(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ウッドペレット製造方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20240906BHJP
C10L 10/04 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C10L5/44
C10L10/04
(21)【出願番号】P 2023079814
(22)【出願日】2023-05-15
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】10-2022-0088875
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0109308
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0146722
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523177931
【氏名又は名称】ジョン,クウォンホ
【氏名又は名称原語表記】JEON, KwonHo
【住所又は居所原語表記】105-dong, 701-ho, 12 Yongdun-gil, Gunsan-si,Jeollabuk-do, 54153, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】523177942
【氏名又は名称】ジョン,クウォンジン
【氏名又は名称原語表記】JEON, KwonJin
【住所又は居所原語表記】108-dong, 802-ho, 12 Yongdun-gil, Gunsan-si,Jeollabuk-do, 54153, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,クウォンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,クウォンジン
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/185804(WO,A1)
【文献】特開昭52-101202(JP,A)
【文献】特開2020-090674(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114410362(CN,A)
【文献】特開2021-011566(JP,A)
【文献】国際公開第2021/225436(WO,A1)
【文献】特開2012-046729(JP,A)
【文献】特表2022-543297(JP,A)
【文献】国際公開第2021/024001(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3232113(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0079773(KR,A)
【文献】特開2012-149140(JP,A)
【文献】特開2011-084713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/00-5/48
C10L 9/00-9/12
C10L 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材原料を破砕してウッドチップを製造する木材原料破砕段階と、
前記ウッドチップを乾燥させるウッドチップ乾燥段階と、
前記乾燥したウッドチップを一定のサイズの大鋸屑に粉砕するウッドチップ粉砕段階と、
前記大鋸屑に添加剤を添加して混合物に作る混合段階と、
前記混合物を圧縮してウッドペレットに加工する圧縮成形段階と、
前記ウッドペレットを乾燥させるウッドペレット乾燥段階と、を含み、
前記添加剤はアルミノシリケートであ
り、
前記アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量を前記アルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合が0.78~1.58であることを特徴とする、ウッドペレット製造方法。
【請求項2】
前記アルミノシリケートの比表面積は100~180m
2/gであることを特徴とする、請求項
1に記載のウッドペレット製造方法。
【請求項3】
前記アルミノシリケートは、国際標準化機構ISO 9277:2010規定に従って測定された比表面積が100~180m
2/gであることを特徴とする、請求項
1に記載のウッドペレット製造方法。
【請求項4】
前記アルミノシリケートは、400℃から800℃まで昇温するとき、重量減少率が5%以下であることを特徴とする、請求項
1に記載のウッドペレット製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウッドペレット製造方法に関するものであり、より詳しくは、バイオマス(植物資源)を燃料として使用するときに必ず発生した火力発電所ボイラー内部のファウリング、スラギング及び腐食現象を効果的に抑制することができるウッドペレット製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パリ気候協定に従って、政府では二酸化炭素排出量を減らし、新再生エネルギー市場を拡大するとともに競争力を高めるために、再生可能エネルギーポートフォリオ(RPS:Renewable Energy Portfolio)制度を施行している。発電事業者らは、既存の石炭、低品位炭及び石油コークスなどの燃料をバイオマスに置換するか混合することで義務を履行している。ウッドチップ、ウッドペレット、ヤシ皮などのバイオマス燃料は、既存の燃料に比べて、硫黄含量が少なくて二酸化硫黄(SO2)の発生量を低減させることができるという利点、及び有限な石炭を環境に優しい方法で置換することができるという点で脚光を浴びている。
【0003】
韓国特許第10-1877560号公報にはウッドペレットの製造方法が開示されており、韓国特許第10-1579930号公報には低品位廃木材を使用したバイオマス発電用ウッドペレットの製造方法が開示されている。
【0004】
しかし、従来技術では、バイオマス内に含有されている低融点の無機物が火力発電所の燃焼過程中にボイラーの内壁で融けて下がる。このような無機物がボイラー内壁及び熱交換部に焦げ付いて成長するスラギング及びファウリング現象はボイラーの熱効率を著しく低下させ、炉内の流動パターンを妨げ、さらにボイラー内壁を深刻に損傷させる問題を引き起こしている。
【0005】
ここで、スラギング(slagging)は燃焼材内に含まれている不燃性物質である灰分(ash:アッシュ)粒子が溶融した状態で急冷しながら凝集して付着及び堆積する現象である。ファウリング(fouling)は灰分が燃焼ガスと一緒に過熱器、再熱器などに凝縮または付着して固まる現象である。
【0006】
また、バイオマスに含まれている酸化カリウム(K2O)、酸化ナトリウム(Na2O)のような強アルカリ成分は揮発性が強くてボイラー内部での滞留期間が短いので、不均一な燃焼を引き起こすだけでなく、ボイラーの炉内のアッシュとの反応によって内壁をコーティングすることになり、よってボイラー内部の内壁を含めた金属表面が腐食されるという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許第10-1877560号公報
【文献】韓国特許第10-1579930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的思想はボイラー内壁のファウリング、スラギング及び腐食を抑制し、発電設備の熱効率を最適化させるだけでなく、環境に優しい燃料の効用性を高めて経済性まで確保することができる、ファウリング、スラギング及び腐食防止用ウッドペレットを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態として、ウッドペレット製造方法は、木材原料を準備する木材原料準備段階と、前記木材原料を8mm~100mmサイズに破砕してウッドチップを製造する木材原料破砕段階と、前記ウッドチップを乾燥させるウッドチップ乾燥段階と、前記乾燥したウッドチップを1mm~7mmの大鋸屑に粉砕するウッドチップ粉砕段階と、前記大鋸屑を貯蔵する貯蔵所に移送させながら不純物を除去する不純物除去段階と、前記不純物の除去された大鋸屑を移送コンベヤーで移送し、添加剤を噴射して混合物に混合する移送混合段階と、前記混合物を圧縮してウッドペレットに加工する圧縮成形段階と、前記ウッドペレットを乾燥させるウッドペレット乾燥段階とを含み、前記添加剤は、バイオマスの燃焼過程で発生するアルカリ成分と反応することができる物質である。
【0010】
前記ウッドペレットを含水率0%~15%の範囲に乾燥することができる。
【0011】
前記添加剤は、酸化アルミニウム20重量%~80重量%及び二酸化ケイ素20重量%~80重量%を含むことができる。
【0012】
前記添加剤がアルカリ成分と反応して生成された物質はカルシライト及びルーサイトを含むことができる。
【0013】
このような目的を達成するために、本発明の他の実施形態として、ウッドペレット製造方法は、木材原料を破砕してウッドチップを製造する木材原料破砕段階と、前記ウッドチップを乾燥させるウッドチップ乾燥段階と、前記乾燥したウッドチップを一定のサイズの大鋸屑に粉砕するウッドチップ粉砕段階と、前記大鋸屑に添加剤を添加して混合物に作る混合段階と、前記混合物を圧縮してウッドペレットに加工する圧縮成形段階と、前記ウッドペレットを乾燥させるウッドペレット乾燥段階とを含み、前記添加剤はアルミノシリケートである。
【0014】
前記アルミノシリケートの比表面積は100~180m2/gであり得る。
【0015】
前記アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量を前記アルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合が0.78~1.58であり得る。
【0016】
前記アルミノシリケートは、国際標準化機構ISO 9277:2010規定に従って測定された比表面積が100~180m2/gであり得る。
【0017】
前記アルミノシリケートは、400℃から800℃まで昇温するとき、重量減少率が5%以下であり得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるウッドペレット製造方法は次のような効果がある。
第一、発電設備の熱効率を最適化させることができる。
第二、環境に優しい燃料の効用性を高めて経済性を確保することができる。
第三、ボイラー内壁のファウリング、スラギング及び腐食が最小化するので、ボイラーの寿命を延ばすことができる。
第四、ペレットごとに添加される添加剤の量を一様に調節することができるので、均質なウッドペレットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例によるウッドペレット製造方法の製造工程を示すフローチャートである。
【
図2】本発明のウッドペレット製造方法の実施例及び比較例によるクリンカー生成量の推移を示すグラフである。
【
図3】本発明のウッドペレット製造方法の実施例によるクリンカー生成物を示す図である。
【
図4】比較例によるクリンカー生成物を示す図である。
【
図5】ボイラー内のクリンカーが生成されたかを示す実験サンプルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下で説明する実施例は本発明の技術思想を当業者が容易に理解できるように提供するものであるが、これによって本発明は限定されない。また、添付図面に示す事項は本発明の実施例を容易に説明するために図式化したものであり、実際に具現される形態とは異なることもある。
【0021】
ある構成要素が他の構成要素に連結されているかまたは接続されていると言及するときは、その他の構成要素に直接的に連結または接続されることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解しなければならない。
【0022】
<第1実施例によるウッドペレット製造方法>
図1は本発明の一実施例によるウッドペレット製造方法の製造工程を示すフローチャートである。
【0023】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるウッドペレット製造方法は、木材原料準備段階(S10)、木材原料破砕段階(S20)、ウッドチップ乾燥段階(S30)、ウッドチップ粉砕段階(S40)、不純物除去段階(S50)、移送混合段階(S60)、圧縮成形段階(S70)、及びウッドペレット乾燥段階(S80)を含む。
【0024】
木材原料準備段階(S10)は、針葉樹材、広葉樹材、林木廃棄物、生活系木材廃棄物、事業場廃木材、及び建設廃木材のうちの少なくとも1種を含む木材原料を準備する段階である。
【0025】
木材原料破砕段階(S20)は木材原料を8mm~100mmのサイズに破砕してウッドチップに製造する段階である。ここで、木材を破砕する理由は、ウッドチップ乾燥段階(S30)で乾燥を容易にし、貯蔵性及び作業性を向上させるためである。
【0026】
ウッドチップ乾燥段階(S30)はウッドチップを乾燥させる段階であり、ウッドチップの含水率が15%~30%になるように乾燥させることが好ましい。これは、ウッドチップ粉砕段階(S40)で粉砕工程の円滑な進行のためである。また、最終的に、ウッドペレット乾燥段階(S80)で2次的にウッドペレットの含水率を15%以下に乾燥させる前に乾燥効率を高めるために1次的に乾燥を実施するためである。ここで、含水率は水分が含まれる割合を意味する。
【0027】
ウッドチップ粉砕段階(S40)は乾燥したウッドチップをサイズ1mm~7mmの大鋸屑に粉砕する段階である。ここで、ウッドチップを大鋸屑の形態に粉砕する理由は、不純物除去段階(S50)で貯蔵を容易にするためであり、移送混合段階(S60)で添加剤と円滑に混合させるためである。
【0028】
不純物除去段階(S50)は大鋸屑を貯蔵所に移送させながら不純物を除去する段階である。ここで、不純物として金属、土、石などが含まれた場合、ウッドペレットの品質を低下させる異物として不純物を除去する方法には制限がない。
【0029】
移送混合段階(S60)は貯蔵所の大鋸屑を移送コンベヤーで移送しながら別途に貯蔵されている添加剤を噴射する段階である。添加剤はバイオマスの燃焼過程で発生するアルカリ成分と反応することができる物質である。
【0030】
添加剤は、総重量に対して、酸化アルミニウム20重量%~80重量%及び二酸化ケイ素20重量%~80重量%を含むことが好ましい。木材燃料を含む大部分のバイオマス燃料は肥料に由来するアルカリ成分が含有されている。このようなアルカリ成分は低融点を有しているので、火力発電所のボイラー炉内に投入されれば、ボイラー炉内の高温によって融けてボイラー内部の金属表面に焦げ付くことになる。よって、溶融したボイラー内のアッシュ粒子が焦げ付いたアルカリ成分上に成長してスラギング及びファウリングを発生させ、当該金属表面の鉄(Fe)原子が気状の塩素(Cl2)ガスと結合して腐食表面を生成することになる。このような低融点アルカリ無機物としては、代表的にカリウムがある。本発明では、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素を木材燃料内の低融点アルカリ成分と反応させて融点をボイラー内の温度以上に上昇させることで、ファウリング、スラギング及び腐食を抑制させる。反応式は次の通りである。
【0031】
(1)Al2O3・nSiO2+2KCl+H2O→K2O・Al2O3・nSiO2+2HCl
(2)Al2O3・nSiO2+K2SO4→K2O・Al2O3・nSiO2+SO3
(3)Al2O3・nSiO2+K2O→K2O・Al2O3・nSiO2
【0032】
添加剤がアルカリ成分と反応して生成されたアルミノシリケート化合物であるカルシライト(Kalsilite)及びルーサイト(Leucite)は融点がそれぞれ1600℃、1500℃である。
【0033】
添加剤を投入する前の既存のクリンカーを引き起こす物質である塩化カリウム(KCl)及び塩化ナトリウム(NaCl)はそれぞれ融点がボイラーの炉内温度より低い774℃、800℃である。
【0034】
したがって、添加剤がアルカリ成分と反応して生成された物質は、融点が炉内の温度より高くなってファウリング、スラギング及び腐食を抑制する。
【0035】
(1)~(3)の反応式によって融点が上昇したカリウムはボイラーの運用中に金属表面に焦げ付かないことで、ファウリング及びスラギングを抑制する。さらに、腐食表面の生成を事前に防止することができる。ここで、添加剤は、酸化アルミニウム20重量%~80重量%及び二酸化ケイ素20重量%~80重量%を含むことが好ましい。これは、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素がアルカリ成分と最も効率的に反応するようにするためである。添加剤としては、酸化アルミニウム20重量%~80重量%及び二酸化ケイ素20重量%~80重量%を含むどの物質でも可能であり、添加剤としての使用に制限はない。
【0036】
添加剤は移送混合段階(S60)で実施される混合工程で噴射されるように別に貯蔵される。
【0037】
ここで、コンベヤーベルトの移動速度及び添加剤噴射率は、木材原料の構成成分に応じて、カリウムに対する酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素の量を考慮して適宜調節することができる。
【0038】
圧縮成形段階(S70)は混合物を10MPa~500MPaの強度で圧縮してウッドペレットに加工する段階である。ここで、圧縮強度が10MPa未満であると、十分に圧縮されずペレットの体積に対する熱量が格段に減少し、500MPaを超えると、ペレットの形状が崩壊し不良率が高くなることがある。
【0039】
ウッドペレット乾燥段階(S80)は、ウッドペレットを最終的に含水率15%未満、発熱量4,000Kcal/kgになるように乾燥してウッドペレットに製造する段階である。ここで、ウッドペレットの含水率が15%以上であると、ウッドペレットの発熱量が低下して火力発電所ボイラーの燃料としての効率を期待しにくい。
【0040】
以上で本発明によるウッドペレット製造方法の構成及び作用を説明した。これは例示的なものに過ぎず、本発明の技術が属する分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解することが可能であろう。
【0041】
具体的な実施例及び比較例を説明すれば次の通りである。
【0042】
[実施例]
実施例(A)では、ユーカリ皮を50mmに破砕してウッドチップを製造した後、含水率25%になるように1次乾燥した。乾燥したウッドチップをさらに2mm~5mmに粉砕した後、酸化アルミニウム30重量%及び二酸化ケイ素70重量%の添加剤と混合成形してウッドペレットを製造し、2次乾燥によって含水率13%、発熱量4,300Kcal/kgのウッドペレットを製造した。ここで、添加剤は、乾燥したウッドチップの総重量に対して3%を添加した。ただ、ボイラーの特性、ウッドチップの種類によって、バイオマス原料の総重量に対して1%~4%内で添加剤の添加量を調節することができる。
【0043】
[比較例]
比較例(B)は実施例と同様にウッドペレットを製造するが、添加剤を添加しなかった。
【0044】
実施例及び比較例は火力発電所循環流動層ボイラーを模型化したパイロットテスト機を用いて分析し、パイロットテスト機内のロードセルの表面に生成されるクリンカー(clinker)の重量変化を秒当たり1回測定した。
【0045】
パイロットテスト機の温度は900℃、ロードセルの温度は600℃、燃料投入率は2.5kg/hr、テスト時間は9時間に設定し、分析結果は下記の表1に示した。
【0046】
実施例は、時間が経過しても生成されるクリンカーの重さが1gを超えない範囲内で減少したりしながら一定の範囲を維持した。しかし、比較例は、時間が経過するほど生成されるクリンカーの重さが段々増加することが分かる。
【0047】
【0048】
<実施例及び比較例によるクリンカー生成量>
図2は本発明のウッドペレット製造方法の実施例及び比較例によるクリンカーの生成量の推移を示すグラフであり、
図3は本発明のウッドペレット製造方法の実施例によるクリンカー生成物を示す図であり、
図4は比較例によるクリンカー生成物を示す図である。
【0049】
図2~
図4を
図1と一緒に参照すると、本発明の実施例によって製造されたウッドペレットが燃焼した場合、比較例によって製造されたウッドペレットが燃焼した場合と比較して、生成されるクリンカーの量が著しく少ないことが明らかとなった。このことから、比較例には含まれていない添加剤内の酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素が木材原料内に含有されているカリウムと反応して融点を上昇させることで、アルカリ成分によってロードセル金属表面に焦げ付くこと、すなわちファウリング及びスラギングを防止したことが分かる。
【0050】
図3の本発明の実施例によるクリンカー生成物Cは表面が滑らかである反面、
図4に示す比較例によるクリンカー生成物Dは表面が荒く成長した形態を示していることが分かる。
【0051】
一方、ボイラー内の流動砂(不活性流動媒体)及びアッシュがアルカリ条件の下でクリンカーを生成するかを確認する実験を実施した。ボイラー内の燃焼条件実験は次の通りある。
【0052】
ウッドペレットのアルカリ含有量を考慮してK2CO3の試薬を5%投入した。
【0053】
流動砂に試薬K2CO3を入れて圧縮成形したサンプル1と、流動砂に試薬K2CO3及び(Al2O3+SiO2)を入れて圧縮成形したサンプル2~5との間の比較実験を実施した。
【0054】
【0055】
<添加剤割合表>
サンプル1の製造の際、流動砂とK2CO3の割合は流動砂95重量%+K2CO35重量%に固定し、サンプル2~5の製造の際には、流動砂92.15重量%、K2CO34.85重量%、添加剤3重量%で配合し、添加剤の成分別含量は表3に記載した通りである。
【0056】
【0057】
<添加剤置換割合による表>
表3の添加剤は表2の添加剤割合表の割合を3重量%に置換して適用したものである。
【0058】
それぞれのサンプルをボイラー内に投入し、焼成温度はボイラー平均温度である850℃に設定して焼成させた。
【0059】
図5はボイラー内にクリンカーが生成されたかを示す実験サンプルを示す図である。
【0060】
図5を参照すると、添加剤がないサンプルは溶融が発生したことが確認される。添加剤がないサンプル1は溶融して表面が丸い液体状態を示すことが分かる。これから、発電所燃焼炉の内部でアルカリ成分によってクリンカーが発生する危険があることが分かる。
【0061】
一方、添加剤が混合されたサンプルを見ると、溶融が発生しなかったことが分かる。添加剤が添加された場合には、サンプル2~サンプル5のように外周部が角をなして厚さを有する形態であり、溶融しなかったことが分かる。すなわち、溶融温度が高くなるので、アルカリによって溶融が発生することが防止される。
【0062】
したがって、本発明によるウッドペレット製造方法は、燃料に含有されている無機物の溶融温度を上昇させることで、火力発電所のボイラー内壁のファウリング、スラギング及び腐食を効果的に抑制することができ、発電設備の熱効率を最適化させることができ、環境に優しい燃料の効用性を高めて経済性を確保することができる。
【0063】
<第2実施例によるウッドペレット製造方法>
第2実施例によるウッドペレット製造方法は、木材原料破砕段階、ウッドチップ乾燥段階、ウッドチップ粉砕段階、混合段階、圧縮成形段階、及びウッドペレット乾燥段階を含むことができる。
【0064】
木材原料破砕段階では、木材原料を破砕してウッドチップを製造することができる。木材原料の種類は第1実施例と同様に適用することができる。木材原料破砕段階で製造されるウッドチップは、木材原料を破砕して一定のサイズ(例えば、8~100mm)に製造したものである。
【0065】
ウッドチップ乾燥段階では、木材原料破砕段階で製造されたウッドチップを乾燥させることができる。ウッドチップ乾燥段階では、ウッドチップの含水率が15~30%になるように乾燥させることができ、ウッドチップは公知の多様な乾燥方式で乾燥させることができる。
【0066】
ウッドチップ粉砕段階では、ウッドチップ乾燥段階で乾燥したウッドチップを一定のサイズの大鋸屑に粉砕することができる。ここで、大鋸屑はウッドチップを粉砕して一定のサイズ(例えば、1~7mm)に製造したものである。
【0067】
混合段階では、大鋸屑に添加剤を添加して混合物にすることができる。例えば、混合段階では、コンベヤーベルト上にある大鋸屑が移送されるとき、大鋸屑上に一定量の添加剤を投下して混合物を製造することができる。混合段階で添加剤の投入量は、粉砕物である大鋸屑100重量部を基準に、0.1~10重量部(例えば、0.1重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部または10重量部)を適用することができる。
【0068】
実施によって、ウッドチップ粉砕段階と混合段階との間には、大鋸屑の不純物を除去する不純物除去段階をさらに実施することもできる。大鋸屑内に含まれる不純物はフィルターを通過することによって除去することができるが、その他にも、公知の多様な方式の不純物除去技術を用いることもできる。
【0069】
圧縮成形段階では、混合段階で作られた混合物を圧縮してウッドペレットに加工することができる。圧縮成形の際、ウッドペレットは10~500MPaの強度で圧縮することができる。
【0070】
ウッドペレット乾燥段階では、圧縮成形段階で加工されたウッドペレットを乾燥させることができる。ウッドペレットの乾燥の際、ウッドペレットの最終含水率が15%未満、発熱量が4,000kcal/kgになるように乾燥させることができる。
【0071】
第2実施例によれば、混合段階の添加剤はアルミノシリケートを適用することができる。本明細書で、アルミノシリケート(aluminosilicate)はアルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)とが結合したものを意味する。第2実施例によるアルミノシリケートは、アルミニウム(Al)元素に対して、シリコン(Si)元素の数が1個~5個の構造を有することができる。
【0072】
また、アルミノシリケートは、国際標準化機構ISO 9277:2010規定によって測定された比表面積が100~180m2/gであり得る。具体的な例として、アルミノシリケートの比表面積は、100m2/g、110m2/g、120m2/g、130m2/g、140m2/g、150m2/g、160m2/g、170m2/gまたは180m2/gを適用することができる。また、アルミノシリケートの比表面積は前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲になることができる。
【0073】
例えば、アルミノシリケートの比表面積の範囲は、100m2/g~140m2/g、105m2/g~135m2/g、110m2/g~130m2/g、115m2/g~135m2/g、120m2/g~150m2/g、125m2/g~145m2/g、100m2/g~150m2/gまたは100m2/g~180m2/gの範囲になることができる。一実施例によるアルミノシリケートの比表面積の上限は特に限定されないが、例えば、300m2/g以下、250m2/g以下、200m2/g以下、250m2/g以下、200m2/g以下、180m2/g以下または150m2/g以下であり得る。
【0074】
第2実施例で、アルミノシリケートの比表面積の数値が大きいほど、ウッドペレットの燃焼時に発生するアルカリ成分(例えば、K2O、Na2O)及び塩化物(一例として、HCl)の吸着が容易であり、スラギング及びファウリング現象と腐食を効果的に抑制することができる。アルミノシリケートの比表面積が100m2/g未満の場合には、ウッドペレットから発生するアルカリ成分を物理的に吸着して捕集する効率が低下してスラギング及びファウリング現象を充分に制御することができないおそれがある。
【0075】
第2実施例で、アルミノシリケートの平均粒径は20~500μmを適用することができる。具体的な例として、アルミノシリケートの平均粒径は20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μmまたは500μmを適用することができる。もちろん、実施によって、アルミノシリケートの平均粒径を燃焼状況に応じて異なるように調節して使用することもできる。
【0076】
第2実施例で、アルミノシリケートは、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含むことができる。一実施例によれば、アルミノシリケート内に含有される酸化アルミニウムの含量は20~60重量部を適用することができる。具体的な例として、酸化アルミニウムの含量は、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部または60重量部を適用することができる。また、酸化アルミニウムの含量は前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲になることができる。
【0077】
例えば、アルミノシリケート内に含まれる酸化アルミニウムの含量範囲は20重量部~30重量部、30重量部~40重量部、35重量部~45重量部、40重量部~50重量部または20重量部~60重量部の範囲になることができる。一実施例による酸化アルミニウムは、前記範囲でウッドペレットのアルカリ成分を効果的に制御することができる。
【0078】
仮に、アルミノシリケート内に含まれる酸化アルミニウムが20~60重量部の範囲を外れる場合には、ウッドペレットから出るアルカリ成分を効果的に制御することが容易でない。
【0079】
第2実施例で、アルミノシリケート内に含有される二酸化ケイ素の含量は40~80重量部を適用することができる。具体的な例として、二酸化ケイ素の含量は、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部または80重量部を適用することができる。また、二酸化ケイ素の含量は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲になることができる。
【0080】
例えば、アルミノシリケート内に含まれる二酸化ケイ素の含量範囲は、40重量部~50重量部、50重量部~60重量部、55重量部~65重量部、60重量部~70重量部、55重量部~70重量部または40重量部~80重量部の範囲になることができる。一実施例による二酸化ケイ素は、前記範囲でウッドペレットのアルカリ成分を効果的に制御することができる。仮に、アルミノシリケート内に含まれる二酸化ケイ素が40~80重量部の範囲を外れる場合には、ウッドペレットから出るアルカリ成分を効果的に制御することが容易でない。
【0081】
第2実施例によれば、添加剤であるアルミノシリケートは、大鋸屑が燃焼するとき、大鋸屑内に含有されていたアルカリ成分と化学的に反応することで、大鋸屑から放出されたアルカリ成分をカルシライト(KAlSiO4)及びルーサイト(KAlSi2O6)のうちの少なくとも1種に転換させることができる。
【0082】
すなわち、ウッドペレット内に含有されていたアルカリ成分は、ウッドペレットが燃焼するとき、添加剤であるアルミノシリケートと反応しながら融点1600℃以上のカルシライトに転換されるかまたは融点1500℃以上のルーサイトに転換されるので、既存にボイラー内でアルカリ成分が溶融することによって発生したスラギング、ファウリング、凝結の問題を改善することができる。
【0083】
第2実施例によれば、アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量をアルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合が0.78~1.58であり得る。
【0084】
具体的な例として、アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量をアルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合は、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.84、0.86、0.88、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.34、1.36、1.38、1.4、1.42、1.44、1.46、1.48、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57または1.58であり得る。また、アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量をアルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲になることができる。
【0085】
例えば、アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量をアルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合の範囲は、0.78~1.2、0.58~1.2、0.98~1.2、0.9~1.2、0.9~1.3、1~1.2、1~1.4、1.18~1.58、1.2~1.58、1.38~1.58または0.78~1.58であり得る。一実施例によるアルミノシリケートに含有される二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの含有量の間の割合が前記の範囲であるとき、ウッドペレットのアルカリ成分と反応してスラギング及びファウリング現象を効果的に抑制することができる。
【0086】
仮に、アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量をアルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合が0.78~1.58の範囲を外れる場合には、ウッドペレットから放出されるアルカリ成分と反応して高融点物質(例えば、カルシライト、ルーサイトなど)を生成する効率が低下するので、スラギング及びファウリング現象を防止することが容易でない。
【0087】
一具体例によれば、X線蛍光分光法を用いてアルミノシリケート内に含有される二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの重量を確認することができる。よって、アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量をアルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合を導出することができる。
【0088】
一方、第2実施例によるアルミノシリケートは、400℃から800℃まで昇温するとき、重量減少率が5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下または0.1%であり得る。例えば、400℃から800℃まで分当たり10℃の速度で昇温するとき、アルミノシリケートの重量減少率は5%以下であり得る。ここで、アルミノシリケートの重量減少率は下記の式1によって導出することができる。
【0089】
[式1]
アルミノシリケートの重量減少率(%)=(A-B)/A*100
(ここで、Aは400℃でアルミノシリケートの重量、Bは800℃でアルミノシリケートの重量である)
【0090】
第2実施例によるアルミノシリケートの重量減少率の下限は特に限定されないが、例えば、0.001%以上、0.01%以上または0.05%以上であり得る。
【0091】
第2実施例によるアルミノシリケートは、カオリン(例えば、カオリナイト、ハロイサイトなど)とは違い、アルミノシリケート内に結晶水を含んでいないので、高温で結晶水が蒸発するのに伴ってアルミノシリケートの総重量が減少する現象がほとんど発生することがなく、400~800℃で重量減少率が1%以下である。
【0092】
これに対して、カオリンは、内部に含有される結晶水が400~800℃で蒸発することにより、比表面積の数値が常温の場合より大きくなることはできるが、結晶水が蒸発する温度に到逹する前まではカオリンの比表面積が高くなりにくいため、バイオマス原料(一例として、木材)に由来するアルカリ成分を早く吸着して除去することが難しい。
【0093】
しかし、第2実施例によるアルミノシリケートは内部に結晶水を含んでいないため、400~800℃でも常温と類似したレベルの比表面積(例えば、100~180m2/g)を維持することができるので、カオリンに比べて速かにアルカリ成分を吸着して除去することができる。
【0094】
第2実施例によるアルミノシリケートには、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素の含量を除いた残量として不可避な不純物が含まれる場合もある。
【0095】
以下では、具体的な実施例及び実験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。下記の実施例及び実験例は本発明の理解を助けるための一例示に過ぎず、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではない。
【0096】
ウッドペレットの製造
<実験例1~5及び比較実験例1~2>
杉(Japanese cedar)を50mmに破砕してウッドチップを製造した後、含水率25%に1次乾燥させた。乾燥したウッドチップを2mm~5mmに粉砕した後、粉砕物100重量部当たりアルミノシリケート3重量部を混合した混合物を圧縮成形してウッドペレットを製造し、2次乾燥によって含水率13%、発熱量4,300Kcal/kgのウッドペレットを製造した。それぞれの実験例及び比較実験例別に、アルミノシリケートに含有される二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの重量をX線蛍光分光法機器(Rigaku社のZSX Primus II)で測定し、アルミノシリケートに含まれる二酸化ケイ素の含有量をアルミノシリケートに含まれる酸化アルミニウムの含有量で割った割合を導出して下記の表4に記載した。
【0097】
【0098】
実験例及び比較実験例別の円錐形サンプルの製造
<実験例1~5及び比較実験例1~2>
それぞれの実験例及び比較実験例別に製造されたウッドペレットを550℃で焼成して灰分に製造した。この際、ISO 18122 Solid biofuelsに従って灰分を製造した。製造された灰分サンプルを円錐形モールドに投入し、20MPaで2分間圧力をかけることで、それぞれの実験例及び比較実験例別の円錐形サンプルを製作した。
【0099】
高温での安定度実験
<実験例1~5及び比較実験例1~2>
それぞれの実験例及び比較実験例別に製作された円錐形サンプルの高温での安定度を確認するために、アッシュの可融度実験方法(ISO 540 Determination of fusibility of ash)に従って実験を実施し、その結果を下記の表5に記載した。
【0100】
【0101】
表5は温度によるそれぞれの円錐形サンプルの形状を撮影した写真、及び各サンプルの変形が起こり始めた温度を記録したものである。表5の可融度実験結果を参照すると、実験例1~5の熱変形温度がいずれも1,000℃以上であることから、高温で安定的なことを確認することができた。これに対して、比較実験例1及び2を見ると、1,000℃未満で熱変形が発生したことが確認された。すなわち、比較実験例1及び2は熱変形温度が1,000℃未満であるので、比較実験例1及び2によるウッドペレットを燃焼させると、火力発電所の循環流動層ボイラーの一部区間で溶融してクリンカーが発生する可能性があることが分かる。
【0102】
BET法による比表面積測定
<実験例1~5>
各実験例に使用されるアルミノシリケートサンプル0.1gを100℃で前処理してサンプル内の表面水を除去した後、MicrotracBEL社のBELSORP-max II機器を用い、標準分析方法ISO 9277:2010に従って各サンプルの比表面積を総3回測定し、その平均値を下記の表6に記載した。
【0103】
【0104】
重量減少率測定
<実験例1~5>
それぞれの実験例に使用されるアルミノシリケートサンプル200mgを熱重量-示差走査熱量分析器(TA Instruments社のSDT Q600)に投入し、常温(25℃)から1,000℃まで分当たり10℃の速度で昇温させ、400℃及び800℃でアルミノシリケートの重量を測定した。各実験例別のサンプルの重量減少率は前述した式1によって導出し、その結果を下記の表7に記載した。
【0105】
【0106】
上述したように、本発明の多様な実施例によれば、ウッドペレット製造の際に添加されるアルミノシリケートは大鋸屑内に含有されるアルカリ成分と反応して高融点物質を生成することができる。よって、ウッドペレットの燃焼の際のボイラー内部の熱的不均衡、スラギング、ファウリング現象及び腐食問題を改善することができる。
【0107】
また、本発明の多様な実施例によれば、ウッドペレット製造の際、添加剤としてカオリンを使わなくても、大鋸屑のアルカリ成分を制御することで、アルカリ成分によるスラギング及びファウリング現象を抑制することができる。
【0108】
さらに、本発明の多様な実施例によれば、アルミノシリケートは高温で重量減少率が小さいので、ウッドペレットの製造の際、粉砕物100重量部当たりの添加剤の投入量の設定が容易であり、強熱減量による損失が少ないので、カオリンに比べて相対的に少ない量の添加剤でもアルカリ成分を制御することができる。
【0109】
また、本発明の多様な実施例によれば、添加剤であるアルミノシリケートは結晶水を含んでいないので、400~800℃の高温でアルミノシリケートを熱処理しなくても、常温(例えば、20~25℃)で100~180m2/g程度の比表面積を維持することができ、高い比表面積によって、ウッドペレットの燃焼時に溶融するアルカリ成分を物理的に吸着して除去することができるので、スラギング及びファウリング現象を防止することができる。
【0110】
アルミノシリケート内に結晶水が含有されている場合には、高温で熱処理して結晶水を除去することによってのみ比表面積を増やすことができるが、本発明の多様な実施例によれば、結晶水を別に処理しなくともアルミノシリケートの比表面積数値が高い特性を有しているので、ウッドペレットの燃焼の際、大鋸屑との迅速な反応によってアルカリ成分を制御することができる利点がある。
【0111】
そして、本発明の多様な実施例によれば、ウッドペレットの燃焼時に放出される塩素または塩化物がアルミノシリケートの表面に吸着されることができるので、ウッドペレットの燃焼時に発生する塩素化合物がボイラーの内壁や内部部品に付着して腐食を引き起こすことを事前に防止することができる。
【0112】
本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施可能であるということが理解可能であろう。したがって、以上で記述した実施例はさまざまな実施可能な例のうち、当業者の理解を助けるために最良の実施例を選定して提示したものに過ぎず、本発明の技術的思想が必ずしもここで提示した実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様な変化と付加及び変更が可能であることはもちろんのこと、均等な他の実施例が可能であることを明らかにしておく。
【符号の説明】
【0113】
S10 木材原料準備段階
S20 木材原料破砕段階
S30 ウッドチップ乾燥段階
S40 ウッドチップ粉砕段階
S50 不純物除去段階
S60 移送混合段階
S70 圧縮成形段階
S80 ウッドペレット乾燥段階