(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】草刈装置
(51)【国際特許分類】
A01D 34/86 20060101AFI20240909BHJP
A01D 34/43 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
A01D34/86
A01D34/43
(21)【出願番号】P 2020190608
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】512224257
【氏名又は名称】土▲樋▼パルス株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】土▲樋▼ 優
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-009742(JP,A)
【文献】特開2015-173599(JP,A)
【文献】特開2019-010069(JP,A)
【文献】実開昭54-130026(JP,U)
【文献】特開2000-351596(JP,A)
【文献】米国特許第06758649(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00-34/90
E02F 3/627-3/633
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行させられる車体の前側に作業具を取付ける規定取付部が設けられ該規定取付部に取付けた作業具により作業を行う作業車両の当該規定取付部に作業具の1つとして取付けられる草刈装置において、
地面に対面し回転させられて草を刈るカッタが露出したカッタ面を備えた草刈ユニットと、該草刈ユニットを上記作業車両に支持するためのメイン支持部材と、該メイン支持部材に選択されて取付けられるとともに上記草刈ユニットを上記作業車両の進行方向の側方において上記カッタ面の角度を該作業車両の
進行方向に沿う軸線回りに変更できるように回動可能に且つ着脱可能に支持するためのサブ支持部材を備え、
上記メイン支持部材に、上記規定取付部に取付けられる規定被取付部と、上記草刈ユニット及び上記サブ支持部材の選択された何れもが共用して取付け可能な第1取付部とを設け、
上記サブ支持部材に、上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部と、上記草刈ユニットが回動可能に且つ着脱可能に取付けられる第2取付部と、上記草刈ユニットを回動駆動するとともに所望の回動位置に保持する回動駆動部とを備え、
上記草刈ユニットに、上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部と、上記サブ支持部材の第2取付部に着脱可能な第2被取付部とを備えたことを特徴とする草刈装置。
【請求項2】
上記メイン支持部材とサブ支持部材との間に選択的に設けられ該サブ支持部材を上記作業車両の進行方向の側方に進退動可能且つ所望の進退動位置に保持可能なスライド支持機構を備え、
上記スライド支持機構に、上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部と、上記サブ支持部材の第1被取付部が取付けられる第1取付部とを設けたことを特徴とする請求項1記載の草刈装置。
【請求項3】
上記メイン支持部材を、略垂直方向の一方面及び他方面を有した矩形枠状のメイン支持本体を備えて構成し、該メイン支持本体の一方面側に規定被取付部を設け、上記メイン支持本体の他方面側に第1取付部を設け、
上記サブ支持部材を、略垂直方向の後面及び前面を有し該後面を上記メイン支持本体の他方面に対面させて配置される矩形枠状の立枠体と、該立枠体の後面及び前面に直交する上面及び下面を有するとともに後縁部側が上記立枠体の前面側の下縁部に連設される矩形枠状の横枠体とを備えて構成し、上記立枠体の後面に上記第1被取付部を設け、上記横枠体の一側縁部に第2取付部を設け、
上記草刈ユニット側縁部に上記第2被取付部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の草刈装置。
【請求項4】
上記草刈ユニットの回動範囲を、
上記作業車両の進行方向に沿い上記草刈ユニットが回動する軸線を通るとともに上記横枠体の上面に直交する面を基準面として、上記草刈ユニットのカッタ面が上記横枠体の上面より上にあって上記基準面より内側にある始端位置と、上記草刈ユニットのカッタ面が上記横枠体の下面より下にあって上記基準面より外側にある終端位置との間とし、上記基準面と上記始端位置におけるカッタ面との間の角度をθ、上記基準面と上記終端位置におけるカッタ面との間の角度をαとしたとき、0°<θ≦10°、0°≦α≦150°に設定したことを特徴とする請求項3記載の草刈装置。
【請求項5】
上記横枠体を、枠状の横枠本体と、該横枠本体の上面であってその一側縁部の途中に該横枠本体の上面に直交する軸線を回動軸として回動可能に支持されるとともに上記第2取付部が設けられる棒状の棒状体と、上記横枠本体と上記棒状体の後部との間に設けられ上記草刈ユニットに上記作業車両の後側に向けて所定以上の力が作用したとき切断されて該棒状体の回動を許容するシェアピンとを備えて構成したことを特徴とする請求項3または4記載の草刈装置。
【請求項6】
上記シェアピンが切断されて上記棒状体が回動し、その後、上記草刈ユニットに作用する力が弱まったとき該棒状体を引っ張って反対方向に回動させるコイルスプリングと、上記横枠本体の上面に設けられ上記棒状体の元位置で該棒状体の前部が衝止して反対方向の回動を阻止するストッパとを備えて構成したことを特徴とする請求項5記載の草刈装置。
【請求項7】
上記メイン支持部材とサブ支持部材との間に選択的に設けられ該サブ支持部材を上記作業車両の進行方向の側方に進退動可能且つ所望の進退動位置に保持可能なスライド支持機構を備え、
上記スライド支持機構を、上記メイン支持部材の他方面に対面させて配置される矩形枠状の固定枠体と、該固定枠体にスライド可能に支持されるとともに上記サブ支持部材の立枠体の後面に対面させて配置される矩形枠状の可動枠体と、上記固定枠体に対して上記可動枠体を進退動可能且つ所望の進退動位置に保持する進退駆動部とを備えて構成し、
上記固定枠体に上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部を設け、上記可動枠体に上記サブ支持部材の第1被取付部が取付けられる第1取付部を設けたことを特徴とする請求項3乃至6何れかに記載の草刈装置。
【請求項8】
上記固定枠体及び可動枠体の何れか一方にスライド方向に延びる棒状のレールを設けるとともに、該レールの両端を対応する上記固定枠体及び可動枠体の何れか一方に取付部材を介して取付け、上記固定枠体及び可動枠体の何れか他方に、上記レールの上下面を夫々転動するとともに該レールを上下方向で挾持する複数のローラの組からなる上下押えローラ部と、上記レールの前後面を夫々転動するとともに該レールを前後方向で挾持する複数のローラの組からなる前後押えローラ部とを備えたことを特徴とする請求項7記載の草刈装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、作業車両に作業具の1つとして取付けられる草刈装置に係り、特に、スキッドステアローダやトラクタ等の車体の前側に作業具を取付ける規定取付部を備えた作業車両に有効な草刈装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スキッドステアローダやトラクタ等の車体の前側に作業具を取付ける規定取付部を備えた作業車両においては、規定取付部に、ショベル,バケット,パレットフォーク、マニアフォーク,ハローや畝立て機等の種々の作業具を取付けることができるようになっており、この規定取付部に取付けた作業具により作業を行う。そして、従来から、これらの作業車両の規定取付部に作業具の1つとして取付けられる草刈装置が知られている。
【0003】
従来、この種の草刈装置としては、例えば、実用新案登録第3101099号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。この草刈装置は、例えば、作業車両としてのスキッドステアローダに取付けられる。この作業車両においては、走行させられる車体の前側に作業具を取付ける規定取付部が設けられている。草刈装置は、地面に対面し回転させられて草を刈るカッタが露出したカッタ面を備えた油圧駆動型の草刈ユニットを備え、この草刈ユニットに規定取付部に取付けられる規定被取付部を設けている。そして、この作業車両に規定被取付部を介して草刈ユニットを装着し、油圧配管を施して、草刈りを行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の草刈装置においては、作業車両の車体の前側に草刈ユニットが取付けられるので、作業車両が走行可能な地面に対しては有効であるが、作業車両が走行できない道路脇の草刈、特に、上向きに傾斜、あるいは、下向きに傾斜した傾斜面においては、草刈りができないという問題があった。パワーショベルやバックホー等、作業具の規定取付部が自在に動くアームに設けられている作業車両においては、草刈ユニットの角度や位置を自由に変えることができるので、自由度があり、この傾斜面の草刈も可能になるが、スキッドステアローダやトラクタ等の規定取付部が車体の前側にあってこの規定取付部の位置変更の自由度が少ない作業車両においては、対応できない。
【0006】
また、作業車両の機種やメーカーが異なると、これらの規定取付部の形状や大きさなどの態様が異なるので、草刈ユニットの規定被取付部を各種作業車両毎にこれらの規定取付部に合わせて設けるが、それだけ、草刈ユニットの種類が増え、また、草刈ユニットはカッタを備えて比較的大きなものなので、その種類が増えると、製造や管理が煩雑になり、汎用性に劣るという問題もある。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、作業車両の進行方向正面の草刈はもとより、進行方向側方、とりわけその傾斜面の草刈にも対応できるようにするとともに、作業車両の種類を問わず草刈ユニットを装着し易くして、汎用性の向上を図った草刈装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の草刈装置は、走行させられる車体の前側に作業具を取付ける規定取付部が設けられ該規定取付部に取付けた作業具により作業を行う作業車両の当該規定取付部に作業具の1つとして取付けられる草刈装置において、
地面に対面し回転させられて草を刈るカッタが露出したカッタ面を備えた草刈ユニットと、該草刈ユニットを上記作業車両に支持するためのメイン支持部材と、該メイン支持部材に選択されて取付けられるとともに上記草刈ユニットを上記作業車両の進行方向の側方において上記カッタ面の角度を該作業車両の進行方向に沿う軸線回りに変更できるように回動可能に且つ着脱可能に支持するためのサブ支持部材を備え、
上記メイン支持部材に、上記規定取付部に取付けられる規定被取付部と、上記草刈ユニット及び上記サブ支持部材の選択された何れもが共用して取付け可能な第1取付部とを設け、
上記サブ支持部材に、上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部と、上記草刈ユニットが回動可能に且つ着脱可能に取付けられる第2取付部と、上記草刈ユニットを回動駆動するとともに所望の回動位置に保持する回動駆動部とを備え、
上記草刈ユニットに、上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部と、上記サブ支持部材の第2取付部に着脱可能な第2被取付部とを備えた構成としている。
【0009】
草刈ユニットのカッタの駆動は、作業車両に搭載され作業車両の各部を作動させる油圧システムを利用した例えば油圧モータで構成することができる。また、回動駆動部は、油圧システムを利用した例えば油圧シリンダで構成することができる。
【0010】
この草刈装置を使用するときは、先ず、作業車両の規定取付部にメイン支持部材を取付ける。この場合、作業用車両の規定取付部に、メイン支持部材の規定被取付部を取付ける。
この状態において、メイン支持部材に直接草刈ユニットを取付けることができる。この場合、メイン支持部材の第1取付部に草刈ユニットの第1被取付部を取付ける。これにより、作業車両の進行方向正面の草刈を行うことができる。
【0011】
また、メイン支持部材にサブ支持部材を取付け、このサブ支持部材に草刈ユニットを取付けることができる。この場合、メイン支持部材の第1取付部にサブ支持部材の第1被取付部を取付け、次に、サブ支持部材の第2取付部に草刈ユニットの第2被取付部を取付けるとともに、回動駆動部を草刈ユニットに連係させる。これにより、作業車両の進行方向側方の草刈を行うことができる。この際には、回動駆動部により草刈ユニットを回動駆動すれば、草刈ユニットを所望の回動位置に保持することができ、進行方向側方の傾斜面に合わせて草刈ユニットのカッタ面を添わせることができることから、この傾斜面の草刈にも対応できるようになり、汎用性を向上させることができる。
【0012】
そしてまた、作業車両の機種やメーカーが異なると、これらの規定取付部の形状や大きさなどの態様が異なるが、この際には、メイン支持部材の規定被取付部を各種作業車両毎にこれらの規定取付部に合わせて設ける。この場合、メイン支持部材の種類が増えるが、メイン支持部材の第1取付部は変更がなく、また、サブ支持部材の第1被取付部,第2取付部、草刈ユニットの第1被取付部,第2被取付部においても変更がないので、サブ支持部材及び草刈ユニットは、変更することなくそのまま用いることができる。メイン支持部材の製造は、サブ支持部材や草刈ユニットの複雑な構造とは異なって、連結を目的とした比較的簡易な構造なので容易に製造できることから、製造や管理が煩雑になることがなく、そのため、この点でも、汎用性を向上させることができる。
【0013】
また、必要に応じ、上記メイン支持部材とサブ支持部材との間に選択的に設けられ該サブ支持部材を上記作業車両の進行方向の側方に進退動可能且つ所望の進退動位置に保持可能なスライド支持機構を備え、
上記スライド支持機構に、上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部と、上記サブ支持部材の第1被取付部が取付けられる第1取付部とを設けた構成としている。
スライド機構の進退動駆動は、作業車両に搭載され作業車両の各部を作動させる油圧システムを利用した例えば油圧シリンダで構成することができる。
【0014】
これにより、メイン支持部材とサブ支持部材との間にスライド支持機構を取付けることができる。この場合、メイン支持部材の第1取付部にスライド支持機構の第1被取付部を取付け、次に、スライド支持機構の第1取付部にサブ支持部材の第1被取付部を取付け、最後に、サブ支持部材の第2取付部に草刈ユニットの第2被取付部を取付けるとともに、回動駆動部を草刈ユニットに連係させる。この状態においては、作業車両の進行方向側方の草刈を行うことができる。この際には、回動駆動部により草刈ユニットを回動駆動すれば、草刈ユニットを所望の回動位置に保持することができ、進行方向側方の傾斜面に合わせて草刈ユニットのカッタ面を添わせることができることから、この傾斜面の草刈にも対応できるようになり、汎用性を向上させることができる。
【0015】
また、この際には、スライド支持機構により、サブ支持部材を作業車両の進行方向の側方に進退動させ、所望の進退動位置に保持すれば、草刈ユニットの突出位置を変更することができる。そのため、進行方向側方の状況に合わせて草刈ユニットのカッタ面を位置させることができることから、より一層汎用性を向上させることができる。
また、草刈ユニットの非使用時に移動する際、狭い道路や、障害物があるような場合には、スライド支持機構により、草刈ユニットを側方に突出しないように引っ込めておくことができるので、安全を図ることができる。
【0016】
更に、必要に応じ、上記メイン支持部材を、略垂直方向の一方面及び他方面を有した矩形枠状のメイン支持本体を備えて構成し、該メイン支持本体の一方面側に規定被取付部を設け、上記メイン支持本体の他方面側に第1取付部を設け、
上記サブ支持部材を、略垂直方向の後面及び前面を有し該後面を上記メイン支持本体の他方面に対面させて配置される矩形枠状の立枠体と、該立枠体の後面及び前面に直交する上面及び下面を有するとともに後縁部側が上記立枠体の前面側の下縁部に連設される矩形枠状の横枠体とを備えて構成し、上記立枠体の後面に上記第1被取付部を設け、上記横枠体の一側縁部に第2取付部を設け、
上記草刈ユニット側縁部に上記第2被取付部を設けた構成としている。
これにより、メイン支持部材のメイン支持本体,サブ支持部材の立枠体及び横枠体を矩形枠状に形成したので、構造が簡単になり、より一層汎用性を向上させることができる。
【0017】
更にまた、上記草刈ユニットの回動範囲を、上記作業車両の進行方向に沿い上記草刈ユニットが回動する軸線を通るとともに上記横枠体の上面に直交する面を基準面として、上記草刈ユニットのカッタ面が上記横枠体の上面より上にあって上記基準面より内側にある始端位置と、上記草刈ユニットのカッタ面が上記横枠体の下面より下にあって上記基準面より外側にある終端位置との間とし、上記基準面と上記始端位置におけるカッタ面との間の角度をθ、上記基準面と上記終端位置におけるカッタ面との間の角度をαとしたとき、0°<θ≦10°、0°≦α≦150°に設定した構成としている。
これにより、草刈ユニットを、その回動範囲において、水平面,垂直面をはじめ、上傾斜,下傾斜の斜面の草刈に対応させることができる。また、非使用時においては、草刈ユニットを始端位置にすると、カッタ面は基準面よりも内側に引っ込むので、側方に出っ張って周囲に衝突しにくくなり、安全を図ることができる。
【0018】
また、必要に応じ、上記横枠体を、枠状の横枠本体と、該横枠本体の上面であってその一側縁部の途中に該横枠本体の上面に直交する軸線を回動軸として回動可能に支持されるとともに上記第2取付部が設けられる棒状の棒状体と、上記横枠本体と上記棒状体の後部との間に設けられ上記草刈ユニットに上記作業車両の後側に向けて所定以上の力が作用したとき切断されて該棒状体の回動を許容するシェアピンとを備えて構成している。
これにより、草刈ユニットを作業車両の進行方向側方に回動させて草刈を行っている際、万一、草刈ユニットに石などの障害物に当たって負荷がかかっても、シェアピンが切断して棒状体が回動するので、草刈ユニット等が破損してしまう事態を防止することができ、安全を図ることができる。
【0019】
この場合、上記シェアピンが切断されて上記棒状体が回動し、その後、上記草刈ユニットに作用する力が弱まったとき該棒状体を引っ張って反対方向に回動させるコイルスプリングと、上記横枠本体の上面に設けられ上記棒状体の元位置で該棒状体の前部が衝止して反対方向の回動を阻止するストッパとを備えて構成したことが有効である。
これにより、万一、シェアピンが切断されて棒状体が回動しても、その後、草刈ユニットに作用する力が弱まったときは、棒状体がスプリング力によって元位置に戻されるので、草刈ユニット等の姿勢が元に戻ることから、その後の、走行や修理をやり易くすることができる。
【0020】
また、必要に応じ、上記メイン支持部材とサブ支持部材との間に選択的に設けられ該サブ支持部材を上記作業車両の進行方向の側方に進退動可能且つ所望の進退動位置に保持可能なスライド支持機構を備え、
上記スライド支持機構を、上記メイン支持部材の他方面に対面させて配置される矩形枠状の固定枠体と、該固定枠体にスライド可能に支持されるとともに上記サブ支持部材の立枠体の後面に対面させて配置される矩形枠状の可動枠体と、上記固定枠体に対して上記可動枠体を進退動可能且つ所望の進退動位置に保持する進退駆動部とを備えて構成し、
上記固定枠体に上記メイン支持部材の第1取付部に着脱可能な第1被取付部を設け、上記可動枠体に上記サブ支持部材の第1被取付部が取付けられる第1取付部を設けた構成としている。
これにより、スライド支持機構を、矩形枠状の固定枠体と可動枠体とを備えて構成したので、構造が簡単になり、より一層汎用性を向上させることができる。
【0021】
この場合、上記固定枠体及び可動枠体の何れか一方にスライド方向に延びる棒状のレールを設けるとともに、該レールの両端を対応する上記固定枠体及び可動枠体の何れか一方に取付部材を介して取付け、上記固定枠体及び可動枠体の何れか他方に、上記レールの上下面を夫々転動するとともに該レールを上下方向で挾持する複数のローラの組からなる上下押えローラ部と、上記レールの前後面を夫々転動するとともに該レールを前後方向で挾持する複数のローラの組からなる前後押えローラ部とを備えて構成したことが有効である。ローラでレールをガイドするので可動枠体の移動を容易にすることができる。また、前後押えローラ部を設けたので、固定枠体から可動枠体が前側に離脱することがなく、保持を確実にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スキッドステアローダやトラクタ等の規定取付部の位置変更の自由度が少ない作業車両においても、作業車両の進行方向正面の草刈はもとより、進行方向側方、とりわけその傾斜面の草刈にも対応できるようになるとともに、作業車両の種類を問わず草刈ユニットを装着し易くして、汎用性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態に係る草刈装置を、草刈ユニットをサブ支持部材に取付けた状態で示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る草刈装置において、草刈ユニットを直接メイン支持部材に取付けるときの状態で示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る草刈装置の草刈ユニットを示し、(a)は側面図、(b)は作業車両側から見た図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る草刈装置のメイン支持部材を示し、(a)は側面図、(b)は作業車両側から見た図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る草刈装置において、サブ支持部材に草刈ユニットを取付けた状態を、回動駆動部の作用とともに示す作業車両側から見た図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る草刈装置のサブ支持部材を示す作業車両側から見た図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る草刈装置のサブ支持部材の横枠体を示す平面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る草刈装置のスライド支持機構において、固定枠体と可動枠体との関係を示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る草刈装置において、作業車両に草刈ユニットを直接メイン支持部材を介して取付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る草刈装置において、作業車両に草刈ユニットをメイン支持部材,スライド支持機構及びサブ支持部材を介して取付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る草刈装置のメイン支持部材において、別の作業車両用の規定被取付部の一例を示し、(A)は小型用、(B)は大型用のものであり、(A)において、(a)は側面図、(b)は一対の取付体の内一方を示す作業車両側から見た図、(c)は一対の取付体の内他方を示す作業車両側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る草刈装置について詳細に説明する。
図1乃至
図10に示すように、実施の形態に係る草刈装置Sは、例えば、スキッドステアローダやトラクタ等の車体の前側に作業具を取付ける規定取付部Taを備えた作業車両Wに取付けられる。作業具としては、例えば、ショベル,バケット,パレットフォーク、マニアフォーク,ハローや畝立て機等、種々のものを挙げることができる。実施の形態に係る草刈装置Sは、規定取付部Taに作業具の1つとして取付けられる。実施の形態では、草刈装置Sは、例えば、作業車両Wとしてのスキッドステアローダに取付けられる。この場合、規定取付部Taは、スキッドステアローダの左右にあるリフトアームの先端部1及びリフトアームの駆動用油圧シリンダの先端部2で構成されている。
【0025】
実施の形態に係る草刈装置Sは、地面に対面し回転させられて草を刈るカッタ13が露出したカッタ面17を備えた草刈ユニット10と、草刈ユニット10を作業車両Wに支持するためのメイン支持部材20と、メイン支持部材20に選択されて取付けられるとともに草刈ユニット10を作業車両Wの進行方向の側方においてカッタ面17の角度をこの作業車両Wの進行方向に沿う軸線回りに変更できるように回動可能に且つ着脱可能に支持するためのサブ支持部材30と、メイン支持部材20とサブ支持部材30との間に選択的に設けられサブ支持部材30を作業車両Wの進行方向の側方に進退動可能且つ所望の進退動位置に保持可能なスライド支持機構50とを備えて構成されている。
【0026】
草刈ユニット10は、下開放の開口12を有した基台11と、基台11に回転可能に設けられたカッタ13と、カッタ13を覆うカバー14と、油圧モータ15によってカッタ13を回転させるベルト伝動機構16とを備えて構成されている。そして、基台11の開口側をカッタ13が露出したカッタ面17としている。
【0027】
メイン支持部材20には、規定取付部Taに取付けられる規定被取付部Tbと、草刈ユニット10及びサブ支持部材30の選択された何れもが共用して取付け可能な第1取付部Maとが設けられている。
サブ支持部材30には、メイン支持部材20の第1取付部Maに着脱可能な第1被取付部Mbと、草刈ユニット10が回動可能に且つ着脱可能に取付けられる第2取付部Naと、草刈ユニット10を回動駆動するとともに所望の回動位置に保持する回動駆動部40とが備えられている。
【0028】
また、草刈ユニット10には、メイン支持部材20の第1取付部Maに着脱可能に設けられる第1被取付部Mbと、サブ支持部材30の第2取付部Naに着脱可能に設けられる第2被取付部Nbとが設けられている。また、スライド支持機構50には、メイン支持部材20の第1取付部Maに着脱可能な第1被取付部Mbと、サブ支持部材30の第1被取付部Mbが取付けられる第1取付部Maとが設けられている。
【0029】
詳しくは、メイン支持部材20は、
図1,
図2及び
図4に示すように、略垂直方向の一方面及び他方面を有した矩形枠状のメイン支持本体21を備えて構成されている。メイン支持本体21は断面矩形チャンネル状の金属製棒状部材を溶接で連設して形成されている。メイン支持本体21の一方面側には規定被取付部Tbが設けられ、メイン支持本体21の他方面側には第1取付部Maが設けられている。メイン支持本体21を矩形枠状に形成したので、構造が簡単になり、汎用性を向上させることができる。
【0030】
サブ支持部材30は、
図1,
図2,
図5乃至
図7に示すように、略垂直方向の後面及び前面を有し、後面をメイン支持本体21の他方面に対面させて配置される矩形枠状の立枠体31と、立枠体31の後面及び前面に直交する上面及び下面を有するとともに後縁部側が立枠体31の前面側の下縁部に連設部材32を介して連設される矩形枠状の横枠体33とを備えて構成されている。立枠体31は断面矩形チャンネル状の金属製棒状部材を溶接で連設して形成されている。連設部材32は断面矩形チャンネル状の金属製棒状部材で形成され、立枠体31及び横枠体33の後述の横枠本体34に溶接される。
【0031】
横枠体33は、
図6及び
図7に示すように、枠状の横枠本体34と、横枠本体34の上面であってその一側縁部の途中に横枠本体34の上面に直交する軸線を有した回動軸35を中心にして回動可能に支持されるとともに第2取付部Naが設けられる棒状の棒状体36と、横枠本体34と棒状体36の後部との間に設けられ草刈ユニット10に作業車両Wの後側に向けて所定以上の力が作用したとき切断されて棒状体36の回動を許容するシェアピン37とを備えて構成されている。横枠本体34は断面矩形チャンネル状の金属製棒状部材を溶接で連設して形成されている。棒状体36は断面矩形チャンネル状の金属製棒状部材で形成されている。
【0032】
また、横枠本体34には、シェアピン37が切断されて棒状体36が回動し、その後、草刈ユニット10に作用する力が弱まったとき棒状体36を引っ張って反対方向に回動させるコイルスプリング38と、横枠本体34の上面に設けられ棒状体36の元位置で棒状体36の前部が衝止して反対方向の回動を阻止するストッパ39とが設けられている。そして、立枠体31の後面に第1被取付部Mbが設けられ、横枠体33の一側縁部を構成する棒状体36に第2取付部Naが設けられている。これにより、サブ支持部材30の立枠体31及び横枠体33とを矩形枠状に形成したので、構造が簡単になり、より一層汎用性を向上させることができる。
【0033】
また、横枠本体34には、草刈ユニット10を回動駆動するとともに所望の回動位置に保持する回動駆動部40が搭載されている。回動駆動部40は、シリンダ41及びピストン42からなる油圧シリンダ装置43で構成されている。シリンダ41の後端は、横枠本体34の他側縁側に立設された支柱44の上端に軸支されている一方、ピストン42の先端は基台11の後側中央に設けた取着部材45に軸支されている。この回動駆動部40の油圧シリンダ装置43は、作業車両Wに搭載され作業車両Wの各部を作動させる油圧システムを利用して作動させられる。
【0034】
草刈ユニット10の回動範囲は、
図5に示すように、
作業車両Wの進行方向に沿い草刈ユニット10が回動する軸線(後述の軸75の軸線)を通るとともに横枠体33の上面に直交する面を基準面Kとして、草刈ユニット10のカッタ面17が横枠体33の上面より上にあって基準面Kより内側にある始端位置Raと、草刈ユニット10のカッタ面17が横枠体33の下面より下にあって基準面Kより外側にある終端位置Rbとの間としている。そして、基準面Kに対する始端位置Raにおけるカッタ面17までの角度をθ、基準面Kと終端位置Rbにおけるカッタ面17との間の角度をαとしたとき、0°<θ≦10°、0°≦α≦150°に設定している。実施の形態では、0°<θ≦2°、0°≦α≦135°にしている。
【0035】
更に、スライド支持機構50は、
図1及び
図8に示すように、メイン支持部材20のメイン支持本体21の他方面に対面させて配置される矩形枠状の固定枠体51と、固定枠体51にスライド可能に支持されるとともにサブ支持部材30の立枠体31の後面に対面させて配置される矩形枠状の可動枠体52と、固定枠体51に対して可動枠体52を進退動可能且つ所望の進退動位置に保持する進退駆動部60とを備えて構成されている。固定枠体51及び可動枠体52は、断面矩形チャンネル状の金属製棒状部材を溶接で連設して形成されている。そして、固定枠体51には、メイン支持部材20の第1取付部Maに着脱可能な第1被取付部Mbが設けられ、可動枠体52には、サブ支持部材30の第1被取付部Mbが取付けられる第1取付部Maが設けられている。これにより、スライド支持機構50を、矩形枠状の固定枠体51と可動枠体52とを備えて構成したので、構造が簡単になり、より一層汎用性を向上させることができる。
【0036】
詳しくは、固定枠体51及び可動枠体52の何れか一方(実施の形態では可動枠体52)には、スライド方向に延びる棒状のレール53が上下に一対設けられている。各レール53は、レール53の両端を対応する固定枠体51及び可動枠体52の何れか一方(実施の形態では可動枠体52)に取付部材54を介して取付けられている。レール53及び取付部材54は、断面矩形チャンネル状の金属製棒状部材で形成されている。取付部材54は可動枠体52及びレール53に溶接されている。
【0037】
また、固定枠体51及び可動枠体52の何れか他方(実施の形態では固定枠体51)には、レール53の上下面を夫々転動するとともに該レール53を上下方向で挾持する複数のローラの組からなる上下押えローラ部55と、レール53の前後面を夫々転動するとともにレール53を前後方向で挾持する複数のローラの組からなる前後押えローラ部56とが設けられている。上下押えローラ部55は、各レール53毎に左右一対ずつ設けられ、前後押えローラ部56は、各レール53毎に、上下押えローラ部55間に1つずつ設けられている。ローラでレール53をガイドするので可動枠体52の移動を容易にすることができる。また、前後押えローラ部56を設けたので、固定枠体51から可動枠体52が前側に離脱することがなく、保持を確実にすることができる。
【0038】
更に、進退駆動部60は、シリンダ61及びピストン62からなる油圧シリンダ装置63で構成されている。シリンダ61の後端は、固定枠体51に設けられた取着部材64に軸支されている一方、ピストン62の先端は可動枠体52に設けた取着部材65に軸支されている。このスライド支持機構50の油圧シリンダ装置63の進退動駆動は、作業車両Wに搭載され作業車両Wの各部を作動させる油圧システムを利用して作動させられる。
【0039】
次に、規定被取付部Tb,第1取付部Ma,第1被取付部Mb,第2取付部Na,第2被取付部Nbの具体的構成について説明する。
規定被取付部Tbは、
図4に示すように、メイン支持部材20のメイン支持本体21の一方面側に所定間隔で設けられた一対の取付体70で構成されている。各取付体70は、金属製の部材であり、作業車両Wの規定取付部Taを構成するリフトアームの先端部1及びリフトアームの駆動用油圧シリンダの先端部2が取付けられる形状に形成され、夫々、溶接等で固定されている。
【0040】
第1取付部Maは、
図4及び
図8に示すように、夫々、所定間隔で配置された4つの取付板71で構成されている。各取付板71は、3つの取付穴が所定間隔で設けられた金属製板状部材で形成されている。第1取付部Maを構成する4つの取付板71は、メイン支持部材20においては、メイン支持本体21の左右上下に溶接等で固定され、スライド支持機構50においては、可動枠体52の左右上下に溶接等で固定されている。
【0041】
第1被取付部Mbは、
図3,
図6及び
図8に示すように、第1取付部Maの4つの取付板71に対応して配置された4つの被取付板72で構成されている。各被取付板72は、取付板71の3つの取付穴に対応して設けられた3つの取付穴が設けられた金属製板状部材で形成されている。第1被取付部Mbを構成する4つの被取付板72は、サブ支持部材30においては、
図6に示すように、立枠体31の後面の左右上下に溶接等で固定されている。草刈ユニット10においては、
図3に示すように、基台11の後側に設けた立枠体31と同様の枠体73の背面の左右上下に溶接等で固定されている。スライド支持機構50においては、
図8に示すように、固定枠体51の左右上下に溶接等で固定されている。取付板71と対応する被取付板72とは、これらの取付穴に、図示外のボルトを挿通し、図示外のナットをねじ込んで締め付けることにより、接合される。
【0042】
第2取付部Naは、
図5乃至
図7に示すように、軸75が挿入される軸受穴が開設された金属製の一対の二股状の軸受体76で構成されている。各軸受体76は、サブ支持部材30において、横枠体33の一側縁部を構成する棒状体36の前後方向両端に設けられている。第2被取付部Nbは、
図2,
図3及び
図5に示すように、第2取付部Naの二股状の軸受体76に挿入され、軸75が挿入される軸受穴が開設された金属製の一対の被軸受体77で構成されている。各被軸受体77は、草刈ユニット10において、第2取付部Naの軸受体76に対応させて基台11の側縁部の前後方向両端に設けられている。
【0043】
従って、この草刈装置Sを用いるときは、以下のようになる。
(A)作業車両Wの進行方向正面の草刈りを行う場合
図2及び
図9に示すように、先ず、作業車両Wの規定取付部Taにメイン支持部材20を取付ける。この場合、作業用車両の規定取付部Taに、メイン支持部材20の規定被取付部Tbを取付ける。
この状態において、メイン支持部材20に直接草刈ユニット10を取付ける。この場合、メイン支持部材20の第1取付部Maに草刈ユニット10の第1被取付部Mbを取付ける。これにより、作業車両Wの進行方向正面の草刈を行うことができる。
【0044】
(B)作業車両Wの進行方向側面の草刈りを行う場合
(B-1)スライド支持機構50を使う場合
図1及び
図10に示すように、先ず、作業車両Wの規定取付部Taにメイン支持部材20を取付ける。この場合、作業用車両の規定取付部Taに、メイン支持部材20の規定被取付部Tbを取付ける。それから、このメイン支持部材20にスライド支持機構50を取付け、このスライド支持機構50にサブ支持部材30を取付けるとともにこのサブ支持部材30に草刈ユニット10を取付ける。この場合、メイン支持部材20の第1取付部Maにスライド支持機構50の第1被取付部Mbを取付け、次に、スライド支持機構50の第1取付部Maにサブ支持部材30の第1被取付部Mbを取付け、最後に、サブ支持部材30の第2取付部Naに草刈ユニット10の第2被取付部Nbを取付けるとともに、回動駆動部40を草刈ユニット10に連係させる。また、メイン支持部材20と予め草刈ユニット10を取付けたサブ支持部材30との間にスライド支持機構50を取付けるようにしても良い。
【0045】
これにより、作業車両Wの進行方向側方の草刈を行うことができる。この際には、回動駆動部40により草刈ユニット10を回動駆動すれば、草刈ユニット10を所望の回動位置に保持することができ、進行方向側方の傾斜面に合わせて草刈ユニット10のカッタ面17を添わせることができることから、この傾斜面の草刈にも対応できる。特に、草刈ユニットの回動範囲において、基準面Kと終端位置Rbにおけるカッタ面17との間の角度αを、0°≦α≦150°に設定したので、草刈ユニット10を、水平面,垂直面をはじめ、上傾斜,下傾斜の斜面の草刈に対応させることができる。また、非使用時においては、草刈ユニット10を始端位置Raにすると、カッタ面17は基準面Kよりも内側に引っ込むので、側方に出っ張って周囲に衝突しにくくなり、安全を図ることができる。
【0046】
また、この際には、スライド支持機構50により、サブ支持部材30を作業車両Wの進行方向の側方に進退動させ、所望の進退動位置に保持すれば、草刈ユニット10の突出位置を変更することができる。そのため、進行方向側方の状況に合わせて草刈ユニット10のカッタ面17を位置させることができることから、より一層汎用性を向上させることができる。
【0047】
この場合、草刈ユニット10により草刈を行っている際、万一、草刈ユニット10に石などの障害物に当たって負荷がかかっても、シェアピン37が切断して棒状体36が回動するので、草刈ユニット10等が破損してしまう事態を防止することができ、安全を図ることができる。また、シェアピン37が切断されて棒状体36が回動しても、その後、草刈ユニット10に作用する力が弱まったときは、棒状体36がスプリング力によって元位置に戻されるので、草刈ユニット10等の姿勢が元に戻ることから、その後の、走行や修理をやり易くすることができる。
【0048】
そしてまた、草刈ユニット10の非使用時には、草刈ユニット10を始端位置Raに起立させる。この場合、カッタ面17は基準面Kよりも内側に引っ込むので、側方に出っ張って周囲に衝突しにくくなり、安全を図ることができる。また、この非使用時において、移動する際、狭い道路や、障害物があるような場合には、スライド支持機構50により、草刈ユニット10を側方に突出しないように引っ込めておくことができるので、より一層、安全を図ることができる。
【0049】
(B-2)スライド支持機構50を使わない場合
図示しないが、スライド支持機構50を取付けないで、メイン支持部材20に直接サブ支持部材30を取付けるようにしても良い。この場合には、スライド支持機構50による作用,効果はないが、上記と同様に、作業車両Wの進行方向側方の草刈を行うことができる。この際には、回動駆動部40により草刈ユニット10を回動駆動すれば、草刈ユニット10を所望の回動位置に保持することができ、進行方向側方の傾斜面に合わせて草刈ユニット10のカッタ面17を添わせることができることから、この傾斜面の草刈にも対応できるようになり、汎用性を向上させることができる。
【0050】
そして、上記の草刈装置Sの使用例は、作業機が、スキッドステアローダの場合であるが、スキッドステアローダの機種やメーカーが異なる場合、あるいは、スキッドステアローダ以外の例えばトラクタ等の作業機に用いる場合には、これらの作業機の規定取付部Taの形状や大きさなどの態様が異なるが、この際には、メイン支持部材20の規定被取付部Tbを各種作業車両W毎にこれらの規定取付部Taに合わせて設ける。
図11(A)(B)には、別の規定被取付部Tbの形状例を示す。
【0051】
この場合、メイン支持部材20の種類が増えるが、メイン支持部材20の第1取付部Maは変更がなく、また、スライド支持機構50の第1被取付部Mb,第1取付部Maは変更がなく、サブ支持部材30の第1被取付部Mb,第2取付部Na、草刈ユニット10の第1被取付部Mb,第2被取付部Nbは変更がないことから、スライド支持機構50,サブ支持部材30及び草刈ユニット10は、変更することなくそのまま用いることができる。メイン支持部材20の製造は、スライド支持機構50,サブ支持部材30や草刈ユニット10の複雑な構造とは異なって、連結を目的とした比較的簡易な構造なので容易に製造できることから、製造や管理が煩雑になることがなく、そのため、この点でも、汎用性を向上させることができる。
【0052】
尚、上記実施の形態において、規定被取付部Tbは、作業車両Wとしてのスキッドステアローダの機種の一例に係る規定取付部Taに適用できるように形成したものを示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、規定取付部Taの形状や大きさが異なるスキッドステアローダ、あるいは、スキッドステアローダ以外の例えばトラクタ等の作業機に用いる場合には、
図11にも示したように、これらの規定取付部Taに合わせて、規定被取付部Tbを作成すればよく、適宜変更して差支えない。
【0053】
また、上記実施の形態において、第1取付部Ma,第1被取付部Mb,第2取付部Na,第2被取付部Nbの構成についても、上述した形態に限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。更に、回動駆動部40や進退駆動部60は油圧駆動型のものであるが、これに限定されるものではなく、電動型にする等適宜変更して差支えない。本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
S 草刈装置
W 作業車両
Ta 規定取付部
1 リフトアームの先端部
2 リフトアームの駆動用油圧シリンダの先端部
Tb 規定被取付部
Ma 第1取付部
Mb 第1被取付部
Na 第2取付部
Nb 第2被取付部
10 草刈ユニット
11 基台
12 開口
13 カッタ
14 カバー
15 油圧モータ
16 ベルト伝動機構
17 カッタ面
20 メイン支持部材
21 メイン支持本体
30 サブ支持部材
31 立枠体
32 連設部材
33 横枠体
34 横枠本体
35 回動軸
36 棒状体
37 シェアピン
38 コイルスプリング
39 ストッパ
40 回動駆動部
41 シリンダ
42 ピストン
43 油圧シリンダ装置
44 支柱
45 取着部材
K 基準面
Ra 始端位置
Rb 終端位置
50 スライド支持機構
51 固定枠体
52 可動枠体
53 レール
54 取付部材
55 上下押えローラ部
56 前後押えローラ部
60 進退駆動部
61 シリンダ
62 ピストン
63 油圧シリンダ装置
64 取着部材
65 取着部材
70 取付体(規定被取付部Tb)
71 取付板(第1取付部Ma)
72 被取付板(第1被取付部Mb)
73 枠体
75 軸
76 軸受体(第2取付部Na)
77 被軸受体(第2被取付部Nb)