(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/525 20060101AFI20240909BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240909BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
B41J2/525
G03G15/00 303
B41J29/38 301
(21)【出願番号】P 2020088133
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2019187673
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 克之
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112522(JP,A)
【文献】特開2007-013527(JP,A)
【文献】特開2008-301114(JP,A)
【文献】特開2019-087962(JP,A)
【文献】特開2002-247396(JP,A)
【文献】特開2011-223301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/52 - 2/525
B41J 29/00 - 29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標デバイスの色再現特性に合わせた色合わせ処理を行う画像処理装置であって、
印刷を行う印刷手段と、
前記目標デバイスで印刷された第一色特性チャートと、前記印刷手段で印刷された第二色特性チャートとを読み取ることが可能な読み取り手段と、
前記読み取り手段によって前記第一色特性チャートを読み取って得られた第一スキャン画像データ
が示すスキャン画像を分析した結果、前記スキャン画像に含まれるパッチの信号値を取得できない場合、前記パッチの信号値を取得できない要因を前記スキャン画像に基づいて分析した結果を出力する分析手段と、
前記
第一スキャン画像データと、前記読み取り手段によって前記第二色特性チャートを読み取って得られた第二スキャン画像データとに基づいて前記色合わせ処理を行う処理手段と有し、
前記分析手段は、前記スキャン画像に含まれているパッチの大きさ、パッチの数、およびパッチの変倍率の少なくとも1つを導出し、前記導出した結果に基づいて前記パッチの信号値を取得できない要因を決定し、
前記印刷手段は、前記読み取り手段が読み取った前記第一スキャン画像データを用いて前記第一色特性チャートのパッチのRGB値を取得する処理が正常終了してから前記第二色特性チャートを印刷することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第一色特性チャートは、デバイスに依存しない色空間の画像データに基づいて、再現したい色特性に従って前記目標デバイスで印刷されたものであり、前記第二色特性チャートは、色変換を行わずに前記印刷手段で印刷されたものであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第一色特性チャートは、情報処理装置が、前記情報処理装置とネットワークを介して接続されたサーバーに保存されている画像ファイルを用いて前記目標デバイスに印刷指示を送信することによって前記目標デバイスで印刷されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第一色特性チャートは、情報処理装置が、前記情報処理装置に接続されている記憶媒体に保存された画像ファイルを用いて前記目標デバイスに印刷指示を送信することによって前記目標デバイスで印刷されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第一色特性チャートは、前記目標デバイスに接続されている記憶媒体に保存された画像ファイルを用いて前記目標デバイスで印刷されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記読み取り手段は、オートドキュメントフィーダ(ADF)を含み、前記ADFを用いて前記第一色特性チャートおよび前記第二色特性チャートをまとめて読み取り、
前記処理手段は、前記ADFで読み取った画像を、ページ分割することで、前記第一スキャン画像データと前記第二スキャン画像データとを取得することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記処理手段は、登録処理と作成処理とを実行するように構成され、
前記登録処理は、前記第二色特性チャートを前記印刷手段で印刷させ、かつ前記印刷された前記第二色特性チャートを前記読み取り手段で読み取って前記第二スキャン画像データを取得する処理を含み、
前記作成処理は、前記第一色特性チャートを前記読み取り手段で読み取って前記第一スキャン画像データを取得する処理と、前記取得した第一スキャン画像データと前記登録処理で取得した前記第二スキャン画像データとを用いて前記色合わせ処理を行う処理と、を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記色合わせ処理は、デバイスに依存しない色空間の信号値と、該信号値に対応する前記画像処理装置のデバイスに依存する色空間の信号値とを示すテーブルを作成する処理を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記分析手段から出力された前記結果に応じた分析結果をユーザーに通知する通知手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記分析手段は、前記導出したパッチの数が第一閾値以上でない場合、前記第一色特性チャートが前記目標デバイスの印刷設定によって拡大されて印刷されたことを前記要因として決定することを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記分析手段は、前記導出したパッチの数が、前記第一閾値以上ではなく、かつ、本来の前記第一色特性チャートのパッチ数の半分より多い場合、手動倍率に関する設定を、前記要因として決定することを特徴とする請求項1
0に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記分析手段は、前記導出したパッチの数が、前記第一閾値以上ではなく、かつ、本来の前記第一色特性チャートのパッチ数の半分以下の場合、手動倍率に関する設定およびページレイアウトの設定を、前記要因として決定することを特徴とする請求項1
0に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記分析手段は、前記導出したパッチの大きさに基づいて、前記パッチの信号値を読み取る読取領域を導出し、前記読取領域が第二閾値以上の大きさの領域でない場合、前記第一色特性チャートが前記目標デバイスの印刷設定によって縮小されて印刷されたことを前記要因として決定することを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記分析手段は、前記導出したパッチの数が第一閾値と等しい場合、ページレイアウトの設定を前記要因として決定することを特徴とする請求項1
3に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記分析手段は、前記第一色特性チャートを読み取った際の用紙サイズが、本来の前記第一色特性チャートが印刷されるべき用紙のサイズと異なる場合、用紙サイズの設定を前記要因として決定することを特徴とする請求項1
3に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記分析手段は、前記変倍率が67%である場合に、手動倍率の設定、用紙向きの設定、およびページレイアウトの設定を、前記要因として決定することを特徴とする請求項1
3乃至1
5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記分析手段は、前記変倍率が67%より大きい場合、手動倍率の設定および用紙サイズの設定を、前記要因として決定することを特徴とする請求項1
3乃至1
5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記分析手段は、前記変倍率が67%より小さい場合、手動倍率の設定およびページレイアウトの設定を、前記要因として決定することを特徴とする請求項1
3乃至1
5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記分析手段は、前記決定した要因の対応方法を前記結果に含めて出力し、
前記通知手段は、前記要因に応じた原因および前記対応方法を前記分析結果として通知することを特徴とする請求項
9に記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記通知手段は、前記分析結果を、表示手段への表示、管理者へのメール送信、ログインユーザーへのメール送信、またはレポートの印刷のうちの少なくとも1つの通知方法で通知することを特徴とする請求項
19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記通知手段による通知方法を設定する画面を表示手段に表示させる表示制御手段をさらに有することを特徴とする請求項
19または2
0に記載の画像処理装置。
【請求項22】
前記分析手段は、前記第一スキャン画像データが示すスキャン画像におけるパッチの信号値を取得できるかを、前記スキャン画像に基づいて判定し、
前記分析手段における判定の結果が、前記第一スキャン画像データが示すスキャン画像におけるパッチの信号値を取得できることを示す場合、前記第二色特性チャートを前記印刷手段に印刷させる印刷制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項9乃至2
1のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項23】
前記分析手段における判定の結果が、前記スキャン画像におけるパッチの信号値を取得できないことを示す場合、前記処理手段は、前記色合わせ処理を中止することを特徴とする請求項2
2に記載の画像処理装置。
【請求項24】
印刷手段と、読み取り手段とを備え、目標デバイスの色再現特性に合わせた色合わせ処理を行う画像処理装置の制御方法であって、
前記目標デバイスで印刷された第一色特性チャートを前記読み取り手段で読み取ることで第一スキャン画像データを取得するステップと、
前記第一スキャン画像データが示すスキャン画像を分析した結果、前記スキャン画像に含まれるパッチの信号値を取得できない場合、前記パッチの信号値を取得できない要因を前記スキャン画像に基づいて分析するステップと、
前記分析するステップにおいて分析した結果を出力するステップと、
前記第一スキャン画像データを用いて、
前記第一色特性チャートのパッチのRGB値を取得する処理を実行するステップと、
前記第一色特性チャートのパッチのRGB値を取得する処理が正常終了したかを判定するステップと、
前記第一色特性チャートのパッチのRGB値を取得する処理が正常終了したと判定された場合、前記印刷手段において第二色特性チャートを印刷するステップと、
前記印刷手段で印刷された前記第二色特性チャートを前記読み取り手段で読み取ることで得られた第二スキャン画像データを取得するステップと、
前記第一スキャン画像データと、前記第二スキャン画像データとに基づいて前記色合わせ処理を行うステップと、
を有
し、
前記分析するステップにおいて、前記スキャン画像に含まれているパッチの大きさ、パッチの数、およびパッチの変倍率の少なくとも1つを導出し、前記導出した結果に基づいて前記パッチの信号値を取得できない要因を決定することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項25】
請求項2
4に記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色を合わせる画像処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第一の画像処理装置(調整対象デバイスという)における色の再現性を、第一の画像処理装置とは異なる第二の画像処理装置(目標デバイスという)における色の再現性に合わせる技術がある。
【0003】
特許文献1の色合わせ処理では、目標デバイスは、開口部のある特殊用紙を用いて色特性チャートを印刷する。一方、調整対象デバイスでは、開口部のない用紙で色特性チャートを印刷する。そして、調整対象デバイスで印刷した色特性チャートの上に、目標デバイスで印刷した色特性チャートを置くことで、開口部を通じてパッチ毎に調整対象デバイスと目標デバイスとの色特性の違いを確認することが可能となる。特許文献1では、このように、パッチ毎に調整対象デバイスと目標デバイスのそれぞれの色値を測定し、その測定した色値の差分から色合わせ処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、色合わせをする際に、開口部のある特殊用紙を用いて印刷する必要がある。ここで、特殊用紙の紙白の特性が、ユーザーの使っている用紙の紙白の特性と異なる場合、パッチで印刷される色がユーザーの所望する色と異なることがある。そのため、色合わせ処理をしても、ユーザーの所望していない色特性となり、色合わせ処理が適切に行われない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像処理装置は、目標デバイスの色再現特性に合わせた色合わせ処理を行う画像処理装置であって、印刷を行う印刷手段と、前記目標デバイスで印刷された第一色特性チャートと、前記印刷手段で印刷された第二色特性チャートとを読み取ることが可能な読み取り手段と、前記読み取り手段によって前記第一色特性チャートを読み取って得られた第一スキャン画像データが示すスキャン画像を分析した結果、前記スキャン画像に含まれるパッチの信号値を取得できない場合、前記パッチの信号値を取得できない要因を前記スキャン画像に基づいて分析した結果を出力する分析手段と、前記第一スキャン画像データと、前記読み取り手段によって前記第二色特性チャートを読み取って得られた第二スキャン画像データとに基づいて前記色合わせ処理を行う処理手段と有し、前記分析手段は、前記スキャン画像に含まれているパッチの大きさ、パッチの数、およびパッチの変倍率の少なくとも1つを導出し、前記導出した結果に基づいて前記パッチの信号値を取得できない要因を決定し、前記印刷手段は、前記読み取り手段が読み取った前記第一スキャン画像データを用いて前記第一色特性チャートのパッチのRGB値を取得する処理が正常終了してから前記第二色特性チャートを印刷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、色合わせ処理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】用紙に印刷される色特性チャートの画像データの例を示す図。
【
図5】調整対象デバイスのディスプレイに表示される初期画面の例を示す図。
【
図6】調整対象デバイスで表示されるUIの例を示す図。
【
図7】プリンタドライバのUIの変化の例を示す図。
【
図8】調整対象デバイス内のUIの変化の例を示す図。
【
図10】パッチ信号値取得処理の詳細を示すフローチャートの例を示す図。
【
図12】パッチ領域導出処理の詳細を示すフローチャート。
【
図13】色特性チャートの端部座標と、1次微分信号値を導出する例とを示す図。
【
図14】縮小要因の分析処理の詳細を示すフローチャート。
【
図15】拡大要因の分析処理の詳細を示すフローチャート。
【
図16】調整対象デバイスの各パッチのRGB値を取得する処理を示すフローチャート。
【
図18】調整対象デバイスで表示されるUIの例を示す図。
【
図22】目標デバイスに表示されるUIの例を示す図。
【
図24】調整対象デバイスで表示されるUIの例を示す図。
【
図25】ユーザーに通知する通知方法を設定するためのUIの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0010】
<<第1実施形態>>
本実施形態では、第一の画像処理装置における色の再現性を、第二の画像処理装置における色の再現性に合わせる例を説明する。例えば耐久年数が過ぎた古い機種から新しい機種への画像処理装置のリプレース、または、オフィス規模の変動に伴い新しい画像処理装置の買い足しをする場合などに、色の再現性を合わせる処理が行われる。このようなリプレースまたは買い足しの際に、リプレース前の画像処理装置または保有している画像処理装置の色を、新しい画像処理装置に継承したいというユーザーニーズがある。つまり、新しい第一の画像処理装置(調整対象デバイスともいう)の再現する色が、リプレース前の第二の画像処理装置(目標デバイスともいう)の再現する色と同一となることを、ユーザーが要望することがある。
【0011】
ユーザーが要望する目標デバイスで表現する色を調整対象デバイスで表現するためには、目標デバイスが現在表現している色再現特性を正しく測定することが求められる。目標デバイスが現在表現している色再現特性とは、濃度調整などの色に関する印刷時に設定している内容も含めた上での目標デバイスにおける印刷で表現される色特性のことある。本実施形態では、調整対象デバイスの色再現特性と目標デバイスの色再現特性とを測定する。そして、調整対象デバイスに入力する入力値が、目標デバイスで再現される出力値に変換されるようなLook Up Table(以降、LUTと示す)を作成する処理が行われる。以下、このLUTを作成する処理を、色合わせ処理という。そして、色合わせ処理によって作成した変換LUTをColor Management System(以降、CMSと示す)に適用することで、調整対象デバイスが、目標デバイスの色を再現することを可能とする。
【0012】
本実施形態では、画像処理装置に搭載のスキャナを用いて色合わせ処理を実現する。例えば、目標デバイスの色再現特性を確認するために目標デバイスで色特性チャートを印刷する。また、調整対象デバイスでも色特性チャートを印刷する。そして、調整対象デバイスのスキャナを用いて、印刷したそれぞれの色特性チャートのスキャン画像データを取得する。そして、取得したスキャン画像内において、パッチと呼ばれる矩形領域内で同一色値となる画像領域を検出し、その領域内の信号値に基づいて、色再現特性を調整する処理が行われる。詳細は後述する。
【0013】
また、例えば、目標デバイスにおいて、ページレイアウト変更に相当する2in1で色特性チャートを印刷した場合、チャート全体が67%以下に縮小される。この結果、本来所望するパッチの読み取り領域を確保できずに正確な信号値が取得できなくなる虞がある。ページレイアウト変更以外にも、例えば、「用紙に合わせて印刷する」のような設定して印刷する場合も、本来所望するチャートのサイズとは異なるサイズで印刷されるため、変形されたチャートが印刷されてしまうことがある。このように変形されたチャートが目標デバイスで印刷された場合、正確な信号値が取得できないことが原因で、色合わせ処理が適切に行われない。このため、色合わせ処理が中止される。本実施形態では、色合わせ処理が適切に行われない場合に、色合わせ処理を中止した原因およびその対応をユーザーに通知する例も併せて説明する。
【0014】
<システム構成>
図1は、本実施形態におけるシステム構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のシステムは、画像処理装置100(以下、調整対象デバイス100という)と、画像処理装置150(以下、目標デバイス150という)とを備えている。そして、調整対象デバイス100の色再現特性を、目標デバイス150の色再現特性に合わせる処理が行われる。尚、
図1において調整対象デバイス100と目標デバイス150とは、ネットワーク101を介して接続される例を示しているが、ネットワーク接続されていなくてもよい。
【0015】
まず、画像処理装置である調整対象デバイス100の構成を説明する。調整対象デバイス100は、装置制御部102、画像出力部110、ユーザーインターフェース104、画像読取部108、ディスプレイ109、給紙部112、および排紙部113を有する。装置制御部102は、画像処理部103、CPU105、RAM106、および記憶部107を有する。画像出力部110は、CPU111およびRAM114を有する。尚、本実施形態において、ユーザーインターフェースを、UIと称す。
【0016】
UI104は、例えばキーボード、マウス、または、その他入出力装置によって構成され、各種の設定値または指定値を入力することができる。
【0017】
装置制御部102は、コントローラ基盤で構成され、装置制御部102上に、CPU105、RAM106、記憶部107、および画像処理部103の各デバイスが実装されている。CPU105は、記憶部107内の初期プログラムに従って、メインプログラムを記憶部107より読出し、RAM106に記憶する。RAM106は、プログラム格納用、または、ワーク用のメインメモリとして使用される。RAM106に記憶されているメインプログラムに従って、CPU105は装置制御部102を制御する。
【0018】
画像処理部103は、画像データを処理するASICで構成され、ネットワーク101を介してPCのプリンタドライバから送信された印刷データ、または、画像読取部108で取得した画像データに対して画像処理を行う。画像処理部103の詳細は、後述する。
【0019】
画像読取部108は、束状のあるいは一枚の原稿画像を図示しない光源で照射し、原稿反射像をレンズでCCD(Charge Coupled Device)センサ等の固体撮像素子上に結像する。そして、固体撮像素子から得られた画像読み取り信号を画像データとして得る。調整対象デバイス100には、原稿が複数ページにある場合に、まとめて画像データを取得するための不図示のオートドキュメントフィーダ(以降、ADFと示す)も備えられている。
【0020】
記憶部107は、画像処理部103で処理された画像データまたはPCのプリンタドライバから送信された印刷データ等を保存する。ディスプレイ109は、各種のUI画面を表示する。
【0021】
画像出力部110は、装置制御部102と接続されており、画像処理部103で処理された画像データを、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(以降、C、M、Y、Kと示す)等の有色トナーを用いて紙上に出力データを形成するプリンタ部である。画像出力部110は、装置制御部102によって印刷制御される。画像出力部110は、コントローラ基盤から構成され、画像出力部110上に、CPU111およびRAM114の各デバイスが実装されている。画像出力部110は、CPU111によって制御され、紙の給紙を行う給紙部112と出力データを形成した紙を排紙する排紙部113とに、それぞれ接続される。
【0022】
目標デバイス150は、装置制御部152、画像出力部160、UI154、画像読取部158、ディスプレイ159、給紙部162、および排紙部163を有する。装置制御部152は、画像処理部153、CPU155、RAM156、および記憶部157を有する。画像出力部160は、CPU161およびRAM164を有する。目標デバイスの各構成は、調整対象デバイス100と同様であるので、説明は省略する。
【0023】
以上説明した調整対象デバイス100および目標デバイス150の画像処理装置は一例であり、この例に限られるものではない。また、これらの画像処理装置の一部機能を、ネットワークを介して通信を相互に行うことにより、外部処理装置120で実行するようにしても構わない。
【0024】
外部処理装置120は、サーバー等のコンピュータ装置で実装されてもよいし、インターネット上のクラウドサーバーで実装されてもよい。外部処理装置120は、装置制御部121を有し、装置制御部121は、CPU123、RAM124、および記憶部125を有する。これらの各構成は、調整対象デバイス100と同様であるので、説明は省略する。また、必要に応じて、その他の構成を備えるものであってもよい。
【0025】
PC130は、ユーザーの使用する情報処理装置であり、CPU131、RAM132、記憶部133、およびプリンタドライバ134を有する。PC130は、ネットワーク101を介して、調整対象デバイス100、目標デバイス150、及びWebサーバー140と相互に通信可能である。
【0026】
CPU131は、記憶部133内の初期プログラムに従って、メインプログラムを記憶部133より読出し、RAM132に記憶する。RAM132はプログラム格納用、または、ワーク用のメインメモリとして使用される。CPU131は、メインプログラムに従って、ユーザーの使用しているアプリケーションまたはプリンタドライバ134の制御をする。
【0027】
プリンタドライバ134は、ユーザーの使用しているアプリケーションで展開されている画像データ、および、印刷する際にユーザーによって設定される印刷設定を、印刷データとして調整対象デバイス100または目標デバイス150に送信する。
【0028】
Webサーバー140は、CPU141、RAM142、および記憶部143を備えており、ネットワーク101を介して、クライアント側となるPC130のwebブラウザーからリクエストされた情報に対応したデータを送信するサーバーである。
【0029】
CPU141は、記憶部143内の初期プログラムに従って、メインプログラムを記憶部143より読出し、RAM142に記憶する。RAM142はプログラム格納用、または、ワーク用のメインメモリとして使用される。CPU141は、メインプログラムに従って、ユーザーの使用しているPC130からリクエストを解釈し、リクエストに応じた情報を確認し、PC130へ応答するための制御をする。
【0030】
Webサーバー140は、webブラウザーからリクエストされた情報の中で、画像データ等のファイルのダウンロードをリクエストされた場合は、後述するDBサーバー170と通信して、ファイルを取得することが可能である。
【0031】
DBサーバー170は、記憶部173を有しており、Webサーバー140とネットワークを介して通信しているサーバーである。Webサーバー140から画像ファイルのダウンロードのリクエストがあった場合、DBサーバー170は、記憶部173の中に予め保存されている対応ファイルをWebサーバー140へ送信することが可能である。
【0032】
<色合わせ処理>
図2は、本実施形態における色合わせ処理の全体シーケンスを示す図である。
図2を用いて、ユーザーがPC130を用いて色特性チャートを取得し、取得した色特性チャートを目標デバイス150で印刷し、印刷した色特性チャートを用いて調整対象デバイス100で色合わせ処理を実施するシーケンスを説明する。
【0033】
図2の各処理は、ユーザー201によって、PC130、目標デバイス150、および調整対象デバイス100が操作されることに応じて、各装置において実行される。PC130の処理は、記憶部133に記憶されたプログラムコードがRAM132に展開され、CPU131によって実行される。調整対象デバイス100の処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。目標デバイス150の処理は、記憶部157に記憶されたプログラムコードがRAM156に展開され、CPU155によって装置制御部152が制御されることにより実行される。また、全体シーケンス図においては、説明の便宜上、ユーザー201による操作も処理(ステップシーケンス(SQ))に含めて示している(以下、本明細書における各種のシーケンス図においても同様である)。
【0034】
まず、SQ210において、PC130は、色特性チャートを取得するようにユーザー201によって操作される。そして、SQ211において、PC130は、該当する色特性チャートの画像データのリスエストをWebサーバー140に要求する。本実施形態におけるユーザーによる色特性チャートの画像データを取得する操作は、
図3のようなwebブラウザーを介して行われるものである。
【0035】
図3は、PC130で起動されるwebブラウザー300の画面の例を示す図である。webブラウザー300は、色特性チャートをPC130へダウンロードするためのページを表示している。このページは、Webサーバー140が保持するページである。
図3の画面内では、調整対象デバイス100向けの製品情報webページを示しており、色特性チャートがダウンロードできるようにページが表示されている。ラベル301およびラベル302は、ユーザー201によって、色特性チャートの画像データをダウンロードする時に押下されるUIコンポーネントである。Webサーバー140は、各ラベルに対応したプリンタドライバまたは色特性チャートデータを、DBサーバー170に要求する。尚、本実施形態におけるwebブラウザー300は、
図3のように構成されているものとするが、表示機器またはwebブラウザーの種類によって、画面の構成を変えてもよい。また、本実施形態における色特性チャートの画像データは、TIFF(Tagged Image File Format)、または、PDF(Portable Document Format)とする。しかしながら、TIFFおよびPDF以外の画像データ形式を用いて処理が行われてもよい。本実施形態における色特性チャートの画像データは、レッド、グリーン、ブルー(以降、R、G、Bと示す)の多値の画像データである。
【0036】
図4は、本実施形態における色特性を確認するために用紙に印刷される色特性チャートの画像データ400の例を示す図である。色特性チャートの画像データ400は、
図4に示すように、パッチと呼ばれる矩形領域の画像がM行N列の個数配されているような構成の画像データである。パッチとは、矩形領域内で同一のRGB値を持つ画像のことである。本実施形態における色特性チャートのパッチの信号値は、デバイスの色空間に依存しない色空間の一つであるsRGB色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値で表現されているものとする。本実施形態における色特性チャートの画像データは、画像データ形式のファイルとして保持されているものとする。これにより、ユーザーの使用している不図示のアプリケーション及びPC130のプリンタドライバ134で、色特性チャートの画像データを印刷することが可能となり、ユーザーの調整対象デバイスに継承したい色設定を用いることができる。尚、本実施形態における画像データとは、TIFFとするが、ユーザーの用いるアプリケーションで読み込み可能な画像データ形式のファイルであれば、どのようなものでもよい。
【0037】
この色特性チャートは、後述するように、目標デバイス150によって印刷され、調整対象デバイス100によってスキャンされることになる。つまり、色特性チャートは、sRGB色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値で表現されているパッチの画像データ400を、目標デバイス150が印刷して出力したものになる。この色特性チャートは、目標デバイス150が、ユーザーの表現したい色設定を用いて色特性チャートの画像データに色変換処理を行い、色変換後の画像データを用いて目標デバイス150の画像出力部160で印刷されたものである。尚、本実施形態における表現したい色設定とは、ドライバ出力時におけるデバイスの色再現特性を決定付けるカラープロファイルのマッチング方法の設定などの色に関する設定とするが、色の調整を行える設定であればどのようなものでもよい。また、sRGB色空間とは、IEC(国際電気標準会議)が策定した色空間の国際標準規格であり、入出力機器などの異なる環境間で色の再現性を確保するために定められた色空間である。このように目標デバイス150で使用している色設定を用いて色変換処理が行われた画像データを用いて目標デバイス150で印刷された色特性チャートをスキャンした、スキャン画像データを用いて色合わせ処理が行われることになる。詳細は後述する。
【0038】
本実施形態における前述した「sRGB色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値」は、R、G、Bのそれぞれを8bitで表現し、信号値の間隔が32となる信号値のことである。
【0039】
図2のシーケンスの説明に戻る。次に、SQ212において、Webサーバー140は、対応する色特性チャートの画像データをDBサーバー170にリクエストする。次に、SQ213において、DBサーバー170は、SQ212にてリクエストされた色特性チャートの画像データを記憶部173から取得する。次に、SQ214において、DBサーバー170は、SQ213にて取得した色特性チャートの画像データをWebサーバー140に送信する。
【0040】
次に、SQ215において、Webサーバー140は、SQ214にてDBサーバー170から送信された色特性チャートの画像データを、PC130に送信する。
【0041】
次に、SQ216において、PC130は、SQ215におけるWebサーバー140からの色特性チャートの画像データの受信が完了したら、Webブラウザーを介してユーザー201に色特性チャートの画像データの取得完了の通知を行う。本実施形態におけるユーザーへの取得完了の通知方法は、ポップアップ表示とするが、ユーザーへ通知できる方法であれば、どのようなものでもよい。
【0042】
次に、SQ220において、PC130は、SQ216にて取得した色特性チャートの画像データの印刷指示の操作をユーザー201から受け付ける。そして、SQ221において、PC130は、色特性チャートの画像データを、対応するアプリケーションによって展開する。
【0043】
次に、SQ222において、PC130は、SQ221にて展開された色特性チャートの画像データ、および、プリンタドライバ134で設定できる色に関する設定情報を含む印刷指示を、プリンタドライバ134を介して目標デバイス150に送信する。本実施形態におけるプリンタドライバ134で設定できる設定情報とは、濃度調整またはカラーモード等の色処理に関係する印刷設定のことである。ここでは、目標デバイス150で印刷するときにユーザーの普段使っている色処理に関係する印刷設定が反映されているものとする。
【0044】
次に、SQ223において、目標デバイス150は、SQ222にてPC130から受信した色設定情報に従って、SQ222にて受信した色特性チャートの画像データに対して色変換処理を行い、画像出力部160で色特性チャートを印刷する。次に、SQ224において、目標デバイス150は、SQ223にて色特性チャートの印刷が完了したことをPC130へ通知する。
【0045】
次に、SQ225において、PC130は、SQ224にて目標デバイス150から印刷完了通知を受けたら、アプリケーションを介してユーザー201に印刷完了の通知を行う。
【0046】
本実施形態において色特性チャートの画像データを展開するアプリケーション及びプリンタドライバは、目標デバイス150で印刷する際にユーザーが使っているアプリケーション及びプリンタドライバ134である。SQ220からSQ223を実行することにより、目標デバイス150が現在表現している色味を色特性チャートで印刷することが可能となる。
【0047】
次に、SQ230において、調整対象デバイス100は、ユーザー201からの色合わせ処理の実行指示の操作を受け付ける。
図5は、調整対象デバイス100のディスプレイ109に表示される初期画面の例を示す図である。ユーザー201による色合わせ処理の実行指示は、
図5に示すUI500を通じて調整対象デバイス100に入力される。
【0048】
図5のUI500において、ボタン501からボタン506までのボタンは、MPFである調整対象デバイス100の各機能がユーザーによって実行されるときに押下されるボタンである。押下されたボタンに対応した機能は、プログラムに従って実行される。本例においては、色合わせ処理を実行するタイミングは、ユーザーによって、ボタン506が押下されたときとする。本実施形態では、ボタン形式で各画像処理装置の機能の実行指示を与えているが、各機能をリスト構造で表示してもよい。
【0049】
次に、SQ231において、調整対象デバイス100は、画像読取部108に設けられている不図示のADFを用いて、SQ223にて目標デバイス150で印刷された色特性チャートをスキャンする。
【0050】
図6は、調整対象デバイス100で表示されるUIの例を示している。
図6(a)は、ユーザーによってボタン506が押下された場合にディスプレイ109に表示されるUI600を示している。UI600は、目標デバイス150で印刷された色特性チャートを画像読取部108に設けられているADFに置いてもらうようにユーザー201に指示する例を示している。ボタン601は、印刷された色特性チャートを画像読取部108に設けられたADFに置いた後に、ユーザーによって押下されるボタンである。ユーザーによってボタン601が押下されると、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理の実行命令を行う。印刷された色特性チャートが画像読取部108に設けられたADFに置かれていない状態でユーザーによってボタン601が押下された場合、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理の実行を指示しないように構成されてもよい。ボタン602は、SQ231のスキャン処理を中止する時にユーザーによって押下されるボタンである。ボタン602がユーザーによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせ処理の実施を中止し、
図5のUI500の初期画面に遷移する。
【0051】
次に、SQ232において、調整対象デバイス100は、予め内部に保存されている色特性チャートの画像データを用いて、画像出力部110で印刷を行う。尚、印刷に関する詳細は後述するものとするが、SQ232で印刷特性チャートの画像データを調整対象デバイス100で印刷することにより、調整対象デバイス100の色特性を確認することが可能となる。
【0052】
図6(b)は、ユーザー201に対して、色特性チャートの画像データを印刷するために、給紙段に用紙をセットしてもらうように指示するためのUI610の例を示している。
図6のUI610は、SQ232における印刷を指示するUI610を示している。UI610において、ボタン611は、給紙部112にセットされている用紙を用いて色特性チャートの画像データを印刷する時に、ユーザーによって押下されるボタンである。ユーザーによってボタン611が押下されると、調整対象デバイス100は、給紙部112にセットされている用紙を用いて、画像出力部110に印刷処理の実行命令を行う。給紙部112の不図示のいずれかの給紙段に印刷可能な用紙がセットされていない状態でユーザーによってボタン611が押下された場合、調整対象デバイス100は、画像出力部110に印刷処理の実行を指示しないように構成されてもよい。ボタン612は、SQ232の印刷処理を中止する時にユーザーによって押下されるボタンである。ボタン612がユーザーによって押下されると、調整対象デバイス100は、印刷処理の実施を中止し、SQ231に戻り、UI600の画面に遷移するものとする。尚、ボタン612が押下されると、色合わせ処理の実施を中止して
図5のUI500の初期画面に遷移してもよい。
【0053】
UI610におけるテキスト613は、色特性チャートの画像データを印刷するときに使用する給紙部112の給紙段の設定を表示するテキストである。本実施形態における印刷可能な用紙サイズはA4またはA3とし、テキスト613には、印刷可能な用紙がセットされている給紙段が表示されている。尚、印刷可能な用紙がセットされている給紙段が複数ある場合の初期値は、一番上位段となる給紙段とする。印刷可能な用紙が、いずれの給紙段にもセットされていない場合は、なしと表示する。ボタン614は、テキスト613で表示されている給紙段を変更する場合に、ユーザー201によって押下されるボタンである。ユーザーによってボタン614が押下されると、印刷可能な用紙がセットされている給紙段の中から給紙段を選択できるUIに遷移し、印刷に使用する給紙段を変更することが可能となる。
【0054】
次に、SQ233において、調整対象デバイス100は、画像読取部108を用いてSQ232にて調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートをスキャンする。
図6(c)は、画像読取部108に設けられたADFに、調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートを置いてもらうようにユーザー201に指示するためのUI620の例を示している。
図6(c)のUI620は、SQ233におけるスキャンを指示するためのUIを示している。ボタン621は、画像読取部108に設けられたADFに、印刷された色特性チャートを置いた後に、ユーザーによって押下されるボタンである。ユーザーによってボタン621が押下されると、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理の実行命令を行う。印刷された色特性チャートがADFに置かれていない状態で、ユーザーによってボタン621が押下された場合、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理の実行を指示しないように構成されてもよい。ボタン622は、SQ233のスキャン処理を中止する時にユーザーによって押下されるボタンである。ボタン622がユーザーによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせ処理の実施を中止し、
図5のUI500の初期画面に遷移する。
【0055】
次に、SQ234にて、調整対象デバイス100は、SQ231およびSQ233においてスキャンした色特性チャートを用いて、調整対象デバイス100が目標デバイス150の色特性を表現するための色合わせ処理を実行する。本実施形態では、SQ234の色合わせ処理によって、調整対象デバイス100が目標デバイス150と同じような色で色表現をするための色調整情報として、変換ルックアップテーブル(LUT)が作成される。本実施形態では、SQ234の色合わせ処理によって作成される変換LUTのことを色調整LUTと呼ぶ。色調整LUTとは、sRGB色空間上において均等な間隔でサンプリングした入力値と、各入力値に対応した調整対象デバイスに依存したRGB色空間の出力値との関係を示したテーブルで構成されている。本実施形態における調整対象デバイスに依存したRGB色空間のことをdevRGB色空間と称する。色調整LUTはCMSに適用可能な形式で保存されるものとする。SQ234の色合わせ処理に関する詳細は後述する。
【0056】
本実施形態では、SQ234の色合わせ処理によって作成された色調整LUTの名前は、ユーザーによって設定されることができる。
図6(d)は、調整対象デバイス100のUIであり、保存時の設定の名前の入力を指示するためのUIの例を示している。
図6(d)のUI650は、SQ234の処理が終了した際に表示されるUIである。UI650において、テキストボックス651は、作成された色調整LUTを保存する名前を入力及び表示するためのテキストボックスである。ユーザー201によってテキストボックス651が押下されると、作成された色調整LUTの名前を入力する不図示のUI画面に遷移する。本実施形態における名前の入力方法は、UI上にソフトウェアキーボードを表示して入力する方法とするが、外部の入力機器を用いて名前を入力してよい。
【0057】
ボタン652は、ユーザー201による保存時の名前の入力が完了した後にユーザーによって押下されるボタンである。ユーザーによってボタン652が押下されると、調整対象デバイス100は、テキストボックス651に記載されている設定名に従って、作成された色調整LUTを保存する。ボタン653は、SQ234の色合わせ処理を中止する際にユーザーによって押下されるボタンである。ボタン653がユーザーによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせ処理の実施を中止し、
図5のUI500の初期画面に遷移する。
【0058】
次に、SQ234における色合わせ処理の完了通知を受けると、SQ235にて、調整対象デバイス100は、ディスプレイ109を用いてユーザー201に対して色合わせ処理の完了の通知を行う。
【0059】
以上が本実施形態における調整対象デバイス100による色合わせ処理の全体フローに関する説明である。これにより、目標デバイス150の色特性を表現した色調整LUTが作成され、目標デバイス150の色特性を調整対象デバイス100にて再現することが可能となる。
【0060】
図7は、本実施形態における色合わせ処理の前後におけるPC130のプリンタドライバ134のUIの変化の例を示す図である。
図7(a)のUI701は、プリンタドライバ134で印刷品質に関する印刷設定を行う全体のUIで、色合わせ処理前のものである。一方で、
図7(b)のUI711は、プリンタドライバ134で印刷品質に関する印刷設定を行う全体のUIで、色合わせ処理後のものである。尚、本実施形態の色合わせ処理後のUI711は、印刷設定に関する最新の情報をプリンタドライバ134が調整対象デバイスから取得済みの状態であるものとする。尚、ユーザー201によって、プリンタドライバ134が最新の設定情報を取得する指示を受けた後に、プリンタドライバ134が最新の設定情報を取得する方法があるが、これに限られない。ユーザーの指示に拠らずに、プリンタドライバ134を使用する毎にプリンタドライバ134が取得する方法、または、予め決められた期間を過ぎた後に取得する方法など、調整対象デバイス100の最新の設定情報を取得できれば、どのような方法でもよい。
【0061】
リストボックス702及びリストボックス712は、印刷目的に関する設定を行うためのリストボックスであり、印刷目的として選択された項目に対応して、関連する印刷項目を一括設定するためものである。
【0062】
リストボックス703及びリストボックス713は、印刷時のカラーモードに関する設定を行うためのリストボックスであり、設定されたカラーモードに応じて、プリンタドライバ及び画像処理装置内の画像処理が切り替わる。尚、ユーザーによって選択されると、不図示の設定項目が展開され、各設定項目を選択することができる。
【0063】
リストボックス704及びリストボックス714は、印刷時にCMSで適用する色調整LUTまたはカラープロファイルを設定するためのリストボックスのことである。そして、設定されたマッチング方法に応じて、CMSによる色変換時に適用される色調整LUTまたはカラープロファイルが切り替わる。SQ234にて色合わせ処理が行われた場合、リストボックス714のように保存した名前が表示され、選択可能となる。尚、「パネル優先」が選択された場合は、後述する調整対象デバイス100内で選択された項目が適用される。
【0064】
ボタン705及びボタン715は、プリンタドライバ134の印刷設定に関して設定が終了し、ユーザーによって調整対象デバイス100で印刷処理を指示する時に押下されるボタンである。ボタン705及びボタン715がユーザーによって押下されることにより、UI701及びUI711の表示は終了する。そして、調整対象デバイス100は、各印刷に関する設定項目を適用し、印刷するための処理を実行する。ボタン706及びボタン716は、ユーザーによって調整対象デバイス100の印刷を中止する時に押下されるボタンである。ボタン706及びボタン716がユーザーによって押下されることにより、UI701及びUI711の表示は終了する。
【0065】
尚、リストボックス702及びリストボックス712、並びに、リストボックス704及びリストボックス714に関して、本実施形態における印刷時に適用される設定項目は、背景色がグレー(ハッチングで示す)になっているものとする。また、リストボックス703及びリストボックス713に関しては、本実施形態における印刷時に適用される設定項目は、ユーザーによって設定が終了し、閉じた状態で表示されている項目が適用されるものとする。
【0066】
図8は、本実施形態における色合わせ処理前後における、調整対象デバイス100内でCMSに適用するプロファイルを設定するためのUIの変化の例を示す図である。
図8(a)のUI801は、調整対象デバイス100内でCMSに適用する色調整LUTまたはカラープロファイルの設定を行う全体のUIで、色合わせ処理前のものである。一方で、
図8(b)のUI811は、調整対象デバイス100内でCMSに適用する色調整LUTまたはカラープロファイルの設定を行う全体のUIで、色合わせ処理後のものである。UI801及びUI811は、調整対象デバイス100内で、ユーザーによってCMSに適用する色調整LUTまたはカラープロファイルの設定を行うことを指示された時にディスプレイ109に表示されるUIである。
【0067】
リストボックス802及びリストボックス812は、印刷時にCMSで適用するプロファイルを設定するためのリストボックスである。そして、リストボックスで設定されたマッチング方法に応じて、CMSによる色変換時に適用される色調整LUTまたはカラープロファイルが切り替わる。SQ234にて色合わせ処理が行われた場合、プリンタドライバ134のリストボックス714と同様に、保存した名前が表示され、選択可能となる。
【0068】
リストボックス802及びリストボックス812に関して、本実施形態における印刷時に適用される設定項目は、背景色がグレー(ハッチング)になっているものとする。
【0069】
ボタン803及びボタン814は、CMSに適用する色調整LUTまたはカラープロファイルの設定が終了し、ユーザーによって設定した項目を適用する時に押下されるボタンである。ボタン803及びボタン814がユーザーによって押下されることにより、UI801及びUI811の表示は終了し、調整対象デバイス100で各印刷に関する設定項目が適用される。
【0070】
ボタン804及びボタン814は、CMSに適用する色調整LUTまたはカラープロファイルの設定をキャンセルする時にユーザーによって押下されるボタンである。ボタン804及びボタン814がユーザーによって押下されることにより、UI801及びUI811の表示は終了し、設定前の項目が適用される。
【0071】
<調整対象デバイスの色合わせ処理のフローチャート>
図9は、本実施形態の調整対象デバイス100における色合わせ処理の例を示すフローチャートである。
図9は、調整対象デバイス100における処理であり、ユーザーによって色合わせ処理を指示されたときに実行される色合わせ処理の全体を示すフローチャートである。
図9に示されるフローチャートによる処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。尚、処理中に作成されたデータは、記憶部107にて一時的に保存するものとする。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する(以下、本明細書において同様である)。
【0072】
S901において装置制御部102は、目標デバイス150の画像出力部160によって印刷された色特性チャートを画像読取部108にてスキャンし、スキャン画像データを取得する。即ち、目標デバイス150によって印刷された色特性チャートを、調整対象デバイス100の画像読取部108がスキャンする。本実施形態におけるスキャン画像データは、RGBの多値の画像データとする。尚、S901の処理は、
図2のSQ231で行われる処理と同様である。即ち、
図4に示すような色特性チャートの画像データ400を用いて目標デバイス150によって印刷されて出力された色特性チャートを、調整対象デバイス100がスキャンする。つまり、色特性チャートは、sRGB色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値で表現されているパッチの画像データを、目標デバイス150が印刷して出力したものになる。即ち、この色特性チャートは、目標デバイス150が、ユーザーの表現したい色設定を用いて色特性チャートの画像データに色変換処理を行い、色変換後の画像データを用いて目標デバイス150の画像出力部160で印刷されたものである。
【0073】
次に、S902において装置制御部102は、S901で取得したスキャン画像データを用いて、色特性チャート内の各パッチのRGB値を取得する処理を行う。S902の色特性チャートのパッチ信号値取得処理の詳細は後述する。尚、S902では、各パッチのRGB値を取得する処理だけでなく、目標デバイス150で変形されたチャートが印刷されていることに起因して色合わせ処理を中止する(後述のS911)に際し、その要因を分析し、ユーザーへの通知する処理が行われる。詳細は後述する。
【0074】
次に、S903において装置制御部102は、S902で行った目標デバイスの色特性チャートのパッチ信号値取得処理が正常通り終了しているか判定を行う。S903にてパッチ信号値取得処理が正常通り終了している場合、S904に進み、そうでない場合、S911に進む。
【0075】
S904において装置制御部102は、調整対象デバイス100の画像出力部110を用いて、予め保持している色特性チャートの画像データの印刷を行う。S904で印刷に用いられる色特性チャートの画像データは、S901で取得した目標デバイスのスキャン画像データの元となる色特性チャートの画像データと同じであってもよいし、異なる色特性チャートデータでもよい。いずれにせよ、調整対象デバイスの色特性チャートの画像データにおけるパッチの信号値もまた、デバイスの色空間に依存しない色空間の一つであるsRGB色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値で表現されているものとする。
【0076】
S904における色特性チャートの印刷は、調整対象デバイスの画像出力部110の色再現特性を測定することが目的となる。このため、S904では、CMSによる色変換処理を行わずに、色特性チャートの画像データの各パッチのRGB値を基に印刷が行われる。CMSによる色変換を行わずに色特性チャートの画像データにおける各パッチのRGB値を基に印刷しているため、調整対象デバイスに依存したdevRGB色空間で印刷された状態となる。尚、本実施形態においては、S904において行われる、調整対象デバイス100の画像出力部110を用いた色特性チャートの画像データの印刷は、予め決められた印刷設定に従って行われるものとする。即ち、ページレイアウト設定または変倍率等の印刷設定は、所与の設定で固定的に行われるものとする。尚、S904の処理は、
図2のSQ232で行われる処理と同様である。
【0077】
S903にてパッチ信号値取得処理が正常通り終了していない場合、S911にて装置制御部102は、色合わせ処理を中止する。S903にてパッチ信号値取得処理が正常通り終了していない場合には、後述するように、その前のS902の処理において、ユーザーに要因分析結果が通知されている。尚、ユーザーへの要因分析結果の通知処理と、色合わせ処理の中止処理とは、いずれが先に行われてもよいし、両者が並行して行われてもよい。
【0078】
S905において装置制御部102は、S904で調整対象デバイス100の画像出力部110によって印刷された色特性チャートを画像読取部108にてスキャンさせ、スキャン画像データを取得する。尚、S905の処理は、
図2のSQ233で行われる処理と同様である。
【0079】
S906において装置制御部102は、S905で取得した調整対象デバイス100のスキャン画像データを用いて、色特性チャート内の各パッチのRGB値を取得する処理を行う。尚、S906の色特性チャートのパッチ信号値取得処理の詳細は後述するが、パッチのRGB値を取得するだけでなく、調整対象デバイスで印刷された色特性チャートが正しくスキャンされて正常通りに終了したかの通知がされる。
【0080】
S907において装置制御部102は、S906で行った調整対象デバイスの色特性チャートのパッチ信号値取得処理が正常通り終了しているか判定を行う。S907にてパッチ信号値取得処理が正常通り終了していないと判定した場合、S905に処理が戻る。正常通り終了している場合、S908に進む。本実施形態では、調整対象デバイスの色特性チャートのパッチ信号値取得処理が正常通り終了してない場合であっても、再度の印刷をせず、既にS904にて印刷された色特性チャートを再スキャンすることで色合わせ処理は再開できる。後述する目標デバイス150の例と異なり、S904で行われる調整対象デバイス100における色特性チャートの印刷処理では、ページレイアウト設定または変倍率等の印刷設定が、所与の設定で固定的に行われるからである。また、後述するように、S906内の処理において、スキャンのやり直しがユーザーへ通知されている。このため、ユーザーによる再度のスキャンのやり直しが行われることが期待できる。よって、装置制御部102は、調整対象デバイスの色特性チャートのパッチ信号値取得処理が正常通り終了してない場合、S905に戻り、再度スキャン画像データを取得する処理を行う。
【0081】
続く、S908からS910の処理は、
図2のSQ234で行われる色合わせ処理に対応する。S908において装置制御部102は、パッチ信号値の元となるsRGB信号値を、目標デバイス150の特性を考慮したL*a*b*値に変換するためのLUT(後述する第2LUT)を作成する。装置制御部102は、S902で取得した目標デバイス150の色特性パッチ信号値を用いて、第2LUTを作成する。L*a*b*値とは、CIE(国際照明委員会)が作成したデバイスに依存しない色空間の一つであるL*a*b*色空間上の値のことである。L*a*b*色空間は、人間の視覚特性を考慮した視覚均等となる色空間であり、デバイスに非依存な3次元の色空間である。S902で取得した色特性パッチ信号値(RGB信号値)は、目標デバイス150における色特性が反映された値である。この色特性パッチ信号値(RGB信号値)をL*a*b*値に変換することで、目標デバイス150の特性を考慮したL*a*b*値が得られる。
【0082】
本実施形態におけるRGB信号値からL*a*b*値に変換する方法としては、調整対象デバイスの画像読取部108で読み取ったRGB信号値を入力とした場合に、入力値に対応したL*a*b*値を出力とするLUT(第1LUTという)を使う方法がある。装置制御部102は、この第1LUTを予め保持し、保持している第1LUTにより色変換を行う。つまり、S902で取得した目標デバイス150で印刷された色特性パッチ信号値(RGB値)に対応するL*a*b*値を、予め保持している第1LUTを用いて得る。これにより、継承したい目標デバイス150の色再現特性を示すL*a*b*値のデータ群を得ることができる。この表現したい目標デバイス150の色再現特性を示すL*a*b*値のデータ群は、後述する第2LUTにおける出力値に対応することになる。
【0083】
ここで、目標デバイス150における印刷に用いられた色特性チャートの画像データの各パッチは、「sRGB色空間で均等な間隔でサンプリングされた信号値」で構成されている。つまり、目標デバイス150において色特性チャートの各パッチを印刷する際に用いられた入力値(sRGB値)は、既知の値である。装置制御部102は、第1LUTを参照して、例えば第1パッチの色特性パッチ信号値(RGB値)に対応するL*a*b*値を得る。装置制御部102は、この得られたL*a*b*値を、第2LUTの第1出力値に設定する。一方で、装置制御部102は、この第1パッチの印刷に用いられた画像データのsRGB値を、第2LUTにおける第1出力値に対応する第1入力値に設定する。このような処理を、全てのパッチに関して行う。これにより、sRGB色空間の入力値と、その入力値に対応して目標デバイスで出力されるRGB値を変換したL*a*b*値と、の関係を示したLUT(第2LUT)が作成される。
【0084】
次に、S909において、装置制御部102は、S906にて取得した調整対象デバイスの各パッチの色特性パッチ信号値(RGB信号値)を、調整対象デバイスの特性を考慮したL*a*b*値に変換するためのLUT(第3LUT)を作成する。尚、本実施形態におけるRGB信号値からL*a*b*値に変換する方法は、S908と同様のLUT(第1LUT)を用いて変換する方法を用いることができる。これにより、調整対象デバイスを用いて色特性チャートを印刷した時の調整対象デバイスの色再現特性を示すL*a*b*値のデータ群を得ることができる。
【0085】
尚、前述したように、調整対象デバイスの色特性チャートは、CMSによる色変換処理を行わずに印刷が行われている。このため、S906で取得した調整対象デバイスの各パッチの色特性パッチ信号値は、調整対象デバイスに依存したRGB空間の信号値、即ち、devRGB値となる。調整対象デバイスの色特性チャートの全てのパッチに関してL*a*b*値へ変換することで、devRGB色空間の入力値と、その入力値に対応した調整対象デバイスで出力されるL*a*b*値の関係を示したLUT(第3LUT)が作成される。
【0086】
次に、S910において、装置制御部102は、調整対象デバイスが、目標デバイスと同じような色で再現されるような変換LUTとなる色調整LUT(第4LUT)の作成処理を行う。色調整LUTは、sRGB色空間上において均等な間隔でサンプリングした入力値と、各入力値に対応した調整対象デバイスに依存したdevRGB色空間の出力値の関係を示したテーブルで構成されている。
【0087】
本実施形態におけるS910の色調整LUTの作成処理を説明する。色調整LUTの作成は、S908で作成した第2LUTおよびS909で作成した第3LUTを用いて行われる。まず、sRGB信号値を目標デバイス150の色特性が反映されたL*a*b*値に変換する第2LUTを用いて、第2LUTの入力点である第1RGB値に対応して出力される目標デバイス150の色特性が反映された第1L*a*b*値を導出する。
【0088】
次に、調整対象デバイスの色特性が反映されたdevRGB信号値をL*a*b*値に変換するLUT(第3LUT)を用いた処理が行われる。装置制御部102は、第3LUTにおいて全ての入力値に対して出力されるL*a*b*値の中で、目標デバイスの色特性が反映された第1L*a*b*値に最も近い調整対象デバイスのL*a*b*値(第2L*a*b*値)を見つける。次に、見つけた最も近い調整対象デバイスの第2L*a*b*値を出力とする場合の入力値のdevRGB信号値(第1devRGB値)を、第3LUTから特定する。そして、第2LUTの第1RGB値(sRGB値)を入力とした場合に、第1devRGB値が出力されるように、色調整LUT(第4LUT)が作成される。
【0089】
これらの処理を、S908にて作成された、sRGB信号値を目標デバイスの色特性が反映されたL*a*b*値に変換する第2LUTの入力数分だけ処理を繰り返す。この処理を繰り返すことで、目標デバイスの入力値であるsRGB値を、調整対象デバイスのdevRGB色空間に変換するための色調整LUT(第4LUT)が作成される。そして、印刷時にCMSにおいて、この色調整LUT(第4LUT)を使用することにより、調整対象デバイスの色再現特性を、目標デバイスの色再現特性に近似させることができる。
【0090】
以上、本実施形態における色調整LUTの作成方法を説明したが、本例に限らず、目標デバイス及び調整対象デバイスの色特性チャートのRGB信号値を用いて、目標デバイスの色再現特性に近似することができる方法であれば、どのような方法でも構わない。以上が、本実施形態における色合わせ処理の全体フローの説明である。
【0091】
<目標デバイスの色特性パッチ信号値取得処理>
図10は、S902の色特性チャートのパッチ信号値取得処理の詳細を示すフローチャートの例を示す図である。
図10の処理は、画像処理部103によって行われる。あるいは、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行されてもよい。尚、処理中に作成されたデータは、記憶部107にて一時的に保存するものとする。
【0092】
S1001において装置制御部102は、パッチ領域導出処理を行う。装置制御部102は、まず、S901にて取得したスキャン画像データを用いて、スキャン画像データの中から色特性チャートの領域を検出し、チャートの拡大率または縮小率(以下、変倍率という)を導出する。さらに、チャート領域からパッチ領域を検出し、パッチの大きさと個数とを導出する。これらの詳細の処理内容については後述する。
【0093】
次に、S1002において装置制御部102は、S1001にて導出されたパッチの個数が予め決められた閾値の個数以上か判定を行う。本実施形態におけるS1002の予め決められた閾値とは、色特性チャートの画像データにおけるパッチ数であるM×N個のことである。S1002にて、導出されたパッチの個数が予め決められた閾値の個数以上と判定された場合、S1003に進み、そうでない場合、S1004に進む。
【0094】
S1003において装置制御部102は、S1001にて導出されたパッチの大きさからパッチの読み取り可能となる領域(以下、パッチ読取領域という)を導出する。本実施形態におけるパッチ読取領域とは、各パッチが印刷されている各領域のうちの一部の領域とする。処理対象のパッチを注目パッチとした場合の注目パッチの読取領域を説明する。注目パッチの読取領域は、この注目パッチの周辺パッチからの散乱光等の影響を受ける領域を除いた領域である。例えば、注目パッチの領域において、周辺パッチに隣接する7mm相当の領域を除いた残りの領域のことを読取領域とする。しかしながら、この例に限らず、画像読取部108の特性に応じて読取領域を導出してもよい。
【0095】
一方、S1002にて、導出されたパッチの個数が予め決められた閾値の個数より少ないと判定された場合、S1004において、装置制御部102は、S1001にて導出されたパッチの個数から拡大要因を分析する処理を行う。パッチの個数が所与の個数より少ないということは、S901で取得したスキャン画像データは、拡大した色特性チャートをスキャンした可能性が高い。このため、S1004では、拡大要因分析処理が行われる。S1004の拡大要因を分析する処理の詳細は後述するが、導出されたパッチの個数が予め決められた閾値より少ない場合は、目標デバイスで印刷された色特性チャートが拡大されたことで、本来取得したいパッチの個数より少なくなったことが原因と考えられる。その原因をパッチの個数から分析し、分析結果に対応した正しい印刷設定を通知可能な状態にする処理が行われる。S1004の処理が終わると、S1008に進む。
【0096】
S1008において装置制御部102は、要因分析結果をユーザーに通知する処理を行う。S1004の後に行われるS1008の処理では、S1004の拡大要因分析処理にて分析した結果に対応する印刷設定がユーザーに通知される。尚、S1008は、後述するS1006の縮小要因分析処理の後にも実行される。S1006の後にS1008が実行される場合、S1008では、S1006の縮小要因分析処理にて分析した結果に対応する印刷設定がユーザーに通知される。
【0097】
図11は、S1008において実行される、ユーザーへの通知方法の一例を示す図である。ユーザーへの通知方法としては、
図11に示すように、ディスプレイ109を用いたUIによる表示を行う方法が挙げられる。
図11(a)のUI1101は、ディスプレイ109を用いたUIの例である。UI1101では、目標デバイス150で印刷された色特性チャートが変形されて印刷されたため、
図9のS911にて色合わせ処理を中止する旨の文言が表示されている。また、UI1101には、S1004で分析した内容に対応した拡大要因と、正しい印刷設定とが表示されている。
図11(a)のUI1101に表示されている拡大要因は、「ページレイアウトに関連する印刷設定」の項目を含んでいる。例えば、ページレイアウトで、拡大表示されるような設定(例えば、ポスター設定)で印刷された場合が想定される。このように、「ページレイアウトに関連する印刷設定」の項目が拡大要因として想定されるので、正しい印刷設定として、ページレイアウトの設定を1in1にすることの確認を促すメッセージが表示されている。また、この例では、「倍率に関する印刷設定」において、印刷倍率の設定が100%以上に設定されて拡大されて印刷されたことも拡大要因として想定されている。このため、UI1101には、印刷倍率の設定の確認を促すメッセージも表示されている。ボタン1102は、UI1101の通知表示を終了する場合に、ユーザーによって押下されるボタンである。
【0098】
図10に戻り説明を続ける。S1003でパッチ読取領域が導出されると、S1005に処理が進む。S1005において装置制御部102は、S1003にて導出されたパッチ読取領域が、予め決められた閾値以上の領域であるか判定を行う。本実施形態におけるS1005の予め決められた閾値の領域とは、パッチの信号値を取得するときに安定した値が取得できる大きさの領域である。例えば、本実施形態における予め決められた閾値の領域は、1mm×1mmの領域とするが、安定した値が取得できる大きさであれば、どのような値でも構わない。S1005にて、パッチ読取領域が予め決められた閾値以上の領域であると判定された場合、S1007に進み、そうでない場合、S1006に進む。
【0099】
S1007に進んでいるということは、パッチ数が閾値以上であり、かつパッチ読取領域が、安定した値を取得できる大きさということになる。つまり、S901で取得したスキャン画像データを用いてパッチ信号値を適切に取得することができる状態である。そこで、S1007において装置制御部102は、S901にて取得したスキャン画像データから各パッチの信号値を取得する。この時、パッチの信号値であるRGB値の導出方法は、S1001にて検出された各パッチ領域の中からパッチ読取領域内の各RGB値の平均値から導出するものとする。尚、本実施形態ではパッチの各RGB値を領域内の平均値から導出する方法を説明したが、パッチの各RGB値を導出できる方法であれば、どのような方法でも構わない。その後、S1009に処理が進む。
【0100】
S1009において装置制御部102の画像処理部103は、S902の色特性チャートのパッチ信号値取得処理が正常通り終了したことをCPU105に通知することで、パッチ信号値取得処理を終了する。
【0101】
S1005にて、パッチの読み取り可能領域が予め決められた閾値より小さい領域と判定された場合、S1006において装置制御部102は、S1001にて導出されたパッチの個数およびチャートの変倍率に基づいて縮小要因の分析処理を行う。S1006の縮小要因の分析処理の詳細は後述するが、パッチの読み取り可能領域が予め決められた閾値より小さい領域となるような要因として、ページレイアウトに関する印刷設定が2in1と設定されている場合などが挙げられる。その後、S1008に処理が進み、前述したように、要因分析結果をユーザーに通知する処理が行われ、パッチ信号値取得処理が終了する。
【0102】
図11(b)は、縮小要因分析処理の結果を通知する例を示す図である。
図11(b)のUI1103は、ディスプレイ109を用いたUIの例である。UI1103においては、目標デバイスで印刷された色特性チャートが変形されて印刷されたため、
図9のS911にて色合わせ処理を中止する旨の文言が表示されている。また、UI1103には、S1005で分析した内容に対応した縮小要因と、正しい印刷設定とが表示されている。
図11(b)のUI1103に表示されている縮小要因は、「ページレイアウトに関連する印刷設定」の項目を含んでいる。例えば、ページレイアウトで、縮小表示される設定(例えば、2in1設定)で印刷された場合が想定される。このように、「ページレイアウトに関連する印刷設定」の項目が縮小要因として想定されるので、正しい印刷設定として、ページレイアウトの設定を1in1にすることの確認を促すメッセージが表示されている。また、この例では、「用紙向きに関する印刷設定」も縮小要因として想定されている。用紙向きに関する印刷設定が、本来所望する用紙向きと異なる場合、ページレイアウトに関する設定が2in1のときと同じような状態で印刷されてしまうため、縮小されて印刷されたことも縮小要因として表示されている。このため、UI1103には、ページレイアウトと同様に「用紙向きに関する印刷設定」の確認を促すメッセージも表示されている。また、この例では、「倍率に関する印刷設定」において、印刷倍率の設定が100%より小さく設定されて縮小されて印刷されることも縮小要因として想定されている。このため、ページレイアウトと同様に、印刷倍率の設定の確認を促すメッセージも表示されている。ボタン1104は、UI1103の通知表示を終了する場合に、ユーザーによって押下されるボタンである。
【0103】
このように、目標デバイス150で印刷された色特性チャートを、調整対象デバイス100にて読み取った場合に、パッチが適切に読み取れない虞がある場合には、
図9のS911に示すように、処理が中止される。このとき、何ら通知がされないと、ユーザーは、何が理由で色合わせ処理が中止になったのかわからない、または、どのようにしたら色合わせ処理が適切に行うことができるのかが、わからない場合がある。本実施形態では、
図11に示すような通知を行うことで、ユーザーは、適切な色合わせ処理を行うための対処方法を把握することができる。このため、ユーザーは、再度目標デバイス150で色特性チャートを適切な印刷設定で印刷して、印刷した色特性チャートを調整対象デバイス100で読み取らせることで、適切な色合わせ処理が行われることが可能となる。
【0104】
次に、S1001の色特性チャートのパッチ領域導出処理の詳細を説明する。
図12は、
図10のS1001の色特性チャートのパッチ領域導出処理の詳細を示すフローチャートである。
図12に示されるフローチャートによる処理は、画像処理部103によって行われる。あるいは、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行されてもよい。尚、処理中に作成されたデータは、記憶部107にて一時的に保存するものとする。
【0105】
S1201において装置制御部102は、S901にて取得したスキャン画像データを用いて、スキャン画像データのフィルタ処理を実施する。フィルタ処理は、目標デバイス150で印刷された色特性チャートで構成される網点がなくなるようなスムージングフィルタを用いたフィルタ処理である。フィルタ処理を行うことで、網点に影響されることなく隣接するパッチ間の各RGB値の差分を確認することが可能となる。
【0106】
S1202において装置制御部102は、S1201にてフィルタ処理をしたスキャン画像データを用いて、色特性チャートの上下の端部となる座標を検出する。尚、ここでは便宜上、紙面の上下方向の端部を例に説明しているが、所定方向における一方の端部と他方の端部と読み替えてもよい。
【0107】
図13(a)は、色特性チャートの上下の端部座標を検出する例を示す図である。
図13(a)は、
図4に示す色特性チャートの画像データと同様に、パッチが並んで配されている構成となっている。
図13(a)では、x軸方向を左右方向、y軸方向を上下方向と定義している。S1202にて装置制御部102は、
図13(a)のy1、y2、y3、y4の4つを、上下端部の座標として検出するものとする。上下端部の座標を検出する場合、y軸方向にエッジ検出を行うように、注目座標とその近傍座標との差分を各RGB値で導出し、予め決められた値以上となる場合に、注目座標が上下端部のいずれかの座標と検出する方法が挙げられる。
【0108】
S1203において装置制御部102は、S1201にてフィルタ処理をしたスキャン画像データを用いて、色特性チャートの左右の端部となる座標を検出する。S1203にて装置制御部102は、
図13(a)のx1、x2、x3、x4の4つを、左右端部の座標として検出するものとする。左右端部の座標を検出する場合、x軸方向にエッジ検出を行うように、注目座標とその近傍座標との差分を各RGB値で導出し、予め決められた値以上となる場合に、注目座標が左右端部のいずれかの座標と検出する方法が挙げられる。本実施形態における上下端部及び左右端部の座標導出方法は、注目座標とその近傍座標との差分から検出しているが、端部座標が検出できる方法であれば、どのような方法でもかまわない。
【0109】
S1204において装置制御部102は、S1202及びS1203にて導出された上下左右の端部座標を用いて、チャート領域の頂点座標の導出を行う。S1204にて装置制御部102は、
図13(a)のe1、e2、e3、e4の4つを、色特性チャートのチャート領域の頂点の座標として検出するものとする。チャート領域の頂点を検出する場合、y1とy2を通る直線と、x1とx2を通る直線と、の交点座標がチャート領域の頂点座標であるe1として導出される。同様の方法で、y3とy4を通る直線と、x1とx2を通る直線と、の交点座標がe2として導出される。y1とy2を通る直線と、x3とx4を通る直線と、の交点座標がe3として導出される。y3とy4を通る直線と、x3とx4を通る直線と、の交点座標がe4として導出される。
【0110】
S1205において装置制御部102は、S1201にてフィルタ処理をしたスキャン画像データを用いて、チャート領域内で上下方向であるy軸方向の信号値を抽出し、その抽出信号から1次微分信号値を導出する。
【0111】
図13(b)は、本実施形態における1次微分信号値を導出する例を示す図である。
図13(b)は、
図4の色特性チャートの画像データと同様の構成となっている。x軸方向を左右方向、y軸方向を上下方向と定義している。S1205にて導出する1次微分信号とは、
図13(b)の矢印1301のようにy方向に対して、上から下へ抽出信号を1次微分することで導出される信号値のことである。これにより、各パッチのエッジ付近で1次微分信号値の変化量が大きくなるため、各パッチのエッジ座標を検出することが可能となる。
【0112】
次にS1206において、装置制御部102は、S1201にてフィルタ処理をしたスキャン画像データを用いて、チャート領域内で左右方向であるx軸方向の信号値を抽出し、その抽出信号から1次微分信号値を導出する。S1206にて導出する1次微分信号とは、
図13(b)の矢印1302のようにx方向に対して、左から右へ抽出信号を1次微分することで導出される信号値のことである。各パッチのエッジ付近で1次微分信号値の変化量が大きくなるため、各パッチのエッジ座標を検出することが可能となる。
【0113】
S1207において装置制御部102は、S1205及びS1206にて導出した1次微分信号値を用いて信号値の周期成分を抽出する。本実施形態における信号値の周期成分の抽出は、S1205及びS1206にて導出した1次微分信号値に対して、自己相関解析を行い、自己相関信号データを導出することで行われる。具体的には、式(1)に示す自己相関関数Rxを用いて信号値の周期成分が導出される。
【0114】
【0115】
ここで、xは1次微分信号データ、Nは1次微分信号データのデータ数、τはずれ量となる。さらに、導出した自己相関関数Rxを用いて、式(2)に示す自己相関係数データφxを導出する。
【0116】
【0117】
自己相関解析によって、信号xが、その信号xのずれ量τシフトした信号との整合性を確認することができ、自己相関係数データの中で、相関係数の大きい値となるτは、信号が持つ周期性を示すことになる。つまり、自己相関係数データφxの中で相関係数の大きくなるずれ量τを抽出することで、パッチの大きさを含んだ周期成分を抽出することが可能となる。ここでは、自己相関係数データφxの中で、予め決められた閾値を超えていた局所的な最大値となるずれ量τを抽出する。尚、Rx(0)が0となる場合、自己相関係数データが導出できないため、自己相関係数データφxは0とする。また、本実施形態における予め決められた閾値は、統計的に相関性があると判断できる0.3とする。
【0118】
S1208において、装置制御部102は、S1207にて抽出された信号値の周期成分を用いて、x軸方向及びy軸方向のパッチの大きさを導出する。本実施形態におけるパッチの大きさを導出は、S1207にて抽出された信号値の周期成分の中で、整数倍した時の値が周期成分に含まれているものをパッチの大きさとする。パッチの大きさの整数倍毎に周期成分となる自己相関係数データが大きくなるため、整数倍したとき値が周期成分に含まれているものがパッチの大きさとなる。
【0119】
S1209において、装置制御部102は、S1208にて導出されたx軸方向及びy軸方向のパッチの大きさと、S1204にて導出されたチャートの頂点座標とを用いて、パッチの数を導出する。まず、チャート領域の頂点座標からチャート領域の面積を導出する。次に、x軸方向及びy軸方向のパッチの大きさからパッチの面積を導出する。チャート領域の面積からパッチの面積を除算することでチャート領域内のパッチ数を導出することが可能である。
【0120】
S1210において装置制御部102は、S1208にて導出されたx軸方向及びy軸方向のパッチの大きさを用いて、スキャンされた色特性チャートの変倍率を導出する。例えば、S1208にて導出したx軸方向及びy軸方向のパッチの大きさから導出したパッチ領域の面積と、色特性チャートが何も変形されなかった設定でスキャンされる色特性チャートの領域の面積との変化の割合から色特性チャートの変倍率が導出される。尚、本実施形態における色特性チャートが何も変形されなかった設定でスキャンされる色特性チャートの領域の面積は、記憶部107に予め用意されているものとする。
【0121】
以上が、本実施形態におけるS1001における色特性チャートのパッチ領域導出処理のフローの説明である。この処理により、S901で取得したスキャン画像データにおけるパッチの大きさ、パッチ数、および色特性チャートの変倍率が導出される。尚、上記で説明した例に限らずに、色特性チャートのチャート領域を導出し、パッチの大きさ、パッチ数、および色特性チャートの変倍率を導出できる方法であれば、どのような方法でもよい。
【0122】
次に、S1006の色特性チャートの縮小要因の分析処理の詳細を説明する。
図14は、S1006の色特性チャートの縮小要因の分析処理の詳細を示すフローチャートである。縮小要因には、1つの要因に対して複数の事象が対応することがあり得る。
図14の処理では、各事象の判定を行い、事象に合致する場合、対応する要因を縮小要因として追加していく処理が行われる。
図14に示されるフローチャートによる処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。尚、処理中に作成されたデータは、記憶部107にて一時的に保存するものとする。
【0123】
S1401において装置制御部102は、S1209にて導出されたスキャンされたチャートのパッチ数が、予め決められたパッチ数の閾値と等しいか判定を行う。尚、この閾値は、
図10のS1002の判定に用いられた閾値と同じ値である。つまり、
図14で説明する縮小要因分析処理(
図10のS1006)に処理が進んでいるということは、S1002において、パッチ数が閾値以上であると判定されている場合である。その状態において、このS1401では、パッチ数が閾値と等しいかの判定が行われている。
【0124】
前述したように、この閾値は、色特性チャートの画像データにおけるパッチ数であるM×N個のことである。つまり、本来含まれているべき(検出されるべき)パッチ数と等しい場合には、縮小していないと考えられるので、S1403に処理が進む。一方、パッチ数と等しくない場合、つまり、本来含まれているべきパッチ数よりも多い数のパッチが導出されている場合には、S1402に進むことになる。S1401にてスキャンされたチャートのパッチ数が閾値と等しくない場合(つまり、この例では、多い場合)は、S1402において、装置制御部102は、縮小要因を、ページレイアウトに関する印刷設定であると判定し、その要因を分析結果に追加する。その後、S1403に進む。
【0125】
本実施形態におけるページレイアウトの設定とは、2in1のような設定のことである。複数枚の色特性チャートがあるときは、2in1設定では、1枚のスキャン画像の中に複数の印刷特性チャートが印刷されているため、導出されるパッチ数が、本来の色特性チャートのパッチ数より増えてしまう。そのため、スキャンされたチャートのパッチ数が、本来の色特性チャートのパッチ数と等しくならない場合は、ページレイアウトに関する設定が縮小要因として考えられる。
【0126】
一方、S1401にてスキャンされたチャートのパッチ数が閾値と等しい場合は、S1403に進む。S1403において装置制御部102は、画像読取部108においてスキャンした色特性チャートの用紙サイズを取得する。
【0127】
S1404において装置制御部102は、S1403にて取得したスキャンした用紙サイズが、所定の用紙サイズであるか判定を行う。S1404にて、スキャンされた用紙サイズが、所定の用紙サイズではないと判定した場合は、S1405に進み、そうでない場合、S1406に進む。尚、所定の用紙サイズとは、例えば色特性チャートが変形されない用紙サイズとすることができる。目標デバイス150と調整対象デバイス100とで共通の色特性チャートを用いる場合、調整対象デバイス100は、色特性チャートが印刷されるべき用紙サイズの情報を保持している。このため、読み取った色特性チャートの用紙サイズと保持している情報とを比較して、S1404の判定が行われる。あるいは、他の手法により、目標デバイス150で色特性チャートが印刷されるべき用紙サイズの情報を、調整対象デバイス100で得てもよい。スキャンした用紙サイズが所定の用紙サイズでない場合には、本来、色特性チャートが変形されない用紙サイズ以外の設定が行われている状態で、その設定された用紙サイズに合わせて縮小されて、印刷されていることになる。設定された用紙サイズに合わせて縮小して印刷された場合、S1005で判定するパッチ読取領域よりも小さくなってしまう。このため、S1405において装置制御部102は、縮小要因を用紙サイズに関する設定であると判定し、用紙サイズに関する設定が、縮小要因として追加される。その後、S1406に進む。
【0128】
S1406において装置制御部102は、S1010にて導出された色特性チャートの変倍率(拡大/縮小率)が、所定の値(例えば67%)より大きくなるか判定を行う。S1406にてチャートの変倍率が67%より大きくなると判定された場合は、S1408に進み、そうでない場合、S1407に進む。2in1設定を行った場合、または、用紙の向きが異なる設定になっている場合には、変倍率が67%以下になる。そこで、S1406では、変倍率が67%より大きいかを判定している。
【0129】
S1408において装置制御部102は、縮小要因として、用紙サイズの設定、および、手動倍率の設定を縮小要因の分析結果に追加する。尚、これまでの処理で既に縮小要因が設定されている場合もあり得る。例えば用紙サイズの設定は、S1405で既に設定されている場合もあり得る。本処理は、S1405とは異なる観点(即ち、色特性チャートの変倍率)から、縮小要因を求める処理になる。ページレイアウトに関する設定が2in1の場合、色特性チャートの変倍率は、67%以下となる。そのため、色特性チャートの変倍率が67%より大きい場合は、ページレイアウトに関する設定は、縮小要因から除外される。また、用紙向きに関する設定が、本来所望する用紙向きと異なる場合、ページレイアウトに関する設定が2in1のときと同じような状態で印刷される。このため、S1408では、用紙向きに関する設定も縮小要因から除外される。変倍率が67%より大きい用紙サイズの印刷設定、および、手動倍率に関する印刷設定がされた場合は、S1005で判定するパッチ読取領域よりも小さくなってしまう状態で印刷されている可能性がある。従って、S1408では、用紙サイズの印刷設定、および、手動倍率に関する印刷設定が縮小要因の分析結果に追加される。その後、S1411に進む。
【0130】
一方、S1406にて色特性チャートの変倍率が67%より大きくないと判定された場合、即ち、色特性チャートの変倍率が67%以下と判定された場合は、S1407に進む。S1407において装置制御部102は、色特性チャートの変倍率が67%であるか判定を行う。S1408にて色特性チャートの変倍率が67%であると判定された場合は、S1409に進み、そうでない場合、S1410に進む。
【0131】
S1409において装置制御部102は、手動倍率の設定、用紙向きに関する設定、およびページレイアウトに関する設定を縮小要因の分析結果に追加する。用紙向きに関する設定が、本来所望する用紙向きと異なる場合、ページレイアウトに関する設定が2in1のときと同じような状態となり、色特性チャートの変倍率が67%で印刷されてしまう。このため、S1409では、ページレイアウトに関する設定および用紙向きに関する設定が、縮小要因として追加される。また、手動倍率の設定も縮小要因として考えらえるので、縮小要因に追加される。その後、S1411に進む。
【0132】
S1408にて色特性チャートの変倍率が67%ではないと判定された場合、即ち、色特性チャートの変倍率が67%より小さい場合、S1410に進む。S1410において装置制御部102は、手動倍率の設定、および、ページレイアウトに関する設定を縮小要因の分析結果に追加する。色特性チャートの変倍率が67%より小さい場合、ページレイアウトに関する設定が2in1よりも多い面付け数(例えば、4in1)になっていることが縮小要因として考えられる。このため、ページレイアウトに関する設定と手動倍率の設定とが縮小要因の分析結果に追加される。その後、S1411に進む。
【0133】
S1411において装置制御部102は、これまでに追加された、縮小要因の分析結果を用いて、要因毎に対応する見直すべき印刷設定に関する情報を取得する。例えば、ページレイアウトに関する設定が縮小要因となる場合は、レイアウトの印刷設定を1in1にすることが対応方法となる。同様に、用紙サイズに関する設定が縮小要因となる場合は、用紙サイズを所定サイズ(例えばA4もしくはLTR)にすること、または、「実際のサイズ」にすることが対応方法となる。同様に、用紙の向きに関する設定が縮小要因となる場合は、色特性チャートがM×N個あるときに大きい数に対応した向きの方向に、用紙の向きを設定することが対応方法となる。同様に、手動変倍に関する設定が縮小要因となる場合は、変倍率を100%にすることが対応方法となる。これらの対応方法に関する情報は、例えば予め記憶部107に記憶されているものとする。以上が、本実施形態におけるS1006の色特性チャートの縮小要因の分析処理の説明である。分析して得られた要因は、縮小の原因としてユーザーに通知されることになる。
【0134】
図15は、S1004の色特性チャートの拡大要因の分析処理の詳細を示すフローチャートである。
図15に示されるフローチャートによる処理は、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行される。尚、処理中に作成されたデータは、記憶部107にて一時的に保存するものとする。
【0135】
S1501において装置制御部102は、S1209にて導出されたスキャンされた色特性チャートのパッチ数が、本来の色特性チャートのパッチ数の半分より多いかを判定する。S1501にて、スキャンされた色特性チャートのパッチ数が、本来の色特性チャートのパッチ数の半分より多いと判定された場合、S1502に進み、そうでない場合、S1503に進む。
【0136】
S1502において装置制御部102は、手動倍率に関する設定を拡大要因の分析結果に追加する。手動倍率に関する設定を行った結果、例えば印刷されるべき色特性チャート領域の端部が印刷されない場合がある。つまり、本来の色特性チャート領域が全て印刷されないため、本来の色特性チャートのパッチ数よりも少なくなってしまったことが、拡大要因として考えられる。このため、手動倍率に関する設定が拡大要因として追加される。そして、S1504に進む。
【0137】
一方、色特性チャートのパッチ数が、本来の色特性チャートのパッチ数の半分より多くない、S1503に進む。即ち、本来の色特性チャートのパッチ数の半分以下と判定された場合、S1503において装置制御部102は、ページレイアウトの設定および手動倍率の設定を、拡大要因の分析結果に追加する。ページレイアウトに関する設定として、例えばポスター印刷のような印刷設定がされる場合が想定される。この場合、1枚の色特性チャートが、複数の領域に分割し印刷されることになる。チャート領域が複数に領域分割されるため、本来の色特性チャートのパッチ数の半分以下となってしまう。このため、ページレイアウトに関する設定が、手動倍率に関する設定に加えて、拡大要因として追加される。その後、S1504に進む。
【0138】
S1504において装置制御部102は、これまでに追加された拡大した要因分析結果を用いて、要因毎に対応する見直すべき印刷設定に関する情報を取得する。ページレイアウトに関する設定が拡大要因となる場合は、レイアウトの印刷設定を1in1とすること、即ち、ポスター設定になっていないことを確認することが対応方法となる。同様に、手動変倍に関する設定が拡大要因となる場合は、変倍率を100%にすることが対応方法となる。以上が、S1004の色特性チャートの拡大要因の分析処理のフローの説明である。分析して得られた要因は、拡大の原因としてユーザーに通知されることになる。
【0139】
<調整対象デバイスの色特性パッチ信号値取得処理>
図16は、S906における、調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートのスキャン画像データを用いて、色特性チャート内の各パッチのRGB値を取得する処理の詳細を示すフローチャートである。
図16に示されるフローチャートによる処理は、画像処理部103によって行われる。あるいは、記憶部107に記憶されたプログラムコードがRAM106に展開され、CPU105によって装置制御部102が制御されることにより実行されてもよる。尚、処理中に作成されたデータは、記憶部107にて一時的に保存するものとする。
【0140】
S1601において装置制御部102は、S905で取得した、調整対象デバイス100のスキャン画像データを用いて、スキャン画像データの中から色特性チャートの領域を検出し、チャートの変倍率、パッチの大きさ、およびパッチの個数を導出する。尚、本実施形態におけるS1601の処理は、S1001と同様の処理を行うため、説明を省略する。
【0141】
次に、S1602において装置制御部102は、S1601にて導出されたパッチの個数が、予め決められた閾値と等しいか判定を行う。本実施形態におけるS1602の予め決められた閾値とは、色特性チャートのパッチ数であるM×N個のことである。導出されたパッチの個数が、予め決められた閾値と等しいと判定した場合、S1603に進み、そうでない場合、S1606に進む。
【0142】
S1602にて、導出されたパッチの個数が予め決められた閾値と等しくないと判定された場合、S1606において装置制御部102は、S1601の色特性チャートのパッチ領域導出処理は正常に終了されていないと判定する。そして、調整対象デバイス100で印刷した色特性チャートのスキャンのやり直しを通知する。前述したように、本例では、S904にて印刷された色特性チャートの場合、チャートが変形するような印刷設定は行われない。このため、本来所望する色特性チャートがスキャンされていないことになる。そのため、調整対象デバイス100の色特性チャートのスキャンのやり直しをユーザーへ通知する処理が行われる。
【0143】
S1602にて導出されたパッチの個数が予め決められた閾値と等しいと判定された場合、S1603において装置制御部102は、S1601の色特性チャートの変倍率が100%であるか判定を行う。変倍率が100%である場合、S1604に進み、そうでない場合、S1606に進む。
【0144】
S1603にて色特性チャートの変倍率が100%ではないと判定された場合、S1606において、装置制御部102は、S1601の色特性チャートのパッチ領域導出処理は、正常に終了されていないと判定する。そして、調整対象デバイス100で印刷した色特性チャートのスキャンのやり直しを通知する。前述したように、本例では、S904にて印刷された色特性チャートの場合、チャートが変形するような印刷設定は行われない。このため、変倍率が100%でないということは、本来所望する色特性チャートがスキャンされていないことになる。そのため、調整対象デバイス100の色特性チャートのスキャンのやり直しをユーザーへ通知する処理が行われる。
【0145】
S1603にて色特性チャートの変倍率が100%であると判定された場合、S1604において、装置制御部102は、S905にて取得したスキャン画像データから調整対象デバイスの各パッチの信号値を取得する。
【0146】
次に、S1604において装置制御部102の画像処理部103は、S1601の色特性チャートのパッチ信号値取得処理が正常通り終了したことをCPU105に通知することで、調整対象デバイスのパッチ信号値取得処理を終了する。以上が、本実施形態におけるS906の調整対象デバイスの色特性チャート内の各パッチのRGB値を取得する処理の説明である。
【0147】
以上説明したように、本実施形態の処理によれば、画像処理装置に搭載されているスキャナを用いて色合わせ処理を実現することができる。このため、色合わせ処理において、印刷された色特性チャートの色値を測定する測色器を用いずに済む。よって、測色器を操作するための工程および印刷された色特性チャートを移動させる工程を不要とすることができるので、ユーザーの色合わせ処理のための工程を簡略化することが可能となる。また、ユーザーは開口部のあるような特殊用紙を用意することなく、現在ユーザーの使用している目標デバイスの状態で色特性チャートを印刷することができる。また、ユーザーの所望する目標デバイスで表現される色特性を用いて色合わせ処理が行われるので、色合わせ処理によって作成された色調整LUTを用いて調整対象デバイスで印刷される色特性は、ユーザーの所望する色特性となる。
【0148】
また、本実施形態の処理によれば、変形されたチャートをユーザーが気付かずに目標デバイス150において印刷した場合、色合わせ処理が中止される。本実施形態によれば、変形されたチャートをユーザーが気付かずに目標デバイス150において印刷したことにより色合わせ処理が中止した場合に、ユーザーに対して色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法を通知することも可能となる。このため、ユーザーは、色合わせ処理が中止になった原因を確認し、適切な対処を行うことがきる。
【0149】
尚、本実施形態では、Webサーバー140が、ネットワーク101を介してPC130に接続される例を説明した。しかしながら、調整対象デバイス100の内部でWebサーバー140と同じ構成が設けられていてもよく、PC130は、調整対象デバイス100から色特性チャートを取得してもよい。この場合、PC130は、ネットワーク101を介して調整対象デバイス100と通信をすると、
図3のようなwebブラウザーを表示する。あるいは、PC130を用いて調整対象デバイス100に予め保持されている色特性チャートを取得できる方法であれば、どのような方法でもよい。また、本実施形態では、PC130を用いて、目標デバイス150で色特性チャートを印刷しているが、スマートフォンなどの情報機器を用いて、色特性チャートの取得および目標デバイス150への印刷指示を行ってもよい。
【0150】
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、目標デバイス150で印刷した色特性チャートを調整対象デバイス100でスキャンし、その後、調整対象デバイス100で色特性チャートを印刷して、スキャンする例を説明した。本実施形態では、目標デバイス150で印刷した色特性チャートと調整対象デバイス100で印刷した色特性チャートとをまとめてスキャンする例を説明する。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0151】
図17は、本実施形態における色合わせ処理の全体シーケンスを示す図である。SQ1710からSQ1730までのフローは第1実施形態のSQ210からSQ230と同様のため、説明を省略する。また、SQ1731は、第1実施形態のSQ232と同様のため、説明を省略する。
【0152】
次に、SQ1732において、調整対象デバイス100は、画像読取部108を用いてSQ1723にて目標デバイス150で印刷された色特性チャートと、SQ1731にて調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートとをスキャンする。具体的には、ユーザー1701は、調整対象デバイス100で印刷した色特性チャートを、目標デバイス150で印刷した色特性チャートの上に置くように、それぞれの色特性チャートをADFにセットする。そして、調整対象デバイス100は、スキャンを開始し、複数ページの画像データとして保存する。
【0153】
図18は、印刷した色特性チャートをまとめてスキャンで行うときに調整対象デバイス100のディスプレイ109で表示されるUIの例を示している。UI1800では、印刷した色特性チャートをまとめてスキャンで行うときにユーザー1701にスキャンを指示するUIを示している。即ち、SQ1731の処理の後に、調整対象デバイス100に表示されるUIである。UI1800においては、印刷した色特性チャートをまとめてスキャンする際の色特性チャートの置き方を説明した文章が含まれる。本例では、テキストのみの説明が含まれているが、イラストの説明が含まれていてもよい。ボタン1801が押下されると、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理の実行命令を行うものとする。尚、ADFに色特性チャートが置かれていない状態でユーザーによってボタン1801が押下された場合、調整対象デバイス100は、画像読取部108にスキャン処理を実行しないようにしてもよい。ボタン1802は、スキャン処理を中止する時にユーザーによって押下されるボタンである。ボタン1802がユーザーによって押下されると、調整対象デバイス100は、色合わせ処理の実施を中止し、
図5のUI500の初期画面に遷移する。
【0154】
次に、SQ1733において、調整対象デバイス100は、SQ1732にてスキャンした複数ページの画像データを、ページ分割する。即ち、調整対象デバイス100は、目標デバイス150で印刷された色特性チャートの画像データと調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートの画像データとに分割されるように、読み取った画像データをページ分割する。
【0155】
印刷する色特性チャートが1ページで、調整対象デバイス100で印刷した色特性チャートが、目標デバイス150で印刷した色特性チャートの上に置かれている状態でスキャンされている場合に、ページ分割方法は以下の通りとなる。ADFによる複数ページ読み込みが実行される場合、上に配されている原稿から先に読み込まれる。よって、1ページ目の原稿は調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートとなり、2ページ目の原稿は目標デバイス150で印刷された色特性チャートとなる。そこで、調整対象デバイス100は、1ページ目のスキャン画像を調整対象デバイス100の画像データ、2ページ目のスキャン画像を目標デバイス150の画像データと割り当てる。このように、印刷する色特性チャートのページ数に応じて、読み込んだページの順番から、調整対象デバイス100の画像データと目標デバイス150の画像データとにページ割り当てることができる。
【0156】
他の方法を説明する。調整対象デバイス100で印刷される色特性チャートは、前述したように、CMSによる色変換処理を行わないため、調整対象デバイス100においてパッチの信号の変化を予め把握することが可能である。このため、調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートのパッチ信号値の変化の範囲内にスキャンした信号値が含まれる画像を、調整対象デバイス100のスキャン画像として割り当ててもよい。
【0157】
さらに他の方法を説明する。調整対象デバイス100で印刷される色特性チャートには、不図示のマークを含めて印刷するように構成されてもよい。そして、そのマークの有無で、いずれのデバイスで印刷されたスキャン画像であるかを判定してもよい。まとめてスキャンした画像を特徴に応じてページ分割できる方法であれば、いずれの方法であってもよい。
【0158】
SQ1734及びSQ1735は、第1実施形態のSQ234及びSQ235と同様のため、説明を省略する。
【0159】
図19は、本実施形態における調整対象デバイス100で行われる色合わせ処理を示すフローチャートである。まず、S1901において、装置制御部102は、調整対象デバイス100の画像出力部110を用いて、予め保持している色特性チャートデータの印刷を行う。尚、S1901は、第1実施形態のS904と同様のため、詳細の説明は省略する。
【0160】
次に、S1902において、装置制御部102は、目標デバイス150で印刷された色特性チャート及びS1901にて調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートを、画像読取部108のADFにてスキャンする。そしてスキャンされた複数ページのスキャン画像データを取得する。
【0161】
次に、S1912において、装置制御部102は、S1902にてスキャンしたスキャン画像データをページ分割し、調整対象デバイス100の画像データと目標デバイス150の画像データに割り当てる。尚、ページ分割方法は、SQ1733と同様の方法であるため、説明を省略する。
【0162】
次に、S1913において、装置制御部102は、S1912にてページ分割した処理が正しく分割できたか判定し、正しくページ分割できたと判定された場合は、S1903の処理を行う。S1913でページ分割できないと判定された場合は、S1914において、装置制御部102は、目標デバイス150で印刷された色特性チャート及びS1901にて調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートを再スキャンする。尚、スキャン方法等については、S1902と同様である。尚、ページ分割が正しくできないケースとしては1枚しかスキャンされていないケース、および、SQ1733で分割する方法に該当しないケース(例えば、マークでページ分割をする場合に、マークが検出できないケース)が想定される。
【0163】
S1903及びS1904、並びに、S1905及びS1906は、第1実施形態のS902及びS903、並びに、S906及びS907とそれぞれ同様のため、説明を省略する。
【0164】
S1906にて、調整対象デバイス100のパッチ信号処理が正常に終了していないと判定された場合、S1907において、装置制御部102は、調整対象デバイス100を用いて印刷された色特性チャートの再スキャンを行う。尚、S1901では、目標デバイス150を用いて印刷された色特性チャート及び調整対象デバイス100を用いて印刷された色特性チャートをまとめてスキャンしている。しかしながら、S1907では、調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートのみをスキャンする。S1907のUIは、第1実施形態における
図6(c)のUI620と同様のため、説明を省略する。
【0165】
それ以降のS1908からS1911は、第1実施形態のS908からS911と同様のため、説明を省略する。
【0166】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、目標デバイス150で印刷した色特性チャートと調整対象デバイスで印刷した色特性チャートとをまとめてスキャンすることで、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0167】
<<第3実施形態>>
第1実施形態では、PC130がWebサーバー140から取得した色特性チャートの画像データを用いて目標デバイス150で色特性チャートを印刷させる例を説明した。本実施形態では、USBメモリのような記憶媒体に保存されている色特性チャートの画像データをPC130で読み込み、読み込んだ画像データを目標デバイス150で印刷する例を説明する。本実施形態における記憶媒体は、USBメモリとするが、SDカード、CD、またはDVDのように、PC等と接続可能で保存されているデータの受け渡しが可能なものであれば、どのようなものでもよい。以下、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0168】
図20は、本実施形態における色合わせ処理の全体シーケンスを示す図である。まず、SQ2010において、PC130は、記憶媒体2000に予め保存されている色特性チャートを取得するようにユーザーによって操作される。この操作を受けて、SQ2011において、PC130は、該当する色特性チャートの画像データのリスエストを記憶媒体2000に要求する。次に、SQ2012において、記憶媒体2000は、SQ2011にてリクエストされた色特性チャートの画像データに対応するファイルを取得する。次に、SQ2013において、記憶媒体2000は、SQ2012にて取得した色特性チャートデータをPC130に出力する。
【0169】
次に、SQ2014において、PC130は、SQ2013にて色特性チャートの画像データの取得が完了したら、ユーザー2001へ取得完了の通知を行う。
【0170】
それ以降のSQ2020からSQ2035は、第1実施形態のSQ220からSQ235と同様のため、説明を省略する。
【0171】
以上説明したように、本実施形態によれば、記憶媒体に保存されている色特性チャートの画像データをPCで読み込んだ場合においても、色合わせ処理を行うことが可能である。このため、webサーバーと接続されていないPC130を用いても、色合わせ処理を行うことが可能となる。
【0172】
尚、本実施形態における外部機器の記憶媒体2000と接続可能なインターフェースは、USB(Universal Serial Bus)による接続とするが、それ以外で外部機器と接続可能なものであってもよい。
【0173】
<<第4実施形態>>
第1実施形態では、PC130から画像処理装置に印刷データが送信される印刷環境を例に挙げて説明した。本実施形態では、ユーザーの画像処理装置を使用している印刷環境が、画像処理装置に接続されている記憶媒体から直接印刷を実行する場合の例を説明する。
【0174】
図21は、本実施形態における色合わせ処理の全体シーケンスを示す図である。まず、SQ2110において、目標デバイス150は、記憶媒体2100に予め保存されている色特性チャートを印刷するようにユーザーによって操作される。そして、SQ2111において、目標デバイス150は、該当する色特性チャートの画像データのリスエストを記憶媒体2100に要求する。
【0175】
図5を再度参照する。本実施形態では、
図5は、ユーザー2101によって目標デバイス150で記憶媒体2100を用いて色特性チャートの画像データを印刷指示するためのUIの例を示す図であるものとする。本実施形態では、記憶媒体2100を用いた画像データの印刷を実行するタイミングは、ユーザー2101によって、ボタン505が押下されたときとする。ボタン505は、ダイレクトプリントの実行を指示するボタンである。ダイレクトプリントは、記憶媒体に保存されている画像データを直接印刷する印刷方法である。尚、ボタン形式でなく、各機能をリスト構造で表示してもよい。
【0176】
図22は、ユーザー2101によって、ボタン505が押下された場合に目標デバイス150に表示されるUI2200の例を示す図である。ボタン505が押下されると、目標デバイス150は、接続されている記憶媒体2100から印刷する画像ファイルを選択するためのUI2200を表示する。UI2200において、リストボックス2203は、接続されている記憶媒体2100の中で印刷可能な画像ファイル等を表示しているリストボックスである。選択された画像ファイルに対応して、印刷する画像ファイルが切り替わる。本実施形態における印刷する画像ファイルとして選択されている項目は、背景色がグレー(ハッチング)になっているものとする。ボタン2204は、ユーザー2101によって画像ファイルを印刷する際に、印刷する用紙、カラーモード、および濃度調整などの印刷設定を行う時に押下されるボタンである。ボタン2204がユーザーによって押下されることにより、印刷設定を行う不図示のUIに移行するものとする。
【0177】
ボタン2201は、ユーザー2101によって印刷する画像ファイルの選択が終わった時に押下されるボタンである。ボタン2201がユーザー2101によって押下されることにより、UI2200の表示は終了し、ユーザーによって設定された印刷設定に従って印刷が開始されるものとする。ボタン2202は、ユーザー2101によって印刷する画像ファイルの選択をキャンセルする時にユーザーによって押下されるボタンである。ボタン2202がユーザーによって押下されることにより、UI2200の表示は終了し、UI500の画面に移行する。
【0178】
図21のシーケンス図の説明に戻る。次に、SQ2112において、記憶媒体2100は、SQ2111にてリクエストされた色特性チャートの画像データに対応するファイルを、自身の記憶領域から取得する。次に、SQ2113において、記憶媒体2100は、SQ2112にて取得した色特性チャートデータを目標デバイス150に出力する。
【0179】
次に、SQ2114において、目標デバイス150は、SQ2113にて取得した色特性チャートの画像データに対して、ユーザーの使っている印刷設定に従って色変換処理を行い、画像出力部160で印刷する。次に、SQ2115において、目標デバイス150は、色特性チャートの画像データの印刷が完了したら、ユーザー2101へ印刷完了の通知を行う。
【0180】
それ以降のSQ2120からSQ2125は、第1実施形態のSQ230からSQ235と同様のため、説明を省略する。
【0181】
以上説明したとおり、本実施形態においては、ユーザーが画像処理装置を使用している印刷環境が、記憶媒体から画像データを直接取得して印刷するような場合でも、色合わせ処理を行うことが可能となる。
【0182】
<<第5実施形態>>
第1実施形態では、目標デバイスで色特性チャートを印刷した後に、調整対象デバイスで色特性チャートを印刷して、それぞれの色特性チャートをスキャンする例を説明した。 本実施形態では、色合わせ処理を行う際に、まず、調整対象デバイスで色特性チャートの印刷およびスキャンを含む登録処理を実行する。その後に、目標デバイスで印刷された色特性チャートと、登録済みのデータとを用いて色調整LUTを作成する作成処理が行われる例を説明する。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0183】
図23は、本実施形態における色合わせ処理の全体シーケンスを示す図である。まず、SQ2305において、調整対象デバイス100は、色合わせ処理における登録処理を実行するようにユーザー2301によって操作される。本実施形態における色合わせ処理における登録処理とは、調整対象デバイス100で色特性チャートを印刷する処理と、調整対象デバイス100で印刷した色特性チャートをスキャンする処理とを含む処理である。
【0184】
図24は、本実施形態で色合わせ処理を実行する際に調整対象デバイス100で表示されるUI2400の例を示す図である。UI2400においては、登録処理が実行されるボタン2401と作成処理が実行されるボタン2402とが含まれる。ユーザー2301によってボタン2401が押下されたときに、調整対象デバイス100は、色合わせ処理における登録処理を実行する。本実施形態では、登録処理を行った日時を表示しているが、どの用紙で色特性チャートを印刷しているかなどの情報を表示してもよい。
【0185】
一方、ユーザー2301によってボタン2402が押下されたときに、調整対象デバイス100は、色合わせ処理における作成処理を実行する。本実施形態の色合わせ処理における作成処理とは、目標デバイス150で印刷した色特性チャートをスキャンする処理と、色調整LUTを作成する処理とを含む処理である。尚、事前に色合わせ処理の登録処理を実施している状態の時に、ボタン2402の押下が可能になるように構成されていてもよい。
【0186】
図23の説明に戻る。次に、SQ2306において、調整対象デバイス100は、予め内部に保存されている色特性チャートの画像データを用いて、画像出力部110で印刷を実行する。SQ2306の詳細の処理は、第1実施形態におけるSQ232と同様のため、説明を省略する。
【0187】
次に、SQ2307において、調整対象デバイス100は、画像読取部108を用いてSQ2306にて調整対象デバイス100で印刷された色特性チャートをスキャンする。SQ2307の詳細の処理は、第1実施形態におけるSQ233と同様のため、説明を省略する。
【0188】
次に、SQ2308にて、調整対象デバイス100は、SQ2307の色特性チャートのスキャンの完了通知を受けたら、ディスプレイ109を用いてユーザー2301に対して色合わせ処理の登録処理の完了の通知を行う。
【0189】
SQ2310からSQ2325までのフローは第1実施形態のSQ210からSQ225と同様のため、説明を省略する。
【0190】
次に、SQ2330において、調整対象デバイス100は、ユーザー2301によって色合わせ処理における作成処理を実行するように操作される。次に、SQ2331は、調整対象デバイス100は、画像読取部108を用いてSQ2323にて目標デバイス150で印刷された色特性チャートをスキャンする。SQ2331の詳細の処理は、第1実施形態におけるSQ231と同様のため、説明を省略する。
【0191】
次に、SQ2332にて、調整対象デバイス100は、SQ2307でスキャンした色特性チャートとSQ2331にてスキャンした色特性チャートとを用いて、色合わせ処理を実行する。SQ2332の詳細の処理は、第1実施形態におけるSQ234と同様のため説明を省略する。
【0192】
次に、SQ2333にて、調整対象デバイス100は、SQ2332にて色合わせ処理の完了通知を受けたら、ディスプレイ109を用いてユーザー2301に対して色合わせ処理の完了の通知を行う。
【0193】
以上が、調整対象デバイスで色合わせ処理を実施するまでの全体フローである。次に、調整対象デバイス100で行われる登録処理の流れと作成処理の流れとを説明する。尚、基本的な個々の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるので、
図9のフローチャートを用いて説明することにする。
【0194】
登録処理においては、S904の処理から処理が開始され、S907の処理でYESと判定された場合に、処理が終了する。次に、作成処理の流れを説明する。作成処理では、S901からS903の処理が行われ、S903でYESの場合に、S908からS910までの処理が行われる。S903でNOの場合に、S911の処理が行われる。
【0195】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、目標デバイスで印刷された色特性チャートと調整対象デバイスで印刷された色特性チャートとを、それぞれのタイミングでスキャンすることができる。
【0196】
<<第6実施形態>>
第1実施形態では、調整対象デバイス100のディスプレイ109に、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法を表示することで、ユーザーに通知をする例も説明した。本実施形態では、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法の通知方法を切り替える例を説明する。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0197】
図25は、S1008の色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法をユーザーに通知する通知方法を設定するためのUIの例を示す図である。
図25のUI2501は、ディスプレイ109を用いたUIの例である。UI2501においては、ユーザーに対して通知方法を選択するように指示する文言が表示されている。尚、UI2501は、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法の切り替えの通知方法がユーザーによって設定される場合に、表示制御されるUIである。
【0198】
図25のボタン2502は、調整対象デバイス100の管理者として、予め登録されているメールアドレスに対して、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法をユーザーが通知する設定をする場合に押下されるボタンである。管理者に対してメールを用いた通知方法が設定されている場合は、ボタンの背景色を反転して表示することで、メール送信が設定されていることがユーザーに認識可能に構成されている。
【0199】
図25のボタン2503は、調整対象デバイス100にログインしているログインユーザーに対応するメールアドレスに対して、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法をユーザーが通知する設定をする場合に押下されるボタンである。ログインしたユーザーに対してメールを用いた通知方法が設定されている場合は、ボタンの背景色を反転して表示にすることで、メール送信が設定されていることがユーザーに認識可能に構成されている。
【0200】
図25のボタン2504は、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法のレポートを、画像出力部110を用いて印刷することでユーザーに対して通知する設定をする場合に押下されるボタンである。レポート印刷の通知方法が設定されている場合は、ボタンの背景色を反転して表示することで、レポート印刷が設定されていることがユーザーに認識可能に構成されている。
【0201】
図25のボタン2505は、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法を、ディスプレイ109を用いたUI表示をすることでユーザーに対して通知する設定をする場合に押下されるボタンである。UI表示が設定されている場合は、ボタンの背景色を反転して表示することで、設定されていることがユーザーに認識可能に構成されている。
【0202】
尚、本実施形態においては、ボタン2502、ボタン2503、ボタン2504及びボタン2505の複数設定(同時設定)を可能とするが、ユーザーによって最後に押下されたボタンに対応する設定のみを有効としてもよい。また、本実施形態において、
図25のUI2501は、初期画面に設定されている状態のものとし、ボタン2504のレポート印刷の通知方法及びボタン2505のUI表示が初期設定されているものとする。
【0203】
図25のボタン2506は、UI2501の通知方法の切り替え設定をキャンセルする場合に、ユーザーによって押下されるボタンである。
図25のボタン2506が押下された場合、ユーザーによって通知方法を選択する前の状態を維持して、UI2501の表示を終了する。
【0204】
図25のボタン2507は、UI2501の通知方法の切り替え設定を反映し、設定された通知方法を保持する場合に、ユーザーによって押下されるボタンである。
図25のボタン2507が押下された場合、ボタン2502、ボタン2503、ボタン2504及びボタン2505の設定を維持して、UI2501の表示を終了する。
【0205】
尚、
図25に示す例は、一例に過ぎず、他の通知方法を用いてもよい。例えば、所定の音声メッセージを出力することで、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法をユーザーに通知してもよい。また、調整対象デバイス100に接続されている他の情報処理端末に、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法を通知してもよい。これらの通知方法が、
図25のUIにさらに追加されてもよい。また、
図25のUI1201は、調整対象デバイス100のディスプレイ109に表示される例を示したが、調整対象デバイス100に接続されている他の情報処理端末の画面に表示させてもよい。
【0206】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、色合わせ処理を中止した原因及びその対応方法をユーザーに通知する通知方法を切り替えることができる。
【0207】
<<その他の実施形態>>
上述した実施形態では、スキャンした色特性チャートにおけるパッチの大きさを導出する方法として、自己相関解析から周期性から検出する例を説明したが、パッチの大きさを導出できれば、どのような方法でもよい。例えば、1次微分フィルタまたは2次微分フィルタのようなエッジ検出フィルタをスキャン画像に適用し、検出されたエッジ間の距離からパッチの大きさを導出するような方法でもよい。
【0208】
また、上述した実施形態では、調整対象デバイス100では、所定の印刷設定で色特性チャートの印刷が行われるので、S907でパッチの信号値の取得が正常に行われない場合には、再度のスキャンをユーザーに行わせる例を説明した。しかしながら、調整対象デバイス100における色特性チャートの印刷設定においても、ユーザーが任意に印刷設定を変更するような態様もあり得る。そのような場合において、調整対象デバイス100で印刷した色特性チャートのパッチの信号値の取得が正常に行われない場合には、再度の色特性チャートの印刷を促す通知をしてもよい。また、前述した実施形態と同様の方法により、失敗した原因およびその対応方法をユーザーに通知してもよい。
【0209】
また、上述した実施形態では、パッチの大きさ、パッチの数、およびパッチの変倍率を全て導出し、これらの導出結果から詳細な分析を行う例を説明したが、この例に限られない。例えばパッチの数に基づいて、拡大されている原因と採り得る対応方法とをユーザーに通知してもよい。また、パッチの大きさに基づいて縮小されている原因と採り得る対応方法とをユーザーに通知してもよい。
【0210】
また、上述した実施形態を各種組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態を、第3実施形態から第6実施形態のいずれかと組み合わせてもよい。また、第5実施形態と第6実施形態とを組み合わせてもよい。
【0211】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。