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特許7550925フラッシング水処理用フィルタ装置、フラッシング水処理用フィルタシステム及びフラッシング水処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】フラッシング水処理用フィルタ装置、フラッシング水処理用フィルタシステム及びフラッシング水処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
B01D29/08 520C
B01D29/08 530C
B01D29/08 540A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023110946
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2019127583の分割
【原出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2023118901
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 峰彦
(72)【発明者】
【氏名】大迫 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】菅家 正隆
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-511823(JP,A)
【文献】特開2013-034987(JP,A)
【文献】特開2004-269961(JP,A)
【文献】特表平04-500627(JP,A)
【文献】実開昭51-093837(JP,U)
【文献】特開2004-167371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-29/96,33/00-35/05,35/10-37/04
B01D 39/00-41/04
C02F 1/00
B08B 1/00-1/04,5/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に収容して、配管のフラッシング水を処理する際に使用するフィルタであって、繊維径が100μm以下の繊維を圧縮して、空隙率が86%~92%の繊維ろ材としたフラッシング水処理用フィルタ、または繊維径が100μm以下の繊維を固めたペレットを圧縮して、空隙率が86%~92%の繊維ろ材としたフラッシング水処理用フィルタ、を容器内に収納したフィルタ装置であって、
前記容器は筒状であり、前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタの収容部下面に、多数の開口を有する受け止め部材を有し、
前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも下側に処理水の入口が設定され、
前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも上側に処理水の出口が設定され、
前記容器の下側形状をテーパ―状に狭くなったテーパ―部とし、
前記テーパ―部と前記受け止め部材との間に、処理水の通流空間が形成され、
前記通流空間に、前記処理水の入口が垂直ではない方向に設けられ、
前記入口は、前記入口から供給される処理水が旋回流を形成するように、平面視で前記容器の内面の接線方向側に傾けて設けられていることを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタ装置。
【請求項2】
機器に接続される循環配管内をフラッシング処理するフラッシング水処理用フィルタシステムであって、
前記循環配管と並列に、請求項1に記載のフラッシング水処理用フィルタ装置が接続されたことを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタシステム。
【請求項3】
前記フラッシング水処理用フィルタ装置の後段に、さらに粒径の小さい異物をろ過する他のフィルタ装置が設けられたことを特徴とする、請求項2に記載のフラッシング水処理用フィルタシステム。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか一項に記載のフラッシング水処理用フィルタシステムを用いたことを特徴とする、フラッシング水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシング水処理用フィルタ装置、フラッシング水処理用フィルタシステム及びフラッシング水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば空調設備の熱源用配管には、配管用炭素鋼鋼管が多く使用されるが、配管工事施工後の配管内には、配管施工により発生した溶接スラグ、シールテープなどの異物、管材の削りかす、外部から侵入した砂、ほこりなどが入っている。また管材の内外面に亜鉛メッキを施したいわゆる白ガス管の場合には、さらに亜鉛が含まれている。これらを除去するため実際の運転前には、フラッシンクが行なわれる。
【0003】
一般的なフラッシングは、フラッシング対象となる配管系統に水を貼り、その後ポンプによって配管内を洗浄することによって行われるが、フラッシング後の排水については環境等に配慮する必要があり、例えば亜鉛は下水道法、水質汚濁防止法、各自治体の条例等によって厳しく規制されている。そのため、フラッシングを行なった後のフラッシング排水を外部に排出しない排水レスのフラッシングが注目を浴びている。
【0004】
かかる点に鑑み、出願人は、先に排水レスが可能なフラッシング排水の処理方法を提案している(特許文献1)。この処理方法はフラッシング排水を凝結槽にて無機凝結剤で凝結させ、その後凝集槽にて高分子凝集剤で凝集させて亜鉛を含む凝集物を分離除去し、その後沈殿槽にて汚泥を分離するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-34987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した先行技術は、特に亜鉛メッキ鋼管の配管をフラッシングした際のフラッシン水の処理に効果があり、法規によって厳しく規制された排水の処理に有用であったが、基本的には凝集沈殿法を用いているため、装置構成が大きくなってしまい、この点で改善の余地があった。
【0007】
この点に関し装置構成の小型化を図るという観点からすれば、カートリッジ式のフィルタを用いる方が有利である。しかしながら、市販のこの種のフィルタでは、1本あたりの捕集量が少なく、前記した配管のフラッシング水を処理するには、多数のカートリッジフィルタが必要となり、費用がかさみ実用性が低い。したがって、現在の技術では、浄化目的の水量が少量か、あるいは汚れが少ない場所でしか使用できなかった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、フラッシング水を処理する際に適したフィルタ装置を提供して、前記問題の解決を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、容器内に収容して、配管のフラッシング水を処理する際に使用するフィルタであって、繊維径が100μm以下の繊維を圧縮して、空隙率が86%~92%の繊維ろ材としたフラッシング水処理用フィルタ、または繊維径が100μm以下の繊維を固めたペレットを圧縮して、空隙率が86%~92%の繊維ろ材としたフラッシング水処理用フィルタ、を容器内に収納したフィルタ装置であって、
前記容器は筒状であり、前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタの収容部下面に、多数の開口を有する受け止め部材を有し、前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも下側に処理水の入口が設定され、前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも上側に処理水の出口が設定され、前記容器の下側形状をテーパ―状に狭くなったテーパ―部とし、前記テーパ―部と前記受け止め部材との間に、処理水の通流空間が形成され、前記通流空間に、前記処理水の入口が垂直ではない方向に設けられ、前記入口は、前記入口から供給される処理水が旋回流を形成するように、平面視で前記容器の内面の接線方向側に傾けて設けられていることを特徴としている。
ここで空隙率[%]とは、(1-繊維の占める体積/ろ材の体積)×100で示されるものである。
【0010】
本願の発明者らが多数の熱源用配管内の水を分析した結果、これら配管内の水の水質は、以下のとおりであることの知見を新たに得た。
濁度(水の濁りの程度を示し、標準物質であるカオリンやホルマジン1mgを含ませ、均一に分散させた懸濁液の濁り(濁度1)との対比):10~100度
SS(水中に分散している粒径2mm以下の固形の浮遊物質):10~100mg/L
異物の粒径:特に直径が10~70μm程度と150μm程度に2つのピークを有する(後述の図12参照)。
以上は、現時点で公開されているデータにはないものである。
【0011】
この分析結果から、繊維ろ過についての理論計算を行った。
粒子がフィルタの繊維に沈着する機構として、以下の機構がある。
(1)さえぎり
(2)慣性衝突
(3)拡散
(4)拡散とさえぎりの相互作用
(5)重力沈降
そしてこれらの機構に関する理論式にしたがって、フィルタの繊維径と粒子除去性能の計算を行った。計算は、ウィリアム・C・ハインズ著のエアロゾルテクノロジー等の書籍を参考に行った。
【0012】
計算の結果、たとえばろ過層厚さが600mmの場合、繊維径が100μm以下(より好ましくは25μm以下)、空隙率が86%以上の繊維ろ材を用いて、いわゆる深層ろ過することにより、従来の表面ろ過方式と比較して、大幅に小型化できることが分かった。但し、繊維ろ材の空隙率が92%を超えると、異物の保持量が急速に低下し、寿命が短くなることが判明した。一方で、繊維ろ材の空隙率を86%よりも小さくしても、異物の保持量が低下してしまうことが判明した。したがって繊維ろ材の空隙率を86%~92%に設定して処理水を深層ろ過することで、従来の表面ろ過よりもフラッシング排水の処理を好適に実施することができる。そして、同種の市販のカートリッジフィルタよりも寿命を長く。かつ小型化できる。
【0013】
また発明者らの知見によれば、前記したように配管施工後の配管内には、配管施工により発生した溶接スラグ、シールテープなどの異物、管材の削りかす、外部から侵入した砂、ほこり、さらにいわゆる白ガス管の場合には、さらに亜鉛が含まれているが、これらの粒径を分析したところ、大別して粒径約100μmを境に2つのピークを持った2つの粒径分布に分かれることが判明した。
このような傾向を持った異物が混入しているフラッシング排水をフィルタによって処理する場合には、これら異物の特性に合わせてフィルタを構成することで、保持(捕集)量を確保しつつ、寿命を延ばすことができることがわかった。
【0014】
かかる点に鑑み、前記繊維を、非水溶性糊剤で繊維を固めた多数の円柱形状のペレットにして、圧縮するようにしてもよい。すなわち、非水溶性糊剤で繊維を固めた多数のたとえば円柱形状のペレットを圧縮することで、ペレット相互間の隙間は完全につぶれることはなく、2つの粒径分布に分かれているフラッシング排水中の異物を、効率よく除去すると共に、閉塞を抑えて寿命を延長することができる。なおペレット間に隙間を作ることができれば、円柱形に限らず、球形、タブレット状、角柱、多角柱などでも良く、形状は問わない。
【0015】
これらの各フィルタを製造する方法として、たとえば、前記繊維またはペレットを、一端が閉塞した圧縮容器内に収容し、当該圧縮用容器の他端側の開口部から、当該開口部の形状に適合した部材を介して、前記繊維に対して所定の圧力を加えることを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタの製造方法が提案できる。また前記繊維またはペレットを、一端が閉塞した容器内に収容し、他端側からボールスクリュー機構によって、押圧体を一端側に押しつけることも提案できる。
ここで所定の圧力とは、たとえば50kPa~150kPa、好ましくは80kPa~100kPa、より好ましくは90kPaである。
【0016】
これらの製造方法によれば、空隙率を86%~92%のフィルタを容易に得ることができる。
【0017】
さらに前記したフラッシング水処理用フィルタを容器内に収納したフィルタ装置であって、前記容器は、筒状の本体と、前記本体の両端側に各々設けられ、複数の開口が形成された保持部材と、一端側に設けられた入口部と、他端側に設けられた出口部と、を有することを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタ装置が提案できる。
【0018】
その他、前記フラッシング水処理用フィルタを容器内に収納したフィルタ装置であって、前記容器は、筒状の本体と、前記本体の両端側に各々設けられた保持部材と、前記保持部材の内側に夫々設けられた整流板と、前記保持部材と整流板の間に設けられたスペーサと、前記各保持部材のうち一の保持部材を貫通して一端側に設けられた入口部材と、前記各保持部材のうち他の保持部材を貫通して他端側に設けられた出口部材と、を有し、前記各整流板には、複数の開口が分散して形成され、前記各スペーサは、水の通流を確保する空間を有する構成としてもよい。
【0019】
これらのフィルタ装置については、前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも下側に処理水の入口が設定され、前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも上側に処理水の出口が設定された構成としてもよい。これによっていわゆる上向きに処理水を流入させて、フィルタに捕集される異物によってフィルタの表面が閉塞することを抑えることができる。
【0020】
かかる場合、前記容器内における前記入口と前記フィルタとの間の位置に、前記入口から供給される処理水と衝突する抵抗体を有する構成としてもよい。これによって入口からの処理水の抵抗体への慣性衝突によって、比較的大きい粒径の異物を落下させ、その分フィルタの表面が閉塞することを抑えることが可能である。
【0021】
また前記容器の内面を円筒形として、前記入口から供給される処理水が旋回流を形成するように、前記入口を前記容器に設けてもよい。これによって、上昇する旋回流によって、フィルタの表面を洗浄することができ、その分フィルタの表面が閉塞することを抑えることができる。
【0022】
本発明にかかるフィルタシステムは、機器に接続される循環配管内をフラッシング処理するフラッシング水処理用フィルタシステムであって、前記循環配管と並列に、前記した各フラッシング水処理用フィルタ装置を接続したことを特徴としている。
【0023】
かかる構成を有するフラッシング水処理用フィルタシステムは、フラッシング処理する現場にて容易に構築することができ、しかも本発明のフィルタ装置を使用しているので、フィルタ装置自体は小型化でき、現場への搬入、取り付け、撤去が容易である。
【0024】
かかる場合、前記フラッシング水処理用フィルタ装置の後段に、さらに粒径の小さい異物をろ過する他のフィルタ装置を設けてもよい。後述するように、これによって、さらに処理後の水質を向上させることができ、また前段側のフィルタの閉塞を抑えて、フラッシング水処理用フィルタ装置のフィルタの寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、装置構成の小型化が図れ、しかも処理水量の多寡、汚れの大小にかかわらず使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタシステムの系統の概略を示す説明図である。
図2図1のフラッシング水処理用フィルタシステムで用いたフラッシング水処理用フィルタ装置の縦断面図である。
図3図2のフラッシング水処理用フィルタ装置に採用された整流板の斜視図である。
図4図2のフラッシング水処理用フィルタ装置に採用されたスペーサの斜視図である。
図5】ろ層の空隙率とSS保持量との関係を示すグラフである。
図6】実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタの製造方法を示す説明図であり、(a)は圧縮容器内に繊維を入れた状態、(b)はその後に押圧部材で押す前段階、(c)押圧部材で加圧している状態を各々示している。
図7】ボールスクリュー機構を用いた実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタの製造方法を示す説明図である。
図8図6の製造方法によって製造したフィルタをフラッシング水処理用フィルタ装置の容器に収納する様子を示す斜視図である。
図9】フィルタの下面を洗浄可能な他の実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタ装置の縦断面図である。
図10】邪魔板を有し、フィルタの下面を洗浄可能な他の実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタ装置の縦断面図である。
図11】旋回流を形成してフィルタの下面を洗浄可能な他の実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタ装置の説明図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は(a)の矢印からみた平面断面図である。
図12】実際の施工現場でのフラッシング排水における異物の粒径分布を示すグラフである。
図13】繊維を非水溶性糊剤で固めた円柱状のペレットの斜視図である。
図14図13のペレットをボールスクリュー機構で圧縮している様子を示す説明図である。
図15】他の実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタシステムの系統の概略を示す説明図である。
図16】フラッシング水処理用フィルタ装置の後段に他のフィルタ装置を直列に接続したフラッシング水処理用フィルタシステムの系統の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタシステム1の系統の概略を示しており、このシステムでは、対象機器がエアハンドリングユニット2、3であり、これらエアハンドリングユニット2、3は、循環配管4によって冷水製造機5と接続されている。冷水製造機5によって製造された冷水は、ポンプ6によってエアハンドリングユニット2、3に供給され、昇温した冷水は再び冷水製造機5に戻されるようになっている。そしてこの循環配管4における冷水製造機5の下流側に並列接続された配管4aに、実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタ装置10が設けられている。
【0028】
フラッシング水処理用フィルタ装置10は、図2にその構造を示したように、フィルタFを収納する容器11を有している。容器11は、筒状の本体11aと、この本体11aの上下端に各々設けられた円盤状の保持部材12、13を有している。本体11aの内径は、約400mmである。さらに保持部材12、13の各内側には、夫々整流板14、15が設けられている。整流板14、15は同形同大であり、図3に示したように、例えばパンチングメタルによって構成され、多数の開口14aが設けられている。
【0029】
そして各保持部材12、13と整流板14、15との間には、図4に示したスペーサ16、17が各々設けられている。このスペーサ16、17の外径は、前記した保持部材12、13、整流板14、15の外径よりも小さく設定されている。したがって、スペーサ16、17の内側には水の通流を確保する空間Sが形成されると共に、スペーサ16、17の外側には外側空間saが形成されている。スペーサ16、17の一端部、すなわち本体11aの各外方端部側の縁部には、凹部16a、17aが形成されている。これら凹部16a、17aによって、空間Sと外側空間saとの間で水の通流が確保でき、よどみ等の発生が抑えられる。より詳述すれば、凹部16a、17aにより水の空間Sへの流れ方向を、フィルタFの入り口に対して垂直に向いた方向から、フィルタFの入り口に対して交差する方向へ向けることができる。これにより、スペーサ16、17によって仕切られる空間内の水の行き来ができ、よどみの発生が抑えられる。しかもフィルタFの入り口へ向かう流れ成分を緩和できるので、その流れに乗ってフィルタFに向かう粒子の速度(勢い)が低下することになり、その後重力などで当該粒子は沈降するためフィルタFが詰まることも抑制できる。
なお、スペーサ16,17は容器11に近接して設けられているが、整流板14、15を支えられればよく、容器11の70%程度の径の大きさとしてより中央側を支持するようにしてもよい。また、図示の例では凹部16a、17aの位置は保持部材12、13に隣接して設けられているが、例えば凹部16aについていえば、保持部材12に隣接した位置に設定されることで、フィルタFの入口側(後述の入口部材18側)付近で、フィルタFと交差する方向の流れが形成できるので好ましい。またスペーサ16の端部に凹部を形成するだけでそのような効果が得られるので、貫通孔を穿設するよりも加工がしやすい。なお凹部16aは整流板14側の端部に形成してもよく、またもちろんスペーサ16の周面部に貫通孔を形成するようにしてもよい。
上流側の空間Sに公知の整流機構(整流板、パンチングメタル、ハニカム板、繊維径100μm以上の繊維など)を入れると、たとえば比較的大きい粒径の異物を落下させ、その分フィルタFの表面が閉塞することを抑えることが可能である。すなわち、たとえばフラッシング水処理用フィルタ装置10を図2に示したように、入口部材18側を下にして垂直方向に設置すれば、比較的大きい粒径の異物を落下させることができる。もちろん垂直方向に限らず、フラッシング水処理用フィルタ装置10を斜めに設置した場合も同様な効果が得られる。
【0030】
そして保持部材12を貫通してパイプ形状の入口部材18が、容器11の下側に設けられている。この入口部材18が、フラッシング水処理用フィルタ装置10の入口を構成する。また保持部材13を貫通してパイプ形状の出口部材19が、容器11の上側に設けられている。この出口部材19は、フラッシング水処理用フィルタ装置10の出口を構成している。これら入口部材18と出口部材19が、前記した配管4aと接続されている。
【0031】
フィルタFは、前記した整流板14、15の間に充填、収納されている。本実施の形態では、フィルタFは軸方向で約600mmの長さに亘って充填されている。そしてフィルタF自体は、繊維径が100μm以下、かつ空隙率が86%~92%の繊維ろ材を圧縮して整流板14、15の間に充填、収納されている。
フィルタFの厚さは、処理する水量が少ない場合は、スペーサ16、17の長さを長くする、あるいは、別途のスペーサを追加することで任意に短く変えることができる。
【0032】
実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタシステム1は以上の構成を有しており、フラッシング水処理用フィルタシステム1は、配管4a側を流れるように適宜バルブ(図示せず)を操作して、循環配管4内に水を流し配管系統を整備する。これによって、循環配管4内はフラシング処理される。
【0033】
すなわち、配管4aからフラッシング水処理用フィルタ装置10の入口に流入した処理水は、入口部材18から空間Sを経て整流板14の開口14aからフィルタFに流入し、前記したフラッシング処理水中の各種異物は、フィルタFによって捕集、ろ過され、ろ過後の処理水は、整流板15から空間Sを経て、出口部材19から配管4aへと流れて行く。
【0034】
発明者らが調べたところ、繊維径が100μm以下、空隙率が86%~92%の繊維ろ材を圧縮して使用した場合、そのフィルタの空隙率と、SS保持量、すなわち濁質(不純物)の捕集量との関係は、図5のグラフに示される通りであった。この実験結果は、水道水にカオリンを溶かして濁度100の模擬処理水を、処理水としてフィルタFで処理し、ろ過速度を24m/hで通水し、処理水濁度が10以上になるまでに、フィルタに保持されたSSの保持量を、空隙率の異なった繊維ろ材ごとに調べたものである。
【0035】
これによれば空隙率は86%以上になるとSS保持量が上昇し、同88%でほぼピークを迎え、それよりさらに大きくなると、92%を境にSS保持量は低下していくことがわかった。この結果から、フラッシング処理には、空隙率が86%~92%ものが適していることが分かった。
しかも実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタ装置10では、フィルタFは平面的なものではなく、立体的に構成されているから、深層ろ過により、目詰まりを抑えてフィルタFの寿命が長くなっている。すなわち、面状のフィルタで表面ろ過すると、SS等がフィルタの表面に堆積してしまうのですぐに詰まってしまうが、実施の形態のように立体的に構成されて深層ろ過を行うフィルタFの場合は、繊維を通り抜けたSS等がフィルタF内において流れ方向のどこかでフィルタFのろ材に捕集されるので、フィルタFを構成するろ材の体積全体でろ過することができ、目詰まりを抑えてフィルタFの長寿命化が図られている。しかも前記したように空隙率を最適に設定しているので、フィルタFの長寿命化と共に、フラッシング処理後の処理水を好適に浄化することが可能になっている。
【0036】
前記したフィルタFは、洗浄することでもちろん再使用することが可能である。この場合、公知のこの種の用途に使用する洗剤、界面活性剤を用いてもよい。また洗剤を使用しなくとも、「洗浄-すすぎ」を複数回繰り返して行うことで十分なフィルタの洗浄が可能である。また既存の洗濯ネット等に収納し、洗濯機で洗濯してもよい。この場合、洗浄の終了判断については、すすぎ水の濁度に基づいて判定する。すなわち、処理水の濁度か10度の場合には、すすぎ水の濁度が9度以下、より好ましくは5度以下であれば、フィルタを再利用することが可能である。
なおフィルタFのろ材に使用する繊維は、天然繊維、合成繊維を問わず使用できる。
【0037】
なお、150μm以上の粒子は重力沈降で分離しやすい。したがってフラッシング水処理用フィルタ装置10を、図2に示したように上向流にし、かつ、フィルタFに処理水が流入する前の部分、すなわち図2に示した空間Sを適切に設計する事で、フィルタFに入る前にこれら150μm以上の粒子を分離除去することができる。
【0038】
また配管が亜鉛メッキ鋼管の場合、管内を流れる水のpHは、pH8~10前後に調整すると鋼管の腐食速度が低下する。特にpH8~9の範囲が望ましいと考えられている。一方で、配管内の水は、pHが5.8~8.6の水道水であることが多い。このような事情を鑑みると、あらかじめ配管内の水のpHと水量を求め、それに応じたアニオン交換基を有するイオン交換物質を用いることで、浄化終了後の配管内の水のpHが8~10前後となり、配管内の水の浄化と配管の腐食抑制を図ることができる。
【0039】
さらにフィルタFのろ材に用いる繊維にアニオン交換基を有するイオン交換物質と活性炭繊維、アニオン交換基を有する繊維を用いることで、pHを調整することができる。
【0040】
配管内の水の残留塩素の影響を排除するためには、例えばアニオン交換基を有するイオン交換物質と活性炭繊維を用いることができる。
【0041】
配管内の水に有機物が含まれ、バクテリアの発生が予想される場合には、活性炭繊維を用い、汚濁物質の除去だけでなく、有機物を吸着除去することで、バクテリアの発生を抑制することができる。
【0042】
以上説明したフィルタFを製造するには、例えば図6に示したような方法が提案できる。すなわち図6(a)に示したように、まず繊維FFを一端が閉塞した圧縮用容器31内に入れ、次いで図6(b)に示したように、圧縮用容器31の他端側の開口部から、当該開口部の形状に適合した圧縮用治具32を繊維FFの上から押圧し、その後さらに図6(c)に示したように、繊維FFに対して所定の圧力、たとえば50kPa~150kPa、好ましくは80kPa~100kPa、より好ましくは90kPaの圧力を加えるのである。これによって、空隙率が86%~92%の繊維ろ材からなるフィルタFを得ることができる。
【0043】
またその他、図7に示したように、圧縮用容器31内の下方側に受け止め板33aを固定し、受け止め板33aと対向するように押圧板33bを圧縮用容器31内に摺動自在に配置する。そして押圧板33bの上側にナット部材34を配置して、ナット部材34と螺号するスクリューねじ35の下端部を受け止め板33aに固定する。これによってナット部材34を回転させることで、ナット部材34が押圧板33bを下方に押し下げ、繊維FFを圧縮する。あるいは、スクリューねじ35を受け止め板33aにねじ貫通させる方式のボールスクリュー機構を採用してもよい。
【0044】
このような製造方法によって製造されたフィルタFを、図8に示したように容器11内に収納することで、空隙率が86%~92%のろ材からなるフィルタFが収納されたフラッシング水処理用フィルタ装置10を実現することができる。
【0045】
前記実施の形態にかかるフラッシング水処理用フィルタ装置10は、入口を下に設定していわゆる上向き流でフラッシングを処理するものであったが、発明者らが調べたところ、かかる方式でもフィルタFの下側表面に、異物が付着して閉塞することが確認できた。このような閉塞を抑えればフィルタFの寿命を延ばすことができる。
【0046】
かかる観点から、例えば図9に示したフラッシング水処理用フィルタ装置41を提案できる。すなわち、筒状の容器42におけるフィルタFの収容部下面に、前記した保持部材12、スペーサ16、整流板14の設置を省略し、多数の開口を有する網目状の受け止め部材43を設ける。したがってフィルタFは受け止め部材43の上に収納されることになる。
【0047】
そして容器42の下側形状をテーパ―状に狭くなったテーパ―部44とする。これによって、テーパ―部44と受け止め部材43との間には、処理水の通流空間44aが形成される。この通流空間44aに、処理水の入口45が垂直ではない方向、たとえば水平に設けられている。
【0048】
かかる構成のフラッシング水処理用フィルタ装置41によれば、入口45から通流空間44aに流入した処理水は、フィルタFを通過する際に、水平方向にベクトルが与えられた水流となり、これによって、受け止め部材43の開口から露出しているフィルタFの表面の異物を洗い流すことができる。また、流れに乗った異物Bは、フィルタF側ではなく容器11の本体11a内壁面側に当たるので、大きな異物がよりフィルタFに詰まらない。そして洗い流された異物Bは、テーパ―部44の底部に落下する。これによって、フィルタFの下面側が異物によって閉塞することが抑えられる。なお底部に堆積した異物Bを装置外に抜き出すために、底部に適宜排出口を設けてもよい。
【0049】
さらにまた図10に示した例は、図9に示した例の通流空間44aをテーパ―部44の上方に伸ばし、当該部分に、抵抗体としての邪魔板47、48を設けたものである。かかる構成によれば、異物を含んだ処理水が上昇する際に、邪魔板47、48と衝突するので、比較的大きい粒径の異物Bは慣性衝突によって落下する。したがって、図9に示した例よりもさらに、フィルタFの下面側が異物によって閉塞することを抑えることができる。邪魔板47、48は、処理水の入口45と受け止め部材43の間に配置されていることが好ましい。邪魔板47、48は、容器42の内面に設けられ、下方向へ向けて延設されていること、つまりいわゆる「返し」になっていることが好ましい。これにより、邪魔板47、48を回避した流れが、邪魔板47、48により下方向の流れとなり、当該下方向の流れに乗って重量のある比較的大きな異物が底部方向への案内されることになる。なお邪魔板47、48は、図示のような板状に限らず、たとえば漏斗状(底のないすり鉢状)に形成されてもよい。
【0050】
また図11(a)に示したフラッシング水処理用フィルタ装置41は、図9に示した例の通流空間44aをテーパ―部44の上方に伸ばすと共に、図11(b)に示したように、入口45を平面視で容器42の内面の接線方向に接続したものである。
【0051】
かかる構成のフラッシング水処理用フィルタ装置41によれば、通流空間44aの上方に旋回流が形成され、図9に示した例よりもさらに大きい水平方向のベクトルが、処理水の流れに付与される。したがって、図9の例よりも、さらにフィルタFの表面の異物を洗い流すことができ、異物付着による閉塞を抑え、フィルタFの寿命を延ばすことが可能である。また、重量の重い比較的大きな異物は、旋回流によりテーパ部の内面側に押し付けられるので、フィルタF側へ流れていきにくくなる。これにより、フィルタFの寿命をさらに延ばすことが可能である。
前記した本実施形態の各構成は適宜組み合わせて構成することができる。例えば、図10の邪魔板47、48を漏斗状に形成し、その周囲に旋回流を形成するような構造としてもよい。
【0052】
ところで前記したようにいわゆる白ガス管をフラッシング処理した後の排水中には、粒径の異なった異物が存在することがわかっているが、発明者らが複数の現場でフラッシング処理した後の排水を調べた結果、図12に示したように、粒径の大きさが100μmを境にそれより小さい粒径の異物と、それより大きい粒径の異物のピークがある粒径分布が存在することが分かった。小さい粒径の異物には、砂等があり、大きい粒径の異物には亜鉛屑等が含まれていた。
【0053】
したがってこのような大きさの異なった異物をフィルタによってろ過する場合には、例えば細かい粒径の異物を除去するいわゆる細目のフィルタでろ過することで、双方の異物を除去できるが、実験によれば、大きい粒径の異物によって比較的早い時期にフィルタが閉塞してしまうことが分かった。
【0054】
かかる現象に鑑み、例えば図13に示した繊維径が100μm以下の繊維を圧縮して非水溶性糊剤で固めたペレットFPを用い、これを多数圧縮したフィルタFを採用することで、例えば大小の粒径の異物を除去できると共に、細目のフィルタよりも寿命を延ばすことができる。なおペレットFP自体の空隙率は、たとえば92~94%である。
【0055】
すなわち、図14に示したように、圧縮用容器31内に多数のペレットFPを納入し、これら多数のペレットをそのまま圧縮してろ材をフィルタFとして、前記フラッシング水処理用フィルタ装置10の容器11内に充填する。
【0056】
このようにペレットFPを圧縮して得られたろ材は、ペレット相互間の隙間は完全につぶれることはなく、またペレットFP自体の除去性能は、ペレットFP本来が有する除去性能を維持できる。したがって、前記したような2つの粒径分布に分かれているフラッシング排水中の異物をろ過処理した場合、効率よくこれら大小2つの粒径グループの異物を、各々効果的に除去することができる。したがって、粒径の大きい異物が閉塞してしまって粒径の細かい異物を除去できなかったり、粗目のろ材を採用することで粒径の小さい異物を捕集できない、といった事態を防止することができる。そしてフィルタ自体の寿命を延ばすことができる。
【0057】
前記したフラッシング水処理用フィルタシステム1は、対象機器がエアハンドリングユニット2、3であったが、図15に示したように、冷却塔60に接続される配管に対しても適用可能である。かかる場合も、たとえば配管4a側を水が流れるように適宜バルブ(図示せず)を操作した後、循環配管4内に水を流し配管系統を整備する。
【0058】
また前記したフラッシング水処理用フィルタシステム1は、フラッシング水処理用フィルタ装置10を単段で使用したものであったが。図16に示したように、フラッシング水処理用フィルタ装置10の後段側に、フラッシング水処理用フィルタ装置10で採用したフィルタFよりも細目、すなわちより粒径の小さい異物を除去するフィルタを有するフィルタ装置61を設置してもよい。これによって、処理後の水質は向上し、またフラッシング水処理用フィルタ装置10が採用したフィルタFの閉塞を抑え、フィルタFの寿命をさらに伸ばすことが可能である。この場合も、たとえば配管4a側を水が流れるように適宜バルブ(図示せず)を操作した後、循環配管4内に水を流し配管系統を整備しておく。
なお前記した各フラッシング水処理用フィルタシステム1は、配管4a側を水が流れるように適宜バルブ(図示せず)を操作した後、循環配管4とそのまま並列にフラッシング水処理用フィルタ装置10を設置したが、フラッシング水処理用フィルタ装置10よりも圧力損失の大きい各種機器が循環配管4に設けられていれば、バルブ等の操作をせずに当該各種機器と並列に接続配置してもよい。
【0059】
なお下記の開示も本発明の技術内容の範囲に含まれる。
(1)容器内に収容して、配管のフラッシング水を処理する際に使用するフィルタであって、
繊維径が100μm以下の繊維を圧縮して、空隙率が86%~92%の繊維ろ材としたことを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタ。
(2)非水溶性糊剤で前記繊維を固めた多数の円柱形状のペレットを圧縮したことを特徴とする、前記(1)に記載のフラッシング水処理用フィルタ。
(3)前記(1)または(2)に記載のフラッシング水処理用フィルタを製造する方法であって、
前記繊維またはペレットを、一端が閉塞した圧縮用容器内に収容し、
当該圧縮用容器の他端側の開口部から、当該開口部の形状に適合した部材を介して、前記繊維に対して所定の圧力を加えることを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタの製造方法。
(4)前記(1)または(2)に記載のフラッシング水処理用フィルタを製造する方法であって、
前記繊維またはペレットを、一端が閉塞した圧縮用容器内に収容し、他端側からボールスクリュー機構によって、押圧体を一端側に押しつけることを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタの製造方法。
(5)前記(1)または(2)に記載のフラッシング水処理用フィルタを容器内に収納したフィルタ装置であって、
前記容器は、
筒状の本体と、
前記本体の両端側に各々設けられ、複数の開口が形成された保持部材と、
一端側に設けられた入口部と、他端側に設けられた出口部と、を有することを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタ装置。
(6)前記(1)または(2)に記載のフラッシング水処理用フィルタを容器内に収納したフィルタ装置であって、
前記容器は、
筒状の本体と、
前記本体の両端側に各々設けられた保持部材と、
前記保持部材の内側に夫々設けられた整流板と、
前記保持部材と整流板の間に設けられたスペーサと、
前記各保持部材のうち一の保持部材を貫通して一端側に設けられた入口部材と、
前記各保持部材のうち他の保持部材を貫通して他端側に設けられた出口部材と、
を有し、
前記各整流板には、複数の開口が分散して形成され、
前記各スペーサは、水の通流を確保する空間を有し、
ていることを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタ装置。
(7)前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも下側に処理水の入口が設定され、
前記容器における前記フラッシング水処理用フィルタよりも上側に処理水の出口が設定されたことを特徴とする、前記(5)または(6)に記載のフラッシング水処理用フィルタ装置。
(8)前記容器内における前記入口と前記フラッシング水処理用フィルタとの間の位置に、前記入口から供給される処理水と衝突する抵抗体を有することを特徴とする、前記(7)に記載のフラッシング水処理用フィルタ装置。
(9)前記容器の内面は円筒形であり、前記入口から供給される処理水が旋回流を形成するように、前記入口が前記容器に設けられていることを特徴とする、前記(7)に記載のフラッシング水処理用フィルタ装置。
(10)機器に接続される循環配管内をフラッシング処理するフラッシング水処理用フィルタシステムであって、
前記循環配管と並列に、前記(5)~(9)のいずれかに記載のフラッシング水処理用フィルタ装置が接続されたことを特徴とする、フラッシング水処理用フィルタシステム。
(11)前記フラッシング水処理用フィルタ装置の後段に、さらに粒径の小さい異物をろ過する他のフィルタ装置が設けられたことを特徴とする、前記(10)に記載のフラッシング水処理用フィルタシステム。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、フラッシング排水の処理に有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 フラッシング水処理用フィルタシステム
2、3 エアハンドリングユニット
4 循環配管
4a 配管
5 冷水製造機
6 ポンプ
10 フラッシング水処理用フィルタ装置
11 容器
11a 本体
12、13 保持部材
14、15 整流板
16、17 スペーサ
18 入口部材
19 出口部材
F フィルタ
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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