(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】時計製造の分野でアップリケを打ち抜く工程
(51)【国際特許分類】
G04B 19/06 20060101AFI20240906BHJP
G04B 19/10 20060101ALI20240906BHJP
B26F 1/00 20060101ALI20240906BHJP
B26F 1/02 20060101ALI20240906BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20240906BHJP
B21D 28/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G04B19/06 G
G04B19/10 A
B26F1/00 H
B26F1/02 Z
B23K26/38 A
B21D28/00 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023054719
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-03-30
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】315015494
【氏名又は名称】ウニベルソ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール・ロシエ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-350592(JP,A)
【文献】特開平05-251605(JP,A)
【文献】特開2006-266954(JP,A)
【文献】特開平04-095892(JP,A)
【文献】中国実用新案第212384367(CN,U)
【文献】実開昭57-108180(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/06,19/10
B26F 1/00-3/16
B23K 26/00-26/70
B21D 28/00-28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウオッチ文字板のためにあるアップリケ(2、4、6)を打ち抜く工程であって、前記アップリケは、前記打ち抜く工程の終わりに、先の尖ったゾーン(25、25A、25B)および/もしくは細い溝を有する少なくとも1つの中空部(23、33a、33b)を画定する、ならびに/または先端部(40)
を形成する少なくとも1つの突出部を画定する輪郭(20、30、37)を有する打ち抜く工程において、前記少なくとも1つの中空部(23、33a)の前記先の尖ったゾーンおよび/もしくは前記細い溝、ならびに/または前記少なくとも1つの突出部の前記先端部(40)
を画定する前記輪郭の第1の部分(21、31a、31b、38)を、レーザビームを用いて打ち抜くステップと、
前記レーザビームを用いて打ち抜くステップに続いて、前記第1の部分と相補な前記輪郭の第2の部分(22、32、39)を、押し型を用いて打ち抜くステップとを備えることを特徴とする打ち抜く工程。
【請求項2】
前記
少なくとも1つの中空部(23、33a、33b)のうちの第1の中空部の前記先の尖ったゾーン内での前記輪郭は、前記輪郭の収束する2つの線セグメント(21a、21b;31c、31d)を接続する第1の連結線(26)で終わり、前記第1の連結線は、前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点(24a、24b)を有し、前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点(24a、24b)は、前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点で実質的に前記アップリケの側壁の高さ以下の距離(D)だけ分離されることを特徴とする、請求項1に記載の打ち抜く工程。
【請求項3】
前記第1の連結線の前記2つの端点を分離する前記距離は、前記高さの3分の2未満であることを特徴とする、請求項2に記載の打ち抜く工程。
【請求項4】
前記第1の連結線(26)は、前記高さの3分の1未満である平均半径(R)を画定する曲線であることを特徴とする、請求項3に記載の打ち抜く工程。
【請求項5】
前記平均半径は0.06mm未満であることを特徴とする、請求項4に記載の打ち抜く工程。
【請求項6】
前記第1の連結線(26)の前記2つの端点を分離する前記距離は、前記高さの半分未満であることを特徴とする、請求項2に記載の打ち抜く工程。
【請求項7】
前記第1の連結線は、実質的に前記高さの4分の1以下である平均半径を画定する曲線であることを特徴とする、請求項6に記載の打ち抜く方法。
【請求項8】
前記平均半径は0.04mm以下であることを特徴とする、請求項7に記載の打ち抜く工程。
【請求項9】
前記アップリケの前記輪郭の前記第1の部分と前記第2の部分の間の
各連結点は、外
向きの角
度を形成する
前記アップリケの一部の尖部に
位置することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の打ち抜く工程。
【請求項10】
前記アップリケ(2)はローマ数字Vを画定し、前記アップリケの前記輪郭の前記第1の部分は、前記アップリケの前記輪郭の2つの内部の線セグメントにより形成された前記アップリケの内部輪郭により画定された前記
少なくとも1つの中空部(23、33a、33b)のうちの第1の中空部、および前記2つの内部の線セグメントを接続する第1の連結線から構成されることを特徴とする、請求項9に記載の
打ち抜く工程。
【請求項11】
前記2つの内部の線セグメントは、値が20°未満である角度オフセットを有することを特徴とする、請求項10に記載の打ち抜く工程。
【請求項12】
前記アップリケ(4)はローマ数字Xを画定し、その結果、前記アップリケの輪郭は4つの中空部を画定し、前記アップリケの前記輪郭の前記第1の部分は、第1の中空部を画定する下側中空部、および第2の中空部を画定する上側中空部から構成され、前記第2の中空部の前記先の尖ったゾーン内での輪郭は、集束して前記第2の中空部を画定する、前記輪郭の2つの線セグメントを接続する第2の連結線で終わり、前記第2の連結線は、前記第2の連結線の前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点で実質的に前記アップリケの側壁の高さ以下の距離だけ分離された2つの端点を有することを特徴とする、請求項9に記載の打ち抜く工程。
【請求項13】
前記第2の中空部を画定する前記2つの線セグメントは、値が30°未満である角度オフセットを有することを特徴とする、請求項12に記載の打ち抜く工程。
【請求項14】
前記第2の連結線の前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点を分離する前記距離は、前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点で前記アップリケの前記側壁の前記高さの3分の2未満であることを特徴とする、請求項12に記載の打ち抜く工程。
【請求項15】
前記第2の連結線は、前記第2の連結線の前記2つの端点で前記アップリケの前記側壁の前記高さの3分の1未満である平均半径を画定する曲線であることを特徴とする、請求項14に記載の打ち抜く工程。
【請求項16】
前記第2の連結線の前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点を分離する前記距離は、前記2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点で実質的に前記アップリケの前記側壁の前記高さの半分以下であることを特徴とする、請求項12に記載の打ち抜く工程。
【請求項17】
前記第2の連結線は、前記第2の連結線の前記2つの端点で実質的に前記アップリケの前記側壁の前記高さの4分の1以下である平均半径を画定する曲線であることを特徴とする、請求項16に記載の打ち抜く工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計製作の分野でアップリケを製作する工程に関し、詳細にはそのようなアップリケを打ち抜く工程に関する。アップリケは一般に、この場合アナログ時間表示にそれぞれ関連づけられるウオッチの文字板の表面上に配列されて、時間目盛りのための、または時間データ、たとえばローマ数字のI~XIIのための浮き彫りを提供する。
【背景技術】
【0002】
当業者は、一般にアップリケを打ち抜くために型打ち技法を使用する。打ち抜くステップは、一般にアップリケ仕上げステップの前に行われる。型打ちの公知の有利な点は、アップリケを多数製造するための型打ちの費用が比較的かからないことである。実際は、比較的費用がかかる可能性がある押し型が作成されると、押し型を用いてアップリケを型打ちするための工程は迅速であり、費用がかからない。しかしながら、型打ちによる打抜きは、アップリケに関して形状の制約があり、その結果、型打ちによる打抜きは、比較的簡単な形状に適している。詳細には、押し型の製作および型打ち工程により、丸みがある輪郭のゾーン内でアップリケを打ち抜く間、非常に狭い、中空の、もしくは固体の部分を、または先端部に比較的大きな、かつ詳細にはアップリケの側壁の高さに依存する一定の限界値よりも技術的に小さくできない平均半径を有する丸みがある端部輪郭のない先の尖ったゾーンを得ることが可能にならない。
【0003】
スイス国特許出願公開第711256(A2)号明細書という文献は、ストリップ内に時計の構成要素を製作するための工程、詳細にはストリップ内に三角形の輪郭を有するアップリケを機械加工して打ち抜くための工程について記述している。アップリケを機械加工して最上部表面、詳細には小面に何らかの浮き彫りを提供するステップの後、本文献は、ストリップ配列を保持しながらレーザを用いてアップリケの形を部分的に整えることを提案している。実際には、具体的には、打ち抜かれたアップリケがストリップに接続したままで、1つまたは複数の数少ない付着点(0.01mm~0.02mmの間の幅を有する狭いブリッジ)だけを保持しながら、アップリケの輪郭全体をレーザを用いて打ち抜き、これらのアップリケをストリップから手作業で切り離し文字板の表面上に配列する場所にこれらのアップリケを移すのを容易にすることが提供されている。レーザ機械加工には、アップリケ製作の最終段階でアップリケを打ち抜けるという有利な点があり、これにより、そのようなレーザ打抜きの前に、したがって、当該のストリップに依然として接続されたアップリケすべてに仕上げステップを遂行可能になる。
【0004】
スイス国特許出願公開第711256(A2)号明細書という文献はそれ自体、手動操作を限定しながら高品質な時計の構成要素をより急速に製作するための工程を提案するという目標を提供するが、比較的長い輪郭を有するアップリケの場合、詳細にはこの文献で例として示すアラビア数字またはローマ数字の場合、レーザ打抜きステップは、比較的時間がかかり、それによりこのステップは比較的費用がかかるようになり、その結果、そのようなアップリケの製作費用を増大させることになる。
【0005】
その結果(有利にはアップリケを支えるストリップからアップリケを最終的に容易に分離可能にする少なくとも1つの弱い付着点を保持しながら)アップリケをレーザ打抜きすることと型打ちによる打抜きの間で従来技術で当業者に残された選択肢は、アップリケについては比較的高い製作費用と比較的簡単な形状との間で、詳細には非常に小さな端部円弧を伴う先の尖ったゾーンを有する、したがって非常に小さな半径および/もしくは細い溝を有する少なくとも1つの中空部なしの、かつ非常に小さな端部円弧を伴う、もしくは端部丸みがまったくない先の尖ったゾーン、および/または引き延ばされた部分を有する突出部なしの、各アップリケの輪郭を選ぶ必要性に帰着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】スイス国特許出願公開第711256(A2)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、型打ち技法の上述の欠点、すなわちアップリケに関する形状の制約も、従来技術で提案されたようなレーザ打抜き技法に関連して費用が高いこともない、時計製作の分野でアップリケを打ち抜く工程を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、打ち抜く工程の終わりに、先の尖ったゾーンおよび/もしくは細い溝を有する少なくとも1つの中空部を画定する、ならびに/または先端部および/または引き延ばされた部分を形成する少なくとも1つの突出部を画定する輪郭を有する、ウオッチの文字板のためにあるアップリケを打ち抜く工程に関する。本発明によれば、打ち抜く工程は、一方では、前記少なくとも1つの中空部から得られる少なくとも1つの第1の中空部の先の尖ったゾーンおよび/もしくは細い溝を画定する、ならびに/または前記少なくとも1つの突出部から得られる少なくとも第1の突出部の先端部および/または引き延ばされた部分を画定する、輪郭の第1の部分を、レーザビームを用いて打ち抜くステップと、他方では、第1の部分と相補な輪郭の第2の部分を、押し型を用いて、すなわち型打ちにより打ち抜くステップとを備える。
【0009】
「先の尖ったゾーン」は、先端部(一方では、一般に小さな端部丸みを有する)で終わる中空部の(したがって、空所の)ゾーンを表す。「細い溝」は、溝を形成する2つの側壁間の距離が比較的短い、詳細には実質的に当該のゾーン上のこれらの側壁の平均高さ以下の中空部のゾーンを表す。同様に、突出部の「引き延ばされた部分」は、広い部分よりも長く、厚さが比較的薄い、詳細には実質的にこの部分の平均厚さ以下の、この突出部の一部分を表す。
【0010】
好ましい代替実装形態によれば、アップリケの輪郭の第1の部分と第2の部分の間の連結点は、それぞれ外角を形成するアップリケの一部の尖部に位置する。
【0011】
主要な実施形態によれば、第1の中空部の前記先の尖った部分での輪郭は、この輪郭の集束する2つの線セグメントを接続する第1の連結線で終わり、この第1の連結線は、2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点を有する。一般的な変形形態では、2つの線セグメントは、2つの端点で実質的にアップリケの側壁の高さ以下の、詳細には最大高さ以下の距離だけ分離される。
【0012】
有利な変形形態によれば、第1の連結線の2つの端点を分離する距離は、上述の高さの3分の2未満である。詳細には、第1の連結線は、実質的に前記高さの3分の1以下である平均半径を画定する曲線である。好ましい変形形態によれば、第1の連結線の2つの端点を分離する距離は、実質的に上述の高さの半分以下である。詳細には、第1の連結線は、実質的に前記高さの4分の1以下である平均半径を画定する曲線である。
【0013】
したがって、本発明によるハイブリッド打抜き技術は、打ち抜く工程の終わりに、先の尖った部分および/もしくは細い溝を有する少なくとも1つの中空部を画定する、ならびに/または型打ちだけにより打ち抜くことにより得られない構成および詳細には寸法を伴う先端部および/もしくは引き延ばされた部分を形成する少なくとも1つの突出部を画定する輪郭を有するアップリケを得ることが可能になり、一方、任意選択で付着点を除き全面的にレーザビームを用いて打ち抜く結果生じる費用に対して、アップリケを打ち抜く費用を制限する。
【0014】
本明細書で以後、決して限定することのない例によって示す添付図面を参照して本発明についてより詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるアップリケを打ち抜く工程の第1の実装形態の第1の変形形態の第1のステップを示す。
【
図2】上述の第1の変形形態による打ち抜く工程の第2のステップを表す。
【
図3】上述の第1の変形形態による打ち抜く工程の結果得られるアップリケを示す。
【
図5】本発明によるアップリケを打ち抜くための工程の第1の実装形態の第2の変形形態の第1のステップを示す。
【
図6】上述の第2の変形形態による打ち抜く工程の第2のステップを表す。
【
図7】上述の第2の変形形態による打ち抜く工程の結果得られるアップリケを示す。
【
図8】本発明によるアップリケを打ち抜くための工程の第2の実装形態の第1のステップを示す。
【
図9】第2の実装形態による打ち抜く工程の第2のステップを表す。
【
図10】第2の実装形態による打ち抜く工程の結果得られるアップリケを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図7を参照して、ウオッチの文字板のためにある、本発明によるアップリケを打ち抜く工程の第1の実装形態の2つの変形形態について記述する。
【0017】
一般的に、本発明による打ち抜く工程の第1の実装形態の範囲内で、アップリケ2およびアップリケ4は、打ち抜く工程の終わりに、先の尖ったゾーン25、それに対応して25A、25Bおよびまたは細い溝(図に示さない変形形態)を有する少なくとも1つの中空部23、それに対応して33a、33bを画定する輪郭20、それに対応して30を有する。打ち抜く工程は、一方では、前記少なくとも1つの中空部から得られる少なくとも第1の中空部23、それに対応して33aの少なくとも前記先の尖ったゾーンおよび/または前記細い溝を画定する前記輪郭の第1の部分21、それに対応して31aおよび31bを、レーザビームを用いて打ち抜くステップと、他方では、押し型を用いて、すなわち型打ちすることにより第1の部分と相補な前記輪郭の第2の部分22、それに対応して32を打ち抜くステップとを備える。
【0018】
図1~
図4を参照して第1の実装形態の第1の変形形態について詳細に記述する。アップリケ2はローマ数字Vを画定する。このアップリケの輪郭20の第1の部分は、アップリケの内部輪郭21により画定される単一中空部23から構成される。詳細には、この内部輪郭は、アップリケの輪郭20の2つの内部直線セグメント21aおよび21b、ならびに中空部23の先の尖ったゾーン25内でこれら2つの内部直線セグメントを接続する連結線26により形成される。その結果、輪郭20は、前記中空部23の先の尖ったゾーン25内で、集束する2つの線セグメント21aおよび21bを接続する連結線26で終わり、この連結線26は、2つの線セグメントの2つの端点を画定する2つの端点24aおよび24bを有する。一般的な変形形態では、2つの端点24aおよび24bは、これら2つの端点で実質的にアップリケ2の側壁の高さ以下の距離Dだけ分離される。一般的に、距離Dは非常に短いので、側壁の高さは、2つの端点24aおよび24bで実質的に同一である。そうではない場合、距離Dの上限として最大高さを考慮する。
【0019】
型打ちの分野では、アップリケを製造するための一般的規則は、細い溝に関して、または中空部の先の尖ったゾーン内での2つの集束する線セグメントの2つの端点間の距離に関して、または引き延ばされた部分の幅に関して、突出部の場合、先端部で終わろうと終わるまいと、当該の幅を画定する輪郭の2つの先端部で中空部または突出部の幅とアップリケ側壁の高さとの間の比については、最小比である「1」を示す。ある種の押し型機械加工技法を用いると、この比をわずかに、詳細には2/3以下の限度で低減可能である。しかしながら、そのような押し型は製造するのがより困難であり、非常に脆弱であり、詳細にはそのような押し型を継続して使用する期間を制限する。その上、上述の比に関して下限に近づくとき、形状不良が原因で型打ち後に排除されるアップリケの数は増大し、したがって、それにより工業的歩留まりは低減する。本発明による打ち抜く工程は、レーザビームを使用して打ち抜かれる各アップリケの輪郭の第1の部分を打ち抜くハイブリッド技術を提案することにより、アップリケを打ち抜くための追加費用を制限するので、この技術的問題を効果的に解決し、輪郭のこの第1の部分はとりわけ、提供された中空部または突出部の幅が狭い、または非常に狭い脆弱な部分またはゾーンに関係がある。他方では、そのような脆弱な部分またはゾーンを有しない輪郭の第2の部分は、型打ちにより、すなわち押し型を用いて打ち抜かれる。押し型による輪郭全体の打ち抜きは同時に行われるので、型打ちには打抜き時間が比較的短いという有利な点があり、一方、レーザ打抜き時間は、打ち抜かれる輪郭の長さに直接に依存する。
【0020】
本発明によるハイブリッド技術により、公知のアップリケ打抜き技法両方の、すなわち型打ちとレーザ打抜きの有利な点を組み合わせることが可能になる。本発明によるアップリケを打ち抜く工程のおかげで、詳細には、レーザビーム打抜きのおかげで可能になる非常に鋭い先端部をそれぞれ形成する、非常に小さな半径または突出部を有する端部丸みを伴う先の尖ったゾーンを有する中空部を得ることが可能である。レーザを用いて打ち抜かれるアップリケの輪郭の長さを制限して、打抜きの費用を低減することが求められる。しかしながら、本発明による打ち抜く工程について記述する変形形態から理解されるように、レーザを用いて打ち抜かれた輪郭の第1の部分は好ましくは、第1の部分と型打ちにより打ち抜かれた輪郭の第2の相補な部分の間の連結点がアップリケの輪郭の外角の尖部にそれぞれ対応するように選択される。これにより、許容差の問題を、詳細には2つのセグメント間に外角を有することなくレーザを用いて、かつ押し型により連続的にそれぞれ打ち抜かれるアップリケの輪郭の2つのセグメント間の連結が不正確であるという問題を回避可能になる。レーザを用いて打ち抜かれた輪郭の第1の部分と、型打ちにより打ち抜かれたこの輪郭の相補的な第2の部分の間の連結点で打抜きが不正確であることにより、製造されたアップリケの品質低下を引き起こす、またはそのような現象を回避するために、困難で費用のかかる仕上げステップを必要とする。
【0021】
図1は、位置決め穿孔12と、レーザビームを用いた打抜き(レーザ打抜き)に続いてV字形の細いスロット14が製造される打抜き工程の第1のステップにより得られるこれらの細いスロットとを有するストリップ10を示す。これらの細いスロット14は、製造する際にアップリケ2の内部輪郭21を外部に確定する。
図2は、打抜き工程の第2のステップを例示し、そこでは、打抜き線16により画定される台形形状は、押し型に特定の困難さをまったく生じさせないので比較的簡単な押し型を用いて打ち抜かれる。各アップリケ2は、押し型の雄部および原理上押し型の雌部の輪郭17が、製作されるアップリケ2ごとに求められるような外部輪郭22を得るために、レーザを用いてすでに機械加工された対応するスロット15に対して正しく位置決めされるように、正確な工程によりストリップ10を供給することにより、押し型の作動により連続的に打ち抜かれる。型打ちによりアップリケを打ち抜いた後、一方ではストリップ10内の開口部18,および他方では
図3により表されるアップリケ2、および廃棄物である三角片が残る。
【0022】
本発明による打ち抜く工程の第1の実装形態により得られるアップリケ2の特有の特徴によれば、2つの内部直線セグメント21aおよび21bは、角度オフセットα、すなわち、値が実質的に20°以下、および特有の変形形態では15°未満である角をなす開口部を有する。
【0023】
有利な変形形態では、連結線26の2つの端点24aおよび24bを分離する距離Dは、これらの2つの端点でアップリケ2の側壁の高さの3分の2未満である。特有の変形形態では、連結線26は、実質的に前記高さの3分の1以下、詳細には0.06mm未満である平均半径を画定する曲線である。特有の変形形態では、曲線は所与の半径を有する円弧である。
【0024】
好ましい変形形態では、連結線26の2つの端点24aおよび24bを分離する距離Dは、これら2つの端点で実質的にアップリケ2の側壁の高さの半分以下である。特有の変形形態では、連結線26は、実質的に前記高さの4分の1以下、詳細には0.04mm未満である平均半径を画定する曲線である。特有の変形形態では、曲線は、詳細には0.04mm未満の一定の半径を有する円弧である。例として、アップリケ2の輪郭20を打ち抜いた結果として得られる、アップリケの側壁の高さは、0.25mm~0.35mmの間であり、一方、連結線26を形成する円弧の半径は0.025mm~0.035mmの間である。したがって、詳細にはこの連結線の2つの端点24aおよび24bで、連結線26の半径と中空部23の先の尖ったゾーン25内でのアップリケの側壁の高さの間の比は1/10である。これは、アップリケを打ち抜いた後、アップリケのために提供された厚さを有する金属ストリップ10でレーザ打抜き技術により可能になり、アップリケの厚さは一般に、次いで仕上げステップにより、詳細にはダイヤモンドを具備するツールにより得られるつや出しされた最上部表面または輝く最上部小面を製造することにより、わずかに低減される。
【0025】
本明細書で以後、
図5~
図7を参照して第1の実装形態の第2の変形形態について記述する。この第2の変形形態では、アップリケ4はローマ数字Xを画定する。このアップリケの輪郭30の第1の部分は、2つの中空部、すなわちアップリケ4の内部輪郭31a、それに対応して31bによりそれぞれ画定される下側中空部33aおよび上側中空部33bから構成される。詳細には、V字形アップリケに関係がある第1の変形形態の場合のように、下側中空部33aの内部輪郭31aは、2つの直線セグメント31cおよび31d、および
図4に表された連結線26に類似して中空部33aの先の尖ったゾーン25A内でこれら2つの直線セグメントを接続する連結線により形成される。同じことは、下側中空部33aに類似する上側中空部33bに当てはまる。その結果、第1の変形形態に関連する開示はまた、下側中空部33aおよび同じく上側中空部33bに関しては、X字形アップリケに関連する第2の変形形態にも当てはまる。
【0026】
より具体的には、アップリケ4は、4つの中空部を画定し、このアップリケの輪郭30の第1の部分は、鋭角を画定する先の尖ったゾーンを有する2つの中空部、すなわち、第1の中空部を画定する下側中空部33a、および同じく先の尖ったゾーンを有する第2の中空部を画定する上側中空部33bから構成される。第1の中空部については、第2の中空部33bの先の尖ったゾーン25Bでの輪郭は、集束して第2の中空部を画定するこの輪郭の2つの直線セグメントを接続する第2の連結線で終わる。この第2の連結線は、第2の連結線の2つの端点で実質的にアップリケの側壁の高さ以下の距離だけ分離される2つの端点を有する。輪郭30の第2の部分32は、第1の部分と相補な部分により形成される。輪郭のこの第2の部分は、X字形アップリケの4つのアームの端部により画定されるこの輪郭の4つの線による鈍角を底部にそれぞれ有する2つの横方向の中空部を画定する輪郭30のセグメントから構成される。
【0027】
図5は、位置決め穿孔12と、レーザ打抜きに続いて細いスロット15aおよび15bが製造される打ち抜く工程の第1のステップにより得られる、それぞれVの形状のこれらの細いスロットとを有するストリップ10を示す。これらの細いスロット15aおよび15bは、製造する際にアップリケ4の内部輪郭31aおよび31bをそれぞれ画定する。
図6は、打抜き線16Aにより画定される外部ケーシングが、そのような形状を有する押し型を用いて打ち抜かれる第2の打ち抜くステップを例示する。各アップリケ4は、押し型の雄部および押し型の雌部の輪郭17Aが、製作されるアップリケ4ごとに求められるような外部輪郭32を得るために、レーザを用いてすでに機械加工された2つの対応するスロット15aおよび15bに対して正確に位置決めされるように、正確なステップによりストリップ10を供給することにより、押し型の作動により連続的に打ち抜かれる。型打ちによりアップリケ4を打ち抜いた後、一方ではストリップ10内の開口部18A、および他方では
図7により表されるアップリケ4、製造廃棄物である2つの三角形部分が残る。
【0028】
本発明による打ち抜く工程の第1の実装形態により得られるアップリケ4の特有の特徴によれば、2つの内部直線セグメント31cおよび31dは、値が30°未満、および特有の変形形態では実質的に20°以下の角度オフセットαを有する。
【0029】
上記で開示するように、有利な変形形態では、第2の連結線の2つの端点を分離する距離は、これら2つの端点でアップリケの側壁の高さの3分の2未満である。特有の特徴によれば、第2の連結線は、第2の連結線の2つの端点で実質的にアップリケの側壁の高さの3分の1以下である平均半径を画定する曲線である。詳細には、第2の連結線の平均半径は0.06mm未満である。
【0030】
好ましい変形形態では、第2の連結線の2つの端点を分離する距離は、これら2つの端点で実質的にアップリケの側壁の高さの半分以下である。詳細には、第2の連結線は、第2の連結線の2つの端点で実質的にアップリケの側壁の高さの4分の1以下である平均半径を画定する曲線である。特有の変形形態では、第2の連結線は、半径が0.04mm以下の円弧である。
【0031】
本発明によるアップリケを打ち抜く工程の第2の実装形態について、本明細書で以下にさらに記述する。アップリケは、この第2の実装形態による打ち抜く工程の終わりに、先端部および/または引き延ばされた部分を形成する少なくとも1つの突出部を画定する輪郭を有する。一般的に、打ち抜く工程は、前記少なくとも1つの突出部から得られる少なくとも第1の突出部の前記先端部および/または前記引き延ばされた部分を画定する前記輪郭の第1の部分を、レーザビームを用いて打ち抜くステップと、第1の部分と相補な前記輪郭の第2の部分を、押し型を用いて打ち抜くステップとを備える。
【0032】
図8~
図10に表す変形形態では、アップリケ6は、打ち抜く工程の終わりに、先端部を形成する少なくとも1つの突出部40を画定する輪郭37を有する。レーザを用いて打ち抜かれた、輪郭37の第1の部分38は、先端部40を画定する2つの直線セグメント42aおよび42bと、先端部の基部の両側にそれぞれ位置し、2つの直線セグメント42aおよび42bを用いて2つの内角をそれぞれ形成する2つの他の直線セグメントとを備える。先端部の輪郭の2つの直線セグメント42aおよび42bは、角度オフセット/角をなす開口部βを有する。特有の変形形態では、角度βの値は実質的に20°以下であり、特有の変形形態では、15°未満である。輪郭37の第2の部分39は、第1の部分38と相補的であり、すなわち、第1の部分38および第2の部分39は、アップリケ6の輪郭37全体を一緒に形成する。
【0033】
図8は、位置決め穿孔12と、レーザビームを用いる打抜き(レーザ打抜き)に続いて細いスロット36が製造される打ち抜く工程の第1のステップにより得られるこれらの細いスロットとを有するストリップ10を示す。これらの細いスロット36は、製造する際にアップリケ6の輪郭37の第1の部分38を画定する。
図9は、打ち抜く工程の第2のステップを例示し、そこでは、打抜き線16Bにより得られる形状は、上部では、各アップリケ6の輪郭37の第2の部分39により画定される形状に対応する。打抜き線16Bは、下部で比較的広いアームを形成し、アームの位置決めは、このアームが、レーザ打抜きにより得られる先端部40の上に重ねられ、かつこの先端部全体を覆うように行われる。打抜き線16Bにより画定される断片は、その形状が比較的単純であり、かつ押し型に特に困難さを生じさせることがないので、比較的簡単な押し型を用いて打ち抜かれる。
図2および
図6に記述する第1の実装形態のように、レーザを用いて機械加工された細いスロット36の2つの端部は、アップリケ6のために提供された輪郭37の第1の部分38をわずかに越えて伸び、輪郭37の第1の部分38に対してアップリケ6の2つの端部にある細いスロット36の追加部分は、製造する際にアップリケの外側に提供され、したがって、アップリケが全面的に打ち抜かれるとストリップ10内に残る。詳細には、先端部の基部の両側の、先端部の長手方向に対して横方向に伸展する2つの直線セグメントが、2つの内角を形成する先端部40の2つの直線セグメントのようにレーザを用いて打ち抜かれるのは、この理由のためである。
【0034】
打ち抜く工程の第1の実装形態のように、各アップリケ6は、押し型の雄部および押し型の雌部の輪郭17Bが、製造されるアップリケ6ごとに求められるような外部輪郭32を得るために、レーザを用いてすでに機械加工された対応するスロット36に対して正確に位置決めされるように、正確なステップによりストリップ10を供給することにより、押し型の作動により連続的に打ち抜かれる。型打ちによりアップリケを打ち抜いた後、一方ではストリップ10内の開口部18B、および他方では
図10で表されるアップリケ6、および廃棄物であるU字形断片が残る。
【符号の説明】
【0035】
2、4、6 アップリケ
10 ストリップ
12 位置決め穿孔
14、15a、15b、36 細いスロット
15 スロット
16A、16B 打抜き線
17、17A、17B 押し型の雄部および押し型の雌部の輪郭
18、18A、18B ストリップ内の開口部
20、30、37 輪郭
21、31a、31b 輪郭の第1の部分、内部輪郭
21a、21b 内部直線セグメント
22、32 輪郭の第2の部分、外部輪郭
23 中空部、第1の中空部
24a、24b 端点
25、25A、25B 先の尖ったゾーン
26 連結線
31c、31d 内部直線セグメント
33a 下側中空部
33b 上側中空部
38 輪郭の第1の部分
39 輪郭の第2の部分
40 突出部、先端部
42a、42b 直線セグメント
D 2つの端点を分離する距離
V ローマ数字
X ローマ数字
α 角度オフセット
β 角度オフセット/角をなす開口部