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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】物品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
B65G47/14 101C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022503653
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2021006884
(87)【国際公開番号】W WO2021172363
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2020030204
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392017004
【氏名又は名称】湖北工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】布施 雄司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】廣田 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤中 博行
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第0085124(EP,A1)
【文献】特開昭62-290624(JP,A)
【文献】特開2010-131519(JP,A)
【文献】実開平3-77499(JP,U)
【文献】特開2008-297030(JP,A)
【文献】特開2014-198634(JP,A)
【文献】特開平9-20420(JP,A)
【文献】米国特許第5913428(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大径が第1の径である棒状の第1の部分と、前記第1の部分の一端に接続された第2の部分であって、少なくとも前記第1の部分との境界に前記第1の径より大きい第2の径を有する境界部を含む第2の部分と、を有する長尺状物品を移動させる過程で前記長尺状物品の向きを揃える物品供給装置であって、
前記長尺状物品の前記第1の径より大きく且つ前記第2の径より小さい幅を有しており、鉛直方向と交差する方向に延在しているスリットと、前記スリット上に前記長尺状物品の最大径より大きく且つ前記長尺状物品の軸長より小さい径を有するスリット拡径部と、が設けられた支持面であって、前記スリットの一端に横臥した状態で供給される前記複数の長尺状物品が前記スリットの他端まで移動可能に構成された支持面を有し、前記スリットは前記支持面の長手方向に沿って設けられ、更に前記支持面の下方には空間が設けられており、この空間の高さは、前記長尺状物品の前記第1の部分が前記スリット内に入り込み、前記境界部が前記支持面に対して吊り下げ支持されることにより、前記長尺状物品が起立した状態に姿勢変位することが可能な高さであるレール部と、
前記長尺状物品の前記最大径より大きく且つ前記長尺状物品の前記軸長より小さい径を有し、前記スリットの前記他端と連通しており、前記スリットの前記他端まで移動された前記長尺状物品を落下させる排出口と、
を備える、
物品供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品供給装置であって、
更に、所定の振動方向を有する振動を発生させる振動発生装置を備え、
前記振動発生装置は、
前記レール部に、前記複数の長尺状物品が前記支持面上を摺動することにより前記スリットの前記一端から前記他端まで移動可能となる振動を付与する、
ように構成された、
物品供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物品供給装置であって、
更に、前記排出口を介して前記レール部と対向している傾斜面を備え、
前記傾斜面は、
前記スリット及び前記傾斜面を平面視したときに前記スリットの前記他端から延びる仮想延長線と交差しており、
前記排出口に向かって下降するように傾斜している、
物品供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の物品供給装置であって、
前記スリット拡径部に対して前記スリットの前記他端側に、前記スリット拡径部と隣接しており、前記スリットの上端と略同一の高さである面を有する補助部材を更に備えており、
前記補助部材は、
前記スリットの長手方向における所定の長さに亘って前記スリットの開口を塞いでいる、
物品供給装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の物品供給装置であって、
前記レール部の前記空間には、前記スリットの幅方向と平行な方向に沿って延びている棒状部材が、前記スリットの上端から前記長尺状物品の前記第1の部分の軸長より短い所定の距離だけ下降した位置であり且つ前記スリット拡径部から前記長尺状物品の移動方向とは反対方向に所定の距離範囲に含まれる任意の距離だけ離間した位置に設けられている、
物品供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給装置に関する。特に、一方の部分が他方の部分より大径である長尺状物品の向きを揃えて外部装置に供給する物品供給装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一方の部分が他方の部分より大径である長尺状物品の向きを揃えて外部装置に供給する物品供給装置が知られている。例えば、特許文献1には、棒状のリード線付金属キャップの向きを揃えて外部装置に供給する自動供給装置が開示されている。リード線付金属キャップは、直線状のリード線と、リード線に接続され、リード線より大径であるキャップ部と、を備える(以下、リード線付金属キャップを単に「リード線物品」と称する。)。自動供給装置は、水平方向に延在している略直方体形状のレール部を備える。レール部の上面には、所定の幅及び深さを有するスリットがレール部の長手方向に沿って設けられている(以下、この上面を「支持面」と称する。)。スリットの幅は、リード線の径より大きく、キャップ部の径より小さい。スリットの深さは、リード線の軸長より長い。レール部の下面には、レール部に振動を付与可能な振動発生装置が接続されている。この振動発生装置は、レール部に、支持面上の任意の物品をスリットの一端から他端に向かう方向に移動させる振動を付与する。
【0003】
スリットの一端には、複数のリード線物品が横臥した状態で供給される。これらのリード線物品は、スリット上に、それらの軸方向がスリットの延在方向と略平行となるように供給される。ただし、スリット上に横臥したリード線物品の向きは様々である。つまり、複数のリード線物品は、スリット上に不揃いに横臥した状態で供給される。リード線物品がスリット上に供給されると、リード線物品は重力によりキャップ部を支点として直ちに回転し、リード線がスリット内に入り込み、キャップ部が支持面に対して吊り下げ支持された状態(別言すれば、起立した状態)となる。キャップ部は支持面に対して摺動可能となっている。このため、振動発生装置によりレール部に振動が付与されると、キャップ部が支持面を摺動することによりリード線物品がスリットに沿ってその一端からその他端まで移動する。スリットの他端まで移動したリード線物品は、当該他端から所定の向き(典型的には、リード線側が下向きとなるような向き)で落下し、外部装置に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平3-77499号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1の自動供給装置によれば、リード線物品の径の差を利用してその姿勢をスリット上で横臥状態から起立状態に変位させることにより、不揃いな向きで供給された複数のリード線物品をそれらの向きが揃えられた状態で外部装置に供給できる旨が記載されている。しかしながら、この自動供給装置では、リード線物品の供給状態によっては、リード線物品が横臥状態のままスリットの他端まで移動してしまい、その結果、向きが不揃いな状態で外部装置に供給される可能性がある。
【0006】
即ち、スリット上には複数のリード線物品が断続的に供給されるため、供給ペースによっては、既に起立状態にあるリード線物品に、まだ横臥状態のリード線物品が引っ掛かり(別言すれば、横臥状態のリード線物品のリード線がスリット内に入り込むことが起立状態のリード線物品により阻まれて)、起立状態に姿勢変位できない場合がある。このような状態でこれらのリード線物品がスリットの他端まで移動すると、横臥状態のリード線物品がそのまま落下するため、向きが不揃いな状態で外部装置に供給される可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、一方の部分が他方の部分より大径である長尺状物品の向きを適切に揃えて外部装置に供給することが可能な物品供給装置を提供することにある。
【0008】
本発明による物品供給装置(1)は、
最大径が第1の径(d1)である棒状の第1の部分(104)と、前記第1の部分(104)の一端に接続された第2の部分(102)であって、少なくとも前記第1の部分(104)との境界に前記第1の径(d1)より大きい第2の径(d2)を有する境界部(102b)を含む第2の部分(102)と、を有する長尺状物品(100)を移動させる過程で前記長尺状物品(100)の向きを揃えるように構成されている。
この物品供給装置(1)は、
前記長尺状物品(100)の前記第1の径(d1)より大きく且つ前記第2の径(d2より小さい幅(w1)を有しており、鉛直方向と交差する方向に延在しているスリット(24)と、前記スリット(24)上に前記長尺状物品(100)の最大径(d3)より大きく且つ前記長尺状物品(100)の軸長(L1)より小さい径(d6)を有するスリット拡径部(24a、24b)と、が設けられた支持面(22a、22b)であって、前記スリット(24)の一端(E3)に横臥した状態で供給される前記複数の長尺状物品(100)が前記スリット(24)の他端(E4)まで移動可能に構成された支持面(22a、22b)を有し、前記スリット(24)は前記支持面(22a、22b)の長手方向に沿って設けられ、更に前記支持面(22a、22b)の下方には空間(S1)が設けられており、この空間(S1)の高さは、前記長尺状物品(100)の前記第1の部分(104)が前記スリット(24)内に入り込み、前記境界部(102b)が前記支持面(22a、22b)に対して吊り下げ支持されることにより、前記長尺状物品(100)が起立した状態に姿勢変位することが可能な高さであるレール部(20)と、
前記長尺状物品(100)の前記最大径(d3)より大きく且つ前記長尺状物品(100)の前記軸長(L1)より小さい径(d7)を有し、前記スリット(24)の前記他端(E4)と連通しており、前記スリット(24)の前記他端(E4)まで移動された前記長尺状物品(100)を落下させる排出口(32)と、
を備える。
【0009】
本発明によれば、一方の部分が他方の部分より大径である長尺状物品の向きを適切に揃えて外部装置に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る物品供給装置の斜視図である。
図2】リード線端子の斜視図である。
図3図1のレール部及び排出部並びにその近傍を含む部分拡大図である。
図4図3の平面図である。
図5】スリット上に設けられた拡径部近傍の平面図である。
図6A】レール部のスリット上に配置された直後の複数のリード線端子を示す側面図である。
図6B図6Aに示すリード線端子が起立状態に姿勢変位した状態を示す側面図である。
図7】起立状態のリード線端子に横臥状態のリード線端子が引っ掛かっている状態を示す側面図である。
図8】スタック状態を説明するために用いる図である。
図9A】スリットの幅方向における略中央を通る鉛直面で切断したときの断面図であり、ピンの効果を説明するために用いる図である。
図9B】スリットの幅方向における略中央を通る鉛直面で切断したときの断面図であり、ピンの効果を説明するために用いる図である。
図9C】スリットの幅方向における略中央を通る鉛直面で切断したときの断面図であり、ピンの効果を説明するために用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る物品供給装置1は、供給部10と、レール部20と、排出部30と、シューター部40と、貯蔵部50と、バイブレータ60と、支台70と、を備える。物品供給装置1は、複数のリード線端子100の向きを揃えて外部装置(図示省略)に供給するように構成されている。なお、本実施形態に直接的に関係のない部材の図示は省略している。
【0012】
供給部10は、略直方体形状であり、リード線端子100をレール部20に供給するように構成されている。供給部10の上面12は、その長手方向における一方の側(レール部20が接続されているほうの側)に、面12aを有する。面12aは、その長手方向と直交する平面で切断したときの断面が略V字状となっている。即ち、面12aは、その幅方向における略中央に向かって下降する一対の傾斜面によって構成されている。面12aの幅方向における略中央部分(即ち、一対の傾斜面が互いに交差している直線状の部分)は、水平方向に延びている。面12aの一端E1には、図示しない外部装置から複数のリード線端子100(後述)が供給される。
【0013】
供給部10の一対の側壁14(供給部10の幅方向における両側の側壁)は、それらの上端が面12aの上端よりも上方に位置している。これにより、面12a上に供給されたリード線端子100がバイブレータ60の振動(後述)により面12aから落下することが防止される。
【0014】
面12aの他端E2側には、面12aの幅方向及び鉛直方向に拡がる調整板16(図3及び図4参照)が設けられている。調整板16は、面12aの他端E2側の開口をその幅方向における略半分だけ塞いでいる。これにより、供給部10からレール部20に過度なペースでリード線端子100が供給されることが抑制される。
【0015】
ここで、図2を参照してリード線端子100について説明する。図2に示すように、リード線端子100は長尺状であり、タブ端子102と、棒状のリード線104と、を備える。タブ端子102は、圧延部102aと、棒状部102bと、を備える。
【0016】
圧延部102aは、アルミニウム等の金属棒の軸方向の一部を径方向にプレス加工するとともに、その外周を厚み方向に沿って切断する切断加工を行うことにより形成される。なお、この金属棒は、ホウ酸やアジピン酸等を含む化成液によってあらかじめ化成処理されて外表面が酸化皮膜で被覆されている。棒状部102bは、上記金属棒のうちプレス加工及び切断加工が行われずに残存している部分である。棒状部102bの一端には、溶接によりリード線104が接続されている。リード線104の軸線は、棒状部102bの軸線と同軸である。リード線104は、例えば、鉄線の外周面に銅層を設けたCP線等によって形成され得る。
【0017】
リード線104の径d1は、軸方向に亘って一定である。棒状部102bの最大径である径d2は、径d1よりも大きい(d2>d1)。圧延部102aは平板状であり、その幅は、全長に亘って一定である。圧延部102aの幅d3は、径d2よりも大きい(d3>d2)。一方、圧延部102aの厚みd4は、径d1よりも小さい(d4<d1)。なお、本実施形態では、リード線端子100の最大径(即ち、リード線端子100の軸方向と直交する方向における最大部の幅)は、圧延部102aの幅d3である。
【0018】
リード線端子100は、電解コンデンサの構成部品の1つである。即ち、物品供給装置1は、電解コンデンサの製造ラインに組み込まれている。物品供給装置1により向きが揃えられたリード線端子100は、外部装置(典型的には、リード線端子100の圧延部102aに電極箔をかしめ接続するための装置)に供給される。
【0019】
図1に示すように、レール部20は、略直方体形状であり、リード線端子100の姿勢を横臥状態から起立状態に変位させるように構成されている。レール部20の一端E3は、供給部10の他端E2に接続されている。レール部20の一端E3から他端E4に向かう方向は、供給部10の一端E1から他端E2に向かう方向と略平行である。
【0020】
図3及び図4を参照して具体的に説明する。図3及び図4に示すように、レール部20の上壁22は、一対の面22a及び面22bを有する。面22a及び面22bは、それぞれ、上壁22の幅方向における略中央に向かって下降する傾斜面である。面22aと面22bとの間には、これらの長手方向に沿って、一端E3から他端E4までスリット24が設けられている。面22a及び面22bをこれらの長手方向と直交する平面で切断したときの断面は略V字状となっている。
【0021】
スリット24は、水平方向に延びている。スリット24の上端の高さは、供給部10の面12aの幅方向における略中央部分の高さと略同一である。上壁22の幅方向におけるスリット24の位置は、面12aの幅方向における略中央部分の位置と略一致している(図4参照)。これにより、リード線端子100は、供給部10からレール部20にスムースに移動される。
【0022】
レール部20は中空である。スリット24は、レール部20の内部の空間S1(図3参照)と連通している。スリット24の幅w1は、リード線端子100のリード線104の径d1より大きく、タブ端子102の棒状部102bの径d2より小さい(d1<w1<d2)。空間S1の高さは、リード線端子100のリード線104がスリット24内に入り込み、棒状部102bが面22a、22bに対して吊り下げ支持されることにより、リード線端子100が起立した状態に姿勢変位することが可能な高さとなっている。即ち、棒状部102bが面22a、22bに接触している接触位置から空間S1の下端までの距離は、リード線104の軸長L2より長い。これにより、供給部10からレール部20(より詳細には、主にスリット24上)に供給されたリード線端子100は、スリット24上で横臥状態から起立状態にその姿勢が変位する(後述)。
【0023】
スリット24は、一端E3から他端E4に向かって所定の距離だけ離間した位置に拡径部24aを有するとともに、拡径部24aから他端E4に向かって所定の距離だけ離間した位置に拡径部24bを有する。拡径部24a及び拡径部24bは略同一形状であるため、以下、図5を参照して拡径部24aについて具体的に説明する。図5に示すように、拡径部24aは、平面視において略円形形状を呈しており、その中心Cは、スリット24の幅方向における中心線上に位置している。拡径部24aの径d6は、リード線端子100の圧延部102aの幅d3(即ち、最大径d3)よりも十分に大きく且つリード線端子100の軸長L1よりも小さい(d3<d6<L1)。拡径部24a及び拡径部24bはレール部20の空間S1と連通している。これにより、起立状態のリード線端子100のみが拡径部24a及び拡径部24bから空間S1に落下する(後述)。
【0024】
拡径部24aの他端E4側には、スリット24の開口を塞ぐ補助部材としての補助板26aが設けられている。補助板26aは、拡径部24aに隣接している。補助板26aの上面は、スリット24の上端と同一の高さ又は僅かに低い高さに位置している(図3参照)。補助板26aのスリット24の長手方向における長さは、拡径部24aの径d6より大きい。同様に、拡径部24bの他端E4側には、補助板26aと同一の構成を有する補助板26bが設けられている(図3及び図4参照)。補助板26a及び補助板26bにより、横臥状態のリード線端子100の圧延部102aが拡径部24a又は拡径部24bの近傍でスタックすることが抑制される(後述)。
【0025】
レール部20の内壁には、スリット24の幅方向と平行な方向に沿って延びる、棒状部材としてのピン28a及びピン28bが固定されている(図3参照)。ピン28aは、略円柱形状を呈しており、スリット24の上端から所定の距離D1だけ鉛直方向に下降した位置であり(図9A参照)且つ拡径部24aの平面視における中心Cから距離D2だけ一端E3側に離間した位置(図5及び図9A参照)に固定されている。距離D1は、リード線端子100のリード線104の軸長L2より短い(図9A参照)。距離D2は、平面視において拡径部24aとピン28aとが部分的にオーバーラップする(即ち、拡径部24aからピン28aの一部が視認可能である)程度の値に設定されている。同様に、ピン28bは、略円柱形状を呈しており、スリット24の上端から所定の距離D1だけ鉛直方向に下降した位置であり且つ拡径部24bの平面視における中心から距離D2だけ一端E3側に離間した位置に固定されている。これにより、拡径部24a又は拡径部24bを落下したリード線端子100が空間S1にて回転して圧延部102a側が下向きとなって落下してしまうことが抑制される(後述)。
【0026】
図3及び図4に示すように、排出部30は、略直方体形状であり、レール部20の他端E4に隣接して設けられている。排出部30は、排出口32と、傾斜面34と、を備える。排出口32は、平面視において略円形形状を呈しており、その中心は、スリット24の幅方向における中心線上に位置している(図4参照)。排出口32の径d7は、リード線端子100の最大径d3よりも十分に大きく且つリード線端子100の軸長L1よりも小さい(d3<d7<L1)。排出口32は、スリット24及び空間S1と連通している。加えて、排出口32は排出部30の高さ方向に延びており、後述する接続部46c内の空間S2を介してシューター部40のシューター42cの内部と連通している(図3参照)。これにより、起立状態のリード線端子100のみが排出口32からシューター42cに落下する(後述)。
【0027】
傾斜面34は、排出口32を介してレール部20と対向している。傾斜面34は、平面視において略矩形状を呈しており、その長手方向は、スリット24の延在方向と平行である(図4参照)。加えて、傾斜面34の平面視における幅方向中心は、スリット24の幅方向における中心線上に位置しており、傾斜面34の幅方向における長さは、排出口32の径d7と略等しい(図4参照)。別言すれば、傾斜面34は、スリット24及び傾斜面34を平面視したときにスリット24の他端E4から延びる仮想延長線と交差している。
【0028】
傾斜面34は、排出口32に向かって下降するように傾斜している。傾斜面34の下端34a(図3参照)は、スリット24の上端よりも僅かに高い位置に位置している。即ち、スリット24の上端は、排出口32の内周面と対向している。これにより、リード線端子100がスリット24の他端E4まで横臥状態で移動されたとしても、圧延部102aが傾斜面34に乗り上がり、その結果、リード線端子100は、リード線104側が下向きとなるように排出口32を落下するため、リード線端子100の向きが揃えられた状態で外部装置に供給され得る(後述)。
【0029】
図1に示すように、シューター部40は、3つの筒状のシューター42a、42b及び42c並びに移送部44を備える。レール部20の下面には、接続部46a、46b及び46cが取り付けられている(厳密には、接続部46cは、レール部20の下面及び排出部30の下面に取り付けられている。)。接続部46a乃至接続部46cの内部には、空間S2が設けられている(図3参照)。シューター42a及びシューター42bの内部は、接続部46a及び接続部46b内の空間S2を介してレール部20内の空間S1とそれぞれ連通している。より具体的には、シューター42a及び接続部46aは、スリット24の拡径部24aの下方に位置しており、シューター42b及び接続部46bは、スリット24の拡径部24bの下方に位置している(図3参照)。一方、シューター42cの内部は、接続部46c内の空間S2を介して排出部30の排出口32と連通している。より具体的には、シューター42c及び接続部46cは、排出口32の下方に位置している(図3参照)。
【0030】
移送部44は、筒状であり、その内部は、シューター42a乃至シューター42cの内部とそれぞれ連通している。移送部44の下面は、シューター42aからシューター42cに向かう方向に下降するように傾斜している。
【0031】
貯蔵部50は、略直方体形状であり、上方に向けて開口している。貯蔵部50の一端はシューター部40の移送部44の下流端に接続されている。貯蔵部50には、移送部44を滑り落ちてきたリード線端子100がその向きを維持した状態で貯蔵される。貯蔵部50に貯蔵されたリード線端子100は、その向きを維持した状態で貯蔵部50から1本ずつ取り出され、外部装置に供給される。
【0032】
振動発生装置としてのバイブレータ60は、供給部10の下面及びレール部20の下面に接続されている。バイブレータ60は、供給部10の面12a上のリード線端子100をその一端E1からその他端E2に向かう方向に移動させることが可能な振動を供給部10に付与するとともに、レール部20のスリット24上のリード線端子100をその一端E3からその他端E4に向かう方向に移動させることが可能な振動をレール部20に付与する。以下では、リード線端子100の移動方向を「移動方向A」と称する。
【0033】
支台70は、バイブレータ60の下面に接続されている。支台70は、各部材10、20、30、40、50及び60を支持可能に構成されている。
【0034】
次に、物品供給装置1の動作について説明する。図1に示すように、供給部10の面12aの一端E1には、図示しない外部装置から複数のリード線端子100が供給される。これらのリード線端子100は、面12aの傾斜面を滑り落ちて面12aの幅方向における略中央部分に集積される。これにより、リード線端子100は、これらの軸方向が移動方向Aと略平行となるように面12a上に集積される。この時点では、リード線端子100の向きは不揃いである。即ち、圧延部102a側が移動方向Aを向いているリード線端子100と、リード線104側が移動方向Aを向いているリード線端子100とが混在している。
【0035】
バイブレータ60により供給部10に振動が付与されると、集積されたリード線端子100は、面12a上を摺動しながら他端E2に向かって移動する。バイブレータ60の振動を制御することにより、面12a上を移動するリード線端子100の移動スピードが制御される。面12aの他端E2に到達したリード線端子100は、レール部20の一端E3に供給される。このとき、供給部10の調整板16により、リード線端子100が過度なペースでレール部20に供給されることが抑制される。
【0036】
レール部20に供給されたリード線端子100は、一対の面22a及び面22bを滑り落ちてスリット24上に集積される。図6Aは、スリット24上に集積された直後における複数のリード線端子100を示す。なお、図6Aは、レール部20の長手方向における一部を側面視した図であるが、図を見易くするために、リード線端子100に対して手前側に位置している上壁22等の図示を省略している。図6B及び図7についても同様である。
【0037】
図6A及び図6Bに示すように、リード線端子100がスリット24上に集積されると、リード線端子100は重力により棒状部102bを支点として直ちに回転し、リード線104(リード線104と圧延部102aのうち、より重いほう)がスリット24内に入り込み、棒状部102bが面22a(図示省略)及び面22bに対して吊り下げ支持された状態となる(図6B参照)。このとき、タブ端子102はスリット24の上端から上方に露出している。
【0038】
即ち、レール部20では、スリット24が設けられていることにより、横臥状態で供給されたリード線端子100の姿勢が起立状態に変位する。この現象は、リード線端子100の向きに関わらず起こり得る。しかしながら、スリット24上には供給部10から複数のリード線端子100が断続的に供給されるため、供給ペースによっては、図7に示すように、既に起立状態にあるリード線端子100A及びリード線端子100Cにまだ横臥状態のリード線端子100Bが引っ掛かり(別言すれば、横臥状態のリード線端子100Bのリード線104Bがスリット24内に入り込むことが起立状態のリード線端子100A及び/又はリード線端子100Cに阻まれて)、起立状態に姿勢変位できない場合がある。バイブレータ60によりレール部20に振動が付与されると、リード線端子100A乃至リード線端子100Cは、互いにこの位置関係を維持した状態でスリット24に沿って移動方向Aに移動する。
【0039】
このとき、スリット24上には拡径部24aが設けられているため、リード線端子100Aが拡径部24aに到達すると、リード線端子100Aは起立状態で拡径部24aから落下する。その後、リード線端子100Cが拡径部24aに到達すると、リード線端子100Cも同様に起立状態で拡径部24aから落下する。これにより、リード線端子100A及び100Cによる引っ掛かりが解消されると、リード線端子100Bは、その時点で直ちに起立状態に変化し、スリット24に沿って移動方向Aに移動し、拡径部24bから落下する。なお、リード線端子100Aが拡径部24aから落下した時点でリード線端子100Bの引っ掛かりが解消された場合、リード線端子100Bはその時点で直ちに起立状態に変化し、その後、拡径部24aから落下する。
【0040】
即ち、拡径部24aより一端E3側(上流側)で起立状態にあるリード線端子100は、後述するスタック状態の場合を除いて全て拡径部24aから落下する。別言すれば、拡径部24aより他端E4側(下流側)に移動されるのは横臥状態のリード線端子100のみである。拡径部24aの下流側に移動されたリード線端子100は、上述したように、引っ掛かりの原因となっていた起立状態のリード線端子100が拡径部24aから落下することにより直ちに起立状態に姿勢変位するが、この際にも、供給ペースによっては、新たな引っ掛かりが生じる場合がある。このような場合においても、スリット24上にはもう1つの拡径部24bが設けられているため、起立状態のリード線端子100が拡径部24bから落下し、引っ掛かりが解消されて起立状態に姿勢変位したリード線端子100が排出口32から落下することにより、リード線端子100はそのリード線104側が下向きとなるように落下することができ、その結果、リード線端子100を向きが揃えられた状態で外部装置に供給することが可能となる。なお、拡径部の個数は2個に限られず、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。拡径部の個数は、供給ペース及び/又は引っ掛かりが生じる頻度に基づいて適宜決定され得る。
【0041】
しかしながら、発生頻度は低いものの、引っ掛かりが解消されないまま横臥状態のリード線端子100が排出口32に到達する可能性がある。この地点においても、横臥状態のリード線端子100は、起立状態のリード線端子100に引っ掛かった状態のまま、バイブレータ60による振動により、移動方向Aに移動しようとする。
【0042】
ここで、圧延部102a側が移動方向Aを向いているタイプのリード線端子100の場合、この振動により、あるタイミングで圧延部102aが傾斜面34(図3及び図4参照)に乗り上げ、そのまま登っていく。その結果、リード線104がスリット24内に入り込み、リード線端子100が傾斜面34の下端34aを支点として回転することにより、リード線端子100は、スリット24と連通している排出口32から落下する。
【0043】
一方、リード線104側が移動方向Aを向いているタイプのリード線端子100の場合、リード線端子100はそれ以上移動方向Aに進めないため、リード線104の先端が排出口32の内周面に小刻みに当たり続ける。この状態でバイブレータ60により振動が付与され続けると、当該リード線端子100と起立状態のリード線端子100との位置関係が徐々に変化し、最終的に起立状態のリード線端子100は移動方向Aに進んで排出口32から落下する。その結果、引っ掛かりが解消され、横臥状態のリード線端子100は起立状態に姿勢変位し、排出口32から落下する。
【0044】
拡径部24aから落下したリード線端子100は、レール部20内の空間S1及び接続部46a内の空間S2(図3参照)を介してシューター42a内を滑り落ち、移送部44を経て貯蔵部50に貯蔵される。拡径部24bから落下したリード線端子100は、空間S1及び接続部46b内の空間S2(図3参照)を介してシューター42b内を滑り落ち、移送部44を経て貯蔵部50に貯蔵される。排出口32から落下したリード線端子100は、接続部46c内の空間S2(図3参照)を介してシューター42c内を滑り落ち、移送部44を経て貯蔵部50に貯蔵される。何れの場合も、リード線端子100は、そのリード線104側が下向きとなるように落下するため、貯蔵部50には向きが揃えられた状態で貯蔵される。その結果、リード線端子100は、向きが揃えられた状態で外部装置に供給されることができる。
【0045】
加えて、物品供給装置1では、拡径部24a及び24bに隣接して補助板26a及び26bがそれぞれ設けられている。補助板26a及び26bが設けられない場合、以下に述べるスタック状態が発生していた。即ち、図8に示すように、拡径部24aが設けられていると、引っ掛かりが解消され易くなる反面、リード線端子100Cの圧延部102aCが振動により拡径部24aに瞬間的に入り込み、その状態で移動方向Aに進むことにより、拡径部24aに対して他端E4側(下流側)のスリット24内に嵌まり込んでしまう場合があった。これは、拡径部24bについても同様である。この場合、上流側から移動してきたリード線端子100A及び100Bはそれ以上移動方向Aに進めなくなり、スタック状態が発生することがあった。
【0046】
これに対し、物品供給装置1では、横臥状態のリード線端子100は、補助板26a、26bの上面を乗り越えていくように補助板26a、26bによりガイドされるため、上記のスタック状態が発生する可能性を大幅に低減することができる。なお、補助板26a、26b(の上面)はスリット24の上端と同一の高さであることが好ましいが、スタック状態の発生を抑制できるのであれば、同一の高さでなくてもよい。
【0047】
更に、物品供給装置1では、レール部20内の空間S1にピン28a及び28bがそれぞれ設けられている。リード線端子100がスリット24上で姿勢変位すると、リード線端子100は回転時の反動により棒状部102bを支点にして勢いよく回動する。ピン28a及び28bが設けられていない場合、このような状態でリード線端子100が拡径部24a又は拡径部24bから落下すると、リード線端子100は空間S1において回転し、圧延部102a側が下向きとなった状態で落下することがあった。
【0048】
これに対し、物品供給装置1では、ピン28a及び28bが設けられることにより、回動中のリード線端子100が落下しても、圧延部102a側が下向きとなった状態で落下することが抑制される。図9A乃至図9Cを参照して具体的に説明する。図9Aに示すリード線端子100は姿勢変位した直後であり、勢いよく回動しながら移動方向Aに進んでいる。リード線端子100が移動方向Aに進み、図9Bに示すようにそのリード線104がピン28aに接触すると、リード線端子100の回動エネルギーの一部がピン28aに吸収され(即ち、回動の勢いが減衰し)、図9Cに示すように落下する(二点鎖線参照)。このとき、残存している回動エネルギーの作用によりリード線端子100はピン28aを支点として移動方向Aとは反対方向に若干回転し(実線参照)、その結果、リード線104側が下向きになるように空間S1及び空間S2を落下していく。これにより、リード線端子100が、その圧延部102a側が下向きとなった状態で落下することが抑制される。
【0049】
なお、ピン28aは、拡径部24aに対して移動方向Aとは反対方向に離間した位置(一端E3側)に設けられることが好ましい。より具体的には、ピン28aは、拡径部24aに向かって移動しているリード線端子100のリード線104がピン28aに接触し、慣性によりタブ端子102が移動方向Aに傾いた場合に、タブ端子102が拡径部24aからスムースに落下することが可能であるような任意の距離だけ拡径部24aから移動方向Aとは反対方向に離間した位置に設けられることが好ましい。これは、ピン28bについても同様である。
【0050】
以上、本実施形態に係る物品供給装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、バイブレータ60以外の手段でリード線端子100が移動方向Aに移動可能な外力を付与してもよい。例えば、風圧によりリード線端子100を移動させてもよい。
【0052】
加えて、スリット24は傾斜していてもよい。即ち、鉛直方向と直交しない角度で交差する方向に延在していてもよい。
【0053】
また、供給部10は備えていなくてもよい。例えば、供給部10の代わりに手作業によりレール部20の一端E3にリード線端子100が供給されてもよい。
また、本発明は、リード線端子100以外の物品であって、一方の部分が他方の部分より大径である長尺状物品(例えば、頭部付のネジ)を外部装置に供給する物品供給装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:物品供給装置、20:レール部、22a,22b:面、24:スリット、24a,24b:拡径部、26a,26b:補助板、28a,28b:ピン、30:排出部、32:排出口、34:傾斜面、60:バイブレータ、100:リード線端子、102:タブ端子、102a:圧延部、102b:棒状部、104:リード線

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C