の第1の態様の実施形態に係る画像処理装置を備えたコンピュータ断層撮影ワークステーションにも関する。例えば、ワークステーションは、マーカ生成器によって生成された参照を読み取り環境において視覚的に提示するために適合される。例えば、参照は、例えばワークステーションで画像を見ている間に、リアルタイムで生成される。
【0082】
本発明の実施形態は、本発明の第1の態様の実施形態に係る画像処理装置を備えたコンピュータ断層撮影コンソールにも関する。例えば、参照は、ワークステーション上で後に評価するために事前処理として生成される。さらに、コンソールは、参照がその中で検出されたスペクトル結果を自動的に生成するために適合される。
【0083】
第3の態様において、本発明の実施形態は、本発明の第1の態様の実施形態に係る画像処理装置を備えたスペクトルコンピュータ断層撮影システムにも関する。例えば、本発明の実施形態は、下記で
図9との関係で説明される撮像システム100などのスペクトルコンピュータ断層撮影システムに関する。
【0084】
図9は、スペクトルコンピュータ断層撮影(スペクトルCT)スキャナを備えた撮像システム100を示す。撮像システム100は、概ね静止しているガントリー102と、回転ガントリー104とを備える。回転ガントリー104は、静止ガントリー102によって回転可能に支持され、長手軸Zを中心として検査領域106の周囲を回転する。
【0085】
x線管などの放射線源108が、例えばこの回転ガントリー104と共に回転するように、回転ガントリー104によって回転可能に支持され、検査領域106を横断する多エネルギー放射線を放出するために適合される。放射線源108は、単一の広域スペクトルx線管を備えるか、又はそれから構成される。代替として、放射線源は、スキャン中に少なくとも2つの異なる光子放出スペクトル間を制御可能に切り替える、例えば80kVp、140kVp等の少なくとも2つの異なるピーク放出電圧間を切り替える、ために適合される。別の変形例において、放射線源108は、異なる平均スペクトルをもつ放射線を放出するように構成された2つ以上のx線管を備える。別の変形例において、放射線源108は、上記の組み合わせを備える。
【0086】
放射線感応検出器アレイ110が、検査領域106をはさんで放射線源108の反対側にあり、ある角度の弧に対している。アレイ110は、Z軸方向に沿って互いに対して配置された検出器の1つ又は複数の列を含む。アレイ110は、検査領域106を横断する放射線を検出し、それを示す信号を生成するために適合される。アレイ110は、異なるx線エネルギー感度を有する少なくとも2つの放射線感応検出器素子、例えば、少なくとも2つのシンチレータ及びそれに対応する光感度を有する少なくとも2つの対応する光センサ、を備えた二重エネルギー検出器を備える。放射線感応検出器アレイ110は、代替として又は追加的に、CdTe、CdZnTe、又は当技術分野で知られる他の直接変換検出器などの直接変換検出器を備える。
【0087】
システムは、検出器アレイ110によって出力された信号を再構成するための再構成器112を備える。これは、信号を、様々なエネルギー依存成分に分解することを含む。再構成器112は、エネルギー依存成分を再構成し、1つ又は複数の異なるエネルギーに対応する1つ又は複数の画像を生成するために適合される。再構成器112はまた、エネルギー依存成分を組み合わせて非スペクトル画像データを生成する。
【0088】
システムは、物体又は対象者を検査領域内で支持する、寝台などの対象者支持体113を備える。システムはまた、オペレータコンソール114を備え、これは例えば、システム100を制御若しくは監視する、及び/又はオペレータにユーザインターフェースを提供するためにプログラムされた汎用コンピュータである。コンソール114は、モニタやディスプレイなどの人間可読の出力装置と、キーボード及びマウスなどの入力装置とを含む。コンソール114に常駐するソフトウェアが、オペレータが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、又はその他の形でスキャナ100と対話することを可能にする。この対話は、スペクトル撮像プロトコル又は非スペクトル撮像プロトコルを選択すること、スキャンを開始すること等を含む。
【0089】
撮像システム100は、スペクトルCTスキャナとの通信を容易にする入力/出力(I/O)インターフェース118を備えた、ワークステーション、例えばコンピュータなどのコンピューティングシステム116、に動作可能に接続される。撮像システム100は、コンピューティングシステム116を、システムレベルの一体化構成要素として備えるか、又は撮像システム100は、例えばコンピューティングシステム116に画像を送信するために、スタンドアロンコンピューティングシステム116と通信するために適合される。
【0090】
コンピューティングシステム116は、出力装置120をさらに備える。1つ又は複数の出力装置は、例えば、ディスプレイモニタ、フィルムプリンタ、紙プリンタ、及び/又はオーディオフィードバック用のオーディオ出力を備える。コンピューティングシステムはまた、マウス、キーボード、タッチインターフェース及び/又は音声認識インターフェースなどの、1つ又は複数の入力装置122を備える。コンピューティングシステム116はまた、少なくとも1つのプロセッサ124を備え、これは、処理のための中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、専用の特定用途集積回路(ASIC)、及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイなどの適宜構成されたプログラム可能ハードウェアプロセッサなどである。コンピューティングシステムは、コンピュータ可読記憶媒体126、例えば物理的デジタルメモリなどの非一時的メモリを備える。コンピュータ可読記憶媒体126は、コンピュータ可読命令128及びデータ130を記憶する。少なくとも1つのプロセッサ124は、コンピュータ可読命令128を実行するために適合される。少なくとも1つのプロセッサ126は、信号、搬送波、又は他の一時的媒体によって搬送されるコンピュータ可読命令も実行する。代替として又は追加的に、少なくとも1つのプロセッサは、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ又は命令の少なくとも一部を実行するように特別に設計されたASICの構成により、命令128を、必ずしもこれらの命令のメモリ記憶を必要とすることなく、例えばその全体又は一部を具現化するように物理的に構成される。
【0091】
コンピューティングシステムは、本発明の第1の態様の実施形態に係る画像処理装置10を実施するために、例えば、上記で参照されたコンピュータ可読命令に従ってプログラムされる。
【0092】
命令128は、本発明の第4の態様の実施形態に係る方法を行うための画像処理アルゴリズム132を備える。
【0093】
さらなる態様において、本発明の実施形態は、参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される画像特徴を示す複数の参照を生成する方法にも関する。方法は、ボクセルに編成されたボリューメトリック画像データを受け取るステップであって、ボリューメトリック画像データは、撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を含む、ステップを有する。方法は、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々におけるノイズの空間分布を示すノイズモデルを生成するステップと、ボリューメトリック画像データを考慮に入れて複数の画像特徴を検出するステップと、を有する。方法はまた、複数の検出された画像特徴のサブセットの特徴位置を示す複数の参照を生成するステップを有し、サブセットは、(例えば数値)分類及び/又は(例えば数値)視認性基準に基づいて、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される検出された画像特徴に対応する。分類及び/又は視認性基準は、上記の又は各ノイズモデルを考慮に入れる。
【0094】
本発明の実施形態に係る方法の詳細は、本発明の第1の態様の実施形態に関係して上記で提供された説明に関連して明らかにされる。詳細には、本発明の実施形態に係る装置によって行われる機能は、本発明の実施形態に係る方法の対応するステップ及び/又は特徴を構成するものと理解される。
【0095】
図10は、本発明の実施形態に係る例示的方法300を示す。
【0096】
方法300は、ボクセルに編成されたボリューメトリック画像データを受け取るステップ301を有し、ボリューメトリック画像データは、撮像された物体の複数の位置合わせされたボリューメトリック画像を含む。例えば、ボリューメトリックデータを受け取るステップ301は、参照画像、例えば従来のCT画像、例えば仮想非コントラスト画像と、複数のスペクトル画像、例えばスペクトル結果とを受け取ることを有する。この従来のCT画像及びこれらのスペクトル画像は、スペクトルCT獲得及び再構成によって取得される。
【0097】
方法は、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の各々におけるノイズの空間分布を示すノイズモデル、例えば複数のノイズモデル、を生成するステップ302を有する。
【0098】
方法は、ボリューメトリック画像データを考慮に入れて、複数の画像特徴、例えば関心主要点、を検出するステップ303を有する。
【0099】
方法はまた、複数の検出された画像特徴のサブセットの特徴位置を示す複数の参照、例えばスペクトル警告、を生成するステップ304を有し、サブセットは、(例えば数値)分類及び/又は(例えば数値)視認性基準に基づいて、複数の位置合わせされたボリューメトリック画像の中の参照ボリューメトリック画像上で判別するのが難しいと分類される検出された画像特徴に対応する。分類及び/又は視認性基準は、上記の又は各ノイズモデルを考慮に入れる。
【0100】
方法はまた、参照、例えばスペクトル結果を出力するステップ305を有する。例えば、これは、参照でアノテーションされた参照画像を表示することを含む。これは、ユーザが参照、例えばスペクトル警告を選択することを可能にするユーザインターフェースを提供し、そのような選択に応答して、複数の画像のうち別の画像を表示する、例えば、特徴が検出された画像を表示することを含んでもよい。
【0101】
さらなる態様において、本発明は、コンピューティングシステムのプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに本発明の実施形態に係る方法を行わせる1つ又は複数のコンピュータ実行可能命令が符号化された、コンピュータ可読記憶媒体にも関する。