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特許7550937加工方法、加工装置、および加工プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】加工方法、加工装置、および加工プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20240906BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20240906BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20240906BHJP
   B23P 23/04 20060101ALI20240906BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240906BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20240906BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240906BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240906BHJP
   B22F 10/25 20210101ALN20240906BHJP
   B22F 10/64 20210101ALN20240906BHJP
   B22F 10/66 20210101ALN20240906BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/08 Z
B23K26/21 W
B23P23/04
B29C64/153
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y30/00
B23K26/21 Z
B22F10/25
B22F10/64
B22F10/66
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023136994
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2024-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】森 貴則
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175155(JP,A)
【文献】特開2021-109352(JP,A)
【文献】特開2020-15944(JP,A)
【文献】特開昭59-85393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B22F 10/00-10/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工と、工具を用いた前記ワークの除去加工とを行うことが可能な加工装置によって実行される加工方法であって、
前記付加加工または前記除去加工により前記ワークに不要部分を形成するステップと、
前記不要部分とは異なる前記ワークの箇所に対して前記付加加工を行うステップと、
前記付加加工を行うステップの完了後において、前記不要部分に前記レーザ光を照射するステップと、
前記照射するステップの完了後において、前記除去加工により前記不要部分を除去するステップとを備える、加工方法。
【請求項2】
前記照射するステップでは、前記粉末材料の供給が停止される、請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
前記箇所に対して前記付加加工を行うステップでは、前記粉末材料を前記ワークの表面にコーティングするコーティング加工が実行される、請求項1または2に記載の加工方法。
【請求項4】
前記照射するステップは、前記箇所に対する付加加工が完了してから所定時間が経過した後に実行される、請求項1または2に記載の加工方法。
【請求項5】
前記照射するステップでは、前記レーザ光の照射点が移動されながら前記レーザ光が前記不要部分に照射される、請求項1または2に記載の加工方法。
【請求項6】
前記加工装置は、前記付加加工を行うためのレーザヘッドを備え、
前記照射するステップでは、前記レーザヘッドが駆動されながら前記レーザ光が前記不要部分に照射される、請求項5に記載の加工方法。
【請求項7】
前記照射するステップでは、前記レーザヘッドは、前記不要部分に対する前記レーザ光の照射点が予め定められた経路を繰り返し通るように駆動される、請求項6に記載の加工方法。
【請求項8】
前記照射するステップでは、前記不要部分に対する前記レーザ光の照射点と、前記レーザ光の焦点とが異なるように、前記レーザ光が前記不要部分に照射される、請求項1または2に記載の加工方法。
【請求項9】
ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工と、工具を用いた前記ワークの除去加工とを行うことが可能な加工装置であって、
前記加工装置を制御するための制御部を備え、
前記制御部は、
前記付加加工または前記除去加工により前記ワークに不要部分を形成する処理と、
前記不要部分とは異なる前記ワークの箇所に対して前記付加加工を行う処理と、
前記付加加工を行う処理の完了後において、前記不要部分に前記レーザ光を照射する処理と、
前記照射する処理の完了後において、前記除去加工により前記不要部分を除去する処理とを実行する、加工装置。
【請求項10】
ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工と、工具を用いた前記ワークの除去加工とを行うことが可能な加工装置によって実行される加工プログラムであって、
前記加工プログラムは、前記加工装置に、
前記付加加工または前記除去加工により前記ワークに不要部分を形成するステップと、
前記不要部分とは異なる前記ワークの箇所に対して前記付加加工を行うステップと、
前記付加加工を行うステップの完了後において、前記不要部分に前記レーザ光を照射するステップと、
前記照射するステップの完了後において、前記除去加工により前記不要部分を除去するステップとを実行させる、加工プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークの加工方法、ワークの加工装置、およびワークの加工プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特表2020-530528号公報(特許文献1)は、SLM(Selective Laser Melting)方式により付加加工を行う付加製造装置を開示している。SLM方式とは、敷き詰められた金属粉末に対してレーザ光を照射し、当該金属粉末を局所的に溶融及び凝固させることで積層造形を実現する方式である。
【0003】
特許文献1に開示される付加製造装置は、レーザ光を照射するエネルギー源の他に、赤外線ランプなどの熱源を備えている。当該熱源は、レーザ光が照射された部分を後追いで加熱する。これにより、上記付加製造装置は、積層造形物の熱処理を行う。熱処理とは、加熱および冷却により積層造形物の性質を変化させる処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2020-530528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
積層造形方式としては、SLM方式の他に、DED(Directed Energy Deposition)方式がある。DED方式とは、供給される粉末材料をレーザ光で融解して積層することによりワークを造形する方式である。このようなDED方式で造形されたワークについて熱処理を行うことが可能な加工技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工と、工具を用いた上記ワークの除去加工とを行うことが可能な加工装置によって実行される加工方法が提供される。上記加工方法は、上記付加加工または上記除去加工により上記ワークに不要部分を形成するステップと、上記不要部分とは異なる上記ワークの箇所に対して上記付加加工を行うステップと、上記付加加工を行うステップの完了後において、上記不要部分に上記レーザ光を照射するステップと、上記照射するステップの完了後において、上記除去加工により上記不要部分を除去するステップとを備える。
【0007】
本開示の一例では、上記照射するステップでは、上記粉末材料の供給が停止される。
【0008】
本開示の一例では、上記箇所に対して上記付加加工を行うステップでは、上記粉末材料を上記ワークの表面にコーティングするコーティング加工が実行される。
【0009】
本開示の一例では、上記照射するステップは、上記箇所に対する付加加工が完了してから所定時間が経過した後に実行される。
【0010】
本開示の一例では、上記照射するステップでは、上記レーザ光の照射点が移動されながら上記レーザ光が上記不要部分に照射される。
【0011】
本開示の一例では、上記照射するステップでは、上記レーザヘッドは、上記不要部分に対する上記レーザ光の照射点が予め定められた経路を繰り返し通るように駆動される。
【0012】
本開示の一例では、上記照射するステップでは、上記レーザヘッドは、上記不要部分に対する上記レーザ光の照射点が予め定められた経路を繰り返し通るように駆動される。
【0013】
本開示の一例では、上記照射するステップでは、上記不要部分に対する上記レーザ光の照射点と、上記レーザ光の焦点とが異なるように、上記レーザ光が上記不要部分に照射される。
【0014】
本開示の他の例では、ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工と、工具を用いた上記ワークの除去加工とを行うことが可能な加工装置が提供される。上記加工装置は、上記加工装置を制御するための制御部を備える。上記制御部は、上記付加加工または上記除去加工により上記ワークに不要部分を形成する処理と、上記不要部分とは異なる上記ワークの箇所に対して上記付加加工を行う処理と、上記付加加工を行う処理の完了後において、上記不要部分に上記レーザ光を照射する処理と、上記照射する処理の完了後において、上記除去加工により上記不要部分を除去する処理とを実行する。
【0015】
本開示の他の例では、ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工と、工具を用いた上記ワークの除去加工とを行うことが可能な加工装置によって実行される加工プログラムが提供される。上記加工プログラムは、上記加工装置に、上記付加加工または上記除去加工により上記ワークに不要部分を形成するステップと、上記不要部分とは異なる上記ワークの箇所に対して上記付加加工を行うステップと、上記付加加工を行うステップの完了後において、上記不要部分に上記レーザ光を照射するステップと、上記照射するステップの完了後において、上記除去加工により上記不要部分を除去するステップとを実行させる。
【0016】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】加工装置の外観の一例を示す図である。
図2】加工装置の装置構成の一例を示す図である。
図3】付加加工中におけるレーザヘッドの断面図を示す。
図4】加工装置による加工工程を時系列に示す図である。
図5】加工装置による加工工程を時系列に示す図である。
図6】加工装置の駆動機構の一例を示す図である。
図7】制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】加工装置による加工工程の流れを示すフローチャートである。
図9】実験に用いられたワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0019】
<A.加工装置100の外観>
まず、図1を参照して、実施の形態に従う加工装置100について説明する。図1は、加工装置100の外観の一例を示す図である。
【0020】
加工装置100は、ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工(AM(Additive manufacturing)加工)と、工具を用いたワークの除去加工(SM(Subtractive manufacturing))とが可能な加工機である。加工装置100が有する除去加工機能は、たとえば、ミーリング機能と、固定工具を用いた旋削機能との少なくとも一方を含む。
【0021】
加工装置100は、たとえば、カバー体130と、操作盤200とを含む。
【0022】
カバー体130は、加工装置100の内部に設けられている部品を保護するための機構である。カバー体130には、ドアDRが設けられている。ドアDRは、たとえば、スライド式のドアである。ドアDRは、モータなどの駆動源により開閉可能に構成されてもよいし、手動で開閉可能に構成されてもよい。
【0023】
操作盤200は、汎用のコンピュータであり、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイを有する。当該ディスプレイは、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。また、当該ディスプレイは、タッチパネルを備え、加工装置100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。
【0024】
<B.加工装置100の装置構成>
次に、図2を参照して、加工装置100の装置構成について説明する。図2は、加工装置100の装置構成の一例を示す図である。
【0025】
上述のように、加工装置100は、カバー体130を備える。カバー体130は、加工装置100の外観を成すとともに、ワークWの付加加工を行うための加工エリアARを区画形成している。
【0026】
また、加工装置100は、ベッド11と、刃物台16と、ワーク主軸22と、心押し台25と、工具主軸30と、レーザヘッド140とを備える。
【0027】
説明の便宜のために、以下では、ワーク主軸22の回転軸方向を「Z軸方向」とも称する。Z軸方向は、図2に示されている軸AX1~AX3と平行である。また、Z軸方向に直交する水平面上の一方向を「X軸方向」とも称する。X軸方向およびZ軸方向の両方に直交する方向を「Y軸方向」と称する。図2の例では、Y軸方向は、重力方向に相当している。
【0028】
ベッド11は、加工装置100内に設けられている各種装置を支持するためのベース部材である。図2の例では、ベッド11は、刃物台16と、ワーク主軸22と、心押し台25と、レーザヘッド140とを支持している。ベッド11は、工場などの床面に設置される。ベッド11は、鋳鉄などの金属から形成されている。
【0029】
刃物台16は、タレット18を有する。タレット18は、軸AX1を中心として旋回可能に構成されている。タレット18は、軸AX1を中心とした周方向に間隔を隔てて複数の工具を保持する。また、刃物台16は、モータなどの各種駆動機構によって、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成されている。刃物台16は、ワーク主軸22によって回転駆動されているワークWに対して、タレット18に保持される固定工具を接触させることで旋削加工を行う。
【0030】
ワーク主軸22は、ワークWを保持しながら回転可能に構成されている。より具体的には、ワーク主軸22には、チャック機構23が設けられている。チャック機構23は、ワーク主軸22に対してワークWを固定するための機構である。また、ワーク主軸22は、その軸方向に沿う軸AX2を中心として回転可能に構成されている。
【0031】
心押し台25は、モータなどの各種駆動機構によって軸AX3に沿って移動可能に構成される。これにより、心押し台25は、ワーク主軸22とは反対側から長尺状のワークWを支持する。典型的には、軸AX3は、軸AX2と同軸上にある。また、心押し台25は、軸AX3を中心として回転可能に構成されている。
【0032】
なお、心押し台25の代わりに、第2ワーク主軸(図示しない)が設けられてもよい。第2ワーク主軸は、ワーク主軸22に対向するように設けられており、ワーク主軸22と反対側からワークWを保持可能に構成される。
【0033】
工具主軸30は、たとえば、ワーク主軸22および心押し台25よりも高い位置に設けられている。また、工具主軸30は、工具やレーザヘッド140を脱着可能に構成される。図2には、工具主軸30に対してレーザヘッド140が装着されている例が示されている。
【0034】
工具主軸30に対するレーザヘッド140の脱着は、たとえば、切削工具の自動交換のために用いられる自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)とは別のレーザヘッド140専用の脱着機構(図示しない)によって実現される。加工装置100は、ワークWの付加加工を行う際には工具主軸30にレーザヘッド140を装着する。一方で、加工装置100は、ワークWの除去加工を行う際には工具主軸30に工具を装着する。
【0035】
除去加工の一例としては、ワーク主軸22に固定されているワークWに対して回転中の工具を接触させるミーリング加工が挙げられる。除去加工の他の例としては、軸AX2を中心として回転するワークWに対して工具を押し当てる旋削加工が挙げられる。
【0036】
レーザヘッド140は、工具主軸30に装着された状態でDED方式による付加加工を行なう。付加加工を実現するための機構として、レーザヘッド140は、ヘッド本体142と、レーザノズル146とを有する。
【0037】
ヘッド本体142には、ケーブル(図示しない)を介して粉末材料が供給される。供給される粉末材料は、金属粉末であってもよいし、樹脂粉末であってもよいし、レーザ光の照射で融解するその他の種類の粉末であってもよい。
【0038】
レーザノズル146は、ワークWに向けてレーザ光を照射するとともに、ワークWにおけるレーザ光の照射領域を定める。レーザヘッド140に供給された粉末材料は、レーザノズル146を通じてワークWに向けて吐出される。
【0039】
<C.付加加工>
次に、図3を参照して、レーザヘッド140による付加加工についてさらに詳細に説明する。図3は、付加加工中におけるレーザヘッド140の断面図を示す。
【0040】
レーザヘッド140およびワークWの少なくとも一方が駆動されている最中に、レーザヘッド140は、ワークWの表面にレーザ光LSを照射する。一例として、レーザヘッド140は、ワーク主軸22の軸方向(すなわち、Z軸方向)に移動しながら、回転中のワークWに対してレーザ光LSを照射する。その結果、レーザ光LSの照射部分においてワークWが融解し、溶融池MPがワークWの表面上に形成される。
【0041】
並行して、レーザヘッド140は、粉末材料PMを溶融池MPに供給する。粉末材料PMは、レーザヘッド140から吐出されるガスGSによって溶融池MPに導かれる。その結果、粉末材料PMは、溶融池MPにおいて融解および液状化する。その後、溶融池MPが固まることで、ワークW上に層SLが形成される。なお、ガスGSは、シールドガスとしての機能も有し、積層物であるワークWの酸化を防ぐ。
【0042】
加工装置100は、レーザヘッド140を制御することで様々な付加加工を実現することができる。付加加工の種類としては、積層加工とコーティング加工とが挙げられる。積層加工は、ワークWに層SLを積み上げていく加工である。コーティング加工は、ワークWの表面を層SLで覆う加工である。
【0043】
<D.ワークの熱処理>
次に、図4および図5を参照して、加工装置100によるワークの熱処理について説明する。図4および図5は、加工装置100による加工工程を時系列に示す図である。
【0044】
図4および図5には、加工対象のワークWが示されている。ワークWの種類は、任意である。図4および図5の例では、円柱状のワークWが示されている。他の例として、ワークWは、円筒形状のシャフトであってもよい。
【0045】
ステップS1において、加工装置100は、ワークWの母材部分PAに不要部分PBを形成する。不要部分PBとは、最終的にはワークWから除去される不必要な部分を言う。不要部分PBは、付加加工によりワークWに形成されてもよいし、除去加工によりワークWに形成されてもよい。図4の例では、加工装置100は、粉末材料PMを供給するとともにレーザ光LSを照射することで、母材部分PAに対して不要部分PBを形成している。
【0046】
次に、ステップS2において、加工装置100は、不要部分PBとは異なるワークWの付加加工箇所PCに対して付加加工を行う。当該付加加工は、たとえば、予め設計されている付加加工プログラムに従って実行される。図4の例では、粉末材料PMをワークWの表面にコーティングするコーティング加工が実行される。なお、コーティング加工の代わりに、層を積み上げていく積層加工が実行されてもよい。
【0047】
次に、ステップS3において、加工装置100は、ステップS1で形成した不要部分PBにレーザ光LSを照射する。これにより、熱が不要部分PB→母材部分PA→付加加工箇所PCの順に伝わり、付加加工箇所PCに対する熱処理が実現される。熱処理により、付加加工箇所PCの性質が変化する。変化させる性質としては、硬さ、強さ、および粘り強さなどが挙げられる。
【0048】
次に、ステップS4において、加工装置100は、除去加工によりワークWから不要部分PBを除去する。不要部分PBの除去加工は、工具主軸30に装着された工具により実現されてもよいし、上述の刃物台16(図2参照)に装着された工具より除去されてもよい。図5の例では、レーザヘッド140が工具主軸30から取り外され、その後に、工具Tが工具主軸30に装着されており、不要部分PBは、当該工具Tにより除去加工されている。
【0049】
以上のように、加工装置100は、不要部分PBに対してレーザ光LSを照射することにより、不要部分PBを介して付加加工箇所PCを加熱する。レーザ光LSは、母材部分PAや付加加工箇所PCに直接的に照射されないので、ワークWの必要部分における加工品質を低下させずに付加加工箇所PCの熱処理を実現することができる。
【0050】
このような熱処理は、ハイス鋼などの高硬度材料を用いた付加加工を行う場合に特に有効となる。熱処理が行われない場合には、付加加工箇所PCの硬度が不十分な可能性があるが、実施の形態に従う加工装置100においては、ステップS3でのレーザ光LSの照射により高温の熱処理が実現される。付加加工箇所PCの硬度が十分に向上する。また、付加加工箇所PCの粘り強さも向上し、付加加工箇所PCが割れにくくなる。
【0051】
また、実施の形態に従う加工装置100においては、ワークWの付加加工処理と、ワークWの熱処理とが同一の機内で実現される。そのため、作業者は、加工装置100からワークWを取り外すことなく、ワークWの熱処理を行うことができる。これにより、作業効率が大幅に改善される。
【0052】
なお、上述のステップS3においては、加工装置100は、不要部分PBに粉末材料PMを供給しながら熱処理を行ってもよいし、不要部分PBへの粉末材料PMの供給を停止して熱処理を行ってもよい。好ましくは、加工装置100は、不要部分PBに対してレーザ光LSのみを照射し、粉末材料PMの供給を停止する。これにより、加工装置100は、粉末材料PMの使用量を抑えることができる。
【0053】
また、好ましくは、ステップS3における熱処理は、ステップS2における付加加工が完了してから所定時間が経過した後に実行される。これにより、加工装置100は、ステップS2での付加加工で熱されたワークWを冷ました後に熱処理を行うことができる。その結果、付加加工箇所PCの硬度および粘り強さがより向上する。
【0054】
なお、ステップS2における付加加工が完了してから、ステップS3での熱処理が開始されるまでの時間は、予め設定されてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。当該時間は、ワークWの温度が所定温度まで低下するように設定される。当該所定温度は、たとえば、加工装置100内の室温である。
【0055】
また、好ましくは、ステップS3における熱処理時には、加工装置100は、レーザ光LSの照射点を移動させながら不要部分PBにレーザ光LSを照射する。このとき、不要部分PBに対するレーザ光LSの照射点が相対的に移動する態様であれば、レーザヘッド140が駆動されてもよいし、ワークWが駆動されてもよいし、レーザ光LSの照射方向がガルバノミラーなどで変えられてもよい。
【0056】
ある局面では、レーザヘッド140を駆動しながらレーザ光LSを不要部分PBに照射する。これにより、レーザ光LSの照射が不要部分PBの一点に集中しなくなり、加工装置100は、不要部分PBが融解することを防止できる。
【0057】
このとき、レーザヘッド140は、不要部分PBに対するレーザ光LSの照射点が予め定められた経路を繰り返し通るように駆動される。当該経路の形状は、任意である。一例として、当該経路の形状は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、矩形であってもよいし、その他の形状であってもよい。これにより、レーザヘッド140は、ワークW全体をより均一に加熱することができる。
【0058】
好ましくは、不要部分PBは、付加加工箇所PCから可能な限り離されて形成される。一例として、付加加工箇所PCがワークWの第1の表面にある場合、不要部分PBは、ワークWの第2の表面に形成される。第2の表面は、第1の表面と直交する面であってもよいし、第1の表面と反対の面であってもよい。このように、不要部分PBが付加加工箇所PCから可能な限り離されることで、ステップS3での熱処理時において、熱が付加加工箇所PCに一様に伝わり、付加加工箇所PCの性質を一様に変化させることができる。
【0059】
また、ステップS3における熱処理時には、加工装置100は、レーザ光LSの焦点が不要部分PBの表面上に位置するようにレーザ光LSを照射してもよいし、レーザ光LSの焦点が不要部分PBの表面上に位置しないようにレーザ光LSを照射してもよい。好ましくは、加工装置100は、不要部分PBに対するレーザ光LSの照射点とレーザ光LSの焦点とが異なるように、不要部分PBにレーザ光LSを照射する。これにより、加工装置100は、熱処理時において、ワークWが高温になりすぎることを防止できる。
【0060】
なお、上述では、ステップS1における不要部分PBの形成処理が、ステップS2における付加加工処理の開始前に実行される例について説明を行ったが、不要部分PBの形成タイミングは、これに限定されない。一例として、ステップS1における不要部分PBの形成処理は、ステップS2における付加加工処理の完了後に実行されてもよい。
【0061】
<E.加工装置100の駆動機構>
次に、図6を参照して、加工装置100における駆動機構について説明する。図6は、加工装置100の駆動機構の一例を示す図である。
【0062】
図6に示されるように、加工装置100は、制御部50と、駆動部210,220,230A,230B,240とを含む。
【0063】
制御部50は、加工装置100内の各種装置を制御する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。一例として、制御部50は、CNC(Computer Numerical Control)と、PLC(Programmable Logic Controller)との少なくとも一方を含む。
【0064】
駆動部210は、ワーク主軸22を回転駆動するための駆動機構である。駆動部210は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図6の例では、駆動部210は、モータドライバ211Cと、モータ212Cとで構成されている。
【0065】
モータドライバ211Cは、ワーク主軸22の目標回転角度または目標回転速度の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ212Cに出力する。これにより、ワーク主軸22に保持されているワークは、Z軸方向を回転中心として回転する。モータ212Cは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0066】
駆動部220は、心押し台25を駆動するための駆動機構である。駆動部220は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図6の例では、駆動部220は、モータドライバ221Zと、モータ222Zとで構成されている。
【0067】
モータドライバ221Zは、ワーク主軸22に関する目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ222Zに出力する。これにより、モータ222Zは、Z軸方向の任意の位置に心押し台25を移動する。モータ222Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0068】
駆動部230Aは、工具主軸30の位置を移動するための駆動機構である。上述のレーザヘッド140は、工具主軸30に装着されることで駆動される。駆動部230Aは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図6の例では、駆動部230Aは、モータドライバ231X~231Zと、モータ232X~232Zとで構成されている。
【0069】
モータドライバ231Xは、X軸方向における工具主軸30の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Xに出力する。これにより、モータ232Xは、X軸方向の任意の位置に工具主軸30を駆動する。モータ232Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0070】
モータドライバ231Yは、Y軸方向における工具主軸30の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Yに出力する。これにより、モータ232Yは、Y軸方向の任意の位置に工具主軸30を駆動する。モータ232Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0071】
モータドライバ231Zは、Z軸方向における工具主軸30の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Zに出力する。これにより、モータ232Zは、Z軸方向の任意の位置に工具主軸30を移動する。モータ232Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0072】
駆動部230Bは、工具主軸30を回転駆動するための駆動機構である。駆動部230Bは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図6の例では、駆動部230Bは、モータドライバ231A,231Bと、モータ232A,232Bとで構成されている。
【0073】
モータドライバ231Aは、X軸方向を中心とした工具主軸30の目標回転角度または目標回転速度の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ232Aに出力する。モータ232Aは、X軸方向を中心として工具主軸30を旋回駆動する。モータ232Aは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0074】
モータドライバ231Bは、工具主軸30の軸方向を回転中心とした工具主軸30の目標回転角度または目標回転速度の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ232Bに出力する。モータ232Bは、工具主軸30の軸方向を回転中心として工具主軸30を回転駆動する。モータ232Bは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0075】
駆動部240は、刃物台16やタレット18を駆動するための駆動機構である。駆動部240は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図6の例では、駆動部240は、モータドライバ241C,241Y,241Zと、モータ242C,242Y,242Zとで構成されている。
【0076】
モータドライバ241Cは、Z軸方向を中心としたタレット18の旋回角度に関して目標値の入力を受け、当該目標値に応じた電流をモータ242Cに出力する。これにより、モータドライバ241Cは、Z軸方向を回転中心としたタレット18の旋回角度を制御する。モータ242Cは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0077】
モータドライバ241Yは、Y軸方向における刃物台16の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ242Yに出力する。これにより、モータ242Yは、Y軸方向の任意の位置に刃物台16を移動する。モータ242Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0078】
モータドライバ241Zは、Z軸方向における刃物台16の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ242Zに出力する。これにより、モータ242Zは、Z軸方向の任意の位置に刃物台16を移動する。モータ242Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0079】
<F.制御部50のハードウェア構成>
次に、図7を参照して、図6に示される制御部50のハードウェア構成について説明する。図7は、制御部50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0080】
上述のように、制御部50は、CNCであってもよいし、PLCであってもよい。図7には、CNCとしての制御部50のハードウェア構成が示されている。
【0081】
制御部50は、たとえば、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、補助記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス109に接続される。
【0082】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0083】
制御回路101は、加工プログラム122などの各種プログラムを実行することで制御部50の動作を制御する。加工プログラム122は、本明細書に記載の各種処理を実現するためのプログラムである。制御回路101は、加工プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM102からRAM103に加工プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0084】
通信インターフェイス104は、各種装置と通信を実現するためのインターフェイスである。加工装置100は、たとえば、通信インターフェイス104を介して、ワークの付加加工を実現するための各種駆動ユニット(たとえば、上述の駆動部210,220,230A,230B,240など)と通信する。
【0085】
補助記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置120は、加工プログラム122などを格納する。加工プログラム122の格納場所は、補助記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0086】
また、加工プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う加工プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、加工プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが加工プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で制御部50が構成されてもよい。
【0087】
<G.制御フロー>
次に、図8を参照して、加工装置100の制御フローについて説明する。図8は、加工装置100による加工工程の流れを示すフローチャートである。
【0088】
図8に示される処理は、加工装置100の制御部50が上述の加工プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0089】
ステップS110において、制御部50は、付加加工の実行指示を受け付けたか否かを判断する。付加加工の実行指示とは、たとえば、工具主軸30にレーザヘッド140を取り付ける指令や、レーザ光LSを射出する前においてレーザヘッド140が取り付けられた工具主軸30を移動させるための指令などである。制御部50は、付加加工の実行指示を受け付けたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0090】
ステップS112において、制御部50は、レーザヘッド140を制御することで、ワークWの母材部分PAに不要部分PBを形成する。不要部分PBは、付加加工によりワークWに形成されてもよいし、除去加工によりワークWに形成されてもよい。
【0091】
ステップS114において、制御部50は、レーザヘッド140を制御することで、不要部分PBとは異なるワークWの付加加工箇所PCに対して付加加工を行う。当該付加加工は、たとえば、予め設計されている付加加工プログラムに従って実行される。
【0092】
ステップS120において、制御部50は、付加加工が完了してから所定時間が経過したか否かを判断する。一例として、制御部50は、付加加工プログラムの実行が終了したことに基づいて、ワークの付加加工が終了したと判断する。制御部50は、付加加工が完了してから所定時間が経過したと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、ステップS120の処理を再び実行する。
【0093】
ステップS122において、制御部50は、ワークWの熱処理を実行する。より具体的には、制御部50は、レーザヘッド140を制御することで、ステップS112で形成した不要部分PBにレーザ光LSを照射する。このとき、好ましくは、制御部50は、粉末材料PMの供給を停止した状態でレーザヘッド140にレーザ光LSを照射させる。ステップS122における熱処理は、所定時間実行される。
【0094】
ステップS130において、制御部50は、ステップS122の熱処理が完了してから所定時間が経過したか否かを判断する。制御部50は、ステップS122の熱処理が完了してから所定時間が経過したと判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS132に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御部50は、ステップS130の処理を再び実行する。
【0095】
ステップS132において、制御部50は、レーザヘッド140を工具主軸30から取り外し、工具主軸30に工具Tを装着させる。その後、制御部50は、工具主軸30を制御することで、不要部分PBの除去加工を実行する。
【0096】
<H.実験結果>
発明者は、上述の実施の形態に従う熱処理の有効性を実験により確認した。以下では、図9を参照して、当該実験の結果について説明する。図9は、本実験に用いられたワークWを示す図である。
【0097】
本実験で使用されたワークWは、母材部分PAと、不要部分PBと、付加加工箇所PCとで構成されていた。ワークWの母材部分PAは、固定治具JA,JBにより固定されていた。不要部分PBは、母材部分PAの一方面に形成されていた。付加加工箇所PCは、粉末のハイス鋼をコーティング加工することにより、母材部分PAの他方面に形成されていた。
【0098】
本実験では、発明者は、上記熱処理を行わなかった場合における付加加工箇所PCのビッカース硬さと、上記熱処理を行った場合における付加加工箇所PCのビッカース硬さとを測定した。上記熱処理を行わなかった場合における付加加工箇所PCのビッカース硬さは、860HV程度であった。これに対して、上記熱処理を行った場合における付加加工箇所PCのビッカース硬さは、950HV~980HVであった。これにより、発明者は、上記熱処理により付加加工箇所PCの硬度が向上することを確認した。
【0099】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
11 ベッド、16 刃物台、18 タレット、22 ワーク主軸、23 チャック機構、25 心押し台、30 工具主軸、50 制御部、100 加工装置、101 制御回路、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、109 内部バス、120 補助記憶装置、122 加工プログラム、130 カバー体、140 レーザヘッド、142 ヘッド本体、146 レーザノズル、200 操作盤、210 駆動部、211C モータドライバ、212C モータ、220 駆動部、221Z モータドライバ、222Z モータ、230A 駆動部、230B 駆動部、231A モータドライバ、231B モータドライバ、231X モータドライバ、231Y モータドライバ、231Z モータドライバ、232A モータ、232B モータ、232X モータ、232Y モータ、232Z モータ、240 駆動部、241C モータドライバ、241Y モータドライバ、241Z モータドライバ、242C モータ、242Y モータ、242Z モータ、AR 加工エリア、AX1 軸、AX2 軸、AX3 軸、DR ドア、GS ガス、JA 固定治具、JB 固定治具、LS レーザ光、MP 溶融池、PA 母材部分、PB 不要部分、PC 付加加工箇所、PM 粉末材料、SL 層、T 工具、W ワーク。
【要約】
【課題】DED方式で造形されたワークについて熱処理を行うことが可能な加工技術が望まれている。
【解決手段】ワークにレーザ光を照射しながら粉末材料を供給する付加加工と、工具を用いたワークの除去加工とを行うことが可能な加工装置によって実行される加工方法は、付加加工または除去加工によりワークに不要部分を形成するステップと、不要部分とは異なるワークの箇所に対して付加加工を行うステップと、付加加工を行うステップの完了後において、不要部分にレーザ光を照射するステップと、照射するステップの完了後において、除去加工により不要部分を除去するステップとを備える。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9