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特許7551046関係性特定装置、関係性特定方法及び関係性特定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】関係性特定装置、関係性特定方法及び関係性特定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 18/20 20230101AFI20240906BHJP
   G06F 123/02 20230101ALN20240906BHJP
【FI】
G06F18/20
G06F123:02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024542918
(86)(22)【出願日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2024008806
【審査請求日】2024-07-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 昌彦
【審査官】多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】特許第7391276(JP,B1)
【文献】特開2002-214265(JP,A)
【文献】特開2008-3866(JP,A)
【文献】特開2016-45556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04-19/05
G05B 23/02
G06F 11/22-11/36
G06F 18/00-18/40
G06F 123/02
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスそれぞれを対象のデバイスとし、前記対象のデバイスの変化であるデバイス変化について、他のデバイスに与える影響が一意に定まるデバイス変化の1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記対象のデバイスの前記対象のパターンについての前記デバイス変化の発生タイミングを示す発生データを生成する解析部と、
前記解析部によって生成された前記発生データに基づき、前記複数のデバイスについての前記デバイス変化のうち、因果関係を持つ前記デバイス変化の組を特定する関係性特定部と
を備える関係性特定装置。
【請求項2】
前記関係性特定装置は、さらに、
動作の1サイクルにおける前記デバイス変化の発生順序により、前記対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類するパターン分類部
を備え、
前記解析部は、前記対象のデバイスについて前記パターン分類部によって分類された1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記発生データを生成する
請求項1に記載の関係性特定装置。
【請求項3】
前記関係性特定装置は、さらに、
前記対象のデバイスについての各デバイス変化が発生した前後における他のデバイスの状態により、前記対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類するパターン分類部
を備え、
前記解析部は、前記対象のデバイスについて前記パターン分類部によって分類された1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記発生データを生成する
請求項1に記載の関係性特定装置。
【請求項4】
前記関係性特定装置は、さらに、
前記複数のデバイスを制御する制御プログラムにおいて、前記対象のデバイスを変化させる条件として使用されたデバイスの組合せと、前記対象のデバイスが変化させる対象と
して使用されたデバイスの組合せとの少なくとも一方により、前記対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類するパターン分類部
を備え、
前記解析部は、前記対象のデバイスについて前記パターン分類部によって分類された1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記発生データを生成する
請求項1に記載の関係性特定装置。
【請求項5】
前記関係性特定装置は、さらに、
前記複数のデバイスの制御を規定した制御設計情報において、前記対象のデバイスを変化させる条件として使用されたデバイスの組合せと、前記対象のデバイスが変化させる対象として使用されたデバイスの組合せとの少なくとも一方により、前記対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類するパターン分類部
を備え、
前記解析部は、前記対象のデバイスについて前記パターン分類部によって分類された1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記発生データを生成する
請求項1に記載の関係性特定装置。
【請求項6】
前記関係性特定装置は、さらに、
ユーザによって指定されたパターンを分類するための分類条件により、前記対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類するパターン分類部
を備え、
前記解析部は、前記対象のデバイスについて前記パターン分類部によって分類された1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記発生データを生成する
請求項1に記載の関係性特定装置。
【請求項7】
コンピュータが、複数のデバイスそれぞれを対象のデバイスとし、前記対象のデバイスの変化であるデバイス変化について、他のデバイスに与える影響が一意に定まるデバイス変化の1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記対象のデバイスの前記対象のパターンについての前記デバイス変化の発生タイミングを示す発生データを生成し、
コンピュータが、前記発生データに基づき、前記複数のデバイスについての前記デバイス変化のうち、因果関係を持つ前記デバイス変化の組を特定する関係性特定方法。
【請求項8】
複数のデバイスそれぞれを対象のデバイスとし、前記対象のデバイスの変化であるデバイス変化について、他のデバイスに与える影響が一意に定まるデバイス変化の1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記対象のデバイスの前記対象のパターンについての前記デバイス変化の発生タイミングを示す発生データを生成する解析処理と、
前記解析処理によって生成された前記発生データに基づき、前記複数のデバイスについての前記デバイス変化のうち、因果関係を持つ前記デバイス変化の組を特定する関係性特定処理と
を行う関係性特定装置としてコンピュータを機能させる関係性特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デバイス間の変化の関係性を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御装置が実行するシーケンスプログラムのデバッグ支援を目的として、デバイス間の依存関係を抽出する技術が記載されている。特許文献1では、デバイスは制御信号値を格納する変数である。依存関係は、あるデバイスの値によって他のデバイスの値が決定されるという関係性である。
特許文献1では、プログラム内のデバイスのログデータに基づいてデバイス間の依存関係を抽出している。具体的には、特許文献1では、あるデバイスが変化した日時と他のデバイスが変化した時の日時の時間差を算出し、算出された時間差の平均値又は標準偏差に基づいて依存関係を抽出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/210071号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、1つのデバイスが複数のパターンのデバイス変化に応じて変化するケースへの対応が考慮されていない。ここでパターンとは、他のデバイスに与える影響が一意に定まるデバイス変化のことを言う。
なお、特許文献1ではデバイスは変数を意味した。しかし、デバイスは、変数に限らず、各種機器であってもよい。特許文献1ではデバイスが変数であったため、デバイス変化は値の変化であった。しかし、デバイスが機器である場合には、デバイス変化は機器動作である。
【0005】
例えば、動作パターンが複数あり、デバイスAが変化した後に、デバイスBが変化する場合としない場合があるとする。この場合のデバイスAとデバイスBとの間では、変化間隔が短い場合と極端に長い(もしくは変化間隔を算出できない)場合とが発生することになる。特許文献1に記載された技術では、このようなケースはデバイスAとデバイスBとは関係性なしと判定するか、又は、部分的に関係性ありと判定することになる。
デバッグ支援を目的として関係性をユーザに提示する用途であれば、部分的に認められる関係性の抽出でも有用ではある。しかし、デバイスの変化間隔の予測又は異常検知をするシステム向けに関係性を抽出する場合は、毎回変化が対応付く厳密な関係性が求められる。そのため、特許文献1に記載された技術による関係性の抽出では不十分である。
上記の例で言えば、複数ある動作パターンを区別した上で関係性の判定を行うべきである。具体的には、デバイスBの変化に寄与するデバイスAの変化を「変化A1」、デバイスBの変化に寄与しないデバイスAの変化を「変化A2」と区別する。この時、変化A1とデバイスBの間には常に因果関係があり、変化A2とデバイスBの間には常に因果関係がないと判定できる。これにより、デバッグ支援の目的とする場合は、ユーザは厳密に制御装置の動作を理解することができる。また、デバイス変化間隔の予測又は異常検知をするシステム向けには、デバイス間の変化の対応付けが毎回できるため、デバイスの変化間隔の適切な予測又は異常検知が可能となる。
【0006】
本開示は、適切にデバイス変化の関係性を特定可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る関係性特定装置は、
複数のデバイスそれぞれを対象のデバイスとし、前記対象のデバイスの変化であるデバイス変化の1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、前記対象のデバイスの前記対象のパターンについての前記デバイス変化の発生タイミングを示す発生データを生成する解析部と、
前記解析部によって生成された前記発生データに基づき、前記複数のデバイスについての前記デバイス変化のうち、因果関係を持つ前記デバイス変化の組を特定する関係性特定部と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、デバイス変化のパターン毎にデバイス変化の発生タイミングが解析され、因果関係を有するデバイス変化の組が特定される。これにより、デバイス変化をパターン毎に区別した上で、因果関係を有するデバイス変化の組が特定される。そのため、適切にデバイス変化の関係性を特定可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る関係性特定装置100の機能構成図。
図2】実施の形態1にかかる関係性特定装置100のハードウェア構成図。
図3】実施の形態1に係る関係性特定装置100の全体的な処理のフローチャート。
図4】実施の形態1に係るデバイス変化に複数のパターンがある制御装置の例を示す図。
図5】実施の形態1に係る図4に示す制御装置のデバイス変化を示す図。
図6】実施の形態1に係るデバイス変化の発生順序による分類の説明図。
図7】実施の形態1に係るデバイス変化が発生した前後における他のデバイスの状態による分類の説明図。
図8】実施の形態1に係る関係性を出力する方法の説明図。
図9】実施の形態2に係る関係性特定装置100の構成図。
図10】実施の形態2に係る関係性特定装置100の全体的な処理のフローチャート。
図11】実施の形態2に係る制御プログラムによる出力デバイスのデバイス変化の分類の説明図。
図12】実施の形態2に係る制御プログラムによる入力デバイスのデバイス変化の分類の説明図。
図13】実施の形態2に係る制御設計情報による分類の説明図。
図14】実施の形態2に係る分類条件による分類の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る関係性特定装置100の機能構成を説明する。
実施の形態1に係る関係性特定装置100は、PLC200と接続されている。PLCは、Programmable Logic Controllerの略である。PLC200は、複数の装置300と接続されており、各装置300を制御する。
【0011】
関係性特定装置100は、機能構成要素として、データ収集部101と、パターン分類部102と、解析部103と、関係性特定部104と、関係性出力部105とを備える。
データ収集部101は、PLC200からデバイスのログデータを収集する。パターン分類部102は、収集されたログデータに基づき、各デバイスのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する。解析部103は、各デバイスの各パターンについて、収集されたログデータからデバイス変化を解析する。関係性特定部104は、解析結果に基づき、因果関係を有するデバイス変化の組を特定する。関係性出力部105は、特定された結果を出力する。
実施の形態1では、デバイスは装置300であってもよいし、装置300を構成する機器であってもよいし、プログラムにおける変数であってもよい。デバイス変化は、デバイスが装置300又は機器である場合には動作であり、変数である場合には値の変化である。
【0012】
図2を参照して、実施の形態1にかかる関係性特定装置100のハードウェア構成を説明する。
関係性特定装置100は、コンピュータである。関係性特定装置100は、プロセッサ10と、メモリ11と、入力装置12と、表示装置13と、記憶装置14と、通信装置15とを備える。
プロセッサ10は、各種処理の実行するICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ10は、具体例としては、CPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。メモリ11は、データを一時的に記憶する装置である。メモリ11は、具体例としては、RAMである。RAMは、Random Access Memoryの略である。入力装置12は、データを入力する装置である。入力装置12は、具体例としては、キーボードである。表示装置13は、データを表示する装置である。表示装置は、具体例としては、LCDである。LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。記憶装置14は、データを保持する装置である。記憶装置14は、具体例としては、SSDである。SSDは、Solid State Driveの略である。通信装置15は、関係性特定装置100の外部の装置と通信を行う装置である。通信装置15は、具体例としては、ネットワークカードである。
【0013】
***動作の説明***
図3から図8を参照して、実施の形態1に係る関係性特定装置100の動作を説明する。
実施の形態1に係る関係性特定装置100の動作手順は、実施の形態1に係る関係性特定方法に相当する。また、実施の形態1に係る関係性特定装置100の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る関係性特定プログラムに相当する。
【0014】
図3を参照して、実施の形態1に係る関係性特定装置100の全体的な処理を説明する。
(ステップS101:データ収集処理)
データ収集部101は、各装置300が稼働している時に、デバイスのログデータをPLC200から収集する。データ収集部101は、収集されたログデータをメモリ11に記憶する。
【0015】
(ステップS102:パターン分類処理)
パターン分類部102は、ステップS101で収集されたログデータに基づき、各デバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する。
【0016】
(ステップS103:解析処理)
解析部103は、ステップS101で収集されたログデータを解析する。この際、解析部103は、ステップS102で分類された1つ以上のパターンそれぞれについて区別して解析する。つまり、解析部103は、複数のデバイスそれぞれを対象のデバイスに設定し、対象のデバイスの変化であるデバイス変化の1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンに設定する。そして、解析部103は、対象のデバイスの対象のパターンについてのデバイス変化を解析する。
解析部103は、デバイス変化の発生タイミングを解析して、デバイス変化の発生タイミングを示す発生データを生成する。具体的には、解析部103は、対象のデバイスの対象のパターンについて、デバイス変化の発生回数と、デバイス変化の発生間隔と、デバイス変化の発生間隔の平均又は標準偏差といった統計量と等を計算する。そして、解析部103は、発生回数と発生間隔と統計量と等を発生データに含める。
【0017】
(ステップS104:関係性特定処理)
関係性特定部104は、ステップS103で生成された発生データに基づき、ログデータが示す複数のデバイスについてのデバイス変化の間で、因果関係を有するデバイス変化の組を特定する。因果関係とは、発生元のデバイスの発生元のパターンのデバイス変化が発生すると発生先のデバイスの発生先のパターンのデバイス変化が発生するという関係性である。
【0018】
(ステップS105:関係性出力処理)
関係性出力部105は、ステップS104で特定された関係性を出力する。
【0019】
図4及び図5を参照して、複数パターンのデバイス変化があるデバイスの例を説明する。
図4に示すように、コンベア1を駆動するY1デバイスは、1サイクルの中で2回ONに変化する。1回目はコンベア1内でワークを運ぶことで、センサ1に対応するX1デバイスのOFF変化とセンサ2に対応するX2デバイスのON変化とに寄与する。2回目はコンベア1からコンベア2にワークを渡すことで、X2デバイスのOFF変化に寄与する。この時のデバイス変化は図5に示すようになる。Y1デバイスの1回目のON変化(1)と2回目のON変化(2)とは破線矢印の通り他のデバイス変化に対応づく。
Y1デバイスのようにデバイス変化に複数のパターンがあるデバイスについては、ステップS102でパターン分類部102は、Y1デバイスON変化(1)とY1デバイスON変化(2)等と別のパターンとして分類する。そして、ステップS103で解析部103は、それぞれのパターンについて変化回数と、他のデバイス変化との変化間隔及び変化間隔の統計量とを計算する。
【0020】
ステップS102でデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する方法を説明する。
ここでは、デバイス変化を1つ以上のパターンに分類する分類する方法として、分類方法1と分類方法2との2つを説明する。
【0021】
図6を参照して、分類方法1を説明する。
分類方法1は、動作の1サイクルにおけるデバイス変化の発生順序でデバイス変化のパターンを区別する方法である。動作の1サイクルとは装置300が繰り返し行うの一連の動作である。つまり、動作の1サイクルとは装置300が周期的に行われる1周期分の動作である。
図6の例では、Y1デバイスは、1サイクルの中で2回ONに変化する。そのため、パターン分類部102は、Y1デバイスのデバイス変化であるONへの変化を、(1)1回目のONへの変化と(2)2回目のONへの変化とで区別して、別のパターンに分類する。
【0022】
パターン分類部102は、次の方法により、装置の動作のサイクルを切り分けることができる。(A)パターン分類部102は、ログデータを基にパターン認識によってデバイス変化の繰り返しを特定し、繰り返し毎に1サイクルとして切り分ける。(B)パターン分類部102は、ユーザに動作の1サイクルの時間を設定させ、設定された時間毎に1サイクルとして切り分ける。(C)パターン分類部102は、ユーザに毎サイクル1度だけ変化するデバイスを指定させ、指定されたデバイスのデバイス変化を基準に1サイクルを切り分ける。
【0023】
図7を参照して、分類方法2を説明する。
分類方法2は、デバイス変化が発生した前後における他のデバイスの状態でデバイス変化のパターンを区別する方法である。
図7では、Y1デバイスが2回ONに変化している。この2回の変化の前後における他のデバイスの状態を表す値はそれぞれ次の通りである。Y1ON変化(1)がM1=01,M2=00,M3=11,・・・である。Y1ON変化(2)がM1=00,M2=01,M3=11,・・・である。したがって、Y1ON変化(1)とY1ON変化(2)とでは、前後における他のデバイスの状態が異なる。そのため、パターン分類部102は、Y1ON変化(1)とY1ON変化(2)とで区別して、別のパターンに分類する。
【0024】
他の全てのデバイスの状態をパターンの分類に使用するとパターンが無数に発生してしまう可能性がある。そこで、パターン分類部102は、その後の他のデバイス変化間隔に影響を与えるデバイスの状態だけをパターンの分類に使用してもよい。パターンの分類に使用するデバイスは、決定木分析等により抽出することが考えられる。
【0025】
ステップS104で因果関係を有するデバイス変化の組を特定する方法を説明する。
関係性特定部104は、2つのデバイスの各組合せを対象の組合せに設定する。関係性特定部104は、対象の組合せにおけるデバイス間について特定のパターンのデバイス変化が毎サイクル対応付く場合に、因果関係を有すると判定する。あるいは、関係性特定部104は、対象の組合せにおけるデバイス間について特定のパターンのデバイス変化の変化間隔の平均又は標準偏差が予め設定された閾値以下となっていた場合に、因果関係を有すると判定する。
デバイスが要因側と結果側とに分けられる場合には、関係性特定部104は、各結果側のデバイスを対象のデバイスに設定する。関係性特定部104は、対象のデバイスの各パターンのデバイス変化と、最も変化間隔の平均又は標準偏差が小さい要因側のデバイスのデバイス変化のパターンとが因果関係を有すると判定してもよい。
【0026】
図8を参照して、ステップS105で特定された関係性を出力する方法を説明する。
関係性出力部105は、デバッグ支援を目的としてデバッグ担当者に関係性のあるデバイス変化のパターンを画面表示する。あるいは、関係性出力部105は、デバイスの変化間隔の予測又は異常検知をするシステムに関係性の情報を渡す。
関係性の情報は、図8に示すように要因側と結果側とのそれぞれについて、デバイスと変化とパターン(条件)とを示す情報である。なお、図8では、デバイスにデバイス変化のパターンが1つしかない場合には、パターンの欄には“-”が設定されている。
【0027】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る関係性特定装置100は、デバイス変化のパターン毎にデバイス変化の発生タイミングが解析され、因果関係を有するデバイス変化の組が特定される。これにより、デバイス変化をパターン毎に区別した上で、因果関係を有するデバイス変化の組が特定される。そのため、適切にデバイス変化の関係性を特定可能になる。
【0028】
例えば、図5に示すように2つのパターンがあるY1デバイスのON変化を区別しないとする。この場合には、Y1デバイスのON変化は、毎回はX1デバイス又はX2デバイスの変化と対応付かないため、因果関係なしと判定されてしまう。なお、部分的に因果関係があるとみなすことも可能ではある。しかし、デバイスの変化間隔の予測又は異常検知をするシステム向けに関係性を特定する場合には、毎回変化が対応づく厳密な関係性が求められるため、不適である。
本例に対し実施の形態1に係る関係性特定装置100では、2パターンあるY1デバイスのON変化を区別して扱う。つまり、デバイスY1の1回目のON変化(1)と2回目のON変化(2)とを別のパターンとして扱う。この時、Y1デバイスのON変化(1)とX1デバイスのOFF変化、Y1デバイスのON変化(1)とX2デバイスのON変化、Y1デバイスのON変化(2)とX2デバイスのOFF変化がそれぞれ毎回対応付くようになる。そのため、これらのデバイス変化の間で因果関係ありと判定され、変化間隔も適切に計算可能である。そのため変化間隔の予測又は異常検知も可能となる。
【0029】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例1として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例1について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0030】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、関係性特定装置100は、プロセッサ10とメモリ11とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ11との機能とを実現する専用の回路である。
【0031】
電子回路としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現してもよい。
【0032】
<変形例2>
変形例2として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0033】
プロセッサ10とメモリ11と電子回路とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態2は、パターン分類部102がログデータ以外に入力情報を参照してパターンを分類する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0035】
***構成の説明***
図9を参照して、実施の形態2に係る関係性特定装置100の構成を説明する。
関係性特定装置100は、パターン分類部102が入力装置12からの入力情報を参照している点が図1に示す関係性特定装置100と異なる。
【0036】
***動作の説明***
図10を参照して、実施の形態2に係る関係性特定装置100の全体的な処理を説明する。
ステップS111の処理は、図3のステップS101の処理と同じである。ステップS113からステップS115の処理は、図3のステップS103からステップS105の処理と同じである。
【0037】
(ステップS112:パターン分類処理)
パターン分類部102は、ステップS101で収集されたログデータと、入力装置12から入力された入力情報とに基づき、各デバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する。
【0038】
ステップS112でデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する方法を説明する。
ここでは、デバイス変化を1つ以上のパターンに分類する分類する方法として、分類方法3から分類方法5との3つを説明する。
【0039】
図11及び図12を参照して、分類方法3を説明する。
分類方法3は、複数のデバイスを制御する制御プログラムを入力情報として、制御プログラムを基にデバイス変化のパターンを区別する方法である。パターン分類部102は、対象のデバイスが出力デバイスである場合には、制御プログラムにおいて、対象のデバイスを変化させる条件として使用されたデバイスの組合せにより、対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する。また、パターン分類部102は、対象のデバイスが入力デバイスである場合には、制御プログラムにおいて、対象のデバイスが変化させる対象として使用されたデバイスの組合せにより、対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する。
【0040】
パターン分類部102は、Yデバイス等の出力デバイスであれば、制御プログラムにおいて当該デバイスを変化させる条件として使用されるデバイスでデバイス変化のパターンを区別する。
図11は、制御プログラムがラダープログラムの場合の例を示している。この例では、Y1デバイスをONにする接点にM1デバイスとM2デバイスとの2つのパターンがある。そのためY1デバイスのON変化は、M1デバイスがON変化する場合と、M2デバイスがON変化する場合と、M1デバイスとM2デバイスとの両方が同時にON変化する場合とに分けることができる。パターン分類部102は、これらの3つの場合をそれぞれ別のパターンに分類する。
【0041】
パターン分類部102は、Xデバイス等の入力デバイスであれば、制御プログラムにおいて当該デバイスが変化させる対象に使用されるデバイスでデバイス変化のパターンを区別する。
図12は、制御プログラムがラダープログラムの場合の例を示している。この例では、X1デバイスがONにするコイルにY1デバイスとY2デバイスとの2つのパターンがある。そのため、X1デバイスのON変化は、M1デバイスがON状態でありY1デバイスが同時ON変化する場合と、M2デバイスがON状態でありY2デバイスが同時にON変化する場合とで区別することができる。加えて、Y1デバイスとY2デバイスとの両方ともON変化する場合とON変化しない場合ともある。したがって、パターン分類部102は、これら4つの場合をそれぞれ別のパターンに分類する。
【0042】
図13を参照して、分類方法4を説明する。
分類方法4は、複数のデバイスを制御する制御設計情報を入力情報として、制御設計情報を基にデバイス変化のパターンを区別する方法である。パターン分類部102は、対象のデバイスが出力デバイスである場合には、制御設計情報において、対象のデバイスを変化させる条件として使用されたデバイスの組合せにより、対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する。また、パターン分類部102は、対象のデバイスが入力デバイスである場合には、制御設計情報において、対象のデバイスが変化させる対象として使用されたデバイスの組合せにより、対象のデバイスについてのデバイス変化を1つ以上のパターンに分類する。
【0043】
図13は、制御設計情報がフローチャートの場合の例を示している。本例ではY1デバイスがONに変化するパターンとして、M1デバイスがONとなることでY1がON変化するパターン(1)と、M2デバイスがONとなることでY1がON変化するパターン(2)の2種類がある。パターン分類部102は、この2種類を別のパターンに分類する。
【0044】
図14を参照して、分類方法5を説明する。
分類方法5は、ユーザによって入力されたデバイス変化のパターンを分類するための分類条件を入力情報として、分類条件を基にデバイス変化のパターンを区別する方法である。
図14は、分類条件の入力画面の例を示している。本例では、パターンを区別する対象のデバイス変化としてY1デバイスのON変化が指定されている。区別の方法としてM1がONの場合と、M1がOFFかつM2がONの場合と、それ以外との、3つの分類条件が指定されている。パターン分類部102は、この分類条件に従い、3つの分類条件に合致する場合それぞれ別のパターンに分類する。
【0045】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る関係性特定装置100は、ユーザ等によって入力された入力情報を用いて、分類条件を基にデバイス変化のパターンを区別する。これにより、より適切なデバイス変化の区別が可能である。
【0046】
制御プログラムにおいて、出力デバイスの変化を成立させる条件が異なれば、意図する動作も異なると考えられる。また入力デバイスが変化させるデバイスが異なれば、入力が示す機器状態も異なると考えられる。したがって、これらの情報からデバイス変化パターンを区別することは理にかなっている。
制御設計情報でも同様に、出力デバイスを変化させる条件と、入力デバイスの変化がもたらす作用といった情報が得られるため、制御プログラムを用いた場合と同様に適切なデバイス変化パターンの区別が可能となる。
デバイス変化パターンをユーザが直接入力する方法では、適切なデバイス変化パターンの区別をより確実にすることができる。
【0047】
なお、実施の形態1に係る関係性特定装置100は、入力情報を用いず、基本的にはログデータのみでデバイス変化パターンを区別できるという意味においては、実施の形態2に係る関係性特定装置100よりも優れている。なお、実施の形態1に係る関係性特定装置100は、場合によっては、ユーザによるサイクル時間又はサイクルを示すデバイスの情報入力が必要である。ユーザによる制御プログラム又は制御設計情報等の入力工数の削減と、制御プログラム又は制御設計情報などがない場合でも実施可能といった効果がある。
【0048】
以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0049】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
100 関係性特定装置、200 PLC、300 装置、101 データ収集部、102 パターン分類部、103 解析部、104 関係性特定部、105 関係性出力部、10 プロセッサ、11 メモリ、12 入力装置、13 表示装置、14 記憶装置、15 通信装置。
【要約】
解析部(103)は、複数のデバイスそれぞれを対象のデバイスとし、対象のデバイスの変化であるデバイス変化の1つ以上のパターンそれぞれを対象のパターンとして、対象のデバイスの対象のパターンについてのデバイス変化の発生タイミングを示す発生データを生成する。関係性特定部(104)は、解析部(103)によって生成された発生データに基づき、複数のデバイスについてのデバイス変化のうち、因果関係を持つデバイス変化の組を特定する。
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図14