(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】洗濯機用衣類リフティング装置及びドラム洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/06 20060101AFI20240906BHJP
D06F 33/42 20200101ALI20240906BHJP
D06F 39/10 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
D06F37/06
D06F33/42
D06F39/10 B
(21)【出願番号】P 2022541254
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2020138184
(87)【国際公開番号】W WO2021139518
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】202010021697.6
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514114622
【氏名又は名称】青島海爾滾筒洗衣机有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】趙志強
(72)【発明者】
【氏名】許升
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110195331(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109402952(CN,A)
【文献】特開2011-078483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/06
D06F 33/42
D06F 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した空洞を内部に有するリフティング筐体、前記リフティング筐体の開口端を塞いで収容室を形成するリフティングベース、前記リフティング筐体及び/又は前記リフティングベースに設置されて収容室と連通し、前記収容室に進入する水を濾過する濾過孔、及び、前記収容室内に設置される遠心排水アセンブリ、を含み、前記遠心排水アセンブリの初期状態は閉状態であり、遠心力の作用で開放されて排水可能となり、前記遠心排水アセンブリは、往復運動可能な密封プランジャと、前記密封プランジャの弾性復元に用いられる弾性部材を含み、前記リフティングベースには、密封プランジャを装着するためのプランジャシートが備わっており、前記密封プランジャは密封部を有し、前記プランジャシートはスリーブ部を有し、前記密封部は摺動及び密封可能に前記スリーブ部内に設置され、前記弾性部材は、前記密封部によって密封スリーブ内に密封状に設置されることを特徴とする洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項2】
入水濾過部は前記リフティング筐体に設置される筐体入水濾過部を含み、前記筐体入水濾過部は、前記リフティング筐体に設置されて収容室と連通するいくつかの濾水孔であり、前記濾水孔は水中の異物を濾過することができることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項3】
前記リフティング筐体にはいくつかの噴射口が開設されており、
入水濾過部は、前記リフティング筐体に設置される筐体入水濾過部を含み、前記筐体入水濾過部は全ての前記噴射口を覆うフィルタネットであることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項4】
前記リフティングベースは、前記リフティング筐体の開口端に適合する密封カバープレートであることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項5】
入水濾過部は、前記リフティングベースに設置されるベース入水濾過部を含み、前記ベース入水濾過部は、前記リフティングベースに設置されて前記収容室と連通するいくつかのベース濾水孔であることを特徴とする請求項1
または4に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項6】
前記リフティングベースにはいくつかの透水口が開設されており
、入水濾過部は、前記リフティングベースに設置されるベース入水濾過部を含み、前記ベース入水濾過部は、全ての前記透水口を覆うフィルタネットであることを特徴とする請求項1
または4に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項7】
前記密封プランジャは密封ロッド及び密封プラグを含み、前記密封ロッドは案内ロッド部を含み、前記密封部は
、案内ロッドの一端に設置される密封ロッド部であり、前記密封プラグは前記密封ロッド部の端部に設置され、前記スリーブ部は、案内スリーブ及び密封スリーブを含み、前記案内ロッド部は、往復運動可能に前記案内スリーブ内に設置され、前記密封ロッド部は、摺動及び密封可能に前記密封スリーブ内に設置され、前記弾性部材は前記案内スリーブ内に設置され、前記弾性部材は、一端が前記案内スリーブに当止しており、他端が前記案内ロッド部又は前記密封ロッド部に当止していることを特徴とする、請求項1に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項8】
前記案内スリーブ及び前記密封スリーブは、いずれも円筒形をなしており、且つ内径が同じであり、前記案内ロッド部及び前記密封ロッド部はいずれも円柱形をなしており、前記案内ロッド部の外径が前記密封ロッド部の外径よりも小さく、前記密封ロッド部の外径は、前記密封スリーブの内径と等しいかやや小さいことを特徴とする請求項7に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項9】
前記遠心排水アセンブリは、遠心力の作用で遠心運動を発生させる遠心部材を含み、前記遠心部材は接続部及びカウンタウェイト部を含み、前記接続部は、一端が前記カウンタウェイト部に接続され、他端が前記密封プランジャに回動可能に接続され、前記接続部の中央部は、回動可能にプランジャシートに装着されて梃子構造を形成することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用衣類リフティング装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の洗濯機用衣類リフティング装置を備えるドラム洗濯機であって、内槽と、開放/閉止可能に内槽の槽口に装着される内槽ドア、を含み、前記内槽ドアは、閉止時に前記内槽とともに独立した洗浄室を形成し、洗濯時に独立して洗浄水を収容させ、前記内槽の側壁には排水口が設置され、前記
洗濯機用衣類リフティング装置は、前記内槽の内壁の排水口上に装着され、前記遠心排水アセンブリは排水口を閉塞及び閉止することを特徴とするドラム洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機器の技術分野に関し、具体的に、洗濯機用衣類リフティング装置及びドラム洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機は、日常生活において最も広く使用されている家庭用電気製品であり、洗濯の煩わしさから人々を解放し、多大な利便性をもたらしている。しかし、所要時間の長さや使用水量の多さなど、洗濯機にも一定の欠点は存在する。一方、社会の発展に伴って、水資源は大切な自然資源としてますます重要視されている。これに伴い、人々の節水意識も高まっており、如何にして洗濯機の節水機能を実現するかがとりわけ重要となっている。
【0003】
洗濯機における節水の問題を解決するために、現在のところ、例えば特許文献1のような特許が出願されている。特許文献1は、名称をドラム洗濯機とする中国の発明特許である。当該発明は、筐体を含むドラム洗濯機に関し、筐体内に内槽と外槽が設けられている。外槽と筐体の間にはドアシールが設けられており、内槽は駆動装置に接続されている。前記内槽は孔無し内槽である。且つ、前記内槽は、槽底部分の直径が小さく、槽口部分の直径が大きな錐状槽をなしている。内槽の槽口部分は内側に向かって円弧状に収縮している。また、前記ドアシールには給水導管が設けられている。給水導管の一端は洗浄水急速加熱装置に接続されており、給水導管の他端はドアシールを貫通して内槽に伸入している。前記外槽には排水口と水圧検出装置が設けられている。上記の技術方案から明らかなように、当該発明における内槽は孔無し内槽であり、ドアシールに設置された給水導管によって内槽への給水を実現するとともに、内槽自体の形状を利用して脱水過程で排水を実現している。こうすることで、内槽と外槽の間の溜水を回避可能となり、洗浄用水量が大幅に節約される。
【0004】
上記の発明は、孔無し内槽を有するドラム洗濯機を提供している。上記特許が開示するドラム洗濯機の給水方式ではドアシールを通過させている。しかし、ドアシールの主な役割は、洗濯機における外槽の槽口について密封を実現することである。そのため、ドアシールに給水導管を設置するとドアシールの密封効果に支障をきたしやすく、密封を実現しにくくなる。そのほか、当該特許の排水は、主としてドラム構造に駆動装置を組み合わせた高速駆動により実現されており、ドラム構造が複雑である。且つ、排水効果や内槽の密閉効果を保証できないため、実際の応用にあたり多くの課題が存在する。
【0005】
また、ドラム洗濯機の洗濯過程における排水の課題、及び脱水過程における排水の課題を如何にして解決するかは、内槽の孔無し化が直面する重大な難題である。これついては、現在、特許文献2が存在する。特許文献2は、名称をドラム洗濯機とする中国の発明特許出願である。明細書には、「外槽を含む。外槽の前端は本体の内壁に固定される。前記内槽は回動可能に外槽内に設置され、内槽の側壁に遠心弁が設置される。洗浄時には、遠心弁が閉止して内槽内に水が貯えられ、内槽と外槽の間が無水となる。一方、脱水時には、遠心弁が開放され、洗浄水が遠心弁から内槽と外槽の間に排出されて、外槽から排出される」と開示されている。当該特許は、孔無しのドラム洗濯機における排水の難題を解決するために、遠心弁を利用して遠心排水を行うことを提案している。しかし、洗浄過程では糸屑の発生を避けることができない。水流に伴う遠心弁内への糸屑の進入を回避することは、遠心弁の正常な動作を確実に保証するための前提条件となる。特に、遠心弁は、ドラム洗濯機の洗浄及びすすぎ段階で閉止を維持する必要があるため、通常は構造にバネが含まれている。バネに糸屑が絡まった場合には、除去が難しいだけでなく、バネの正常な動作に深刻な影響が及び、遠心弁が所定の位置で閉止しなくなる。そして、その結果、孔無し内槽の節水及び自動クリーニングの効果を実現できなくなる。
【0006】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許出願第201410215346.3号明細書
【文献】中国特許出願第201710320239.0号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の目的は、洗濯機用衣類リフティング装置を提供することであり、具体的には、以下の技術方案を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
洗濯機用衣類リフティング装置は、開口した空洞を内部に有するリフティング筐体、前記リフティング筐体の開口端を塞いで収容室を形成するリフティングベース、リフティング筐体及び/又はリフティングベースに設置されて収容室と連通し、収容室に進入する水を濾過する入水濾過部、及び、収容室内に設置される遠心排水アセンブリ、を含む。前記遠心排水アセンブリの初期状態は閉状態であり、遠心力の作用で開放されて排水可能となる。
【0010】
更に、前記入水濾過部はリフティング筐体に設置される筐体入水濾過部を含む。前記筐体入水濾過部は、リフティング筐体に設置されて収容室と連通するいくつかの濾水孔である。
【0011】
更に、前記リフティング筐体にはいくつかの噴射口が開設されている。前記入水濾過部は、リフティング筐体に設置される筐体入水濾過部を含み、前記筐体入水濾過部は全ての前記噴射口を覆うフィルタネットである。
【0012】
更に、前記リフティングベースは、前記リフティング筐体の開口端に適合する密封カバープレートである。
【0013】
更に、前記入水濾過部は、リフティングベースに設置されるベース入水濾過部を含む。前記ベース入水濾過部は、リフティングベースに設置されて収容室と連通するいくつかのベース濾水孔である。
【0014】
更に、前記リフティングベースにはいくつかの透水口が開設されている。前記入水濾過部は、リフティングベースに設置されるベース入水濾過部を含み、前記ベース入水濾過部は、全ての前記透水口を覆うフィルタネットである。
【0015】
更に、前記遠心排水アセンブリは、往復運動可能な密封プランジャと、密封プランジャの弾性復元に用いられる弾性部材を含む。前記リフティングベースには、密封プランジャを装着するためのプランジャシートが備わっている。前記密封プランジャは密封部を有する。前記プランジャシートはスリーブ部を有し、前記密封部は摺動及び密封可能にスリーブ部内に設置される。前記弾性部材は、密封部によって密封スリーブ内に密封状に設置される。
【0016】
更に、前記密封プランジャは密封ロッド及び密封プラグを含む。前記密封ロッドは案内ロッド部を含む。前記密封部は、案内ロッドの一端に設置される密封ロッド部である。前記密封プラグは密封ロッド部の端部に設置される。前記スリーブ部は、案内スリーブ及び密封スリーブを含む。前記案内ロッド部は、往復運動可能に案内スリーブ内に設置され、前記密封ロッド部は、摺動及び密封可能に密封スリーブ内に設置される。前記弾性部材は案内スリーブ内に設置される。弾性部材は、一端が案内スリーブに当止しており、他端が案内ロッド部又は密封ロッド部に当止している。
【0017】
好ましくは、前記案内スリーブ及び密封スリーブは、いずれも円筒形をなしており、且つ内径が同じである。前記案内ロッド部及び密封ロッド部はいずれも円柱形をなしており、案内ロッド部の外径が密封ロッド部の外径よりも小さい。前記密封ロッド部の外径は、密封スリーブの内径と等しいかやや小さい。
【0018】
更に好ましくは、前記案内スリーブと密封スリーブは一体的に成型され、前記案内ロッド部と密封ロッド部は一体的に成型される。
【0019】
更に、前記遠心排水アセンブリは、遠心力の作用で遠心運動を発生させる遠心部材を含む。前記遠心部材は接続部及びカウンタウェイト部を含む。接続部は、一端がカウンタウェイト部に接続され、他端が密封プランジャに回動可能に接続される。接続部の中央部は、回動可能にプランジャシートに装着されて梃子構造を形成する。
【0020】
好ましくは、前記接続部は接続ロッドであり、前記カウンタウェイト部はカウンタウェイトである。前記プランジャ孔ロッドはカウンタウェイト部に向かって延伸する延伸部を有し、前記接続ロッドの中央部は回転軸を介して延伸部に回動可能に接続される。
【0021】
本発明の第2の目的は、上記の衣類リフティング装置を備えるドラム洗濯機を提供することである。具体的に、前記洗濯機用衣類リフティング装置を備えるドラム洗濯機は、内槽と、開放/閉止可能に内槽の槽口に装着される内槽ドア、を含む。前記内槽ドアは、閉止時に内槽とともに独立した洗浄室を形成し、洗濯時に独立して洗浄水を収容させる。前記内槽の側壁には排水口が設置され、前記リフティング装置は、内槽の内壁の排水口上に装着される。前記遠心排水アセンブリは排水口を閉塞及び閉止する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の衣類リフティング装置は、ドラム洗濯機の内槽の内壁に装着可能であり、洗濯過程において、内槽の回動に伴い衣類を一定の高さまで持ち上げたあと、叩き付けるように落下させる。本発明では、衣類リフティング装置内に遠心排水アセンブリをまとめて設置する。遠心排水アセンブリの初期状態は閉状態であり、内槽の密閉を維持することで洗浄水を独立して収容させる。また、遠心力の作用により、遠心排水アセンブリは開放されて排水を実施可能となり、孔無し内槽を有するドラム洗濯機の排水を実現する。
【0023】
本発明のドラム洗濯機は、内槽の槽口に内槽ドアを装着し、内槽に孔無し槽設計を採用している。これらにより、洗濯時に洗浄水を独立して収容する独立した洗浄室が形成されるため、内槽と外槽の間に洗浄水/すすぎ水を満たす必要がなく、洗濯機の洗浄用水量を極めて大きく減少させられる。また、内槽と外槽の間に汚れが付着する恐れも回避される。よって、ユーザの健康及びユーザエクスペリエンスが極めて大きく向上するとともに、膨大な水資源の節約となる。
【0024】
本発明における洗濯機用衣類リフティング装置は、開口した空洞を内部に有するリフティング筐体と、前記リフティング筐体の開口端を塞いで収容室を形成するリフティングベースと、リフティング筐体及び/又はリフティングベースに設置されて収容室と連通し、収容室に進入する水を濾過する入水濾過部、を含む。こうすることで、遠心排水アセンブリが位置する収容室は内槽の内部とは独立したエリアとなる。当該エリアは、入水濾過部によって内槽との連通を維持しつつ、糸屑を効果的に濾過可能なため、遠心排水アセンブリは、糸屑が存在しないか、糸屑が極めて少ない環境に位置することになる。これにより、糸屑付着の可能性が根本的に回避されることから、遠心排水アセンブリの動作の信頼性が効果的に保証される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施例におけるドラム洗濯機の概略原理図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における洗濯機用衣類リフティング装置の立体構造の概略
図1である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における洗濯機用衣類リフティング装置の立体構造の概略
図2である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1における洗濯機用衣類リフティング装置の正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1における洗濯機用衣類リフティング装置の
図4のA-A面に沿う断面図である(一実施形態)。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1における洗濯機用衣類リフティング装置の
図4のA-A面に沿う断面図である(別の実施形態)。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1における洗濯機用衣類リフティング装置の
図4のB-B面に沿う断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2におけるドラム洗濯機の概略原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を組み合わせて、本発明における洗濯機用衣類リフティング装置及びドラム洗濯機について詳細に述べる。
【0027】
図1~
図8に示すように、本実施例は、孔無し内槽を有する前開き構造のドラム洗濯機を提供する。本構造はシンプルであり、内槽と外槽の間に洗浄水/すすぎ水を満たす必要がないため、洗濯機の洗浄用水量を極めて大きく減少させられる。また、内槽と外槽の間に汚れが付着する恐れも回避される。これにより、ユーザの健康及びユーザエクスペリエンスが極めて大きく向上するとともに、膨大な水資源の節約となる。
【0028】
本実施例のドラム洗濯機はハウジング19を有している。ハウジング19は、上部パネル2、前方パネル、後方パネル及びボトムプレートを含む。ボトムプレートには、洗濯機全体を支持するための底脚9が装着固定されている。ハウジング19の内部には外槽18が備わっており、外槽18内に内槽17が同軸に設置されている。外槽18の主な目的は、内槽17からの排水及び内槽17の高速遠心脱水に伴う排水を収集することである。内槽17が回転すると(好ましくは、リフティングリブを設置する)、衣類が継続的に昇降して叩き付けられることで洗濯が行われる。内槽17は孔無し構造となっている。また、外槽18は、軸受12が装着固定される中心装着孔を有している。且つ、内槽17にしっかりと接続された内槽軸13が、前記軸受12に挿通されるとともに、駆動モータ16に接続されている。内槽17の前部の槽口には開放/閉止可能な内槽ドア6が装着されており、これにより内槽17の密封室構造が実現される。
【0029】
本実施例のハウジング19には、開放/閉止可能な本体ドア5が装着されている。
【実施例1】
【0030】
図1~
図7は、本実施例における洗濯機用衣類リフティング装置及びドラム洗濯機を示す。
【0031】
洗濯機用衣類リフティング装置32は、開口した空洞を内部に有するリフティング筐体3201、前記リフティング筐体3201の開口端を塞いで収容室を形成するリフティングベース3208、リフティング筐体3201及び/又はリフティングベース3208に設置されて収容室と連通し、収容室に進入する水を濾過する入水濾過部、及び、収容室内に設置される遠心排水アセンブリ、を含む。前記遠心排水アセンブリの初期状態は閉状態であり、遠心力の作用で開放されて排水可能となる。
【0032】
本実施例における衣類リフティング装置32は、ドラム洗濯機の内槽の内壁に装着可能であり、洗濯過程において、内槽の回動に伴い衣類を一定の高さまで持ち上げたあと、叩き付けるように落下させる。本実施例では、衣類リフティング装置32内に遠心排水アセンブリをまとめて設置する。遠心排水アセンブリの初期状態は閉状態であり、内槽の密閉を維持することで洗浄水を独立して収容させる。また、遠心力の作用により、遠心排水アセンブリは開放されて排水を実施可能となり、孔無し内槽を有するドラム洗濯機の排水を実現する。
【0033】
つまり、本実施例では、リフティング装置32内に遠心排水アセンブリを設置する。これにより、孔無し内槽を有するドラム洗濯機において衣類のリフティング及び排水が実現されるだけでなく、モジュール化して出荷することで、生産時の組み立てが容易となり、組み立て効率が向上する。
【0034】
本実施例の遠心排水アセンブリは初期状態が閉状態である。そのため、遠心排水アセンブリは、押圧力を付与して閉状態を維持するための圧縮バネを含んでいる。一方、遠心排水アセンブリが位置する水中には、否応なく衣類の糸屑が含まれる。糸屑は、弾性部材に引っ掛かると容易には脱落せず、排水水流や遠心水流及び遠心力によっても糸屑を弾性部材から離脱させられない場合がある。更に、弾性部材に引っ掛かった糸屑は一定の長さを有するため、引っ掛かっていない一部の部位が、排水水流や遠心水流及び遠心力の作用で内槽の排水孔及び/又は密封プランジャ付近まで到達し、密封不能になるとの問題が発生する。
【0035】
遠心排水アセンブリは孔無し内槽にとって重要な排水部材であり、これが正常に動作し得るか否かによって、孔無し内槽が節水やクリーニングの目的を達成し得るか否かが直接的に決定される。そこで、糸屑の付着が遠心排水アセンブリに及ぼす影響を回避するために、本実施例における洗濯機用衣類リフティング装置32は、開口した空洞を内部に有するリフティング筐体3201と、前記リフティング筐体3201の開口端を塞いで収容室を形成するリフティングベース3208と、リフティング筐体3201及び/又はリフティングベース3208に設置されて収容室と連通し、収容室に進入する水を濾過する入水濾過部、を含む。こうすることで、遠心排水アセンブリが位置する収容室は内槽の内部とは独立したエリアとなる。当該エリアは、入水濾過部によって内槽との連通を維持しつつ、糸屑を効果的に濾過可能なため、遠心排水アセンブリは、糸屑が存在しないか、糸屑が極めて少ない環境に位置することになる。これにより、糸屑付着の可能性が根本的に回避されることから、遠心排水アセンブリの動作の信頼性が効果的に保証される。
【0036】
収容室内に進入する水を濾過するために、本実施例の一実施形態として、本実施例における上記の入水濾過部は、リフティング筐体3201に設置される筐体入水濾過部を含む。前記筐体入水濾過部は、リフティング筐体に設置されて収容室と連通するいくつかの濾水孔である。本実施形態の濾水孔は孔径が小さいが、リフティング筐体3201の表面における分布数が極めて多いため、第一に、出入りする水の流量が保証され、第二に、糸屑を効果的に濾過可能である。
【0037】
本実施例の別の実施形態として、前記リフティング筐体3201にはいくつかの噴射口3210が開設されている。また、前記入水濾過部は、リフティング筐体に設置される筐体入水濾過部を含む。前記筐体入水濾過部は、全ての前記噴射口3210を覆うフィルタネットである。本実施形態では、噴射口3210のサイズや数を特に制限しない。フィルタネットを使用することで、糸屑の濾過を実現可能となり、且つ、濾過効果が一段と良好になる。そのほか、フィルタネットの着脱がより容易となるよう、本実施例のリフティング筐体3201にはフィルタネット取り外し口が開設されており、フィルタネット取り外し口に開閉可能なカバープレートが装着される。
【0038】
本実施例では、独立したエリアに収容室が位置するよう保証すべく、前記リフティングベース3208が、前記リフティング筐体3201の開口端に適合する密封カバープレートとなっている。
【0039】
図5に示すように、本実施例におけるリフティングベース3208は完全密閉状態となっており、進入する水は、リフティング筐体3201上の濾水孔又は噴射口3210からのみ収容室に進入可能である。
【0040】
図6に示すように、本実施例における入水濾過部は、リフティングベース3208に設置されるベース入水濾過部を含む。前記ベース入水濾過部は、リフティングベース3208に設置されて収容室と連通するいくつかのベース濾水孔3226である。
【0041】
本実施例において、リフティングベース3208に入水濾過部を設置するための別の実現方式として、前記リフティングベース3208にはいくつかの透水口が開設される。また、前記入水濾過部は、リフティングベースに設置されるベース入水濾過部を含む。前記ベース入水濾過部は、全ての前記透水口を覆うフィルタネットである。上記と同様に、フィルタネットを着脱しやすいよう、本実施例のリフティング筐体3201にはフィルタネット取り外し口が開設されており、フィルタネット取り外し口に開閉可能なカバープレートが装着される。
【0042】
そのほか、本実施例における上記のリフティング筐体3201は、環状基部3211と、環状基部3211に一体的に成型されて、一方の側に突出及び延伸する突出部3212を含む。本実施例におけるリフティングベース3208は、環状基部3211の内部まで伸入してその周方向に固定的に接続される。前記環状基部には、リフティングベース3208における入水を実現する入水口3209が開設される。
【0043】
上記と同様に、本実施例では、入水口3209を孔径の小さないくつかの濾水孔として設計してもよいし、入水口にフィルタネットを装着して糸屑の濾過を実現してもよい。この場合には、リフティングベース3208に入水濾過部を設置しなくともよい。
【0044】
更に、前記遠心排水アセンブリは、往復運動可能な密封プランジャと、密封プランジャの弾性復元に用いられる弾性部材3203を含む。前記リフティングベース3208には、密封プランジャを装着するためのプランジャシートが備わっている。前記密封プランジャは密封部を有する。前記プランジャシートはスリーブ部を有し、前記密封部は摺動及び密封可能にスリーブ部内に設置される。前記弾性部材は、密封部によって密封スリーブ内に密封状に設置される。
【0045】
更に、本実施例における上記の密封プランジャは、密封ロッド3213及び密封プラグ3204を含む。前記密封ロッド3213は案内ロッド部3222を含む。前記密封部は、案内ロッド3222の一端に設置される密封ロッド部3223である。前記密封プラグ3204は密封ロッド部3223の端部に設置される。前記スリーブ部は、案内スリーブ3214及び密封スリーブ3221を含む。前記案内ロッド部3222は、往復運動可能に案内スリーブ3214内に設置され、前記密封ロッド部3223は、摺動及び密封可能に密封スリーブ3221内に設置される。前記弾性部材3203は案内スリーブ3214内に設置される。弾性部材3203は、一端が案内スリーブ3214に当止しており、他端が案内ロッド部3222又は密封ロッド部3223に当止している。本実施例では、案内ロッド部3222が案内スリーブ3214内で往復運動するのに付随して、密封プラグ3204が特定の経路に沿って往復運動することで、内槽の排水口の開閉制御を実現する。また、密封ロッド部3223を摺動及び密封可能に密封スリーブ3221内に設置し、案内スリーブ3214内への弾性部材3203の密封を実現することで、弾性部材3203が外部に露出して糸屑が引っ掛かるとの事態が回避される。
【0046】
更に、前記案内スリーブ3214及び密封スリーブ3221は、いずれも円筒形をなしており、且つ内径が同じである。また、前記案内ロッド部3222及び密封ロッド部3223はいずれも円柱形をなしており、案内ロッド部3222の外径が密封ロッド部3223の外径よりも小さい。前記密封ロッド部3223の外径は、密封スリーブ3221の内径と等しいかやや小さい。
【0047】
好ましくは、前記案内スリーブ3214と密封スリーブ3221は一体的に成型され、前記案内ロッド部3222と密封ロッド部3223は一体的に成型される。
【0048】
そのほか、本実施例における案内スリーブ3214内には、案内ロッド部3222に適合する内リングが備わっている。内リングと案内スリーブ3214の内壁の間には間隔が設けられ、且つ、密封スリーブ3221の方向に開口することで、前記弾性部材3203を装着する装着室3225が形成されている。好ましくは、前記弾性部材3203は案内ロッド部3222に覆設される円筒バネである。
【0049】
本実施例における前記密封ロッド部3223の端部には装着ロッド3224が設置される。装着ロッド部3224には位置規制フランジが備わっており、前記密封プラグ3204は開口した位置規制凹溝を有している。前記位置規制フランジは、前記位置規制凹溝内に位置規制及び装着される。
【0050】
更に、本実施例における上記の遠心排水アセンブリは、遠心力の作用で遠心運動を発生させる遠心部材を含む。前記遠心部材は、接続部3218及びカウンタウェイト部3217を含む。接続部3218は、一端がカウンタウェイト部3217に接続され、他端が密封プランジャ3213に回動可能に接続される。接続部3218の中央部は、回動可能にプランジャシートに装着されて梃子構造を形成する。
【0051】
本実施例の接続部3218の一端には、密封プランジャ3213の端部に回動可能に接続される第1接続孔3215が設置され、接続部3218の中央部には第2接続孔3216が設置される。
【0052】
リフティング筐体3201とリフティングベース3208との固定的な接続を実現するために、前記リフティングベース3208はベース固定ロッド3205を有する。また、前記リフティング本体3201の開口した空洞内には、開口端に向かって延伸する接続リブ3219が備わっており、前記ベース固定ロッド3205が接続リブ3219に固定的に接続される。
【0053】
好ましくは、前記遠心排水アセンブリはリフティングベース3208の中央部に設置される。また、前記ベース固定ロッド3205を少なくとも2つ含み、遠心排水アセンブリの両側に対称に設置する。
【0054】
更に、本実施例における上記のベース固定ロッド3205と接続リブ3219は係接構造により係接及び位置決めされる。また、前記ベース固定ロッド3205と接続リブ3219を位置決めしたあと、接続部材3207によって固定的に接続する。
【0055】
好ましくは、前記接続リブ3219には係接突起が設置される。前記ベース固定ロッド3205には接続リブを伸入させる経路が備わっており、経路の周壁には前記係接突起に係合及び係接される係接溝が設置される。
【0056】
本実施例における上記の接続リブ3219には接続孔が設置され、前記ベース固定ロッド3205には接続孔に対向する位置決め孔が設置される。前記接続部材3207は、位置決め孔を貫通して接続孔に固定的に接続される。好ましくは、前記接続部材3207は接続ネジである。
【0057】
内槽内へのリフティング装置の装着を実現するために、本実施例における上記のリフティング筐体3201の開口の両端には、リフティング装置を固定的に取り付けるための筐体固定ロッド3202がそれぞれ設置される。また、前記リフティングベース3208における筐体固定ロッド3202に対応する位置はこれを回避するよう設置される。本実施例における筐体固定ロッド3202によれば、内槽内に装着されるリフティング装置の構造が変化しないため、取り付け時の学習コストが低下し、組み立て効率が向上する。
【0058】
図1に示すように、本実施例は、更に、前記洗濯機用衣類リフティング装置を備えるドラム洗濯機を提供する。当該ドラム洗濯機は、内槽17と、開放/閉止可能に内槽17の槽口に装着される内槽ドア6を含む。
【0059】
前記内槽ドア6は、閉止時に内槽17とともに独立した洗浄室を形成し、洗濯時に独立して洗浄水を収容させる。
【0060】
前記内槽17の側壁には排水口が設置される。前記リフティング装置32は、内槽17の内壁の排水口上に装着され、前記遠心排水アセンブリが排水口を閉塞及び閉止する。
【0061】
本実施例のドラム洗濯機は、内槽17の槽口に内槽ドア6を装着し、内槽17に孔無し槽設計を採用している。これらにより、洗濯時に洗浄水を独立して収容する独立した洗浄室が形成されるため、内槽と外槽の間に洗浄水/すすぎ水を満たす必要がなく、洗濯機の洗浄用水量を極めて大きく減少させられる。また、内槽と外槽の間に汚れが付着する恐れも回避される。よって、ユーザの健康及びユーザエクスペリエンスが極めて大きく向上するとともに、膨大な水資源の節約となる。
【0062】
更に、前記内槽17の側壁には、リフティング装置32を固定的に取り付けるための固定孔が設置され、前記リフティング装置32は、接続部材によって前記固定孔に密封状に固定される。密封状に接続することで、内槽17の密閉が維持されるため、洗浄水を独立して収容するとの発明の目的が実現される。
【0063】
本実施例におけるドラム洗濯機の制御方法では、洗濯機が内槽を含み、衣類の洗浄時に内槽内に洗浄水が収容される。内槽の側壁には排水孔が開設されており、排水孔には開通/閉止を制御するリフティング装置が装着されている。制御方法は、以下を含む。即ち、洗濯機の洗濯過程において、内槽の回転速度が所定の回転速度N0に達するか、N0を超えるよう制御することで、リフティング装置の遠心排水アセンブリが遠心力を受けて排水孔を開放し、内槽からの排水を行う。
【0064】
本実施例の排水装置は遠心排水アセンブリを採用している。制御方法としては、内槽の回転を制御して遠心力を発生させることで、遠心排水アセンブリを開放し、排水を実現する。このように、遠心排水アセンブリ+プログラム制御という方式で、孔無し内槽を有するドラム洗濯機の排水及び脱水を実現する。
【0065】
本実施例の一実施形態として、洗濯機が洗浄プログラム又はすすぎプログラムの実行を完了したあと、内槽の回転速度が第1回転速度N1となるよう制御して、所定の時間t1だけ維持する。前記N1≧N0である。また、N0は洗浄プログラム又はすすぎプログラムにおける内槽の回転速度よりも大きい。内槽が回転速度N1を維持したまま回転時間がt1に達すると、内槽の回転を停止して次のプログラムに進むよう制御する。
【0066】
好ましくは、N1は110~400回転/分であり、より好ましくは、170±50回転/分であり、更に好ましくは、150±20回転/分である。
【0067】
好ましくは、t1の範囲は0.1~5分の間であり、より好ましくは、1~2分である。
【0068】
更に、洗濯機は、内槽内の重量を計測する計量装置を含む。計量装置は、内槽がN1での回転を開始する前の内槽内の重量W0を計測する。そして、回転時間がt1に達したあと、計量装置は内槽内の重量W1を検出し、制御システムが、W1とW0の比較に基づいて排水が正常か否かを判断する。
【0069】
更に、制御システムは、W1/W0の値kを比較することで排水が異常か否かを判断する。制御システムは、k≧0.7の場合には排水異常と判断して警告を発し、そうでない場合には排水が正常であると判断する。
【0070】
本実施例の更なる実施形態として、洗濯機が洗浄プログラム又はすすぎプログラムの実行を完了したあと、内槽の回転速度が第1回転速度N1となるよう制御する。前記N1≧N0である。また、N0は洗浄プログラム又はすすぎプログラムにおける内槽の回転速度よりも大きい。そして、内槽内の水を排出し終わると、内槽の回転を停止して次のプログラムに進むよう制御する。
【0071】
更に、洗濯機は、内槽内の重量を計測する計量装置を含む。洗濯機が内槽にN1での回転を維持させるよう制御する過程において、制御システムは、計量装置によってリアルタイムで検出される内槽内の重量値に基づき、排水が完了したか否かを判断する。
【0072】
更に、制御システムが、計量装置によってリアルタイムで検出される内槽内の重量値に基づき、排水が完了したか否かを判断する際には、以下を含む。
【0073】
計量装置によってリアルタイムで検出される内槽内の重量値をW0、W1、W2、・・・・・・、Wtとし、隣り合う時間の計量値を減算する。このとき、n1=W1-W0、n2=W2-W1、・・・・・・、nt=(Wt)-(Wt-1)とする。そして、ntが一定の時間変化せず、且つ0に近付いている場合には、排水が完了したとする。
【0074】
更に、制御システムは、n1、n2、・・・・・・、ntの変化の状況を比較して、排水が正常か否かを判断する。そして、n1=n2=・・・・・・=nt=0の場合、制御システムは排水異常と判断して警告を発する。
【0075】
更に、洗濯機は脱水プログラムを実行する。前記脱水プログラムにおける最低脱水回転速度N2はN0以上である。
【実施例2】
【0076】
本実施例では、主に、孔無し内槽を有するドラム洗濯機について、給水量を如何に正確に決定するかとの課題を解決する。具体的な方案は以下の通りである。
【0077】
図8に示すように、ドラム洗濯機は、内槽17、及び内槽17と連通する給水管路を含む。前記内槽17は孔無し内槽であり、洗濯時に洗浄水が収容される。また、前記給水管路には、給水流量を検出するための流量センサ1が設置されている。
【0078】
本実施例では、給水管路に流量センサ1を設置して給水時の流量を監視し、所定の給水量に達した場合に給水弁20を閉止することで給水を完了する。本実施例では、流量センサを利用して、孔無し内槽を有するドラム洗濯機の所定水位に基づく給水の問題を解決しているため、洗浄効果が確保される。また、構造がシンプルであり、制御が容易である。
【0079】
更に、本実施例のドラム洗濯機は、給水弁20と洗剤ケース3を含んでいる。前記給水管路は、第1給水管と第2給水管を含む。給水弁20の出口端は第1給水管を通じて洗剤ケース3と連通しており、洗剤ケース3の出口端は第2給水管を通じて内槽17と連通している。前記流量センサ1は、第1給水管又は第2給水管に設置される。
【0080】
好ましくは、前記流量センサ1は第1給水管に設置される。これにより、洗剤ケース内の洗剤が流量センサ1に進入するとの事態を防止可能となる。
【0081】
本実施例のドラム洗濯機は主制御装置4を含む。前記流量センサ1と主制御装置4は回路を通じて電気的に接続される。主制御装置4は、内槽17への給水量をリアルタイムで収集可能であり、所定の給水量に達すると給水弁20を閉止する。
【0082】
本実施例の一実施形態として、前記流量センサ1は、ロータ流量センサ、又はタービン流量センサ、又は超音波流量センサ、又は電磁流量センサ、又はオリフィス流量センサである。
【0083】
流量センサ1は、本実施例における前記給水管路の任意の位置に設置可能であるが、好ましくは、給水弁20の後部に設置して、密封された内槽17に進入する水流量を正確に計測する。前記流量センサ1の回路は主制御装置4に接続されている。主制御装置4は、内槽17への給水量をリアルタイムで収集可能であり、所定の給水量に達すると給水弁20を閉止する。
【0084】
本実施例における孔無し内槽への給水を実現するために、本実施例のドラム洗濯機は駆動モータ16と内槽軸13を含んでいる。前記駆動モータ16は、内槽軸13を介して内槽17に伝動可能に接続されており、内槽17を回転させる。前記内槽軸13内には内槽17の内部と連通する中空経路14が備わっており、前記給水管路が内槽軸13の中空経路と連通している。
【0085】
具体的に、前記内槽軸13は駆動モータ16に接続されている。駆動モータ16はステータ及びロータを含んでおり、ロータが内槽軸13に固定的に接続されている。前記ロータの中心には貫通孔が設けられており、前記給水管路がロータの貫通孔を貫通して内槽軸13の中空経路14と連通している。
【0086】
更に、前記給水管路とロータの貫通孔の間には第1動的シール構造15が設けられており、ロータの貫通孔と内槽軸13の中空経路14との間には第2シール構造が設けられている。
【0087】
孔無し内槽からの排水を実現するために、本実施例のドラム洗濯機は外槽18を含んでいる。前記内槽17の側壁には内槽排水孔が開設されており、内槽排水孔には常時閉のチェックバルブプラグ11が装着されている。また、前記外槽18には、チェックバルブプラグ11を押し開けて排水するための押上ロッド機構10が装着されている。
【0088】
本実施例の一実施形態として、前記外槽18には、内槽17の回転をロックするためのロック機構が更に設けられている。ロック機構が内槽をロックしたあとに、押上ロッド機構10がチェックバルブプラグ11を押し開けて排水を行う。
【0089】
本実施例の別の実施形態として、本実施例における上記の内槽17の側壁には複数の脱水孔が開設されており、脱水孔にはいずれも遠心弁が装着されている。内槽が一定の回転速度となるよう制御することで、前記遠心弁は、脱水の遠心力の作用で開放されて、洗浄時の排水又は脱水時の排水を行う。
【0090】
本実施例は、更に、前記ドラム洗濯機の制御方法を提供する。洗濯機は洗浄/すすぎプログラムを実行し、給水過程で流量センサにより給水流量値をリアルタイムで検出する。洗濯機は、給水流量値と給水時間に基づいて給水量を算出し、給水量が洗濯機の所定の給水量に達すると給水を停止する。
【0091】
ドラム洗濯機には、ユーザが選択可能な複数の給水流量値が設定されており、洗濯機はユーザが選定した給水流量値に基づき給水を行う。
【0092】
ドラム洗濯機は衣類計量機能を有しており、衣類の重量に基づいて給水流量値を決定し、給水を実施可能である。
【0093】
上記の実施例は単独で実施してもよいし、互いに組み合わせて実施してもよい。
【0094】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変更或いは補足は、同等に変形された等価の実施例であって、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。