(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】電解液抽出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/54 20060101AFI20240909BHJP
H01M 50/691 20210101ALI20240909BHJP
G01N 1/04 20060101ALI20240909BHJP
G01N 1/42 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01M10/54
H01M50/691
G01N1/04 X
G01N1/42
(21)【出願番号】P 2023540602
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2022010952
(87)【国際公開番号】W WO2023008873
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0100283
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デキ・イ
(72)【発明者】
【氏名】リン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ユン・ユン
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-235873(JP,A)
【文献】特開2015-002107(JP,A)
【文献】特開2006-073216(JP,A)
【文献】特開平11-167936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/54
H01M 50/691
G01N 1/04
G01N 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側面に電池が据え置きされた下部ジグを移送する第1移送ユニットと、
前記電池と共に前記下部ジグを液体窒素が満たされた凍結水槽に収容させるローディングユニットと、
前記凍結水槽の内部で前記電池を切断する切断ユニットと、
前記電池と共に前記下部ジグを前記凍結水槽から取り出して電解液抽出水槽に収容させるアンローディングユニットと、
内部に前記電池が収容された前記電解液抽出水槽を移送する第2移送ユニットと、
を含む、電解液抽出システム。
【請求項2】
前記第1移送ユニット及び前記第2移送ユニットは、ベルトコンベアである、請求項1に記載の電解液抽出システム。
【請求項3】
前記下部ジグ及び前記電解液抽出水槽は、複数設けられ、
前記複数の下部ジグは、前記第1移送ユニットの長手方向に沿って羅列され、
前記複数の電解液抽出水槽は、前記第2移送ユニットの長手方向に沿って羅列される、請求項2に記載の電解液抽出システム。
【請求項4】
前記切断ユニットは、
前記電池の上側面を加圧する上部ジグと、
前記上部ジグを上下方向に貫通する刃部と、
前記上部ジグ及び前記刃部を上下方向に駆動させる駆動部と、を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の電解液抽出システム。
【請求項5】
前記上部ジグの下側面と前記下部ジグの上側面は、前記電池を挟んで互いに対面し、
前記上部ジグには、前記刃部が通過する刃貫通ホールが形成され、
前記下部ジグには、前記刃貫通ホールと対面する位置に刃保護溝が形成される、請求項4に記載の電解液抽出システム。
【請求項6】
前記刃部は、
上下方向に垂直な第1方向に延びる第1刃と、
前記上下方向及び前記第1方向に垂直な第2方向に延びる第2刃と、を含む、請求項4に記載の電解液抽出システム。
【請求項7】
前記電解液抽出水槽には、電解液抽出溶媒が満たされ、
前記電解液抽出溶媒は、有機溶剤である、請求項1に記載の電解液抽出システム。
【請求項8】
下部ジグの上側面にパウチ型電池を据え置くローディング段階と、
前記電池が据え置きされた前記下部ジグを凍結水槽に満たされた液体窒素に浸漬させる凍結段階と、
上部ジグで前記電池の上面を加圧して電池を固定する固定段階と、
前記上部ジグに形成された刃貫通ホールに刃を通過させて前記電池を切断する切断段階と、
前記上部ジグを前記電池から分離させ、前記電池及び前記下部ジグを凍結水槽から取り出すアンローディング段階と、
電解液抽出水槽に満たされた電解液抽出溶媒に前記電池及び前記下部ジグを浸漬させる電解液抽出段階と、
を含む、電解液抽出方法。
【請求項9】
前記ローディング段階で、
前記電池及び前記下部ジグは、複数設けられ、
前記複数の下部ジグのそれぞれに対して前記複数の電池のそれぞれが据え置きされ、
前記凍結段階、前記固定段階、前記切断段階及び前記アンローディング段階は、前記複数の電池のそれぞれに対して順次行われる、請求項8に記載の電解液抽出方法。
【請求項10】
前記電解液抽出段階で、
前記電解液抽出水槽は、複数設けられ、前記複数の電池のそれぞれは、それぞれ異なる電解液抽出水槽に収容される、請求項8又は9に記載の電解液抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年7月30日付の大韓民国特許出願10-2021-0100283号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電解液抽出システム及び方法に係り、具体的には、電池を分解して電池から電解液を損失なしに安定して抽出する電解液抽出システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電池開発において、電池の駆動による電解液枯渇程度と電池退化メカニズムとの関連関係を把握しようとするニーズは、持続的に存在する。
【0004】
例えば、電池内に残存する電解液の絶対含量分析によって、電池駆動前と後との電解液の残存絶対量と駆動による電解液枯渇傾向などを把握することが必要である。
【0005】
そのためには、完成品の電池を特定の条件で駆動した後、電池内部の電解液を抽出しなければならず、このために、電池を分解して電池ケース内部の電解液を抽出する過程が行われる。
【0006】
前記の過程遂行において、自動化された方法及びシステムとして、電池に加えられる衝撃による事故防止と、電池内部の電解液を損失なしに安定して抽出可能な方法及びシステムと、が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電解液抽出システム及び方法に関するものであって、具体的には、電池を分解して電池から電解液を損失なしに安定して抽出する電解液抽出システム及び方法を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電解液抽出システムは、上側面に電池が据え置きされた下部ジグを移送する第1移送ユニット、前記電池と共に前記下部ジグを液体窒素が満たされた凍結水槽に収容させるローディングユニット、前記凍結水槽の内部で前記電池を切断する切断ユニット、前記電池と共に前記下部ジグを前記凍結水槽から取り出して電解液抽出水槽に収容させるアンローディングユニット、及び内部に前記電池が収容された前記電解液抽出水槽を移送する第2移送ユニット、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電解液抽出システムは、自動化されたシステムであって、多数の電池に対して、迅速な電解液抽出が可能なものである。
【0011】
本発明の電解液抽出システム及び方法は、電池に加えられる衝撃による事故防止と、電池内部の電解液を損失なしに安定して抽出可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の電解液抽出システムを示す概念図である。
【
図3】本発明の電解液抽出方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電解液抽出システムは、上側面に電池が据え置きされた下部ジグを移送する第1移送ユニット、前記電池と共に前記下部ジグを液体窒素が満たされた凍結水槽に収容させるローディングユニット、前記凍結水槽の内部で前記電池を切断する切断ユニット、前記電池と共に前記下部ジグを前記凍結水槽から取り出して電解液抽出水槽に収容させるアンローディングユニット、及び内部に前記電池が収容された前記電解液抽出水槽を移送する第2移送ユニット、を含むものである。
【0014】
本発明の電解液抽出システムで、前記第1移送ユニット及び前記第2移送ユニットは、ベルトコンベアでもある。
【0015】
本発明の電解液抽出システムで、前記下部ジグ及び前記電解液抽出水槽は、複数設けられ、前記複数の下部ジグは、前記第1移送ユニットの長手方向に沿って羅列され、前記複数の電解液抽出水槽は、前記第2移送ユニットの長手方向に沿って羅列されるものである。
【0016】
本発明の電解液抽出システムで、切断ユニットは、前記電池の上側面を加圧する上部ジグと、前記上部ジグを上下方向に貫通する刃部と、前記上部ジグ及び前記刃部を上下方向に駆動させる駆動部と、を含むものである。
【0017】
本発明の電解液抽出システムで、前記上部ジグの下側面と前記下部ジグの上側面は、前記電池を挟んで互いに対面し、前記上部ジグには、前記刃部が通過する刃貫通ホールが形成され、前記下部ジグには、前記刃貫通ホールと対面する位置に刃保護溝が形成されるものである。
【0018】
本発明の電解液抽出システムで、前記刃部は、上下方向に垂直な第1方向に延びる第1刃と、上下方向及び前記第1方向に垂直な第2方向に延びる第2刃と、を含むものである。
【0019】
本発明の電解液抽出システムで、前記電解液抽出水槽には、電解液抽出溶媒が満たされ、前記電解液抽出溶媒は、有機溶剤でもある。
【0020】
本発明の電解液抽出方法は、下部ジグの上面にパウチ型電池を据え置くローディング段階、前記電池が据え置きされた前記下部ジグを凍結水槽に満たされた液体窒素に浸漬させる凍結段階、上部ジグで前記電池の上面を加圧して電池を固定する固定段階、前記上部ジグに形成された刃貫通ホールに刃を通過させて前記電池を切断する切断段階、前記上部ジグを前記電池から分離させ、前記電池及び前記下部ジグを凍結水槽から取り出すアンローディング段階、及び電解液抽出水槽に満たされた電解液抽出溶媒に前記電池及び前記下部ジグを浸漬させる電解液抽出段階、を含むものである。
【0021】
本発明の電解液抽出方法の前記ローディング段階で、前記電池及び前記下部ジグは、複数設けられ、前記複数の下部ジグのそれぞれに対して前記複数の電池のそれぞれが据え置きされ、前記凍結段階、前記固定段階、前記切断段階及び前記アンローディング段階は、前記複数の電池のそれぞれに対して順次行われるものである。
【0022】
本発明の電解液抽出方法の前記抽出段階で、前記電解液抽出水槽は、複数設けられ、前記複数の電池のそれぞれは、それぞれ異なる電解液抽出水槽に収容されるものである。
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されうる。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0024】
本発明の説明において、留意しなければならない点は、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」、「一面」、「他面」などが指示する方位または位置関係は、図面で示す方位または位置関係、あるいは、通常、本発明の製品使用時に配置する方位または位置関係に基づいたものであり、単に本発明の説明と簡略な説明のためのものであり、表示された装置または素子が、必ずしも特定の方位をもって特定の方位で構成されるか、操作されなければならないということを提示または暗示するものではないので、本発明を制限すると理解してはならない。
【0025】
図1は、本発明の電解液抽出システムを示す概念図である。
図2A及び
図2Bは、刃部320と上部ジグ310とを示す概念図である。
図3は、本発明の電解液抽出方法を示すブロック図である。
【0026】
以下、
図1ないし
図3を参照して、本発明の電解液抽出システム及び方法について詳しく説明する。
【0027】
本発明の電解液抽出システム及び方法は、完成品の二次電池11から電解液を抽出するためのものであって、電池ケースを破壊した後、電解液を抽出するものである。さらに具体的には、正極集電体、負極集電体及び分離膜が積層されて形成される電極組立体と、電極組立体を内部に収容する電池ケースと、を共に複数の切片に切断して、電池11切片を電解液抽出溶媒に浸漬させて電解液を抽出するものである。すなわち、本発明の電解液抽出システム及び方法は、既使用または未使用の完成品の電池11を複数の切片に切断して電解液を抽出するものである。
【0028】
本発明の電解液抽出システム及び方法は、電池11内に残存する電解液の絶対含量分析などによって、電池11の駆動前と後との電解液の残存絶対量及び駆動による枯渇傾向などを分析する実験のための電池11の前処理のために使われるものである。
【0029】
本発明の電解液抽出システム及び方法の適用対象となる電池11は、二次電池であって、パウチ型電池、角型電池、円筒状電池及びコイン型電池などであり、パウチ型電池にさらに特化されるものである。
【0030】
図1に示したように、本発明の電解液抽出システムは、上側面に電池11が据え置きされた下部ジグ110を移送する第1移送ユニット100、前記電池11と共に前記下部ジグ110を液体窒素が満たされた凍結水槽600に収容させるローディングユニット400、前記凍結水槽600の内部で前記電池11を切断する切断ユニット(図示せず)、前記電池11と共に前記下部ジグ110を前記凍結水槽600から取り出して電解液抽出水槽210に収容させるアンローディングユニット500、及び内部に前記電池11が収容された前記電解液抽出水槽210を移送する第2移送ユニット200、を含むものである。
【0031】
本発明の電解液抽出システムは、複数の電池11に対して行われる。したがって、複数の電池11を順次にシステムの工程に投入または排出するために、第1移送ユニット100及び第2移送ユニット200は、前記下部ジグ110及び前記電解液抽出水槽210を線形移動させることができるもので設けられることが望ましい。例えば、前記第1移送ユニット100及び前記第2移送ユニット200は、ベルトコンベアでもある。
【0032】
前記下部ジグ110及び前記電解液抽出水槽210は、複数設けられ、前記複数の下部ジグ110は、前記第1移送ユニット100の長手方向に沿って羅列され、前記複数の電解液抽出水槽210は、前記第2移送ユニット200の長手方向に沿って羅列されるものである。
【0033】
下部ジグ110は、零下190℃以下の温度で変形または破損しない素材からなり、例えば、下部ジグ110の素材は、SUS、アルミニウムまたはその他の合金類(鉄合金、ニッケル合金など)などで液体窒素との反復的な接触による急激な温度変化状況で耐久性を保持し、超低温の環境で耐寒性を有する素材は制限なしに使用可能である。下部ジグ110は、上下方向に垂直な面を有するプレート状からなるものである。電池11は、下部ジグ110の上側面に据え置きされ、電池11の下側面と下部ジグ110の上側面との間には、接着剤が塗布されて、電池11は、下部ジグ110の上側面上で固定される。電池11を接着剤で下部ジグ110上に定位置に固定して電池11が凍結水槽600内で後述する上部ジグ310で加圧されるまで定位置からの離脱を防止することができる。電池11は、接着剤以外にも別途のジグを下部ジグ110に備えて、下部ジグ110上の定位置に固定される。
【0034】
下部ジグ110に電池11が固定されると、下部ジグ110は、第1移送ユニット100に投入され、第1移送ユニット100によってローディングユニット400まで移動した後、ローディングユニット400によって凍結水槽600の内部に投入される。
【0035】
ローディングユニット400は、グリッパーのように下部ジグ110を取ることができるエンドエフェクターが装着されたガントリーロボットまたは多軸ロボットであるか、下部ジグ110を押すか、引くことができるアクチュエータなどである。
【0036】
凍結水槽600は、内部に液体窒素のように電池11を冷却させることができる冷却媒体が満たされるものである。冷却媒体は、電池11に直接接触して電池11を冷却させることができる。凍結水槽600に満たされる冷却媒体は、電解液の分析に影響を与えないことが望ましく、したがって、冷却媒体は、液体窒素が最も望ましい。
【0037】
凍結水槽600は、上側面が開放された水槽である。電池11は、凍結水槽600の上部を通って凍結水槽600の内部に収容される。凍結水槽600の内部に収容された下部ジグ110及び電池11は、液体窒素に完全に浸漬される。
【0038】
本発明の電解液抽出システムは、電池11を超低温の環境で切断するために、電池11に加えられる衝撃による爆発などの事故を防止し、容易に電池11を多数の切片に切断することができる。
【0039】
図2A及び
図2Bに示したように、切断ユニットは、前記電池11の上側面を加圧する上部ジグ310と、前記上部ジグ310を上下方向に貫通する刃部320と、前記上部ジグ310及び前記刃部320を上下方向に駆動させる駆動部(図示せず)と、を含むものである。
【0040】
前記上部ジグ310の下側面と前記下部ジグ110の上側面は、前記電池11を挟んで互いに対面し、前記上部ジグ310には、前記刃部320が通過する刃貫通ホール311が形成され、前記下部ジグ110には、前記刃貫通ホール311と対面する位置に刃保護溝111が形成されるものである。本発明の電解液抽出システムは、超低温で電池11を切断するために、電池11と下部ジグ110との間の接着剤の接着力が弱くなることもある。したがって、電池11をさらに完璧に固定する必要があり、電池11の上側面を上部ジグ310で加圧して電池11を完全に固定することができる。
【0041】
本発明の電解液抽出システムで、電池11を上下方向に垂直な仮想の直線方向を切り取りラインとして切断される。すなわち、刃部320は、上下方向に移動しながら電池11を切断し、電池11は、水平方向上で多数の切片に分離される。
【0042】
したがって、
図2Bに示したように、電池11が上部ジグ310及び下部ジグ110の間に挟まった状態で、刃部320は、電池11に接近するために上部ジグ310を通過する必要がある。すなわち、前記上部ジグ310の下側面と前記下部ジグ110の上側面は、前記電池11を挟んで互いに対面し、前記上部ジグ310には、前記刃部320が通過する刃貫通ホール311が形成されうる。
図2Aに示したように、刃部320の刃が電池11を完全に通過するために、前記下部ジグ110には、前記刃貫通ホール311と対面する位置に刃保護溝111が形成されるものである。
【0043】
前記刃部320は、上下方向に垂直な第1方向に延びる第1刃321と、上下方向及び前記第1方向に垂直な第2方向に延びる第2刃322と、を含むものである。すなわち、刃部320は、第1刃321と第2刃322とが交差する十字状に形成されうる。第1刃321の第1方向への長さは、第2刃322の第2方向に長さよりもさらに長く形成され、1つの第1刃321に複数の第2刃322が結合されうる。
【0044】
第1刃321の第1方向への長さは、電池11の第1方向への長さよりも長く形成され、第2刃322の第2方向への長さは、電池11の第2方向への長さよりも長く形成されうる。
【0045】
第1刃321及び第2刃322の刃は、下端部に形成され、上端部には、駆動部が連結される。
【0046】
上部ジグ310に形成される刃貫通ホール311は、第1刃321及び第2刃322の規格、形状及び配置を考慮して、それに対応して形成されうる。例えば、第1刃321及び第2刃322が十字状を形成されると、刃貫通ホール311も、十字状に形成されうる。
【0047】
電池11切断時に、電池11の上面を上部ジグ310で加圧した後、刃部320によって電池11を切断することができる。すなわち、駆動部は、上部ジグ310を電池11に接近させ、その次に刃部320を電池11に接近させることができる。駆動部は、独立した2つの動力源として設けられて、上部ジグ310及び刃部320にそれぞれ設けられることもあり、1つの動力源刃部320に設けられ、上部ジグ310と刃部320とが相互間の上下方向に相対長さ変形が可能な素材または構造で結合されうる。例えば、上部ジグ310及び刃部320は、ガイドバーまたは弾性素材を挟んで互いに結合されうる。
【0048】
駆動部の動力源は、例えば、空気圧アクチュエータ、電動リニアモータなどである。
【0049】
電池11が切断されると、電池11の上側面から上部ジグ310は除去され、アンローディングユニット500によって電解液抽出水槽210に下部ジグ110及び電池11は移される。
【0050】
アンローディングユニット500は、グリッパーのように下部ジグ110を取ることができるエンドエフェクターが装着されたガントリーロボットまたは多軸ロボットであるか、下部ジグ110を押すか、引くことができるアクチュエータなどである。
【0051】
前記電解液抽出水槽210には、電解液抽出溶媒が満たされ、前記電解液抽出溶媒は、アルコール(alcohol)類、ケトン(ketone)類、カーボネート(carbonate)類、プロピオネート(propionate)類などの有機溶剤である。
【0052】
電解液抽出水槽210は、上部が開放された形態で設けられて、アンローディングユニット500は、電解液抽出水槽の上部を通って電池11及び下部ジグ110を電解液抽出水槽210の内部に積載することができる。
【0053】
電解液抽出水槽210は、複数設けられて、第2移送ユニット200の長手方向に沿って配列された状態で準備され、空き電解液抽出水槽210に電池11が積載されると、複数の電解液抽出水槽210は、第2移送ユニット200によって移動し、空き電解液抽出水槽210が、再びアンローディングユニット500前に待機される。
【0054】
図3に示したように、本発明の電解液抽出方法は、下部ジグ110の上側面にパウチ型電池11を据え置くローディング段階(ステップS10)、前記電池11が据え置きされた前記下部ジグ110を凍結水槽600に満たされた液体窒素に浸漬させる凍結段階(ステップS20)、上部ジグ310で前記電池11の上面を加圧して電池11を固定する固定段階(ステップS30)、前記上部ジグ310に形成された刃貫通ホール311に刃を通過させて前記電池11を切断する切断段階(ステップS40)、前記上部ジグ310を前記電池11から分離させ、前記電池11及び前記下部ジグ110を凍結水槽600から取り出すアンローディング段階(ステップS50)、及び電解液抽出水槽210に満たされた電解液抽出溶媒に前記電池11及び前記下部ジグ110を浸漬させる電解液抽出段階(ステップS60)、を含むものである。
【0055】
前記ローディング段階(ステップS10)で、前記電池11は、前記下部ジグ110に接着剤で接着されるものである。
【0056】
前記ローディング段階(ステップS10)で、前記電池11及び前記下部ジグ110は、複数設けられ、前記複数の下部ジグ110のそれぞれに対して前記複数の電池11のそれぞれが据え置きされ、前記凍結段階、前記固定段階、前記切断段階及び前記アンローディング段階は、前記複数の電池11のそれぞれに対して順次行われるものである。
【0057】
前記ローディング段階(ステップS10)及び前記凍結段階(ステップS20)は、ローディングユニット400及び第1移送ユニット100によって行われる。
【0058】
前記固定段階(ステップS30)及び前記切断段階(ステップS40)は、切断ユニットによって行われる。
【0059】
前記アンローディング段階(ステップS50)は、前記アンローディングユニット500によって行われる。
【0060】
前記抽出段階(ステップS60)で、前記電解液抽出水槽210は、複数設けられ、前記複数の電池11のそれぞれは、それぞれ異なる電解液抽出水槽210に収容されるものである。
【0061】
以上、本発明による実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、次の特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の電解液抽出システムは、自動化されたシステムであって、多数の電池に対して、迅速な電解液抽出が可能なものである。
【0063】
本発明の電解液抽出システム及び方法は、電池に加えられる衝撃による事故防止と、電池内部の電解液を損失なしに安定して抽出可能なものである。
【符号の説明】
【0064】
11:電池
100:第1移送ユニット
110:下部ジグ
111:刃保護溝
200:第2移送ユニット
210:電解液抽出水槽
310:上部ジグ
311:刃貫通ホール
320:刃部
321:第1刃
322:第2刃
400:ローディングユニット
500:アンローディングユニット
600:凍結水槽