(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】半導体装置、機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20240909BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240909BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240909BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H01L21/90 A
H01L21/88 N
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2019015822
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2022-01-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 拓海
(72)【発明者】
【氏名】小林 広明
(72)【発明者】
【氏名】丹下 勉
(72)【発明者】
【氏名】清水 昭宏
【合議体】
【審判長】小宮 慎司
【審判官】松永 稔
【審判官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-019147(JP,A)
【文献】特開2012-190961(JP,A)
【文献】特開2003-086589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/3205, H01L21/768, H01L27/146, H01L23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層および前記第1半導体層の上の第1絶縁膜を含む第1半導体部品と、
第2半導体層および前記第2半導体層の上の第2絶縁膜を含む第2半導体部品と、
を備える半導体装置であって、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品は、前記第1絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第1導電体部の各々と、前記第2絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第2導電体部の各々と、によって互いに接合されており、
前記複数の第1導電体部の各々は、前記第1半導体層の主面に沿った第1方向において前記第1絶縁膜に囲まれた1個のパッドと、前記主面に垂直な第2方向において前記1個のパッドと前記第1半導体層との間に位置するように前記1個のパッドに結合するN個(Nは2以上の自然数)のビアと、により構成されており、
前記1個のパッドの体積VTRと、前記N個の前記ビアの合計の体積VTHと、が
VTR/VTH≧N
を満たすことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1半導体層および前記第1半導体層の上の第1絶縁膜を含む第1半導体部品と、
第2半導体層および前記第2半導体層の上の第2絶縁膜を含む第2半導体部品と、
を備える半導体装置であって、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品は、前記第1絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第1導電体部の各々と、前記第2絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第2導電体部の各々と、によって互いに接合されており、
前記複数の第1導電体部の各々は、前記第1半導体層の主面に沿った第1方向において前記第1絶縁膜に囲まれた1個のパッドと、前記主面に垂直な第2方向において前記1個のパッドと前記第1半導体層との間に位置するように前記1個のパッドに結合するN個(Nは2以上の自然数)のビアと、により構成されており、
前記1個のパッドの体積VTRと、前記N個の前記ビアの少なくとも1個のビアの体積VSHと、が
VTR/VSH≧N
2
を満たすことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
N×VTR/VTH≦36である請求項1に記載の半導体装置、または、
VTR/VSH≦36である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ビアの厚みが前記パッドの厚みより大きい、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の第1導電体部の各々は、
前記パッドを構成し銅を主成分とする第1銅領域と、
前記ビアを構成し銅を主成分とする第2銅領域と、
前記第1銅領域と前記第1絶縁膜との間に位置する第1バリアメタル部と、
前記第2銅領域と前記第1絶縁膜との間に位置する第2バリアメタル部と、
を含み、
前記第1銅領域が前記第2銅領域に連続しており、
前記第1バリアメタル部が前記第2バリアメタル部に連続している、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品は、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜とによって互いに接合されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜は、
第1酸化シリコン層と、
前記第2方向において前記第1酸化シリコン層と前記第1半導体層との間に配された第2酸化シリコン層と、
前記第2方向において前記第1酸化シリコン層と前記第2酸化シリコン層との間に配された窒化シリコン層と、
を含み、
前記第1酸化シリコン層が前記第1方向において前記パッドを囲み、
前記第2酸化シリコン層が前記第1方向において前記ビアを囲む、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記窒化シリコン層は、
前記第1方向において前記パッドを囲む第1部分と、前記第2方向において前記第2酸化シリコン層と前記パッドとの間に位置する第2部分と、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1酸化シリコン層の厚さをa、前記第2酸化シリコン層のうちの前記パッドに重なる部分の厚さをdとして、a<dを満たす、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1部分の厚さをb、前記第2部分の厚さをcとして、c<bを満たす、
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1酸化シリコン層の厚さをa、前記第1部分の厚さをb、前記第2部分の厚さをcとして、前記第2酸化シリコン層のうちの前記パッドに重なる部分の厚さをdとして、a<bおよびc<dを満たす、
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の第1導電体部と前記第1半導体層との間には、主にアルミニウムによって構成されている配線層が位置する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1半導体層にはフォトダイオードが設けられている、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1半導体層にはデジタル信号処理回路が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から
12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記複数の第2導電体部の各々は、前記第2半導体層の主面に沿った第3方向において前記第2絶縁膜に囲まれた1個のパッド部と、前記主面に垂直な第4方向において前記1個のパッド部と前記第1半導体層との間に位置するように前記1個のパッド部に連続するM個(Mは2以上の自然数)のビア部と、により構成されており、
前記1個のパッド部の体積VTRPと、前記M個の前記ビアの合計の体積VTHPと、が
VTRP/VTHP≧M
を満たすことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置に結像する光学系、
前記半導体装置を制御する制御装置、
前記半導体装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記半導体装置が得る情報を表示する表示装置、
前記半導体装置が得る情報を記憶する記憶装置、
可動部または推進部を有する機械装置、
の6つのうち少なくともいずれかと、
を備える機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、機器に関する
【背景技術】
【0002】
複数の半導体層が積層され、この複数の半導体層の間に配置された複数の導電体部が接合された半導体装置が知られている。特許文献1には、接合面を構成する層を、層間絶縁膜と、層間絶縁膜に埋め込まれ、一方の表面が層間絶縁膜の表面と同一面上に位置した電極パッドとによって構成した半導体装置が開示されている。特許文献1において、電極パッドにはビアが接続されており、各電極パッドは、ビアを介して配線に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電体部の熱膨張の影響により導電体部の体積が変動すると、導電体部の近傍に応力が生じるため、導電体部の形状によっては、接合の信頼性が十分でない可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、半導体装置において複数の部品の接合の信頼性を向上するうえで有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、
第1半導体層および前記第1半導体層の上の第1絶縁膜を含む第1半導体部品と、
第2半導体層および前記第2半導体層の上の第2絶縁膜を含む第2半導体部品と、
を備える半導体装置であって、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品は、前記第1絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第1導電体部の各々と、前記第2絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第2導電体部の各々と、によって互いに接合されており、
前記複数の第1導電体部の各々は、前記第1半導体層の主面に沿った第1方向において前記第1絶縁膜に囲まれた1個のパッドと、前記主面に垂直な第2方向において前記1個のパッドと前記第1半導体層との間に位置するように前記1個のパッドに結合するN個(Nは2以上の自然数)のビアと、により構成されており、
前記1個のパッドの体積VTRと、前記N個の前記ビアの合計の体積VTHと、が
VTR/VTH≧N
を満たすことを特徴とする半導体装置である。
【0007】
本発明の第2の態様は、
第1半導体層および前記第1半導体層の上の第1絶縁膜を含む第1半導体部品と、
第2半導体層および前記第2半導体層の上の第2絶縁膜を含む第2半導体部品と、
を備える半導体装置であって、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品は、前記第1絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第1導電体部の各々と、前記第2絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第2導電体部の各々と、によって互いに接合されており、
前記複数の第1導電体部の各々は、前記第1半導体層の主面に沿った第1方向において前記第1絶縁膜に囲まれた1個のパッドと、前記主面に垂直な第2方向において前記1個のパッドと前記第1半導体層との間に位置するように前記1個のパッドに結合するN個(Nは2以上の自然数)のビアと、により構成されており、
前記1個のパッドの体積VTRと、前記N個の前記ビアの少なくとも1個のビアの体積VSHと、が
VTR/VSH≧N2
を満たすことを特徴とする半導体装置である。
【0008】
本発明の第3の態様は、
第1半導体層および前記第1半導体層の上の第1絶縁膜を含む第1半導体部品と、
第2半導体層および前記第2半導体層の上の第2絶縁膜を含む第2半導体部品と、を備え、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品は、前記第1絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第1導電体部の各々と、前記第2絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の第2導電体部の各々と、によって互いに接合されており、
前記複数の第1導電体部の各々は、前記第1半導体層の主面に沿った第1方向において前記第1絶縁膜に囲まれた1個のパッドと、前記主面に垂直な第2方向において前記1個のパッドと前記第1半導体層との間に位置するように前記1個のパッドに結合する少なくとも1個のビアと、により構成されており、
前記1個のパッドの体積VTRと、前記1個の前記ビアの体積VSHと、が
VTR/VSH≧16
を満たすことを特徴とする半導体装置である。
【0009】
本発明の第4の態様は、
半導体層と、半導体層の上の絶縁膜と、絶縁膜に設けられた複数の凹部の各々の中に配置された複数の導電体部と、を備え、前記絶縁膜および前記複数の導電体部の各々が他のウエハに接合される半導体ウエハであって、
前記複数の導電体部の各々は、前記半導体層の主面に沿った第1方向において前記絶縁膜に囲まれた1個のパッドと、前記主面に垂直な第2方向において前記1個のパッドと前記半導体層との間に位置するように前記1個のパッドに結合するN個(Nは2以上の自然数)のビアと、により構成されており、
前記半導体ウエハの最表面から前記複数の導電体部の各々までの距離が前記1個のパッドの厚さよりも小さく、
前記1個のパッドの体積VTRと、前記1個の前記ビアの体積VSHと、が
N2≦VTR/VSH≦36を満たす、
ことを特徴とする半導体ウエハである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体装置において複数の部品の接合の信頼性を向上するうえで有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】実施形態1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート
【
図10】実施形態1に係る半導体装置の製造過程を示す図
【
図11】実施形態2に係る撮像システムの構成例を表す図
【
図12】実施形態3に係る撮像システムおよび移動体の構成例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0013】
<実施形態1>
本実施形態では、互いに接合された2つの半導体部品(チップ)によって構成される半導体装置APRにおいて、当該接合に用いる配線構造体の導電体部の体積や厚さを調整することによって、当該接合を強固にする。具体的には、導電体部におけるビアとパッドの体積や厚さを調整する。ビアやパッドの厚さとは、2つの半導体部品の各々に含まれる半導体層が積層する方向(積層方向)のビアやパッドの寸法を示す。積層方向は2つの半導体部品の各々に含まれる半導体層の主面に垂直な方向である。ビアやパッドの幅とは、2つの半導体部品の各々に含まれる半導体層の主面に沿った方向(平面方向)のビアやパッドの寸法を示す。
【0014】
[半導体装置APRの概要]
まず、以下にて半導体装置APRの概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置APRを説明する模式図である。
【0015】
半導体装置APRは、半導体デバイスICを含んでおり、半導体デバイスICのほかに、半導体デバイスICを実装するためのパッケージPKGを含んでいてもよい。本実施形態では、半導体装置APRは、光電変換装置(固体撮像装置)である。半導体デバイスICは、画素回路PXCがマトリックス配列された画素領域PXとその周辺の周辺領域PRを有する。周辺領域PRには、周辺回路を設けることができる。
【0016】
また、半導体装置APRは、機器EQPに備えられている。機器EQPは、光学系OPT、制御装置CTRL、処理装置PRCS、表示装置DSPL、記憶装置MMRYおよび機械装置MCHNの少なくともいずれかを備え得る。機器EQPについては、後述にて詳細に説明する。
【0017】
[半導体装置APRの構成]
続いて、半導体装置APRの構成について
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る半導体装置APRの断面図である。半導体装置APRは、積層された半導体層100および半導体層200を備える。半導体層100および半導体層200は、上述した半導体デバイスICに含まれる。この半導体層100および半導体層200が積層されている方向(Z軸方向)に半導体装置APRが切断されたものが、
図2が示す断面図である。
【0018】
半導体装置APRは、半導体層100と半導体層200との間に配置された配線構造体010および配線構造体020を備える。部品001は、半導体層100と配線構造体010とを備える半導体部品(半導体チップ)であり、部品002は半導体層200と配線構造体020とを備える半導体部品(半導体チップ)である。配線構造体010と配線構造体020はそれぞれ、後述するように、積層された複数の配線層と積層された複数の絶
縁膜を有する。このため、配線構造体010と配線構造体020とが接合されたものを、半導体装置APRにおける配線構造体部ということもできる。半導体装置APRは、部品001と部品002とが接合されることによって構成されている。
【0019】
半導体装置APRにおいて、配線構造体010と配線構造体020とが接合されている。より詳細には、配線構造体010と配線構造体020とは、配線構造体010の接合部材411と配線構造体020の接合部材421とによって構成される接合面400において接合される。なお、接合面400は、接合部材411の表面と接合部材421の表面とを含む。
【0020】
なお、
図2では、半導体層100と半導体層200とが積層される方向を積層方向Zと、積層方向Zに直交する方向を平面方向X,Yとして示している。ここで、平面方向Xと平面方向Yは互いに直交する。また、以下では、Z軸方向において、半導体層100に対して半導体層200が配置される側を「上」と定義して、Z軸方向において「上」と反対の方向を「下」と定義する。
【0021】
(配線構造体010について)
配線構造体010は、絶縁膜103、コンタクトプラグ104、配線層105、絶縁膜106、配線層107、ビアプラグ108、絶縁膜109、ビアプラグ110、配線層111を含む。また、配線構造体010は、配線層111の上に配置された絶縁膜112と、を含む。配線構造体010は、複数の導電体部213を含む。さらに、絶縁膜112と、複数の導電体部113を含む。接合部材411は配線構造体010の一部であり、絶縁膜112と複数の導電体部113を含む。典型的には、導電体部113の熱膨張係数は絶縁膜112の熱膨張係数よりも大きく、導電体部213の熱膨張係数は絶縁膜212の熱膨張係数よりも大きい。
【0022】
ビアプラグ108は、配線層105と配線層107を接続する。
ビアプラグ110は、配線層107と配線層111を接続する。
【0023】
複数の導電体部113は、絶縁膜112に設けられた複数の凹部の各々の中に埋め込まれたダマシン構造を有し、部品002に部品001を電気的に接続するために用いられる。導電体部113は、パッド311とビア312を有する。1個のパッド311は平面方向X,Yにおいて絶縁膜112に囲まれている。1個のパッド311の輪郭が、1個のパッド311を囲む絶縁膜112の輪郭に一致する。1個の導電体部113に含まれる1個のパッド311に、N個(Nは自然数)のビア312が結合している。積層方向Zにおいて、N個のビア312はパッド311と半導体層100との間に位置する。つまり、1個のパッド311から半導体層100の主面に対する正射影にN個のビア312が位置する。1個のビア312の幅は1個のパッド311の幅よりも大きい。N個のビア312の各々は平面方向X、Yにおいて絶縁膜112に囲まれている。N個のビア312の各々の間には絶縁膜112が存在している。1個のビア312の輪郭が、1個のビア312を囲む絶縁膜112の輪郭に一致する。本実施形態では、ビア312の厚みはパッド311の厚みより大きいことが好ましい。なお、本実施形態における「厚み」は、Z軸方向の長さのことである。また、導電体部113は、アルミニウムによって構成される配線層111に接続している。より詳細には、ビア312の少なくとも一部は、配線層111に接続する。例えば、導電体部113のパッド311とビア312は、デュアルダマシン構造であり、主成分を銅(Cu)として形成される。
図2に示すように、接合部材411は、パッドを有しビアを有しないシングルダマシン構造の導電体部114を有することもできる。
図2に示すように、接合部材421は、パッドを有しビアを有しないシングルダマシン構造の導電体部214を有することもできる。導電体部114と導電体部214とが接合することにより、部品001と部品002との接合をより強固にすることができる。
【0024】
なお、部品001と部品002を接合し、導電体部113と導電体部213を電気的に接続させるためには300~400℃前後の熱処理を実施することが好ましい。しかしながら、熱処理の際に導電体内のパッド311とビア312の体積関係次第ではビア312の熱膨張の影響が大きくなり接合界面から剥がれてしまう懸念がある。また、接合後のいくつかの製造工程(成膜やエッチング、アニール)でも100~400℃程度の熱処理が実施されうる。その熱処理でも同様にビア312の熱膨張の影響が大きくなると接合界面から剥がれてしまう懸念がある。また、半導体装置APRは例えば0℃程度の環境下で使用される場合があり、使用時の半導体装置APRの発熱により半導体装置APRの温度が80℃程度まで上昇する可能性があり、このような温度サイクルに対する耐久性も求められる。本発明者らはパッド311の体積に対してビア312の体積が相対的に小さいほど良好な接合が得られると考えている。そして、1個のパッド311あたりのビア312の数が大きいほど、パッド311の体積に対するビア312の体積の比率を小さくすることが有用であると考えている。これは、ビア312の数が増えるほど、導電体部内での体積の不均一性が大きくなるからであり、このような導電体部内での体積の不均一性が接合の信頼性を低下させるためだと推測される。
【0025】
そこで、本実施形態では、良好な接合を行うために、パッド311とビア312の体積の関係が、以下の(1)~(3)の少なくともいずれかの条件(関係)が成り立つように、パッド311とビア312を決める。なお、以下では、この(1)~(3)の条件を「良接合条件」と呼び説明する。
(1)1個のパッド311の体積VTRと、1個のパッド311に結合するN個(Nは自然数)のビア312の合計の体積VTHとが、以下の関係を満たす。
・Nが2以上であり、VTR/VTH≧Nである。
・Nが1であり、VTR/VTH≧2である。
N個のビア312のうちの1個のビア312の平均の体積VSH=VTH/Nである。VSH=VTH/NをVTR/VTH≧Nに代入すれば、VTR/VSH≧N2となる。(2)1個のパッド311の体積VTRと、1個のパッド311に結合するN個(Nは自然数)のビア312の少なくとも1個(N個のビア312のいずれか1個)のビア312の体積VSHと、が以下の関係を満たす。
・Nが2以上であり、VTR/VSH≧N2である。
例えば、Nが2の場合は、VTR/VSH≧4であり、Nが4の場合は、VTR/VSH≧16である。
(3)1個のパッド311の体積VTRと、1個のパッド311に結合するN個(Nは自然数)のビア312の少なくとも1個(N個のビア312のいずれか1個)のビアの体積VSHと、が以下の関係を満たす。
・VTR/VSH≧16である。
この場合、Nは1であってもよいし、Nは2以上であってもよい。
【0026】
なお、条件(2)、(3)について、N個のビア312のうちの少なくとも1個のビア312が条件(2)や条件(3)を満たしていればよい。N個のビア312のすべてが条件(2)や条件(3)を満たさない場合に比べれば、より小さいビア312を採用することで信頼性を向上できるからである。当然、N個のビア312のすべてが条件(2)や条件(3)を満たすことが好ましい。
【0027】
このように良接合条件を満たすことにより、部品001と部品002を接合する際の導電体の熱膨張の影響、特にビア部分の熱膨張の影響を抑制することができる。従って、接合界面から剥がれてしまい、接合の信頼性が低下することを抑制できる。上記良接合条件は、導電体部113のビア312の厚みが導電体部113のパッド311の厚みより大きい場合に、より効果的である。導電体部113と導電体部213の膨張が接合に与える影
響は、ビア312の積層方向における寸法(厚み)が、ビア312の面内方向における寸法(幅)よりも大きいためである。上述のようにビア312を極端に増やすと信頼性は低下するため、ビア312の数(N個)の上限はN=6でありうる。つまり、条件(1)については、VTR/VTH≦6でありうるし、N×VTR/VTH≦36でありうる。条件(2)、(3)については、VTR/VSH≦36でありうる。なお、接合部材411にはビア312を有する導電体部113の他にビアを有しない導電体部114があってもよいことを図示したが、導電体部113よりもビアの数が多い導電体部(不図示)があってもよい。このようなビアの数が多い導電体部におけるビアの数はNを超えてもよく、上述した条件(1)~(3)を満たさなくてもよい。しかし、半導体装置APRにおける部品001と部品002の接合の信頼性を高めるためには、導電体部113よりもビアの数が多い導電体部は導電体部113よりも少ないことが好ましい。
【0028】
このように、この良接合条件を成り立たせることで導電体部の熱膨張の影響により接合界面から剥がれてしまうことを抑制する。これにより、半導体装置APRの接合の信頼性を向上させることができる。
【0029】
(配線構造体020について)
配線構造体020は、絶縁膜203、コンタクトプラグ204、配線層205、絶縁膜206、配線層207、ビアプラグ208、絶縁膜209、配線層210、ビアプラグ211を含む。配線構造体020は、さらに、絶縁膜212と、導電体部213を含む。接合部材421は配線構造体020の一部であり、絶縁膜212と複数の導電体部213を含む。
【0030】
ビアプラグ208は、配線層205と配線層207を接続し、ビアプラグ211は、配線層207と配線層210を接続する。
【0031】
導電体部213は、絶縁膜212に設けられた凹部の中に埋め込まれたダマシン構造を有する。導電体部213の少なくとも一部は、配線層210に接続している。本実施形態では、導電体部213は、デュアルダマシン構造を有しており、パッド321とビア322で構成されている。部品001と部品002は、導電体部113と導電体部213とにより電気的に接続されている。
【0032】
なお、部品001の導電体部113と部品002の導電体部213との少なくとも一方に関して、上述したパッドとビアの厚みおよび体積の良接合条件を満たすようにするとよい。このことで、部品001と部品002は製造時の熱処理や使用時の温度上昇の際に、導電体部113もしくは導電体部213の熱膨張の影響により部品001と部品002が接合界面から剥がれてしまうことを抑制できる。従って、半導体装置APRの接合の信頼性を向上させることができる。なお、
図2が示す半導体装置APRでは、ビアとパッドを有する導電体部が4箇所存在するが、このうち1箇所でも上述の良接合条件が満たされていれば、半導体装置APRにおける接合部での信頼性を向上することができる。なお、良接合条件を満たす箇所がより多いほど、半導体装置APRにおける接合部での信頼性がより向上する。
【0033】
なお、導電体部113,213の主成分は好ましくは銅であるが、これに限定されることはなく、導電体部113,213の主成分は金や銀であってもよい。絶縁膜112,212の主成分は好ましくはシリコン化合物である。また、絶縁膜112,212は、金属の拡散を防止する層(例えば窒化シリコン層)と酸化シリコン層やlow-k材料層とを積層した膜構造などのように、複数の材質からなる複層構成であってもよい。これによれば、部品001と部品002との接合時に生じたアライメントズレによる導電体部113,213の接合ズレによる金属の拡散の影響を防ぐことができる。なお、絶縁膜112,
212の主成分は樹脂であってもよい。
【0034】
(半導体層100について)
半導体層100には、素子分離101、複数のトランジスタが設けられている。半導体層100の複数面のうち複数のトランジスタが設けられた面が半導体層100の主面である。主面のことを表面と称してもよく、主面の反対面を裏面と称してもよい。なお、光電変換装置としての半導体装置APRでは、半導体層100の集積回路には、画素信号を処理する、アナログ信号処理回路AD変換回路やノイズ除去回路、デジタル信号処理回路などの信号処理回路を含むことができる。また、半導体層100を「基板」、または「半導体基板」と呼ぶことができる。
【0035】
素子分離101は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有しており、半導体層100の素子領域(活性領域)を画定する。複数のトランジスタ102はCMOS回路を構成しうる。トランジスタ102のソース・ドレインはコバルトシリサイドやニッケルシリサイドなどのシリサイド層を有しうる。トランジスタ102のゲート電極はシリサイド層や金属層、金属化合物層を有しうる。トランジスタ102のゲート絶縁膜は、酸化化シリコン膜、窒化シリコン膜あるいは金属酸化膜でありうる。
【0036】
(半導体層200について)
半導体層200には、素子分離201、転送ゲート202(転送トランジスタ)、フォトダイオード220、フローティングディフュージョン221、画素トランジスタ(不図示)が設けられている。半導体層200の表面のうち複数のトランジスタが設けられた面が半導体層200の主面である。主面のことを表面と称してもよく、主面の反対面を裏面と称してもよい。また、半導体層200を「基板」、または「半導体基板」と呼ぶことができる。
【0037】
素子分離201は、STI構造を有し、半導体層200の素子領域(活性領域)を画定する。転送ゲート202は、フォトダイオード220の電荷を、フローティングディフュージョン221に転送する。
【0038】
また、半導体層200には、フォトダイオード220で生成された電荷を画素信号に変換する画素回路PXCが設けられている。画素回路PXCは、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタなどの画素トランジスタを含むことができる。フローティングディフュージョン221に転送された電荷に応じた画素信号が、増幅トランジスタによって生成される。フローティングディフュージョン221の電位はリセットトランジスタによってリセット電位にリセットされる。
【0039】
なお、光電変換装置として用いられる半導体装置APRでは、半導体層200の上に、金属酸化膜511、反射防止膜512、絶縁膜513、カラーフィルタ514、マイクロレンズ515が配置されている。絶縁膜513中に、例えばタングステンなどの金属膜で形成されるOB領域を形成するための遮光膜や、各画素の光が混色しないように分離のための遮光壁を含むことができる。本例の半導体装置APRは半導体層200の裏面が受光面となる裏面照射型のCMOSイメージセンサーであるが、本発明が適用可能な半導体装置APRはイメージセンサーに限らない。
【0040】
[配線構造体における接合の詳細]
以下にて、部品001の配線構造体010と部品002の配線構造体020との接合の詳細について説明する。
【0041】
図3(A)は、本実施形態に係る半導体装置APRの接合前の断面図である。より詳細
には、
図3(A)は、部品001の配線構造体010(接合部材411)の一部である接合部αを示す図である。接合部材411には複数の位置に接合部αが設けられている。また、
図3(B)は、
図3(A)の平面図(透視図)を示す。
図4は、半導体装置APRの接合後の断面図である。より詳細には、
図4は、接合部αと、部品002の配線構造体020(接合部材421)の一部である接合部βとが接合している状態を示す図である。接合部材421には複数の位置に接合部βが設けられている。
【0042】
なお、
図3(A)~
図4では、配線構造体010と配線構造体020とが積層される方向を積層方向Zと、積層方向Zに直交する方向を直交方向X,Yとして示している。直交方向Xと直交方向Yは互いに直交する。また、以下では、Z軸方向において、配線構造体010に対して配線構造体020が配置される側を「上」と定義して、Z軸方向において「上」と反対の方向を「下」と定義する。
【0043】
図3(A)を示すように、接合部αは、配線層111、絶縁膜112、導電体部113を有する。なお、
図2を用いて説明したように、部品001には、トランジスタなどの半導体素子を備えており、この半導体素子上に複数の配線層が設けられ、その複数の配線層の最も上部が配線層111である。また、導電体部113は、配線層111に接続して形成されている。導電体部113は、パッド311とビア312を有する。例えば、導電体部113におけるパッド311とビア312は、デュアルダマシン構造であり銅(Cu)で形成される。そのため、複数の導電体部113の各々は、パッド311を構成し銅を主成分とする銅領域3111(銅部)と、ビア312を構成し銅を主成分とする銅領域3121(銅部)を含む。銅領域3111が銅領域3121に連続している。また、パッド311およびビア312は、
図3(A)において導電体部113を囲うような太線によって示されている、バリアメタル膜3102を、絶縁膜112に接する部分に有する。バリアメタル膜3102は、タンタル(Ta)やタンタル化合物、あるいは、チタンやチタン化合物からなる。バリアメタル膜3102は、銅領域3111と絶縁膜112との間に位置する部分3112(バリアメタル部)と、銅領域3121と絶縁膜112との間に位置する部分3122(バリアメタル部)とを含む。部分3112が部分3122に連続している。このように、パッド311およびビア312では、バリアメタルによって囲まれている部分に、銅(Cu)によって構成されている部位を有する。なお、本実施形態では、パッド311の形状は四角柱であり、ビア312の形状は円錐台である。
【0044】
なお、絶縁膜112は、より詳細には、絶縁層1121と絶縁層1122と絶縁層1123との3層の絶縁膜によって構成される。絶縁層1121および絶縁層1123は、主にSi(ケイ素)とO(酸素)によって構成された酸化シリコン層であり、絶縁層1122は、主にSi(ケイ素)とN(窒素)によって構成された窒化シリコン層である。絶縁層1122は、主にSi(ケイ素)とC(炭素)によって構成された炭化シリコン層であってもよい。なお、酸化シリコン層にはSiおよびOよりも少ない濃度で、SiとOと軽元素以外の元素、例えばC(炭素)、窒素(N)、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルゴン(Ar)、ホウ素(B)、リン(P)およびS(硫黄)のいずれかを含むことができる。なお、窒化シリコン層にはSiおよびNよりも少ない濃度で、SiとNと軽元素以外の元素、例えばC(炭素)、酸素(O)、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルゴン(Ar)、ホウ素(B)、リン(P)およびS(硫黄)のいずれかを含むことができる。なお、酸化シリコン層、窒化シリコン層、炭化シリコン層は水素(H)などの軽元素を含むことができ、軽元素の濃度はSi、O、N、Cよりも多くてもよいし少なくてもよい。このように、主成分が絶縁層1121と異なる絶縁層1122は、エッチングによりパッド311に対応する溝を形成する際のエッチングストッパとして働くことができる。つまり、絶縁層1122があることによって、適切な厚さのパッド311およびビア312が形成可能である。絶縁膜112に含まれる、窒化シリコン層や炭化シリコン層としての絶縁層1122は、接合相手である接合部材421の導電体部213に含まれる銅が絶縁層1123
へ拡散することを抑制する。同様に、絶縁膜212に含まれる窒化シリコン層や炭化シリコン層としての絶縁層は、導電体部113に含まれる銅の拡散を抑制する。
【0045】
ここで、
図3(A)が示すように、絶縁層1121の厚さをaと定義し、絶縁層1122におけるパッド311を囲む部分の厚さをbと定義する。また、絶縁層1122におけるビア312を囲み、パッド311に重なる部分の厚さをcと定義し、絶縁層1123におけるビア312を囲み、積層方向Zから見てパッド311に重なる部分の厚さをdと定義する。厚さc=0とするように絶縁膜112がエッチングされてもよいが、a、b、c、dの少なくとも2つが、d>b>a≧cで表される関係の少なくとも一部を満たすようにエッチングがされることが好ましい。例えば、a<dを満たしてもよいし、c<bを満たしてもよいし、a<bを満たしてもよいし、c<dを満たしてもよい。絶縁層1121の厚さaは例えば100~300nmであり、絶縁層1122の厚さb+cは例えば300~500nmであり、絶縁層1123の厚さdは例えば400~800nmである。厚さbは例えば200~400nmであり、厚さcは例えば50~150nmである。
【0046】
なお、配線構造体020の一部である接合部βは、配線層210、絶縁膜212、導電体部213を有する。導電体部213は、パッド321とビア322を有する。また、絶縁膜212は、絶縁膜112と同様に三層の絶縁層によって構成されているとよい。
【0047】
図3(B)には、パッド311に接続する4個のビア312が存在する例を示している。ここで、
図4が示すように、接合部α(部品001)と接合部β(部品002)を接合し、導電体部113と導電体部213を電気的に接続させるためには、300~400℃前後の熱処理を実施する必要がある。しかしながら、熱処理の際に導電体内のパッドとビアの体積関係次第では、ビアの体積の熱膨張の影響が大きくなり接合界面から剥がれてしまう懸念がある。パッド311の下にある絶縁膜112とビア312とを比較すると、ビア312の熱膨張係数が絶縁膜112の熱膨張係数よりも大きい。そのため、パッド311の下における熱膨張の影響を小さくするには、パッド311の下に位置する絶縁膜112の体積を小さくするよりも、ビア312の体積を小さくする方が有効である。
【0048】
ここで、本実施形態においてパッド311の体積をVTRとし、ビア312の4個分の体積をVTHとする。そして、以下の関係を満たすようにパッド311とビア312の体積(サイズ)を決める。なお、VTHおよびVTRには、上述したバリアメタルの部分も含まれる。また、ビア312の厚みはパッド311の厚みより大きくてよい。
・VTR/VTH≧4(ビア312の個数)
【0049】
これによれば、接合部αと接合部βとを接合する際の導電体の熱膨張の影響、特にビア312の熱膨張の影響により接合界面から剥がれてしまうことによる接合の信頼性の低下を抑制することができる。
【0050】
より詳細に、良好な接合を行うためのパッド311とビア312の体積の関係の詳細を以下に記載する。つまり、1個のパッド311に対してN個(Nは自然数)のビア312が接続されている場合には、以下の「良接合条件」を満たすようにする。なお、ビア312の厚みはパッド311の厚みより大きい。パッド311の体積VTRと、N個のビア312の体積の合計VTHと、1個のパッド311に結合するN個(Nは自然数)のビア312の少なくとも1個のビアの体積VSHとが、以下の関係のいずれかを満たすことが好ましい。
・Nが2以上であり、VTR/VTH≧Nである。
・Nが1であり、VTR/VTH≧2である。
・Nが2以上であり、VTR/VSH≧N2である。
・Nに関わらず、VTR/VSH≧16である。
なお、上述の4つの関係に限らず、N≦6であってもよく、N×VTR/VSH≦36でもよいし、VTR/VSH≦36であってもよい。これらの関係の2つ以上を満たしてもよく、例えば、N2≦VTR/VSH≦36であってもよい。
【0051】
また、上述の良接合条件を満たすパッド311およびビア312について、具体的に数値を用いた一例を説明する。パッド311の厚さは、0.4μm~0.6μmであり、例えば、0.5μmである。ビア312の厚さは、0.7μm~0.9μmであり、例えば、0.8μmである。なお、上述より、
図5(A)において、パッド311の厚さは、a+bであり、ビア312の厚さは、c+dである。また、ビア312におけるパッド311と接する幅eは、0.6μm~0.8μmであり、例えば、0.7μmである。ビア312における配線層111と接する幅fは、0.3μm~0.5μmであり、例えば、0.4μmである。ここで幅とは、X軸方向またはY軸方向の長さを示す。さらに、パッド311の体積VTRは、4.1μm
2~5.1μm
2であり、例えば、4.6μm
2である。また、ビア312は4個であり、1個のビア312の体積(VSHまたはVTH/N)は、0.1μm
2~0.3μm
2であり、例えば、0.2μm
2である。そして、4個のビア312の合計の体積VTHは、0.7μm
2から0.9μm
2であり、例えば、0.8μm
2である。
【0052】
簡易的に、ビア312の厚さを0.8μm、ビア312(導電体部113)の熱膨張係数を17×10-6/K、絶縁膜112の熱膨張係数を1×10-6/Kとする。仮に100Kの温度変化が接合部材411生じたとすれば、パッド311の下では、ビア312の部分と絶縁膜212の部分とで厚さに1.3nm程度の差が生じうる。接合部材接合される表面をその高低差が10nm以下となるように平坦化設定することを考慮すると数nm程度の差は無視できない。そして、この厚さの差が応力を生じ、接合の信頼性を低下させると考えられる。
【0053】
上述した良接合条件を満たすことでウェハを強固に接合するための熱処理の際に、導電体の熱膨張の影響により接合界面から剥がれてしまうことを抑制する。ビア312の個数または体積が増加するほど、主に銅により構成された導電体部113の熱膨張が不安定になる。これに対して、パッド311の体積が増えることにより、導電体部113の熱膨張が安定化するからである。そのため、半導体装置APRに不具合を引き起こす可能性を低減させ、半導体装置APRの接合の信頼性を向上させることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、接合部αにおけるパッド311とビア312が良接合条件を満たすようにしたが、この限りではない。つまり、接合部αにおいて、当該良接合条件を満たさずに、接合部βにおけるパッド321とビア322が当該良接合条件を満たしてもよい。つまり、接合部αと接合部βとのいずれかの、接合に用いるパッドおよびビアが、上述の良接合条件を満たせばよい。つまり、1個のパッド321の体積をVTR、N個のビア322の合計の体積をVTH、1個のビア322の体積をVSHとして上記条件(1)~(3)の少なくともいずれかを満足すればよい。なお、互いに接合する導電体部113と導電体部213との関係で、導電体部113におけるビア312の数と、導電体部213におけるビア322の数と、が異なっていてもよい。ビア312の数とビア322の数の一方をN(N個)としたとき、ビア312の数とビア322の数の他方をM(M個)と表現することができる。MをNと等価な変数として上記した条件(1)~(3)に適用可能である。なお、パッド311、321それぞれをパッド部、ビア312、322それぞれをビア部と言い換えることができる。体積VTRを有するパッド311、321をパッド部と言い換える場合、パッド部の体積をVTRP(体積VTRP)と言い換えることができる(VTR=VTRP)。また、体積VTH、VSHを有するビア312、322をビア部と言い換える場合、ビア部の体積をVTHP(体積VTHP),VSHPと言い換えることができる(VTH=VTHP,VSH=VSHP)。例えば、導電体部113と
導電体部213の一方では、VTRP/VTHP≧Nを満たし(VTR/VTH≧Nを満たし)、導電体部113と導電体部213の他方では、VTRP/VTHP≧Mを満たせばよい。
【0055】
また、導電体部113と導電体部213は、接合面400を基準に面対称であってもよいし、面対称でなくてもよい。また、本実施形態では、パッド311は四角柱であり、ビア312は円錐台であると説明したが、これに限らない。具体的には、パッド311およびビア312は、円柱、円錐台、四角柱、四角錐台など様々な形状であってもよい。
【0056】
[半導体装置APRの接合に関する部分の形成方法]
続いて、本実施形態に係る半導体装置APRにおける
図4が示す部分の製造方法を説明する。つまり、本実施形態に係る半導体装置APRにおける部品001と部品002との接合に関連する部分の製造方法を説明する。
【0057】
(接合部αの形成方法)
まず、接合部αが以下の、S11~S13の工程によって形成される。
【0058】
(S11)トランジスタなどの半導体素子が半導体層100に形成されて、半導体素子上に複数の配線層が形成される。当該複数の配線層の最も上部が配線層111である。
(S12)配線層111上に絶縁膜112が形成される。
(S13)導電体部113が、一般的なデュアルダマシンの製造方法を用いて形成される。パッド311およびビア312は、フォトマスクで規定したパターンにより形成される。
【0059】
S13では、具体的には、エッチングにより溝が形成された後、PVDやCVDにより全面にわたり銅などの導電体で溝が埋め込まれる。なお、本実施形態では、銅が埋め込まれる前に、タンタルやタンタル化合物からなるバリアメタルによって、溝の表面のみがコーティングされて、その後に、銅などの導電体が埋め込まれるとよい。そして、化学機械研磨やエッチバックなどにより表面の導電体が除去されることにより、導電体部113が形成されて、
図3(A)に示すような接合前の接合部αが完成する。
【0060】
なお、S13において、パッド311は、フォトマスクで規定したパターンにより、開口面積STRであり、かつ、厚みHTRであるように形成される。また、ビア312は、フォトマスクで規定したパターンにより、開口面積STHであり、かつ、厚みHTHであるように形成される。従って、パッド311の体積VTRは、パッド部分のマスクの開口面積STRとパッド311の厚みHTRの積で求められる。また、パッドと接続するN個のビアの体積の合計VTHは、ビア部分のマスクの開口面積STHとビアの厚みHTHとビアの個数Nの積で求められる。なお、ビア312の厚みHTHは、パッド311の厚みHTRより大きく形成される。
【0061】
そして、パッド311の体積VTRと、パッド311と接続するN個(Nは自然数)のビア312の体積の合計VTHと、N個のビア312のうちのいずれか1個のビアの体積VSHとの関係が、以下のいずれかが成立するように導電体部113が形成される。
・Nが2以上であり、VTR/VTH≧Nである。
・Nが1であり、VTR/VTH≧2である。
・Nが2以上であり、VTR/VSH≧N2である。
・Nに関わらず、VTR/VSH≧16である。
なお、上述の関係に限らず、N≦6であってもよく、N×VTR/VSH≦36でもよいし、VTR/VSH≦36であってもよい。これらの関係の2つ以上を満たしてもよく、例えば、N2≦VTR/VSH≦36であってもよい。
【0062】
(接合部βの部分の形成方法)
続いて、接合部βが以下の、S21~S23の工程によって形成される。
【0063】
(S21)トランジスタなどの半導体素子が半導体層200に形成され、半導体素子上に複数の配線層が形成される。複数の配線層の最も上部が配線層210である。
(S22)配線層210上に絶縁膜212が形成される。
(S23)導電体部213が、一般的なデュアルダマシンの製造方法を用いて形成される。
【0064】
S23では、より詳細には、エッチングにより溝が形成された後、PVDやCVDによって表面の全面にわたり銅などの導電体で溝が埋め込まれる。そして、化学機械研磨やエッチバックなどにより表面の導電体が除去されることによって、接合前の接合部βが完成する。
【0065】
なお、S23における、接合部βの導電体部213のパッド321とビア322に関しても、上述の良接合条件を満たすように形成されていることが望ましい。
【0066】
(2つの半導体ウエハの接合)
次に、S23において製造された接合部βが反転されて、接合部αと接合部βが接合面400において接合される。これにより、接合後は、接合部αの上に接合部βが積層された構造をとるような、
図4が示す半導体装置APRの一部が製造できる。
【0067】
なお、ウェハの接合は、まず、例えば、プラズマ活性化接合法により仮接合が行われる。その後、例えば、350℃をとるように熱が加えられる熱処理を行うことにより、絶縁膜112と絶縁膜212とが接合され、導電体部113と導電体部213とが接合される。接合部αと接合部βの少なくとも一方において、上述したパッドとビアの体積の良接合条件を満たすようにする。絶縁膜112と絶縁膜212の接合は、分子間力や共有結合などの化学結合、絶縁膜112と絶縁膜212との溶融による一体化、接着材を介した接着などにより実現することができる。なお、絶縁膜112と絶縁膜212とが互いに離間していてもよい。導電体部113と導電体部213との接合は、金属結合によって実現することができる。
【0068】
このことにより、強固に接合するための熱処理の際に、導電体部113もしくは導電体部213の熱膨張の影響により接合部αと接合部βが接合界面から剥がれてしまうことを抑制できる。従って、半導体装置APRの接合部の信頼性を向上させることができる。
【0069】
次に、半導体装置APRの製造方法を説明する。以下では、部品001用のウエハ、部品002用のウエハの製造方法を説明した後に、この2つのウエハを用いた半導体装置APRの製造方法を説明する。
【0070】
[部品001用の半導体ウエハの製造方法]
まず、
図5(A)が示すフローチャートおよび
図6、
図7を用いて、部品001用の半導体ウエハの製造方法を説明する。
【0071】
(S1001)
図6(A)に示す部品001用の半導体ウエハの一部であるウエハP1が準備される。ウエハP1は、半導体層100、素子分離101、トランジスタ102(ゲート電極)、絶縁膜103、コンタクトプラグ104を有する。さらにウエハP1は、配線層105、絶縁膜106、配線層107、配線層105と配線層107を接続するビアプラグ108
を有する。なお、ウエハP1は、周知な構成を利用できるため、ウエハP1の製造方法の説明は省略する。
【0072】
(S1002)
絶縁膜106上に絶縁膜109が形成される。絶縁膜109は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、炭素含有シリコン酸化膜、フッ素含有シリコン酸化膜などである。また膜の層構成としては、1種類の材質からなる単層構成であってもよいし、複数の材質からなる複層構成であってもよい。
【0073】
(S1003)
次に、絶縁膜109の表面からエッチングにより溝が形成され、PVDやCVDにより表面の全面にわたり導電体を形成して溝が導電体によって埋め込まれる。化学機械研磨やエッチバックなどにより表面の導電体を除去することで、
図6(A)が示すように、絶縁膜109にビアプラグ110が形成される。
【0074】
(S1004)
次に、絶縁膜109上に導電体膜が形成される。導電体膜の材質は、アルミニウムなどがあり得る。
【0075】
(S1005)
次に、絶縁膜109上の導電体膜がパターンニングされる。パターニングは、フォトリソグラフィーとエッチングにより実現され、配線層111が形成される。なお、本実施形態では、配線層105と配線層107と配線層111との3層としたが、配線層の数は任意に選択可能である。また、本実施形態では、半導体層100の表面にMOSトランジスタのみを配置するが、本実施形態はこれに限らない。例えば、MOSキャパシタ、トレンチキャパシタ、半導体層100の一部を利用した抵抗、トランジスタ102(ゲート電極)を利用した抵抗などを配置することも可能である。また、配線層間にMIMキャパシタなどを配置することも可能である。
【0076】
(S1006)
次に、絶縁膜109上に絶縁膜112が形成される。絶縁膜112は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、炭素含有シリコン酸化膜、フッ素含有シリコン酸化膜などである。ここで、例えば、シリコン酸化膜を形成したのちに化学機械研磨による平坦化を行うことで、次の工程以降で、段差起因で生じる不具合を低減することができる。
【0077】
(S1007)
次に
図6(B)が示すように、導電体材料を埋め込むための複数の凹部1130が絶縁膜112に形成される。複数の凹部1130の少なくとも一部は、配線層111に達するように形成される。なお、この凹部1130は、チップ全体で適切な密度で配置する。凹部1130は、凹部1130におけるパッド311に対応する溝(トレンチ)1311とビア312に対応する孔(ビアホール)1312とで形成される。凹部1130の形成にあたっては、デュアルダマシン用のエッチング方法を採用することができる。凹部1130の形成方法としては、孔1312を形成後に溝1311を形成するビアファーストの方法と、溝1311を形成後に孔1312を形成するトレンチファーストの方法と、孔1312と溝1311を同時に形成する方法と、のいずれでもよい。ビア312の形状制御の精度を高める上では、先に、孔1312に対応するフォトマスクで規定したレジストパターンを形成した後に、溝1311に対応するフォトマスクで規定したレジストパターンを形成するのがよい。なお、導電体部114に対応する凹部を形成する部分については、溝1311の形成時に、導電体部114に対応する凹部を形成し、孔1312の形成時には
、当該部分をマスクしておけばよい。
【0078】
このとき、凹部1130は、後工程で導電体材料が埋め込まれることにより、導電体部113に形成される。このことから、凹部1130におけるパッド311に対応する溝(トレンチ)1311とビア312に対応する孔(スルーホール)1312の体積および厚さが、以下の関係を満たすように、凹部1130が形成されるとよい。なお、孔1312の深さは溝1311の深さより大きいことが好ましい。溝1311の体積MVTRと、N個の孔1312の体積の合計MVTHと、1個の孔1312の体積MVSHが、以下の関係の少なくともいずれかを満たす。
・Nが2以上であり、MVTR/MVTH≧Nである。
・Nが1であり、MVTR/MVTH≧2である。
・Nが2以上であり、MVTR/MVSH≧N2である。
・Nに関わらず、MVTR/MVSH≧16である。
なお、上述の関係に限らず、N≦6であってもよく、N×VTR/MVSH≦36でもよいし、MVTR/MVSH≦36であってもよい。これらの関係の2つ以上を満たしてもよく、例えば、N2≦MVTR/MVSH≦36であってもよい。
【0079】
(S1008)
次に
図7(A)が示すように、導電体材料1131を表面の全面にわたって形成する。その際、凹部1130は、導電体材料1131で埋め込まれる。導電体材料1131の材質としては銅があり得る。
【0080】
(S1009)
次に
図7(B)が示すように、化学機械研磨法により余分な導電体材料1131が除去されて、導電体部113が形成される。つまり、パッド311と、パッドの底に配されたビア312が形成される。そして、S1007において、凹部1130における溝1311と孔1312の厚さと体積の調整が行われていれば、上述のような良接合条件を満たす導電体部113が形成できる。以上の工程によって、接合前の、部品001用の半導体ウエハが完成する。なお、この化学機械研磨時に導電体部113がチップ全体で適切な密度で形成されるため、化学機械研磨によるディッシングやエロージョンが抑制される。よって、接合前の部品001用の半導体ウエハの表面の平坦性が向上する。ウェハ接合の際の段差起因で生じる不具合を低減することができる。部品001用の半導体ウエハの最上面は平坦化された状態で、導電体部113と絶縁膜112とで構成されうる。つまり、部品001用の半導体ウエハの最上面から導電体部113と絶縁膜112までの距離は0でありうる。ただし、後述の接合を行うまで、導電体部113と絶縁膜112を覆う被覆膜を形成した状態で半導体ウエハを保管あるいは出荷してもよい。被覆膜の厚さは、パッド311の厚さよりも小さくてよく、例えば500nm以下であり、例えば50nm以下であり、例えば5nm以上である。被覆膜の厚さが部品001用の半導体ウエハの最上面(最表面)から導電体部113と絶縁膜112までの距離に相当しうる。部品001用の半導体ウエハの最上面から導電体部113と絶縁膜112までの距離は、パッド311の厚さよりも小さくてよく、例えば500nm以下であり、例えば50nm以下であり、例えば5nm以上である。
【0081】
[部品002用の半導体ウエハの製造方法]
次に、
図5(B)が示すフローチャートおよび
図8、
図9を用いて、部品002用の半導体ウエハの製造方法について説明する。
【0082】
(S2001)
図8(A)に示す部品002用の半導体ウエハの一部であるウエハP2が準備される。ウエハP2は、半導体層200、素子分離201、転送ゲート202、絶縁膜203、コ
ンタクトプラグ204を有する。半導体層200には、フォトダイオード220とフローティングディフュージョン221が設けられている。ウエハP2は、さらに配線層205、絶縁膜206、配線層207、配線層205と配線層207を接続するビアプラグ208を有する。ウエハP2は、さらに、絶縁膜209、配線層210、配線層207と配線層210を接続するビアプラグ211を有する。なお、ウエハP2は、周知の技術により製造可能であるので、ウエハP2の製造方法については記載を省略する。
【0083】
また、本実施形態では、半導体層200の表面にMOSトランジスタのみを配置するものとするが、これに限られない。例えば、MOSキャパシタ、トレンチキャパシタ、半導体層200の一部を利用した抵抗、転送ゲート202を利用した抵抗などを配置することも可能である。また、配線層間にMIMキャパシタなども配置することも可能である。
【0084】
(S2002)
絶縁膜209上に絶縁膜212が形成される。絶縁膜212は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、炭素含有シリコン酸化膜、フッ素含有シリコン酸化膜などである。
【0085】
(S2003)
次に
図8(B)が示すように、導電体材料を埋め込むための複数の凹部2130が絶縁膜212に形成される。複数の凹部2130の少なくとも一部は配線層210に達するように形成される。なお、この凹部2130はチップ全体で適切な密度で配置する。なお、このことから、凹部2130におけるパッド321に対応する溝2321とビア322に対応する孔2322の体積および厚さが、S1007において示した関係を満たすようにするとよい。導電体部213に対応する凹部2130や導電体部214に対応する凹部S1007で示した方法と同様の方法で形成してもよい。
【0086】
(S2004)
次に
図9(A)が示すように、導電体材料2131が絶縁膜212表面の全面にわたって形成される。その際、凹部2130は、導電体材料2131で埋め込まれる。導電体材料2131の材質としては、銅があり得る。
【0087】
(S2005)
次に
図9(B)が示すように、化学機械研磨により余分な導電体材料2131が除去され、配線層210に接続された導電体部213が形成される。つまり、パッド321と、パッド321の底に配されたビア322が形成される。そして、S2003において、凹部2130における溝2321と孔2322の厚さと体積の調整が行われていれば、上述のような良接合条件を満たす導電体部213が形成できる。以上により、接合前の、部品002用の半導体ウエハが完成する。なおこの化学機械研磨時に、凹部2130はチップ全体で適切な密度で配置されているので、化学機械研磨によるディッシングやエロージョンが抑制される。よって、接合前の、部品002用の半導体ウエハの表面の平坦性が向上する。部品002用の半導体ウエハの最上面は平坦化された状態で、導電体部213と絶縁膜212とで構成されうる。つまり、部品002用の半導体ウエハの最上面から導電体部213と絶縁膜212までの距離は0でありうる。ただし、後述の接合を行うまで、導電体部213と絶縁膜212を覆う被覆膜を形成した状態で半導体ウエハを保管あるいは出荷してもよい。被覆膜の厚さは、パッド321の厚さよりも小さくてよく、例えば500nm以下であり、例えば50nm以下であり、例えば5nm以上である。被覆膜の厚さが部品002用の半導体ウエハの最上面から導電体部213と絶縁膜212までの距離に相当しうる。部品002用の半導体ウエハの最上面から導電体部213と絶縁膜212までの距離は、パッド321の厚さよりも小さくてよく、例えば500nm以下であり、例えば50nm以下であり、例えば5nm以上である。
【0088】
[半導体装置APRの製造]
最後に、
図5(C)が示すフローチャートおよび
図10を用いて、半導体装置APRの製造方法を説明する。
【0089】
(S3001)
図10が示すように、部品002用の半導体ウエハを反転させて、部品001用の半導体ウエハと部品002用の半導体ウエハとが接合面400において接合される。これにより、接合後は、部品001用の半導体ウエハの上に部品002用の半導体ウエハが積層される構造をとる。例えば、ウエハの接合は、まず、プラズマ活性化によりウエハの接合面の絶縁膜112、212を活性化し、活性化した絶縁膜112、212同士を接合する方法により半導体ウエハの仮接合が行われる。その後、例えば350℃の熱処理が行われることにより、接合面400における絶縁膜112と絶縁膜212とが仮接合よりも強固に接合する。また、導電体部113と導電体部213との間の銅の相互拡散により導電体部113と導電体部213とが接合する。
【0090】
ここで、部品001用の半導体ウエハか部品002用の半導体ウエハの少なくとも一方について、上述したパッドとビアとの関係が良接合条件を満たすようにされている。このことで、強固に接合するための熱処理の際に、導電体部113もしくは導電体部213の熱膨張の影響により部品001用の半導体ウエハと部品002用の半導体ウエハが接合界面から剥がれてしまうことを抑制できる。従って、半導体装置の製造時の歩留まりを向上させることができる。また、半導体装置において部品001と部品002が接合界面から剥がれてしまうことを抑制できる。従って、半導体装置の部品の接合の信頼性を向上させることができる。
【0091】
(S3002)
次に、
図2が示すように、半導体層200が数十~数μm程度の厚さをとるまで薄化される。薄化の方法としては、バックグラインド、化学機械研磨、エッチングなどがある。
【0092】
(S3003)
そして、部品002用の半導体ウエハの半導体層200の表面に金属酸化膜511、反射防止膜512、絶縁膜513が形成される。金属酸化膜511は、例えば、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜などである。反射防止膜512は、例えば、酸化タンタル膜などである。絶縁膜513は、半導体装置において一般的に使用されている材質の中から任意に選択しうる。例えば、材料としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、炭素含有シリコン酸化膜、フッ素含有シリコン酸化膜などである。また膜の層構成としては、1種類の材質からなる単層構成であってもよいし、複数の材質からなる積層構成であってもよい。また図示はしないが、絶縁膜513中に、例えばタングステンなどの金属膜で形成されるOB領域を形成するための遮光膜や、各画素の光が混色しないように分離のための遮光壁が形成されてもよい。なお、半導体層200の上にカラーフィルタ514やマイクロレンズ515が形成されてもよい。半導体層200には配線構造体010あるいは配線構造体020に含まれるパッド電極に達する開口(パッド開口)が形成されてもよい。また、半導体層100には、半導体層100を貫通し、配線構造体010あるいは配線構造体020に含まれる電極に接続する貫通ビア(TSV)が形成されてもよい。
【0093】
この後、導電体部113と導電体部213とを介して接合された2つの半導体ウエハの積層体をダイシングして複数の半導体デバイスICに個別化する。このように個別化された半導体デバイスICにおいて、部品001用の半導体ウエハから得られたチップとしての部品001と、部品002用の半導体ウエハから得られたチップとしての部品002と
が積層(接合)されている。なお、本実施形態では、部品001と部品002との2つを積層(接合)した半導体装置APRについて説明したが、3つ以上の部品を積層(接合)した半導体装置であってもよい。この場合においても、各部品(半導体部品)は、導電体部と絶縁膜によって互いに接合され、この導電体部に上述の良接合条件を適用させることで、接合部の信頼性を向上させることができる。また、ウエハレベルで接合した後にウエハをダイシングする形態を説明したが、ウエハごとにダイシングしてチップを得た後に、チップ同士を接合してもよい。
【0094】
[機器EQPについて]
以下、
図1が示す、半導体装置APRを備える機器EQPについて詳細に説明する。半導体装置APRは、上述のように、半導体層100を有する半導体デバイスICのほかに、半導体デバイスICを収容するパッケージPKGを含むことができる。パッケージPKGは、半導体デバイスICが固定された基体と、半導体デバイスICに対向するガラスなどの蓋体と、基体に設けられた端子と半導体デバイスICに設けられた端子とを接続するボンディングワイヤやバンプなどの接合部材と、を含むことができる。
【0095】
機器EQPは、光学系OPT、制御装置CTRL、処理装置PRCS、表示装置DSPL、記憶装置MMRY、機械装置MCHNの少なくともいずれかを備えることができる。光学系OPTは、半導体装置APRに結像する。光学系OPTは、例えばレンズやシャッター、ミラーである。制御装置CTRLは、半導体装置APRを制御する。制御装置CTRLは、例えばASICなどの光電変換装置である。
【0096】
処理装置PRCSは、半導体装置APRから出力された信号を処理する。処理装置PRCSは、AFE(アナログフロントエンド)あるいはDFE(デジタルフロントエンド)を構成するための、CPUやASICなどの光電変換装置である。表示装置DSPLは、半導体装置APRで得られた情報(画像)を表示する、EL表示装置や液晶表示装置である。記憶装MMRYは、半導体装置APRで得られた情報(画像)を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置MMRYは、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。
【0097】
機械装置MCHNは、モーターやエンジンなどの可動部あるいは推進部を有する。機器EQPでは、半導体装置APRから出力された信号を表示装置DSPLに表示したり、機器EQPが備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。そのために、機器EQPは、半導体装置APRが有する記憶回路や演算回路とは別に、記憶装置MMRYや処理装置PRCSをさらに備えることが好ましい。機械装置MCHNは、半導体装置APRから出力され信号に基づいて制御されてもよい。
【0098】
また、機器EQPは、撮影機能を有する情報端末(例えばスマートフォンやウエアラブル端末)やカメラ(例えばレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ)などの電子機器に適する。カメラにおける機械装置MCHNはズーミングや合焦、シャッター動作のために光学系OPTの部品を駆動することができる。
【0099】
また、機器EQPは、車両や船舶、飛行体などの輸送機器であり得る。輸送機器における機械装置MCHNは移動装置として用いられうる。輸送機器としての機器EQPは、半導体装置APRを輸送するものや、撮影機能により運転(操縦)の補助および/または自動化を行うものに好適である。運転(操縦)の補助および/または自動化のための処理装置PRCSは、半導体装置APRで得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置MCHNを操作するための処理を行うことができる。あるいは、機器EQPは内視鏡などの医療機器や、測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機などの事
務機器であってもよい。
【0100】
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。なお、実施形態の開示内容は、本明細書に明記したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。
【0101】
(効果)
本実施形態によれば、接合するための熱処理、接合後の熱処理、使用時の温度上昇の際に、導電体部の熱膨張の影響により部品001と部品002が接合界面から剥がれてしまうことを抑制できる。従って、半導体装置における複数の部品の接合の信頼性を向上させることができる。
【0102】
従って、本実施形態に係る半導体装置を用いれば、半導体装置の高性能化が可能である。そのため、例えば、半導体装置を輸送機器に搭載して、輸送機器の外部の撮影や外部環境の測定を行う際に優れた信頼性を得ることができる。よって、輸送機器の製造、販売を行う上で、本実施形態に係る半導体装置を輸送機器へ搭載することを決定することは、輸送機器自体の性能を高める上で有利である。
【0103】
<実施形態2>
本発明の実施形態2による撮像システムについて、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【0104】
上記実施形態1で述べた半導体装置APR(撮像装置)は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、医療用カメラなどの各種の機器が挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置(光電変換装置)とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。
図11にはこれらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0105】
撮像システム2000は、
図11に示すように、撮像装置1000、撮像光学系2002、CPU2010、レンズ制御部2012、撮像装置制御部2014、画像処理部2016を備える。また、撮像システム2000は、絞りシャッター制御部2018、表示部2020、操作スイッチ2022、記録媒体2024を備える。
【0106】
撮像光学系2002は、被写体の光学像を形成するための光学系であり、レンズ群、絞り2004等を含む。絞り2004は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行なう機能を備えるほか、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッターとしての機能も備える。レンズ群及び絞り2004は、光軸方向に沿って進退可能に保持されており、これらの連動した動作によって変倍機能(ズーム機能)や焦点調節機能を実現する。撮像光学系2002は、撮像システムに一体化されていてもよいし、撮像システムへの装着が可能な撮像レンズでもよい。
【0107】
撮像光学系2002の像空間には、その撮像面が位置するように撮像装置1000が配置されている。撮像装置1000は、実施形態1で説明した半導体装置APRであり、CMOSセンサ(画素部)とその周辺回路(周辺回路領域)とを含んで構成される。撮像装置1000は、複数の光電変換部を有する画素が2次元配置され、これらの画素に対してカラーフィルタが配置されることで、2次元単板カラーセンサを構成している。撮像装置1000は、撮像光学系2002により結像された被写体像を光電変換し、画像信号や焦点検出信号として出力する。
【0108】
レンズ制御部2012は、撮像光学系2002のレンズ群の進退駆動を制御して変倍操作や焦点調節を行うためのものであり、その機能を実現するように構成された回路や処理装置により構成されている。絞りシャッター制御部2018は、絞り2004の開口径を変化して(絞り値を可変として)撮影光量を調節するためのものであり、その機能を実現するように構成された回路や処理装置により構成される。
【0109】
CPU2010は、カメラ本体の種々の制御を司るカメラ内の制御装置であり、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を含む。CPU2010は、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムに従ってカメラ内の各部の動作を制御し、撮像光学系2002の焦点状態の検出(焦点検出)を含むAF、撮像、画像処理、記録等の一連の撮影動作を実行する。CPU2010は、信号処理部でもある。
【0110】
撮像装置制御部2014は、撮像装置1000の動作を制御するとともに、撮像装置1000から出力された信号をA/D変換してCPU2010に送信するためのものであり、それら機能を実現するように構成された回路や制御装置により構成される。A/D変換機能は、撮像装置1000が備えていてもかまわない。画像処理部2016は、A/D変換された信号に対してγ変換やカラー補間等の画像処理を行って画像信号を生成する処理装置であり、その機能を実現するように構成された回路や制御装置により構成される。表示部2020は、液晶表示装置(LCD)等の表示装置であり、カメラの撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像、撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態等を表示する。操作スイッチ2022は、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。記録媒体2024は、撮影済み画像等を記録するためのものであり、撮像システムに内蔵されたものでもよいし、メモリカード等の着脱可能なものでもよい。
【0111】
このようにして、実施形態1による半導体装置APRを適用した撮像システム2000を構成することにより、高性能の撮像システムを実現することができる。
【0112】
<実施形態3>
本発明の実施形態3による撮像システム及び移動体について、
図12(A)及び
図12(B)を用いて説明する。
図12(A)及び
図12(B)は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
【0113】
図12(A)は、車載カメラに関する撮像システム2100の一例を示したものである。撮像システム2100は、撮像装置2110を有する。撮像装置2110は、上述の実施形態1に記載の半導体装置APRである。撮像システム2100は、撮像装置2110により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う処理装置である画像処理部2112を有する。撮像システム2100は、撮像装置2110により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う処理装置である視差取得部2114を有する。また、撮像システム2100は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する処理装置である距離取得部2116を有する。撮像システム2100は、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する処理装置である衝突判定部2118を有する。ここで、視差取得部2114や距離取得部2116は、対象物までの距離情報等の情報を取得する情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部2118はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。上述の処理装置は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールに基づいて演算を行う汎用のハードウェアによって実現されてもよい。また、処理装置はFPGA
(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよい。また、処理装置は、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0114】
撮像システム2100は、車両情報取得装置2120と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム2100は、衝突判定部2118での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU2125が接続されている。すなわち、制御ECU2125は、距離情報に基づいて移動体を制御する移動体制御手段の一例である。また、撮像システム2100は、衝突判定部2118での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置2140とも接続されている。例えば、衝突判定部2118の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU2125はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置2140は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0115】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム2100で撮像する。
図12(B)に、車両前方(撮像範囲2150)を撮像する場合の撮像システム2100を示した。車両情報取得装置2120は、撮像システム2100を動作させ撮像を実行させるように指示を送る。上述の実施形態1の半導体装置APRを撮像装置2110として用いることにより、本実施形態の撮像システム2100は、測距の精度をより向上させることができる。
【0116】
以上の説明では、他の車両と衝突しないように制御する例を述べたが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、撮像システムは、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(輸送機器)に適用することができる。移動体(輸送機器)における移動装置はエンジン、モーター、車輪、プロペラなどの各種の駆動源である。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
001:部品、002:部品、113:導電体部、213:導電体部
311:パッド、312:ビア、321:パッド、322:ビア