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特許7550867医療用容器のためのアダプタおよび前記アダプタを備える医療用容器
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  • 特許-医療用容器のためのアダプタおよび前記アダプタを備える医療用容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】医療用容器のためのアダプタおよび前記アダプタを備える医療用容器
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A61M39/10 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022549570
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2021053760
(87)【国際公開番号】W WO2021165254
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】20305150.3
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ウーヴラード
(72)【発明者】
【氏名】セドリック リヴィエ
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3269418(EP,A1)
【文献】特表2012-511983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0127150(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0209553(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用容器(100)を、その近位端に接続手段(202)を備えた近位領域(201)を有するコネクタ(200)に接続するためのアダプタ(1)であって、該アダプタ(1)は、
医療用容器(100)の遠位先端(102)に固定されるように構成された近位部(2)と、
前記医療用容器(100)の前記遠位先端(102)と前記コネクタ(200)の間の流体連通を確立するために、前記コネクタ(200)の前記近位領域(201)を受け入れるように構成された遠位部(4)と、
前記コネクタ(200)が前記アダプタ(1)内の所定の位置に到達したときに、前記接続手段(202)を軸方向のスナップフィット関係で係合するように構成された複数の長手方向突起(5)と、
を備え、
前記複数の長手方向突起(5)は、前記遠位部(4)の内面(4a)上に円周方向に分布しており、
前記長手方向突起(5)は、前記コネクタ(200)が前記アダプタ(1)内で軸方向に近位に移動するにつれて、前記接続手段(202)に徐々に増加する半径方向の圧力を及ぼすように構成された遠位部分(6)と、前記コネクタ(200)がさらに軸方向に近位に移動すると前記圧力を部分的に解放できるように構成された近位部分(7)とからなり、前記近位部分(7)は、前記圧力の前記部分的な解放時に前記接続手段(202)によって接触され、前記接続手段(202)によって接触されると音を発するようにさらに構成され、それによって、前記コネクタ(200)と前記アダプタ(1)との間の接続が固定されていることを触覚および聴覚でエンドユーザに示すものであり、
前記長手方向突起(5)の遠位部分(6)が、第1の半径方向厚さを有する第1の壁(8)を備え、前記第1の半径方向厚さの値が、前記遠位部分(6)の遠位端(6a)から前記遠位部分(6)の近位端(6b)へと増加し、かつ
前記長手方向突起(5)の近位部分(7)が、実質的に一定の第2の半径方向厚さを有する第2の壁(9)を備え、前記第2の半径方向厚さの値は、前記遠位部分(6)の遠位端(6a)において前記第1の半径方向厚さの値より大きく、前記遠位部分(6)の近位端(6b)において前記第1の半径方向厚さの値より小さくなっていることを特徴とする、アダプタ(1)。
【請求項2】
前記長手方向突起(5)は、前記遠位部(4)の内面(4a)上に周方向に規則的に分布している、請求項1に記載のアダプタ(1)。
【請求項3】
前記遠位部(4)の前記内面(4a)に周方向に規則的に分布する少なくとも4つの長手方向突起(5)を備える、請求項1または2に記載のアダプタ(1)。
【請求項4】
前記遠位部(4)の前記内面(4a)に周方向に規則的に分布する6つの長手方向突起(5)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項5】
前記第2の壁(9)は、前記第1の壁(8)の周方向幅W1よりも小さい周方向幅W2を示す、請求項1から4のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項6】
遠位先端(102)と、請求項1から5のいずれか一項に記載のアダプタ(1)とを備え、前記アダプタ(1)は、前記医療用容器(100)の前記遠位先端(102)に装着される、医療用容器(100)。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載のアダプタ(1)の製造方法であって、前記方法は、射出成形によって前記アダプタを形成するステップを含むことを特徴とするアダプタ(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器をコネクタに接続するためのアダプタおよび前記アダプタを備える医療用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願において、構成部分またはデバイスの遠位端は、使用者の手から最も遠い端を意味すると理解され、近位端は、使用者の手に最も近い端を意味すると理解されるものである。同様に、本出願において、「遠位方向」は、本発明のアダプタまたは医療容器に関して、注入の方向を意味すると理解され、「近位方向」は、上記注入の方向とは反対の方向、すなわち、注入操作に関して、容器を保持している使用者の手に向かう方向を意味すると理解されるものである。
【0003】
基本的に、例えば注射器などの医療用容器は、通常、医療用製品を収容するためのリザーバを形成する容器を備える。容器は、医薬品が容器から排出される軸方向の通路を画定する長手方向の先端の形態の遠位端を有する。しかしながら、この長手方向の先端は、それ自体で非経口投与を可能にせず、注射器を針ハブなどのコネクタに接続することを可能にする杭付き針またはアダプタのいずれかを備えなければならない。
【0004】
リザーバと前記コネクタとの間に安全な流体経路を確立するために、コネクタが容器の遠位端と正しく係合することが重要である。
【0005】
アダプタへのコネクタの多数の接続は、コネクタをアダプタにねじ込むことによって実行される。そのような場合、コネクタをアダプタに適切にねじ込むことが重要である。エンドユーザは、コネクタの適切な継手を容器の遠位端に取り付けるために、コネクタをアダプタにねじ込むときに十分なトルクをかけなければならない。アダプタへのねじ込みが不十分だと、容器とコネクタとの間で液体を移送する際に、コネクタが飛び出したり、コネクタとシリンジ先端の間で液漏れが発生したりし得る。あるいは、コネクタをアダプタにねじ込みすぎると、アダプタの回転または傾きにつながり得る。
【0006】
コネクタをアダプタに接続する別の方法は、例えば、スナップフィット接続によって、コネクタとアダプタとの間の軸方向の接続を実行することである。それにもかかわらず、そのような場合には、コネクタがアダプタに正しく接続されていること、すなわち、コネクタがアダプタ内の軸方向の位置にあり、医療用容器の遠位先端とコネクタとの間の流体連通を可能にしていることを確認することもまた、望ましい。
【発明の概要】
【0007】
したがって、コネクタがアダプタに正しく接続され、したがって、接続および注入ステップ中のエンドユーザの信頼性を向上させるという指標をエンドユーザに提供する医療用容器が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、医療用容器を、その近位端に接続手段を備えた近位領域を有するコネクタに接続するためのアダプタであって、
医療用容器の遠位先端に固定されるように構成された近位部と、
前記医療用容器の前記遠位先端と前記コネクタとの間に流体連通を確立するために、前記コネクタの前記近位領域を受け入れるように構成された遠位部と、
前記コネクタが前記アダプタの所定の位置に達したときに、前記接続手段を軸方向のスナップフィット関係で係合するように構成された複数の突起と、
前記複数の長手方向突起が前記遠位部の内面上に円周方向に分布し、
前記長手方向突起であって、前記コネクタが前記アダプタ内で軸方向に近位に移動されるときに前記接続手段に徐々に増加する半径方向の圧力を加えるように構成された遠位部分と、前記コネクタがさらに軸方向に近位に移動されるときに前記圧力の部分的な解放を許可するように構成された近位部分と、を備え、前記近位部分は、前記圧力の前記部分的な解放時に前記接続手段によって接触され、前記接続手段によって接触されたときに音を発するようにさらに構成され、それによって、前記コネクタと前記アダプタとの間の前記接続が確保されることをエンドユーザに触覚のおよび可聴の表示を提供する、前記長手方向突起と、を備え、
前記長手方向突起の前記遠位部分は、第1の半径方向の厚さを有する第1の壁を含み、前記第1の半径方向の厚さの前記値は、前記遠位部分の遠位端から前記遠位部分の近位端まで増加し、
前記長手方向突起の前記近位部分は、実質的に一定の第2の半径方向の厚さを有する第2の壁を含み、前記第2の半径方向の厚さの前記値は、前記遠位部分の前記遠位端における前記第1の半径方向の厚さの前記値よりも大きく、前記遠位部分の前記近位端における前記第1の半径方向の厚さの前記値よりも小さい。
【0009】
特に、アダプタ内のコネクタによって到達される前記所定の位置は、アダプタ内の接続手段の所定の深さに対応し得る。前記所定の深さは、漏れがない深さであると定義される。漏れの限界は、2016年ISO80369-7、パラグラフ6.1および6.2によって定義することができる。このような所定の位置では、コネクタとアダプタとの間の接続が確保される。
【0010】
したがって、本発明のアダプタは、コネクタとアダプタとの間の接続が正しく完了し、流体移送中のコネクタの漏れまたは飛び出しのリスクが回避されることをエンドユーザに知らせることを可能にする。アダプタの長手方向突起の構造は、コネクタの接続手段がもはや力を必要としないこれらの長手方向突起の近位部分に到達するまで、エンドユーザが増加する力を提供することを必要とする。結果として、これは、エンドユーザに、接続が正しく実行され、終了されることを触覚的かつ可聴的に示す。さらに、これにより、接続ステップおよび注入ステップ中のエンドユーザの信頼感も向上する。
【0011】
「複数」とは、本出願によると「少なくとも2つ」を意味する。
【0012】
一実施形態では、長手方向突起は、アダプタの前記遠位部分の内面上に円周方向に規則的に分布している。例えば、複数の長手方向突起は、前記遠位部分の内面上に円周方向に規則正しく分布する少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つの長手方向突起を備え得る。実施形態では、複数の長手方向突起は、前記遠位部分の内面上に円周方向に規則正しく分布する6つの長手方向突起を備える。これは、コネクタの接続手段が、2つの隣接する長手方向突起の間に残された空間よりも厳密に大きい距離で円周方向に延びることを確実にするのに役立つ。したがって、コネクタが長手方向突起から逃げる接続手段によって、コネクタをアダプタから切り離すことは不可能となる。
【0013】
前記長手方向突起の前記遠位部分は、第1の半径方向の厚さを有する第1の壁を含み、前記第1の半径方向の厚さの前記値は、前記遠位部分の遠位端から前記遠位部分の近位端まで増加し、このような構造は、接続を実行するために、コネクタをアダプタ内で近位に移動させる際に、エンドユーザに増加する力を加えるようにさせる。
【0014】
前記長手方向突起の前記近位部分は、実質的に一定の第2の半径方向の厚さを有する第2の壁を含み、前記第2の半径方向の厚さの前記値は、前記遠位部分の前記遠位端における前記第1の半径方向の厚さの前記値よりも大きく、前記遠位部分の前記近位端における前記第1の半径方向の厚さの前記値よりも小さい。
【0015】
これは、コネクタの接続手段が、アダプタの近位部分に、有意な音を生成するのに十分な力で接触することを可能にし、コネクタがアダプタ内の正しい位置に到達したことをエンドユーザに知らせることを可能にする。これはまた、エンドユーザによって提供される必要がある力の突然の変化を可能にする。実際、コネクタの接続手段が長手方向突起の近位部分に到達すると、エンドユーザからのこれ以上の力は必要とされない。必要な力のこの軽減はまた、接続が正しく実行されていることをエンドユーザに触覚で知らせる。
【0016】
実施形態では、長手方向突起の近位部分の前記第2の壁は、長手方向突起の遠位部分の前記第1の壁の円周幅W1よりも低い円周方向幅W2を示す。典型的には、円周方向幅W2は、円周方向幅W1の約半分である。好ましくは、W1>W2≧0.5W1である。
【0017】
典型的には、コネクタは、少なくとも2つの接続手段、好ましくは正確には2つの接続手段を備える。好ましくは、コネクタの接続手段は、外側ウィングである。
【0018】
本発明の別の態様は、遠位先端と、上記のアダプタとを備え、前記アダプタが医療用容器の遠位先端に取り付けられている医療用容器である。
【0019】
本発明の別の態様は、上記のアダプタを製造するための方法であり、前記方法は、射出成形によってアダプタを形成するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明およびそれから生じる利点は、以下の添付の図面を参照して以下に示す詳細な説明から明らかになる:
図1図1は、本発明の実施形態によるアダプタおよび前記アダプタを受け入れることを意図した医療用容器の遠位先端の斜視図である。
図2図2は、図1のアダプタおよび医療用容器の斜視図であり、アダプタは容器の遠位先端に取り付けられている。
図3図3は、図1の平面I-I’に沿ってとられたアダプタの断面斜視図である。
図4図4は、針ハブを受け入れようとしている図2の医療容器の遠位先端に取り付けられたアダプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるアダプタ1が示される。図1および2を参照すると、アダプタ1は、医療用容器100の遠位先端102上、特に遠位先端102の外面上に取り付けることが意図されている。遠位先端102の外面は、概して遠位にテーパ状または錐体状である。あるいは、円筒形にすることもできる。アダプタ1は、その近位端に2つの外側ウィング202などの接続手段を備えた近位領域201を有する針ハブ200(図4を参照)などのコネクタを遠位先端102に接続することを可能にする。
【0022】
図1~4を参照すると、アダプタ1は、医療用容器100に固定されるように構成された取り付けリングの形態であってよい近位部2と、遠位先端102の通路とコネクタとの間に信頼できる流体連通を確立するためにコネクタを受け入れるように構成された接続リングの形態であってよい遠位部4とを備える。
【0023】
針ハブ200などのコネクタは、スナップフィット関係でアダプタ1に軸方向に接続されることが意図される。
【0024】
この図では、アダプタ1は、針ハブ200がアダプタ1内の所定の位置に到達するときに軸方向スナップフィット関係で針ハブ200の外側ウィング202と係合するように構成された複数の長手方向突起5を有し、前記所定の位置は、針ハブ200と医療用容器100の遠位先端102との間の接続が確保され、針ハブ200と遠位先端102との間の信頼できる流体連通が確保される位置である。前記位置はまた、漏れがない限界深度であると定義される。漏れの限界は、2016年ISO80369-7、パラグラフ6.1および6.2によって定義することができる。
【0025】
図1~3を参照すると、複数の長手方向突起5は、アダプタ1の遠位部4の内面4a上に円周方向に分布している。
【0026】
長手方向突起5は、遠位部分6および近位部分7を含む。遠位部分6は、針ハブ200がアダプタ1内で近位に移動されるときに、針ハブ200の外側ウィング202に徐々に増加する半径方向圧力を及ぼすように構成される。示される例では、遠位部分6は、第1の壁8を備える。この第1の壁8は、第1の半径方向の厚さを有し、その値は、遠位部分6の遠位端6aからこの遠位部分6の近位端6bまで変化する。特に、第1の半径方向の厚さの値は、遠位部分6の遠位端6aからこの遠位部分6の近位端6bまで増加する。
【0027】
近位部分7は、針ハブ200がアダプタ1内でさらに近位方向に移動するときに、針ハブ200の外側ウィング202に及ぼされる半径方向の圧力の部分的な解放を許可するように構成される。近位部分7は、前記半径方向圧力が解放されると外側ウィング202によって接触され、前記外側ウィング202によって接触されると音を発するようにさらに構成される。示される例では、近位部分7は、第2の壁9を含む。第2の壁9は、実質的に一定の値であり得る第2の半径方向厚さを有する。第2の半径方向厚さの値は、遠位部分6の近位端6bにおける第1の半径方向厚さの値よりも小さいことが好ましい。これにより、針ハブ200がアダプタ1の近位部2の方向に移動するときに、針ハブ200の外側ウィング202に及ぼされる半径方向の圧力が解放されるとともに、外側ウィング202が前記半径方向の圧力の解放時に第2の壁9に接触するときに音を生成することを確実にすることができる。
【0028】
特に、第2の半径方向厚さの値は、遠位部分6の近位端6bにおける第1の半径方向厚さの値よりも小さく、遠位部分6の遠位端6aにおける第1の半径方向厚さの値よりも大きい。典型的には、第2の壁の第2の半径方向の厚さの値は、近位端6bにおける第1の半径方向の厚さの値の約半分である。これにより、外側ウィング202を第2の壁9に対する当接部にしっかりと維持することが可能になり、それによって、針ハブ200がアダプタ1内でスナップフィット関係にしっかりと係合され、針ハブ200がアダプタ1内で移動および/または回転する可能性がないことが保証される。
【0029】
図3を参照すると、第2の壁9は、第1の壁8の円周方向幅W1よりも小さい円周方向幅W2を有する。典型的には、円周方向幅W2は、円周方向幅W1の約半分である。好ましくは、W1>W2≧0.5W1である。
【0030】
長手方向突起5は、好ましくは、アダプタ1の遠位部4の内面の円周上に規則的に分布する。アダプタ1内の針ハブ200の安全な維持を確実にするために、長手方向突起5の数は、好ましくは、2つ、例えば3つから10よりも上である。長手方向突起5の数は4つであってもよい。図面に示される例では、長手方向突起5の数は6つである。図4の説明からわかるように、このようないくつかの長手方向突起5は、針ハブ200の2つの外側ウィング202が、2つの隣接する長手方向突起5の間の間隙3よりも大きい距離で円周方向に延びることを確実にすることを可能にする。その結果、針ハブ200が上記のようにアダプタ1内で軸方向に係合されると、それがそこから取り除かれない場合があり、遠位部分6の近位面6c(図3を参照)は、外側ウィング202が遠位方向に移動することを防止する当接面を形成する。
【0031】
アダプタ1は、プラスチック材料、より正確には、高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、およびこれらの組み合わせなどの医療用途に適合した任意の剛性ポリマーで作製されてもよい。好ましくは、アダプタ1はポリカーボネート(PC)製である。
【0032】
アダプタ1は、2つの異なるインサートを使用して射出成形によって製造され得る。
【0033】
図1~2および4を参照すると、本発明はまた、遠位先端102と、上記の特徴を有するアダプタ1とを含む医療用容器100に関し、前記アダプタ1は、医療用容器100の遠位先端102に取り付けられている。医療用容器100は、充填可能な注射器または充填済み注射器などの注射器であってもよく、医療用製品のリザーバを画定する管状バレル104を備える。管状バレル104には、遠位肩部106から突出し得る遠位先端102が設けられている。遠位先端102は、円筒形であっても、遠位にテーパ状になっていても、錐体状であってもよい。遠位先端102は、リザーバと連通する内部通路108を含む。管状バレル104および遠位先端102は、ガラスまたはプラスチック材料で作られてもよい。医療用容器100は、医療用製品をリザーバから排出し、通路108を通るように、ピストンおよびプランジャーロッド(図示せず)を備えてもよい。アダプタ1は、接着、ねじ込み、摩擦力、またはスナップ継手によって遠位先端102に固定されてもよい。
【0034】
アダプタ1の動作は、図3および4を参照して以下に説明される。
【0035】
ユーザは、針ハブ200をアダプタ1の遠位端に軸方向に挿入する。示される例では、外側ウィング202は、上記で定義されるような間隙3よりも大きい距離上で円周方向に延びる。したがって、ユーザは、長手方向突起5に対する外側ウィング202の向きを気にする必要なく、外側ウィング202をアダプタ1内に挿入してもよい。針ハブ200が近位方向に移動すると、外側ウィング202は第1の壁8に接触する。第1の壁8の第1の半径方向の厚さの増加のために、針ハブ200がさらに近位に移動するにつれて、外側ウィング202に及ぼされる半径方向の圧力が増加する。したがって、外側ウィング202は、内側半径方向に徐々に圧縮され、変形される。ユーザは、針ハブ200をアダプタ1に挿入するために、増大する力を加える必要があると感じる。外側ウィング202が第1の壁8の近位端6bに到達すると、外側ウィング202に及ぼされる半径方向の圧力はそのピークにあり、アダプタ1に対する針ハブ200の更なる近位方向の移動は、外側ウィング202上の半径方向の圧力の部分的な放出を引き起こし、外側ウィング202は、第2の壁9に接触するまで拡大する。針ハブ202は、針ハブ200と遠位先端102との間の接続が確保される所定の位置に到達している。第2の壁9に接触すると、外側ウィング202は、接続が正しく果たされ、したがって固定されていることをユーザに知らせる音を生成する。さらに、必要な軸方向の力の減少は、接続が実行されることをユーザに知らせることをさらに可能にする。したがって、長手方向突起5は、接続が安全に実行されることの触覚的表示および可聴表示の両方を提供する。
【0036】
したがって、本発明のアダプタは、接続および注入中のエンドユーザの信頼性を向上させることを可能にする。
図1
図2
図3
図4