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  • 特許-塗布具付き容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】塗布具付き容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
A45D34/04 515C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021017264
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2021121310
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501449702
【氏名又は名称】戎屋化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓育
(72)【発明者】
【氏名】岸田 亮
(72)【発明者】
【氏名】橋立 真歩
(72)【発明者】
【氏名】辻井 宣博
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-215521(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0060080(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0133295(US,A1)
【文献】特開2003-047524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0195117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体と、該容器本体の開口部に装着される扱き部材と、キャップと、該キャップに装着され、扱き部材を介して容器本体内に挿入される塗布具を先端に形成した軸部とを備えた塗布具付き容器において、
前記容器本体の開口部の内径が、本体部の内径より小径に形成されてなり、
前記扱き部材は、外周面に、容器本体の開口部の内径より大きく、本体部の内径より小さい第1の係止部と、該第1の係止部よりも容器本体の開口部側に位置し、扱き部材に引抜力が作用したときに、第1の係止部に被ることによって第1の係止部の外径を増大させるように作用する、第1の係止部の外径より外径が大きく、可撓性を有する薄肉形状の環状片又は非連続の突状片で構成される第2の係止部を形成してなることを特徴とする塗布具付き容器。
【請求項2】
前記軸部に、扱き部材の上面部に同心の2つ以上の円状に当接する押圧接部を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の塗布具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関し、例えば、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、リップグロス等の液状化粧料を塗布する塗布具を先端に形成した軸部を備えた塗布具付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状化粧料を塗布する塗布具を先端に形成した軸部を備えた塗布具付き容器として、図4に示すように、液体を収容する容器本体1と、この容器本体1の開口部11に装着される扱き部材(シゴキ部材)2と、キャップ3と、このキャップ3に装着され、扱き部材2を介して容器本体1内に挿入される、塗布具(図示省略)を先端に形成した軸部4とを備えた塗布具付き容器が汎用されている。
【0003】
ところで、容器本体1の開口部11に装着される扱き部材2は、塗布具や軸部4に付着した余分の液状化粧料を掻き落とすためのものであるが、容器本体1内から塗布具を抜き出す際に、扱き部材2に引抜力が作用し、扱き部材2が、塗布具と共に容器本体1内から抜け出たり、容器本体1の開口部11から浮き上がった状態となることがあった。
そして、これを防止するために、従来の塗布具付き容器においては、容器本体1の開口部11の内径が、本体部12の内径より小径に形成されるとともに、扱き部材2の外周面に、容器本体1の開口部11の内径より大きく、本体部12の内径より小さい係止部20を形成するようにしていた(例えば、特許文献1~2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-189931号公報
【文献】特開2018-191889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の塗布具付き容器においては、扱き部材が抜け出たり、浮き上がったりすることを防止するために、扱き部材の外周面に係止部を形成するようにしていたが、容器本体の開口部の液状化粧料が乾燥して固化することによって、扱き部材と塗布具を先端に形成した軸部とが固着した場合、容器本体内から塗布具を抜き出す際に、扱き部材に大きな引抜力が作用し、扱き部材の抜け出しや浮き上がりを防止することができないという問題があった。
この問題を解消するためには、係止部の外径をより大きくする必要があるが、扱き部材を容器本体の開口部に装着する際に支障を生じるため、係止部の外径を大径化することには制約があった。
【0006】
本発明は、上記従来の塗布具付き容器の有する問題点に鑑み、扱き部材を容器本体の開口部に装着する際に支障を生じることなく、扱き部材に大きな引抜力が作用した場合の扱き部材の抜け出しを防止することができる塗布具付き容器を提供することを第1の目的とする。
【0007】
また、本発明は、扱き部材の浮き上がりを防止するとともに、液体の漏出を防止することができる塗布具付き容器を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するため、本発明の塗布具付き容器は、液体を収容する容器本体と、該容器本体の開口部に装着される扱き部材と、キャップと、該キャップに装着され、扱き部材を介して容器本体内に挿入される塗布具を先端に形成した軸部とを備えた塗布具付き容器において、
前記容器本体の開口部の内径が、本体部の内径より小径に形成されてなり、
前記扱き部材は、外周面に、容器本体の開口部の内径より大きく、本体部の内径より小さい第1の係止部と、該第1の係止部よりも容器本体の開口部側に位置し、扱き部材に引抜力が作用したときに、第1の係止部の外径を増大させるように作用する第2の係止部を形成してなることを特徴とする。
【0009】
また、上記第2の目的を達成するため、本発明の塗布具付き容器は、液体を収容する容器本体と、該容器本体の開口部に装着される扱き部材と、キャップと、該キャップに装着され、扱き部材を介して容器本体内に挿入される塗布具を先端に形成した軸部とを備えた塗布具付き容器において、
前記軸部に、扱き部材の上面部に同心の2つ以上の円状に当接する押圧接部を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗布具付き容器によれば、扱き部材が、外周面に、容器本体の開口部の内径より大きく、本体部の内径より小さい第1の係止部と、該第1の係止部よりも容器本体の開口部側に位置し、扱き部材に引抜力が作用したときに、第1の係止部の外径を増大させるように作用する第2の係止部を形成してなるようにすることにより、扱き部材を容器本体の開口部に装着する際に支障を生じることなく、扱き部材に大きな引抜力が作用した場合の扱き部材の抜け出しを防止することができる。
【0011】
また、軸部に、扱き部材の上面部に同心の2つ以上の円状に当接する押圧接部を設けてなるようにすることにより、扱き部材の浮き上がりを防止するとともに、液体の漏出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の塗布具付き容器の第1実施例を示す要部の断面図である。
図2】同塗布具付き容器を示し、(a)は、容器本体に扱き部材を挿入するときの状態を示す要部の断面図、(b)は、容器本体内から塗布具を抜き出すときの状態を示す要部の断面図である。
図3】本発明の塗布具付き容器を示し、(a)は、塗布具付き容器の第2実施例を示す要部の断面図、(b)は、塗布具付き容器の第3実施例を示す要部の断面図である。
図4】従来の塗布具付き容器を示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の塗布具付き容器の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図2に、本発明の塗布具付き容器の第1実施例を示す。
この塗布具付き容器は、図4に記載した従来の塗布具付き容器と同様、液体を収容する容器本体1と、この容器本体1の開口部11に装着される扱き部材2と、キャップ3と、このキャップ3に装着され、扱き部材2を介して容器本体1内に挿入される塗布具(図示省略)を先端に形成した軸部4とを備えるようにしている。
そして、この塗布具付き容器は、容器本体1の開口部11の内径が、本体部12の内径より小径に形成されるとともに、扱き部材2は、外周面に、容器本体1の開口部11の内径より大きく、本体部12の内径より小さい第1の係止部21と、この第1の係止部21よりも容器本体1の開口部11側に位置し、扱き部材2に引抜力が作用したときに、第1
の係止部21の外径を増大させるように作用する第2の係止部22を形成するようにしている。
【0015】
具体的には、第2の係止部22は、図2(a)に示すように、容器本体1に扱き部材2を挿入するときには、第1の係止部21に被らず、第1の係止部21の外径を増大させることがないように、そして、図2(b)に示すように、容器本体1内から塗布具を先端に形成した軸部4を抜き出すときに、第1の係止部21に被ることによって第1の係止部21の外径を増大させるように作用するようにするため、可撓性を有する薄肉形状の環状片又は非連続の突状片で構成されている。
【0016】
これにより、扱き部材2を容器本体1の開口部11に装着する際に支障を生じることなく、また、扱き部材2に大きな引抜力が作用した場合の扱き部材2の抜け出しを防止することができる。
【0017】
ところで、本実施例において(図4に記載した従来の塗布具付き容器も同様。)、軸部4に、扱き部材2の上縁部23の上面部に面状に当接する押圧接部40を設けるようにしている。
【0018】
一方、押圧接部40に、図3に示す本発明の塗布具付き容器の第2~第3実施例に示すように、軸部4に、扱き部材2の上縁部23の上面部に同心の2つ(又は2つ以上)の円状に当接する押圧接部(部分)41、42を設けることができる。
【0019】
これにより、扱き部材2の浮き上がりを防止するとともに、扱き部材2の上縁部23の上面部に面状に当接する押圧接部40と比較して、液体の移動を2つ(又は2つ以上)の円状に当接する押圧接部(部分)41、42間で遮断することで、液体の漏出を確実に防止することができる。
【0020】
ここで、図3(a)に示す第2実施例の塗布具付き容器は、押圧接部40の下面を内周側が低くなる傾斜面に形成することによって、扱き部材2の上縁部23の上面部との押圧接部(部分)42を構成するようにしている。
【0021】
また、図3(b)に示す第3実施例の塗布具付き容器は、扱き部材2の上縁部23の上面部を内周側が低くなる傾斜面に形成するとともに、押圧接部40の押圧接部(部分)41の内周側に、環状の垂下片を形成することによって、扱き部材2の上縁部23の上面部との押圧接部(部分)42を構成するようにしている。
【0022】
このように、押圧接部40の下面を内周側が低くなる傾斜面に形成したり、扱き部材2の上縁部23の上面部を内周側が低くなる傾斜面に形成したりすることにより、押圧接部(部分)41、42を形成することによって扱き部材2の上縁部23の上面部と押圧接部40の接触面積が少なくなることと相俟って、液体を溜まりにくくすることができる。
これにより、液体が固着化しにくくなり、容器本体1内から塗布具を抜き出す際に、扱き部材2に大きな引抜力が作用することを未然に防止することができる。
さらに、第1の係止部21(図4に記載した従来の塗布具付き容器の係止部20も同様。)の外径を小さくすることができ、扱き部材2を容器本体1の開口部11に装着する際の操作性を向上することができる。
【0023】
以上、本発明の塗布具付き容器について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の塗布具付き容器は、扱き部材を容器本体の開口部に装着する際に支障を生じることなく、扱き部材に大きな引抜力が作用した場合の扱き部材の抜け出しを防止することができ、さらに、扱き部材の浮き上がりを防止するとともに、液体の漏出を防止することができるという特性を有していることから、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、リップグロス等の液状化粧料を塗布する塗布具を先端に形成した軸部を備えた塗布具付き容器の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 容器本体
11 開口部
12 本体部
2 扱き部材
20 係止部
21 第1の係止部
22 第2の係止部
23 上縁部
3 キャップ
4 軸部
40 押圧接部
41 押圧接部(部分)
42 押圧接部(部分)
図1
図2
図3
図4