(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】FBG耐熱歪みセンサとその校正法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/16 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
G01B11/16 G
(21)【出願番号】P 2023542616
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 CN2021127547
(87)【国際公開番号】W WO2022151798
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】202110041184.6
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519063451
【氏名又は名称】蘇州熱工研究院有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521370938
【氏名又は名称】中国广核集団有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521370949
【氏名又は名称】中国广核電力股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】王紅珂
(72)【発明者】
【氏名】林磊
(72)【発明者】
【氏名】徐徳城
(72)【発明者】
【氏名】陳明亜
(72)【発明者】
【氏名】斉▲ユー▼▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】周帥
(72)【発明者】
【氏名】高紅波
(72)【発明者】
【氏名】張国棟
(72)【発明者】
【氏名】陳▲シャウ▼偉
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-162601(JP,A)
【文献】特開2011-053145(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110530282(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106767486(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0317401(US,A1)
【文献】特表2020-503494(JP,A)
【文献】特開2001-221615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01D 5/26-5/38
G01L 1/00-1/26
25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ基板、前記センサ基板に設置される光ファイバを有し、円環形の前記センサ基板の内周面に沿って光ファイバの取付けアームが伸びて形成される、前記光ファイバが歪み感応型ファイバと温度補償に使う温度補償型光ファイバを有し、前記センサ基板の上に、前記光ファイバを固定するボスが設置され、そして前記ボスを用いて光ファイバが互いに交差して接触することを避け、前記センサ基板に設置される光ファイバの取付けアームを有し、前記光ファイバの取付けアームが前記センサ基板の内周面に沿って内側に伸びて形成され、
延伸ロッドを有し、前記センサ基板の外周に沿って外に伸びて形成される前記延伸ロッドが、
歪みセンサの校正に用いられ
る、ことを特徴とするFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項2】
前記光ファイバは第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバを含み、前記第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバが異なる高さで互いに交差し合って設置されて、前記第1の光ファイバ、第2の光ファイバと第3の光ファイバが重なる点が前記センサ基板の中心となる、前記温度補償型光ファイバは前記第1の光ファイバと平行に設置されて同じ高さであり、かつ同一平面上に位置し、前記第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバが異なる平面上にある、ことを特徴とする請求項1に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項3】
前記第2の光ファイバの中心軸と第3の光ファイバの中心軸の高度差が光ファイバの直径より大きい、ことを特徴とする請求項2に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項4】
前記第1の光ファイバと温度補償型光ファイバが前記光ファイバの取付けアームに取り付けられ、前記第2の光ファイバと第3の光ファイバが前記第1の光ファイバの両側に対称
に配置され、前記第2の光ファイバと第3の光ファイバが異なる高さで前記ボスに取り付けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項5】
前記光ファイバの取付けアームは前記光ファイバの格子とセンサ基板の内壁との距離より長さが短い、ことを特徴とする請求項4に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項6】
前記光ファイバの取付けアームに第1の光ファイバと温度補償型光ファイバを収容する取付け溝が開かれている、ことを特徴とする請求項5に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項7】
前記第1の光ファイバと温度補償型光ファイバの両端が、光ファイバ固定点により前記センサ基板の上に固定され、前記第2の光ファイバと第3の光ファイバの両端が、前記ボスにより前記センサ基板の上に固定され、すべてのボス5が同一円周上に位置し、またその中心は環状のセンサ基板10の中心と重なっている、ことを特徴とする請求項4に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項8】
前記第2の光ファイバと第3の光ファイバは前記第1の光ファイバとの夾角が全部45°となっている、ことを特徴とする請求項4に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項9】
前記延伸ロッドは前記センサ基板から離れた端部に、前記延伸ロッドを厚さ方向へ貫通する引っ張り丸穴が開かれており、前記引っ張り丸穴は歪みセンサの校正に用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項10】
複数の引っ張り丸穴が同一円周上に位置し、またその中心は環状のセンサ基板の中心と重なっている、ことを特徴とする請求項9に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項11】
前記センサ基板の径方向に沿って伸びる2つの前記光ファイバの取付けアームと前記センサ基板の径方向に沿って伸びる6つの前記延伸ロッドを有し、しかもそのうちの2つの前記延伸ロッドが前記光ファイバの取付けアームと同じ伸張方向である、ことを特徴とする請求項1に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項12】
サイズが前記センサ基板の外径と統合する防護カバーを有し、前記防護カバーと前記センサ基板が繋がる金属製の接続部が前記防護カバーの縁に均一な間隔を置いて配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項13】
前記光ファイバにポリイミドコーティング層を有する、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のFBG耐熱歪みセンサ。
【請求項14】
請求項1乃至1
3のいずれか1項に記載のFBG耐熱歪みセンサの校正法であって、
1)引っ張り丸穴を利用して、第1の光ファイバの両端に対応する2つの延伸ロッドを変位伸張校正プラットフォームに固定する。
2)変位伸張法によりセンサの第1の光ファイバを徐々に伸張と負荷軽減をしながら、変位センサおよび分光計により、伸張と負荷軽減をする間に第1の光ファイバの変化する変位量ΔLiおよびその対応する波長シフト量Δλi(i=1,2,3,・・・,n)を得る。
3)第1の光ファイバの2つの固定端の長さLを測定,歪みセンサが第1の光ファイバの方向における歪みεi=ΔLi/Lを算出する。
4)いくつかの測定点(Δλi,εi)に直線を当てはめた直線の傾きK1は、歪みセンサが第1の光ファイバの方向における歪み感度である。
5)第2の光ファイバと第3の光ファイバに対して、順にステップ1)~ステップ4)を繰り返し、歪みセンサがそれぞれ、第2の光ファイバの方向における歪み感度K2と第3の光ファイバの方向における歪み感度K3を得てから校正済みとなる、以上のステップを有する、ことを特徴とするFBG耐熱歪みセンサの校正法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造の歪み測定とセンサ設計の分野に属し、より詳しくは、FBG耐熱歪みセンサとそのセンサの校正法に関する。
【背景技術】
【0002】
歪みは構造の健康を監視する重要なパラメータパラメータであり、構造の内部の応力状態を効果的に反映できる。歪み測定の慣用法は抵抗歪みゲージを用いる測定法であるが、高温、多湿、強い電磁干渉がある環境におけるの歪み測定には、貼り付けられる接着剤の固化時間が長かったり、歪みゲージの縁に付着部の破壊があったり、電磁干渉がひどかったり、ゼロ点変動あったり、歪みゲージに腐食が発生したり、異常な測定信号があったりする難題があるとともに、高温環境下での抵抗歪みゲージの使用寿命が短く、インストール済みの生存率が低いため、構造歪みの長期監視に使用が難しい。
【0003】
光信号に基づいた測定技術であるFBGセンシング技術は、耐食性、小型、直列に連結される再利用可能、高精度の測定、電磁干渉耐性などの利点があり、温度、歪み、圧力、流量などのパラメータの敏感測定に広く使用されている。通常は光ファイバブラッグ格子をステンレス管または金属基板中に封入し、格子の歪みに敏感な特性により構造の歪み測定を実現する。構造の主応力方向が不確かな場合、構造測定点の復数方向の歪み情報を同時に得る必要があり、構造の最大歪み値を求める。
【0004】
現在、慣用のFBG歪みセンサは、ほとんど構造面の一方向の歪み測定にしか用いられず、構造面の多方向の歪みの同時測定を実現できない。多方向歪み測定の研究では、三角形、星形、直角形などの構造を持つ多方向光のFBG歪みセンサが既存する。しかし、上記の研究者は、ほとんど複数のブラッグ光ファイバ格子を組み合わせた形をとり、それを異なる形状につなぎ合わせて構造の複数方向の歪みを測定している。それは測定点の周囲の領域の復数方向の歪みを測定してから、測定点の等価歪み値にする。こういうやり方はセンサの寸法が大きい、歪みの位置が正確でなく、等価誤差が大きい問題などをもたらす。これらのセンサは、ほとんど岩石、橋梁、トンネルなどの大型構造物の埋め込み歪み測定に用いられるが、小型構造物の表面での多方向歪みの同時測定には応用することができないとともに、光とともに、光ファイバ格子が同時に歪みと温度に敏感なので、FBG歪みセンサをデザインする際、温度より歪み測定結果への影響を解消しなくてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、従来技術の欠点を解決するために、本発明では、構造面の三方向の歪みを同時測定できるとともに、温度より構造歪みの測定結果に対する影響をなくす温度補償型光ファイバも付けられている、FBG耐熱歪みセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するために、本発明は以下の技術態様を採用している。
本発明のFBG耐熱歪みセンサは、センサ基板、前記センサ基板に設置される光ファイバの取付けアーム、3本の歪み感応型ファイバ、1本の温度補償型光ファイバ、ボスとセンサ基板が外に向かって伸びだした6つの延伸ロッドを有し、円環形の前記センサ基板の内周面に沿って光ファイバの取付けアームが伸びて形成され、前記歪み感応型ファイバと前記温度補償型光ファイバが前記センサ基板の径方向に沿って配置され、前記温度補償型光ファイバが構造変形からの影響を受けなくて測定部位の温度変化をしか感受しなく、前記光ファイバを固定するために、異なる高さに設けられている前記ボスが前記センサ基板に設置され、そして前記ボスを用いて異なる光ファイバが互いに交差して接触することを避ける。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記歪み感応型ファイバは第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバを含み、前記第1の光ファイバ、第2の光ファイバ、第3の光ファイバが異なる高さで互いに交差し合って設置されて、前記第1の光ファイバ、第2の光ファイバと第3の光ファイバが重なる点が前記センサ基板の中心となり、前記温度補償型光ファイバが前記第1の光ファイバと平行して設置されて同じ高さである。
【0008】
本発明の一部の実施例では、歪み感応型ファイバも温度補償型光ファイバも光ファイバブラッグ格子(Fiber Bragg Grating,FBG)で、その内、第1の光ファイバと温度補償型光ファイバが光ファイバ取付け溝に取り付けられ、第2の光ファイバと第3の光ファイバが取付け溝の両側に配置されて、それぞれ取付け溝の軸線から45°、-45°の角度で左右対称しており、前記第1の光ファイバ、第2の光ファイバと第3の光ファイバが構造の歪みと温度情報を同時に感受し、温度補償に使う温度補償型光ファイバが構造の温度情報しか感受しない。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記第1の光ファイバと温度補償型光ファイバが前記光ファイバの取付けアームに取り付けられ、前記第2の光ファイバと第3の光ファイバが前記第1の光ファイバの両側に左右対称して配置され、前記第2の光ファイバと第3の光ファイバが異なる高さで前記ボスに取り付けられている。
【0010】
歪みゲージが引っ張り歪みと圧縮歪み両方とも測定できるようにするために、第1の光ファイバ、第2の光ファイバと第3の光ファイバを固定する時、一定のブレークドラフトをする必要がある。第1の光ファイバ、第2の光ファイバと第3の光ファイバが互いに交差しながら接しないことにしてチャープ現象を回避すると保証するために、第2の光ファイバと第3の光ファイバがセンサ基板に固定している場所に異なる高さのボスが設置されている。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、センサ基板の外周面を沿って外に向かって伸びて形成された6つの延伸ロッドを有し、前記歪みセンサの校正に使う前記延伸ロッドが、前記歪みセンサが校正済みとしてから前記センサ基板から切除する。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、前記延伸ロッドは前記センサ基板から離れた端部に、前記延伸ロッドを厚さ方向へ貫通する引っ張り丸穴が開かれており、前記引っ張り丸穴は歪みセンサの校正に用いられる。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、前記センサ基板の径方向に沿って伸びる2つの前記光ファイバの取付けアームと前記センサ基板の径方向に沿って伸びる6つの前記延伸ロッドを有し、しかもそのうちの2つの前記延伸ロッドが前記光ファイバの取付けアームと同じ伸張方向である。前記延伸ロッド的延伸方が前記光ファイバの取り付けの方向に対応して設置され、前記第1の光ファイバと温度補償型光ファイバが前記光ファイバの取付けアームに取り付けられる。光ファイバの取付けアームが前記環状センサ基板の径方向に沿ってセンサ基板の中心の両側に対称して配置される。前記光ファイバの取付けアームの一端が前記センサ基板に固定され、残りの一端が自由端で歪みセンサの中心に向かい、光ファイバの取付けアームに第1の光ファイバと温度補償型光ファイバを収容する取付け溝が開かれている。
【0014】
本発明の好適な実施形態によれば、サイズが前記センサ基板の外径と統合する防護カバーを有し、FBGを有する光ファイバを保護するために、前記防護カバーと前記センサ基板が繋がる金属製の接続部が前記防護カバーの縁に均一な間隔を置いて配置されている。
【0015】
本発明の好適な実施形態によれば、前記光ファイバの外にセットされたピグテイル型保護カバー及び復数の前記光ファイバの外にセットされた絶縁ブッシュを有する。歪み感応型ファイバと温度補償型光ファイバがセンサ基板から伸びだした後、光ファイバの表面に耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバーがセットされている。その内、第1の光ファイバと温度補償型光ファイバが同一の耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバーの中にかぶせて、第2の光ファイバと第3の光ファイバの表面にそれぞれ一つの耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバーを有する。3本の耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバーが歪みゲージの両端から伸びだした後に一緒に併合してから、保護用の絶縁ブッシュにかぶせる。
【0016】
本発明の好適な実施形態によれば、前記光ファイバにポリイミドコーティング層を有し、すなわち、採用する歪み感応型ファイバと温度補償型光ファイバがポリイミドコーティング層を有する耐熱光ファイバであるので、最高350℃の環境下での構造歪みの長期測定に適している。
【0017】
本発明の好適な実施形態によれば、前記歪みセンサの位置決めと取り付けに使うために、前記センサ基板の裏面に取り付け位置が付けられている。
【0018】
本発明はまた、前述のように前記的FBG耐熱歪みセンサに対して、以下のステップを含む校正法も提供する。
1)引っ張り丸穴を利用して、第1の光ファイバの両端に対応する2つの延伸ロッドを変位伸張校正プラットフォームに固定する。
2)変位伸張法によりセンサの第1の光ファイバを徐々に伸張と負荷軽減をしながら、変位センサおよび分光計により、伸張と負荷軽減をする間に第1の光ファイバの変化する変位量ΔLiおよびその対応する波長シフト量Δλi(i=1,2,3,・・・,n)を得る。
3)第1の光ファイバの2つの固定端の長さLを測定,歪みセンサが第1の光ファイバの方向における歪みεi=ΔLi/Lを算出する。
4)いくつかの測定点(Δλi,εi)に直線を当てはめた直線の傾きK1は、歪みセンサが第1の光ファイバの方向における歪み感度である。
5)第2の光ファイバと第3の光ファイバに対して、順にステップ1)~ステップ4)を繰り返し、歪みセンサがそれぞれ、第2の光ファイバの方向における歪み感度K2と第3の光ファイバの方向における歪み感度K3を得てから、校正済みとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のFBG耐熱歪みセンサは、上記の技術を採用したことにより、従来技術に比べて、温度を感知するだけで構造の歪みを感知しない温度補償型光ファイバを並列に接続することにより、歪み測定結果に対する温度の影響を除去し、センサ基板に設けられたボスにより、3本の歪み感応型ファイバの交差して接触することにもたらされるチャープ現象を効果的に回避でき、そしてこの歪みセンサは構造が簡単で、サイズが小さく、位置決めが精密で、多方向の歪みを同期に測定し、温度補償も可能で、測定精度が高いなど利点があるため、構造面における多方向の歪みの同時測定に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施形態の技術的態様をより明確に説明するために、実施形態の説明において必要とされる添付の図面を以下に簡単に説明する。以下に説明する添付図面は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、他の添付図面は、当業者にとって創造的な作業なしに入手可能であることは明らかである。
【0021】
【
図1】本発明の好適な実施形態におけるFBG耐熱歪みセンサの正面を示す図(延伸ロッドが切除していない時)である。
【
図2】本発明の好適な実施形態におけるFBG耐熱歪みセンサの裏面を示す図(延伸ロッドが切除していない時)である。
【
図3】本発明の好適な実施形態における封入して校正後の歪みセンサを示す立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、当業者に本発明の技術的態様をより良く理解させるために、本発明の実施形態における技術的態様を添付の図面に合わせて、明確かつ完全に説明する。説明された実施形態は本発明の一部の実施形態に過ぎず、全体の実施形態ではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに取得した他のすべての実施形態は、本発明の保護の範囲に含まれるべきである。
【0023】
(実施例1、FBG耐熱歪みセンサ)
当該実施例のFBG耐熱歪みセンサは、
図1~
図3が示すように、円環形のセンサ基板10、センサ基板10に設置された光ファイバの取り付けアーム11、センサ基板10に設置された歪み感応型ファイバと温度補償型光ファイバ、センサ基板の中にある光ファイバの防護カバー30を有する。センサ基板10の内周面に沿って形成される光ファイバの取り付けアーム11が、センサ基板10の径方向に沿って延びており、光ファイバがセンサ基板10の径方向に沿って配置されている。測定対象物と光ファイバの間にある光ファイバの取り付けアーム11が、光ファイバと測定対象物との接触にもたらされた測定誤差を避ける。当該実施例では、光ファイバの取付けアーム11は、センサ基板10と同一平面内に位置する。防護カバー30の寸法は、センサ基板10の外径に合わせており、防護カバー30の縁に間隔をおいて接続部があり、防護カバー30とセンサ基板10は接続部により接続(溶接又は接着)されており、光ファイバを保護する防護カバー30が、金属製のセンサ基板10の正面に取り付けられている。環状構造を有するセンサ基板10を用いて、小型化されたセンサは応用範囲が拡大し、小型構造面における歪み測定に応用できるようになった。
【0024】
センサ基板10に使う材質は測定対象構造物の剛度より小さく、ステンレス鋼、合金鋼又はアルミ板を使用できる。歪みセンサを貼り付け方式で固定する場合、接着不良防止のために、それと測定対象構造物の材質及び接着剤との適合性を考慮すべきである。当該実施例におけるセンサ基板10は外径が20mm、厚さが0.18mmである。
【0025】
当該実施例における光ファイバはFBGを有する光ファイバ(光ファイバブラッグ格子)で、即ち、光ファイバの中心の区間内に周期性間隔に形成された格子20を備え、その本当の目的は光ファイバの中心の区間内に狭帯域(透過または反射)のフィルタや反射鏡を形成する。FBGを有する光ファイバはセンサ基板10の正面にある第1の光ファイバ21、第2の光ファイバ22、第3の光ファイバ23及び温度補償型光ファイバ24を含み、第1の光ファイバ21と第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23が互いに交差し合って設置されて、第1の光ファイバ21、第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23(格子)が重なる点がセンサ基板10の中心となっており、即ち、水平面も投影において、第1の光ファイバ21、第2の光ファイバ22、第3の光ファイバ23及び温度補償型光ファイバ24の格子20の位置が互いに交差し合っている。温度補償型光ファイバ24は第1の光ファイバ21と平行して設置され、互いに接触し合うことを避けるために第1の光ファイバ21、第2の光ファイバ22、第3の光ファイバ23が異なる高さに取り付けられ、第1の光ファイバ21と温度補償型光ファイバ24が同じ高さに位置している。第1の光ファイバ21、第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23が構造の歪みと温度情報を同時に感受し、温度補償に使う温度補償型光ファイバ24が構造の温度情報しか感受しない。
【0026】
光ファイバの取付けアーム11の一端がセンサ基板10に固定され、残りの一端が自由端で歪みセンサの中心に向かう。光ファイバの取付けアーム11は、第1の光ファイバ21と温度補償型光ファイバ24を収容する取付け溝を有し、光ファイバ固定点15によりセンサ基板10の上に固定される。
図1が示すように、第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23が取付け溝の両側に配置されて、それぞれ取付け溝の軸線から45°、-45°の角度で左右対称している。光ファイバ取付け溝は光ファイバと光ファイバの取付けアーム11との接触面積を増えることができ、光ファイバ取付け溝に接着剤を垂らすのが好ましく、そのやり方で第1の光ファイバ21と温度補償型光ファイバ24を効果的に固定できるが、ガラスハンダによる溶接固定をしてもよろしい。
【0027】
当該実施例において、センサ基板10には、異なる高さのボス14とボス14´が設置され、第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23をそれぞれ異なる高さのボス14とボス14´に取り付け、設置しているボスは光ファイバの直径より高く、即ち、異なる光ファイバが交差して接触するのを避けるために、第2の光ファイバの中心軸と第3の光ファイバの中心軸の高度差が光ファイバの直径より大きいことを保証する。具体的には、第1の光ファイバ21、第2の光ファイバ22、第3の光ファイバ23が互いに交差しながら接しないことにしてチャープ現象を回避するために、第2の光ファイバ22における2つの固定端の下に高さ0.5mmのボス14を設け、第3の光ファイバ23における2つの固定端の下に高さ1.0mmのボス14を設ける。
【0028】
第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23はセンサ基板10の位置している平面の高さより高いため、当該実施例1においては、第1の光ファイバ21と温度補償型光ファイバ24だけに対応して光ファイバの取付けアーム11を設置し、同じ径方向に2つの光ファイバの取付けアーム11が対象して設置されており、また、格子20との接触を避けるため、光ファイバの取付けアーム11は格子20と環状のセンサ基板10との間の距離よりも短い長さとされている。
【0029】
ボス14、ボス14´、光ファイバ固定点15が同一円周上に位置し、またその中心は環状のセンサ基板10の中心と重なっている。当該実施例においえては、第1の光ファイバ21が温度補償型光ファイバ24の両端の2つの光ファイバ固定点15、第2の光ファイバ22の両端の2つのボス14、第3の光ファイバ23の両端の2つのボス14´と6点が同一円周上に位置しており、固定点(ボス14、ボス14´、光ファイバ固定点15)の間にある光ファイバの長さが同じく合わせて、測定結果の正確性を保つ。
【0030】
第1の光ファイバ21、第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23を封入して固定する場合、ブレークドラフトをする必要があり、三方向において引っ張り歪みと圧縮歪みとも測定できるようにするために、ブレークドラフトは50μmの長さ超えなくてはならない。温度補償型光ファイバ24を封入する場合、ブレークドラフトをする必要がないが、2つの固定端の間に緩和距離2~3mmを留保する。
【0031】
図1と
図2に示すように、当該実施例におけるFBG耐熱歪みセンサは、また、センサ基板10の外周面を沿って外に向かって伸びて形成された延伸ロッド12を有し、延伸ロッド12がセンサ基板10から離れた端部に、延伸ロッド12の厚さ方向を貫通する引っ張り丸穴13が開かれており、歪みセンサの校正、そして歪みセンサが校正済みとしてからセンサ基板10から延伸ロッド12を切除するために、延伸ロッド12と引っ張り丸穴13のデザインは歪みセンサの校正プラットフォームと合わせなくてはならない。複数の引っ張り丸穴13が同一円周上に位置し、校正結果の正確性を保つ。当該実施例においては、延伸ロッド12、光ファイバの取付けアーム11及びセンサ基板10が同一平面内に位置する。延伸ロッド12を切除していない状態を示すのは
図1と2図であるが、延伸ロッド12を切除した状態を示すのは
図3である。
【0032】
具体的には、当該実施例にいて、センサ基板10の外周面を沿って外に向かって伸びて形成された延伸ロッド12を6つ有し、その内、2つの延伸ロッド12が光ファイバの取付けアーム11と同じ伸張方向であり、延伸ロッド12の伸張方向が光ファイバの取り付け方向に対応して設置する。六本の引っ張り丸穴13が同一円周上に位置し、またその中心は環状のセンサ基板10の中心と重なっている。
【0033】
当該実施例においては、FBGを有する光ファイバがセンサ基板10から伸びだした後、光ファイバの表面に耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバー31がセットされている。その内、第1の光ファイバ21と温度補償型光ファイバ24が同一の耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバー31の中にかぶせて、第2の光ファイバ22と第3の光ファイバ23の表面にそれぞれ一つの耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバー31を有する。3本の耐熱ピグテイル型光ファイバ保護カバー31が歪みゲージの両端から伸びだした後に一緒に併合してから、保護用の絶縁ブッシュ32にかぶせる。
【0034】
当該実施例においては、光ファイバがポリイミドコーティング層を有し、すなわち、採用するFBGを有する光ファイバがポリイミドコーティング層を有する耐熱光ファイバであるので、光ファイバの両端を耐熱エホ゜キシ樹脂接着またはガラスハンダ溶接で固定し、最高350℃の環境下での構造歪みの長期測定に適している。
【0035】
図2に示すように、当該実施例においては、センサ基板10の裏面で環状に沿って均一に設けられる八つの歪みゲージ取り付け位置16が、歪みゲージの位置決め及び固定に用いられる。
【0036】
当該実施例においては、4本のFBGを有する光ファイバが格子20のゲート領域の両端に固定されて、ゲート領域に接着剤が貼り付けられていないため、接着剤から歪み伝達への影響を無くして、歪みゲージの測定精度を向上させた。
【0037】
従来の三角形、星形、直角形などの多方向FBG歪みセンサは,すべて構造測定点の周りの多方向の歪みを測定してから、測定点の等価歪み値にする。当該実施例においては、環状の基板はボス構造と組み合わせて、基板中心部の歪み、即ち、測定点における三方向の歪み値を測定する。基板式の歪みセンサは格子を空間上に重ねることにより、センサを小型化にして、適用範囲がより広いとの利点がある。
【0038】
(実施例2、校正法)
実施例1における歪みセンサに対して、当該実施例における校正法は以下のステップで行う。
1)引っ張り丸穴を利用して、第1の光ファイバの両端に対応する2つの延伸ロッドを変位伸張校正プラットフォームに固定する。
2)変位伸張法によりセンサの第1の光ファイバを徐々に伸張と負荷軽減をしながら、変位センサおよび分光計により、伸張と負荷軽減をする間に第1の光ファイバの変化する変位量ΔLiおよびその対応する波長シフト量Δλi(i=1,2,3,・・・,n)を得る。
3)第1の光ファイバの2つの固定端の長さLを測定,歪みセンサが第1の光ファイバの方向における歪みεi=ΔLi/Lを算出する。
4)いくつかの測定点(Δλi,εi)に直線を当てはめた直線の傾きK1は、歪みセンサが第1の光ファイバの方向における歪み感度である。
5)第2の光ファイバと第3の光ファイバに対して、順にステップ1)~ステップ4)を繰り返し、歪みセンサがそれぞれ、第2の光ファイバの方向における歪み感度K2と第3の光ファイバの方向における歪み感度K3を得てから、校正済みとなる。
【0039】
本発明のFBG耐熱歪みセンサは、以下の利点を有する。
1)一定の角度を持ち合う3本のFBGを有する光ファイバにより、構造の三方向の歪みの同時測定を実現した。並列されている温度を感知するだけで構造の歪みを感知しない温度補償型光ファイバにより、歪み測定結果に対する温度の影響を除去する。
2)センサ基板に設けられたボスにより、3本の歪み感応型ファイバの交差して接触することにもたらされるチャープ現象を効果的に回避できる。
3)三方向FBG歪みセンサを校正する課題を解決するために、センサ基板の対応位置に設けられる金属製の延伸ロッドが、歪みセンサに対して三方向のFBGを有する光ファイバの歪み感度の校正に用いられ、歪みセンサが校正済みとしてから切除されて、歪みセンサの構造寸法を小さくする。
4)ポリイミドコーティング層を有する耐熱光ファイバを採用するため、350℃の環境下での構造歪みの長期測定を実現する。上記の設計により、本発明は、構造が簡単で、サイズが小さく、位置決めが精密で、多方向の歪みを同期に測定し、温度補償も可能で、測定精度が高いなど利点があるため、構造面における多方向の歪みの同時測定に使用できる。
【0040】
上記の実施例は、本発明の技術的思想および特徴を説明するためだけの例であり、当該技術に詳しい方が本発明の内容を理解させ、実施できるようにすることを目的としており、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の精神に基づいた等価の変更または修飾が、すべて本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0041】
10 センサ基板、11 光ファイバの取付けアーム、12 延伸ロッド、13 引っ張り丸穴、14,14´ ボス、15 光ファイバ固定点、16 歪みセンサ取り付け位置、20 光ファイバゲート領域、21 第1の光ファイバ、22 第2の光ファイバ、23 第3の光ファイバ、24 温度補償型光ファイバ、30 防護カバー、31 ピグテイル型保護カバー、32 絶縁ブッシュ