IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-吐出ユニット 図1
  • 特許-吐出ユニット 図2
  • 特許-吐出ユニット 図3
  • 特許-吐出ユニット 図4
  • 特許-吐出ユニット 図5
  • 特許-吐出ユニット 図6
  • 特許-吐出ユニット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】吐出ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20240909BHJP
【FI】
B65D47/06 400
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020028087
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021130503
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】細山田 晃治
(72)【発明者】
【氏名】竹内 順子
(72)【発明者】
【氏名】森若 博文
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189987(JP,A)
【文献】実開昭53-020251(JP,U)
【文献】特開2019-014531(JP,A)
【文献】特開2013-177173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を貯留する容器本体を有する吐出容器に装着され、前記内容物を内部で流動させて吐出する吐出ユニットであって、
前記容器本体から当該吐出ユニットへの前記内容物の流入側の位置に配置されている開口と、
前記開口から流入した前記内容物が流動する初期流路と、
前記初期流路から吐出された前記内容物が流動する迂回流路と、
先端に吐出口を有し、前記迂回流路から流入した前記内容物を流動させて吐出する吐出流路と、
を備え、
当該吐出ユニットは、更に、
上下方向を軸方向とする第1筒状部と、
上下方向を軸方向とし、前記第1筒状部の内部に収容されて前記第1筒状部とともに二重管構造を形成している第2筒状部と、
倒立状態における前記第2筒状部の下端側を閉塞しているとともに、前記初期流路と前記迂回流路とを相互に仕切っている閉塞部と、
を備え、
前記第2筒状部の内部に前記初期流路が形成されており、
倒立状態における前記第2筒状部の最下端に、前記初期流路から前記迂回流路に前記内容物を吐出する初期吐出口が形成されており、
前記第1筒状部の内部空間のうち、倒立状態において前記第2筒状部及び前記閉塞部よりも下側の空間に、前記迂回流路が形成されており、
倒立状態において、前記初期吐出口の全体よりも、前記迂回流路から前記吐出流路に前記内容物を流入させる流入口の方が、上方である前記容器本体側に位置し、
前記迂回流路は、前記内容物を当該吐出ユニットの周方向において迂回させる構造となっており、
前記吐出流路と前記迂回流路との境界部に向けて、当該吐出ユニットの周方向における前記迂回流路の範囲と、前記迂回流路の平断面積と、が倒立状態における上方に向かって2回以上段階的に狭められている吐出ユニット。
【請求項2】
前記初期吐出口と前記流入口とは、当該吐出ユニットの周方向において互いに異なる位置に配置されている請求項1に記載の吐出ユニット。
【請求項3】
前記流入口は、倒立状態において横向きとなる横孔であり、
前記初期吐出口とは異なる方向に開口している請求項1又は2に記載の吐出ユニット。
【請求項4】
前記吐出流路を内部に有する吐出管を備え、
平面視において前記吐出管が前記迂回流路の外周の内側に収まっている請求項1から3のいずれか一項に記載の吐出ユニット。
【請求項5】
前記初期吐出口の開口面積が前記開口の開口面積よりも小さい請求項1から4のいずれか一項に記載の吐出ユニット。
【請求項6】
前記倒立状態において、前記初期流路における前記容器本体側の面は前記初期吐出口に向けて下降している請求項1から5のいずれか一項に記載の吐出ユニット。
【請求項7】
前記初期吐出口が前記吐出口側を向いている請求項1から6のいずれか一項に記載の吐出ユニット。
【請求項8】
内容物を貯留する容器本体と、
前記容器本体に装着され、前記内容物を内部で流動させて吐出する吐出ユニットと、
を備え、
前記吐出ユニットは、
前記容器本体から前記吐出ユニットへの前記内容物の流入側の位置に配置されている開口と、
前記開口から流入した前記内容物が流動する初期流路と、
前記初期流路から流入した前記内容物が流動する迂回流路と、
先端に吐出口を有し、前記迂回流路から流入した前記内容物を流動させて吐出する吐出流路と、
を備え、
前記吐出ユニットは、更に、
上下方向を軸方向とする第1筒状部と、
上下方向を軸方向とし、前記第1筒状部の内部に収容されて前記第1筒状部とともに二重管構造を形成している第2筒状部と、
倒立状態における前記第2筒状部の下端側を閉塞しているとともに、前記初期流路と前記迂回流路とを相互に仕切っている閉塞部と、
を備え、
前記第2筒状部の内部に前記初期流路が形成されており、
倒立状態における前記第2筒状部の最下端に、前記初期流路から前記迂回流路に前記内容物を吐出する初期吐出口が形成されており、
前記第1筒状部の内部空間のうち、倒立状態において前記第2筒状部及び前記閉塞部よりも下側の空間に、前記迂回流路が形成されており、
倒立状態において、前記初期吐出口の全体よりも、前記迂回流路から前記吐出流路に前記内容物を流入させる流入口の方が、上方に位置し、
前記迂回流路は、前記内容物を前記吐出ユニットの周方向において迂回させる構造となっており、
前記吐出流路と前記迂回流路との境界部に向けて、前記吐出ユニットの周方向における前記迂回流路の範囲と、前記迂回流路の平断面積と、が倒立状態における上方に向かって2回以上段階的に狭められている吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を吐出する吐出容器に装着される吐出ユニットとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1の吐出ユニット(同文献には、スクイズ容器用キャップと記載)は、容器本体の口部(同文献には口首部と記載)に装着される。吐出容器を倒立状態にしてスクイズ操作が行われると、容器本体の内部の内容物は、吐出ユニット内の迂回流路(同文献には、延長流路と記載)を介して、吐出口から吐出される。
特許文献1に記載の迂回流路は、水平方向に延在している渦巻型の流路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015―147622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等の検討によれば、特許文献1の吐出ユニットの構造では、吐出口からの意図しないタイミングでの内容物の漏出を抑制する観点から、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出口からの意図しないタイミングでの内容物の漏出を抑制することが可能な吐出ユニットに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
内容物を貯留する容器本体を有する吐出容器に装着され、前記内容物を内部で流動させて吐出する吐出ユニットであって、前記容器本体から当該吐出ユニットへの前記内容物の流入側の位置に配置されている開口と、前記開口から流入した前記内容物が流動する初期流路と、前記初期流路から吐出された前記内容物が流動する迂回流路と、先端に吐出口を有し、前記迂回流路から流入した前記内容物を流動させて吐出する吐出流路と、を備え、倒立状態において、前記初期流路から前記迂回流路に前記内容物を吐出する初期吐出口よりも、前記迂回流路から前記吐出流路に前記内容物を流入させる流入口の方が、容器本体側に位置し、前記迂回流路は、前記内容物を当該吐出ユニットの周方向において迂回させる構造となっている吐出ユニットに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出口からの意図しないタイミングでの内容物の漏出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る吐出ユニットが吐出容器に装着されている状態を示す縦断面図である。
図2図2(a)、図2(b)及び図2(c)は第1実施形態に係る吐出ユニットの第1部材を示す図であり、このうち図2(a)は斜視図、図2(b)は平面図、図2(c)は底面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は第1実施形態に係る吐出ユニットの縦断面図であり、倒立状態を示す。
図4図4(a)及び図4(b)は第1実施形態に係る吐出ユニットを示す図であり、このうち図4(a)は第1部材と第2部材とが互いに組み付けられる前の状態を示す図、図4(b)は第1部材と第2部材とが互いに組み付けられた状態を示す図である。
図5】第1実施形態に係る吐出ユニットの各部位どうしの平面視における位置関係を示す模式図である。
図6図6(a)、図6(b)及び図6(c)は第2実施形態に係る吐出ユニットの第1部材を示す図であり、このうち図6(a)は斜視図、図6(b)は平面図、図6(c)は底面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は第2実施形態に係る吐出ユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
また、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更又は改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
なお、本発明の吐出ユニットの各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図4(b)を用いて第1実施形態を説明する。なお、図1及び図3(a)の各々は図2(b)のA-A線に沿った断面を示しており、図3(b)は図2(b)のB-B線に沿った断面を示している。また、図3(a)及び図3(b)において、倒立状態における内容物220の動きの一例を矢印で示している。また、図4(b)においては、吐出ユニット100の第1部材10の一部分を破断し、吐出ユニット100の内部構造を示している。
【0011】
図1から図4(b)のいずれかに示すように、本実施形態に係る吐出ユニット100は、内容物220を貯留する容器本体210を有する吐出容器200に装着され、内容物220を内部で流動させて吐出する。また、本実施形態に係る吐出容器200は、内容物220を貯留する容器本体210と、容器本体210に装着され、内容物220を内部で流動させて吐出する上述の吐出ユニット100と、を備える。つまり、ここでいう吐出容器200は、吐出ユニット100も含んでいる。
吐出ユニット100は、容器本体210から当該吐出ユニット100への内容物220の流入側の位置に配置されている開口21aと、開口21aから流入した内容物220が流動する初期流路40と、初期流路40から吐出された内容物220が流動する迂回流路60と、先端に吐出口72を有し、迂回流路60から流入した内容物220を流動させて吐出する吐出流路73と、を備えている。
倒立状態において、初期流路40から迂回流路60に内容物220を吐出する初期吐出口22よりも、迂回流路60から吐出流路73に内容物220を流入させる流入口66の方が、容器本体210側に位置し、迂回流路60は、内容物220を当該吐出ユニット100の周方向において迂回させる構造となっている。
ここで、容器本体210側とは、吐出ユニット100が容器本体210に装着された状態において、吐出口72側とは反対側となる側である。本実施形態の場合、容器本体210は、後述するように底部213を有しており、この場合、容器本体210側は、底部213側となる。
【0012】
本実施形態の場合、吐出容器200は倒立状態で内容物220を吐出可能である。より詳細には、吐出容器200が正立状態から倒立状態に切り替わると、容器本体210の内容物220は、開口21aから初期流路40に流入し、流入した内容物220は、初期流路40、迂回流路60、吐出流路73をこの順に流動し、吐出口72から吐出される。
例えば、容器本体210をスクイズするスクイズ操作が行われると吐出ユニット100の吐出口72から内容物220が吐出される。
【0013】
本実施形態によれば、倒立状態において、自重によって初期吐出口22から迂回流路60に流入した内容物220が、周方向において迂回しつつ流入口66に向けて上昇することとなる。すなわち、内容物220が迂回流路60において流動する動作は、水平方向において周回状に迂回する動作と、上方である容器本体210側に移動する動作と、が組み合わされた動作となる。このため、内容物220が初期吐出口22から流入口66に達するまでの所要時間を十分に確保することができる。よって、意図しないタイミングで内容物220が吐出口72から漏出してしまうことを抑制できる。これにより、例えば、所望の量の内容物220を吐出することなどが可能となる。
なお、ここでいう意図しないタイミングとは、例えば、吐出容器200が正立状態から倒立状態に切り替わる途中や、容器本体210に対するスクイズ操作などの吐出操作が行われる前などとすることができる。
【0014】
容器本体210は、例えば、樹脂材料によって、その全体が一体成形されている。樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピンなどを挙げることができる。また、容器本体210は、例えば、ガラス製であってもよい。
本実施形態の場合、容器本体210は、スクイズ操作が行われた際には変形することができ、スクイズ操作が解除されると、弾性的に自然状態の形状に復元することができる。
容器本体210の形状は特に限定されないが、例えば、筒状の胴部211と、胴部211における容器本体210側の端を閉塞する底部213と、胴部211と同径に形成されていて胴部211における吐出口72側の端と連接されている円筒状の口部214と、を備えている。
以下の説明において、円筒状の口部214の軸方向を単に軸方向と称し、口部214の径方向を単に径方向と称する場合がある。更に、口部214の周方向を単に周方向と称する場合がある。
吐出ユニット100は、例えば、口部214に嵌合、螺合等により装着され、吐出ユニット100によって口部214における吐出口72側の端の開口が閉塞される。
【0015】
容器本体210の内容物220の収容容量は、特に限定されないが、例えば、30ml以上200ml以下であることが好ましく、より好ましくは50ml以上120ml以下である。
【0016】
なお、吐出容器200は、例えば、吐出ユニット100の上部を覆うように装着される蓋部(不図示)を備えていてもよい。吐出容器200は、吐出ユニット100に蓋部を装着することによって吐出口72を密閉した状態で保管することができる。
蓋部としては、特に限定されず、例えば、ヒンジキャップや、吐出口72に対して挿入又は外ばめされる栓などであってもよい。
【0017】
ここで、図1は、吐出容器200の正立状態を示している。
図1に示すように、吐出容器200は、例えば、正立状態において、吐出口72が吐出容器200の上端部に位置し、例えば上向きに開口している。正立状態において、吐出口72が配置されている側が上方(上方向)、その反対側(容器本体210側)が下方(下方向)である。正立状態における容器本体210は、例えば、底部213が水平な載置面上に載置された状態で自立可能である。
一方、倒立状態においては、吐出口72が吐出容器200の下端部に位置し、例えば下向きに開口している。倒立状態において、吐出口72が配置されている側が下方(下方向)、その反対側(容器本体210側)が上方(上方向)である。
なお、正立状態における吐出口72の開口の向きは、鉛直上方に限定されず、上方向の成分を含む方向も許容されるとともに、倒立状態における吐出口72の開口の向きは、鉛直下方に限定されず、下方向の成分を含む方向も許容される。
【0018】
このように、倒立状態においては、吐出ユニット100及び吐出容器200の各部の位置関係は上下逆転する。ただし、以下の説明において、吐出ユニット100及び吐出容器200の各部の位置関係は、特に断りが無い限り、吐出容器200が正立状態のときの位置関係を説明したものである。すなわち、以下の説明において、特に断りがない限り、図1における下方向が下方、上方向が上方であるものとする。
【0019】
内容物220は、特に限定されないが、例えば、液体香料、精油、衣料用液体洗剤、柔軟剤、漂白剤、化粧料などの液体であることが挙げられる。また、当該液体の粘度は、20°Cにおいて10mPa・s以上であることが好ましく、より好ましくは20mPa・s以上であり、また1000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは500mPa・s以下である。液体の粘度はB型粘度計により測定する。B型粘度計により粘度を測定することは、例えば、液剤の剤型および粘度に応じて適切なローターまたはスピンドルを選択し、選択されたローターまたはスピンドルに応じた回転数(50~60回転/分)の回転数でローターまたはスピンドルを回転させ、回転時間が60秒となった時点の粘度を測定することであってもよい。
【0020】
本実施形態の場合、吐出ユニット100は、例えば、容器本体210の内部空間と吐出流路73とを連通している戻り流路33を更に備えている。戻り流路33は、容器本体210の内部空間に開口している第2開口31と、吐出流路73と迂回流路60との境界部65に開口している戻り口32と、を有する。正立状態において、戻り流路33は、吐出流路73から自重落下する内容物220を捕捉する位置に配置されている。より詳細には、戻り口32は、戻り流路33における吐出口72側の端に位置しているとともに吐出口72側を向いており、第2開口31は、戻り流路33における容器本体210側の端に位置しているとともに容器本体210側を向いている。
また、吐出流路73は、戻り口32と対向して配置されている第2流入口71を有する。正立状態において、吐出流路73の内部の内容物220は、第2流入口71から戻り口32に向けて自重落下し、戻り流路33を通って、第2開口31から容器本体210に流入する。
【0021】
本実施形態の場合、倒立状態においてスクイズ操作を行うと、図3(a)及び図3(b)に示すように、容器本体210に貯留されている内容物220は、開口21a、初期流路40、初期吐出口22、迂回流路60、流入口66、迂回流路60と吐出流路73との境界部65、第2流入口71、及び、吐出流路73をこの順に通って、吐出口72から外部に吐出される。
一方、吐出容器200が倒立状態から正立状態となると、吐出流路73の内部の内容物220は、吐出流路73、第2流入口71、境界部65、戻り口32、及び、戻り流路33をこの順に通って、第2開口31から容器本体210に流入する。迂回流路60の内部の内容物220の一部は、境界部65、戻り口32、及び、戻り流路33をこの順に通って、第2開口31から容器本体210に流入し、迂回流路60の内部の内容物220の残部は、初期吐出口22と初期流路40とをこの順に通って開口21aから容器本体210に流入する。
【0022】
なお、吐出容器200に対する吐出操作は、スクイズ操作に限らず、吐出容器200を振り動かす動作などであってもよい。また、吐出容器200は、スクイズ操作が行われずとも、倒立状態となると、内容物220が自重によって吐出ユニット100の内部を流動し吐出口72から外部に吐出されるように構成されていてもよい。
【0023】
図1に示すように、吐出ユニット100は、例えば、円筒状の第1部材10と、第1部材10よりも小径である円筒状の第2部材20と、を相互に組み付けることによって構成されている。
詳細は以下に説明するように、本実施形態の場合、第1部材10に吐出流路73及び吐出口72がそれぞれ形成されており、第2部材20に開口21a及び初期流路40がそれぞれ形成されている。そして、第1部材10と第2部材20とが互いに組み合わされることによって、迂回流路60及び流入口66がそれぞれ形成されている。
【0024】
先ず、第1部材10について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1部材10は、例えば、上下方向を軸方向とする円筒状の第1筒状部11と、第1筒状部11の上端側の開口を閉塞している(ただし、後述の吐出管70を除く)環状の第1閉塞部12と、第1筒状部11よりも小径であるとともに第1閉塞部12の中央部から上下方向にそれぞれ突出している吐出管70と、を備えている。吐出管70は、吐出流路73及び吐出口72を形成する。
第1部材10は、例えば、硬質の樹脂材料によって、その全体が一体成形されている。硬質の樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピンなどを挙げることができる。
【0025】
第1筒状部11の内径は、例えば、軸方向における位置にかかわらず一定である。
第1閉塞部12は、例えば、平面視において円環状に形成されている。第1閉塞部12の上面及び下面は、それぞれ水平且つ平坦に形成されている。
本実施形態の場合、吐出ユニット100は、第1筒状部11を容器本体210の口部214に嵌入させることによって、容器本体210の上端部に装着されている。
より詳細には、第1筒状部11の下部は、容器本体210の上端部への装着用として、段差状の嵌合部11aを構成しており、第1筒状部11の外径は、下方に向けて2段階に縮径している。
一方、容器本体210の口部214の内周面の一部分は、嵌合部11aと対応している段差状の被嵌合部214aを構成しており、容器本体210の口部214の内径は、例えば、上方に向けて2段階に拡径している。
嵌合部11aが被嵌合部214aに嵌合することによって、吐出ユニット100が吐出容器200の上端部に装着されている。なお、本発明において、吐出ユニット100を容器本体210に装着する構造は特に限定されず、螺合等によって口部214に装着されていてもよい。
【0026】
吐出管70は、例えば、第1筒状部11と同軸に配置されている。吐出管70における容器本体210側の端、すなわち第2流入口71は、第1筒状部11の下縁よりも吐出口72側(上方)に配置されている。吐出管70の内径及び外径は、軸方向における位置にかかわらず一定である。
【0027】
次に、第2部材20について説明する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、第2部材20は、例えば、上下方向を軸方向とする円筒状の第2筒状部21と、第2筒状部21の上端側の開口を閉塞している(ただし、後述の貫通穴24を除く)環状の第2閉塞部25と、第2筒状部21よりも小径であるとともに第2閉塞部25の中央部から上下方向にそれぞれ突出している円筒状の内筒部35と、備えている。より詳細には、第2筒状部21の内径よりも、内筒部35の外径が小さい。
第2部材20は、例えば、硬質の樹脂材料によって、その全体が一体成形されている。
【0028】
第2筒状部21の内径は、例えば、軸方向における位置にかかわらず一定であり、第1部材10の第1筒状部11の外径と実質的に同等の寸法に設定されている。第2筒状部21の外径は、例えば、容器本体210側に向けて徐々に僅かに縮径している。
第2閉塞部25は、例えば、平面視において円環状に形成されている。
本実施形態の場合、第2筒状部21における容器本体210側の開口が開口21aを構成している。開口21aは、倒立状態において容器本体210側を向くようになっている。
内筒部35は、例えば、戻り管30と、戻り管30よりも大径に形成されている拡径部36と、を含む。
戻り管30は、例えば、拡径部36の下端部から容器本体210側(下方)に向けて突出している。拡径部36と戻り管30とは、互いに同軸に配置されている。
拡径部36の内径及び外径は、例えば、軸方向における位置にかかわらず一定である。
拡径部36の内径は、戻り管30の外径及び第2閉塞部25の内径と実質的に同等の寸法に設定されている。
拡径部36の上縁は、第2閉塞部25の内周縁と周回状に接続されている。
本実施形態の場合、拡径部36の下端部の内部空間が、境界部65を構成している。
戻り管30の内径(ただし上端は除く)は、例えば、軸方向における位置にかかわらず一定であり、戻り管30の外径は、例えば、軸方向における位置にかかわらず一定である。
戻り管30の外径は、例えば、第2閉塞部25の内径と実質的に同等の寸法に設定されている。
【0029】
図2(a)及び図4(b)に示すように、第2閉塞部25の吐出口72側の面及び容器本体210側の面の各々は、例えば、境界部65に向けて下降している。より詳細には、第2閉塞部25の吐出口72側の面及び容器本体210側の面の各々は、例えば、境界部65に向けて階段状に下降している。
第2閉塞部25は、例えば、水平に配置されている複数(例えば、4つ)の水平部26a、27a、28a、29aと、板面が周方向を向いている複数(例えば、4つ)の段差部26b、27b、28b、29bと、を含む。
各水平部26a~29a及び各段差部26b~29bは、それぞれ平板状に形成されている。
【0030】
図2(b)に示すように、各水平部26a~29aは、例えば、平面視において、円環を4等分した形状、すなわち中心角が90度の扇面形状に形成されている。換言すると、各水平部26a~29aは、平面視において、扇形の中心から小さい扇形を除去した形状に形成されている。各水平部26a~29aは、上下方向において互いに段違いに配置されている。
本実施形態の場合、各水平部26a~29aは、平面視において第1筒状部11の内周面11bと拡径部36の外周面との間隙を覆うようにして配置されている。
各水平部26a~29aを、周方向における一方側から順にそれぞれ、第1水平部26a、第2水平部27a、第3水平部28a、第4水平部29a、と称する。
なお、以下の説明において、図2(b)に示すように、周方向における一方(一方向)とは、平面視において反時計回りの方向を意味しており、周方向における他方(他方向)とは、平面視において時計回りの方向を意味している。
第2水平部27aは、第1水平部26aよりも下方に配置されており、第3水平部28aは、第2水平部27aよりも下方に配置されており、第4水平部29aは、第3水平部28aよりも下方に配置されている。
【0031】
第2筒状部21の上縁の各部位は、各水平部26a~29aの外周縁に連接されている。より詳細には、第2筒状部21において、第1水平部26aの外周縁と対応している部位は、第1水平部26aの高さ位置に達している。第2筒状部21において、第2水平部27aの外周縁と対応している部位は、第2水平部27aの高さ位置に達している。第2筒状部21において、第3水平部28aの外周縁と対応している部位は、第3水平部28aの高さ位置に達している。第2筒状部21において、第4水平部29aの外周縁と対応している部位は、第4水平部29aの高さ位置に達している。
また、内筒部35の拡径部36の上縁は、各水平部26a~28aの内周縁に連接されている。より詳細には、内筒部35において、第1水平部26aの内周縁と対応している部位は、第1水平部26aの高さ位置に達している。内筒部35において、第2水平部27aの内周縁と対応している部位は、第2水平部27aの高さ位置に達している。内筒部35において、第3水平部28aの内周縁と対応している部位は、第3水平部28aの高さ位置に達している。
【0032】
また、図2(a)及び図4(a)に示すように、例えば、拡径部36は、径方向における一方側(第4水平部29a側)に向けて開放している。すなわち拡径部36は、径方向における一方側(第4水平部29a側)を向いた開口を有する。当該開口は、例えば、後述する流入口66を構成している。
また、当該開口は、例えば、拡径部36の周方向における一方側に位置していて鉛直に延在している縁部と、拡径部36の周方向における他方側に位置していて鉛直に延在している縁部と、吐出管70の上縁の一部分(これら2つの縁部に挟まれている部分)と、によって画定されている。第4水平部29aの内周縁は、戻り管30の上縁のうち上記開口を画定している部分に連接されている。
【0033】
板面に対して直交する方向に視た各段差部26b~29bの形状は、例えば、略矩形状である。各段差部26b~29bの上辺及び下辺の各々は、水平となっており、各段差部26b~29bの残りの2辺の各々は、鉛直となっている。
径方向における各段差部26b~29bの寸法は、例えば、互いに同等の寸法に設定されており、且つ、径方向における各水平部26a~29aの寸法と同等に設定されている。
各段差部26b~29bの上下寸法は、例えば、互いに異なる寸法に設定されている。より詳細には、段差部26b(以下、第1段差部26bと称する)の上下寸法は段差部27b(以下、第2段差部27bと称する)の上下寸法よりも大きく、段差部28b(以下、第3段差部28bと称する)の上下寸法は第1段差部26bの上下寸法よりも大きく、段差部29b(以下、第4段差部29bと称する)の上下寸法は第3段差部28bの上下寸法よりも大きい。
各段差部26b~29bは、例えば、周方向において互いに隣り合う水平部26a~29aどうしを上下に接続している。より詳細には、第1段差部26bの上縁部は第1水平部26aの周方向における一方側の縁部に接続されており、第1段差部26bの下縁部は第2水平部27aの周方向における他方側の縁部に接続されている。第2段差部27bの上縁部は第2水平部27aの周方向における一方側の縁部に接続されており、第2段差部27bの下縁部は第3水平部28aの周方向における他方側の縁部に接続されている。更に、第3段差部28bの上縁部は第3水平部28aの周方向における一方側の縁部に接続されており、第3段差部28bの下縁部は第4水平部29aの周方向における他方側の縁部に接続されている。第4段差部29bの上縁部は第1水平部26aの周方向における他方側の縁部に接続されており、第4段差部29bの下縁部は第4水平部29aの周方向における一方側の縁部に接続されている。
【0034】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1部材10と第2部材20は、例えば、第2筒状部21が第1筒状部11に嵌入することによって、互いに組み付けられている。この状態において、第2筒状部21の外周面が第1筒状部11の内周面11bに対して周回状に液密に密着している。
第1部材10と第2部材20とは、互いに同軸に配置されている。つまり、第1筒状部11と第2筒状部21とは、互いに同軸に配置されている。第2筒状部21の外周面の一部分又は全体が、第1筒状部11の内周面11bに対して密着している。第1筒状部11の下端と第2筒状部21の下端とは互いに同じ高さ位置に配置されているか、又は、第2筒状部21の下端は第1筒状部11の下端よりも下方に配置されていることが好ましい。第2閉塞部25は、上下方向における第1筒状部11の中央部に配置されており、第2閉塞部25の各水平部26a~29aと第1閉塞部12とは、互いに対向している。また、第2閉塞部25(各水平部26a~29a及び各段差部26b~29b)は、第1筒状部11の内周面11bと吐出管70の外周面70aとの間隙に嵌合している。
ここで、第2筒状部21の下端部の外周面には、周回状のリブ23が形成されている。リブ23が第1筒状部11の内周面11bに対して係止又は圧接されることによって、第2部材20は第1部材10の下端側の開口を周回状に液密に閉塞している。
【0035】
本実施形態の場合、吐出管70は、吐出流路73を内部に有する。より詳細には、吐出管70の内周面が、吐出流路73を画定しており、吐出管70(吐出流路73)は、吐出ユニット100の外部空間と迂回流路60とを連通させている。
吐出管70の上端は、吐出口72を構成している。吐出管70の下端は、吐出流路73と迂回流路60との境界部65に開口しており、第2流入口71を構成している。
【0036】
ここで、吐出管70の上端側の開口、すなわち吐出口72の直径は、例えば、1.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは、1.5mm以上3.0mm以下である。
また、1回のスクイズ操作によって吐出口72から吐出される内容物220の量は、例えば、0.5mL以上であることが好ましく、より好ましくは1.0mL以上5.0mL以下である。すなわち、吐出容器200において、上述した内容物220の収容容量に対して、1回のスクイズ操作によって吐出口72から吐出される内容物220の量は相対的に少量となっている。
【0037】
本実施形態の場合、上述のように、迂回流路60は、第1部材10と第2部材20とによって画定される。より詳細には、迂回流路60の外周は第1筒状部11の内周面11bによって画定されている。また、上述のように、吐出管70は、第1筒状部11の内側に配置されている。より詳細には、図5に示すように、吐出管70の外周面70aは、第1筒状部11の内周面11bの内側に収まっている。換言すると、平面視において、吐出管70は迂回流路60の外周の内側に収まっており、迂回流路60の内周は吐出管70における容器本体210側の部分の外周面によって画定されている。
また、例えば、迂回流路60の吐出口72側の面は、第1閉塞部12の容器本体210側の面によって画定されており、迂回流路60の容器本体210側の面は、第2閉塞部25の吐出口72側の面によって画定されている。より詳細には、迂回流路60の容器本体210側の面は、各水平部26a~29aの吐出口72側の面と、各段差部26b~28bの周方向において上記一方側(平面視における反時計回りの方向)を向いた面と、第4段差部29bの周方向において上記他方側を向いた面(平面視における時計回りの方向)と、によって階段状に構成されている。迂回流路60は、第1筒状部11の内周面11bと、吐出管70の下部の外周面と、第1閉塞部12の容器本体210側の面と、第2閉塞部25の吐出口72側の面と、によって囲まれている平面視環状の空間である。吐出流路73(吐出管70)は当該環状の迂回流路60の中央に配置されている。これにより、倒立状態において、迂回流路60に流入した内容物220は、中央に配置されている吐出流路73に向けて、第1筒状部11の内周面11b及び吐出管70の下部の外周面70aに沿って、周方向に迂回しながら流動し得る。
【0038】
本実施形態の場合、戻り管30は、戻り流路33を内部に有する。より詳細には、戻り管30の内壁面が、戻り流路33を画定しており、戻り管30は、迂回流路60と容器本体210の内部空間とを連通している。
戻り管30の上端は境界部65(拡径部36の内空)に開口しており、戻り管30の下端は容器本体210の内部空間に開口している。すなわち、戻り管30において、吐出口72側の開口が戻り口32を構成しており、容器本体210側の開口が第2開口31を構成している。
【0039】
本実施形態の場合、上述のように、初期流路40は、第2部材20によって画定される。より詳細には、初期流路40の内周は第2筒状部21の内周面21bによって画定されている。また、上述のように、戻り管30(内筒部35)は、第2筒状部21の内側に配置されている。より詳細には、図5に示すように、戻り管30の外周面30aは、第2筒状部21の内周面21bの内側に収まっている。換言すると、平面視において、戻り管30(戻り流路33)は初期流路40の外周の内側に収まっており、初期流路40の内周は内筒部35の外周面によって画定されている。
また、初期流路40の吐出口72側の面は第2閉塞部25の容器本体210側の面によって画定されている。より詳細には、初期流路40の吐出口72側の面は、各水平部26a~29aの容器本体210側の面と、各段差部26b~28bの周方向において上記他方側を向いた面(平面視における時計回りの方向)と、第4段差部29bの周方向において上記一方側(平面視における反時計回りの方向)と、によって階段状に構成されている。
初期流路40は、第2閉塞部25の容器本体210側の面と、第2筒状部21の内周面21bと、内筒部35の外周面と、によって囲まれている平面視環状の空間である。戻り流路33(戻り管30)は、環状の初期流路40の中央に配置されている。
【0040】
ここで、第2閉塞部25の第1水平部26aには、例えば、当該第1水平部26aの吐出口72側の面と容器本体210側の面とを上下方向に貫通する貫通穴24が形成されている。貫通穴24は、初期流路40(第2部材20の内部空間)と迂回流路60(第1部材10の内部空間)とを連通させており、貫通穴24の吐出口72側の開口、すなわち第1水平部26aの吐出口72側の面における開口が、初期吐出口22を構成している。よって、初期吐出口22は吐出口72側を向いている。また、図3(a)及び図3(b)に示すように、第2閉塞部25の容器本体210側の面及び吐出口72側の面の各々は、初期吐出口22(貫通穴24)に向けて階段状に上昇した形状となっている。
貫通穴24は、例えば、第1水平部26aの平面形状と対応した形状に形成されている。すなわち、初期吐出口22は、平面視において、中心角が略90度扇面形状に形成されており、その外形寸法は、第1水平部26aの上面の外形寸法よりも一回り小さい寸法に設定されている。
【0041】
また、第1部材10と第2部材20とが相互に組み付けられている状態において、吐出管70の下端部は、内筒部35の拡径部36に嵌入している。
本実施形態の場合、上述のように、拡径部36の内径(円相当径)は吐出管70の外径と実質的に同等である。よって、拡径部36に吐出管70の下端部が嵌入している状態において、吐出管70の下端部の外周面70aは、拡径部36の内周面に対して密着している。
【0042】
本実施形態の場合、拡径部36の上記開口は、流入口66を構成している。より詳細には、例えば、吐出管70の下端は、拡径部36の内部空間において、第3水平部28aの下面よりも下方に位置しているとともに、第4水平部29aの上面よりも上方に位置している。すなわち、図4(b)に示すように、拡径部36の上記開口において、吐出管70の下縁よりも容器本体210側(下側)の領域が流入口66を構成している。
これにより、第2流入口71は、流入口66が開口している箇所を除いて、吐出管70の下端部と第2閉塞部25とによって迂回流路60から隔てられている。
径方向に視た流入口66の形状は、例えば、周方向に長尺な略矩形状である(図4(b)参照)。
また、拡径部36の下端部において、吐出管70の下端よりも容器本体210側(下側)の空間が、吐出流路73と迂回流路60との境界部65を構成している。本実施形態の場合、境界部65は、例えば、流入口66から第2流入口71までの間の領域であり、内容物220の流動方向において寸法を有する領域となっている。内容物220の吐出の際には、境界部65において、迂回流路60から境界部65に流入した内容物220の流動方向が、径方向内向きの方向から吐出口72側の向きへと変化するようになっている。
ただし、本発明において、境界部65は、内容物220の流動方向において寸法を有しておらず、迂回流路60と吐出流路73とを急峻に仕切っている境界(単なる開口)であってもよい。すなわち、例えば、流入口66又は第2流入口71が、吐出流路73と迂回流路60との境界であってもよい。
【0043】
本実施形態の場合、初期吐出口22と吐出流路73への流入口66とは、吐出ユニット100の周方向において互いに異なる位置に配置されている。
より詳細には、図2(b)に示すように、第4水平部29aは、第1水平部26aを基準として、周方向における上記一方側に向けて270度回転した位置に配置されている。したがって、流入口66は、初期吐出口22を基準として、周方向における上記一方側に向けて270度回転した位置に配置されている。更に、上述のように、第2流入口71は、流入口66が開口している箇所を除いて、拡径部36によって周回状に囲まれている。このため、迂回流路60の内部の内容物220が流入口66以外から第2流入口71に流入することが規制されている。
これにより、倒立状態において、初期吐出口22から迂回流路60に流入した内容物220は、環状の迂回流路60に沿って、流入口66に向けて、周方向において270度迂回して流動することが期待できる。より詳細には、図3(a)及び図3(b)に示すように、初期吐出口22から流入した内容物220は、例えば、環状の迂回流路60において、第2水平部27aの吐出口72側の面上と、第3水平部28aの吐出口72側の面上と、第4水平部29aの吐出口72側の面上と、をこの順に経由して、周方向における上記一方向に流動することが期待できる。なお、内容物220の一部は、周方向における上記他方向に流動する可能性があるが、その場合も、少なくとも第4段差部29bを跨いで周方向において迂回して流動する。
【0044】
また、上述のように、正立状態において、第2閉塞部25の吐出口72側の面は、例えば、境界部65に向けて階段状に下降している。よって倒立状態において、例えば、迂回流路60の容器本体210側の面は、境界部65に向けて階段状に上昇している。したがって、倒立状態において、迂回流路60の内部の内容物220は、周方向において270度迂回しつつ、各水平部26a~29a及び各段差部26b~29bに沿って、流入口66に向けて上昇しながら流動することが期待できる。
換言すると、迂回流路60は、周方向に旋回しつつ軸方向に螺進している形状に形成されている。これにより、吐出ユニット100において、十分な長さを有する迂回流路60を実現できるため、内容物220が低粘性であっても、倒立状態において、内容物220が迂回流路60を通って吐出口72から吐出されるまでの時間を好適に確保することが可能となる。
また、迂回流路60は、各水平部26a~29a及び各段差部26b~29bによって、境界部65に向けて段階的に狭められた空間となっているため、倒立状態において、迂回流路60の内部の空気置換を遅らせることが可能となる。すなわち、内容物220が迂回流路60の内部を流動し吐出流路73に流入するまでの十分な時間を確保することができる。
【0045】
更に、図4(b)に示すように、流入口66は、例えば、倒立状態において横向きとなる横孔であり、初期吐出口22とは異なる方向に開口している。なお、ここでいう横向きとは、軸方向に対して直交する方向、すなわち径方向を向いていることを意味している。
より詳細には、上述のように、倒立状態において、流入口66は、径方向において、第4水平部29aが形成されている側に向けて開口しており、初期吐出口22は下方に向けて開口している。
これにより、倒立状態において、初期吐出口22から流下した内容物220は、周方向において迂回しながら軸方向に沿って上昇し、流入口66に流入する際に径方向に流動する。すなわち、迂回流路60において、内容物220は流れる向きを変える必要があるため、内容物220が受ける流動抵抗が大きくなり、倒立状態において内容物220が迂回流路60を通って吐出口72から吐出されるまでの時間をより十分に確保することができる。
【0046】
本実施形態の場合、図1に示すように、正立状態において、戻り管30は、吐出管70における容器本体210側の端よりも容器本体210側に配置されている。より詳細には、戻り口32は第2流入口71よりも容器本体210側に配置されている。更に、上述のように、戻り口32は、第2流入口71(吐出管70の下端)と対向して配置されており、吐出容器200が倒立状態から正立状態に切り替わると、吐出流路73を流動していた内容物220は、自重落下して第2流入口71から戻り口32に流入する。
【0047】
ここで、上述のように、正立状態において、第2閉塞部25の容器本体210側の面は、例えば、初期吐出口22に向けて階段状に上昇している。したがって、図3(a)、図3(b)に示すように、倒立状態において、初期流路40の吐出口72側の面(第2閉塞部25の容器本体210側の面)は、初期吐出口22に向けて下降している。より詳細には、初期流路40の容器本体210側の面は、例えば、初期吐出口22に向けて階段状に下降する形状に形成されている。これにより、倒立状態において内容物220が自重によって容器本体210側に流動する際に、内容物220が、初期吐出口22に向けて下降している初期流路40の吐出口72側の面により誘導されて、周方向における上記一方向に流動しつつ螺旋状に流下するため、スムーズに初期吐出口22に流れ込むことが可能となる。
更に、吐出容器200が倒立状態から正立状態に切り替わった際にも、迂回流路60の上部にあった内容物220は、各水平部26a~29aと各段差部26b~29bとにより誘導されて、周方向における上記一方向に流動しつつ螺旋状に流下するため、スムーズに戻り口32に流れ込むことが可能となる。
【0048】
本実施形態の場合、初期吐出口22の開口面積は開口21aの開口面積よりも小さい。
より詳細には、開口21aの開口面積は、第2筒状部21の下端側の開口面積から戻り管30の横断面積を除いた面積である。一方、初期吐出口22の開口面積は、第1水平部26aの上端面の面積よりも小さい。したがって、初期吐出口22の開口面積は、開口21aの開口面積よりも小さい。これにより、倒立状態において、開口21aから初期流路40に流入する内容物220が受ける流動抵抗よりも、初期吐出口22から迂回流路60に流入する内容物220が受ける流動抵抗の方が大きくなる。よって、内容物220が迂回流路60を通って吐出口72から吐出されるまでの時間を好適に確保することができる。
【0049】
更に、図3(a)、図3(b)及び図5に示すように、吐出管70と戻り管30とが互いに延長上且つ互いに同軸に配置されている。よって、正立状態において、戻り口32が第2流入口71の直下に位置している。これにより、内容物220は、初期流路40及び迂回流路60を介さずに、吐出流路73から戻り流路33を通って、容器本体210の内部空間に流入することができる。
これにより、吐出容器200を倒立状態から正立状態に切り替えた際に、戻り流路33及び迂回流路60の内部にある内容物220が、すみやかに戻り口32に流入し、戻り流路33を経由して容器本体210の内部に収容される。すなわち、再び吐出容器200を正立状態から倒立状態に切り替えた際にも、内容物220が吐出口72から吐出されるまでの時間を、再現性よく十分に確保することができる。
【0050】
更に、本実施形態の場合、戻り口32は、正立状態において、容器本体210側に向けて窄まった形状となっている。より詳細には、戻り管30の上端の内周縁と戻り管30の内周面との境界部は、吐出口72側に向けて徐々に内径が拡径しているテーパー状となっている。
これにより、吐出容器200を倒立状態から正立状態に切り替えた際に、境界部65において、吐出流路73から自重落下してくる内容物220や、迂回流路60から流入する内容物220が受ける流動抵抗が低減され、内容物220は戻り口32から戻り流路33にスムーズに流入することができる。
【0051】
ここで、図2(c)に示すように、開口21aの開口面積は、例えば、第2開口31の開口面積よりも大きい。より詳細には、底面視において、開口21aと第2開口31とは互いに同軸に配置されており、第2開口31は、開口21aの内側に配置されている。第2開口31の内径は、例えば、開口21aの内径の半分以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましい。
【0052】
これにより、倒立状態において、内容物220が自重によって容器本体210から吐出口72側(下方)に流動する際に、開口21aにおける流動抵抗よりも第2開口31における流動抵抗の方が大きくなる。よって、内容物220は、第2開口31ではなく開口21aに流入するように誘導されることが期待できる。すなわち、倒立状態において、容器本体210の内部の内容物220が、初期流路40及び迂回流路60を介さずに、戻り流路33から吐出流路73に流れ込むことが期待でき、吐出口72から漏出してしまうことを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態の場合、戻り管30の容器本体210側の端(下端)の高さ位置は、第2筒状部21の容器本体210側の端(下端)の高さ位置よりも容器本体210側(下方)に配置されている。よって、第2開口31は、戻り管30における容器本体210側の端に配置されており、第2開口31は、開口21aよりも、容器本体210側に配置されている。これにより、倒立状態において、内容物220がその自重によって容器本体210から吐出口72側(下方)に流動する際に、開口21aにおける流動抵抗よりも第2開口31における流動抵抗の方がより大きくなる。
すなわち、倒立状態において、容器本体210の内部空間から吐出口72側に流動する内容物220が、開口21aではなく第2開口31に流入し、初期流路40及び迂回流路60を経由せずに、戻り流路33から直接的に吐出流路73に流入してしまうことをより確実に抑制できる。
【0054】
また、図3(a)及び図3(b)に示すように、軸方向に対して直交する戻り管30の内空断面積は、軸方向に対して直交する吐出管70の内空断面積よりも小さい。より詳細には、例えば、戻り流路33の流路面積の最小値は、吐出流路73の流路面積の最小値よりも小さい。すなわち、内容物220が流動する際に受ける流動抵抗について、吐出管70における流動抵抗よりも、戻り管30における流動抵抗の方が大きくなる。これにより、倒立状態において、境界部65に到達した内容物220が、戻り流路33ではなく吐出流路73に流入することが期待できる。
【0055】
〔第2実施形態〕
次に、図6(a)から図7(b)を用いて第2実施形態を説明する。なお、図7(a)において、第2部材20は図6(b)のA―A線に沿った断面を示しており、図7(b)において、第2部材20は図6(b)のB-B線に沿った断面を示している。
本実施形態に係る吐出ユニット100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る吐出ユニット100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る吐出ユニット100と同様に構成されている。
【0056】
図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施形態の場合、吐出ユニット100は、迂回流路60と初期流路40との境界部65と第2開口31とを連通させている戻り流路33(図1参照)を有していない。
より詳細には、図6(a)、図6(b)及び図6(c)に示すように、第2閉塞部25の中央部は、水平且つ平坦に形成されており、第2筒状部21の上端側の開口を閉塞している。
より詳細には、本実施形態の場合、内筒部35は、一例として、戻り管30を有していない。したがって、拡径部36が内筒部35の全体を構成している。拡径部36の下端側の開口は閉塞されており、拡径部36は平坦且つ水平に形成されている底部を有する。第2筒状部21の上端側の開口は、第2閉塞部25と、底部を有する拡径部36と、によって閉塞されている。
拡径部36(内筒部35)の底部は、第4水平部29aと同じ高さ位置に配置されている。より詳細には、内筒部35の底部の上面は第4水平部29aの上面と面一に配置されており、内筒部35の底部の下面は第4水平部29aの下面と面一に配置されている。
【0057】
本実施形態の場合、初期流路40の吐出口72側の面は、第2閉塞部25の容器本体210側の面と、拡径部36の外周面と、拡径部36の底部の容器本体210側の面と、によって画定されている。
また、初期流路40の容器本体210側の形状は、例えば、円形状であり、開口21aの開口面積は、第1筒状部11の容器本体210側の開口面積と同等である。
【0058】
吐出容器200を倒立状態から正立状態に切り替えてスクイズ操作が行われると、内容物220は、開口21aから初期流路40に流入し、初期吐出口22と、迂回流路60と、流入口66と、境界部65と、第2流入口71と、吐出流路73と、の順に流動し吐出口72から外部へ吐出される。
吐出容器200を倒立状態から正立状態に切り替えると、迂回流路60の内部の内容物220は、初期吐出口22から初期流路40に流入し、開口21aから容器本体210に戻される。
【0059】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0060】
例えば、上述の説明において、流入口66が、初期吐出口22を基準として周方向における一方に向けて270度回転した位置に形成されている例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、流入口66は、周方向において初期吐出口22と180度対向する位置に配置されていてもよい。このようにすると、倒立状態において、初期吐出口22から迂回流路60に流入した内容物220のうち、一部は周方向における一方向に向けて180度迂回して流入口66に流入すると共に、残部は周方向における他方向に向けて180度迂回して流入口66に流入する構造を実現することができる。よって、倒立状態において、内容物220が流入口66に到達するまでの時間を十分に確保することができる。
【0061】
また、例えば、上述の説明においては、倒立状態において、迂回流路60の容器本体210側の面が境界部65に向けて階段状に上昇している例を説明したが、本発明はこの例に限らず、例えば、倒立状態において、迂回流路60の容器本体210側の面が境界部65に向けて傾斜状に上昇していてもよい。
【0062】
また、例えば、上述の説明においては、吐出ユニット100は、第1部材10と第2部材20との2つの部材を互いに組み合わせることによって構成されている例を説明したが、本発明はこの例に限らず、吐出ユニット100は、1つの部材(単一部材)によって構成されていてもよい。
【0063】
また、例えば、上述の説明においては、吐出管70と戻り管30とが互いに延長上且つ同軸に配置されている例を説明したが、本発明はこの例に限らず、吐出管70の軸心と戻り管30の軸心とは互いに異なる位置に配置されていてもよい。
【0064】
また、上記の実施形態は、相反しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 第1部材
11 第1筒状部
12 第1閉塞部
20 第2部材
21 第2筒状部
21a 開口
22 初期吐出口
25 第2閉塞部
30 戻り管
31 第2開口
32 戻り口
33 戻り流路
35 内筒部
36 拡径部
40 初期流路
60 迂回流路
65 境界部
66 流入口
70 吐出管
71 第2流入口
72 吐出口
73 吐出流路
100 吐出ユニット
200 吐出容器
210 容器本体
211 胴部
213 底部
214 口部
220 内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7