(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20240909BHJP
F24C 3/02 20210101ALN20240909BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/02 H
F24C3/02 Q
(21)【出願番号】P 2021016258
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】横山 武司
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-205774(JP,A)
【文献】特開2007-271231(JP,A)
【文献】実開平03-116423(JP,U)
【文献】中国実用新案第206094187(CN,U)
【文献】中国実用新案第205897241(CN,U)
【文献】中国実用新案第207196551(CN,U)
【文献】特開2017-044429(JP,A)
【文献】特開2017-044430(JP,A)
【文献】特開2019-027659(JP,A)
【文献】特開2019-032098(JP,A)
【文献】特開2019-044993(JP,A)
【文献】特開2019-124462(JP,A)
【文献】特開2020-101336(JP,A)
【文献】特開2005-196500(JP,A)
【文献】特開2005-351521(JP,A)
【文献】特開2005-351522(JP,A)
【文献】特開2010-067497(JP,A)
【文献】特開2020-106197(JP,A)
【文献】特開2020-106198(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0165849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱源を内側に収容する筐体と、
前記筐体の前部に固定されるパネル部と、
前後方向に延びる側面を有する円筒状であり、前記加熱源による加熱量を回動操作によって調節し、少なくとも前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前方に突出して配置される操作つまみと
を備えた
加熱調理器であって、
前記操作つまみの外側面部に
は、前記回動操作に応じた前記加熱量を示す加熱量表示部
が設けられ、
前記パネル部は、
前後方向に貫通し、前記操作つまみが配置される貫通穴を備えるパネル本体と、
前記貫通穴の内部において前記操作つまみの外側に配置され、前記操作つまみの前記回動操作に応じて回動可能な筒状の本体部を有する筒状体と、
前記パネル本体の後側において前記貫通穴よりも上方に配置され、前記貫通穴の上部に向けて発光する複数のLEDを左右方向に並べて備える光源基板と
を備え、
前記加熱量表示部は、導光材料を用いて構成され、前記操作つまみの前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前面よりも後方に配置される円環状の後方配置部と、前記後方配置部から前方に延伸し、前記回動操作が行われる場合に前記パネル部よりも前方に配置される円環状の前方配置部とを有する導光部を備え、
前記導光部は、前記複数のLEDから前記貫通穴の上部に向かう光である出射光を前記後方配置部から進入させて前記前方配置部を発光させるものであって、
前記筒状体の前記本体部の前端部は、前記出射光を前記後方配置部に対して遮る遮蔽部と、前記前端部のうち一部が後方に切り欠かれた切り欠き状であって、前記出射光を通過させる光通過部とを備え、
前記本体部の前記前端部は、前記操作つまみの前記回動操作に応じた前記遮蔽部及び前記光通過部の配置に応じて前記出射光が前記後方配置部に到達する位置を変化させることによって、前記回動操作に応じて前記前方配置部の発光する位置と範囲が変化することを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱源の加熱量を調節可能な操作つまみの回動位置に対応して加熱量を示す表示を行う加熱調理器が知られている。特許文献1に開示された加熱調理器であるガスコンロは、操作つまみの回動位置に応じた所定の部分において発光部の光を前方に通過させる光通過部を備える。光通過部を通過した光は、筐体前面部に設けられる化粧パネルに設けられる透光部を介して、前方に出射される。このような構成により、透光部は、現在の火力に応じた部分を光らせることで、火力表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の透光部による火力表示は、前方に向けて出射される光を用いて行われるので、正面から視認される場合に最も視認性が高まる。一方、加熱調理器を用いて調理等を行う加熱調理器の使用者は、透光部を上方から見下ろす姿勢になることが多く、この場合には、透光部による火力表示が使用者の視線に入り難くなる可能性があるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、加熱調理器を使用中の使用者が視認しやすい加熱量表示を行うことができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱源を内側に収容する筐体と、前記筐体の前部に固定されるパネル部と、前後方向に延びる側面を有する円筒状であり、前記加熱源による加熱量を回動操作によって調節し、少なくとも前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前方に突出して配置される操作つまみとを備えた加熱調理器であって、前記操作つまみの外側面部には、前記回動操作に応じた前記加熱量を示す加熱量表示部が設けられ、前記パネル部は、前後方向に貫通し、前記操作つまみが配置される貫通穴を備えるパネル本体と、前記貫通穴の内部において前記操作つまみの外側に配置され、前記操作つまみの前記回動操作に応じて回動可能な筒状の本体部を有する筒状体と、前記パネル本体の後側において前記貫通穴よりも上方に配置され、前記貫通穴の上部に向けて発光する複数のLEDを左右方向に並べて備える光源基板とを備え、前記加熱量表示部は、導光材料を用いて構成され、前記操作つまみの前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前面よりも後方に配置される円環状の後方配置部と、前記後方配置部から前方に延伸し、前記回動操作が行われる場合に前記パネル部よりも前方に配置される円環状の前方配置部とを有する導光部を備え、前記導光部は、前記複数のLEDから前記貫通穴の上部に向かう光である出射光を前記後方配置部から進入させて前記前方配置部を発光させるものであって、前記筒状体の前記本体部の前端部は、前記出射光を前記後方配置部に対して遮る遮蔽部と、前記前端部のうち一部が後方に切り欠かれた切り欠き状であって、前記出射光を通過させる光通過部とを備え、前記本体部の前記前端部は、前記操作つまみの前記回動操作に応じた前記遮蔽部及び前記光通過部の配置に応じて前記出射光が前記後方配置部に到達する位置を変化させることによって、前記回動操作に応じて前記前方配置部の発光する位置と範囲が変化することを特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【発明の効果】
【0011】
操作つまみは、少なくとも回動操作が行われる場合に、パネル部の前方に突出して配置される。この操作つまみの外周面部に回動操作に応じた加熱量が表示される。したがって、請求項1に係る加熱調理器は、加熱調理器を使用中の使用者が視認しやすい加熱量表示を行うことができる。さらに加熱量表示部が導光部を備えるので、加熱量表示部の視認性をより向上させることができる。さらに操作つまみの外周面部のうちパネル部よりも前方に配置される前方配置部において、回動操作に応じた発光動作を行うことができる。
【0012】
【0013】
【0014】
なお、本発明の加熱調理器の前記加熱量表示部は、文字、図形、記号からなる群から選択される少なくとも一つを用いて前記加熱量を示してもよい。これにより加熱調理器は、使用者が直感的に把握できる態様で加熱量を表示することができる。
【0015】
また、本発明の加熱調理器の前記加熱量表示部は、前記操作つまみの前記外側面部にラベルを貼付することによって前記加熱量してもよい。これにより加熱調理器は、加熱量を容易に把握できる加熱量表示部を、操作つまみの外周面部に簡易に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図6】操作つまみ13における火力表示の動作原理を説明する説明図である。
【
図7】
図6からパネル装置9Bを省略した説明図である。
【
図8】
図6のパネル装置9B及び燃料供給装置20を左方から見た説明図である。
【
図9】第二実施形態の操作つまみ15,16,17の斜視図である。
【
図10】変形例の導光部236を備える操作つまみ13の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第一実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造等は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0018】
図1を参照して、加熱調理器の一態様であるコンロ1について説明する。コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロである。コンロ1は筐体2と天板3とを備える。筐体2は、上部が開口した略直方体状に形成される。天板3は、筐体2の開口部分に設置される。天板3において、右前部に右バーナ4、左前部に左バーナ5、中央部に奥バーナ6が、被調理物の加熱源としてそれぞれ設けられる。天板3の後部には、筐体2の内部に設置されたグリル庫(図示略)の使用時にグリル庫の内部に生ずる燃焼排気を外部に排出する排気口7が設けられる。
【0019】
コンロ1の前面の略中央には、グリル庫の前側開口部分を開閉するグリル扉8が設けられる。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11,12が左右方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11,12と同じ高さの位置に、同一形状の2つの操作つまみ13,14が左右方向に並んで設けられる。操作つまみ11,12,13,14のそれぞれは、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火、及び火力調節を行うために設けられる。
【0020】
図2を参照して、燃料供給装置20について説明する。コンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6のそれぞれに燃料であるガスを供給する3つの燃料供給装置20を、筐体2の内部に備える。操作つまみ11,13,14は、それぞれ、燃料供給装置20の前端部に取り付けられる。コンロ1は、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置(図示略)も、筐体2の内部に備える。グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20の構成に加えて、グリルバーナの火力を弱火力と強火力とに切替えるための電磁弁、グリルバーナに供給するガス圧を調節するためのガバナ装置等を備える。操作つまみ12は、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置の前端部に取り付けられる。グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置については、説明を省略する。以下では、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20及び奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20に対応する操作つまみ13について説明する。本発明が実現する、後述する操作つまみ13における奥バーナ6の火力表示(加熱量表示)は、操作つまみ11,12,14における右バーナ4、グリルバーナ、左バーナ5の火力表示(加熱量表示)においても同様に行われる。
【0021】
操作つまみ13は、前後方向に延びる外周部132及び前端部を覆う円形の平面部である前面134を有し、前後方向に延びる円筒形状の本体部131を備える。燃料供給装置20は、操作つまみ13の押込操作に応じて奥バーナ6の点火及び消火を行い、操作つまみ13の回動操作に応じて奥バーナ6へのガスの供給量の調節を行う。押込操作は、操作つまみ13を後方へ押圧し、操作つまみ13の前面134をコンロ1の筐体2の前面F(パネル装置9Bの前面、
図1参照)よりも後方に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ13の外周部132を指等で摘まみ、前後方向に延びる軸(軸心AX)を中心に操作つまみ13を回転する操作である。
【0022】
燃料供給装置20は、プッシュ・プッシュ機構24、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31、連結部材25、中火ガイド90等を備える。プッシュ・プッシュ機構24は、公知の機構であり、第一実施形態では、操作つまみ13を待機位置、押込位置、操作位置の各位置にて位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁(図示略)を開放状態又は閉鎖状態に維持するために用いられる。待機位置は、操作つまみ13の前面134が、コンロ1の筐体2の前面Fと前後方向においてほぼ同じ位置となる位置である。待機位置において、操作つまみ13の前面134は、前面Fよりも僅かに後側に位置してもよいし、前面Fよりも僅かに前側に位置してもよい。押込位置は、操作つまみ13の前面134が、前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。押込位置において、操作つまみ13は待機位置よりも後方に位置する。操作位置は、操作つまみ13の後端部133が前面Fよりも後方に位置するとともに、操作つまみ13の本体部131の大部分が前面Fよりも前方に突出する位置である。操作位置において、操作つまみ13は待機位置よりも前方に位置する。操作つまみ13は、操作位置にある場合、軸心AXを中心に回転可能(回動操作可能)である。
【0023】
プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ13の押込操作に合わせて前後方向に移動するスライダ40、スライダ40を前方へ押し戻すバネ(図示略)、メイン弁を駆動する弁駆動部(図示略)等を備える。スライダ40は、操作つまみ13が押込操作される度に、操作つまみ13を待機位置から押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から押込位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。弁駆動部は、操作つまみ13が待機位置から操作位置に移動する動作に連動してメイン弁を開放し、且つ開放状態に維持する動作を行い、操作つまみ13が操作位置から待機位置に移動する動作に連動してメイン弁を閉鎖し、且つ閉鎖状態に維持する動作を行う。
【0024】
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路(図示略)が形成される。第一ガス通路は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管(図示略)から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路には安全弁(図示略)とメイン弁(図示略)とが設けられる。安全弁は、第一ガス通路を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。メイン弁は、操作つまみ13の押込操作に応じて第一ガス通路の開閉を行う弁である。なお、メイン弁及び安全弁は周知のものであるので、動作の詳細な説明は省略する。
【0025】
流量調節部31はプッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22との上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路(図示略)が形成される。第二ガス通路は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口(図示略)に接続されるガス供給管(図示略)を介して奥バーナ6に供給する。なお、図示しないが、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置の上側にはガバナ装置が設けられ、流出口から流出するガスがガバナ装置の内部に導入される。ガバナ装置は、内部に導入したガスの圧力を調節してグリルバーナに供給する。
【0026】
流量調節部31の前端部には第二ガス通路に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路内にて前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。
【0027】
火力調節カム26は略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸心AXの周りを回転可能に設けられる。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸心AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回転すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
【0028】
火力調節カム26は、前方に延びる延伸部34を備え、延伸部34の前端部分に、内向きに突出する歯部35を有する。操作つまみ13が操作位置にある場合、歯部35は連結部材25の歯部38(後述)に噛み合い、連結部材25を介して火力調節カム26を操作つまみ13とともに軸心AXを中心に回転する。延伸部34の外周面には、筒状体操作部材36が固定される。筒状体操作部材36は、前方に延びる係合片36Bを有する。筒状体操作部材36は筒状体70(後述)に係合し、筒状体70を火力調節カム26とともに軸心AXを中心に回転する。延伸部34は、途中で狭窄するテーパ部34Aを備える。操作つまみ13に対する押込操作がなされる場合、テーパ部34Aは中火ガイド90に係合し、中火ガイド90を回転する。
【0029】
連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24のスライダ40から前方に延び、軸心AXを軸とする軸体37に係合する。連結部材25は軸体37の前端部に保持され、軸心AXを中心に軸体37の周囲を回転可能な状態で、スライダ40とともに前後方向へ移動可能に設けられる。操作つまみ13は連結部材25の先端部25Aに保持され、連結部材25とともに前後方向へ移動可能、且つ軸心AXを中心に回転可能に設けられる。連結部材25は、火力調節カム26の歯部35に噛み合う歯38Aを複数有する歯部38を、後端部の外周面に有する。操作つまみ13が操作位置にある場合、連結部材25の歯部38は火力調節カム26の歯部35と噛み合い、操作つまみ13と火力調節カム26とを連結する。操作つまみ13が操作位置にない場合、火力調節カム26の歯部35は連結部材25の歯部38の前方に位置して歯部38と噛み合わず、操作つまみ13と火力調節カム26との連結状態を解除する。
【0030】
中火ガイド90は連結部材25の後側に配置される。中火ガイド90はスライダ40の軸体37に固定されて、スライダ40とともに前後方向へ移動可能に設けられる。中火ガイド90は、固定部91、半鍔部92、案内部93を有する。固定部91は筒状であり、中火ガイド90を軸体37に固定する。半鍔部92は固定部91の前端部のうち下側の部分から径方向外向きに鍔状に突出する。連結部材25は半鍔部92の前面に対して回転可能に設けられる。
【0031】
案内部93は略筒状であり、下側部分の後端部内面が半鍔部92の外周部分に接続する。案内部93の上側部分は下側部分よりも大径に設けられ、後端部内面と固定部91の前端部のうち上側の部分との間に開口部94が形成される。開口部94には、火力調節カム26の延伸部34のテーパ部34Aが挿通される。案内部93の下側部分の内径は、連結部材25の歯部38の最大径よりも大きい。また、案内部93の上側部分の上面には、案内突起95が設けられる。案内突起95は、筒状体操作部材36の下面に設けられる溝部36Aに係合する。
【0032】
操作つまみ13の押込操作及び回動操作による奥バーナ6の点火及び消火と火力の調節について説明する。奥バーナ6が消火している場合、操作つまみ13は待機位置にある。コンロ1の使用者が待機位置にある操作つまみ13を押し込み、操作つまみ13が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁が開放され、イグナイタ(図示略)によって奥バーナ6が点火される。使用者が押込位置にある操作つまみ13から手を離すと、プッシュ・プッシュ機構24のバネがスライダ40を前方へ押し戻すことに応じて、操作つまみ13が操作位置に移動する。安全弁とメイン弁は開放状態に維持される。連結部材25によって、操作つまみ13と火力調節カム26とが連結される。
【0033】
操作位置にある操作つまみ13が回動操作されると、連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35と噛み合った状態で、火力調節カム26が操作つまみ13とともに軸心AXの周りを回転する。火力調節カム26が回転すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動する。ニードル弁28の位置に応じて、第二ガス通路を流通するガスの流量が調節され、奥バーナ6の火力が変更される。
【0034】
使用者が操作位置にある操作つまみ13を押し込み、操作つまみ13が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁とが閉鎖される。奥バーナ6は消火する。使用者が押込位置にある操作つまみ13から手を離すと、プッシュ・プッシュ機構24のバネがスライダ40を前方へ押し戻すことに応じて、操作つまみ13が待機位置に移動する。安全弁とメイン弁は閉鎖状態に維持される。
【0035】
このように、操作位置にある操作つまみ13の回動操作に伴い、連結部材25が火力調節カム26を回転させる。回転する火力調節カム26がニードル弁28を移動することによって、流量調節部31の第二ガス通路を流通するガスの流量が無段階に調節される。すなわち、操作つまみ13の回転量に応じて連結部材25が奥バーナ6へのガスの供給量を調節し、奥バーナ6へのガスの供給量に応じて奥バーナ6の火力が変化する。操作つまみ11,12,14の押込操作及び回動操作による右バーナ4、グリルバーナ、左バーナ5の点火及び消火と火力の調節についても同様である。
【0036】
次いで、パネル装置9Bについて説明する。コンロ1は、グリル扉8の右側の領域にパネル装置9Aを備え、グリル扉8の左側の領域にパネル装置9Bを備える(
図1参照)。パネル装置9A,9Bは、筐体2の前面Fに操作つまみ11~14を配置するために設けられる。パネル装置9A,9Bは、燃料供給装置20の前方において筐体2に固定され、グリル扉8とともに筐体2の前面Fを構成する。
【0037】
図3を参照して、パネル装置9Bについて説明する。なお、操作つまみ13における火力表示(加熱量表示)に係るパネル装置9Bの構成は、操作つまみ14におけるものと同様である。また、操作つまみ11,12における火力表示(加熱量表示)に係るパネル装置9Aの構成は、パネル装置9Bの構成と同様であるので、説明を省略する。
【0038】
パネル装置9Bは、パネル本体部50、光源基板60、筒状体70、化粧パネル80を備える。パネル本体部50は、筐体2の前端部に組み付けられる。パネル本体部50の下側部分51は箱型に形成され、使用者が調理内容に応じた火力制御の選択等の入力、タイマ設定等を行うための操作パネル(図示略)が収容される。パネル本体部50の上側部分52は、下側部分51から上方に向けて板状に突出する。上側部分52には、前後方向に貫通する2つの貫通穴53が左右方向に並んで形成される。2つの貫通穴53の上部には、貫通穴53と同様にパネル本体部50の上側部分52を前後方向に矩形状に貫通する切欠部54が形成される。貫通穴53の内径は、操作つまみ13,14の外径より大きい。奥バーナ6の燃料供給装置20は、パネル本体部50の上側部分52に後側から固定される。奥バーナ6の燃料供給装置20の連結部材25と操作つまみ13とは、右側の貫通穴53内に配置される。なお、左バーナ5の燃料供給装置20は、奥バーナ6の燃料供給装置20の左側に並んで配置され、パネル本体部50の上側部分52に後側から固定される(図示略)。
【0039】
上側部分52の後面には、光源基板60が固定される。光源基板60は、光源であるLED61(
図7参照)を複数実装する実装面が、左右方向に長い略矩形状に形成される基板である。光源基板60は、光源基板60を保持する基板ホルダ62に保持される。基板ホルダ62は、複数のネジ63によって、貫通穴53よりも上方の位置において、上側部分52の後面に対して固定される。
【0040】
化粧パネル80は、パネル本体部50の上側部分52の前側に組み付けられる板状体である。化粧パネル80は、前後方向に貫通する2つの開口部86と、それぞれの開口部86の上部に配置される透光部81とを備える。化粧パネル80は正面視略長方形状であり、上端部にスライドロック85を備える。化粧パネル80がパネル本体部50の上側部分52に組み付けられた状態において、スライドロック85が右側にスライドされると、化粧パネル80がパネル本体部50に固定される。
【0041】
2つの開口部86は左右方向に並んで形成される。2つの開口部86の内径は、それぞれ、操作つまみ13,14の外径より大きい。2つの開口部86内にはそれぞれ、操作つまみ13,14が配置される。透光部81は、化粧パネル80がパネル本体部50の上側部分52に組み付けられた状態において、光源基板60の前方に設けられる。
【0042】
図4を参照して、操作つまみ13の詳細について説明する。操作つまみ13は、本体部131、導光部136、固定部139を備える。本体部131の外周部132には、前後方向に延びる平面である平面部135が複数設けられる。平面部135は、その法線を円筒形状の外周部132の径方向に沿って等間隔に配置する。すなわち、平面部135は、本体部131の外周部132に対する接線に沿って前後方向に延びる複数の面部のそれぞれである。
【0043】
導光部136は、導光材料を用いて構成される。導光部136は、導光材料として、アクリル系樹脂等、透明性を有して光を導くことのできる材料を採用できる。導光材料を板状に形成した板状体は、板状体の端面(小口)から入射した光を内部で拡散させることによって、板状体導光板の表面の任意の一部又は全体に導光する。導光部136は、後方配置部137と、前方配置部138とを備える。後方配置部137は、本体部131の後端部133の外径とほぼ同じ内径を有する円環状である。前方配置部138は、後方配置部137から前方に向けて櫛歯状に等間隔に突出する突出部138Aを複数備える。後方配置部137は、操作つまみ13が操作位置にある場合、パネル本体部50の上側部分52よりも後方(化粧パネル80よりも後方)に配置される。前方配置部138は、操作つまみ13が操作位置にある場合、後方配置部137に近接する部分を除く大部分が、化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される。
【0044】
後方配置部137及び前方配置部138は、ともに導光材料を板状に形成した板状体の表面を外周面とする。導光部136に用いられる導光材料を用いた板状体は、端面から光が入射された場合、入射された入射光が表面の全体に導光され、表面の全体が均一に発光するように構成されている。導光部136は、本体部131の後端部133に組み付けられる。突出部138Aの数は、連結部材25の歯部35の歯38Aの数と同じである。また、本体部131の外周部132における平面部135の数と、前方配置部138における突出部138Aの数とは同じである。本体部131の後端部133に導光部136が組み付けられた状態において、後方配置部137は本体部131の後端部133の外側を環状に覆い、前方配置部138の突出部138Aのそれぞれは、2つの平面部135同士の間の位置に配置される。
【0045】
固定部139は、導光部136を本体部131に固定するとともに、操作つまみ13を連結部材25の先端部25Aに保持させるための部品である。固定部139は円筒状であり、円筒状の側面139Aの外径は、本体部131の側面の内径とほぼ同じである。導光部136が本体部131の後端部133に組み付けられた状態で、固定部139が後方から本体部131の内側に挿入される。側面139Aは、本体部131の内側に係合するフック片139Bを備える。固定部139の後端部には、固定部139が本体部131の内側に挿入された状態で本体部131の後端部133に当接するフランジ部139Cが設けられる。フック片139Bとフランジ部139Cとによって、固定部139及び導光部136が本体部131に組み付けられた状態で抜け止めされる。固定部139の内側は、連結部材25の先端部25Aを保持する保持部(図示略)を備える。連結部材25は、先端部25Aにおいて操作つまみ13を一体に固定する。
【0046】
図5を参照して、筒状体70の詳細について説明する。筒状体70は、本体部71とフランジ部76とを備える。本体部71は、前後方向に延びる円筒状である。本体部71の外径は、パネル本体部50の貫通穴53の内径よりも小さい。本体部71の内径は、操作つまみ11,12,13,14の外径よりも大きい(
図3参照)。本体部71の前端部には、光通過部77が形成される。光通過部77は、本体部71の前端部のうちほぼ半分が後方に所定の幅で切り欠かれた部位である。
【0047】
フランジ部76は、本体部71の前端部のうち光通過部77が設けられない部分において、径方向外向きに鍔状に形成される。本体部71は、周方向の2か所に(
図2参照)、パネル本体部50の貫通穴53縁部に対して後側から掛け留めされるフック片75を備える。貫通穴53の縁部の前面に当接するフランジ部76と、フック片75とによって、筒状体70は本体部71が貫通穴53内に配置された状態で抜け止めされ、且つ貫通穴53内で軸心AXを中心に回転可能に保持される。本体部71において2つのフック片75の間の位置に係合部74が設けられる。係合部74は、筒状体操作部材36の先端部に設けた係合片36B(
図2参照)に係合する。本体部71において、係合部74を周方向の両側から挟む部分はそれぞれ後方へ延び、係合片36Bを外れにくくする。
【0048】
図6から
図8を参照して、操作つまみ13における火力表示について説明する。
図6から
図8において、操作つまみ13は操作位置にある。光源基板60は、LED61が実装される実装面が正面よりも下方を向くように傾斜した状態で設置される。光源基板60の複数のLED61は、安全弁の開放時に全てが点灯する。複数のLED61は、実装面に対して垂直方向に光を出射する。したがって、LED61から出射する出射光は、操作つまみ13の後端部133のうち上側の部分に向けて、光源基板60から斜め下方に向かう。光源基板60は、LED61を複数用いることで、単独のLED等の光源を用いる場合よりも強い光を、操作つまみ13の後端部133に向けて出射できる。
【0049】
前述したように、操作つまみ13が操作位置にある場合、火力調節カム26は操作つまみ13と連結し、操作つまみ13の回動操作に応じて奥バーナ6の火力を調節する。操作つまみ13が回転すると、筒状体70は筒状体操作部材36を介して火力調節カム26とともに軸心AXの周りを回転する。筒状体70の本体部71は、光通過部77が設けられる位置を除き、操作つまみ13の後端部133に対してLED61の出射光を遮る。光通過部77が設けられる位置においてはLED61の出射光が通過し、出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する。操作つまみ13が回転されて火力が変更されると、光通過部77が軸心AXの周りを周方向に移動するので、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が変化する。
【0050】
前述したように、操作つまみ13が待機位置にある場合、導光部136は、その全体が化粧パネル80よりも後方(筐体2の前面Fよりも後方)に配置される。このため、操作つまみ13が待機位置にある場合、使用者は導光部136を視認することができない。一方、操作つまみ13が待機位置から押込位置を経て操作位置に移動すると、操作つまみの本体部131の大部分が、前面Fよりも前方に突出する。これに伴い、
図6及び
図8のW領域に示すように、前方配置部138の先端部分が、化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に突出して配置される。よって、操作つまみ13が操作位置にある場合、使用者は導光部136の前方配置部138の先端部分を視認できる。
【0051】
図7に示すように、操作つまみ13の後端部133は導光部136の後方配置部137によって覆われている。光通過部77を通過するLED61の出射光は、後方配置部137のうち光通過部77が配置される位置に対応する部分を照射する。後方配置部137を照射する光は、後方配置部137の端面から導光部136の内部に進入し、進入した光は導光部136の内部で拡散し、拡散した光が突出部138Aに導かれる。このため、後方配置部137のうちLED61の出射光が到達した部分の近傍に配置される突出部138Aが発光する。一方、後方配置部137のうち光通過部77が配置されない位置に対応する部分からはLED61の出射光が進入しないので、その部分に対応する突出部138Aは発光しない。よって、操作つまみ13が回転されて火力が変更されることに応じて、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する範囲が変化する。
【0052】
前方配置部138は、複数の突出部138Aを備えるので、後方配置部137のうちLED61の出射光が到達した部分の前方に配置される突出部138Aが発光し、出射光が到達しない部分の突出部138Aは発光しない。すなわち、奥バーナ6の火力に応じて、突出部138Aのそれぞれが独立して発光する。LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が広くなるほど、発光する突出部138Aの数が増加する。また、出射光が後端部133に到達する範囲が狭くなるほど発光する突出部138Aの数が減少する。したがって、操作つまみ13は、操作つまみ13の回転量に対応する奥バーナ6の火力の程度を、操作つまみ13の外周部132の上側部分において、前方配置部138が発光する範囲(発光する突出部138Aの数)によって示すことができる。
【0053】
第一実施形態では、奥バーナ6の火力が強くなるほどLED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が広くなり、前方配置部138の発光する範囲が広くなる(発光する突出部138Aの数が多くなる)。また、奥バーナ6の火力が弱くなるほどLED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が狭くなり、前方配置部138が発光する範囲が狭くなる(発光する突出部138Aの数が少なくなる)。したがって、コンロ1は、前方配置部138が発光する範囲によって、奥バーナ6の火力を使用者に直観的に把握させることができる。操作位置における操作つまみ13の外周部132は、コンロ1の筐体2の前面F(
図1参照)よりも前方に配置される。調理等でコンロ1を使用する使用者は、外周部132における前方配置部138の発光範囲を、調理中の姿勢のまま上方から見下ろすことで、奥バーナ6の火力を認識できる。
【0054】
前述したように、操作つまみ13と連結する連結部材25の歯部38における歯38A(
図4参照)の数は、前方配置部138の突出部138Aの数と同じである。よって、回動操作における操作つまみ13の回転量と、歯38Aが噛み合う火力調節カム26の歯部35の回転量に応じたガスの供給量とが対応する。これにより、使用者は、操作つまみ13の回動操作を、火力調節カム26の回転度合いに合わせて行いやすくなる。使用者は、前方配置部138の発光範囲を見ながら操作つまみ13を回転させることで、奥バーナ6を所望する火力に、精度よく調節することができる。操作つまみ13の外周部132には複数の平面部135が設けられているので、使用者は回動操作において操作つまみ13をしっかりと摘まむことができる。平面部135の数も、前方配置部138の突出部138Aの数と同じであるので、使用者は、回動操作において、操作つまみ13の回転量と火力調節カム26の歯部38の回転量とを一致させやすい。
【0055】
なお、化粧パネル80において光源基板60の前方の位置に設けられる透光部81(
図6参照)は、LED61から出射され、パネル本体部50の上側部分52の切欠部54(
図3参照)を介して後面から入射する光を、化粧パネル80の前面から前方へ出射する。透光部81は、LED61の光を出射することによって、奥バーナ6が点火中であることを使用者に報知できる。なお、光源基板60の複数のLED61は、安全弁の閉鎖時においてコンロ1に何らかのエラーが生じている場合にも点灯する。この場合、透光部81は、LED61の光を出射することによって、コンロ1に何らかのエラーが生じていることを使用者に報知できる。安全弁の閉鎖時においては、操作つまみ13は待機位置にあり、導光部136による奥バーナ6の火力表示が行われないので、使用者は、コンロ1に何らかのエラーが生じていることと、奥バーナ6が点火中であることとを誤認することがない。
【0056】
以上説明したように、操作つまみ13は、本体部131の外周部132に導光部136を備える。操作つまみ13が操作位置にある場合、操作つまみ13の後端部133が筐体2の前面Fよりも後方に位置するとともに、操作つまみ13の本体部131の大部分が前面Fよりも前方に突出する。この場合、導光部136の前方配置部138の大部分が、筐体2の前面Fよりも前方に配置される。操作つまみ13は、操作つまみ13の回転量に対応する奥バーナ6の火力の程度を、使用者が操作する操作つまみ13自体の外周部132の上側部分において、前方配置部138が発光する範囲(発光する突出部138Aの数)によって示すことができる。したがって、コンロ1は、コンロ1を使用中の使用者が視認しやすい火力表示(加熱量表示)を行うことができる。
【0057】
操作つまみ13は、導光部136の前方配置部138を発光させることによって、操作つまみ13の回転量に対応する奥バーナ6の火力の程度を示すので、前方配置部138の放つ光によって火力表示(加熱量表示)の視認性を向上できる。
【0058】
導光部136は導光材料を用いて構成されており、パネル本体部50の上側部分52の後面に固定される光源基板60のLED61の出射光を後方配置部137から導光部136の内部に進入させ、内部に進入した光を拡散させて前方配置部138に導く。このような導光部136を採用することによって、コンロ1は、操作つまみ13の回動操作に応じた火力表示(加熱量表示)を、操作つまみ13の外周部132において実現し、コンロ1の使用者にとって視認しやすい火力表示(加熱量表示)を低級できる。
【0059】
第一実施形態において、コンロ1が、本発明の「加熱調理器」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。パネル装置9A,9Bが、本発明の「パネル部」に相当する。右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、グリルバーナが、本発明の「加熱源」に相当する。操作つまみ11,12,13,14が、本発明の「操作つまみ」に相当する。外周部132が、本発明の「外側面部」に相当する。後方配置部137が、本発明の「後方配置部」に相当する。前方配置部138が、本発明の「前方配置部」に相当する。
【0060】
次いで、
図9を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態のコンロ1が備える操作つまみ15,16,17は、第一実施形態の操作つまみ13が備える導光部136に替えて、文字、図形、記号からなる群から選択される少なくとも一つを用いて加熱量を示す加熱量表示部を外側面部に備える。なお、第二実施形態においても第一実施形態と同様に、燃料供給装置20は、操作つまみ15,16,17の押込操作に応じて対応するバーナの点火及び消火を行い、操作つまみ15,16,17の回動操作に応じて対応するバーナへのガスの供給量の調節を行う。また、第一実施形態と同様に、操作つまみ15,16,17が操作位置にある場合、操作つまみ15,16,17の後端部を除く大部分が、化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される。回動操作は、操作位置にある操作つまみ15,16,17の外側面部を指等で摘まみ、軸心AXを中心に操作つまみ15,16,17を回転する操作である。第二実施形態において、回動操作において正面視で時計回りに操作つまみ15,16,17が回転されると対応するバーナへのガスの供給量が増加し、反時計回りに操作つまみ15,16,17が回転されると対応するバーナへのガスの供給量が減少する。
【0061】
図9(1)に示す操作つまみ15は、その外側面部151に、耐水性及び耐油性を備え、「強」「中」「弱」の文字のそれぞれが記載されたラベル152,153,154を貼付している。「強」「中」「弱」の文字のそれぞれは、操作つまみ15の回動操作に応じて火力が調節されるバーナの火力が「強火力」「中火力」「弱火力」のそれぞれであることに対応する。回動操作において操作つまみ15が正面視で時計回りに回転されるにつれて、外側面部151の上側に配置されるラベルが、ラベル154→ラベル153→ラベル152の順に変化する。一方、回動操作において操作つまみ15が正面視で反時計回りに回転されるにつれて、外側面部151の上側に配置されるラベルが、ラベル152→ラベル153→ラベル154の順に変化する。調理等でコンロ1を使用する使用者は、調理中の姿勢のまま操作つまみ15を上方から見下ろすことで、外側面部151において上側に配置されるラベルが、ラベル152,153,154のいずれであるかを認識できる。使用者は、ラベル152,153,154のいずれを認識したかによって、操作つまみ15に対応するバーナの火力(加熱量)が「強火力」「中火力」「弱火力」のいずれの段階にあるかを、直感的に把握できる。
【0062】
図9(2)に示す操作つまみ16は、その外側面部161に、耐水性及び耐油性を備え、3個、2個、1個の丸印(黒丸の記号)がそれぞれ付されたラベル162,163,164を貼付している。丸印の数は、操作つまみ16の回動操作に応じて火力が調節されるバーナの火力が「強火力」「中火力」「弱火力」のそれぞれであることに対応する。回動操作において操作つまみ16が正面視で時計回りに回転されるにつれて、外側面部161の上側に配置されるラベルが、ラベル164→ラベル163→ラベル162の順に変化する。一方、回動操作において操作つまみ16が正面視で反時計回りに回転されるにつれて、外側面部161の上側に配置されるラベルが、ラベル162→ラベル163→ラベル164の順に変化する。調理等でコンロ1を使用する使用者は、調理中の姿勢のまま操作つまみ16を上方から見下ろすことで、外側面部161において上側に配置されるラベルが、1~3いずれかの個数の丸印を示すかを認識できる。使用者は、認識した丸印の個数によって、操作つまみ16に対応するバーナの火力(加熱量)が「強火力」「中火力」「弱火力」のいずれの段階にあるかを、直感的に把握できる。
【0063】
図9(3)に示す操作つまみ17は、その外側面部171に、耐水性及び耐油性を備え、左側に底辺を、右側に頂点をそれぞれ配置して左右方向に長さを有する三角形のラベル172を貼付している。操作つまみ17の回動操作に応じて、外側面部161の上側に配置されるラベル172の部分の前後方向の長さが変化する。ラベル172の前後方向の長さは、操作つまみ16の回動操作に応じて火力が調節されるバーナの火力に対応する。ラベル172の示す三角形の底辺(ラベル172の左端部)が、バーナの最大火力に対応し、ラベル172の示す三角形の頂点(ラベル172の右端部)が、バーナの最小火力に対応する。三角形の底辺と頂点との間の部分は、その前後方向の長さによって、バーナの火力を無段階で示す。回動操作において操作つまみ17が正面視で時計回りに回転されるにつれて、外側面部171の上側に配置されるラベル172の位置が、頂点から底辺に向けて順次変化する。一方、回動操作において操作つまみ17が正面視で反時計回りに回転されるにつれて、外側面部171の上側に配置されるラベル172の位置が、底辺から頂点に向けて順次変化する。調理等でコンロ1を使用する使用者は、調理中の姿勢のまま操作つまみ17を上方から見下ろすことで、外側面部161において上側に配置されるラベル172の前後方向の長さを認識できる。使用者は、認識したラベル172の前後方向の長さによって、操作つまみ16に対応するバーナの火力(加熱量)の程度を直感的に把握できる。
【0064】
以上説明したように、操作つまみ15,16,17は、文字、図形、記号を用いたラベルを外側面部151,161,171に設けることによって、コンロ1の使用者が直感的に把握できる火力表示(加熱量表示)を行うことができる。
【0065】
操作つまみ15,16,17lの外側面部151,161,171にラベルを貼付することによって、使用者が視認しやすく、火力(加熱量)を把握しやすい火力表示(加熱量表示)を、簡易に設けることができる。
【0066】
第二実施形態において、操作つまみ15,16,17lの外側面部151,161,171のうちラベル152,153,154、ラベル162,163,164、ラベル172が貼付される部分が、本発明の「加熱量表示部」に相当する。ラベル152,153,154、ラベル162,163,164、ラベル172のそれぞれが、本発明の「ラベル」に相当する。
【0067】
なお、本発明は上記の第一実施形態及び第二実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、光通過部77として本体部71の前端部が周方向に切り欠かかれる幅は、上記第一実施形態よりも広くても狭くてもよい。例えば、光通過部77として本体部71の前端部が周方向に切り欠かかれる幅が、前方配置部138の1つの突出部138Aの周方向の幅と同じ程度であってもよい。この場合、操作つまみ13が回転されて火力が変更されることに応じて、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する位置が変化し、出射光が到達した位置に対応する1つの突出部138Aが発光する。したがって、操作つまみ13は、導光部136の前方配置部138が発光する位置(1つの突出部138Aが発光する位置)を変化させることで、奥バーナ6の火力を示すことができる。
【0068】
操作つまみ13は、完全な円筒状である必要はなく、例えば、操作つまみ13の本体部131が、後端部133から前面134に向けて徐々に先細る形状であってもよい。
【0069】
操作つまみ13は、少なくとも回動操作による火力調節が行われる場合に操作位置にあればよい。したがって、操作つまみ13が待機位置に配置されることがなく、奥バーナ6が消火している場合にも、操作位置と同様に、操作つまみ13の外周部132が化粧パネル80よりも前方に突出して配置されてもよい。この場合、導光部136の前方配置部138は、奥バーナ6の点火時及び消火時のいずれにおいても化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される。前方配置部138は、発光することによる奥バーナ6が点火中であることの表示及び発光する範囲による奥バーナ6の火力表示を行い、消灯することによって奥バーナ6が消火していることを示すことができる。
【0070】
コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロであるが、この他、コンロ1は、操作つまみ13の回動操作によって火力調節又は加熱量の調節を行う、ガステーブルコンロ、カセット式のガスコンロ、電熱線等を加熱源として筐体2の内側に備える電気コンロ、磁力発生コイル等を加熱源として筐体2の内側に備えるIHヒーター等であってもよい。
【0071】
コンロ1において、操作つまみ11,12,13,14の全てが、その外周部において導光部136を用いた火力表示を行う必要はない。例えば、グリルバーナの火力調節が、無段階ではなく複数段階に調節可能にされている場合には、操作つまみ12の導光部136の前方配置部138の発光によって複数段階のそれぞれが表示されてもよいし、操作つまみ12に導光部136が設けられなくてもよい。
【0072】
導光部136の前方配置部138が突出部138Aを備えない形状であってもよい。具体的には、
図10に示すように、操作つまみ13の外周部132に、導光材料を用いて構成される導光部236が設けられてもよい。導光部236は前後方向に所定の幅を有する帯状であり、後方配置部237と前方配置部238とを備える。後方配置部237は、本体部131の後端部133の外側を環状に覆い、操作つまみ13が操作位置にある場合に化粧パネル80よりも後方(筐体2の前面Fよりも後方)に配置される部分である。前方配置部238は、後方配置部237から前方に延伸し、操作つまみ13が操作位置にある場合に化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される部分である。このような導光部236を用いる場合にも、コンロ1は、前方配置部238が発光する範囲又は位置によって奥バーナ6の火力を表示できる。この変形例において、導光部236が、本発明の「導光部」に相当する。後方配置部237が、本発明の「後方配置部」に相当する。前方配置部238が、本発明の「前方配置部」に相当する。
【0073】
操作つまみ13が操作位置にある場合に、前方配置部138,238が化粧パネル80よりも前方に露出する量は、コンロ1を使用中の使用者が前方配置部138,238の一部を視認できる量であればよい。したがって、前方配置部138,238が化粧パネル80よりも前方に露出する量は、導光部136,236による火力表示の見映え等に応じて任意に変更可能であり、上記実施形態よりも多くても少なくてもよい。
【0074】
第一実施形態において、操作つまみ13は、回動操作に応じた火力(加熱量)を、操作つまみ13の外周部132において放つ光によって行うものであればよい。火力表示(加熱量表示)の光源であるLED61が配置される位置は第一実施形態に限られず、例えば、LED61が操作つまみ13に内蔵されてもよい。
【0075】
第二実施形態において、火力表示(加熱量表示)に用いられる記号は
図9(2)の例に限られず、様々な記号であってもよい。例えば、丸印に替えて、炎を表す図柄等を用いて、図柄の数、図柄の大きさ等によって火力表示(加熱量表示)が行われてもよい。
【0076】
第二実施形態において、ラベルは、操作つまみ15,16,17の外側面部151,161,171に対して貼付される他、操作つまみ15,16,17が射出成型によって作製される場合に、フィルムインサートによって外側面部151,161,171に設けられてもよい。また、ラベルに替えて、火力表示(加熱量表示)のために用いられる文字、図形、記号等が、操作つまみ15,16,17の外側面部151,161,171に直接印刷等されて設けられてもよい。
【0077】
図9の(1)及び(2)に示す例では、文字、図形、記号等が記載されたラベルを用いて加熱量表示部を構成している。この他、ラベル自体の形状が文字、図形、記号等を模っていてもよい。
【0078】
第二実施形態の加熱量表示部は、文字、図形、記号からなる群から複数を選択して用いた態様(例えば、文字と記号とを併用したラベルによって加熱量表示を行う態様)に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 コンロ
2 筐体
4 右バーナ
5 左バーナ
6 奥バーナ
9A,9B パネル装置
11,12,13,14,15,16,17 操作つまみ
50 パネル本体部
61 LED
132 外周部
136,236 導光部
137,237 後方配置部
138,238 前方配置部
151,161,171 外側面部
152,153,154,162,163,164,172 ラベル