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▶ アイリスチトセ株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/46 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
A47C7/46
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020027954
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021129909
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月11日~17日に証明書に記載の刊行物に記載 令和2年1月10日~15日に証明書に記載のウェブサイトにて公開 令和2年1月7日~2月20日に証明書に記載の販売先に出荷
(73)【特許権者】
【識別番号】301078858
【氏名又は名称】アイリスチトセ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】中 秀樹
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0025575(US,A1)
【文献】実開昭61-181559(JP,U)
【文献】特開2018-090038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面を有する座部と、
背もたれ部と、を備える椅子であって、
前記背もたれ部は、支持体と前記支持体に対して前後方向に移動可能に支持されたランバーサポートを含む可動体と、を有し、
前記ランバーサポートの移動を阻止する第1状態と、前記ランバーサポートの移動を許容する第2状態と、をとるロック機構を備え、
前記ロック機構は、
前記支持体に設けられた支持側係止部材と、
前記可動体に設けられるとともに、前記第1状態において前記支持側係止部材と係止し、前記第2状態において前記支持側係止部材との係止が解除される、可動側係止部材と、によって構成され、
前記第1状態および前記第2状態を切替操作する操作レバーが、前記可動体の前記可動側係止部材に設けられることを特徴とする、椅子。
【請求項2】
前記可動体は、前記支持体に対して揺動可能に支持されている、請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記可動体は、可動フレームを有し、
前記操作レバーは、前記可動フレームの下側部分から後方に向かって突出し、
前記可動フレームに、前記可動側係止部材から左右方向に延びる指当て部が設けられる、請求項1に記載の椅子。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記支持側係止部材と前記可動側係止部材とが互いに係止状態となるように、前記可動側係止部材を下方に付勢する弾性部材を有し、
前記操作レバーを上方に持ち上げることで、前記支持側係止部材と前記可動側係止部材との係止を解除する、請求項1ないし3のいずれかに記載の椅子。
【請求項5】
前記可動側係止部材は、前記操作レバーを指示する頭部と、前記頭部に繋がる一対のアーム部と、を有し、
前記アーム部は、前記操作レバーに対して下方に延びる鉛直部と、前記鉛直部から後方に延びる水平部と、前記水平部の先端から下方に突出し、前記支持側係止部材と係止する凸部と、を有し、
前記水平部は、前記支持側係止部材に設けたガイド溝の中に一部が挿入された状態で、前後方向に移動自在である、請求項3または4に記載の椅子。
【請求項6】
前記支持体は、前記可動側係止部材の後方に位置する開口部を有する支持フレームを含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の椅子の一例が開示されている。同文献に開示された椅子は、座面を有する座部と背もたれ部とを備えている。背もたれ部には、ランバーサポートが設けられている。このランバーサポートは、使用者の腰部を支持するための部位であり、背もたれ部のフレームに沿って上下方向の位置が調整可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-119411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ランバーサポートは、使用者の体型や姿勢等に応じて、背もたれ部から大きく張り出すことが求められたり、張り出しを抑制することが求められたりする。しかしながら、ランバーサポートの上下方向の位置調整では、このような要請に十分に応えることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ランバーサポートの前後方向位置を任意に調整可能な椅子を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される椅子は、座面を有する座部と、背もたれ部と、を備える椅子であって、前記背もたれ部は、支持体と前記支持体に対して前後方向に移動可能に支持されたランバーサポートを含む可動体と、を有し、前記ランバーサポートの移動を阻止する第1状態と、前記ランバーサポートの移動を許容する第2状態と、をとるロック機構を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記可動体は、前記支持体に対して揺動可能に支持されている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ロック機構は、前記支持体に設けられた支持側係止部材と、前記可動体に設けられるとともに、前記第1状態において前記支持側係止部材と係止し、前記第2状態において前記支持側係止部材との係止が解除される、可動側係止部材と、によって構成される。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ロック機構は、前記支持側係止部材と前記可動側係止部材とが互いに係止状態となるように弾性力を付勢する弾性部材を有する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記可動体は、前記可動側係止部材に対して左右方向に延びる部分を有する可動フレームを有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記支持体は、前記可動側係止部材の後方に位置する開口部を有する支持フレームを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ランバーサポートの前後方向位置を任意に調整することができる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る椅子の一実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る椅子の一実施形態を示す正面図である。
図3】本発明に係る椅子の一実施形態を示す背面図である。
図4】本発明に係る椅子の一実施形態を示す左側面図である。
図5】本発明に係る椅子の一実施形態を示す斜視図である。
図6】本発明に係る椅子の一実施形態を示す要部断面斜視図である。
図7】本発明に係る椅子の一実施形態を示す要部断面斜視図である。
図8】本発明に係る椅子の一実施形態の可動側係止部材を示す斜視図である。
図9】本発明に係る椅子の一実施形態を示す要部断面図である。
図10】本発明に係る椅子の一実施形態を示す要部断面図である。
図11】本発明に係る椅子の一実施形態を示す要部断面斜視図である。
図12】本発明に係る椅子の一実施形態を示す要部断面斜視図である。
図13】本発明に係る椅子の一実施形態を示す要部断面斜視図である。
図14】本発明に係る椅子の一実施形態の使用例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
<椅子A1>
図1図13は、本発明に係る椅子の一実施形態を示している。本実施形態の椅子A1は、座部1、脚部2および背もたれ部3を備えている。また、椅子A1においては、後述の支持側係止部材32および可動側係止部材37によってロック機構39が構成されている。椅子A1は、たとえば事務用椅子と称される椅子であるが、椅子A1の種類や用途は何ら限定されない。
【0017】
図1は、椅子A1を示す斜視図である。図2は、椅子A1を示す正面図である。図3は、椅子A1を示す背面図である。図4は、椅子A1を示す左側面図である。図5は、椅子A1を示す斜視図である。図6図7および図11図13は、椅子A1を示す要部断面斜視図である。図8は、椅子A1の可動側係止部材を示す斜視図である。図9および図10は、椅子A1を示す要部断面図である。これらの図において、「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、「左」の語句を用いて方向を定義している。上下方向は、一般的に鉛直方向に一致するが、椅子A1の設置状況等において上下方向が鉛直方向と交差してもよい。前後方向は、使用者が椅子A1に着座した場合に正面に相当する前方と背面に相当する後方とによって規定される方向である。左右方向は、使用者が椅子A1に着座した場合の右方と左方とによって規定される方向である。図6および図9図13においては、理解の便宜上、後述の背もたれ布35を省略している。また、図9は、後述の可動側係止部材37の操作レバー371と交差する左右方向に直角な平面における断面図であり、図10は、後述の可動側係止部材37のアーム部374と交差する左右方向に直角な平面における断面図である。
【0018】
<座部1>
座部1は、着座した使用者の臀部や太ももを支持する部位である。座部1の構成は特に限定されず、本実施形態の座部1は、図1図5に示すように、座部フレーム11および座部布12からなり、座面13を有する。
【0019】
座部フレーム11は、座部1の基本構造をなす構造部材である。座部フレーム11の材質は特に限定されず、金属、樹脂等が適宜選択されて単独でもしくは複合して用いられる。図1に示すように、図示された例においては、座部フレーム11は、上下方向に沿って視て四隅が丸められた略四角形の環状部分や当該環状部分の下方に位置する土台部分を有する。
【0020】
座部布12は、座部フレーム11の環状部分を上側から覆うように設けられている。座部布12の材質等は特に限定されず、天然素材や合成素材等が適宜選択される。図示された例においては、座部布12は、ネット状の布によって構成されている。
【0021】
座面13は、着座した使用者の臀部や太ももに接する面である。座面13は、着座した使用者を快適に支持し得ること等を目的として、任意の湾曲面とされている。本実施形態においては、座面13は、座部フレーム11を覆うように張られた座部布12によって構成されている。なお、座部1の座面13は、内部にスポンジ等の弾性部材を覆う座部布12によって構成されていてもよい。また、座部1が座部布12を用いることなく、樹脂や金属等によって構成されている場合、座面13は、たとえば樹脂部材の表面によって構成されていてもよい。
【0022】
<脚部2>
脚部2は、椅子A1が載置される床面等に対して、座部1および背もたれ部3を支持する部位である。脚部2の構成は特に限定されず、本実施形態の脚部2は、図1図5に示すように、支柱21、複数の枝部22および複数のキャスター23を有する。なお、脚部2は、本実施形態の構成の他に、たとえば4本の棒状部材や複数の枠状部材からなる構成であってもよい。
【0023】
支柱21は、座部1の座部フレーム11の土台部分に連結されており、上下方向に延びる棒状部材である。支柱21は、たとえば金属からなる。複数の枝部22は、支柱21に固定されており、上下方向に沿って視て支柱21から放射状に延びている。図示された例においては、脚部2は、5つの枝部22を有するが、枝部22の本数は何ら限定されない。枝部22は、たとえば樹脂や金属からなる。複数のキャスター23は、複数の枝部22の先端付近に個別に設けられている。キャスター23は、たとえば車輪や球状部品を有することにより、床面等に対して転がる機能を果たす。
【0024】
<背もたれ部3>
背もたれ部3は、着座した使用者の背中や腰部を支持する部位である。背もたれ部3の構成は何ら限定されず、本実施形態においては、背もたれ部3は、図1図6に示すように、支持体30および可動体33を有する。
【0025】
支持体30は、座部1に対して固定された部位である。図示された例においては、支持体30は、支持フレーム31および支持側係止部材32を有する。
【0026】
支持フレーム31は、たとえば金属や樹脂からなり、支持体30の基本構造をなす部位である。図4図6に示すように、本実施形態においては、支持フレーム31の下部が座部1の座部フレーム11の土台部分に連結されている。支持フレーム31の具体的な形状は特に限定されず、本実施形態の座部フレーム11は、後方から視て環状であって、左右方向に沿って視て前方に緩やかに膨出する湾曲形状である。支持フレーム31は、開口部311を有する。開口部311は、環状の支持フレーム31の開口部分である。開口部311は、後述の可動側係止部材37の操作レバー371の後方に位置する。また、支持フレーム31は、1対の支持部312を有する。支持部312は、開口部311の上側部分に設けられており、可動体33を揺動可能に支持するための部位である。
【0027】
支持側係止部材32は、後述の可動側係止部材37とともにロック機構39を構成する。図6図9および図10に示すように、本実施形態の支持側係止部材32は、支持フレーム31の下方に設けられている。支持側係止部材32は、図示された例のように、支持フレーム31とともに一体成型されていてもよいし、支持フレーム31とは別体の部品によって構成されていてもよい。図6および図10に示すように、支持側係止部材32は、複数の凹部321を有する。凹部321は、後述の可動側係止部材37の凸部375と係止することにより、ロック機構39の機能を実現する部位である。本実施形態においては、複数の凹部321が、前後方向に配列されている。また、本実施形態においては、図7に示すように、複数の凹部321は、左右方向に互いに離間した2列のガイド溝322の底部に設けられている。
【0028】
可動体33は、支持体30に対して可動する部位である。本実施形態の可動体33は、図1図6図9および図10に示すように、可動フレーム34、背もたれ布35および可動側係止部材37からなり、ランバーサポート36を有する。可動体33は、ランバーサポート36が座部1に対して前後方向に移動可能となるように、支持体30に支持されている。
【0029】
可動フレーム34は、たとえば樹脂や金属からなる。可動フレーム34の形状は何ら限定されず、図示された例においては、前後方向に沿って視て環状であって、左右方向に沿って視て前方に緩やかに膨出する湾曲形状である。可動フレーム34は、1対の被支持部341を有する。1対の被支持部341は、可動フレーム34の上側部分に設けられており、支持フレーム31の1対の支持部312に支持される部位である。支持部312と被支持部341とが、嵌合や係合の支持構造とされることにより、可動フレーム34(可動体33)は、支持フレーム31(支持体30)に対して揺動中心軸Os周りに揺動可能に支持されている。また、図5および図6に示すように、可動フレーム34は、1対の指当て部342を有する。1対の指当て部342は、ロック機構39(可動側係止部材37)から左右方向に延びる部分である。
【0030】
背もたれ布35は、環状の可動フレーム34を前方から覆うように設けられている。背もたれ布35の材質等は特に限定されず、天然素材や合成素材等が適宜選択される。図示された例においては、背もたれ布35は、ネット状の布によって構成されている。なお、可動体33は、可動フレーム34および背もたれ布35からなる構成に限定されず、内部にスポンジ等の弾性部材とこれを覆う背もたれ布35によって構成されていてもよいし、背もたれ布35を用いることなく樹脂や金属等によって構成された湾曲形状等の部材によって構成されていてもよい。
【0031】
ランバーサポート36は、可動フレーム34および背もたれ布35のうち、左右方向に沿って視て前方に膨出する部分であり、着座した使用者の腰部を支持する部位である。ランバーサポート36は、可動フレーム34(可動体33)が支持フレーム31(支持体30)に対して揺動中心軸Os周りに揺動可能に支持されていることにより、座部1や支持フレーム31(支持体30)に対して前後方向に移動可能とされている。
【0032】
可動側係止部材37は、支持体30の支持側係止部材32とともにロック機構39を構成する。図5図6図9および図10に示すように可動側係止部材37は、可動フレーム34の下方部分に設けられている。可動側係止部材37の具体的な形状は何ら限定されず、本実施形態においては、図8に示すように、操作レバー371、頭部372、凹部373、1対のアーム部374および1対の凸部375を有する。
【0033】
操作レバー371は、ロック機構39の第1状態および第2状態を切替操作するための部位であり、図5および図6に示すように、可動フレーム34の下側部分から後方に突出している。頭部372は、操作レバー371を支持する部分であり、操作レバー371から上方に突出する部分を有する。凹部373は、頭部372に形成されており、下方に凹んでいる。本実施形態においては、図9に示すように、弾性部材38の下方部分が凹部373に収容されている。弾性部材38の上端は、可動フレーム34に当接している。弾性部材38は、たとえば弦巻ばねである。これにより、可動側係止部材37は、可動フレーム34に対して下方に向かう弾性力が付勢されている。
【0034】
1対のアーム部374は、頭部372に繋がっており、操作レバー371に対して下方に延びる鉛直部374aと、鉛直部374aから後方に延びる水平部374bとをそれぞれが有する。1対の凸部375は、1対のアーム部374の水平部374bの先端から下方に突出した部位である。図6および図10に示すように、1対の凸部375は、支持側係止部材32の複数の凹部321のいずれかと係止可能である。図7に示すように、1対のアーム部374の水平部374bは、支持側係止部材32に設けた1対のガイド溝322の中にそれぞれの一部が挿入された状態で、前後方向に移動自在となっている。
【0035】
<ロック機構39の動作>
図6は、支持側係止部材32と可動側係止部材37との係止によって、可動体33(可動フレーム34)の支持体30(支持フレーム31)に対する揺動が阻止されており、ランバーサポート36の座部1に対する前後方向の移動が阻止された状態である。この状態を、第1状態と称する。具体的には、複数の凹部321のうち前後方向において最も後方に位置する凹部321に可動側係止部材37の凸部375が係止している。この際、弾性部材38によって、凸部375が凹部321に挿し込まれる方向の弾性力が付勢されている。
【0036】
次いで、図11に示すように、可動側係止部材37の操作レバー371を上方に持ち上げる。この持ち上げは、弾性部材38の弾性力に抗してなされる。これにより、凸部375と凹部321との係止が解除される。これにより、可動体33(可動フレーム34)の支持体30(支持フレーム31)に対する揺動が可能となり、ランバーサポート36の座部1に対する前後方向の移動が許容された状態である。この状態を第2状態と称する。
【0037】
次いで、図12に示すように、たとえば可動体33の下側部分を前方に押す動作により、可動体33を揺動中心軸Os周りに揺動させる。これにより、ランバーサポート36が前方に移動する。この際、図7から理解されるように、支持側係止部材32の1対のガイド溝322の中で、可動側係止部材37の一対のアーム部374の水平部374bが前方へ移動することで、左右方向へのぶれを抑制できる。次いで、図13に示すように、操作レバー371を持ち上げていた手を放すこと等によって、可動側係止部材37を下方に下降させる。これにより、凸部375は、図6において係止していた凹部321とは異なる凹部321と係止する。これにより、ロック機構39は、再び第1状態をとり、ランバーサポート36の前後方向における移動が阻止される。
【0038】
次に、椅子A1の作用について説明する。
【0039】
本実施形態によれば、図6および図11図13を参照して説明したように、ランバーサポート36は、座部1に対して前後方向に移動可能である。また、ロック機構39は、ランバーサポート36の移動を阻止する第1状態と、ランバーサポート36の移動を許容する第2状態とを任意に選択可能である。ロック機構39を第2状態とすることにより、使用者の体型や姿勢等に応じて、ランバーサポート36を前後方向に移動させ、ロック機構39を第1状態とすることにより、ランバーサポート36を任意の位置で固定することが可能であり、ランバーサポート36の前後方向の位置を任意に調整することができる。また、使用者が操作しない場合には、ロック機構39が第1状態をとることにより、ランバーサポート36に対して前後方向に力が負荷されても、ランバーサポート36が不当に移動してしまうことを防止することができる。
【0040】
ランバーサポート36の前後方向の移動は、可動フレーム34(可動体33)が支持フレーム31(支持体30)に対して上方に設定された揺動中心軸Os周りに揺動可能に支持されることにより実現されている。また、第1状態においては、支持フレーム31に対する可動フレーム34の前後方向の位置が、1対の支持部312および被支持部341とランバーサポート36の下部に設けられたロック機構39との3箇所により保持される。これにより、ランバーサポート36に強い力が加わっても、左右方向へのぶれを低減することができる。
【0041】
支持フレーム31の下方に設けられた支持側係止部材32と可動フレーム34の下方に設けられた可動側係止部材37との係止によって、ロック機構39の第1状態が実現される。これは、上方に設定された揺動中心軸Os周りに揺動する可動フレーム34(可動体33)の動きをより確実かつ強固に阻止するのに適している。
【0042】
図5および図6に示すように、支持フレーム31は、開口部311を有する。開口部311は、ロック機構39に対して後方に位置している。これにより、図11図13に示す操作を行う際に、後方から開口部311を通じてロック機構39の操作レバー371に手を添えることが可能である。これは、より自然な姿勢でスムーズに操作するのに適している。
【0043】
図5図6および図14に示すように、可動フレーム34は、可動側係止部材37に対して左右方向に延びる部分を有する。図11に示したロック機構39の操作レバー371を持ち上げる際には、図14に示すように、たとえば親指を凸部375に下方から当て、その余の指を可動フレーム34の指当て部342に上方から当てる姿勢をとることにより、可動側係止部材37の持ち上げをより安定してより容易に行うことができる。
【0044】
本発明に係る椅子は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る椅子の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0045】
A1 :椅子
1 :座部
2 :脚部
3 :背もたれ部
11 :座部フレーム
12 :座部布
13 :座面
21 :支柱
22 :枝部
23 :キャスター
30 :支持体
31 :支持フレーム
32 :支持側係止部材
33 :可動体
34 :可動フレーム
35 :背もたれ布
36 :ランバーサポート
37 :可動側係止部材
38 :弾性部材
39 :ロック機構
311 :開口部
312 :支持部
321 :凹部
322 :ガイド溝
341 :被支持部
342 :指当て部
371 :操作レバー
372 :頭部
373 :凹部
374 :アーム部
374a:鉛直部分
374b:水平部分
375 :凸部
Os :揺動中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14