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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】携帯用空気サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20240909BHJP
   C12M 1/26 20060101ALN20240909BHJP
【FI】
G01N1/22 B
C12M1/26
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022096947
(22)【出願日】2022-06-16
(62)【分割の表示】P 2019507836の分割
【原出願日】2017-07-19
(65)【公開番号】P2022126744
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】29/574,405
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/375,274
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/243,403
(32)【優先日】2016-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516083298
【氏名又は名称】ベルテック アソシエイツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VELTEK ASSOCIATES, INC.
【住所又は居所原語表記】15 Lee Boulevard, Malvern, Pennsylvania 19355 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】コッハー ネイサン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルタート アーサー エル. ジュニア.
(72)【発明者】
【氏名】チャーチヴァラ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス マーク エー.
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0185554(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0061797(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0363515(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0355000(US,A1)
【文献】特開2009-011265(JP,A)
【文献】特開2010-124711(JP,A)
【文献】実開平05-068300(JP,U)
【文献】特開昭61-235726(JP,A)
【文献】特開2012-228415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
C12M 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された環境において空気をサンプリングするための空気サンプリング装置であって、
上部と側部とを含むハウジング本体であって、前記上部に開口が設けられたハウジング本体と、
サンプリングデバイスを保持するように構成された保持アセンブリであって、前記ハウジング本体の前記上部に位置する保持アセンブリと、
上端と下端とを含む壁とブロワーとを含む空気溜めであって、前記上端が前記ハウジング本体の前記開口と連通するように連結された空気溜めと、
入力と出力とを含むマスフローメーターであって、前記入力が前記空気溜めの前記下端と連結され、前記入力が前記空気溜めと連通したマスフローメーターとを有し、
前記ハウジング本体は、前記マスフローメーターの前記出力から空気を排出するベントを含み、
前記空気溜め内の前記ブロワーは、前記サンプリングデバイスを通過した空気を吸引し、前記空気が前記ハウジング本体の前記開口を通り、前記空気溜めを通り、前記マスフローメーターを通り、さらに、前記ベントから排出されるように構成されており
前記マスフローメーターが、前記マスフローメーターを通過する空気流量を検出し、さらに、
前記マスフローメーターから、検出された流量を受け取り、前記検出された流量に応じて前記ブロワーのスピードを制御し、前記ハウジング本体に吸引され前記ベントを介して排出される空気流量を制御する処理装置を有する、空気サンプリング装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ハウジング本体はほぼ円筒状であり、前記開口はほぼ円形である、空気サンプリング装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記ベントは連結されたベント・アダプターであって、チューブと連結可能なように構成されたノズルを含むベント・アダプターを有し、前記マスフローメーターの前記出力からの前記空気を前記チューブにより遠方へ排出可能である、空気サンプリング装置。
【請求項4】
請求項において、
前記ベントは、前記ハウジング本体に設けられた換気スロットを含む、空気サンプリング装置。
【請求項5】
請求項において、
前記処理装置は、前記検出された流量が所望の流量より低い場合は前記ブロワーの前記スピードを増加し、前記検出された流量が所望の流量より高い場合には、前記ブロワーの前記スピードを低下させる、空気サンプリング装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、さらに、
前記ハウジング本体に連結され、前記サンプリングデバイスを囲う気門室を有する、空気サンプリング装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記保持アセンブリは、前記サンプリングデバイスと係合する調整可能な止め金を少なくとも1つ含み、前記調整可能な止め金は内位置と外位置とを含み、異なるサイズのサンプリングデバイスを固定する、空気サンプリング装置。
【請求項8】
請求項において、
前記ベントは前記ハウジング本体の側面に設けられている、空気サンプリング装置。
【請求項9】
制御された環境で空気をサンプリングする方法であって、
ハウジング本体内部のブロワーを作動させて空気を吸引し、ハウジング本体外部に位置するサンプリングデバイスを横切り、その空気を、前記ハウジング本体を通してマスフローメーターへ流し、前記ハウジング本体のベントから排出することと、
前記マスフローメーターで前記空気の流量を検出することと、
処理装置が、前記検出された流量に応じて前記ブロワーのスピードを制御し、前記ハウジング本体に吸引され前記ベントを介して排出される空気流量を制御することとを有する方法。
【請求項10】
請求項において、
前記処理装置が、前記検出された流量が所望の流量より低い場合には前記ブロワーのスピードを増加し、前記検出された流量が所望の流量より高い場合は前記ブロワーのスピードを低下する、方法。
【請求項11】
請求項において、
前記処理装置は、遠隔ネットワークと接続されており、前記処理装置が、サンプリングイベント、校正イベント、および管理イベントを遠隔ネットワークに伝達することを有する、方法。
【請求項12】
請求項において、
前記処理装置が、サンプリングイベント、校正イベント、および/または管理イベントを記録することを有する、方法。
【請求項13】
請求項9において、
前記ベントに対し取外し可能に連結するように構成されたベント・アダプターを有し、前記ベント・アダプターは、チューブと連結するように構成されたノズルを含み、
さらに、前記マスフローメーターの出力からの前記空気を前記チューブにより遠方へ排出することを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
本願は、2016年8月15日に登録された米国意匠出願第29/574,405号の継続出願であり、2016年8月15日に出願された仮出願第62/375,274の優先権を主張するものである。これらの出願の全体が、本明細書において参照により組み込まれている。
【0002】
本発明は、制御された室内環境において空気サンプルを収集し分析するための方法および装置に関するものである。特に、本発明は、クリーンルームにおける空気サンプルの収集、処理そして分析の装置と方法、およびサンプリング機器の遠隔監視、記録、および制御に関するものである。
【背景技術】
【0003】
製造、研究やその他の施設において見受けられるフードされた領域(hooded areas)やクリーンルーム(それらを合わせて「クリーンルーム」と呼ぶ)のような制御された環境は、大気圧に対する領域内部の静圧、および/またはクリーンルームに隣接した空間の空気圧に基づき、典型的に大きく2つに分類される。正圧の領域は、絶対圧が、大気圧より高く、またはクリーンルームに隣接する空間の空気圧より高く、または両方より高く維持される。これらの領域において、正圧は、濾過および/または空調された空気をポンプにより領域内へ供給し、領域から排出される空気の流れを制御することにより得られる。隣接した空間、例えば、工場施設やオフィスは、暖房、換気、そして空調システム(HVAC)により、典型的には大気圧またはその近傍に維持され、または、周囲の環境に対する開口を設けることにより隣接した空間が大気圧になるようにしている。このように、正圧のクリーンルームからの空気の流れは、気圧の低い隣接区域または大気へと流れる。
【0004】
クリーンルームの正圧が壊れる場合、クリーンルームに存在する空気伝達される汚染物質が隣接空間の人々に対し健康被害を生じさせる可能性がない限り、隣接空間または大気への空気の流れは一般的に問題ではない。電機機器、航空宇宙関連機材、光学システム、軍用機器そして防衛関連の研究が行われ、またはそれらの機器が製造されているクリーンルーム内の空気は、人間や環境への安全や健康懸念を示すほどの濃度の浮遊する気体、蒸気および微粒子を一般的に含まない。しかしながら、常にそうではないし、同様の業務内でも他の処理により、上記の受容可能な水準を超えた汚染物を発生させる可能性があり、それらが処置されずにクリーンルームから漏れることを防がなくてはならない。
【0005】
負圧の領域は、絶対圧が大気圧より低いか、またはクリーンルームに隣接する空間の空気圧より低く、あるいは両方より低く維持される。負圧は、濾過された、または空調された空気が区域内へ流入する量よりも速く領域の外へ排気することにより維持される。負圧の領域は、隣接する空間の人間や環境に対し、領域内の空気中の汚染物質が潜在的な健康への脅威となりうる懸念がある場合にしばしば用いられる。
【0006】
人間の健康や環境への影響の有無にかかわらず、法的規制により、および産業界で採用された製造および研究品質基準を満たすために、ある種の製造や研究活動は、正圧のクリーンルームで行われなくてはならない。例えば、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)により公布されたものを含む連邦および州規制は、正圧または負圧のクリーンルームの利用を必要とするものがある。
【0007】
特に、米国食品医薬品局(FDA)は、医薬品製造を、医薬品のバッチ生産が衛生的な環境で行われているという確認と証明とが得られるクリーンルーム内に限ることを要求している。
【0008】
様々なFDAの規制および基準は、特定の医薬品製造活動の間の清浄度を実証または確認するためにクリーンルーム内において使われる空気サンプリング(空気採取)および/または空気モニタリング(空気監視)装置に対する要求を規定している。規制は、さらに、クリーンルーム内の空気品質の電子データの記録、正確性、精密性そして記録保持についても規定している。類似の要求が、バイオテクノロジー業界等に対しても課されている。
【0009】
いくつかの特許や公開公報が、クリーンルーム内の空気サンプリングやモニタリング、および中心地からの1またはそれ以上の空気サンプリング装置のモニタリングおよび制御のためのシステムについて開示しており、例えば、米国特許第9285,792、9063040、9046453および米国公開公報第2016/0061796などを挙げることができる。
【0010】
さらに、譲受人ベルテック・アソシエイツ・インコーポレイテッドは、図8に示される携帯用サンプリング装置を提示する。示されているように、空気は気門室(アトリウム)50を通して吸い込まれ、寒天培地プレート(agar media plate)52を(横切り)通過し、そしてアトリウム置き台の最下部の開口54を通過する。開口54を通過後、空気は大型ファン56を通して吸引され、ユニットの本体を通過し、電子機器を通り、底面58から排出される。この装置は、望ましい流量レートに比例する一定のファン速度で作動するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
制御された室内環境において空気サンプルを収集し分析するための装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
空気サンプリング装置は、制御された環境において空気をサンプリング(採取)する。本装置は、上部と側部とを有するハウジング本体(筐体)を含む。開口はハウジング本体の上部に配置されている。保持アセンブリ(保持組立体、保持部材)は、サンプリングデバイス(採取装置)と気門室(アトリウム、atrium)とを保持する。保持アセンブリは、ハウジング本体の上部の、開口の周りに配置されている。空気溜め(プレナム、plenum)は上端と下端とを有し、上端は開口の周りでハウジング本体の上部と結合され、空気溜めが開口と連通(流体接続)された状態となっている。マスフローメーターは入力(インプット)と出力(アウトプット)とを備え、入力は空気溜めの下端に結合され、空気溜めの下端と連通(流体接続)された状態となっている。ブロワー(送風機)は空気溜め内部に配置され、空気を吸引し、サンプリングデバイスを通過し、開口を通り、空気溜めを通り、さらに、マスフローメーター(質量流量計)を通るように構成されている。マスフローメーターは、マスフローメーターを通過する空気流量を検出(測定)する。さらに、コントローラーは、検出された流量をマスフローメーターから受け取り、検出された流量に反応してブロワーの速度(スピード)を制御する。コントローラーは、検出された流量が所望の流量より低い場合はブロワーの速度を上げ、検出された流量が所望の流量より高い場合はブロワーの速度を下げる。
【0013】
本発明のこれらおよび他の目的、ならびに本発明の意図する利点の多くは、図面とともに以下の説明によって、より容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のより完全な理解および本発明に付随する多くの利点は、以下の詳細な説明を、以下の図面と合わせて検討すれば、より理解される。
図1図1は、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の下側(底面側)から見た外観の斜視図である。
【0015】
図2図2は、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の内部断面を示す。
【0016】
図3A図3Aは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、当装置への空気の流入を示す。
【0017】
図3B図3Bは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、培地プレートへ作用(侵入)する空気を示す。
【0018】
図3C図3Cは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、ファン、マスフローメーターを通過し、排気スリット(排気溝)を通り装置から排出される空気の動きを示す。
【0019】
図3D図3Dは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部チャンバーの内部断面を示し、ファン、マスフローメーターを通過し、排気ポート(排気口)を取って装置から排出される空気の動きを示す。
【0020】
図4A図4Aは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部外観を示す斜視図である。
【0021】
図4B図4Bは、本発明の実施例の一例であり、空気サンプリング装置の上部外観の分解斜視図である。
【0022】
図5図5は、保持アセンブリの分解図である。
【0023】
図6A図6Aは、装置を上部から見た図であり、アトリウムおよび培地プレートの保持アセンブリが内側にある状態を示す。
【0024】
図6B図6Bは、装置を上部から見た図であり、アトリウムおよび培地プレートの保持アセンブリが外側にある状態を示す。
【0025】
図7A図7Aは、装置が直立し、三脚に取り付けられている状態を示す。
【0026】
図7B図7Bは、装置が水平になり、三脚に取り付けられている状態を示す。
【0027】
図8図8は、従来のサンプリング装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面に示す本発明の好ましい実施形態を説明するにあたり、明確化のために特定の用語を使用する。しかしながら、本発明は、それらの選択された特定の用語に限定されるものではなく、それぞれの特定の用語は、同様の目的を達成するために、同様の方法で動作するすべての技術的に等価な意味を含む。本発明のいくつかの好ましい実施形態が例示目的のために記載されているが、本発明は、具体的に図面に示されていない他の形態で具体化されてもよいことが理解されるべきである。
【0029】
図1および2は、本発明の空気サンプリング装置100の実施形態の一例を示している。装置100は携帯可能であり、制御された環境内の様々な場所に持ち運んで設置できる。本明細書において「空気」は広い意味で用いられ、全ての気体、蒸気、および微粒子状物質を示し、発明を特定の種類のものに限定するものではない。空気サンプリング装置100は、クリーンルーム内の微細粒子を検査するのに特に役立つ。空気サンプリング装置100は、一般的に、サンプラー収納ユニット(サンプラーハウジングユニット、採取装置ハウジングユニット)と、本体またはハウジング102とを含む。サンプラー収納ユニット110は、カバー等の好適な装置であればよい。実施例として示されているものは、除菌可能な微生物用のアトリウム(SMA Sterilizable Microbial Atrium)110であり、空気の流れ(気流、エアーフロー)中の微粒子をサンプリング(採取)する培地プレート114を覆い、オートクレーブ(加圧滅菌)などの方法により除菌(滅菌)可能である。アトリウム(気門室、中央が開いた空洞、開放されたホール、Atrium)110は、培地プレート114を保護するとともに、空気がアトリウム110を通過して流れて培地プレート114に接触するようにするものである。アトリウム110は、熱または蒸気により殺菌可能であり、オートクレーブされるものであってもよい。サンプリング装置100は、クリーンルームなどの清潔な環境下において使用されるように構成されている。
【0030】
ハウジング102は、ほぼ円筒状であり、上半部120と下半部130とを有する。図2に最もよく表されているように、上半部120は、ブロワーアセンブリ(ブロワー組立体)500を収納する上部の内部空間または上部チャンバー210を規定し、下半部130は、いくつかの電子部品300を収納する下部の内部空間または下部チャンバー250を規定する。壁または仕切り125は、上部チャンバー210と下部チャンバー250とを隔てる。主たるハウジング102の全体が、単一の一体化された部材である。携帯用装置100を持ち歩くために持ち手(ハンドル)80(図2)を設けることができる。図示されているように、ハンドル80は、上部ハウジング本体120の底部(下側)から下部ハウジング本体130の底部(下側)に繋がるものであってもよい。
上部および下部チャンバー210、250
【0031】
上部チャンバー210は、上部(上面)212(図4A、4B)、前部(前面)(図4A、4B)、後部(後面)(図1)を有し、さらに、前部と後部とを結合する反対側の側部(側面)を有する。図4A、4Bに最もよく表されているように、上部チャンバー210の上部212は、アトリウム110と取外し可能な状態で結合している。図1および2に戻ると、細長い換気用のスロット(溝)121および支持用のスタンド122が、上部チャンバー210の後部に配置されている。支持用のスタンド(サポートスタンド)122は細長の部材であり、スタンド122を上部チャンバー210に結合するネジが収納されている。スタンド122は、横に延びて、装置100が実質的に水平なポジションで設置されるときに水平になるように、また装置100が不注意に横揺れしたり、一方向に傾いたりすることを防ぐように構成される。さらに、開口のような固定機構を装置100の後部に設けてもよく、三脚(図7A)と連結するように構成され、空気サンプリング装置100が水平な状態で設置されるようにすることができる。固定機構は、ネジ付き開口部であってもよく、三脚のネジとネジ留めされる。
【0032】
下部チャンバー250は、コントローラーへのアクセスパネル131、複数の垂直方向の支え132、そして垂直方向の三脚受け133(図7A)を含む。アクセスパネル131は、コントローラーへのアクセスを可能にし、USBスロット、および/またはバッテリーへのアクセスポイントを提供してもよい。複数の垂直方向の支え(垂直支持部)132は、空気サンプリング装置100の底部に沿って(広がって)配置されており、支柱なしでも安定するようになっている。垂直支持部132は、空気サンプリング装置100が表面に沿って滑らないように、ゴムや類似の複合ポリマーなどの摩擦抵抗の高い素材でコーティングされていてもよい。垂直方向の三脚受け133は、空気サンプリング装置100が垂直状態で立つように、三脚(不図示)が取り付けられるように構成されている。いくつかの実施例では、垂直方向の三脚受け133はねじ状であり、三脚がねじで取り付けられる。このように、装置100は、支え132で垂直に自立してもよく、受け133により三脚に結合されてもよい。装置100は、サポートスタンド122で水平に設置されてもよく、またネジ状の受けにより三脚と結合されてもよい。
保持アセンブリ400
【0033】
図4Bを参照すると、受け用の、または保持用のアセンブリ(組立体)400が、上部チャンバー212の上部(それは空気サンプリング装置100の上部でもある)に設けられている。保持アセンブリ400は、上部212の窪んだ部分にはまり、側壁218と底を有する。1またはそれ以上の突起部113が側壁218に形成されている。図5に最もよく示されているように、保持アセンブリ400は、中央の固定部材430と、上部ディスクまたはプレート420と、底部または底プレート402と、1またはそれ以上の留め具を有する。
【0034】
底プレート(下部プレート)402は、1またはそれ以上の湾曲するように延びた溝または下部チャネル(底溝)406を含み、それらは下部プレート402にスロットとして形成されている。下部プレート402は、ハウジング102の上部212に固定される。上部プレート420は、1またはそれ以上の湾曲するように延びた溝または上部チャネル(上部溝)422を含み、それらは上部プレート420にスロットとして形成されている。上部プレート420は、下部プレート402に対して、下部プレート402がハウジング102に固定された状態で、回転できる。1またはそれ以上のハンドル(ツマミ)426を上部プレート420の上部表面に設けてもよい。ハンドル426は、上部プレートの上部表面から上方に延びており、使用者は、1またはそれ以上のハンドル426(図5の実施例では2つ)を、掴んだり押すことによって、上部プレート420を回転させることができる。複数の上部チャネル422のそれぞれは、対応する下部チャネル406とオーバーラップするように位置決めされ、しかしながら上部チャネル422は、下部チャネル406に対し、動かすと中に入る向きになっており、図6Aに最もよく表されているように、ロングワースチャック(Longworth chuck)構造が形成されている。チャネル406および422は、それぞれ湾曲した弧であり、ともに渦巻きのような形を形成している。プレート114がクリップ410の間で圧迫されるように、培地プレート114を掴む小さなプラスチックまたはシリコンのバンパーを、クリップ(止め金)410にオプションで設けてもよい。圧迫することにより、培地プレート114は、装置100が水平であろうとひっくり返ろうと、適正な位置に保持される。
【0035】
クリップ410は、上部および下部チャネル422、406の対応するそれぞれに配置される。クリップ410は、底部と、底部に対し垂直な側部を含み、ほぼL字型である。ペグ(杭)または支持412が、クリップ410の底部から外に延びている。支持部材412にはネック(首)とヘッド(頭)があり、逆T字形を形成し、ネックはクリップ410の底部からほぼ垂直に伸び、ヘッドは、ネックに対してほぼ垂直でクリップ410の底部と並行になっている。支持部材412のネックは、上部チャネル422を貫通し下部チャネル406を貫通している。支持部材412のヘッドは幅広であり、下部チャネル406の下側(底面側)に位置する。これにより、上部プレート420は下部プレート402に組付けられ、それともにそれぞれのクリップ410がハウジング102と、対応するペアの上部チャネルおよび下部チャネル406および422とに組付けられる。しかしながら、支持部材412のヘッドは下部プレート402の反対側に座している必要はなく、プレート402および420をロックしておく必要はないことを記載しておく。むしろ、支持部材412のヘッドは、下部チャネル406を通過して伸びていなくても下部チャネル406に入っていればよく、ヘッドは下部チャネル406中でスライドできればよい。
【0036】
図示されているように、下部チャネルおよび上部チャネル406および422は、中心よりわずかに外側に広がっており、クリップ410がチャネル406および422内を左右にスライドすると、クリップ410は中心に向かって、または中心から離れるように動く。それぞれのチャネル406および422は、最も中心によった(中心開口119に最も接近する)のポジションと、最も外側によった(中心開口119と最も離れる)のポジションがある。クリップ410はチャネル406および422内を動くので、クリップ410の向きは変わらない。すなわち、クリップ410の側部は中心を向き、実質的に中心開口119と同心(または平行)に動く。上部プレート420が回転すると、全てのクリップ410は、それぞれのチャネルの中で一緒に同時に動き、中心開口119に対し同距離となる。これにより、クリップ410による、所望の最小および最大の直径が決まる。図6Aには、クリップ410が内側のポジションに示されており、クリップ410は、チャネル406および422の各々の最も内側のポジションに位置する。図6Bには、クリップ410が外側のポジションに示されており、クリップ410は溝406および422の各々の最も外側に位置する。上部プレート420を下部プレート402に対し回転することにより、クリップ410は、内側と外側のポジション間を移動する。1つの実施例では、内側のポジションは直径85mm、外側のポジションは直径約100mmであり、これらのサイズは培地プレートのサイズと共通である。
【0037】
保持部材(固定部材、セキュアリングメンバー)430は、ネック(首)432および、幅広のヘッド(頭)434を有し、輪状であり、中央開口436を形成する。下部プレート402と上部プレート420は、それぞれ中央開口404および424を有する。プレート402および420は円形で、中央開口404および424を有するドーナッツ型である。下部の中央開口404は、内部にねじが設けられていてもよい。保持部材430のネック432は、外側にねじが設けられてもよく、ネジ付きの下部中央の開口404に接続することができる。
【0038】
ネック432は、上部プレートの中央開口424を通過して伸び、下部プレートの中央開口404に螺合し、上部プレート420を下部プレート402に結合するが、上部プレート420は下部プレート402に対して回転可能である。しかしながら、保持部材430は、上部プレート420と下部プレート402の間に位置する支持部品412のヘッドに十分な圧力を加えて、十分な摩擦力を発生させるので、クリップ410はユーザーが設定したポジションに留まり、チャネル溝406、422内を不注意に滑ること無しに位置がロックされ、培地プレート114を保持できる。保持部材430は、人間工学的な湾曲と内側にテーパー(傾き)を設けることで、保持部材の中央開口436、上部プレートの中央開口424、そして下部プレートの中央開口404を貫いて伸びた中央開口119に空気が容易に取り入れるようにできる。
【0039】
図4Bにさらに示されているように、試験またはサンプリングデバイス、例えば、ペトリ皿または寒天培地プレート114などが、試験培地が中に含まれた状態で設置される。培地プレート114は、クリップ410の底部の上に置かれる。クリップ410は、培地プレート114を所定の場所に保持する。クリップ410は、溝406および422を内外に滑り、皿114がクリップ410同士の間にぴったりと収まり、装置100が水平に横になっても、クリップ410から不意に外れることはない。培地プレート114は、例えば、装置100に入ってくる微粒子を捕捉するように設計された寒天培地を含んでいる。補足された微粒子は、その後、分析できる。
【0040】
このように、調整可能なクリップ410は、様々な直径の培地プレート114に適応できるように、アトリウム110の基部の径方向に沿って内側方向および外側方向に滑るように構成されている。いったん直径が培地プレート114の直径と適合するように調整されれば、調整可能なクリップ410のペグ414は、ロックされていないポジションからロックされたポジションに移動可能であり、寒天培地プレート114を固定(保持)する。ペグ414は、寒天培地プレート114の外縁をつかむことができる位置に置かれる。ペグ(杭、支持棒)414はそれぞれ若干傾いており、ペグ414がプレートの大略の直径に配置されると、培地プレート114の側壁に対し内側の力が引き起こされ、培地プレートを確実に保持する。このように、培地プレート114は、複数のクリップの中に圧入され、ペグ414により保持される。
アトリウム(気門室)110
【0041】
図2図4A図4Bを参照すると、アトリウム(気門室、開けた空洞)110は、サンプリング装置100の上部212に取外し可能な状態で連結され、上部チャンバー210と直に空気が連通する(直にエアーフローが接続される)ようになっている。アトリウム110は、カバープレート112を有し、カバープレートの上部は平坦で、側部はクリップ410より幅広で下向きに延びている。複数の開口112が、カバープレート111の上部に形成されている。図4Bを参照すると、1またはそれ以上の固定用のスロットまたは溝112が、カバープレート111の側部に形成されている。それぞれの固定用の溝112は、受け部216の側部218上のそれぞれの突起113と合うようになっている。固定用の溝112は、垂直部分と水平部分とを含む。
【0042】
アトリウム110をハウジング102に取り付けるために、突起113が固定用の溝112の垂直部分に入るように、ユーザーはアトリウム110を培地プレート114の上部に設置する。いったん突起が固定用の溝112の垂直部分に完全に入れば、ユーザーはアトリウム110を回転することができ、突起113は固定用の溝112の水平部分に入り、その結果、アトリウム110を主ハウジング102に取外し可能な状態で固定できる(図4A)。装置100全体を水平に設置されることが可能であるが、アトリウム110は主ハウジング102の上部212にそのまま固定される。ユーザーは、アトリウム110を捩じって外側に引っ張ることにより、突起は水平部分に沿って滑り、次に固定溝112の垂直部分から引っ張り出され、アトリウム110を外すことができる。
ブロワーアセンブリ500
【0043】
図2を参照すると、ブロワーアセンブリ(ブロワ―組立体)500は、空気サンプリング装置100の上部チャンバー200内に設けられている。ブロワーアセンブリ500は、ブロワーハウジング502と、ファン504とを有する。ブロワーハウジング502は、空気を送るプレナム(空気が充満した空間、空気溜め)である。プレナム(空気溜め)502は、少なくとも一つの壁を有し、図2の実施例においては、両端が開いたチューブ形状の円筒形である。ブロワーハウジング502は、単一の一体型された部品であってもよく、複数の分割された異なるハウジングであってもよく、複数の異なるハウジングはそれぞれのハウジングの端で外側に広がったリップ(縁、端)503および505により接続されてもよい。この場合、図示されているように、最初のハウジングの上の縁503は、ハウジング102の上部112に結合され最初のハウジングの底(下側)の縁503は、2番目のハウジングの上側の縁505に結合されてもよい。2番目のハウジングの底(下側)の縁505は、マスフロー検出装置または検出装置のアダプターに結合されてもよい。ガスケットを縁503および505とそれぞれの接続相手との間に設けてもよく、それらの間に気密性のシールを施し、プレナム502からの空気漏れが起きないようにしてもよい。このように、プレナム(空気溜め)502は、上端と、上端の反対側の下端(底端)とを含む。プレナム502の上端は、中央開口119の周りでハウジング102の上部と結合され、プレナム502は、保持部材400とアトリウム110と空気が連通する状態となる。プレナム502は、中央開口119と実質的に同じ大きさであり、僅かに大きくてもよい。これにより、ファン504は、中央開口119を経由し、アトリウム110と保持部材400を通して空気を直接引き込む。
【0044】
ファン504は、プレナム502内に配置される。ファン504は、センターサポートロッドと、ファンブレード506とを有する。センターロッドは、サンプリング装置100の縦軸(長手方向の軸)と概ね平行な向きに延びた縦軸(長手方向の軸)を有する。ファンブレード(羽)506は、センターロッドから外に向かって延び、プレナム502を通して空気を下向きに吸引するように構成されている(図2の実施例のように、サンプリング装置100が垂直または真っすぐに立っているとき)。上部チャンバー210は、寒天培地プレート114の標準的な大きさと形とに適合するようなサイズおよび形状であり、下部(底部)チャンバー250内の電子部品についても同様である。
【0045】
このように、ブロワー組立体500は長くなっており、サンプリング装置100の長手方向の軸と平行な長手方向の軸を有する。したがって、ブロワーアセンブリ500(ファン504およびプレナム502を含む)の長手方向の軸は、サンプリング装置100が垂直の時は垂直であり(図7A)、サンプリング装置100が水平の時は水平である(図7B)。プレナム502およびファン504は、培地プレート114より小さくしてもよく、培地プレート114により信頼できるテスト結果が得られるアトリウム111を通過する空気の流れを作ることができる。図示されているように、プレナム502とファン504は、培地プレート114の約半分の大きさであり、培地プレート114の中央になるように配置されている。
マスフローメーター600
【0046】
マスフローメーター(質量流量計)600も上部チャンバー210内に置かれ、ブロワーアセンブリ500の直下に配置されている。マスフローメーターは、上端に入力(インプット)602と、下端(底端)に出力(アウトプット)604とを有する。入力602はプレナム502の下側の開放端に連結され、プレナム502と空気が障害なく流通するようになっている。このように、マスフローメーター600は、プレナム502を通過するエアーフローを直に受け入れる。プレナム502の下端がマスフローメーター600の入力602より大きい場合は、図示されているように、アダプター603を挿入することにより、プレナム502の下端とマスフローメーター600の入力602との間の機密性を維持することができる。
【0047】
マスフローメーター600は、アトリウム110を通り、培地プレート114にぶつかり、プレナム502を通過し、入力602に入る、サンプリング装置100に流入する空気流量(エアーフローレート)を測定する。マスフローメーター600の出力604から空気が排出されると、その空気は上部チャンバー210に入り、ハウジング102のベント121を経由して排出される。
【0048】
図示されているように、上部チャンバー210はオペレーター用のディスプレイおよび/またはコントロールパネル302、ブロワーアセンブリ500、およびマスフローメーター600を収納する。コントロールパネル302は、電子タッチ式ディスプレイでオペレーターがサンプリング装置100を操作することを可能にする。コントロールパネル302は、ハウジング102に収まるようになっているが、例えば、上部チャンバー210内に張り出すようにしてもよい。しかしながら、空気が上部チャンバー210から漏れ出さないように、コントロールパネル302は、ハウジング102に対し空気および/または液体の密封性を有している。
電子部品アセンブリ(電子部品組立体)300
【0049】
その他の全ての電子部品300(コントロールパネル302、ブロワーアセンブリ500、およびマスフローメーター600を除く)は、下部チャンバー250に収納されている。この構成により、サンプリング装置100は安定し、サンプリング装置100の幅/直径を縮めることができる。電子部品アセンブリ300は、例えば、コントローラー304、パワーサプライ(バッテリー)、そしてモーター306を含むことが可能である。いくつかの実施例では、コントローラーはコンピュータ、またはプロセッサーやASICといったプロセッシング装置(処理装置)であってもよい。コントローラー304は、ファン504、マスフローメーター600およびコントロールパネル302を動かす。コントローラー304は、オペレーターからのコントロールシグナル、例えば、試験(検査、テスト)のスタート・ストップや、試験のパラメーター(時間、流量など)を受け取る。コントローラー304は、流量、テスト時間、残りテスト時間といったサンプリング装置100のオペレーションに関する情報もコントロールパネル302上に表示する。コントローラー304は、他のサンプリング装置のコントローラー304、またはパーソナルコンピュータ、ネットワークやスマートフォンといった遠隔装置と有線または無線でやり取りすることもできる。
【0050】
このように、コントローラー304は、空気サンプリング装置100のファン504とマスフローメーター600とを稼働させる。サンプリングプロセスが始まると、システムは所望の流量を生成しようとする。マスフローメーター600は、システムを通過する流量を遅滞なくコントローラー304に継続的に報告する。コントローラー304は、測定された(検出された)流量が所望の流量(通常は、1立方フィート毎分(cfm))と等しいかどうか評価する。所望の流量と測定された流量との差はエラーとなる。所望の流量が、測定された流量より大きい場合は、コントローラー304は、ファン504の回転数を増やして、流量を増加させる。所望の流量が、測定された流量より小さい場合は、コントローラー304はファン504の回転数を下げて、流量を低減する。このプロセスは継続して繰り返されてもよく(1秒あたり何回も、ノンストップで)、定期的な間隔で繰り返されてもよい。システムの出力の評価と入力の修正とを行う処理は、クロースドループ制御である。比例・積分・微分制御(PID制御)のアルゴリズムは、システムエラーを低い状態に保つためにコントローラー304で使用される。空気サンプリング装置100は、遅滞のない流量に基づき、この制御方法をファン速度の調整のために使用することが望ましい。したがって、コントローラー304は、マスフローメーター600から提供されるリアルタイムのフィードバックに基づき、遅れやマニュアルのやり取り無しに、ファン504のスピードをリアルタイムで制御できる。
【0051】
実施例の1つでは、コントローラー304はネットワーク化されていてもよく、IEEE802.3(有線)、IEEE802.11(無線)、およびIEEE802.15.4(Bluetooth(登録商標)用の無線)などの物理的なおよびデータ接続規格を用いたTCP/IPネットワークを介してインターネットに接続することが可能である。異なる実施例では、コントローラー304はネットワークを通して遠隔的にコマンドを送受信してもよい。プロセッシング機器(スマートフォン、コンピュータ等)などのネットワークに繋がった機器やアプリケーションを使用し、空気サンプリング装置100は、ネットワークを介して、遠隔的にモニターされ、コントロールされてもよい。空気サンプリング装置100は、取外し可能なUSBフラッシュドライブにイベント履歴をエクスポート(出力)することも可能である。フラッシュドライブとUSB接続端子には、平らで空気サンプリング装置100を水平なポジションに保持した状態で、コントローラー・アクセス・パネル131(図1)からアクセス可能である。イベント履歴には、サンプリングイベント(事象)、キャリブレーション(校正)イベント、および管理イベントが含まれる。実施例の1つでは、空気サンプリング装置100はネットワークおよび中央制御装置と一体化され、中央からモニタリングと制御をおこなってもよく、それらについては、米国特許第9285,792号、第9063040号、第9046453号、および米国特許公開第2016/0061796号に示されている。それらの特許と出願の内容は、参照によりここに組み込まれている。
換気スロット121およびポートアダプター650
【0052】
図1を参照すると、細長い換気スロット121が上部ハウジング120の背面の下側に配置されている。換気(排気)スロット121は、複数の垂直な部材を備えていてもよく、それらがハウジング120と一体になり、複数のスロットを形成するとともに、安全性を担保する。排気用のポートアダプター650が設けられてもよく、それは排気スロット121と合う(結合する)ようになっている。アダプター650は、ベース652とノズル654とを有する。ベース652は、換気スロット121と同じ形をしている。ベース652は、ノズル654を覆うとともに密閉されるように結合し、ノズル654を通じて排出される以外に空気がハウジング102から漏れ出すことを防止する。ノズル654は、ベース652から外側に突き出しており、中心に開口があり、ノズル654およびベース652を通じて延びている。
【0053】
清潔な環境の外の離れた場所に排気を移動させるために、チューブをノズル654に取り付け可能である。したがって、上部チャンバー210からの空気は、ノズル654を通りチューブ内へと排気される。
【0054】
排気ポートアダプター650は、排気接続機構656を介して、換気スロット121と、着脱可能に連結される。排気接続機構656は、雄部材(例えば、ばねでバイアスされたアームなど)であってもよく、雌となる換気スロット121に入れるときにスライドさせて結合し、垂直の支持部を把持するようにしてもよい。排気ノズル654は、ほぼ円筒形のアウトプットノズルとして典型的に示されるが、チューブが取り付けられる形状であればいずれの形状であってもよい。いくつかの実施例では、排気ノズル654は、クランプ(締め金)を用いてチューブを確実に接続するとともに気密になるようにしてもよい。その他の実施例では、排気ノズル654の外側にリブが設けられるとともにテーパー状となり、チューブを接続できるとともに、それらに対してチューブを押し込むことで気密になるようにしてもよい。
【0055】
本発明のさらに別の実施例では、換気スロット121は、ハウジング102に設けられた単一の開口であってもよく、それとは別のグリル(格子)を用意してスロット121に組付け(固定する機構や擦り合わせ構造などにより)可能とし、排気アダプター650とともに取り外したり交換したりできるものであってもよい。
【0056】
このように、換気口または換気スロット121および/または排気ポートアダプター650は、空気サンプリング装置100を通った空気が外部環境へ排出されるようにしている。空気は、上部本体120の上部にあるアトリウム110の開口を通って中に入り、そして上部本体120の後部(後側)にある排気スロットを通って排出される。換気スロット121は、上部ハウジング120の背面下側に配置されており、これによりサンプリング装置100を通して、直に入り、連続した空気の流れが形成される。
オペレーション-空気の流れ
【0057】
図2、3A-3Dを参照して、空気サンプリング装置100のオペレーション(動作)を説明する。オペレーションは、オペレーターがサンプリングテストのパラメーターをセットし、スタートを押すことにより開始されるか、または以前にセットされたテストが開始されるようプログラムされていることにより(例えば4時間毎に)開始される。まず、コントローラー304はファン504を稼働する。空気の流れを示す矢印10(図3A)に示されているように、ファン504は、アトリウムの開口112を介してサンプリング装置100の中に空気を引き込み、吸引された空気は、空気の流れを示す矢印12(図3B)に示すように、寒天培地プレート114を横切る(交差する、越える)。空気は培地プレート114にぶつかり、培地プレート114を回り、培地プレート114の真下に至り(図2に示されているように、培地プレート114の底と底部(下部)402との間には空間があり、そして、培地プレート114の底と保持部材430との間にも空間がある)、空気の流れの矢印14(図3C)に示されているように、空気は保持部材400の中央の開口119を通って排出される。
【0058】
なお、各開口112を通過してシステムに流入する空気のスピードは、ファン504のスピードおよびアトリウム110の開口112の直径および数の関数である。開口112の下の領域に空気が入ると(図3Bの空気の矢印12)、空気は最も近い負圧源である中央の開口119の方向に偏向される。最初の空気流入の方向10(図3A)と新たな空気の流れの方向12(図3B)は、ほぼ垂直である。空気の向きが変わるとき、空気中で速く動く粒子の多くは、その慣性により急激に方向を変えることができない。これらの粒子は、ほぼ最初の方向を維持し、寒天培地プレート114に衝突し、寒天培地に個々の粒子が保持される。このプロセスの重要なことは、これらの粒子が寒天培地内に蓄積されることであり、それにより粒子を後で分析することが可能となる。方向の変わった空気は、外側横方向に向かって吸引され、寒天培地プレート114の培地側を横切り、その端を超えて、外側の壁の外側を下がり、プレート114の底側を横方向内側に横切り、中央の開口119を通って吸引される。
【0059】
空気の流れがアトリウム110を通過し(空気の流れ10)、保持部材400を通過すると、中央開口119を通って(空気の流れ14)、空気の流れの矢印16(図3C)に示されているように、空気サンプリング装置100の上部チャンバー210にあるプレナム(空気溜め)502に空気が入る。空気は、中央開口119より、上部が解放されているプレナム504に直接入る(空気の流れ14)。ファン504は、プレナム504を通して空気を押圧し(空気の流れ16)、空気をプレナム504の下部開放端から排出させる。空気は、続いて、アダプター603(もし使われていれば)からマスフローメーター600の入力602を通過する。マスフローメーター600は、空気の流れ18を絶えず計測し、計測された空気流量のシグナルを計測された空気流量とともに、コントローラー304に提供する。コントローラー304は、連続して計測シグナルを読み、計測された空気流量と所望の空気流量との差を埋めるようにファン504のスピードを調節する。
【0060】
空気の流れの矢印20に示されているように、空気の流れは、マスフローメーター600を連続して通過し、出力604より排出される。図3Cに示されているように、空気の流れ20はマスフローメーター600を出ると上部チャンバー200に入る。上部チャンバー210が加圧されると(大気圧と比較し)、空気は、換気スロット121を通じて装置100の外へ排気される。隔壁125が設けられていてもよく、空気が下部チャンバー250に入ることを防ぎ、下部チャンバー250と電子機器300は、空気の流れとは干渉しない。モーター306はファンアセンブリ504の一部であることから、冷却される必要はない。排気は、空気が入った方向に対しほぼ平行となるように空気サンプリング装置100から放出され、境界内では層流が維持されるようにする。上部チャンバー210の背面にある換気用のスロット121を通して、空気サンプリング装置100とハウジング本体102の外部に排気される。他の実施例では、プレナムまたはチューブによりマスフローメーター600の出力604を排気スロット121に接続してもよい。
【0061】
図3Dに示す実施例の他の例においては、排気プラグを換気スロット121に替えて設けてもよく、換気スロット121に取り付けてもよく、それにより空気の流れ20はポートアダプター650を通って排気される。チューブをポートアダプター650のノズル654に接続して、クリーンな環境の外部の離れた場所に空気を運んでもよく、そこを最終的に処分または排気場所としてもよい。このように、空気は排気スロット121および/またはポートアダプター650を通過し、取り付けられたチューブに再び導かれる。
【0062】
なお、サンプリング装置100およびその様々な部品は、示されているように、大体が円筒状である。例えば、アトリウム110、保持アセンブリ400、上部プレート420、下部プレート(底プレート)402、培地プレート114、保持部材(固定部材)430、およびブロワーアセンブリ212は全て円筒状である。本発明においては、円筒状または円状で設計される必要はなく、本発明の精神とその範囲内において、その他の形で提供されてもよい。
【0063】
本明細書には、円形、丸、先細、平行、垂直、同心円、弧、および平ら、といったようないくつかの幾何学用語または関係用語が用いられている。さらに、上部、底(下部)、左、右、上、下、内側、および外側といったような方向や位置に関する用語が記述には使われている。それらの用語は、図に示されている実施例に基づき、単に記述を容易にする目的のためである。それらの用語は、本発明を制限するものではない。従って、本発明はそれらの幾何学用語、関係用語、方向や位置を示す用語無しに記述されることが可能であることが認識されるべきである。さらに、幾何学用語や関係用語はその通りでなくてもよい。例えば、壁は互いに厳密に垂直や平行でなくてもよく、例えば、表面のでこぼこや、製造の際に許容される誤差などを考慮して、実質的に垂直や平行と考えられるものであってもよい。さらに、本発明の精神やその範囲から逸脱すること無しに、その他の適切な幾何学性および関係性を備えていてもよい。
【0064】
さらに、サンプリング装置100は、コントローラー304などの、1または複数のプロセッシング装置(処理装置)によるオペレーション(操作)を含む。プロセッシング装置は、プロセッサー、マイクロプロセッサー、PC、タブレット、スマートフォンなどの適切な装置のいずれであってもよい。プロセッシング装置は、ディスプレイ装置(モニター、LEDスクリーン、デジタルスクリーンなど)、メモリーまたは記憶装置、入力装置(タッチスクリーン、キーボード、マウスなどのポインティング装置など)、ワイヤレス・モジュール(RF、Bluetooth(登録商標)、赤外線、WiFi、Zigbee(登録商標)など)といった適切なコンポーネントと組み合わせて使用することが可能である。プロセッシング装置により処理されたり出力された情報は、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、CD-ROMディスク、またはその他の適切な情報記憶装置であって、プロセッシング装置に設けられたり、接続されている装置に格納されてもよい。全てのプロセスは、プロセッシング装置により自動的に処理され、マニュアル操作が介入することはない。このため、記載されていない限り、プロセスは実質的にリアルタイムで、遅れやマニュアル操作無しに行われる。
【0065】
本明細書において、「実質的に」、「約」という用語は、プラスマイナス20%を意味し、より好ましくはプラスマイナス10%、さらに好ましくはプラスマイナス5%、最も好ましくはプラスマイナス2%を意味する。
【0066】
本明細書において、実施例は明確で簡潔な記述を可能とするように記述されているが本発明の精神とその範囲を逸脱すること無しに、実施例は様々に組み合わされたり分離されたりすることが意図され、そして認識される。例えば、ここで記述されている全ての好ましい特徴は、ここで記述されている本発明の全ての形態に適応可能である。
【0067】
空気サンプリング装置100は、制御された環境において特に有用である。制御された環境での使用に適する素材から作られることも可能である。しかしながら、空気サンプリング装置100はその他の環境での使用も可能である。
上記には、制御された環境において空気をサンプリングするための空気サンプリング装置であって、上部と側部とを含むハウジング本体と、前記ハウジング本体の前記上部に設けられた開口と、サンプリングデバイスを保持するように構成された保持アセンブリであって、前記ハウジング本体の前記上部において前記開口の周りに位置する保持アセンブリと、上端と下端とを含む空気溜めであって、前記上端は前記ハウジング本体の前記上部に前記開口の周りで連結され、前記開口と連通した空気溜めと、入力と出力とを含むマスフローメーターであって、前記入力は前記空気溜めの前記下端と連結され、前記空気溜めの前記下端と連通したマスフローメーターと、前記空気溜め内のブロワーであって、前記サンプリングデバイスを通過した空気を吸引し、前記開口を通り、前記空気溜めを通り、および前記マスフローメーターを通るように構成されたブロワーとを有する空気サンプリング装置が開示されている。前記マスフローメーターが、前記マスフローメーターを通過する空気流量を検出してもよい。空気サンプリング装置は、前記マスフローメーターから、検出された流量を受け取り、前記検出された流量に応じて前記ブロワーのスピードを制御する処理装置を有していてもよい。前記処理装置は、前記検出された流量が所望の流量より低い場合は前記ブロワーの前記スピードを増加し、前記検出された流量が所望の流量より高い場合には、前記ブロワーの前記スピードを低下させてもよい。空気サンプリング装置は、前記ハウジング本体に連結され、前記サンプリングデバイスを囲う気門室を有していてもよい。前記気門室は、前記気門室を前記ハウジング本体に対し取外し可能にロックするロッキング機構を含んでもよい。前記気門室は固定用スロットを含み、前記ハウジング本体は突起を含み、前記突起が前記固定用スロットと取り外し可能に係合し、前記気門室を前記ハウジング本体に対して取り外し可能にロックしてもよい。前記保持アセンブリは、前記サンプリングデバイスと係合する調整可能な止め金を少なくとも1つ含み、前記調整可能な止め金は内位置と外位置とを含み、異なるサイズのサンプリングデバイスを固定してもよい。前記ハウジング本体は、前記マスフローメーターの前記出力から空気を排出するベントを含んでもよい。空気サンプリング装置は、前記ベントに対し取外し可能に連結するように構成されたベント・アダプターを有し、前記ベント・アダプターは、チューブと連結するように構成されたノズルを含み、前記マスフローメーターの前記出力からの空気を前記チューブにより遠方へ排出してもよい。空気サンプリング装置は、サンプリングイベント、校正イベント、および/または管理イベントを記録する処理装置を有していてもよい。前記処理装置は、遠隔ネットワークと接続されており、前記サンプリングイベント、校正イベント、および管理イベントを遠隔ネットワークに伝達してもよい。前記ハウジング本体と前記空気溜めは円筒形であり、前記開口は円状であってもよい。
上記には、さらに、制御された環境で空気をサンプリングする方法が開示されている。この方法は、ハウジング本体内部のブロワーを作動させて空気を吸引し、ハウジング外部に位置する培地プレートを横切り、マスフローメーターを通過させることと、前記マスフローメーターで前記空気の流量を検出することと、処理装置で前記検出された流量に応じて前記ブロワーのスピードを制御することとを有する。前記処理装置が、前記検出された流量が所望の流量より低い場合には前記ブロワーのスピードを増加し、前記検出された流量が所望の流量より高い場合は前記ブロワーのスピードを低下してもよい。
【0068】
これらの記述と図面とは、本発明の原理のみを説明していると考えられるべきである。本発明は、様々な形や大きさで構成されてもよく、好ましい実施例のみに限られることは意図していない。当業者においては、本発明の多数の適応例は自明である。それゆえ、本発明は、開示された特定の事例、または記述され、示された通りの構成およびオペレーションに限定されるものではない。むしろ、全ての適切な変更および等価なものは、本発明に相当し、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
100 空気サンプリング装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8