(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/48 20060101AFI20240906BHJP
F23G 5/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B66C13/48 A
F23G5/02 D
(21)【出願番号】P 2023175281
(22)【出願日】2023-10-10
【審査請求日】2023-12-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩下 信治
(72)【発明者】
【氏名】中川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】郡司 駿
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-120597(JP,A)
【文献】特開2023-182413(JP,A)
【文献】国際公開第2023/074397(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/48
F23G 5/02
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物が堆積されるピットを含む焼却設備用の情報処理システムであって、
前記ピット内の場所であって前記被焼却物を搬入する搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す受入先情報と、前記ピット内の場所であって前記被焼却物を把持するクレーンの把持先となる場所を示す把持先情報とを取得する情報取得部と、
前記受入先を決定する時期が到来した場合に、
その時点で決定されている前記クレーンの把持先となる場所を示す前記把持先情報に基づき、前記受入先を決定する受入先決定部と、
前記把持先を決定する時期が到来した場合に、
その時点で決定されている前記搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す前記受入先情報に基づき、前記把持先を決定する把持先決定部と、
を備
え、
前記情報取得部は、前記ピット内の各場所における前記被焼却物の高さを示す高さ情報をさらに取得し、
前記受入先決定部は、前記把持先情報と、別の搬入車または前記クレーンとの関係で前記搬入車に生じる待ち時間の長さを示す情報とに基づき、前記ピット内の複数の場所に関して隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いを小さくするとともに前記待ち時間の長さを短くするように、前記隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いおよび前記待ち時間の長さの両方が反映された関数から得られる結果を比較することで、前記複数の場所のなかから前記受入先を決定する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記受入先決定部は、前記把持先情報および前記高さ情報に基づき、予定された前記把持先とは異なる場所のなかで、前記被焼却物を受け入れることで隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いが小さくなる場所を前記受入先として決定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記把持先決定部は、前記受入先情報および前記高さ情報に基づき、予定された前記受入先とは異なる場所のなかで、前記クレーンにより前記被焼却物を把持することで隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いが小さくなる場所を前記把持先として決定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記高さ情報は、前記焼却設備に設けられた測定装置により測定された前記被焼却物の高さを示す情報であり、
前記受入先決定部と前記把持先決定部とのうち少なくとも一方は、予定された前記受入先において前記被焼却物を受け入れることで増加する前記被焼却物の高さ、または予定された前記把持先において前記被焼却物が把持されることで減少する前記被焼却物の高さを反映させるように前記高さ情報を修正し、修正した前記高さ情報に基づき、前記受入先または前記把持先を決定する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記受入先決定部は、前記被焼却物を積んだ前記搬入車が所定位置に達した場合に、前記受入先を決定する時期が到来したと判定し、
前記把持先決定部は、前記受入先を決定する時期の到来とは独立した条件を満たされた場合に、前記把持先を決定する時期が到来したと判定する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記把持先決定部は、前記把持先を決定する時期が到来した場合に、前記受入先情報に基づき、予定された前記受入先とは異なる場所のなかで、第1動作として前記クレーンが前記被焼却物を把持する第1把持先と、前記第1動作の後に行われる第2動作として前記クレーンが前記被焼却物を把持する第2把持先とを合わせて決定する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記クレーンとして、第1クレーンと、前記第1クレーンとは異なる第2クレーンとが存在し、
前記把持先決定部は、前記把持先を決定する時期が到来した場合に、前記受入先情報に基づき、予定された前記受入先とは異なる場所のなかで、
前記第1クレーンが前記被焼却物を把持する把持先と、
前記第2クレーンが前記被焼却物を把持する把持先とを合わせて決定する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記把持先決定部は、
前記把持先を決定する時期の到来の判定と予め関連付けられた前記第1クレーン
の動作が完了し、且つ、
前記把持先を決定する時期の到来の判定と予め関連付けられた前記第2クレーン
の動作が完了した場合に、前記把持先を決定する時期が到来したと判定する、
請求項
7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
被焼却物が堆積されるピットを含む焼却設備に関する情報処理方法であって、
1つ以上のコンピュータが、
前記ピット内の場所であって前記被焼却物を搬入する搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す受入先情報を取得し、
前記ピット内の場所であって前記被焼却物を把持するクレーンの把持先となる場所を示す把持先情報を取得し、
前記ピット内の各場所における前記被焼却物の高さを示す高さ情報を取得し、
前記受入先を決定する時期が到来した場合に、
その時点で決定されている前記クレーンの把持先となる場所を示す前記把持先情報に基づき、前記受入先を決定し、
前記把持先を決定する時期が到来した場合に、
その時点で決定されている前記搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す前記受入先情報に基づき、前記把持先を決定する、
ことを含
み、
前記受入先を決定することは、前記把持先情報と、別の搬入車または前記クレーンとの関係で前記搬入車に生じる待ち時間の長さを示す情報とに基づき、前記ピット内の複数の場所に関して隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いを小さくするとともに前記待ち時間の長さを短くするように、前記隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いおよび前記待ち時間の長さの両方が反映された関数から得られる結果を比較することで、前記複数の場所のなかから前記受入先を決定する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ピット(ゴミピット)内でゴミを運搬するクレーンの動作スケジュールを作成する計算装置が開示されている。この計算装置は、所定期間におけるクレーンの移動および開閉の動作パターンを示す遺伝子からなる遺伝子群を生成し、遺伝子群に含まれる各遺伝子の適応度の評価と評価に基づく遺伝子群の更新とを繰り返し行う。このような構成により、クレーンの操作者の経験や勘に頼ることなく、ピット内のゴミの状態を所定の状態とするか、または所定の状態に近づけることのできるクレーンの動作スケジュールを自動で作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被焼却物が堆積されるピットを含む焼却設備においては、被焼却物を搬入する搬入車からピット内に被焼却物が投入される。クレーンで把持作業をしている場所に、搬入車からの被焼却物を受け入れると、搬入車から受け入れた被焼却物がクレーンに衝突する等して、クレーンによる作業が阻害される。このため、焼却設備においては、クレーンによる把持作業と、搬入車による被焼却物の受入作業とが干渉しないようにすることが好ましい。
【0005】
この場合、搬入車からの被焼却物の受入先の割当てを取得し、この割当てに基づいてクレーンが被焼却物を把持する把持先を決定することが考えられる。しかしながらそのような構成では、搬入車の台数が多い場合、クレーンによる被焼却物の把持が円滑に進まず、焼却設備全体の稼働効率が低下する可能性がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、クレーンによる把持作業と、搬入車による受入作業との干渉を抑えつつ、焼却設備全体の稼働効率を高めることができる情報処理システム、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る情報処理システムは、被焼却物が堆積されるピットを含む焼却設備用の情報処理システムであって、前記ピット内の場所であって前記被焼却物を搬入する搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す受入先情報と、前記ピット内の場所であって前記被焼却物を把持するクレーンの把持先となる場所を示す把持先情報とを取得する情報取得部と、前記受入先を決定する時期が到来した場合に、その時点で決定されている前記クレーンの把持先となる場所を示す前記把持先情報に基づき前記受入先を決定する受入先決定部と、前記把持先を決定する時期が到来した場合に、その時点で決定されている前記搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す前記受入先情報に基づき前記把持先を決定する把持先決定部と、を備える。前記情報取得部は、前記ピット内の各場所における前記被焼却物の高さを示す高さ情報をさらに取得する。前記受入先決定部は、前記把持先情報と、別の搬入車または前記クレーンとの関係で前記搬入車に生じる待ち時間の長さを示す情報とに基づき、前記ピット内の複数の場所に関して隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いを小さくするとともに前記待ち時間の長さを短くするように、前記隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いおよび前記待ち時間の長さの両方が反映された関数から得られる結果を比較することで、前記複数の場所のなかから前記受入先を決定する。
【0008】
本開示に係る制御方法は、被焼却物が堆積されるピットを含む焼却設備の制御方法であって、1つ以上のコンピュータが、前記ピット内の場所であって前記被焼却物を搬入する搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す受入先情報を取得し、前記ピット内の場所であって前記被焼却物を把持するクレーンの把持先となる場所を示す把持先情報を取得し、前記ピット内の各場所における前記被焼却物の高さを示す高さ情報を取得し、前記受入先を決定する時期が到来した場合に、その時点で決定されている前記クレーンの把持先となる場所を示す前記把持先情報に基づき前記受入先を決定し、その時点で決定されている前記搬入車からの前記被焼却物の受入先となる場所を示す前記把持先を決定する時期が到来した場合に、前記受入先情報に基づき前記把持先を決定する。前記受入先を決定することは、前記把持先情報と、別の搬入車または前記クレーンとの関係で前記搬入車に生じる待ち時間の長さを示す情報とに基づき、前記ピット内の複数の場所に関して隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いを小さくするとともに前記待ち時間の長さを短くするように、前記隣り合う場所同士の前記被焼却物の高さの違いおよび前記待ち時間の長さの両方が反映された関数から得られる結果を比較することで、前記複数の場所のなかから前記受入先を決定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の情報処理システム、及び情報処理方法によれば、クレーンによる把持作業と、搬入車による受入作業との干渉を抑えつつ、焼却設備全体の稼働効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る焼却設備を説明するための概略構成図である。
【
図2】
図1に示された焼却設備を示す縦断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る制御システムの構成を示す図である。
【
図4】本開示の把持先決定部による処理の一例を説明するための図である。
【
図5A】本開示の実施形態に係る作業計画の一例を示す図である。
【
図5B】本開示の実施形態に係る作業計画の一例を示す図である。
【
図5C】本開示の実施形態に係る作業計画の一例を示す図である。
【
図5D】本開示の実施形態に係る作業計画の一例を示す図である。
【
図5E】本開示の実施形態に係る作業計画の一例を示す図である。
【
図5F】本開示の実施形態に係る作業計画の一例を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態における制御方法の処理を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態における制御方法の他の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態の情報処理システム、及び情報処理方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本開示で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。本開示で「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0012】
本開示で「取得する」とは、送信要求を送信して能動的に取得する場合に限定されず、他の装置から送信される情報を受動的に受信することで取得する場合も含み得る。また「取得」とは、目的の情報(取得対象の情報)を外部から直接取得する場合に限定されず、外部から得られた情報に対して演算または加工などを行うことで、目的の情報を生成して取得する場合も含み得る。
【0013】
ここで先に、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、およびZ方向を定義する。+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向は、水平面に沿う方向である。+X方向は、後述するピット21からホッパ31に向かう方向である(
図1参照)。-X方向は、+X方向の反対方向である。+X方向と-X方向を区別しない場合、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、後述する第1ホッパ31Aから第2ホッパ31Bに向かう方向である(
図1参照)。-Y方向は、+Y方向の反対方向である。+Y方向と-Y方向を区別しない場合、単に「Y方向」と称する。Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向である。Z方向は、例えば鉛直方向である(
図2参照)。
【0014】
<焼却設備の全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る焼却設備1を説明するための概略構成図である。
図2は、
図1の焼却設備1の縦断面図である。
図1、
図2に示すように、焼却設備1は、例えば、都市ごみ、産業廃棄物、またはバイオマスなどを被焼却物Gとして焼却する設備である。焼却設備1には、搬入車Pにより、外部で収集した被焼却物Gが搬入される。以下では説明の便宜上、「被焼却物」を「ごみ」と称する場合がある。焼却設備1は、例えば、貯留部2と、焼却炉3と、プラットホーム5と、制御システム100(
図3参照)と、を備える。制御システム100は、「情報処理システム」の一例である。
【0015】
貯留部2は、被焼却物Gを焼却設備1に搬入する搬入車Pから受け入れた被焼却物Gを貯留する。貯留部2は、複数の搬入車Pから順次受け入れる被焼却物Gを堆積する。貯留部2に貯留した被焼却物Gは、後述のクレーン25により焼却炉3に投入される。貯留部2については、詳しく後述する。
【0016】
焼却炉3は、被焼却物Gを焼却する。焼却炉3は、例えば、ホッパ31と、炉本体(図示無し)とを備える。ホッパ31は、炉本体の内部へ被焼却物Gを供給するために設けられた一時貯留部である。ホッパ31は、上方に向けて開口している。ホッパ31には、後述する貯留部2のクレーン25によって被焼却物Gが投入される。ホッパ31には、不図示のフィーダが設けられている。フィーダは、ホッパ31の内部に貯留された被焼却物Gを炉本体の内部に向けて移動させる。炉本体は、ホッパ31から供給される被焼却物Gを搬送しながら燃焼させる炉である。炉本体は、例えばストーカ炉である。なお、炉本体は、ストーカ炉に限定されるものではなく、別タイプの焼却設備でもよい。
【0017】
本実施形態では、焼却炉3は、ホッパ31および炉本体をそれぞれ複数備える。
図1に示すように、例えば、焼却炉3は、複数の焼却炉3として、-Y方向側に配置された第1焼却炉3Aと、+Y方向側に配置された第2焼却炉3Bとを有する。なお、焼却炉3の数は、2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0018】
<貯留部の構成>
貯留部2は、例えば、ピット21、複数の受入扉23、及び複数のクレーン25を備える。
【0019】
ピット21は、焼却炉3に投入される前の被焼却物Gが貯留される収容部である。本実施形態において、ピット21は、焼却炉3に対して、-X方向に隣接して設けられている。換言すると、第1焼却炉3Aのホッパ31(第1ホッパ31A)、及び第2焼却炉3Bのホッパ31(第2ホッパ31B)は、ピット21に対して+X方向の外側に開口している。ピット21は、上方から見た場合、例えば、Y方向に沿う長辺、X方向に沿う短辺を有する長方形状である。
【0020】
複数の受入扉23は、ピット21の-X方向の端部に隣接して設けられている。複数の受入扉23は、ピット21と、後述のプラットホーム5との間に設けられている。複数の受入扉23は、Y方向に並べて配置されている。本実施形態において、受入扉23は、例えば5つ設けられている。ここで、受入扉23の数は、5つに限らず、適宜他の数でもよい。受入扉23の各々は、独立して開閉可能である。受入扉23は、被焼却物Gを搬入する搬入車Pが受入扉23に対して-X方向側の所定位置に到着した場合に、開かれる。
【0021】
ピット21には、ピット21内に堆積した被焼却物Gの高さを測定する測定装置27が設けられている。測定装置27は、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)であり、ピット21に堆積した被焼却物Gの表面にレーザ光を照射し、その反射光に基づいて、被焼却物Gの高さを検出する。測定装置27は、その検出結果を、後述の制御システム100に送信する。なお、測定装置27は、LiDARに限らず、適宜他の測定装置を用いてもよい。
【0022】
クレーン25は、ピット21の上方に設けられた、いわゆる天井クレーンである。クレーン25は、ピット21に貯留された被焼却物Gの一部を把持し、把持した被焼却物Gを焼却炉3のホッパ31まで運んでホッパ31に投入する。
図2に示すように、クレーン25は、例えば、天井の下方に設けられた、X方向に延びるレール26X、及びY方向に延びるレール26Yにより、ピット21の上方空間内で任意の位置に移動可能となるように構成されている。
【0023】
図1に示すように、本実施形態では、複数のクレーン25として、-Y方向側に配置された第1クレーン25Aと、+Y方向側に配置された第2クレーン25Bとを有する。第1クレーン25Aおよび第2クレーン25Bは、互いに独立して作動する。なお、貯留部2に設けられる複数のクレーン25は、2台に限らず、1台のみであってもよいし、3台以上であってもよい。
【0024】
<プラットホームの構成>
プラットホーム5は、外部で収集した被焼却物Gを搬入する搬入車Pが到着する領域である。プラットホーム5は、ピット21に対して-X方向側に隣接して設けられている。プラットホーム5は、搬入路51と、搬出路52と、複数の受入区画53と、重量測定部55と、案内装置56とを備えている。
【0025】
搬入路51は、被焼却物Gを搬入する搬入車Pが、複数の受入区画53のいずれか一つに向かう際に通行する通路である。搬出路52は、被焼却物Gをピット21内に投入した後の搬入車Pが、複数の受入区画53のいずれか一つから退出する際に通行する通路である。複数の受入区画53は、貯留部2に対して-X方向側に隣接して設けられている。複数の受入区画53の各々は、貯留部2の複数の受入扉23の各々に対して-X方向側に隣接して設けられている。複数の受入区画53は、Y方向に並べて配置されている。本実施形態において、受入区画53は、5つ設けられている。
【0026】
複数の受入区画53の各々には、搬入車Pが搬入路51を通行して到達する。各搬入車Pは、複数の受入区画53のいずれか一つに停車した状態で、その受入区画53に設けられた受入扉23が開いた際に、搭載した被焼却物Gをピット21に投入する。被焼却物Gをピット21に投入した搬入車Pは、搬出路52を通行して、焼却設備1の外部へと退出する。
【0027】
重量測定部55は、搬入路51に設けられている。重量測定部55は、搬入車Pの総重量を測定する。重量測定部55は、搬入車Pの車重Wpと、搬入車Pに搭載された被焼却物Gの重量Wgとの合計を、搬入車Pの総重量Wとして測定する。
【0028】
1つの態様では、重量測定部55は、次式(1)に基づいて、予め登録された搬入車Pの車重Wpのデータに基づき、測定した搬入車Pの総重量Wから、搬入車Pに搭載された被焼却物Gの重量Wgを算出し、算出した被焼却物Gの重量Wgを後述の制御システム100に出力するようにしてもよい。
【0029】
Wg=W-Wp …(1)
【0030】
また別の1つの態様では、過去に焼却設備1に搬入された複数の搬入車Pにおける、重量測定部55での総重量Wの測定結果と、実際に各搬入車Pから受け入れた被焼却物Gの重量Wgとの相関から近似式を生成し、測定した搬入車Pの総重量Wと上記近似式とに基づき、被焼却物Gの重量Wgを算出し、算出した被焼却物Gの重量Wgを後述の制御システム100に出力するようにしてもよい。
【0031】
案内装置56は、搬入車Pの運転手に、当該搬入車Pに割り当てられた受入区画53を案内する装置である。例えば、案内装置56は、各搬入車Pに割り当てられた受入区画53に対応する受入扉23の番号を表示する表示装置である。各搬入車Pへの受入区画53の割り当ては、後述する制御システム100の受入先決定部130の決定内容に基づいて行われる。
【0032】
<ピット内のエリア>
このような焼却設備1においては、ピット21内でクレーン25が把持作業を行う場所(把持先となる場所)と、搬入車Pからピット21内に投入される被焼却物Gを受け入れる場所(受入先となる場所)とを、後述の制御システム100の処理により、自動的に割り当てる。このような処理を制御システム100で行うため、ピット21内は、予め設定された仮想的な複数の区画Rに区分されている。複数の区画Rは、例えば、上方から見て格子状に配置される。各区画Rは、正方形に限定されず、長方形状でもよい。また、ピット21内の全ての領域において区画Rの大きさが同じである必要はなく、異なる大きさの区画Rが存在してもよい。また、ピット21内に設定される区画Rの大きさおよび数は、何ら限定するものではない。また、区画Rは、クレーン25を移動させるため、ピット21内に設定された1つ以上の座標ごとに設定してもよい。
【0033】
なお、本開示でいう「把持先となる場所」および「受入先となる場所」の各々は、区画Rに限定されない。例えば、「把持先となる場所」は、区画Rではなく、座標によって指定されてもよい。本開示で「ある区画Rを把持先として決定する」とは、区画Rそのものを把持先として決定する場合に限定されず、当該区画Rに含まれるある座標を把持先として決定することも該当し得る。
【0034】
焼却設備1においては、複数の搬入車Pにより順次搬入される被焼却物Gが、各搬入車Pからピット21内に投入される。つまり、ピット21は、複数の搬入車Pが搬入する被焼却物Gを受け入れる。ピット21に受け入れた被焼却物Gは、クレーン25により把持され、ピット21内の他の場所に移動される。ピット21内でのクレーン25による被焼却物Gの移動は、特定の場所に被焼却物Gが高く堆積するのを抑えて被焼却物Gを均すため、及び被焼却物Gを撹拌するため等に行われる。また、ピット21内の被焼却物Gは、クレーン25により把持され、ホッパ31に投入される。
【0035】
これに応じて、ピット21内には、受入エリアA1、搬出先エリアA2、および投入エリアA3が設定される。上述した複数の区画Rに含まれる一部の区画Rに受入エリアA1が設定され、別の一部の区画Rに搬出先エリアA2が設定され、さらに別の一部の区画Rに投入エリアA3が設定される。
【0036】
受入エリアA1は、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れるエリアである。受入エリアA1は、ピット21において、複数の受入区画53(受入扉23)に対して+X方向側に隣接する複数の区画Rにわたって設定されている。本実施形態では、受入エリアA1は、複数の受入区画53(受入扉23)に対して+X方向側に隣接する10個の区画R01~R10にわたって設定されている。本開示の実施形態において、各受入扉23に対しては、+X方向側に、Y方向に並ぶ二つの区画Rが設定されている。
【0037】
搬出先エリアA2は、受入エリアA1からクレーン25により移動される被焼却物Gの搬出先(移動先)となるエリアである。投入エリアA3は、ホッパ31内の被焼却物Gが減少した場合に、被焼却物Gをホッパ31に投入するエリアである。搬出先エリアA2、及び投入エリアA3は、受入エリアA1とは異なる位置の区画Rに設定されている。
【0038】
本実施形態では、搬出先エリアA2および投入エリアA3は、Y方向に並んで配置される。搬出先エリアA2および投入エリアA3は、例えば、X方向、及びY方向にそれぞれ並ぶ複数個の区画Rにわたって設定されている。搬出先エリアA2および投入エリアA3は、各エリアA2,A3に貯留された被焼却物Gはそのままで、所定時間ごと(例えば日替わりで)に割り当てられる機能が交互に入れ替えられる。
【0039】
<制御システムの構成>
図3は、制御システム100の機能構成を示すブロック図である。
図3に示す制御システム100は、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れる場所を示す受入先と、クレーン25で把持作業を行う場所を示す把持先とを自動的に割り当てる。制御システム100は、搬入車Pからの被焼却物Gの受入先となる区画Rと、クレーン25の把持先となる区画Rとが、同時に重複しないように、受入先と把持先とを割り当てる。ここで、本実施形態において、搬入車Pからの被焼却物Gの受入先となる区画Rと、クレーン25の把持先となる区画Rとが重複し得るのは、受入エリアA1の区画R01~R10である。
【0040】
制御システム100は、少なくとも、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れる場所を示す受入先と、クレーン25で把持作業を行う場所を示す把持先と、を自動的に割り当てることで、複数の搬入車P、及びクレーン25による作業計画を生成する。制御システム100は、複複数の搬入車P、及びクレーン25による作業計画の生成に加えて、受入扉23の開閉、クレーン25の動作の制御、さらには焼却炉3の制御を行うものであってもよい。
【0041】
制御システム100は、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)等のコンピュータと、コンピュータの周辺回路や周辺装置等のハードウェアを用いて構成することができる。なお、制御システム100は、PLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を用いて構成されていてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0042】
制御システム100は、ハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせから構成される機能的構成として、情報取得部110、記憶部120、受入先決定部130、把持先決定部140、計画生成部150、及び制御部160を有する。なお、制御システム100に含まれる機能部は、複数の装置に分かれて設けられてもよい。
【0043】
情報取得部110は、制御システム100に必要な各種情報を取得する。情報取得部110は、後述の計画生成部150により生成された、複数の搬入車P、及びクレーン25による作業計画に基づいて、搬入車Pからの被焼却物Gの受入先となる場所(例えば受入先となる区画R)を示す受入先情報と、被焼却物Gを把持するクレーン25の把持先となる場所(例えば把持先となる区画R)を示す把持先情報を取得する。受入先は、後述する受入先決定部130により決定される。受入先情報は、現時点から将来に向けて決定済みの受入先(予定された受入先)を示す情報である。把持先は、後述する把持先決定部140により決定される。把持先情報は、現時点から将来に向けて決定済みの把持先(予定された把持先)を示す情報である。
【0044】
なお、本実施形態では、上記受入先情報および上記把持先情報を取得する1つの情報取得部110について説明したが、上記受入先情報を取得する情報取得部(第1情報取得部110a)と、上記把持先情報を取得する情報取得部(第2情報取得部110b)とは別々に設けられてもよい。また、例えば、情報取得部110は、重量測定部55における測定結果、測定装置27によるピット21内の各場所における被焼却物Gの高さを示す高さ情報などを取得する。
【0045】
記憶部120は、制御システム100に必要な各種情報を記憶している。例えば、記憶部120は、複数の搬入車Pの車重Wpを記憶している。また、記憶部120は、搬入車Pからの被焼却物Gの受入先を決定する際の制約条件等を記憶している。
【0046】
(受入先決定部の構成)
受入先決定部130は、受入先を決定する時期が到来した場合に、複数の区画Rの中から、搬入車Pからの被焼却物Gの受入先となる区画Rを決定する。受入先決定部130は、例えば、被焼却物Gを積んだ搬入車Pが所定位置に達した場合に、受入先を決定する時期が到来したと判定する。この所定位置としては、例えば、重量測定部55を例示できる。所定位置は、複数の受入区画53よりも手前であれば、重量測定部55以外の他の位置であってもよい。
【0047】
受入先決定部130は、情報取得部110で取得される、その時点で決定されているクレーン25の把持先となる区画Rを示す把持先情報に基づいて、受入先となる区画Rを決定する。より具体的に、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、その時点で、ピット21内で決定済みのクレーン25の把持先の区画Rとは異なる区画Rを特定する。例えば、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかで、クレーン25の把持先として決定済みの区画Rが有る場合、受入先決定部130は、決定済みの区画R以外の他の区画Rを特定し、これら他の区画Rのいずれか一つを、受入先となる区画Rとして決定する。また、例えば、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかに、クレーン25の把持先として決定済みの区画Rがない場合、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画Rのいずれか一つを、受入先となる区画Rとして決定する。また、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、その時点で、他の搬入車Pの受入先として決定済みの区画Rが有る場合、決定済みの区画R以外の他の区画Rのいずれか一つを、受入先となる区画Rとして決定する。
【0048】
さらに、受入先決定部130は、決定済みの把持先とは異なる場所のなかで、情報取得部110で取得された、各区画Rの被焼却物Gの高さ情報に基づいて、受入先となる区画Rを決定する。受入先決定部130は、把持先情報に基づいて特定された、受入先となり得る区画Rが複数ある場合、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、各区画Rの被焼却物Gの高さ情報に基づいて、受入先となる区画Rを決定する。
【0049】
例えば、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、被焼却物Gの高さが、予め設定された上限高さ以下である区画Rを、受入先となる区画Rとして決定してもよい。また、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、被焼却物Gの高さが最も小さい区画Rを、受入先となる区画Rとして決定してもよい。
【0050】
また、受入先決定部130は、例えば、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れることで、隣り合う区画R同士の被焼却物Gの高さが小さくなる区画Rを、受入先として決定してもよい。例えば、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れることで、隣り合う区画R同士の被焼却物Gの高さの違いが一定基準以下になる区画Rを、受入先として決定してもよい。例えば、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れることで、隣り合う区画R同士の被焼却物Gの高さの違いが最も縮まる区画Rを、受入先として決定してもよい。本実施形態では、受入先決定部130は、上記把持先情報および上記高さ情報に基づき、予定された把持先とは異なる場所のなかで、被焼却物Gを受け入れることで隣り合う場所(例えば隣り合う区画R)同士の被焼却物Gの高さの違いが小さくなる場所を受入先として決定する。
【0051】
この場合、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)の各々において、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れた場合に、受入後の被焼却物Gの高さHを、次式(2)、(3)により算出する。
【0052】
H=H0+ΔH1 …(2)
ΔH1=Wg/(d×S) …(3)
【0053】
ここで、H0は、情報取得部110で取得される、搬入車Pから投入される被焼却物Gを受け入れる前の、各区画Rの被焼却物Gの高さである。H0は、例えば、測定装置27により測定された被焼却物Gの高さを示す情報である。ΔH1は、搬入車Pから投入された被焼却物Gを受け入れることによる、各区画Rの被焼却物Gの高さの増加量である。ΔH1は、ある搬入車Pの受入先を決定する場合に、測定装置27による測定時点と、当該搬入車Pによる被焼却物Gの投入時点との間に被焼却物Gを投入する別の搬入車P(既に受入先が決定された別の搬入車P)による被焼却物Gの高さの増加量である。また、Wgは、上式(1)で算出される、被焼却物Gの重量である。また、dは、被焼却物Gの密度である。また、Sは、各区画Rの面積である。
【0054】
被焼却物Gの密度dは、例えば、クレーン25で被焼却物Gを1回把持した場合の被焼却物Gの重量Wcと、クレーン25で被焼却物Gを1回把持することで、一つの区画Rから被焼却物Gを移動させた場合の被焼却物Gの高さの減少量と、各区画Rの面積Sとに基づいて算出できる。また、被焼却物Gの密度dは、例えば、焼却設備1において統計的に取得される数値を用いてもよい。
【0055】
また、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のうち、把持先として決定済みの区画Rにおいてクレーン25により被焼却物Gが把持されて、他の区画Rに移動された場合、その区画Rの、被焼却物Gの高さHを、次式(4)、(5)により算出する。
【0056】
H=H0-ΔH2 …(4)
ΔH2=Wc/(d×S) …(5)
【0057】
ここで、ΔH2は、クレーン25により把持された被焼却物Gが他の区画Rに移動されることによる、各区画Rの被焼却物Gの高さの減少量である。ΔH2は、ある搬入車Pの受入先を決定する場合に、測定装置27による測定時点と、当該搬入車Pによる被焼却物Gの投入時点との間に被焼却物Gを把持するクレーン25(既に把持先が決定されたクレーン25)による被焼却物Gの高さの減少量である。
【0058】
ところで、受入エリアA1の区画R(R01~R10)において、隣り合う区画R(場所)同士の被焼却物Gの高さHの違いの最小値Hmは、次式(6)で表される。ここで、受入エリアA1の区画R01~R10の各々における被焼却物Gの高さHを、R01(t)、R02(t)、R03(t)、R04(t)、R05(t)、R06(t)、R07(t)、R08(t)、R09(t)、R10(t)とする。tは、時刻を示す変数である。tは、現時点でもよいし、受入先に被焼却物Gが投入される将来の時点でもよい。
【0059】
Hm=|R01(t)-R02(t)|+|R02(t)-R03(t)|
+|R03(t)-R04(t)|+|R04(t)-R05(t)|
+|R05(t)-R06(t)|+|R06(t)-R07(t)|
+|R07(t)-R08(t)|+|R08(t)-R09(t)|
+|R09(t)-R10(t)|+|R10(t)-R01(t)|+Pe
…(6)
【0060】
本実施形態では、受入先決定部130は、受入エリアA1の区画R01~R10のなかから、上式(6)のHmが最小となる区画Rを選択する。
【0061】
なお、上式(6)において、Peは、ペナルティ項である。ペナルティ項Peは、次式(7)のように、例えば、搬入車Pの受入先となる受入区画53の受入扉23の搬入可能開始時刻(Tui)と、搬入車Pの待ち開始時間(ts)の差分に基づくものとすることができる。このようなペナルティ項Peが最小となるようにすることで、搬入車Pの待機時間を短くできる。なお式(7)中の係数apは、ペナルティ項Peの大きさを調整可能な係数である。係数apは、例えば、0.05であるがこれに限定されない。係数apは、任意に決定可能である。例えば、係数apは、燃焼設備1の状況などに応じて任意に決定可能である。
【0062】
Pe(m)=ap(m/s)*(Tui(s)-ts(s)) …(7)
【0063】
また、ペナルティ項Peは、例えば、一定時間の間における、同じ地区で回収した被焼却物Gを搬入する搬入車Pの有無に基づいて算出されてもよい。例えば、同じ受入区画53にて前回投入を行った搬入車Pと同じ地区で回収した被焼却物Gを搬入する搬入車Pである場合、Pe(m)として「1」が設定されてもよい。これは、同じ地区で回収した被焼却物Gは、同様のごみ質であることが想定され、同じごみ質の被焼却物Gが、特定の区画Rに集中しないようにするためである。
【0064】
受入先決定部130は、上記のようにして、把持先情報と、被焼却物Gの高さ情報と、搬入車Pに生じる待ち時間の長さを示す情報とに基づき、受入先となる区画Rを決定する。そして、受入先決定部130は、決定した受入先となる区画Rに対して-X方向側に位置する受入区画53を、搬入車Pの受入先として決定する。
【0065】
(把持先決定部の構成)
把持先決定部140は、把持先を決定する時期が到来した場合に、ピット21内の複数の区画Rのなかから、クレーン25によりピット21内に堆積した被焼却物Gを把持する把持先となる区画Rを決定する。把持先決定部140は、例えば、前回決定した把持先で被焼却物Gを把持して移動したクレーン25が移動先(例えば搬出先エリアA2)に到着した場合に、把持先を決定する時期が到来したと判定する。ただし、把持先を決定する時期は、上記例に限定されず、前回決定した把持先で被焼却物Gを把持した時点でもよいし、搬出先エリアA2に被焼却物Gを投下した時点でもよい。
【0066】
把持先決定部140は、情報取得部110で取得した、その時点で決定済みの搬入車Pの受入先となる区画Rを示す受入先情報に基づいて、把持先となる区画Rを決定する。より具体的に、把持先決定部140は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、その時点で、ピット21内で決定済みの搬入車Pの受入先の区画Rとは異なる区画Rを特定する。例えば、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかで、搬入車Pの受入先として決定済みの区画Rが有る場合、把持先決定部140は、決定済みの区画R以外の他の区画Rを特定し、これら他の区画Rのいずれか一つを、把持先となる区画Rとして決定する。また、例えば、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかに搬入車Pの受入先として決定済みの区画Rがない場合、把持先決定部140は、受入エリアA1の区画Rのいずれか一つを、受入先となる区画Rとして決定する。また、把持先決定部140は、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、その時点で、他のクレーン25の把持先として決定済みの区画Rが有る場合、決定済みの区画R以外の他の区画Rのいずれか一つを、把持先となる区画Rとして決定する。
【0067】
ここで、把持先決定部140は、搬入車Pの受入先を決定する時期の到来とは独立して、クレーン25が所定条件を満たした場合に把持先を決定する時期が到来したと判定する。把持先決定部140は、例えば、先に決定済みの把持先となる区画Rにおける、クレーン25による把持作業が完了した場合に、次に他の区画Rで把持作業を行うため、把持先を決定する時期が到来したと判定する。
【0068】
さらに、把持先決定部140は、決定済みの受入先とは異なる場所のなかで、情報取得部110で取得された、各区画Rの被焼却物Gの高さ情報に基づいて、把持先となる区画Rを決定する。把持先決定部140により用いられる高さ情報は、例えば、測定装置27による測定結果そのものである。
【0069】
把持先決定部140は、受入先情報に基づいて特定された、把持先となり得る区画Rが複数ある場合、受入エリアA1の区画R(R01~R10)のなかから、各区画Rの被焼却物Gの高さ情報に基づいて、把持先となる区画Rを決定する。例えば、把持先決定部140は、ピット21内で決定済みの受入先とは異なる区画Rのなかから、被焼却物Gの高さHが最も大きい区画Rを、把持先として決定してもよい。本実施形態では、把持先決定部140は、上記受入先情報および上記高さ情報に基づき、予定された前記受入先とは異なる場所のなかで、クレーン25により被焼却物Gを把持することで隣り合う場所同士(例えば隣り合う区画R同士)の被焼却物Gの高さの違いが小さくなる場所を把持先として決定する。
【0070】
また、把持先決定部140は、一つのクレーン25(第1クレーン25A、第2クレーン25Bの各々)において、連続して把持作業を行う二つの区画Rを、把持先として纏めて決定してもよい。すなわち、把持先決定部140は、把持先を決定する時期が到来した場合に、搬入車Pの受入先情報に基づき、ピット21内で決定済みの受入先となる区画Rとは異なる区画Rのなかから、第1動作としてクレーン25が被焼却物Gを把持する第1把持先と、第1動作の後に行われる第2動作としてクレーン25が被焼却物Gを把持する第2把持先とを纏めて決定する(例えば1つのセットとして決定する)。この場合、把持先決定部140は、例えば、先に決定済みの把持先となる二つの区画Rにおける、クレーン25による第1動作、第2動作による把持作業が完了した場合に、次の把持先を決定する時期が到来したと判定する。なお上記に代えて、把持先決定部140は、把持先を決定する時期が到来した場合に、次に行うべきクレーン25の1つの動作(1手番)のみを決定してもよい。
【0071】
また、把持先決定部140は、把持先を決定する時期が到来した場合に、第1クレーン25Aで把持作業を行う把持先の区画Rと、第2クレーン25Bで把持作業を行う把持先の区画Rとを、纏めて決定してもよい。すなわち、把持先決定部140は、搬入車Pの受入先情報に基づき、ピット21内で決定済みの受入先となる区画Rとは異なる区画Rのなかから、第1クレーン25Aが被焼却物Gを把持する把持先となる区画Rと、第1クレーン25Aとは異なる第2クレーン25Bが被焼却物Gを把持する把持先となる区画Rとを纏めて決定する(例えば1つのセットと決定する)。この場合、第1クレーン25Aが被焼却物Gを把持する把持先となる区画Rは、第2クレーン25Bが被焼却物Gを把持する把持先となる区画Rとは異なる。この場合、把持先決定部140は、第1クレーン25Aが所定条件を満たし、且つ、第2クレーン25Bが所定条件を満たした場合に、把持先を決定する時期が到来したと判定する。なお、把持先決定部140は、複数のクレーン25の動作を纏めて決定するものに限定されない。例えば、把持先決定部140は、把持先を決定する時期が到来した場合に、1つのクレーン25の動作のみを決定してもよい。例えば、把持先決定部140は、把持先を決定する時期が到来した場合に、1つのクレーン25の1つの動作(1手番)のみを決定してもよい。
【0072】
図4は、把持先決定部140による処理の一例を説明するための図である。本実施形態では、把持先決定部140は、ある時刻t1に、第1クレーン25Aの第1動作(1手番)の把持先の区画Rおよび第2動作(2手番)の把持先の区画Rを決定する。また、把持先決定部140は、同じく時刻t1に、第2クレーン25Bの第1動作(1手番)の把持先の区画Rおよび第2動作(2手番)の把持先の区画Rを決定する。そして、把持先決定部140は、第1クレーン25Aの第2動作と、第2クレーン25Bの第2動作とのうち遅いほうが完了するまで待機する。そして、第1クレーン25Aの第2動作および第2クレーン25Bの第2動作が完了した時刻t2に、把持先決定部140は、第1クレーン25Aの第1動作(1手番)の把持先の区画Rおよび第2動作(2手番)の把持先の区画Rを再び決定するとともに、第2クレーン25Bの第1動作(1手番)の把持先の区画Rおよび第2動作(2手番)の把持先の区画Rを決定する。そして、把持先決定部140は、この動作を繰り返す。
【0073】
(計画生成部の構成)
図5Aから
図5Fは、本開示の実施形態に係る制御システム100で生成する、作業計画の一例を示す図である。計画生成部150では、上記受入先決定部130、及び把持先決定部140の各々において、受入先となる区画R、把持先となる区画Rを決定した場合、例えば、
図5Aから
図5Fに示すような、受入エリアA1の区画R(区画R01~R10)における、複数の搬入車P、及びクレーン25による作業計画を示すテーブル200を生成する。
【0074】
例えば、
図5Aは、時刻t11に、把持先決定の時期が到来し、第1クレーン25Aの第1動作(1手番)および第2動作(2手番)の把持先と、第2クレーン25Bの第1動作(1手番)および第2動作(2手番)の把持先とが決定された状態を示す。
【0075】
図5Bは、時刻t11よりも後の時刻t12に、搬入車1台(No.3456)が到着し、搬入車1台の受入先が決定された状態を示す。
【0076】
図5Cは、時刻t12よりも後の時刻t13に、搬入車3台(No.1234、No.6768、No.3155)が到着し、搬入車3台の受入先が決定された状態を示す。
【0077】
図5Dは、時刻t13よりも後の時刻t14に、搬入車2台(No.9899、No.7759)が到着し、搬入車2台の受入先が決定された状態を示す。
【0078】
図5Eは、時刻t14よりも後の時刻t15に、搬入車3台(No.1159、No.3985、No.1389)が到着し、搬入車3台の受入先が決定された状態を示す。
【0079】
図5Fは、時刻t15よりも後の時刻t16に、把持先決定の時期が到来し、第1クレーン25Aの第1動作(1手番)および第2動作(2手番)の把持先と、第2クレーン25Bの第1動作(1手番)および第2動作(2手番)の把持先とが決定された状態を示す。
【0080】
図5Aから
図5Fに示すように、このテーブル200には、5つの受入区画53からの、搬入車Pからの被焼却物Gの受入を行う受入区画53の位置を示す受入先情報Ipと、5つの受入区画53の受入扉23の下方に位置する区画R01~R10における、クレーン25による把持作業を行う区画Rを示す把持先情報Icと、が含まれる。
【0081】
搬入車Pからの被焼却物Gの受入を行う受入区画53の位置を示す受入先情報Ipには、搬入車Pからの被焼却物Gの受入を行う受入区画53の位置(例えば、No.1~No.5)と、その受入区画53に割り当てられた搬入車Pの識別情報(例えば、搬入車Pごとに割り当てられた識別番号等)と、受入作業を行う時刻情報(開始時刻、終了時刻等)が含まれる。ここで、各搬入車Pで受入作業を行う時刻情報は、例えば、重量測定部55から各受入区画53までの移動に要する標準的な時間(例えば60秒)と、各受入区画53で、搬入車Pから被焼却物Gをピット21内に投入するのに要する標準時的な時間(例えば250秒)とに基づいて設定される。
【0082】
また、クレーン25による把持作業を行う区画Rを示す把持先情報Icには、各クレーン25で把持作業を行う区画Rを示す位置情報、把持作業を行う時刻情報(開始時刻、終了時刻等)が含まれる。
【0083】
(制御部の構成)
制御部160は、クレーン25を制御する。本実施形態では、制御部160は、計画生成部150により作成された作業計画(例えばテーブル200)に基づき、第1クレーン25Aおよび第2クレーン25Bの動作を制御する。
【0084】
(情報出力部の構成)
情報出力部170は、搬入車Pに割り当てられた受入区画53を案内装置56にて表示させるために、搬入車Pに割り当てられた受入区画53を示す情報を案内装置56に送信する。例えば、情報出力部170は、計画生成部150により作成された作業計画(例えばテーブル200)に基づき、搬入車Pに割り当てられた受入区画53を示す情報を案内装置56に送信する。
【0085】
なお、上記構成に代えて、制御部160は、省略されてもよい。この場合、クレーン25を手動で操作する運転員に対してクレーン25の把持先を案内する運転員用案内装置が設けられてもよい。この場合、情報出力部170は、計画生成部150により作成された作業計画(例えばテーブル200)に基づき、第1クレーン25Aおよび第2クレーン25Bの把持先を示す情報を上記運転員用案内装置に出力してもよい。
【0086】
<制御方法の処理の流れ>
図6は、本開示の実施形態における制御方法の処理を示すフローチャートである。
図7は、本開示の実施形態における制御方法の他の処理を示すフローチャートである。
図6、
図7に示すように、本開示の実施形態における制御方法では、制御システム100により、搬入車Pの受入先を決定する処理S10と、クレーン25の把持先を決定する処理S20とが、並行して実施される。
【0087】
図6に示すように、搬入車Pの受入先を決定する処理S10では、受入先を決定する時期が到来した場合に、処理が開始される。本開示の実施形態では、例えば、搬入車Pが、重量測定部55に到達し、搬入車Pの総重量Wを測定した場合に、処理が開始される。
【0088】
まず、情報取得部110で、重量測定部55で測定された搬入車Pの総重量Wに基づいて、搬入された被焼却物Gの重量Wgを取得する(S11)。次に、情報取得部110で、テーブル200を参照し、受入エリアA1内の区画R(R01~R10)に対する、クレーン25の把持先情報Icの有無、他の搬入車Pによる受入先情報Ipの有無を確認する(S12)。また、情報取得部110で、受入エリアA1内の各区画Rにおける被焼却物Gの高さ情報を取得する(S13)。この場合、情報取得部110では、上式(2)、(4)による、最新の被焼却物Gの高さ情報を取得するのが好ましい。
【0089】
続いて、受入先決定部130は、搬入車Pによる被焼却物Gの受入を行う区画Rについて、最適化計算を行う(S14)。これには、受入先決定部130では、受入エリアA1内の区画R(R01~R10)のなかから、クレーン25の把持先情報Ic、及び他の搬入車Pによる受入先情報Ipが登録されていない区画Rを抽出する。さらに、本開示の実施形態では、受入先決定部130で、上記したように、受入エリアA1の区画R01~R10の中から、被焼却物Gの高さHが予め設定された上限高さ以下で、かつ、隣り合う区画R同士の被焼却物Gの高さHの違いが最小となる区画Rを選択する。受入先決定部130は、このようにして選択された区画Rを、搬入車Pからの被焼却物Gの受入を行う受入先として決定する(S15)。
【0090】
その後、計画生成部150は、決定された受入先の区画Rを、作業計画を示すテーブル200に登録する(S16)。また、制御システム100は、決定された区画Rに対応する受入区画53を、搬入車Pに通知する(S17)。受入区画53の搬入車Pへの通知方法としては、例えば、案内装置56への情報表示でもよく、無線LAN、Wi-Fi、公衆無線通信網等の通信ネットワークを介して、搬入車Pに搭載された通信端末の表示画面への情報表示、プラットホーム5に設置された情報表示装置等への情報表示が例示できる。これにより、搬入車Pの運転者は、通知内容を視認し、決定された受入区画53へと移動し、被焼却物Gのピット21内への投入作業を実施する。
【0091】
図7に示すように、クレーン25の把持先を決定する処理S20では、把持先を決定する時期が到来した場合に、処理が開始される。本開示の実施形態では、例えば、クレーン25が、テーブル200に登録された把持作業を終えた場合に、把持先を決定する時期が到来したと判定し、処理が開始される。
【0092】
まず、情報取得部110で、テーブル200を参照し、受入エリアA1内の区画R(R01~R10)に対する、搬入車Pによる受入先情報Ipの有無を確認する(S21)。
また、情報取得部110で、受入エリアA1内の各区画Rにおける被焼却物Gの高さ情報を取得する(S22)。
【0093】
続いて、把持先決定部140は、クレーン25による被焼却物Gの把持を行う区画Rについて、最適化計算を行う(S23)。これには、把持先決定部140では、受入エリアA1内の区画R(R01~R10)のなかから、搬入車Pによる受入先情報Ipのない区画Rを選択する。把持先決定部140は、このようにして選択された区画Rを、クレーン25による被焼却物Gの把持を行う把持先として決定する(S24)。
【0094】
その後、計画生成部150は、決定された把持先の区画Rを、作業計画を示すテーブル200に登録する(S25)。また、制御システム100は、把持先として決定された区画Rを、クレーン25への動作指示として、クレーン25の制御部160に通知する(S26)。動作指示を受けたクレーン25は、通知された区画Rで、被焼却物Gの把持作業を実施する。
【0095】
<作用効果>
以上説明した本実施形態では、制御システム100、及び制御方法は、搬入車Pからの被焼却物Gの受入先を決定する時期が到来した場合に、情報取得部110で取得した把持先情報に基づき、ピット21内で決定済みの、クレーン25の把持先とは異なる場所のなかから受入先を決定する。このような構成により、クレーン25による把持作業を行っている把持先と干渉するのを避けつつ、搬入車Pからの被焼却物Gの受入作業を行うことができる。
【0096】
また、制御システム100は、クレーン25の把持先を決定する時期が到来した場合に、情報取得部110で取得した受入先情報に基づき、ピット21内で決定済みの、搬入車Pの受入先とは異なる場所のなかから把持先を決定する。このような構成により、搬入車Pの受入先と干渉するのを避けつつ、クレーン25による被焼却物Gの把持作業を行うことができる。このようにして、クレーン25による把持作業と、搬入車Pによる受入作業との干渉を抑えつつ、焼却設備1全体の稼働効率を高めることができる。
【0097】
また、本実施形態では、情報取得部110が、ピット21内の各場所における被焼却物Gの高さ情報を取得する。受入先決定部130は、把持先情報および高さ情報に基づいて、受入先を決定する。このような構成により、例えば、クレーン25が把持作業を行っておらず、しかも被焼却物Gの高さが低い場所を選択して、受入先を決定できる。また、把持先決定部140は、受入先情報および高さ情報に基づいて、把持先を決定することで、搬入車Pが受入作業を行っておらず、しかも被焼却物Gの高さが高い場所を選択して、把持先を決定できる。
【0098】
また、本実施形態では、受入先決定部130は、把持先情報および高さ情報に基づき、決定済みの把持先とは異なる場所のなかで、被焼却物Gを受け入れることで隣り合う場所同士の被焼却物Gの高さの違いが小さくなる場所を受入先として決定する。このような構成により、決定された受入先で搬入車Pから被焼却物Gを受け入れることで、隣り合う場所同士の被焼却物Gの高さの違いが小さくなるので、その後、その場所でクレーン25による把持作業を行う際、被焼却物Gの把持を行いやすくなる。
【0099】
また、本実施形態では、焼却設備1に設けられた測定装置27により測定された被焼却物Gの高さを高さ情報とする。これにより、決定済みの受入先において被焼却物Gを受け入れることで増加する被焼却物Gの高さ、または決定済みの把持先において被焼却物Gが把持されることで減少する被焼却物Gの高さを反映させるように高さ情報を修正する。このような構成により、被焼却物Gの最新の高さ情報を得ることができる。したがって、最新の被焼却物Gの高さ情報に基づいて、受入先または把持先を適切に決定することができる。
【0100】
また、本実施形態では、受入先決定部130は、把持先情報と、搬入車Pに生じる待ち時間の長さを示す情報とに基づいて受入先を決定する。このような構成により、クレーン25による把持作業を行っている把持先と干渉するのを避けつつ、しかも搬入車Pに生じる待ち時間が少ない場所を受入先として、搬入車Pからの被焼却物Gの受入作業を行うことができる。
【0101】
また、本実施形態では、被焼却物Gを積んだ搬入車Pが所定位置に達した場合に、受入先を決定する時期が到来したと判定し、情報取得部110で取得した把持先情報に基づき、ピット21内で決定済みの、クレーン25の把持先とは異なる場所のなかから受入先を決定する。このような構成により、搬入車Pが所定位置に達したタイミングに合わせて、受入先を決定することができる。
【0102】
また、クレーン25が所定条件を満たした場合に、クレーン25の把持先を決定する時期が到来したと判定し、情報取得部110で取得した受入先情報に基づき、ピット21内で決定済みの、搬入車Pの受入先とは異なる場所のなかから把持先を決定する。これにより、搬入車Pが所定の位置に達するタイミングに関わらず、クレーン25側で所定条件を満たしたタイミングに合わせて、クレーン25の把持先を決定することができる。このようにして、例えば、搬入車Pの台数が多い時間帯では、搬入車Pへの受入先の割り当てが多くなり、一方で、搬入車Pの台数が少ない時間帯では、クレーン25への把持先の割り当てが多くなる。したがって、焼却設備1全体の稼働効率を高めることができる。
【0103】
また、本実施形態では、クレーン25が被焼却物Gの把持作業を行う把持先を、第1動作を行う第1把持先と、第1動作の後に行われる第2動作を行う第2把持先とを纏めて決定する。このような構成により、次々と焼却設備1に到着する搬入車Pからの被焼却物Gの受入により、クレーン25による把持作業が行えなくなるのを抑えることができる。
【0104】
(変形例)
上述した実施形態では、搬入車Pの受入先決定の処理では、測定装置27による測定結果に対して、ΔH1による増加量およびΔH2による減少量を反映させる修正を行い、修正後の高さ情報に基づいて搬入車Pの受入先が決定された。一方で、クレーン25の把持先決定の処理では、測定装置27による測定結果がそのまま利用された。これに代えて、クレーン25の把持先決定の処理において、測定装置27による測定結果に対してΔH1およびΔH2に相当する増加量または減少量を反映させる修正を行い、修正後の高さ情報に基づいてクレーン25の把持先が決定されてもよい。この場合、搬入車Pの受入先決定の処理では、測定装置27による測定結果がそのまま利用される。
【0105】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記実施形態では、制御方法の手順を示したが、その手順は、適宜変更可能である。また、上記実施形態でコンピュータが実行するプログラムの一部または全部は、コンピュータ読取可能な記録媒体や通信回線を介して頒布することができる。
【0106】
<付記>
実施形態に記載の制御システム100、制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0107】
(1)第1態様の制御システム100は、被焼却物Gが堆積されるピット21を含む焼却設備1用の制御システム100であって、前記ピット21内の場所であって前記被焼却物Gを搬入する搬入車Pからの前記被焼却物Gの受入先を示す受入先情報と、前記ピット21内の場所であって前記被焼却物Gを把持するクレーン25の把持先を示す把持先情報とを取得する情報取得部110と、前記受入先を決定する時期が到来した場合に、前記把持先情報に基づき前記受入先を決定する受入先決定部130と、前記把持先を決定する時期が到来した場合に、前記受入先情報に基づき前記把持先を決定する把持先決定部140と、を備える。このような構成によれば、搬入車Pからの被焼却物Gの受入先を決定する時期が到来した場合に、情報取得部110で取得した把持先情報に基づき受入先が決定される。また、クレーン25による被焼却物Gの把持先を決定する時期が到来した場合に、情報取得部110で取得した受入先情報に基づき把持先が決定される。これにより、クレーン25による把持作業を行っている把持先と干渉するのを避けつつ、焼却設備1全体の稼働効率を高めることができる。
【0108】
(2)第2態様の制御システム100は、(1)の制御システム100であって、前記情報取得部110は、前記ピット21内の各場所における前記被焼却物Gの高さを示す高さ情報、をさらに有する。前記受入先決定部130は、前記把持先情報および前記高さ情報に基づき、予定された前記把持先とは異なる場所のなかで、前記被焼却物Gを受け入れることで隣り合う場所同士の前記被焼却物Gの高さの違いが小さくなる場所を前記受入先として決定する。このような構成によれば、クレーン25との干渉を抑えつつ、被焼却物Gの高さが低い場所を選択して、受入先を決定できる。
【0109】
(3)第3態様の制御システム100は、(2)の制御システム100であって、前記把持先決定部140は、前記受入先情報および前記高さ情報に基づき、予定された前記受入先とは異なる場所のなかで、クレーン25により被焼却物Gを把持することで隣り合う場所同士の被焼却物Gの高さの違いが小さくなる場所を前記把持先として決定する。このような構成によれば、搬入車Pとの干渉を抑えつつ、被焼却物Gの高さが高い場所を選択して、把持先を決定できる。
【0110】
(4)第4態様の制御システム100は、(2)または(3)の制御システム100であって、前記高さ情報は、前記焼却設備1に設けられた測定装置27により測定された前記被焼却物Gの高さを示す情報であり、前記受入先決定部130と前記把持先決定部140とのうち少なくとも一方は、決定済みの前記受入先において前記被焼却物Gを受け入れることで増加する前記被焼却物Gの高さ、または決定済みの前記把持先において前記被焼却物Gが把持されることで減少する前記被焼却物Gの高さを反映させるように前記高さ情報を修正し、修正した前記高さ情報に基づき、前記受入先または前記把持先を決定する。このような構成によれば、決定済みの受入先において被焼却物Gを受け入れることで増加する被焼却物Gの高さ、または決定済みの把持先において被焼却物Gが把持されることで減少する被焼却物Gの高さを反映させるように高さ情報を修正することで、被焼却物Gの最新の高さ情報を得ることができる。したがって、最新の被焼却物Gの高さ情報に基づいて、受入先または把持先を適切に決定することができる。
【0111】
(5)第5態様の制御システム100は、(2)から(4)の何れか一つの制御システム100であって、前記受入先決定部130は、前記把持先情報と、前記搬入車Pに生じる待ち時間の長さを示す情報とに基づき、前記受入先を決定する。このような構成によれば、クレーン25による把持作業を行っている把持先と干渉するのを避けつつ、しかも搬入車Pに生じる待ち時間が少ない場所を受入先として、搬入車Pからの被焼却物Gの受入作業を行うことができる。
【0112】
(6)第6態様の制御システム100は、(1)から(5)の何れか一つの制御システム100であって、前記受入先決定部130は、前記被焼却物Gを積んだ前記搬入車Pが所定位置に達した場合に、前記受入先を決定する時期が到来したと判定し、前記把持先決定部140は、前記受入先を決定する時期の到来とは独立して、前記クレーン25が所定条件を満たした場合に前記把持先を決定する時期が到来したと判定する。このような構成によれば、搬入車Pが所定の位置に達するタイミングに関わらず、クレーン25側で所定条件を満たしたタイミングに合わせて、クレーン25の把持先を決定することができる。
【0113】
このようにして、例えば、搬入車Pの台数が多い時間帯では、搬入車Pへの受入先の割り当てが多くなり、一方で、搬入車Pの台数が少ない時間帯では、クレーン25への把持先の割り当てが多くなる。したがって、焼却設備1全体の稼働効率を高めることができる。
【0114】
(7)第7態様の制御システム100は、(1)から(6)の何れか一つの制御システム100であって、前記把持先決定部140は、前記把持先を決定する時期が到来した場合に、前記受入先情報に基づき、第1動作として前記クレーン25が前記被焼却物Gを把持する第1把持先と、前記第1動作の後に行われる第2動作として前記クレーン25が前記被焼却物Gを把持する第2把持先とを纏めて決定する。このような構成によれば、次々と焼却設備1に到着する搬入車Pからの被焼却物Gの受入により、クレーン25による把持作業が行えなくなるのを抑えることができる。
【0115】
(8)第8態様の制御システム100は、(1)から(7)の何れか一つの制御システム100であって、前記把持先決定部140は、前記把持先を決定する時期が到来した場合に、前記受入先情報に基づき、第1クレーン25Aが前記被焼却物Gを把持する把持先と、前記第1クレーン25Aとは異なる第2クレーン25Bが前記被焼却物Gを把持する把持先とを纏めて決定する。このような構成によれば、次々と焼却設備1に到着する搬入車Pからの被焼却物Gの受入により、第1クレーン25A、第2クレーン25Bによる把持作業が行えなくなるのを抑えることができる。
【0116】
(9)第9態様の制御システム100は、(8)の制御システム100であって、前記把持先決定部140は、前記第1クレーン25Aが所定条件を満たし、且つ、前記第2クレーン25Bが前記所定条件を満たした場合に、前記把持先を決定する時期が到来したと判定する。このような構成によれば、第1クレーン25Aが被焼却物Gを把持する把持先と、第2クレーン25Bが被焼却物Gを把持する把持先とを纏めて決定することができる。
【0117】
(10)第10態様の制御方法は、被焼却物Gが堆積されるピット21を含む焼却設備1の制御方法であって、1つ以上のコンピュータが、前記ピット21内の場所であって前記被焼却物Gを搬入する搬入車Pからの前記被焼却物Gの受入先を示す受入先情報を取得し、前記ピット21内の場所であって前記被焼却物Gを把持するクレーン25の把持先を示す把持先情報を取得し、前記受入先を決定する時期が到来した場合に、前記把持先情報に基づき、前記受入先を決定し、前記把持先を決定する時期が到来した場合に、前記受入先情報に基づき前記把持先を決定する、ことを含む。このような構成によれば、クレーン25による把持作業と、搬入車Pによる受入作業との干渉を抑えつつ、焼却設備1全体の稼働効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0118】
1…焼却設備
2…貯留部
3…焼却炉
3A…第1焼却炉
3B…第2焼却炉
5…プラットホーム
21…ピット
23…受入扉
25…クレーン
25A…第1クレーン
25B…第2クレーン
26X、26Y…レール
27…測定装置
31…ホッパ
31A…第1ホッパ
31B…第2ホッパ
51…搬入路
52…搬出路
53…受入区画
55…重量測定部
100…制御システム
110…情報取得部
120…記憶部
130…受入先決定部
140…把持先決定部
150…計画生成部
200…テーブル
A1…受入エリア
A2…搬出先エリア
A3…投入エリア
G…被焼却物
H…高さ
Ic…把持先情報
Ip…受入先情報
P…搬入車
R、R01~R10…区画
【要約】
【課題】クレーンによる把持作業と、搬入車による受入作業との干渉を抑えつつ、焼却設備全体の稼働効率を高める。
【解決手段】情報処理システムは、被焼却物が堆積されるピットを含む焼却設備用の制御システムであって、ピット内の場所であって被焼却物を搬入する搬入車からの被焼却物の受入先となる場所を示す受入先情報と、ピット内の場所であって被焼却物を把持するクレーンの把持先となる場所を示す把持先情報とを取得する情報取得部と、受入先を決定する時期が到来した場合に、把持先情報に基づき、受入先を決定する受入先決定部と、把持先を決定する時期が到来した場合に、受入先情報に基づき、把持先を決定する把持先決定部と、を備える。
【選択図】
図3