(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】液体容器及び液体容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 47/40 20060101AFI20240909BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B65D47/40 200
B65D47/06
(21)【出願番号】P 2021013930
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-051056(JP,U)
【文献】特開2006-240628(JP,A)
【文献】特開2004-001836(JP,A)
【文献】特開2015-137115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/40
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液の収容空間に連なる筒状の口部を備えた容器本体と、前記口部に装着され内容液を外部に吐出するノズル部を有するノズルキャップと、前記ノズル部を閉塞するオーバーキャップとを備えた液体容器であって、
前記ノズルキャップは、
前記口部に装着される装着部と、
該装着部の径方向内側から上方に向けて突出する筒状の前記ノズル部と、
前記装着部と前記ノズル部とを連結する連結部と
を有し、
前記連結部には、前記ノズル部の径方向外側の内容液を前記収容空間内に戻す液回収孔を開閉する液回収弁が設けられ、
前記液回収弁は、前記オーバーキャップを装着したときに開放され、前記オーバーキャップの装着を解除したときに閉塞され
、
前記液回収弁は、前記液回収孔が形成された周方向位置において、前記ノズル部の外周面にヒンジ部を介して連なり径方向外側に延びる弁体を有し、
前記オーバーキャップを装着したとき、前記オーバーキャップの下端部が前記弁体の径方向外側部分を下方に押圧することによって前記液回収孔が開放され、
前記弁体には、該弁体の径方向外側部分から上方に突出する押圧部が設けられていることを特徴とする液体容器。
【請求項2】
前記ノズル部の周壁は、周方向の一部において径方向外側に向かって凹む凹溝を有する、請求項
1に記載の液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体容器及び液体容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗濯用の液体洗剤や柔軟剤等の比較的粘度の高い内容液を収容する容器として、内容液の収容空間を備えた容器本体の口部にノズルを備えたノズルキャップが装着されるとともに、このノズルキャップをオーバーキャップで閉塞した構成の液体容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような液体容器では、計量機能を備えたオーバーキャップに内容液を注いで計量した後に用いることが一般的であるが、内容液を使用した後にノズルをオーバーキャップで閉塞した際にオーバーキャップ内に残っていた内容液がノズルの外側に付着してしまい、次回使用時に利用者の手や容器本体を内容液で汚してしまうことがあったため、この点において改善の余地があった。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、オーバーキャップ内の内容液を容器本体内に容易に戻すことができる液体容器及び液体容器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の液体容器は、
内容液の収容空間に連なる筒状の口部を備えた容器本体と、前記口部に装着され内容液を外部に吐出するノズル部を有するノズルキャップと、前記ノズル部を閉塞するオーバーキャップとを備えた液体容器であって、
前記ノズルキャップは、
前記口部に装着される装着部と、
該装着部の径方向内側から上方に向けて突出する筒状の前記ノズル部と、
前記装着部と前記ノズル部とを連結する連結部と
を有し、
前記連結部には、前記ノズル部の径方向外側の内容液を前記収容空間内に戻す液回収孔を開閉する液回収弁が設けられ、
前記液回収弁は、前記オーバーキャップを装着したときに開放され、前記オーバーキャップの装着を解除したときに閉塞され、
前記液回収弁は、前記液回収孔が形成された周方向位置において、前記ノズル部の外周面にヒンジ部を介して連なり径方向外側に延びる弁体を有し、
前記オーバーキャップを装着したとき、前記オーバーキャップの下端部が前記弁体の径方向外側部分を下方に押圧することによって前記液回収孔が開放され、
前記弁体には、該弁体の径方向外側部分から上方に突出する押圧部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本開示の液体容器は、上記構成において、前記ノズル部の周壁は、周方向の一部において径方向外側に向かって凹む凹溝を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、オーバーキャップ内の内容液を容器本体内に容易に戻すことができる液体容器及び液体容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の第1実施形態である液体容器の正面断面図である。
【
図2】
図1における液回収弁部分の拡大断面図である。
【
図3】本開示の第1実施形態である液体容器における、連結部及びノズル部部分の平面図である。
【
図4】本開示の第1実施形態である液体容器において、オーバーキャップを取り外して液回収孔を閉塞させた状態を示す正面断面図である。
【
図5】
図4の状態から容器本体を倒立させて内容液を吐出している状態を示す断面図である。
【
図6】本開示の第2実施形態である液体容器の正面断面図である。
【
図7】本開示の第2実施形態である液体容器における、連結部及びノズル部部分の平面図である。
【
図8】本開示の第3実施形態である液体容器の正面断面図である。
【
図9】本開示の第3実施形態である液体容器における、連結部及びノズル部部分の平面図である。
【
図10】本開示の第3実施形態である液体容器において、オーバーキャップを取り外して液回収孔を閉塞させた状態を示す正面断面図である。
【
図11】
図10の状態から容器本体を倒立させて内容液を吐出している状態を示す断面図である。
【
図12】本開示の第3実施形態である液体容器の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の第3実施形態である液体容器の製造方法における、径方向内側の螺旋板が径方向外側の螺旋板よりも下方に位置するように付勢するステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示をより詳細に例示説明する。
【0016】
図1に示す本開示の第1実施形態である液体容器100は、例えば洗濯用の液体洗剤や柔軟剤等の比較的粘度の高い内容液を収容する用途に用いられるものであり、容器本体10、ノズルキャップ20及びオーバーキャップ30を有している。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、オーバーキャップ30が位置する側を上方(
図1における上側)とし、容器本体10が位置する側を下方(
図1における下側)とする。また、径方向外側とは、
図1において上下方向に延びる液体容器100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oから離れる方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を指すものとする。なお、
図1における中心軸線Oは、径方向外側、及び径方向内側の定義に用いており、本実施形態の液体容器100の各部材が、常にこの中心軸線O周りに軸対称に形成されていることを意味するものではない。
【0017】
容器本体10は、内側に収容空間Sを備える胴部と、胴部の下端を閉塞する図示しない底部と、収容空間Sに連なる円筒状の口部13とを備えたボトル形状に形成されており、その収容空間Sに内容液(不図示)を収容することができる。この容器本体10としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの合成樹脂製のものを用いることができる。なお、口部13は円筒状に限らず、例えば楕円筒状や角筒状など筒状であれば他の形状に形成することもできる。
【0018】
ノズルキャップ20は、
図1及び
図3に示すように、容器本体10の口部13に装着される外周壁23と、外周壁23の上部に連なる天壁26と、天壁26の径方向内側端から下方に垂下するシール壁26aとを有する装着部21と、装着部21の径方向内側から上方に向けて突出する筒状のノズル部28と、装着部21とノズル部28とを連結する連結部28gとを備えている。本実施形態において、装着部21、連結部28g及びノズル部28は、一体に形成されており、例えば合成樹脂製とすることができる。
【0019】
より具体的に説明すると、装着部21は口部13よりも大径の円筒状の外周壁23を備え、この外周壁23の内周面に一体に設けられた雌ねじ23aが口部13の外周面に一体に設けられた雄ねじ13aにねじ結合することで、装着部21は口部13に装着されている。外周壁23の下端には複数の凹溝23bが設けられ、口部13の根元部分に設けられた係止リブ13bが凹溝23bに係合している。これにより、装着部21は口部13に対して装着状態に保持され、口部13から容易に取り外されないようになっている。
【0020】
図示する場合では、装着部21は口部13にねじ結合によって装着される構成となっているが、これに限らず、例えばアンダーカット等の他の手段により口部13に装着される構成とすることもできる。この場合、口部13の形状に合わせて、外周壁23を例えば楕円筒状や角筒状などの他の形状に形成することもできる。
【0021】
装着部21は外周壁23の上部に連結する天壁26を備えている。天壁26における外周壁23の径方向内側からシール壁26aが垂下しており、このシール壁26aが口部13の内周面に嵌合することで、装着部21は、口部13の上端開口を液密にシールしている。なお、本実施形態では、
図1に示すように、シール壁26aの長さを周方向の2か所において延伸部26cまで下方に延在させることによって、このシール壁26aにおける内容液の表面張力が、内容液を液回収孔28hを通じて容器本体10内に引き込むのに適した大きさになるように設定されている。この延伸部26cの構成によって、後述するようにオーバーキャップ30内に残った内容液を液回収孔28hを通じて容器本体10内に回収する際の液切れを改善することができる。
【0022】
装着部21はさらに被装着筒25を備えている。被装着筒25は外周壁23より小径であるとともに外周壁23と同軸の円筒状に形成されており、天壁26の上面から上方に向けて突出している。被装着筒25の外周面にはオーバーキャップ30を装着するための雄ねじ25aが一体に設けられている。
【0023】
ノズル部28は、周壁28aの周方向4箇所において、中心軸線O方向に沿って周壁28aの上端部から下端部近傍にまで延びる凹溝28bを備えている(
図3参照)。本実施形態において、ノズル部28は、周方向4箇所に等間隔で凹溝28bを備えている。この凹溝28bを設けることによって、後述するように、容器本体10を倒立させて内容液を吐出する際に、ノズル部28内における内容液が流れる領域と対向する凹溝28b内を空気が流れることができるので(
図5において左下方から凹溝28b内に向かう矢印参照)、別途容器本体10などに外気導入孔を設けなくても内容液の吐出をスムーズに行うことができる。
【0024】
連結部28gは、
図3に示すように、ノズル部28と、装着部21(
図3には図示せず)とを連結する部位であり、略円環形状を有している。連結部28gにおける周方向の対向する2箇所には、
図1から
図3に示すように、液回収孔28h及び液回収孔28hを開閉可能に閉塞する液回収弁28dが設けられている。
【0025】
液回収弁28dは、液回収孔28hが設けられている周方向位置において、
図2に拡大図で示すように、ノズル部28の外周面にヒンジ部28cを介して連ねられ、径方向外側に延在する弁体を有している。液回収弁28dにおける径方向外側部分には、
図2に示すように略上方にむけて突出する押圧部28eが設けられている。後述するように、利用者が内容液を用いた後にオーバーキャップ30をノズルキャップ20に装着する過程において、オーバーキャップ30の周壁32の下端部32aが連結部28gよりも先にこの押圧部28eに当接する。オーバーキャップ30の下端部32aは、液回収弁28dを最大で押圧部28eの高さ分だけ押し下げることになる。
【0026】
液回収弁28dの下面には、弁体から垂下する付勢部28fが設けられている。付勢部28fは、
図2に示すように液回収弁28dがオーバーキャップ30の周壁32の下端部32aにより押圧されて液回収孔28hを開放している状態において、ノズル部28の下端部近傍に当接して弾性変形している(
図2に弾性変形前の付勢部28fを二点鎖線で示す)。この弾性変形によって付勢部28fは、液回収弁28dの径方向外側部分を上方に持ち上げる方向に付勢している。オーバーキャップ30による液回収弁28dの押圧が解除されると、ヒンジ部28c自体の復元力とともに付勢部28fからの付勢力によって液回収弁28dが持ち上げられて、液回収孔28hを閉塞させるように作用する。
【0027】
また、本実施形態では、ノズル部28が略円筒形状を有しているため、ヒンジ部28cは平面視で略円弧形状を有している。従って、オーバーキャップ30によって液回収弁28dが押下されると、ヒンジ部28cにおける周方向両端部には、曲げ応力の他に上方への引張応力が作用する。従って、ヒンジ部28cが直線形状である場合と比較して、本実施形態にかかるヒンジ部28cでは、元の形状に戻ろうとするより強い復元力が発生する。このように、液回収弁28dは、オーバーキャップ30による押下が解除されると、ヒンジ部28c自体のより強い復元力及び付勢部28fによる付勢力によって、
図4に示すような径方向外側に向かって略水平方向に延びる状態へと復元する。
【0028】
オーバーキャップ30は、被装着筒25よりも大径の円筒状に形成された装着筒31aと、装着筒31aの上端部に連なり径方向内側に延びる上壁31eと、上壁31eの内周端から略上下方向に延びる周壁32と、周壁32の上端部を閉塞する頂壁32bとを備えている。周壁32及び頂壁32bは、有頂筒状に形成されており、周壁32に例えばリブ状の突起ないし印刷等で表示された計量用の目盛が設けられていてもよい。装着筒31aの内周面には雌ねじ31cが一体に設けられており、この雌ねじ31cを被装着筒25の外周面に形成された雄ねじ25aにねじ結合させることにより、オーバーキャップ30は装着部21に着脱自在に装着されている。装着筒31aの径方向内側における上壁31eの下面からシール壁31fが垂下しており、被装着筒25の内周面に嵌合することで被装着筒25の開口端を液密にシールしている。
【0029】
オーバーキャップ30が装着部21に装着されると、ノズル部28がオーバーキャップ30により覆われ、ノズル部28が閉塞される。一方、オーバーキャップ30が装着部21から取り外されると、ノズル部28が露出し、内容液を注出可能な状態となる。
【0030】
オーバーキャップ30は、平坦な板状に形成された頂壁32bを下側とし、オーバーキャップ30の開口を上側とした姿勢とすることにより、液体を計量する計量カップとして用いることができる。
【0031】
本実施形態において、オーバーキャップ30は、例えば合成樹脂材料により形成することができる。オーバーキャップ30は、例えば透明ないし半透明の樹脂製とすることができ、そのような構成によって、内容液を入れた際に内容液の上面を認識し易く構成することができる。
【0032】
図1に示すノズルキャップ20にオーバーキャップ30が装着された状態から、周壁32を把持して中心軸線O周りに回して装着筒31aと被装着筒25とのねじ結合を解除すると、ノズルキャップ20に対してオーバーキャップ30が上方に移動する。そして、ねじ係合が完全に解除された状態でオーバーキャップ30を上方に引き抜くことで、ノズルキャップ20から取り外すことができる。
【0033】
オーバーキャップ30をノズルキャップ20から取り外すと、
図4に示すように、付勢部28fからの付勢力によって液回収弁28dの径方向外側部分が上方に押し上げられ、シール壁26aの拡幅部26b(
図2参照)近傍まで移動することによって液回収孔28hは閉塞される。
【0034】
オーバーキャップ30をノズルキャップ20から取り外し、ノズル部28のノズル開口28iを露出させた状態で、容器本体10をノズル部28の先端部が上方を向く正立姿勢から容器本体10が上方となる傾斜姿勢とすることにより、収容空間S内の内容液を、ノズル開口28iを通じてノズル部28の先端部から外部に注出することができる。このとき、液回収孔28hは液回収弁28dによって閉塞されているため、内容液が液回収孔28hを通過することなくノズル開口28iのみから外部に吐出することができる。また、ノズル部28には凹溝28bが設けられているので、内容液を吐出する際に、ノズル部28内における内容液が流れる領域と対向する凹溝28b内を空気が流れることができるので(
図5において左下方から凹溝28b内に向かう矢印参照)、別途容器本体10などに外気導入孔を設けなくても内容液の吐出をスムーズに行うことができる。利用者は、吐出した内容液をまずオーバーキャップ30内で計量し、その後、オーバーキャップ30から内容液を注いで目的の用途に使用する。
【0035】
内容液の使用を終了すると、利用者は、容器本体10を
図1に示す正立姿勢へと戻し、再びオーバーキャップ30をノズルキャップ20に装着する。オーバーキャップ30の装着によって、周壁32の下端部32aが再び液回収弁28dの押圧部28eを押下する。これによって、液回収弁28dの径方向外側部分が押し下げられて液回収孔28hが開放される。すなわち、液回収弁28dの押し下げによって、液回収孔28hにおける押圧部28eの周方向両側が開放されるため、オーバーキャップ30の周壁32及び頂壁32bに付着していた内容液が周壁32の内面に沿って下方に流れ落ち、液回収孔28hを通じて容器本体10の収容空間S内に回収される。
【0036】
なお、本実施形態では、ノズルキャップ20に設けた被装着筒25にオーバーキャップ30の装着筒31aを装着させる構成としているが、これに限らず、ノズルキャップ20に被装着筒25を設けることなく、外周壁23の外側にオーバーキャップ30を装着する構成としてもよい。また、オーバーキャップ30を容器本体10に直接装着する構成とすることもできる。
【0037】
以上述べたように、本実施形態では、内容液の収容空間Sに連なる筒状の口部13を備えた容器本体10と、口部13に装着され内容液を外部に吐出するノズル部28を有するノズルキャップ20と、ノズル部28を閉塞するオーバーキャップ30とを備えた液体容器100であって、ノズルキャップ20は、口部13に装着される装着部21と、装着部21の径方向内側から上方に向けて突出する筒状のノズル部28と、装着部21とノズル部28とを連結する連結部28gとを有し、連結部28gには、ノズル部28の径方向外側の内容液を収容空間S内に戻す液回収孔28hを開閉する液回収弁28dが設けられ、液回収弁28dは、オーバーキャップ30を装着したときに開放され、オーバーキャップ30の装着を解除したときに閉塞されるように構成した。このような構成の採用によって、使用後にオーバーキャップ30を装着すると、液回収孔28hが自動的に開放され、オーバーキャップ30内に残っていた内容液を液回収孔28hを通じて容器本体10内に容易に回収することができる。また、オーバーキャップ30を取り外して内容液をノズル部28から外部に注ぐ際には、液回収孔28hが自動的に閉塞されるので、内容液が意図せず液回収孔28hから外部に漏れ出ることがない。
【0038】
特に本実施形態では、ノズル部28が略鉛直方向に延びるように構成し、凹溝28bを周方向4箇所に等間隔で設けたほか、液回収孔28hも周方向2箇所に等間隔で設けているため、ノズルの方向性が無くなり、利用者が容器本体10を持ち替えることなく任意の方向に内容液を吐出することができる。
【0039】
また、本実施形態では、液回収弁28dは、液回収孔28hが形成された周方向位置において、ノズル部28の外周面にヒンジ部28cを介して連なり径方向外側に延びる弁体を有し、オーバーキャップ30を装着したとき、オーバーキャップ30の下端部32aが弁体の径方向外側部分を下方に押圧することによって液回収孔28hが開放されるように構成した。このような構成の採用によって、液回収弁28dをヒンジ部28cを介してノズル部28に一体形成することができるので、液回収孔28hの開閉機構を簡素化することができる。
【0040】
また、本実施形態では、弁体には、弁体の径方向外側部分から上方に突出する押圧部28eが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、オーバーキャップ30を装着したときに、オーバーキャップ30の下端部32aが連結部28gよりも液回収弁28dに先に当接するので、オーバーキャップ30の周壁32の形状を変えることなく、液回収弁28dを選択的に押圧することができる。
【0041】
また、本実施形態では、ノズル部28の周壁28aは、周方向の一部において径方向外側に向かって凹む凹溝28bを有するように構成した。このような構成の採用によって、内容液を吐出する際に、ノズル部28内における内容液が流れる領域と対向する凹溝28b内を空気が流れることができるので、別途容器本体10などに外気導入孔を設けなくても内容液の吐出をスムーズに行うことができる。
【0042】
次に、本開示の第2実施形態である液体容器200について、図面を参照して例示説明する。
【0043】
図6に示す本実施形態にかかる液体容器200は、第1実施形態と同様に、容器本体10、ノズルキャップ20及びオーバーキャップ30を有している。なお、本実施形態にかかる液体容器200は、第1実施形態と比較して、液回収弁28d及び液回収孔28hの構成が異なるほかは、第1実施形態の構成と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点を中心に説明する。
【0044】
本実施形態にかかるノズル部28は略円筒形状を備えており(
図6及び
図7参照)、周方向の対向する2箇所において、ノズル部28の中央高さより下方の高さ位置から周壁28aに沿って下方に延びる、液回収孔28hとしてのノズル孔部28h1を備えている。
【0045】
連結部28gは、
図7に示すように、ノズル部28と、装着部21(
図7には図示せず)とを連結する部位であり、平面視において略円環形状を有している。連結部28gにおける周方向の対向する2箇所には、
図6及び
図7に示すように、連結部28gに沿って径方向に延びる、液回収孔28hとしての連結孔部28h2が設けられている。
【0046】
液回収弁28dは、
図6及び
図7に示すように、液回収孔28h(ノズル孔部28h1及び連結孔部28h2)が設けられている周方向位置において、ノズル孔部28h1の上端部にヒンジ部28cを介して連なりノズル孔部28h1を閉塞するノズル筒部28d1と、ノズル筒部28d1の下端部に連なり連結孔部28h2を閉塞する連結壁部28d2とを有する弁体を備えている。
【0047】
液回収弁28d(連結壁部28d2)における径方向外側部分には、
図6及び
図7に示すように略上方にむけて突出する押圧部28eが設けられている。利用者が内容液を用いた後にオーバーキャップ30をノズルキャップ20に装着する過程において、オーバーキャップ30の周壁32の下端部32aが連結部28gよりも先にこの押圧部28eに当接する。オーバーキャップ30の下端部32aは、液回収弁28dの押圧部28eを所定距離だけ押し下げたところで径方向内側にシフトした押圧部28eの外側に入り込む。
【0048】
オーバーキャップ30の下端部32aが、液回収弁28d(連結壁部28d2)における径方向外側部分を押し下げると、
図6に示すように、正面視で略L字型の液回収弁28d(ノズル筒部28d1及び連結壁部28d2)は、ヒンジ部28c周りに回動し、連結部28gとの間に内容液を通過させる隙間を生じさせるため、液回収孔28h(ノズル孔部28h1及び連結孔部28h2)が開放される。なお、
図6では、押し下げ前の液回収弁28dを二点鎖線、押し下げ後の液回収弁28dを実線で示している。
【0049】
本実施形態では、ノズル部28が略円筒形状を有しているため、ヒンジ部28cは平面視で略円弧形状を有している(
図7参照)。従って、オーバーキャップ30によって液回収弁28d(連結壁部28d2)が押下されると、ヒンジ部28cにおける周方向両端部には、曲げ応力の他に上方への引張応力が作用する。従って、ヒンジ部28cが直線形状である場合と比較して、本実施形態にかかるヒンジ部28cでは、元の形状に戻ろうとするより強い復元力が発生する。このように、液回収弁28dは、オーバーキャップ30による押下が解除されると、ヒンジ部28c自体のより強い復元力によって、
図6に二点鎖線で示すような径方向外側に向かって略水平方向に延びる状態へと復元する。
【0050】
図6に示すノズルキャップ20にオーバーキャップ30が装着された状態から、周壁32を把持して中心軸線O周りに回して装着筒31aと被装着筒25とのねじ結合を解除すると、ノズルキャップ20に対してオーバーキャップ30が上方に移動する。そして、ねじ係合が完全に解除された状態でオーバーキャップ30を上方に引き抜くことで、ノズルキャップ20から取り外すことができる。
【0051】
オーバーキャップ30をノズルキャップ20から取り外すと、
図6に二点鎖線で示すように、ヒンジ部28cの復元力によって液回収弁28dがヒンジ部28c周りに回転して径方向外側部分が上方に押し上げられ、液回収孔28h(ノズル孔部28h1及び連結孔部28h2)は閉塞される。
【0052】
オーバーキャップ30をノズルキャップ20から取り外し、ノズル部28のノズル開口28iを露出させた状態で、容器本体10をノズル部28の先端部が上方を向く正立姿勢から容器本体10が上方となる傾斜姿勢とすることにより、収容空間S内の内容液を、ノズル開口28iを通じてノズル部28の先端部から外部に注出することができる。このとき、液回収孔28hは液回収弁28dによって閉塞されているため、内容液が液回収孔28hを通過することなくノズル開口28iのみから外部に吐出することができる。利用者は、吐出した内容液をまずオーバーキャップ30内で計量し、その後、オーバーキャップ30から内容液を注いで目的の用途に使用する。
【0053】
内容液の使用を終了すると、利用者は、容器本体10を
図6に示す正立姿勢へと戻し、再びオーバーキャップ30をノズルキャップ20に装着する。オーバーキャップ30の装着によって、周壁32の下端部32aが再び液回収弁28d(連結壁部28d2)の押圧部28eを押下する。これによって、液回収弁28dの径方向外側部分が押し下げられて液回収孔28hが開放される。これによって、オーバーキャップ30の周壁32及び頂壁32bに付着していた内容液が周壁32の内面に沿って下方に流れ落ち、液回収孔28hを通じて容器本体10の収容空間S内に回収される。
【0054】
以上述べたように、本実施形態では、液回収孔28hは、ノズル部28の周壁28aに沿って延びるノズル孔部28h1と、連結部28gに沿って径方向に延びる連結孔部28h2とを有し、液回収弁28dは、液回収孔28hが形成された周方向位置において、ノズル孔部28h1の上端部にヒンジ部28cを介して連なりノズル孔部28h1を閉塞するノズル筒部28d1と、ノズル筒部28d1の下端部に連なり連結孔部28h2を閉塞する連結壁部28d2とを有する弁体を備え、オーバーキャップ30を装着したとき、オーバーキャップ30の下端部32aが弁体の径方向外側部分を下方に押圧することによって液回収孔28hが開放されるように構成した。このような構成の採用によって、第1実施形態と比較してヒンジ部28cから液回収弁28dまでの距離を長くとることができるので、所定の内容液が液回収孔28hを通過するのに必要なヒンジ部28cの変形量を小さく抑えることができる。従って、ヒンジ部28cの経年劣化を抑制することができる。
【0055】
次に、本開示の第3実施形態である液体容器300について、図面を参照して例示説明する。
【0056】
図8に示す本実施形態にかかる液体容器300は、第1実施形態と同様に、容器本体10、ノズルキャップ20及びオーバーキャップ30を有している。なお、本実施形態にかかる液体容器300は、第1実施形態と比較して、液回収弁28d及び液回収孔28hの構成が異なるほかは、第1実施形態の構成と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点を中心に説明する。
【0057】
本実施形態にかかるノズル部28は略円筒形状を備えており(
図8及び
図9参照)、液回収弁28dの機能を備える連結部28gは、ノズル部28の周壁28aの下部から、装着部21に向かって径方向外側に螺旋状に延びる螺旋板28d3として形成されている。
【0058】
図8に示すオーバーキャップ30が装着されている状態において、オーバーキャップ30の頂壁32bがノズル部28の上端部を下方に押圧しており、ノズル部28の下部に連なる螺旋板28d3の径方向内周端部も径方向外周端部と比較して下方に変位している。これによって、螺旋板28d3(連結部28g)における径方向に隣接する螺旋板28d3の間に上下方向の隙間h(
図8参照)が生じており、この隙間が液回収孔28hとして機能するため、液回収弁28dは開放されている。
【0059】
本実施形態においても、
図8及び
図9に示すように、ノズル部28の周壁28aには、中心軸線Oに沿って上下方向に延びる凹溝28bが形成されている。なお、凹溝28bの構成及び役割については第1実施形態と同一であるから、ここでの説明は省略する。
【0060】
図8に示すノズルキャップ20にオーバーキャップ30が装着された状態から、周壁32を把持して中心軸線O周りに回して装着筒31aと被装着筒25とのねじ結合を解除すると、ノズルキャップ20に対してオーバーキャップ30が上方に移動する。そして、ねじ係合が完全に解除された状態でオーバーキャップ30を上方に引き抜くことで、ノズルキャップ20から取り外すことができる。
【0061】
オーバーキャップ30をノズルキャップ20から取り外すと、
図10に示すように、螺旋板28d3の復元力によって螺旋板28d3の径方向内側端部が上方に持ち上げられ、径方向に隣接する螺旋板28d3との間の上下方向の隙間は0となる(
図10参照)。また、本実施形態では、径方向に隣接する螺旋板28d3同士は、径方向に僅かにオーバーラップするように構成されているため、隣接する螺旋板28d3同士の隙間はなくなり、液回収弁28dは閉塞される。
【0062】
オーバーキャップ30をノズルキャップ20から取り外し、ノズル部28のノズル開口28iを露出させた状態で、容器本体10をノズル部28の先端部が上方を向く正立姿勢から、
図11に示すように容器本体10が上方となる傾斜姿勢とすることにより、収容空間S内の内容液を、ノズル開口28iを通じてノズル部28の先端部から外部に注出することができる。このとき、液回収孔28hは液回収弁28d(螺旋板28d3)によって閉塞されているため、内容液が液回収孔28hを通過することなくノズル開口28iのみから外部に吐出することができる。利用者は、吐出した内容液をまずオーバーキャップ30内で計量し、その後、内容液をオーバーキャップ30から外部に注いで目的の用途に使用する。
【0063】
内容液の使用を終了すると、利用者は、容器本体10を
図8に示す正立姿勢へと戻し、再びオーバーキャップ30をノズルキャップ20に装着する。オーバーキャップ30の装着によって、オーバーキャップ30の頂壁32bが再び液回収弁28d(螺旋板28d3)の径方向内側端部を押下する。これによって、液回収弁28dの径方向内側端部が押し下げられて
図8のごとく液回収弁28dが開放され、隣接する螺旋板28d3同士の間に液回収孔28hとしての隙間が形成される。これによって、オーバーキャップ30の周壁32及び頂壁32bに付着していた内容液が周壁32の内面に沿って下方に流れ落ち、液回収孔28hを通じて容器本体10の収容空間S内に回収される。
【0064】
次に、本実施形態にかかる液体容器300の製造方法について
図12及び
図13等を用いて説明する。
【0065】
本実施形態にかかる液体容器300を製造するに際しては、まず、ノズル部28と、ノズル部28から径方向外側に向かって下方に延びる螺旋板28d3と、螺旋板28d3の径方向外側端部に連なる装着部21とを一体形成する(
図12のステップS101)。この一体形成品は、径方向に隣接する螺旋板28d3のうち径方向外側の螺旋板28d3の方が径方向内側の螺旋板28d3よりも下方に位置するように形成されている(
図13において二点鎖線で示す螺旋板28d3参照)。この一体形成品の製造は、例えば射出成型や二色成型等によって行うことができる。
【0066】
次に、ステップS101で形成した一体形成品において、径方向に隣接する螺旋板28d3のうち径方向内側の螺旋板28d3が径方向外側の螺旋板28d3よりも下方に位置するように螺旋板28d3の径方向内側端部やノズル部28を下方に付勢する(
図12のステップS103)。上述のように、本実施形態では、径方向に隣接する螺旋板28d3同士は径方向に僅かにオーバーラップするように構成されているため、ステップS103の実施に際しては、径方向内側の螺旋板28d3が径方向外側に隣接する螺旋板28d3を乗り越えるように下方に付勢する必要がある。
【0067】
本実施形態では、上述のように、一体形成品の形成時において径方向に隣接する螺旋板28d3のうち径方向外側の螺旋板28d3の方が径方向内側の螺旋板28d3よりも下方に位置するように形成しておき、その後に径方向内側の螺旋板28d3の方が径方向外側の螺旋板28d3よりも下方に位置するように付勢する。これによって、オーバーキャップ30を取り外した時に螺旋板28d3は一体形成時の形状を復元するように動作するため、螺旋板28d3の復元力を高めて液回収孔28hをより確実に閉塞することができる。
【0068】
以上述べたように、本実施形態では、連結部28gは、ノズル部28の下部から装着部21に向かって径方向外側に螺旋状に延びる螺旋板28d3として形成され、オーバーキャップ30を装着したとき、オーバーキャップ30の頂壁32bがノズル部28の上端部を下方に押圧し、連結部28gにおける径方向に隣接する螺旋板28d3の間に隙間が生じることで液回収弁28dが開放されるように構成した。このような構成の採用によって、液回収弁28dとしての螺旋板28d3をノズル部28に一体形成することができるので、液回収孔28hの開閉機構を簡素化することができる。
【0069】
また、本実施形態は、液体容器300の製造方法であって、ノズル部28と、ノズル部28から径方向外側に向かって下方に延びる螺旋板28d3と、螺旋板28d3に連なる装着部21とを一体形成するステップと、螺旋板28d3において、径方向に隣接する螺旋板28d3のうち径方向内側の螺旋板28d3が径方向外側の螺旋板28d3よりも下方に位置するように付勢するステップとを含むように構成した。このような構成の採用によって、オーバーキャップ30を取り外したときの螺旋板28d3の復元力を高めることができるので、液回収孔28hをより確実に閉塞することができる。
【0070】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0071】
例えば、第1及び第3実施形態において、ノズル部28に凹溝28bを設けるように構成したが、第2実施形態においても凹溝28bを採用するように構成してもよい。また、いずれの実施形態においても、ノズル部28に凹溝28bを設けるように構成してもよい。
【0072】
また、第3実施形態では、径方向に隣接する螺旋板28d3同士が径方向に僅かにオーバーラップするように構成したが、この態様には限定されない。内容液の粘度等によっては、径方向にオーバーラップしない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0073】
10 容器本体
13 口部
13a 雄ねじ
13b 係止リブ
20 ノズルキャップ
21 装着部
23 外周壁
23a 雌ねじ
23b 凹溝
25 被装着筒
25a 雄ねじ
26 天壁
26a シール壁
26b 拡幅部
26c 延伸部
28 ノズル部
28a 周壁
28b 凹溝
28c ヒンジ部
28d 液回収弁
28d1 ノズル筒部
28d2 連結壁部
28e 押圧部
28f 付勢部
28g 連結部
28h 液回収孔
28h1 ノズル孔部
28h2 連結孔部
28i ノズル開口
30 オーバーキャップ
31a 装着筒
31c 雌ねじ
31d 側壁
31e 上壁
31f シール壁
32 周壁
32a 下端部
32b 頂壁
100,200,300 液体容器
O 中心軸線
S 収容空間