(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】織機
(51)【国際特許分類】
D03D 49/62 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
D03D49/62 Z
(21)【出願番号】P 2023152186
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2019196769の分割
【原出願日】2019-10-29
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000169570
【氏名又は名称】高山リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】宮向 智利
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許第126269(DE,B)
【文献】特開平11-36162(JP,A)
【文献】特開昭53-122861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 49/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一筬羽(114)、及び第三筬羽(302)を所定の間隔で交互に列設すると共に、前記第一筬羽(114)、及び第三筬羽(302)の上端部を上枠(122)に、及び前記第一筬羽(114)、及び第三筬羽(302)の下端部を下枠(124)に固定して一体化した筬を用いて、緯糸(108)を織前(112)に筬打ちする織機であって、
前記第一筬羽(114)は、第一幅(W0)を有する
第一筬羽上部(114U)と第一筬羽中間部(114M)と第一筬羽下部(114L)によって細長薄平板形状の平筬羽であって、
前記第一筬羽上部(114U)における前記織前(112)側の一部が開放された開口(117)を有する横向き山型の第一横向き凹部(114D)を有し、
前記第一横向き凹部(114D)は、前記開口(117)に対して下向き傾斜部(114US)と上向き傾斜部(114LS)を有することにより、前記開口(117)側からみて先すぼまり形状に形成され、
前記第三筬羽(302)は、
第三筬羽上部(302U)と第三筬羽中間部(302M)と第三筬羽下部(302L)によって全長に亘って前記第一幅(W0)と同一幅である第三幅(W3)を有すると共に、前記織前(112)に対して上向きの上向き傾斜部(304US)と前記織前(112)に対して下向きの下向き傾斜部(304LS)によって、一部部分が前記織前(112)側に屈曲された筬羽屈曲部(304)が形成されることによりに反織前(112)側が開放された第三横向き凹部(302D)を有し、
前記第三横向き凹部(302D)は、前記
上向きの上向き傾斜部(304US)と、前記
下向きの下向き傾斜部(304LS)によって、前記織前(112)側へ先すぼまり形状に形成され、
正面視した場合、前記第一横向き凹部(114D)と、前記第三横向き凹部(302D)が互いに向い合うように構成され、かつ、
前記第一横向き凹部(114D)の上向き傾斜部(114LS)の前記開口(117)側の下端と前記
第一筬羽中間部(114M)の前記開口(117)側の側縁の接続部、および前記第三筬羽(302)の前記上向き傾斜部(304US)は、最大開口時の上糸位置よりも上方に位置する
ことを特徴とする織機。
【請求項2】
前記上向きの上向き傾斜部(304US)の上端部と前記下向き傾斜部(304LS)の下端部は第三筬羽偏倚部(304M)によって連接される
ことを特徴とする請求項1に記載した織機。
【請求項3】
前記第一横向き凹部(114D)
を構成する下向き傾斜部(114US)と
前記第三横向き凹部(302D)を構成する前記下向きの下向き傾斜部(304LS)、および前記第一横向き凹部(114D)
を構成する上向き傾斜部(114LS)と
前記第三横向き凹部(302D)を構成する前記上向きの上向き傾斜部(304US)は、正面視した場合、交差する
ことを特徴とする請求項1または2に記載した織機。
【請求項4】
前記第一横向き凹部(114D)は
横向きの山型である
ことを特徴とする請求項3に記載した織機。
【請求項5】
前記第三横向き凹部(302D)は、横向き台形である
ことを特徴とする請求項3に記載した織機。
【請求項6】
前記第一横向き凹部(114D)の底部と前記第三横向き凹部(302D)の底部の間には、正面視において第三屈曲部隙間(308)が形成される
ことを特徴とする請求項3に記載した織機。
【請求項7】
前記第一幅(W0)と第三幅(W3)は12mmである
ことを特徴とする請求項1に記載した織機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広幅織機用の筬、特に太糸を製織する広幅織機用筬に関する。
詳細には、広幅織機上において新たな経糸をつないで製織準備をするに適した太糸を製織する広幅織機用筬に関する。
さらに詳細には、広幅織機上において新たな経糸をつなぎ、当該つなぎ目の筬羽間の引通しが容易に行えるようにした太糸を製織する広幅織機用筬に関する。
【0002】
なお、本明細書に於ける「太糸」は、通常は、細い糸用の筬羽の間を通過出来るが、結び玉が大きくなって通常の筬羽の間の隙間を通過させることが困難な糸を意味し、例えば、直径1mm以上の太糸や断面が扁平形状をしたフラットヤーン糸を含んでいる。また、太糸とは、スパン糸では大凡10番手以下、フィラメント糸では大凡1000tex以上をいうが、これらに限定されない。
本明細書において、第一筬羽、第二筬羽等、数を表す用語を用いるが、形状の違いによる筬羽を区別するために用いるものであって、技術的範囲を解釈する場合、筬羽として理解すべきものである。
また、広幅織機用筬とは、例えば、抄紙網、カンバス等抄紙用具製織等に用いられる織機用の筬である。一般的な筬羽の幅(経糸方向の長さ)と比較し数倍の幅、例えば12mm程度である。また、広幅織機用筬の長さ(緯糸方向の長さ)は15mを超えるものもあり、高さは90~250mm、筬羽密度は4乃至100/インチ程度である。
さらに、本発明の構成によって、一枚の筬が構成されている場合の他、筬の一部に本発明の構成が含まれている場合も、本発明の技術的範囲に属するものである。
【背景技術】
【0003】
第一の従来技術として、本出願人の出願に係る、上チャンネルに固定される上固定端と、下チャンネルに固定される下固定端と、その中間に位置して織前に打ち込まれる打込部とを備えた多数のオサ羽を含んで形成され、前記多数のオサ羽には、上固定端と打込部との間が直線状で打込部と下固定端との間が後方に偏倚し、かつ、その偏倚部と打込部との間を繋ぐ前縁が段を有しない斜辺または湾曲辺である下側偏倚オサ羽と、下固定端と打込部との間が直線状で打込部と上固定端との間が後方に偏倚し、かつその偏倚部と打込部との間を繋ぐ前縁が段を有しない斜辺または湾曲辺である上側偏倚オサ羽とが含まれており、上記下側偏倚オサ羽と上側偏倚オサ羽とが隣接して配置されていることを特徴とする、織機用オサが知られている(例えば、特許文献1参照)。
第二の従来技術として、筬羽の中央部において隣接する筬羽間の間隔が略等間隔に保たれるとともに、筬羽の上端部または下端部において筬羽間の間隔が中央部の間隔より大きい間隔を有する構成からなることを特徴とする織機用筬が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-36162(
図6、段落番号0008~0024)
【文献】特開2000-154445(
図1~
図9、段落番号0005~0017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
織機の概略を
図14(A)を参照して説明すれば、経糸ビーム10から引き出された経糸12は、バックレストローラ14によって大凡水平に案内された後、綜絖16に続いて筬18に引き通され、織前22に達している。織前22に連なる織布24は、ブレストビーム26を経由した後、クロスローラ28に巻き取られる。織物(織布24)のなかには、太糸ではあるが、経糸12の全長において、大凡一定の太さの糸も存在する。例えば、フラットヤーン(扁平糸)織物である。同一品種の織物の場合、経糸交換作業の省力化のため、織機上において先に使用していた経糸12の末端部分12Eと、新しく装着した経糸ビーム10nから引き出した経糸12の先端部分12Tをつなぎ合わせて用いる。例えば、大凡×印で示す位置において経糸12を切断して末端部分12Eとし、新たに装着されて満巻きの経糸ビーム10nから引き出した新たな経糸12の先端部分12Tとがノッター(図示せず)を用いて自動的に結ばれ、結び玉kが形成される。ノッターによる結び玉kは、
図13(B)に示すように、二本の糸が玉結びされて結び玉kが形成されるので、結び玉kの大きさは、経糸12の太さよりも大幅に太くなる。例えば、
図12(B)の例では経糸12の太さが約1mmのところ、結び玉kの部分dは、約2.5倍の約2.5mmとなっている。更に、結び玉kから延びる結び玉端eの長さを考慮すると、結び玉k部分の実質的な太さは、経糸直径の三倍を超えることは避けられない。
この場合、経糸12の結び玉kは、経糸12の太さよりも大幅に太くなることから、従来の一般的な薄平板形状の筬羽17を所定の間隔で列設した筬18である場合、筬羽17の間の隙間20よりも結び玉kの大きさが大きいため、隣接する筬羽17が同時に相反する方向に変形されないように時間差を設けて筬羽17をその柔軟性の範囲で左右に開くことにより、筬羽17の隙間20を大きくして結び玉kを通過させる必要があり、筬羽17を傷つけないように繊細な注意力をもって変形させつつ当該結び玉kを引き通さなければならず、作業効率が低いものであった。
これを解決するため、第一の従来技術を採用することが考えられる。第一の従来技術において、経糸はコブ状の節のあるネップヤーンや、太さの変化する糸等を用いることを前提とするため、経糸開口を正面から見て、筬羽の経糸と交差する部位を織機の後方へずらすことにより、隣り合う筬羽の間隔を広くして、太い経糸部分が通過しやすいようにすると共に、筬打ち部分においては、隣接する筬羽が所定の間隔で横方向に列設されるように構成されている。換言すれば、第一の従来技術においては、隣接する筬羽において、正面から見て開口する経糸と交差する筬羽部分が反織前側に屈曲している必要がある。
筬羽が反織前側に屈曲される場合、干渉を防ぐため、綜絖(開口装置)は織前22から遠く配置される。これにより、経糸を開口する開口装置の移動量が大きくなり、高速化には不利である問題点がある。
製織される織布に対応して種々の織機が存在し、当該織機の種類に対応した筬が用いられる。例えば、抄紙網、カンバス等抄紙用具の製織に用いる筬は、緯糸方向の長さが15メートルに達する場合もあり、筬羽17の幅(経糸の伸長方向の長さ)は、通常の筬羽の四倍程度の略12mmに設定されることから、筬羽17を後方湾曲させてずらした場合、筬羽17の一部がオフセット配置される。これにより、筬羽17の強度が低下すること、及び結び目kが通過できる十分な隙間20を筬羽17間に確保出来ない懸念がある。
また、第2の従来技術は、筬の上下位置において、筬羽の間隔が広くなる構成を採用する。この構成により、結び玉kが到達した場合、筬羽間隔が広い上下の筬羽間を通過できる利点がる。しかし、通常の筬の上下に筬羽の間隔が広い部分を形成することは、筬の上下方向の長さが長くなり大型化すると共に重量が増加する。大型化及び重量化は織機の高速化に対し不利であるので、俄に採用し難い。
【0006】
本発明の目的は、織機における経糸準備工程において、経糸の結び玉を容易に筬羽間に引き通すことができると共に、織機の高速化や筬羽の強度に対する影響を極力小さくした織機用筬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、結び玉が通過しやすいように筬羽の間隔が広くなる位置を織機の前後方向(経糸伸長方向)に構成することにより達成したものである。
本発明に係る第1の発明は以下のように構成されている。
第一筬羽、及び第三筬羽を所定の間隔で交互に列設すると共に、前記第一筬羽、及び第三筬羽の上端部を上枠に、及び前記第一筬羽、及び第三筬羽の下端部を下枠に固定して一体化した筬を用いて、緯糸を織前に筬打ちする織機であって、
前記第一筬羽は、第一幅を有する細長薄平板形状の平筬羽であって、前記織前側の一部が開放された開口を有する横向き山型の第一横向き凹部を有し、
前記第一横向き凹部は、前記開口に対して下向き傾斜部と上向き傾斜部を有することにより、前記開口側からみて先すぼまり形状に形成され、
前記第三筬羽は、全長に亘って前記第一幅と同一幅である第三幅を有すると共に、前記織前に対して上向きの上向き傾斜部と前記織前に対して下向きの下向き傾斜部によって、一部部分が前記織前側に屈曲された筬羽屈曲部が形成されることによりに反織前側が開放された第三横向き凹部を有し、
前記第三横向き凹部は、前記上向き傾斜部と、前記下向き傾斜部によって、前記織前側へ先すぼまり形状に形成され、
前記第一横向き凹部と、前記第三横向き凹部が互いに向い合うように構成され、
前記第一横向き凹部の上向き傾斜部の前記開口側の下端と前記側縁の接続部、および前記第三筬羽の前記上向き傾斜部は、最大開口時の上糸位置よりも上方に位置する
ことを特徴とする織機である。
【0008】
本発明に係る第2の発明は以下のように構成されている。
前記上向きの上向き傾斜部の上端部と前記下向き傾斜部の下端部は第三筬羽偏倚部によって連接されることを特徴とする第1の発明の織機である。
【0009】
本発明に係る第3の発明は以下のように構成されている。
前記第一横向き凹部の下向き傾斜部と前記下向き傾斜部の上縁、および前記第一横向き凹部の上向き傾斜部と前記上向き傾斜部の下縁は、正面視した場合、交差する
ことを特徴とする第1または第2の発明の織機である。
【0010】
本発明に係る第4の発明は以下のように構成されている。
前記第一横向き凹部は半円形である
ことを特徴とする第3の発明の織機である。
【0011】
本発明に係る第5の発明は以下のように構成されている。
前記第三横向き凹部は、横向き台形である
ことを特徴とする第3の発明の織機である。
【0012】
本発明に係る第6の発明は以下のように構成されている。
前記第一横向き凹部の底部と前記第三横向き凹部の底部の間には、正面視において第三屈曲部隙間が形成される
ことを特徴とする第3の発明の織機である。
【0013】
本発明に係る第7の発明は以下のように構成されている。
前記第一幅と第三幅は12mmである
ことを特徴とする第1の発明の織機である。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明において、第一筬羽は細長薄平板形状であり、その一部が織前側に開放された第一横向き凹部を有するので、従来の細長薄平板の筬羽と同様の大きさである。第三筬羽は筬羽部分を前記織前側に屈曲させ、反織前側が開放された第三横向き凹部を有する。そして、前記第一横向き凹部と、前記第三横向き凹部が相対して向き合うように配置されている。よって、第一横向き凹部と第三横向き凹部における経糸方向の筬羽間隔が大きくなり、太い結び玉が通過し易い利点がある。第一横向き凹部が形成された部分の筬羽の幅は他よりも小さいが、十分な強度を確保できる幅に形成することにより強度上の問題は生じない。また、第三筬羽の屈曲部も十分な強度を確保できる屈曲量にすることにより、強度上の問題は生じない。さらに、屈曲によって第三横向き凹部を構成することにより、向かい合い凹部における筬羽間の距離を大きくすることができ、る利点がある。また、筬打ち部よりも上方に横向き凹部が形成されるので、強度低下が生じるのは筬打ち部よりも上方であるので、当該部分に大きな力が作用しないので、実質的には問題にならない利点がある。
【0015】
第2の発明においては、第1の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第2の発明において、前記上向きの上向き傾斜部の上端部と前記下向き傾斜部の下端部は第三筬羽偏倚部によって連接される。したがって、第三筬羽偏倚部によって、大きな結び玉を引き通しやすくなる利点がある(段落0043)。
【0016】
第3の発明において、第1の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第3の発明において、前記第一横向き凹部の下向き傾斜部と前記下向き傾斜部の上縁、および前記第一横向き凹部の上向き傾斜部と前記上向き傾斜部の下縁は、正面視した場合、交差する。したがって、経糸の結び玉が引き通しやすくなる利点がある(段落0043)。
【0017】
第4の発明において、第1の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第4の発明において、前記第一横向き凹部は半円形である。したがって、経糸の結び玉が引き通しやすくなる利点がある(段落0043)。
【0018】
第5の発明において、第1の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第5の発明において、前記第三横向き凹部は、横向き台形である。したがって、経糸の結び玉が引き通しやすくなる利点がある(段落0043)。
【0019】
第6の発明においては、第1の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第6の発明において、前記第一横向き凹部の底部と前記第三横向き凹部の底部の間には、正面視において第三屈曲部隙間が形成される。したがって、経糸の結び玉が引き通しやすくなる利点がある(段落0043)。
【0020】
第7の発明においては、第1の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第7の発明において、前記第一幅と第三幅は12mmである。したがって、筬打ちに対して十分な強度易い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明にかかる実施例1の織機用筬の使用状態を説明する説明図である。
【
図2】
図2は、本発明にかかる実施例1の織機用筬であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるB-B線一部断面図、(C)は(A)におけるC―C線位置部断面図である。
【
図3】
図3は、本発明にかかる実施例1の織機用筬に用いる第一筬羽であり、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は(A)におけるC-C線断面図、(D)は(A)におけるD-D線断面図、(E)は背面図、(F)は他の形状の一部正面図、(G)は同背面図、(H)は更に他の形状の正面図、(I)は同背面図である。
【
図4】
図4は、本発明にかかる実施例1の織機用筬に用いる第二筬羽であり、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は(A)におけるC-C線断面図、(D)は(A)におけるD-D線断面図、(E)は背面図である。
【
図5】
図5は、本発明にかかる実施例1の織機用筬の筬打ちの説明図、(B)は筬と経糸の関係を示す一部断面説明図である。
【
図6】
図6は、本発明にかかる実施例1の使用例説明図であり、(A)は使用例1の正面図、(B)は使用例2の正面図、(C)は使用例3の正面図、(D)は使用例4の正面図、(E)は使用例3において使用出来る例の説明図、(F)は使用例3では使用出来ない例の説明図である。
【
図7】
図7は、本発明にかかる実施例2の織機用筬であり、(A)は筬打ちの説明図、(B)は使用例1の正面図、(C)は使用例2の正面図、(D)は使用例3の正面図、(E)は使用例4の正面図である。
【
図8】
図8は、本発明にかかる実施例3の織機用筬であり、(A)は正面図、(B)は第一筬羽の正面図、(C)第三筬羽の側面図、(D)は第三筬羽の正面図である。
【
図9】
図9は、本発明にかかる実施例4の織機用筬であり、(A)は筬打ちの説明図、(B)は筬打ち部での横断面図、(C)は第一横向き凹部と第三横向き凹部での一部断面図である。
【
図10】
図10は、本発明にかかる実施例5の織機用筬であり、(A)は正面図、(B)は屈曲部の異なる位置での正面図、(C)は屈曲部の更に異なる位置での正面図、(D)は第四筬羽の正面図、(E)は筬の筬打ち部での一部断面図、(F)は横向き凹部での断面図である。
【
図11】
図11は、本発明にかかる実施例6の織機用筬であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるB―B線断面図、(C)は(A)におけるC―C線断面図、(D)は他の組み合わせにおけるD―D線断面図である。
【
図12】
図12は、本発明にかかる実施例7の織機用筬であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるB―B線断面図、(C)は(A)におけるC―C線断面図、(D)は他の組み合わせにおけるD―D線断面図である。
【
図13】
図13は、本発明にかかる実施例8~11の織機用筬に用いる筬羽であり、(A)は実施例8の正面図、(B)は実施例9の正面図、(C)は実施例10の正面図、(D)は実施例11の正面図である。
【
図14】
図14は、経糸の自動繋ぎ機を説明するための織機の説明図であり、(A)は織機概要図、(B)はノッターによる結び玉、(C)は結び玉が筬を通過する際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る織機は、第一筬羽、及び第三筬羽を所定の間隔で交互に列設すると共に、前記第一筬羽、及び第三筬羽の上端部を上枠に、及び前記第一筬羽、及び第三筬羽の下端部を下枠に固定して一体化した筬を用いて、緯糸を織前に筬打ちする織機であって、
前記第一筬羽は、第一幅を有する細長薄平板形状の平筬羽であって、前記織前側の一部が開放された開口を有する横向き山型の第一横向き凹部を有し、
前記第一横向き凹部は、前記開口に対して下向き傾斜部と上向き傾斜部を有することにより、前記開口側からみて先すぼまり形状に形成され、
前記第三筬羽は、全長に亘って前記第一幅と同一幅である第三幅を有すると共に、前記織前に対して上向きの上向き傾斜部と前記織前に対して下向きの下向き傾斜部によって、一部部分が前記織前側に屈曲された筬羽屈曲部が形成されることによりに反織前側が開放された第三横向き凹部を有し、
前記第三横向き凹部は、前記上向き傾斜部と、前記下向き傾斜部によって、前記織前側へ先すぼまり形状に形成され、
正面視した場合、前記第一横向き凹部と、前記第三横向き凹部が互いに向い合うように構成され、かつ、
前記第一横向き凹部の上向き傾斜部の前記開口側の下端と前記側縁の接続部、および前記第三筬羽の前記上向き傾斜部は、最大開口時の上糸位置よりも上方に位置することが好ましい。
また、前記上向きの上向き傾斜部の上端部と前記下向き傾斜部の下端部は第三筬羽偏倚部によって連接されることが好ましい。
さらに、前記第一横向き凹部の下向き傾斜部と前記下向き傾斜部の上縁、および前記第一横向き凹部の上向き傾斜部と前記上向き傾斜部の下縁は、正面視した場合、交差することが好ましい。
更にまた、前記第一横向き凹部は半円形であることが好ましい。
また、前記第三横向き凹部は、横向き台形であることが好ましい。
さらに、前記第一横向き凹部の底部と前記第三横向き凹部の底部の間には、正面視において第三屈曲部隙間が形成されることが好ましい。
更にまた、前記第一幅と第三幅は12mmであることが好ましい。
【実施例1】
【0023】
まず
図1~
図4を参照して実施例1の(第一)織機用筬100を説明する。
第一織機用筬100は、経糸102(上経糸102U、下経糸102B)によって形成された経糸開口106に、シャトル、レピア、流体ジェット、グリッパ等によって緯入れされた緯糸108を、所定のタイミングで揺動することにより、織布104の織前112に筬打ちする機能を有する。本実施例1において、第一織機用筬100は、第一筬羽114、第二筬羽116、上枠122、及び下枠124によって構成されている。なお、位置ISは、筬100の緯入れ時の位置、位置BSは第一織機用筬100の筬打ち時の位置である。なお、実施例1においては、親羽根を設けていないが、親羽根と組み合わせることができる。
【0024】
次に第一筬羽114を主に
図2を参照しつつ説明する。
第一筬羽114は、経糸102を案内すると共に緯糸108を筬打ちする機能、及び第二筬羽116との距離を通常の筬羽間の通常隙間ADよりも大きな大隙間LDになるようにする機能を有する。本実施例1において、第一筬羽114は、第一厚みT1が約0.7mm、第一高さ(長さ)L1が約110mm、第一筬羽下部114L、第一筬羽中間部114M、及び第一筬羽上部114Uの第一幅W0が約12mmの細長薄平板形状の平筬羽であって、通常、ステンレスによって成形されているが材質は問わない。第一筬羽114の経糸102と摺接する角部は丸みを付されている。第一筬羽114の第一筬羽下部114Lの下端部は下枠124の下溝124G内に挿入され、第一筬羽上部114Uの上端部は上枠122の上溝122G内に挿入され、接着剤等の固着手段によって強固に固定されている。第一筬羽114は、更に、第一横向き凹部114Dが形成されている。本実施例1において、第一横向き凹部114Dは、横向きの山型であり、第一筬羽中間部114Mに近い第一筬羽上部114Uに形成されている。換言すれば、第一筬羽114は、織前112側の端縁の一部が開放された第一開口115を有する。したがって、第一横向き凹部114Dの中央に対し偏倚した位置に位置する第一接続部114Cによって接続される。第一接続部114Cの断面は、
図3(C)に示すように、他の部位の断面(同図(D))よりも小さな断面積となる。第一筬羽上部114Uは、経糸102と摺接しない位置である。なお、第一横向き凹部114Dの形状は、
図3(F)(G)に図示するように三角形であってもよい。
【0025】
次に第二筬羽116を主に
図4を参照しつつ説明する。
第二筬羽116は、通常の筬打ち機能、及び第一筬羽114との距離を通常距離ADよりも大距離LDになるようにする機能を有する。本実施例1において、第二筬羽116は、第一筬羽114と同一の各部の寸法を有する薄平板形状であって、通常、ステンレスによって成形されているが材質は問わない。第二筬羽116の第二厚みT2は、第一筬羽114の第一厚みT1、第二高さL2は第一筬羽114の第一高さL1、第二幅W2は第一筬羽114の第一幅W1、及び筬羽の幅WOは第一筬羽114と同一のW0である。第二筬羽116の経糸102と摺接する角部は丸みを付されている。第二筬羽116の第二筬羽下部116Lの下端部は下枠124の下溝124G 内に挿入され、第二筬羽上部116Uの上端部は上枠122の上溝122G内に挿入される。第二筬羽116は、第二筬羽上部116U、第二筬羽下部116Lと第二筬羽中間部116Mによって構成される。第二筬羽116は、第二筬羽上部116Uに反織前112側の端縁に開口117を有する横向き山形の第二横向き凹部116Dが形成されている。
図4(C)に示すように、第二横向き凹部116Dが形成された筬羽部分は、中央に対し織前112側に偏倚した位置に位置する第二接続部116Cによって接続され、その断面は、他の部位の断面よりも小さな断面積となる。換言すれば、第二筬羽116は、第一筬羽114を垂直軸回りに180度回転させた形状であり、第一筬羽114と対称に配置される。第二横向き凹部116Dの形状は、第一筬羽114と同様に、三角形等の形状に形成することができる。
【0026】
次に上枠122を説明する。
上枠122は、第一筬羽114、及び第二筬羽116の上端部が収納され、接着剤等によってそれらと一体化され、第一織機用筬100の強度部材となる機能を有する。本実施例1において、上枠122は正面視において長手方向に延在する長方形の上溝122Gを有する下向きチャンネル形状にアルミニュウムによって形成されている。しかし、上枠122は、十分な強度を確保できれば、材質は問わない。
【0027】
次に下枠124を説明する。
下枠124は、第一筬羽114、及び第二筬羽116の下端部が収納され、接着剤等によってそれらと一体化され、第一織機用筬100の強度部材となる機能を有する。本実施例1において、下枠124は正面視において長手方向に延在する長方形の下溝124Gを有する上向きチャンネル形状にアルミニュウムによって形成されている。しかし、下枠124は、十分な強度を確保できれば、材質は問わない。
【0028】
次に第一筬羽114、第二筬羽116、上枠122、及び下枠124が組み立てられた第一織機用筬100を主に
図1を参照しつつ説明する。
本実施例1において、第一筬羽114、及び第二筬羽116の上端部が上枠122の上溝122Gに挿入され、それらの下端部は下枠124の下溝124Gに挿入され、それぞれ接着剤によって固定され、一体化されている。前記接着材に代えて鉛フリーの半田等を使用することが出来る。
第一筬羽114と第二筬羽116は、それぞれ交互に一定間隔(ピッチ)p1において配置されている。換言すれば、異なる種類の第一筬羽114と第二筬羽116が隣り合って配置されている。第一筬羽114と第二筬羽116間の通常距離ADである基準隙間134は、所定の直径の線材によって形成された上巻き線(図示せず)、下巻き線(図示せず)間に第一筬羽114と第二筬羽116を配置することにより、巻き線の直径によって規制されている。これらが組み合わされた第一織機用筬100は、正面視した場合、
図1に示すように、第一筬羽114の第一横向き凹部114D及び第二筬羽116の第二横向き凹部116Dは互いに向かい合うように相対される。
【0029】
次に第一筬羽114、及び第二筬羽116と経糸102(上経糸102U)との関係を主に
図5(A)を参照しつつ説明する。
第一横向き凹部114D、及び第二横向き凹部116Dは、最大開口時の上経糸102Uの位置よりも上方に位置する。これによって、上経糸102Uが第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dと摺接することがないため、これらが経糸102を損傷させ、又は切断させることがない。特に、織布104の左端部、及び右端部に位置する経糸102は織前112の織り縮みによって斜行することから、第一横向き凹部114D、第二横向き凹部116Dが上経糸102Uと摺接する場合には経糸102に悪影響を与える恐れがあるが、上経糸102Uの上方に位置することから、経糸102に悪影響を与えることがない利点を有する。なお、当然のことながら、経糸102の開口量は、製織する織布に応じて変更される。よって、如何なる製織の場合であっても、上経糸102Uと第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dが接触しない(経糸開口を正面視した場合、上経糸102Uが第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dと重ならない)位置に設定される。上経糸102Uと第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dが接触しない位置とは、実質的に上経糸102Uと第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dが接触しない位置を含む概念である。すなわち、上経糸102Uが第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dと接触しない位置は勿論、上経糸102Uと第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dとが接触した場合であっても、実質的に上経糸102Uに悪影響が発生しない位置を含む概念である。
【0030】
次に、主に
図2を参照しつつ本実施例1の作用、効果を説明する。
図2(B)に示すように、第一織機用筬100の筬打ち部BPを通る断面において、第一筬羽114の第一筬羽下部114Lと第二筬羽下部116Lは、同一断面形状を有し、同一のピッチp1において、一列に横(緯糸伸長)方向に列設されることにより、これら第一筬羽114と第二筬羽116とは、所定長の基準隙間134をもって列設されている。基準隙間134の長さは、通常距離ADである。換言すれば、第一筬羽114と第二筬羽116の間には、通常距離ADの空間が存在する。
図2(B)に示すように、筬打ち部BPにおいては、第一筬羽下部114Lと第二筬羽下部116Lは、ピッチp1によって所定の通常距離ADで列設されている。しかし、第二筬羽上部116Uと第一筬羽上部114U、詳しくは、第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dにおいては、同図(C)に示すように、第一接続部114Cと第二接続部116Cは経糸102の伸長方向においてずれていることから、それらの間の大隙間LDたる第一隙間136は、通常距離ADよりも大きな間隔(距離)を有することになる。この第一隙間136は、隣り合う第一筬羽114と第二筬羽116との間では同一の寸法になる。したがって、第一隙間136は、他の部位の第一筬羽114と第二筬羽116の通常距離ADよりも大きくなる。よって、通常の経糸102よりも太くなっている経糸102の結び玉kの引き通しが容易になる。
【0031】
ノッターでつないだ経糸102の結び玉kを第一織機用筬100を通過させる場合、第一織機用筬100を略垂立した状態とした後、経糸102を低緊張状態としつつ緩速度で織前112側へ移動させる。例えば、巻き取り装置と送り出し装置を手動で交互に動作させて、経糸102を織前112側へ移動させる。これにより、結び玉kが第一織機用筬100に達する。経糸102は第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dの下方に位置するので、その状態では、結び玉kを第一筬羽114と第二筬羽116との間の通常隙間ADを通過させることはできない。
そこで、経糸102を緩めて、第一織機用筬100の反織前112側において経糸102を掌間で保持して上方へ移動させ、結び玉kが上方に位置する第一横向き凹部114D、第二横向き凹部116Dに相対する位置へ移動させる。次いで、織前112側へ移動させる。この織前112側への経糸102の移動によって、結び玉kは第一横向き凹部114Dと第二横向き凹部116Dの間の大隙間LDである第一隙間136を通って第一織機用筬100を通過させられる。特に、第二横向き凹部116Dは、第二筬羽下向き傾斜部116USと第二筬羽上向き傾斜部116LSによって、織前112側に近づくほど互いに近づくように横向き先すぼまり形、換言すれば、横向き先すぼまり形の第二横向き凹部116Dが形成されていることから、結び玉kを通すため、経糸102を織前112側へ引くことによって、第二横向き凹部116Dを構成する第二筬羽下向き傾斜部116USと第二筬羽上向き傾斜部116LSによって、結び玉kが自ずと第二横向き凹部116Dの中央へ案内される。換言すれば、結び玉kを通すために経糸102を織前112側へ引くという自然な動作によって、結び玉kが第一隙間136へ案内されるので、容易に経糸102の結び玉kを通過させることができる利点がある。
【0032】
次に、
図6を参照しつつ実施例1の使用例1を説明する。
まず、新たな第一織機用筬100を購入した場合、同図(A)に示すように、第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dが上方に位置すると共に、第一横向き凹部114Dの第一開口1151が織前112に面する(織前112側を「F」)、反織前112側を「R」にて表示した。)第一使用態様によって使用する。そして第一織機用筬100の織前112側の筬打ち部BPが摩耗した場合、同図(B)に示すように左右反転させて用いる(織前112側が「R」、反織前112側「F」)。同図(A)又は(B)に示す使用形態において、第一接続部114C及び第二接続部116Cは、筬打ち部BPよりも上方に位置するため、第一織機用筬100は筬打ち運動における織前112からの反力に対し十分な強度を有する。
そして、第一筬羽114、及び第二筬羽116の織前112側の端面の筬打ち部BPが摩耗した場合、同図(C)又は(D)に示すように上下及び左右反転させて用いる(織前112側が「F」、反織前112側「R」)。この場合、筬打ち部BPが第一開口1151又は第2開口117が筬打ち部BPにならないように設定する必要がある。この場合、同図(F)に示すように、第一接続部114C又は第二接続部116Cを筬打ち部BPにした場合、筬打ち部BPの筬密度が低下するため、正規の筬打ちをすることができない。しかし、同図(E)に示すように、筬打ち部BPを第一開口1151、又は第2開口117よりも上方に位置するように設定する必要がある。この場合、筬打ち時の反力が作用する位置に、第一接続部114C又は第二接続部116Cが位置するので、第一織機用筬100の強度が低下する点に注意する必要がある。第一織機用筬100の強度が不足する場合、同図(C)又は(D)の使用法は行うことが出来ないが、同図(A)(B)に示すように、左右反転させて用いることが出来る利点がある。
【実施例2】
【0033】
次に実施例2の織機用筬たる第二織機用筬200を
図7を参照しつつ説明する。
第二織機用筬200は、第一筬羽114と、第二筬羽116を組み合わせて構成した織機用筬であるが、第一横向き凹部114Dと第二横向き凹部116Dの位置が実施例1とは異なる。実施例1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。なお、第二筬羽116は、第一筬羽114の向きを逆向きにすることにより構成できる。
本実施例2において、第一横向き凹部114Dは第一筬羽中間部114Mに形成され、第二横向き凹部116Dは第二筬羽中間部116Mに形成されている。換言すれば、第一横向き凹部114Dと第二横向き凹部116Dは第二織機用筬200の上下方向の中間に形成され、その他の構成は実施例1と同一に構成されている。
【0034】
第二織機用筬200を用いる場合、下経糸102Bが上経糸102Uの位置へ移動する際、及び上経糸102Uが下経糸102Bの位置へ移動する際、第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dと摺接する。この場合、第一筬羽下向き傾斜部114USと第一筬羽上向き傾斜部114LS、及び第二筬羽下向き傾斜部116USと第二筬羽上向き傾斜部116LSによって案内されるので、経糸102は大きな抵抗を受けることがなく、切断され、又は損傷を受けることはない。筬打ち位置BSにおいて、第一横向き凹部114D及び第二横向き凹部116Dは筬打ち部BPよりも上方に位置するため、第二織機用筬200は筬打ちに対して十分な強度を有する。
【0035】
次に、
図7(B)~(E)を参照しつつ実施例2の使用例を説明する。
まず、新たな第二織機用筬200を購入した場合、同図(B)に示すように、第一横向き凹部114Dの第一開口115が織前112に面する状態において用いる。この使用における耐用時間が過ぎた場合、同図(C)に示すように左右反転させて用いる。換言すれば、それまで裏側であった面を織前112に面する表面として用いる。同図(C)における耐用時間が過ぎた場合、次に同図(D)に示すように、上下反転して用いる。同図(D)に示す耐用時間が過ぎた場合、同図(E)に示すように、左右反転させて用いる。本実施例2における第二織機用筬200である場合、上下反転、及び左右反転させた四通りの使用が可能であり、コストパフォーマンスに優れた使用ができる利点がある。
【実施例3】
【0036】
次に実施例3の第三織機用筬300を
図8を参照しつつ説明する。
第三織機用筬300は、第一筬羽114と、第二筬羽116に代わる第三筬羽302を組み合わせて構成した織機用筬である。実施例1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。
【0037】
第三筬羽302を
図8を参照しつつ説明する。
第三筬羽302は、通常の筬打ち機能、及び第一筬羽114との距離を通常の筬羽間の距離よりも大きな距離になるようにする機能を有する。本実施例3において、第三筬羽302は、第三厚みT3が約0.7mm、第三高さ(長さ)L3が約110mm、第三筬羽下部302L、第三筬羽中間部302M、及び第三筬羽上部302Uの第三幅W3が約12mmの薄平板形状であると共に、第三筬羽上部302Uが織前112側に屈曲された筬羽屈曲部304たる第三筬羽屈曲部3041を有する部分屈曲薄平板形状である屈曲筬羽であって、通常、ステンレスによって成形されているが材質は問わない。換言すれば、第三筬羽302の第三厚みT3は、第一筬羽114の第一厚みT1、第三高さL3は第一筬羽114の第一高さL1、第三幅W3は第一筬羽114の基準幅W0と同一である。第三筬羽302の経糸102と摺接する角部は丸みを付されている。第三筬羽302の第三筬羽下部302Lの下端部は下枠124の下溝124G内に挿入され、第三筬羽上部302Uの上端部は上枠122の上溝122G内に挿入される。これによって、第三筬羽302は、第三筬羽上部302Uによって構成される第三筬羽屈曲部304と、第三筬羽下部302L及び第三筬羽中間部302Mによって構成される第三筬羽真直部306によって構成される。
【0038】
次に第三筬羽屈曲部304の形状を説明する。
第三筬羽屈曲部304は、第三筬羽上向き傾斜部304US、第三筬羽偏倚部304M、及び第三筬羽下向き傾斜部304LSを含んでいる。
第三筬羽上向き傾斜部304USは、第三筬羽偏倚部304Mの下端部に連なり、織前112側に向かって上向きに傾斜する部分である。換言すれば、第三筬羽上向き傾斜部304USは、大凡垂立する第三筬羽上部302Uに対し、所定の角度で織前112側へ上向きに傾斜する部分である。
第三筬羽下向き傾斜部304LSは、第三筬羽偏倚部304Mの上端部に連なり、織前112に向かって下向きに傾斜する部分である。換言すれば、第三筬羽下向き傾斜部304LSは、大凡垂立する第三筬羽上部302Uに対し、所定の角度で織前112側へ下向きに傾斜する部分である。換言すれば、第三筬羽下向き傾斜部304LSは、織前112に向かって下向きに傾斜する部位である。
第三筬羽偏倚部304Mは、第三筬羽上向き傾斜部304USの上端部に連なり、第三筬羽中間部302Mよりも織前112側に位置し、短い長さで平行に延在する部分である。
換言すれば、第三筬羽屈曲部304は織前112側へ横向き台形状に突出する屈曲部である。第三筬羽302は、第三筬羽屈曲部304によって、その上部に織前112側へ先すぼまりの第三横向き凹部302Dが形成される。なお、第三筬羽屈曲部304は、第三筬羽偏倚部304Mが殆ど存在しない横向き山形であってもよい。換言すれば、第三筬羽屈曲部304の織前112側への突出量は任意に設定することが出来る。
【0039】
次に第三筬羽真直部306を説明する。
第三筬羽真直部306は、第一筬羽114と実質的に同一の断面形状に構成され、第三筬羽屈曲部304の側の下方に筬打ち部BPが位置することになる。
【0040】
第三筬羽302は、
図8(D)の正面図とは線対称の形状になり、左右側面図は第三厚みT3で表される縦長薄板形状であり、第三筬羽真直部306の上方に織前112側へ第三筬羽屈曲部304が横向き突出する薄平板形状である。第三筬羽屈曲部304の断面は、
図9(C)に示すように第一筬羽114の断面と同一の扁平薄板断面であり、第三筬羽真直部306の断面は、第一筬羽114の断面と同一の扁平薄板断面である。
【0041】
次に第一筬羽114、第三筬羽302、上枠122、及び下枠124によって構成された第三織機用筬300を主に
図8を参照しつつ説明する。
本実施例3において、第一筬羽114、及び第三筬羽302の上端部が実施例1と同様に、上枠122の上溝122Gに挿入され、それらの下端部は下枠124の下溝124Gに挿入され、接着剤等によってそれぞれ固定され、一体化されている。
図9(A)に示すように、実施例1と同様に第一筬羽114と第三筬羽302は、それぞれ交互にピッチp3において配置されている。換言すれば、異なる種類の第一筬羽114と第三筬羽302が隣り合わせに配置されている。第一筬羽114と第三筬羽302間の間隔は、所定の直径の線材によって形成された上巻き線(図示せず)、下巻き線(図示せず)によって規制されている。これらが組み合わされた第三織機用筬300は、
図8(A)に示すように、経糸開口106を正面視した場合、第一筬羽114の第一筬羽下部114L及び第一筬羽中間部114Mと、第三筬羽302の第三筬羽下部302L及び第三筬羽中間部302Mが重なりあい、第一筬羽下部114L、及び第三筬羽下部302Lの所定部分が筬打ち部BPになる。第三筬羽302の第三筬羽屈曲部304は第一筬羽114の第一筬羽上部114Uに対し織前112側に偏倚され、第一筬羽114の第一横向き凹部114Dの織前112側端縁と第三筬羽302の第三筬羽偏倚部304Mにおける反織前112側端縁との間に第三屈曲部隙間308が形成される。第三屈曲部隙間308は、第一筬羽114と第三筬羽302との間の通常距離ADよりも大きく、実施例1と同様に、結び玉kを容易に引き通すことができる。特に、第三筬羽302における第三横向き凹部302Dは、第三筬羽偏倚部304Mによって形成されていることから、第三屈曲部隙間308も大きくすることができる。
【0042】
次に第三筬羽屈曲部304と経糸102(上経糸102U)との関係を主に
図9(A)を参照しつつ説明する。
第三筬羽屈曲部304は、最大開口時の上経糸102Uの位置よりも上方に位置する。これによって、上経糸102Uが第三筬羽屈曲部304と摺接することがないため、経糸102を損傷させ、又は切断させることがない利点を有する。なお、上経糸102Uと第三筬羽屈曲部304が接触しない位置とは、実質的に上経糸102Uと第三筬羽屈曲部304が接触しない位置を含む概念である。すなわち、上経糸102Uが第三筬羽上向き傾斜部304USと接触しない位置は勿論、上経糸102Uと第三筬羽上向き傾斜部304USとが接触した場合であっても、実質的に上経糸102Uに悪影響が発生しない場合を含む概念である。換言すれば、経糸開口106を正面視した場合、第三筬羽上向き傾斜部304USと上経糸102Uが実質的に重ならないように設定されている。
【0043】
次に、主に
図9を参照しつつ本実施例3の作用、効果を説明する。
図9(B)に示すように、第三織機用筬300の筬打ち部BPを通る断面図において、第一筬羽114の第一筬羽中間部114Mと第三筬羽中間部302Mは、同一断面形状を有し、同一のピッチp3において、一列に横方向に列設されることにより、第三通常距離AD3が形成され、当該第三通常距離AD3は、所定の通常距離ADを有している。
図9(C)に示すように、第三筬羽屈曲部304において、第一筬羽上部114Uと第三筬羽上部302Uたる第三筬羽屈曲部304は、第三ピッチp3によって所定の間隔で列設されているが、第三筬羽屈曲部304、詳しくは第三筬羽偏倚部304Mと第一横向き凹部114Dは、経糸102の伸長方向においてずれていることから、それらの間の第三屈曲部隙間308は、通常距離ADよりも大きな第三屈曲部隙間308を構成する。第三屈曲部隙間308は第三長さd3を有する。この第三屈曲部隙間308は、隣り合う第一筬羽114との間では同一の寸法になる。したがって、第三屈曲部隙間308は、第三筬羽偏倚部304Mと第一横向き凹部114D(第一接続部114C)との間が最も大きく、第三筬羽上向き傾斜部304US、又は第三筬羽下向き傾斜部304LSと第一筬羽114の第一筬羽上部114Uとの間は徐々に広くなる。
第一横向き凹部114Dと第三筬羽屈曲部304の第三筬羽偏倚部304Mとの間に形成される第三屈曲部隙間308の第三長さd3は、通常の通常距離ADよりも大きいことから、通常の経糸102よりも太くなっている経糸102の結び玉kが引き通しやすくなる。本実施例3においては、第三筬羽302を織前112側へ屈曲させるので、第一筬羽114と第一筬羽114を反対向きにした第二筬羽116によって構成する第一隙間よりも大きな隙間にすることができる利点がある。織前112側への屈曲量、換言すれば、織前112側への突出量PAは任意に設定できる。この突出量PAを大きくすれば、第三長さd3は大きくなり、より大きな結び玉kを引き通しやすくなる。しかし、筬羽強度や作業性等に影響を与えることから限界もある。例えば、第三筬羽屈曲部304の端面を上枠122と下枠124の織前112側の端面を結んだ直線上、又は当該直線よりも引っ込んだ位置に配置することができる。なお、実施例3において、第三筬羽屈曲部304は筬打ち部BP以外であれば配置することができる。しかし、第三筬羽屈曲部304は最大開口時の上経糸102Uよりも上方に配置することが好ましい。第三筬羽屈曲部304によって、経糸102を擦らないからである。
【実施例4】
【0044】
次に実施例4の第四織機用筬400を
図10を参照しつつ説明する。
第四織機用筬400は、実施例1において説明した第二筬羽116、及び実施例3において説明した第三筬羽302を縦軸回りに180度反転させた第四筬羽402の組み合わせである。換言すれば、反織前112側へ開口する第二横向き凹部116Dを有する第二筬羽116と、反織前112側へ突出する筬羽屈曲部304たる第四筬羽屈曲部404を有する屈曲筬羽たる第四筬羽402が、交互に所定の第四ピッチp4において配置され、第二筬羽116と第四筬羽402との間には通常距離ADの隙間が形成されている。第二横向き凹部116Dと第四筬羽屈曲部404は、向かい合わせに配置され、経糸開口106の正面視において、第二横向凹部116Dと第四横向凹部404Dが向かい合うことにより、リング型の第四隙間408が形成される。
【0045】
次に第二横向き凹部116D、及び第四筬羽屈曲部404と経糸102(上経糸102U)との関係を主に
図10を参照しつつ説明する。
第二横向き凹部116D、及び第四筬羽屈曲部404は、最大開口時の上経糸102Uの位置よりも上方に位置する。これによって、上経糸102Uが第二横向き凹部116Dを構成する筬部分、及び第四筬羽屈曲部404と実質的に摺接することがないため、経糸102を損傷させ、又は切断させることがない利点を有する。
【0046】
次に、主に
図10を参照しつつ本実施例4の第四織機用筬400の作用を説明する。
図10(E)に示すように、第四織機用筬400の筬打ち部BPを通る断面図において、第二筬羽116の第二筬羽下部116Lと第四筬羽402の第四筬羽下部402Lは、同一断面形状を有し、同一のピッチp4において、一列に横方向に列設されている。第二筬羽116と第四筬羽402の間に形成される第四基準隙間406は、第4通常距離AD4である。換言すれば、第二筬羽116と第四筬羽402の間には、第4通常距離AD4の隙間が存在する。
図10(F)に示すように、第二横向き凹部116Dと第四筬羽屈曲部404においては、第二筬羽116の第二接続部116Cと第四筬羽屈曲部404は、中間部におけるピッチp4と同一のピッチp4によって所定の間隔で横方向に列設されているが、第二横向き凹部116Dと第四筬羽屈曲部404、詳しくは第二接続部116Cと第四筬羽偏倚部404Mは、経糸102の伸長方向に偏倚していることから、それらの間の第四隙間408は、第四通常距離AD4よりも大きな第四長d4の長さを有することになる。この第四隙間408は、隣り合う第二筬羽116と第四筬羽402との間では同一の寸法になる。したがって、第四隙間408は、第二接続部116Cと第四筬羽偏倚部404Mの間が第四長さd4として最も大きい。したがって、経糸102の結び玉kは第四隙間408を通ることができるので、容易に経糸102の結び玉kを通過させることが出来る利点がある。なお、第四筬羽偏倚部404Mの位置は、同図(C)に示すように第四織機用筬400の中間部、又は同図(D)に示すように第四織機用筬400の下端部に形成することが出来る。さらに、第四筬羽偏倚部404Mは、第四筬羽上向き傾斜部402USと第四筬羽下向き傾斜部402LSによって、横向き台形状であって、反織前112側に向かって先すぼまりの第四横向凹部406Dに形成されていることから、結び玉kを通すため、経糸102を織前112側へ引くことによって、第四横向き凹部116Dを構成する第二筬羽下向き傾斜部116USと第二筬羽上向き傾斜部116LSによって、結び玉kが自ずと第四筬羽偏倚部404Mへ案内される。換言すれば、結び玉kを通すために経糸102を織前112側へ引くという自然な動作によって、結び玉kが最も隙間が大きい第四筬羽偏倚部404Mへ案内されるので、容易に経糸102の結び玉kを通過させることができる利点がある。
【実施例5】
【0047】
次に実施例5に係る第五織機用筬500を
図11を参照しつつ説明する。
第五織機用筬500は、所定位置において、第一筬羽114、第二筬羽116、及び第三筬羽302を隣り合う筬羽が異なる筬羽になるように配置した例の一例である。本実施例5において、左端から順に、第一筬羽114、第二筬羽116、及び第三筬羽302が所定の第5ピッチp5において、横方向に列設され、その後は第一筬羽114と第三筬羽302が交互に配置されている。この構成によって、第一横向き凹部114D(第一接続部114C)と第二横向き凹部116D(第二接続部116C)の間には第一長さd1の第一隙間136、第一横向き凹部114D(第一接続部114C)と第三横向き凹部302D(第三筬羽屈曲部304)の間には第三長さd3の第三隙間307が形成される。実施例1、2、又は実施例3の説明において詳述したように、第一長さd1、及び第三長さd3は、通常の通常距離ADよりも大きいので、経糸102の結び玉kを通過させやすい効果がある。また、第二筬羽116の第二横向き凹部116Dを構成する第二接続部116C、及び第三筬羽302の第三筬羽屈曲部304の作用によって、実施例1及び3において説明したように、結び玉kの引通しが容易になる利点がある。さらに、同図(D)に示すように、左側から第一筬羽114、第二筬羽116、第一筬羽114、及び第三筬羽302の順に並べた構成を一セットとして、当該セットを横方向へ列設することができる。
なお、第三筬羽屈曲部304は、第三筬羽中間部302M、第三筬羽下部302Lに設けることもできるが、筬打ち部BPには設けることができない。
本実施例5の構成のように、筬端部に第一筬羽114、第二筬羽116を配置することにより、織り縮みによって、経糸102が斜行し、第三筬羽屈曲部304によって擦られることを防止できる利点がある。
【実施例6】
【0048】
次に実施例6に係る第六織機用筬600を
図12(A)を参照しつつ説明する。
第六織機用筬600は、所定位置において、第一筬羽114、第二筬羽116、第三筬羽302、及び第四筬羽402を隣り合う筬羽に形成された横向き凹部が互いに向かい合うように配置した例である。本実施例6において、左端から順に、第一筬羽114、第二筬羽116、第一筬羽114、第三筬羽302、第四筬羽402が所定の第6ピッチp6において、横方向に列設され、その後は第三筬羽302と第四筬羽402が交互に配置されている。この構成によって、第一横向き凹部114D(第一接続部114C)と第二横向き凹部116D(第二接続部116C)の間には第一長さd1の第一隙間136、第一横向き凹部114D(第一接続部114C)と第三横向き凹部302D(第三筬羽屈曲部304)の間には第三長さd3の第三隙間307が形成される。第三横向き凹部302D(第三筬羽偏倚部304M)と第四横向き凹部402(第四筬羽偏倚部404M)の間には第六長さd6の第六隙間607が形成される。実施例1、2、3、又は実施例4の説明において詳述したように、第一長さd1、第三長さd3、及び第四長さd4は、通常の通常距離ADよりも大きいので、経糸102の結び玉kを通過させやすい効果がある。また、同図(D)に示すように、左側から第一筬羽114、第二筬羽116、第一筬羽114、第三筬羽302、第四筬羽402の順に並べた構成を一セットとして、当該セットを横方向へ列設することができる。さらに、織端に配置する第一筬羽114、及び第二筬羽116の対の数は、織縮に対応して設定することができる。更にまた、織布の中央部分には、第三筬羽302と第四筬羽402の対を横方向に列設することができる。
【実施例7】
【0049】
次に実施例7に係る第七織機用筬700に用いる第七筬羽702を
図13(A)を参照しつつ説明する。
第七筬羽702は、基本的構成は実施例1の第一筬羽114と同様に、第七筬羽702に第七横向き凹部704が形成されている。第七横向き凹部704は、半円のドーム型である。第七横向き凹部704がドーム型であっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例8】
【0050】
次に実施例8に係る第八織機用筬800に用いる第八筬羽802を
図13(B)を参照しつつ説明する。
第八筬羽802は、基本的構成は実施例3の第三筬羽302と同様に、第八筬羽屈曲部804が形成され、これによって第八横向き凹部806が形成されている。第八横向き凹部806は、半円のドーム型である。第八横向き凹部806がドーム型であっても、実施例3と同様の効果が得られる。
【実施例9】
【0051】
次に実施例9に係る第九織機用筬900に用いる第九筬羽902を
図13(C)を参照しつつ説明する。
第九筬羽902は、基本的構成は実施例1の第一筬羽114と同様に、第九筬羽902に第九横向き凹部904が形成されている。第九横向き凹部904は、長方形である。第九横向き凹部904が長方形であっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例10】
【0052】
次に実施例10に係る第十織機用筬1000に用いる第十筬羽1002を
図13(D)を参照しつつ説明する。
第十筬羽1002は、基本的構成は実施例3の第三筬羽302と同様に、第十筬羽屈曲部1004が形成され、これによって第十横向き凹部1006が形成されている。第十横向き凹部1006は、角型である。第十横向き凹部1006が角型であっても、実施例3と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0053】
100 第一織機用筬
200 第二織機用筬
300 第三織機用筬
400 第四織機用筬
500 第五織機用筬
600 第六織機用筬
700 第七織機用筬
800 第八織機用筬
900 第九織機用筬
102 経糸
102U 上経糸
102B 下経糸
104 織布
106 経糸開口
108 緯糸
112 織前
114 第一筬羽
114D 第一横向き凹部
116 第二筬羽
116D 第二横向き凹部
122 上枠
122G 上溝
124 下枠
124G 下溝
302 第三筬羽
302D 第三横向き凹部
304 筬羽屈曲部
BP 筬打ち部