(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】長い保持時間を有する動的メモリ
(51)【国際特許分類】
G11C 11/404 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
G11C11/404
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011334
(22)【出願日】2022-01-27
【審査請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522295047
【氏名又は名称】發明與合作實驗室有限公司
【氏名又は名称原語表記】Invention And Collaboration Laboratory Pte. Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】522038477
【氏名又は名称】▲ゆぃ▼創科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧 超群
(72)【発明者】
【氏名】戎 博斗
(72)【発明者】
【氏名】夏 濬
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-132678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0185022(US,A1)
【文献】特開2006-236398(JP,A)
【文献】特開2014-059831(JP,A)
【文献】特開平07-296582(JP,A)
【文献】特開2022-033693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/404
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DRAMチップであって、
各DRAMセルがアクセストランジスタ(11)および蓄積キャパシタ(12)を備える第1の群のDRAMセル、および
前記第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプ(20)
を備え、
第1の基準温度における前記DRAMチップの保持時間は、第2の基準温度における保持時間以下であり、且つ、第3の基準温度における保持時間以下であり、
前記第1の基準温度
、前記第2の基準温度、および前記第3の基準温度の関係は、
前記第1の基準温度<前記第2の基準温度<前記第3の基準温度、
である、DRAMチップ。
【請求項2】
前記第1の基準温度が85℃であり、前記第2の基準温度が95℃であり、および前記第3の基準温度が105℃である、請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項3】
前記DRAMチップの前記保持時間が、3シグマに基づいた、前記第1の群のDRAMセルの平均保持時間に応じて算出される、請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項4】
前記DRAMチップの前記保持時間が略130msである、請求項3に記載のDRAMチップ。
【請求項5】
前記第1の基準温度における前記DRAMチップの前記保持時間は、前記第2の基準温度における前記DRAMチップの前記保持時間よりも小さく、および、前記第2の基準温度における前記DRAMチップの前記保持時間は、前記第3の基準温度における前記DRAMチップの前記保持時間よりも小さく、前記第1の基準温度から、前記第2の基準温度、前記第3の基準温度への前記保持時間の増加の傾斜は、1ms/℃よりも小さい、請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項6】
DRAMチップであって、
各DRAMセルがアクセストランジスタ(11)および蓄積キャパシタ(12)を備える第1の群のDRAMセル、および
前記第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプ(20)
を備え、
前記DRAMチップの保持時間が、第1の基準温度から、第2の基準温度、第3の基準温度へと徐々に変化し、且つ、前記DRAMチップの前記保持時間が、第4の基準温度および第5の基準温度において同じ、又は実質的に同じであり、
前記第1の基準温度、前記第2の基準温度、前記第3の基準温度、前記第4の基準温度、および前記第5の基準温度の関係は、前記第1の基準温度<前記第2の基準温度<前記第3の基準温度≦前記第4の基準温度<前記第5の基準温度、であるか、或いは、
前記DRAMチップの保持時間が、前記第1の基準温度から、前記第2の基準温度、前記第3の基準温度へと徐々に変化し、且つ、前記第1の基準温度、前記第2の基準温度、および前記第3の基準温度における前記DRAMチップの前記保持時間が、前記第1の基準温度、前記第2の基準温度、および前記第3の基準温度それぞれにおける所定の保持時間の少なくとも2.2倍である、DRAMチップ。
【請求項7】
前記DRAMチップの前記保持時間が、前記第1の基準温度から、前記第2の基準温度、前記第3の基準温度へと徐々に減少し、前記第1の基準温度が85℃であり、前記第2の基準温度が95℃であり、前記第3の基準温度が105℃であり、前記第4の基準温度が105℃であり、および前記第5の基準温度が115℃である、請求項6に記載のDRAMチップ。
【請求項8】
前記DRAMチップの前記保持時間が、前記第4の基準温度および前記第5の基準温度において略100msである、請求項6に記載のDRAMチップ。
【請求項9】
前記第1の基準温度、前記第2の基準温度、および前記第3の基準温度における前記所定の保持時間が、それぞれ、64ms、32ms、および16msである、請求項6に記載のDRAMチップ。
【請求項10】
前記DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを発生させる第1の維持電圧発生器をさらに備え、
前記第1の電圧レベルは、前記第1の群のDRAMセルの1つのDRAMセルの前記アクセストランジスタがオフにされる前に前記DRAMセル内に記憶され、および、前記第1の電圧レベルが前記DRAMチップの温度に依存する、請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項11】
前記DRAMチップの前記温度が上昇すると、前記第1の電圧レベルが増加する、請求項10に記載のDRAMチップ。
【請求項12】
DRAMチップであって、
前記DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを出力する第1の維持電圧源、および
アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備えるDRAMセル
を備え、
前記第1の電圧レベルは、前記DRAMセルの前記アクセストランジスタがオフにされる前に前記DRAMセル内に記憶され、前記DRAMチップの保持時間は、85℃の基準温度において64ms以上である、DRAMチップ。
【請求項13】
前記DRAMチップの前記保持時間が、95℃の基準温度において64ms以上である、請求項12に記載のDRAMチップ。
【請求項14】
前記DRAMチップの前記保持時間が、105℃の基準温度において48ms以上である、請求項12に記載のDRAMチップ。
【請求項15】
前記第1の維持電圧源は、前記DRAMチップ外部の第1の維持電圧発生器から供給される、請求項12に記載のDRAMチップ。
【請求項16】
DRAMチップであって、
電圧レベルを出力する電圧源、および
アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備えるDRAMセル
を備え、
前記電圧源は、前記DRAMセルの前記アクセストランジスタがオフにされる前に、前記DRAMセルに選択的に結合され、前記DRAMチップの保持時間は、85℃の基準温度において64ms以上である、DRAMチップ。
【請求項17】
前記DRAMチップの前記保持時間が、95℃の基準温度において32ms以上である、請求項16に記載のDRAMチップ。
【請求項18】
前記DRAMチップの前記保持時間が、105℃の基準温度において32ms以上である、請求項16に記載のDRAMチップ。
【請求項19】
DRAMチップであって、
前記DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを出力する第1の維持電圧源、および
アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備えるDRAMセル
を備え、
前記第1の電圧レベルは、前記DRAMセルの前記アクセストランジスタがオフにされる前に前記DRAMセル内に記憶され、前記第1の電圧レベルが前記DRAMチップの温度に依存する、DRAMチップ。
【請求項20】
前記DRAMチップの前記温度が上昇すると、前記第1の電圧レベルが増加する、請求項19に記載のDRAMチップ。
【請求項21】
前記DRAMチップの保持時間が、85℃の基準温度において64ms以上である、請求項19に記載のDRAMチップ。
【請求項22】
前記DRAMチップの保持時間が、95℃の基準温度において32ms以上である、請求項19に記載のDRAMチップ。
【請求項23】
前記DRAMチップの保持時間が、105℃の基準温度において16ms以上である、請求項19に記載のDRAMチップ。
【請求項24】
DRAMチップであって、
各DRAMセルがアクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備える第1の群のDRAMセル、および
前記第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプ
を備え、
前記DRAMチップの保持時間が、第1の基準温度から、第2の基準温度、第3の基準温度へと徐々に変化し、
前記第1の基準温度、前記第2の基準温度、および前記第3の基準温度における前記DRAMチップの前記保持時間が、前記第1の基準温度、前記第2の基準温度、および前記第3の基準温度それぞれにおけるJEDEC規定の保持時間の少なくとも1.3~2倍である、DRAMチップ。
【請求項25】
前記第1の基準温度、前記第2の基準温度、および前記第3の基準温度における前記JEDEC規定の保持時間は、それぞれ、64ms、32ms、及び16msである、請求項24に記載のDRAMチップ。
【請求項26】
前記第1の基準温度は85℃であり、前記第2の基準温度は95℃であり、前記第3の基準温度は105℃である、請求項24に記載のDRAMチップ。
【請求項27】
前記DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを出力する第1の維持電圧源をさらに備え、
一つのDRAMセルの前記蓄積キャパシタの1つの電極は、前記DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルの1/2倍以上である所定の電圧レベルに結合される、請求項26に記載のDRAMチップ。
【請求項28】
前記蓄積キャパシタ内の2つの電極の差電圧が、前記DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルの1/2倍以下である、請求項
27に記載のDRAMチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動的メモリに、特に、持続可能なストレージアーキテクチャを有する動的メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
最も広く使用されているDRAMセルは、そのソースを蓄積キャパシタに接続させ、および、そのドレインをビット線に接続させた1つのアクセストランジスタを有する。ビット線は、読出し(READ)が行われるべき信号を、セルアレイからカラムスイッチを介して、(データ線としても知られている)IO線に接続された第2段センスアンプに転送する、交差結合された第1段センスアンプに接続される。書込み(WRITE)動作中、IOバッファにより送られた信号は複数のデータ線上で安定化され、それらは、第1段センスアンプに対してデータをさらに安定化して、アクセストランジスタを介して蓄積キャパシタ内に、正しい信号を書き込ませる。アクセストランジスタは、アクティブモード中(すなわち、アクセストランジスタがオン(ON)である間)の、蓄積キャパシタへの正しいデータの読出し(READ)動作または書込み(WRITE)動作の役割を果たす一方、さらに、アクセストランジスタが非アクティブモード中の(すなわち、アクセストランジスタがオフ(OFF)である)場合に、記憶された信号の喪失を回避する。
【0003】
アクセストランジスタは、トランジスタを介した漏れ電流を最小にするために、高いしきい値電圧を有するように設計される。しかし、不十分な結果は、アクセストランジスタがその性能を、それがオン(ON)にされた場合に喪失するということである。その結果、ワード線は、蓄積キャパシタ内への、信号の書込み(WRITE)のための高い駆動能力をアクセストランジスタが有することを可能にするために、ブートストラップされるか、(通常、ワード線電圧源からの)高VPPに接続される必要がある。そうした高VPPは、ワード線ドライバを介して送られて、ワード線、またはアクセストランジスタのゲートに印加される。VPPは、アクセストランジスタに対して高電圧ストレスであるので、トランジスタの誘電体材料(たとえば、酸化層または高K材料)は、(コマンドデコーダ、アドレスデコーダ、および他のI/O回路等などの)DRAMの他の支援回路または周辺回路において使用されるトランジスタに使用されるそれよりも厚くなるように設計されなければならない。したがって、アクセストランジスタの設計は、高性能又は高信頼度を維持するという課題に直面し、および信頼度と性能との間の困難なトレードオフを提示する。広く使用されているアクセストランジスタ設計は、高信頼度を実現することに、より注力しているが、アクセストランジスタの性能を犠牲にしなければならない。
【0004】
簡潔にまとめれば、従来のアクセストランジスタ設計に関して、それは、蓄積キャパシタ内の電荷を保持する長い保持時間に加勢するために漏れ電流を削減するための高いしきい値電圧、VPPのような高いワード線電圧を維持するための厚いゲート誘電体材料を有し、そしてアクセストランジスタの性能を犠牲にする。その結果、通常、VCCレベルと呼ばれる信号ONEの書込み(WRITE)または読出し(READ)は、より長い時間を要し、または、信号ONEを完全に再記憶できる訳でない。すなわち、書込み(WRITE)時間は、フル信号VCCが蓄積キャパシタ内に完全に書き込まれることを満たすには、より長くなる。
【0005】
DRAMセルの一般的に使用されている設計を
図1Aに示し得る。DRAMセルは、アクセストランジスタ11およびキャパシタ12を含む。アクセストランジスタ11のゲートはワード線(WL)に結合され、および、交差結合されたセンスアンプ20はビット線(BL)を介してアクセストランジスタ11に結合される。複数のDRAMセルが、それぞれビット線に接続されると、DRAMセルは、アクセストランジスタ11をスイッチとして使用して、書込み(WRITE)モードにおいてキャパシタ内にビット線(BL)から蓄積されるべき、または、読出し(READ)モードにおいてビット線へ転送されるべき電荷を制御する。この例では、ビット線上のセル信号により転送される信号を増幅することにより、読出し(READ)モードにおいて交差結合されたセンスアンプによりラッチされる、信号ONE(1.2Vと推定され、および信号ONEは通常、交差結合されたセンスアンプ20から供給される、VCCSAのレベル電圧である)およびZERO(0Vと推定され、および信号ZEROは通常、交差結合されたセンスアンプ20から供給される、VSSのレベル電圧である)が存在しており、または、これらの信号ONEおよびZEROは、書込み(WRITE)モードにおいて、セルに正しい信号を記憶するためにセンスアンプをツイストさせるために外部から書き込まれる。
【0006】
図1Bは、最も流通しているDRAMのアクセス(読出し(READ)または書込み(WRITE))動作中の、関連した信号波形を示す。例を挙げれば、25ナノメートルのDRAMセルは通常、アレイ設計に関する(に取り囲まれた)以下のパラメータを有しており、ビット線ONE電圧1.2V、ワード線ON(オン)は最大2.7VのVPPを有し、ワード線OFF(オフ)は約-0.3Vの電圧を有し、セルのしきい値電圧は約0.7~0.9Vにおよび、アクセストランジスタの誘電体は、2.7V(バーンインストレス下では、この数字は、許容し得る信頼度マージンのために3.4Vに上がる)の下で電解強度に耐えなければならず、ワード線ドライバ素子はさらに厚いゲート誘電体を使用しなければならず、よって、性能が犠牲にされなければならない。
【0007】
図1Bに示すように、最初は、DRAMの蓄積キャパシタはスタンバイまたは非アクティブモードにあり(すなわち、アクセストランジスタはオフ(OFF)であり)、アクセストランジスタのゲートに結合されたワード線の電圧レベルは、スタンバイ負電圧(-0.3V)である。ビット線およびビット線バーは、VCCSA=1.2VにおけるONEレベルと0VのZEROレベルとの間の半VCCSAの電圧レベルで等しくされる。蓄積キャパシタがアクティブモードに入る(すなわち、アクセストランジスタがオン(ON)である)と、ワード線の電圧レベルは、スタンバイ負電圧(-0.3V)から上げられ、アクセストランジスタのしきい値電圧VT(0.7または0.8Vであり得る)を加えたVCCSA(1.2V)よりもはるかに高い、(2.7Vなどの)高レベルVPPに引き上げられて、アクセストランジスタのゲート-ソース電圧を超える十分に大きな駆動を与える(たとえば、2.7V-1.2V-0.8V=0.7V)。ビット線は蓄積キャパシタに結合される。ワード線は、(読出し(READ)または書込み(WRITE)などの)アクセス動作のために、そうした高電圧VPPにおいて連続的にオン(ON)である。アクセス動作に続いてリストア(RESTORE)フェーズに進む。リストア(RESTORE)フェーズ中、交差結合されたセンスアンプは、蓄積キャパシタ内の信号ONEまたはZEROに基づいて蓄積キャパシタを再充電する。リストア(RESTORE)フェーズ後、ワード線が、スタンバイモードにおけるワード線の電圧(-0.3V)にVPPから引き下げられ、アクセストランジスタは非アクティブモードに入る。
【0008】
この高いVPP電圧ストレスは、周辺回路内のトランジスタに使用されるゲート酸化膜またはゲート絶縁体よりも厚いゲート酸化膜またはゲート絶縁体でアクセストランジスタを設計させ、これは、より悪いショートチャネル効果、トランジスタ電流のオンオフ(ON-OFF)比、およびスイングの傾斜等などのアクセストランジスタ性能を劣化させる。さらに、しきい値電圧は、周辺回路のトランジスタ内で用いられるしきい値電圧も高くなるように設計されるが、スタンバイモード又は非アクティブモード中のアクセストランジスタを介した漏れ電流は、センシングのための蓄積された電荷の量を低下させる程、なお高い。12nmまたは7nmのFinFET(フィンフェット)プロセスにおいてVCCSAがより低い(0.6Vなど)場合、スタンバイモードまたは非アクティブモードにおける漏れの問題は、より悪くなる。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明は、持続可能なストレージアーキテクチャを有するDRAMを導入するものである。本発明の態様によれば、DRAMは、DRAMにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを発生させる第1の維持電圧発生器を備える。DRAMは、アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備えるDRAMセルも備え、第1の維持電圧発生器の第1の電圧レベルは、DRAMセルのアクセストランジスタがオフにされる前にDRAMセル内に記憶される。
【0010】
本発明の一態様によれば、DRAMは、アクセストランジスタのゲート端子に結合されたワード線をさらに備え、ワード線は、第1の期間、および第1の期間後の第2の期間の間、アクセストランジスタをオンにするように選択され、第1の維持電圧発生器の第1の電圧レベルが、第2の期間中、DRAMセル内に記憶される。DRAMセルは第1の期間中、アクセス可能である。DRAMはビット線を介してDRAMセルに、電気的に結合されたセンスアンプをさらに備え、第1の維持電圧発生器は第2の期間中、センスアンプに接続され、第1の維持電圧発生器の第1の電圧レベルはセンスアンプおよびビット線を介してDRAMセルに供給される。さらに、電圧源が第1の期間中、センスアンプに接続され、および、第2の期間中、センスアンプとの接続を断たれ、電圧源の電圧レベルは信号ONEの電圧レベルに等しい。
【0011】
本発明の別の目的は、持続可能なストレージアーキテクチャを有するDRAMチップを提供することである。DRAMは、DRAMセル、およびビット線を介してDRAMセルに電気的に結合されたセンスアンプを備える。DRAMセルは、アクセストランジスタおよびキャパシタを備える。第1の維持電圧発生器および/または第2の維持電圧発生器は、センスアンプに、選択的に結合され、第1の維持電圧発生器はDRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを発生させ、第2の維持電圧発生器はDRAMチップにおいて利用される信号ZEROの電圧レベルよりも低い第2の電圧レベルを発生させる。第1の電圧レベルまたは第2の電圧レベルは、DRAMセルのアクセストランジスタがオフにされる前にDRAMセル内に記憶される。
【0012】
本発明の一態様によれば、DRAMは、アクセストランジスタのゲート端子に結合されたワード線をさらに備え、ワード線は、第1の期間、および第1の期間後の第2の期間の間、アクセストランジスタをオンにするように選択され、第1の電圧レベルまたは第2の電圧レベルが、第2の期間中、DRAMセル内に記憶される。DRAMセルは第1の期間中、アクセス可能である。第2の維持電圧発生器が第2の期間中、センスアンプに接続され、第2の維持電圧発生器の第2の電圧レベルがセンスアンプおよびビット線を介してDRAMセルに供給される。さらに、電圧源が第1の期間中、センスアンプに接続され、および、第2の期間中、センスアンプとの接続を絶たれ、電圧源の電圧レベルは信号ZEROの電圧レベルに等しい。
【0013】
本発明の一つの目的は、持続可能なストレージアーキテクチャを有するDRAMを提供することであり得る。本発明の態様によれば、DRAMは、アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを有するDRAMセルと、アクセストランジスタのゲート端子に結合されたワード線とを備える。アクセストランジスタをオンにするような、ワード線の選択と、アクセストランジスタをオフにするような、ワード線の非選択との間の期間中、第1の電圧レベルまたは第2の電圧レベルがDRAMセル内に記憶され、第1の電圧レベルはDRAMにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高く、および、第2の電圧レベルはDRAMにおいて利用される信号ZEROの電圧レベルよりも低い。さらに、本発明の態様によれば、DRAMは、DRAMセルに電気的に結合されたセンスアンプをさらに備え、第1の電圧レベルを発生させる第1の維持電圧発生器および第2の電圧レベルを発生させる第2の維持電圧発生器は、センスアンプに、選択的に結合される。
【0014】
本発明の一目的は、持続可能な記憶域を有するDRAMチップを提供することであり得る。本発明の態様によれば、DRAMチップは、各DRAMセルがアクセストランジスタならびに蓄積キャパシタを有する第1の群のDRAMセルおよび第2の群のDRAMセルを備える。DRAMチップは、第1の群のDRAMセルにおける各DRAMセルのアクセストランジスタのゲート端子に結合された第1のワード線、および第2の群のDRAMセルにおける各DRAMセルのアクセストランジスタのゲート端子に結合された第2のワード線も備える。第1の群のDRAMセルにおける各DRAMセルのアクセストランジスタをオンにするような、第1のワード線の選択と、第1の群のDRAMセルにおける各DRAMセルのアクセストランジスタをオフにするような、第1のワード線の非選択との間の期間中、第1の群のDRAMセルの各DRAMセルには第1の電圧レベルまたは第2の電圧レベルが供給され、第1の電圧レベルはDRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高く、第2の電圧レベルはDRAMチップにおいて利用される信号ZEROの電圧レベルよりも低い。
【0015】
本発明の別の態様によれば、DRAMチップは第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプをさらに備え、第1の電圧レベルまたは第2の電圧レベルが、第1の群のセンスアンプを介して、第1の群のDRAMセルの各DRAMセルに供給される。さらに、DRAMチップは第2の群のDRAMセルに電気的に結合された第2の群のセンスアンプをさらに備え、第1のワード線が選択されると、第2のワード線は非選択状態になり、第2の群のセンスアンプは第1の電圧源と第2の電圧源とに結合され、第1の電圧源の電圧レベルは信号ONEのそれに等しく、第2の電圧源の電圧レベルは信号ZEROのそれに等しい。
【0016】
本発明の一目的は、より長い保持時間またはリフレッシュ時間を有するDRAMチップを提供することであり得る。本発明の態様によれば、DRAMチップは、第1の群のDRAMセル、および第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプを備え、第1の基準温度におけるDRAMチップの保持時間は、第2の基準温度における保持時間と同じ又は実質的に同じであり、且つ、第3の基準温度における保持時間と同じ又は実質的に同じであり、第1の基準温度は第2の基準温度よりも低く、第2の基準温度は第3の基準温度よりも低い。
【0017】
本発明の別の態様によれば、DRAMチップは、第1の群のDRAMセル、および第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプを備え、第1の基準温度におけるDRAMチップの保持時間は第2の基準温度におけるDRAMチップの保持時間よりも小さく、第2の基準温度におけるDRAMチップの保持時間は第3の基準温度におけるDRAMチップの保持時間よりも小さく、第1の基準温度は第2の基準温度よりも低く、第2の基準温度は第3の基準温度よりも低い。
【0018】
本発明の別の態様によれば、DRAMチップは、第1の群のDRAMセル、および第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプを備え、DRAMチップの保持時間が、第1の基準温度から、第2の基準温度、第3の基準温度へと徐々に変化し、且つ、DRAMチップの保持時間が、第4の基準温度および第5の基準温度において同じ又は実質的に同じであり、第1の基準温度は第2の基準温度よりも低く、第2の基準温度は第3の基準温度よりも低く、第3の基準温度は第4の基準温度以下であり、および、第4の基準温度は第5の基準温度よりも低い。
【0019】
本発明の別の態様によれば、DRAMチップは、第1の群のDRAMセル、および第1の群のDRAMセルに電気的に結合された第1の群のセンスアンプを備え、DRAMチップの保持時間が第1の基準温度から、第2の基準温度、第3の基準温度へと徐々に変化し、且つ、第1の基準温度、第2の基準温度、および第3の基準温度におけるDRAMチップの保持時間は、第1の基準温度、第2の基準温度、および第3の基準温度それぞれにおける所定の保持時間の少なくとも2.2倍である。
【0020】
本発明の一目的は持続可能なストレージアーキテクチャを有するDRAMチップを提供することであり得る。本発明の別の態様によれば、DRAMチップは、アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備えるDRAMセルと、DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを発生させる第1の維持電圧発生器とを備える。第1の電圧レベルは、DRAMセルのアクセストランジスタがオフにされる前にDRAMセル内に記憶され、第1の電圧レベルはDRAMチップの温度に依存する。
【0021】
本発明の別の態様によれば、DRAMチップは、アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備えるDRAMセルと、DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の電圧レベルを発生させる第1の維持電圧発生器とを備える。第1の電圧レベルは、DRAMセルのアクセストランジスタがオフにされる前にDRAMセルに結合され、DRAMセルの蓄積キャパシタの1つの電極は、DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルの1/2倍よりも小さくない所定の電圧レベルに結合される。
【0022】
本発明の一目的は持続可能なストレージアーキテクチャを有するDRAMチップを提供することであり得る。本発明の別の態様によれば、DRAMチップは、アクセストランジスタおよび蓄積キャパシタを備えるDRAMセルを備える。第1の電圧レベルは、DRAMセルのアクセストランジスタがオフにされる前にDRAMセルに結合され、第1の電圧レベルは、DRAMチップにおいて利用される信号ONEの電圧レベルよりも高く、第1の電圧レベルは、DRAMチップ外部の第1の維持電圧発生器から供給される。
【0023】
本発明のこれらの、および他の目的は疑いなく、当業者に、種々の図および図面において示す、好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】DRAMセルの一般的に使用されている設計を示す。
【
図1B】最も流通しているDRAMのアクセス(読出し(READ)または書込み(WRITE))動作中の関連した信号波形を示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるDRAMセルのアクセス(読出し(READ)または書込み(WRITE))動作中の、関連した信号波形を示す。
【
図3A】VCCSAよりも高い第1の維持電圧源に選択的に結合されたセンスアンプの模式的回路を示す。
【
図3B】VSSよりも低い第2の維持電圧源に選択的に結合されたセンスアンプの模式的回路図を示す。
【
図4】本発明の別の実施形態によるDRAMセルの関連した信号波形を示す。
【
図5】プリチャージ動作に関する本発明の一実施形態の機能ブロック図を示す。
【
図6】本発明によるプリチャージ動作についてのセンスアンプの動作を示す。
【
図7A】正温度係数(TC)の電圧発生器の模式的回路図を示す。
【
図7B】ゼロ温度係数(TC)の電圧発生器およびセルトラッキング回路の模式的回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
開示される装置および方法の以下に説明される実施形態の詳細な説明は、図面を参照しながら、本明細書中、限定でなく例示として提示される。特定の実施形態を詳細に示し、および説明しているが、添付された請求項の範囲から逸脱しない限り、種々の変更および修正を行い得ることが理解されよう。本発明の範囲は一切、複数の構成要素の数、それらの材料、それらの形状、それらの相対的な配置等に限定されるものでなく、単に、本発明の実施形態の例として開示している。
【0026】
本発明は、維持電圧源が、アクセストランジスタのターンオフ前に、DRAMセルの蓄積キャパシタに電気的に結合され、および、維持電圧源の電圧レベルが、通常の信号ONEの電圧レベルよりも高く、または、維持電圧源の電圧レベルが、通常の信号ZEROの電圧レベルよりも低い、持続可能なストレージアーキテクチャを有するDRAMを開示するものである。(オートプリチャージ動作、リストア(RESTORE)フェーズ、リフレッシュフェーズ、およびプリチャージフェーズなどの)DRAM動作は、選択されたDRAMセルに、そのアクセストランジスタをオンにさせる。よって、アクセストランジスタのターンオン段階中に、DRAMセルの蓄積キャパシタに上記維持電圧源を結合することにより、アクセストランジスタを介した漏れ電流がある場合でも、アクセストランジスタのターンオフ段階後、従来のDRAM構造と比較して、より長い期間中、蓄積キャパシタはもちこたえ得る。
【0027】
[例1]
図2は、本発明の一実施形態によるDRAMセルのアクセス(読出し(READ)または書込み(WRITE))動作の、関連した信号波形を示す。DRAMのスタンバイモードから開始することにより、アクセストランジスタ11を完全にオフにするために、ワード線WLが-0.3Vでバイアスされる。本実施形態では、VCCSAが1.2Vにセットされ、およびVSSが0Vにセットされる。この例では、信号ONEのレベルは1.2Vであり、および、信号ZEROのレベルは0V(GND)である。ビット線(BLおよびBLB)は、VCCSA=1.2Vでの信号ONEレベルと、VSS=0Vでの信号ZEROレベルとの間で、電圧レベル0.6Vで等しくされる。
【0028】
T0では、ワード線電圧は、ビット線に信号ONEまたはZEROを転送するために、オンにされたアクセストランジスタ11に、十分な駆動を与えるために、-0.3Vから、VCCSAの1.2Vおよびアクセストランジスタのしきい値電圧0.8Vよりもはるかに高い2.7Vに上昇している。信号が特定の大きさに増えるまで、センスアンプ20は、ビット線(BL)およびビット線バー(BLB)にわたり、信号を増幅するように活性化される。T1後、(ビット線上に、セル信号により転送された信号を増幅することによる)読出し(READ)動作または書込み(WRITE)動作(これらの信号ONEおよびZEROは、正しい信号をDRAMセル内に記憶するために、センスアンプ20をツイストさせるために、外部から書き込まれる)が行われ得る。当然、読出し(READ)または書込み(WRITE)に加えて、他のDRAM動作がT1後に行われ得る。すなわち、DRAMセルは、T1およびT2間の期間中にアクセス可能である。
【0029】
リストア(RESTORE)フェーズ中のT2後、アクセストランジスタ11の誘電体は、合理的に短いリストア時間の間、依然としてワード線(WL)からのVPPで負荷を与えられる。第1の維持電圧源は、このリストア(RESTORE)フェーズ中、DRAMセルのキャパシタに、意図的に結合される。第1の維持電圧源の電圧レベルは、VCCSAの1.2V(または信号ONEの電圧レベル)よりも高い。これは、第1の維持電圧源に、選択的に結合されたセンスアンプ20の回路模式図を示す
図3Aに示すように、(スイッチ13をオンにすることなどにより)センスアンプ20に第1の維持電圧源(VCCSA+M1)を接続し、または結合することにより、行われ得る。このリストア(RESTORE)フェーズ中、元のVCCSA電圧源は、(スイッチ14をオフにすることなどにより)センスアンプから切断され、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)は、
図3Aに示すように、センスアンプ20に接続される。M1は、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)がVCCSAよりも高いような正の数であり得る。一例では、M1は、0.6Vなどの、1/3VCCSA~2/3VCCSAの範囲内にあり得る。たとえば、信号ONEが元々蓄積キャパシタ内にある場合、このリストア(RESTORE)フェーズ中、第1の維持電圧源からの電圧レベル(1.2V+0.6V)がそこでセンスアンプ20を介して蓄積キャパシタ12に供給される。すなわち、
図2中の、T3におけるアクセストランジスタ11のターンオフ(すなわち、ワード線WLが、スタンバイモードにおけるワード線の電圧(-0.3V)に、VPP2.7Vから引き下げられる)前に、蓄積キャパシタ12には、通常の信号ONEの電圧レベル(VCCSA)よりも高い、第1の維持電圧源の電圧レベルが供給される。よって、アクセストランジスタ11のターンオフ後、アクセストランジスタ11を介した漏れ電流が存在している場合にも、従来のDRAM構造と比較して、より長い期間の間、蓄積キャパシタ12がもちこたえ得る。一実施形態では、アクセストランジスタ11のターンオフ後、またはリストア(RESTORE)フェーズ後、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)はセンスアンプ20から切断され得る。さらに、ビット線(BL)は、ビット線(BL)の電圧レベルが、
図2に示すように、Vb1にリセットされるように、電圧レベルVb1を有するビット線電圧源に結合され得る。
【0030】
別の実施形態では、リストア(RESTORE)フェーズ中のT2後、第2の維持電圧源は、リストア(RESTORE)フェーズ中にDRAMセルのキャパシタに意図的に結合される。第2の維持電圧源の電圧レベルは、電圧源VSS(0V、または信号ZEROの電圧レベル)よりも低い。これは、
図3Bに示すように、(スイッチ23をオンにすることなどにより)センスアンプに、第2の維持電圧源(VSS-M2)を接続することにより、行われ得る。
図3BはVSSよりも低い第2の維持電圧源(VSS-M2)に、選択的に結合されたセンスアンプの回路模式図を示し、M2は正の数であり得る。一例では、M2は、0.6Vなどの、0.4V~0.8Vの範囲内にあり得る。当然、第2の維持電圧源が、リストア(RESTORE)フェーズ中にセンスアンプ20に結合されると、電圧源VSSは、(スイッチ24をオフにすることなどにより)センスアンプ20から切断される。信号ZEROが元々、蓄積キャパシタ12内にある場合、このリストア(RESTORE)フェーズ中、電圧レベル(-0.6V)がそこで蓄積キャパシタに供給される。すなわち、
図2中の、T3における、アクセストランジスタ11のターンオフ(すなわち、ワード線WLが、スタンバイモードにおけるワード線の電圧にVPPから引き下げられる)前に、蓄積キャパシタ12には、通常の信号ZERO(VSS)の電圧レベルよりも低い、第2の維持電圧源の電圧レベルが供給される。一実施形態では、アクセストランジスタ11のターンオフ後、またはリストア(RESTORE)フェーズ後、第2の維持電圧源(VSS-M2)は、センスアンプ20から切断され得る。
【0031】
当然、別の実施形態では、第1の、および第2の維持電圧源はいずれも、リストア(RESTORE)フェーズ中、DRAMセルのキャパシタに、意図的に結合され得る。したがって、ワード線WLがVPPからスタンバイモードにおけるワード線の電圧に引き下げられる前に、信号ONEが元々蓄積キャパシタ内にある場合、電圧レベル(1.2V+0.6V)がそのとき蓄積キャパシタ内に記憶され、または、信号ZEROが元々蓄積キャパシタ内にある場合、電圧レベル(-0.6V)がそのとき蓄積キャパシタ内に記憶される。
【0032】
[例2]
蓄積された電荷を、アクセストランジスタを介して漏れることなく維持すべく漏れ電流を低減するために、通常、アクセストランジスタに、非常に高いしきい値電圧を持たせるように設計が行われる。VCCSAが0.6Vに低減される場合、7nmまたは5nmのプロセスのトライゲートもしくはFinFETトランジスタが、DRAM設計における周辺回路に採用され、これらのトランジスタのしきい値電圧が、0.3Vに低減されるなど、相応に調整され得る。本実施形態では、アクセストランジスタのしきい値電圧は、意図的に、0.5~0.6Vに上げられ得る。よって、蓄積キャパシタからの漏れ電流は大幅に、少なくとも3~4ディケード(=0.6-0.3-0.3V、Sファクタが68mV/ディケードである場合、漏れは、周辺トライゲート素子の漏れに対して4ディケード削減され得る。しきい値電圧が0.5Vに上げられた場合、漏れ電流は2~3ディケードのはずである)だけ、低減される。VCCSA近くまで、または、少なくとも、0.6Vの80%よりも大きく、しきい値電圧を上げることが提案される。本実施形態では、(FinFETまたはトライゲートトランジスタなどの)アクセストランジスタの、ゲート誘電体の厚さが、その厚さを増加させることなく、周辺トランジスタの厚さとしてなお維持され、そしてその結果、トライゲート構造を使用することの、高性能のメリットが維持され得る。
【0033】
図4は、本発明の別の実施形態によるDRAMセルの関連した信号波形を示す。この例では、信号ONEのレベルは0.6Vであり、信号ZEROのレベルは0V(GND)である。リストア(RESTORE)フェーズ中のT2後、第1の維持電圧源は、リストア(RESTORE)フェーズ中に、DRAMセルのキャパシタに、意図的に結合される。第1の維持電圧源の電圧レベルは、VCCSAの0.6V(または信号ONEの電圧レベル)よりも高い。これは、第1の維持電圧源(VCCSA+K)をセンスアンプに接続することにより行われ、Kは正の数であり得る。一例では、Kは、0.3Vまたは0.4Vなどの、1/3VCCSA~2/3VCCSAの範囲内にあり得る。したがって、0.6Vの信号ONEが元々、蓄積キャパシタ内にある場合、このリストア(RESTORE)フェーズ中、電圧レベル(0.6V+0.4V)がそこで蓄積キャパシタに供給される。すなわち、
図4中のT3におけるアクセストランジスタのターンオフ(すなわち、ワード線WLがVPPからスタンバイモードにおけるワード線の電圧に引き下げられる)前に、蓄積キャパシタには、通常の信号ONEの電圧レベル(VCCSAの0.6V)よりも高い、第1の維持電圧源の電圧レベルが供給される。したがって、ワード線WLがVPPに引き上げられた後であるが、ワード線がスタンバイまたは非アクティブモードに引き下げられる前に、信号ONEが元々蓄積キャパシタ内にある場合は電圧レベル1Vがその時に蓄積キャパシタ内に記憶される。一実施形態では、リストア(RESTORE)フェーズ後、ビット線(BL)およびビット線バー(BLB)は、ビット線(BL)の電圧レベルおよびビット線バー(BLB)の電圧レベルが、
図4に示すように、Vblにリセットされるように、電圧レベルVblを有するビット線電圧源に結合され得る。
【0034】
当然、前述したように、ワード線WLがVPPからスタンバイモードにおけるワード線の電圧に引き下げられる前に、信号ZEROが元々蓄積キャパシタ内にある場合、第2の維持電圧源の電圧レベルはその時、蓄積キャパシタ内に記憶され、第2の維持電圧源の電圧レベルは、-0.4Vなど、信号ZEROよりも低い。
【0035】
[例3]
図5は、プリチャージ動作についての回路および機能ブロック図に関する別の実施形態を示す。本実施形態では、VCCSAは0.6Vにセットされ、VSSは0Vにセットされる。プリチャージ動作では、メモリセクション5(「Sec5」)内の、選択された(複数の)ワード線に接続されたすべてのDRAMセルはプリチャージされ、(「Sec4」、「Sec6」等などの)他のメモリセクション内の非選択ワード線に接続されたDRAMセルはアイドル状態になる。
【0036】
選択された(複数の)ワード線に接続されたDRAMセルに結合されたセンスアンプ41および42は、プリチャージキッカー30により、第3の維持電圧源VHSA(0.6V+K)に上げられ(be kicked)、よって、より強いドレインソース間電界が、セルに再記憶された信号を加速させ得る。第3の維持電圧源VHSAは、約数百mV、たとえば0.3V~0.4V、VCCSA(0.6V)よりも高い。さらに、選択された(複数の)ワード線がオフ(OFF)状態になる(すなわち、選択された(複数の)ワード線に結合されたDRAMセルのアクセストランジスタがオフ(OFF)状態になる)前に、元の信号ONEの電圧レベルよりも高い電圧レベル(0.6V+0.4V)が、そのとき蓄積キャパシタ内に記憶され得る。一方、非選択の、(複数の)ワード線に接続されたDRAMセルに結合されたセンスアンプは、上げられずに(not be kicked up)VCCSAになお結合される。
【0037】
図6はプリチャージフェーズについての、センスアンプの動作を説明し、
図6において使用される記号の意味は以下の通りである:
VCCSA: ビット線センスアンプ電圧
VHSA: 第3の維持電圧源
LSLP: 選択されたビット線センスアンプの高電圧
LSLN: 選択されたビット線センスアンプの低電圧
Vpl: プレート電圧
SN: 記憶ノード
WL: ワード線
BL: ビット線
Vsg1、2: P1、P2のソースゲート間電圧
Vsg3、4: N3、N4のゲートソース間電圧
Vsg5、6: P5、P6のソースゲート間電圧
Vgs7、8: N7、N8のゲートソース間電圧
【0038】
図6を参照すれば、ワード線WL100が、SN1およびSN9などの複数の記憶ノードに結合される。信号ONE(0.6V)が、ワード線WL100に接続された記憶ノードSN1に記憶される場合、プリチャージコマンドが出されてワード線WL100が選択された後(すなわち、ワード線がオン(ON))、センスアンプのLSLPがVHSA(1.0V)に結合され、したがって、LSLPが0.6Vから1.0Vに上げられ(is kicked)、LSLNが0Vに留まる。よって、センスアンプのトランジスタP1はオフ(OFF)であり、およびVsg1=0Vである。さらに、センスアンプのトランジスタP2はオン(ON)であり、Vsg2は0.6Vから1.0Vに上げられ(is kicked)、1.0Vが、記憶ノードSN1に、ビット線BLを介して完全に充電される。一方、センスアンプのトランジスタN3はオン(ON)であり、Vgs3も0.6Vから1.0Vに上げられる(is kicked)。さらに、センスアンプのトランジスタN4はオフ(OFF)であり、Vsg4は0Vである。
【0039】
信号ZERO(0V)が、ワード線WL100に接続された記憶ノードSN9内に記憶されると、プリチャージコマンドが出されてワード線WL100が選択された後、センスアンプがVHSA(1.0V)に結合され、したがって、LSLPが0.6Vから1.0Vに上げられ(is kicked)、LSLNは0Vに留まる。よって、センスアンプのトランジスタP5はオン(ON)であり、Vsg5は0.6Vから1.0Vに上げられる(is kicked)。さらに、センスアンプのトランジスタP6はオフ(OFF)であり、Vsg2は0Vである。一方、センスアンプのトランジスタN7はオフ(OFF)であり、Vgs7は0Vである。さらに、センスアンプのトランジスタN8はオン(ON)であり、および、Vgs8は0.6Vから1.0Vに上げられ(is kicked)、0Vが記憶ノードSN9にビット線BL9を介してしっかりと再記憶される。当然、前述したように、信号ZEROが元々、蓄積キャパシタ内にある場合、LSLNは、プリチャージフェーズ中に、別の維持電圧源VLSN(0V-K)に結合され得る。VLSNは信号ZEROの電圧レベルよりも低く、および、この場合、VLSNは-0.4Vであり得る。その場合、-0.4Vが、プリチャージフェーズ中に、記憶ノードSN9にビット線BL9を介してしっかりと再記憶される。
【0040】
別の実施形態では、第1の維持電圧源がセンスアンプ(またはDRAM記憶セル)に、DRAM記憶セルに結合されたワード線がオフ(OFF)状態になる前に結合される限り、センスアンプ(またはDRAM記憶セル)に、信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の維持電圧源を結合することは、リフレッシュ動作、または(オートプリチャージ動作を有する読出し(READ)/書込み(WRITE)などの)他の動作に適用され得る。さらに、第2の維持電圧源がセンスアンプ(またはDRAM記憶セル)に、DRAM記憶セルに結合されたワード線がオフ(OFF)状態になる前に結合される限り、センスアンプ(またはDRAM記憶セル)に、信号ZEROの電圧レベルよりも低い第2の維持電圧源を結合することは、リフレッシュ動作、または他の動作に適用され得る。ビット線またはセンスアンプのキック電圧は(第1の維持電圧源であっても第2の維持電圧源であっても)、DRAM自体により、生成され、または、DRAM内に含まれていない他の外部回路により、生成され得る。
【0041】
【0042】
本発明に基づけば、新たなDRAM構造はセル内に記憶されたデータについて、より長い保持時間を有し、DRAMの保持時間またはリフレッシュ時間(tREF)はかなり改善される場合があり、および、したがって、AC性能も、リフレッシュ時間の延長により、向上され得る。上記表に示すように、ビット線またはセンスアンプの電圧を上げることなく、従来の2Gb DDR3 DRAM(25nm製造プロセス)から測定された、3シグマに基づいた平均tREFは、周囲温度(ATE)85℃、95℃、105℃、115℃、および125℃それぞれにおいて106.0ms、83.5ms、65.7ms、51.8ms、および40.8ms(上記表の第3行に示すデータ)である。「3シグマに基づいた平均tREF」に関する上記表に示す値は、DRAMセルの統計値分布結果の平均(averageまたはmean)tREFを基準値として使用し、その後、上記基準値を使用してシグマの3倍を減算するものである。
【0043】
一方、元のVCCSA(または信号ONEに対応する電圧レベル)が1.1vであり、および、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.3vに上げられる(is kicked)場合に、1Gb DDR3 DRAMにおいて本発明を実現すれば、3シグマに基づいた平均tREFは、周囲温度(ATE)85℃、95℃、105℃、115℃、および125℃それぞれにおいて124.9ms、98.3ms、77.4ms、61.0ms、および48.0ms(上記表の第4行に示す測定されたデータ)である。より積極的には、元のVCCSAが1.1vであり、および、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.6vに上げられる(is kicked)場合に、4Gb DDR3 DRAMにおいて本発明を実現すれば、3シグマに基づいた平均tREFが、周囲温度(ATE)85℃、95℃、105℃、115℃、および125℃それぞれにおいて164.4ms、129.5ms、101.9ms、80.3ms、および63.2ms(上記表の第5行に示すデータ)に改善されるものと推定される。
【0044】
前述したように、ケース温度85℃、95℃、および105℃における、本発明の下でのDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、158.8ms、124.9ms、および98.3ms(または、208.9ms、164.4ms、および129.5ms)それぞれに増加させられる。本発明を実現しないDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREF(85℃、95℃、および105℃それぞれにおける、135ms、106ms、および83.5ms)と比較すれば、本発明によるDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、85℃において136ms~210msの範囲で、95℃において107ms~165msの範囲で、105℃において84ms~130msの範囲それぞれ内で改善され得る。一部の車両がその下で動作するケース温度115℃(125℃)においても、DRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、66ms~102msの範囲(または52ms~81msの範囲)内で改善され得る。
【0045】
次の表は、以下を示している。
(a)異なるケース温度Tcにおける、JEDEC標準により規定された、DRAMの保持時間またはリフレッシュ時間(tREF)の仕様(「DRAM標準」によりマーキングされた第3行)。JEDEC標準では、DRAMの温度がさらに摂氏10度(85Cから95Cに、または95Cから105Cに、等など)上げられると、保持時間は1/2に下げられる(85Cから95Cに上げられると保持時間は64msから32msに下げられる、または95Cから105Cに上げられると保持時間は32msから16msに下げられる、などのように)。
(b)元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.3vに上げられる(is kicked)場合の、本発明を実現する1Gb DDR3 DRAMにおける異なるケース温度Tcでの保持時間またはリフレッシュ時間の仕様(「新たな1Gb DDR3(イートロン)」によりマークされた第4行)。
(c)元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.6vに上げられる(is kicked)場合の、本発明を実現する4Gb DDR3 DRAMにおける異なるケース温度Tcでの保持時間またはリフレッシュ時間の仕様(「4Gb DDR3(イートロン)」によりマークされた第5行)。
(d)他のサプライヤのDRAMによる、異なるケース温度Tcにおける保持時間またはリフレッシュ時間の仕様(「参考値‐他のサプライヤのDRAM」によりマークされた第6行)。
【0046】
【0047】
(上記表の第2列に示す)ケース温度85℃において、本発明に基づいたDRAMにおける保持時間またはリフレッシュ時間の仕様は、(元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.3vに上げられる場合)84ms、または(元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.6vに上げられる場合)112msに上げられることが可能で、それは、JEDEC標準のtREFの1.3倍(または1.7倍)よりも少なくない。
【0048】
さらに、(上記表の第3列に示す)ケース温度95℃において、本発明に基づいたDRAMにおけるリフレッシュ時間の仕様は、(元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.3vに上げられる場合)64ms、または(元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.6vに上げられる場合)88msに上げられることが可能で、それは、JEDEC標準のtREFの2倍(または2.7倍)よりも少なくない。
【0049】
さらに、(上記表の第4列に示す)ケース温度105℃において、本発明に基づいたDRAMにおけるリフレッシュ時間の仕様は、(元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.3vに上げられる場合)48ms、または(元のVCCSAが1.1vであり、ビット線またはセンスアンプ電圧が1.6vに上げられる場合)72msに上げられることが可能で、それは、JEDEC標準のtREFの3倍(または4.5倍)よりも少なくない。
【0050】
車両又は乗用車内でDRAMが利用されるケース温度(上記表の第5列に示す)115℃においても、本発明に基づいたDRAMにおけるリフレッシュ時間の仕様は、参考値として用いられている他のサプライヤのDRAMのtREFの2倍(または3.5倍)よりも少なくない。さらに、(上記表の第6列に示す)ケース温度125℃においては、本発明に基づいたDRAMにおけるリフレッシュ時間の仕様は、参考値として用いられている、他のサプライヤのDRAMのtREFの3倍(または6倍)よりも少なくない。したがって、比率の改善を考慮すれば、DRAMが利用される温度が高いほど、本発明に基づいたtREF仕様の改善がより大きくなる。
【0051】
したがって、どのケース温度においても、本発明に基づいた、3シグマに基づいた平均tREF(またはtREF仕様)の値について、JEDEC標準、または上記表において参考値として使用される他のサプライヤのDRAMのtREFと比較して大きな改善が存在している。本発明によれば、DRAMセルのアクセストランジスタがオフにされる前に(または、オートプリチャージ動作、リストア(RESTORE)フェーズ、リフレッシュフェーズ、およびプリチャージフェーズ中に)DRAMセルに、(信号ONEの値よりも大きな)第1の電圧レベルを供給することにより、第1の基準温度におけるDRAMチップの保持時間の仕様は、第2の基準温度におけるDRAMチップの保持時間の仕様の1/2(または3/4)倍よりも少ない訳でなく、第1の基準温度は第2の基準温度よりも大きく、および、第1の基準温度と第2の基準温度との差は摂氏10度である。
【0052】
前述したように、85℃、95℃、および105℃における、本発明の下でのDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、それぞれ、158.8ms、124.9ms、および98.3ms(または、208.9ms、164.4ms、および129.5ms)に増加させられる。さらに、85℃、95℃、および105℃における、JEDECにより規定された保持時間は、それぞれ64ms、32ms、および16msである。よって、85℃、95℃、および105℃における、本発明によるDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、85℃、95℃、および105℃それぞれにおける、JEDECにより規定された保持時間の約2.5、3.9、および6.1(または3.3、5.1、および8.1)倍である。一方、従来の設計によるDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREF(85℃、95℃、および105℃それぞれにおける、135ms、106ms、および83.5ms)は、85℃、95℃、および105℃における、JEDECにより規定された保持時間の約2.1、3.3、および5.2倍である。したがって、本発明によるDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、JEDECにより規定された85℃における保持時間の2.2~3.3倍の範囲、JEDECにより規定された95℃における保持時間の3.4~5.2倍の範囲、および、JEDECにより規定された105℃における保持時間の5.3~8.2倍の範囲それぞれの内で改善され得る。
【0053】
別の観点では、85℃、95℃、および105℃における、本発明によるDRAMチップの保持時間は、85℃、95℃、および105℃それぞれにおける、JEDECにより規定された保持時間の少なくとも2.2倍である。85℃、95℃、および105℃における、本発明によるDRAMチップの保持時間が、85℃、95℃、および105℃それぞれにおける、JEDECにより規定された保持時間の、(2.4または3.2などの)2.2~3.3倍の範囲内にあることが考えられる。
【0054】
第1の維持電圧源(VCCSA+M1)または第2の維持電圧源(VSS-M2)がセンスアンプ20に接続される場合、(VCCSA+M1)または(VSS-M2)の値が、温度依存性を有する(たとえば、(周囲温度、またはDRAMのTC/TJなどの)温度が高いほど、(VCCSA+M1)の値が高くなり、または(VSS-M2)の値が小さくなる)ことが考えられる。したがって、(VCCSA+M1)または(VSS-M2)の変更可能な調整を踏まえれば、
(a)本発明に基づいたDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、範囲85℃~95℃、105℃~115℃、または115℃~125℃内などの、85℃~125℃の範囲内で同じであり、もしくは実質的に同じであり得る。たとえば、本発明に基づいたDRAMチップの保持時間は、85℃、95℃、および105℃それぞれにおいて、(略130msなど)実質的に同じであり得る。
(b)本発明に基づいたDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、範囲85℃~105℃などの、85℃~125℃の範囲内で徐々に増加し得る。たとえば、DRAMチップの保持時間は、85℃、95℃、および105℃において、135msから、140ms、145msへと(または、130ms、140ms、150msへと)、それぞれ、徐々に増加してもよい。傾斜は1ms/℃より大きくなくてもよい。
(c)本発明に基づいたDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、範囲85℃~105℃などの第1の範囲内で徐々に変わってもよく、その場合、105℃~115℃または115℃~125℃の範囲などの第2の範囲と同じ、または実質的に同じであってもよい。たとえば、DRAMチップの保持時間は、85℃、95℃、および105℃において、140msから、120ms、100msへと、それぞれ、徐々に減少してもよい。その場合、DRAMチップの保持時間は、105℃および115℃において100msと(または115℃および125℃において80msと)実質的に同じであり得る。
(d)本発明に基づいたDRAMチップの、3シグマに基づいた平均tREFは、第1の範囲内で徐々に減少し、または増加する場合があり、しかし、そうしたリフレッシュ時間は、JEDECにより規定された第1の範囲内の保持時間の少なくとも数倍である。たとえば、本発明に基づいたDRAMチップのリフレッシュ時間は、85℃、95℃、および105℃において(それぞれ、158msから、125ms、98msへと、または、それぞれ、208msから、164ms、129msへと)徐々に減少し、しかし、85℃、95℃、および105℃における、本発明に基づいたDRAMチップの前述のリフレッシュ時間は、(64ms、32ms,16msなどの)85℃、95℃、および105℃それぞれにおける、JEDECにより規定された保持時間の少なくとも2.2倍である。別の例では、85℃、95℃、および105℃における、本発明に基づいたDRAMチップのリフレッシュ時間は、(64ms、32ms,16msに対応する)85℃、95℃、および105℃それぞれにおける、JEDECにより規定された保持時間の2.11~3.3倍の範囲内にある。たとえば、2.2、2.5、3、3.2倍等である。
【0055】
図7Aに示すように、温度依存性を有する(VCCSA+M1)は、バンドギャップ基準電圧回路、正TCのカレントミラー、およびLDO回路を備える、正温度係数(TC)の電圧発生器により、実現され得る。温度がより高い場合、発生される電圧VHSA((VCCSA+M1)に対応し得る)は、比例してより高くなり、VHSA=(R4/R1)・VT・lnXである。値が温度依存性を有する第1の維持電圧源(VCCSA+M1)は、DRAMチップの外部にあってもよく、またはDRAMチップ内に実現されてもよい。
【0056】
さらに、
図7Bに示すように、温度依存性を有する(VCCSA+M1)は、ゼロ温度係数(TC)の電圧発生器に、セルトラッキング回路を加えたものにより、実現されてもよい。ゼロTCの電圧発生器は、バンドギャップ基準電圧回路、負TCのカレントミラー、正TCのカレントミラー、およびLDO回路を備える。セルトラッキング回路は、トランジスタであって、セルトラッキング回路を通過するiOFF1電流が有るように、Vss(またはワード線オフ電圧)による供給を受け、iOFF1電流は正温度係数を有している。よって、温度がより高い場合、発生される電圧VHSA((VCCSA+M1)に対応し得る)は、比例的に、より高くなる。
【0057】
さらに、
図3Aを参照されたいが、トランジスタ11がオンにされると、元のVCCSA電圧源がセンスアンプから切断され、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)がセンスアンプ20に接続され、電圧(VCCSA+M1)がキャパシタ12に結合され、キャパシタ12における差電圧は、(VCCSA+M1)マイナスVplであり得る。通常、Vplの値は1/2・VCCSAにセットされ、したがって、キャパシタ12上の電圧差はより大きい場合があり、そして、そうしたより高い差電圧は場合によっては、キャパシタ12の信頼度を低下させるか信頼度に影響をおよぼし得る。よって、本発明の別の実施形態では、キャパシタ12上の差電圧が好適な範囲内に維持され得るように、キャパシタ12の他の電極に結合された電圧Vplは、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)がセンスアンプ20に接続されるときに(1/2・VCCSA+M1、または1/2・VCCSAよりも高い他の電圧などに)上げられるか、常時、1/2・VCCSA+M1若しくは他の電圧に上げられてもよい。キャパシタ12上の差電圧は、1/2・VCCSAに対して、キャパシタ12がそうした差電圧に耐え得る限り、大きいか、等しいか、または低い場合がある。
【0058】
たとえば、
図7Aまたは
図7Bで発生される電圧VHSA((VCCSA+M1)に対応し得る)がキャパシタ12に印加されると、キャパシタ12の他の電極に印加されるVplの値は、キャパシタ12上の差電圧が1/2・VHSAにおいて維持され得るように1/2・VHSAにセットされ得る。
【0059】
上記文面をまとめれば、本発明は、持続可能なストレージアーキテクチャを有するDRAMを開示している。信号ONEの電圧レベルよりも高い第1の維持電圧は、DRAM記憶セルのアクセストランジスタがオフ(OFF)になる(またはDRAM記憶セルに結合されたワード線がオフ(OFF)になる)前にDRAM記憶セルに再記憶、または記憶され得る。さらに、信号ZEROの電圧レベルよりも低い第2の維持電圧は、DRAM記憶セルのアクセストランジスタがオフ(OFF)になる(またはDRAM記憶セルに結合されたワード線がオフ(OFF)になる)前にDRAM記憶セルに再記憶、または記憶され得る。よって、アクセストランジスタのターンオフ後、蓄積キャパシタは、アクセストランジスタを介した漏れ電流があっても、従来のDRAM構造と比較して、より長い期間の間、もちこたえ得る。
【0060】
本発明は、実施形態を参照しながら例証され、および説明されたが、本発明が、開示した実施形態に限定されず、逆に、添付の請求項の趣旨および範囲内に含まれる種々の修正および同等の取り合わせを包含することが意図されることが理解されるものである。