(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-06
(45)【発行日】2024-09-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240909BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240909BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240909BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240909BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240909BHJP
【FI】
H04N1/00 C
G03G21/14
G03G21/00 370
G03G15/00 107
B41J29/38 501
(21)【出願番号】P 2020098731
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 健治
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046291(JP,A)
【文献】特開2020-010252(JP,A)
【文献】特開2014-209711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、
画像処理を行う画像処理手段と、
印刷手段と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されるか否かを判定する判定手段と、
1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するか、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するかを判断する判断手段と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されないと前記判定手段によって判定され、且つ、前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断手段によって判断された場合に、前記読取手段から前記画像処理手段に前記画像データを転送する転送クロックの周波数を所定の周波数に設定する第1の設定手段と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されないと前記判定手段によって判定され、且つ、前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断手段によって判断された場合に、前記転送クロックの前記周波数を前記所定の周波数より遅い周波数に設定する第2の設定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理と異なる他の画像処理と並列で実行されると前記判定手段によって判定された場合に、前記転送クロックの前記周波数を前記所定の周波数より遅い周波数に設定する第3の設定手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始する場合、前記印刷手段は、前記読取手段によって生成された画像データが
記憶手段に所定のライン数分記憶されたことに基づいて前記原稿の画像の印刷を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を開始するか、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を開始するかを、所定の条件に基づいて決定する決定手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記原稿のサイズに関する条件を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記画像データの変倍率に関する条件を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、
画像処理を行う画像処理手段と、
印刷手段と、
1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するか、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するかを判断する判断手段と、
前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断手段によって判断された場合に、前記読取手段から前記画像処理手段に前記画像データを転送する転送クロックの周波数を所定の周波数に設定する第1の設定手段と、
前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断手段によって判断された場合に、前記転送クロックの前記周波数を前記所定の周波数より遅い周波数に設定する第2の設定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始する場合、前記印刷手段は、前記読取手段によって生成された画像データが
記憶手段に所定のライン数分記憶されたことに基づいて前記原稿の画像の印刷を開始することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を開始するか、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を開始するかを、所定の条件に基づいて決定する決定手段をさらに有することを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記所定の条件は、前記原稿のサイズに関する条件を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記所定の条件は、前記画像データの変倍率に関する条件を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項12】
原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、
画像処理を行う画像処理手段と、
印刷手段とを有する画像処理装置の制御方法であって、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されるか否かを判定する判定工程と、
1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するか、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するかを判断する判断工程と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されないと前記判定工程で判定され、且つ、前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断工程で判断された場合に、
前記読取手段から前記画像処理手段に前記画像データを転送する転送クロックの周波数を所定の周波数に設定する第1の設定工程と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されないと前記判定工程で判定され、且つ、前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断工程で判断された場合に、前記転送クロックの前記周波数を前記所定の周波数より遅い周波数に設定する第2の設定工程とを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理と異なる他の画像処理と並列で実行されると前記判定工程で判定された場合に、前記転送クロックの前記周波数を前記所定の周波数より遅い周波数に設定する第3の設定工程をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項14】
1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始する場合、前記印刷手段は、前記読取手段によって生成された画像データが
記憶手段に所定のライン数分記憶されたことに基づいて前記原稿の画像の印刷を開始することを特徴とする請求項12または13に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を開始するか、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を開始するかを、所定の条件に基づいて決定する決定工程をさらに有することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項16】
前記所定の条件は、前記原稿のサイズに関する条件を含むことを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項17】
前記所定の条件は、前記画像データの変倍率に関する条件を含むことを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか1項に記載の画像処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部に複数の読み取り速度を設け、用途に応じて使い分けることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取部で生成された画像データを受け取って処理する制御部には、様々な画像処理部が存在する。各々の画像処理部は共通のメモリを使って、画像データをやり取りすることで画像処理を実行していく。この時、画像データは、同じデータバスを介してデータの受け渡しを行う。
【0005】
画像処理部のデータバスが一定時間に処理できるデータ量には制限がある。さまざまな画像処理を並行して実行するとデータバスの制限を超えてしまい、データ転送処理の遅延や停止が発生してしまう。その場合、画像読取部から続きの画像データが取り込めず、画像読取動作を正常に継続できないおそれがある。
【0006】
そこで、画像読取と他の画像処理が並列動作しているか否かを判断し、並列動作している場合には、画像読取を単独で実行しているときに比べて画像読取部から制御部への画像データの転送速度を低速にする方法が考案されている。それによって、画像処理部のデータバスが一定時間内に処理できるデータ量の制限を超えないよう抑制することができる。
【0007】
しかしながら、従来は、FCOT(First Copy Output Time)モードについて考慮されていなかった。FCOTモードとは、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を開始するモードである。このFCOTモードによれば、コピージョブの開始から1ページ目の印刷が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0008】
他のジョブがない状態で、コピージョブを実行する場合、コピージョブの開始時点では画像読取が単独で動作することになり、画像読取部から制御部への画像データの転送速度を単独動作モード(高速転送モード)に設定して画像読取が開始される。
【0009】
しかしながら、単独動作モードで、1ページ目の原稿の画像の読取の完了を待たずにそのページの印刷を開始すると、原稿の読取と印刷とが並行して実行されることになり、画像処理部のデータバスの制限を超えてしまうそれがある。
【0010】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取の完了を待たずにそのページの印刷を開始する場合に、読取手段から画像処理手段へ画像データを転送するための転送速度を所定の転送速度に設定し、原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を開始する場合、読取手段から画像処理手段へ画像データを転送するための転送速度を所定の転送速度より遅い転送速度に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、
画像処理を行う画像処理手段と、
印刷手段と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されるか否かを判定する判定手段と、
1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するか、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始するかを判断する判断手段と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されないと前記判定手段によって判定され、且つ、前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了してから、その原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断手段によって判断された場合に、前記読取手段から前記画像処理手段に前記画像データを転送する転送クロックの周波数を所定の周波数に設定する第1の設定手段と、
前記画像データに対する画像処理が当該画像処理とは異なる他の画像処理と並行して実行されないと前記判定手段によって判定され、且つ、前記原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、の原稿の画像の印刷を前記印刷手段が開始すると前記判断手段によって判断された場合に、前記転送クロックの前記周波数を前記所定の周波数より遅い周波数に設定する第2の設定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取の完了を待たずにそのページの印刷を開始する場合に、読取手段から画像処理手段へ画像データを転送するための転送速度を所定の転送速度に設定し、原稿の片面の画像を読み取って用紙の片面に印刷する設定がされており、且つ、1ページ目の原稿の画像の読取が完了するのを待たずに、その原稿の画像の印刷を開始する場合、読取手段から画像処理手段へ画像データを転送するための転送速度を所定の転送速度より遅い転送速度に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施例における画像処理装置のシステムブロック図
【
図2】本実施例における自動原稿給紙装置(ADF)の断面図
【
図3】本実施例におけるスキャナ制御部のブロック図
【
図4】本実施例におけるスキャナ部のクロックタイミングチャート図
【
図5】本実施例における読み取り制御のシーケンス図
【
図6】本実施例におけるスキャナ部のRAMの概念図
【
図8】本実施例における画像処理装置のCOPY動作を説明するフローチャート
【
図9】本実施例における画像処理装置のScan 1ページ画像処理を説明するフローチャート
【
図10】本実施例における画像処理装置のPrint 1ページ画像処理を説明するフローチャート
【
図11】本実施例におけるFCOTモード動作条件を示す図
【
図12】本実施例におけるCOPY FCOTモード動作時のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0015】
<実施例1>
図1は、本発明における画像処理装置の構成を説明する制御ユニット115のブロック図である。制御ユニット115の各構成部は、システムバス101及び画像バス110に接続されている。
【0016】
CPU103は、画像処理装置を統括的に制御する。
【0017】
ROM102は、Read Only Memoryの略である。ROM102には、システムのブートプログラムをはじめ、本発明の各手段を実現する各種プログラムが格納されている。
【0018】
RAM104は、CPU103がソフトウェアを実行するためのシステムワークメモリエリアであり、画像データを処理する際に一時記憶するための画像メモリでもある。
【0019】
蓄積メモリ105は、HDD(ハードディスク)や、SSD(SolidStateDrive)から構成され、内部ストレージとして使用される。蓄積メモリ105には、スキャナ部112によって原稿を読み取ることによって生成された画像データや、本発明の各手段を実現する各種プログラム、各種システムソフトウェアなどが記憶される。
【0020】
LAN I/F(ローカルエリアネットワークインタフェース)部106は、LAN(ローカルエリアネットワーク)と接続するためのI/F部でありLANに接続された各機器との情報の入出力を行う。
【0021】
回線I/F部107は、WAN(ワイドエリアネットワーク)と接続するためのI/F部であり、WANに接続された各機器との情報の入出力を行う。
【0022】
画像データの操作部制御部B108は、操作部114(UI=User Interface)とのインターフェース部で、操作部に表示する画像データを操作部に対して出力する。また、操作部から本システム使用者が入力した情報を、CPU103に伝える役割をする。表示装置やキーパッド装置を搭載する操作部114をソフトウェアが制御するためのI/F部である。本発明において、操作部114は、LCDタッチパネル等から構成され、操作部制御部B108から出力される、VGA信号を解釈して表示する。
【0023】
IO制御部A109は、システムバス101と画像データを高速で転送する画像バス110を接続し、システムバス101データ構造を変換するバスブリッジである。
【0024】
以上のデバイスがシステムバス101上に配置される。
【0025】
画像バス110は、PCIバスやIEEE1394、PCIExなどの汎用バスで構成される。画像バス110上には、IO制御部A109、画像入出力デバイスであるスキャナ部112やプリンタ部113と画像処理部111が接続される。
【0026】
画像処理部111は、入力された画像データに対して、解像度変換、圧縮伸張、2値多値変換などの画像処理を行う複数のASICから構成される。ここで、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とは、特定用途向けに作られた集積回路の総称である。
【0027】
図2は、DF(Document Feeder)ユニットを含むスキャナ部の内部構造を示す側断面図である。
【0028】
DF部には読み取り原稿を積載するための原稿トレイ0200があり、原稿トレイ0200上に原稿有無を検知するためのドキュメントセンサ0202と2つの原稿ガイド0201、原稿サイズ検知センサ0203が設けられている。
【0029】
原稿ガイド0201は原稿縦方向(原稿の搬送方向と垂直)に2つ並んで設けられ、原稿トレイ0200上に積載された原稿はピックアップローラ0204、搬送ローラ0206、排紙ローラ0209の3つのローラにより搬送される。
【0030】
ピックアップローラ0204は原稿トレイ0200に積載された原稿をDFユニット内部の原稿搬送路内へ搬送するためのローラである。
【0031】
搬送ローラ0206はピックアップローラ0204により原稿搬送路内部に搬送されてきた原稿を搬送し、排紙ローラ0209は搬送ローラ0206により搬送されてきた原稿を排紙トレイ0210まで原稿を搬送する。
【0032】
また、ピックアップローラ0204により搬送された原稿は、原稿通過検知センサ0205により検出され、検出時間をもとに1枚目の原稿が通過終了したか否かを判定する。また、図示は省略したが、搬送ローラ0206、ピックアップローラ0204、排紙ローラ0209は全てステッピングモータにより駆動される。
【0033】
DF部での副走査間引き処理は、上記の搬送、ピックアップ、排紙ローラの駆動パルスを倍周波数とすることで実現される。
【0034】
DF部により搬送された原稿は、DF読み取り窓0207を通してその下にあるセンサユニット0211に備えられたCIS(コンタクトイメージセンサ)0208により読み取られる。
【0035】
センサユニット0211は、副走査方向に自由に移動可能であり、搬送ローラ0206から排紙ローラ0209に向かって搬送されてくる原稿の搬送方向と同一方向にも移動可能である。なお、DF読み取り窓0207には副走査方向にある程度の長さがあり、その長さの範囲内では、任意の位置にCIS0208を移動して、その移動位置で原稿読み取りを行うことができる。
【0036】
CIS0208は、CCD等の光電変換素子によって構成され、各素子の画像を蓄積するためのFIFO、及び、FIFO、CCDを制御するための制御信号生成を同時に行う。CIS0208は一般的に、複数の光電変換素子を一列に並べた形で実現される。
【0037】
【0038】
スキャナ制御ユニット300は、スキャナ部制御アプリケーションプログラムによって、スキャナ部112を制御するためのハードウェアが集結したブロックであり、スキャナ部112に含まれたブロックである。
【0039】
スキャナ部112はスキャナ制御ユニット300のCPU301上で実行されるスキャナ部制御アプリケーションプログラムによって制御される。スキャナ部112のCPU301は、スキャナ部112を制御するためのアプリケーションプログラムを、
図1で示したのと同じ制御ユニット115のCPUからの指示で実行することによってスキャナ部112を制御する形式であってもよい。
【0040】
スキャナ制御ユニット300は、CPU301、RAM302、CLK(クロック)制御部303、ROM304、モータコントローラ部305、CCD制御部307、により構成される。CPU301は、スキャナ部112によるスキャン動作の制御を行う。ROM304は、CPU301によって読み出されるプログラムを記憶するメモリである。CPU301は、ROM304に記憶されたプログラムを実行することによって、スキャナ部112によるスキャン動作の制御を行う。
【0041】
スキャナ部制御アプリケーションプログラムはROM304に記憶されており、CPU301で実行される。
【0042】
CLK制御部303から各ブロックにクロックが分配される。CLK制御部303は、クロック生成のための、水晶振動子と、水晶振動子が生成したクロックを逓倍、分周するPLL素子により構成される。
【0043】
スキャナ制御ユニット300を制御するスキャナ部制御アプリケーションは、スキャンを行う際の指示に基づき、CLK制御部303より、制御クロックを、モータコントローラ部305、CIS制御部307、RAM302に出力する。
【0044】
CLK制御部303から入力されたクロックに従い、各ブロックでは、さらに逓倍、分周を行い、CISや各種ローラを回転させるモータを動作させるための制御クロックを生成する。
【0045】
スキャンを行う際の指示には、カラー/モノクロ区別、解像度などの情報を含み、スキャナ部制御アプリケーションは、指示の内容により、CLK制御部303のPLLの設定を変更する。PLLの設定変更により、各種クロックの周波数を変えることで、読み取り速度の変更を行う。
【0046】
RAM304はCIS0208により読み取った画像データを一時的に蓄積する。RAM304に記憶された画像データは、その後、制御ユニットに転送される。
【0047】
本実施例では、RAM302にはA4サイズの原稿4枚分の画像データを蓄積する容量があるとする。
【0048】
モータコントローラ部305は、
図2に示す各種ローラを回転させるモータの駆動を制御する。
【0049】
CIS制御部307は、CIS0208の動作を制御する。
【0050】
CIS0208への信号読み出しは、各画素から画像を読みだす読み出しクロックと、読み出した画素を制御ユニット115へ転送するかどうかの転送イネーブルクロックにより読み出しデータ量を制御する。
【0051】
図4はその概念を簡単に示したものである。簡単のためにピクセル数を間引かずすべて入力するものと、1/2に間引いて入力する動作についてのみ説明をおこなうが、これは本発明を1/2の時の動作に限るものではない。
【0052】
各光電変換素子のデータ読み出しは読み出しクロック401により制御される。読み出しクロック401の立ち上がり時に各素子のデータがCIS0208上から読み出される。読みだしたデータに対して、各画素のデータ402がCIS0208へFIFOで取りこまれる。FIFOに取り込まれたデータは適宜、RAM302に蓄積される。RAM302に蓄積された画像データは水平同期信号406の制御によって、転送イネーブルクロック404が入力され、転送イネーブルクロックの立ち上がりに同期して、各画素のデータ405が制御ユニット115に転送される。
【0053】
水平同期信号403は、CCD1ラインの取り込み開始を制御するクロック信号であり、この水平同期信号403に同期して、スキャナ部112上の各ピックアップローラを駆動するPWM信号を生成する。つまり、水平同期信号403の周期が短くなれば、ピックアップローラの回転速度は相対的に高速になり、原稿搬送が早くなり、原稿1枚あたりの読み取り速度が向上する。CCD素子の画素数Xが同じであれば、水平同期信号403の周期を短くする場合は、短い時間でCCDからの読み出しを行わなければならないため、読み出しクロック401の周期が短くなる。読み出しクロック401の周期が短くなると、RAM302へのデータの蓄積が早まり、それに同期してRAM302からのデータ出力も短い時間で行う必要がある。
【0054】
その結果、スキャナ部112から、画像バス110を経由して、RAM114、もしくは画像処理部111に転送される単位時間あたりのデータ量が増える。単位時間あたりに転送されるデータ量が増えると、データバスの制限を超えてしまい、データ転送処理の遅延や停止が発生してしまう。遅延が発生すると、プリンタ部における印刷ジョブを動作させるためのデータ転送に遅延が生じ、正しく画像を印刷できなくなるおそれもある。また、停止が発生してしまうと、画像読取部から続きの画像データが取り込めず、画像読取動作を正常に継続できないおそれがある。
【0055】
図5のシーケンス図は、読み取り動作のシーケンス図である。このシーケンスは、スキャナ部を制御する、スキャナ部制御アプリケーションと、制御ユニット115を制御するジョブ制御アプリケーションによって実行される。
【0056】
両アプリケーションは、ROM、蓄積メモリなどの不揮発領域に格納されており、画像形成装置の電源が入った後に、RAM上に読みだされて、CPUにて実行される。
【0057】
制御部115から読み取り開始要求501を受けたスキャナ部112は、各種制御クロックを出力し、原稿の読み取りを行う。転送イネーブルクロックが高速になった場合、シーケンス図上の画像転送時間(tv502)が短くなり、読み取り速度が向上する。
【0058】
RAM302の容量は有限であるため、スキャナ部は原稿を1枚読み取ると、制御ユニットに1枚画像転送を行う。そのため、読み出しクロックと転送イネーブルクロックは一致する。しかし、
図5のシーケンス図のように、読み取り部のRAM302に蓄積できる間は制御ユニットへの画像データ転送に同期せず、先行して原稿の読み取りを続けることもできる。
【0059】
図6はスキャナ部のRAM302に画像データが保持される様子を説明するための図である。
図5のシーケンスを用いて説明したように、スキャナ部はRAM302の容量に空きがある場合は、読み取りを続け、RAM302に画像データを蓄積する。蓄積された画像データは転送イネーブルクロックに合わせ、制御ユニット115に出力され、原稿1枚分のデータが出力されれば、その領域は次の原稿読み取り時に使用される。
【0060】
次に
図7を用いて、スキャナ部112と、画像処理部111、RAM104、プリンタ部113の間の画像データの流れをより詳細に説明する。
図7は、スキャナ部112と、画像処理部111、RAM104、プリンタ部113の間の画像データの流れを模式的に表したものである。
図1で説明したように、RAM104は、画像バス110に直接接続されているわけではないが、ここでは簡易的に図示している。
【0061】
画像処理部111は、画像データに対して、解像度変換、圧縮伸張、2値多値変換などの画像処理を行う複数のASIC701、702、703、704、705を有する。各ASICは共通のRAM104に対して、画像バス110を介して画像データの入出力を行う。
【0062】
共通の画像バス110を用いているため、さまざまな画像処理を並行して処理し、同時に複数の画像データの転送が画像バス110で発生すると、データバスの制限オーバーしてしまい、処理の遅延や停止が発生してしまう。また、スキャナ部が高速で原稿の読み取りを行い、それに伴い、転送イネーブルクロックも高速で動作する場合、スキャナ部から画像バスに瞬間的に大きなデータが転送されることとなる。
【0063】
次に、
図8を用いて、本発明の画像処理装置におけるCOPYジョブの制御フローについて説明する。同図に示すフローチャートの各ステップは、CPU103が、ROM102または蓄積メモリ105に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0064】
まず、S801で、CPU103は、操作部114を介してユーザーから実行するCOPYジョブの設定および開始指示を受け付ける。COPYジョブとは、原稿をスキャナ部112によって読み取って画像データを生成し、その画像データに対して画像処理部111が画像処理を行い、プリンタ部113が、画像処理が行われた画像データに基づいて印刷を行うジョブである。ここで受け付けるCOPYジョブの設定には、
図11の設定項目で示すようなものがある。
【0065】
COPYジョブの設定および開始指示を受け付けると、CPU103は、S802乃至S803からなるScan処理と、S804乃至S805からなるPrint処理を並列で実行する。
【0066】
S802において、CPU103は、S801で受け付けた設定を基に原稿1ページのScan処理を実行する。ここで、Scan画像処理の例としては、カラースキャンされた原稿のカラー画像データをモノクロ画像データに変換する処理や、画像内のエッジを強調するエッジ強調処理。また、Scan画像処理の他の例としては、スキャンされた原稿のゴミ等による正常でない画素の画素補正処理や、スキャンされた原稿に含まれる、輝度値が所定の値以下の画素を白画素に変換する下地除去処理である。画素補正処理や下地除去処理は、事前に画像処理装置の設定として有効または無効に設定されている。
【0067】
S803において、CPU103は、全ての原稿の読み取りが完了したか否かを判断し、全ての原稿の読み取りが完了している場合はScan処理を終了し、そうでない場合は、S802へ戻り次ページのScan画像処理を実行する。
【0068】
一方、S804において、CPU103は、S801で受け付けた設定を基に1ページのPrint画像処理を実行する。ここで、1ページのPrint画像処理の詳細については
図10を用いて後述するものとする。
【0069】
S805において、CPU103は、全てのページの印刷が完了したか否かを判断し、全ての原稿の印刷が完了している場合はPrint処理を終了し、そうでない場合は、S804へ戻り次ページのPrint画像処理を実行する。
【0070】
S802乃至S803からなるScan処理と、S804乃至S805からなるPrint処理の両方の処理が終了すると、CPU103は、COPYジョブに係る一連の処理を終了する。
【0071】
図8を用いて説明したように例えばCOPYジョブであればScan画像処理とPrint画像処理の組み合わせでジョブが構成される。
【0072】
画像処理が重なることで画像バス110の処理するデータ量が増え、データバスの制限オーバーする可能性がある。
【0073】
そのため、本実施形態では、この画像処理の単位でScan画像処理を他の画像処理と並行して実行させるために転送イネーブルクロック(転送クロック)の切り替えを行う。それによって、画像データの転送速度を切り替える。Scan画像処理を他の画像処理と並行して実行する場合は、転送イネーブルクロックを低速にすることで、単位時間あたりに画像バス110に流れるデータ量を抑えることが出来る。
【0074】
Scan画像処理が単独で動作するときの転送イネーブルクロックを単独画像転送モードとする。一方、Scan画像処理を他の画像処理と並行して実行する場合の転送イネーブルクロックを並列画像転送モードとする。並列画像転送モードにおける画像データの転送速度は単独画像転送モードにおける画像データの転送速度よりも低速である。
【0075】
他の画像処理は、例えば、外部のPCから受信したPDLデータのRip処理や、蓄積メモリに保存した画像データを送信する前にJPEGやPDFなどに変換する処理、画像データをFax送信のための画像フォーマットに変換する処理などである。
【0076】
次に
図9のフローチャートを用いて、前述の
図8のフローチャートで説明したCOPYジョブにおける原稿1ページのScan画像処理の詳細フローについて説明する。同図に示すフローチャートの各ステップは、CPU103が、ROM102または蓄積メモリ105に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0077】
まず、S901で、CPU103は、前述の
図8のS801で操作部114を介して受け付けたCOPYジョブの設定を取得する。COPYジョブの設定には、原稿の読み取り設定、印刷設定、後処理の設定、排紙設定等がある。
【0078】
S902で、CPU103は、COPYジョブの設定に基づいてScan画像処理を実行するために使用するASICを決定し、ASICに設定を行う。
【0079】
S903で、CPU103は、Scan以外の画像処理で実行中または待機中のものが存在するか否かを判断する。Scan以外の画像処理は、例えば、外部のPCから受信したPDLデータのRip処理や、蓄積メモリに保存した画像データを送信する前にJPEGやPDFなどに変換する処理、画像データをFax送信のための画像フォーマットに変換する処理などである。ここで、Scan以外の画像処理で実行中または待機中のものが存在する場合、CPU103は、S904へ進み、そうでない場合、S909へ進む。
【0080】
S904で、CPU103は、スキャナ部112に並列画像転送モードで動作することを通知する。
【0081】
S905で、CPU103は、スキャナ部112へ画像データの転送開始を指示する。転送開始を指示されたスキャナ部112から画像データの転送を開始する。
【0082】
S906で、CPU103は、スキャナ部112から転送された画像データを受け取る。
【0083】
S907で、CPU103は、S906で受け取った画像データに対して、Scan画像処理を実行する。
【0084】
S908で、CPU103は、S907でScan画像処理を施した画像データを蓄積メモリに保存し、一連の処理を終了する。
【0085】
S909で、CPU103は、S901で取得したCOPYジョブの設定がFCOTモードの動作条件を満たすか否かを判断する。
【0086】
ここで、S901で取得したCOPYジョブの設定がFCOTモードの動作条件を満たす場合、画像処理装置は、1ページの原稿の読み取り完了を待つことなく当該ページの印刷を開始するモードで動作し、当該ページに係る出力完了までの所要時間を短縮させる。S901で取得したCOPYジョブの設定がFCOTモードの動作条件を満たさない場合、画像処理装置は、1ページの原稿の読み取りが完了してから当該ページの印刷を開始する。FCOTモードの動作条件の詳細については
図11を用いて後述するものとする。
【0087】
S909で、COPY FCOTモードと判断した場合、CPU103は、S904へ進み、スキャナに並列画像転送モードを通知し、そうでない場合、CPU103は、S910へ進み、スキャナに単独画像転送モードを通知する。
【0088】
ここで単独画像転送モードとは、例えば、1分間に270枚分の画像データを転送できるクロック速度、並列画像転送モードとは1分間に240枚分の画像データを転送できるクロック速度を表すものとする。
【0089】
つまり、他の画像処理がない状況でFCOTモードの動作条件を満たす判断した場合、他の画像処理がない状況でFCOTモードの動作条件で満たさないと判断した場合よりも、スキャナ部112から制御部115への画像データの転送速度を遅く設定する。なお、この関係を満たすものであれば、上述したクロック速度は一例であり、これに限るものではない。
【0090】
図9のフローチャートでは、転送イネーブルクロックとして単独画像転送モード、並列画像転送モードの2段階のクロック切り替えを行う場合について説明したが、切り替えるクロックの段階は一例であり、3段階以上あってもよい。
【0091】
次に
図10のフローチャートを用いて、前述の
図8のフローチャートで説明したCOPYジョブにおける1ページのPrint画像処理の詳細フローについて説明する。同図に示すフローチャートの各ステップは、CPU103が、ROM102または蓄積メモリ105に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0092】
まず、S1001で、CPU103は、前述の
図8のS801で操作部114を介して受け付けたCOPYジョブの設定から印刷設定を取得する。
【0093】
S1002で、CPU103は、S1001で取得した印刷設定に応じて印刷を実行するために使用するASICを決定し、ASICに設定を行う。
【0094】
S1003で、CPU103は、当該ページのScanが完了したか否かを判断し、完了している場合はS1004へ進み、そうでない場合はS1008へ進む。
【0095】
S1004で、CPU103は、当該ページ以外のScan画像処理が実行中か否かを判断し、当該ページ以外のScan画像処理が実行中の場合はS1007へ進み、そうでない場合はS1005へ進む。
【0096】
S1005で、CPU103は、蓄積メモリ105に保存されている画像データに対してPrintの画像処理を実行する。
【0097】
S1006で、CPU103は、画像データをプリンタ部113へ出力し、一連のPrint 1ページ画像処理を終了する。
【0098】
S1007で、CPU103は、実行中のScanが並列転送クロックモードで動作しているか否かを判定し、並列転送クロックモードで動作中の場合、S1005へ進み、そうでない場合はS1004へ戻る。
【0099】
S1008で、CPU103は、当該ジョブの動作モードがCOPY FCOTモードか否かを判断し、COPY FCOTモードの場合は、S1009へ進み、そうでない場合はS1003へ戻る。ここで、COPY FCOTモードの動作条件の詳細については、前述の
図9でも述べたように
図11を用いて後述するものとする。
【0100】
S1009で、CPU103は、当該ページに係るScan画像処理のデータ書き込みライン数(転送済みライン数)が所定のライン数Lthを超えたか否かを判断する。そして、所定のライン数Lthを超えている場合、S1005へ進む。一方、そうでない場合はS1009にとどまり、当該ページに係るScan画像処理のデータ書き込みライン数が所定のライン数Lthを超えるまで待機する。
【0101】
ここで、所定のライン数Lthとは、読み出し側が書き込み側を追い越さないことを保証するライン数である。Scan画像処理のデータの書き込みライン数がLthを超えたタイミングでPrint画像処理による同データの読み出しを開始すれば、少なくとも以下の関係が成立する。
【0102】
【0103】
ここでの所定のライン数Lthはあくまで一例であり、スキャナ速度およびプリンタ速度の組み合わせに応じてScan画像処理をPrint画像処理が追い越さないように決定される値であればこの限りではない。
【0104】
図11は、前述した
図9のS909および
図10のS1008でFCOTモードを判定するための条件を一覧にしたものである。
【0105】
FCOTモード条件の例としては、原稿を読み取るカラーモードが自動でないこと、すなわち、白黒に設定されている、または、フルカラーに設定されていることである。
【0106】
FCOTモード条件の他の例としては、印刷に使用する印刷用紙の給紙元の給紙カセットが複数の給紙カセットの中のいずれか1つが指定されていることである。
【0107】
FCOTモード条件の他の例としては、
図2のDFの原稿サイズ検知センサの検知結果がA4サイズまたはLTR(レター)サイズであることである。
【0108】
FCOTモード条件の他の例としては、操作部114からの複数回の読み取り指示で、複数の原稿束を読み取り、操作部114からの印刷指示を受け付けて初めて印刷を開始する連続読み取りモードがオフに設定されていることである。
【0109】
FCOTモード条件の他の例としては、原稿の片面を読み取り、印刷用紙の片面に印刷する「片面読取→片面印刷」が設定されていることである。
【0110】
FCOTモード条件の他の例としては、読み取った原稿の画像を変倍して印刷する変倍機能の変倍率が等倍(100%)に設定されていることである。
【0111】
FCOTモード条件の他の例としては、複数枚の原稿を1枚の印刷用紙に集約して印刷する集約印刷機能がオフに設定されていることである。
【0112】
FCOTモード条件の他の例としては、読み取った原稿の画像の周囲数ミリの画像を消去する枠消し機能がオフに設定されていることである。
【0113】
FCOTモード条件の他の例としては、原稿タイプが文字または写真または地図に設定されていることである。
【0114】
FCOTモード条件の他の例としては、複数のサイズの原稿がDFに混載して読み取りを行う原稿混載機能がオフに設定されていることである。
【0115】
FCOTモード条件の他の例としては、読み取った原稿の画像を印刷用紙の向きに合わせて自動的に回転するオート回転機能がオフに設定されていることである。
【0116】
FCOTモード条件の他の例としては、原稿の画像が印刷された用紙を、部ごとにシフトして排紙する仕分け機能がオフに設定されていることである。
【0117】
FCOTモード条件の他の例としては、本のような見開きタイプの原稿の左右のページを、それぞれ別の印刷用紙に印刷するページ連写機能がオフに設定されていることである。
【0118】
FCOTモード条件の他の例としては、印刷部数が1部に設定されていることである。
【0119】
本実施例の画像処理装置においては、
図11に示す設定条件を全て満たした場合にFCOTモードで動作する。一方、少なくともいずれか1つの設定条件を満たしていない場合には、任意のページに関して、当該ページのスキャン処理完了後に、当該ページのプリント処理を開始するものとする。尚、
図11に示す条件はFCOTモード条件の一例であり、この条件に限るものではない。FCOTモード条件は、
図11に示す条件より少ない条件にしてもよいし、
図11に示す条件以外の条件が予め決められていてもよい。
【0120】
図12(A)は、本発明の画像処理装置においてFCOTモードでCOPYジョブを実行した場合に、画像バス110が処理するデータ量の推移を表すタイミングチャートである。同図に示すように、本発明の画像処理装置では、1ページ目のスキャンを並列画像転送モードで動作させることで、当該ページのスキャン途中から当該ページのプリントを開始しても画像バス110の帯域閾値Dmaxを超えないように制御できる。
【0121】
一方、
図12(B)には、1ページ目のスキャンを並列画像転送モードではなく、単独画像転送モードで動作させた場合のタイミングチャートを示す。すなわち、前述した
図9のS909のFCOTモードの判定結果によらず単独画像転送モードで動作させるようにした場合のタイミングチャートであるということもできる。この場合、
図12(A)の場合に比べて1ページ目のスキャンに要する時間は短縮される。しかしながら、1ページ目のスキャン途中で当該ページのプリントを開始すると単位時間あたりの総データ転送量が画像バス帯域閾値を超えてしまう。そのため、1ページ目のスキャン完了後に当該ページのプリントを開始する制御となる。すなわち、本発明の画像処理装置では、
図12(A)、
図12(B)に示すΔT(=Tb-Ta)の時間分だけFCOT時間を短縮することができる。
【0122】
以上説明したように、スキャナ部から制御ユニットへの画像転送を行う転送イネーブルクロックをScan画像処理が単独か、他の画像処理が並列で動作するかに応じて切り替える。そして、Scan画像処理が単独で動作する場合であっても、当該Scan画像処理がCOPYジョブに係るScanであり、かつ、FCOTモードの動作条件が成立している場合は、並列動作時の転送イネーブルクロックを設定する。それによって、装置としてはスキャナの読み取り速度が落ちることを抑制することで、FCOTモードで動作するCOPYジョブの生産性が低下することを抑制しつつ、スキャンと他の画像処理の並列を並列して実行することができる。
【0123】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0124】
103 CPU
104 RAM
110 画像バス