(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】乾燥装置セット及び乾燥方法
(51)【国際特許分類】
D06F 58/00 20200101AFI20240909BHJP
【FI】
D06F58/00 B
D06F58/00 C
D06F58/00 D
(21)【出願番号】P 2022061118
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2020108100の分割
【原出願日】2020-06-23
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2020065377
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【氏名又は名称】原田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】筒泉 佳菜子
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀規
(72)【発明者】
【氏名】奥村 明彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 直樹
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭48-005883(JP,Y1)
【文献】特開平08-327225(JP,A)
【文献】特開昭55-026954(JP,A)
【文献】特開昭53-137463(JP,A)
【文献】登録実用新案第3176990(JP,U)
【文献】特開2019-190752(JP,A)
【文献】実開昭54-095968(JP,U)
【文献】特開平08-066597(JP,A)
【文献】実開平02-130590(JP,U)
【文献】実開昭54-156287(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風を吐出するための2つ以上の吐出部を備える乾燥装置と、
被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋と
を備え、
前記乾燥袋は、2つ以上の吐出部がそれぞれ挿入又は接続される温風供給口を同一側面に有し、
前記乾燥袋には、
被乾燥物の長手方向を3分割した3つ折り状態で被乾燥物が収容され、
3つ折り状態の被乾燥物の上側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第1吐出部が前記温風供給口を介して挿入され、
3つ折り状態の被乾燥物の下側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第2吐出部が前記温風供給口を介して挿入され、
前記乾燥袋は、上面部と、下面部と、前記上面部と前記下面部の短辺同士を連結する1対の短側面部と、前記上面部と前記下面部の長辺同士を連結する1対の長側面部とを有し、
前記1対の短側面部は、互いに対向する第1側面部及び第2側面部を有し、
前記長側面部は、前記第1側面部及び前記第2側面部に隣接する第3側面部を有し、
前記乾燥袋は、前記下面部に対して前記上面部が開閉可能となるように、前記第1~3側面部に亘ってC字状の開口部を有し、
前記乾燥袋は、前記下面部及び前記上面部が設置面と対向するよう開状態とな
り、
前記1対の短側面部は前記被乾燥物の前記長手方向に沿っているとともに、前記長側面部は前記被乾燥物の幅方向に沿っており、
前記乾燥袋は、前記温風供給口が前記第1側面部又は前記第2側面部の少なくとも一方に設けられる、
乾燥装置セット。
【請求項2】
前記吐出部は、吐出口を有する吐出部本体と、前記吐出部本体の通風方向に対して交差する延伸方向に延伸する延伸部とを有する、
請求項
1に記載の乾燥装置セット。
【請求項3】
前記乾燥袋は、袋内の体積と乾燥対象物の体積の差を調整する調節部を有する、
請求項1
又は2に記載の乾燥装置セット。
【請求項4】
前記乾燥袋は伸縮性のある素材で構成されている、
請求項1~
3のいずれかに記載の乾燥装置セット。
【請求項5】
前記乾燥袋は、前記温風供給口を開閉可能とする開閉具を備えている、
請求項1~
4のいずれかに記載の乾燥装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置Xと被乾燥物を収容する乾燥袋とを使って、被乾燥物を乾燥するような乾燥装置セット等に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥装置セットの乾燥袋として、例えば、特許文献1のように、「連結面の縁に面ファスナーを配し通気性のある同じ構造のふとん乾燥機用袋を前記面ファスナーで上下二段に連結でき、密着させて重ねる構成であって、上下二段のふとん乾燥機用袋の片側の側面には、ふとん乾燥機本体から温風を送り込む温風接続口をそれぞれ備えてあり、前記ふとん乾燥機用袋の正面には、ふとんを出し入れするファスナーを設けてあるダニ死滅ふとん乾燥機用袋」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の乾燥袋では、1つの袋に対して1つの温度接続口で温風を供給しているため、袋内に温風が十分に行き届かないという問題がある。
本発明は、乾燥袋内で温風が行き届く範囲を向上させることができる乾燥装置セット及び乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る乾燥装置セットは、温風を吐出するための2つ以上の吐出部を備える乾燥装置と、被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋とを備え、前記乾燥袋は、2つ以上の吐出部がそれぞれ挿入又は接続される温風供給口を同一側面に有する。
本発明に係る乾燥方法は、温風を吐出するため吐出部を2つ以上備える乾燥装置を用いて、乾燥袋に温風を吐出するための乾燥方法であって、前記乾燥袋に被乾燥物を収容する第1ステップと、3つ折り状態の被乾燥物の上側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第1吐出部を挿入すると共に、3つ折り状態の被乾燥物の下側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第2吐出部を挿入する第2ステップとを含む。
【発明の効果】
【0006】
上記構成及び方法によれば、乾燥袋内で温風が行き届く範囲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る乾燥装置の斜視図であり、(a)は裏側上方から見た斜視図であり、(b)は表側上方から見た斜視図である。
【
図2】(a)は乾燥装置の正面図であり、(b)は
図2の(a)のB-B断面を矢印の方向から見た断面図である。
【
図3】(a)は乾燥装置を右側から見た側面図であり、(b)は
図3の(a)のA-A断面を矢印の方向から見た断面図である。
【
図4】(a)は乾燥装置を上方から見た平面図であり、(b)は横断面図である。
【
図5】ノズル体の分解状態の斜視図であり、(a)は裏側から見た図であり、(b)は表側から見た図である。
【
図6】ノズル体の分解状態の断面斜視図であり、(a)は裏側から見た図であり、(b)は表側から見た図である。
【
図7】開状態のノズル体の図であり、(a)は第2フラップが開閉する方向から見た図であり、(b)は吐出口側から見た図であり、(c)は第1フラップの開閉する方向から見た斜視図である。
【
図8】結束バンドを説明する図であり、(a)は斜視図であり、(b)は装着前を示す図であり、(c)は装着状態を示す図である。
【
図9】乾燥装置の分解状態を表側上方から見た斜視図である。
【
図10】乾燥装置の分解状態を裏側上方から見た斜視図である。
【
図11】送風部、加熱部及び分岐ダクトの組立状態を示し、(a)は右側から見た断面斜視図であり、(b)は左側から見た断面斜視図であり、(c)は断面状態を左側から見た図である。
【
図12】カバー体側の分解斜視図であり、(a)は裏側下方から見た図であり、(b)は表側上方から見た図である。
【
図13】(a)はカバー体の分解状態を裏側上方から見た斜視図であり、(b)は温度表示ディスプレイの断面を表側上方から見た斜視図であり、(c)は温度表示ディスプレイの断面図である。
【
図14】電源コードの取り付けを示す図であり、(a)は装置本体の電源コード基部の拡大斜視図であり、(b)及び(c)は(a)から筐体を取り外した状態の斜視図であり、(d)は取り付け部の断面斜視図である。
【
図18】乾燥袋の使用状態を説明するための概略図である。
【
図19】乾燥袋上で布団を広げた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
特開2016-047115号公報には、ノズルを掛布団と敷布団の間に挿入して、布団を乾燥させる布団乾燥装置が開示されている。当該乾燥装置では、ノズル形状が扁平なため、温風が布団全体に行き渡らない欠点がある。以下の乾燥装置は、温風を布団全体に行き渡らせることのできる乾燥装置を提供することを目的とする。
(1-1)乾燥装置は、吸い込んだ空気を加熱して吐出する装置本体と、前記装置本体に接続されると共に、加熱した空気を送風するための吐出口を吐出部本体に有する吐出部とを備え、前記吐出部は、前記吐出部本体の通風方向に対して交差する延伸方向に延伸する延伸部と、前記延伸方向に延びた延伸状態を維持するよう前記延伸部を保持する保持部とを有する。これにより、延伸部の延伸状態に保持することができるので、使い勝手がよい。さらに、延伸部より被乾燥物内に空間を形成でき、加熱された空気(温風)を被乾燥物に行き渡らせることができる。
【0009】
(1-2)上記(1-1)の乾燥装置において、前記延伸部は、前記吐出部本体から延伸する第1延伸部と、前記第1延伸部と接触し、該第1延伸部とは異なる方向に延伸する第2延伸部とを含み、前記保持部は、第2延伸部が前記第1延伸部に接触する部分である。これにより、第1延伸部の延伸状態を保持できるので、使い勝手がよい。また、吐出部を設置した際に、吐出部が転倒したり、ガタついたりするのを防止することができる。
(1-3)上記(1-2)の乾燥装置において、前記第2延伸部は、設置面に沿って回動可能に前記吐出部本体に軸支され、設置面側に突出部を有する。これにより、第2延伸部を回動させると、第1延伸部を保持することができるので、保持の操作が簡易である。
【0010】
(1-4)上記(1-1)~(1-3)いずれかの乾燥装置において、前記吐出部本体は、設置面に設置される側に嵩上部を有している。これにより、設置面に食い込む又は設置面との滑り防止となるので、例えばガタ付きを防止するなど、吐出部を設置面に載置した状態が安定する。ここで設置面とは、床面、被乾燥物を含むものであり、被乾燥物としては、例えば、敷布団、掛布団、毛布、衣服などである。
(1-5)上記(1-1)~(1-4)いずれかの乾燥装置において、吐出部本体を2つ有すると共に、該2つの吐出部本体とそれぞれ接続される2つのホースを有し、前記装置本体の送風部及び加熱部は、前記装置本体内において前記2本のホースが並ぶ方向の一方側に寄って収容され、前記加熱部と前記2本のホースとの間には、前記加熱空気の流れを分岐させる分岐ダクトが設けられており、前記分岐ダクトは、前記加熱空気を前記一方側に導く一方の通路と、前記装置本体の他方側に導く他方の通路とを有しており、前記他方の通路の入口の開口面積は前記一方の通路の入口の開口面積よりも大きい。これにより、2本のホース部から加熱された空気(温風)を吐出することができ、より広範囲に温風を行き渡らせることができる。また、2つの被乾燥物に温風を送風することができる。また、2本の吐出口から吐出される加熱された空気(温風)の風量及び温度をほぼ同じにすることができる。
【0011】
上記(1-1)~(1-5)いずれかの乾燥装置において、前記装置本体は、電源コードを保持させる結束バンドをさらに備え、前記結束バンドは、噛合部と、前記噛合部に通される帯状であると共に前記噛合部に噛み合わされる歯部が複数形成されたベルト部と、前記噛合部に設けられると共に前記装置本体に係止するための係止部と有し、前記装置本体は、前記係止部を係止させる係止受部を有する。これにより、電源コードをまとめた上で、装置本体に係止させることができる。
【0012】
<実施形態>
1.概要
乾燥装置Xは、
図1に示すように、例えば、主として、空気を2流路に分岐して吐出する装置本体1と、分岐された空気を送風する2本のホース体3、3とからなる。さらに電源コード171を束ねて装置本体1に固定する結束バンド4を備えている。なお、電源コード171を束ねた状態の図示は省略している。なお、ホース体は、本発明の「吐出部」の一例に相当する。
乾燥装置Xとしては、装置本体1及び1本のホース体3に加え、2本目のホース体3及び結束バンド4の1つ以上を備えればよく、ここでは、全部を備えた乾燥装置Xについて説明する。
【0013】
図2の(b)や
図3に示すように、装置本体1は、吸気口11aから吸い込んだ空気を加熱して温風を吐出する。ホース体3は、一端部31aが装置本体1に接続され屈曲自在及び伸縮自在なホース31と、ホース31の他端部に接続されたノズル体32とを有し、「U」字状に屈曲する状態で装置本体1に装着され、使用時に例えば直線状に引き伸ばされる。
【0014】
乾燥装置Xは、例えば、引き伸ばされた2本のホース体3、3のノズル体32、32を2つの被乾燥物P又は1つの被乾燥物Pの異なる2つの部分の中に挿入した状態で、温風を吐出することで被乾燥物Pを乾燥させる。被乾燥物Pとしては、例えば、布団、毛布又は衣服等である。
ここで、
図1に示すように、装置本体1から温風を吐出する方向を上方向とする。また、装置本体1に並行に装着されているホース体3、3が対向(隣接)する方向を左右方向又は幅方向とする。さらに上方向と幅方向とに直交する方向を前後方向又は表裏方向とする。
【0015】
乾燥装置Xを使用しない状態、換言すると、2本のホース体3、3が装置本体1に装着された状態の乾燥装置Xの置き方について特に限定するものではないが、便宜上、
図1に示すように、ホース体3が上側にあり、操作部15が表側又は前側にある状態を想定して説明する。
【0016】
2.分岐ダクト
まず初めに、本実施形態における主要な構成である分岐ダクト20及びホース体3について説明し、その後に、装置本体1について詳述する。
【0017】
分岐ダクト20は、吐出される空気を2本のホース体3、3に分離して供給する機能を有する。
例えば、本実施形態においては、分岐ダクト20は、
図3(b)や
図11(c)に示すように、ヒータケース132の吐出口132aに取り付けられる取付部21と、その取付部21から連続すると共に加熱された空気を分離する管状部22と、その管状部22の先端に設けられると共に接続環14の取り付け座となる接続受部23とを備える。
管状部22の内部には隔壁24が設けられている。隔壁24により、管状部22には2つの通路が形成される。1つは、ヒータケース132から吐出される温風を、その吐出している方向(上方向)で、ほぼ真っ直ぐに上方に導く第1通路25であり、もう1つは、装置本体1の左右方向の右方かつ上方に斜めに導く第2通路26である。これにより、吐出口132aは装置本体1の左方に配置されているにもかかわらず、ホース体3、3を装置本体1の幅方向の中心に対し左右にバランスよく併設することができる。なお、第1通路25及び第2通路26の引き出し線は、管状部22や隔壁24と区別するために、矢印としている。
【0018】
本実施形態では、第1通路25及び第2通路26の入口の開口断面の形状は矩形状であり、出口側は円形状である。
第1通路25及び第2通路26の入口における開口面積の比は、本実施形態では、例えば、ほぼ1:2の比である。一方で、第1通路25及び第2通路26の出口の開口面積はそれぞれ同じにされている。さらに第1通路25及び第2通路26の上下方向の高さはそれぞれ同じにされている。また、第2通路は斜めに延びているため、第2通路26の方が第1通路25よりも長い。
【0019】
第1通路25は、ヒータケース132から吐出される温風の吐出方向にほぼ沿うように延びているので、第1通路25を流れる空気の圧力損失は小さい傾向にある。反対に、第2通路26は斜めに延びているため、第1通路25に比べて、圧力損失が大きくなる傾向にある。このため、本実施形態では第1通路25の入口の開口面積を第2通路26のほぼ半分にしている。これにより、第1通路25及び第2通路26の出口における温風の風量を同じにすることができる。また第1通路25及び第2通路26の出口における温風の温度もほぼ同じにすることができる。
【0020】
3.ホース体
ホース体3は、
図2及び
図3に示すように、可撓性及び伸縮性を有するホース31と、ホース31の他端部に装着されたノズル体32とを有する。なお、2本のホース体3の構成は同じである。
【0021】
(1)ホース
ホース31の一端部31aには、
図9及び
図10に示すように、フィルタ付きの接続環14が固定され、ホース31の他端部31b(
図6参照)にはノズル体32の接続管37に接続される。
【0022】
(2)ノズル体
ノズル体32は、全体として、筒状であると共にその断面形状が略楕円形である。そして楕円の半径の大きい(長径)側が設置面に載置される。なお、この設置された状態で、以下、ノズル体32を説明することもある。
ノズル体32は、少なくとも、ノズル本体33と、設置面と反対方向(以下、「上方向」ともいう)側へと開閉可能にノズル本体33に設けられた第1フラップ34と、ノズル体32の軸方向と設置面と反対方向とに直交する方向(以下、「左右方向」ともいう)へと開閉可能にノズル本体33に設けられた第2フラップ36とを備えている。上方向に開くことを「立ち上げる」等ともいい、開状態を例えば「立ち上げ状態」ともいう。
第1フラップは、本発明の「延伸部」及び「第1延伸部」の一例に相当し、第2フラップは、<概要>に記載の「第2延伸部」の一例に相当する。開状態又は立ち上げ状態は、<概要>に記載の「延伸状態」の一例に相当する。また、ノズル本体は、本発明の「吐出部本体」の一例に相当し、ノズル体32の軸方向は、<概要>に記載の通風方向と一致する。
さらに、ノズル体32は、第1フラップ34を立ち上げる程度(立ち上げ角度)が調節可能であると共に立ち上げ状態を保持する保持部35を備えている。
ここでのノズル体32は、上記のノズル本体33、第1フラップ34及び第2フラップ36以外に、接続管37とノズル口38とを備え、ノズル口38に芳香剤収容体39が取り付けられている。
【0023】
(2-1)ノズル本体
ノズル本体33は、筒状であると共にその断面形状が略楕円形である。ノズル本体33は、ホース31側である基部には接続管37が接続され、先端にノズル口38が接続されている。
ノズル本体33は、軸方向に1列状に沿った複数個の貫通孔を左右の側壁に有している。なお、これらの貫通孔は、ノズル体32の副吐出口32cを構成し、左右方向へも温風を吐出する。貫通孔は、基部側が大きく、先端側が小さく構成されている。これにより左右方向へ温風を均一に拡散することができる。
ノズル本体33は、第1フラップ34や第2フラップ36が閉状態のときに、全体の外観形状として、面一状に構成するための凹入部33d,33fを周壁に有している。これにより、ノズル体32の意匠性を高めることができる。なお、ノズル体32はホース31に対して回動可能に設けられても良いし、回動不可能に設けられてもよい。
【0024】
(2-2)第1フラップ
第1フラップ34は、ノズル本体33の軸方向に対して交差(直交する場合も含む)する方向(第1延伸方向)に延伸するようにノズル本体33に設けられている。
第1フラップ34は、
図7に示すように、立ち上げ状態において、布団等の被乾燥物Pにより覆われた際に、被乾燥物Pを持ち上げて、乾燥装置Xから吐出される空気の到達空間を拡張する機能を有する。
第1フラップ34は、例えば、ノズル体32とほぼ同じ断面形状(楕円形状)の筒状部材を楕円の長軸を含む面で半分に切断した、いわば幅広の「U」字状の断面形状を呈している。
第1フラップ34は、ノズル体32のホース31側を回動の中心とし、先端側(吐出口32b側)を自由端とし、回動する。符号34aは回動軸を示している。ノズル体32は、第1フラップ34が設けられている側が上を向くようにして、設置面に載置される。回動軸34aは設置面に平行な方向(左右方向)に延びている。
【0025】
第1フラップ34は、立ち上げていない状態では、閉状態の第2フラップ36(以下に詳述する。)の上に重ねられている。第1フラップ34の左右の周壁には、その回動軸34a側であると共にその下端に切り欠き部34bが形成されている。切り欠き部34bには第2フラップ36が係合する。これにより第1フラップ34の立ち上げ状態が保持される。なお、前記設置面は被乾燥物Pを含む。
【0026】
(2-3)第2フラップ
第2フラップ36は、第1フラップ34と接触すると共に第1フラップ34とは異なる方向(第2延伸方向)に延伸する。
第2フラップ36は、第1フラップ34の立ち上げ方向と異なる方向で、左右の外向きに開くように延ばされる。
具体的な第2フラップ36の構成として、例えば、第2フラップ36は、ノズル体32の楕円の断面形状の半径の大きな外周面から半径の小さな外周面をまたぐ付近を覆うような断面が略1/4の円弧状の板状部材である。
第2フラップ36は、ノズル体32のホース31側を回動中心とし、先端側(吐出口側)を自由端としている。符号36aは回動軸である。これにより、ノズル体32の副吐出口32cが露出し、側方へも温風を送ることができる。
一方、第2フラップ36は、外向きに回動していない状態では、ノズル体32の外周壁に重ねられ、特に、ノズル本体33の凹入部33fに埋まるように、畳まれる。これにより、両者のつなぎ目が滑らかになり、意匠性を高めることができる。
なお、後述するが、保持部35の機能を第2フラップ36が兼ねている。
【0027】
(2-4)ノズル口
ノズル口38は、ノズル本体33の先端に接続され、ノズル体32から温風を吐出する主吐出口32bを構成する(
図7の(c)参照)。ノズル口38は、ノズル本体33を内部へと延出する芳香剤収容体39を固定する。
【0028】
(2-5)接続管
接続管37は、筒状であると共に、その断面形状はノズル本体33の略楕円形と同じような形状である。接続管37は、ノズル本体33のホース31側であって設置面側に嵩上部37aを有している。
嵩上部37aは、設置面側に延伸した後に先端側に延伸する「L」字状をしている。嵩上部37aは、装置本体1の筐体11の支持部111dに係合する(
図10参照)。これにより、ホース体3を装置本体1に着脱可能に装着できる。
第2フラップ36が閉じている状態では、突出部36bはノズル体32の先端側にある。これらの嵩上部37a及び突出部36bは、設置面からノズル体32までの高さがほぼ同じである。このため、第2フラップ36を閉じた状態又は少し開いた状態において、主吐出口32bを設置面に対して平行に向けることができ、遠くまで温風を行き渡らせることができる。またノズル体32の滑り/ガタ付きを防止できる。
【0029】
(2-6)突出部
第2フラップ36の設置面に接地される部位には、突条の突出部36bが設けられている。突出部36bの延びている方向は、第2フラップ36が外向きに開いた状態ではノズル本体33の軸方向に平行な方向であり、第2フラップ36が閉じた状態ではノズル本体33の軸方向に直交する方向である。突出部36bはリブ状をしているため、突出部36bが設置面に食い込んで滑り防止になる。これにより、設置面が布団のような柔らかいものであっても、ノズル体32を設置面に安定した状態で載置(配置)できる。
【0030】
(2-7)転倒防止
第2フラップ36を開いておくと、ノズル体32が傾く際に、第2フラップ36の先端付近が設置面に突っ張って、その傾く動きに耐えることができる。特に、第1フラップ34が高く上方に開かれると、ノズル体32の重心が上方に移り、被さっている被乾燥物Pにより引っ張られて、載置状態が不安定になる。このため、第2フラップ36を外向きに開いておくと、傾く動きに耐えやすい。なお、ノズル体32の軸方向周りの回動を防止するためには、第2フラップ36をなるべく左右に大きく開くのがよい。
【0031】
(2-8)保持部
第2フラップ36の第1フラップ34側であって第2フラップ36の回動軸36a側には、切り欠き部36cが形成されている。この切り欠き部36cに、第1フラップ34の切り欠き部32aが係合する。これにより、立ち上げ状態(開状態)にある第1フラップ34が下がらない(閉じない)よう保持される。一方で、第2フラップ36は第1フラップ34との係合により、側方へ開いた状態が保持される。すなわち、お互いに係合することで、開状態が相互に保持されている。
第1フラップ34を所望の程度に立ち上げ、次いで、第2フラップ36を開くことにより、お互いの切り欠き部32a、36cを係合させることにより、第1フラップ34の立ち上げ状態をロックするように保持することができる。
【0032】
(2-9)リブ
第1フラップ34には被乾燥物Pが被さっているため、第2フラップ36にも荷重が加わる。このため、第2フラップ36の第1フラップ34側の周壁には補強用のリブ36dが設けられている。リブ36dは回動軸36aから先端部側に向けて突条に延伸する。
【0033】
4.結束バンド
結束バンド4は、折り畳んだ電源コード171(
図1参照)を保持すると共に、装置本体1に着脱可能に取り付けられる。
結束バンド4は、装置本体1の本体111の背面で、その右方付近に係止される。具体的には、
図8に示すように、結束バンド4は、噛合部41と、噛合部41に通される帯状であると共に噛合部41に噛み合わされる歯部42aが複数形成されたベルト部42と、噛合部41に設けられると共に本体111の背面に係止するための係止部43とからなる。一方で、装置本体1に、係止部43を係止させる結束バンド係止部(係止受部)44が設けられている。なお、噛合部41は、ベルト部42用の第1噛合孔41aと、第1噛合孔41aに挿入されたベルト部42の歯部42aとの噛み合せとその解除を行う操作部41bとを一体で有する。
【0034】
係止部43は、ベルト部42の延伸方向と歯部42aの延伸方向とに直交する方向から(ここでは上方から)見たときに、その先端に断面が「T」字状の部位が設けられている。その「T」字状の部位は、中心となる基部43aと、その基部43aの先端から左右に延びている腕部43bとからなる。
一方で、係止受部44は、本体111の背面に設けられている。背面には表側に窪ませた凹部44aが形成されている。その凹部44aの下方の部位は切り取られており(開口部44b)、筐体11の内部に通じている。本体111の背面には、開口部44bに連通するように、下方に延びるスリット44cが形成されている。
結束バンド4は、T字状の係止部43を、開口部44bに挿入した後、下方に動かしてスリット44cに基部43aを嵌合させて、本体111に固定される。
【0035】
5.装置本体
装置本体1は、
図9及び
図10に示すように、少なくとも、吸気口11aと吐出口11bとを有する筐体11と、吸気口11aから吸い込んだ空気を送風する送風部12と、送風部12から送風される空気を加熱する加熱部13とを備える。
装置本体1は、送風部12、加熱部13以外に、例えば、ホース体3の一端部の接続環14と接続するための接続カバー27、乾燥装置Xを操作するための操作部15、送風部12や加熱部13を制御する制御部、送風部12等に電力を供給する電源部のうち、1以上を備えてもよく、ここでは、全部を備えた装置本体1について説明する。
なお、制御部と電源部とは一体に構成され、ここでは回路部17として説明する。
【0036】
(1)送風部
送風部12は、
図11の(a)及び(c)に示すように、送風ファン127と駆動モータ125とを備える。ここでは、送風ファン127はシロッコファンにより構成され、駆動モータ125はブラシレスモータにより構成されている。
送風部12はファンケース121内にシロッコファンを備えるブロアタイプの送風ユニットである。
ファンケース121は、
図11の(c)に示すようにスクロール形状をし、シロッコファンの回転軸A1と直交する一方の端壁(左端壁)123aに吸気口123bを、加熱部13側に排気口121aを有している。
【0037】
ファンケース121は、送風ファン127が内装されたケース本体123と、ケース本体123の開口を塞ぐファンプレート124とから構成される。
ケース本体123の端壁123aは、筐体11の吸気口11a(の少なくとも1つ)と対向し(
図9参照)、円形状の吸気口123bを有する。
ファンプレート124は、その中央付近に駆動モータ125の出力軸を通す軸孔を有する。その軸孔の周囲の部位は、段差124bを介して、一方側(左方)に窪んだ凹部124aとなっている。その凹部124aは、ファンケース121の内部に全部又は一部が入り込んでいる。その凹部124aの内部には、右方から駆動モータ125の出力軸を含む中央付近の段部が配置される。このため、省スペース化を実現することができる。例えば、左右方向(駆動モータ125の出力軸が延伸する方向)の寸法を小さくすることができる。
【0038】
モータカバー126は駆動モータ125を覆う状態で、ファンプレート124に取り付けられる。モータカバー126は、左右方向であって送風ファン127と反対側に底を有する有底筒状を呈し、開口端から左右方向の外向きに鍔部126aが延びている。鍔部126aはファンプレート124に固定される。
鍔部126aの一部は、
図9に示すように、径方向の外向きに延長されている。その延長された部位には孔126bが形成されている。孔126bはハーネスなどを束ねるハーネスクランパを取り付けるために用いられる。これにより、短絡や配線同士の絡まりを防止できる。
【0039】
ファンケース121の排気口121aは、
図11の(c)に示すように、駆動モータ125の回転軸A1を通り且つ上下方向に延伸する仮想線A2よりも後側にある。換言すると、
図2の(b)に示すように、送風部12の回転軸A1は装置本体1の表裏方向の略中央に位置し、空気が吐出される部位(排気口121a)が表裏方向の中央(又は略中央)から裏側に位置する。これにより、排気口121aの上方及び下方であって前側部分の空間をそれぞれ大きくできる。
【0040】
(2)加熱部
加熱部13は、
図11に示すように、送風部12の排気口121aに対して上側に配されている。加熱部13は、送風部12の排気口121aに連通する状態で送風部12のファンケース121に接続するヒータケース132と、ヒータケース132内に配されたヒータ131とを有している。
加熱空気はヒータケース132の吐出口132a(
図11の(c)参照)から吐出される。なお、ヒータケース132には、
図11の(b)及び(c)に示すように、ヒータ131により加熱された空気の温度を測定する温度センサ133が設けられている。
【0041】
(3)ホース接続部
ホース接続部2は、
図3の(b)に示すように、ホース体3の一端部31aが載置される分岐ダクト20と、分岐ダクト20とホース体3の一端部31aとを覆う接続カバー27とを備える。
ホース体3の一端部31aの接続環14は、分岐ダクト20の接続受部23により外嵌される。
接続カバー27は、
図9及び
図10に示すように、ホース体3用の貫通孔270を上壁部に2つ有し且つ下方が開放する箱状部271と、箱状部271の下端から外側に張り出す外鍔部273とを有する。
箱状部271の貫通孔270は、
図3の(b)に示すように、ホース体3の接続環14よりも小さく、箱状部271内に配される接続環14は接続カバー27の内部から抜けることはない。接続カバー27は、装置本体1の本体111の内部から、上壁部の吐出口11bを介して外部へと延出する。吐出口11bは、
図2の(b)及び
図3の(b)に示すように、接続カバー27の外鍔部273よりも小さく、本体111内に配される接続カバー27は、本体111の内部から抜けることはない。
なお、接続環14は、
図11に示すように、送風部12側に異物の侵入を防止するフィルタ143を有する。
【0042】
(4)操作部及び表示部
操作部15は、
図12に示すように、例えば、電源のオン、オフ、温風の温度の選択、温風の吐出時間の選択、タイマの設定、自動モードの選択等を行うための操作パネル151と、操作基板153とを備えている。ここでは、押圧式のボタンが利用され、操作基板153には、上記ボタンの他、タイマの残り時間等を表示する表示部分155が設けられている。
操作部15は、筐体11のカバー体112に設けられている。
【0043】
筐体11におけるファンケース121の上方には、
図2に示すように、温度表示ディスプレイ154が設けられている。温度表示ディスプレイ154は、LED素子157aにより表側に光を発し、温度状況を使用者に伝える機能を有する。
温度表示ディスプレイ154は、
図13の(b)及び(c)に示すように、LED基板157と、LED基板157の前方を覆うように設けられる拡散板156と、LED素子157a及び拡散板156を内部に収納する筒状の反射体158とからなる。
反射体158はLED基板157に固定されている。本実施形態では、例えば、反射体158とLED素子157aの先端までの距離を、左右方向に隣接する2つのLED素子157a、157aの距離(ピッチ)の2倍以上にしている(
図4の(b)参照)。これにより、LED素子157aが粒子状に見えるのを防止できる。また、温度表示ディスプレイ154の全体の部品点数を少なくすることができる。
【0044】
(5)回路部
(5-1)制御部、回路基板など
制御部(図示せず)は、使用者の操作部15の操作により設定された温風温度、風量、稼働時間になるように送風部12(駆動モータ)や加熱部13(ヒータ131)を駆動したり、使用者により選択された自動モードにしたがって送風部12と加熱部13とを制御したり、温度センサ133によって駆動を停止したりする。
制御部は、例えば、CPU、作業用のRAM、記憶部、タイマ等により構成され、記憶部に記憶されている各種の設定データに基づき、又は自動モードの際には記憶部に記憶されているコンピュータプログラムに基づき、送風部12や加熱部13の駆動をそれぞれ制御する。
制御部は、
図12に示すように、CPU、RAM、記憶部等を構成する電子部品172を回路基板173に有している。
【0045】
回路基板173は、全体として、
図12に示すように、「L」字状を呈している。また、
図4の(b)に示すように、送風部12の右側に配置されている部位は、送風部12の回転軸A1よりも表側に配されている。これにより、送風部12の回転軸A1よりも表側の空間を有効に利用できる。
ファンケース121の下方に配置されている部位は、
図2の(b)に示すように、コンデンサー、トランスなどの長大部品176が設けられている。それらの長大部品176をファンケース121の下方に格納することで、省スペース化を図ることができる。
【0046】
回路基板173及び前述した操作基板153は、装置本体1の前側に集中して設けられている。このため組付工数を削減できる。また配線の引き回しが容易となり、省スペース化が図れる。さらに基板153、173を前側に集中して配置しているので、多くの部分についてコネクタを使用して結線することができる。
【0047】
(5-2)電源部
電源部は、電源コード171(
図2参照)を介して商用電源から受電して、送風部12、加熱部13、操作部15、制御部等に供給する電力を生成する。電源部は、整流回路、電力変換回路等を有し、これらの回路は複数個の電子部品172により構成される。複数個の電子部品172は回路基板173に実装されている。なお、電源コード171は筐体11から導出された部分のみを示している。
電源部と制御部とは同じ回路基板173を使って構成されている。これにより、部品点数を削減し、筐体11への組み込み工数を少なくできる。
【0048】
電源コード171には、
図14に示すように、ブッシュ174が設けられている。ブッシュ174は電源コード押え175に保持されている。電源コード押え175は本体111に形成されたコード押え保持部111cに固定される。これにより、電源コード171を装置本体1の筐体11に固定することができる。また筐体11側に固定したので、接続用の端子台を設けない分だけ、装置本体1内の内部空間の省スペース化を図ることができる。さらに端子台を設けないので、その分の部材を削減できる。また、さらに組立工数を削減できる。
【0049】
(6)筐体
筐体11は、
図1に示すように、例えば、上下方向の長い直方体状である。ここでの筐体11は、上下方向から見ると、例えば方形状に近い形状をしている。
筐体11は、上端側から上方に延伸して、「U」字状に架設する架設部11cを有している。架設部11cは、例えば、使用者が持ち運ぶ際に把持する部分として機能する。架設部11cは表端側に位置している。これにより、装置本体1に接続されているホース体3と干渉することなく、乾燥装置Xを持ち運びできる。
架設部11cは、ホース体3の一端部31aとの間に隙間が存在するように設けられており、当該隙間に例えば乾燥対象である布団等の端部を差し込むことで、装置稼働中に布団が移動するのを規制できる。
【0050】
筐体11は、例えば
図12に示すように本体111とカバー体112との少なくとも2部材により構成されている。本体111とカバー体112とは架設部11cで表裏方向と直交する仮想面で互いに当接するように構成されている。
【0051】
(6-1)本体
本体111は、
図9に示すように、吸気口11aを1以上有する。ここでは、吸気口11aは、左右方向と直交する右・左壁部と、上下方向と直交する下方の下壁部の合計3か所に形成されている。これにより、吸気抵抗を小さくでき、小型の駆動モータ125を利用できる。本体111には、吸気口11a用のフィルタ114が設けられている。
本体111は上壁部に吐出口11bを有する。なお、吐出口11bには上記の通り、接続カバー27等を介してホース体3の一端部31aが接続される。
本体111は、送風部12、加熱部13、回路部17やカバー体112を固定するための固定部を有している。固定部は、例えば、固定にねじを利用する場合、表裏方向に延伸するボスに形成されたねじ孔等により構成される。
【0052】
本体111の背面には支持部111dが設けられている。支持部111dは、
図9及び
図10に示すように、ホース体3のノズル体32を引っ掛ける機能を有する。一方で、ホース体3のノズル体32には、嵩上部37aが設けられている。嵩上部37aは支持部111dに引っ掛けるフックとしての機能を有する。つまり、支持部111dは、嵩上部37aが挿入する凹部111fを有している。
【0053】
(6-2)
カバー体112は、
図12の(a)や
図13の(a)に示すように、操作基板153、回路基板173や温度表示ディスプレイ154、本体111に固定するための固定部112aを有している。固定部112aは、例えば、固定にねじを利用する場合、表裏方向に延伸するボスに形成されたねじ孔等により構成される。
カバー体112は、
図13の(a)に示すように、前カバー体112Aと後カバー体112Bとを有する。前カバー体112Aと後カバー体112Bとの間に樹脂製の透明パネル119が配された状態で、前カバー体112Aと後カバー体112Bが結合される。なお、結合は、一方のカバー体(ここでは前カバー体)112Aの係止片112cが、他方のカバー体(ここでは後カバー体)112Bの係合孔112dに係合することで行われる。これにより、前カバー体112Aと後カバー体112Bとから構成されるカバー体112を、ねじなどの締結具を用いないで、組み立てることができる。また、その分の部材を削減できる。さらに、組立工数を削減できる。
【0054】
6.変形例
実施形態におけるノズル体32の変形例について説明する。
(1)変形例1は、
図15の(a)に示すように、立ち上げた第1フラップ34が戻らないように、つっかえ棒800を用いるものである。例えば、つっかえ棒800の一端801はノズル本体33に回動自在に取り付けられ、つっかえ棒800の他端803は、ノズル本体33の溝部802内で軸方向に移動可能に設けられている。第1フラップ34を所定の角度で立ち上げた後、つっかえ棒800の他端803を溝部802内の凸部に当接させる。
ここでのつっかえ棒800は1本であったが、例えば、2本を折り畳み可能なリンク機構や伸縮可能としてもよい。また、ノズル本体33の溝部802につっかえ棒800を収納可能としてもよい。なお、つっかえ棒に換えて、つっかえ板であってもよい。
この構成について着目すると、第1フラップを一例とする延伸部は、ノズル本体を一例とする吐出部本体に対する姿勢を調節可能に延伸すると共に吐出部本体に回動自在に設けられ、保持部は、一端が吐出部本体に設けられ、他端で延伸状態にある延伸部を支持する発明ともいえる。
【0055】
(2)変形例2は、
図15の(b)に示すように、第1フラップ34の戻り方向の回動を規制するロック機構810を設けたものである。例えば、第1フラップ34を立ち上げると、回動軸34aの軸受け付近の孔812や凹みに、回動軸34aに設けられ且つ孔や凹み側に付勢された爪811が係合することで、第1フラップ34の戻り方向の回動が規制されるようにしてもよい。
この構成に着目すると、第1フラップを一例とする延伸部は、ノズル本体を一例とする吐出部本体に対する姿勢を調節可能に延伸すると共に、回動軸を一例とする回動部により回動自在に吐出部本体に設けられ、ノズル本体は、回動部を支持する軸支持部を有し、保持部は、回動部又は軸支持部のうち、付勢部材により付勢された係合部を一方に有し、係合部が係合する被係合部を他方に有し、延伸部の延伸状態において、係合部は被係合部に係合する発明ともいえる。
【0056】
(3)変形例3は、
図15の(c)に示すように、ボタン式のロック機構820を設けたものである。例えば、第1フラップ34が立ち上がると、第1フラップ34の進退可能な凸部が付勢手段によりノズル本体33の貫通孔や凹みと係合し、ボタン821を操作(例えばスライド)することで凸部の係合が解除されるようにしてもよい。
この構成に着目すると、第1フラップを一例とする延出部は、ノズル本体を一例とする吐出部本体に回動部により回動可能に設けられ、保持部は、吐出部本体に対して回動部の軸方向に沿って進退可能であり、前記吐出部本体から進出することで、延出状態の延出部の姿勢を保持する発明といえる。
【0057】
(4)変形例4は、
図16の(a)に示すように、ノズル本体33における設置面側の面を除く周囲に弾性部材830を設けたものである。例えば、弾性部材830は「U」字状線材から構成され、基部831と、その基部831の両端から設置面と平行であって外向き(ノズル本体33から離れる向き)に腕部832をそれぞれ延ばしている。
使用しないときは、腕部832をノズル本体33の溝に係合させておき、使用する際に腕部832の係合を解除させることで、腕部832は左右の外側に延び、設置面に接する。これにより、ノズル体32の転倒などが防止できる。つまり、弾性部材は転倒防止部を構成する。
【0058】
(5)変形例5は、
図16の(b)に示すように、第1フラップ34を立ち上げるように案内するスライド溝840と、立ち上げ状態を保持する保持溝842とを設けたものである。例えば、ノズル本体33において第1フラップ34と向かい合う壁部にスライド溝840を形成する。スライド溝840は、吐出口32b側からホース31側に向けて軸方向に延びている直線溝840aと、直線溝840aと連続し且つホース31側で湾曲しながら設置面に向かって延びている湾曲溝840bとからなる(この場合、第1フラップ34はホース側で立ち上がる)。
第1フラップ34は例えば門形状を呈している。その門形状の両足のそれぞれの下端部は、摺動子841とされている。その摺動子841をスライド溝840に沿ってホース31側にスライドさせることで、摺動子841をホース側から下方へと移動させ、第1フラップ34を立ち上げることができる。第1フラップ34を立ち上げた際には、湾曲溝840bの下端部分に設けられた保持溝842に第1フラップ34の両足が係合する。なお、立ち上げないときは、摺動子841を吐出口32b側にスライドさせ、門形状の基部はホース31側に寝かせておく。
また、例えば、ノズル本体33に上下方向に延びるスライド溝(上記の保持溝に相当する)を形成し、そのスライド溝に門形状の第1フラップ34の両足を摺動子として配置し、第1フラップ34を上下動させてもよい。
この構成に着目すると、第1フラップを一例とする延伸部は、ノズル本体を一例とする吐出部本体の回動部により回動可能に設けられ、吐出部本体は、回動部を移動可能に案内する溝部を有し、溝部の端部では回動部と係合構造を有し、延伸部の延伸状態において、保持部は、溝部の端部に位置する延伸部と係合する発明といえる。
【0059】
(6)変形例6は、
図16の(c)に示すように、第1フラップ34の周壁部の下部側にシート状の部材850を設けるものである。第1フラップ34が立ち上ると、シート851が展開される。なお、シート851は蛇腹状のものを用いるのがよく、より具体的には、扇子状のものを用いることができる。
【0060】
(7)上記実施形態及び変形例において、第1フラップ34及び第2フラップ36の回動軸をノズル体32の吐出口32b側に配置してもよい。
また、第1フラップ34及び第2フラップ36のうちの一方のフラップの回動軸を吐出口32b側に設け、他方のフラップの回動軸をホース31側に設けてもよい。その場合、不使用時のノズル体32の大きさを考慮すると、各フラップの自由端側はノズル本体33に重なるようにするのがよい。
上記の実施形態及び変形例において、1つのノズル本体33に2つの第2フラップ36、36が設けられている場合、第2フラップ36、36の回動中心を吐出口32b側又はホース31側のどちらに配置してもよい。
2つとも吐出口32b側に設けた場合には、副吐出口32cからの温風を主吐出口32bの送風方向と逆方向にすることができる。
さらに第2フラップ36、36のうちの一方のフラップの回動軸を主吐出口33b側に設け、他方のフラップの回動軸をホース31側に設けてもよい。その場合、自由端側はノズル体32に重なるように配置するのがよい。また、第2フラップの回動軸を軸方向と平行にしてもよい。
【0061】
7.使用形態
乾燥装置Xと被乾燥物を収容する乾燥袋とを使って、被乾燥物を乾燥するような乾燥装置セットとしてもよい。
この場合、乾燥装置セットは、2つ以上の吐出部3を備える乾燥装置と、被乾燥物が収容される乾燥袋とを備え、乾燥袋は、前記2つ以上の吐出部が袋内に挿入又は接続される温風供給口を有することが好ましい。これにより、乾燥袋内で温風が行き届く範囲を向上させることができる。
つまり、乾燥装置セットの乾燥袋として、例えば、特許6307670のように、「連結面の縁に面ファスナーを配し通気性のある同じ構造のふとん乾燥機用袋を前記面ファスナーで上下二段に連結でき、密着させて重ねる構成であって、上下二段のふとん乾燥機用袋の片側の側面には、ふとん乾燥機本体から温風を送り込む温風接続口をそれぞれ備えてあり、前記ふとん乾燥機用袋の正面には、ふとんを出し入れするファスナーを設けてあるダニ死滅ふとん乾燥機用袋」が提案されている。
この乾燥袋では、1つの袋に対して1つの温度接続口で温風を供給しているため、袋内に温風が十分に行き届かないという問題があるが、この問題は上記の乾燥装置セットにより解決される。
以下、被乾燥物の一例である布団を収容する乾燥袋について説明する。
【0062】
(1)乾燥袋
乾燥袋9は、
図17に示すように、袋本体91と、袋本体91を開閉可能とする開閉具93とを有し、乾燥装置Xの2つのホース体3のノズル体32を内部に挿入するための温風供給口95を袋本体91に有する。ここでは、温風供給口95は、2つあり、2つのノズル体32は別々の温風供給口95を利用して袋本体91の内部に配される。
【0063】
袋本体91は、内部に布団を収容する収容空間を有する袋状をしている。袋本体91は、織物布材(ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の化学繊維、自然繊維、これらを組み合わせて構成される布材)、樹脂フィルム材、紙材、不織布材等により構成されている。袋本体91は通気性を有するように構成されている。袋本体91は伸縮性を有するように構成されている。袋本体91は、ここでは、例えば、ポリエステル繊維を使った織物布材により構成されている。
袋本体91は、箱状をし、1つの方向(例えば、布団の厚み方向である)の寸法が、当該1つの方向と直交する方向の2つの寸法よりも小さい直方体状をしている。
つまり、袋本体91は、布団の主面と対向し且つ布団の長手方向を短辺とする矩形状の下面部911と上面部912、下面部911と上面部912とを連結する側面部913~916を有する。下面部911と上面部912との短辺同士を連結する側面部を短側面部913,914とし、下面部911と上面部912との長辺同士を連結する側面部を長側面部915,916とする。なお、ここでは、短側面部913は、一対の短側面部913,914の一方であり、第1側面部913ともいい、短側面部914が短側面部913,914の他方であり、第2側面部914ともいい、長側面部915を第3側面部915ともいう。
ここで、収容される布団を基準にして、矩形状の下面部911と上面部912における短辺の延伸する方向を「長さ方向」とし、下面部911と上面部912における長辺の延伸する方向を「幅方向」とし、下面部911と上面部912とを連結する方向(下面部911と上面部912とに直交する方向)を「厚み方向」とする。
袋本体91は、布団の出し入れをするために、上面部912が下面部913に対して開閉可能に構成されている。つまり、上面部912は、長側面部916の長手方向(布団でいう幅方向である)に沿って、下面部911に対して開閉可能となる。
袋本体91の長さ方向の寸法(
図17における「L」である)は、布団を3つ折りにした際の布団の長さ方向の寸法よりも大きく、布団を2つ折りにした際の布団の長さ方向の寸法よりも小さい。これにより、使用者は、布団を収容する際に、2つ折りで収容するようなことをなくすことができる。
【0064】
開閉具93は、ドットボタン等の点ファスナー、スライドファスナー、ジッパー、チャック等の線ファスナー、マジックテープ(登録商標)、ベルクロ(登録商標)、クイックロン(登録商標)等の面ファスナー等のファスナー、ベルト等を利用することができ、ここでは線ファスナーを利用している。なお、線ファスナーの符号も「93」とする。
線ファスナー93は、袋本体91の短側面部913,914と長側面部915との3つの側面部の開口部に設けられ、布団の出し入れを容易としている。線ファスナー93は、短側面部913,914の幅方向と長側面部915の長さ方向の全長に亘って連続するように設けられている。つまり、線ファスナー93は、「C」字状(「コ」字状、「U」字状を含む概念である)開口部に「C」字状に設けられている。これにより、下面部911と上面部912とを設置面と対向するように(袋本体の投影面積が2倍になるように)展開できる。これにより、布団の出し入れを容易に行える。
線ファスナー93の端部は、短側面部913,914と長側面部915との接続部分の近傍にある。つまり、袋本体91における長側面部916を除く連続する3つの側面部913,914,915で開状態とでき、開口が大きい袋本体91とできる。より具体的には、上面部912は、線ファスナー93の一方側の端部と他方側の端部とを結ぶ仮想線が折り目となって、下面部911に対して開閉可能である。これにより、布団の出し入れが容易となる。
線ファスナー93は、短側面部913,914と長側面部915の厚み方向のほぼ中央に設けられている。これにより、袋本体91の上下を気にすることなく使用できる。
【0065】
温風供給口95は、短側面部913,914の少なくとも一方の第1短側面部(ここでは913である)側に設けられている。これにより、ノズル体32を乾燥袋9内に配する際に、使用者は乾燥袋9の幅方向の一方側で作業ができ、簡単(短時間)にノズル体32を配することができると共に使用者が配置するために場所を移動する必要がなくなる。
温風供給口95は、第1短側面部913に長さ方向に間隔(
図17中の「L3」である)をおいて2つ設けられている。2つの温風供給口95は、第1短側面部913の長さ方向の中央に対して対称となるように(中央からの距離が同じとなるように)設けられている。これにより、収容された布団の長さ方向の中央付近にノズル体32を配することができ、布団の乾燥ムラを小さくできる。
温風供給口95は、正確には、第1短側面部913と下面部911との接続部分に設けられている例を示しているが、第1短側面部913側に設けられていればよい。
温風供給口95には、開口を開閉するための開閉具97が設けられてもよい。開閉具としては、上記の開閉具93と同様に、ドットボタン等の点ファスナー、スライドファスナー、ジッパー、チャック等の線ファスナー、マジックテープ(登録商標)、ベルクロ(登録商標)、クイックロン(登録商標)等の面ファスナー等のファスナー、ベルト等を利用することができ、ここでは線ファスナーを利用している。これにより、温風供給口95に何かの部材が引っかかって袋本体91が裂けるようなことを防止できる。また、開閉具93として線ファスナーを利用する場合、乾燥使用時に、温風供給口95から温風が抜け出すのを防止できる。
2つの温風供給口95の大きさ(
図17の「L2」と「L4」である)は、同じ大きさであり、少なくともノズル本体33の通過が許容される。2つの温風供給口95の袋本体91の長さ方向の両端から距離(
図17の「L1」と「L5」である)は、特に限定はないが、ここでは同じであり、温風供給口95の大きさとほぼ同じである。2つの温風供給口95間の距離(
図17の「L3」である)は、特に限定はないが、ここでは温風供給口95の大きさよりも小さい。
【0066】
(2)使用
布団は乾燥袋9内において3つ折り状態で収容される。これにより、布団は長さ方向に3分割されて、長さ方向の一方側の端の第1端部分971(の上面)と長さ方向の中間部分973(の上面)とが接触し、中間部分973(の下面)と第2端部分975(の下面)とが接触することとなる。これにより、上下の2つの隙間が第1短側面部913と対向することとなり、幅方向の一方側(第1短側面部913側)から2つのノズル体32を乾燥袋9内の布団の2つの隙間へと配することができる。さらに、隙間においてノズル体32により布団を持ち上げれば、より温風を行き渡らせることが可能である。なお、第1端部分971と中間部分973との隙間を下側の隙間とし、中間部分973と第2端部分975との隙間を上側の隙間とする。
乾燥装置Xの一方の第1ノズル体32Aが下側の隙間に挿入され、他方の第2ノズル体32Bが上側の隙間に挿入され、各ノズル体32から温風が吐出される。これにより、第1ノズル体32Aから吐出される温風が下側の隙間内に広がると共に当該隙間から隙間外に流動することとなる。また、第2ノズル体32Bから吐出される温風も、同様に、上側の隙間内に広がると共に当該隙間から隙間外に流動することとなる。このように、乾燥袋9内の広い範囲で温風が吐出されることとなる。
【0067】
吐出された温風は、折り畳まれた布団における上下の隙間に面する部分から布団の内部へと伝わり、布団全体を効率よく乾燥できる。
また、温風の温度を高くし(例えば、50℃)、所定時間(例えば、30分~3時間)運転することで、布団内のダニが至死することが確認されている。
袋本体91は、連続する3側面部913,914,915の全長に亘って線ファスナー93が設けられ且つ袋本体91が折り曲げ可能な材料で構成されているため、上面部912を長側面部916の幅方向の全長で折り返すことができる。これにより、例えば、
図19に示すように、上面部912を広げた状態(開状態)であって下面部911と上面部912上に布団を置いたまま、掃除機を使って布団の掃除を行うことができ、ダニ等の死骸が床に散らからない又は散らかる量を少なくするようにしてダニを布団から取り除くことができる。なお、ダニの除去(掃除)にのみ着目すると、袋本体9の温風供給口95は1つでもよく、乾燥装置のホース体も1つでもよい。
【0068】
(3)その他
袋本体91は、3つの連続する側面部913,914,915に開閉具(線ファスナー93)を有していたが、例えば、4つの側面部913~916に開閉具を有してもよいし(この場合、上下で分離することとなる)、一対の短側面部913,914と上面部912とに亘って連続する開閉具93を有し、布団の長さ方向に開閉するようにしてもよい。袋本体91は、上部が開放する袋状をし、上部側が紐により締め付けられて開閉する、いわゆる巾着袋状であってもよい。線ファスナー93は、側面部913,914,915の厚み方向の中央に設けられていたが、上端側又は下端側に設けられてもよい。
袋本体91は、3つの側面部913、914,915の全長に開口部を有していたが、一対の短側面部913,914の開口部は、長さ方向(布団を基準にしている)の3分の1程度残して開口部を有してもよいし、他方の長側面部916の幅方向(布団を基準にしている)の中央の3分の1程度を残してその両側に開口部があってもよい。
【0069】
温風供給口95は、布団の長さ方向に間隔をおいて2つ設けられていたが、2つ以上のノズル体32を上側及び下側の隙間に配することができれば、1個であってもよい。また、2つの温風供給口95は、布団の厚み方向に間隔をおいて設けられてもよく、この場合、2つの温風供給口95間に開閉具93があってもよいし、なくてもよい。
温風供給口95は、短側面部913,914の一方の第1短側面部913に設けられているが、両短側面部913,914に設けられてもよく、この場合、温風供給口95は合計で4個となる。また、ホース31が長い場合は、各短側面部913,914に1個の温風供給口95が設けられてもよい。
温風供給口95は、側面部915に設けるようにしてもよい。その場合、側面部913,914の温風供給口95から折り畳み状態の布団の2つの隙間にノズル体32を挿入するよりもホース31の長さが必要になるが、それに応じてホース31の長さは設計すればよい。
温風供給口95は、ノズル体32を挿入するための開口により構成されているが、例えば、袋本体91は、温風供給口95から一体又は別体で内部へ延伸し、その延伸方向に連通孔を有する筒状部を有し、当該温風供給口に乾燥装置Xのノズル体32が接続されるようにしてもよい。
乾燥袋9は、袋本体91の周囲に設けられ且つ袋本体91の周方向の長さを調整可能な調整具を有してもよい。調整具としては、例えば、紐、ベルト等で、2本の紐を結ぶようにしてもよいし、2本の紐やベルトをバックルや面ファスナー等固定するようにしてもよいし、一本の紐やベルトの端部に面ファスナーを設けて袋本体に着脱可能としてもよい。この調整具により、乾燥袋と被乾燥物との体積の差を調整できる。
【0070】
(4)特徴
上記の乾燥装置セットは、以下の特徴を有するといえる。
乾燥装置セットは、温風を吐出するための2つ以上の吐出部を備える乾燥装置と、被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋とを備え、乾燥袋は、2つ以上の吐出部がそれぞれ挿入又は接続される温風供給口を同一側面に有する。
また、乾燥装置セットにおいて、温風を吐出するための1つ以上の吐出部を備える乾燥装置と、被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋とを備え、乾燥袋は、互いに対向する第1側面部及び第2側面部と、第1側面部及び第2側面部に隣接する第3側面部と、第1~3側面部に亘ってC字状に設けられた開閉可能な開口部と、前記1つ以上の吐出部が挿入又は接続される温風供給口が第1側面部又は前記第2側面部の少なくとも一方に設けられる。
また、乾燥装置セットにおいて、乾燥袋には、3つ折り状態で被乾燥物が収容され、3つ折り状態の被乾燥物の上側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第1吐出部が前記温風供給口を介して挿入され、3つ折り状態の被乾燥物の下側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第2吐出部が前記温風供給口を介して挿入される。これにより、効率よく被乾燥物を乾燥できる。
また、乾燥装置セットにおいて、吐出部は、吐出口を有する吐出部本体と、吐出部本体の通風方向に対して交差する延伸方向に延伸する延伸部とを有する。これにより、被乾燥物の隙間を大きくでき、温風が行き届く範囲を広くできる。
乾燥装置セットにおいて、乾燥袋は、袋内の体積と乾燥対象物の体積の差を調整する調節部を有する。これにより、吐出される温風を効率的に利用できる。
乾燥装置セットにおいて、乾燥袋は伸縮性のある素材で構成されている。これにより、布団の出し入れを容易に行うことができる。
また、乾燥装置セットにおいて、前記乾燥袋は、温風供給口を開閉可能とする開閉具を備えてもよい。これにより、乾燥袋内の温風が温風供給口から洩れるのを少なくできる。
【0071】
上記の乾燥方法は、以下の特徴を有するといえる。
乾燥方法は、温風を吐出するため吐出部を2つ以上備える乾燥装置を用いて、乾燥袋に温風を吐出するための乾燥方法であって、乾燥袋に被乾燥物を収容する第1ステップと、3つ折り状態の被乾燥物の上側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第1吐出部を挿入すると共に、3つ折り状態の被乾燥物の下側の隙間に2つ以上の吐出部のうちの第2吐出部を挿入する第2ステップとを含む。
ここで、当該乾燥方法は、第1ステップを第2ステップよりも先に行ってもよいし、第2ステップを第1ステップよりも先に行ってもよい。つまり、乾燥袋に収容された被乾燥物に吐出部を挿入してもよいし、3つ折り状態の被乾燥物に吐出部を挿入した状態で乾燥袋に収容してもよい。
なお、乾燥装置セットに着目する場合、乾燥装置は、2つ以上の吐出部を有していればよく、上述した乾燥装置Xと異なる構成を有した装置であってもよい。例えば、ホース接続部が1本のホース体の一端で接続して、当該ホース体の他端で2つ以上の吐出部本体(ノズル体)と接続するようにしてもよいし、1個の吐出部本体の吐出口に、2つの吐出口を有するようなホース付きのアダプタを取り付けるようにしてもよい。また、乾燥袋自体に着目した発明としてもよい。
【0072】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0073】
<変形例>
(1)実施形態では、吐出部の一例としてホース体3について説明したが、吐出部は、ホースを備えなくてもよく、装置本体に直接接続してもよい。例えば、ノズル体を装置本体に直接接続してもよい。この場合、ノズル体が本発明の吐出部の一例に相当する。
ノズル体は、装置本体に接続できればよく、ホース以外の部材、例えば、パイプ、複数本のパイプ体を着脱可能に接続したパイプ、伸縮可能なパイプ等で有ってもよい。この場合、ノズル体と、パイプ等の他の部材とが吐出部の一例に相当する。
(2)実施形態では、第1フラップ34及び第2フラップ36を回動させることで、ノズル本体33の通風方向に対して交差する状態で延伸させていたが、例えば、フラップをノズル本体に着脱可能に装着してもよいし、フラップをノズル本体に着脱可能なアタッチメントとして装着してもよい。着脱可能な例としては、フラップをノズル本体の凹入部又は貫通孔部に対して通風方向と交差する方向に挿抜自在に挿入して、フラップを交差方向に延伸させてもよいし、フラップをノズル本体の側壁に設けられた上下溝に上方から差し込んで、フラップを交差方向に延伸させてもよい。なお、言うまでもなく、フラップは本発明の延伸部の一例であり、ノズル本体は吐出部本体の一例である。
【0074】
(3)吐出部本体(ノズル本体33)の嵩上部(フック)33aの設置面からの高さは、第2延伸部(第2フラップ36)の突出部36bの高さと同じか、それより高いのがよい。
(4)実施形態では、第2延伸部(第2フラップ36)を閉じた後に、その上から第1延伸部(第1フラップ34)を重ねるようにして閉じているが、第1延伸部(第1フラップ34)の上に重ねるように第2延伸部(第2フラップ36)を閉じてもよい。
(5)吐出部本体(ノズル本体33)に、第1延伸部(第1フラップ34)を2つ設けてもよい。その場合、吐出口32b側及び装置本体1(ホース31)側の両方を回動軸とするのがよい。同様に、第2延伸部(第2フラップ36)を3~4個設けてもよい。その場合、吐出口32b側及び装置本体1(ホース31)側の両方を回動軸とするのがよい。
【0075】
(6)第2延伸部(第2フラップ36)は、吐出部本体(ノズル本体33)の両外側に1個ずつ又は複数個(個数は同じでも、異なってもよい)設けてもよいし、吐出部本体(ノズル本体33)の片外側に1個又は複数個設けてもよい。吐出部(ホース体3)が2本ある場合は、対向する側と反対側に第2延伸部(第2フラップ36)を1個又は複数個(個数は同じでも、異なってもよい)設けてもよいし、対向する側に第2延伸部(第2フラップ36)を1個又は複数個(個数は同じでも、異なってもよい)設けてもよいし、両側に第2延伸部(第2フラップ36)を複数個(個数は同じでも、異なってもよい)設けてもよい。
(7)延伸部、第1延伸部及び第2延伸部(フラップ34、36)は、吐出部本体(ノズル本体33)の長手方向に2つ以上設けてもよい。例えば、長手方向の両側に設ける場合は、回動軸を両側に設ければよい。延伸部、第1延伸部及び第2延伸部(フラップ34、36)は、吐出部本体(ノズル本体33)の長手方向の中央に1個又は複数個設けてもよい。2つ設ける場合、それらの開閉方向が同じであってもよいし、異なってもよい。
(8)第2延伸部(第2フラップ36)の突出部36bは、設置面に食い込むような形状が好ましく、例えば突起、複数の突起、複数の突条などがよい。なお、突条の延びる方向は温風の通風方向(吹出方向)に平行でなくてもよい。その他、設置面にくっつく機能を有してもよい。例えば、面ファスナー、接着テープなどである。
【0076】
(9)吐出部本体(ノズル本体33)は副吐出口33cを長手方向に沿って複数列で有してもよいし、千鳥状に有してもよい。また、副吐出口33cを有しなくてもよい。
(10)吐出部(ノズル体32)は、接続管37を備えていたが、例えば吐出部本体(ノズル本体33)と一体化してもよい。吐出部(ノズル体32)は、ノズル口38を備えていたが、例えば吐出部本体(ノズル本体33)と一体化してもよい。吐出部(ノズル体32)は、接続管37とノズル口38を備えていたが、これらを例えば吐出部本体(ノズル本体33)と一体化してもよい。
(11)吐出部(ノズル体32)は、嵩上部37aを設置面側に有していたが、側面や設置面と反対側に有してもよい。嵩上部37aは、吐出部(ノズル体32)を所定の向きにするための姿勢維持機能の他、装置本体1に装着(係止)する装着機能を有していたが、片方の機能のみを有する嵩上部を複数有してもよい。
【0077】
(12)乾燥装置は、1本のホースに1個のノズル体32を備えていたが、例えば、1本のホースに複数個のノズル体32を備えてもよい。
(13)分岐ダクト200の第1通路25に邪魔板を設けて、第2通路26と同じ圧力損失になるようにしてもよい。その他、圧力損失を大きくするために、第1通路25内に空気の流れの抵抗になるものを入れてもよい。例えば、網目状の部材や、フィルタなどである。さらに内部に狭路を設けてもよい。これらの抵抗になるものを複数同時に設けてもよい。分岐ダクト200は筐体11の外部に配されていたが、筐体11の内部に配されてもよい。
分岐ダクト200の第1通路25と第2通路26の入口の開口形状は矩形状であったが、楕円、長円、多角形状等の他の形状であってもよいし、第1通路と第2通路とで入口の開口形状が異なってもよい。また、第1通路25と第2通路26の出口の開口形状は円形状であったが、矩形状、方形状、多角形状等の他の形状であってもよい。また、第1通路と第2通路とで出口の開口形状が異なってもよい。
【0078】
(14)吐出部(ホース体3)を1本にしてもよい。その場合、吐出部(ホース体)の接続環14をヒータ131の吐出口132aに連結するのがよい。この場合、分岐ダクト200は用いない。また、特に、ノズル体32の構成は、ホース体3を1本有する構成であっても、2本以上有する構成であっても当然に適用可能である。
また、吐出部(ホース体3)が3本以上である場合は、3つ以上に分岐する分岐ダクトを用いてもよい。
また分岐ダクト200を使用しないで、1本のホース31の途中に「Y」字状の分岐管を設けて、2本に分岐してもよい。
(15)乾燥装置Xは、左右方向の一方側(左側)に送風部12及び加熱部13を備えていたが、他方側に送風部及び加熱部を備えてもよいし、中央に送風部及び加熱部を備えてもよい。
(16)乾燥装置は、1本又は複数本のホース体3の他端側の吐出部(ノズル体32)を筐体11の外側に装着していたが、その一部又は全部を筐体の内部に収容してもよい。また、筐体の外側に装着する場合、左右に装着してもよい。
(17)電源コード171は、結束バンド4で結束された状態で筐体11の外側に装着されていたが、筐体内に収容されてもよいし、筐体の左右の巻き付け部に巻き付けられてもよい。
【符号の説明】
【0079】
X 乾燥装置
1 装置本体
3 ホース体(吐出部の一例)
31 ホース
32 ノズル体
33 ノズル本体(吐出部本体の一例)
34 第1フラップ(延伸部及び第1延伸部の一例)
35 保持部
36 第2フラップ(第2延伸部の一例)