(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】包丁を受け入れるように適合された研ぎ鞘、および、そのような鞘と包丁の組合せ
(51)【国際特許分類】
B24B 3/54 20060101AFI20240906BHJP
B26B 29/02 20060101ALI20240906BHJP
B24D 15/08 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B24B3/54
B26B29/02
B24D15/08 Z
(21)【出願番号】P 2022562414
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2021055681
(87)【国際公開番号】W WO2021209194
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2024-01-25
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン プリション
(72)【発明者】
【氏名】ステファン スーシェ
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-076260(JP,U)
【文献】特表2003-524528(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0180602(US,A1)
【文献】特開昭53-015695(JP,A)
【文献】実開昭62-043574(JP,U)
【文献】米国特許第05245756(US,A)
【文献】特開昭52-038695(JP,A)
【文献】特開昭52-092994(JP,A)
【文献】特開昭59-151985(JP,A)
【文献】特開2000-167271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B1/00-11/00
B26B23/00-29/06
B24B3/00-3/60
B24D3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研がれるか、または、保管される包丁(2)を受け入れるように適合された研ぎ鞘(1)であって、前記研ぎ鞘(1)は、刃(20)を受け入れるための空洞(40)と、前記空洞(40)の一端部のアクセス開口(10)と、を備え、前記鞘(1)は、前記アクセス開口(10)の近傍に、前記刃(20)の峰のための案内装置(54)を含む、上部と、前記刃(20)を前記鞘(1)内に挿入するか、または、引き出すときに、前記刃(20)の切り刃が当てられることを意図された研ぎ装置(6)を含む、下部とを含み、前記案内装置は、V字形の溝(54)を含み、前記研ぎ装置(6)は、前記案内装置の溝(54)に対向して、V字形に配置された2つの研ぎ部材(60)を含み、前記研ぎ装置(6)は、前記案内装置に対して移動可能であるように取り付けられ、復帰手段(8)によって、前記案内装置に向かって復帰させられ
、前記V字形に配置された研ぎ部材(60)と前記V字形の溝(54)とは、前記包丁が、前記鞘に保管されるとき、共同で、前記刃の端部が挿入される菱形の開口を画定することを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の研ぎ鞘(1)であって、前記研ぎ装置(6)は、前記鞘(1)内で回転可能に取り付けられたアーム(7)に取り付けられることを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の研ぎ鞘(1)であって、前記2つの研ぎ部材(60)は、互いに平行な、かつ、前記鞘(1)の長手方向軸に垂直な、2つのオフセットされた面内に配置されることを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項4】
請求項2、または、請求項2を引用する請求項3に記載の研ぎ鞘(1)であって、アーム(7)は、基部(3)上に枢動可能に取り付けられた、第1の長手方向端部を含むことを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の研ぎ鞘(1)であって、前記復帰手段は、前記アーム(7)と前記基部(3)との間に介在された、復帰ばね(8)を含むことを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項6】
請求項4または5に記載の研ぎ鞘(1)であって、前記研ぎ部材(60)は、前記アーム(7)の第2の長手方向端部に枢動可能に取り付けられた、研ぎ装置(6)内に配置されることを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項7】
請求項1-6のいずれか一項に記載の研ぎ鞘(1)であって、前記研ぎ装置は、前記アクセス開口(10)に隣接して配置されることを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項8】
請求項1-7のいずれか一項に記載の研ぎ鞘(1)であって、基部(3)と、前記基部(3)に取り外し可能に取り付けられた覆い部(4)を含むことを特徴とする研ぎ鞘(1)。
【請求項9】
研ぎ鞘(1)と、研ぐか、または、前記鞘(1)に収納する包丁(2)との組み合わせであって、前記研ぎ鞘(1)は、請求項1-8のいずれか一項に記載の研ぎ鞘(1)であることを特徴とする組み合わせ。
【請求項10】
請求項9に記載の組み合わせであって、前記鞘(1)は、前記刃(20)の峰に設けられた安全ノッチ(22)と協働する、固定要素(55)を含み、前記固定要素(55)は、前記包丁(2)が、前記刃(20)が前記鞘(1)に導入される、保管位置を占めるとき、前記鞘(1)内で、前記包丁(2)を、長手方向に固定化することを特徴とする組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物研ぎ器の分野に関し、特に、研ぎ器を組み込んだ、鋏および包丁の刃鞘に関する。
【背景技術】
【0002】
包丁を研ぐための様々な手動システムが知られている。最初の包丁研ぎ器は、単純な石または銃であり、使用者に、刃の研ぎを可能にする動作の、一定の熟練と器用さを要求し、研ぎ角の知識を要求した。
【0003】
研ぎの、より優れた正確さを可能にすることで、初心者に対して、それらの使用を簡素化し、容易にすることを試みる、より複雑な刃物研ぎ器が存在することが、知られている。しかしながら、これらのシステムは、一度に刃の片側のみを研ぐという欠点を有し、または、刃の早期摩耗を引き起こすという欠点を有する。
【0004】
一例として、特許文献1から、研ぎ作業を簡略化することを可能にする、包丁に付随する研ぎ鞘が知られる。
【0005】
しかしながら、そのような装置は、刃の早期摩耗を引き起こし、及び/又は、刃の高さに大きく依存するという欠点を有し、その結果、そのような鞘は、全く異なる刃の高さを有する包丁の保持には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、使用者が、研ぎ角度の品質と、研ぎ効率に関する、最大限の保証を有することを可能にする、正確なガイダンスを備えた、包丁研ぎ鞘を提案することである。本発明の他の目的は、包丁の刃の高さに関係なく、包丁の良好な研ぎ品質を保証する、包丁研ぎ用鞘を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、研がれるべき、または、保管されるべき包丁を受け入れるように適合された研ぎ鞘であって、研ぎ鞘は、刃を受け入れることを意図された空洞と、空洞の一端におけるアクセス開口とを含む、研ぎ鞘を、その対象として有し、鞘は、好ましくは、アクセス開口の近傍において、刃の峰のための案内装置を備えた、上部と、鞘に刃を挿入または引き出すときに、刃の切り刃が当てられることを意図された、研ぎ装置を備えた、下部とを含み、案内装置は、V字形の溝を含み、研ぎ装置は、案内装置の溝に対向して、V字形に配置された2つの研ぎ部材を含み、研ぎ装置は、案内装置に対して移動可能に取り付けられ、案内装置に向かって復帰手段により復帰させられることを特徴とする。
【0009】
したがって、V字形の研ぎ部材とV字の溝は、組み合わさって、包丁が鞘に収納されるときに、刃の端部が挿入される、菱形の開口を形成する。
【0010】
そのような態様は、全く異なる刃の輪郭と高さに対して、良好な案内と、両方の研ぎ部材上での刃の心出しの、両方を確実にする。有利なことに、この対向する態様は、研ぎ工程を通して、すなわち、研ぎ部材に対する刃の摩擦の間に、研ぎ角度を、対称的かつ一定に維持することを可能にする。
【0011】
特に、そのような技術的解決策は、2つの研ぎ部材上の刃の完璧な傾斜および心出しと、復帰手段の作用下で2つの研ぎ部材によって切り刃に及ぼされる実質的に一定の圧力によって、刃の規則的かつ一定の研ぎを得ることを可能にする。
【0012】
本装置は、さらに、単独で、または、組み合わせて採用される、以下の態様のうちの1つまたは複数を有し得る。
【0013】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、鞘の内部に回転可能に取り付けられた、アームに取り付けられる。
【0014】
そのような構造の利点は、作製するのが簡単かつ経済的であり、かつ、良好な保持と、刃の切り刃に沿った研ぎ装置の大きな移動量の両方を可能にすることである。
【0015】
本発明の有利な態様によれば、2つの研ぎ部材は、互いに平行で、鞘の長手方向軸線に垂直な、2つのオフセットされた面に配置される。
【0016】
この配置は、研ぎ装置の幅を減少させる。
【0017】
本発明の有利な態様によれば、アームは、基部に枢動可能に取り付けられた、第1の長手方向端部を有する。
【0018】
本発明の有利な態様によれば、復帰手段は、アームと基部との間に介在された、有利には、螺旋状の、復帰ばねを含む。
【0019】
そのような構造は、実現するのが簡単であり、経済的であるという利点を有する。
【0020】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ部材は、アームの第2の長手方向端部に枢動可能に取り付けられた、研ぎ装置内に配置される。
【0021】
そのような態様は、刃が著しい湾曲を有する場合に、研ぎ装置が、刃の湾曲した輪郭に追従して枢動することを可能にすることにより、刃の研ぎを最適化する。
【0022】
本発明の有利な態様によれば、アームは、第1の枢動軸の周りで、クイルに枢動可能に取り付けられ、研ぎ装置は、第2の枢動軸の周りで、アームに枢動可能に取り付けられ、第1及び第2の枢動軸は、平行である。
【0023】
本発明の有利な態様によれば、研ぎ装置は、アクセス開口に隣接して配置される。
【0024】
そのような態様は、刃が、実質的に、鞘内に挿入される全長に沿って、研がれることを可能にする。
【0025】
本発明の有利な態様によれば、鞘は、基部と、基部に取り外し可能に取り付けられた覆い部とを含む。
【0026】
この態様は、鞘の内部の清掃を簡略化する。
【0027】
本発明は、また、先に説明された研ぎ鞘と、鞘内で研がれるか、または、収納される、包丁との組合せに関する。
【0028】
本発明の有利な態様によれば、鞘は、刃の峰に設けられた安全ノッチと協働する固定要素を含み、包丁が、刃が鞘内に挿入される収納位置を占めるとき、鞘内の包丁を長手方向に固定化する。
【0029】
非限定的な例として提示された、本発明の特定の実施形態の、以下に与えられる説明による、本発明の目的、態様、および、利点は、添付図面を参照することによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の特定の実施形態による、包丁が、鞘の外側に表されている、鞘および包丁の透視図である。
【
図3】鞘が、鞘機構への視覚的アクセスを可能にするために、その外殻なしで示されている、包丁が鞘に導入された状態の
図1の鞘の透視図である。
【
図4】
図3に示された位置における、鞘および包丁の長手方向断面図である。
【
図6】その包丁を欠いた、
図1の鞘の別の透視図である。
【
図7】
図4の線VII-VIIに従った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を理解するために必要とされる要素のみが描かれている。図面の解釈を容易にするために、すべての図にわたって、同じ要素は、同じ参照を付される。
【0032】
本書において、研ぎ器を説明するために使用される用語、「水平」、「垂直」、「下方」、「上方」、「上」、「下」、「前」、「後」、「長手方向」、「横方向」は、研ぎ器がその基部上に平らに横たわるとき、使用中の研ぎ器に言及することが留意される。
【0033】
図1、
図3、
図4は、研ぎ鞘1と、鞘1に収納されることを意図された刃20を含む包丁2とを示し、包丁2は、典型的には、刃20が鞘1に収納されたときに、鞘1から突出する柄21を含む。
【0034】
図2によれば、鞘1は、互いに固定された、基部3および覆い部4を含み、有利には、プラスチック材料で作製される。基部3および覆い部4は、保管のために包丁2の刃20を受け入れることを意図された、空洞40を画定する細長い形状を有し、鞘1は、そこを通して包丁2の刃20が空洞40に差し込まれ得る、アクセス開口10を備える後端部を有する。アクセス開口10の上流に、覆い部4は、アクセス開口10の方向に収束し、包丁2の刃20の先端が、アクセス開口10に向けて案内されることを可能にする壁を有する、案内スカート部41を有する。
【0035】
基部3は、支持体上に平らに載ることを意図された下面を含む基底部30を含み、基底部30の下面に対して約65°の角度を形成して、基底部30から上方に延びるグリッド31によって形成された前端部を含み、グリッド31は鞘1の前端を閉じ、有利には、基底部30と共に成型によって得られる。
【0036】
覆い部4は、有利には、基部3に取り外し可能に固定され、
図5において見ることのできる、逆U字形の断面を有し、その両端部の各々に、基部3の基底部30の両側部に長手方向に設けられたガイド溝32に係合する、リブ42を含む。
【0037】
図3および
図4によれば、鞘1は、刃20の峰とも称される、包丁2の刃20の上部を案内するための装置を有し、覆い部4の頂部を画定するその湾曲部において、覆い部4の内部に固定された、案内片5を含み、案内片5は、鞘1の長手方向軸に沿って、鞘1の開放端部から、鞘1の前端部を画定するグリッド31まで延びる。
【0038】
好ましくは、案内片5は、その前端部の近傍に開口51を有し、開口51に、
図2および
図4に見ることができる、覆い部4に担持される、フック45が係合し、案内片5の前端部は、上方に突出する頭部52を含み、頭部は、覆い部4の前端部に設けられた、適切な切欠き部44に係合する。
【0039】
開口51へのフック45の挿入と、切欠き部44への頭部52の係合は、案内片5の前端部が、覆い部4の前端部に取り外し可能に固定されることを可能にする。
【0040】
案内片5は、有利には、覆い部4の後端部にクリップ止めによって固定され、案内片5の後端部は、鞘1のアクセス開口10の縁部から突出した、2つの固定用クリップ43の間に弾力的に係合する、心出しリング50を含む。
【0041】
図2に見られ得るように、案内片5の頭部52は、覆い部4が基部3上の所定の位置に置かれたときに、グリッド31の上端に設けられたノッチ33に長手方向に係合し、頭部52は、ノッチ33の基部に配置された固定タブ34が弾力的に係合する、溝53を含む下面を有し、基部3上の所定の位置に、覆い部4を維持することを可能にする。
【0042】
図5および
図6によれば、心出しリング50は、刃20が鞘1に挿入されたときに、鞘1に対する刃20の峰の心出しを提供する、逆V字形の溝54を有する。
【0043】
鞘1は、心出しリング50の反対側に、有利には、基部3に枢動可能に取り付けられたアーム7によって担持される研ぎ装置6を含み、研ぎ装置6は、アーム7に作用する復帰ばね8によって、心出しリング50の方向へ復帰させられる。好ましくは、アーム7は、復帰ばね8が、その最大限度に伸長した高い位置と、復帰ばね8が、その最大限度に圧縮される低い位置との間で、刃20の面内で移動可能である。
【0044】
図2および
図3によれば、アーム7は、基部3の長手方向に対して垂直に延びる第1の軸71によって、基部3の前端部の近傍に枢動可能に取り付けられた、前端部と称される、第1の端部を有する。図に示される特定の実施形態では、第1の軸71は、アーム7の前端部の両側に垂直に延びる2つの側部隔壁35によって支持され、これらの側部隔壁35は、基底部30とグリッド31との間の接続部の剛性に寄与する。
【0045】
アーム7は、第2の端部、いわゆる後端部を有し、そこに、研ぎ装置6が、第1の軸71に平行に延びる第2の軸72の周りに、好ましくは枢動可能に、取り付けられ、装置は、アーム7に対して、少なくとも15°、好ましくは約30°の角度範囲にわたって枢動し得る。
【0046】
図に示される実施例では、アーム7は、アーム7の後方に向かって突出し、それらの間に、研ぎ装置6が配置される、2つの側部ラグ73を含み、第2の軸72は、有利には、研ぎ装置6から横方向に突出し、側部ラグ73に設けられた円形の開口に係合される、円形断面の円柱ピンによって形成される。
【0047】
図8において、より正確に見られ得るように、研ぎ装置6は、鞘1の長手方向軸に垂直な投影面において、すなわち、研ぎ装置6が、鞘1のアクセス開口10への刃20の導入方向に沿って見られるときに、V字を形成するように配置された、二つの研ぎ部材60を支えるU字形本体を含み、二つの研ぎ部材60は、鞘1の長手方向軸上で、千鳥状に配置され、それぞれは、長手方向軸に垂直な平面に延びる。
【0048】
2つの研ぎ部材60は、有利には、セラミック材料の2つのシリンダによって構成され、2つの研ぎ部材60をV字配置に保持するように配置された、2つのハウジング61内に配置され、研ぎ装置6は、2つのU字状の脚部の間に配置されたスロット63を含み、研ぎ部材60の間の空間へのアクセスを提供する。2つの研ぎ部材60は、研ぎ部材60の端部に対する、図では見ることのできない研ぎ装置6の本体の一部の支持部によって、それらのハウジング61内に、摩擦によって固定化される。したがって、研ぎ部材60は、それらが、鞘1における刃20の挿入または引き出しの間に、刃20の摩擦にさらされるとき、それらのハウジング61内で回転しないか、または、わずかにしか回転しない。
【0049】
図に示される特定の実施形態では、復帰ばね8は、基部3とアーム7の下面との間で、アーム7の後端部付近に配置された、コイルばねである。復帰ばね8が、アーム7と基部3との間に保持されることを確実にするために、基部3は、復帰ばね8の下端を保持するためのカップ36を含み、アーム7の下面は、復帰ばね8の上端を保持するためのカップ74を含み、アーム7が、基部3に向かって移動させられると、カップ74は、カップ36に面する。
【0050】
有利には、包丁2の刃20の峰は、好ましくは、包丁2の柄21の近傍に配置された安全ノッチ22を有し、
図3および4に図示されるように、刃20全体が鞘1を通して挿入されたとき、溝54の底部によって構成された固定要素55が、安全ノッチ22に係合する。固定要素55の安全ノッチ22へのそのような挿入は、アーム7に対する復帰ばね8の推進力の影響下で、包丁2が、収納位置で、鞘1の長手方向に固定化されることを可能にする。
【0051】
次に、研ぎ鞘1の動作が説明されるであろう。
【0052】
使用者は、包丁2の刃20を鞘1に戻すことを望むとき、あるいは、刃20を研ぐことを望むとき、使用者は、包丁2の先端を、溝54と2つの研ぎ部材60とによって形成された、
図6で見ることのできる、菱形の開口の前に持ってきて、その後、包丁2の刃20を、長手方向の動きによって、鞘1内に導入する。この動きの間、刃20の峰は、V字形の溝54の底部で心出しされ、一方、刃20の刃先は、2つの研ぎ部材60によって形成されるV字によって心出しされる。
【0053】
この刃20の切り刃と、刃20の峰との二重の位置決めは、使用者が、刃20を手動で方向付けることを必要とせず、鞘1内の刃20の経路を通じて、対称的で、一定のままである、研ぎ角度を得ることを可能にする。したがって、研ぎ出しの対称性が保証され、研ぎ角度が刃先の各側面で等しくなり、これは、刃20の均質で心出しされた摩耗を可能にする。
【0054】
さらに、この導入時、または、鞘1からの刃20の引き出し時に、アーム7の枢動運動は、研ぎ装置6が、刃20の切り刃の輪郭に追従することを可能にし、刃20の先端が、鞘1のアクセス開口10に導入されると、研ぎ装置6は、復帰ばね8の作用下で、刃の刃先に適度な圧力を印加し、その後、包丁2が鞘1に導入されると、刃20の高さが増すにつれて、増大する圧力を印加する。刃20の切り刃と研ぎ部材60との間の高い摩擦は、刃20が、鋭利になることをもたらす。
【0055】
最後に、研ぎ部材は、刃20の挿入方向において、1つが他の後ろに配置されるので、アーム7の第2の端部に対する研ぎ装置6の可能な振動は、研ぎ部材60が、刃20と永続して接触し続け、刃20に対して正しく配向され続けることを可能にし、したがって、刃20の研ぎを最適化する。
【0056】
包丁2の刃20が、鞘1に完全に挿入されると、心出しリング50の固定要素55は、復帰ばね8の作用下で、刃20の峰の安全ノッチ22に挿入される。その後、包丁2は、鞘1にしっかりと保持される。鞘1から包丁2を取り外すために、使用者は、まず、包丁2の柄21に、下向きの圧力を加えて、固定要素55を安全ノッチ22から引き出し、次に、包丁2の柄21を引っ張り、刃20を取り外す必要がある。そのような取り扱いは、例えば、鞘1が、運搬するために取り扱われるときに起こり得る、包丁2の偶発的な落下を回避する。
【0057】
さらに、このように作製された鞘1は、また、鞘1の内部の容易な清掃を可能にするという利点を有する。実際、使用者は、包丁2を取り外した後、基部3を片手で持ち、次に、溝53が、グリッド31の上部に配置された固定タブ34から、頭部52の弾性変形によって、外れるように、覆い部4に引っ張り力を作用させることによって、基部3から覆い部4を容易に切り離し得る。その後、覆い部4は、基部3上をスライドさせ得、アクセス開口10の側に、開放した長手方向端部を有する、基部3の各ガイド溝32は、覆い部4のリブ42の引き出しを可能にする。鞘1の内部を洗浄した後、上述した操作を逆の順序で行うことにより、覆い部4は、基部3上に再び組み立てられ得る。
【0058】
もちろん、この実施形態は、例として提供されたに過ぎないので、本発明は、説明され図示された実施形態に決して限定されない。本発明の保護範囲から逸脱することなく、特に、様々な要素の構成に関して、または、技術的な等価物を代用することによって、なお、変更がなされ得る。
【0059】
したがって、図示されない代替の実施形態では、覆い部は、基部から取り外し可能でなくてもよく、基部と、鞘の覆い部は、例えば一体に作製され得る。