(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】薬剤リスト表示方法及びプログラム、薬剤識別装置
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240909BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2022544615
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2021030956
(87)【国際公開番号】W WO2022045119
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2020145764
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503227564
【氏名又は名称】富士フイルムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】弓部 央奈
(72)【発明者】
【氏名】石川 成利
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-065978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが行う薬剤リスト表示方法であって、
複数の薬剤が一方の面から撮影された第1の画像を取得する第1の画像取得工程と、
前記第1の画像から各薬剤が表示された領域をそれぞれ切り出した複数の第1の切出画像を取得する第1の切り出し工程と、
前記複数の第1の切出画像をそれぞれ指定可能に一定の順序でディスプレイの第1の領域にリスト表示する切出画像表示工程と、
ユーザによって指定された前記第1の切出画像の正解薬剤を確定する確定工程と、
前記複数の第1の切出画像に対してそれぞれ確定された複数の正解薬剤の情報を前記ディスプレイの前記第1の領域とは異なる第2の領域にリスト表示する薬剤情報表示工程であって、それぞれ対応する前記第1の切出画像と前記確定された正解薬剤の情報とを関連付けて表示する薬剤情報表示工程と、
を備える薬剤リスト表示方法。
【請求項2】
前記一定の順序は、前記複数の第1の切出画像のうち、前記正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されている第1の切出画像の序列が上位であり、前記正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されていない第1の切出画像の序列が下位である請求項1に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項3】
前記正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されている第1の切出画像のうち、前記情報の確定に寄与する度合いが相対的に大きい第1の切出画像ほど序列が上位である請求項2に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項4】
前記指定された第1の切出画像の正解薬剤を確定するための複数の候補薬剤の情報を表示する候補情報表示工程を備え、
前記確定工程は、前記複数の候補薬剤のうちユーザに選択された候補薬剤を前記指定された第1の切出画像の正解薬剤として確定する請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項5】
前記候補情報表示工程は、前記複数の候補薬剤の情報を前記ディスプレイの前記第1の領域及び前記第2の領域の間の第3の領域に表示する請求項4に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項6】
前記複数の候補薬剤の情報は、薬剤の名称、薬剤のマスタ画像、及び薬剤のPTP(Press Through Package)シートの画像のうちの少なくとも1つを含む請求項4又は5に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項7】
前記複数の薬剤が前記一方の面とは反対の面から撮影された第2の画像を取得する第2の画像取得工程と、
前記第2の画像から各薬剤の領域をそれぞれ切り出した複数の第2の切出画像を取得する第2の切り出し工程と、
を備え、
前記切出画像表示工程は、前記第1の切出画像のリスト表示に代えて、前記複数の第2の切出画像をそれぞれ指定可能に一定の順序で前記ディスプレイの前記第1の領域にリスト表示する請求項1から6のいずれか1項に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項8】
前記複数の第2の切出画像のうち、前記第1の切出画像で正解薬剤が確定された薬剤であることが前記第2の切出画像から確認できる第2の切出画像について、前記第2の切出画像を前記第1の切出画像に対応させる対応工程を備え、
前記切出画像表示工程は、前記第1の切出画像に対応する前記第2の切出画像と前記第1の切出画像に対応する前記正解薬剤の情報とを関連付けて表示する請求項7に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項9】
前記対応工程は、前記薬剤の前記反対の面の印刷又は刻印、前記薬剤の色、及び前記薬剤の形状の少なくとも1つに基づいて前記第1の切出画像で正解薬剤が確定された薬剤であることを確認する請求項8に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項10】
前記確定工程は、前記第1の切出画像又は前記第2の切出画像と前記正解薬剤の情報とのそれぞれに関連付けられた情報を表示する請求項7から9のいずれか1項に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項11】
前記関連付けられた情報は、前記確定した順番を示すマークを含む請求項10に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項12】
前記切出画像表示工程は、複数の前記第1の切出画像及び前記第2の切出画像の印刷及び刻印を強調して表示する請求項7から11のいずれか1項に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項13】
前記薬剤情報表示工程は、前記第1の領域にリスト表示された前記第1の切出画像又は前記第2の切出画像がスクロールされると、前記スクロールに同期させて前記第2の領域にリスト表示された正解薬剤の情報をスクロールする請求項7から12のいずれか1項に記載の薬剤リスト表示方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の薬剤リスト表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
非一時的かつコンピュータ読取可能な記録媒体であって、請求項14に記載のプログラムが記録された記録媒体。
【請求項16】
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上の前記プロセッサに実行させる命令が記憶される1つ以上のメモリと、
を備え、
前記プロセッサは、
複数の薬剤が一方の面から撮影された第1の画像を取得し、
前記第1の画像から各薬剤が表示された領域をそれぞれ切り出した複数の第1の切出画像を取得し、
前記複数の第1の切出画像をそれぞれ指定可能に一定の順序でディスプレイの第1の領域にリスト表示し、
ユーザによって指定された前記第1の切出画像の正解薬剤を確定し、
前記複数の第1の切出画像に対してそれぞれ確定された複数の正解薬剤の情報を前記ディスプレイの前記第1の領域とは異なる第2の領域にリスト表示し、
それぞれ対応する前記第1の切出画像と前記確定された正解薬剤の情報とを関連付けて表示する、
薬剤識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤リスト表示方法及びプログラム、薬剤リストに係り、特に識別する薬剤と候補となる薬剤とを比較する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の錠剤を撮影した画像から錠剤を識別し、識別された錠剤のうち鑑別する錠剤の画像を解析して候補となる錠剤を抽出し、抽出された候補錠剤を一覧表にして表示する装置が知られている。
【0003】
特許文献1~3には、錠剤画像鑑別ウィンドウの第1の部分に表示された薬剤のうち、鑑別がまだ完了していない薬剤が選択されると、選択された薬剤が第2の部分に拡大表示され、選択された薬剤の候補薬が第3の部分にリスト表示される装置が記載されている。
【0004】
特許文献4には、撮影された薬剤の画像に基づいて薬剤の識別情報を認識する際に、画像中に異常がある場合に、画像中の異常がある部分を識別する識別マークを画像に重ね合わせて表示する装置が記載されている。
【0005】
特許文献5には、持参薬の鑑別処理において、必要事項を入力して検索ボタンを操作すると、薬剤に関するデータベースを検索して検索結果である薬剤の一覧を薬品検索結果欄に表示する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-011122号公報
【文献】特開2019-076787号公報
【文献】国際公開WO2017/183533号公報
【文献】特開2017-158743号公報
【文献】特開2013-137775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
錠剤には、錠剤を特定できる刻印及び印刷の情報が錠剤の一方の面のみに付与され、他方の面には付与されていない場合がある。このような錠剤を含む複数の錠剤を特定する際には、特定できる薬剤と特定できない薬剤とが混在し、どの薬剤を特定したのかわかりにくいという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、撮影した薬剤と確定した薬剤とを対比可能に表示する薬剤リスト表示方法及びプログラム、薬剤リストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための薬剤リスト表示方法の一の態様は、複数の薬剤が一方の面から撮影された第1の画像を取得する第1の画像取得工程と、第1の画像から各薬剤が表示された領域をそれぞれ切り出した複数の第1の切出画像を取得する第1の切り出し工程と、複数の第1の切出画像をそれぞれ指定可能に一定の順序でディスプレイの第1の領域にリスト表示する切出画像表示工程と、ユーザによって指定された第1の切出画像の正解薬剤を確定する確定工程と、複数の第1の切出画像に対してそれぞれ確定された複数の正解薬剤の情報をディスプレイの第1の領域とは異なる第2の領域にリスト表示する薬剤情報表示工程であって、それぞれ対応する第1の切出画像と確定された正解薬剤の情報とを関連付けて表示する薬剤情報表示工程と、を備える薬剤リスト表示方法である。
【0010】
本態様によれば、第1の領域に第1の切出画像をリスト表示し、複数の正解薬剤の情報をそれぞれ対応する第1の切出画像と関連付けて第2の領域にリスト表示するようにしたので、撮影した薬剤と確定した薬剤とを対比可能に表示することができる。
【0011】
一定の順序は、複数の第1の切出画像のうち、正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されている第1の切出画像の序列が上位であり、正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されていない第1の切出画像の序列が下位であることが好ましい。これにより、確定させやすい薬剤の序列を上位に、確定させにくい薬剤の序列を下位にしてリスト表示することができる。
【0012】
正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されている第1の切出画像のうち、情報の確定に寄与する度合いが相対的に大きい第1の切出画像ほど序列が上位であることが好ましい。これにより、確定させやすい薬剤ほど序列を上位にしてリスト表示することができる。
【0013】
指定された第1の切出画像の正解薬剤を確定するための複数の候補薬剤の情報を表示する候補情報表示工程を備え、確定工程は、複数の候補薬剤のうちユーザに選択された候補薬剤を指定された第1の切出画像の正解薬剤として確定することが好ましい。これにより、複数の候補薬剤の中から正解薬剤を確定することができる。
【0014】
候補情報表示工程は、複数の候補薬剤の情報をディスプレイの第1の領域及び第2の領域の間の第3の領域に表示することが好ましい。これにより、候補薬剤の情報をユーザが視認しやすい位置にリスト表示することができる。
【0015】
複数の候補薬剤の情報は、薬剤の名称、薬剤のマスタ画像、及び薬剤のPTP(Press Through Package)シートの画像のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、正解薬剤を適切に確定することができる。
【0016】
複数の薬剤が一方の面とは反対の面から撮影された第2の画像を取得する第2の画像取得工程と、第2の画像から各薬剤の領域をそれぞれ切り出した複数の第2の切出画像を取得する第2の切り出し工程と、を備え、切出画像表示工程は、第1の切出画像のリスト表示に代えて、複数の第2の切出画像をそれぞれ指定可能に一定の順序でディスプレイの第1の領域にリスト表示することが好ましい。これにより、反対の面から撮影した薬剤と確定した薬剤とを対比可能に表示することができる。
【0017】
複数の第2の切出画像のうち、第1の切出画像で正解薬剤が確定された薬剤であることが第2の切出画像から確認できる第2の切出画像について、第2の切出画像を第1の切出画像に対応させる対応工程を備え、切出画像表示工程は、第1の切出画像に対応する第2の切出画像と第1の切出画像に対応する正解薬剤の情報とを関連付けて表示することが好ましい。これにより、撮影した薬剤と確定した薬剤との関連をユーザが認識することができる。
【0018】
対応工程は、薬剤の反対の面の印刷又は刻印、薬剤の色、及び薬剤の形状の少なくとも1つに基づいて第1の切出画像で正解薬剤が確定された薬剤であることを確認することが好ましい。これにより、第1の切出画像で正解薬剤が確定された薬剤であることを適切に確認することができる。
【0019】
確定工程は、第1の切出画像又は第2の切出画像と正解薬剤の情報とのそれぞれに関連付けられた情報を表示することが好ましい。これにより、第1の切出画像又は第2の切出画像と正解薬剤の情報との関連をユーザが認識することができる。
【0020】
関連付けられた情報は、確定した順番を示すマークを含むことが好ましい。これにより、確定した順番及び薬剤数等をユーザが認識することができる。
【0021】
切出画像表示工程は、複数の第1の切出画像及び第2の切出画像の印刷及び刻印を強調して表示することが好ましい。これにより、複数の薬剤をユーザが認識しやすくリスト表示することができる。
【0022】
薬剤情報表示工程は、第1の領域にリスト表示された第1の切出画像又は第2の切出画像がスクロールされると、スクロールに同期させて第2の領域にリスト表示された正解薬剤の情報をスクロールすることが好ましい。これにより、切出画像と正解薬剤の情報とを常に対応させてリスト表示することができる。
【0023】
上記に記載の薬剤リスト表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムも本態様に含まれる。このプログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体も本態様に含んでよい。本態様によれば、第1の領域に第1の切出画像をリスト表示し、複数の正解薬剤の情報をそれぞれ対応する第1の切出画像と関連付けて第2の領域にリスト表示するようにしたので、撮影した薬剤と確定した薬剤とを対比可能に表示することができる。
【0024】
上記目的を達成するための薬剤リストの一の態様は、ディスプレイに表示される薬剤リストであって、複数の薬剤が一方の面から撮影された第1の画像から各薬剤が表示された領域が切り出された複数の第1の切出画像が一定の順序で第1の領域にリスト表示され、複数の第1の切出画像に対してそれぞれ確定された複数の正解薬剤の情報が第1の領域とは異なる第2の領域にリスト表示され、それぞれ対応する第1の切出画像と確定された正解薬剤の情報とが関連付けられて表示される薬剤リストである。
【0025】
本態様によれば、第1の領域に第1の切出画像をリスト表示し、複数の正解薬剤の情報をそれぞれ対応する第1の切出画像と関連付けて第2の領域にリスト表示するようにしたので、撮影した薬剤と確定した薬剤とを対比可能に表示することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、撮影した薬剤と確定した薬剤とを対比可能に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、薬剤識別システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、撮影装置の概略構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、撮影装置の概略構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は、薬剤識別方法の工程を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図7】
図7は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図8】
図8は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図9】
図9は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図10】
図10は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図11】
図11は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図12】
図12は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図13】
図13は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図14】
図14は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図15】
図15は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図16】
図16は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図17】
図17は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図18】
図18は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図19】
図19は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図20】
図20は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図21】
図21は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【
図22】
図22は、ディスプレイに表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0029】
〔薬剤識別システムの構成〕
薬剤識別システム10は、撮影対象物である薬剤を撮影し、撮影した画像内の薬剤の正解薬剤を確定するシステムである。薬剤識別システム10は、薬剤を鑑別するシステムであってもよいし、薬剤を鑑査するシステムであってもよい。薬剤の鑑別とは、薬剤の外観からその薬剤の種別を特定することを指す。また、薬剤の鑑査とは、薬剤が処方通りに調剤されていることを確認することを指す。ここでは、識別とは鑑別及び鑑査を含む概念である。
【0030】
図1は、薬剤識別システム10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、薬剤識別システム10は、撮影装置12、入力装置20、ディスプレイ22、薬剤情報データベース24、及び薬剤識別装置26を備える。
【0031】
撮影装置12は、カメラ14、及び光源16を備える。カメラ14は、不図示の対物レンズ及び不図示の撮像素子を有するいわゆるデジタルカメラであり、撮影対象物のカラー画像を撮影する。撮像素子は、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(charge coupled device)型の撮像素子である。また、カメラ14は、撮像素子から読み出した画素毎のアナログ信号からデジタルの画像データを生成するデータ処理回路を備える。カメラ14は、静止画を撮影してもよいし、一定のフレームレートの動画を撮影してもよい。
【0032】
光源16は、4つの光源16A、16B、16C、及び16Dを含む。光源16A、16B、16C、及び16Dは、それぞれLED(Light Emitting Diode)光源である。光源16A、16B、16C、及び16Dは、それぞれ異なる方向から撮影対象物に可視光の照明光を照射する。
【0033】
入力装置20は、ユーザが薬剤識別装置26に各種の情報及び所望の指示を入力するための入力インターフェースである。入力装置20は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボード等の入力デバイスを含む。
【0034】
ディスプレイ22は、画像データ等の情報をユーザに視認させるための表示装置である。ディスプレイ22は、入力装置20での操作に必要な画面を表示し、GUI(Graphical User Interface)を実現する部分として機能する。また、ディスプレイ22は、薬剤の認識結果等を表示する。入力装置20とディスプレイ22とを一体化したタッチパネルディスプレイを適用してもよい。
【0035】
薬剤情報データベース24は、大容量ストレージ装置によって構成されるデータベースである。薬剤情報データベース24は、薬剤毎の詳細情報である薬剤情報を管理する。薬剤情報は、GS1コード、薬剤の名称、薬剤のマスタ画像、及び薬剤のPTP(Press Through Package)シートの画像を含む。
【0036】
薬剤識別装置26は、例えば汎用のコンピュータによって構成される。薬剤識別装置26は、撮影装置12から画像データを取得する。薬剤識別装置26は、入力装置20からユーザが入力した指示等を取得する。また、薬剤識別装置26は、画像データ等の情報をディスプレイ22に表示させる。さらに、薬剤識別装置26は、薬剤情報データベース24から所望の薬剤情報を取得する。
【0037】
薬剤識別装置26は、プロセッサ28、及びメモリ30を備える。プロセッサ28は、メモリ30に記憶された命令を実行する。
【0038】
プロセッサ28のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の機能部として作用する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、画像処理に特化したプロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるPLD(Programmable Logic Device)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0039】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、又はCPUとFPGAの組み合わせ、あるいはCPUとGPUの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の機能部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の機能部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント又はサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の機能部として作用させる形態がある。第2に、SoC(System On Chip)等に代表されるように、複数の機能部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の機能部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0040】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0041】
メモリ30は、プロセッサ28に実行させるための命令を記憶する。メモリ30は、不図示のRAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。プロセッサ28は、RAMを作業領域とし、ROMに記憶された薬剤識別プログラムを含む各種のプログラム及びパラメータを使用してソフトウェアを実行し、かつROM等に記憶されたパラメータを使用することで、薬剤識別装置26の各種の処理を実行する。
【0042】
〔撮影装置の構成〕
撮影装置12により撮影される撮影対象物は、例えば服用1回分の複数の薬剤である。複数の薬剤は、薬包に入っていてもよいし、薬包に入っていなくてもよい。
【0043】
図2は、複数の薬剤が一包化された3つの薬包を示す平面図である。
図2に示す各薬包TPには、一例としてそれぞれ6個の薬剤Tが分包されている。各薬包TPは、帯状に連結されており、各薬包TPを切り離し可能にする切取線が入っている。ここでは、撮影装置12は、薬包TP毎に薬剤Tを撮影する。
【0044】
図3は、撮影装置12の概略構成を示す平面図である。また、
図4は、撮影装置12の概略構成を示す側面図である。撮影装置12は、薬包TPを載置するためのステージ18を備える。ステージ18は、平坦な載置面18Aを水平面(XY平面)と平行にして不図示の支持部材により支持される。薬包TPは、ステージ18の載置面18Aの上に載置される。
【0045】
カメラ14は、ステージ18の載置面18Aの中心から+Z方向に一定量離れた位置に、光軸を載置面18Aに向けて不図示の支持部材により支持される。
【0046】
光源16A、16B、16C、及び16Dは、それぞれステージ18から+Z方向に一定量離れた位置に、不図示の支持部材により支持される。光源16Aは、ステージ18の中心から-X方向に一定量離れた位置に配置される。光源16Bは、ステージ18の中心から+Y方向に一定量離れた位置に配置される。光源16Cは、ステージ18の中心から+X方向に一定量離れた位置に配置される。光源16Dは、ステージ18の中心から-Y方向に一定量離れた位置に配置される。
【0047】
光源16A、16B、16C、及び16Dは、それぞれ+Z方向に対して傾斜した方向からステージ18に向かって照明光を照射する。光源16A、16B、16C、及び16Dの発光は、薬剤識別装置26により個別に制御される。
【0048】
撮影は、次のように行われる。まず、撮影装置12は、カメラ14によって薬包TPの第1面を撮影する。撮影装置12は、光源16A、16B、16C、及び16Dを順次発光させ、光源16Aのみが発光している状態の画像、光源16Bのみが発光している状態の画像、光源16Cのみが発光している状態の画像、及び光源16Dのみが発光している状態の画像の撮影をカメラ14において行う。続いて、撮影装置12は、光源16A、16B、16C、及び16Dを同時に発光させた状態の画像の撮影をカメラ14により行う。
【0049】
次に、撮影装置12は、カメラ14によって薬包TPの第1面とは反対面である第2面を撮影する。このために、ユーザは、薬包TPの表裏を反転させて、薬包TPを再びステージ18の載置面18Aに載置する。表裏の反転は、不図示の自動反転機構によって行ってもよい。カメラ14による撮影は、第1面の場合と同様である。
【0050】
光源16A、16B、16C、及び16Dを順次発光させて撮影される4枚の画像は、それぞれ照明方向が異なっている。このため、薬剤Tの表面に刻印(凹凸)がある場合に刻印による影の出方が異なるものとなる。これらの4枚の撮影画像は、薬剤の表面の刻印を強調した刻印画像を生成するために使用される。4枚の撮影画像は、薬剤の表面の印刷を強調した画像を生成するために使用されてもよい。
【0051】
なお、刻印とは、薬剤Tの表面の陥没領域である溝であり、薬剤Tの識別情報を示している。溝は、表面を掘って形成されたものに限定されず、表面を押圧することで形成されたものであってもよい。また、刻印は、割線等の識別機能を伴わないものも含んでもよい。
【0052】
光源16A、16B、16C、及び16Dを同時に発光させて撮影される1枚の画像は、輝度ムラのない画像である。このため、薬剤Tの表面の画像(薬剤画像)を切り出す場合に使用され、刻印画像が重畳される。
【0053】
なお、1つの薬包TPに対する撮影の順番、撮影枚数は上記の例に限定されない。また、撮影は暗室の状態で行われ、撮影の際に薬包TPに照射される光は、光源16からの照明光のみである。したがって、上記のようにして撮影される撮影画像は、背景は黒であり、各薬剤Tの領域は薬剤Tの色である。
【0054】
〔薬剤識別方法〕
薬剤識別システム10を用いた薬剤識別方法について説明する。薬剤識別方法は、プロセッサ28がメモリ30に記憶された薬剤識別プログラムを実行することで実現される。薬剤識別プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体によって提供されてもよい。この場合、薬剤識別装置26は、非一時的記憶媒体から薬剤識別プログラムを読み取り、メモリ30に記憶させてもよい。
【0055】
図5は、薬剤識別方法の工程を示すフローチャートである。また、
図6~
図22は、ディスプレイ22に表示される画面の一例である。ここでは、複数の薬剤Tを含む薬包TPについて撮影を行い、複数の薬剤Tの識別を行う例を説明する。
【0056】
図6は、薬剤識別方法を開始した時点におけるディスプレイ22の画面SC1を示す図である。
図6に示すように、薬剤識別装置26は、画面SC1の上部左側を第1の領域A1、上部右側を第2の領域A2として分割している。また、薬剤識別装置26は、第1の領域A1の下部にボタンB1を配置している。ボタンB1は、薬包TPの撮影を開始するためのボタンである。
【0057】
ユーザは、撮影する薬包TPを、薬包TPの第1の面を+Z方向に向けてステージ18の載置面18Aに載置する。その後、ユーザが入力装置20を用いてボタンB1を操作すると、薬剤識別装置26は、カメラ14によって薬剤Tを含む薬包TPを撮影し、薬包TPが第1の面(一方の面の一例)から撮影された第1の画像を取得する(ステップS1:第1の画像取得工程の一例)。
【0058】
ここでは、カメラ14は、薬剤識別装置26の制御に従って、光源16A、16B、16C、及び16Dを順次発光させて4枚の画像を撮影し、かつ光源16A、16B、16C、及び16Dを同時に発光させて1枚の画像を撮影する。薬剤識別装置26は、これらの計5枚の画像を第1の画像として取得する。
【0059】
次に、薬剤識別装置26は、薬剤Tが撮影された画像をディスプレイ22に表示する。ここでは、薬剤識別装置26は、光源16A、16B、16C、及び16Dを同時に発光させて撮影した第1の画像をディスプレイ22の第1の領域A1に表示する。
図7は、この時点におけるディスプレイ22の画面SC2を示す図である。
図7に示すように、画面SC2では、薬剤Tとして7つの錠剤T1~T7及び1つのカプセル剤TCが撮影された第1の画像が、第1の領域A1に表示されている。
【0060】
薬剤識別装置26は、第1の領域A1の下部に、ボタンB1に代えてボタンB2及びボタンB3を配置している。ボタンB2は、薬包TPの撮影を再度実行するためのボタンである。ユーザが入力装置20を用いてボタンB2を操作すると、薬剤識別装置26は、ステップS1の処理に戻る。
【0061】
ボタンB3は、ディスプレイ22に表示された画像から薬剤が表示されている位置を特定するためのボタンである。ユーザが入力装置20を用いてボタンB3を操作すると、薬剤識別装置26は、ディスプレイ22に表示された画像から薬剤Tが表示されている位置を特定する。薬剤Tが表示されている位置は、ディスプレイ22の画面内の座標位置として特定される。また、薬剤識別装置26は、位置を特定した薬剤Tの領域をそれぞれ囲う矩形の枠をディスプレイ22に表示する。さらに、薬剤識別装置26は、ステップS1で撮影された光源16A、16B、16C、及び16Dを順次発光させた4枚の画像から各薬剤Tの刻印画像を生成し、生成した刻印画像を第1の領域に表示された第1の画像の各薬剤Tの領域にそれぞれ重畳させる。薬剤識別装置26は、光源16A、16B、16C、及び16Dを同時に発光させて撮影した画像に基づいて薬剤の印刷部分を強調する処理を行う。
【0062】
図8は、この時点におけるディスプレイ22の画面SC3を示す図である。
図8に示すように、画面SC3では、7つの錠剤T1~T7及びカプセル剤TCに対してそれぞれの領域を囲う矩形の枠Fが表示されている。また、錠剤T1~T7の刻印及びカプセル剤TCの印刷は、強調されて表示されている。
【0063】
また、画面SC3では、第1の領域A1の下部に、ボタンB3に代えてボタンB4が配置される。ボタンB4は、第1の画像に対する正解薬剤の確定を完了するためのボタンである。ボタンB4については後述する。
【0064】
次に、薬剤識別装置26は、第1の画像から各薬剤Tが表示された領域をそれぞれ切り出した複数の第1の切出画像を取得する(ステップS2:第1の切り出し工程の一例)。また、薬剤識別装置26は、複数の第1の切出画像をそれぞれ指定可能に一定の順序でディスプレイの第1の領域A1にリスト表示する(ステップS3:切出画像表示工程の一例)。
【0065】
図9は、ステップS3の工程が終了した時点におけるディスプレイ22の画面SC4を示す図である。
図9に示すように、画面SC4では、第1の領域A1のうちの左側の領域A1Lに、複数の第1の切出画像がディスプレイ22の縦方向に並べられてリストL1にリスト表示されている。ここでは、リストL1は、それぞれ錠剤T1、T2、T3、T4、及びT5の第1の切出画像G1、G2、G3、G4、及びG5が表示されており、錠剤T6、T7及びカプセル剤TCの切出画像は非表示となっている。リストL1は、後述するようにスクロールが可能であり、錠剤T6、T7及びカプセル剤TCの切出画像を表示させることも可能である。
【0066】
画面SC4では、各第1の切出画像の近傍に一定の順序による番号を示すマークが表示される。具体的には、第1の切出画像G1、G2、G3、G4、及びG5に、順に1、2、3、4、及び5の番号を示すマークM1、M2、M3、M4、及びM5が付与されている。
【0067】
この順序の番号は、複数の第1の切出画像のうち、正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されている第1の切出画像の序列が上位であり、正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されていない第1の切出画像の序列が下位であることが好ましい。また、正解薬剤の確定に寄与する情報が表現されている第1の切出画像のうち、正解薬剤の確定に寄与する度合いが相対的に大きい第1の切出画像ほど序列が上位であることが好ましい。画面SC4の例では、序列が上位のものほど番号の値が小さく、ディスプレイ22の上側に配置されている。正解薬剤の確定に寄与する度合は、薬剤識別装置26が複数の第1の切出画像を解析することで抽出することができる。
【0068】
なお、同じ薬剤である可能性が高い薬剤Tの第1の切出画像は、序列が同じとなり、グルーピング(並ぶように)されて表示される。
【0069】
また、画面SC4では、第1の領域A1の下部に、ボタンB2に代えてボタンB5が配置される。ボタンB5は、第1の領域A1に第1の画像の全体を表示させるためのボタンである。ユーザが入力装置20を用いてボタンB5を操作すると、薬剤識別装置26は、ディスプレイ22の表示を画面SC3に戻す。
【0070】
薬剤識別装置26は、ディスプレイ22にリスト表示された第1の切出画像の薬剤のうちユーザから指定された指定薬剤を特定する(ステップS4)。例えば、ユーザは、入力装置20のポインティングデバイスを用いて、リスト表示された第1の切出画像のうちいずれかの第1の切出画像を指定する。薬剤識別装置26は、ポインティングデバイスによって指定された第1の切出画像に基づいて、指定薬剤を特定する。
【0071】
続いて、薬剤識別装置26は、ステップS4において特定された指定薬剤の正解薬剤を確定するための複数の候補薬剤の情報を薬剤情報データベース24から取得する(ステップS5)。薬剤識別装置26は、指定薬剤に対する複数の候補薬剤を、指定薬剤と薬剤情報データベース24に記憶されたマスタ画像とのテンプレートマッチングによって抽出する。薬剤識別装置26は、指定薬剤に対する複数の候補薬剤を、指定薬剤の画像を入力とする薬剤識別AI(Artificial Intelligence)によって抽出してもよい。ここでは、薬剤識別装置26は、3つの候補薬剤を抽出し、抽出した3つの候補薬剤の情報を薬剤情報データベース24から取得する。
【0072】
次に、薬剤識別装置26は、指定された第1の切出画像の正解薬剤を確定するための複数の候補薬剤の情報であって、ステップS5において取得された複数の候補薬剤の情報をディスプレイ22の第1の領域A1に表示する(ステップS6:候補情報表示工程の一例)。
【0073】
図10は、ステップS6の工程が終了した時点におけるディスプレイ22の画面SC5を示す図である。画面SC5では、ユーザによって錠剤T1の第1の切出画像G1が選択され、錠剤T1が指定薬剤として特定されている。指定薬剤である錠剤T1の第1の切出画像G1の周囲は、第1の領域A1の他の部分とは異なる色で表示され、第1の切出画像G1の錠剤T1が指定薬剤であることが明示されている。
【0074】
また、画面SC5では、指定薬剤である錠剤T1の複数の候補薬剤の情報が、ディスプレイ22の第1の領域A1のうちの右側の領域A1R(第3の領域の一例)に、リストL1と重ならないように、ディスプレイ22の縦方向に並べられて表示されている。画面SC5の例では、候補薬剤の情報として、候補薬剤C1、C2、及びC3の情報が含まれている。
【0075】
複数の候補の情報は、薬剤の名称、薬剤のマスタ画像、及び薬剤のPTPシートの画像のうちの少なくとも1つを含む。薬剤のマスタ画像は、表側の画像及び裏側の画像を含むことが好ましい。
【0076】
この画面SC5において、ユーザは、入力装置20のポインティングデバイスを用いて3つの候補薬剤C1、C2、及びC3の情報のうちの1つを選択することができる。薬剤識別装置26は、複数の候補薬剤のうちユーザから選択された候補薬剤を指定薬剤の正解薬剤として確定する(ステップS7:確定工程)。また、薬剤識別装置26は、複数の第1の切出画像に対してそれぞれ確定された複数の正解薬剤の情報をディスプレイの第1の領域A1とは異なる第2の領域A2にリスト表示する(ステップS8:薬剤情報表示工程の一例)。ここで、薬剤識別装置26は、それぞれ対応する第1の切出画像と確定された正解薬剤の情報とを関連付けて表示する。また、薬剤識別装置26は、第1の切出画像と正解薬剤の情報とのそれぞれに関連付けられた情報を表示する(確定工程の一例)。
【0077】
図11は、この時点におけるディスプレイ22の画面SC6を示す図である。
図11に示すように、画面SC6では、ユーザに選択された候補薬剤C1の薬剤名の領域の色が変更され、候補薬剤C1が選択された薬剤であることが明示されている。
【0078】
画面SC6では、ディスプレイ22の第2の領域A2に、ユーザに選択された候補薬剤C1が正解薬剤D1としてリストL2にリスト表示されている。正解薬剤D1の情報は、薬剤の名称、薬剤のマスタ画像、及び薬剤のPTPシートの画像のうちの少なくとも1つを含む。薬剤のマスタ画像は、表側の画像及び裏側の画像を含むことが好ましい。ここでは、正解薬剤D1の情報として、さらに錠数を表示している。したがって、ユーザに正解薬剤の薬剤数を認識させることができる。
【0079】
また、画面SC6では、錠剤T1の第1の切出画像G1と錠剤T1の正解薬剤である正解薬剤D1の情報とが、それぞれディスプレイ22の第1の領域A1のうちの左側の領域A1Lと第2の領域A2の縦方向の同じ位置に配置されることで、横方向に並べられて配置される(関連付けて表示の一例)。さらに、画面SC6では、正解薬剤D1の情報には、第1の切出画像G1のマークM1の番号と同じ番号を示すマークN1(関連付けられた情報の一例)が表示される。これにより、第1の切出画像と正解薬剤の情報とを対比可能に表示することができる。ここで、第1の切出画像G1と正解薬剤D1の情報とが関連付けて表示されるとは、第1の切出画像G1と正解薬剤D1の情報とが正確に並べられて配置されることに限定されず、関連付けされていることがユーザに認識できれば第1の切出画像G1と正解薬剤D1の情報とが多少ずれて配置されてもよいし、第1の切出画像G1と正解薬剤D1の情報とが離れて配置されてもよい。
【0080】
その後、ユーザが入力装置20を用いてボタンB4を操作すると、薬剤識別装置26は、第1の画像に対する正解薬剤の確定を完了し、ステップS9の工程へ移行する。
【0081】
なお、ユーザが錠剤T1以外の薬剤Tについて正解薬剤を確定させる場合は、ステップS4~S8の工程を再度実行すればよい。
【0082】
図12は、画面SC6が表示された状態からユーザによって錠剤T2の第1の切出画像G2が選択され、錠剤T2が2つ目の指定薬剤として特定された時点におけるディスプレイ22の画面SC7を示す図である。
図12に示すように、画面SC7では、指定薬剤として特定された錠剤T2の第1の切出画像G2の周囲は、第1の領域A1の他の部分とは異なる色で表示されている。また、画面SC7では、錠剤T2に対する候補薬剤の情報が第1の領域A1のうちの右側の領域A1Rに表示されている。候補薬剤の情報には、候補薬剤C4、C5、及びC6の情報が含まれている。
【0083】
図13は、画面SC7が表示された状態からユーザが候補薬剤C5を選択した時点におけるディスプレイ22の画面SC8を示す図である。
図13に示すように、画面SC8では、ユーザに選択された候補薬剤C5の薬剤名の領域の色が変更されている。
【0084】
画面SC8では、ディスプレイ22の第2の領域A2に、ユーザに選択された候補薬剤C5が錠剤T2の正解薬剤D2としてリストL2にリスト表示されている。また、画面SC8では、錠剤T2の第1の切出画像G2と錠剤T2の正解薬剤である正解薬剤D2の情報とが、ディスプレイ22の横方向に並べられて配置される。さらに、画面SC8では、正解薬剤D2の情報には、第1の切出画像G2のマークM2の番号と同じ番号を示すマークN2が表示されている。
【0085】
図14は、ユーザが錠剤T3及びT4の正解薬剤を確定させ、さらに錠剤T5を指定薬剤とし、候補薬剤C7、C8、及びC9の中から候補薬剤C8を選択した時点におけるディスプレイ22の画面SC9を示す図である。画面SC9では、リストL2に錠剤T1~T5の正解薬剤D1~D5がディスプレイ22の縦方向に並べられてリスト表示されている。また、画面SC9では、それぞれ対応するリストL1の第1の切出画像G1~G5とリストL2の正解薬剤D1~D5の情報とは、横方向に並べられて配置される。このように表示されたリストL1とリストL2とは、薬剤リストを構成する。薬剤リストによれば、薬剤の切出画像と確定した薬剤の情報とを対比可能に表示することができる。
【0086】
図15は、画面SC9が表示された状態でユーザが入力装置20を用いてリストL1をディスプレイ22の上方向にスクロールさせた時点におけるディスプレイ22の画面SC10を示す図である。画面SC10では、リストL1がスクロールされて、第1の切出画像G1~G3が第1の領域A1から隠れ、第1の切出画像G4、G5、G6、G7、及びG8が表示された状態である。ここで、リストL1のスクロールに同期してリストL2も同じ量だけスクロールされる。したがって、リストL2の正解薬剤D1~D3が第2の領域A2から隠れている。これにより、それぞれ対応する第1の切出画像G4及びG5と正解薬剤D4及びD5の情報とは、横方向に並べられて配置される。したがって、第1の切出画像と正解薬剤の情報とを対比可能に表示することができる。
【0087】
ここでは、リストL1をスクロールさせる例を説明したが、リストL2をスクロールさせた場合も、リストL2のスクロールに同期してリストL1が同じ量だけスクロールされる。したがって、それぞれ対応する第1の切出画像G4及びG5と正解薬剤D4及びD5の情報とは、横方向に並べられて配置される。
【0088】
図16は、第1の画像に対する正解薬剤の特定を終了した時点(ボタンB4を操作した時点)におけるディスプレイ22の画面SC11を示す図である。画面SC11では、第1の領域A1の下部にボタンB1が配置される。また、第2の領域A2には、リストL2が表示されている。
【0089】
ユーザは、ステージ18の載置面18Aに載置された薬包TPの表裏を反転させ、薬包TPの第1の面とは反対の第2の面を+Z方向に向けて再び載置面18Aに載置する。その後、ユーザが入力装置20を用いてボタンB1を操作すると、薬剤識別装置26は、カメラ14によって薬剤Tを含む薬包TPを撮影し、薬包TPが第2の面(反対の面の一例)から撮影された第2の画像を取得する(ステップS9:第2の画像取得工程の一例)。ここでは、カメラ14は、薬剤識別装置26の制御に従って、光源16A、16B、16C、及び16Dを順次発光させて4枚の画像を撮影し、かつ光源16A、16B、16C、及び16Dを同時に発光させて1枚の画像を撮影する。薬剤識別装置26は、これらの計5枚の画像を第2の画像として取得する。
【0090】
次に、薬剤識別装置26は、薬剤Tが撮影された第2の画像をディスプレイ22に表示する。ここでは、薬剤識別装置26は、光源16A、16B、16C、及び16Dを同時に発光させて撮影した第2の画像をディスプレイ22の第1の領域A1に表示する。
図17は、この時点でのディスプレイ22の画面SC12を示す図である。
図17に示すように、画面SC12では、7つの錠剤T1~T7及び1つのカプセル剤TCが撮影された第2の画像が、第1の領域A1に表示されている。
【0091】
薬剤識別装置26は、第1の領域A1の下部に、ボタンB1に代えてボタンB2及びボタンB3を配置している。ユーザが入力装置20を用いてボタンB3を操作すると、薬剤識別装置26は、ディスプレイ22に表示された画像から薬剤Tが表示されている位置を特定する。また、薬剤識別装置26は、位置を特定した薬剤Tの領域をそれぞれ囲う矩形の枠Fをディスプレイ22に表示する。さらに、薬剤識別装置26は、ステップS9で撮影された光源16A、16B、16C、及び16Dを順次発光させた4枚の画像から各薬剤Tの刻印画像を生成し、生成した刻印画像を第1の領域に表示された第2の画像の各薬剤Tの領域にそれぞれ重畳させる。
【0092】
図18は、この時点におけるディスプレイ22の画面SC13を示す図である。
図18に示すように、画面SC13では、7つの錠剤T1~T7及びカプセル剤TCに対してそれぞれの領域を囲う矩形の枠Fが表示されている。また、錠剤T1~T7の刻印は、強調されて表示されている。
【0093】
次に、薬剤識別装置26は、第2の画像から各薬剤が表示された領域をそれぞれ切り出した複数の第2の切出画像を取得する(ステップS10:第2の切り出し工程の一例)。また、薬剤識別装置26は、複数の第2の切出画像のうち、第1の切出画像で正解薬剤が確定された薬剤であることが第2の切出画像から確認できる第2の切出画像について、第2の切出画像を第1の切出画像に対応させる(ステップS11:対応工程の一例)。ここで、薬剤識別装置26は、薬剤の第2の面の印刷又は刻印、薬剤の色、及び薬剤の形状の少なくとも1つに基づいて第1の切出画像で正解薬剤が確定された薬剤であることを確認する。
【0094】
また、薬剤識別装置26は、第1の切出画像のリスト表示に代えて、複数の第2の切出画像をそれぞれ指定可能に一定の順序でディスプレイ22の第1の領域A1にリスト表示する(ステップS12:切出画像表示工程の一例)。
【0095】
図19は、ステップS12の工程が終了した時点におけるディスプレイ22の画面SC14を示す図である。
図19に示すように、画面SC14では、第1の領域A1のうちの左側の領域A1Lには複数の第2の切出画像がディスプレイ22の縦方向に並べられてリストL3にリスト表示されている。ここでは、各第2の切出画像はリストL2の正解薬剤の情報と対応付けられており、リストL3には、それぞれ錠剤T1、T2、T3、T4、及びT5の第2の切出画像であるG11、G12、G13、G14、及びG15が表示されている。
【0096】
画面SC14では、それぞれ対応するリストL3の第2の切出画像とリストL2の正解薬剤の情報とは、ディスプレイ22の横方向に並べられて配置される。また、画面SC14では、各第2の切出画像の近傍に一定の順序による番号を示すマークが表示される。具体的には、第2の切出画像G11、G12、G13、G14、及びG15に、順に1、2、3、4、及び5の番号を示すマークM11、M12、M13、M14、及びM15が付与されている。
【0097】
さらに、薬剤識別装置26は、ディスプレイ22にリスト表示された第2の切出画像の薬剤のうちユーザから指定された指定薬剤を特定する(ステップS13)。例えば、ユーザは、入力装置20のポインティングデバイスを用いて、リスト表示された第2の切出画像のうちいずれかの第2の切出画像を指定する。薬剤識別装置26は、ポインティングデバイスによって指定された第2の切出画像に基づいて、指定薬剤を特定する。
【0098】
続いて、薬剤識別装置26は、ステップS13において特定された指定薬剤の正解薬剤を確定するための複数の候補薬剤の情報を薬剤情報データベース24から取得する(ステップS14)。ここでは、薬剤識別装置26は、3つの候補薬剤を抽出し、抽出した3つの候補薬剤の情報を薬剤情報データベース24から取得する。
【0099】
次に、薬剤識別装置26は、特定された指定薬剤の正解薬剤を確定するための複数の候補薬剤の情報であって、ステップS14において取得された複数の候補薬剤の情報をディスプレイ22の第1の領域A1に表示する(ステップS15:候補情報表示工程の一例)。
【0100】
図20は、ステップS15の工程が終了した時点におけるディスプレイ22の画面SC15を示す図である。画面SC15では、ユーザによって錠剤T1の第2の切出画像G11が選択され、錠剤T1が指定薬剤として特定されている。指定薬剤である錠剤T1の第2の切出画像G11の周囲は、第1の領域A1の他の部分とは異なる色で表示されており、錠剤T1が指定薬剤であることが明示されている。
【0101】
さらに、画面SC15では、指定薬剤である錠剤T1の複数の候補薬剤の情報が、ディスプレイ22の第1の領域A1のうちの右側の領域A1Rに、リストL3と重ならないように表示されている。画面SC15の例では、候補薬剤の情報として、候補薬剤C1、C2、及びC3の情報が含まれている。
【0102】
この画面SC15において、ユーザは、入力装置20のポインティングデバイスを用いて3つの候補薬剤C1、C2、及びC3の情報のうちの1つを選択することができる。なお、錠剤T1は第1の面の撮影画像から正解薬剤が特定されているので、ユーザは必要が無ければ候補薬剤を選択しなくてもよい。
【0103】
図21は、画面SC15が表示された状態でユーザが入力装置20を用いてリストL3をディスプレイ22の上方向にスクロールさせた時点におけるディスプレイ22の画面SC16を示す図である。画面SC16では、リストL3がスクロールされて、第2の切出画像G11、G12、及びG13が第1の領域A1から隠れ、第2の切出画像G14、G15、G16、G17、及びG18が表示された状態である。ここで、リストL3のスクロールに同期してリストL2も同じ量だけスクロールされる。これにより、それぞれ対応する第2の切出画像G15と正解薬剤D5の情報とは、ディスプレイ22の横方向に並べられて配置される。これにより、第2の切出画像と正解薬剤の情報とを対比可能に表示することができる。
【0104】
また、画面SC16では、ユーザによって錠剤T6の第2の切出画像G16が選択され、錠剤T6が指定薬剤として特定されている。指定薬剤である錠剤T6の第2の切出画像G16の周囲は、第1の領域A1の他の部分とは異なる色で表示され、錠剤T6が指定薬剤であることが明示されている。
【0105】
さらに、画面SC16では、指定薬剤である錠剤T6の複数の候補薬剤の情報が、ディスプレイ22の第1の領域A1のうちの右側の領域A1Rに、リストL3と重ならないように表示されている。画面SC16の例では、候補薬剤の情報として、候補薬剤C10、C11、及びC12の情報が含まれている。この画面SC16において、ユーザは、入力装置20のポインティングデバイスを用いて3つの候補薬剤C10、C11、及びC12の情報のうちの1つを選択することができる。
【0106】
薬剤識別装置26は、複数の候補薬剤のうちユーザから選択された候補薬剤を指定薬剤の正解薬剤として確定する(ステップS16:確定工程)。また、薬剤識別装置26は、複数の第2の切出画像に対してそれぞれ確定された複数の正解薬剤の情報をディスプレイ22の第2の領域A2にリスト表示する(ステップS17:薬剤情報表示工程の一例)。ここで、薬剤識別装置26は、それぞれ対応する第2の切出画像と確定された正解薬剤の情報とを関連付けて表示する。薬剤識別装置26は、第2の切出画像と正解薬剤の情報とのそれぞれに関連付けられた情報を表示する(確定工程の一例)。
【0107】
図22は、ステップS17の工程が終了した時点におけるディスプレイ22の画面SC17を示す図である。
図22に示すように、画面SC17では、ユーザに選択された候補薬剤C10の薬剤名の領域の色が変更されている。
【0108】
また、画面SC17では、ディスプレイ22の第2の領域A2に、ユーザに選択された候補薬剤C10が正解薬剤D6としてリストL2に表示されている。画面SC17では、指定薬剤である錠剤T6の第2の切出画像G16と、錠剤T6の正解薬剤である正解薬剤D6の情報とが、ディスプレイ22の横方向に並べられて配置される。また、画面SC17では、第2の領域A2の正解薬剤D6に、錠剤T6のマークM16の番号と対応した番号を示すマークN16が表示されている。これにより、第2の切出画像と正解薬剤の情報とを対比可能に表示することができる。
【0109】
その後、ユーザが入力装置20を用いて第1の領域A1の下部に配置されたボタンB5を操作すると、薬剤識別装置26は、第2の画像に対する正解薬剤の確定を完了し、本フローチャートの処理を終了する。
【0110】
なお、薬包TPの表裏を反転させる場合に薬包TPの内部で錠剤Tがひっくり返ってしまうことで、錠剤Tによっては第1の画像及び第2の画像の両方において刻印の無い面が撮影されてしまうこともあり得る。この場合は、再度薬包TPの表裏を反転させて同様の手順を繰り返せばよい。この場合、その他の錠剤Tについては特定が終了しているため、該当する錠剤Tについては容易に特定することが可能となる。
【0111】
薬剤Tを特定できる情報が薬剤Tの一方の面のみに刻印され、他方の面には刻印されていない場合がある。このような薬剤を含む場合、一度撮影して確認できる薬剤Tを特定したのちに、撮影方向を変えて(裏返して)再度撮影して薬剤Tを特定することになる。裏返して撮影した薬剤Tを特定する際に、それぞれの薬剤Tの位置関係がずれてしまうと、1度目の撮影において確定した薬剤Tがどれか、あと何個の薬剤Tを特定すればよいのかが分かりにくくなることがある。
【0112】
本態様によれば、薬包TPの第2の面を撮影した第2の画像から薬剤Tを特定する際に、第1の面を撮影した第1の画像から特定された正解薬剤がリストL2として表示されているため、第1の画像から特定された薬剤Tがどれか、あと何個の薬剤Tを特定すればよいのかをユーザが確認しやすい。
【0113】
なお、薬剤識別方法の各工程のうち、ステップS1~ステップS8の工程が薬剤リスト表示方法を構成する。
【0114】
〔その他〕
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0115】
10…薬剤識別システム
12…撮影装置
14…カメラ
16、16A~16D…光源
18…ステージ
18A…載置面
20…入力装置
22…ディスプレイ
24…薬剤情報データベース
26…薬剤識別装置
28…プロセッサ
30…メモリ
A1…第1の領域
A2…第2の領域
A3…第3の領域
B1~B5…ボタン
C1~C12…候補薬剤
D1~D6…正解薬剤
F…枠
G1~G7…第1の切出画像
G11~G19…第2の切出画像
M1~M7、M11~M19…マーク
N1~N6…マーク
SC1~SC15…画面
T…薬剤
T1~T7…錠剤
TC…カプセル剤
TP…薬包
S1~S17…薬剤識別方法の各工程