(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】大麻フラボノイドの調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 311/30 20060101AFI20240906BHJP
C07C 69/738 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C07D311/30
C07C69/738 Z
(21)【出願番号】P 2023528389
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 CN2021073144
(87)【国際公開番号】W WO2022099930
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】202011261866.X
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520013755
【氏名又は名称】徳義制薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】DEYI PHARMACEUTICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 916, Floor 9, Unit 2, Building 1-2, Hongshengda Yuexing Commercial Center, Xishan District, Kunming, Yunnan 650100 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】羅軍禄
(72)【発明者】
【氏名】牟洪涛
(72)【発明者】
【氏名】杜業松
(72)【発明者】
【氏名】譚▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】王曙賓
(72)【発明者】
【氏名】張平平
(72)【発明者】
【氏名】藍藍
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107686472(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104031016(CN,A)
【文献】特表2011-518174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0303544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
と炭酸ジエチルとをアルカリ性条件下で縮合して、
を得るステップと、
とハロゲン化物(R
3-X)とをアルカリ性条件下で反応させて、
を得るステップと、
とを反応させて、大麻フラボノイドを得るステップと、を含み、
前記大麻フラボノイドの構造は一般式Iであることを特徴とする大麻フラボノイドの調製方法。
(R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、独立して、H、C
1~14アルキル、C
3~14アルケニル、ヒドロキシ、C
1~5アルコキシ、カルボキシ、アミノ、ハロゲンから選択され、
R
2、R
4は、
いずれもヒドロキシ
であり、
R
1は
、H
であり、
R
3
は、C
3~14
アルケニル
である。)
【請求項2】
R
7
はヒドロキシであり、R
6
はメトキシであることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
R
3
はイソペンテニルであることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
R
5
はHであり、R
8
はHであり、R
9
はHであることを特徴とする請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンと炭酸ジエチルとをアルカリ性条件下で縮合して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートを得るステップ(1)と、
1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとをアルカリ性条件下で反応させて、2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを得るステップ(2)と、
4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンとを反応させて、カンフラビン
Bを得るステップ(3)と、を含むことを特徴とする請求項
1に記載の調製方法。
【請求項6】
前記ステップ(1)は4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンと炭酸ジエチルとを反応させるステップを含み、前記反応は無酸素環境で行われ、前記反応はアルカリ性条件下で行われ、前記反応系には溶媒がさらに含まれており、前記溶媒はトルエン及び/又はベンゼンから選択されることを特徴とする請求項
5に記載の調製方法。
【請求項7】
前記ステップ(1)における無酸素環境は不活性ガスで保護した反応環境であり、
前記アルカリは無機アルカリであり、
前記無機アルカリと4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンとの質量モル比が50~1000g/molであり、
前記4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンと炭酸ジエチルとのモル比が1:3~3:1であり、
前記反応温度は80~130℃であり、
前記反応時間は2~12hであり、
前記4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンは炭酸ジエチルに滴下されることを特徴とする請求項
6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記ステップ(1)は、不活性ガスの保護下で、反応容器にNaHとトルエンを加え、撹拌して、さらに炭酸ジエチルを加え、加熱して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンとトルエンとの混合液を滴下し、撹拌して反応させ、その後、反応液に対して後処理を行い、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートを得るステップを含み、
前記後処理はクエンチステップを含み、
前記クエンチは、反応容器に酸を加えて混合液のpH=4.0~7.0に調整することを含み、
前記酸は無機酸であって、酢酸の無機酸純品又はその水溶液から選択される1種又は複数種の混合物であることを特徴とする請求項
5に記載の調製方法。
【請求項9】
前記ステップ(2)は、1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとを反応させるステップを含み、前記反応はアルカリ性条件下で行われ、前記反応系には溶媒がさらに含まれており、前記溶媒は水及び/又はメタノールから選択されることを特徴とする請求項
5に記載の調製方法。
【請求項10】
前記ステップ(2)におけるアルカリは無機アルカリであり、
前記無機アルカリと
1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとの質量モル比が50~1000g/molであり、
前記1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとのモル比が1:1~3:1であり、
前記反応温度は0~25℃であり、
前記反応時間は8~24hであり、
前記
1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンは1,3,5-トリヒドロキシベンゼンに滴下されることを特徴とする請求項
9に記載の調製方法。
【請求項11】
前記ステップ(2)は、反応容器に水と水酸化カリウムを加え、撹拌して、さらに1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、降温して、
1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを滴下し、撹拌して反応させ、その後、反応液に対して後処理を行い、2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを得るステップを含み、
前記後処理はクエンチステップを含み、
前記クエンチステップは、反応容器にクエンチ溶媒を加え、さらに酸を加えて混合液のpH=4.0~7.0に調整することを含み、
前記クエンチ溶媒は、メチルt-ブチルエーテル、エチルエーテル、エチルアセテート、酢酸ブチルから選択される1種又は複数種であり、
前記酸は無機酸であって、塩酸の無機酸純品又はその水溶液から選択される1種又は複数種の混合物であることを特徴とする請求項
5に記載の調製方法。
【請求項12】
前記ステップ(3)は、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンとを反応させるステップを含み、前記反応は無酸素環境で行われることを特徴とする請求項
5に記載の調製方法。
【請求項13】
前記ステップ(3)の無酸素環境は不活性ガスで保護した反応環境であり、
前記反応温度は150~230℃であり、
前記反応時間は2~8hであり、
前記4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンとのモル比が1:2~3:1であることを特徴とする請求項
12に記載の調製方法。
【請求項14】
前記ステップ(3)は、不活性ガスの保護下で、反応容器に4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、撹拌して加熱し、反応させて、その後、反応液に対して後処理を行い、カンフラビン
Bを得るステップを含むことを特徴とする請求項
5に記載の調製方法。
【請求項15】
4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンと炭酸ジエチルとをアルカリ性条件下で縮合して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートを得るステップと、
反応容器に水と水酸化カリウムを加え、撹拌して、さらに1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、降温して、
1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを滴下し、撹拌して反応させ、その後、反応液に対して後処理を行い、2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを得るステップと、
不活性ガスの保護下で、反応容器に4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、撹拌して加熱し、反応させて、その後、反応液に対して後処理を行い、カンフラビン
Bを得るステップと、を含むことを特徴とする請求項
5に記載の調製方法。
【請求項16】
4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートの化合物の調製における使用であって、
前記化合物は
、カンフラビン
Bであり、
カンフラビンBの構造は、
であり、
4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートの構造は、
であることを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学合成の分野に属し、具体的には、大麻フラボノイドの調製方法、特にカンフラビンB及びカンフラビンBの異性体の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
200種類以上の大麻の生物活性化合物の中で、カンナビノイドとテルペンはずっと最も注目されているが、大麻はもう1つの重要な化合物である大麻フラボノイドを生成して、それらは上記の既知の化合物の約10%を占め、そのうち約20種類は大麻に存在することが知られており、これらのフラボノイドは精神活性がない。
【0003】
カンフラビンB(Cannflavin B)は1985年に抗炎症作用が実証されており、抗炎症効果はアセチルサリチル酸(アスピリンとして販売されている)より30倍近く高い。他の鎮痛剤と比べて、この成分は患者に薬物依存性を発生させずに、中毒性を発生させるリスクがない。
【0004】
MoreauらはFlavonoid Derivative of Cannabis Demonstrates Therapeutic Potential in Preclinical Models of Metastatic Pancreatic Cancer.([J]. Front. Oncol,2019,9:660)において、研究者がクロマトグラフィーを用いて、ジャマイカに存在する大麻(Cannabis Sativa L.)株から発見されたカンフラビンBから、カンフラビンBの異性体(Caflanone又はFBL-03G又はIsocannflavin B)である新規なフラボノイドを抽出したことを報告した。研究者はインビトロ実験とインビボ実験を順に行った。インビボ実験の結果、スマート放射線治療用生体材料から継続的に提供されているFBL-03Gを用いた場合、膵臓がん動物モデルにおいて局所腫瘍及び転移性腫瘍の進行を遅らせる治療効果が示された。重複試験でも、対照群と比較して膵臓がん動物の生存率が有意に増加したことが示された。研究の結果、カンフラビンBの異性体(Caflanone又はFBL-03G又はIsocannflavin B)は、放射線増感及び腫瘍転移の治療可能性を含む膵臓がん治療において重要な治療可能性を有することが示された。これらの結果は、臨床実験の治療結果をさらに研究して最適化するための根拠を提供した。2019年9月にFDAがカンフラビンBの異性体(Caflanone又はFBL-03G又はIsocannflavin B)にオーファンドラッグの資格を付与し、今年臨床研究に入ることが期待される。
【0005】
大麻植物中のフラボノイドの含有量は1%よりもはるかに小さく、平均0.14%よりも小さく、大麻中のカンフラビンBの含有量は極めて低く、カンフラビンBの異性体(Caflanone又はFBL-03G又はIsocannflavin B)の含有量はさらに低い。そのため、これらの成分を大麻植物抽出だけで得ることは不可能である。現在、研究者は生物学的システムに基づいてこれらの活性因子を調製することに取り組んでおり、これによりカンフラビンに関する多くの機会が創出されることになる。
【0006】
ReaらはBiosynthesis of cannflavins A and B from Cannabis sativa L.([J]. Phytochemistry, 2019, 134, 162-171)においてシノリゾビウム・メリロティの芳香族基質プレニル基転移酵素を用いてジメチルアリル二リン酸を触媒することにより、カンフラビンBを合成することを報告した。しかし、この生合成方法はコストが高く、工業的にスケールアップしにくい。
【0007】
特許文献WO2017091837には、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノンを出発反応物とし、化学合成における公知の技術を用いて合成を行い、大麻フラボノイドの主鎖を得て、共役環化を経て三環構造を形成し、最後に、一連の酵素修飾を行ってカンフラビンB及びフラボノイドを得ることが開示されている。
【0008】
MinassiらはA Regiodivergent Synthesis of Ring A C-Prenylflavones.([J]. Org. Lett., 2008, 10(11), 2267-2270)において、保護基戦略と改良されたRobinsonフラバノン合成法を用いて、温和な条件下で、プレニル化ジシリルベンゾフェノンから領域選択的にカンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体を合成することを報告した。
【0009】
Li WeiらはRegioselective synthesis of C-prenylated flavonoids via intramolecular [1,3] or [1,5] shift reaction catalyzed by acidic clays.([J].Tetrahedron Letters, 2019, 60, 151138)において、ジオスメチン又はクェルセチンを出発反応物とし、フロリジル又はモンモリロナイトK10によりプレニルフラボノイドの分子内の[1,3]又は[1,5]の転移反応を触媒し、カンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体を効率的かつ領域選択的に合成することを報告した。
【0010】
既に開示されている化学合成方法は、合成ステップが多く、多段階の反応にはシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製が必要であり、スケールアップしにくいという欠点がある。そのため、簡便、迅速、容易にスケールアップ可能なカンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体の新規合成法の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、原料が安くて入手されやすく、反応ステップが少なく、生産周期が短く、操作されやすいなどの利点がある大麻フラボノイドの調製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、
と炭酸ジエチルとをアルカリ性条件下で縮合して、
を得るステップと、
とハロゲン化物(R
3-X)とをアルカリ性条件下で反応させて、
を得るステップと、
とを反応させて、大麻フラボノイドを得るステップと、を含み、
前記大麻フラボノイドの構造は一般式Iであることを特徴とする大麻フラボノイドの調製方法を提供することである。
(R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、独立して、H、C
1~14アルキル、C
3~14アルケニル、ヒドロキシ、C
1~5アルコキシ、カルボキシ、アミノ、ハロゲンから選択され、
R
2、R
4は、独立して、H、C
1~14アルキル、C
3~14アルケニル、ヒドロキシ、C
1~5アルコキシ、カルボキシ、ハロゲンから選択され、
R
3、R
1は、独立して、H、C
1~14アルキル、C
3~14アルケニル、C
1~5アルコキシから選択され、
好ましくは、R
2はヒドロキシであり、好ましくは、R
4はヒドロキシであり、好ましくは、R
7はヒドロキシであり、好ましくは、R
6はメトキシであり、好ましくは、R
3はイソペンテニルであり、好ましくは、R
5はHであり、好ましくは、R
8はHであり、好ましくは、R
9はHであり、好ましくは、R
1はイソペンテニルである。)
【0013】
さらに、前記調製方法は、
と炭酸ジエチルとをアルカリ性条件下で縮合して、
を得るステップと、
とハロゲン化物(R
3-X)とをアルカリ性条件下で反応させて、
を得るステップと、
とを反応させて、大麻フラボノイドを得るステップと、を含み、
前記大麻フラボノイドの構造は一般式IIである。
(R
5、R
8、R
9は、独立して、H、C
1~14アルキル、C
3~14アルケニル、ヒドロキシ、C
1~5アルコキシ、カルボキシ、アミノ、ハロゲンから選択され、
R
3、R
1は、H、C
1~14アルキル、C
3~14アルケニル、C
1~5アルコキシから選択され、
好ましくは、R
3はイソペンテニルであり、好ましくは、R
5はHであり、好ましくは、R
8はHであり、好ましくは、R
9はHであり、好ましくは、R
1はイソペンテニルである。)
【0014】
本発明の目的はまた、1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンとを出発原料とし、カンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体を調製する方法であって、
4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンと炭酸ジエチルとをアルカリ性条件下で縮合して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートを得るステップ(1)と、
1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとをアルカリ性条件下でCアルキル化反応させて、2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを得るステップ(2)と、
ステップ(1)で得られた4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートとステップ(2)で得られた2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンとを高温で縮合して、カンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体を生成し、分離して精製し、カンフラビンB純品及びカンフラビンBの異性体純品を得るステップ(3)と、を含む方法を提供することである。
【0015】
【0016】
好ましくは、前記ステップ(2)では、前記反応はアルカリ性条件下で行われ、より好ましくは、前記アルカリ性条件としては、反応系にはアルカリ、例えば無機アルカリが含まれており、前記無機アルカリは、水酸化カリウムの無機アルカリ純品又はその水溶液から選択される1種又は複数種の混合物であり、本発明の一実施例では、前記無機アルカリは水酸化カリウムである。
【0017】
より好ましくは、前記アルカリと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとの質量モル比が50~1000g/mol、さらに好ましくは100~150g/molであり、さらに、アルカリと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとの質量モル比が100g/mol、110g/mol、120g/mol、130g/mol、140g/mol、150g/molである。
【0018】
好ましくは、前記ステップ(2)では、反応系には溶媒がさらに含まれており、前記溶媒は、水及び/又はメタノールから選択され、本発明の一実施例では、前記溶媒は水である。
【0019】
好ましくは、前記ステップ(2)では、1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとのモル比が1:1-3:1であり、さらに、1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンとのモル比が1:1、1.9:1、2:1、3:1、最も好ましくは1.9:1である。
【0020】
好ましくは、前記ステップ(2)では、反応温度は0~25℃、さらに0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃である。
【0021】
好ましくは、前記ステップ(2)では、反応時間は8~24h、さらに8h、12h、16h、20h、24h、最も好ましくは12hである。
【0022】
好ましくは、前記ステップ(2)では、前記1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンは1,3,5-トリヒドロキシベンゼンに滴下される。
【0023】
本発明の一実施例では、前記ステップ(2)は、具体的には、反応容器に水と水酸化カリウムを加え、撹拌して、さらに1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、降温して、1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを滴下し、撹拌して反応させ、その後、反応液に対して後処理を行い、2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを得るステップを含む。
【0024】
好ましくは、前記後処理はクエンチステップを含む。
【0025】
より好ましくは、前記クエンチは、具体的には、反応容器にクエンチ溶媒を加え、さらに酸を加えて混合液のpH=4.0~7.0に調整するステップを含む。
【0026】
より好ましくは、前記クエンチ溶媒は、メチルt-ブチルエーテル、エチルエーテル、エチルアセテート、酢酸ブチルから選択される1種又は複数種であり、本発明の一実施例では、前記クエンチ溶媒はエチルアセテートである。
【0027】
より好ましくは、前記酸は無機酸であって、塩酸の無機酸純品又はその水溶液から選択される1種又は複数種の混合物であり、本発明の一実施例では、前記酸は塩酸である。
【0028】
好ましくは、前記後処理は、クエンチステップの後に、抽出ステップをさらに含む。
【0029】
より好ましくは、前記抽出溶媒は、メチルt-ブチルエーテル、エチルエーテル、エチルアセテート、酢酸ブチルから選択される1種又は複数種であり、本発明の一実施例では、前記抽出溶媒はエチルアセテートである。
【0030】
より好ましくは、前記抽出温度は5~40℃、さらに好ましくは15~25℃である。
【0031】
本発明の一実施例では、前記抽出ステップは、具体的には、反応液に抽出溶媒を加えて、層を分離するステップと、水層に抽出溶媒を加えて抽出し、層を分離するステップと、有機層を併せて、洗浄し、層を分離し、有機層を併せるステップと、を含む。
【0032】
好ましくは、前記後処理は、抽出ステップの後に、蒸留ステップをさらに含み、より好ましくは、前記蒸留ステップは常圧蒸留及び減圧蒸留のステップを含む。
【0033】
好ましくは、前記減圧蒸留は、温度20~50℃、真空度-0.1~-0.05MPaである。
【0034】
好ましくは、前記後処理は、蒸留ステップの後に、カラムクロマトグラフィーステップを順に含み、より好ましくは、前記カラムクロマトグラフィーステップは順相カラムクロマトグラフィーと逆相カラムクロマトグラフィーを含む。
【0035】
より好ましくは、前記カラムクロマトグラフィーは順相カラムクロマトグラフィーであり、前記カラムクロマトグラフィーにおける溶出剤溶液は、石油エーテル、n-ヘキサン、エチルアセテート、トルエン、トリエチルアミン、ジクロロメタン、水、メタノールから選択され、本発明の一実施例では、前記溶出剤溶液は石油エーテル(PE)とエチルアセテート(EA)であり、溶出剤の配合比がPE:EA=8:1→2:1である。
【0036】
本発明の好ましい実施例では、前記後処理は、クエンチ、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィーを順に含み、各ステップの具体的な操作及び条件は本発明で上記したとおりである。
【0037】
本発明の特定実施例では、前記2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンの調製方法は、以下のステップを含む。
【0038】
(2-1)反応ステップ:反応容器に水と水酸化カリウムを加え、撹拌して、さらに1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、降温して、1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンを滴下し、室温に昇温して、8~24h反応させる。
【0039】
(2-2)制御ステップ:(2-1)の混合液にエチルアセテートを加え、塩酸を加えてpH=4.0~7.0に調整し、層を分離し、水層にエチルアセテートを加えて抽出し、層を分離し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、層を分離し、有機層を併せ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過し、ろ液を濃縮させる。
【0040】
(2-3):ステップ(2-2)の濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル200~300メッシュ、PE:EA=8:1→2:1)により分離し、橙色油状物として2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを得る。
【0041】
【0042】
好ましくは、前記ステップ(3)では、反応環境は無酸素環境であり、より好ましくは、前記反応環境は不活性ガスで保護した反応環境であり、本発明の一実施例では、前記反応環境は窒素ガスで保護した反応環境である。
【0043】
好ましくは、前記ステップ(3)では、反応温度は150~230℃、さらに160℃、180℃、200℃、220℃であり、本発明の一実施例では、前記反応温度は200℃である。
【0044】
好ましくは、前記ステップ(3)では、反応時間は2~8h、さらに3h、5h、7hであり、本発明の一実施例では、前記反応時間は3hである。
【0045】
好ましくは、前記ステップ(3)では、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンとのモル比が1:2~3:1、さらに1:2、1:1、1.5:1、2:1、3:1、最も好ましくは1.5:1である。
【0046】
本発明の一実施例では、前記ステップ(3)は、具体的には、反応容器に4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、撹拌して加熱し、反応させて、その後、反応液に対して後処理を行い、カンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体を得るステップを含む。
【0047】
好ましくは、前記後処理はカラムクロマトグラフィーステップを含み、より好ましくは、前記カラムクロマトグラフィーステップは順相カラムクロマトグラフィーと逆相カラムクロマトグラフィーを含む。
【0048】
より好ましくは、前記カラムクロマトグラフィーステップは、混合液を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーに複数回かけてから、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーに複数回かけることを含む。
【0049】
より好ましくは、前記カラムクロマトグラフィーにおける溶出剤溶液は、石油エーテル、n-ヘキサン、エチルアセテート、トルエン、トリエチルアミン、ジクロロメタン、水、メタノールから選択され、本発明の一実施例では、前記順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶出剤溶液は石油エーテルとエチルアセテートであり、溶出剤の配合比がPE:EA=10:1→2:1であり、前記逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶出剤溶液は水とメタノールであり、溶出剤の配合比が水:メタノール=8:2→3:7である。
【0050】
好ましくは、前記後処理は、カラムクロマトグラフィーステップの後に再結晶ステップをさらに含み、より好ましくは、前記再結晶ステップは溶解と降温析出のステップを含む。
【0051】
より好ましくは、前記溶解溶媒は、トルエン、メタノール、アセトン、水などから選択される1種又は複数種の混合物であり、本発明の一実施例では、前記溶媒はメタノールである。
【0052】
より好ましくは、前記溶解温度は40~100℃、さらに好ましくは60~100℃であり、本発明の一実施例では、前記溶解温度は65℃である。
【0053】
より好ましくは、前記降温析出ステップは1~30℃に降温することを含み、本発明の一実施例では、前記降温析出ステップは18~22℃に降温することを含む。
【0054】
本発明の一実施例では、前記再結晶ステップは、溶媒を加えて、40~100℃に昇温し、固体をすべて溶解し、1~30℃に降温し、析出させて濾過することを含む。
【0055】
好ましくは、前記後処理は、再結晶ステップの後に乾燥ステップをさらに含む。
【0056】
より好ましくは、前記乾燥ステップは真空乾燥であり、さらに好ましくは、その真空度は-0.08~-0.01MPaである。
【0057】
より好ましくは、前記乾燥温度は45~65℃である。
【0058】
本発明の好ましい実施例では、前記後処理はカラムクロマトグラフィー、再結晶、乾燥ステップを順に含み、各ステップの具体的な操作及び条件は本発明で上記したとおりである。
【0059】
本発明の特定実施例では、前記カンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体の調製方法において、以下のステップを含む。
(3-1)反応ステップ:窒素ガスの保護下で、反応容器に4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートと2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを加え、撹拌して、150~230℃に加熱し、2~8h反応させる。
(3-2):室温まで降温し、混合液を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーに複数かけてから、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーに複数回かけて、生成物を乾固まで蒸発させる。
(3-3):ステップ(3-2)で得た乾固物にメタノールを加え、65℃に昇温して、固体をすべて溶解し、18~22℃に降温し、固体を析出させて、濾過し、濾過ケーキをリンスする。
(3-4):ステップ(3-3)で得た濾過ケーキを50~55℃で真空乾燥する。
ステップ(1)の化学反応式は以下のとおりである。
【0060】
好ましくは、前記ステップ(1)では、前記反応はアルカリ性条件下で行われ、より好ましくは、前記アルカリ性条件としては、反応系にはアルカリ、例えば無機アルカリが含まれており、前記無機アルカリは、水素化ナトリウムの無機アルカリ純品又はパラフィン油で被覆された水素化ナトリウムから選択される1種又は複数種の混合物であり、本発明の一実施例では、前記無機アルカリはパラフィン油で被覆された水素化ナトリウムである。
【0061】
より好ましくは、前記アルカリと4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンとの質量モル比が50~1000g/mol、さらに好ましくは100~150g/mol、さらに100g/mol、110g/mol、120g/mol、130g/mol、140g/mol、150g/molである。
【0062】
好ましくは、前記ステップ(1)では、反応系には溶媒がさらに含まれており、前記溶媒はトルエン及び/又はベンゼンから選択され、本発明の一実施例では、前記溶媒はトルエンである。
【0063】
好ましくは、前記ステップ(1)では、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンと炭酸ジエチルとのモル比が1:3~3:1、さらに1:3、1:2、1:1、1.5:1、2:1、3:1、最も好ましくは1:2である。
【0064】
好ましくは、前記ステップ(1)では、反応環境は無酸素環境であり、より好ましくは、前記反応環境は不活性ガスで保護した反応環境であり、本発明の一実施例では、前記反応環境は窒素ガスで保護した反応環境である。
【0065】
好ましくは、前記ステップ(1)では、反応温度は80~130℃、さらに80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃である。
【0066】
好ましくは、前記ステップ(1)では、反応時間は2~12h、さらに4h、6h、8h、10h、12h、最も好ましくは4hである。
【0067】
好ましくは、前記ステップ(1)では、前記4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンは炭酸ジエチルに滴下される。
【0068】
本発明の一実施例では、前記ステップ(1)は、具体的には、窒素ガスの保護下で、反応容器に60%NaHとトルエンを加え、撹拌して、さらに炭酸ジエチルを加え、加熱して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンとトルエンとの混合液を滴下し、撹拌して反応させ、その後、反応液に対して後処理を行い、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートを得るステップを含む。
【0069】
好ましくは、前記後処理はクエンチステップを含む。
【0070】
より好ましくは、前記クエンチは、具体的には、反応容器に酸を加えて混合液のpH=4.0~7.0に調整するステップを含む。
【0071】
より好ましくは、前記酸は無機酸であって、酢酸の無機酸純品又はその水溶液から選択される1種又は複数種の混合物であり、本発明の一実施例では、前記酸は酢酸である。
【0072】
好ましくは、前記後処理はクエンチステップの後に抽出ステップをさらに含む。
【0073】
より好ましくは、前記抽出溶媒は、メチルt-ブチルエーテル、エチルエーテル、エチルアセテート、酢酸ブチルから選択される1種又は複数種であり、本発明の一実施例では、前記抽出溶媒はエチルアセテートである。
【0074】
より好ましくは、前記抽出温度は5~40℃、さらに好ましくは15~25℃である。
【0075】
本発明の一実施例では、前記抽出ステップは、具体的には、反応液に抽出溶媒を加えて、層を分離するステップと、水層に抽出溶媒を加えて抽出し、層を分離するステップと、有機層を併せて、洗浄し、層を分離し、有機層を併せるステップと、を含む。
好ましくは、前記後処理は、抽出ステップの後に蒸留ステップをさらに含み、より好ましくは、前記蒸留ステップは常圧蒸留及び減圧蒸留のステップを含む。
【0076】
好ましくは、前記減圧蒸留は、温度20~50℃、真空度-0.1~-0.05MPaである。
【0077】
好ましくは、前記後処理は、蒸留ステップの後に洗浄をさらに含み、より好ましくは、前記洗浄溶媒は、n-ヘキサン及び/又はエチルエーテルから選択され、本発明の一実施例では、前記洗浄溶媒はn-ヘキサンである。
【0078】
本発明の好ましい実施例では、前記後処理は、クエンチ、抽出、蒸留、洗浄を順に含み、各ステップの具体的な操作及び条件は本発明で上記したとおりである。
【0079】
本発明の特定実施例では、前記4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートの調製方法は、以下のステップを含む。
(1-1)反応ステップ:窒素ガスの保護下で、反応容器に60%NaHとトルエンを加え、撹拌して、さらに炭酸ジエチルを加え、80~130℃に加熱し、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンとトルエンとの混合液を滴下し、撹拌して2~12h反応させる。
(1-2)制御ステップ:(1-1)の混合液に酢酸を加えてpH=4.0~7.0に調整し、次にエチルアセテートを加え、層を分離し、水層にエチルアセテートを加えて抽出し、層を分離し、有機層を併せ、飽和塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、層を分離し、有機層を併せ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、吸引ろ過し、ろ液を濃縮させる。
(1-3):ステップ(1-2)の濃縮物にn-ヘキサンを加え、2~12h撹拌し、濾過して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートを得る。
【0080】
本発明はまた、本発明の2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンの上記調製ステップを含む大麻フラボノイドの調製方法を提供する。
【0081】
本発明はまた、化合物の調製における4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートの使用を提供し、前記化合物はカンフラビンB又は/又はカンフラビンB異性体である。
【0082】
好ましくは、前記4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートは、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノンと炭酸ジエチルとをアルカリ性条件下で縮合して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートを得るステップによって調製される。
【発明の効果】
【0083】
本発明は、使用される原料が安くて入手されやすく、合成プロセスが簡単であり、操作されやすい、生産周期が短く、合成コストが低く、経済的な価値がある。
【発明を実施するための形態】
【0084】
なお、以下の詳細は例示的なものであり、本願をさらに説明することを目的とする。特に断らない限り、本明細書に使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は本願の当業者が通常理解するものと同義である。
【0085】
実施例1、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテートの合成
反応フラスコに60%NaH(6.00g、150mmol)を加え、窒素ガスの保護下で、トルエン(60mL)とDEC(11.82g、100mmol)を加え、撹拌して、加熱して還流した。4’-ヒドロキシ-3’-メトキシアセトフェノン(12.82g、50mmol)のトルエン(60mL)溶液を滴下した。滴下終了後、4時間還流した。室温まで降温し、酢酸でpH値を中性に調整し、飽和塩化アンモニウム水溶液(150mL)を加え、水相をエチルアセテート(100mL×3)で抽出し、有機相を併せて、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL×2)と飽和食塩水(100mL×2)で順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、吸引ろ過し、ろ液を乾固まで濃縮し、n-ヘキサン(50mL)を加えて一晩撹拌した。濾過して、4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテート(15.43g、93.9%)を橙黄色の固体として得た。MS(ESI):238.9[M+H]
+。
【0086】
実施例2、2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼンの合成
反応フラスコに水(80mL)と水酸化カリウム(4.87g、73.92mmol)を加え、撹拌した。1,3,5-トリヒドロキシベンゼン(10.0g、79.20mmol)を加えた。氷水浴にて降温して、1-ブロモ-3-メチル-2-ブテン(6.6g、41.2mmol)を滴下し、一晩撹拌した。エチルアセテート(100mL)を加え、1N塩酸でpH値を5.0に調整した。水相をエチルアセテート(50mL×3)で抽出し、有機相を併せえ、飽和食塩水100mL×2で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。吸引ろ過し、ろ液を乾固まで濃縮し、得た油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル200~300メッシュ、PE:EA=8:1→2:1)により分離し、橙色油状物として2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼン(3.17g、20.6%)を得た。
【0087】
実施例3、カンフラビンB及び/又はカンフラビンBの異性体の合成
反応フラスコに4’-ヒドロキシ-3’-メトキシベンゾイルエチルアセテート(18.0g、75.6mmol)と2-イソペンテニル-1,3,5-トリヒドロキシベンゼン(9.8g、50.5mmol)を加え、撹拌した。窒素ガスの保護下で、200℃に加熱し、この温度を3時間維持した。室温まで降温し、得た生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル200~300メッシュ、PE:EA=10:1→2:1)に複数かけてから、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーに複数回かけて(逆相シリカゲル200~300メッシュ、水:メタノール=80:20→30:70)、メタノールで再結晶させ、橙黄色の固体としてカンフラビンBを約1g(収率約5.4%)を得たとともに、橙黄色の固体としてカンフラビンBの異性体を約1g(収率約5.4%)得た。
カンフラビンB:MS(ESI):369.1[M+H]
+,
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ: 13.22 (s, 1H), 10.83 (s, 1H), 9.95 (s, 1H), 7.56 (d, 1H, ), 7.54 (s, 1H), 6.92 (d, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.55 (s, 1H), 5.18 (t, 1H), 3.89 (s, 3H,), 3.21 (d,2H), 1.72 (s, 3H), 1.62 (s,3H)。
カンフラビンBの異性体:MS(ESI):369.1[M+H]
+,
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6), δ: 12.89 (s, 1H), 10.76 (s, 1H), 9.98 (s, 1H), 7.53 (s, 1H, ), 7.52 (d, 1H), 6.93 (d, 1H), 6.86 (s, 1H), 6.28 (s, 1H), 5.22 (t, 1H), 3.87 (s, 3H,), 3.42 (d,2H), 1.74 (s, 3H), 1.62 (s,3H)。
【0088】
以上は本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限するものではなく、当業者にとっては、本願にさまざまな変更や変化を加えることができる。本願の趣旨及び原則を逸脱することなく行われるいかなる修正、同等置換や改良なども本願の特許範囲に含まれるものとする。