IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 石崎プレス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-絞り加工装置 図1
  • 特許-絞り加工装置 図2
  • 特許-絞り加工装置 図3
  • 特許-絞り加工装置 図4
  • 特許-絞り加工装置 図5
  • 特許-絞り加工装置 図6
  • 特許-絞り加工装置 図7
  • 特許-絞り加工装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】絞り加工装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 24/06 20060101AFI20240909BHJP
   B21D 22/22 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B21D24/06
B21D22/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023118464
(22)【出願日】2023-07-20
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000198019
【氏名又は名称】石崎プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津村 暢彦
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-207531(JP,A)
【文献】特開2004-001093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/00 - 24/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを絞り加工するための絞り加工装置であって、
第1方向に移動するパンチを含むパンチ部と、
前記パンチの前記第1方向の一方端部が挿入される凹部と、前記凹部の外周縁に連なる第1環状面と、前記第1環状面を囲むように配置されている第2環状面とを含むダイとを備え、
前記パンチ部は、
前記ワークの外周部を前記ダイの前記第1環状面に押圧可能であるしわ押さえ部と、
前記第1方向において前記しわ押さえ部と前記パンチの前記第1方向の他方端部との間に配置されている中間部を有し、前記第2環状面に接触可能であるダイ押圧部と、
前記第1方向に伸縮可能であり、かつ前記第1方向において前記しわ押さえ部と前記中間部との間に挟まれている少なくとも1つの第1スプリングと、
前記第1方向に伸縮可能であり、かつ前記第1方向において前記中間部と前記パンチの前記他方端部との間に挟まれている少なくとも1つの第2スプリングとをさらに含
前記しわ押さえ部が前記ワークの外周部を前記ダイの前記第1環状面に押圧する第1状態において、前記パンチの前記一方端部と前記ワークとの間の前記第1方向の第1距離が、前記第1方向において前記ダイ側に位置する前記ダイ押圧部の先端部と前記ダイの前記第2環状面との間の第2距離よりも長くなるように、前記パンチ、前記しわ押さえ部、及び前記ダイ押圧部が設けられている、絞り加工装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2スプリングの初期荷重は、前記ダイ押圧部が前記第2環状面に接触している状態において前記少なくとも1つの第1スプリングに付与される荷重以上である、請求項1に記載の絞り加工装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2スプリングのスプリングレートは、前記少なくとも1つの第1スプリングのスプリングレートとは異なる、請求項1または2に記載の絞り加工装置。
【請求項4】
前記パンチが上死点から下死点に向けて前記第1方向に移動開始後、前記第1状態が実現されるまでの間、前記しわ押さえ部、前記ダイ押圧部、前記少なくとも1つの第1スプリング、及び前記少なくとも1つの第2スプリングが前記パンチと共に前記第1方向に移動し、
前記第1状態後、前記ダイ押圧部が前記第2環状面に接触する第2状態が実現されるまでの間、前記ダイ押圧部、及び前記少なくとも1つの第2スプリングが前記パンチと共に前記第1方向に移動し、かつ前記少なくとも1つの第1スプリングのみが圧縮し、
前記第2状態後、前記パンチが前記下死点に到達する第3状態が実現されるまでの間、前記パンチのみが前記第1方向に移動し、かつ前記少なくとも1つの第2スプリングが圧縮し、
前記第3状態における前記少なくとも1つの第1スプリングのたわみ量は、前記第2状態における前記少なくとも1つの第1スプリングのたわみ量と等しい、請求項1または2に記載の絞り加工装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1スプリング及び前記少なくとも1つの第2スプリングの各々は、前記パンチと同軸上に配置されている、請求項1または2に記載の絞り加工装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1スプリングは、複数の第1スプリングである、請求項1または2に記載の絞り加工装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2スプリングは、複数の第2スプリングである、請求項1または2に記載の絞り加工装置。
【請求項8】
前記第1方向において前記しわ押さえ部と前記少なくとも1つの第1スプリングとの間に配置されている第1調整部材、及び前記第1方向において前記しわ押さえ部と前記ダイ押圧部との間に配置されている第2調整部材の少なくともいずれかを備え、
前記第1調整部材及び前記第2調整部材の各々は、前記少なくとも1つの第1スプリングの前記第1方向のたわみ量を調整可能である、請求項1または2に記載の絞り加工装置。
【請求項9】
前記ダイの前記第2環状面は、前記第1環状面よりも前記第1方向において前記パンチの前記他方端部側に配置されている、請求項1または2に記載の絞り加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状のワークを絞り加工するための絞り加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブランクなどの板状のワークに対する絞り加工(複数回の絞り加工が行われる場合には、最初の絞り加工、すなわち第1絞り又は初絞り加工)では、絞り加工後の成形材の外周部にしわが生じやすい。
【0003】
従来、上記しわの発生を抑制するためのしわ押さえ部を備える絞り加工装置が知られている。特開2018-043260号公報(特許文献1)には、しわ押さえ板をダイプレートの上面に押し付けるためのバネ部材を備える絞り加工装置が開示されている。この絞り加工装置は、上部定盤を下部定盤に対して下降させることで、パンチとしわ押さえ板とを同時に下降させ、しわ押さえ板がダイプレートの上面上に配置されたブランクに接した後にパンチがダイの型孔の内部に挿入されて絞り加工が行われるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-043260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の絞り加工装置では、しわ押さえ板がダイプレートの上面上に配置されたブランクに接した後にパンチを下死点まで下降させるために上部定盤に付与される荷重が、バネ部材及びしわ押さえ板を介してブランクにも加えられる。
【0006】
このような絞り加工装置を用いて深絞り加工を行う場合、ブランクにはバネ部材及びしわ押さえ板を介して過剰な荷重が加えられ、成形材にチギレが生じるという問題がある。
【0007】
また、絞り加工装置を用いて深絞り加工を行った場合、バネ部材に過剰な荷重が加えられ、バネ部材のコイル線材間の間隙が無くなって線材同士が圧接される線間密着が生じる場合がある。バネ部材に線間密着が生じると、その後に行われる絞り加工においてシワ押さえに必要な荷重をブランクに付与できず、成形材にシワが発生することを抑制できないという問題がある。
【0008】
本発明の主たる目的は、深絞り加工に用いられる場合にも、成形材にシワ及びチギレが生じることを抑制できる絞り加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る絞り加工装置は、板状のワークを絞り加工するための絞り加工装置である。絞り加工装置は、第1方向に移動するパンチを含むパンチ部と、パンチの第1方向の一方端部が挿入される凹部と、凹部の外周縁に連なる第1環状面と、第1環状面を囲むように配置されている第2環状面とを含むダイとを備える。パンチ部は、ワークの外周部をダイの第1環状面に押圧可能であるしわ押さえ部と、第1方向においてしわ押さえ部とパンチの第1方向の他方端部との間に配置されている中間部を有し、第2環状面に接触可能であるダイ押圧部と、第1方向に伸縮可能であり、かつ第1方向においてしわ押さえ部と中間部との間に挟まれている少なくとも1つの第1スプリングと、第1方向に伸縮可能であり、かつ第1方向において中間部とパンチの他方端部との間に挟まれている少なくとも1つの第2スプリングとをさらに含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、深絞り加工に用いられる場合にも、成形材にシワ及びチギレが生じることを抑制できる絞り加工装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る絞り加工装置の第1状態を説明するための断面図である。
図2図1中の領域IIを示す部分拡大断面図である。
図3】本実施の形態に係る絞り加工装置の第2状態を説明するための断面図である。
図4図3中の領域IVを示す部分拡大断面図である。
図5】本実施の形態に係る絞り加工装置の第3状態を説明するための断面図である。
図6図5に示されるパンチ部を示す断面斜視図である。
図7】本実施の形態に係る絞り加工装置のパンチ部の第1変形例を説明するための断面斜視図である。
図8】本実施の形態に係る絞り加工装置のパンチ部の第2変形例を説明するための断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0013】
<絞り加工装置の構成>
本実施の形態に係る絞り加工装置は、板状のワーク(例えば、ブランキング工程にて抜き落とされたブランク)を絞り加工するための装置である。図1図6は、本実施の形態に係る絞り加工装置100の一例を説明するための図である。図1図6に示される絞り加工装置100は、円形のブランクBRに対して円筒深絞り加工を行いブランクBRを成形材DP(図5参照)に加工するための装置である。
【0014】
図1図6に示されるように、本実施の形態に係る絞り加工装置100は、パンチ部10と、ダイ20と、搬送部30とを備える。
【0015】
パンチ部10は、第1方向DR1に移動するパンチ11を含む。パンチ11の中心軸は、第1方向DR1に沿っている。第1方向DR1は、例えば重力方向に沿っている。絞り加工装置100は、パンチ11が上死点と下死点との間を移動するように設けられている。
【0016】
なお、図1及び図2は、パンチ11が上死点よりも下方に移動することにより実現される第1状態を示している。第1状態は、絞り加工に先立ってブランクBRにしわ押さえ荷重の付与を開始する状態である。図3及び図4は、パンチ11が第1状態よりもさらに下方に移動することにより実現される第2状態を示している。第2状態は、絞り加工が行われる直前の状態である。図5及び図6は、パンチ11が第2状態よりもさらに下方に移動することにより実現される第3状態を示している。第3状態は、パンチ11が下死点に到達して絞り加工が行われた状態である。
【0017】
パンチ11は、第1方向DR1においてダイ20側に位置する第1端部11Aと、第1方向DR1において第1端部11Aとは反対側に位置する第2端部11Bとを有している。パンチ11の第1端部11Aの形状は、絞り加工により成形されるべき成形品の形状に応じて、適宜設定され得る。第2端部11Bは、パンチ11の中心軸に対する径方向(以下では、単に径方向とも記載する)において、第1端部11Aと第2端部11Bとの間を延在する部分よりも外側に突出している第1フランジ部11Cを有している。第1フランジ部11Cは、例えばパンチ11とは別部材であって、パンチ11の第2端部11Bに固定されている。
【0018】
ダイ20は、パンチ11の第1端部11Aが挿入される凹部21Aと、凹部21Aの外周縁に連なる第1環状面21Bと、第1環状面21Bを囲むように配置されている第2環状面22Aとを含む。第2環状面22Aは、例えば第1環状面21Bよりも第1方向DR1においてパンチ部10側に配置されている。ダイ20は、例えば凹部21A及び第1環状面21Bを有する第1部材21と、第1部材21とは別部材であって第2環状面22Aを有する第2部材22(ガイドダイ)とを含む。第2部材22は、後述する搬送部19によってダイ20上に搬送されたブランクBRを凹部21Aに対して位置決めするように設けられている。第2部材22は、下方に向かうにつれて内径が小さくなる内周面(テーパー面)を有している。
【0019】
搬送部30は、前工程からブランクBRをダイ20に搬入するとともに、絞り加工後の成形材DPを次工程に搬出する。
【0020】
パンチ部10は、しわ押さえ部12、ダイ押圧部13,第1スプリング14、第2スプリング15、及び外郭部材16をさらに含む。
【0021】
しわ押さえ部12は、ブランクBRの外周部をダイ20の第1環状面21Bに押圧可能である。しわ押さえ部12は、パンチ11の中心軸に対する径方向(以下では、単に径方向とも記載する)において、パンチ11の外側に配置されている。しわ押さえ部12は、パンチ11の中心軸に対する周方向(以下では、単に周方向とも記載する)において、パンチ11の全周を囲むように配置されている。
【0022】
しわ押さえ部12は、第1方向DR1においてダイ20側に位置する第3端部12Aと、第1方向DR1において第3端部12Aとは反対側に位置する第4端部12Bとを有している。第3端部12Aが、ブランクBRの外周部をダイ20の第1環状面21Bに押圧可能である。第3端部12Aは、ブランクBRの外周部の面接触可能である。第4端部12Bは、上記径方向において第3端部12Aよりも外側に向かって突出している第2フランジ部12Cを有している。第2フランジ部12Cは、例えば上記周方向に連なっている。
【0023】
ダイ押圧部13は、ダイ20の第2環状面22Aに接触可能である。ダイ押圧部13は、上記径方向においてパンチ11及びしわ押さえ部12の外側に配置されている筒状部13Aと、しわ押さえ部12とパンチ11の第1方向DR1の第2端部11Bとの間に配置されている中間部13Bとを有している。
【0024】
第1方向DR1においてダイ20側に位置する筒状部13Aの先端部13A1が、ダイ20の第2環状面22Aに接触可能とされている。第1方向DR1において先端部13A1とは反対側に位置する筒状部13Aの他方端部は、中間部13Bに固定されている。
【0025】
筒状部13Aは、上記径方向において内側に向かって突出している第3フランジ部13Cを有している。第3フランジ部13Cは、第1方向DR1においてしわ押さえ部12の第2フランジ部12Cよりもダイ20側に配置されている。第3フランジ部13Cは、第1方向DR1において第2フランジ部12Cと対向配置されている。第3フランジ部13C及び第2フランジ部12Cは、例えば第1環状部材17(第1調整部材)を挟むように配置されている。第3フランジ部13Cは、例えば上記周方向に連なっている。第3フランジ部13Cの内径は、しわ押さえ部12のうち第2フランジ部12Cよりも第3端部12A側に位置する部分の外径以上であって、第2フランジ部12Cの外径よりも小さい。
【0026】
筒状部13Aは、上記径方向において外側に向かって突出している第4フランジ部13Dをさらに有している。第4フランジ部13Dは、第1方向DR1において第3フランジ部13Cに対してダイ20とは反対側に配置されている。第4フランジ部13Dは、第1方向DR1において、後述する外郭部材16の第5フランジ部16Dと対向配置されている。第4フランジ部13Dは、例えば上記周方向に連なっている。
【0027】
中間部13Bは、上記周方向において、パンチ11の全周を囲むように配置されている。中間部13Bは、上記径方向においてパンチ11よりも外側であって筒状部13Aよりも内側に配置されている環状部分を有している。中間部13Bの当該環状部分は、第1方向DR1においてしわ押さえ部12の第4端部12Bと対向している。
【0028】
第1スプリング14は、第1方向DR1に伸縮可能である。第1スプリング14は、第1方向DR1において、しわ押さえ部12とダイ押圧部13の中間部13Bとの間に挟まれている。第1スプリング14は、第1方向DR1において、ダイ20側に位置する第5端部14Aと、第5端部14Aとは反対側に位置する第6端部14Bとを有している。第5端部14Aは、例えば第2環状部材18(第2調整部材)を介して、しわ押さえ部12の第4端部12Bと接続されている。第6端部14Bは、例えばダイ押圧部13の中間部13Bと直接接続されている。第1スプリング14は、ダイ押圧部13に対してしわ押さえ部12をダイ20側に付勢する。第1スプリング14がしわ押さえ部12に付与する荷重の最大値、すなわち第1スプリング14に付与される荷重の最大値は、成形材DPにシワが生じることを抑制するためにしわ押さえ部12が絞り加工時にブランクBRに付与する荷重(しわ押さえ荷重)となる。なお、第1スプリング14に付与される荷重は、ダイ押圧部13が第2環状面22Aに接触している状態(第2状態、第3状態、及び第2状態から第3状態に至るまでの間の移行状態)において最大となる。
【0029】
第1スプリング14は、上記径方向において、パンチ11よりも外側であって、ダイ押圧部13の先端部13A1よりも内側に配置されている。第1スプリング14は、例えばパンチ11と同軸上に配置されている。第1スプリング14の中心軸は、パンチ11の中心軸と重なっている。第1スプリング14の外径は、ダイ押圧部13の筒状部13Aの内径以下である。
【0030】
第2スプリング15は、第1方向DR1に伸縮可能である。第2スプリング15は、第1方向DR1において、ダイ押圧部13の中間部13Bとパンチ11の第2端部11Bの第1フランジ部11Cとの間に挟まれている。第2スプリング15は、第1方向DR1において、ダイ20側に位置する第7端部15Aと、第7端部15Aとは反対側に位置する第8端部15Bとを有している。第7端部15Aは、例えばダイ押圧部13の中間部13Bと直接接続されている。第8端部15Bは、例えばパンチ11の第2端部11Bの第1フランジ部11Cと直接接続されている。第2スプリング15は、例えばパンチ11と同軸上に配置されている。第2スプリング15は、例えばパンチ11及び第1スプリング14の各々と同軸上に配置されている。好ましくは、第2スプリング15の外径は、ダイ押圧部13の外径よりも小さい。
【0031】
第2スプリング15のスプリングレート(バネ定数)は、例えば第1スプリング14のスプリングレートと異なっている。第2スプリング15のスプリングレートは、例えば第1スプリング14のスプリングレートよりも低い。なお、第2スプリング15のスプリングレートは、第1スプリング14のスプリングレートよりも高くてもよい。
【0032】
パンチ11の第2端部11Bは、外郭部材16に固定されている。外郭部材16は、図示しない駆動装置と接続されており、駆動装置から付与される駆動力によってパンチ11とともに第1方向DR1に移動する。
【0033】
外郭部材16は、例えば第1外郭部材16A、第2外郭部材16B、及び第3外郭部材16Cを含む。第1外郭部材16A及び第2外郭部材16Bの各々は、筒状部材であり、内部にパンチ11、しわ押さえ部12、ダイ押圧部13、第1スプリング14、及び第2スプリング15を収容可能とされている。第1方向DR1においてダイ20側に位置する第2外郭部材16Bの開口端部は、第1方向DR1においてダイ20とは反対側に位置する第1外郭部材16Aの開口端部と連結されている。第1方向DR1においてダイ20とは反対側に位置する第2外郭部材16Bの開口端部は、第3外郭部材16Cによって塞がれている。
【0034】
第1外郭部材16Aは、上記径方向において内側に向かって突出している第5フランジ部16Dをさらに有している。第5フランジ部16Dは、第1方向DR1において、ダイ押圧部13の第4フランジ部13Dよりもダイ20側に配置されている。第5フランジ部16Dは、例えば上記周方向に連なっている。第5フランジ部16Dの内径は、筒状部13Aのうち第4フランジ部13Dよりも先端部13A1側に位置する部分の外径以上であって、第4フランジ部13Dの外径よりも小さい。
【0035】
第1環状部材17及び第2環状部材18は、第1スプリング14の第1方向DR1のたわみ量を調整して、第1スプリング14がしわ押さえ部12に付与する荷重(すなわち、しわ押さえ部12がブランクBRに付与する荷重)を調整するための部材である。第1環状部材17及び第2環状部材18の各々の厚みは、第1スプリング14がしわ押さえ部12に付与する荷重が成形材DPのシワの発生を抑制できる適切なしわ押さえ荷重となるように、設定される。
【0036】
パンチ部10は、第1環状部材17及び第2環状部材18の一方のみを含んでいてもよいし、第1環状部材17及び第2環状部材18を含んでいなくてもよい。第1スプリング14の第5端部14Aは、第2環状部材18を介さずに、しわ押さえ部12の第4端部12Bと直接接続されていてもよい。第6端部14Bは、環状部材を介して、中間部13Bに接続されていてもよい。第2スプリング15の第7端部15Aは、環状部材を介してダイ押圧部13の中間部13Bと接続されていてもよい。第8端部15Bは、環状部材を介してパンチ11の第2端部11Bの第1フランジ部11Cと接続されていてもよい。
【0037】
パンチ部10において、しわ押さえ部12は、ダイ押圧部13に対して第1方向DR1に相対的に移動可能である。他方、第1方向DR1において互いに対向する第2フランジ部12C及び第3フランジ部13Cによって、ダイ押圧部13に対するしわ押さえ部12の最下点が設定されている。これにより、第1スプリング14は、しわ押さえ部12の第4端部12Bとダイ押圧部13の中間部13Bとの間に保持されている。
【0038】
パンチ部10において、パンチ11及び外郭部材16は、しわ押さえ部12及びダイ押圧部13に対して第1方向DR1に相対的に移動可能である。他方、第1方向DR1において互いに対向する第4フランジ部13D及び第5フランジ部16Dによって、外郭部材16に対するダイ押圧部13の最下点が設定されている。これにより、第2スプリング15は、ダイ押圧部13の中間部13Bとパンチ11の第2端部11Bの第1フランジ部11Cとの間に保持されている。
【0039】
絞り加工装置100では、パンチ11が上死点に配置されている初期状態において、第2スプリング15には初期荷重(予圧)が加えられている。第2スプリング15の初期荷重は、第1スプリング14に付与される荷重の最大値よりも大きい。言い換えると、第2スプリング15の初期荷重は、ダイ押圧部13が第2環状面22Aに接触している状態において第1スプリング14に付与される荷重よりも大きい。第2スプリング15のスプリングレートが第1スプリング14のスプリングレートよりも低い場合には、初期状態における第2スプリング15のたわみ量が、第2状態に到達時点での第1スプリング14のたわみ量よりも多くなるように設定される。他方、第2スプリング15のスプリングレートが第1スプリング14のスプリングレートよりも高い場合には、初期状態における第2スプリング15のたわみ量は、パンチ11が下死点に到達した時点での第2スプリング15のたわみ量が第2スプリング15の限界たわみ量を超えない限りにおいて任意に設定可能であり、例えば第2状態に到達時点での第1スプリング14のたわみ量よりも少なくてもよいし、これよりも多くてもよい。
【0040】
絞り加工装置100では、パンチ11が上死点から下死点に移動することにより、ブランクBRに対する深絞り加工が行われる。上述のように、絞り加工装置100では、パンチ11が上死点から下死点に移動する1回のストロークの間に、図1及び図2に示される第1状態、図3及び図4に示される第2状態、及び図5及び図6に示される第3状態が順に実現される。
【0041】
パンチ11が上死点から下死点に向けて第1方向DR1に移動開始すると、パンチ部10の全体が共に第1方向DR1に移動する。これにより、しわ押さえ部12がダイ20の第1環状面21B上に配置されているブランクBRの外周部に接触し、第1状態が実現される。上記移動に際し、第1スプリング14及び第2スプリング15は、上記初期状態と比べて圧縮されない。第1状態では、ダイ押圧部13はダイ20の第2環状面22Aに接触していない。
【0042】
図2に示されるように、絞り加工装置100では、第1状態においてパンチ11の第1端部11AとブランクBRとの間の第1方向DR1の第1距離L1がダイ押圧部13の先端部13A1とダイ20の第2環状面22Aとの間の第2距離L2よりも長くなるように、パンチ11、しわ押さえ部12、及びダイ押圧部13が設けられている。
【0043】
さらにパンチ11が第1状態から下死点に向けて第1方向DR1に第2距離L2を移動すると、ダイ押圧部13、第2スプリング15、及び外郭部材16がパンチ11とともに第1方向DR1に上記第2距離L2を移動して、ダイ押圧部13の先端部13A1がダイ20の第2環状面22Aに接触し、図3及び図4に示される第2状態が実現される。第2状態では、パンチ11の第1端部11AがブランクBRに接触していない。第2状態におけるパンチ11の第1端部11AとブランクBRとの間の距離は、上記第1距離L1と上記第2距離L2との差分(L1-L2)である。上記移動時には、しわ押さえ部12、第1スプリング14の第5端部14A、第1環状部材17、及び第2環状部材18は、第1方向DR1に移動しない。第1状態が実現された後第2状態が実現されるまでの間、第1スプリング14は、第1状態と比べて圧縮される。他方、第1状態が実現された後第2状態が実現されるまでの間、第2スプリング15は、第1状態と比べて圧縮されない。
【0044】
上述のように、絞り加工装置100では、第2状態において第1スプリング14に付与される荷重が成形材DPにシワが生じることを抑制するために適切なしわ押さえ荷重となるように、しわ押さえ部12、ダイ押圧部13、第1スプリング14、第1環状部材17、及び第2環状部材18が設けられている。例えば、適切なしわ押さえ荷重と第1スプリング14のスプリングレートとに基づき、適切なしわ押さえ荷重を発生させるために必要とされる第1スプリング14の初期長さ及びたわみ量が見積もられる。さらに見積もられた第1スプリング14の初期長さ及びたわみ量に基づき、第1スプリング14を適切に配置するために必要とされるしわ押さえ部12、ダイ押圧部13、第1環状部材17、及び第2環状部材18の各々の寸法が見積もられる。
【0045】
上述のように、絞り加工装置100では、第2スプリング15には初期荷重が付与されている。そのため、第2スプリング15は、初期荷重を超える荷重が付与されるまで、圧縮されない。さらに第2スプリング15の初期荷重は、ダイ押圧部13が第2環状面22Aに接触する第2状態及び第3状態において第1スプリング14に付与される荷重よりも大きい。そのため、第2スプリング15は、成形材DPのシワの発生を抑制できる適切なしわ押さえ荷重が第1スプリング14に付与される第2状態に到達するまで、圧縮しない。これにより、絞り加工装置100では、第2状態に到達する前に、第1状態に対する第2スプリング15のたわみ量が上記差分(L1-L2)よりも多くならないため、パンチ11の第1端部11AがブランクBRに到達して絞り加工を開始することが抑制されている。
【0046】
第2状態が実現された後、パンチ11が下死点に向けて第1方向DR1にさらに移動する。このとき、パンチ11のみが第1方向DR1に上記差分(L1-L2)よりも長い距離を移動する。ダイ押圧部13及び第2スプリング15の第7端部15Aは、第1方向DR1に移動しない。これにより、パンチ11が下死点に到達し、図5及び図6に示される第3状態が実現され、ブランクBRが深絞り加工され、成形材DPが形成される。第2状態が実現された後第3状態が実現されるまでの間、第2スプリング15は、第2状態と比べて圧縮される。他方、第2状態が実現された後第3状態が実現されるまでの間、第1スプリング14は、第2状態と比べて圧縮されない。そのため、第2状態から第3状態が実現されるまでの間、第1スプリング14がしわ押さえ部12に付与する荷重、すなわち第1スプリング14に付与される荷重は、一定に保持される。つまり、第2状態から第3状態が実現されるまでの間に第1スプリング14がしわ押さえ部12に付与し続ける荷重が、パンチ11が上死点から下死点に移動する1回のストロークの間に第1スプリング14がしわ押さえ部12に付与する最大荷重となる。
【0047】
上述のように、第2状態から第3状態が実現されるまでの間に第1スプリング14がしわ押さえ部12に付与し続ける荷重は、深絞り加工後の成形材DPにおいてシワの発生を抑制できる適切なしわ押さえ荷重に設定されている。そのため、絞り加工装置100では、ブランクBRの外周部には適切なしわ押さえ荷重が付与され続けている状態において、深絞り加工が行われ得る。その結果、絞り加工装置100によれば、深絞り加工に用いられる場合にも、成形材DPにシワ及びチギレが生じることを抑制できる。
【0048】
絞り加工装置100では、第3状態が実現されたときに第2スプリング15に付与される荷重が第2スプリング15の耐荷重を超えないように、第2スプリング15が設けられている。
【0049】
<効果>
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施の形態に係る絞り加工装置100の特徴的な構成および効果を以下にまとめて記載する。
【0050】
絞り加工装置100は、しわ押さえ部12とダイ押圧部13の中間部13Bとの間に挟まれている第1スプリング14と、中間部13Bとパンチ11の第2端部11Bとの間に挟まれている第2スプリング15とを備えるため、しわ押さえ部12がブランクBRの外周部に対してシワの発生を抑制可能な十分な荷重を付与した後にパンチ11を下死点まで下降させるためにパンチ11に付与される荷重は、しわ押さえ部12を介してブランクBRに付与されない。そのため、絞り加工装置100によれば、深絞り加工を行う場合にも、成形材DPにシワ及びチギレが生じることを抑制できる。
【0051】
絞り加工装置100では、第2スプリング15の初期荷重が、ダイ押圧部13が第2環状面22Aに接触している第2状態及び第3状態において第1スプリング14に付与される荷重よりも大きい。そのため、第2スプリング15は、成形材DPにおいてシワの発生を抑制できる適切なしわ押さえ荷重が第1スプリング14に付与されるまで、圧縮しない。これにより、絞り加工装置100では、ブランクBRに適切なしわ押さえ荷重が付与される前に、絞り加工は開始されない。
【0052】
なお、第2スプリング15の初期荷重は、ダイ押圧部13が第2環状面22Aに接触している第2状態及び第3状態において第1スプリング14に付与される荷重と等しくてもよい。つまり、第2スプリング15の初期荷重は、ダイ押圧部13が第2環状面22Aに接触している第2状態及び第3状態において第1スプリング14に付与される荷重以上であればよい。このようにしても、第2スプリング15は、成形材DPにおいてシワの発生を抑制できる適切なしわ押さえ荷重が第1スプリング14に付与されるまで、圧縮しない。
【0053】
上述のように、第1スプリング14は、第2状態、第3状態、及びから第3状態に適切なしわ押さえ荷重をしわ押さえ部12を介してブランクBRに付与するように設けられている。第2スプリング15は、第1スプリング14により適切なしわ押さえ荷重がブランクBRに付与された後に圧縮を開始するとともに、パンチ11が下死点に達したときに付与される荷重よりも高い耐荷重を有するように、設けられている。絞り加工装置100では、第2スプリング15のスプリングレートは、第1スプリング14のスプリングレートと異なっている。このようにすれば、第2スプリング15のスプリングレートが第1スプリング14のスプリングレートと等しい場合と比べて、設計の自由度が高まるため、第1スプリング14及び第2スプリング15の各々は容易に設計され得る。
【0054】
好ましくは、第2スプリング15のスプリングレートが第1スプリング14のスプリングレートよりも低い。このようにすれば、第1スプリング14及び第2スプリング15の各々は、たわみ量が多いほどスプリングレートが低くなるように設定されている一般的なスプリングにより構成され得る。他方、一般的なスプリングにより構成されている第1スプリング14では第2状態においてブランクBRに過剰な荷重を付与してしまう場合には、第1スプリング14のスプリングレートは、一般的なスプリングのそれよりも低く設定されていればよい。この場合、第1スプリング14のスプリングレートは、第2スプリング15のスプリングレートよりも高くてもよいし、第2スプリング15のスプリングレートよりも低くてもよい。
【0055】
絞り加工装置100では、第1状態が実現された後、ダイ押圧部13が第2環状面22Aに接触する第2状態が実現されるまでの間、ダイ押圧部13、及び第2スプリング15がパンチと共に第1方向DR1に移動し、かつ第1スプリング14のみが圧縮する。第2状態後、パンチ11が下死点に到達する第3状態が実現されるまでの間、パンチ11のみが第1方向DR1に移動し、かつ第2スプリング15が圧縮する。第3状態における第1スプリング14のたわみ量は、第2状態における第1スプリング14のたわみ量と等しい。つまり、絞り加工装置100では、第1スプリング14に付与される荷重は、第2状態から第3状態に移行するまで一定とされる。そのため、成形材DPにチギレを生じさせるような大きな荷重が第1スプリング14に付与されることを抑制できる。
【0056】
第1スプリング14及び第2スプリング15の各々に適切に荷重を付与するために、パンチ11に対する第1スプリング14及び第2スプリング15の各々の位置関係は適切に設定される必要がある。絞り加工装置100では、第1スプリング14及び第2スプリング15の各々が、パンチ11と同軸上に配置されているため、第1スプリング14及び第2スプリング15の各々がパンチ11と同軸上に配置されていない場合とくらべて、第1スプリング14及び第2スプリング15の各々に加えられる荷重を管理しやすい。また、パンチ11が第1スプリング14及び第2スプリング15の各々の内側に通されているため、パンチ11が第1スプリング14及び第2スプリング15の各々の外側に配置されている場合と比べて、パンチ部10を上記径方向に小型化できる。
【0057】
絞り加工装置100では、パンチ部10が、第1方向DR1においてしわ押さえ部12と第1スプリング14との間に配置されている第1環状部材17、及び第1方向DR1においてしわ押さえ部12とダイ押圧部13との間に配置されている第2環状部材18(第2調整部材)を備えている。上述のように、第1環状部材17及び第2環状部材18の各々は、第1スプリング14の第1方向DR1のたわみ量を調整可能である。絞り加工装置100では、第1環状部材17及び第2環状部材18を備えない場合と比べて、第1スプリング14の第1方向DR1のたわみ量の調整範囲が広い。
【0058】
絞り加工装置100では、ダイ20の第2環状面22Aは、第1環状面21Bよりも第1方向DR1においてパンチ11の第2端部11B側に配置されている。そのため、第2環状面22Aが第1環状面21Bと同一平面上に配置されている場合と比べて、第1状態において上記第1距離L1が上記第2距離L2よりも長くなるようにパンチ11、しわ押さえ部12、及びダイ押圧部13を設計することが、容易となる。
【0059】
<変形例>
本実施の形態に係る絞り加工装置100のパンチ部10は、以下のように変形され得る。絞り加工装置100のパンチ部10は、少なくとも1つの第1スプリング14と、少なくとも1つの第2スプリング15とを含んでいればよい。パンチ部10は、1つの第1スプリング14と、複数の第2スプリング15とを含んでいてもよい。パンチ部10は、複数の第1スプリング14と、1つの第2スプリング15とを含んでいてもよい。パンチ部10は、複数の第1スプリング14と、複数の第2スプリング15とを含んでいてもよい。
【0060】
図7に示されるように、パンチ部10は、複数の第2スプリング15を含んでいてもよい。複数の第2スプリング15は、互いに同等の構成を有している。この場合、ダイ押圧部13の中間部13Bには、複数の収容部13Eが形成されている。複数の第2スプリング15の各々は、1つの収容部13E内に収容されている。好ましくは、複数の第2スプリング15の各々は、パンチ11の中心軸に対して互いに回転対称性を有している。この場合、複数の収容部13Eの各々も、パンチ11の中心軸に対して互いに回転対称性を有している。図7に示される2つの第2スプリング15は、パンチ11の中心軸周りに180度の回転対称性を有している。なお、パンチ部10は、3以上の第2スプリング15を含んでいてもよい。
【0061】
図8に示されるように、パンチ部10は、複数の第1スプリング14を含んでいてもよい。複数の第1スプリング14は、互いに同等の構成を有している。この場合、ダイ押圧部13の中間部13Bには、少なくとも1つの収容部13Eが形成されている。さらにダイ押圧部13は、しわ押さえ部12の第4端部12Bと接しており、パンチ11及び中間部13Bに対してしわ押さえ部12ととともに第1方向DR1に相対的に移動可能である可動部13Fをさらに含む。可動部13Fは、複数の第1スプリング14の各々を位置決めするための複数の位置決め部13Fを有している。複数の位置決め部13Fの各々は、例えば第1方向DR1において筒状部13A側からパンチ11の第2端部11B側に向かって突出する突出部として設けられている。好ましくは、複数の第1スプリング14の各々は、パンチ11の中心軸に対して互いに回転対称性を有している。この場合、複数の位置決め部13Fの各々も、パンチ11の中心軸に対して互いに回転対称性を有している。図8に示される2つの第1スプリング14は、パンチ11の中心軸周りに180度の回転対称性を有している。なお、パンチ部10は、3以上の第1スプリング14を含んでいてもよい。
【0062】
図8に示されるパンチ部10は、図7に示されるパンチ部10と同様に、2つの第2スプリング15を含んでいてもよい。この場合、2つの第1スプリング14の中心軸間を結ぶ仮想直線が2つの第2スプリング15の中心軸間を結ぶ仮想直線とパンチ11の中心軸上で直交するように、2つの第1スプリング14と2つの第2スプリング15とがパンチ11に対して位置決めされていてもよい。
【0063】
以上のように本開示の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本開示の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0064】
10 パンチ部、11 パンチ、11A 第1端部、11B 第2端部、11C 第1フランジ部、12 しわ押さえ部、12A 第3端部、12B 第4端部、12C 第2フランジ部、13 ダイ押圧部、13A1 先端部、13A 筒状部、13B 中間部、13C 第3フランジ部、13D 第4フランジ部、13E 収容部、13F 位置決め部、14 第1スプリング、14A 第5端部、14B 第6端部、15 第2スプリング、15A 第7端部、15B 第8端部、16 外郭部材、16A 第1外郭部材、16B 第2外郭部材、16C 第3外郭部材、16D 第5フランジ部、17 第1環状部材、18 第2環状部材、19 保持部、20 ダイ、21 第1部材、21A 凹部、21B 第1環状面、22 第2部材、22A 第2環状面、100 絞り加工装置。
【要約】
【課題】深絞り加工に用いられる場合にも、成形材にシワ及びチギレが生じることを抑制できる絞り加工装置を提供する。
【解決手段】絞り加工装置100は、第1方向DR1に移動するパンチ11を含むパンチ部10と、パンチの第1方向の第1端部11Aが挿入される凹部21Aと、凹部の外周縁に連なる第1環状面21Bと、第1環状面を囲むように配置されている第2環状面22Aとを含むダイ20とを備える。パンチ部は、ブランクBRの外周部をダイの第1環状面に押圧可能であるしわ押さえ部12、第1方向においてしわ押さえ部とパンチの第1方向の第2端部11Bとの間に配置されている中間部13Bを有し、第2環状面に接触可能であるダイ押圧部13、第1方向に伸縮可能であり、かつ第1方向においてしわ押さえ部と中間部との間に挟まれている第1スプリング14、及び、第1方向に伸縮可能であり、かつ第1方向において中間部とパンチの他方端部との間に挟まれている第2スプリング15とをさらに含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8