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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】半導体装置及び機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20240909BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240909BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240909BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240909BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20240909BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L21/90 B
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H04N25/76
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020037964
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021141451
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/209221(WO,A1)
【文献】特開2016-105571(JP,A)
【文献】特開2015-139081(JP,A)
【文献】特開2012-104684(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123831(WO,A1)
【文献】特開2018-007000(JP,A)
【文献】特開2018-046484(JP,A)
【文献】特開2015-056878(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186192(WO,A1)
【文献】特開2020-031267(JP,A)
【文献】国際公開第2018/194030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 - 5/33
H04N 23/11
H04N 23/20 -23/30
H04N 25/00
H04N 25/20 -25/61
H04N 25/615 -25/79
H01L 21/3205-21/3213
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 23/532
H01L 27/14 -27/148
H01L 29/76
H10K 39/32 -39/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路部及び前記第1の回路部に接続された配線を含む第1の半導体部品と、
第2の回路部及び第3の回路部を含み、前記第1の半導体部品に積層された第2の半導体部品と、を有し、
前記第1の回路部は、複数の行及び複数の列をなすように配された複数のセルを有するセルアレイ部であり、前記複数のセルの各々は、光電変換部及び増幅部を有する画素回路を有し、
前記配線は、前記複数の行の各々または前記複数の列の各々に配され、各々が対応する前記セルに接続された複数の信号線の少なくともいずれかであって、前記第1の半導体部品と前記第2の半導体部品とを電気的に接続する複数の接続部のうちの第1の接続部及び第2の接続部に電気的に接続されており、
前記第2の回路部は、前記増幅部にバイアス電流を供給する電流源を有し、前記第1の接続部を介して前記配線に電気的に接続されており、
前記第3の回路部は、前記画素回路から出力される信号を処理する処理部を有し、前記第2の接続部を介して前記配線に電気的に接続されており、
前記複数の行のうちの中央の行に配された前記セルは、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間の電気的経路において、前記配線に接続されており、
前記第2の半導体部品は、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを接続する電気的経路を有していない
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2の回路部及び前記第3の回路部の各々は2つのブロックに分けられており、
前記第2の回路部の第1のブロック及び第2のブロック並びに前記第3の回路部の第1のブロック及び第2のブロックは、列方向に並ぶように配されており、
前記第2の回路部の前記第1のブロックと前記第3の回路部の前記第1のブロックとの間に、前記第2の回路部の前記第2のブロック及び前記第3の回路部の前記第2のブロックのうちの一方が配されている
ことを特徴とする請求項記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の回路部及び前記第3の回路部の各々は2つのブロックに分けられており、
前記第2の回路部の第1のブロック及び第2のブロック並びに前記第3の回路部の第1のブロック及び第2のブロックは、列方向に並ぶように配されており、
前記第3の回路部の前記第1のブロックと前記第3の回路部の前記第2のブロックとの間に、前記第2の回路部の前記第1のブロック及び前記第2の回路部の前記第2のブロックが配されている
ことを特徴とする請求項記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の信号線は、前記複数の行のうちの中央の行に対し、第1の方向の側に前記第1の接続部が位置し、前記第1の方向とは反対の第2の方向の側に前記第2の接続部が位置する第1の組と、前記中央の行に対し、前記第2の方向の側に前記第1の接続部が位置し、前記第1の方向の側に前記第2の接続部が位置する第2の組と、を含み、
前記第1の組の前記信号線は、前記第2の回路部の前記第1のブロック及び前記第3の回路部の前記第1のブロックに接続されており、
前記第2の組の前記信号線は、前記第2の回路部の前記第2のブロック及び前記第3の回路部の前記第2のブロックに接続されている
ことを特徴とする請求項又は記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の組の前記信号線と前記第2の組の前記信号線とが交互に配されている
ことを特徴とする請求項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記信号線に接続されたクリップ回路を更に有する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記信号線に接続されたブースト回路を更に有する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の半導体部品と前記第2の半導体部品との間に配された第3の半導体部品を更に有し、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記第3の半導体部品を貫いて前記第1の半導体部品と前記第2の半導体部品とを電気的に接続する電気的経路を有する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の半導体部品は、半導体層と、前記半導体層の上に設けられた配線構造と、を有し、
前記配線構造は、前記半導体層と前記第2の半導体部品との間に位置している
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の半導体部品は、半導体層と、前記半導体層の上に設けられた配線構造と、を有し、
前記半導体層は、前記配線構造と前記第2の半導体部品との間に位置している
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の半導体部品は、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の一部として、前記半導体層を貫くように設けられた貫通電極を有する
ことを特徴とする請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の半導体部品は、前記第1の接続部の一部としての第1の電極と、前記第2の接続部の一部としての第2の電極と、を含み、
前記第2の半導体部品は、前記第1の接続部の一部としての第3の電極と、前記第2の接続部の一部としての第4の電極と、を含み、
前記第1の接続部において前記第1の電極の金属と前記第2の電極の金属とが金属結合しており、前記第2の接続部において前記第3の電極の金属と前記第4の電極の金属とが金属結合している
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は前記第1の回路部に重なる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第3の回路部は、AD変換処理を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置に被写体の像を結像する光学系と
を有することを特徴とする機器。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置からの信号に基づく情報を取得する情報取得手段と、
制御手段と、を備える機器であって、
前記制御手段は、前記情報に基づいて前記機器を制御する
ことを特徴とする機器。
【請求項17】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置に接続された装置と
を有することを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の半導体部品を積層した固体撮像装置が提案されている。特許文献1には、画素部を有する基板と読み出し回路を有する基板とを積層することにより、垂直信号線の配線抵抗による電圧降下を低減し、電圧降下に起因するシェーディングを改善した固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-104684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、半導体部品間の接続部で発生するインピーダンス成分について十分に検討されておらず、固体撮像装置の更なる高性能化のためには改善の余地があった。同様の課題は、固体撮像装置のみならず、複数の半導体部品を積層した半導体装置においても生じうる。
【0005】
本発明の目的は、複数の半導体部品を積層してなる半導体装置において、半導体部品間の接続の形態を改善して特性を向上するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、第1の回路部及び前記第1の回路部に接続された配線を含む第1の半導体部品と、第2の回路部及び第3の回路部を含み、前記第1の半導体部品に積層された第2の半導体部品と、を有し、前記第1の回路部は、複数の行及び複数の列をなすように配された複数のセルを有するセルアレイ部であり、前記複数のセルの各々は、光電変換部及び増幅部を有する画素回路を有し、前記配線は、前記複数の行の各々または前記複数の列の各々に配され、各々が対応する前記セルに接続された複数の信号線の少なくともいずれかであって、前記第1の半導体部品と前記第2の半導体部品とを電気的に接続する複数の接続部のうちの第1の接続部及び第2の接続部に電気的に接続されており、前記第2の回路部は、前記増幅部にバイアス電流を供給する電流源を有し、前記第1の接続部を介して前記配線に電気的に接続されており、前記第3の回路部は、前記画素回路から出力される信号を処理する処理部を有し、前記第2の接続部を介して前記配線に電気的に接続されており、前記複数の行のうちの中央の行に配された前記セルは、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間の電気的経路において、前記配線に接続されており、前記第2の半導体部品は、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを接続する電気的経路を有していない半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の半導体部品を積層してなる半導体装置において、半導体部品間の接続の形態を改善して特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態による光電変換装置の概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態による光電変換装置における画素回路の構成例を示す等価回路図である。
図3】本発明の第1実施形態による光電変換装置の構成例を示す概略断面図(その1)である。
図4】本発明の第1実施形態による光電変換装置の構成例を示す概略断面図(その2)である。
図5】本発明の第1実施形態による光電変換装置における接続部の構成例を示す模式図である。
図6】本発明の第2実施形態による光電変換装置における接続部の構成例を示す模式図である。
図7】本発明の第3実施形態による光電変換装置の概略構成を示す模式図である。
図8】本発明の第3実施形態による光電変換装置の構成例を示す概略断面図である。
図9】本発明の第4実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第5実施形態による撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置について、図1乃至図5を用いて説明する。本実施形態による半導体装置は、例えば、光電変換部を備えた光電変換装置に適用可能である。以下では、光電変換装置を例に挙げ、本実施形態の半導体装置を説明する。図1は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示す模式図である。図2は、本実施形態による光電変換装置における画素回路の構成例を示す等価回路図である。図3及び図4は、本実施形態による光電変換装置の構成例を示す概略断面図である。図5は、本実施形態による光電変換装置における接続部の構成例を示す模式図である。
【0010】
本実施形態による光電変換装置500は、図1に示すように、各々が半導体集積回路を備える半導体部品100と半導体部品200とが積層されてなる。半導体部品100,200は、実質的に合同な外縁形状を有することができるが、必ずしも同じである必要はない。
【0011】
半導体部品100には、例えば、セルアレイ部10と、駆動回路部15と、インターフェース部16と、が設けられている。セルアレイ部10は、複数の行及び複数の列をなすように配された複数のセルを有する。本例のセルアレイ部10における複数のセルの各々は、光電変換部を有する画素回路1を含む画素セルである。ただし、セルアレイ部10のセルは、画素セルに限らず、メモリセルであってもよい。複数の画素セルを有するセルアレイ部10は、画素アレイ部と称することができる。
【0012】
セルアレイ部10には、光電変換部を含む画素回路1が複数の行及び複数の列に渡って2次元状に配列されている。セルアレイ部10の各列には、対応する列に配された画素回路1に接続された信号線11が少なくとも1線ずつ設けられている。なお、画素回路1からの信号が信号線11に出力されるため、信号線11を出力線と称することができる。また、信号線11が対応する列に配されていることから、信号線11を列配線と称することもできる。
【0013】
半導体部品200には、例えば、定電流源回路部21と、列回路部22と、駆動回路部25と、インターフェース部26と、演算回路部27と、制御回路部28と、が設けられている。定電流源回路部21は、信号線11の各々に対応する複数の定電流源(後述する電流源21a)を有する。列回路部22は、信号線11の各々に対応する複数の列回路(後述する列回路22a)を有する。複数の列回路の各々は、画素回路1の出力信号に対して所定の信号処理、例えば、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)処理、増幅処理、AD(Analog-Digital)変換処理などを行う処理部である。演算回路部27は、列回路部22から出力された信号に対して、所定の演算処理を行う機能を備える。半導体部品200の各回路部の回路はMOSトランジスタによる集積回路でありうる。
【0014】
駆動回路部15,25は、画素回路1を行単位で駆動するための駆動回路を有する。インターフェース部16,26は、光電変換装置500の外部からの電力供給や信号の入出力を行うためのインターフェース回路を有する。制御回路部28は、駆動回路部15,25や列回路部22などに対し、それらの動作やタイミングを制御する制御信号を供給する機能を備える。制御信号の少なくとも一部は、光電変換装置500の外部から供給されてもよい。
【0015】
光電変換装置500は更に、半導体部品100と半導体部品200とを電気的に接続するための複数の接続部31,32,35,36,37を有する。図1にはこれら接続部31,32,35,36,37を模式的に示している。図1に示す様に、複数の接続部31,32,35,36,37のうち、接続部31及び接続部32は、セルアレイ部10に重なる位置に設けられている。複数の接続部31,32,35,36,37のうち、接続部35、接続部36及び接続部37は、セルアレイ部10に重ならない位置に設けられている。つまり、接続部35、接続部36及び接続部37は、半導体部品100におけるセルアレイ部10の外の部分に重なる位置に設けられている。
【0016】
複数の信号線11の各々は、接続部31を介して定電流源回路部21に電気的に接続され、また、接続部32を介して列回路部22に電気的に接続されている。別の言い方をすると、複数の信号線11の各々は、異なる機能を備える複数の回路部に、別々の接続部を介して電気的に接続されている。定電流源回路部21と列回路部22とは、半導体部品200の中では電気的に接続されておらず、半導体部品100の信号線11を介して互いに電気的に接続されている。
【0017】
駆動回路部15と駆動回路部25とは、接続部35,37を介して互いに電気的に接続されている。接続部35は、駆動回路部15,25間で信号の伝送を行う機能を備える。接続部37は、駆動回路部15,25間で電力の供給を行う機能を備える。インターフェース部16とインターフェース部26とは、接続部36を介して互いに電気的に接続されている。
【0018】
また、図1に示す構成例では、定電流源回路部21、列回路部22、演算回路部27及び制御回路部28の各々は2つのブロックに分けられており、2組の読み出し回路を構成している。そして、隣り合う列に配された信号線11は、互いに異なる組の読み出し回路に接続されている。具体的には、複数の信号線11は、中央の行に対し、第1の方向の側に接続部31が位置し、第1の方向とは反対の第2の方向の側に接続部32が位置する第1の組を有する。また、複数の信号線11は、中央の行に対し、第2の方向の側に接続部31が位置し、第1の方向の側に接続部32が位置する第2の組を有する。第1の組の信号線11は、定電流源回路部21の第1のブロック及び列回路部22の第1のブロックに接続されている。第2の組の信号線11は、定電流源回路部21の第2のブロック及び列回路部22の第2のブロックに接続されている。一例では、第1の組の信号線11と第2の組の信号線11とは、交互に配される。
【0019】
また、定電流源回路部21の2つのブロック及び列回路部22の2つのブロックは、列方向に並ぶように配されている。そして、定電流源回路部21の第1のブロックと列回路部22の第1のブロックとの間に、定電流源回路部21の第2のブロック及び列回路部22の第2のブロックのうちの一方が配置されている。図1には、定電流源回路部21の第1のブロックと列回路部22の第1のブロックとの間に、定電流源回路部21の第2のブロックが配置されている場合の例を示している。定電流源回路部21の第1のブロックと列回路部22の第1のブロックとの間に、列回路部22の第2のブロックが配置されていてもよい。ここで、定電流源回路部21の第1のブロックと列回路部22の第1のブロックとが2組の読み出し回路のうちの一方に属し、定電流源回路部21の第2のブロックと列回路部22の第2のブロックとが2組の読み出し回路のうちの他方に属する。
【0020】
また、列回路部22の第1のブロックと列回路部22の第2のブロックとの間に、定電流源回路部21の第1のブロックと定電流源回路部21の第2のブロックが配置されている。定電流源回路部21の第1のブロックと定電流源回路部21の第2のブロックとは、逆に配置されていてもよい。また、演算回路部27の第1のブロックと演算回路部27の第2のブロックとの間に、列回路部22の第1のブロックと列回路部22の第2のブロックが配置されている。
【0021】
各々の画素回路1は、例えば図2に示すように、光電変換部PD1,PD2と、転送トランジスタTX1,TX2と、リセットトランジスタRSと、増幅トランジスタSFと、選択トランジスタSLと、容量FDと、を有する。画素回路1の各トランジスタは、MOSトランジスタでありうる。
【0022】
光電変換部PD1,PD2は、例えばフォトダイオードやフォトゲートなどの光電変換素子により構成されうる。ここでは光電変換部PD1,PD2がフォトダイオードにより構成されている場合を想定する。光電変換部PD1を構成するフォトダイオードは、アノードが接地ノードに接続され、カソードが転送トランジスタTX1のソースに接続されている。光電変換部PD2を構成するフォトダイオードは、アノードが接地ノードに接続され、カソードが転送トランジスタTX2のソースに接続されている。転送トランジスタTX1のドレイン及び転送トランジスタTX2のドレインは、リセットトランジスタRSのソース及び増幅トランジスタSFのゲートに接続されている。転送トランジスタTX1のドレインと、転送トランジスタTX2のドレインと、リセットトランジスタRSのソースと、増幅トランジスタSFのゲートとの接続ノードは、フローティングノードFNを構成している。フローティングノードFNに結合される容量成分が、図2には容量FDとして表されている。リセットトランジスタRSのドレイン及び増幅トランジスタSFのドレインは、電源供給線VDDに接続されている。増幅トランジスタSFのソースは、選択トランジスタSLのドレインに接続されている。選択トランジスタSLのソースは、信号線11に接続されている。
【0023】
セルアレイ部10の各行には、対応する行に配された画素回路1に接続された不図示の信号線が少なくとも1線ずつ設けられている。対応する行に配された画素回路1に接続された不図示の信号線は、例えば、転送トランジスタTX1のゲート、転送トランジスタTX2のゲート、リセットトランジスタRSのゲート、選択トランジスタSLのゲートにそれぞれ接続された5本の信号線である。画素回路1への信号が信号線から入力されるため、信号線11を入力線と称することができる。また、入力線が対応する行に配されていることから、入力線を行配線と称することもできる。なお、行配線や列配線には、入力線や出力線などの信号線の他に、接地電位あるいは駆動電位を供給するための電源線なども含まれる。
【0024】
信号線11には、接続部31を介して電流源21aが接続されている。また、信号線11には、接続部31とは別の接続部32を介して列回路22aが接続されている。リセットトランジスタRS及び増幅トランジスタSFに電源電圧を供給する電源供給線VDDは、信号線11と同様、画素回路1の列毎に配置することができる。これら電源供給線に電源電圧を供給するための図示しない共通電源線は、半導体部品100に設けることができるが、半導体部品200に設けてもよい。このように構成することで、半導体部品100における電源線の配線長を短くし、インピーダンスを低減することができる。同様にして、半導体部品200に設けられた複数の回路部のそれぞれが、別々の接続部を介して入力線に電気的に接続されている形態を採用することもでき、これによりインピーダンスを低減することができる。また、同様にして、半導体部品200に設けられた複数の回路部のそれぞれが、別々の接続部を介して電源線に電気的に接続されている形態を採用することもでき、これによりインピーダンスを低減することができる。
【0025】
転送トランジスタTX1,TX2、リセットトランジスタRS、増幅トランジスタSF及び選択トランジスタSLは、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)トランジスタにより構成されうる。増幅トランジスタSFは、接合型電界効果トランジスタであってもよい。図2の等価回路では、光電変換部PD1,PD2、転送トランジスタTX1,TX2及び容量FDを別々の構成要素として表しているが、転送トランジスタTX1,TX2は、光電変換部PD1,PD2及び容量FDの一部を含んで構成されうる。例えば、転送トランジスタTX1のソースは、光電変換部PD1のカソードを構成するN型半導体領域により構成されうる。また、転送トランジスタTX2のソースは、光電変換部PD2のカソードを構成するN型半導体領域により構成されうる。また、転送トランジスタTX1,TX2のドレインは、容量FDの少なくとも一部をなすPN接合容量を構成するN型半導体領域により構成されうる。この場合、転送トランジスタTX1,TX2のゲートは、MISゲート構造を有する転送電極と言うこともできる。
【0026】
なお、図2に示す画素回路1は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、図2の画素回路1では2つの光電変換部PD1,PD2が1つの増幅トランジスタSFを共有しているが、3つ以上の光電変換部が1つの増幅トランジスタSFを共有してもよい。或いは、光電変換部PD1,PD2毎に増幅トランジスタSFを設けてもよい。また、画素回路1は必ずしも複数の光電変換部を含む必要はなく、1つの光電変換部を含むものでもよい。
【0027】
図3は、本実施形態による光電変換装置の一構成例を示す概略断面図である。図3は、信号線11の延在する方向に沿った半導体部品100及び半導体部品の断面図である。
【0028】
半導体部品100は、例えば図3に示すように、対向する第1面112及び第2面114を有する半導体層110と、半導体層110の第1面112の側に配された配線構造120と、を含んで構成されうる。図3には、半導体層110に設けられる一部の素子として、画素回路1の増幅トランジスタSFと選択トランジスタSLとを示している。配線構造120は、絶縁層122と、絶縁層122の中に配された複数の配線層124,126,128と、を有する。これら配線層には、選択トランジスタSLのソースに電気的に接続された信号線11と、信号線11に電気的に接続された電極130,132と、が含まれる。各層の配線は、所定の回路を構成するように、コンタクトプラグ134を介して適宜接続されている。電極130,132は、最上層の配線層によって構成されており、半導体部品100の表面部に位置している。
【0029】
半導体部品200は、例えば図3に示すように、対向する第1面212及び第2面214を有する半導体層210と、半導体層210の第1面212の側に配された配線構造220と、を含んで構成されうる。図3には、半導体層210に設けられる一部の素子として、定電流源回路部21を構成するトランジスタM11,M12と、列回路部22を構成するトランジスタM21,M22と、を示している。配線構造220は、絶縁層222と、絶縁層222の中に配された複数の配線層224,226,228と、を有する。これら配線層には、トランジスタM11,M21に電気的に接続された電極230,232が含まれる。各層の配線は、所定の回路を構成するように、コンタクトプラグ234を介して適宜接続されている。電極230,232は、最上層の配線層によって構成されており、半導体部品200の表面部に位置している。
【0030】
半導体部品100と半導体部品200とは、半導体層110の第1面112の側と半導体層210の第1面212の側とが向き合うように積層されている。電極130と電極230とは、半導体部品100と半導体部品200との接合面において電気的に接続され、接続部31を構成している。また、電極132と電極232とは、半導体部品100と半導体部品200との接合面において電気的に接続され、接続部32を構成している。これにより、信号線11は、接続部31を介して電流源(CS)21aに接続され、接続部32を介して列回路(CLMC)22aに接続されている。典型的には接続部31を構成する電極130および電極230は銅や金などの金属からなり、電極130の金属と電極230の金属とが直接的に金属結合して構成される。また、半導体部品100と半導体部品200との接合面においては、絶縁層122と絶縁層222とが直接的に共有結合しうる。この代わりに、電極130と電極230との間に半田などの導電部材を介して電極130および電極230を電気的に接続し、電極130と電極230と導電部材とで接続部31を構成することもできる。この場合、絶縁層122と絶縁層222とは互いに離間しうるので、絶縁層122と絶縁層222との間に樹脂(アンダーフィル)を設けることもできる。接続部32に代表される他の接続部についても、接続部31と同様の構成を採用することができる。カラーフィルタやマイクロレンズなどの図示しない光学部品は、半導体層110の第2面114の側に配置される。
【0031】
図3に示す構成例は、半導体層110の第2面114の側から入射する光を受光する裏面照射型の光電変換装置500である。
【0032】
図4は、本実施形態による光電変換装置の他の構成例を示す概略断面図である。図4は、信号線11の延在する方向に沿った半導体部品100及び半導体部品200の断面図である。
【0033】
図4に示す構成例は、図3に示す構成例とは異なり、半導体層110の第1面112の側から入射する光を受光する表面照射型の光電変換装置500である。
【0034】
半導体部品100は、例えば図4に示すように、対向する第1面112及び第2面114を有する半導体層110と、半導体層110の第1面112の側に配された配線構造120と、を含んで構成されうる。配線構造120は、絶縁層122と、絶縁層122の中に配された複数の配線層124,126と、を有する。これら配線層には、選択トランジスタSLのソースに電気的に接続された信号線11と、信号線11に電気的に接続された電極135,136と、が含まれる。各層の配線は、所定の回路を構成するように、コンタクトプラグ134を介して適宜接続されている。また、半導体部品100は、半導体層110の第2面114の側から半導体層110及び絶縁層122の一部を貫き、電極135,136に達する貫通電極138,140を更に有している。半導体部品200は、図3の構成例と同様である。
【0035】
半導体部品100と半導体部品200とは、半導体層110の第2面114の側と半導体層210の第1面212の側とが向き合うように積層されている。貫通電極138と電極230とは、半導体部品100と半導体部品200との接合面において電気的に接続され、接続部31を構成している。また、貫通電極140と電極232とは、半導体部品100と半導体部品200との接合面において電気的に接続され、接続部32を構成している。これにより、信号線11は、接続部31を介して電流源21aに接続され、接続部32を介して列回路22aに接続されている。カラーフィルタやマイクロレンズなどの図示しない光学部品は、配線構造120の上方(半導体層110とは反対の側)に配置される。
【0036】
図3及び図4には示されていない他の接続部35,36,37についても、接続部31,32と同様に構成することができる。
【0037】
なお、図3及び図4には、3層の配線層によって構成される配線構造120,220を示しているが、配線構造120,220を構成する配線層の総数は、3層に限定されるものではなく適宜増減することができる。また、信号線11が構成される配線層は、必ずしも第2層目の配線層である必要はない。
【0038】
次に、本実施形態による光電変換装置500の動作の概略について、図1及び図2を用いて説明する。
【0039】
光電変換部PD1,PD2は、入射光をその光量に応じた量の電荷に変換(光電変換)するとともに、生じた電荷を蓄積する。転送トランジスタTX1は、オンになることにより光電変換部PD1が保持する電荷をフローティングノードFNに転送する。転送トランジスタTX2は、オンになることにより光電変換部PD2が保持する電荷をフローティングノードFNに転送する。容量FDは、フローティングノードFNに転送された電荷を保持するとともに、その容量による電荷電圧変換によってフローティングノードFNの電位を電荷の量に応じた電位に設定する。増幅トランジスタSFは、ドレインに電源電圧が供給され、ソースに接続部31、信号線11及び選択トランジスタSLを介して電流源21aからバイアス電流が供給される構成となっており、ゲートを入力ノードとするソースフォロワ回路(増幅部)を構成する。これにより増幅トランジスタSFは、フローティングノードFNの電位に基づく信号を、選択トランジスタSLを介して信号線11に出力する。リセットトランジスタRSは、オンになることによりフローティングノードFNを電源電圧に応じた電位にリセットする。選択トランジスタSLは、増幅トランジスタSFと信号線11との接続の切り替えを行う。
【0040】
画素回路1から出力されたアナログ信号である画素信号は、信号線11及び接続部32を介して列回路22aに入力される。列回路22aは、画素信号に対してCDS処理、増幅処理、AD変換処理等の所定の処理を施し、画素信号をデジタルデータに変換する。列回路22aから出力されるデジタルデータは、演算回路部27に入力される。演算回路部27は、列回路22aから出力されるデジタルデータに対して所定の演算処理を施す。演算回路部27から出力されるデジタル信号は、インターフェース部16によって、LVDS等の差動伝送に適した信号に変換され、光電変換装置500の外部へと出力される。
【0041】
次に、本実施形態による光電変換装置500により奏される効果について、図5を用いて説明する。図5には、信号線11と電流源21aとの間及び信号線11と列回路22aとの間の詳細な接続関係が示されている。ここで、図5に示すように、画素回路1が配された行のうち、一端部から接続部31までを行領域PIXROWS1、接続部31から接続部32までを行領域PIXROWS2、接続部32から他端部までを行領域PIXROWS3と定義するものとする。なお、セルアレイ部10の中央の行は、行領域PIXROWS2に配されているものとする。すなわち、中央の行に配された画素回路1は、接続部31と接続部32との間の電気的経路において信号線11に接続されている。
【0042】
図5に示すように、信号線11と電流源21aとを接続する接続部31には、寄生素子38が存在する。寄生素子38は、寄生抵抗PRJ1と寄生容量PCJ1とにより構成される。また、信号線11と列回路22aとを接続する接続部32には、寄生素子39が存在する。寄生素子39は、寄生抵抗PRJ2と寄生容量PCJ2とにより構成される。
【0043】
各行の画素回路1の画素信号を列回路22aへと読み出す際、電源供給線VDDから、増幅トランジスタSF、選択トランジスタSL及び信号線11を介して、電流源21aに電流が流れ込む。ここで、列回路22aの入力インピーダンスが十分に大きい(無限大)ものとすると、寄生抵抗PRJ2には電流が流れないため、寄生抵抗PRJ2による電圧降下は発生しない。一方、寄生抵抗PRJ1による電圧降下はあるが、この電圧降下も電流源21aの回路レンジを維持する範囲で列回路22aの入力端に読み出す画素信号には影響を与えない。同様に、信号線11には有限の寄生抵抗(図示せず)が存在するが、行領域PIXROWS2の寄生抵抗は、電流源21aの回路レンジを維持する範囲で列回路22aの入力端に読み出す画素信号には影響を与えない。したがって、接続部31,32に存在する寄生抵抗は、行選択位置によらず、列回路22aの入力端に読み出す画素信号に影響を与えることはない。これにより、接続部31,32に存在する寄生抵抗に起因する画素信号シェーディングを改善することができる。また、接続部31と接続部32との間においても画素信号シェーディングを改善することができる。列回路22aの入力段には入力インピーダンスが大きいオペアンプやコンパレータが設けられている。オペアンプは増幅処理に、コンパレータはAD変換処理に用いられる。とりわけAD変換処理は半導体装置の性能向上に重要であるから、列回路部22がAD変換処理を行う場合に、本実施形態は有利である。
【0044】
なお、本実施形態では接続部31,32で規定される3つの行領域PIXROWS1,PIXROWS2,PIXROWS3を示したが、信号線11の両端に接続部31,32を設け、行領域PIXROWS1,PIXROWS3が存在しない配置としてもよい。
【0045】
また、図1に示す構成例では、前述のように、定電流源回路部21、列回路部22、演算回路部27及び制御回路部28を2つのブロックに分け、2組の読み出し回路を構成し、隣り合う列に配された信号線11を互いに異なる組の読み出し回路に接続している。そして、定電流源回路部21の第1のブロックと列回路部22の第1のブロックとの間に、定電流源回路部21の第2のブロック及び列回路部22の第2のブロックのうちの一方を配置している。このように構成することで、1つの読み出し回路を構成する定電流源回路部21のブロックと列回路部22のブロックとを隣接して配置する場合と比較して、行領域PIXROWS2の領域に属する行が増加する。これにより、画素信号シェーディングをより低減することが可能となる。
【0046】
接続部31,32は、例えば、寄生容量PCJ1,PCJ2の和が最小になるように、或いは、半導体部品200の機能ブロックに適したレイアウトとなるように、最適な配置場所を適宜選択することができる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、複数の半導体部品を積層してなる半導体装置において、半導体部品間の接続部に存在する寄生抵抗の影響を抑制し、素子特性を改善することができる。
【0048】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置について、光電変換装置を例に挙げ、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態による光電変換装置における接続部の構成例を示す模式図である。第1実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
【0049】
本実施形態による光電変換装置は、接続部31,32の構成が異なるほかは、第1実施形態による光電変換装置と同様である。すなわち、本実施形態による光電変換装置は、図6に示すように、接続部31に接続されたクリップ回路(CLIP)72と、接続部32に接続されたブースト回路(BST)74と、を更に有している。
【0050】
クリップ回路72は、信号振幅を所定の範囲に制限するように動作する回路であり、強い光の入射によって信号線11の電位が急激に変動することにより生じるスミアや黒沈みと呼ばれる現象を抑制する役割を有する。
【0051】
ブースト回路74は、信号線11の信号応答を補助する回路である。ブースト回路74は、特に限定されるものではなく、例えば、接続部32を任意の電位のノードに接続するように構成されたスイッチ回路や、電流源21aとは別の、接続部32に接続されたパルス駆動可能な電流源を適用可能である。
【0052】
信号線11にクリップ回路72やブースト回路74のような特性を補助する回路を接続することで、光電変換装置の特性を更に改善することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、接続部31にクリップ回路72を接続し、接続部32にブースト回路74を接続したが、接続部31にブースト回路74を接続し、接続部32にクリップ回路72を接続してもよい。また、接続部31,32とは別に、信号線11に接続された他の接続部を設け、この接続部にクリップ回路72及びブースト回路74を接続してもよい。
【0054】
このように、本実施形態によれば、複数の半導体部品を積層してなる半導体装置において、半導体部品間の接続部に存在する寄生抵抗の影響を抑制し、素子特性を改善することができる。
【0055】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による半導体装置について、光電変換装置を例に挙げ、図7及び図8を用いて説明する。図7は、本実施形態による光電変換装置の概略構成を示す模式図である。図8は、本実施形態による光電変換装置の構成例を示す概略断面図である。第1及び第2実施形態による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
【0056】
第1実施形態では、半導体部品100と半導体部品200とを積層してなる光電変換装置500を説明したが、3個以上の半導体部品を積層して光電変換装置を構成することも可能である。本実施形態では、3個以上の半導体部品を積層してなる光電変換装置の一例を説明する。
【0057】
本実施形態による光電変換装置500は、図7に示すように、半導体部品100と、半導体部品600と、半導体部品200とが、この順に積層されてなる。半導体部品100,600,200は、実質的に合同な外縁形状を有することができるが、必ずしも同じである必要はない。
【0058】
半導体部品100及び半導体部品200の基本的な構成は、第1実施形態と同様である。半導体部品600には、記憶回路部60と、駆動回路部65と、が設けられている。なお、半導体部品600に配される機能ブロックの少なくとも一部と、半導体部品200に配される機能ブロックの少なくとも一部とは、入れ替えてもよい。例えば、半導体部品200に記憶回路部60を設け、半導体部品600に演算回路部27を設けてもよい。
【0059】
光電変換装置500は更に、半導体部品100,600,200のうちの少なくとも2つを電気的に接続するための複数の接続部41,42,45,46,47,51,52,55,56,57,59を有する。図7にはこれら接続部41,42,45,46,47,51,52,55,56,57,59を模式的に示している。これら接続部41,42,45,46,47,51,52,55,56,57,59のうちの一部は、半導体部品100及び/又は半導体部品600の半導体層を貫通する貫通電極である。これらの半導体層は典型的にシリコン層(単結晶シリコン層)であることから、このような貫通電極はTSV(Through Silicon Via)と称することがある。なお、貫通電極と半導体部品100,600に設けられた半導体素子とは、貫通電極が配された貫通孔の側壁に設けられた絶縁体(図示せず)や、半導体層に設けられた分離溝(図示せず)によって絶縁されている。
【0060】
複数の信号線11の各々は、接続部51,41を介して定電流源回路部21に電気的に接続され、接続部52,42を介して列回路部22に電気的に接続されている。定電流源回路部21と列回路部22とは、半導体部品200,600の中では電気的に接続されておらず、半導体部品100の信号線11を介して互いに電気的に接続されている。
【0061】
駆動回路部15と駆動回路部65とは、接続部55,57を介して互いに電気的に接続されている。駆動回路部65と駆動回路部25とは、接続部45,47を介して互いに電気的に接続されている。接続部45は、駆動回路部25,65間で信号の伝送を行う機能を備える。接続部55は、駆動回路部65,15間で信号の伝送を行う機能を備える。接続部47は、駆動回路部25,65間で電力の供給を行う機能を備える。接続部57は、駆動回路部65,15間で電力の供給を行う機能を備える。インターフェース部16とインターフェース部26とは、接続部46,56を介して互いに電気的に接続されている。
【0062】
図8は、本実施形態による光電変換装置の一構成例を示す概略断面図である。図8は、信号線11の延在する方向に沿った半導体部品100及び半導体部品の断面図である。
【0063】
半導体部品100及び半導体部品200は、図3に示した第1実施形態の構成例と同様である。
【0064】
半導体部品600は、例えば図8に示すように、対向する第1面612及び第2面614を有する半導体層610と、半導体層610の第1面612の側に配された配線構造620と、を含んで構成されうる。図8には、半導体層610に設けられる一部の素子として、記憶回路部60に配されるトランジスタM31,M32を示している。配線構造620は、絶縁層622と、絶縁層622の中に配された複数の配線層624,626,628と、を有する。これら配線層には、配線630,632,634,636と、電極638,640と、が含まれる。各層の配線は、所定の回路を構成するように、コンタクトプラグ642を介して適宜接続されている。電極638,640は、最上層の配線層によって構成されており、半導体部品600の表面部に位置している。また、半導体部品600は、半導体層610の第2面614の側から半導体層610及び絶縁層622の一部を貫き、配線630,632に達する貫通電極644,646を更に有している。
【0065】
半導体部品100と半導体部品600とは、半導体層110の第1面112の側と半導体層610の第2面614の側とが向き合うように積層されている。電極130と貫通電極644とは、半導体部品100と半導体部品600との接合面において電気的に接続され、接続部51を構成している。また、電極132と貫通電極646とは、半導体部品100と半導体部品600との接合面において電気的に接続され、接続部52を構成している。カラーフィルタやマイクロレンズなどの図示しない光学部品は、半導体層110の第2面114の側に配置される。
【0066】
半導体部品600と半導体部品200とは、半導体層610の第1面612の側と半導体層210の第1面212の側とが向き合うように積層されている。電極638と電極230とは、半導体部品600と半導体部品200との接合面において電気的に接続され、接続部41を構成している。また、電極640と電極232とは、半導体部品600と半導体部品200との接合面において電気的に接続され、接続部42を構成している。
【0067】
これにより、信号線11は、接続部51,41を介して電流源(CS)21aに接続され、接続部52,42を介して列回路(CLMC)22aに接続されている。接続部51,41及び接続部52,42は、半導体部品600を貫いて半導体部品100と半導体部品200とを電気的に接続する電気的経路を有する。
【0068】
本実施形態では、3個の半導体部品を積層して光電変換装置を構成しているため、第1実施形態と比較して配線の引き回しが長く、付加される寄生容量素子が大きくなる傾向になる。しかしながら、信号線11に複数の接続部を設け、異なる機能をもつ定電流源回路部21と列回路部22とを個別に接続することにより、特性を改善することができる。
【0069】
このように、本実施形態によれば、複数の半導体部品を積層してなる半導体装置において、半導体部品間の接続部に存在する寄生抵抗の影響を抑制し、素子特性を改善することができる。
【0070】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による撮像システムについて、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
【0071】
上記第1乃至第3実施形態で述べた光電変換装置500は、種々の撮像システムを搭載した機器に適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。図9には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0072】
図9に例示した撮像システム700は、撮像装置701、被写体の光学像を撮像装置701に結像させるレンズ702、レンズ702を通過する光量を可変にするための絞り704、レンズ702の保護のためのバリア706を有する。レンズ702及び絞り704は、撮像装置701に光を集光する光学系である。撮像装置701は、第1乃至第3実施形態のいずれかで説明した光電変換装置500であって、レンズ702により結像された光学像を画像データに変換する。
【0073】
撮像システム700は、また、撮像装置701より出力される出力信号の処理を行う信号処理部708を有する。信号処理部708は、撮像装置701が出力するデジタル信号から画像データの生成を行う。また、信号処理部708は必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。撮像装置701は、信号処理部708で処理されるデジタル信号を生成するAD変換部を備えうる。AD変換部は、撮像装置701の光電変換部が形成された半導体層(半導体基板)に形成されていてもよいし、撮像装置701の光電変換部が形成された半導体層とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、信号処理部708が撮像装置701と同一の半導体基板に形成されていてもよい。
【0074】
撮像システム700は、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部710、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)712を有する。更に撮像システム700は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体714、記録媒体714に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)716を有する。なお、記録媒体714は、撮像システム700に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0075】
更に撮像システム700は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部718、撮像装置701と信号処理部708に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部720を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム700は少なくとも撮像装置701と、撮像装置701から出力された出力信号を処理する信号処理部708とを有すればよい。
【0076】
撮像装置701は、撮像信号を信号処理部708に出力する。信号処理部708は、撮像装置701から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部708は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0077】
このように、本実施形態によれば、第1乃至第3実施形態による光電変換装置500を適用した撮像システムを実現することができる。
【0078】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による撮像システム及び移動機器(移動体)について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態による撮像システム及び移動機器(移動体)の構成を示す図である。
【0079】
図10(a)は、車載カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム800は、撮像装置810を有する。撮像装置810は、上記第1乃至第3実施形態のいずれかに記載の光電変換装置500である。撮像システム800は、撮像装置810により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部812と、撮像システム800により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部814を有する。また、撮像システム800は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部816と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部818と、を有する。ここで、視差取得部814や距離取得部816は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部818はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0080】
撮像システム800は車両情報取得装置820と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム800は、衝突判定部818での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU830が接続されている。また、撮像システム800は、衝突判定部818での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置840とも接続されている。例えば、衝突判定部818の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU830はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置840は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0081】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム800で撮像する。図10(b)に、車両前方(撮像範囲850)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置820が、撮像システム800ないしは撮像装置810に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0082】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動機器)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0083】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0084】
また、上記第1乃至第3実施形態において説明した光電変換装置は、画像の取得を目的とした装置、すなわち撮像装置として構成することができる。また、例えば上記第5実施形態で説明したような測距を主たる目的とする装置に適用する場合にあっては、必ずしも画像を出力する必要はない。このような場合、当該装置は、光情報を所定の電気信号に変換する光電変換装置と言うことができる。撮像装置は、光電変換装置の1つである。
【0085】
また、上記第4及び第5実施形態に示した撮像システムは、本発明の光電変換装置を適用しうる撮像システム例を示したものであり、本発明の光電変換装置を適用可能な撮像システムは図9及び図10に示した構成に限定されるものではない。
【0086】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0087】
例えば、本発明における半導体装置は撮像装置に限定されることなく、表示装置や演算装置、記憶装置など様々な半導体装置に適用することができ、また、様々な機器に適用可能である。例えば、本発明の半導体装置は、カメラ、携帯端末、汎用コンピュータ等の電子機器、自動車や船舶、飛行機等の輸送機器、通信機器、複写機、プリンタ、スキャナ等の事務機器、ディスプレイ等の表示機器などに適用することができる。その他、X線診断機器や内視鏡等の医療機器、分析機器、半導体製造装置などの産業機器全般において、本発明における半導体装置を適用することができる。また、上記実施形態の半導体装置に接続され得る装置は、演算回路を含む画像処理装置、電源コントローラ、モータコントローラ、ロボットコントローラなどの制御装置を含みうる。また、上記実施形態の半導体装置に接続され得る装置は、更に、半導体メモリ、磁気記録媒体、光記録媒体を用いた記憶装置、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの表示装置などを含みうる。
【符号の説明】
【0088】
1…画素回路
10…セルアレイ部
11…信号線
15,25,65…駆動回路部
16,26…インターフェース部
21…定電流源回路部
22…列回路部
27…演算回路部
28…制御回路部
31,32,35,36,37、41,42,45,46,47,51,52,55,56,57…接続部
60…記憶回路部
100,200,600…半導体部品
500…光電変換装置
700,800…撮像システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10