(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】空調パネル
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
F24F5/00 K
(21)【出願番号】P 2024082396
(22)【出願日】2024-05-21
【審査請求日】2024-05-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518163839
【氏名又は名称】ポルタパーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓樹
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-336233(JP,A)
【文献】特開平01-239347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル状に形成され空調効果を得る空調パネルであって、
液冷媒の貯留部を有し、一面側からの熱によって冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器からの蒸気冷媒を導入して、他面側への放熱によって凝縮液化させる凝縮器と、
前記蒸発器からの蒸気冷媒を前記凝縮器に導く蒸気流路と、
前記凝縮器の液冷媒を前記蒸発器に導く液流路と、
前記蒸気流路に設けられ温度条件を満たした場合に前記蒸発器側に動作して開放状態となり、前記温度条件を満たさない場合に前記凝縮器側に動作して閉塞状態となる感温バルブと、
前記蒸気流路に設けられ前記蒸発器側の圧力が前記凝縮器側の圧力よりも所定圧力以上高い場合に前記凝縮器側に動作して開放状態となり、前記蒸発器側の圧力が前記凝縮器側の圧力よりも高くない場合に前記蒸発器側に動作して閉塞状態となる逆止弁と、
を備えることを特徴とする空調パネル。
【請求項2】
前記蒸気流路に設けられた貫通孔を有する板状のプレート部材をさらに備え、
前記感温バルブは、前記プレート部材の前記蒸発器側に設けられ、前記温度条件を満たした場合に前記プレート部材から離間する方向に動作して前記貫通孔を開放した開放状態となり、前記温度条件を満たさない場合に前記プレート部材側に動作して前記貫通孔を塞ぐ閉塞状態となり、
前記逆止弁は、前記感温バルブが設けられる前記プレート部材の前記凝縮器側に設けられ、前記蒸発器側の圧力が前記凝縮器側の圧力よりも所定圧力以上高い場合に前記プレート部材から離間する方向に動作して前記貫通孔を開放した開放状態となり、前記蒸発器側の圧力が前記凝縮器側の圧力よりも所定圧力以上高くない場合に前記プレート部材側に動作して前記貫通孔を塞ぐ閉塞状態となる
ことを特徴とする請求項1に記載の空調パネル。
【請求項3】
前記感温バルブは、前記凝縮器側の温度が所定温度以上である場合に前記温度条件を満たして開放状態となる
ことを特徴とする請求項1に記載の空調パネル。
【請求項4】
前記感温バルブは、前記凝縮器側の温度が所定温度未満である場合に前記温度条件を満たして開放状態となる
ことを特徴とする請求項1に記載の空調パネル。
【請求項5】
前記凝縮器は、冷媒の貯留部を有し、前記他面側からの熱によっても冷媒を蒸発させる第1の蒸発凝縮器であって、
前記蒸発器は、前記他面側からの熱によって蒸発した蒸気冷媒を導入して前記一面側への放熱によって凝縮液化させる第2の蒸発凝縮器であって、
前記蒸気流路は、前記第1の蒸発凝縮器からの蒸気冷媒を前記第2の蒸発凝縮器に導くと共に、前記第2の蒸発凝縮器からの蒸気冷媒を前記第1の蒸発凝縮器に導き、
前記液流路は、前記第1の蒸発凝縮器の液冷媒を前記第2の蒸発凝縮器に導くと共に、前記第2の蒸発凝縮器の液冷媒を前記第1の蒸発凝縮器に導き、
前記感温バルブは、
第1の温度条件を満たした場合に前記第2の蒸発凝縮器側に動作して開放状態となり、前記第1の温度条件を満たさない場合に前記第1の蒸発凝縮器側に動作して閉塞状態となる第1感温バルブと、
第2の温度条件を満たした場合に前記第1の蒸発凝縮器側に動作して開放状態となり、前記第2の温度条件を満たさない場合に前記第2の蒸発凝縮器側に動作して閉塞状態となる第2感温バルブと、を有し、
前記逆止弁は、
前記第1感温バルブと対応して配置され、前記第2の蒸発凝縮器側の圧力が前記第1の蒸発凝縮器側の圧力よりも第1の所定圧力以上高い場合に前記第1の蒸発凝縮器側に動作して開放状態となり前記第2の蒸発凝縮器側の圧力が前記第1の蒸発凝縮器側の圧力よりも前記第1の所定圧力以上高くない場合に前記第2の蒸発凝縮器側に動作して閉塞状態となる第1逆止弁と、
前記第2感温バルブと対応して配置され、前記第1の蒸発凝縮器側の圧力が前記第2の蒸発凝縮器側の圧力よりも第2の所定圧力以上高い場合に前記第2の蒸発凝縮器側に動作して開放状態となり前記第1の蒸発凝縮器側の圧力が前記第2の蒸発凝縮器側の圧力よりも前記第2の所定圧力以上高くない場合に前記第2の蒸発凝縮器側に動作して閉塞状態となる第2逆止弁と、を有し、
前記第1感温バルブ、前記第2感温バルブ、前記第1逆止弁、及び、前記第2逆止弁は、同一配管内に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の空調パネル。
【請求項6】
前記蒸気流路と前記液流路とは同一の共用流路とされ、当該共用流路に前記感温バルブと前記逆止弁とが設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空調パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一面側に蒸発器を形成し、他面側に凝縮器を形成した空調パネルが提案されている(特許文献1参照)。この空調パネルは、蒸発器と凝縮器とが冷媒流路によって接続され、冷媒流路には、2つの感温バルブが設けられている。第1感温バルブは、一面側の温度が所定温度以上で開放される。第2感温バルブは、他面側の温度が所定温度未満で開放される。これにより、例えば一面側が室内側であり他面側が室外側であるとすると、室内側が所定温度以上であり室外側が所定温度未満であるときに冷媒流路が開放され、空調パネルは冷房運転を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の空調パネルは、冷媒流路に2つの感温バルブが設けられていることから、逆圧によって開いてしまい、好ましくない流路が形成されてしまう場合がある。
図14は、比較例に係る冷媒流路の一例を示す概略図である。
図14に示すように、冷媒流路を有する空調パネルは、冷房運転を行うものであって、例えば蒸発器側が室内側とされ、凝縮器側が室外側とされている。この場合において、冷媒流路の蒸発器側にプレート部材Pと第1感温バルブTV1とが設けられ、冷媒流路の凝縮器側にプレート部材Pと第2感温バルブTV2とが設けられているとする。
【0005】
第1感温バルブTV1は、いわゆるウォームオープンのバルブであって、温度磁石TV1a、及び動作板TV1bを備え、周囲温度が所定温度以上で開放される。第2感温バルブTV2は、いわゆるコールドオープンのバルブであって、温度磁石TV2a、及び動作板TV2bを備え、周囲温度が所定温度未満で開放される。ここで、例えば蒸発器側となる室内が暖かく第1感温バルブTV1が開放されたとする(破線参照)。この場合において、空調パネルの室外面に日光があたり日射の影響から凝縮器内が高圧化したとする。この場合、第2感温バルブTV2は、温度条件を満たさなくても、凝縮器側の圧力によって開放してしまう(破線参照)。
【0006】
このように、冷媒流路に2つの感温バルブTV1,TV2が設けられている場合、圧力の関係から好ましくない流路が形成されてしまう場合がある。さらに、冷媒流路に2つの感温バルブTV1,TV2が設けられている場合、両者の温度設定にズレが生じた場合には、両方が閉じて空調パネルが動かなくなったり、両方が開いて好ましくない流路が形成されてしまったりすることがあり得る。よって、より適切な運転を行うという点で課題があるものであった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、より適切に運転を行うことが可能な空調パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空調パネルは、パネル状に形成され空調効果を得る空調パネルであって、液冷媒の貯留部を有し、一面側からの熱によって冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器からの蒸気冷媒を導入して、他面側への放熱によって凝縮液化させる凝縮器と、前記蒸発器からの蒸気冷媒を前記凝縮器に導く蒸気流路と、前記凝縮器の液冷媒を前記蒸発器に導く液流路と、前記蒸気流路に設けられ温度条件を満たした場合に前記蒸発器側に動作して開放状態となり、前記温度条件を満たさない場合に前記凝縮器側に動作して閉塞状態となる感温バルブと、前記蒸気流路に設けられ前記蒸発器側の圧力が前記凝縮器側の圧力よりも所定圧力以上高い場合に前記凝縮器側に動作して開放状態となり、前記蒸発器側の圧力が前記凝縮器側の圧力よりも高くない場合に前記蒸発器側に動作して閉塞状態となる逆止弁と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より適切に運転を行うことが可能な空調パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る空調パネルを示す断面図である。
【
図3】
図2に示した蒸気流路内の詳細を示す構成図であって、(a)は
図2に示したプレート部材の一面側を示す斜視図であり、(b)は(a)の一部構成を示す構成図である。
【
図4】
図2に示したプレート部材の他面側を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示した液流路内の詳細を示す拡大図である。
【
図8】第2実施形態に係る空調パネルを示す断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る空調パネルの詳細を示す構成図であって、(a)は蒸気流路の拡大図であり、(b)は(a)の一部構成を示す拡大図である。
【
図10】第3実施形態に係る空調パネルを示す断面図である。
【
図11】
図10に示した共用流路に設けられる構成の一面側を示す斜視図である。
【
図12】
図10に示した共用流路に設けられる構成の他面側を示す斜視図である。
【
図13】第1実施形態に係る蒸気流路における感温バルブと逆止弁との変形例を示す拡大図である。
【
図14】比較例に係る冷媒流路の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る空調パネルを示す断面図である。なお、
図1において一部構成については図示を省略又は簡略化している。
図1に示す空調パネル1はパネル状(板状)に形成されて空調効果をもたらすものであって、特に室内に冷房効果をもたらすものとして機能する。なお、
図1においては空調パネル1が垂直面に用いられる例を図示するが、可能であれば傾斜面や水平面に用いられてもよい。
【0013】
図1に示す例に係る空調パネル1は、蒸発器10と、凝縮器20と、蒸気流路30と、液流路40とを備えて構成されている。
【0014】
蒸発器10は、空調パネル1の一面側(室内側)に設けられ、一面側からの熱によって冷媒を蒸発させるものである。この蒸発器10は、液冷媒の貯留部11と、ウィック層12とを有している。貯留部11は、液冷媒を貯留可能な部位であって蒸発器10の下方に位置している。ウィック層12は、貯留部11に貯留された液冷媒を毛細管現象によって吸上げ保持するものである。ウィック層12は、空調パネル1の一面側から熱を受け易いように、蒸発器10のうち一面側に設けられている。蒸発器10は、ウィック層12が液冷媒を吸上げ保持することで、一面側からの熱によって効率良く冷媒を蒸発させる。
【0015】
凝縮器20は、蒸発器10からの蒸気冷媒を導入して、空調パネル1の他面側(室外側)への放熱によって凝縮液化させるものである。凝縮によって得られた液冷媒は、凝縮器20内において下方に落下していくこととなる。
【0016】
蒸気流路30は、蒸発器10と凝縮器20とを接続するものであって、蒸発器10からの蒸気冷媒を凝縮器20に導くものである。この蒸気流路30は、例えば空調パネル1のうち上部側となる位置に設けられ、蒸発器10の上部と凝縮器20の上部とを接続している。
【0017】
液流路40は、蒸気流路30と同様に蒸発器10と凝縮器20とを接続するものである。この液流路40は、凝縮器20からの液冷媒を蒸発器10に導くものである。この液流路40は、例えば空調パネル1のうち下部側となる位置に設けられ、蒸発器10の下部(但し貯留部11以上の位置)と凝縮器20の下部とを接続している。
【0018】
図2は、
図1に示した蒸気流路30の拡大図である。
図2に示すように、空調パネル1(
図1参照)は、蒸気流路30にプレート部材Pと感温バルブ50とを備えている。
【0019】
図3は、
図2に示した蒸気流路30内の詳細を示す構成図であって、(a)は
図2に示したプレート部材Pの一面側を示す斜視図である。また、
図3(b)は(a)の一部構成を示す構成図である。
【0020】
まず、
図2に示すように、プレート部材Pは蒸気流路30を塞ぐように設けられるものである。
図3(a)に示すように、このプレート部材Pは、貫通孔THを有している。よって、プレート部材Pは、貫通孔THのみで蒸気流路30を開放状態とするものである。また、感温バルブ50は、温度磁石51と、動作板52とを備えている。
【0021】
温度磁石51は、不図示の板材等に支持されており、プレート部材Pの一面側の近傍に位置している。温度磁石51は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、永久磁石51aと、感温性フェライト51bと、軟鉄ヨーク51cとを備えて構成されている。感温性フェライト51bは、キュリー温度(所定温度)以上で非磁性体となり、キュリー温度未満で磁性体となるものである。温度磁石51は、永久磁石51aと重なるように永久磁石51aのプレート部材P側に感温性フェライト51bが設けられ、永久磁石51aと感温性フェライト51bとの双方を挟むように、これらの両端に軟鉄ヨーク51cが設けられている。
【0022】
このような温度磁石51は、周囲温度がキュリー温度(所定温度)未満である場合、感温性フェライト51bが磁性体となる。これにより、
図3(b)に示すように、磁束は感温性フェライト51bを通ることとなり、周囲に磁力を作用させない状態となる(実線矢印参照)。一方、温度磁石51は、周囲温度がキュリー温度(所定温度)以上となると、感温性フェライト51bが非磁性体となって磁束が感温性フェライト51bを通過せず、周囲に磁力を作用させる状態となる(破線矢印参照)。
【0023】
動作板52は、上端部52aがプレート部材Pに一体に接続された磁性体の板材である。この動作板52は、基本状態において下端部52bがプレート部材Pに接触して貫通孔THを塞いだ状態となる。また、動作板52は、周囲温度が所定温度以上であって温度磁石51が周囲に磁力を作用させた場合、温度磁石51からの磁力によって上端部52aを中心に回動する。すなわち、下端部52bが蒸発器10側に動作してプレート部材Pから離間する。このため、貫通孔THは開放されることとなる。一方、動作板52は、周囲温度が所定温度未満であって温度磁石51が周囲に磁力を作用させない場合、基本状態となる。すなわち、下端部52bが凝縮器20側に動作してプレート部材Pに接触し貫通孔THを塞ぐこととなる。
【0024】
以上より、第1実施形態に係る感温バルブ50は、周囲温度が所定温度以上となると(すなわち温度条件を満たした場合)温度磁石51から磁力によって動作板52を動作させて開放状態となる。また、感温バルブ50は、周囲温度が所定温度未満となると(すなわち温度条件を満たさない場合)温度磁石51からの磁力が動作板52に作用せず閉塞状態となる。なお、感温バルブ50の動作板52は、上端部52aを中心にして回動する構成となっているが、回動方向は、特に問うものではない。
【0025】
さらに、
図2に示すように、空調パネル1は、蒸気流路30に逆止弁60を備えている。
図4は、
図2に示したプレート部材Pの他面側を示す斜視図である。逆止弁60は、蒸気冷媒の逆流を防ぐものであって、動作板61を備えている。
【0026】
動作板61は、下端部61aがプレート部材Pに一体に接続された板材である。この動作板61は、基本状態において上端部61bがプレート部材Pに接触して貫通孔THを塞いだ状態となる。動作板61は、温度磁石51が磁力を作用させる状態において影響を受けないように例えば非磁性体の板材によって構成されている。
【0027】
この動作板61は、蒸発器10側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも所定圧力(0を超える任意の圧力)以上高くなった場合に圧力差によって上端部61bがプレート部材Pから離間するように凝縮器20側に動作する。このため、貫通孔THは開放されることとなる。一方、動作板61は、蒸発器10側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも所定圧力以上高くない場合、基本状態となって上端部61bがプレート部材Pに接触し(蒸発器10側に動作し)貫通孔THを塞ぐこととなる。
【0028】
なお、逆止弁60の動作板61は、下端部61aを中心にして回動する構成となっているが、回動方向は、特に問うものではない。また、感温バルブ50の動作板52と逆止弁60の動作板61は、貫通孔THを挟んで回動中心が互いに反対側となっているが、特に反対側に限るものでもない。
【0029】
また、本実施形態に係る空調パネル1において感温バルブ50(特に温度磁石51)は、蒸発器10よりも凝縮器20に近い位置に設けられている。すなわち、感温バルブ50は、
図2に示す蒸発器10と凝縮器20との中間位置となる中心線Cよりも凝縮器20側に設けられている。これにより、本実施形態に係る空調パネル1において感温バルブ50は、凝縮器20側の温度によって動作することとなる。
【0030】
図5は、
図1に示した液流路40内の詳細を示す拡大図である。
図5に示すように、空調パネル1(
図1参照)は、液流路40内にも、プレート部材P、感温バルブ50及び逆止弁60を備えている。プレート部材P、感温バルブ50及び逆止弁60の構成は、蒸気流路30に設けられたものと同様である。
【0031】
図6は、蒸気流路30付近の変形例を示す拡大図である。
図6に示すように、空調パネル1(
図1参照)は、蒸気流路30に連続して凝縮器20内まで延びる延長流路ELを有していてもよい。また、プレート部材P、感温バルブ50、及び逆止弁60は、延長流路EL内に設けられていてもよい。この場合、感温バルブ50(特に温度磁石51)は、凝縮器20内に設けられることとなる。これにより、感温バルブ50は、より凝縮器20側の温度によって制御され易くなる。
【0032】
図7は、液流路40の変形例を示す拡大断面図である。
図7に示すように、液流路40は、フロート弁41を有して構成されていてもよい。このフロート弁41は、鉛直方向に設置される円筒型のフロート室41a有し、その上端41bは逆漏斗状に絞られて凝縮器20に接続され、下端41cは漏斗状に絞られて蒸発器10に接続される。フロート室41a内には上下端の漏斗又は逆漏斗のどちらに押し当てられても液流路40を閉塞することができるフロート41dが入れられている。従って、このフロート弁41は、フロート室41aの高さの範囲に冷媒液面がある場合にのみ液流路40を開放することになる。
【0033】
加えて、液流路40は、
図5に示すように、一部気相で一部が液相となるものではなく、全部液相となるように構成されてもよい。この場合、液流路40には、感温バルブ50が設けられていてもよいし、設けられていなくともよい。また、液流路40には、逆止弁60が設けられるか、特開2021-28555号公報の段落0038及び段落0040に記載のように十分な液面高さが確保されるよう冷媒量を調整しておく必要がある。
【0034】
次に、本実施形態に係る空調パネル1の動作を説明する。まず、冬場においては室外の温度が低温となる。このため、蒸気流路30及び液流路40それぞれの感温バルブ50の周囲温度は所定温度以上とならず(温度条件を満たさず)、感温バルブ50は閉塞状態となる。よって、冬場に室内から室外に熱が貫流することを防止することができる。
【0035】
一方、夏場には室外の温度が高温となる。このため、感温バルブ50の周囲温度は所定温度以上となり(温度条件を満たし)、感温バルブ50は温度磁石51の磁力によって開放状態となる。また、夏場において室内に熱が籠る現状が生じる場合には、蒸発器10の温度が高くなり蒸発器10内の圧力が大きくなる。これにより、蒸発器10側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも所定圧力以上高くなって、逆止弁60も開放状態となる。よって、室外側の温度が所定温度以上となる夏場において室外に熱を放出することができる。
【0036】
また、例えば夏場において室外の温度がより高温となり、蒸発器10側よりも凝縮器20側の温度が高くなったとする。この場合、室内側から室外側への熱貫流を行うことはできず、蒸気流路30及び液流路40は閉塞状態となるべきである。この際、本実施形態に係る空調パネル1は、蒸発器10側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも所定圧力以上高くならず、逆止弁60が閉塞状態となる。よって、蒸気流路30及び液流路40が開放状態となって望ましくない流路が形成されることも防止される。
【0037】
さらに、感温バルブ50は各流路30,40に2つずつ備えることはなく、2つの感温バルブに係る温度設定のズレにより、両方が閉じて空調パネル1が動かなくなったり、両方が開いて好ましくない流路が形成されてしまったりすることの防止を図ることとなる。
【0038】
このようにして、本実施形態に係る空調パネル1によれば、温度条件を満たした場合に開放状態となり、そうでない場合に閉塞状態となる感温バルブ50を備えている。さらに、空調パネル1は、蒸発器10側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも高い場合に凝縮器20側に動作して開放状態となり、そうでない場合に蒸発器10側に動作して閉塞状態となる逆止弁60を備える。このため、たとえ日射によって凝縮器20側が温められて蒸発器10側よりも凝縮器20側の圧力が高くなったとしても逆止弁60によって閉塞状態が維持され、温度条件を満たさないにもかかわらず圧力によって強制的に開放状態となることが防止される。加えて、一方が圧力によって動作する逆止弁60であることから、両方が感温バルブ50である場合と比較すると、感温ズレに関する不具合の可能性を低減することができる。従って、より適切に運転を行うことが可能な空調パネル1を提供することができる。
【0039】
また、蒸気流路30に設けられた貫通孔THを有する板状のプレート部材Pの蒸発器10側に感温バルブ50を有し、プレート部材Pの凝縮器20側に逆止弁60を有するため、同一のプレート部材Pの一面側と他面側とにおいて貫通孔THを塞いだり開放したりする。一方、後述する
図13のように、感温バルブ50と逆止弁60とが離れている場合には、両者間のエリアにおける圧力の関係上、感温バルブ50が早めに開いたり、なかなか開かなかったりする可能性がある。しかし、プレート部材Pの一面側と他面側とにそれぞれの弁を設けると、両者間のエリアが非常に狭くなってエリア内の圧力によって感温バルブ50の動作に与える影響をより少なくすることができる。
【0040】
また、感温バルブ50は周囲温度が所定温度以上であるときに開放状態となる。このため、感温バルブ50は、例えば蒸発器10側である一面側が室内側とされ、凝縮器20側である他面側が室外側とされたときに、室外側の温度が所定温度以上であるときに開放状態となる。よって、室外側の温度が所定温度以上であるという夏場等において冷房運転を行うことができ、夏場等において適切に冷房運転を行うことができる。
【0041】
次に、第2実施形態に係る空調パネルを説明する。第2実施形態に係る空調パネルは、第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
【0042】
図8は、第2実施形態に係る空調パネルを示す断面図である。
図8に示す空調パネル2は、第1実施形態に係る空調パネル1と表裏が逆に配置されている。このため、室外側に蒸発器10が配置されており、室内側に凝縮器20が配置されている。また、蒸発器10及び凝縮器20の配置の関係上、第2実施形態に係る空調パネル2は室内に暖房効果をもたらすものとなる。なお、第2実施形態に係る空調パネル2も第1実施形態と同様に可能であれば傾斜面や水平面に用いられてもよい。
【0043】
図9は、第2実施形態に係る空調パネル2の詳細を示す構成図であって、(a)は蒸気流路30の拡大図であり、(b)は(a)の一部構成を示す拡大図である。
図9(a)に示すように、第2実施形態において蒸気流路30には、プレート部材P、感温バルブ50、及び逆止弁60が設けられている。感温バルブ50(特に温度磁石51)は、第1実施形態と同様に、蒸発器10よりも凝縮器20に近い位置に設けられている。また、感温バルブ50は凝縮器20内に設けられていてもよい。
【0044】
ここで、感温バルブ50は、第1実施形態のものと同様であるが、温度磁石51の構成が第1実施形態のものと異なっている。第2実施形態において温度磁石51は、
図9(b)に示すように、永久磁石51aと、感温性フェライト51bとを備えて構成されている。感温性フェライト51bは、永久磁石51aの両端に設けられると共に、永久磁石51aよりもプレート部材P側に突出した形状となっている。このため、温度磁石51は、周囲温度が所定温度未満となると感温性フェライト51bが磁性体となって周囲に磁力を作用させ(破線矢印参照)、周囲温度が所定温度以上となると感温性フェライト51bが非磁性体となって周囲に磁力を作用させないこととなる(実線矢印参照)。よって、動作板52は、温度磁石51の周囲温度が所定温度未満であるときにプレート部材Pから離間する方向(蒸発器10側)に動作して貫通孔THを開放状態とする。また、動作板52は、温度磁石51の周囲温度が所定温度以上であるときにプレート部材P側(凝縮器20側)に動作して貫通孔THを閉塞状態とする。
【0045】
次に、第2実施形態に係る空調パネル2の動作を説明する。まず、夏場においては室内の温度が高温となる。このため、蒸気流路30及び液流路40それぞれの感温バルブ50の周囲温度は所定温度未満とならず(温度条件を満たさず)、感温バルブ50は閉塞状態となる。よって、夏場に室外から室内に熱が貫流することを防止することができる。
【0046】
一方、冬場には室内の温度が低温となる。このため、感温バルブ50の周囲温度は所定温度未満となり(温度条件を満たし)、感温バルブ50は温度磁石51の磁力によって開放状態となる。また、冬場において空調パネル2の室外面に日射が当たる状況等においては、蒸発器10の温度が高くなり蒸発器10内の圧力が大きくなる。これにより、蒸発器10側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも所定圧力以上高くなって、逆止弁60も開放状態となる。よって、室内側の温度が所定温度未満となる冬場において室内に熱を取り込むことができる。
【0047】
また、例えば冬場においてエアコン等により室内の温度が高温となり、蒸発器10側よりも凝縮器20側の温度が高くなったとする。この場合、仮に凝縮器20側の圧力が高くなったとしても、逆止弁60によって蒸気流路30等は閉じられることとなる。よって、蒸気流路30及び液流路40が開放状態となって望ましくない流路が形成されることも防止される。
【0048】
さらに、感温バルブ50は各流路30,40に2つずつ備えることはなく、2つの感温バルブ50に係る温度設定のズレにより、両方が閉じて空調パネル2が動かなくなったり、両方が開いて好ましくない流路が形成されてしまったりすることの防止を図ることとなる。
【0049】
このようにして、第2実施形態に係る空調パネル2によれば、第1実施形態と同様に、より適切に運転を行うことができ、且つ、感温バルブ50の動作に与える影響をより少なくすることができる。
【0050】
また、感温バルブ50は周囲温度が所定温度未満であるときに開放状態となる。このため、感温バルブ50は、例えば蒸発器10側である一面側が室外側とされ、凝縮器20側である他面側が室内側とされたときに、室内側の温度が所定温度未満であるときに開放状態となる。よって、室内側の温度が所定温度未満であるという冬場等において暖房運転を行うことができ、冬場等において適切に暖房運転を行うことができる。
【0051】
次に、第3実施形態に係る空調パネルを説明する。第3実施形態に係る空調パネルは、第1実施形態及び第2実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。以下、第1実施形態及び第2実施形態との相違点を説明する。
【0052】
図10は、第3実施形態に係る空調パネルを示す断面図である。
図10に示す空調パネル3は、第1実施形態に係る空調パネル1と第2実施形態に係る空調パネル2とが組み合わされた構成となっている。このため、空調パネル3は、夏場に室内に冷房効果をもたらすと共に、冬場に室内に暖房効果をもたらすものとなる。なお、第3実施形態に係る空調パネル3も第1実施形態及び第2実施形態と同様に可能であれば傾斜面や水平面に用いられてもよい。
【0053】
図10に示すように、第3実施形態に係る空調パネル3は、第1の蒸発凝縮器70と、第2の蒸発凝縮器80とを備えている。
【0054】
第1の蒸発凝縮器70は、空調パネル3の室外側に設けられており、第1実施形態に係る凝縮器20を基本とし、さらに第2実施形態に係る蒸発器10の機能を追加したものである。すなわち、第1の蒸発凝縮器70は、貯留部71とウィック層72とを有し、ウィック層72により貯留部71から吸い上げて保持した冷媒を他面側からの熱によって蒸発させるものである。さらに、第1の蒸発凝縮器70は、第2の蒸発凝縮器80からの蒸気冷媒を導入して、空調パネル3の他面側への放熱によって凝縮液化させるものである。
【0055】
第2の蒸発凝縮器80は、空調パネル3の室内側に設けられており、第1実施形態に係る蒸発器10を基本とし、さらに第2実施形態に係る凝縮器20の機能を追加したものである。すなわち、第2の蒸発凝縮器80は、貯留部81とウィック層82を有し、ウィック層82により吸上げ保持された冷媒を一面側からの熱によって蒸発させるものである。さらに、第2の蒸発凝縮器80は、第1の蒸発凝縮器70からの蒸気冷媒を導入して、空調パネル3の一面側への放熱によって凝縮液化させるものである。
【0056】
また、第3実施形態に係る空調パネル3は、蒸気流路30及び液流路40を共通化した同一の共用流路90を備えている。共用流路90は、蒸気冷媒と液冷媒との双方が流通するものとなる。この共用流路90は、暖房用の共用流路と冷房用の共用流路との2本が設けられていてもよいが、さらに第3実施形態では、暖房用と冷房用とでも共通化された1本の共用流路90とされている。このため、共用流路90は、暖房時において、第1の蒸発凝縮器70からの蒸気冷媒が第2の蒸発凝縮器80に向かう流路となると共に、第2の蒸発凝縮器80にて液化した液冷媒が第1の蒸発凝縮器70に向かう流路となる。さらに、共用流路90は、冷房時において、第2の蒸発凝縮器80からの蒸気冷媒が第1の蒸発凝縮器70に向かう流路となると共に、第1の蒸発凝縮器70にて液化した液冷媒が第2の蒸発凝縮器80に向かう流路となる。
【0057】
なお、第3実施形態に係る空調パネル3において共用流路90の高さ位置が適切化されている。すなわち、共用流路90は、運転時において第1の蒸発凝縮器70と第2の蒸発凝縮器80とのうち冷媒が全量一方側(凝縮器として機能する側)に隔たったときの水位よりも下側、且つ、第1の蒸発凝縮器70と第2の蒸発凝縮器80との水位が等しくなったときの水位よりも上側となる位置に設置される必要がある。
【0058】
ここで、このような共用流路90には、
図11及び
図12に示すような感温バルブ50及び逆止弁60が設けられている。
図11は、
図10に示した共用流路90に設けられる構成の一面側を示す斜視図であり、
図12は、
図10に示した共用流路90に設けられる構成の他面側を示す斜視図である。
【0059】
図11及び
図12に示すように、共用流路90(
図10参照)には、1枚のプレート部材Pと、感温バルブ50と、逆止弁60とが設けられている。感温バルブ50は、第1感温バルブ501と、第2感温バルブ502とを備え、逆止弁60は、第1逆止弁601と、第2逆止弁602とを備えている。
【0060】
図11及び
図12に示すように、プレート部材Pは、第1貫通孔TH1と第2貫通孔TH2とを有したものである。このプレート部材Pは、第1貫通孔TH1及び第2貫通孔TH2を除き、共用流路90を閉塞する。プレート部材Pの一面側には、第1貫通孔TH1に対応して第1感温バルブ501が設けられている。また、プレート部材Pの他面側には、第1貫通孔TH1に対応して(すなわち第1感温バルブ501に対応して)、第1逆止弁601が設けられている。第1感温バルブ501及び第1逆止弁601は、第1実施形態に示した感温バルブ50及び逆止弁60と同様である。
【0061】
すなわち、
図11に示すように、第1感温バルブ501は、周囲温度が所定温度以上となると(第1の温度条件を満たすと)、動作板521に磁力を作用させる温度磁石511を備えている。このため、第1感温バルブ501は、周囲温度が所定温度以上となった場合に動作板521の下端部52b1が第2の蒸発凝縮器80(
図10参照)側に動作して第1貫通孔TH1を開放する開放状態となる。また、第1感温バルブ501は、周囲温度が所定温度未満となると動作板521に磁力を作用させず下端部52b1が第1の蒸発凝縮器70(
図10参照)側に動作して第1貫通孔TH1を閉塞した閉塞状態となる。
【0062】
また、
図12に示すように、第1逆止弁601は、第2の蒸発凝縮器80(
図10参照)の圧力が第1の蒸発凝縮器70(
図10参照)の圧力より所定圧力(第1の所定圧力)以上高くなった場合に動作板611の上端部61b1が第1の蒸発凝縮器70側に動作して第1貫通孔TH1を開放する開放状態となる。さらに、第1逆止弁601は、第2の蒸発凝縮器80の圧力が第1の蒸発凝縮器70の圧力より所定圧力以上高くない場合に動作板611の上端部61b1が第2の蒸発凝縮器80側に動作して第1貫通孔TH1を閉塞する閉塞状態となる。
【0063】
プレート部材Pの他面側には、第2貫通孔TH2に対応して第2感温バルブ502が設けられている。また、プレート部材Pの一面側には、第2貫通孔TH2に対応して(すなわち第2感温バルブ502に対応して)、第2逆止弁602が設けられている。第2感温バルブ502及び第2逆止弁602は、第2実施形態に示した感温バルブ50及び逆止弁60と同様である。
【0064】
すなわち、第2感温バルブ502は、周囲温度が所定温度未満となると(第2の温度条件を満たすと)、動作板522に磁力を作用させる温度磁石512を備えている。このため、第2感温バルブ502は、周囲温度が所定温度未満となった場合に動作板522の下端部52b2が第1の蒸発凝縮器70側に動作して第2貫通孔TH2を開放する開放状態となる。また、第2感温バルブ502は、周囲温度が所定温度以上となると動作板522に磁力を作用させず下端部52b2が第2の蒸発凝縮器80側に動作して第2貫通孔TH2を閉塞した閉塞状態となる。
【0065】
また、
図11に示すように、第2逆止弁602は、第1の蒸発凝縮器70の圧力が第2の蒸発凝縮器80の圧力より所定圧力(第2の所定圧力)以上高くなった場合に動作板612の上端部61b2が第2の蒸発凝縮器80側に動作して第2貫通孔TH2を開放する開放状態となる。さらに、第2逆止弁602は、第1の蒸発凝縮器70の圧力が第2の蒸発凝縮器80の圧力より所定圧力以上高くない場合に動作板612の上端部61b2が第2の蒸発凝縮器80側に動作して第2貫通孔TH2を閉塞する閉塞状態となる。
【0066】
このように、第3実施形態において第1感温バルブ501、第2感温バルブ502、第1逆止弁601、及び第2逆止弁602は、同一配管内に配置されることとなる。ここで、上記した第1感温バルブ501の所定温度と、第2感温バルブ502の所定温度とは同じ温度であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、上記した第1逆止弁601の所定圧力と、第2逆止弁602の所定圧力とは同じ圧力であってもよいし、異なっていてもよい。また、プレート部材Pの位置は、共用流路90のうち第1の蒸発凝縮器70側でもよいし第2の蒸発凝縮器80側でもよい。また、プレート部材Pの位置はどちら側でもない中間位置であってもよい。
【0067】
次に、第3実施形態に係る空調パネル3の動作を説明する。まず、夏場においては気温が高くなる関係上、室内及び室外がともに高温となる。このため、共用流路90の第1感温バルブ501は、周囲温度が所定温度以上となって開放状態となる。また、夏場において室内に熱が籠る現状が生じる場合には、第2の蒸発凝縮器80の温度が高くなり第2の蒸発凝縮器80内の圧力が大きくなる。これにより、第2の蒸発凝縮器80側の圧力が第1の蒸発凝縮器70側の圧力よりも所定圧力以上高くなって、共用流路90の第1逆止弁601も開放状態となる。また、このような圧力関係となることから、少なくとも第2逆止弁602は、開放状態とならず閉塞状態が維持される。
【0068】
一方、冬場においては気温が低くなる関係上、室内及び室外がともに低温となる。このため、共用流路90の第2感温バルブ502は、周囲温度が所定温度未満となって開放状態となる。また、冬場において空調パネル3は、その設置位置によって室外側の表面に日光が当たる場合があり、このような場合には第1の蒸発凝縮器70の温度が高くなり第1の蒸発凝縮器70内の圧力が大きくなる。これにより、第1の蒸発凝縮器70側の圧力が第2の蒸発凝縮器80側の圧力よりも所定圧力以上高くなって、第2逆止弁602も開放状態となる。また、このような圧力関係となることから、少なくとも第1逆止弁601は、開放状態とならず閉塞状態が維持される。
【0069】
よって、第3実施形態に係る空調パネル3は、冬場において室内に熱を取り込むと共に夏場において室外に熱を放出して適切に冷暖房運転することができる。また、望ましくない流路の形成について防止も図られる。加えて、共用流路90によって構成の簡素化も図られている。
【0070】
このようにして、第3実施形態に係る空調パネル3によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、より適切に運転を行うことができる。
【0071】
また、第3実施形態によれば、第1の蒸発凝縮器70及び第2の蒸発凝縮器80と、第1感温バルブ501及び第2感温バルブ502と、第1逆止弁601及び第2逆止弁602とを備えている。このため、夏場等のように、第1感温バルブ501の周囲温度が所定温度以上となり、且つ、室内側に熱が籠っている状況において、適切に冷房運転を行うことができる。また、冬場等のように、第2感温バルブ502の周囲温度が所定温度未満となり、且つ、室外面に日射が当たるような状況において、適切に暖房運転を行うことができる。加えて、これら構成が同一の共用流路90に配置されているため、構成の簡素化も図られている。従って、構成の複雑化を抑えつつ、夏場及び冬場等において適切に冷暖房運転を行うことができる。
【0072】
さらに、第3実施形態によれば、蒸気流路30と液流路40とは同一の共用流路90とされ、当該共用流路90に感温バルブ50と逆止弁60とが設けられているため、蒸気冷媒用と液冷媒用との流路を共通化して、一層構成の簡略化を図ることができる。
【0073】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0074】
例えば、上記実施形態において感温バルブ50は温度磁石51,511,512を利用して開放状態と閉塞状態とを切り替えているが、特にこれに限らない。例えば感温バルブ50は、温度センサにより検出された温度に応じて制御部によって開閉されるもの等、他のものであってもよい。また、可能であれば、感温バルブ50は、バイメタル等の他の構成によって形成されていてもよい。
【0075】
また、第1及び第2実施形態に係る空調パネル1,2において蒸気流路30と液流路40とは別々の構成とされているが、第3実施形態のように蒸気冷媒と液冷媒とで共通の流路とされていてもよい。感温バルブ50及び逆止弁60は、共通の流路に設けられればよく、構成の簡素化を図ることができる。
【0076】
さらに、第3実施形態に係る空調パネル3は、1本の共用流路90ではなく、蒸気流路30と液流路40とを別々に備えていてもよい。この場合、蒸気流路30及び液流路40のそれぞれに、第1感温バルブ501、第2感温バルブ502、第1逆止弁601及び第2逆止弁602が設けられることとなる。この場合において、液流路40はフロート弁41を備える構成としてもよい。また、液流路40は
図5に示すように、一部気相で一部が液相となるものではなく、全部液相となるように構成されてもよい。この場合、上記したように、液流路40には感温バルブ50が設けられても設けられてなくともよく、逆止弁60が設けられるか、特開2021-28555号公報の段落0038及び段落0040に記載のように十分な液面高さが確保されるよう冷媒量を調整しておく必要がある。
【0077】
さらに、蒸気流路30は、以下のようになっていてもよい。
図13は、第1実施形態に係る蒸気流路30における感温バルブ50と逆止弁60との変形例を示す拡大図である。上記第1実施形態ではプレート部材Pを挟んで感温バルブ50と逆止弁60とが設けられていた。しかし、これに限らず、
図13に示すように、蒸気流路30は、2枚のプレート部材Pを備え、それぞれに感温バルブ50と逆止弁60とを備えていてもよい。なお、
図13に示す例においては、蒸発器10側のプレート部材P側に感温バルブ50が設けられ、凝縮器20側のプレート部材P側に逆止弁60が設けられているが、この位置関係は逆であってもよい。さらに、2枚のプレート部材Pに代えて、2枚のプレート部材P間を貫通孔TH(
図3等参照)相当の径を有する縮径管で構成してもよい。また、液流路40や第2実施形態及び第3実施形態も同様である。
【符号の説明】
【0078】
1~3 :空調パネル
10 :蒸発器
11 :貯留部
20 :凝縮器
30 :蒸気流路
40 :液流路
50 :感温バルブ
60 :逆止弁
70 :第1の蒸発凝縮器
71 :貯留部
80 :第2の蒸発凝縮器
81 :貯留部
90 :共用流路
501 :第1感温バルブ
502 :第2感温バルブ
601 :第1逆止弁
602 :第2逆止弁
P :プレート部材
TH :貫通孔
TH1 :第1貫通孔
TH2 :第2貫通孔
【要約】
【課題】より適切に運転を行うことが可能な空調パネルを提供する。
【解決手段】空調パネルは、パネル状に形成され空調効果を得るものであって、蒸発器10と、凝縮器20と、蒸発器10からの蒸気冷媒を凝縮器20に導く蒸気流路30と、凝縮器20の液冷媒を蒸発器10に導く液流路と、蒸気流路30に設けられ温度条件を満たした場合に蒸発器10側に動作して開放状態となり、温度条件を満たさない場合に凝縮器20側に動作して閉塞状態となる感温バルブ50と、蒸気流路30に設けられ蒸発器10
側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも所定圧力以上高い場合に凝縮器20側に動作して開放状態となり、蒸発器10側の圧力が凝縮器20側の圧力よりも高くない場合に蒸発器10側に動作して閉塞状態となる逆止弁60とを備える。
【選択図】
図2