(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
B65D1/02 221
(21)【出願番号】P 2021109563
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏正
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-036912(JP,A)
【文献】特開2016-108017(JP,A)
【文献】特開2012-030837(JP,A)
【文献】特開2014-108813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0200037(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0236845(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0170144(US,A1)
【文献】特開2007-230581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00- 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の注出口となる口部と、該口部に肩部を介して連なる胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備える合成樹脂製容器であって、
前記胴部は、間隔をおいて対向配置された一対の主壁と、前記主壁の周方向端部に連結された一対の側壁とを有し、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、周方向略中央位置において略水平方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む横溝と、該横溝に連なり該横溝と略直交する方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む縦溝とを有するT字状リブが設けられて
おり、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、上下方向外側に向かって縮径する段部が設けられており、
前記段部は、前記主壁又は前記側壁の周方向中央位置において上下方向外側に膨らむ凸部を有することを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
内容物の注出口となる口部と、該口部に肩部を介して連なる胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備える合成樹脂製容器であって、
前記胴部は、間隔をおいて対向配置された一対の主壁と、前記主壁の周方向端部に連結された一対の側壁とを有し、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、周方向略中央位置において略水平方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む横溝と、該横溝に連なり該横溝と略直交する方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む縦溝とを有するT字状リブが設けられており、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、上下方向外側に向かって縮径する段部が設けられて
おり、
前記縦溝は、前記段部に一部が重なるように形成されていることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記横溝は、前記縦溝よりも前記胴部の厚み方向内側に深く形成されている、請求項1
又は2に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記縦溝は、前記主壁若しくは前記側壁に設けられた周溝に一部が重なるように形成されている、請求項1~
3の何れか一項に記載の合成樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の注出口となる口部と、該口部に肩部を介して連なる胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備えたボトル形状の合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
延伸ポリプロピレン(OPP)製のボトルやポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトルに代表されるような合成樹脂製容器は、軽量で取り扱いが容易であること、内容物の保存安定性に優れること、しかもコスト的に安価であることから、飲料用、食品用、化粧料用等の様々な用途に使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の壁面体を備え、各壁面体の端部を相互につないで肩部、胴体部分及び底部を形成してなる合成樹脂製のボトル型容器において、少なくとも垂直面を形成する壁面体と傾斜面を形成する壁面体とを相互につなぐ稜線に、該稜線に沿って伸延する細溝を設けて塑性変形(潰れ変形)を抑制した、合成樹脂製ボトル型容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような合成樹脂製ボトル型容器では、稜線部分の潰れを抑制する効果はあるものの、稜線で囲まれた領域内の潰れを十分に抑制する効果までは得られない場合があり、この点において改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、胴部が塑性変形しにくい合成樹脂製容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の合成樹脂製容器は、
内容物の注出口となる口部と、該口部に肩部を介して連なる胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備える合成樹脂製容器であって、
前記胴部は、間隔をおいて対向配置された一対の主壁と、前記主壁の周方向端部に連結された一対の側壁とを有し、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、周方向略中央位置において略水平方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む横溝と、該横溝に連なり該横溝と略直交する方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む縦溝とを有するT字状リブが設けられており、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、上下方向外側に向かって縮径する段部が設けられており、
前記段部は、前記主壁又は前記側壁の周方向中央位置において上下方向外側に膨らむ凸部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の合成樹脂製容器は、上記構成において、前記横溝は、前記縦溝よりも前記胴部の厚み方向内側に深く形成されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の合成樹脂製容器は、
内容物の注出口となる口部と、該口部に肩部を介して連なる胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備える合成樹脂製容器であって、
前記胴部は、間隔をおいて対向配置された一対の主壁と、前記主壁の周方向端部に連結された一対の側壁とを有し、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、周方向略中央位置において略水平方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む横溝と、該横溝に連なり該横溝と略直交する方向に延びるとともに前記胴部の厚み方向内側に凹む縦溝とを有するT字状リブが設けられており、
前記主壁及び前記側壁の少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、上下方向外側に向かって縮径する段部が設けられており、
前記縦溝は、前記段部に一部が重なるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の合成樹脂製容器は、上記構成において、前記縦溝は、前記主壁若しくは前記側壁に設けられた周溝に一部が重なるように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、胴部が塑性変形しにくい合成樹脂製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態である合成樹脂製容器の正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態である合成樹脂製容器の側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態である合成樹脂製容器の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態である合成樹脂製容器の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0016】
図1に示す本発明の一実施形態である合成樹脂製容器1は、例えば果汁飲料やお茶等の飲料、及び醤油、酢、たれ等の調味料を内容物として収容するものであり、当該内容物が所定の温度にまで加熱された高温状態で充填される高温充填に対応したものである。なお、本願明細書、特許請求の範囲、要約書、及び図面において上下方向とは、合成樹脂製容器1を水平面上に正立させた状態を基準としており、上方とは
図1における上方、下方とは
図1における下方を意味するものとする。
【0017】
この合成樹脂製容器1は、内容物の注出口となる口部2と、口部2の下端に連なり下方に向かって拡径する肩部3と、口部2に肩部3を介して連なる平面視で角形形状(
図3参照)を有する胴部4と、胴部4の下端を閉塞する底部5とを備えたボトル形状に形成されている。なお、胴部4の下部における段部5aより下方の領域をヒール部5hと呼ぶことにする。
図1中の符号Oは、口部2、肩部3、胴部4及び底部5の共通の中心軸線を示す。また、本願明細書、特許請求の範囲において、径方向とは、中心軸線Oを通り、且つ中心軸線Oに垂直な方向である。また、径方向内側方向とは、径方向に沿って中心軸線Oに向かう方向であり、径方向外側方向とは、径方向に沿って中心軸線Oから離れる方向を指すものとする。
【0018】
この合成樹脂製容器1は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより所謂ペットボトルとして構成することができる。なお、合成樹脂製容器1は、ポリエチレンテレフタレートに限らず、例えば延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱可塑性を有する他の合成樹脂からなるプリフォームを二軸延伸ブロー成形して形成されたものとすることもできる。また、合成樹脂製容器1の製法についても、プリフォームを二軸延伸ブロー成形する方法のみならず、例えば樹脂材料を押し出しブロー成形するなど、種々の製法を採用することができる。
【0019】
口部2の外周面には、
図1に示すように雄ねじ2aが形成されており、内容物が高温充填された後、図示しないキャップを口部2にねじ係合することにより口部2を閉塞することができる。また、口部2の外周面に雄ねじ2aを設ける代わりに突起を設け、キャップを打栓により係合することにより口部2を閉塞する構成としてもよい。口部2における雄ねじ2aの下方には、例えば合成樹脂製容器1内に内容物を充填する際に容器を支持するためのネックリング2cが口部2の外周面から径方向外側に環状に突出している。
【0020】
胴部4は、
図3等に示すように、平面視で、面取りされた長方形形状の角筒構造を有する。胴部4は、間隔をおいて対向配置された一対の主壁4aと、主壁4aに略直交するとともに間隔をおいて対向配置され、主壁4aの周方向端部に角壁4cを介して連結された一対の側壁4bとを備えている。
【0021】
主壁4a及び側壁4bは略平板状に形成されており、
図1及び
図2に示すように、いずれも縦長形状を有している。主壁4a及び側壁4bは、それぞれ面内略中央位置に同じく縦長形状を有する減圧吸収パネル11a,11bを備えている。本実施形態では、対向する一対の主壁4aは互いに同一形状で構成されており、対向する一対の側壁4bについても互いに同一形状で構成されている。また、対向する一対の減圧吸収パネル11a,11bについても、それぞれ互いに同一形状で構成されている。
【0022】
減圧吸収パネル11a,11bは、
図1及び
図2に示すように、主壁4a及び側壁4bにおける水平方向及び上下方向の略中央位置に配置されている。減圧吸収パネル11a,11bは、主壁4a及び側壁4bから径方向内側方向に陥没して形成されている。この減圧吸収パネル11a,11bの径方向への立体的な構造により、合成樹脂製容器1内に内容物が高温充填された後に胴部4の予期しない場所に生じる不正変形を抑制することができる。すなわち、合成樹脂製容器1内に内容物が高温充填された後に口部2がキャップで閉塞されると、内容物の冷却に伴って容器内に減圧が生じる。減圧吸収パネル11a,11bは、半径方向への立体的形状により、容器内の減圧に対して減圧吸収パネル11a,11bが容器内側に容易に弾性変形して減圧を吸収し、胴部4の予期しない場所に生じる不正変形を抑制することができる。
【0023】
なお、本実施形態において、減圧吸収パネル11a,11bは、外縁部において径方向内側に凹む比較的単純な構成としたが、この態様には限定されず、例えば凹部と凸部が隣接して交互に並べられることにより径方向内側に更に容易に変形できるようにして、減圧吸収効果を高めるように構成してもよい。なお、減圧吸収パネル11a,11bは、主壁4a又は側壁4bの一方にのみ設けてもよいし、減圧吸収パネル11a,11bを設けない構成としてもよい。
【0024】
主壁4a及び側壁4bにおける肩部3との境界領域には、
図1及び
図2に示すように、主壁4a及び側壁4bから肩部3に向かって径方向内側に僅かに縮径する段部3aが形成されている。段部3aは、
図1に示すように、主壁4aの周方向略中央位置において上下方向外側(
図1の段部3aの場合は上方)に膨らむ(凸となる)略円弧状の凸部3bを有している。段部3aはまた、
図2に示すように、側壁4bの周方向略中央位置において上方に凸となる略円弧状の凸部3cを有している。このように、肩部3の下端部に段部3aを設けることによって、当該領域において容器が上下方向に走る折り目が付く方向に塑性変形(潰れ変形)するのを抑制することができる。特に、段部3aが凸部3b,3cを備えることによって、上下方向に走る折り目が付く方向の潰れのみならず水平方向に走る折り目が付く方向の潰れに対しても抑止効果を奏する。なお、段部3aの凸部3b、3cは、略円弧状形状に限らず、三角状、台形状など他の形状を有していてもよい。また、段部3aが主壁4a又は側壁4bのみに凸部3b,3cを備えていてもよいし、凸部3b,3cを設けず段部3aが周方向に直線状に延びる構成であってもよい。
【0025】
主壁4a及び側壁4bにおけるヒール部5hとの境界領域には、
図1及び
図2に示すように、主壁4a及び側壁4bからヒール部5hに向かって径方向内側に僅かに縮径する段部5aが形成されている。段部5aは、
図1に示すように、主壁4aの周方向略中央位置において上下方向外側(
図1の段部5aの場合は下方)に膨らむ(凸となる)略円弧状の凸部5bを有している。段部5aはまた、
図2に示すように、側壁4bの周方向略中央位置において下方に凸となる略円弧状の凸部5cを有している。このように、主壁4a及び側壁4bの下部に段部5aを設けることによって、当該領域において容器が上下方向に走る折り目が付く方向に塑性変形(潰れ変形)するのを抑制することができる。特に、段部5aが凸部5b,5cを備えることによって、上下方向に走る折り目が付く方向の潰れのみならず水平方向に走る折り目が付く方向の潰れに対しても抑止効果を奏する。なお、段部5aの凸部5b、5cは、略円弧状形状に限らず、三角状、台形状など他の形状を有していてもよい。また、段部5aが主壁4a又は側壁4bのみに凸部5b,5cを備えていてもよいし、凸部5b,5cを設けず段部5aが周方向に直線状に延びる構成であってもよい。
【0026】
主壁4aの上端部の周方向中央位置における減圧吸収パネル11aと段部3aとの間の領域には、
図1に示すように、T字状リブ20が設けられている。T字状リブ20は、略水平方向に延びるとともに胴部4の厚み方向内側に凹む横溝20aと、横溝20aに連なり横溝20aと略直交する上方向に延びるとともに胴部4の厚み方向内側に凹む縦溝20bとを有している。本実施形態において、縦溝20bは、その上端部が段部3aに重なるように構成されている。この構成によって、主壁4a内において、上下方向に走る折り目が付く方向の剛性と水平方向に走る折り目が付く方向の剛性を同時に高めて復元力を向上させることができるので、主壁4a内における潰れ変形をより効果的に抑制することができる。
【0027】
なお、縦溝20bの上端部(先端部)が段部3aまで延在するように構成したが、この態様には限定されない。縦溝20bが段部3aを越えて肩部3まで延びるように構成してもよい。縦溝20bが段部3aまで延びることによって、主壁4aを区画形成する稜線で囲まれた領域内の剛性を切れ目なく高めることができるので、主壁4aの潰れ変形をより効果的に抑制することができる。また、縦溝20bが段部3a近傍における段部3aの手前まで延在するようにしてもよい。
【0028】
本実施形態のように、減圧吸収パネル11a,11bと段部3a(肩部3と胴部4との境界)との間に平坦面が形成される場合は、当該平坦面に塑性変形(折り目が付くような変形)が生じやすくなる。このため、前記平坦面や、減圧吸収パネル11a,11bと段部5a(胴部4とヒール部5hとの境界)との間の平坦面等にT字状リブ20を設けることが好ましい。
【0029】
本実施形態において、横溝20aは、縦溝20bよりも胴部4の厚み方向内側に深く形成されている。この構成によって、上下方向に走る折り目が付く方向の潰れに対する剛性を一層高めて潰れ変形をより効果的に抑制することができる。
【0030】
本実施形態では、T字状リブ20を主壁4aにおける上端部に配置したが、この態様には限定されない。T字状リブ20を例えば、主壁4aの下端部の周方向中央位置における減圧吸収パネル11aと段部5aとの間の領域に設けるようにしてもよい。この場合、T字状リブ20は、略水平方向に延びる横溝20aと、横溝20aに連なり横溝20aと略直交する下方向に延びる縦溝20bとから構成される。この場合も、縦溝20bは、下端部が段部5aまで延在するように構成してもよいし、縦溝20bが段部5aを越えてヒール部5hまで延びるように構成してもよい。また、縦溝20bが段部5a近傍における段部5aの手前まで延在するようにしてもよい。
【0031】
また、胴部4が図示しない周溝によって上下方向に上胴部と下胴部とに2分割され、上胴部の下端部に設けたT字状リブ20の縦溝20bが周溝まで延在するように構成したり、周溝を越えて下胴部まで延在するように構成してもよい。この場合も、縦溝20bが周溝近傍における周溝の手前まで延在するようにしてもよい。
【0032】
また、胴部4が図示しない周溝によって上下方向に上胴部と下胴部とに2分割され、下胴部の上端部に設けたT字状リブ20の縦溝20bが周溝まで延在するように構成したり、周溝を越えて上胴部まで延在するように構成してもよい。この場合も、縦溝20bが周溝近傍における周溝の手前まで延在するようにしてもよい。
【0033】
なお、この周溝は、段部3a,5aとともに設けてもよいし、段部3a,5aを設けずに周溝のみを設けるようにしてもよい。
【0034】
本実施形態では、T字状リブ20を主壁4aにのみ設けるように構成したが、この態様には限定されない。T字状リブ20は、主壁4aに加えて側壁4bにも設けるようにしてもよいし、側壁4bにのみ設けるようにしてもよい。
【0035】
胴部4の周方向4箇所には、
図3及び
図4に示すように、主壁4a及び側壁4bの周方向端部同士を連結する角壁4cが設けられている。角壁4cは、平面視で略長方形形状を有する胴部4において面取りされた角部として形成されている。本実施形態において、角壁4cは、
図1及び
図2に示すように、周方向中央に設けられ曲面で構成された中央角壁4c1と、中央角壁4c1の周方向左右に隣接する曲面で構成された側部角壁4c2とを備えている。なお、角壁4cは、1又は複数の平面のみで構成してもよいし、1つの曲面や曲面と平面とを組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0036】
角壁4cには、
図1及び
図2に示すように、角壁4cの剛性を高めるために、角壁4cの面内において略U字形状に形成され、角壁4cの厚み方向内側に凹むU字状リブ30が設けられている。本実施形態において、U字状リブ30は、主壁4a側に凸となる略円弧を描きつつ上下方向に延びる縦溝30bと、縦溝30bの上下方向両端部から略水平方向に延びる横溝30aとを有している。U字状リブ30は、
図2に示すように、側壁4b側に開口部30cが開口するように形成され、この開口部30cを通じてU字状リブ30の周囲とU字状リブ30に囲まれた中央凸部30dとが連結されている。本実施形態では、1箇所の角壁4cについて上下方向に4つのU字状リブ30が略等間隔で配置されている。
【0037】
角壁4cの剛性を高めるためには、
図2のU字状リブ30の開口部30cを閉じた環状リブを設けることが効果的である。しかし、角壁4cに環状リブを設けると、
図2に示す開口部30cの位置にも縦溝が形成されるため、当該縦溝(凹部)と周方向の幅が狭い側壁4bの減圧吸収パネル11b(凹部)との間の凸部に成形時に樹脂が到達しづらくなり、賦形性が低下してヒケの原因となる。本実施形態では、
図2に示すように、U字状リブ30における周方向の幅が狭い側壁4b側に開口部30cを設けているため、幅が狭い凸部部分がなくなり、U字状リブ30の周囲とU字状リブ30に囲まれた中央凸部30dとが開口部30cを通じて連結されるため、賦形性の低下が抑制される。
【0038】
本実施形態では、
図2に示すように、U字状リブ30が理想的なU字形状を有するように構成したが、この態様には限定されない。縦溝30bが直線的に上下方向に延びるように構成してもよいし、曲率半径が更に小さいR形状を有するようにしてもよい。また、横溝30aの開口部30c側を上下方向に相互に近づけることにより、U字状リブ30が略C字状形状を有するようにしてもよい。また、開口部30cは必ずしも側壁4bの方向に設けられていなくてもよく、主壁4aの方向や上下方向に設けられていてもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、胴部4は、平面視で長方形形状に面取りを施した形状を有し、長方形部分を構成する主壁4a及び側壁4bを各2枚ずつと面取り部分を構成する4枚の角壁4cとを備えるように構成したが、この態様には限定されない。胴部4は、主壁4aと側壁4bの周方向幅が概ね等しくなるように構成してもよいし、胴部4が平面視で略八角形形状を有し、主壁4aと側壁4bとが角壁4cを介して交互に4枚ずつ並ぶようにするなど、他の構成を採用してもよい。
【0040】
以上述べたように、本実施形態の合成樹脂製容器1は、内容物の注出口となる口部2と、口部2に肩部3を介して連なる胴部4と、胴部4の下端を閉塞する底部5とを備える合成樹脂製容器1であって、胴部4は、間隔をおいて対向配置された一対の主壁4aと、主壁4aの周方向端部に連結された一対の側壁4bとを有し、主壁4a及び側壁4bの少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、周方向略中央位置において略水平方向に延びるとともに胴部4の厚み方向内側に凹む横溝20aと、横溝20aに連なり横溝20aと略直交する方向に延びるとともに胴部4の厚み方向内側に凹む縦溝20bとを有するT字状リブ20が設けられるように構成した。このような構成の採用によって、主壁4a又は側壁4b内において、縦溝20bと横溝20aにより上下方向に走る折り目が付く方向の剛性と水平方向に走る折り目が付く方向の剛性を同時に高めて復元力を向上させることができるので、主壁4a又は側壁4b内における塑性変形(潰れ変形)を効果的に抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、横溝20aは、縦溝20bよりも胴部4の厚み方向内側に深く形成されるように構成した。このような構成の採用によって、上下方向に走る折り目が付く方向の潰れに対する剛性をより一層高めて潰れ変形をより効果的に抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、主壁4a及び側壁4bの少なくとも一方における上端部及び下端部の少なくとも一方には、上下方向外側に向かって縮径する段部3a,5aが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、主壁4a及び側壁4bの上端部及び下端部において容器が上下方向に走る折り目が付く方向に塑性変形(潰れ変形)するのを効果的に抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、段部3a,5aは、主壁4a又は側壁4bの周方向中央位置において上下方向外側に膨らむ凸部3b,3c,5b,5cを有するように構成した。このような構成の採用によって、上下方向に走る折り目が付く方向の潰れのみならず水平方向に走る折り目が付く方向の潰れに対しても抑止効果を奏することができる。
【0044】
また、本実施形態では、縦溝20bは、段部3a,5aに一部が重なるように構成した。このような構成の採用によって、主壁4a又は側壁4b内において、上下方向に走る折り目が付く方向の剛性と水平方向に走る折り目が付く方向の剛性を同時に高めて復元力を向上させることができるので、主壁4a又は側壁4b内における潰れ変形をより効果的に抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、縦溝20bは、主壁4a若しくは側壁4bに設けられた周溝に一部が重なるように構成した。このような構成の採用によって、主壁4a又は側壁4b内において、上下方向に走る折り目が付く方向の剛性と水平方向に走る折り目が付く方向の剛性を同時に高めて復元力を向上させることができるので、主壁4a又は側壁4b内における潰れ変形をより効果的に抑制することができる。
【0046】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0047】
例えば、一対の主壁4a及び一対の側壁4bは、それぞれ同一形状である必要はなく、各主壁4a毎及び各側壁4b毎にそれぞれ異なる形状を有していてもよい。また、減圧吸収パネル11a,11bの形状は上記実施形態に限定されず、様々な形態を採用することが可能である。そして、各減圧吸収パネル11a,11b毎にそれぞれ異なる形状を有していてもよい。
【0048】
また、減圧吸収パネル11a,11b、T字状リブ20及びU字状リブ30の数量についても、上記実施形態に限定されない。例えば、減圧吸収パネル11aは、1枚の主壁4aに2つ以上設けてもよいし、減圧吸収パネル11aを一部の主壁4aのみに設けるようにしてもよい。また、T字状リブ20は、1枚の主壁4aに2つ以上設けてもよい。U字状リブ30についても、1枚の角壁4cに任意の数だけ設けることができる。
【0049】
また、本実施形態では、側壁4bは、主壁4aよりも周方向幅が短く、U字状リブ30は、側壁4b側に開口するように構成したが、この態様には限定されない。U字状リブ30と減圧吸収パネル11a,11b以外の凹所との間に幅が狭い凸部が形成されるような場合には、その凸部が存在する方向に開口部30cを設けるようにしてもよい。
【0050】
また、合成樹脂製容器1に充填される内容物は、果汁飲料やお茶等の飲料、及び醤油、酢、たれ等の調味料に限らず、他の食品や化粧料等であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 合成樹脂製容器
2 口部
2a 雄ねじ
2c ネックリング
3 肩部
3a 段部
3b,3c 凸部
4 胴部
4a 主壁
4b 側壁
4c 角壁
4c1 中央角壁
4c2 側部角壁
5 底部
5a 段部
5b,5c 凸部
5h ヒール部
11a,11b 減圧吸収パネル
20 T字状リブ
20a 横溝
20b 縦溝
30 U字状リブ
30a 横溝
30b 縦溝
30c 開口部
30d 中央凸部
O 中心軸線