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  • 特許-植物育成用培地及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】植物育成用培地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 24/30 20180101AFI20240909BHJP
   A01G 24/42 20180101ALI20240909BHJP
【FI】
A01G24/30
A01G24/42
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024050485
(22)【出願日】2024-03-26
【審査請求日】2024-03-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301050555
【氏名又は名称】アースコンシャス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 恭久
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-333928(JP,A)
【文献】特開2002-369617(JP,A)
【文献】特開2020-130046(JP,A)
【文献】特開2011-125246(JP,A)
【文献】特開2011-125260(JP,A)
【文献】特開2018-023292(JP,A)
【文献】特開2004-033228(JP,A)
【文献】特開2002-112629(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102187777(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 24/00 - 24/60
B09B 3/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維を含む繊維屑で構成された植物育成用培地であって、
前記繊維屑が、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊したものであり、
前記繊維屑が立体的に集合され、該集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスされたプレス状態で繊維同士の交点をバインダで結合してなる繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕されたものであり、
前記繊維屑が、衣類由来の廃棄屑であり、
pHが6.5~7.1である植物育成用培地。
【請求項2】
請求項1に記載の植物育成用培地であって、
酢酸を1~10ppm含んでなる植物育成用培地。
【請求項3】
請求項1に記載の植物育成用培地であって、
前記合成繊維の水分量が0.00%~0.20%である植物育成用培地。
【請求項4】
請求項1に記載の植物育成用培地であって、
前記繊維チップの平均粒径が3~10mmである植物育成用培地。
【請求項5】
請求項1に記載の植物育成用培地であって、
前記バインダが低融点の合成繊維である植物育成用培地。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の植物育成用培地であって、
前記合成繊維が、ポリエステル系繊維である植物育成用培地。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の植物育成用培地であって、
前記繊維屑が、80重量%以上のポリエステル系合成繊維を含む植物育成用培地。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の植物育成用培地であって、
前記繊維屑に、保持材が混入されてなる植物育成用培地。
【請求項9】
合成繊維を含む繊維屑で構成された植物育成用培地であって、
前記繊維屑が、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊したものであり、
前記繊維屑が立体的に集合され、該集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスされたプレス状態で繊維同士の交点をバインダで結合してなる繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕されたものであり、
前記繊維屑が、衣類由来の廃棄屑であり、
pHが6.5~7.1であり、
織布を開繊することなく裁断した非開繊チップを20%~30%混合してなる植物育成用培地。
【請求項10】
合成繊維を含む繊維屑で構成された植物育成用培地であって、
前記繊維屑が、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊したものであり、
前記繊維屑が立体的に集合され、該集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスされたプレス状態で繊維同士の交点をバインダで結合してなる繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕されたものであり、
前記繊維屑が、衣類由来の廃棄屑であり、
織布を開繊することなく裁断した非開繊チップを20%~30%混合してなる植物育成用培地。
【請求項11】
合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊して繊維屑に加工する工程と、
前記繊維屑を立体的に集合すると共に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスして、プレス状態で繊維の交点をバインダで結合してなる繊維シートを形成する工程と、
前記繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕する工程と、
前記繊維チップのpHを中性に調整する工程と、
を含む植物育成用培地の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の植物育成用培地の製造方法であって、
前記繊維チップのpHを中性に調整する工程が、pHを7に調整する工程である植物育成用培地の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の植物育成用培地の製造方法であって、
前記繊維チップのpHを中性に調整する工程が、酢酸液を添加する工程である植物育成用培地の製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の植物育成用培地の製造方法であって、
前記繊維シートを形成する工程が、前記バインダを160℃~180℃の熱風で溶融し、コールドプレスで冷却する工程を含む植物育成用培地の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の植物育成用培地の製造方法であって、
前記繊維シートを前記繊維チップに粉砕する工程が、5mm~10mmのスクリーンメッシュを用いた粉砕機で行われてなる植物育成用培地の製造方法。
【請求項16】
合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊して繊維屑に加工する工程と、
前記繊維屑を立体的に集合すると共に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスして、プレス状態で繊維の交点をバインダで結合してなる繊維シートを形成する工程と、
前記繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕する工程と、
前記繊維チップのpHを中性に調整する工程と、
異なる条件で生成された複数種類の繊維シートを、それぞれ粉砕した複数種類の繊維チップを混成する工程を含む植物育成用培地の製造方法。
【請求項17】
請求項11~15のいずれか一項に記載の植物育成用培地の製造方法であって、さらに、
織布を開繊することなく裁断した非開繊チップを20%~30%混合する工程と、
を含む植物育成用培地の製造方法。
【請求項18】
合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊してなる繊維屑に加工する工程と、
繊維屑を立体的に集合すると共に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスして、プレス状態で繊維の交点をバインダで結合してなる繊維シートを形成する工程と、
繊維シートを所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕する工程と、
織布を開繊することなく裁断した非開繊チップを20%~30%混合する工程と、
を含む植物育成用培地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物育成用培地及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の土壌の代わりに植物の植え付けを行う人工的な植付材料として、植物育成用培地が種々提案されている。このような植物育成用培地として、スラグ等を用いたロックウールが従来より知られている。しかしながらロックウールを用いたロックウール栽培では、使用済培地の処理方法が定まっていないこと、毎年培地を入れ替える場合もあること、培地のPhが変動しやすいこと等の問題点があった。
【0003】
これに対し本願出願人は、織物を製造する際に発生する廃棄物である繊維紐を利用した植物栽培用の植え込み材を開発した(特許文献1、2)。この植物栽培用の植え込み材は、安価で入手でき、廃材を活用することから環境保護の観点にも優れている等、多くの利点を有している。
【0004】
一方で、本願出願人は衣類由来の廃棄屑を用いた植物育成用培地を製造、販売する傍らで、より品質の優れた植物育成用培地に改良すべく、様々な条件を変えて試作を重ね、実際に植物を育成する試験を繰り返す中で、衣類由来の廃棄屑を用いた植物育成用培地では弱アルカリ性を示す傾向があるとの知見を得て、本願発明を成すに至ったものである。すなわち、原料となる合成繊維自体は安定した材質であって、本来は中性を示すはずであるところ、植物育成用培地の原材料となるポリエステルなどの合成繊維を用いた衣類は、弱アルカリ性の洗剤で洗濯されることが多いため、このような衣類を破断した繊維チップにも洗剤が残留して、弱アルカリ性を示す傾向があることを見出した。一般に植物育成用の土壌のpHは、pH5.5~6.5の弱酸性が好ましいとされているため、弱アルカリ性の培地では植物の育成に不利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許3679069号公報
【文献】特許3837147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一の課題は、衣類由来の廃棄屑を用いながらも植物の育成に適した植物育成用培地及びその製造方法を提供することにある。また他の課題は、多種多様な植物の育成に適した、安価で使い勝手のよい植物育成用培地及びその製造方法を提供することにある。なお、本開示のこれらの目的や課題の記載は、他の目的や課題の存在を妨げるものではない。また本開示の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。さらに本開示の明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本開示の形態1に係る植物育成用培地は、合成繊維を含む繊維屑で構成された植物育成用培地であって、前記繊維屑が、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊したものであり、前記繊維屑が立体的に集合され、該集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスされたプレス状態で繊維同士の交点をバインダで結合してなる繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕されたものであり、前記繊維屑が、衣類由来の廃棄屑であり、pHが6.5~7.1である。上記構成により、培地を弱アルカリ性でなく中性とすることで、より植物の育成に適した培地に近付けることが可能となる。
【0008】
また、本開示の形態2に係る植物育成用培地は、上記形態において、酢酸を1~10ppm含んでいる。これにより、培地を弱アルカリ性から中性あるいは弱酸性側に近付けることができる。
【0009】
さらに、本開示の形態3に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、前記合成繊維の水分量が0.00%である。上記構成により、植物育成用培地の水分量を低減することで、水分と共に残る植物生育阻害物質の残存量を抑制して、連作障害を低減できる。
【0010】
さらにまた、本開示の形態4に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、前記繊維チップの平均粒径が3mm~30mmである。
【0011】
さらにまた、本開示の形態5に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、前記バインダが低融点の合成繊維である。
【0012】
さらにまた、本開示の他の形態に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、前記繊維屑がポリエステル系合成繊維で、バインダが低融点のポリエステル系繊維又はポリプロピレン系繊維である。
【0013】
さらにまた、本開示の形態6に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、前記合成繊維が、ポリエステル系繊維である。
【0014】
さらにまた、本開示の形態7に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、前記繊維屑が、80重量%以上のポリエステル系合成繊維を含む。
【0015】
さらにまた、本開示の形態8に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、前記繊維屑に、保持材を混入している。
【0016】
さらにまた、本開示の形態9に係る植物育成用培地は、上記いずれかの形態において、織布を開繊することなく裁断した非開繊チップを20%~30%混合している。上記構成により、少量の織布であっても裁断して利用可能となり、リサイクル性が向上する。
【0017】
さらにまた、本開示の形態10に係る植物育成用培地は、合成繊維を含む繊維屑で構成された植物育成用培地であって、前記繊維屑が、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊したものであり、前記繊維屑が立体的に集合され、該集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスされたプレス状態で繊維同士の交点をバインダで結合してなる繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕されたものであり、前記繊維屑が、衣類由来の廃棄屑であり、織布を開繊することなく裁断した非開繊チップを20%~30%混合している。上記構成により、少量の織布であっても裁断して利用可能となり、リサイクル性が向上する。
【0018】
さらにまた、本開示の形態11に係る植物育成用培地の製造方法は、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊してなる繊維屑に加工する工程と、繊維屑を立体的に集合すると共に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスして、プレス状態で繊維の交点をバインダで結合してなる繊維シートを形成する工程と、繊維シートを所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕する工程と、前記繊維チップのpHを中性に調整する工程とを含む。
【0019】
さらにまた、本開示の形態12に係る植物育成用培地の製造方法は、上記いずれかの形態において、前記繊維チップのpHを中性に調整する工程が、pHを7に調整する工程である。
【0020】
さらにまた、本開示の形態13に係る植物育成用培地の製造方法は、上記いずれかの形態において、前記繊維チップのpHを中性に調整する工程が、酢酸液を添加する工程である。これにより、残留する酢酸によって病虫害の防除効果を発揮できる。また植物の活性化や免疫力の向上にも寄与し得る。
【0021】
さらにまた、本開示の形態14に係る植物育成用培地の製造方法は、上記いずれかの形態において、前記繊維シートを形成する工程が、前記バインダを160℃~180℃の熱風で溶融し、コールドプレスで冷却する工程を含む。
【0022】
さらにまた、本開示の形態15に係る植物育成用培地の製造方法は、上記いずれかの形態において、前記繊維シートを前記繊維チップに粉砕する工程が、5mm~10mmのスクリーンメッシュを用いた粉砕機で行われる。
【0023】
さらにまた、本開示の形態16に係る植物育成用培地の製造方法は、上記いずれかの形態において、さらに、異なる条件で生成された複数種類の繊維シートを、それぞれ粉砕した複数種類の繊維チップを混成する工程を含む。
【0024】
さらにまた、本開示の形態17に係る植物育成用培地の製造方法は、上記いずれかの形態において、さらに、織布を開繊することなく裁断した非開繊チップを20%~30%混合する工程を含む。
【0025】
さらにまた、本開示の形態18に係る植物育成用培地の製造方法は、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊してなる繊維屑に加工する工程と、繊維屑を立体的に集合すると共に、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスして、プレス状態で繊維の交点をバインダで結合してなる繊維シートを形成する工程と、繊維シートを所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕する工程と、織布を開繊することなく裁断した端材を20%~30%混合する工程とを含む。これにより、少量の織布であっても裁断して利用可能となり、リサイクル性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の一実施例にかかる植物育成用培地の使用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本開示の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0028】
本願出願人は、先に開発した植物栽培用の植え込み材においても、通常の土壌に比べて連作障害を抑制できることを確認しつつも、さらに連作障害を改善するため鋭意研究の結果、合成繊維の表面の平滑度が高い程、連作障害の程度が低くなることを見出し、本開示を成すに至った。連作障害には、様々な要因が挙げられるところ、主たる要因の一つに植物生育阻害物質の分泌がある。植物生育阻害物質には、アレロパシー化学物質が含まれる。本開示では、アレロパシー化学物質を付着し難くすることで、培地中の残存量を低減されることを図った。
[実施形態1]
(植物育成用培地100)
【0029】
本開示の実施形態1に係る植物育成用培地は、洋ランや観葉植物、あるいは花卉、果菜類を栽培するための培地として極めて優れた物性を示す。ただ、本開示の植物育成用培地は、これ等以外の植物の栽培にも使用できるので、栽培する植物を特定しない。
【0030】
植物育成用培地は、原料コストを低減して安価に多量生産し、安定供給を可能とすると共に、廃棄物を有効に再利用するために、織布の廃棄屑を原料に使用する。ただし、本開示の植物育成用培地は、織布の廃棄屑に、繊維屑でない新しい繊維を混合することもできるのは言うまでもない。とくに、植物育成用培地の物性をより向上し、また繊維屑を結合するためのバインダとして、新しい繊維が添加される。ただ、新しい繊維の添加量が多くなると、植物育成用培地の原料コストが高くなる。このため、新しい繊維の添加量はできるかぎり少なく、例えば50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下とする。
【0031】
植物育成用培地は、合成繊維と天然繊維の繊維屑で製作される。合成繊維は腐食しないので耐久性に優れ、天然繊維は腐食して自然に消失する。このため、合成繊維の混合率の高い植物育成用培地は、耐久性があって使用期間を長くできる。反対に、天然繊維の混合率の高い植物育成用培地は、自然に消失できる特長がある。したがって、耐久性が要求される植物育成用培地は合成繊維の混合率を高くし、自然に消失させる植物育成用培地は天然繊維の割合を多くする。一般的に使用する場合においては、合成繊維の混合率を高くし、優れた耐久性の植物育成用培地が便利に使用できる。したがって、植物育成用培地は、合成繊維の混合率を好ましくは50重量%以上とし、さらに好ましくは60重量%以上とし、最適には80重量%以上とする。とくに、合成繊維を100%とする植物育成用培地は、極めて優れた耐久性があって、長い年月にわたって優れた特性を失わない。植物育成用培地の合成繊維として、ポリエステル系合成繊維がとくに優れている。ポリエステル系合成繊維は、強靭で耐久性に富み、しかも耐薬品性に優れているので、極めて長い期間、安定して使用することができる。ただし、合成繊維には、ポリアミド系合成繊維やポリアクリル系合成繊維等の繊維も使用できる。また、生分解性ポリエステルも利用できる。
[植物育成用培地の製造方法]
【0032】
織布の廃棄屑を利用して製造される植物育成用培地は、以下の工程で製造される。
(廃棄屑の開繊工程)
【0033】
膨大な量の織布の廃棄屑が縫製工場等で発生している。織布の廃棄屑は、合成繊維と天然繊維を含むものであるが、ほとんどの廃棄屑は合成繊維の混合率が高い。合成繊維の混合率の高い廃棄屑は、耐久性のある植物育成用培地の原料として適している。織布の廃棄屑は、開繊して繊維状の繊維屑に加工できる。開繊は、例えば、織布の廃棄屑を表面から無数の針で引っかいて繊維状に加工する。ただ、本発明は、廃棄屑の開繊方法をこの方法には特定しない。廃棄屑は、他の種々の方法で開繊できるからである。織布の廃棄屑を繊維屑に加工する方法は、現在使用され、あるいはこれから開発される全ての方法を利用できる。
(繊維シートを形成する工程)
【0034】
開繊された繊維屑は立体的に集合される。集合された繊維は、繊維の間に無数の空隙が存在する状態にプレスされる。そして、プレス状態で繊維の交点がバインダで結合されて繊維シートに加工される。繊維屑は、立体的に集合されるとき、繊維の方向が揃わないように方向性なく集合される。繊維は、移動しているベルトの上に落下されて所定の厚さに集合される。集合された繊維屑は、ニードルパンチやカード機等の方法で、繊維を絡ませたり密集させることができる。この状態で集合された繊維は、繊維間の空隙が多すぎる。植物育成用培地は、毛細管現象で繊維の微細な空隙に吸水する。繊維の空隙を小さくするために、集合された繊維屑はプレスされる。プレス圧が高すぎると、繊維屑の間の空隙がなくなるので、集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスされる。繊維屑がプレスされる状態で、繊維はその交点を結合してプレス状態に硬化させる。
【0035】
繊維を交点で結合するために、集合する繊維屑にバインダが添加される。バインダとして、低融点で溶融するバインダ繊維が使用できる。バインダにバインダ繊維を使用すると、繊維屑に均一に混合できる。このため、バインダを繊維屑の内部に均一に分散して、繊維を交点でしっかりと連結できる。バインダ繊維は、低融点のポリエステル系繊維が使用できる。繊維屑にポリエステル系合成繊維を使用し、バインダ繊維に低融点のポリエステル系繊維を使用すると、全体をポリエステル系合成繊維とする植物育成用培地が製作される。この植物育成用培地は、繊維屑とバインダ繊維との相性が良く、耐久性があって優れた特性にできる。ただ、バインダ繊維には、ポリエステル系繊維以外の合成繊維であって、低融点で溶融する全ての繊維、例えばポリプロピレン繊維等も使用できる。
【0036】
バインダ繊維は、集合された繊維屑を加圧する状態で加熱されると、溶融して繊維屑を結合する。加圧状態においては、バインダ繊維を溶融し、繊維屑を溶融させない温度に加熱して、繊維屑を結合する。バインダ繊維を加熱するために、加圧状態で、繊維の間に加熱された空気を強制的に送風し、あるいは加圧する前に繊維に加熱空気を送風する。加圧する前に加熱する方法は、コールドプレスで加圧して、バインダ繊維で繊維を結合できる。ただし、ホットプレスの熱板で加熱して加圧するここともできる。この場合、一定の時間は加圧状態に保持して、内部まで充分に加熱する。
【0037】
バインダ繊維の添加量は、例えば全体の5~30重量%とすることができる。バインダ繊維の添加量が少ないと、繊維を十分に結合させることができなくなるおそれがあり、バインダ繊維の添加量が多すぎると、繊維の間の空隙率が低下するおそれがある。所定の厚さに集合した繊維をプレスして薄くする割合は、用途によって最適値に設定されるが、例えば、集合した状態の厚さに対して10~50%、好適には約20%とする。集合した繊維を10%以下に圧縮すると、空隙率が低下して、排水性と通気性と保水率が低下する。反対に50%よりも厚く圧縮すると、空隙が大きくなって吸水率が低下する。したがって、繊維の集合体をプレスする度合いは、保水性と排水性と吸水性を考慮して、栽培する植物に最適な値とすることが望ましい。圧縮して繊維を結合してなる繊維シートの厚さは、好ましくは3mm~5mmとする。
【0038】
繊維屑の結合には、バインダ繊維に代わって、未硬化の状態では液状又はペースト状であるバインダも使用できる。この場合、例えば、繊維シートを構成する繊維を集合させる際に、その繊維に対し液状又はペースト状のバインダを噴霧し、その後、繊維の集合体をプレスしてバインダを硬化させることにより繊維を結合させて繊維シートを得ることができる。
【0039】
繊維シートの形成には、サーマルボンド機が利用できる。サーマルボンド機でもって、160℃~180℃で加熱し、一気に乾燥させる。
【0040】
なお合成繊維の水分量は、0.00%~0.20%とする。このように植物育成用培地を乾燥させて合成繊維の水分量を通常よりも低く抑えた状態とすることで、連作障害を低減できると考えられる。その理由は、植物生育阻害物質は水分に付着して残存することから、予め水分量を低減しておくことにより、このような植物生育阻害物質の付着を抑制できるものと思われる。なお水分量の測定には、インテック製の微量水分測定装置(パイレック法)を用いてJIS L 1907に準拠して行った。
【0041】
また連作障害の低減には、合成繊維の表面の平滑度を高めることも有効と思われる。具体的には、合成繊維の表面の平均粗さRaを、0.01μm~5.00μmとすることが好ましい。特に植物育成用培地を乾燥させると、水分量が低減して繊維表面の縮れが減少し、合成繊維の表面の平滑度を高められると思われる。この方法であれば、複雑な処理を施すことなく、容易に合成繊維の表面を改質して、平滑度と高めて植物生育阻害物質の付着を抑制し、連作障害を低減できる。また植物育成用培地を乾燥させることで、団粒構造が正常値に戻り、適度な隙間を形成することにより通気排水に優れ、植物の生育に適した植物育成用培地を得る効果も得られる。
【0042】
また、繊維シートは、繊維の空隙に保持材を添加することができる。この繊維シートは、繊維の集合体中に、粒状又は粉状の保持材を分散させた状態で、それを所定の圧力でプレスし、繊維の間に無数の空隙ができる状態で繊維の交点をバインダで結合させることにより得ることができる。この繊維シートは、植物を生育させる際の保持材を予め備えている。保持材は、水に溶出した肥料の一部を一旦保持した後、徐々にその肥料を放出するものである。このような保持材としては、パーライト、セラミック、ゼオライト(塩基置換容量の多いもの)等であって、栽培時に与える肥料を保持し得ると共に保持した肥料を徐々に放出するものを用いることができる。パーライトには、例えば、黒曜石パーライト、真珠岩パーライト等が使用できる。セラミックやゼオライトは、粒状又は粉状にしたものを使用する。このような保持材を用いることにより、肥料が栽培植物に対し相当期間にわたり供給されることになる。肥料を保持した保持材は、繊維の隙間から移動しない大きさの粒とすることが望ましい。
(繊維シートのチップ化工程)
【0043】
以上のようにして得られた繊維シートを、所定の大きさであって、一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状の繊維チップに粉砕してチップ化する。繊維シートは、シート全体を粉砕して繊維チップとすることもできるが、繊維シートを他の用途に使用する場合は、繊維シートを裁断するときに発生する耳屑を粉砕して繊維チップとすることもできる。繊維シートは、例えば所定の形状に裁断して植物の栽培シート等として使用できる。繊維シートを所定の形状に裁断するとき、繊維シートの端部が裁断されて耳屑となる。この裁断屑である耳屑を集めて繊維チップに粉砕して植物育成用培地とすることができる。このように、裁断屑である耳屑を粉砕して繊維チップとする方法は、裁断屑を無駄にすることなく繊維シート全体を有効に利用して廃棄屑を皆無にできる。植物育成用培地を構成する繊維チップの平均粒径は、例えば3mm~30mm、好ましくは5mm~10mm、より好ましくは3mm~10mmとする。なお平均粒径の基準範囲は、ホーライ製の射出・押出・ブロー成形品用粉砕機を用いてJIS B 8650に準拠して行った。
(繊維チップの混成工程)
【0044】
また、異なる種類の繊維チップを作成し、これらを混成することが好ましい。具体的には、異なる条件で形成した異なる繊維シートをそれぞれ粉砕した繊維チップを、所定の比率で混合する。このように異なる種類の繊維チップを混合することで、排水性を高めて連作障害を生じさせない植物育成用培地を得ることができる。異なる繊維シートを作成するための異なる条件とは、繊維シートの厚さ、繊維チップの大きさ、バインダの比率、目付量等が挙げられる。実施形態1に係る植物育成用培地においては、
A:繊維シートの厚さ3mm、目付量500g/m2、バインダ25%
B:繊維シートの厚さ3mm、目付量800g/m2、バインダ40%
C:繊維シートの厚さ5mm、目付量500g/m2、バインダ25%
D:繊維シートの厚さ5mm、目付量800g/m2、バインダ40%
とした4種類の繊維チップを、25%ずつ混合して植物育成用培地を得た。
【0045】
さらに、植物育成用培地は、繊維シートを繊維チップに粉砕した後、保持材を混入することもできる。この植物育成用培地は、粉砕工程でランダム形状に粉砕された繊維チップに、粒状又は粉状の保持材を混入してブレンドする。繊維チップに混入される保持材には、前述のパーライト、セラミック、ゼオライト等が使用できる。これらの保持材は、水に溶出した肥料の一部を一旦保持した後、徐々に放出するので、栽培植物に対して肥料を長期間にわたって供給できる。これらの保持材は、単独で使用することも、これらを複合した複合材として混入することもできる。このように、植物を生育させる際の保持材がブレンドされた植物育成用培地は、植物をより理想的な状態で栽培できる特長がある。
(中和工程)
【0046】
さらに、植物育成用培地を中性化する工程を加える。本願出願人は、長年に渡り衣類由来の廃棄屑を用いた植物育成用培地を製造、販売する一方で、より育成に適した植物育成用培地に改善すべく、様々な条件を変えて試作を重ね、実際に植物を育成する試験を繰り返し、試行錯誤の結果、pHを調整することが有効であることを見出し、本願発明を成すに至ったものである。
【0047】
培地の主たる原料となる合成繊維は、表面が滑らかな安定した材質であって、本来的には中性を示すはずである。ところが本開示で示すような植物育成用培地の原材料となる合成繊維は、新品でなく、元々は衣料として使用されていた廃材である。そしてポリエステルなどの合成繊維を用いた衣類は、弱アルカリ性の洗剤で洗濯されることが多いと考えられる。これが原因となって、衣類を破断した繊維チップにも洗剤を構成する化学物質が微量に残留する結果、アルカリ性を示す傾向があることを本願出願人は見出した。
【0048】
具体的に衣類の廃材からそのまま得られた植物育成用培地のpHは、7.5~8.0程度であった。一般に植物育成用の土壌のpHは、pH5.5~6.5の弱酸性が好ましいとされている。このため弱アルカリ性の培地では植物の育成に不利となる。そこで、植物育成用培地を中和する中和工程を加えることで、植物の育成により適した培地を得ることが可能となる。
【0049】
具体的には、酸性液を低量添加して、pHを中性に調整している。酸性液には、酢酸が好ましい。酢酸は安全性が高く食用も可能であり、植物育成用培地に残留しても、病虫害の防除効果を発揮できる。また植物の活性化や免疫力の向上にも寄与し得る。さらに日照不足や高温、乾燥時の対策、成り疲れや根腐れなどにも有効となる。本実施形態においては、純度99%の酢酸を、12ml添加し、pHを6.5~7.5に調整した。好ましくはpHを7.0前後に調整する。なおpHの測定は、パリノ・サーヴェイ株式会社にてPH分析試験を実施した。
【0050】
中和工程は、繊維チップを混成する際に行うことが好ましい。混成工程において、酸性液を添加して混合することにより、植物育成用培地のpHを均一に調整できる。ただ中和工程は、他の工程、例えば繊維シートの生成工程や繊維シートのチップ化工程において行ってもよい。なお本願出願人の行った試験によれば、繊維シートの生成時における熱プレスや、繊維シートのチップ化における裁断、粉砕などで各種装置を通すことで、アルカリ性が若干増す傾向が見られた。その理由としては、各種装置の機械油が酸性であるため、これらの装置を洗浄する洗剤としてアルカリ性洗剤が利用されていることから、このような機械装置での処理を経ることで、装置の表面に残存した微量の洗剤の化学成分が繊維シートや繊維チップに付着する結果、アルカリ性が付加されるものと推察される。したがって、最終製品に近い状態で、好ましくは繊維チップの混成工程において、中和工程を行うことで、中和後の植物育成用培地のpHの変化を抑えることができる。
【0051】
以上のようにして得られた植物育成用培地を、図1に示すように、植物の栽培容器2に入れて植物3を栽培する。栽培容器2に充填された植物育成用培地1は、繊維シートを粒状に粉砕しているので、隣接する植物育成用培地1との間に隙間ができる。この隙間は、空気をスムーズに通過させる。このため、本開示の植物育成用培地は、各々の粒子が優れた保水性を保持しながら、植物育成用培地1の間にできる隙間によって、優れた通気性と排水性とを実現する。さらに、粒状に粉砕された植物育成用培地1は、種々の形状と大きさの栽培容器2に、簡単かつ容易に、しかも速やかに充填して植物3を植え付けできる。
【0052】
さらに、植物育成用培地を栽培容器に充填する密度、いいかえると栽培容器に詰める具合いを調整して、保水性と排水性と通気性を調整できる。植物育成用培地は、繊維屑を粒状に粉砕しているので、弾性的に変形する。このため、密に詰めることも、また粗に詰めることもできる。植物育成用培地を密に詰めると、排水性と通気性を制限しながら保水性を向上できる。このため、水やり回数を軽減できる。この充填状態は、水分を多量に要求する植物の栽培に適している。反対に、植物育成用培地を栽培容器に粗に充填すると、保水性を制限しながら排水性と通気性とを向上できる。この充填状態は、洋ラン等のように、過湿に弱く耐乾性に強い植物の栽培に適している。
【0053】
植物育成用培地は、繊維屑を無数の空隙ができる状態で立体的に集合して、これを紐状に連結してなる繊維紐とすることができる。この繊維紐は、水苔と同じように使用できるように、加圧しない状態での平均的な太さを2~30mmとする。この植物育成用培地1は、図2に示すように、植物3の根の部分に巻き付けながら、栽培容器2に充填できる。ただ、必ずしも根に巻き付けることなく栽培容器に充填することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示に係る植物栽培用培地及びその製造方法は、野菜や果物、花などを育成する培地として、また屋上緑化や壁面緑化のための培地として、好適に利用できる。例えばイチゴ、トマト、アンスリウム、エンドウ、とうもろこし、白菜、キャベツ、ブロッコリ、ラディッシュ、サラダからし菜、春菊、レタス、胡蝶蘭などの育成に、実際に利用されている実績がある。
【0055】
またリサイクル困難な古着の他、売れ残りの未使用医療品、あるいは衣料品の製造過程で生じた残布や品質の劣るB品といった、従来焼却処理されていた衣料品等を植物育成用培地として活用することで、衣料品等を焼却した場合に発生していた二酸化炭素の発生量を抑制でき、地球温暖化の回避にも貢献する。
【0056】
このように環境負荷を低減できる結果、2015年9月の国連サミットで採択された国際目標SDGs(持続可能な開発目標)に掲げられた17のゴール及び169のターゲットの内、以下に資する。
・「13.気候変動に具体的な対策を」、「13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。」について、温室効果ガスの排出を原因とする地球温暖化現象が招く世界各地での気候変動やその影響を軽減する目標に従い、これを実際に実現するための実行手段となる。特に年間170万トンもの古着や未使用衣料品が焼却処理されている現状において、その大半を占める素材はポリエステル繊維であることから、本開示に係る植物栽培用培地でリサイクルすることにより、衣料品を焼却した場合に発生する、原料1kgあたり3.14kgの二酸化炭素の排出を削減でき、地球温暖化の抑制が図られる。加えて、植物を育て、緑を増やすことで地球温暖化への緩和にもつながる。
・「12.つくる責任 つかう責任」、「12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。」について、外部環境に影響され難い次世代型農業を推奨することによって、誰でも容易に栽培が行うことができ、安全で安定的な生産、持続可能な農業を目指すことが可能となる。
・「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。」について、植物栽培などで使用されたポリエステル繊維培地を固形燃料化することにより、植物育成→燃料化のゴミを生まない完全リサイクルシステムを確立できる。
・「3.すべての人に健康と福祉を」、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」について、農福連携を主体とし、ポリエステル繊維培地の特性を生かした農業が行えるようになる。特に農業従事者の年齢の壁を越え、心身にハンディキャップがある者も含めて、すべての人々が楽しめる農業・園芸を推進できる。
・「11.住み続けられるまちづくりを」、「11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。」、「11.7 2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。」につういて、緑化を増やし、温室効果ガス削減に寄与すると共に、地球温暖化の抑制やヒートアイランド現象の緩和に貢献できる。屋上やベランダなどで、花や緑を育てたり、手軽な野菜作りを楽しめるようにして、住み慣れた環境で育てる喜びや自然の営みを感じる生活空間を創造する。
・「8.働きがいも経済成長も」、「8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。」
・「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、「9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。」
【0057】
以上のように本開示は、これらのゴールやターゲットの実現に資する技術である。
【符号の説明】
【0058】
1…植物育成用培地
2…栽培容器
3…植物
【要約】
【課題】連作障害を発生し難くした植物育成用培地及びその製造方法を提供する
【解決手段】植物育成用培地は、合成繊維を含む繊維屑で構成された植物育成用培地である。繊維屑は、合成繊維を含む繊維で編み組みされた織布の廃棄屑を開繊したものであり、繊維屑が立体的に集合され、該集合された繊維間に無数の空隙が存在する状態にプレスされたプレス状態で繊維同士の交点をバインダで結合してなる繊維シートを、所定の大きさであって一定の定まった形状ではない不特定なランダム形状とする繊維チップに粉砕されたものである。繊維屑は、衣類由来の廃棄屑である。pHは6.5~7.1である。
【選択図】図1
図1