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特許7550915蒸気発生デバイスのための誘導加熱可能カートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】蒸気発生デバイスのための誘導加熱可能カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20240906BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240906BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240906BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240906BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/42
A24F40/20
A24F40/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023076879
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2020516536の分割
【原出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2023100872
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】17192584.5
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジル,マーク
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/036959(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/001818(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/068094(WO,A1)
【文献】特表2017-526381(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029268(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/036958(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/068100(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/085242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱システム、および、固体蒸発可能物質の本体を備える蒸気発生デバイスであって、
前記誘導加熱システムは、
1又は複数のサセプタと、
使用時に、前記1又は複数のサセプタと結合する電磁界を発生し、その内部に熱を生み出すように構成された誘導加熱回路と、を備え、
前記誘導加熱回路が、不規則な形状のコイルの形態のものであり、これにより、使用時に、生成された前記電磁界が前記1又は複数のサセプタの互いに異なる領域内に互いに異なる加熱特性をもたらす、蒸気発生デバイス。
【請求項2】
固体蒸発可能物質の前記本体を取り外し可能に受け入れるチャンバを更に備える、請求項1に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項3】
前記コイルが前記チャンバを包囲する、請求項2に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項4】
前記1又は複数のサセプタと前記チャンバとが共通軸に沿って整列する、請求項2又は3に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項5】
前記1又は複数のサセプタと固体蒸発可能物質の前記本体とが共通軸に沿って整列する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項6】
前記コイルがリッツ線又はリッツケーブルを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項7】
前記蒸気発生デバイスおよび前記誘導加熱回路が、およそ80kHzから500kHzの周波数で動作するように構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項8】
前記固体蒸発可能物質がタバコを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項9】
前記固体蒸発可能物質がエアロゾル形成体を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項10】
固体蒸発可能物質の前記本体が、空気の流れを可能にするように包まれている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項11】
固体蒸発可能物質の前記本体が、空気透過性材料で包まれている、請求項10に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項12】
固体蒸発可能物質の前記本体が、空気透過性を有しないが、空気の流れを可能にするように適切な打ち抜き穴又は開口部を含む材料で包まれている、請求項10に記載の蒸気発生デバイス。
【請求項13】
固体蒸発可能物質の前記本体が円筒形である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の蒸気発生デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生デバイスのための誘導加熱可能カートリッジに関する。物質を、燃やすのではなく、加熱して吸入のための蒸気を生成するデバイスが、近年、消費者の間で人気を得た。
【背景技術】
【0002】
このようなデバイスは、熱を物質に提供するための多数の異なるアプローチのうちの1つを用いることができる。1つのこのようなアプローチは、誘導加熱システムを利用する蒸気発生デバイスである。このようなデバイスでは、誘導コイル(以下、インダクタとも称される)がデバイスに提供され、サセプタが蒸気発生物質に提供される。ユーザがデバイスを活動化すると電気エネルギーがインダクタに提供され、それが今度は電磁界を作り出す。サセプタは電磁界と結合して熱を発生し、熱は物質に伝達され、物質が加熱されるのに伴い、蒸気が生み出される。
【0003】
このようなアプローチは、加熱、ひいては、蒸気発生のより優れた制御をもたらす可能性を有する。しかし、実際には、このようなアプローチは、多くの場合、共通電磁界を発生する単一のインダクタを必要とする。これは、サセプタの領域内に所望の熱プロファイルを精密に発生することを困難にし得、結果として、蒸気の発生を完全に制御することが容易には可能でない。
【0004】
ユーザがこのようなデバイスから種々の蒸気を生成可能とすることへの要求が高まるのに伴い、蒸発可能物質内の熱プロファイルを精密に制御し、軽量且つコンパクトであるデバイスが望まれている。
【0005】
本発明は、上述の問題のうちの少なくともいくつかを軽減することを追求する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、誘導加熱アセンブリと共に使用するための誘導加熱可能カートリッジであって、カートリッジが、固体蒸発可能物質と、蒸発可能物質内に保持され、それによって包囲された少なくとも2つのリング状誘導加熱可能サセプタと、を備え、少なくとも2つのサセプタが、カートリッジが使用時に誘導回路内に位置付けられている時には、各サセプタの1つ又は複数の縁部部分の異なる領域が誘導回路から異なる距離にあり、異なる領域内に異なる加熱特性をもたらすよう、及び2つ以上のサセプタの各々の中心が共通軸に沿って整列するよう、定位置に保持されている、カートリッジが提供される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、使用時に、誘導加熱アセンブリのチャンバに挿入されるように構成された誘導加熱可能カートリッジであって、チャンバが誘導回路によって少なくとも部分的に包囲されており、カートリッジが、固体蒸発可能物質と、蒸発可能物質内に保持され、それによって包囲された少なくとも2つのリング状誘導加熱可能サセプタと、を備え、少なくとも2つのサセプタが、カートリッジが使用時に誘導回路によって少なくとも部分的に包囲されている時には、2つ以上のサセプタの縁部の異なる領域が誘導回路から異なる距離にあり、異なる領域内に異なる加熱特性をもたらすよう、定位置に保持されており、少なくとも2つのサセプタの各々の中心が共通軸に沿って整列している、カートリッジが提供される。
【0008】
両態様によれば、サセプタによって供給される熱がカートリッジ内で変化する仕方は、カートリッジ内の熱プロファイルと称されてもよい。誘導回路から異なる距離に配置された1つ以上のリング状サセプタの1つ又は複数の縁部部分の異なる領域を有することによって、使用時に、カートリッジ内の熱プロファイルを、所望の加熱を蒸発可能物質の特定の領域へ送達するよう制御する能力をもたらすことが可能である。
【0009】
リング状サセプタの1つ又は複数の縁部部分は外縁部及び内縁部を含み得る。通例、各サセプタの外縁部は外向きに配向されていてもよい。これによって、外向きに配向された縁部は、概ねサセプタの中心から見て外方に向いており、リング状サセプタの外周面を形成することを意味することを意図している。しかし、各サセプタの内縁部又は各内縁部は内向きに配向されていてもよい。これによって、我々は、内向きに配向された縁部は、概ねサセプタの中心の方に向いており、リング状サセプタ内の孔の周囲を形成することを意味することを意図している。
【0010】
リング状サセプタの外(又は内)周縁は任意の形状のものであり得る。例えば、リング状サセプタの外周縁は実質的に円形であってもよい。代替的に、外周縁は、楕円形、凸凹形、波状、又は正方形であってもよい。代替的に、外周縁はランダム形状であってもよい。リング状サセプタの内周縁もまた、任意の形状のものであり得、上述の例のうちの任意のものの形状を取り得る。
【0011】
サセプタは、限定するものではないが、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びこれらの合金(例えば、ニッケルクロム)のうちの1つ以上を含み得る。その近傍における電磁界の印加に伴い、サセプタは、電磁エネルギーから熱エネルギーへのエネルギー変換をもたらす渦電流及び磁気ヒステリシス損に起因する熱を発生し得る。
【0012】
蒸発可能物質は任意の種類の固体又は半固体材料であり得る。蒸気発生固体の例示的な種類としては、粉末、顆粒、球粒、細片、撚り線、多孔性材料、又はシートが挙げられる。物質は植物由来材料を含んでもよく、特に、物質はタバコを含んでもよい。
【0013】
好ましくは、蒸発可能物質はエアロゾル形成体を含み得る。エアロゾル形成体の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの、ポリハイルドリック(polyhyrdric)アルコール並びにこれらの混合物が挙げられる。通例、蒸発可能物質は、乾燥重量に基づき、およそ5%~およそ50%のエアロゾル形成体含有量を有し得る。好ましくは、蒸発可能物質は、乾燥重量に基づき、およそ15%のエアロゾル形成体含有量を有し得る。
【0014】
加熱すると、蒸発可能物質は揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン、又はタバコフレーバリングなどのフレーバー化合物を含み得る。
【0015】
カートリッジは任意の数の2つ以上のサセプタを備え得る。カートリッジは、カートリッジが使用時に誘導回路内に位置付けられている時に、少なくとも2つのサセプタの各々の縁部が誘導回路から異なる距離にあり、異なる領域をもたらすように構成され得る。
【0016】
誘導回路から異なる距離にある縁部を有する2つ以上のサセプタの使用は、使用時に、少なくとも2つのサセプタの間における熱プロファイルの変化をもたらす。
【0017】
全て同じ形状及びサイズを有するサセプタを有することにはいくつかの利点(例えば、製作の容易さ及びコスト低減)があり得るが、好ましくは、少なくとも2つのサセプタの各々は異なる形状及びサイズを有し得る。サセプタが実質的に円形である場合には、サセプタは異なる直径を有するか、又は異なる直径を有する孔を有し得る。
【0018】
異なる直径のサセプタの使用は、カートリッジ内における放射対称性を維持しつつ、サセプタの外縁部が誘導回路から異なる距離にあるサセプタの簡単な提供を可能にする。
【0019】
サセプタの各々の中心を連結する共通軸は任意の方向に配向され得る。例えば、共通軸は実質的に対角線的に配置されていてもよく、これにより、各リング状サセプタはカートリッジの長手方向軸に対して或る角度をなして傾斜している。好ましくは、共通軸はカートリッジの長手方向軸であり得る。これは、サセプタが誘導回路の1つの側の方へ偏り、外縁部の異なる領域の距離の変化をもたらすことを可能にし、その一方で、蒸発可能物質がカートリッジの各軸方向断面を通して対称的に分布することを確実にする。
【0020】
代替的に、長手方向軸は中心長手方向軸であり得る。これは、カートリッジが、カートリッジの長手方向の長さ全体にわたって放射対称性を維持することを可能にする。
【0021】
カートリッジは、サセプタを加熱し、これにより、蒸発可能物質を蒸発させるために、外部誘導回路の近く、又はその内部に設置され得る。サセプタは誘導回路に対して任意の構成で配置され得るが、通例、サセプタの共通軸は、カートリッジが使用時に誘導回路内に設置されている時には、共通軸が誘導回路の軸と平行になるように配置され得る。
【0022】
共通軸を誘導回路の軸と平行に配置することによって、結合の任意の直交成分を通じた外部電磁界からの電力損失を最小限に抑えることが可能である。改善された結合は、より強力で、より信頼性の高い加熱効果を、サセプタ、ひいては、蒸発可能物質にもたらす。
【0023】
各サセプタの直径、位置、及び配向は、パターンを作り出すための規則のセットに従って選定されてもよい。例えば、サセプタは、各サセプタの直径及び/又は各サセプタ上の孔の直径が所与の方向におけるその前のものよりも小さく、所与の方向に徐々に小さくなっていく直径のサセプタ、及び/又は所与の方向に徐々に小さくなっていく孔を有する孔を有するサセプタのアレイをもたらすように構成され得る。
【0024】
カートリッジ内の熱プロファイルを制御する能力は、カートリッジの異なる領域が異なる温度になることを可能にする。カートリッジは、異なる固体蒸発可能物質が少なくとも2つの異なる領域の各々の周りに位置付けられているよう、複数の種類の蒸発可能物質を包含し得る。例えば、第1の蒸発可能物質は第1の所定の温度で蒸気を放出し得、第2の蒸発可能物質は、第1の温度よりも高い第2の温度で蒸気を放出し得る。異なる種類の蒸発可能材料は、各材料の蒸発が最適化されるよう異なる熱プロファイルを有するカートリッジの特定の領域に位置付けられ得る。
【0025】
カートリッジは任意の蒸発可能物質を備え得るが、好ましくは、固体材料はタバコを含み得る。
【0026】
誘導加熱可能カートリッジは、蒸発可能物質及びサセプタを保持する外皮又は膜の形態の空気透過性材料を備え得る。空気透過性材料は、電気絶縁性且つ非磁性のものである材料であり得る。材料は、空気が材料を通って流れることを可能にするための高い空気透過性を、高温に対する耐性と共に有し得る。好適な空気透過性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。空気透過性材料はまた、フィルタの役割も果たし得る。代替的に、蒸発可能物質及びサセプタは、空気透過性を有しないが、空気の流れを可能にするための適切な打ち抜き穴又は開口部を含む材料の内部に保持され得る。
【0027】
本発明の別の態様によれば、蒸気発生デバイスであって、第1の態様に係る誘導加熱可能カートリッジと、使用時に、カートリッジと結合する電磁界を発生し、その内部に熱を生み出すように構成された誘導加熱回路と、を備える蒸気発生デバイスが提供される。
【0028】
カートリッジ内に所望の熱プロファイルを発生するために最適化されたサセプタを利用する誘導加熱可能カートリッジを用いることによって、複数の蒸発可能物質から蒸気を生成する能力を有する効率的な蒸気発生デバイスを提供することが可能である。
【0029】
通例、誘導回路は円筒コイルの形態のものであり得る。誘導コイルは任意の好適な材料を含み得るが、通例、誘導コイルはリッツ線又はリッツケーブルを含む。
【0030】
代替的に、誘導回路は不規則な形状のコイルの形態のものであり得、これにより、それは、カートリッジ内の1つ以上のサセプタから異なる距離にある構成要素を有し、カートリッジの異なる領域内に異なる加熱特性をもたらす。
【0031】
不規則な形状のコイルの使用は、規則的な形状のサセプタを用いる場合でさえも、サセプタの縁部と誘導回路との間の異なる距離の提供を可能にする。例えば、コイルの直径はその長手方向軸に沿って変化し得る。コイルの直径の変化は長手方向軸に沿って連続的又は非連続的であり得る。このような場合には、回路は、カートリッジ内の1つ以上のサセプタから異なる横方向距離にある構成要素を有し得る。
【0032】
デバイスは、使用時に、最高濃度点においておよそ0.5T~およそ2Tの磁束密度を有する変動電磁界を用いて動作するように構成され得る。
【0033】
デバイス及び回路機構は、高周波数で動作するように構成され得る。通例、デバイス及び回路機構は、およそ80kHz~500kHz、好ましくは、およそ150kHz~およそ250kHz、より好ましくは、200kHzの周波数で動作するように構成され得る。
【0034】
誘導回路は任意の形態を取り得るが、好ましくは、誘導回路は、その内径がその軸方向において一方の側から他方へ徐々に減少する形態を有し得る。
【0035】
本発明の別の態様によれば、蒸気発生デバイスであって、誘導加熱可能カートリッジと、使用時に、カートリッジと結合する電磁界を発生し、その内部に熱を生み出すように構成された誘導加熱回路と、を備え、誘導回路が、不規則な形状のコイルの形態のものであり、これにより、それが、カートリッジ内の1つ以上のサセプタから異なる距離にある構成要素を有し、カートリッジの異なる領域内に異なる加熱特性をもたらす、蒸気発生デバイスが提供される。
【0036】
不規則な形状のコイルの形態の誘導回路を有することによって、規則的又は不規則な形状の誘導加熱可能カートリッジ内に複雑な熱プロファイルを生成する能力を有する蒸気発生デバイスを提供することが可能である。例えば、コイルの直径はその長手方向軸に沿って変化し得る。コイルの直径の変化は連続的又は非連続的であり得る。このような場合には、回路は、カートリッジ内の1つ以上のサセプタから異なる横方向距離にある構成要素を有し得る。
【0037】
サセプタは任意の形態を取り得るが、好ましくは、サセプタはリング状の形態を取り得る。
【0038】
誘導回路は任意の形態を取り得るが、好ましくは、誘導回路は、その内径がその軸方向において一方の側から他方へ徐々に減少する形態を有し得る。
【0039】
例示的な誘導加熱アセンブリ及び例示的な誘導加熱可能カートリッジが、以下において添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の一例に係る蒸気発生デバイスを概略的に示す。
図2図2は、図1に係る蒸気発生デバイスの分解図を概略的に示す。
図3図3は、図1及び図2に係る蒸気発生デバイスの部分を通した概略断面図を示す。
図4図4は、本発明の一例に係る誘導回路内に保持された誘導加熱可能カートリッジを概略的に示す。
図5A】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジの例を概略的に示す。
図5B】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジの例を概略的に示す。
図5C】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジの例を概略的に示す。
図5D】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジの例を概略的に示す。
図6A】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジのさらなる例を概略的に示す。
図6B】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジのさらなる例を概略的に示す。
図7】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジのさらなる例を概略的に示す。
図8】誘導回路内に保持された、本発明に係る誘導加熱可能カートリッジのさらなる例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、誘導加熱システム、及び使用時にカートリッジ内に所望の熱プロファイルを発生する能力を提供する誘導加熱可能サセプタを含むカートリッジを利用する蒸気発生デバイスを提供する。
【0042】
図1及び図2は、本発明の一例に係る蒸気発生デバイスを概略的に示す。例示的なデバイスは、図1では、組み立てられた構成で、及び図2では、組み立てられていない構成で、1において全体的に示されている。
【0043】
例示的な蒸気発生デバイス1は、手持ちデバイス(これによって、我々は、ユーザが補助を受けずに片手で保持及び支持することができるデバイスを意味することを意図する)であり、誘導加熱可能カートリッジ13と誘導加熱回路12とを備える。カートリッジ13が加熱されると、蒸気がカートリッジ13によって放出される。使用時において、蒸気は、誘導加熱アセンブリ11を用いて誘導加熱可能カートリッジ13を加熱することによって発生される。その後、蒸気はユーザによって吸入可能である。
【0044】
誘導加熱可能カートリッジ13に隣接して位置付けられた空気入口22が周囲環境からカートリッジ13に空気を供給する。空気出口23がカートリッジ13と気体連通しており、使用時にカートリッジ13から生成された蒸気を抽出する能力を提供する。本例では、デバイス1は、空気出口23と連通したマウスピース24をさらに備える。マウスピース24は、デバイス1から発生された蒸気を容易に吸う能力をユーザに提供する。使用時に、ユーザは、カートリッジ13が加熱されている時に、空気をデバイス1内に吸い入れ、誘導加熱可能カートリッジ13を通らせ、又はそれを囲ませ、マウスピース24の外へ出すことによって、蒸気を吸入する。空気は通常、ユーザが空気出口23から空気を吸うことによって生み出される、負圧の印加によってデバイス1を通して吸われる。
【0045】
カートリッジ13は、蒸発可能物質15及び誘導加熱可能サセプタ機構14を含む本体である。本例では、蒸発可能物質15は、タバコ、保湿剤、グリセリン、及びプロピレングリコールのうちの1つ以上を含む。サセプタ機構14は、導電性である複数のプレート14を含む。本例では、カートリッジ13はまた、蒸発可能物質15及びサセプタ14を包含するための空気透過性層又は膜16を有する。他の例では、膜16は存在しない。
【0046】
上述されたように、誘導加熱アセンブリ11は、カートリッジ13を加熱するために用いられる。アセンブリ11は、誘導回路12及び電源(図には示されていない)の形態の、誘導加熱デバイスを含む。電源及び誘導回路12は、電力が2つの構成要素の間で伝送され得るよう電気接続されている。
【0047】
本例では、誘導回路12及びカートリッジ13はどちらも実質的に円筒形である。図3に、線A-Aを通した、デバイス1の、上から見下ろした断面図が概略的に示されている。断面は、誘導加熱回路12、及び誘導回路12内に保持された誘導加熱可能カートリッジ13の領域を含む。
【0048】
断面の最も外側の部分から開始して、誘導加熱回路12は、円形断面を有する誘導回路のための環状ハウジングを含む。誘導加熱可能カートリッジ13は環状ハウジングの内部領域内において定位置に保持されている。本例では、カートリッジ13の領域は、同じく円形断面を有する空気透過性外皮16(又は膜)によって規定される。外皮16は、蒸発可能物質15、及び蒸発可能物質15内に保持され、それによって包囲されたリング状誘導加熱可能サセプタ14を包含する。リング状サセプタ14の各々はそれ自体で閉回路になっており、その中心が誘導加熱回路12の中心と実質的に整列するように配置されている。サセプタ14は、全ての側からサセプタ14を包囲する蒸発可能物質15と接触している。
【0049】
使用時には、誘導回路12からの電磁界の印加がサセプタ14の加熱を生じさせる。サセプタ14からの熱が周囲の蒸発可能物質15を蒸発させることによって、蒸気が発生される。
【0050】
サセプタ14が、電磁界を通じた電力の伝送を必要とする、誘導加熱によって加熱されるため、ほとんどの状況において、サセプタ14と誘導回路12との間の距離が低減されると、加熱効果は増大する。
【0051】
誘導回路12の部分内に保持された例示的な誘導加熱可能カートリッジ13の近接図を概略的に示す図4に、サセプタ14の外縁部と誘導回路12との間の距離が示されている。
【0052】
本例では、サセプタの外縁部と誘導回路との間の距離(図4における距離A)は、サセプタの外縁部と誘導回路12の内周縁との間の最も短い半径方向距離として定義される。サセプタ14の外縁部は、サセプタ14の周辺上の点のすぐ近傍におけるサセプタ14の領域として定義される。この距離は、サセプタ14の外縁部において発生される熱の程度を規定する。上述されたように、短い距離にあるほど電磁結合が改善されるという事実のゆえに、距離が短いほど、当該サセプタ14の縁部において大きな熱の発生がもたらされる。
【0053】
各縁部において発生される熱を制御するために、サセプタ14の(外及び又は内)縁部と誘導回路12との間の距離を変更することができる。換言すれば、サセプタ14の縁部から生成される熱プロファイルは、誘導回路12からのそれらの距離を適宜設定することによって選定することができる。図4に示されるとおりの、異なるこのような距離(図1図4には明示的に示されていない)を有する複数のリング状サセプタ14を用いることで、実質的に一様な誘導電磁界の印加によって誘導加熱可能カプセル13内に所望の熱プロファイルを精密に発生することが可能である。その結果、消耗品内における単純な寸法設計構成を用いて比較的複雑な現象を作り出すことができる。
【0054】
次に、我々は、図を参照してカートリッジ及び誘導回路の例示的な構成を説明する。図示の例は3つのサセプタを含むが、これは、各機構の特性を例示する目的のためのものである。他の例では、カートリッジは任意の数のサセプタを含み得る。
【0055】
図5Aは、誘導回路52内に保持された例示的なカートリッジ53を概略的に示す。カートリッジ53は実質的に円筒形であり、カートリッジの軸方向端部における基面、カートリッジの反対の軸方向端部における上面、及び周辺面を有する。カートリッジ53は、カートリッジ53の基面に向かって先細になった蒸発可能物質55の円錐台状本体を備える。3つのリング状サセプタ54が蒸発可能物質55内に保持され、それによって包囲されている。サセプタ54は、サセプタ54の各々の中心が誘導回路52の中心長手方向軸と実質的に整列するように構成されている。
【0056】
カートリッジ53の上面に最も近いサセプタから開始して、最上部のリング状サセプタ54aは第1の直径を有し、中央のリング状サセプタ54bは、第1の直径よりも小さい第2の直径を有し、最下部のリング状サセプタ54cは、第2及び第1の直径よりも小さい第3の直径を有する。
【0057】
空気透過性外皮56は蒸発可能物質55を実質的に包囲している。外皮56は、空気及び蒸気が拡散によって通過することを可能にしつつ、蒸発可能物質55を保持するための構造支持を提供する。
【0058】
誘導回路52はカートリッジ53の周辺面を実質的に包囲している。誘導回路のためのハウジングの内部形態は、誘導カートリッジ53の形状に対する相補的形状を有する。これは、カートリッジ53が挿入され、誘導デバイス51によって定位置に保持されることを可能にする。サセプタ54が異なる直径を有するため、それらの外縁部は周囲の誘導回路52から異なる距離にある。例えば、最大直径を有する最上部のサセプタ54aは、誘導回路52から最短の距離にその外縁部を有する。
【0059】
本例では、最上部のサセプタ54aの外縁部は、第1の温度で加熱されるのに適した第1の種類の蒸発可能物質55aによって少なくとも局所的に包囲されている。最下部のサセプタ54cの外縁部は、第1の温度よりも低い第2の温度で加熱されるのに適した第2の種類の蒸発可能物質55bによって少なくとも局所的に包囲されている。
【0060】
使用時には、誘導回路52からの電磁界の印加が各サセプタ54に熱を発生させる。上述されたように、誘導回路52とサセプタ54の外縁部との間の距離が小さいほど、当該縁部において発生される熱量は大きい。誘導回路52はその長手方向軸に沿って実質的に一様な電磁界を発生するが、各サセプタ54の外側領域において発生される熱は異なり、これにより、加熱効果はカートリッジ53の長手方向軸に沿って非一様になる。結果として、誘導回路52からの単一の電磁界の印加を必要とするだけで、カートリッジ53の異なる領域が異なる温度に加熱される。
【0061】
誘導回路52のスイッチが入れられると、第1の蒸発可能物質55aの蒸気が最上部のサセプタ54aの外縁部において発生され、第2の蒸発可能物質55bの蒸気が最下部のサセプタ54cの外縁部において発生される。このように、カートリッジ53は、単一の誘導回路52の使用によって、2つの異なる蒸発可能物質からの蒸気混合物を同時に発生する能力を提供する。
【0062】
空気透過性外皮56は蒸発可能物質55の円錐台状の形状を維持しているが、カートリッジ53の形状は円筒形である。別の例では、図5Bに示されるように、空気透過性外皮56は、外部形態が実質的に円筒形であり、蒸発可能物質55の円錐台状体積を相補うよう内部テーパを有する。これは、空気入口22から吸い込まれた空気が蒸発可能物質55の全表面にわたって分布し、通気、及び蒸発のための空気の供給を増大させることを可能にする。
【0063】
図5Cに概略的に示される誘導加熱可能カートリッジの別の例は、図5Aを参照して上述されたカートリッジと同様である。本例では、蒸発可能物質55のフラストロコニカル(frustro-conical)本体は、代わりに、カートリッジ53の上面に向かって先細になっており、3つのリング状サセプタ54'は最上部のサセプタ54a'から最下部のサセプタ54c'へ直径が徐々に増大する。その結果、使用時には、最下部のサセプタ54c'の外縁部において、より多くの熱が発生される。
【0064】
別の例では、図5Dに示されるように、空気透過性外皮56は、外部形態が実質的に円筒形であり、蒸発可能物質55の円錐台状体積を相補うよう内部テーパを有する。上述のように、これは、通気、及び蒸発可能物質への空気供給を増大させる。
【0065】
図6Aは、誘導回路62内に保持された例示的なカートリッジ63を概略的に示す。カートリッジは円筒形であり、カートリッジ63の軸方向端部における基面、カートリッジ63の反対の軸方向端部における上面、及び周辺面を有する。カートリッジ63は蒸発可能物質65の円筒形本体を備える。3つのリング状サセプタ64が蒸発可能物質65内に保持され、それによって包囲されている。サセプタ64は、サセプタ64の各々の中心がカートリッジ63の中心長手方向軸と整列するように構成されている。本例では、サセプタ64は実質的に同じ直径を有する。
【0066】
空気透過性外皮66は蒸発可能物質65を実質的に包囲している。外皮66は、空気及び蒸気が拡散によって通過することを可能にしつつ、蒸発可能物質65を保持するための構造支持を提供する。
【0067】
誘導回路62はカートリッジ63の周辺面を実質的に包囲している。本例では、誘導回路62は、上部軸方向端部から下部軸方向端部へ放射径が増大するように巻回されたコイルであり、これにより、コイル62は形態が実質的に円錐台状である。この構成では、サセプタ64は全て、実質的に同じ直径を有するが、各サセプタ64の外縁部と誘導回路62との間の距離は最上部のサセプタ64aから最下部のサセプタ64cへ徐々に増大する。
【0068】
距離の差のゆえに、使用時に、誘導回路62は、その長手方向軸に沿って一様でない電磁界を発生する。したがって、最上部のサセプタ64aの外縁部において最も多くの熱が発生され、その一方で、最下部のサセプタ64cはその外縁部においてより少ない熱を発生する。
【0069】
上述のように、発生される熱のこの差を、2つ以上の異なる種類の蒸発可能物質65を用いることによって活用することができる。本例では、最上部のサセプタ64aの外縁部は、第1の温度で加熱されるのに適した第1の種類の蒸発可能物質65aによって少なくとも局所的に包囲されている。最下部のサセプタ64cの外縁部は、第1の温度よりも低い第2の温度で加熱されるのに適した第2の種類の蒸発可能物質65bによって少なくとも局所的に包囲されている。
【0070】
誘導回路のスイッチが入れられると、第1の蒸発可能物質65aの蒸気が最上部のサセプタ64aの外縁部において発生され、第2の蒸発可能物質65bの蒸気が最下部のサセプタ64cの外縁部において発生される。このように、カートリッジ63は、単一の誘導回路62の使用によって、2つの異なる蒸発可能物質からの蒸気混合物を同時に発生する能力を提供する。
【0071】
図6Bに概略的に示される誘導加熱可能カートリッジの別の例は、図6Aを参照して上述されたカートリッジと同様である。本例では、誘導コイル62'は、上部軸方向端部から下部軸方向端部へ直径が減少するように巻回されており、これにより、コイル62'は形態が実質的に円錐台状であり、基面に向かって先細になっている。この構成では、使用時には、最下部のサセプタ64c'の外縁部において、より多くの熱が発生される。
【0072】
図7は、誘導回路72内に保持された別の例示的なカートリッジ73を示す。カートリッジ73は円筒形であり、カートリッジ73の軸方向端部における基面、カートリッジ73の反対の軸方向端部における上面、及び周辺面を有する。カートリッジ73は蒸発可能物質75の円筒形本体を備える。3つのリング状サセプタ74が蒸発可能物質75内に保持され、それによって包囲されている。サセプタ74は、サセプタ74の各々の中心がカートリッジ73の長手方向軸に沿って整列するように構成されている。長手方向軸は誘導回路72の中心軸からずれている。本例では、サセプタ74は実質的に同じ直径を有する。
【0073】
各サセプタ74が、誘導回路72の中心から外れた軸に沿って実質的に整列しているため、それらの外縁部の異なる領域は誘導回路72から異なる距離にある。例えば、図7に示される断面では、サセプタ74は、誘導回路72の左手側により接近して整列している。この構成では、サセプタ74の左端の外縁部は右端の外縁部よりも誘導回路72に接近しており、その結果、左端の外縁部において使用時に発生される熱は、右端の外縁部において発生される熱よりも大きい。
【0074】
上述のように、発生される熱のこの差を、2つ以上の異なる種類の蒸発可能物質を用いることによって活用することができる。本例では、サセプタ74の左端の外縁部は、第1の温度で加熱されるのに適した第1の種類の蒸発可能物質75aによって局所的に包囲されている。サセプタ74の右端の外縁部は、第1の温度よりも低い第2の温度で加熱されるのに適した第2の種類の蒸発可能物質75bによって局所的に包囲されている。
【0075】
誘導回路72のスイッチが入れられると、第1の蒸発可能物質75aの蒸気が各サセプタ74の左端の外縁部において発生され、第2の蒸発可能物質75bの蒸気が各サセプタ74の右端の外縁部において発生される。このように、カートリッジ73は、単一の誘導回路72の使用によって、2つの異なる蒸発可能物質からの蒸気混合物を同時に発生する能力を提供する。
【0076】
図8は、誘導回路82内に保持された別の例示的なカートリッジ83を示す。カートリッジ83は円筒形であり、カートリッジ83の軸方向端部における基面、カートリッジ83の反対の軸方向端部における上面、及び周辺面を有する。カートリッジ83は蒸発可能物質85の円筒形本体を備える。3つのリング状サセプタ84が蒸発可能物質85内に保持され、それによって包囲されている。サセプタ84は、サセプタ84の各々の中心がカートリッジ83の長手方向軸に沿って整列するように構成されている。本例では、最上部のサセプタ84a及び最下部のサセプタ84cは両方とも第1の直径を有し、その一方で、中央のサセプタ84bは、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する。
【0077】
この構成では、最上部のサセプタ84a及び最下部の84cは誘導回路82から第1の距離にそれらの外縁部を有し、その一方で、中央のサセプタ84bは、第1の距離よりも大きい、誘導回路82から第2の距離にその外縁部を有する。
【0078】
使用時に、最上部のサセプタ84a及び最下部のサセプタ84cの外縁部において発生される熱は、中央のサセプタ84bの外縁部において発生される熱よりも大きい。上述のように、発生される熱のこの差を、2つ以上の異なる種類の蒸発可能物質85を用いることによって活用することができる。本例では、最上部のサセプタ84a及び最下部のサセプタ84cの外縁部は、第1の温度で加熱されるのに適した第1の種類の蒸発可能物質85aによって局所的に包囲されており、中央のサセプタ84bの外縁部は、第1の温度よりも低い第2の温度で加熱されるのに適した第2の種類の蒸発可能物質85bによって局所的に包囲されている。
【0079】
誘導回路82のスイッチが入れられると、第1の蒸発可能物質85aの蒸気が最上部のサセプタ84a及び最下部のサセプタ84cの外縁部において発生され、第2の蒸発可能物質85bの蒸気が中央のサセプタ84bの外縁部において発生される。このように、カートリッジ83は、単一の誘導回路82の使用によって、2つの異なる蒸発可能物質からの蒸気混合物を同時に発生する能力を提供する。
【0080】
本例では、サセプタ84は誘導回路82の中心長手方向軸に沿って整列しているが、他の例では、サセプタ84は、誘導回路82の中心を外れた長手方向軸に沿って整列している。
【0081】
上述のことから理解されるであろうように、本発明は、誘導回路から異なる距離にある外縁部の異なる領域を有する少なくとも2つのリング状誘導加熱可能サセプタを設置することによって、複数の蒸発可能物質から発生される複雑な蒸気を生成する能力を有する蒸気発生デバイスの提供を可能にする。さらに、消耗品内のサセプタの機構、寸法、又は整列を変更することによって、共通デバイスと共に使用されたときに、異なる種類の消耗品のために異なるユーザエクスペリエンスを提供することが可能である。所望の熱プロファイルを生成するための安全な加熱機構を有する電子蒸気発生デバイスが本発明によって達成され、しかも、このような蒸気発生デバイスのコンパクト性及び携帯性を維持する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8