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特許7550845マルチ物理層同期化ダイバーシティ受信機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】マルチ物理層同期化ダイバーシティ受信機
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H04L27/26 110
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022513357
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020046087
(87)【国際公開番号】W WO2021041040
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】16/551,462
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,ジャスティン クリフォード
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-219798(JP,A)
【文献】特開2013-051675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0028306(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0048499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
IEEE 802.11
15
16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ノードと受信ノードとを含むシステムであって、
前記送信ノードは、複数のサポートされる通信モードから選択される通信モードを使用して、データパケットを生成して前記受信ノードに送信する
ように構成され、
前記データパケットは、所定の周波数を有するように生成されるパイロットプレフィックスと、前記選択される通信モードを使用して生成されるプリアンブル及び追加データとを含み、
前記受信ノードは、
ベース通信モードで動作する
ように構成され、ここで、前記ベース通信モードは、前記複数のサポートされる通信モードのうちの1つであり、
更に前記受信ノードは、
前記ベース通信モードで動作している間に、前記パイロットプレフィックスを検出し、
前記パイロットプレフィックスが検出されたと判定することに応答して、前記検出されたパイロットプレフィックスの後に受信された前記プリアンブルに基づいて、前記データパケットを送信するために使用される通信モードを判定し、及び、
前記判定された通信モードを使用して、前記データパケットの残りの部分を受信して処理する
ように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記データパケットを送信するために使用される通信モードを判定することは、
前記プリアンブルに含まれるプリアンブル信号を受信することと、
前記受信されたプリアンブル信号の品質がプリアンブル品質の閾値を超えるまで、前記複数のサポートされる通信モードのデータレートの降順に従って、前記複数のサポートされる通信モードを循環させることによって、前記複数のサポートされる通信モードを評価することと、
前記データパケットを送信するために使用される通信モードとして、現下評価中のサポートされる通信モードを判定することと、
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記パイロットプレフィックスは、更に、所定の振幅および所定の長さを有するように生成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記パイロットプレフィックスの所定の周波数は、前記送信ノードの搬送周波数である、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記ベース通信モードは、前記複数のサポートされる通信モードのうち、大多数のサポートされる通信モードよりも長い通信範囲を有する1つの通信モードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のサポートされる通信モードは、1つ若しくは複数のFSK通信モード、または、1つ若しくは複数のOFDM通信モードを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記データパケットのうち、前記パイロットプレフィックスを含まない部分は、IEEE802.15.4規格に準拠するように生成される、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
ネットワークのノードであって、
コンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、
ベース通信モードで動作することと、ここで、前記ベース通信モードは、複数のサポートされる通信モードのうちの1つであり、
前記ベース通信モードで動作している間に、データパケットのパイロットプレフィックスを検出することと、ここで、前記パイロットプレフィックスは所定の周波数を伴う信号を含むものであり、
前記パイロットプレフィックスが検出されたと判定することに応答して、前記データパケットのプリアンブル内に含まれ、且つ、前記検出されたパイロットプレフィックスの後に受信された、プリアンブル信号に基づいて、前記データパケットを送信するために使用される通信モードを判定することと、
前記判定された通信モードを使用して、前記データパケットの残りの部分を受信して処理することと
を含む動作を実行させる、コンピュータ可読命令を格納するように構成された、メモリと
を含む、
ネットワークのノード。
【請求項9】
前記データパケットを送信するために使用される通信モードを判定することは、
前記プリアンブル信号を受信することと、
前記受信されたプリアンブル信号の品質がプリアンブル品質の閾値を超えるまで、前記複数のサポートされる通信モードのデータレートの降順に従って、前記複数のサポートされる通信モードを循環させることによって、前記複数のサポートされる通信モードを評価することと、
前記データパケットを送信するために使用される通信モードとして、現下評価中のサポートされる通信モードを判定することと
を含む、
請求項8に記載のノード。
【請求項10】
前記パイロットプレフィックスは、更に、所定の振幅および所定の長さを有する
請求項8に記載のノード。
【請求項11】
前記パイロットプレフィックスの前記所定の周波数は、前記ノードの搬送周波数である、
請求項8に記載のノード。
【請求項12】
前記ベース通信モードは、前記複数のサポートされる通信モードのうち、大多数のサポートされる通信モードよりも長い通信範囲を有する1つの通信モードを含む、
請求項8に記載のノード。
【請求項13】
前記複数のサポートされる通信モードは、1つ若しくは複数のFSK通信モードまたは1つまたは複数のOFDM通信モードを含む、
請求項8に記載のノード。
【請求項14】
前記パイロットプレフィックスを除く前記データパケットは、IEEE802.15.4規格に準拠する
請求項8に記載のノード。
【請求項15】
メッシュネットワーク内の受信ノードによって、ベース通信モードで動作するステップであって、前記ベース通信モードは、複数のサポートされる通信モードのうちの1つである、動作するステップと、
前記ベース通信モードで動作する間に、データパケットのパイロットプレフィックスを検出するステップであって、前記パイロットプレフィックスは所定の周波数を有する信号を含む、検出するステップと、
前記パイロットプレフィックスが検出されたことを判定することに応答して、前記受信ノードによって、前記データパケットのプリアンブルに含まれ、且つ、前記検出されたパイロットプレフィックスの後に受信される、プリアンブル信号に基づいて、データパケットを送信するために使用される通信モードを判定するステップと、
前記受信ノードによって、前記判定された通信モードを使用して前記データパケットの残りの部分を受信して処理するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記データパケットを送信するために使用される通信モードを判定するステップは、
前記プリアンブル信号を受信するステップと、
前記受信されたプリアンブル信号の品質がプリアンブル品質の閾値を超えるまで、前記複数のサポートされる通信モードのデータレートの降順に従って、前記複数のサポートされる通信モードを循環させることによって、前記複数のサポートされる通信モードを評価するステップと、
現下評価中のサポートされる通信モードを、前記データパケットを送信するために使用される通信モードとして判定するステップと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記パイロットプレフィックス内の前記信号は、更に、所定の振幅および所定の長さを有する、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記パイロットプレフィックスの前記所定の周波数は、前記受信ノードの搬送周波数である、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ベース通信モードは、前記複数のサポートされる通信モードのうち、大多数の複数のサポートされる通信モードよりも長い通信範囲を有する1つを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のサポートされる通信モードは、1つ若しくは複数のFSK通信モードまたは1つ若しくは複数のOFDM通信モードを含む、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ネットワーク内のノード間の通信に関する。より詳細には、本開示は、ネットワーク内の複数の物理(PHY)層構成をサポートするダイバーシティ受信機によって、データパケットを送信するために送信ノードが使用する通信モードを検出またはそれに同期することに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークでは、メータ、ゲートウェイ、またはルータなどのインフラストラクチャノード(または単に「ノード」)が、例えば、メッセージを交換したりデータを送信したりするために、常に互いに通信している。しかし、ノードによってハードウェアおよびソフトウェアの構成が異なるため、異なる通信モードをサポートする場合がある。さらに、各ノードが複数の通信モードをサポートする場合もある。例えば、あるノードは直交周波数分割多重(「OFDM」)の特定の通信モードをサポートするように構成されるかもしれないが、他のノードはOFDM通信モードの別のセットをサポートするように構成されるかもしれない。また、一部のノードは、OFDMに加えて、周波数シフト・キーイング(「FSK」)に基づく様々な通信モードをサポートするように構成されている可能性がある。このように、データを送信する際、送信ノードは、サポートする複数の通信モードの中から、受信ノードに確実にかつ効率的にデータを送信できるように、通信モードを選択する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
受信ノードが受信データを正しく受信して復号するためには、受信ノードは、データの送信に使用された通信モードを識別し、正しい通信モードに切り替える必要がある。現在のモード切り替えメカニズムの1つは、送信ノードによって使用されるモードを示すために、データパケットに添付されたモード切替ヘッダに依存している。モード切替ヘッダは、通常、低いデータレートを有するベースモードで通信されるため、モード切替ヘッダを送信すると、特に高いデータレートを有する通信モードに対して、伝送効率を著しく低下させることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ネットワーク内のダイバーシティ受信機によって、データパケットを送信するために使用される通信モードを同期及び検出するための装置及びプロセスに関する態様及び例が開示される。例えば、システムは、サポートされる複数の通信モードから選択される通信モードを使用してデータパケットを生成し、受信ノードに送信するように構成される送信ノードを含む。データパケットは、所定の周波数を有するように生成されたパイロットプレフィックスと、選択された通信モードを使用して生成されたプリアンブルと追加データとを含む。本システムは、ベース通信モードで動作するように構成された受信ノードをさらに含む。ベース通信モードは、サポートされる複数の通信モードのうちの1つである。受信ノードは、ベース通信モードで動作している間に、パイロットプレフィックスを検出するようにさらに構成される。受信ノードは、パイロットプレフィックスが検出されたと判定することに応答して、検出されたパイロットプレフィックスの後に受信されたプリアンブルに基づいて、データパケットを送信するために使用される通信モードを判定するようにさらに構成される。受信ノードは、検出された通信モードを使用して、データパケットの残りの部分を受信し、処理するようにさらに構成される。
【0005】
別の例では、ネットワークのノードは、コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、プロセッサによって実行されると、プロセッサに動作を実行させるコンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリと、を含む。動作は、複数のサポートされる通信モードのうちの1つであるベース通信モードで動作することを含む。動作は、ベース通信モードで動作している間に、データパケットのパイロットプレフィックスを検出することをさらに含む。パイロットプレフィックスは、所定の周波数を有する信号を含む。操作はまた、パイロットプレフィックスが検出されたと判定することに応答して、データパケットのプリアンブルに含まれ、検出されたパイロットプレフィックスの後に受信されるプリアンブル信号に基づいて、データパケットを送信するために使用される通信モードを判定することを含む。動作は、検出された通信モードを使用して、データパケットの残りの部分を受信し、処理することをさらに含む。
【0006】
追加の例では、方法は、メッシュネットワーク内の受信ノードによって、複数のサポートされる通信モードのうちの1つであるベース通信モードで動作することと、ベース通信モードで動作している間に、所定の周波数を有する信号を含むデータパケットのパイロットプレフィックスを検出することとを含む。この方法はまた、パイロットプレフィックスが検出されたと判定することに応答して、受信ノードによって、データパケットのプリアンブルに含まれ、検出されたパイロットプレフィックスの後に受信されるプリアンブル信号に基づいて、データパケットの送信に用いられる通信モードが判定されることを含む。本方法は、受信ノードによって、検出された通信モードを使用してデータパケットの残りの部分を受信し処理することをさらに含む。
【0007】
これらの例示的な側面および特徴は、現在説明されている主題を制限または定義するためではなく、本願で説明される概念の理解を助けるために例を提供するために言及されている。現在説明されている主題の他の態様、利点、および特徴は、本願全体を検討した後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むと、よりよく理解される。
【0009】
図1図1は、本開示の特定の実施例に係る、ネットワークにおいてデータパケットを送信するために送信ノードによって利用される通信モードを、受信ノードによって検出するための例示的な動作環境を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の特定の実施例に係る、受信ノードがデータパケットに利用される選択された通信モードを同期させ検出することを可能にする、データパケットを送信するために構成された送信ノードおよび受信ノードの態様を示す図である。
図3図3は、本開示の特定の実施例に係る、受信ノードがデータパケットに使用される選択された通信モードを検出することを可能にする、送信ノードによって受信ノードに送信されるデータパケットの一例である。
図4A図4Aは、先行技術のモード切替メカニズムによる、受信ノードで受信されたデータパケット、受信ノードのモード、および受信ノードによって実行される動作の一例を示す図である。
図4B図4Bは、本開示の特定の実施例に係る、受信ノードで受信されたデータパケット、受信ノードのモード、および受信ノードによって実行される動作の一例を示す図である。
図5図5は、本開示の特定の実施例に係る、送信ノードによって送信されたデータパケットを受信し処理するプロセスの一例である。
図6図6は、本開示の特定の実施例に係る、受信データパケット内のプリアンブル信号に基づいて送信モードによって使用される通信モードを検出するためのプロセスの一例である。
図7図7は、本明細書に提示された技術およびテクノロジーの態様を実装するのに適したコンピューティングシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
メッシュネットワークにおいて、ダイバーシティ受信機がデータパケットに使用される通信モードを同期して検出できるデータパケットを送信するためのシステムおよび方法が提供される。例えば、送信ノードは、サポートされる通信モードのセットの中から通信モードを選択し、選択された通信モードを使用してデータパケットを生成する。データパケットは、送信ノードで使用される搬送周波数等の所定の周波数を有する信号を含むパイロットプレフィックスを含む。パイロットプレフィックスは、受信ノード、すなわち複数の物理層構成をサポートするダイバーシティ受信機によって利用され、選択された通信モードを同期させ検出することができる。データパケットは、さらに、パイロットプレフィックスに続いて、プリアンブルと、ペイロードデータなどの追加データとを含む。プリアンブルと残りのデータの両方は、選択された通信モードを使用して生成される。次に、送信ノードは、データパケットを受信ノードに送信する。
【0011】
受信ノードは、データパケットをアクティブに受信および処理しない間、ベース通信モードで動作して、所定の周波数におけるパイロットプレフィックス信号またはベース通信モードプリアンブルなどのパイロットプレフィックスをリッスンする。いくつかの例では、ベース通信モードは、サポートされる通信モードのセットにおいて、最も長い通信範囲を有するモードである。受信ノードは、所定の周波数で受信した信号をサンプリングして分析することにより、ベースモードにおけるパイロットプレフィックス信号を検出する。受信ノードは、受信した信号の品質(例えば信号強度)が、パイロットプレフィックスクオリティの所定の閾値よりも高いなど、十分に良好であれば、データパケットのパイロットプレフィックスが検出され、パイロットプレフィックスに続くデータが増えると判定して、受信データパケットと同期をとる。
【0012】
パイロットプレフィックスに続くデータを正しくデコードするために、受信ノードは、データパケットを生成するために送信ノードによって選択された通信モードをさらに判定する。通信モードの検出は、データパケットのプリアンブルに含まれる受信プリアンブル信号に基づいて行われる。受信ノードは、サポートされる通信モードのセットを循環して、データパケットを送信するために使用される送信モードに一致するモードを見つける。いくつかの例では、受信ノードは、これらのモードに関連付けられたデータレートの降順に基づいて、サポートされる通信モードのセットを循環させる。これらの例では、受信ノードは、まず、サポートされる通信モードのセットの中で最も高いデータレートを有する通信モードに切り換える。次に、受信ノードは、受信したプリアンブル信号の品質を判定する。品質がプリアンブル品質の所定の閾値よりも高い場合、受信ノードは、現在の通信モードが送信ノードによって使用されるモードであると判定することができる。そして、受信ノードは、判定されたモードを使用してデータパケットの残りの部分の受信と処理を継続する。
【0013】
受信したプリアンブル信号の品質が、プリアンブル品質の所定の閾値よりも高くない場合、受信ノードは、次にサポートされる通信モードに切り替わる。例えば、受信ノードは、残りの未検証の通信モードの中で最も高いデータレートを有するモードに切り替えることができる。受信ノードは、上記の処理を繰り返し、現在検討されているモードがデータパケットの送信に使用される選択されたモードであるか否かを判定する。この処理は、通信モードが検出されるか、すべてのモードが検査されるまで繰り返される。受信ノードは、サポートされているすべての通信モードを調べた後でも通信モードを検出できない場合、データパケットの意図された受信者でないと決定し、ベースモードに切り替えてより多くの受信トラフィックを待ち受ける。
【0014】
本開示に記載の技術は、ネットワークのノード間の通信の効率を向上させる。上述したように、既存のアプローチで使用されるモード切替ヘッダは、モード切替ヘッダの通信に使用されるベースモードのデータレートが低いため、ペイロードよりも送信に長い時間を要する場合がある。一方、本開示で説明するパイロットプレフィックス検出及びモード検出は、モード切替ヘッダの受信及び処理に使用される時間期間のほんの一部内で受信ノードによって実行することができる。その結果、伝送効率(例えば、実効データレートとペイロードデータレートとの間の比)を大幅に向上させることができる。
【0015】
さらに、本開示に記載のモード切替メカニズムは、受信ノードが、最も長い通信範囲を有するベースモードで動作することを可能にする。これにより、受信ノードは、遠く離れた送信ノードと通信することができ、それによって、ノードの通信範囲を最大化することができる。さらに、通信距離が長いベースモードで動作することにより、受信ノードの帯域幅も小さくなるため、受信ノードの外部干渉に対する耐性を高めることができる。また、単一周波数の信号を含むパイロットプレフィックスを最小限のリソースで生成することができる。そのため、送信ノードにおける計算量や通信リソースの消費量も低減される。
【0016】
図1は、送信ノードが選択された通信モードを使用してデータパケットをネットワーク内の受信ノードに送信し、受信ノードが受信データパケットに基づいて選択された通信モードを検出する例示的なネットワーク100を示す。図1に示すネットワーク100は、(本明細書では、個別にノード112と称することも、集合的にノード112と称することもある)複数のノード112A-112Hを含む。ノード112は、ノードのそれぞれの配備位置からデータを収集するための測定ノード、ノードに利用可能なデータを処理するための処理ノード、あるノードから受信したデータをネットワーク100内の別のノードに転送するためのルータノード、またはこれらの機能の組み合わせを実行するように構成されたノードを含んでもよい。ノード112はさらに、ノード112の間でメッセージまたはデータを交換できるように、互いに通信するように構成される。
【0017】
一例では、ネットワーク100は、資源分配ネットワークで得られた測定データを配信するために、ユーティリティネットワークなどの資源分配ネットワークに関連付けることができる。この例では、ノード112は、電力計、ガス計、水計、蒸気計などの計器類を含むことができ、資源分配ネットワークの様々な動作特性を測定し、収集したデータをネットワーク100を介して、例えば(本明細書では個別にルートノード114と称することもあり、集合的にルートノード114と称することもある)ルートノード114A及び114Bへ転送するよう実装することが可能である。
【0018】
ネットワーク100のルートノード114は、ノード112の管理、ノード112からのデータの収集、およびヘッドエンドシステム104へのデータの転送などの動作を実行するために、ノード112と通信するように構成されてもよい。ルートノード114は、それ自体がデータを測定し処理するノードとして機能するように構成されることもできる。ルートノード114は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)コーディネータ、ゲートウェイ、またはヘッドエンドシステム104と通信することができる他の任意のデバイスであってもよい。ルートノード114は、最終的に、生成および収集されたデータを、(図1には示されていない)1つまたは複数の追加のネットワークを介してヘッドエンドシステム104に送信する。ヘッドエンドシステム104は、ルートノード114からデータ又はメッセージのストリームを受信する中央処理システムとして機能することができる。ヘッドエンドシステム104は、収集されたデータを処理するか、または収集されたデータを様々なアプリケーションのために処理させることができる。
【0019】
ネットワーク100のノードが互いに通信するために、各ノードは1つまたは複数の通信モードをサポートするように構成される。例えば、ノード112は、様々なデータレートでFSKをサポートするように構成されてもよい。別のノードは、異なる変調方式および符号化方式(MCS)レベルでFSKおよびOFDMの両方をサポートするように構成されてもよい。ノード112およびルートノード114を含むネットワーク100の異なるノードは、異なるように構成され得るので、通信モードをサポートするそれらの能力は、異なることができる。そのため、ネットワーク内の各ノードは、共通の基本通信モードで構成される。
【0020】
いくつかの例では、ベースモードは、展開の能力によって判定される。例えば、ノードの配置は、より新しい、より能力の高いノードと並んで、いくつかの古い、より能力の低いノードを含むかもしれない。この場合、ネットワークの基本モードは、FSK変調など、古いノードがサポートできるモードとすることができる。新しいOFDM対応のノードは、FSKベースモードをマルチキャストメッセージに使用し、モード切替動作を開始することができる。さらに、この展開では、ノードが強化された能力を有するという肯定的な確認をそのノードから受信するまで、ネットワークに参加し、ベースノードをサポートするために必要な最小限の能力を有すると仮定することができる。一例として、この情報は、IEEE 802.15.4規格で定義された情報要素を使用して共有することができる。さらなる例では、ノード112のベースモードは、サポートされる通信モードのうち、サポートされる通信モードの大多数よりも長い通信範囲を有するモードなどとして選択される。
【0021】
ノードのペアが互いに通信するために、本明細書では「送信ノード」とも呼ばれるデータを送信するノードは、データパケット122が「受信ノード」とも呼ばれる他のノードに正常に送信できるように、通信モードを判定する。本開示のいくつかの態様によれば、選択された通信モードはまた、受信ノードが、データパケット122を受信したことを確認するために送信ノードに戻る確認応答パケットを正常に送信するために使用され得る。いくつかの例では、受信ノードは、それぞれが複数の物理層構成をサポートするダイバーシティ受信機である。データパケット122を正しく受信して処理するために、受信ノードは、受信したデータパケット122に含まれる信号に基づいて正しい通信モードを検出し、検出された通信モードに切り替えてデータパケット122の残りの部分を受信する。受信ノードが正しい通信モードを検出し、切り替えることに関する追加の詳細は、図2図6に関して以下に説明される。
【0022】
本明細書で説明する通信モード検出メカニズムは、ノード112、ルートノード114、またはネットワークの他のノードと通信可能なネットワーク100の他のノードを含む、ネットワーク100の任意のノードによって利用できることが理解されるべきである。さらに、図1は特定のネットワークトポロジー(例えば、DODAGツリー)を描いているが、他のネットワークトポロジーも可能である(例えば、リングトポロジー、メッシュトポロジー、スタートポロジー、など)。
【0023】
ここで図2を参照すると、図2は、本開示の特定の実施例に係る、受信ノードがデータパケットに使用される選択された通信モードを検出することを可能にするデータパケットを送信するように構成された送信ノードおよび受信ノードの態様を例示する。送信ノード202は、ノード112、ルートノード114、またはネットワーク内の別のノードと通信することができるネットワーク100の任意の他のノードであり得る。受信ノード212は、送信ノード202の近傍、すなわち、送信ノード202が直接通信することができるネットワーク100の任意のノードである。
【0024】
送信ノード202は、送信ノード202が選択された通信モードを使用して受信ノード212との通信を正常に完了できるように、通信モードを選択するように構成されたモード選択モジュール204を含み得る。いくつかの例では、送信ノード202は、送信ノード202および受信ノード212の通信条件に基づいて、通信モードを判定する。通信条件は、データパケット122を送信するために使用される送信電力、送信ノード202と受信ノード212との間の経路損失(すなわち、送信信号が通信経路を伝播する際の電力減衰)、受信ノード212におけるSNR要件、受信ノード212で観測されるノイズフロアなどを含むが、これだけに限らない様々な要因を用いて説明することが可能である。送信ノード202および受信ノード212の通信モードを選択するための1つのメカニズムは、2019年2月26日に出願され、発明の名称が「Mode Selection for Mesh Network Communication」である米国特許出願第16/285,309号に記載されており、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれるものとする。
【0025】
いくつかの送信ノードは、単一の通信モードをサポートするように構成され得ることに留意されたい。それらのシナリオでは、送信ノードは、モード選択モジュールを実装する必要がなく、代わりに、サポートされる通信モードを通信のために使用するだけである。
【0026】
送信ノード202は、受信ノード212との通信のために、選択された通信モードを使用してデータパケット122を生成するように構成されたデータパケット生成モジュール206をさらに含む。データパケット生成モジュール206によって生成されたデータパケット122は、プリアンブル224及び追加データ226を含むことができる。プリアンブル224は、同期などの目的のために受信ノード212によって利用されることができるプリアンブル信号を含む。追加データ226は、データパケットデリミタ、データユニットの長さを記述する物理層ヘッダ、ペイロードデータ、または受信ノード212に伝送する必要がある他の任意のデータなどのデータを含むことができる。一実施例では、データパケット生成モジュール206は、IEEE 802.15.4規格に定義されたデータパケット形式に従ってデータパケット122のプリアンブル224及び追加データ226を生成する。その結果、送信ノード202によって生成されたデータパケットは、802.15.4規格に従う受信ノードによって受信されることができる。以下の説明から分かるように、本明細書で提示する技術を実装する受信ノード212は、802.15.4規格の信号を受信することも可能である。
【0027】
送信ノード202によって利用される通信モードの受信ノード212の判定を容易にするために、データパケット生成モジュール206は、各データパケット122に対してパイロットプレフィックス222をさらに生成する。いくつかの例では、パイロットプレフィックス222は、送信ノード202によって利用されるチャネルの中間周波数である送信ノード202の搬送周波数などの、所定の周波数を有する信号を含む。したがって、パイロットプレフィックス222は、情報信号またはベースモードプリアンブルで変調されていない、送信ノード202が使用する搬送波として生成することができる。いくつかの例では、パイロットプレフィックスは、さらに、所定の振幅および所定の長さを有するように生成される。パイロットプレフィックス222の長さは、ネットワーク100内の受信ノード212のハードウェア能力、ネットワーク100内のノード間のチャネル条件などの様々な要因に基づいて判定される、受信ノード212がパイロットプレフィックス222を検出するために一般的に必要とする時間量に基づいて判定することが可能である。
【0028】
その結果、データパケット生成モジュール206によって生成されたデータパケット122は、パイロットプレフィックス222の後にプリアンブル224が続き、さらに追加データ226が続くことを含む。データパケット122を送信する場合、送信ノード202は、まずパイロットプレフィックス222を送信し、次にデータパケット122内のプリアンブル224とそれに続く追加データ226を送信する。図3は、2-FSK 200kbpsの通信モードを使用して送信ノード202が生成するデータパケット122の一例を示す図である。図3の縦軸は、データパケットに含まれる信号の周波数を表し、横軸は時間を表している。図3に示す例では、パイロットプレフィックス222は、この例の送信ノード202の搬送周波数に位置する一定の周波数を有している。プリアンブル224と追加データ226は、選択されたモードである2-FSK 200kbpsを用いて生成され、その帯域幅は400KHzである。この例では、プリアンブル224は、0と1を表す高周波と低周波の信号を交互に含んでいる。
【0029】
図2に戻って、送信ノード202は、生成されたデータパケット122を受信ノード212に送信する。上述したように、受信ノード212は、ネットワーク100内のトラフィックをリッスンするために、ベースモードで動作する。より具体的には、受信ノード212は、パイロットプレフィックス検出モジュール214を採用し、パイロットプレフィックス222を検出する。いくつかの例では、パイロットプレフィックスの検出は、受信信号のサンプリングされたエネルギーに基づいて実行される。受信ノード212は、ハードウェア構成等によって判定されるサンプリングレートで受信信号をサンプリングする。160kHzのサンプリングレートを有する受信ノード212の例では、受信ノード212のトランシーバは、受信信号のエネルギーのサンプルを6.25マイクロ秒ごとに1つ出力することができる。
【0030】
これらのサンプリングされた信号エネルギーに基づいて、パイロットプレフィックス検出モジュール214または受信ノード212の別のモジュールは、16サンプルなどのサンプルのセットにわたって平均化されたサンプルエネルギーを計算する。次に、平均化されたサンプルエネルギーは、受信信号強度インジケータ(RSSI)など、受信ノード212における電力レベルを推定するための信号強度インジケータを計算するために利用され得る。パイロットプレフィックス検出モジュール214は、計算された信号強度インジケータを利用して、パイロットプレフィックスが検出されたかどうかを判定することができる。例えば、パイロットプレフィックス検出モジュール214は、3つから4つなどの複数の連続した信号強度インジケータにわたる平均信号強度インジケータを計算し、平均信号強度インジケータをパイロットプレフィックス強度の閾値と比較することができる。信号強度インジケータが閾値より高い場合、パイロットプレフィックス検出モジュール214は、パイロットプレフィックスが検出されたと判定し、そうでなければ、パイロットプレフィックスが検出されないと判定する。代替的に、または追加的に、パイロットプレフィックス検出モジュール214は、各信号強度インジケータを閾値と比較し、複数の信号強度インジケータ比較について多数決を行い、パイロットプレフィックスが検出されたかどうかを判定することができる。上記から分かるように、受信ノード212のサンプリングレートが高いほど、プレフィックス・パイロットをより速く検出することができる。
【0031】
パイロットプレフィックス検出モジュール214が受信信号においてパイロットプレフィックスを検出する場合、受信ノード212は、受信データパケット122があると判定し、データパケット122を送信するために使用される正しい通信モードの検出に進むことができる。一例では、受信ノード212は、正しい通信モードを検出するために、通信モード検出モジュール216を採用する。いくつかの実装では、通信モード検出モジュール216は、パイロットプレフィックス222に続いて受信されたプリアンブル224に基づいて、サポートされる通信モードのセットを通して循環することによって検出を実行する。
【0032】
特定の実施例では、通信モード検出モジュール216は、サポートされる通信モードのデータレートの降順に従って、これらのモードを循環させるときに、データレートの降順に従う。これらの例では、受信ノード212がデータパケット122のプリアンブル信号を受信すると、通信モード検出モジュール216は、受信ノード212によってサポートされる通信モードのセットのうち、第1の通信モードを選択する。通信モード検出モジュール216は、さらに、選択された通信モードに切り替え、選択された通信モードが、受信したプリアンブル224を送信するために送信ノード202によって利用される正しいモードであるか否かを判定する。いくつかの例では、通信モード検出モジュール216は、調べるべき第1のモードとして、最も高いデータレートを有する通信モードを選択する。
【0033】
通信モード検出モジュール216は、受信したプリアンブル224の品質を調べることによって、現在のモードが正しいモードであるか否かを判定する。いくつかの例では、通信モード検出モジュール216は、受信した信号を復調し、復調した信号を現在のモードにおける期待されるプリアンブル信号に相関させることによって、現在評価されている通信モードの下での受信したプリアンブル224の品質を検査することが可能である。
【0034】
通信モード検出モジュール216は、さらに、プリアンブル品質値をプリアンブル品質の閾値と比較する。プリアンブル品質値が閾値より高い場合、通信モード検出モジュール216は、現在の通信モードが正しい通信モードであると判定し、そうでない場合、通信モード検出モジュール216は、評価のために次のサポートされる通信モードを選択する。
【0035】
いくつかの例では、通信モード検出モジュール216は、未調査の通信モードのうち最も高いデータレートを有するサポートされる通信モードを選択することによって、次の評価のための通信モードを選択して切り換える。通信モード検出モジュール216は、新たに選択されたモードについて、上記のプロセスを繰り返す。通信モード検出モジュール216が、新たに選択されたモードも送信ノード202によって利用される正しい通信モードではないと判定した場合、通信モード検出モジュール216は、残りの未調査モードの中で最も高いデータレートを有する次のサポートされる通信モードへと継続される。通信モード検出モジュール216は、正しい通信モードが検出されるまで、上記の処理を繰り返す。次に、受信ノード212は、データパケット受信モジュール218を利用して、検出された通信モードを使用して、プリアンブル224の残りの部分や追加データ226などのデータパケット122の残りの部分を受信する。サポートされているすべての通信モードを循環させた後、通信モード検出モジュール216が依然として正しい通信モードを検出できない場合、受信ノード212は、データパケット122が受信ノード212向けではないと判定し、ベースモードに切り替えて他のネットワークトラフィックをリッスンすることができる。
【0036】
表1は、受信ノード212のサポートされる通信モードの一例を示す。この例では、受信ノード212は、6つのサポートされる通信モードを有する。F2B10(=2-FSK 10kbpsモード)、F2B20(=2-FSK 20kbpsモード)、F2B50(=2-FSK 50kbpsモード)、F2B100(=2-FSK 100kbpsモード)、F2B200(=2-FSK 200kbpsモード)およびO1Mx(=SUN OFDM Option 1)である。また、表1には、対応する各通信モードのデータレートと帯域幅を示す。
【0037】
上述したように、送信ノード202がデータパケット122を送信するために利用する通信モードを判定するとき、通信モード検出モジュール216は、これらのモードのデータレートの降順に従って、サポートされている通信モードを検査する。表1に示す例では、これらのサポートされる通信モードは、O1Mx、F2B200、F2B100、F2B50、F2B20、及びF2B10の順で検査される。これらの各モードについて、プリアンブル品質、ひいては特定のモードが正しい通信モードであるか否かを判定するために必要な時間TPQの長さの一例を表1に示す。
【0038】
例えば、通信モード検出モジュールは、O1Mxモードが正しいモードであるかどうかを判定するために120μs、F2B200が正しいモードであるかどうかを判定するために40μsを必要としている。そのため、正しいモードがF2B100の場合、通信モード検出モジュールはそのモードを検出するために240μsを要する。これは、通信モード検出モジュールがまずO1Mxモードに切り替えて、O1Mxが正しいモードかどうかを判定するためで、120μsかかる。その後、通信モード検出モジュールはF2B200に切り替えて検出を行うが、これには40μsかかる。合計120+40=160μs後、通信モード検出モジュールはF2B100が正しいモードであるかどうかの検査を開始し、これにはさらに80μsを要する。
【0039】
表1の最後の欄には、対応する通信モードが正しい通信モードである場合の待ち時間と経過したシンボル数を示している。経過シンボル数は、受信ノード212が正しいモードに切り替わるまでの時間に受信処理できたであろう正しい通信モードのシンボル数を意味する。例えば、F2B50が正しい通信モードである場合、通信モード検出モジュールがF2B50に切り替えてこのモードの検査を開始するまでに、240μsまたはF2B50モードで送信された12シンボルに相当する時間がかかることになる。O1Mxは最初に検査されるモードであるため、このモードの待ち時間や経過シンボルはない。
【0040】
【表1】


表1の例のように、対応する通信モードをそれぞれのデータレートの降順で調べることで、対応する通信モードごとに、正しい通信モードに切り替わるまでの待ち時間と経過シンボル数が許容範囲に保たれている。これにより、サポートされる各通信モードを、妥当なプリアンブルシンボル数内で調べることができる。
【0041】
比較のために、通信モード検出モジュール216が、データレートの昇順でサポートされるモードを調べる実装を考える。この実装では、低いデータレートを有する通信モードは、妥当な数のプリアンブルシンボル内で検出することができ、一方、高いデータレートのモードは、相当数のプリアンブルシンボルを受信した後に検出されることになる。例えば、正しい通信モードがF2B200である場合、通信モード検出モジュール216がモードF2B200を調べ始めることができるまでに、300シンボル近くかかることになる。これは、受信ノード212が正しいモードF2B200に切り替える前に、F2B10、F2B20、F2B50、F2B100を含む低データレートモードに切り替えなければならないからである。これらの低データレートモードにいる間、受信ノード212は、プリアンブルが200kbpsの高データレートで送信されているにもかかわらず、プリアンブルの品質を検出するために低データレートで動作する。その結果、それらの低データレートモードが検査される間、多数のプリアンブルシンボルが受信されたことになる。
【0042】
一方、これらのモードをそのデータレートの降順で調べることは、正しいモードが調べられる前に、そのような多数のシンボルが経過することにつながらないであろう。これは、高データレートのモードが最初に調べられるからである。高データレートモードのいずれかが正しいモードである場合、高データレートモードは、少数のプリアンブルシンボルが受信されたときに、プロセスの早い段階で検査される。正しいモードが低データレートモードである場合、高データレートモードが検査される時間の間、(低データレートのため)多くのシンボルが受信されず、正しい低データレートモードが検査される時間までに、(低データレートの)少数のシンボルのみが受信されている。
【0043】
表1に示す例では、受信ノード212の再構成時間、すなわち、あるモードから別のモードへの切り替えに費やされる時間は、待ち時間に加えられないことに留意されたい。再構成時間の長さは、モード切り替え前後の通信モードだけでなく、受信ノード212のハードウェア能力にも依存する。例えば、受信ノード212が高データレートモードから低データレートモードに切り替わる場合、低レートモードから高レートモードに切り替わる場合よりも再設定時間は短くなる。また、プリアンブル品質を測定する過程で、自動利得制御(AGC)などの他の調整が実施され、その結果、各モードの待ち時間が長くなる可能性がある。
【0044】
上記の説明は、送信ノード202の搬送周波数でパイロットプレフィックスを生成することに焦点を当てているが、搬送周波数とは異なる周波数も、パイロットプレフィックスを送信するために送信ノード202によって利用され得ることをさらに理解されたい。そのような周波数が利用される場合、送信ノード202および受信ノード212は、受信ノード212によってパイロットプレフィックスが検出され得るように、それらの中心周波数を選択された周波数に調整するように構成され得る。この場合も、選択された単一周波数でパイロットプレフィックスを生成することにより、受信ノード212における内部および外部の干渉を少なくして、パイロットプレフィックスの検出を行うことができる。
【0045】
また、上記の説明では、受信したプリアンブル信号の品質に基づいて送信ノード202によって利用される通信モードを検出することに焦点を当てているが、正しい通信モードを検出する他の方法を受信ノード212によって実装することができることを理解されたい。例えば、通信モード検出モジュール216は、サポートされる通信モードの各々が固有の信号帯域幅を有すると仮定して、通信モードの帯域幅に基づいて正しい通信モードを検出することができる。
【0046】
この例では、通信モード検出モジュール216は、信号強度を測定するために、サポートされるすべての受信機帯域幅を循環させることができる。いくつかの実装では、通信モード検出モジュール216は、最大の帯域幅から最小の帯域幅まで、これらのサポートされるモードを循環させる。通信モード検出モジュール216はさらに、各帯域幅のRSSIまたは集約RSSIなどの信号強度を前の帯域幅と比較し、信号強度の減少(例えば、前の帯域幅の信号強度から現在の帯域幅の信号強度を引いたもの)を判定する。信号強度の減少量が閾値を超える場合、通信モード検出モジュール216は、前の帯域幅が正しい通信モードであると判定することができる。この帯域幅に基づくモード検出方法は、RSSI測定を迅速に行うことができるため、信号検出が高速であるという利点を有する。正しい通信モードを検出するために、サポートされている通信モードを循環させる他の方法を利用することができる。
【0047】
上述したように、本明細書に提示された技術を実装する受信ノード212は、標準的な802.15.4信号を受信することも可能である。例えば、標準802.15.4信号が通信のためにベースモードを使用する場合、パイロットプレフィックス検出モジュール214は、標準802.15.4プリアンブル中のパイロットプレフィックスを検出することが可能である。通信モード検出モジュール216は、通信モードを検出することができ、データパケット受信モジュール218は、上述のように、データパケット122の残りの部分を受信することができる。パイロットプレフィックスの検出を容易にするために、標準802.15.4信号のプリアンブル長は増加するかもしれないが、それでも802.15.4規格によって設定される許容範囲内である。
【0048】
ここで、図4Aおよび図4Bを参照すると、先行技術のモード切替メカニズムと本明細書に提示されたモード切替メカニズムとが比較されている。図4Aは、先行技術のモード切替通信メカニズムに従って、受信ノードで受信されたデータパケット、受信ノードのモード、および異なる時間帯に受信ノードによって実行される動作の一例を示す図である。図4Bは、本明細書で提示するモード切替メカニズムに対応する情報を示す図である。
【0049】
図4Aに示された先行技術のモード切替メカニズムは、送信ノードによって選択された通信モードを通信するために、各データパケットに追加されたモード切替ヘッダを採用する。このように、通信モードが検出されるオーバーヘッド時間期間T0の間、先行技術における受信ノードは、ベースモードで動作することによってモード切替ヘッダを受信し、その後、送信ノードが使用する通信モードを調べるためにモード切替ヘッダを処理する。通信モードが判定された後、受信ノードは、判定された通信モードに切り替えてプリアンブルを受信して処理し、データパケット内の残りのデータを受信して処理する。受信ノードは、この通信の後、ベースモードに戻る。
【0050】
比較すると、本明細書に提示されたモード切替メカニズムを実装する受信ノード212は、ベースモードで動作しているときにパイロットプレフィックスを受信する。受信ノード212は、この時間帯にパイロットプレフィックスの存在を検出する。パイロットプレフィックスが検出された後、受信ノード212は、サポートされている通信モードをそのデータレートの降順で循環させて、上述のように正しいモードを判定することによってプリアンブルの受信を開始する。この処理は、いずれかの通信モードが正しい通信モードであると判定されるまで続けられる。このように、正しい通信モードを判定するために利用されるオーバーヘッド時間期間T0’は、パイロットプレフィックスを検出するための時間期間と、正しい通信モードを判定するために複数の通信モードを循環させるための時間期間とを含んでいる。正しい通信モードが判定された後、受信ノード212は、判定された通信モードでプリアンブル信号の受信と処理を続け、その後、データパケット内の残りのデータを受信して処理する。
【0051】
適切なハードウェア構成を有する受信ノード212を利用することにより、オーバーヘッド時間期間T0’は、先行技術のオーバーヘッド時間期間T0よりも大幅に小さくすることができる。例えば、ノードの基本モードが2-FSK 10kbpsに設定される場合、先行技術のオーバーヘッド時間期間T0は、9.5ミリ秒と高くなり得る。一方、ここで紹介するモード切替メカニズムのオーバーヘッド時間期間T0’は、受信ノードで適切なサンプリングレートなどのハードウェア構成が採用されれば、120μs程度まで低くすることができる。その結果、本明細書で提案する技術によって、通信効率を大幅に向上させることができる。
【0052】
図5は、本開示の特定の例による、送信ノードによって送信されたデータパケットを受信し処理するためのプロセス500の一例である。ネットワーク100の1つ以上のノード(例えば、ノード112またはルートノード114)は、適切なプログラムコードを実行することによって、図5に描かれた動作を実装する。例示の目的のために、プロセス500は、図に描かれた特定の例を参照して説明される。しかしながら、他の実施例も可能である。
【0053】
ブロック502において、プロセス500は、受信ノード212が、受信したトラフィック中のデータパケットのパイロットプレフィックスを検出するために、ベース通信モードにおいて受信トラフィックをリッスンすることを含む。図1および図2に関して詳細に上述したように、受信ノード212は、長い通信範囲を有し、したがって狭い帯域幅を有するベースモードで動作する。受信ノード212は、パイロットプレフィックスの周波数で受信した信号強度に基づいて、パイロットプレフィックスを検出する。例えば、受信ノード212は、受信ノード212のトランシーバから受信信号のサンプリングエネルギーを受信し、これを平均化し、さらに処理して、RSSIなどの信号強度指標を判定する。受信ノード212は、経時的に判定された信号強度指標を、加重または非加重平均をとるなどして集約し、集約された信号強度指標をパイロット接頭辞強度の閾値と比較することができる。集約された信号強度インジケータが閾値より高い場合、受信ノード212は、パイロットプレフィックスが検出されたと判定してもよく、そうでなければ、パイロットプレフィックスが検出されなかったと判定する。受信ノード212は、各信号強度インジケータを閾値と比較して多数決を行うなど、信号強度インジケータに基づいてパイロットプレフィックスを検出する他の方法を使用してもよい。
【0054】
ブロック504で、プロセス500は、パイロットプレフィックスが検出されたかどうかを判定することを含む。受信ノード212がブロック502の結果に基づいてパイロットプレフィックスが検出されないと判定した場合、プロセス500はブロック502に進み、より多くの着信トラフィックをリッスンする。受信ノード212がブロック502の結果に基づいてデータパケットのパイロットプレフィックスが検出されたと判定する場合、プロセス500はブロック506に進み、受信ノード212はデータパケット122の残りの部分を送信するために送信ノード202によって利用される通信モードを判定する。図2に関して詳細に上述したように、いくつかの実施例では、受信ノード212は、受信したプリアンブル信号の品質に基づいて正しい通信モードを判定する。他の例では、受信ノード212は、サポートされる通信モードの帯域幅とプリアンブルの帯域幅とに基づいて、正しい通信モードを判定する。図6は、受信したデータパケットのプリアンブル信号の品質に基づいて送信モードが選択した通信モードを検出する処理の一例を示す図である。
【0055】
ブロック508で、受信ノード212は、ブロック506の結果に基づいて、正しい通信モードが検出されたかどうかを判定する。そうである場合、プロセス500はブロック510に進み、受信ノード212は、検出された通信モードを使用してデータパケットの残りの部分を受信し、処理する。ブロック508で正しい通信モードが検出されないと判定された場合、プロセス500はブロック502に進み、受信ノード212はベースモードに切り替えてより多くのネットワークトラフィックを受信し、別のデータパケットでパイロットプレフィックスを検出する。
【0056】
ここで図6に目を向けると、受信したデータパケット内のプリアンブル信号の品質に基づいて送信モードが利用する通信モードを検出するためのプロセス600の一例が提示される。ブロック602において、プロセス600は、データパケット122のプリアンブル信号の受信を含む。ブロック604において、受信ノード212は、最も高いデータレートを有する受信ノード212によってサポートされる未検証の通信モードを選択し、それに切り替わる。ブロック606において、受信ノード212は、選択されたモードに基づいて、プリアンブル品質を判定する。図2に関して詳細に上述したように、受信ノード212は、受信信号を復調し、復調された信号を現在の通信モードにおける予想されるプリアンブル信号に相関させることによってプリアンブル品質を判定することができる。
【0057】
ブロック608において、受信ノード212は、判定されたプリアンブル品質をプリアンブル品質の閾値と比較する。判定されたプリアンブル品質が閾値より高い場合、プロセス600はブロック610に進み、受信ノード212は、現在の通信モードを正しい通信モードとして出力する。判定されたプリアンブル品質が閾値より高くない場合、プロセス600はブロック612に進み、受信ノード212は、調べるべき通信モードがさらにあるか否かを判定する。その場合、プロセス600はブロック602に進み、より多くのプリアンブル信号が受信され、ブロック604-608に関して上述したように、通信モードを判定するために利用される。ブロック612において、サポートされているすべての通信モードが調べられたと判定された場合、プロセス600は動作614に進み、受信ノード212は、通信モードが検出されなかったと出力する。
【0058】
例示的なノード
【0059】
図7は、ノード112またはルートノード114など、本明細書に記載されるモード切替メカニズムを実装するために採用され得る例示的なノード700を示す。ノード700は、プロセッサ702、メモリ704、およびバス710を介して通信可能に結合されたトランシーバデバイス720をそれぞれ含むことができる。ノード700の構成要素は、A/C電源またはバッテリー(図示せず)などの低エネルギー源によって電力を供給され得る。トランシーバデバイス720は、他のノードと通信するためのアンテナ708を含む(または通信可能に結合される)ことができる。いくつかの例では、トランシーバデバイスは、信号を無線で送受信するための無線周波数(「RF」)トランシーバである。
【0060】
プロセッサは、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、ステートマシン、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、または他の適切なコンピューティングデバイスを含んでもよい。プロセッサは、任意の数のコンピューティングデバイスを含むことができ、メモリ704などのコンピュータ読み取り可能な媒体に通信可能に結合され得る。プロセッサ702は、コンピュータ実行可能なプログラム命令を実行するか、またはメモリに格納された情報にアクセスして、本明細書に記載されたパイロットプレフィックス検出モジュール214および通信モード検出モジュール216などの動作を実行することができる。命令は、任意の適切なコンピュータプログラミング言語で書かれたコードからコンパイラ及び/又はインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令で構成されてもよい。パイロットプレフィックス検出モジュール214または通信モード検出モジュール216に提供されるような命令が実行されるとき、命令は、ノード700を構成して、本明細書に記載される動作のいずれかを実行させることができる。プロセッサ、メモリ、バス、およびトランシーバ装置は、互いに通信する別個のコンポーネントとして図7に描かれているが、他の実装も可能である。本明細書で議論されるシステムおよびコンポーネントは、任意の特定のハードウェアアーキテクチャまたは構成に限定されるものではない。
【0061】
一般的な検討事項
【0062】
請求された主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が本明細書に記載されている。しかしながら、当業者は、請求された主題が、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。他の例では、当業者によって知られているであろう方法、装置、又はシステムは、請求された主題を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。
【0063】
本明細書で議論される特徴は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャまたは構成に限定されるものではない。コンピューティングデバイスは、1つ以上の入力を条件とする結果を提供するコンポーネントの任意の好適な配置を含むことができる。好適なコンピューティング装置は、コンピューティングシステムを汎用コンピューティング装置から本主題の1つ以上の態様を実装する特殊コンピューティング装置へとプログラムまたは構成する格納ソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリ上に格納されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的マイクロプロセッサベースのコンピュータシステムを含んでいる。任意の適切なプログラミング、スクリプト、または他のタイプの言語または言語の組み合わせが、コンピューティング装置をプログラミングまたは構成する際に使用されるソフトウェアにおいて本明細書に含まれる教示を実装するために使用され得る。
【0064】
本明細書に開示された方法の態様は、そのようなコンピューティングデバイスの動作において実行されてもよい。上記の例で提示されたブロックの順序は、変化させることができる。例えば、ブロックは、再順序付け、結合、および/またはサブブロックに分割することができる。特定のブロックまたはプロセスは、並行して実行することができる。
【0065】
本明細書における「に適合された」又は「に構成された」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適合又は構成されたデバイスを妨げない、開放的かつ包括的な言語として意図されるものである。さらに、「に基づく」の使用は、プロセス、ステップ、計算、または他の動作が、1つまたは複数の言及された条件または値に「基づく」場合、実際には、言及されたものを超える追加の条件または値に基づくことができるという意味で、開放的で包括的であることを意図している。本明細書に含まれる見出し、リスト、および番号付けは、説明を容易にするためだけのものであり、限定することを意図するものではない。
【0066】
本主題は、その特定の側面に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、前述の理解を得た時点で、そのような側面に対する変更、変形、および同等物を容易に作り出すことができることが理解されよう。したがって、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されており、当業者に容易に明らかになるような本主題に対する変更、変形、および/または追加を含めることを排除するものではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7