特許7551247IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

レーザー照射によって対象物の付着物を除去する下地処理方法および下地処理装置に関し、特に処理対象物である鋼材の表面に付着するヘマタイとマグネタイトの2層構造の酸化被膜の一部を除去する下地処理装置

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

上述の如く、鋼材の塗装や溶接などにおいては、その作業の実施前に当該部位の表面にあるスケール(製造時に生成した鉄酸化物)を除去する必要がある。通常は、鋼材表面に微小な鉄球などをぶつけ、その運動エネルギーによりスケールを除去するショットブラストが用いられるが(小規模な場合はハンディグラインダ)、粉塵、騒音、振動などの環境面に加え、使用したショット球や除去後の廃棄物処分に大きなコストがかかるといった問題がある。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本件発明者等は、レーザーケレン後の表面状態を詳細に観察した結果、鋼材表面の酸化スケールを構成する主要成分の一つであるヘマタイト(Fe2O3)を除去することで、下地処理性能が向上することを突き止めた。

発明の効果[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明では、パルス照射するレーザー光の1パルス当たりのレーザー密度を、レーザー照射距離に基づくパルスレーザー光のスポット径dpと、1パルス当たりの照射位置の移動距離dmに基づいて、酸化被膜の表層のヘマタイト(Fe2O3)を除去するのに有効なレーザー密度に初期設定し、初期設定されたレーザー密度のパルスレーザー光を照射して、酸化被膜の表層のヘマタイト(Fe2O3)を除去することにより、レーザーケレン後の鋼板表面には、密着性の低いヘマタイト(Fe2O3)が除去されて、密着性の高いマグネタイト(Fe3O4)が大部分を占めることになり、塗料の付着力が向上する。

したがって、本発明によれば、塗装、接着、ライニングなど被対象物にコーティング物(塗料やライニング材)や接着剤により対象物同士を付着・接着する処理工程に供給する鉄鋼素材の下地処理の品質の向上を図ることができる。

また、本発明では、ケレン処理において除去するヘマタイト(Fe2O3)の割合を、ケレン処理後の酸化被膜の表面における面積比で78.5%以上とするものとすることにより、鉄鋼材料の表面酸化スケールの除去に関する定性的に実施可能な下地処理装置を提供することができる。

さらに、本発明では、ケレン処理を実行するに当たり、1パルス当たりのパルスレーザー光の照射位置の移動距離dmがスポット径dp×(1/2~1)の範囲内となる移動速度で移動させるものとすることにより、鉄鋼材料の表面酸化スケールの除去に関する定性的に実施可能な下地処理装置提供することができる。

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】 本発明に係る下地処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】 下地処理装置に備えられた2軸のガルバノミラー機構の構造を模式的に示す斜視図である。
【図3】 下地処理装置におけるパルスレーザー光の照射位置の送り状態を示す模式図である。
【図4】 2軸のガルバノミラー機構によるレーザースポットの移動軌跡を模式的に示す図であり、(A)はレーザー照射の状況を示す模式図であり、(B)は折り返してレーザー照射する場合に、2列目以降を、前列の照射位置の中間位置に照射するレーザー照射の状況を示す模式図である。
【図5】 下地処理装置による下地処理の処理対象物の断面構造を模式的に示す図であり、(A)は下地処理前の処理対象物の模式的な断面図であり、(B)は下地処理後の処理対象物の模式的な断面図である。
【図6】 下地処理装置により実施される下地処理方法を示す工程図である。
【図7】 (A)は1パルス当たりの移動距離dm1をスポット径dp分とした移動速度の場合を示し、(B)は1パルス当たりの移動距離dm2をスポット径dpの(1/√2)倍とした移動速度の場合を示し、(C)は1パルス当たりの移動距離dm3をスポット径dpの(1/2)倍とした移動速度の場合を示している。
【図8】 レーザー強度(エネルギー密度)を変更したレーザーケレンの性能評価をするために、試験片に塗料を塗布し乾燥養生した後、引張試験(プルオフ試験)により付着力を確認した結果を示す図である。

代表図 図1本件の代表的な図

1 処理対象物、1A 基材(Fe)、2 酸化被膜、2A マグネタイト(Fe3O4)、2B ヘマタイト(Fe2O3)、10 レーザー照射装置、11 レーザー発振部、12 光ファイバー、13 レーザーヘッド部、20 マニピュレータ、21 ロボットアーム、21A 先端部、30 ロボット制御部、40 マニピュレータロボット、50 統括制御装置、100 下地処理装置、130 ガルバノミラー機構、131X、131Y モータ、132X、132Y ミラー、133 テレセントリックf-θレンズ

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