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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20240909BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023070774
(22)【出願日】2023-04-24
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】夏 貞雄
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-059204(JP,A)
【文献】特開2021-055705(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101161(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0346064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/02
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの突出した先端部に長手方向に沿って設けられたスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口の上で回転してスリット状吐出口の開閉を行うシャッター部材を設けるにあたり、前記のシャッター部材と前記の塗液収容部との間に、前記のスリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材をスリット状吐出口の周囲に沿って設けると共に、前記の塗液収容部の底面に、前記の樹脂製シール部材と嵌めあい構造になるように凹状のくぼみを設け、前記のシャッター部材の外周面により前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、前記のシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を前記の樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴に導いて、塗液収容部内の塗液を前記の塗液案内部と塗液案内穴を通して前記のスリット状吐出口に導くことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの突出した先端部に長手方向に沿って設けられたスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口の上で回転してスリット状吐出口の開閉を行うシャッター部材を設けるにあたり、前記のシャッター部材と前記の塗液収容部との間に、前記のスリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材をスリット状吐出口の周囲に沿って設け、前記のシャッター部材の外周面により前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、前記のシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を前記の樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴に導いて、塗液収容部内の塗液を前記の塗液案内部と塗液案内穴を通して前記のスリット状吐出口に導くにあたり、前記の樹脂製シール部材に、前記のスリット状吐出口内に挿入させる挿入部を設け、前記の挿入部をスリット状吐出口の先端部まで挿入させて、樹脂製シール部材における前記の塗液案内穴を、スリット状吐出口の先端部まで導いたことを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗布装置において、前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴として、前記のスリット状吐出口に沿ったスリット状案内穴を設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の塗布装置において、前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴として、前記のスリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の塗布装置において、前記の樹脂製シール部材に、フッ素系樹脂を用いたことを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
請求項1に記載の塗布装置において、前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴として、前記のスリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設け、前記の樹脂製シール部材に設けた前記の多数の整流案内穴と、整流部材に設けた多数の整流穴が連通するようにして、前記の整流部材を前記のスリット状吐出口の先端部まで挿入させたことを特徴とする塗布装置。
【請求項7】
塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの突出した先端部に長手方向に沿って設けられたスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口の上で回転してスリット状吐出口の開閉を行うシャッター部材を設けるにあたり、前記のシャッター部材と前記の塗液収容部との間に、前記のスリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材をスリット状吐出口の周囲に沿って設け、前記のシャッター部材の外周面により前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、前記のシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を前記の樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴に導いて、塗液収容部内の塗液を前記の塗液案内部と塗液案内穴を通して前記のスリット状吐出口に導くにあたり、前記の樹脂製シール部材に前記のスリット状吐出口内に挿入させる挿入部を設け、樹脂製シール部材における前記の挿入部をスリット状吐出口の途中まで挿入させると共に、前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴として、前記のスリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設け、前記の樹脂製シール部材に設けられた前記の多数の整流案内穴と、整流部材に設けた多数の整流穴が連通するようにして、前記の整流部材を前記のスリット状吐出口の先端部まで挿入させたことを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置に関するものである。特に、前記のスリット状吐出口の上に回転するシャッター部材を設け、前記のシャッター部材の外周面により前記のスリット状吐出口を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、前記のシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を前記のスリット状吐出口に導いて、塗液収容部内の塗液を前記の塗液案内部からスリット状吐出口に導いて、被塗布体の表面に塗液を塗布するようにした塗布装置において、塗液収容部内の塗液が、スリット状吐出口を閉塞させるシャッター部材の外周面と塗液収容部の内面との隙間からスリット状吐出口に漏れ出したり、シャッター部材を回転させてスリット状吐出口を開閉させる場合に、シャッター部材や塗液収容部の内面が磨耗したり、傷ついたりするのを簡単に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置としては、塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するするようにしたものが使用されている。
【0003】
また、近年においては、塗布装置によって、ウエハー等の被塗布体の表面に塗液を所定の形状に塗布することが行われている。
【0004】
そして、例えば、ウエハー等の円形状の被塗布体の表面に塗液を円形状に塗布する塗布装置としては、特許文献1、2に示されるように、塗布用ノズルにおいて塗液を収容させた塗液収容部内において、所定のパターン形状になった塗液案内部が外周面に設けられた円柱状のシャッター部材を、塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口の上で回転させ、シャッター部材の外周面により前記のスリット状吐出口を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、シャッター部材の外周面に設けた前記の塗液案内部を前記のスリット状吐出口に導き、塗液収容部内における塗液をシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を通してスリット状吐出口に導いて、被塗布体の表面に塗液を所定のパターンになるようにして塗布させるものが示されている。
【0005】
ここで、前記の特許文献1、2に示される塗布装置においては、前記のようにシャッター部材の外周面によりスリット状吐出口を閉塞させて、塗液収容部内の塗液がスリット状吐出口に導かないようにした場合においても、塗液収容部とシャッター部材の外周面とを密接させることは困難であり、液収容部とシャッター部材の外周面の間に僅かな隙間が生じ、塗液収容部内の塗液が、この隙間からスリット状吐出口に導かれて被塗布体の表面に付与され、塗液を塗布する塗布部以外に塗液が塗布されるという問題があった。
【0006】
また、塗液収容部とシャッター部材の外周面との間に隙間が生じないようにするため、シャッター部材の外周面を塗液収容部に密接させると、シャッター部材や塗布用ノズルの塗液収容部は一般に金属材料で形成されているため、前記のようにシャッター部材をスリット状吐出口の上で回転させて、シャッター部材の外周面に設けた塗液案内部によって、スリット状吐出口を開閉させる場合に、シャッター部材や塗液収容部の内面が磨耗したり、傷ついたりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2021-98154号公報
【文献】特許第6847566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、スリット状吐出口の上に回転するシャッター部材を設け、前記のシャッター部材の外周面により前記のスリット状吐出口を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、前記のシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を前記のスリット状吐出口に導いて、塗液収容部内の塗液を前記の塗液案内部からスリット状吐出口に導いて、被塗布体の表面に塗液を塗布するようにした塗布装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、本発明においては、前記のような塗布装置において、塗液収容部内の塗液が、スリット状吐出口を閉塞させるシャッター部材の外周面と塗液収容部の内面との隙間からスリット状吐出口に漏れ出して、被塗布体の表面の不要な箇所に塗液が付与されたり、スリット状吐出口を開閉させる場合に、シャッター部材や塗液収容部の内面が磨耗したり、傷ついたりするのを簡単に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの突出した先端部に長手方向に沿って設けられたスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口の上で回転してスリット状吐出口の開閉を行うシャッター部材を設けるにあたり、前記のシャッター部材と前記の塗液収容部との間に、前記のスリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材をスリット状吐出口の周囲に沿って設けると共に、前記の塗液収容部の底面に、前記の樹脂製シール部材と嵌めあい構造になるように凹状のくぼみを設け、前記のシャッター部材の外周面により前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、前記のシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を前記の樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴に導いて、塗液収容部内の塗液を前記の塗液案内部と塗液案内穴を通して前記のスリット状吐出口に導くようにした。
【0011】
本発明に係る塗布装置のように、スリット状吐出口の上で回転してスリット状吐出口の開閉を行うシャッター部材を設けるにあたり、シャッター部材と塗液収容部との間に、スリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材を設けると、樹脂製シール部材とシャッター部材の外周面との間に隙間が生じないように、シャッター部材の外周面を樹脂製シール部材に密接させることができ、シャッター部材の外周面と樹脂製シール部材との間から、塗液収容部内の塗液がスリット状吐出口に導かれて、スリット状吐出口から漏れ出するのが防止されると共に、シャッター部材を樹脂製シール部材の上で回転させて、回転するシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部により、前記の樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴を開閉させる場合に、従来のように、シャッター部材や塗液収容部の内面が磨耗したり、傷ついたりするということもなくなる。また、前記のようにスリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材をスリット状吐出口の周囲に沿って設けると共に、前記の塗液収容部の底面に、前記の樹脂製シール部材を嵌め込む凹状のくぼみを設ける、樹脂製シール部材が凹状のくぼみ内に保持されて、シャッター部材の回転によって樹脂製シール部材の位置がずれるのが防止される。
【0012】
ここで、本発明に係る塗布装置においては、前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴として、前記のスリット状吐出口に沿ったスリット状案内穴を設けたり、スリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設けたりすることができる。
【0013】
また、本発明に係る塗布装置においては、前記の樹脂製シール部材に柔軟性のあるフッ素系樹脂を用いることが好ましい。このように、樹脂製シール部材に柔軟性のあるフッ素系樹脂を用いると、前記のようにシャッター部材を樹脂製シール部材の上で回転させる場合における摩擦抵抗が少なくなり、シャッター部材をスムーズに回転させて、樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴を開閉できるようになると共に、シャッター部材や樹脂製シール部材の磨耗もさらに抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係る塗布装置においては、塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの突出した先端部に長手方向に沿って設けられたスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口の上で回転してスリット状吐出口の開閉を行うシャッター部材を設けるにあたり、前記のシャッター部材と前記の塗液収容部との間に、前記のスリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材をスリット状吐出口の周囲に沿って設け、前記のシャッター部材の外周面により前記の樹脂製シール部材における塗液案内穴を閉塞させて、塗液収容部内の塗液をスリット状吐出口に導かないようにする一方、前記のシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を前記の樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴に導いて、塗液収容部内の塗液を前記の塗液案内部と塗液案内穴を通して前記のスリット状吐出口に導くにあたり、前記の樹脂製シール部材に、前記のスリット状吐出口内に挿入させる挿入部を設け、前記の挿入部をスリット状吐出口の先端部まで挿入させて、樹脂製シール部材における前記の塗液案内穴を、スリット状吐出口の先端部まで導くようにすることができる。このようにすると、樹脂製シール部材に設けたスリット状案内穴や多数の整流案内穴からなる塗液案内穴を通して、塗液を被塗布体の表面に塗布させることができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る塗布装置において、樹脂製シール部材における塗液案内穴として、スリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設けるようにした場合、樹脂製シール部材に設けられた多数の整流案内穴と、整流部材に設けられた多数の整流穴が連通するようにして、前記の整流部材を前記のスリット状吐出口の先端部まで挿入させることができる。このようにすると、樹脂製シール部材に設けられた多数の整流案内穴に導かれた塗液が、整流部材に設けられた多数の整流穴を通して被塗布体の表面に塗布されるようになり、塗液がスリット状吐出口を通過中にスリット状吐出口の幅方向に広がって被塗布体の塗工部分以外に塗布されるのをさらに防止できるようになる。
【0016】
また、本発明に係る塗布装置において、塗液案内穴として、スリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設けるようにした場合、前記の樹脂製シール部材に前記のスリット状吐出口内に挿入させる挿入部を設け、樹脂製シール部材における前記の挿入部をスリット状吐出口の途中まで挿入させると共に、前記の樹脂製シール部材に設けられた前記の多数の整流案内穴と、整流部材に設けた多数の整流穴が連通するようにして、前記の整流部材を前記のスリット状吐出口の先端部まで挿入させることができる。このようにした場合にも、樹脂製シール部材に設けられた多数の整流案内穴に導かれた塗液が、整流部材に設けられた多数の整流穴を通して被塗布体の表面に塗布されるようになり、塗液がスリット状吐出口を通過中にスリットの幅方向に広がって被塗布体の塗工部分以外に塗布されるのをさらに防止できるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における塗布装置においては、前記のように塗布用ノズル内部の塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの突出した先端部に長手方向に沿って設けられたスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口の上で回転してスリット状吐出口の開閉を行うシャッター部材を設けるにあたり、シャッター部材と塗液収容部との間に、スリット状吐出口に対応した塗液案内穴を有する樹脂製シール部材を設けるようにしたため、樹脂製シール部材とシャッター部材の外周面との間に隙間が生じないように、シャッター部材の外周面を樹脂製シール部材に密接させることができ、シャッター部材の外周面と樹脂製シール部材との間から、塗液収容部内の塗液がスリット状吐出口に導かれて、スリット状吐出口から漏れ出するのが防止されると共に、シャッター部材を樹脂製シール部材の上で回転させて、回転するシャッター部材の外周面に設けた塗液案内部により、前記の樹脂製シール部材に設けた塗液案内穴を開閉させる場合に、従来のように、シャッター部材や塗液収容部の内面が磨耗したり、傷ついたりするということもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に設ける樹脂製シール部材に、塗液案内穴としてスリット状吐出口に沿ったスリット状案内穴を設けた状態を示した概略斜視図及び概略側面図である。
図2】前記の実施形態1に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に前記の樹脂製シール部材を設け、樹脂製シール部材における前記のスリット状案内穴を、シャッター部材の外周面により閉塞させて、塗液収容部内の塗液がスリット状吐出口に導かれないようにした状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図3】前記の実施形態1に係る塗布装置において、シャッター部材を回転させ、シャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を樹脂製シール部材に設けたスリット状案内穴の位置に導き、塗液収容部内の塗液を、前記の塗液案内部とスリット状案内穴を通して前記のスリット状吐出口に導いて、被塗布体の表面に塗液を塗布する状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図4】本発明の実施形態2に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に設ける樹脂製シール部材に、塗液案内穴としてスリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設けた状態を示した概略斜視図及び概略側面図である。
図5】前記の実施形態2に係る塗布装置において、多数の整流穴が設けられた整流部材の概略斜視図及び概略側面図である。
図6】前記の実施形態2に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に前記の樹脂製シール部材を設け、樹脂製シール部材における多数の整流案内穴と前記の整流部材における多数の整流穴が連通するようにして整流部材をスリット状吐出口内に挿入させ、樹脂製シール部材における前記の多数の整流案内穴を、シャッター部材の外周面により閉塞させて、塗液収容部内の塗液がスリット状吐出口に導かれないようにした状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図7】前記の実施形態2に係る塗布装置において、シャッター部材を回転させ、シャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を樹脂製シール部材に設けた多数の整流案内穴の位置に導き、塗液収容部内の塗液を、樹脂製シール部材における多数の整流案内穴と整流部材における多数の整流穴を通してスリット状吐出口の先端に導いて、被塗布体の表面に塗液を塗布する状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図8】本発明の実施形態3に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に設ける樹脂製シール部材に、スリット状吐出口内の途中の位置までに挿入させる挿入部を設け、塗液案内穴としてスリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設けた樹脂製シール部材の概略斜視図及び概略側面図である。
図9】前記の実施形態3に係る塗布装置において、前記の樹脂製シール部材の挿入部における整流案内穴と整流穴が連通するようにしてスリット状吐出口内に挿入させる整流部材の概略斜視図及び概略側面図である。
図10】前記の実施形態3に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に前記の樹脂製シール部材を設け、樹脂製シール部材における挿入部をスリット状吐出口内の途中の位置までに挿入させると共に、樹脂製シール部材における多数の整流案内穴と連通するようにして、多数の整流穴が設けられた整流部材をスリット状吐出口内に挿入させ、樹脂製シール部材における前記の多数の整流案内穴を、シャッター部材の外周面により閉塞させて、塗液収容部内の塗液がスリット状吐出口に導かれないようにした状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図11】前記の実施形態3に係る塗布装置において、シャッター部材を回転させ、シャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を樹脂製シール部材に設けた多数の整流案内穴の位置に導き、塗液収容部内の塗液を、樹脂製シール部材における多数の整流案内穴と整流部材における多数の整流穴を通してスリット状吐出口の先端に導いて、被塗布体の表面に塗液を塗布する状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図12】本発明の実施形態4に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に設ける樹脂製シール部材に、スリット状吐出口内に挿入されてスリット状吐出口の先端に至る挿入部を設け、塗液案内穴としてスリット状吐出口に沿って多数の整流案内穴を設けた樹脂製シール部材の概略斜視図及び概略側面図である。
図13】前記の実施形態4に係る塗布装置において、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に前記の樹脂製シール部材を設け、樹脂製シール部材における挿入部をスリット状吐出口の先端までに挿入させ、樹脂製シール部材における前記の多数の整流案内穴を、シャッター部材の外周面により閉塞させて、塗液収容部内の塗液がスリット状吐出口に導かれないようにした状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図14】前記の実施形態4に係る塗布装置において、シャッター部材を回転させ、シャッター部材の外周面に設けた塗液案内部を樹脂製シール部材に設けた多数の整流案内穴の位置に導き、塗液収容部内の塗液を、樹脂製シール部材における多数の整流案内穴を通してスリット状吐出口の先端に導いて、被塗布体の表面に塗液を塗布する状態を示した塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図15】前記の実施形態4に係る塗布装置の変更例として使用する樹脂製シール部材を示し、塗液を収容させた塗液収容部とシャッター部材との間に設ける樹脂製シール部材に、スリット状吐出口内に挿入されてスリット状吐出口の先端に至る挿入部を設け、塗液案内穴としてスリット状吐出口に沿ったスリット状案内穴を設けた樹脂製シール部材の概略斜視図及び概略側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る塗布装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0020】
(実施形態1)
図1図3に示す実施形態1における塗布装置においては、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設け、塗液供給パイプ21に設けた塗液供給弁22を開けて、塗液Pを塗液収容部11内に供給させると共に、塗布用ノズル10の突出した先端部に、前期の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設けている。
【0021】
そして、実施形態1の塗布装置においては、前記の塗液収容部11内に、前記のスリット状吐出口12の上で回転してスリット状吐出口12の開閉を行うシャッター部材13を設けるようにし、このシャッター部材13としては、棒状体の外周面13aに塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内部13bを凹設させたものを用いている。
【0022】
また、実施形態1の塗布装置においては、前記のシャッター部材13と塗液収容部11との間に、樹脂製シール部材30をその双方に接触させて設けるようにし、この樹脂製シール部材30においては、図1に示すように、前記の塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内穴31として、前記のスリット状吐出口12に沿ったスリット状案内穴31aを設けている。
【0023】
そして、実施形態1の塗布装置においては、前記の樹脂製シール部材30におけるスリット状案内穴31aが前記のスリット状吐出口12の上に位置するようにして、樹脂製シール部材30をシャッター部材13と塗液収容部11との間に配置させ、前記のシャッター部材13を前記の樹脂製シール部材30の上で回転させるようにしている。なお、以下の実施形態においては、前記のシャッター部材13と接触する樹脂製シール部材30の上面を平面状に形成しているが、樹脂製シール部材30の上面を、シャッター部材13の外周面13aに対応させて円弧状に形成することもできる。
【0024】
ここで、図2に示すように、前記のシャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30における前記のスリット状案内穴31aの位置に導かれていない状態では、シャッター部材13の外周面13aが樹脂製シール部材30の上に密接された状態で、樹脂製シール部材30におけるスリット状案内穴31aがシャッター部材13の外周面13aによって閉塞されるようになり、塗液収容部11内の塗液Pが、スリット状案内穴31aから前記のスリット状吐出口12に導かなれなくなると共に、シャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間から塗液Pがスリット状吐出口12に導かれるのも確実に防止される。
【0025】
この状態から、前記のシャッター部材13が、樹脂製シール部材30の上で回転されて、図3に示すように、シャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30におけるスリット状案内穴31aの位置に導かれると、塗液収容部11内の塗液Pが、シャッター部材13における塗液案内部13bから樹脂製シール部材30におけるスリット状案内穴31aを通して前記のスリット状吐出口12に導かれ、このスリット状吐出口12から相対的に移動される被塗布体Wの表面に塗液Pが塗布されるようになる。
【0026】
そして、前記のようにシャッター部材13を樹脂製シール部材30の上で回転させて、シャッター部材13の外周面13aと前記の塗液案内部13bにより、樹脂製シール部材30に設けたスリット状案内穴31aを開閉させるようにすると、シャッター部材13の外周面13aにより樹脂製シール部材30におけるスリット状案内穴31aを閉塞させた状態で、塗液収容部11内の塗液Pがシャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間からスリット状吐出口12に導かれるのが防止されて、塗液Pが漏れ出すのが確実に抑制される。
【0027】
また、シャッター部材13が樹脂製シール部材30の上で回転されるため、従来のように、シャッター部材13や塗液収容部11の内面が磨耗したり、傷ついたりすることも防止される。特に、前記の樹脂製シール部材30にフッ素系樹脂を用いると、シャッター部材13を樹脂製シール部材30の上で回転させる場合の摩擦抵抗が少なくなり、シャッター部材13がスムーズに回転されて、樹脂製シール部材30に設けたスリット状案内穴31aの開閉が円滑に行えると共に、シャッター部材13や樹脂製シール部材30が磨耗するのも抑制することができる。なお、この実施形態1においては、樹脂製シール部材30がシャッター部材13の回転によって位置がずれないよう、塗液収容部11の底面に凹状のくぼみを設け、樹脂製シール部材30と嵌めあい構造になるようにしている。
【0028】
(実施形態2)
図4図7に示す実施形態2における塗布装置においても、前記の実施形態1の塗布装置と同様に、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設け、塗液供給パイプ21に設けた塗液供給弁22を開けて、塗液Pを塗液収容部11内に供給させると共に、塗布用ノズル10の突出した先端部に、前期の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設け、前記の塗液収容部11内に、前記のスリット状吐出口12の上で回転してスリット状吐出口12の開閉を行うシャッター部材13を設け、このシャッター部材13としては、棒状体の外周面13aに塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内部13bを凹設させたものを用いている。
【0029】
ここで、実施形態2の塗布装置においては、前記のシャッター部材13と塗液収容部11との間に設ける樹脂製シール部材30として、図4に示すように、前記の塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内穴31として、前記のスリット状吐出口12に沿って多数の整流案内穴31bを設けたものを用いている。
【0030】
そして、実施形態2の塗布装置においては、前記の樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bが前記のスリット状吐出口12の上に位置するようにして、樹脂製シール部材30をシャッター部材13と塗液収容部11との間に配置させ、前記のシャッター部材13を前記の樹脂製シール部材30の上で回転させるようにしている。
【0031】
また、実施形態2の塗布装置においては、図5に示すように、前記の樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bに対応するようにして、多数の整流穴41が設けられた整流部材40を用い、この整流部材40における多数の整流穴41を前記の樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bと連通させるようにして、前記の整流部材40を前記のスリット状吐出口12内に挿入させてスリット状吐出口12の先端部に導くようにしている。なお、前記の整流部材40として、この実施形態2においては、整流穴41を構成する凹部が設けられた2枚の部材を接合させたものを用いるようにしたが、整流部材40はこのようなものに限定されず、直方体状の部材に整流穴41を貫通させるようにして設けたものであってもよい。
【0032】
ここで、実施形態2の塗布装置において、図6に示すように、前記のシャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bの位置に導かれていない状態では、シャッター部材13の外周面13aが樹脂製シール部材30の上に密接された状態で、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bがシャッター部材13の外周面13aによって閉塞され、塗液収容部11内の塗液Pが、多数の整流案内穴31bから前記のスリット状吐出口12内に設けられた整流部材40における多数の整流穴41に導かなれなくなると共に、シャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間から塗液Pがスリット状吐出口12に導かれるのも確実に防止される。
【0033】
この状態から、前記のシャッター部材13が、樹脂製シール部材30の上で回転されて、図7に示すように、シャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bの位置に導かれると、塗液収容部11内の塗液Pが、シャッター部材13の塗液案内部13bから樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bを通して、スリット状吐出口12内に設けた前記の整流部材40における多数の整流穴41に導かれ、多数の整流穴41を通して塗液Pがスリット状吐出口12の先端部に導かれて吐出され、相対的に移動される被塗布体Wの表面に塗液Pが塗布されるようになる。
【0034】
そして、前記のようにシャッター部材13を樹脂製シール部材30の上で回転させて、シャッター部材13の外周面13aと前記の塗液案内部13bにより、樹脂製シール部材30に設けた多数の整流案内穴31bを開閉させるようにすると、シャッター部材13の外周面13aにより樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bを閉塞させた状態で、塗液収容部11内の塗液Pがシャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間からスリット状吐出口12に導かれるのが防止されて、塗液Pが漏れ出すのが確実に抑制されると共に、従来のように、シャッター部材13や塗液収容部11の内面が磨耗したり、傷ついたりすることも防止される。
【0035】
また、実施形態2の塗布装置のように、塗液収容部11内の塗液Pを、シャッター部材13の塗液案内部13bから樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bを通して、スリット状吐出口12内に設けた前記の整流部材40における多数の整流穴41に導き、多数の整流穴41を通してスリット状吐出口12の先端部から塗液Pを被塗布体Wの表面に吐出させるようにすると、先の特許第6847566号公報等に示されているように、シャッター部材13の外周面13aに凹設させる塗液案内部13bの形状が、楕円形状等の様々な形状になっていても、塗液案内部13bの形状に対応した部分に位置する樹脂製シール部材30における整流案内穴31bを通り、さらに整流部材40における整流穴41を通して塗液Pが被塗布体Wの表面に吐出されるようになり、塗液Pがスリット状吐出口12の中を通る間に、スリット状吐出口12の幅方向に広がってしまうことなく、被塗布体Wの表面に塗液案内部13bの形状に応じた塗液Pの塗布が行えるようになる。
【0036】
(実施形態3)
図8図11に示す実施形態3における塗布装置においても、前記の実施形態1、2の塗布装置と同様に、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設け、塗液供給パイプ21に設けた塗液供給弁22を開けて塗液Pを塗液収容部11内に供給させると共に、塗布用ノズル10の突出した先端部に、前期の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設け、前記の塗液収容部11内に、前記のスリット状吐出口12の上で回転してスリット状吐出口12の開閉を行うシャッター部材13を設け、またこのシャッター部材13としては、棒状体の外周面13aに塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内部13bを凹設させたものを用いている。
【0037】
ここで、実施形態3の塗布装置においては、前記のシャッター部材13と塗液収容部11との間に設ける樹脂製シール部材30として、図8に示すように、前記の塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内穴31として、前記のスリット状吐出口12に沿って多数の整流案内穴31bを設けると共に、前記のスリット状吐出口12内に挿入させる挿入部32を設けたものを用いるようにしている。
【0038】
そして、実施形態3の塗布装置においては、多数の整流案内穴31bが設けられた前記の樹脂製シール部材30における挿入部32を、前記のスリット状吐出口12内に挿入させて、樹脂製シール部材30をシャッター部材13と塗液収容部11との間に配置させ、前記のシャッター部材13を前記の樹脂製シール部材30の上で回転させるようにしている。
【0039】
また、実施形態3の塗布装置においては、図9に示すように、前記の樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bに対応するようにして、多数の整流穴41が設けられた整流部材40を用い、この整流部材40における多数の整流穴41を、前記の樹脂製シール部材30の挿入部32における多数の整流案内穴31bに連通させるようにして、整流部材40を前記のスリット状吐出口12内に挿入させてスリット状吐出口12の先端部に導くようにしている。
【0040】
ここで、実施形態3の塗布装置において、図10に示すように、前記のシャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bの位置に導かれていない状態では、シャッター部材13の外周面13aが樹脂製シール部材30の上に密接された状態で、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bがシャッター部材13の外周面13aによって閉塞されるようになり、塗液収容部11内の塗液Pが、多数の整流案内穴31bから前記のスリット状吐出口12内に設けられた整流部材40における多数の整流穴41に導かなれなくなると共に、シャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間から塗液Pがスリット状吐出口12に導かれるのも確実に防止される。
【0041】
この状態から、前記のシャッター部材13が、樹脂製シール部材30の上で回転されて、図11に示すように、シャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bの位置に導かれると、塗液収容部11内の塗液Pが、シャッター部材13の塗液案内部13bから樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bに導かれると共に、この樹脂製シール部材30の挿入部32における多数の整流案内穴31bからスリット状吐出口12内に設けた前記の整流部材40における多数の整流穴41に導かれ、この塗液Pが多数の整流穴41を通してスリット状吐出口12の先端部に導かれて吐出されて、相対的に移動される被塗布体Wの表面に塗液Pが塗布されるようになる。
【0042】
そして、前記のようにシャッター部材13を樹脂製シール部材30の上で回転させて、シャッター部材13の外周面13aと前記の塗液案内部13bにより、樹脂製シール部材30に設けた多数の整流案内穴31bを開閉させるようにすると、シャッター部材13の外周面13aにより樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bを閉塞させた状態で、塗液収容部11内の塗液Pがシャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間からスリット状吐出口12に導かれるのが防止されて、塗液Pが漏れ出すのが確実に抑制されると共に、従来のように、シャッター部材13や塗液収容部11の内面が磨耗したり、傷ついたりすることも防止される。
【0043】
また、実施形態3の塗布装置も、前記の実施形態2の塗布装置と同様に、塗液収容部11内の塗液Pを、シャッター部材13の塗液案内部13bから樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bを通して、スリット状吐出口12内に設けた前記の整流部材40における多数の整流穴41に導き、多数の整流穴41を通してスリット状吐出口12の先端部から塗液Pを被塗布体Wの表面に吐出させるようにしたため、塗液案内部13bの形状に対応した部分に位置する樹脂製シール部材30における整流案内穴31bを通り、さらに整流部材40における整流穴41を通して塗液Pが被塗布体Wの表面に吐出されるようになり、塗液Pがスリット状吐出口12の中を通る間に、スリット状吐出口12の幅方向に広がってしまうことなく、被塗布体Wの表面に塗液案内部13bの形状に応じた塗液Pの塗布が行えるようになる。
【0044】
(実施形態4)
図12図14に示す実施形態4における塗布装置においても、前記の実施形態1~3の塗布装置と同様に、塗布用ノズル10の内部に塗液Pを収容させる塗液収容部11を設け、塗液供給パイプ21に設けた塗液供給弁22を開けて塗液Pを塗液収容部11内に供給させると共に、塗布用ノズル10の突出した先端部に、前期の塗液収容部11内に収容された塗液Pを吐出させるスリット状吐出口12を設け、前記の塗液収容部11内に、前記のスリット状吐出口12の上で回転してスリット状吐出口12の開閉を行うシャッター部材13を設け、またこのシャッター部材13としては、棒状体の外周面13aに塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内部13bを凹設させたものを用いている。
【0045】
ここで、実施形態4の塗布装置においては、前記のシャッター部材13と塗液収容部11との間に設ける樹脂製シール部材30として、図12に示すように、前記の塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内穴31として、前記のスリット状吐出口12に沿って多数の整流案内穴31bを設けると共に、前記のスリット状吐出口12の先端部まで挿入させる挿入部32を設けたものを用いるようにしている。
【0046】
そして、実施形態4の塗布装置においては、多数の整流案内穴31bが設けられた前記の樹脂製シール部材30における挿入部32を、前記のスリット状吐出口12の先端部まで挿入させて、樹脂製シール部材30をシャッター部材13と塗液収容部11との間に配置させ、前記のシャッター部材13を前記の樹脂製シール部材30の上で回転させるようにしている。
【0047】
ここで、実施形態4の塗布装置において、図13に示すように、前記のシャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bの位置に導かれていない状態では、シャッター部材13の外周面13aが樹脂製シール部材30の上に密接された状態で、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bがシャッター部材13の外周面13aによって閉塞されるようになり、塗液収容部11内の塗液Pが、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bに導かなれなくなると共に、シャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間から塗液Pがスリット状吐出口12に導かれるのも確実に防止される。
【0048】
この状態から、前記のシャッター部材13が、樹脂製シール部材30の上で回転されて、図14に示すように、シャッター部材13に設けられた塗液案内部13bが、樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bの位置に導かれると、塗液収容部11内の塗液Pが、シャッター部材13の塗液案内部13bから樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bに導かれ、この樹脂製シール部材30の挿入部32における多数の整流案内穴31bを通してスリット状吐出口12の先端部に導かれて吐出されて、相対的に移動される被塗布体Wの表面に塗液Pが塗布されるようになる。
【0049】
そして、前記のようにシャッター部材13を樹脂製シール部材30の上で回転させて、シャッター部材13の外周面13aと前記の塗液案内部13bにより、樹脂製シール部材30に設けた多数の整流案内穴31bを開閉させるようにすると、シャッター部材13の外周面13aにより樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bを閉塞させた状態で、塗液収容部11内の塗液Pがシャッター部材13の外周面13aと樹脂製シール部材30との隙間からスリット状吐出口12に導かれるのが防止されて、塗液Pが漏れ出すのが確実に抑制されると共に、従来のように、シャッター部材13や塗液収容部11の内面が磨耗したり、傷ついたりすることも防止される。
【0050】
また、実施形態4の塗布装置も、前記の実施形態2、3の塗布装置と同様に、塗液収容部11内の塗液Pを、シャッター部材13の塗液案内部13bから樹脂製シール部材30における多数の整流案内穴31bを通して、スリット状吐出口12内に設けた前記の整流部材40における多数の整流穴41に導き、多数の整流穴41を通してスリット状吐出口12の先端部から塗液Pを被塗布体Wの表面に吐出させるようにしたため、塗液案内部13bの形状に対応した部分に位置する樹脂製シール部材30における整流案内穴31bを通り、さらに整流部材40における整流穴41を通して塗液Pが被塗布体Wの表面に吐出されるようになり、塗液Pがスリット状吐出口12の中を通る間に、スリット状吐出口12の幅方向に広がってしまうことなく、被塗布体Wの表面に塗液案内部13bの形状に応じた塗液Pの塗布が行えるようになる。
【0051】
ここで、実施形態4の塗布装置においては、シャッター部材13と塗液収容部11との間に設ける樹脂製シール部材30として、前記のように塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内穴31として、前記のスリット状吐出口12に沿って多数の整流案内穴31bを設けると共に、前記のスリット状吐出口12の先端部まで挿入させる挿入部32を設けたものを用いるようにしたが、図15に示すように、実施形態1に示した樹脂製シール部材30のように、塗液収容部11内の塗液Pを前記のスリット状吐出口12に導く塗液案内穴31として、スリット状吐出口12に沿ったスリット状案内穴31aを設け、このようにスリット状案内穴31aを設けた樹脂製シール部材30に、前記のようにスリット状吐出口12の先端部まで挿入させる挿入部32を設けたものを用いるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0052】
10 :塗布用ノズル
11 :塗液収容部
12 :スリット状吐出口
13 :シャッター部材
13a :外周面
13b :塗液案内部
21 :塗液供給パイプ
22 :塗液供給弁
30 :樹脂製シール部材
31 :塗液案内穴
31a :スリット状案内穴
31b :整流案内穴
32 :挿入部
40 :整流部材
41 :整流穴
P :塗液
W :被塗布体
【要約】
【課題】 スリット状吐出口の上でシャッター部材を回転させて、スリット状吐出口の開閉を行うにあたり、シャッター部材の外周面と塗液収容部の内面との隙間から塗液がスリット状吐出口に漏れ出すのを防止する。
【解決手段】 スリット状吐出口12の上でシャッター部材13を回転させて、スリット状吐出口の開閉を行うにあたり、シャッター部材と塗液収容部11との間に、スリット状吐出口に対応した塗液案内穴31を有する樹脂製シール部材30を設け、シャッター部材の外周面13aにより塗液案内穴を閉塞させて、塗液収容部内の塗液Pをスリット状吐出口に導かないようにする一方、シャッター部材の外周面に設けた塗液案内部13bを塗液案内穴に導いて、塗液収容部内の塗液を、塗液案内部と塗液案内穴を通してスリット状吐出口に導くようにした。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15