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特許7551180イベントに関する情報を来場者へ提供する方法、プログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】イベントに関する情報を来場者へ提供する方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20240909BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240909BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06Q50/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023216995
(22)【出願日】2023-12-22
【審査請求日】2023-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517116038
【氏名又は名称】株式会社テクサー
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】朱 強
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7313757(JP,B1)
【文献】特開2022-190557(JP,A)
【文献】特開2021-140588(JP,A)
【文献】茂木 学,AI×IoTによる次世代展示見学支援システムの大規模企業展示会における適用,情報処理学会 デジタルプラクティス Vol.10 No.3 [online] ,情報処理学会,2019年07月15日,第10巻, 第3号,pp.621~638,Internet<URL:https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=198007&file_id=1&file_no=1>
【文献】今野 陽子,特定の話題に関する対話エージェントの実現に向けた特徴語に基づく応答法の検討,情報処理学会 研究報告 知能システム(ICS) 2017-ICS-186 [online] ,情報処理学会,2017年02月24日,Internet<URL:https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=177696&file_id=1&file_no=1>
【文献】川本 稔己,対話システムにおけるペルソナの自動生成による更新,言語処理学会第29回年次大会 発表論文集 [online],言語処理学会,2020年03月06日,pp.399~404,Internet<URL:https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2023/pdf_dir/H2-3.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 40/20-40/58
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムが、イベントに関する情報を来場者へ提供する方法であって、
前記イベントに関する前記来場者の質問文を取得する工程と、
前記イベントに関する複数のイベント情報から、前記質問文と関連性を有する1以上の前記イベント情報を取得する工程と、
取得された1以上の前記イベント情報に基づいて前記質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成する工程と、
前記第1プロンプトに応じて前記大規模言語モデルにより生成された前記回答文を前記来場者へ提供する処理を行う工程と、
を有し、
前記情報処理システムは、記憶装置にアクセス可能であり、
前記記憶装置は、複数の前記来場者に対応する複数の対話履歴情報を記憶しており、
一の前記対話履歴情報は、
一の来場者による1以上の前記質問文と、
当該1以上の質問文について取得された1以上の前記イベント情報と、
当該1以上の質問文に対して前記大規模言語モデルにより生成された1以上の前記回答文とを含み、
前記第1プロンプトを生成する工程は、一の前記来場者による一の前記質問文について前記第1プロンプトを生成する場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報と、当該一の質問文について取得された1以上の前記イベント情報とに基づいて、当該一の質問文に対する前記回答文を生成するように前記大規模言語モデルへ指示を与える前記第1プロンプトを生成することを含み、
複数の前記イベント情報の少なくとも一部は、前記イベントに参加する1以上の参加者に関連した情報を含んでおり、
一の前記参加者によって操作される端末装置から、当該一の参加者と一の前記来場者とがマッチする度合いに関するマッチング度を求めるマッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上の前記イベント情報と、当該一の来場者の前記対話履歴情報に含まれる少なくとも前記質問文の履歴とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者との前記マッチング度を評価するように前記大規模言語モデルへ指示を与える第2プロンプトを生成する工程と、
前記第2プロンプトに応じて前記大規模言語モデルにより生成された前記マッチング度の評価結果である対話履歴評価に基づいて、前記マッチング度を取得する工程と、
取得した前記マッチング度を、前記マッチング度要求の要求元の前記端末装置へ提供する処理を行う工程とを有する、
方法。
【請求項2】
前記記憶装置は、複数の前記来場者に対応した複数の来場者情報を記憶しており、
一の前記来場者情報は、一の前記来場者の属性に関する情報を含み、
一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度について前記マッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上の前記イベント情報と、当該一の来場者の前記来場者情報に含まれる当該一の来場者の属性に関する情報とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者との前記マッチング度を評価するように前記大規模言語モデルへ指示を与える第3プロンプトを生成する工程を有し、
前記マッチング度を取得する工程は、前記第3プロンプトに応じて前記大規模言語モデルにより生成された前記マッチング度の評価結果である来場者属性評価と、前記対話履歴評価とに基づいて、前記マッチング度を取得することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記来場者は、前記イベントにおいて複数の対象に関する情報を得ることが可能であり、
前記イベントに参加する複数の参加者は、それぞれ少なくとも1つの前記対象に関連しており、
前記記憶装置は、複数の行動記録情報を記憶しており、
一の前記行動記録情報は、1以上の前記イベントにおいて一の前記来場者が行った一の前記対象を目的とする所定の行動に関する記録を含んだ情報であり、
一の前記対象について一の前記来場者が行った前記所定の行動に関するパラメータであって、一の前記対象に対して一の前記来場者が行った前記所定の行動の回数を示すパラメータ、及び/又は、当該所定の行動に費やした時間を示すパラメータを行動パラメータと呼び、
一の前記対象に対する一の前記来場者の関心の度合いを関心度と呼び、
前記関心度に関する指標を関心指標と呼び、
前記関心指標は、1以上の前記行動パラメータである行動パラメータ群に基づいて算出され、
一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度について前記マッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上の前記対象の各々について、当該一の来場者が行った前記所定の行動の記録を含む1以上の前記行動記録情報に基づいて前記行動パラメータ群を算出し、当該1以上の対象の各々について算出した前記行動パラメータ群に基づいて、当該1以上の対象に対応する1以上の前記関心指標を算出し、算出した当該1以上の関心指標に基づいて、一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度に関わる指標を第1マッチング指標として算出する工程を有し、
前記マッチング度を取得する工程は、前記第1マッチング指標と前記対話履歴評価とに基づいて前記マッチング度を取得することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各前記対象は、所定の複数のカテゴリにおける1つの前記カテゴリに分類されており、
前記記憶装置は、複数の前記対象に対応した複数の対象情報を含んでおり、
各前記対象情報は、前記対象が分類された前記カテゴリを含んでおり、
前記指標を算出する工程は、一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度について前記マッチング度要求を受信した場合、複数の前記対象情報に基づいて、当該一の参加者に関連する1以上の前記対象と前記カテゴリが同一であり、かつ、当該一の参加者とは別の前記参加者に関連する1以上の前記対象を特定し、特定した1以上の前記対象の各々について、当該一の来場者が行った前記所定の行動の記録を含む1以上の前記行動記録情報に基づいて前記行動パラメータ群を算出し、当該1以上の対象の各々について算出した前記行動パラメータ群に基づいて、当該1以上の対象に対応する1以上の前記関心指標を算出し、算出した当該1以上の関心指標に基づいて、前記別の参加者と一の前記来場者との前記マッチング度に関わる指標を第2マッチング指標として算出する工程を有し、
前記マッチング度を取得する工程は、前記第1マッチング指標と前記第2マッチング指標と前記対話履歴評価とに基づいて前記マッチング度を取得することを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
開催中の前記イベントにおいて前記来場者が行った前記所定の行動に関する記録を含む前記行動記録情報を取得し、前記記憶装置に格納する工程を有する、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
一の前記来場者による前記質問文が取得された場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報に当該取得された質問文を追加する工程と、
一の前記来場者による前記質問文について前記イベント情報が取得された場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報に当該取得されたイベント情報を追加する工程と、
一の前記来場者による前記質問文に対する前記回答文が前記大規模言語モデルにより生成された場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報に当該生成された回答文を追加する工程とを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1プロンプトを生成する工程は、一の前記対話履歴情報に基づいて一の前記質問文に対する前記回答文を生成するように前記第1プロンプトを生成する場合において、当該一の対話履歴情報に含まれる1以上の前記イベント情報と、当該一の質問文に関連性を有するものとして取得された前記イベント情報とからなる複数の前記イベント情報の中に複数の同一の前記イベント情報が含まれるならば、当該複数の同一のイベント情報の一部が省略されるように前記第1プロンプトを生成することを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1プロンプトを生成する工程は、生成した前記第1プロンプトについて、前記大規模言語モデルにおけるテキストの処理単位であるトークンの数の見積もりを取得し、前記トークン数の見積もりが所定のしきい値を超える場合には、前記トークン数の見積もりが前記しきい値を下回るように、前記大規模言語モデルに提供される前記第1プロンプトの文字数を減らすことを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1プロンプトを生成する工程において、前記大規模言語モデルに提供される前記第1プロンプトの文字数を減らすことは、
当該第1プロンプトにおける最も古い1以上の前記質問文及び最も古い1以上の前記回答文の少なくとも一部を削除することと、
当該第1プロンプトにおける最も古い1以上の前記質問文及び最も古い1以上の前記回答文の少なくとも一部を要約された文に置換することと、
当該第1プロンプトに含まれる最も新しい1以上の前記質問文に応じて取得された1以上の前記イベント情報を除く残りの前記イベント情報を削除することと、
当該第1プロンプトに含まれる最も新しい1以上の前記質問文に応じて取得された1以上の前記イベント情報を除く残りの前記イベント情報を要約された文に置換することと、
当該第1プロンプトの全体を要約された文に置換することと
の少なくとも1つを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の前記イベント情報の各々は、情報の内容を表現する1つのベクトルに関連付けられており、
前記質問文の内容を表現する前記ベクトルを質問文ベクトルと呼び、
前記イベント情報を取得する工程は、複数の前記イベント情報から、前記質問文ベクトルに類似する前記ベクトルに関連付けられた1以上の前記イベント情報を取得することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を情報処理システムに行わせる命令を含んだプログラムであって、
前記命令に従って前記情報処理システムが行う処理は、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された方法の各工程を含む、
プログラム。
【請求項12】
イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を行う情報処理システムであって、
処理部と、
前記処理部において実行される命令を記憶した記憶部とを有し、
前記処理部が前記命令に従って行う処理は、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された方法の各工程を含む、
情報処理システム。
【請求項13】
イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を行う情報処理システムであって、
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載された方法の各工程を行う手段を備えた、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベントに関する情報を来場者へ提供する方法、プログラム及び情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
展示会において来場者の欲する情報が得られる展示ブースを簡単に見つけられるようにするシステムが知られている。下記の特許文献には、展示会来場予定者に対して興味分野のアンケートを事前に行い、このアンケート結果に基づいて、展示会場において興味分野の展示位置案内を行う展示会案内システムが記載されている。このシステムによれば、来場者は、展示会場の中で自分の求めたい情報がどこに有るかを展示会に来場してすぐに知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-273324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のシステムでは、予め準備されている興味分野のアンケートの結果に基づいて展示ブースの案内が行われるため、アンケートに含まれていない来場者の興味分野等は全く考慮されない。従って、様々な来場者の要望に対して的確な案内を行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、展示会等のイベントの来場者に対して、来場者の要望に合った的確な情報を提供できる方法、プログラム及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る方法は、情報処理システムが、イベントに関する情報を来場者へ提供する方法であって、イベントに関する来場者の質問文を取得する工程と、イベントに関する複数のイベント情報から、質問文と関連性を有する1以上のイベント情報を取得する工程と、取得された1以上のイベント情報に基づいて質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成する工程と、第1プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成された回答文を来場者へ提供する処理を行う工程と、を有し、情報処理システムは、記憶装置にアクセス可能であり、記憶装置は、複数の来場者に対応する複数の対話履歴情報を記憶しており、一の対話履歴情報は、一の来場者による1以上の質問文と、当該1以上の質問文について取得された1以上のイベント情報と、当該1以上の質問文に対して大規模言語モデルにより生成された1以上の回答文とを含み、第1プロンプトを生成する工程は、一の来場者による一の質問文について第1プロンプトを生成する場合、当該一の来場者に対応する対話履歴情報と、当該一の質問文について取得された1以上のイベント情報とに基づいて、当該一の質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成することを含み、複数のイベント情報の少なくとも一部は、イベントに参加する1以上の参加者に関連した情報を含んでおり、一の参加者によって操作される端末装置から、当該一の参加者と一の来場者とがマッチする度合いに関するマッチング度を求めるマッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上のイベント情報と、当該一の来場者の対話履歴情報に含まれる少なくとも質問文の履歴とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者とのマッチング度を評価するように大規模言語モデルへ指示を与える第2プロンプトを生成する工程と、第2プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成されたマッチング度の評価結果である対話履歴評価に基づいて、マッチング度を取得する工程と、取得したマッチング度を、マッチング度要求の要求元の端末装置へ提供する処理を行う工程とを有する、方法である。
【0007】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を情報処理システムに行わせる命令を含んだプログラムであって、命令に従って情報処理システムが行う処理は、イベントに関する来場者の質問文を取得する工程と、イベントに関する複数のイベント情報から、質問文と関連性を有する1以上のイベント情報を取得する工程と、取得された1以上のイベント情報に基づいて質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成する工程と、第1プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成された回答文を来場者へ提供する処理を行う工程とを有し、情報処理システムは、記憶装置にアクセス可能であり、記憶装置は、複数の来場者に対応する複数の対話履歴情報を記憶しており、一の対話履歴情報は、一の来場者による1以上の質問文と、当該1以上の質問文について取得された1以上のイベント情報と、当該1以上の質問文に対して大規模言語モデルにより生成された1以上の回答文とを含み、第1プロンプトを生成する工程は、一の来場者による一の質問文について第1プロンプトを生成する場合、当該一の来場者に対応する対話履歴情報と、当該一の質問文について取得された1以上のイベント情報とに基づいて、当該一の質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成することを含み、複数のイベント情報の少なくとも一部は、イベントに参加する1以上の参加者に関連した情報を含んでおり、一の参加者によって操作される端末装置から、当該一の参加者と一の来場者とがマッチする度合いに関するマッチング度を求めるマッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上のイベント情報と、当該一の来場者の対話履歴情報に含まれる少なくとも質問文の履歴とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者とのマッチング度を評価するように大規模言語モデルへ指示を与える第2プロンプトを生成する工程と、第2プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成されたマッチング度の評価結果である対話履歴評価に基づいて、マッチング度を取得する工程と、取得したマッチング度を、マッチング度要求の要求元の端末装置へ提供する処理を行う工程とを有する、プログラムである。
【0008】
本発明の第3の態様に係る情報処理システムは、イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を行う情報処理システムであって、処理部と、処理部において実行される命令を記憶した記憶部とを有し、処理部が命令に従って行う処理は、イベントに関する来場者の質問文を取得する工程と、イベントに関する複数のイベント情報から、質問文と関連性を有する1以上のイベント情報を取得する工程と、取得された1以上のイベント情報に基づいて質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成する工程と、第1プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成された回答文を来場者へ提供する処理を行う工程とを有し、情報処理システムは、記憶装置にアクセス可能であり、記憶装置は、複数の来場者に対応する複数の対話履歴情報を記憶しており、一の対話履歴情報は、一の来場者による1以上の質問文と、当該1以上の質問文について取得された1以上のイベント情報と、当該1以上の質問文に対して大規模言語モデルにより生成された1以上の回答文とを含み、第1プロンプトを生成する工程は、一の来場者による一の質問文について第1プロンプトを生成する場合、当該一の来場者に対応する対話履歴情報と、当該一の質問文について取得された1以上のイベント情報とに基づいて、当該一の質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成することを含み、複数のイベント情報の少なくとも一部は、イベントに参加する1以上の参加者に関連した情報を含んでおり、一の参加者によって操作される端末装置から、当該一の参加者と一の来場者とがマッチする度合いに関するマッチング度を求めるマッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上のイベント情報と、当該一の来場者の対話履歴情報に含まれる少なくとも質問文の履歴とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者とのマッチング度を評価するように大規模言語モデルへ指示を与える第2プロンプトを生成する工程と、第2プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成されたマッチング度の評価結果である対話履歴評価に基づいて、マッチング度を取得する工程と、取得したマッチング度を、マッチング度要求の要求元の端末装置へ提供する処理を行う工程とを有する、情報処理システムである。
【0009】
本発明の第4の態様に係る情報処理システムは、イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を行う情報処理システムであって、イベントに関する来場者の質問文を取得する手段と、イベントに関する複数のイベント情報から、質問文と関連性を有する1以上のイベント情報を取得する手段と、取得された1以上のイベント情報に基づいて質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成する手段と、第1プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成された回答文を来場者へ提供する処理を行う手段とを有し、情報処理システムは、記憶装置にアクセス可能であり、記憶装置は、複数の来場者に対応する複数の対話履歴情報を記憶しており、一の対話履歴情報は、一の来場者による1以上の質問文と、当該1以上の質問文について取得された1以上のイベント情報と、当該1以上の質問文に対して大規模言語モデルにより生成された1以上の回答文とを含み、第1プロンプトを生成する手段は、一の来場者による一の質問文について第1プロンプトを生成する場合、当該一の来場者に対応する対話履歴情報と、当該一の質問文について取得された1以上のイベント情報とに基づいて、当該一の質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成し、複数のイベント情報の少なくとも一部は、イベントに参加する1以上の参加者に関連した情報を含んでおり、一の参加者によって操作される端末装置から、当該一の参加者と一の来場者とがマッチする度合いに関するマッチング度を求めるマッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上のイベント情報と、当該一の来場者の対話履歴情報に含まれる少なくとも質問文の履歴とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者とのマッチング度を評価するように大規模言語モデルへ指示を与える第2プロンプトを生成する手段と、第2プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成されたマッチング度の評価結果である対話履歴評価に基づいて、マッチング度を取得する手段と、取得したマッチング度を、マッチング度要求の要求元の端末装置へ提供する処理を行う手段とを有する、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、展示会等のイベントの来場者に対して、来場者の要望に合った的確な情報を提供できる方法、プログラム及び情報処理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、来場者の質問に対して回答を生成する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、質問文に対する回答文の生成を指示するプロンプトの一例を示す図である。
図5図5は、来場者の質問に対して回答を生成する処理の一変形例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、質問文に対する回答文の生成を指示するプロンプトの一変形例を示す図である。
図7図7は、来場者の質問に対して回答を生成する処理の一変形例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、来場者の行動記録の収集に関わる処理の概略を説明するための図である。
図9図9は、来場者の行動記録を収集する処理の一例を説明するフローチャートである。
図10図10は、来場者と参加者とのマッチング度を取得する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、第1マッチング指標を算出する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、第2マッチング指標を算出する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。図1の例に示すシステムは、インターネット等の通信ネットワーク9を介して互いに通信可能な情報処理装置1、来場者端末装置4、参加者端末装置5、運営者端末装置6、大規模言語モデル7を有する。
情報処理装置1は、本発明の情報処理システムの一例である。
【0013】
図1に示すシステムは、展示会やセミナー等のイベントを訪れた来場者によるイベントに関する質問文に対して回答文を生成して来場者に提供する処理や、イベントにおける来場者の行動記録に基づいてイベントの参加者(展示会の出展者等)と来場者とのマッチング度を取得する処理等を行う。
【0014】
[情報処理装置1]
情報処理装置1は、来場者端末装置4からの要求に応じてイベントに関する情報を提供する処理や、開催中のイベントにおける来場者の行動を記録する処理、参加者端末装置5からの要求に応じて参加者と来場者とのマッチング度を取得する処理等を行う。
【0015】
例えば情報処理装置1は、1台若しくは複数台のコンピュータを含んで構成される。図1の例に示す情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、処理部13を有する。
【0016】
通信部11は、通信ネットワーク9を介して他の装置(来場者端末装置4、参加者端末装置5、運営者端末装置6、大規模言語モデル7等)と通信を行う。通信部11は、例えばイーサネット(登録商標)や無線LAN等の所定の通信規格に準拠して通信を行う装置(ネットワークインターフェースカード等)を含む。
【0017】
記憶部12は、処理部13が実行する命令を含んだ1以上のプログラム121、処理部13による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部13の処理に利用されるデータ、処理部13の処理の結果として得られたデータ等を記憶する。記憶部12は、例えば、主記憶装置(RAM、ROM等)と補助記憶装置(フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク、メモリカード、光ディスク等)を含んでよい。記憶部12は、1つのメモリから構成されてもよいし、複数のメモリから構成されてもよい。記憶部12が複数のメモリから構成される場合、各メモリは、コンピュータのバスや他の任意のデータ伝送手段を介して処理部13に接続される。
【0018】
処理部13は、情報処理装置1の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部13は、例えば、記憶部12に格納された1以上のプログラム121の命令に応じて処理を実行する1以上のプロセッサ(CPU(central processing unit)、MPU(micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)等)を含む。処理部13は、記憶部12に記憶される1以上のプログラム121の命令を1以上のプロセッサが実行することにより、コンピュータとして動作する。情報処理装置1は、このようなコンピュータを複数有していてもよく、本実施形態に係る処理の少なくとも一部を複数のコンピュータが連携して実行してもよい。
【0019】
処理部13は、特定の機能を実現するように構成された1以上の専用のハードウェア(ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等)を含んでもよい。この場合、処理部13は、本実施形態において説明する全ての処理をコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0020】
プログラム121は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体(光ディスク、メモリカード、USBメモリ、その他の非一時的な有形の媒体)に記録されていてもよい。処理部13は、そのような記録媒体に記録された1以上のプログラム121の少なくとも一部を不図示の記録媒体読み取り装置(光ディスク装置等)やインターフェース装置(USBインターフェース等)により読み込んで、記憶部12に書き込んでもよい。あるいは処理部13は、通信ネットワーク9に接続される他の装置から通信部11により1以上のプログラム121の少なくとも一部をダウンロードして、記憶部12に書き込んでもよい。1以上のプログラム121は、後述する本実施形態に係る処理の少なくとも一部を処理部13において実行させる命令を含んでよい。
【0021】
記憶装置2は、情報処理装置1の処理において使用される種々の情報を記憶する。情報処理装置1と記憶装置2は、任意の通信路(LAN、専用回線網、インターネット等)介して通信可能である。例えば記憶装置2は、複数の装置からのアクセスを受け付けるファイルサーバ、データベースサーバ、クラウドサーバ等に含まれていてもよいし、情報処理装置1のみアクセス可能な専用の記憶装置でもよい。図1の例において、記憶装置2は、来場者データベース21、参加者データベース22と、対象管理データベース23と、パネル管理データベース24と、コンテンツ管理データベース25、対話履歴データベース26と、行動記録データベース27と、ベクトルデータベース28を記憶する。また記憶装置2は、それぞれイベントに関する情報である複数のイベント情報29と、参加者等によって来場者向けに準備された複数のコンテンツ30を記憶する。以下の説明では、データベースを「DB」と省略して記載する場合がある。
【0022】
来場者DB21は、複数の来場者に対応する複数の来場者情報を含む。一の来場者情報は、一の来場者に関する情報を含む。一の来場者情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・個々の来場者を識別する情報(来場者ID)
・来場者情報が登録された日時
・来場者の属性(年齢、性別、職業、役職等)
【0023】
参加者DB22は、イベントに参加する複数の参加者に対応した複数の参加者情報を含む。一の参加者情報は、一の参加者(展示会の出展者等)に関する情報を含む。一の参加者情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・個々の参加者を識別する情報(参加者ID)
・参加者情報が登録された日時
・参加者の名称(会社名等)
・参加者の連絡先(住所、電話番号、メールアドレス等)
【0024】
対象管理DB23は、イベントにおける来場者の行動の対象(参加者が提供する商品、サービス等)に関する複数の対象情報を含む。一の対象情報は、一の参加者に関連する一の対象(商品、サービス等)に関する情報を含む。一の対象情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・個々の対象を識別する情報(対象ID)
・対象の名称(ブランド名、型名等)
・対象が属するカテゴリ(商品やサービスの種別等)
・対象に関連する参加者を示す参加者ID
【0025】
イベントの来場者は、イベントにおいて、対象管理DB23に登録された複数の対象(商品、サービス等)に関する情報を得ることができる。
【0026】
パネル管理DB24は、来場者へ種々の情報や資料等を提供するためにイベントの会場に配置されるパネルに関する複数のパネル情報を含む。一のパネル情報は、一のパネルに関する情報を含む。一のパネル情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・個々のパネルを識別する情報(パネルID)
・パネルに関連する対象を示す1以上の対象ID
・パネルに関連するコンテンツを示す1以上のコンテンツID
・パネルの設置場所(展示ブースの管理番号等)
【0027】
パネルIDが示すパネルには、例えばQRコード(登録商標)やバーコード等の光学コードが印刷されており、この光学コードにパネルIDが含まれている。パネルの光学コードは、イベントの会場を訪れた来場者の来場者端末装置4により読み取られ、後述する行動記録情報の登録に使用される。
【0028】
コンテンツ管理DB25は、来場者へ提供されるコンテンツに関する複数のコンテンツ情報を含む。一のコンテンツ情報は、一のコンテンツに関する情報を含む。一のコンテンツ情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・個々のコンテンツを識別する情報(コンテンツID)
・コンテンツの内容に関する情報(コンテンツの名称、種別、データのサイズ等)
・コンテンツに関連する対象(商品、サービス等)を示す1以上の対象ID
・コンテンツに関連する参加者(出展者等)を示す1以上の参加者ID
・コンテンツの格納場所
【0029】
「コンテンツの格納場所」は、記憶装置2においてコンテンツ(図2のコンテンツ30)が格納される場所に関する情報であり、例えばコンテンツ30が格納されるディレクトリとファイル名を含む。コンテンツ30の格納場所は、記憶装置2に限らず、通信ネットワーク9に接続された他の装置(データサーバ等)でもよい。
【0030】
対話履歴DB26は、来場者が行ったイベントに関する質問とこれに対する情報処理装置1からの回答の履歴を含んだ複数の対話履歴情報を含む。一の対話履歴情報は、一の来場者による質問と回答の履歴を含む。一の対話履歴情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・対話履歴に関わる来場者を示す来場者ID
・来場者による1以上の質問文
・1以上の質問文の各々に対する回答文
・1以上の質問文の各々について抽出されたイベント情報29
イベント情報29に代わりにイベント情報IDを含んでもよい。
【0031】
行動記録DB27は、複数の来場者に対応する複数の行動記録情報を含む。一の行動記録情報は、イベントにおいて一の来場者が行った所定の行動に関する記録を含む。一の行動記録情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・イベントにおいて所定の行動を行った一の来場者を示す来場者ID
・イベントにおいて来場者が所定の行動を行った日時
・所定の行動の対象(商品、サービス等)を示す1以上の対象ID
・所定の行動の対象に関連する参加者を示す参加者ID
・イベントにおける行動の種別
・イベントにおける行動の内容
【0032】
「行動の種別」は、例えば、イベント会場の展示ブース等に訪れて説明員等が操作する参加者端末装置5により入場者証の光学コードが読み取られること、商品等に関するコンテンツの提供を受けること(閲覧、ダウンロード等)、商品等の対象に対する評価やコメントを入力すること、アンケートに回答することなどを含む。
「行動の内容」は、「行動の種別」により示される所定の行動の内容を示し、例えば、コンテンツのダウンロードを行った場合におけるコンテンツの情報(コンテンツID等)を含む。
【0033】
ベクトルDB28は、複数のイベント情報29に対応した複数のベクトル情報を含む。一のベクトル情報は、一のイベント情報29の内容(意味等)を表現するベクトルに関する情報を含む。一のベクトル情報は、例えば以下の情報の少なくとも一部を含む。
・個々のイベント情報29を識別する情報(イベント情報ID)
・イベント情報29の分散表現として得られたベクトル
・イベント情報29に関連する対象(商品、サービス等)を示す1以上の対象ID
・イベント情報29に関連する参加者(出展者等)を示す1以上の参加者ID
【0034】
例えばイベント情報29のベクトルは、Word2vec、BERT(bidirectional encoder representations from transformers)などの既知の学習モデルを利用して事前に取得され、ベクトルDB28に登録される。
【0035】
イベント情報29は、イベントに関する種々の情報を含む。例えばイベント情報29は、来場者に提供される商品、サービス等に関する情報(商品やサービスの紹介文、商品やサービスに関連する技術の解説文、業界や市場のトレンドに関する説明文等)、イベントの参加者の情報(商品やサービスを提供する参加企業の紹介文、展示ブースの場所、セミナーのスケジュール等)を含む。個々のイベント情報29には、イベント情報IDが割り当てられている。
【0036】
コンテンツ30は、来場者の行動の対象(出展された商品、サービス等)に関連する来場者向けのコンテンツであり、例えば文書ファイル、画像ファイル、動画ファイル、コンテンツ用のURLなどを含む。個々のコンテンツ30には、コンテンツIDが割り当てられている。
【0037】
[来場者端末装置4]
来場者端末装置4は、イベントの来場者によって操作される装置であり、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の情報通信機能を備えた装置である。図1に示すシステムは、複数の来場者に対応した複数の来場者端末装置4を有する。来場者端末装置4は、情報処理装置1の通信部11、記憶部12、処理部13と同様な処理部、記憶部、通信部を備えるとともに、ユーザの指示を処理部に入力する入力部(タッチパネル、マウス、キーボード等の入力装置)、情報を表示する表示部(液晶ディスプレイ等の表示装置)などを備える。また来場者端末装置4は、QRコード(登録商標)やバーコード等の光学コードを読み取ることが可能なカメラを備える。
【0038】
[参加者端末装置5]
参加者端末装置5は、イベントの参加者(出展者等)によって操作される装置であり、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の情報通信機能を備えた装置である。図1に示すシステムは、複数の参加者に対応した複数の参加者端末装置5を有する。参加者端末装置5は、情報処理装置1の通信部11、記憶部12、処理部13と同様な処理部、記憶部、通信部を備えるとともに、ユーザの指示を処理部に入力する入力部(タッチパネル、マウス、キーボード等の入力装置)、情報を表示する表示部(液晶ディスプレイ等の表示装置)などを備える。また参加者端末装置5は、QRコード(登録商標)やバーコード等の光学コードを読み取ることが可能なカメラを備える。
【0039】
[運営者端末装置6]
運営者端末装置6は、イベントの開催や運営に係わる運営者(イベントの主催者、運営スタッフ等)によって操作される装置であり、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の情報通信機能を備えた装置である。運営者端末装置6は、情報処理装置1の通信部11、記憶部12、処理部13と同様な処理部、記憶部、通信部を備えるとともに、ユーザの指示を処理部に入力する入力部(タッチパネル、マウス、キーボード等の入力装置)、情報を表示する表示部(液晶ディスプレイ等の表示装置)などを備える。また運営者端末装置6は、QRコード(登録商標)やバーコード等の光学コードを読み取ることが可能なカメラを備える。
【0040】
[大規模言語モデル7]
大規模言語モデル7は、大量のパラメータ(例えば数十億~数千億)を持つ人工ニューラルネットワークに大量のテキストデータを学習させることにより、人間の言語理解能力を模倣するように構成されたシステムである。大規模言語モデル7は、与えられたプロンプトに従って、文章のパターンや文脈の把握、質問への応答、文章の生成、翻訳等の幅広い自然言語処理タスクを行うことができる。大規模言語モデル7としては、例えば米国のOpenAI社により運営されるGPTシリーズ(Chat GPT等)を用いることができる。
【0041】
ここで、上述した構成を有する図1に示すシステムの動作について説明する。図3は、図1に示すシステムの処理の一例を説明するためのフローチャートであり、来場者の質問に対する回答文を提供する処理の例を示す。
【0042】
来場者端末装置4は、情報処理装置1が提供するウェブアプリケーションの画面や専用のアプリの画面を表示し、イベントに関する来場者の質問文を入力する(ST100)。情報処理装置1は、一の来場者による質問文を来場者端末装置4から取得すると(ST105)、当該一の来場者に対応する対話履歴情報(対話履歴DB26)にこの質問文を追加する(ST110)。
【0043】
情報処理装置1は、記憶装置2に記憶される複数のイベント情報29の中から、来場者からの質問文と関連性を有する1以上のイベント情報29を取得する処理(ST115~ST130)を行う。
【0044】
具体的には、情報処理装置1は、来場者からの質問文の内容を表現するベクトル(以下「質問文ベクトル」と呼ぶ場合がある。)を取得する(ST115)。例えば情報処理装置1は、ベクトルDB28に登録されるベクトルを取得する際に用いたものと同じ学習モデル(Word2vec、BERT等)を用いて、来場者からの質問文を質問文ベクトルに変換する。
【0045】
なお、質問文等のテキストをベクトルに変換する処理は、情報処理装置1において実行してもよいし、ベクトル化の学習モデルの機能を提供する外部のサーバにおいて当該処理を実行させ、情報処理装置1がその処理結果のベクトルを取得するようにしてもよい。
【0046】
情報処理装置1は、ステップST115において取得した質問文ベクトルと類似するベクトルをベクトルDB28において検索し、類似するベクトルに関連付けられた1以上のイベント情報IDをベクトルDB28において特定する。例えば情報処理装置1は、コサイン類似度や他の評価指標に基づいたベクトル同士の類似度を計算し、最も類似度の高い上位の1以上のベクトルを抽出し、抽出したベクトルに関連付けられた1以上のイベント情報IDを特定する。この場合、情報処理装置1は、類似度が上位の所定数のベクトルを抽出してもよいし、類似度が所定のしきい値より高い上位の最大数を超えない数のベクトル(類似度がしきい値より高いベクトルがない場合は、類似度が上位の所定数のベクトル)を抽出してもよい。情報処理装置1は、ベクトルDB28において特定した1以上のイベント情報IDに対応する1以上のイベント情報29を、質問文に関連性を有するものとして記憶装置2から取得する(ST130)。
【0047】
情報処理装置1は、一の来場者による質問文について関連性を有する1以上のイベント情報29が取得された場合、当該一の来場者に対応する対話履歴情報(対話履歴DB26)にこのイベント情報29(若しくはイベント情報ID)を追加する(ST140)。
【0048】
情報処理装置1は、取得された1以上のイベント情報29に基づいて質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデル7へ指示を与えるプロンプト(以下「第1プロンプト」と呼ぶ場合がある。)を生成する。
【0049】
図4は、質問文に対する回答文の生成を指示する第1プロンプトの一例を示す図である。図4に示す第1プロンプトは、大規模言語モデル7に対して全体的な指示を与える指示文と、ステップST105において取得された今回の質問文と、今回の質問文についてステップST130において取得されたイベント情報29(参考情報)とを含む。
【0050】
また、来場者が以前も質問を行っていた場合、この来場者からの質問について生成される第1プロンプトは、以前に行われた質問と回答のやり取りを対話の履歴として含む。質問文と、この質問文について取得されたイベント情報29と、質問文に対する大規模言語モデル7の回答文とからなる1セットのテキストを対話文と呼ぶ場合、図4に示す第1プロンプトは、来場者による過去の質問の回数と同じ数の対話文を対話の履歴として含む。情報処理装置1は、一の来場者による対話の履歴を、当該一の来場者に対応する対話履歴情報(対話履歴DB26)から取得する。すなわち情報処理装置1は、一の来場者から一の質問文を取得した場合、当該一の来場者に対応する対話履歴情報と、当該一の質問文について取得された1以上のイベント情報29とに基づいて、当該一の質問文に対する回答文を生成するように指示を与える第1プロンプトを生成する。
【0051】
情報処理装置1は、生成した第1プロンプトを大規模言語モデル7に提供し(ST165)、大規模言語モデル7は、第1プロンプトに応じた回答文を生成する(ST170)。
【0052】
情報処理装置1は、一の来場者の質問文に対する回答文が大規模言語モデル7により生成されると、当該一の来場者に対応する対話履歴情報(対話履歴DB26)に当該生成された回答文を追加する(ST180)。
【0053】
情報処理装置1は、一の来場者の質問文に対して生成された回答文を、当該一の来場者の来場者端末装置4に提供する(ST185)。来場者端末装置4は、情報処理装置1のウェブアプリケーションの画面や専用のアプリの画面において、情報処理装置1から提供された回答文を表示する(ST190)。
【0054】
このように、本実施形態によれば、イベントに関する来場者の質問文に関連性を有した1以上のイベント情報29に基づいて、質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデル7へ指示を与える第1プロンプトが生成され、この第1プロンプトに応じて生成された回答文が来場者の来場者端末装置4に提供される。これにより、来場者から様々な質問を受けた場合でも、イベントに関する情報として正確性の高いイベント情報29に基づいて、質問文に対する的確な回答文を生成し、来場者に提供することができる。従って、イベントを訪れる来場者に対して、各人の要望に合った的確な情報を提供することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、一の来場者から一の質問文が取得された場合、当該一の来場者に対応する対話履歴情報(対話履歴DB26)と、当該一の質問文について取得された1以上のイベント情報29とに基づいて、当該一の質問文に対する回答文を生成するように指示を与える第1プロンプトが生成される。これにより、以前に行われた質問と回答のやり取りを踏まえて大規模言語モデル7の回答文が生成されるため、より来場者の要望に合った情報を提供できる。
【0056】
次に、質問文に応じた回答文を取得する上述した処理の変形例について説明する。
【0057】
図5は、来場者の質問に対して回答を生成する処理の一変形例を説明するためのフローチャートである。図5に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートにおけるステップST145をステップST145Aに置き換えたものであり、他のステップは図3に示すフローチャートと同じである。
【0058】
図5に示す変形例において、情報処理装置1は、一の対話履歴情報に基づいて一の質問文に対する回答文を生成するように第1プロンプトを生成する場合(ST145A)、当該一の対話履歴情報に含まれる1以上のイベント情報29と、当該一の質問文に関連性を有するものとして取得されたイベント情報29とからなる複数のイベント情報29の中に複数の同一のイベント情報29が含まれるか(すなわち同一のイベント情報29が重複しているか)を判定する。当該複数のイベント情報29の中に複数の同一のイベント情報29が重複して含まれている場合、情報処理装置1は、当該複数の同一のイベント情報29の一部が省略されるように第1プロンプトを生成する。例えば情報処理装置1は、大規模言語モデル7において対話のプロセスが正しく把握され易くなるように、当該複数の同一のイベント情報29のうち、最も古い質問文に対応するイベント情報29を除いた残りのイベント情報29(最も古い質問文より後の質問文に対応するイベント情報29)の少なくとも一部が省略されるように第1プロンプトを生成する。
【0059】
図6は、第1プロンプトの一例を示す図であり、同一のイベント情報29が複数の質問文に対して関連性を有する場合の例を示す。図6の例では、同一のイベント情報29が1回目の質問文と7回目の質問文とにそれぞれ関連性を有するものとして取得される。この場合、情報処理装置1は、7回目の質問文に関連性を有するイベント情報29を「参照情報7」として対話履歴情報には追加せず、その代わりに、7回目の質問文に関連性を有するイベント情報29(参照情報7)は、1回目の質問文に関連性を有するイベント情報29(参照情報1)と同じであることを第1プロンプトに記載する。
【0060】
この変形例によれば、同じ内容のイベント情報29が第1プロンプトに重複して記載されないようにすることで、第1プロンプトの文字数を抑制できるため、第1プロンプトの文字数(後述するトークン数)が大規模言語モデル7の処理の限度に達してしまう状況を回避し易くすることができる。
【0061】
図7は、来場者の質問に対して回答を生成する処理の他の一変形例を説明するためのフローチャートである。図7に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにステップST150~ST160を追加したものであり、他のステップは図6に示すフローチャートと同じである。
【0062】
図7に示す変形例において、情報処理装置1は、ステップST145Aで生成した第1プロンプトについて、大規模言語モデル7におけるテキストの処理単位であるトークンの数の見積もりを取得する(ST150)。トークン数の見積もりは、大規模言語モデル7について提供されるライブラリ関数等を用いて近似的に算出することができる。トークン数の見積もりが所定のしきい値を超える場合(ST155のYes)、情報処理装置1は、トークン数の見積もりがしきい値を下回るように、大規模言語モデル7に提供される第1プロンプトの文字数を減らす(ST160)。ステップST155において第1プロンプトのトークン数の見積もりが所定のしきい値を下回ると判定した場合(ST155のNo)、情報処理装置1はステップST165に進み、情報処理装置1を大規模言語モデル7へ提供する。
【0063】
ステップST160において第1プロンプトの文字数を減らす場合、例えば情報処理装置1は、対話の履歴の中で比較的重要性が低いと考えられる過去の対話文を省略したり削除したりしてよい。
【0064】
具体的には、情報処理装置1は、以下の(1)~(4)の少なくとも一部を行ってよい。
(1)第1プロンプトにおける最も古い1以上の質問文及び最も古い1以上の回答文の少なくとも一部を削除する。
(2)第1プロンプトにおける最も古い1以上の質問文及び最も古い1以上の回答文の少なくとも一部を要約された文に置換する。
(3)第1プロンプトに含まれる最も新しい1以上の質問文に応じて取得された1以上のイベント情報29を除く残りのイベント情報29を削除する。
(4)第1プロンプトに含まれる最も新しい1以上の質問文に応じて取得された1以上のイベント情報29を除く残りのイベント情報29を要約された文に置換する。
【0065】
上記の(1)~(4)において対象となる文(質問文、回答文、イベント情報29)を要約された文に置換する場合、情報処理装置1は、この対象となる文の要約を大規模言語モデル7に行わせてもよい。
【0066】
また情報処理装置1は、ステップST160において第1プロンプトの文字数を減らす場合、ステップST145(又はST145A)において生成した第1プロンプトの全体を要約された文に置換してもよい。この場合も、情報処理装置1は、第1プロンプトの要約を大規模言語モデル7に行わせてもよい。
【0067】
次に、図1に示すシステムにおいて来場者の行動を記録し、その行動記録に基づいて来場者と参加者とのマッチング度を取得する処理について説明する。
【0068】
図8は、来場者の行動記録の収集に関わる処理の概略を説明するための図である。
イベントの運営者は、各来場者に配布される入場証C1を準備する。入場証C1には、予め個々の来場者に割り当てられた識別情報(来場者ID)を含む光学コード(QRコード(登録商標)、バーコード等)が印刷される。入場証C1には、来場者の名前やイベントの名称、会場名、開催日等が印刷されてもよい。
【0069】
イベントの運営者は、例えばイベントの会場の入場口で来場者を受け付ける際、来場者に渡す入場証C1に印刷された光学コードを運営者端末装置6により読み取り、読み取った光学コードに含まれる来場者IDを運営者端末装置6から情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、入場証C1から読み取った来場者IDを含む行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する。これにより、来場者がイベント会場へ入場したことが行動記録DB27に記録される。
【0070】
他方、イベントの参加者(出展者等)は、イベントにおいて印刷物の代わりに来場者へ提供するコンテンツ(PDFファイルの電子文書等)を参加者端末装置5により情報処理装置1にアップロードする。この場合、情報処理装置1は、参加者端末装置5からアップロードされたコンテンツ30を記憶装置2に格納する。また情報処理装置1は、参加者端末装置5からの指示に応じて、コンテンツ30と対象(商品、サービス等)との関連付け、及び、コンテンツ30と参加者との関連付けを示すコンテンツ情報を生成し、コンテンツ管理DB25に登録する。
【0071】
参加者は、イベント会場において商品等の対象とともに掲示されるパネルC2を自分の展示ブース等に設置する。パネルC2には、参加者の展示ブース等を訪れた来場者が、そこで展示された商品等に関するコンテンツ(電子文書等)を取得する際に必要となる光学コードが印刷されている。参加者は、参加者端末装置5を用いて、パネルC2の識別情報(パネルID)、パネルC2に関連付けられる対象の情報(対象ID等)、パネルC2に関連付けられるコンテンツの情報(コンテンツID等)、パネルC2の設置場所の情報等を情報処理装置1に送信する。この場合、情報処理装置1は、参加者端末装置5から受信したパネルIDと対象(商品、サービス等)との関連付け、パネルIDとコンテンツとの関連付け、パネルIDとパネルC2の設置場所との関連付けを示すパネル情報を生成し、パネル管理DB24に登録する。
【0072】
また参加者は、展示ブース等で応対した来場者の入場証C1に印刷される光学コードを参加者端末装置5により読み取り、読み取った光学コードに含まれる来場者IDを参加者端末装置5から情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、入場証C1から読み取った来場者IDを含む行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する。これにより、来場者が参加者の展示ブース等に訪れたことが行動記録DB27に記録される。
【0073】
この場合、参加者端末装置5は、指定したコンテンツのダウンロード等を来場者に対して許可する指示を情報処理装置1に送信し、情報処理装置1は、この指示により指定されたコンテンツのダウンロード等を来場者に対して許可するように行動記録情報を生成して、行動記録DB27に登録してもよい。これにより、参加者が来場者の要望をヒアリングしながら、来場者に対して適切なコンテンツを提供することが可能になる。
【0074】
またこの場合、情報処理装置1は、この来場者と参加者との後述するマッチング度を取得し、参加者端末装置5に提供してもよい。これにより参加者は、情報処理装置1から提供されたマッチング度を把握した上で、来場者との会話を進めることが可能となる。
【0075】
イベントが開催されている間、参加者は、展示ブース等への来場者の来訪状況に関する情報(来訪した来場者の数、コンテンツのダウンロード数等)を参加者端末装置5により情報処理装置1から随時取得して閲覧する。これにより、参加者は、自らの展示ブースや商品の展示場所などにおける来場者の来訪状況をリアルタイムに把握することができる。また参加者は、イベントの終了後、自らの展示ブース等に来訪した来場者の個人情報や、自らの商品等に関連するコンテンツをダウンロードした来場者の個人情報を、参加者端末装置5により運営者のサーバ等から取得することができる。
【0076】
来場者は、イベント会場において、来場者IDを含む光学コードが印刷された入場証C1を携行する。来場者は、情報処理装置1に対してイベントに関する質問を行う場合や、商品等に関するコンテンツを取得するための操作を行う場合、自身の入場証C1に印刷された光学コードを来場者端末装置4により読み取り、読み取った光学コードに含まれるアドレスの情報(URI等)に基づいて、情報処理装置1によるウェブアプリケーションサーバにアクセスする。情報処理装置1は、来場者端末装置4から取得した入場証C1の光学コードの情報(来場者ID等)に基づいて、来場者端末装置4を操作する来場者を認証し、来場者の専用の画面(ウェブアプリケーションの画面)を来場者端末装置4に表示させる。
【0077】
来場者は、イベントの会場で興味のある対象(商品、サービス等)を見つけた場合、その展示場所の近くに設置されたパネルC2の光学コードを来場者端末装置4のウェブアプリケーションの画面から読み取り、読み取った光学コードに含まれるパネルIDを情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、来場者端末装置4のウェブアプリケーションの画面において読み取られたパネルC2のパネルIDを受信すると、来場者によりパネルC2の光学コードが読み取られたことを示す行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する。情報処理装置1は、この行動記録情報が記録された来場者に対して、パネルIDに関連付けられたコンテンツのダウンロード、閲覧、メール転送等を許可する。例えば情報処理装置1は、来場者端末装置4のウェブアプリケーションの画面において、行動記録情報によりダウンロード等が許可されたコンテンツのリストを表示させる。
【0078】
来場者は、来場者端末装置4のウェブアプリケーションの画面において、ダウンロード等が許可されたコンテンツのリストを閲覧し、リストの中から所望のコンテンツを選択する。来場者端末装置4は、来場者により選択された対象に関するコンテンツを情報処理装置1に要求する。この要求に応じた情報処理装置1は、来場者により要求されたコンテンツを記憶装置2から読み出して、要求元の来場者端末装置4に提供する処理を行う。すなわち情報処理装置1は、要求元の来場者端末装置4においてコンテンツを表示させる処理や、要求元の来場者端末装置4においてコンテンツをダウンロードさせる処理を行う。また、情報処理装置1は、来場者端末装置4により転送先の電子メールアドレスが指定された場合、記憶装置2から読み出したコンテンツ(若しくはそのダウンロード用のURLなどの情報)を指定された電子メールアドレスに転送する処理を行う。
【0079】
図9は、来場者の行動記録を収集する処理の一例を説明するフローチャートである。
【0080】
運営者端末装置6は、イベント会場の入場口等において来場者に渡す入場証C1に印刷された光学コードを読み取り、読み取った光学コードに含まれる来場者IDを情報処理装置1に送信する(ST200)。情報処理装置1は、入場証C1から読み取られた来場者IDを含む行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する(ST205)。この行動記録情報により、来場者がイベント会場に入場したことが記録される。
【0081】
参加者端末装置5は、イベント会場における参加者の展示ブース等を訪れた来場者の入場証C1の光学コードを読み取り、読み取った光学コードに含まれる来場者IDを情報処理装置1に送信する(ST210)。情報処理装置1は、入場証C1から読み取られた来場者IDを含む行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する(ST215)。この行動記録情報により、来場者が特定の参加者の展示ブース等に訪れたことが記録される。
【0082】
一の参加者の参加者端末装置5が一の来場者の来場者IDを入場証C1から読み取った場合、情報処理装置1は、当該一の参加者と当該一の来場者とのマッチング度を取得し(ST220)、参加者端末装置5に提供する(ST225)。参加者端末装置5は、情報処理装置1から提供されたマッチング度を表示する(ST230)。これにより参加者は、展示ブース等において来場者の応対をする際に、その参加者とのマッチング度を把握しながら会話を進めることができる。ステップST220においてマッチング度を取得する処理については、後ほど図10図12を参照して説明する。
【0083】
来場者端末装置4は、来場者の入場証C1に印刷された光学コードを読み取り、読み取った光学コードに含まれるアドレスの情報に基づいて、情報処理装置1によるウェブアプリケーションサーバにアクセスする(ST240)。情報処理装置1は、来場者端末装置4から取得した入場証C1の光学コードの情報(来場者ID等)に基づいて、来場者端末装置4を操作する来場者を認証し、来場者の専用の画面(ウェブアプリケーションの画面)を来場者端末装置4に表示させる(ST245)。
【0084】
来場者端末装置4は、来場者が訪れた展示ブース等において対象(商品、サービス等)とともに掲示されたパネルC2の光学コードを読み取り、光学コードに含まれるパネルIDを情報処理装置1に送信する(ST250)。情報処理装置1は、来場者端末装置4のウェブアプリケーションの画面において読み取られたパネルC2のパネルIDを受信すると、来場者によりパネルC2の光学コードが読み取られたことを示す行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する(ST255)。情報処理装置1は、行動記録情報においてパネルIDに関連づけられたコンテンツIDに基づいて、このコンテンツIDに対応するコンテンツのダウンロード等を来場者に許可する。
【0085】
情報処理装置1は、来場者端末装置4のウェブアプリケーションの画面において、行動記録情報によりダウンロード等が許可されたコンテンツのリストを表示させる。来場者は、ウェブアプリケーションの画面に表示される利用可能なコンテンツの中から特定のコンテンツを選択し、指定した方法(閲覧、ダウンロード、メール転送等)でコンテンツを提供するように要求する指示を来場者端末装置4に入力する。来場者端末装置4は、この来場者の指示が入力されると、特定のコンテンツを指定した方法で提供するように情報処理装置1へ要求する(ST260)。情報処理装置1は、来場者端末装置4からの要求に応じて、選択された特定のコンテンツを指定された方法で来場者に提供するコンテンツ提供処理を実行する。例えば情報処理装置1は、来場者が操作する来場者端末装置4からの要求に応じて、コンテンツを来場者端末装置4に表示させる処理、コンテンツを来場者端末装置4にダウンロードさせる処理、コンテンツを電子メールにより任意のアドレスへ転送する処理などを行う。情報処理装置1は、来場者端末装置4からの要求に応じて来場者にコンテンツを提供する処理を行った場合、来場者がコンテンツの提供を受けたことを示す行動記録情報を生成して、行動記録DB27に登録する(ST265)。
【0086】
また来場者は、情報処理装置1によるウェブアプリケーションの画面において、任意の対象(商品、サービス等)に対する評価を入力することができる。来場者端末装置4は、例えば「いいね」ボタンの押下などによって対象への評価が入力されると、その評価を情報処理装置1に送信する(ST270)。情報処理装置1は、一の来場者によって入力された一の対象への評価を受信した場合、当該来場者によって当該対象への評価が入力されたことを示す行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する(ST275)。
【0087】
さらに来場者は、情報処理装置1によるウェブアプリケーションの画面において、参加者やイベント主催者などによって作成されたアンケートに回答することができる。来場者端末装置4は、例えば特定の対象(商品、サービス等)に対するアンケートへの回答が入力されると、そのアンケートへの回答を情報処理装置1に送信する(ST280)。情報処理装置1は、一の来場者によって入力された一のアンケートへの回答を受信した場合、当該来場者によって当該アンケートへの回答が入力されたことを示す行動記録情報を生成し、行動記録DB27に登録する(ST285)。
【0088】
図10は、来場者と参加者とのマッチング度を取得する処理(ST220:図9)の一例を説明するためのフローチャートである。
【0089】
情報処理装置1は、一の参加者の参加者端末装置5において入場証C1の光学コードが読み取られ、一の来場者の来場者IDを参加者端末装置5から受信した場合、当該一の参加者と当該一の来場者とがマッチする度合いに関するマッチング度を取得する処理(ST220)を行う。すなわち情報処理装置1は、一の参加者の参加者端末装置5から一の来場者とのマッチング度を取得する要求(マッチング度要求)を受信した場合、当該一の参加者と当該一の来場者とのマッチング度を取得する処理を行う。
【0090】
情報処理装置1は、マッチング度を取得する処理において、来場者の対話履歴に基づいたマッチング度の評価である対話履歴評価を取得する処理を行う(ST300~ST325)。この場合、情報処理装置1は、マッチング度の相手として指定された一の参加者に関連するイベント情報を記憶装置2から取得する(ST300)。例えば情報処理装置1は、ベクトルDB28のベクトル情報において一の参加者IDに関連付けられた1以上のイベント情報29を特定し、特定した1以上のイベント情報29を記憶装置2から取得する。
【0091】
また情報処理装置1は、マッチング度の相手として指定された一の来場者の対話履歴情報を対話履歴DB26から取得し、この対話履歴情報に含まれる質問文の履歴を取得する(ST305)。
【0092】
情報処理装置1は、ステップST300で取得したイベント情報29と、ステップST305で取得した質問文の履歴とに基づいて、マッチング度の相手として指定された一の参加者と一の来場者とのマッチング度を評価するように大規模言語モデル7へ指示を与えるプロンプト(以下「第2プロンプト」と呼ぶ場合がある。)を生成する(ST310)。例えば情報処理装置1は、マッチング度の相手である一の参加者の名称(会社名等)を参加者情報(参加者DB22)から取得する。そして情報処理装置1は、この参加者(会社名等)と質問文を書いた来場者とがマッチする度合いを、イベント情報29(ST300)及び質問文の履歴(ST305)に基づいて評価し、その評価結果を所定の範囲の数値(例えば0から1までの数値)で表すように指示する第2プロンプトを生成する。
【0093】
情報処理装置1は、生成した第2プロンプトを大規模言語モデル7に提供し(ST315)、大規模言語モデル7は、第2プロンプトに応じたマッチング度の評価結果を生成する(ST320)。情報処理装置1は、第2プロンプトに応じて生成されたマッチング度の評価結果を「対話履歴評価」として大規模言語モデル7から取得する(ST325)。
【0094】
また情報処理装置1は、マッチング度を取得する処理において、来場者の属性に基づいたマッチング度の評価である来場者属性評価を取得する処理を行う(ST300、ST330~ST350)。情報処理装置1は、来場者属性評価を取得する処理を行う場合、ST300において既に取得した1以上のイベント情報29を用いる。また情報処理装置1は、マッチング対象として指定された一の来場者の来場者情報(来場者DB21)から、この来場者の属性に関する情報(年齢、性別、職業、役職等)を取得する(ST330)。
【0095】
情報処理装置1は、ステップST300で取得したイベント情報29と、ステップST330で取得した来場者の属性に関する情報とに基づいて、マッチング度の相手として指定された一の参加者と一の来場者とのマッチング度を評価するように大規模言語モデル7へ指示を与えるプロンプト(以下「第3プロンプト」と呼ぶ場合がある。)を生成する(ST335)。例えば情報処理装置1は、参加者(会社名等)と質問文を書いた来場者とがマッチする度合いを、イベント情報29(ST300)及び来場者の属性(ST330)に基づいて評価し、その評価結果を所定の範囲の数値(例えば0から1までの数値)で表すように指示する第3プロンプトを生成する。
【0096】
情報処理装置1は、生成した第3プロンプトを大規模言語モデル7に提供し(ST340)、大規模言語モデル7は、第3プロンプトに応じたマッチング度の評価結果を生成する(ST345)。情報処理装置1は、第3プロンプトに応じて生成されたマッチング度の評価結果を「来場者属性評価」として大規模言語モデル7から取得する(ST350)。
【0097】
更に情報処理装置1は、マッチング度を取得する処理において、行動記録情報(行動記録DB27)に基づく指標を算出する(ST355、ST360)。
【0098】
すなわち情報処理装置1は、マッチング度の相手として一の参加者と一の来場者が指定された場合、当該一の参加者に関連する1以上の対象(商品、サービス等)の各々について、当該一の来場者が行った所定の行動についてのパラメータ(行動パラメータ)を行動記録情報に基づいて算出する。また情報処理装置1は、当該一の参加者に関連する各対象について算出した一群の行動パラメータに基づいて、対象への来場者の関心度を示す関心指標を対象ごとに算出する。そして情報処理装置1は、当該一の参加者に関連する各対象について算出した関心指標に基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者とのマッチング度に関連する指標(第1マッチング指標)を算出する(ST355)。
【0099】
また情報処理装置1は、マッチング度の相手として一の参加者と一の来場者が指定された場合、対象管理DB23に登録される複数の対象情報に基づいて、当該一の参加者に関連する1以上の対象とカテゴリ(商品やサービスの種別等)が同一であり、かつ、当該一の参加者とは別の参加者に関連する1以上の対象を特定する。そして、情報処理装置1は、特定した1以上の対象の各々について、当該一の来場者が行った所定の行動についての行動パラメータを行動記録情報に基づいて算出する。また情報処理装置1は、当該一の参加者に関連する各対象について算出した一群の行動パラメータに基づいて、対象への来場者の関心度を示す関心指標を対象ごとに算出する。そして情報処理装置1は、当該別の参加者に関連する各対象について算出した関心指標に基づいて、当該別の参加者と当該一の来場者とのマッチング度に関連する指標(第2マッチング指標)を算出する(ST360)。
【0100】
図11は、第1マッチング指標を算出する処理(ST355:図10)の一例を説明するためのフローチャートである。
【0101】
まず情報処理装置1は、マッチング度の相手として指定された一の参加者に関連する1以上の対象(商品、サービス等)を対象管理DB23において特定する(ST400)。すなわち情報処理装置1は、一の参加者の参加者IDが含まれた対象情報を対象管理DB23において特定する。
【0102】
情報処理装置1はステップST400において特定した1以上の対象の1つを選択し(ST405)、選択した1つの対象に関する行動記録情報であって、マッチング度の相手として指定された一の来場者の行動記録を含んだ行動記録情報を行動記録DB27から取得する(ST410)。
【0103】
情報処理装置1は、ステップST410において行動記録DB27から取得した行動記録情報(一の来場者が一の対象について行った行動の記録)に基づいて、1以上の行動パラメータ(行動パラメータ群)を算出する(ST415)。
【0104】
行動パラメータは、来場者が行った所定の行動に関するパラメータであり、一の対象に対して一の来場者が行った所定の行動の回数や、一の対象に対して一の来場者が所定の行動に費やした時間などを含む。行動パラメータは、具体的には、次に記載するようなパラメータの少なくとも一部を含む。
・一の対象に関連するパネルの光学コードの読み取りの有無
・一の対象に関連するコンテンツの閲覧回数
・一の対象に関連するコンテンツのダウンロードの回数
・一の対象に関連するコンテンツのメール転送の回数
・一の対象に対する評価(ウェブサイトにおける「いいね」ボタンの押下の有無など)
・一の対象に関するアンケートの回答の有無
・一の対象に関するコメントの記入の有無
・一の対象の展示場所に滞在した時間
(例)一の対象に関連するパネルの光学コードを読み取った時刻から、別の対象に関する行動記録情報が記録された時刻までの経過時間
【0105】
情報処理装置1は、ステップST415において算出した1以上の行動パラメータ(行動パラメータ群)に基づいて、一の対象に対する一来場者の関心の度合い(関心度)に関する指標である「関心指標」を算出する(ST420)。例えば情報処理装置1は、ステップST415において算出した複数の行動パラメータの各々に重み係数を乗じて得られる複数の積の和を関心指標として算出する。
【0106】
ステップST415において算出した(n+1)個のパラメータ(行動パラメータ)を「P0」,「P1」,…,「Pk」,…,「Pn」とし(kは0≦k≦nを満たす整数を示す。)、パラメータPkに乗ぜられる重み係数を「Wk」とし、関心指標を「I」とした場合、関心指標Iは次の式(1)で表される。
【0107】
【数1】
【0108】
ステップST400において特定した対象のうち、まだ選択していない対象がある場合(ST425のYes)、情報処理装置1はそのうちの1つを選択し(ST430)、上述したステップST410~ST420の処理を繰り返す。ステップST400において特定した全ての対象についてステップST410~ST420の処理を行った場合(ST425のNo)、情報処理装置1はステップST435に移行する。
【0109】
情報処理装置1は、ステップST435に移行すると、ステップST400において特定した各対象について算出した関心指標に基づいて、一の参加者と一の来場者とのマッチング度に関わる指標である第1マッチング指標を算出する。第1マッチング指標は、例えば各対象について算出した関心指標の和でもよいし、対象毎に設定された重み係数と関心指標との積を全ての対象について足し合わせた和でもよい。
【0110】
図12は、第2マッチング指標を算出する処理(ST360:図10)の一例を説明するためのフローチャートである。
【0111】
まず情報処理装置1は、マッチング度の相手として一の参加者と一の来場者とが指定された場合、対象管理DB23に登録される複数の対象情報に基づいて、当該一の参加者に関連する1以上の対象とカテゴリが同一であり、かつ、当該一の参加者とは別の参加者に関連する1以上の対象を特定する(ST500)。すなわち情報処理装置1は、当該一の参加者に関連する1以上の対象の対象情報を対象管理DB23から取得し、取得した対象情報に含まれる対象のカテゴリ(商品やサービスの種別等)をそれぞれ特定する。そして、情報処理装置1は、特定したいずれかカテゴリを含み、かつ、当該一の参加者とは別の参加者IDが含まれた対象情報を対象管理DB23において特定する。
【0112】
ステップST500において1以上の対象を特定した後、情報処理装置1は、特定した当該1以上の対象に基づいて、ステップST405~ST430(図11)と同様なステップST505~ST530の処理を行うことにより、当該1以上の対象に対応する1以上の関心指標を算出する。
【0113】
情報処理装置1は、ステップST500において1以上の対象に対応する1以上の関心指標を算出すると、算出したこれらの関心指標に基づいて、一の参加者と同一カテゴリの対象に関連する別の参加者と一の来場者とのマッチング度に関わる指標である第2マッチング指標を算出する。第2マッチング指標は、例えば各対象について算出した関心指標の和でもよいし、対象毎に設定された重み係数と関心指標との積を全ての対象について足し合わせた和でもよい。
【0114】
第2マッチング指標は、例えば、マッチング度の相手として指定された一の参加者と同一カテゴリの商品を扱う別の参加者(同業他社)と来場者とのマッチング度に関わる指標である。
【0115】
図10に戻る。
情報処理装置1は、ステップST325において取得された対話履歴評価、ステップST350において取得された来場者属性評価、ステップST355において取得された第1マッチング指標、及び、ステップST360において取得された第2マッチング指標に基づいて、一の参加者と一の来場者とのマッチング度を取得する。例えば情報処理装置1は、これらの評価や指標の値にそれぞれ所定の重み係数を乗じて合算した値をマッチング度として算出してよい。
【0116】
このように、本実施形態によれば、来場者による質問文の履歴と参加者に関連するイベント情報とに基づいて、大規模言語モデル7によりマッチング度の評価結果(対話履歴評価)が与えられ、この対話履歴評価に基づいてマッチング度が取得される。従って、質問文に含まれる来場者の要望やニーズから直接的にマッチング度を求めることが可能になるため、来場者の実際の要望が反映された適切なマッチング度が得られ易くなる。
【0117】
また本実施形態によれば、来場者の属性と参加者に関連するイベント情報とに基づいて、大規模言語モデル7によりマッチング度の評価結果(来場者属性評価)が与えられ、この来場者属性評価に基づいてマッチング度が取得される。従って、来場者の属性が加味されたマッチング度を求めることができるため、来場者の潜在的な要望が反映されたマッチング度が得られ易くなる。
【0118】
また本実施形態によれば、参加者に関連する対象(商品、サービス等)を目的とした来場者の行動の記録に基づいて、参加者に関連する対象への関心度に関する指標(関心指標)が対象ごとに算出され、各対象の関心指標に基づいて、マッチング度に関する指標(第1マッチング指標)が算出され、第1マッチング指標に基づいて最終的なマッチング度が取得される。従って、イベントにおける来場者の行動に基づいた精度の高いマッチング度が得られ易くなる。
【0119】
また本実施形態によれば、マッチング度の相手として指定された一の参加者に関連する対象(商品、サービス等)と同一カテゴリであり、かつ、当該一の参加者とは別の参加者に関連する1以上の対象が特定される。そして、当該1以上の対象を目的とした来場者の行動の記録に基づいて、当該別の参加者に関連する対象への関心度に関する指標(関心指標)が対象ごとに算出され、各対象の関心指標に基づいて、当該別の参加者とのマッチング度に関する指標(第2マッチング指標)が算出され、第2マッチング指標に基づいて最終的なマッチング度が取得される。従って、当該一の参加者に関連する対象について直接的な行動が見られないが、当該一の参加者に関連する対象と同一カテゴリの対象であって、別の参加者に関連する対象については行動をしている来場者が存在する場合、そのような来場者についても、当該一の参加者との間に一定のマッチング度が認められることを正しく評価することができる。
【0120】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0121】
図10に示すフローチャートの処理では、大規模言語モデル7による2つの評価結果(対話履歴評価、来場者属性評価)と、行動記録に基づく2つのマッチング指標(第1マッチング指標、第2マッチング指標)とに基づいてマッチング度が算出されているが、本発明の他の実施形態では、これらの評価及びマッチング指標のずれか1つ以上に基づいてマッチング度を算出するようにしてもよい。
【0122】
上述した実施形態では、大規模言語モデルの機能が情報処理装置1とは別のコンピュータシステム(大規模言語モデル7)によって提供されているが、大規模言語モデルの機能の少なくとも一部は情報処理装置1において実現されていてもよい。
【0123】
上述した実施形態における情報処理装置1の処理の一部は、他の装置(来場者端末装置4等)において実行されてもよい。例えば、情報処理装置1の上述した処理の一部が来場者端末装置4において実行されている場合、情報処理装置1のコンピュータと来場者端末装置4のコンピュータとを含んだ情報処理システムが構成されており、この情報処理システムにおいて本実施形態に係る処理が実行されていると言える。
【0124】
上述した実施形態におけるデータベース(21~28)の構成は一例であり、本実施形態はこの例に限定されない。すなわち、上述したデータベースの一部は、1以上の別のデータベースに置き換えられてもよい。また、本実施形態の処理で扱われる情報(対話履歴情報、行動履歴情報等)は、必ずしも1つのデータベースのレコードに含まれていなくてもよく、例えば、2以上のデータベースのレコードに分散されていてもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
情報処理システムが、イベントに関する情報を来場者へ提供する方法であって、
前記イベントに関する前記来場者の質問文を取得する工程と、
前記イベントに関する複数のイベント情報から、前記質問文と関連性を有する1以上の前記イベント情報を取得する工程と、
取得された1以上の前記イベント情報に基づいて前記質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成する工程と、
前記第1プロンプトに応じて前記大規模言語モデルにより生成された前記回答文を前記来場者へ提供する処理を行う工程と、
を有する方法。
[2]
複数の前記イベント情報の各々は、情報の内容を表現する1つのベクトルに関連付けられており、
前記質問文の内容を表現する前記ベクトルを質問文ベクトルと呼び、
前記イベント情報を取得する工程は、複数の前記イベント情報から、前記質問文ベクトルに類似する前記ベクトルに関連付けられた1以上の前記イベント情報を取得することを含む、
[1]に記載の方法。
[3]
前記情報処理システムは、記憶装置にアクセス可能であり、
前記記憶装置は、複数の前記来場者に対応する複数の対話履歴情報を記憶しており、
一の前記対話履歴情報は、
一の来場者による1以上の前記質問文と、
当該1以上の質問文について取得された1以上の前記イベント情報と、
当該1以上の質問文に対して前記大規模言語モデルにより生成された1以上の前記回答文とを含み、
前記第1プロンプトを生成する工程は、一の前記来場者による一の前記質問文について前記第1プロンプトを生成する場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報と、当該一の質問文について取得された1以上の前記イベント情報とに基づいて、当該一の質問文に対する前記回答文を生成するように前記大規模言語モデルへ指示を与える前記第1プロンプトを生成することを含む、
[1]に記載の方法。
[4]
一の前記来場者による前記質問文が取得された場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報に当該取得された質問文を追加する工程と、
一の前記来場者による前記質問文について前記イベント情報が取得された場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報に当該取得されたイベント情報を追加する工程と、
一の前記来場者による前記質問文に対する前記回答文が前記大規模言語モデルにより生成された場合、当該一の来場者に対応する前記対話履歴情報に当該生成された回答文を追加する工程とを有する、
[3]に記載の方法。
[5]
前記第1プロンプトを生成する工程は、一の前記対話履歴情報に基づいて一の前記質問文に対する前記回答文を生成するように前記第1プロンプトを生成する場合において、当該一の対話履歴情報に含まれる1以上の前記イベント情報と、当該一の質問文に関連性を有するものとして取得された前記イベント情報とからなる複数の前記イベント情報の中に複数の同一の前記イベント情報が含まれるならば、当該複数の同一のイベント情報の一部が省略されるように前記第1プロンプトを生成することを含む、
[4]に記載の方法。
[6]
前記第1プロンプトを生成する工程は、生成した前記第1プロンプトについて、前記大規模言語モデルにおけるテキストの処理単位であるトークンの数の見積もりを取得し、前記トークン数の見積もりが所定のしきい値を超える場合には、前記トークン数の見積もりが前記しきい値を下回るように、前記大規模言語モデルに提供される前記第1プロンプトの文字数を減らすことを含む、
[4]に記載の方法。
[7]
前記第1プロンプトを生成する工程において、前記大規模言語モデルに提供される前記第1プロンプトの文字数を減らすことは、
当該第1プロンプトにおける最も古い1以上の前記質問文及び最も古い1以上の前記回答文の少なくとも一部を削除することと、
当該第1プロンプトにおける最も古い1以上の前記質問文及び最も古い1以上の前記回答文の少なくとも一部を要約された文に置換することと、
当該第1プロンプトに含まれる最も新しい1以上の前記質問文に応じて取得された1以上の前記イベント情報を除く残りの前記イベント情報を削除することと、
当該第1プロンプトに含まれる最も新しい1以上の前記質問文に応じて取得された1以上の前記イベント情報を除く残りの前記イベント情報を要約された文に置換することと、
当該第1プロンプトの全体を要約された文に置換することと
の少なくとも1つを含む、
[6]に記載の方法。
[8]
複数の前記イベント情報の少なくとも一部は、前記イベントに参加する1以上の参加者に関連した情報を含んでおり、
一の前記参加者と一の前記来場者とがマッチする度合いに関するマッチング度を求めるマッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上の前記イベント情報と、当該一の来場者の前記対話履歴情報に含まれる少なくとも前記質問文の履歴とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者との前記マッチング度を評価するように前記大規模言語モデルへ指示を与える第2プロンプトを生成する工程と、
前記第2プロンプトに応じて前記大規模言語モデルにより生成された前記マッチング度の評価結果である対話履歴評価に基づいて、前記マッチング度を取得する工程と、
取得した前記マッチング度を、前記マッチング度要求の要求元へ提供する処理を行う工程とを有する、
[3]に記載の方法。
[9]
前記記憶装置は、複数の前記来場者に対応した複数の来場者情報を記憶しており、
一の前記来場者情報は、一の前記来場者の属性に関する情報を含み、
一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度について前記マッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上の前記イベント情報と、当該一の来場者の前記来場者情報に含まれる当該一の来場者の属性に関する情報とに基づいて、当該一の参加者と当該一の来場者との前記マッチング度を評価するように前記大規模言語モデルへ指示を与える第3プロンプトを生成する工程を有し、
前記マッチング度を取得する工程は、前記第3プロンプトに応じて前記大規模言語モデルにより生成された前記マッチング度の評価結果である来場者属性評価と、前記対話履歴評価とに基づいて、前記マッチング度を取得することを含む、
[8]に記載の方法。
[10]
前記来場者は、前記イベントにおいて複数の対象に関する情報を得ることが可能であり、
前記イベントに参加する複数の参加者は、それぞれ少なくとも1つの前記対象に関連しており、
前記記憶装置は、複数の行動記録情報を記憶しており、
一の前記行動記録情報は、1以上の前記イベントにおいて一の前記来場者が行った一の前記対象を目的とする所定の行動に関する記録を含んだ情報であり、
一の前記対象について一の前記来場者が行った前記所定の行動に関するパラメータであって、一の前記対象に対して一の前記来場者が行った前記所定の行動の回数を示すパラメータ、及び/又は、当該所定の行動に費やした時間を示すパラメータを行動パラメータと呼び、
一の前記対象に対する一の前記来場者の関心の度合いを関心度と呼び、
前記関心度に関する指標を関心指標と呼び、
前記関心指標は、1以上の前記行動パラメータである行動パラメータ群に基づいて算出され、
一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度について前記マッチング度要求を受信した場合、当該一の参加者に関連する1以上の前記対象の各々について、当該一の来場者が行った前記所定の行動の記録を含む1以上の前記行動記録情報に基づいて前記行動パラメータ群を算出し、当該1以上の対象の各々について算出した前記行動パラメータ群に基づいて、当該1以上の対象に対応する1以上の前記関心指標を算出し、算出した当該1以上の関心指標に基づいて、一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度に関わる指標を第1マッチング指標として算出する工程を有し、
前記マッチング度を取得する工程は、前記第1マッチング指標と前記対話履歴評価とに基づいて前記マッチング度を取得することを含む、
[8]に記載の方法。
[11]
各前記対象は、所定の複数のカテゴリにおける1つの前記カテゴリに分類されており、
前記記憶装置は、複数の前記対象に対応した複数の対象情報を含んでおり、
各前記対象情報は、前記対象が分類された前記カテゴリを含んでおり、
前記指標を算出する工程は、一の前記参加者と一の前記来場者との前記マッチング度について前記マッチング度要求を受信した場合、複数の前記対象情報に基づいて、当該一の参加者に関連する1以上の前記対象と前記カテゴリが同一であり、かつ、当該一の参加者とは別の前記参加者に関連する1以上の前記対象を特定し、特定した1以上の前記対象の各々について、当該一の来場者が行った前記所定の行動の記録を含む1以上の前記行動記録情報に基づいて前記行動パラメータ群を算出し、当該1以上の対象の各々について算出した前記行動パラメータ群に基づいて、当該1以上の対象に対応する1以上の前記関心指標を算出し、算出した当該1以上の関心指標に基づいて、前記別の参加者と一の前記来場者との前記マッチング度に関わる指標を第2マッチング指標として算出する工程を有し、
前記マッチング度を取得する工程は、前記第1マッチング指標と前記第2マッチング指標と前記対話履歴評価とに基づいて前記マッチング度を取得することを含む、
[10]に記載の方法。
[12]
開催中の前記イベントにおいて前記来場者が行った前記所定の行動に関する記録を含む前記行動記録情報を取得し、前記記憶装置に格納する工程を有する、
[10]に記載の方法。
[13]
イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を情報処理システムに行わせる命令を含んだプログラムであって、
前記命令に従って前記情報処理システムが行う処理は、[1]~[12]のいずれか一つに記載された方法の各工程を含む、
プログラム。
[14]
イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を行う情報処理システムであって、
処理部と、
前記処理部において実行される命令を記憶した記憶部とを有し、
前記処理部が前記命令に従って行う処理は、[1]~[12]のいずれか一つに記載された方法の各工程を含む、
情報処理システム。
[15]
イベントに関する情報を来場者へ提供する処理を行う情報処理システムであって、
[1]~[12]のいずれか一つに記載された方法の各工程を行う手段を備えた、
情報処理システム。
【符号の説明】
【0125】
1…情報処理装置、11…通信部、12…記憶部、121…プログラム、13…処理部、2…記憶装置、21…来場者DB、22…参加者DB、23…対象管理DB、24…パネル管理DB、25…コンテンツ管理DB、26…対話履歴DB、27…行動記録DB、28…ベクトルDB、29…イベント情報、30…コンテンツ、4…来場者端末装置、5…参加者端末装置、6…運営者端末装置、7…大規模言語モデル、9…通信ネットワーク
【要約】
【課題】展示会等のイベントの来場者に対して、来場者の要望に合った的確な情報を提供できる方法、プログラム及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置1がイベントに関する情報を来場者へ提供する方法は、イベントに関する来場者の質問文を取得する工程と、イベントに関する複数のイベント情報から、質問文と関連性を有する1以上のイベント情報を取得する工程と、取得された1以上のイベント情報に基づいて質問文に対する回答文を生成するように大規模言語モデルへ指示を与える第1プロンプトを生成する工程と、第1プロンプトに応じて大規模言語モデルにより生成された回答文を来場者へ提供する処理を行う工程とを有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
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図10
図11
図12