特許 7551017 折りたたみ工具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-09-05

(45)【発行日】2024-09-13

(54)【発明の名称】折りたたみ工具

(51)【国際特許分類】

   B25F 1/04 20060101AFI20240906BHJP

   B25B 15/00 20060101ALI20240906BHJP

   B25B 13/54 20060101ALI20240906BHJP

【ＦＩ】

B25F1/04

B25B15/00 630C

B25B13/54 B

B25B13/54 A

B25B15/00 610D

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2024040531

(22)【出願日】2024-02-27

【審査請求日】2024-02-27

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】524096484

【氏名又は名称】田島 旭

(72)【発明者】

【氏名】田島 旭

【審査官】マキロイ 寛済

(56)【参考文献】

【文献】実開昭５１－０７７６９７（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開昭６３－１７９０６８（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開昭５５－０１１８５２（ＪＰ，Ｕ）

【文献】中国特許出願公開第１０８９９４７６５（ＣＮ，Ａ）

【文献】中国特許出願公開第１０２７９４７５０（ＣＮ，Ａ）

【文献】中国実用新案第２０２２００２２６（ＣＮ，Ｕ）

【文献】中国実用新案第２１３５３２４０２（ＣＮ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ２５Ｆ １／０４

Ｂ２５Ｂ １５／００

Ｂ２５Ｂ １３／５４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

一端に作用部を有する工具と、
前記工具の作用部を着脱可能に保持する保持部と、
前記保持部を取り囲み、かつ前記保持部を支持する支持部を有する枠体と、
を備え、
前記工具の他端は、前記枠体を軸として前記枠体のなす平面に対して垂直な方向に前記作用部が回動可能に前記枠体に取り付けられており、
前記工具の収納状態では前記作用部が前記保持部に保持され、前記工具の展開状態では前記作用部が前記保持部から離れる、
折りたたみ工具。

【請求項2】

前記枠体は、輪環型である、
請求項１に記載の折りたたみ工具。

【請求項3】

前記作用部は、強磁性体であって、
前記保持部は、磁石である、
請求項１に記載の折りたたみ工具。

【請求項4】

前記枠体における前記工具の他端の位置を決める位置決め部をさらに備える、
請求項１に記載の折りたたみ具。

【請求項5】

前記工具は、前記作用部の種類又は前記作用部のサイズが互いに異なる複数である、
請求項１から４のいずれか一項に記載の折りたたみ工具。

【請求項6】

複数の前記工具は、マイナスドライバー及び互いに２面幅が異なる複数の六角レンチである、
請求項５に記載の折りたたみ工具。

【請求項7】

複数の前記六角レンチは、７本であって、
前記マイナスドライバーは、１本である、
請求項６に記載の折りたたみ工具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、折りたたみ工具に関する。

【背景技術】

【0002】

折りたたみポケットナイフのように、複数の工具が折りたたまれ、一個で複数の機能を有する折りたたみ工具が知られている。折りたたみ工具は、複数の工具をコンパクトに収納できるため、持ち運びやすいうえ、多機能であるため、利便性が非常に高い。

【0003】

特許文献１には、自転車用の折りたたみ工具が開示されている。特許文献１に開示された自転車用の折りたたみ工具は、基部分及びこの基部分から延びている一対の細長い平行の間隔を隔てた脚部分を有するＵ字形の本体と、脚部分の間の空間に横方向にかかった軸と、複数の異なる細長い工具と、本体に取り付けられた取っ手と、を備える。当該工具は、本体の脚部分の間に受け入れられる保管位置と本体から離れる方向に延びる展開位置との間で軸を中心に選択的にそれぞれ回動できるように軸に取り付けられている。

【文献】

【0004】

【文献】特開平０５－２１２６８４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

上記特許文献１に開示された折りたたみ工具は、取っ手が保管位置を覆うように本体に取り付けられている。このため、工具が保管位置に収納されている状態では、工具の刃先が視認しづらく刃先を判別しにくいという不都合がある。また、複数の工具が保管位置に平行に配置されるため、使用したい工具のみを取り出すのが煩雑になり、時間がかかる点で改善の余地がある。

【0006】

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、使用する工具を簡単に取り出すことができる折りたたみ工具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明に係る折りたたみ工具は、
一端に作用部を有する工具と、
前記工具の作用部を着脱可能に保持する保持部と、
前記保持部を取り囲み、かつ前記保持部を支持する支持部を有する枠体と、
を備え、
前記工具の他端は、前記枠体を軸として前記枠体のなす平面に対して垂直な方向に前記作用部が回動可能に前記枠体に取り付けられており、
前記工具の収納状態では前記作用部が前記保持部に保持され、前記工具の展開状態では前記作用部が前記保持部から離れる。

【0008】

前記枠体は、輪環型である、
こととしてもよい。

【0009】

前記作用部は、強磁性体であって、
前記保持部は、磁石である、
こととしてもよい。

【0010】

上記本発明に係る折りたたみ工具は、
前記枠体における前記工具の他端の位置を決める位置決め部をさらに備える、
こととしてもよい。

【0011】

前記工具は、前記作用部の種類又は前記作用部のサイズが互いに異なる複数である、
こととしてもよい。

【0012】

複数の前記工具は、マイナスドライバー及び互いに２面幅が異なる複数の六角レンチである、
こととしてもよい。

【0013】

複数の前記六角レンチは、７本であって、
前記マイナスドライバーは、１本である、
こととしてもよい。

【発明の効果】

【0014】

本発明によれば、使用する工具を簡単に取り出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】本発明の実施の形態に係る折りたたみ工具の収納状態を示す図である。

【図2】図１に示す折りたたみ工具の断面の一部を示す図である。

【図3】図１に示す折りたたみ工具の展開状態の一部を示す図である。

【図4】工具の一態様を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態及び図面によって限定されるものではない。なお、下記の実施の形態において、“有する”、“含む”又は“含有する”といった表現は、“からなる”又は“から構成される”という意味も包含する。

【0017】

図１は、鉛直方向から平面視した本実施の形態に係る折りたたみ工具１００を示す。折りたたみ工具１００は、刃先の種類又は刃先のサイズが互いに異なる複数の工具と、保持部１と、棒状の枠体２とを備える。具体的には、折りたたみ工具１００は、上記工具として、７本の六角レンチ１１、１２、１３、１４、１５、１６及び１７、並びに１本のマイナスドライバー１８を備える。六角レンチ１１～１７は互いに２面幅が異なる。六角レンチ１１、１２、１３、１４、１５、１６、１７及びマイナスドライバー１８は、それぞれ一端１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａ、１５ａ、１６ａ、１７ａ及び１８ａに刃先を有する。六角レンチ１１～１７の刃先は、六角穴付きボルト等に挿入される部分である。マイナスドライバー１８の刃先はネジ頭の溝に挿入される部分である。

【0018】

保持部１は、六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８の刃先を着脱可能に保持する。保持部１は磁石で形成されており、例えば鉄等の強磁性体である刃先を保持することができる。

【0019】

枠体２は、鉛直方向からの平面視において保持部１を取り囲む輪環型である。枠体２は、保持部１を支持する支持部３を有する。支持部３は、輪環型の枠体２から枠体２の中心を通って反対側へ架橋する平板状の部材である。支持部３は、支持部３の一端を枠体２に固定し、他端を枠体２の反対側に固定することで枠体２に設置することができる。

【0020】

保持部１は、輪環型の枠体２の中心となる支持部３上に配置される。保持部１は、例えば、接着剤又は両面テープで支持部３に固定されてもよい。

【0021】

六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８の一端１１ａ、１２ａ、１３ａ、１４ａ、１５ａ、１６ａ、１７ａ及び１８ａそれぞれに対する六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８の他端１１ｂ、１２ｂ、１３ｂ、１４ｂ、１５ｂ、１６ｂ、１７ｂ及び１８ｂは、枠体２を軸として鉛直方向に刃先が回動可能に枠体２に取り付けられている。図１における１点鎖線Ｘ－Ｘ’で折りたたみ工具１００を切断し、矢視したときの断面を示す図２を参照すると、六角レンチ１６は、長手方向が一端１６ａから枠体２に向かって延び、枠体２の表面に沿って湾曲して一端１６ａの方向に折り返されることで枠体２に取り付けられている。これにより、六角レンチ１６は、枠体２を軸として一端１６ａ、すなわち六角レンチ１６の刃先が鉛直方向に回動可能となる。

【0022】

他端１６ｂが枠体２を軸として鉛直方向に刃先が回動可能に枠体２に取り付けられているため、六角レンチ１６の収納状態では、刃先が保持部１に保持され、六角レンチ１６の展開状態では刃先が保持部１から離れる。図３は、鉛直方向からの平面視した、六角レンチ１６を展開状態とした折りたたみ工具１００の一部を示す。六角レンチ１６は、展開状態では刃先が保持部２から離れ、保持部１が位置する枠体２の内側に対して外側にある。ここでは、六角レンチ１６を例に説明したが、収納状態と展開状態は、六角レンチ１１～１５、１７及びマイナスドライバー１８についても同様である。

【0023】

図１に戻って、折りたたみ工具１００は、位置決め部４ａ～４ｊ（以下、総称を位置決め部４とする）をさらに備える。位置決め部４は、枠体２における六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８それぞれの他端１１ｂ、１２ｂ、１３ｂ、１４ｂ、１５ｂ、１６ｂ、１７ｂ及び１８ｂの位置を決める。位置決め部４はチューブであって、枠体２をチューブ内部に通すことで、枠体２の任意の位置に配置される。枠体２において位置決め部４が配置されていない部分に六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８が位置するため、枠体２における位置決め部４の配置に応じて、六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８それぞれの位置が決定される。位置決め部４は、枠体２における位置から動きにくい材質で形成される。例えば、位置決め部４は、枠体２の表面との摩擦係数が高いゴム等で形成される。

【0024】

例えば、六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８の刃先を保持部１に保持させた収納状態から、六角レンチ１１を使用する場合、六角レンチ１１を展開状態とすることで、六角レンチ１１を使用することができる。工具を使用する際、枠体２はグリップとして機能する。このため、枠体２を片手で把握できるサイズとするのが好ましい。

【0025】

折りたたみ工具１００は、鉛直方向からの平面視において保持部１を取り囲む枠体２に、六角レンチ１１等の他端１１ｂ等が枠体２を軸として鉛直方向に刃先が回動可能に取り付けられているため、保持部１に保持された複数の工具の刃先を見分けやすい。これにより、折りたたみ工具１００は、使用する六角レンチ１６等を簡単に取り出すことができる。さらには、使用しない収納状態の工具が使用する展開状態の工具の使用の妨げにならない。

【0026】

折りたたみ工具１００は、複数の工具を備えるようにしたが、工具は１本でもよい。また、枠体２は保持部１を取り囲む限り、平面視で輪環型に限らず、任意の形状でもよく、例えば環状、楕円型、多角形等であってもよい。また、ごく一部を欠く環状であってもよい。保持部１は、刃先を保持できる限り磁石でなくてもよい。例えば、刃先の形状に合致する凹部を有し、刃先が凹部に嵌まり込むことで刃先を保持してもよい。

【0027】

なお、折りたたみ工具１００は、携帯に適しているため、自転車用の折りたたみ工具として使用するのが好ましい。また、六角レンチ１１～１７及びマイナスドライバー１８に限らず、工具はプラスドライバー等であってもよい。

【0028】

なお、本実施の形態では、工具は、長手方向が一端から枠体２に向かって延び、枠体２の表面に沿って湾曲して一端の方向に折り返されることで枠体２に取り付けられていることとしたがこれに限らない。例えば、図４に示すように、六角レンチ１６が他端１６ｂに貫通孔１６ｃを備え、貫通孔１６ｃ内を水平方向に枠体２が通る。こうすることで、六角レンチ１６の他端１６ｂは、枠体２を軸として鉛直方向に刃先が回動可能に枠体２に取り付けられる。

【0029】

上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。

【産業上の利用可能性】

【0030】

本発明は、携帯用の工具、特に自転車用の工具に適している。

【符号の説明】

１ 保持部、２ 枠体、３ 支持部、４，４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ，４ｅ，４ｆ，４ｇ，４ｈ，４ｉ，４ｊ 位置決め部、１１，１２，１３，１４，１５，１６，１７ 六角レンチ、１１ａ，１２ａ，１３ａ，１４ａ，１５ａ，１６ａ，１７ａ，１８ａ 一端、１１ｂ，１２ｂ，１３ｂ，１４ｂ，１５ｂ，１６ｂ，１７ｂ，１８ｂ 他端、１６ｃ 貫通孔、１８ マイナスドライバー、１００ 折りたたみ工具

【要約】

【課題】使用する工具を簡単に取り出すことができる折りたたみ工具を提供する。
【解決手段】折りたたみ工具１００は、一端１１ａに刃先を有する六角レンチ１１と、六角レンチ１１の刃先を着脱可能に保持する保持部１と、鉛直方向からの平面視において保持部１を取り囲み、かつ保持部１を支持する支持部３を有する棒状の枠体２と、を備える。六角レンチ１１の他端１１ｂは、枠体２を軸として鉛直方向に刃先が回動可能に枠体２に取り付けられている。六角レンチ１１の収納状態では刃先が保持部１に保持され、六角レンチ１１の展開状態では刃先が保持部１から離れる。
【選択図】図１

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】